JP2004137871A - 通水部材およびその通水部材を用いた水栓ならびにその通水部材の製造方法 - Google Patents

通水部材およびその通水部材を用いた水栓ならびにその通水部材の製造方法 Download PDF

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奥田 拓央
Akira Kobayashi
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Abstract

【課題】断熱性に優れ熱湯を通水しても表面温度が高温にならず、長時間にわたる使用においても錆や腐食が発生せず、さらには、流体の入口と出口があればどのような形状にも応用可能である通水部材の製造方法、通水部材および通水部材を用いた水栓を提供する。
【解決手段】外装部が金属で構成され、その外装部の内側に内装部を設けた通水部材であって、前記内装部は、中空射出成形により合成樹脂を外装部の内側に被覆して通水部が形成されることを特徴とする通水部材とした。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通水部材およびその通水部材を用いた水栓ならびにその通水部材の製造方法に関する。詳しくは、外装部を金属、内装部を合成樹脂で構成した通水部材およびその通水部材の製造方法ならびにその通水部材を用いた水栓に関する。
【従来の技術】
【0002】
従来、金属鋳物からなる通水部材(たとえば、吐水管や給水器具など)に熱湯を通水すると、通水部材は熱伝導性がよい金属鋳物であるために表面が高温となる。そのため、素手で扱いにくい場合があった。
このような問題を解決するために、内管が金属管とし、外管が合成樹脂として構成されるような通水部材があった(例えば特許文献1を参照のこと)。しかし、金属管が長期間にわたり接水部に使用されると金属管は劣化する恐れがあった。
【0003】
また、このような通水部材においては、外観面に意匠性をもたせるために装飾めっきが施されることがあった。しかし、このような通水部材内に熱湯等の高温流体が断続的に長期間流れたとき、めっき層と合成樹脂層との線膨張率の差が大きく、めっき層と合成樹脂層とがそれぞれに応じた量だけ熱膨張および収縮を繰り返すため、めっき層と合成樹脂層との境界面に応力が発生し、めっきが剥がれるということがあった。
【0004】
通常、通水部材は青銅や黄銅に代表される鉛成分を含有する銅合金が多く用いられるが、鉛成分の水中への溶出を低減するために薬液やコーティング等により、接水面に表面処理などを施す必要があった。
【0005】
また、そのほかに通水部材に断熱性をもたせるための手法として、内装部が合成樹脂、外装部が金属で構成される通水部材があった(例えば特許文献2を参照のこと)。この通水部材の作製方法としては、合成樹脂製の内装部と金属製の外装部が別々に作製され、その後、この二つを接着するという手法がとられていた。
【0006】
しかし、金属管と合成樹脂管を別々に作成し、その後に接着するというように工程数が多い上、金属管の内部の研磨、金属管と合成樹脂管の寸法公差の管理など、煩わしい作業が必要であった。
さらに、金属管と合成樹脂管を接着する際には、金属管に合成樹脂管を挿入せねばならない。
図1の(a)図のようなストレート形状の管や(b)図にような曲率半径が同一径であるシングルアールの管ならば金属管に合成樹脂管を挿入することができるが、図2の(a)図のようなグースネック形状の金属管、(b)図のような波形の金属管や、(c)図のような蛇腹管などのように異形状の金属管には剛性を持った合成樹脂管を挿入することができないため、接着による二重管の作製は不可能である。
したがって、金属管内に合成樹脂管を挿入して接着する手法は、ストレート管などの特定の形状にしか適用することができない。
【0007】
また、内装部が合成樹脂、外装部が金属で構成される通水部材として塩化ビニルライニング鋼管がある。しかし、塩化ビニルライニング鋼管は一般に耐熱性が低い。耐熱性塩化ビニルライニング鋼管でも、その耐熱温度は85℃前後であり、熱水等を通水する場合において充分とは言えなかった。さらに、一般にライニングによる被覆であると、図1のようなストレート形状の管や曲率半径が同一径であるシングルアールの管ならば好適にライニング加工可能であるが、図2のような波形の金属管やグースネック形状の金属管などのように異形状の金属管への加工は困難である。異形状へのライニング加工が困難であるため、ストレート管とエルボといった形で2部品化しライニング加工を行うと、接続部に防食加工が必要となってしまう。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−303631
【特許文献2】
特開平05−087273
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の不具合を解決するために、断熱性に優れ熱湯を通水しても表面温度が高温にならず、長時間にわたる使用においても錆や腐食が発生せず、さらには、流体の入口と出口があればどのような形状にも応用可能である通水部材およびその通水部材を用いた水栓ならびにその通水部材の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、表面にめっきを施した場合においても、冷熱が繰り返されるような環境下で長時間使用してもめっきが剥がれるおそれが低減できる通水部材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため本発明の請求項1においては、外装部が金属で構成され、その外装部の内側に内装部を設けた通水部材であって、前記内装部は、中空射出成形により合成樹脂を外装部の内側に被覆して通水部が形成されることを特徴とする通水部材である。
【0011】
このようにすれば、外装部の内側に中空射出成形を行うことにより、溶融した樹脂が形状に追従して流れ込むため、外装部がグースネック形状や蛇腹形状等のように異形状をしていたとしても、好適に内装部を形成することが出来る。また、溶融した樹脂が外装部内側に形状の追従して流れ込むため、外装部内側に大きな凹凸があったとしても金属製の外装部の磨き行程を必要としない上、形状に追従して樹脂が固化するため外装部と内装部の接着行程などを必要とせず、また外装部の金属管が鉛成分を含有するような銅合金である場合は水中への鉛溶出を低減するための表面処理等の特別な処理を必要としないため、比較的少ない工程数で断熱性の優れた通水部材を提供することができる。
なお、ここでいう通水部とは、通水部に直接湯水などの流体が流れる場合のほか、この通水部内に通したフレキシブルホースなどの可撓管に湯水などの流体を流す場合も含む。
【0012】
請求項2においては、前記合成樹脂には、無機物質を5〜50重量(%)含んでいることを特徴とする請求項1に記載の通水部材としたことである。
【0013】
本発明は、通水部材の流路内に熱湯等の高温流体が断続的に長期間流れたとき、金属と合成樹脂層はそれぞれに応じた量だけ熱膨張及び収縮を繰り返すため、応力が発生し、金属と合成樹脂層の間が剥離する恐れのある用途に適用する場合がある。この場合、剥離によって金属と合成樹脂層の間に隙間が生じ、この隙間に湯水が入りこんで金属が劣化する恐れがあった。本発明によれば、無機物質を混入することで合成樹脂層の線膨張係数が小さくなり、内装部である合成樹脂層と金属製の外装部の線膨張係数の差が小さくなるため、外装部と内装部の境界面に、特に、高温時に生じる応力を低減することができため、合成樹脂と金属界面の剥離による不具合を低減できる。
【0014】
請求項3においては、前記外装部には、めっきを施していることを特徴とする請求項1または2に記載の通水部材としたことである。
【0015】
このように、外装部にめっきを施すことで外観性、耐蝕性、耐薬品性を向上させることができる。また、外装部が金属製であるため、めっきを容易に施すことができ、さらには、内装部が金属管、外装部が合成樹脂であるような二重管の外観部分となる合成樹脂層にめっきを施した場合に比べて剥がれにくい。
【0016】
請求項4においては、前記通水部材を水栓本体に接続してなり、かつ、この通水部材の通水部にフレキシブルホースを挿入してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の通水部材を用いた水栓としたことである。
【0017】
このように、通水部材の通水部にフレキシブルホースを挿入してなる水栓においては、従来、フレキシブルホースと通水部材はともに金属で作製されているため、滑りが良くなく大きな音を発生していたが、合成樹脂製の内装部を形成することにより滑りが良くなり発生する音を低減することができる。
【0018】
請求項5においては、前記通水部材は、グースネック形状に湾曲していることを特徴とする請求項4に記載の水栓としたことである。
【0019】
グースネック形状に湾曲している水栓においては、頂点部分で必ずフレキシブルホースと吐水管が接触せざるを得ないため特に滑りが悪く、大きな音が発生していた。しかし、中空射出成形により金属製の外装部の内側に合成樹脂製の内装部をもうけることにより、頂点部分でフレキシブルホースと吐水管が接触しても、比較的滑りが良く、接触音も小さいグースネック形状に湾曲している水栓を提供することができる。
【0020】
請求項6においては、金属により構成されかつ連通された開口を有する外装部を金型内にインサートし、さらにこの外装部の一方の開口から合成樹脂を注入し、さらに加圧した流体を圧入して副キャビティに余剰の合成樹脂を押し出すことで合成樹脂を外装部の内側に被覆して通水部を形成することを特徴とする通水部材の製造方法としたことである。
【0021】
このように、加圧した流体を圧入して副キャビティに余剰の合成樹脂を押し出すという手法を用いることで、外装部は直管だけに限定されず、特に、通水部を有する屈曲・湾曲した形状、異形状なものにも適用することができる。
【0022】
請求項7においては、前記金型内に外装部をインサートする凹部を外装部の外観形状よりも大きく形成するとともに、金型表面に弾性部材を敷設することによりインサートする外装部と金型の隙間をなくしたことを特徴とする請求項6に記載の通水部材の製造方法としたことである。
【0023】
このようにすれば、外装部の外観形状に寸法誤差があったとしても、金型内に外装部をインサートすることが可能であり、また、射出成形により合成樹脂を送り込んだとき、また外装部内側の余剰の合成樹脂を押し出すために流体を圧入したときに外装部にかかる応力を軽減し、金型もしくは外装部にキズやカケ等が発生するのを防止できる。
【0024】
請求項8においては、前記金型内に外装部をインサートする凹部を外装部の外観形状よりも大きく形成するとともに、その近傍に爪部を形成して、この爪部にて外装部を保持することを特徴とする請求項6に記載の通水部材の製造方法としたことである。
【0025】
このようにすれば、外装部の外観形状に大きな寸法誤差があったとしても、金型内に外装部をインサートすることが可能である。また、射出成形により合成樹脂を送り込んだとき、また外装部内側の余剰の合成樹脂を押し出すために流体を圧入したときに外装部にかかる応力を軽減し、金型もしくは外装部キズやカケ等の発生を防止することができる。
【0026】
請求項9においては、前記爪部には弾性部材を設けておき、この弾性部材を介在させて外装部を爪部にて保持することを特徴とする請求項6または8記載の通水部材の製造方法としたことである。
【0027】
このようにすれば、外装部を金型内に保持したとき金型もしくは外装部にキズやカケ等が発生するのを防止することができ、射出成形により合成樹脂を送り込んだとき、更に外装部内側の余剰の合成樹脂を押し出すために流体を圧入したときに外装部にかかる応力を軽減し、金型もしくは外装部にキズやカケ等が発生するのを防止できる。
【0028】
請求項10においては、前記流体が水であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の通水部材の製造方法としたことである。
【0029】
このようにすれば、水により成形された通水部材を冷却することができるため、成形サイクルを短くすることができ、生産性を向上させることができる。水はガスよりも冷却効果があるのは明瞭であるともに、本発明においては溶融した樹脂は外装部となる金属管内部に充填されるが、外装部の外側は熱を吸収しにくい弾性部材である、もしくは金型との間に空間が存在する。従来の中空射出成形のように溶融樹脂が熱を吸収しやすい金型に直接接触しているものと比較して、目的の通水部材は熱が奪われにくく、成形サイクルが長くなってしまうという点を克服できるのである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。
【0031】
図1には、ストレート管とシングルアール管の概略図を示す。
図2には、グースネック形状の管と波形の管、蛇腹管の概略図を示す。
図3には、吐水管と給水器具本体、給水管と給水器具をつなぐ脚の概略図を示す。
図4には、本発明の引き出し式水栓の概略図を示す。
図5には、本発明のグースネック形状の引き出し水栓の概略図を示す。
図6には、一般的な吐水管の概略図を示す。
図7には、本発明により作製した通水部材とその金型構造の概略図を示す。
図8には、給水管と給水器具をつなぐ脚の断面図を示す。
図9には、脚とネジキャップ、副キャビティの取り付けの概略図を示す。
図10には、中空射出成形後の脚の概略図を示す。
図11には、切削加工後の脚の概略図を示す。
図12には、本発明により作製したグースネック形状の外装部に中空射出成形を行う際に好適に用いられる金型構造の概略図を示す。
【0032】
本発明の通水部材は、外装部が金属、内装部が合成樹脂で作製されており、配管及び水回り用器具の給水本体や吐水管などに用いることができる。
そして、特に熱水を通す配管及び水回り用器具の給水器具本体や吐水管などの通水部材に好適である。
また、吐水口を有するヘッドが取り付けられた屈曲自在のホースが水栓本体及び吐水管を通して引き出し可能にキャビネットに収納される引き出し式水栓に好適な吐水管を提供することができる。
【0033】
まず、外装部となる金属について説明する。
外装部を構成する金属としては、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅などの金属やそれらの合金など適宜利用できる。特に、鋼管、めっき鋼管、ステンレス鋼管、アルミニウム管、銅管等、一般に金属管と呼ばれるものに適用できる金属を使用することができる。また、外装部は、上記した金属管やそれにバルジ加工、他部材を溶接など加工したもの、あるいは、鋳造や鍛造で成形された中空部材などが好適に利用できる。
耐蝕性、加工性の観点から、金属としては、特に、黄銅や青銅等の銅合金が好ましい。
また、更なる耐蝕性、耐薬品性を持たせるためや外観品位を持たせるために、上記の金属で構成される外装部の表面にニッケル−クロムめっきなどのめっきを施すとよい。
そして、この外装部としては、直管だけに限定されず、特に、通水部を有する屈曲・湾曲した形状、異形状なものを適用することができる。
【0034】
次に、内装部の合成樹脂について説明する。
外装部の内側に中空射出成形にて合成樹脂を成形して内装部を形成する。
このときの合成樹脂としては、公知の射出成形用の合成樹脂を使用することが可能である。特に好ましくは中空射出成形に好適に用いられるABSが挙げられる。また、摺動特性の優れた樹脂として、好適に用いられるポリオレフィン系合成樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリサルフォン、変性PPO、PPS、PBTなどが挙げられる。また、上記した合成樹脂の内装部としての膜厚は、用途によって、適宜選択する。例えば、直接水などの流体が接触する場合には、1.5mm以上、また、通水部内にさらに流路を持ったフレキシブルホースなど挿入してそのフレキシブルホースの出し入れを補助するための摺動部分として機能する場合には、上記より厚めにすることで、磨耗による合成樹脂層の欠落を防止するようにする。また、膜厚の調整は、通水部内の内表面積と投入する樹脂量、後述する中空成形時のガス圧で容易に調整可能である。
【0035】
また、本発明に用いられる合成樹脂には、合成樹脂層の線膨張係数を低下させる目的で適宜、無機物質を加えることができる。尚、添加する無機物質の脱離、溶出などを回避するために無機物質を添加した合成樹脂層の更に外側に合成樹脂のみの層をさらに設けても良い。
合成樹脂層の線膨張を低下させる理由としては、外装部の金属管より、内装部の樹脂のほうが線膨張が大きく熱水等が通ることに伴う温度上昇により外装部と内装部との境界面に応力が発生してしまい、接合が剥れる恐れがあるためである。そのため、無機物質を加えることで、内装部を構成する合成樹脂の線膨張率をできるだけ金属管の線膨張率に近づけて境界面に生じる応力を低減することができるのである。
なお、無機物質の割合が少なすぎると線膨張係数の低下が充分とは言えず、また、無機物質の割合が多すぎると混練の作業が困難になることから、5〜50重量(%)の割合で無機物質を加えることが好ましい。特に好ましくは10〜30重量(%)とすることがより好ましい。合成樹脂がABS樹脂として、この合成樹脂に無機物質である平均粒径2.5μmのタルクの混入量を変えた場合の線膨張係数を表1に示す。無機物の添加により線膨張係数が低下(金属の線膨張係数に近づく)しているのが判る。
【0036】
【表1】
Figure 2004137871
【0037】
この無機物質としては、例えば、ガラス繊維(チョップドストランド)、炭素繊維、金属被覆炭素繊維、耐熱有機繊維、金属繊維、金属粉、ワラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー等の繊維状充填材、マイカ、ガラスフレーク、グラファイトフレーク等の板状充填材、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、炭素短繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の粒子状充填材を使用することができる。また、これらの成分を2つ以上組み合わせて使用しても構わない。これらの無機物質の選択に当たっては、例えば、飲料用に利用するような水栓では、重金属など体に良くないと言われる成分を利用しないなど適宜用途によって選択する。因みに、上記したタルクは化粧品成分にも利用されているのもでもあり安全性に問題ない。
内装部の合成樹脂は、上述した無機物質を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混錬ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
更に、本発明の目的である断熱性、さらには中空射出成形の加工性等を損なわない範囲で、合成樹脂に無機物質を添加するほかに樹脂組成物に通常用いられる難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、発泡剤、染顔料、抗菌剤等が含まれても差し支えない。
【0038】
このようにして得られた合成樹脂を予め金型にインサートした金属管などの通水部材の内部に中空射出成形する。尚、通水部材は、洗浄、脱脂などの処理を施しておき、合成樹脂を被覆する面の密着性を阻害する汚れ分を除去しておく。更に、合成樹脂の密着性を向上させるために、サンドブラストなどで表面を粗す処理を施しても良い。
【0039】
本発明において好適に用いられる金型の通水部材の載置面には弾性部材が使用されている。この弾性部材としては、耐熱性に優れたゴム、例えば、フッ素ゴム、EPDM、EPM、シリコンゴム等が好適に用いられる。また、TPE、ウレタンフォーム等の弾性部材を用いることも可能である。
【0040】
次にこの通水部材の適用例について、以下で説明する。
本発明の通水部材を水栓の吐水管1、給水器具本体2、給水管と給水器具をつなぐ脚3として用いた場合について図3に基づき説明する。
従来の通水部材では給水器具から熱湯を吐水した場合、熱湯の影響により水栓の吐水管1、給水器具本体2、給水管の表面温度が上昇し、吐水管1を左右に動かしたいときなどに素手で扱いにくい、また、誤って給水器具本体2や給水管と給水器具をつなぐ脚3に触れた場合に熱い思いをするなど、使用者にとっては快適性が損なわれかねなかった。
本発明の通水部材においては、合成樹脂で形成された内装部が存在するため、合成樹脂の熱伝導率の低さから、水栓の吐水管1、給水器具本体2、給水管と給水器具をつなぐ脚3の表面温度があがりにくくなり、吐水管1を左右に動かしたいときなどに素手で扱いやすく、誤って給水器具本体2や給水管と給水器具をつなぐ脚3に触れたとしても熱い思いをしなくてすむというように使用者にとっての快適性を向上することができる。
【0041】
次に本発明の通水部材の通水部に挿入されてフレキシブルホース6を、引き出し可能にキャビネットに収納されている引き出し式水栓として用いた場合について図4に基づき説明する。
この場合、金属製吐水管の内面に合成樹脂にて形成された内装部を持つ通水部材である吐水管5内に金属製のフレキシブルホース6が通る。
従来の引き出し式水栓では、後述する内装部の樹脂層がない金属製の吐水管5内に金属製のフレキシブルホース6を引き出し自在に設けていたため、吐水管5とフレキシブルホース6の金属同士が擦れて、滑りが悪く操作性が好ましくなかった。また、金属同士が擦れることにより異音が発生し、使用者にとっては快適性が損なわれかねなかった。
本発明の引き出し水栓においては、金属製のフレキシブルホース6と吐水管の合成樹脂で形成された内装部7とが擦れるので、滑りが良くなりフレキシブルホース6の引き出しおよび戻しの操作性が向上するとともに異音を低減し快適性を向上することができる。
【0042】
特に、図5に示すように、引き出し水栓の吐水管がグースネック形状に湾曲した場合においては、よりその効果を奏すると言える。
従来のグースネック形状に湾曲した水栓の場合(図5の内装部11の合成樹脂層を除いたもの)、吐水管が湾曲しているため、図5に示すように、その頂点部分9で金属製の吐水管と金属製のフレキシブルホースが必ず接触し、引き出し時に擦れて異音が発生する。しかし本発明では通水部に合成樹脂の層を設けているため金属製のフレキシブルホース12が接触するのは内装部11の合成樹脂となり、滑りが良くなり操作性が向上すると共に、金属製のフレキシブルホース12との接触音を軽減することができるのである。
【0043】
(実施例1)
次に、上述した外装部と合成樹脂を用いて、特に、外装部の外観形状の寸法誤差が比較的小さい本発明の通水部材である図3のような湯水混合栓の主要な構成部品である吐水管1、給水器具本体2、給水管と給水器具をつなぐ脚3のうち最も単純な開口を2つ持つ吐水管、それ以上である開口を3つもつ脚についての製造工程を図6乃至図11に基づき説明する。尚、開口を吐水管、吐水ハンドル、温調レバー、2つの脚の取り付け開口の5つをもつ給水器具本体も同様に適用できることは、以下の説明より明らかである。
図6、図7により吐水管1への合成樹脂の被覆工程を説明する。図7は、被覆工程終了直後の状態を示す。まず、あらかじめ成形された外装部(たとえば図6のような吐水管)を金型Aにインサートする。
この金型Aには、インサートされる外装部の外観より外周が3mm程度大きい凹部を形成しておく。そして、インサートされる外装部と金型の間の3mmの隙間にゴム層14を形成する。つまり、金型Aの表面にゴム層14を形成する。
このようにゴム層14を設ける理由は、吐水管15を金型A内に保持したときに、キズもしくはカケ等の発生を防止するためである。さらには、吐水管内に射出成形にて合成樹脂を送り込んだときや吐水管内部に存在する余剰樹脂を押し出すためのガス圧により吐水管に発生する応力により、キズもしくはカケ等の発生を防止するためである。また、金属管を作製するときに寸法誤差が発生したとしても金型A内にインサートできるようにするためである。
そして、吐水管の他端部(合成樹脂を全体に充填するために、好ましくは、合成樹脂の射出口から最も遠い位置にある開口端部13)に副キャビティ17を設けておく。
これは、ガスの吹き込みにより押し出される余剰の合成樹脂をこの副キャビティ17にて受け入れるためである。そして、この副キャビティは、吐水管の開口端部13に接続され、溶融樹脂が、金型とインサートされた金属管との隙間に流出しないようにしている。また、副キャビティは、合成樹脂の流れをスムーズにして、合成樹脂の被覆層を均一に密着させるためにも寄与している。(図7)
【0044】
上述した金型、副キャビティ17を用いて、吐水管15に対して中空射出成形を行った。
ここでは、射出する合成樹脂としてはABSを用いた。
まず、金型内に、副キャビティ17を吐水口に取り付けた吐水管15をインサートした後、金型の型締を行った。
その後、吐水管上端部から吐水管の中に溶融状態のABSを射出成形機の射出シリンダから射出した。
射出が終了してから、同じく径が1mmのノズルBから窒素ガスを15秒間で30kgf/cmの圧力になるように吐水管上端部に徐々に吹き込み、10秒間保圧した後に10秒かけてガス圧を開放した。
その後、型を開き、ABSが内部に被覆された吐水管を副キャビティと一緒に取り出し、副キャビティを吐水管の開口端部からはずして、ガス圧により副キャビティ側に押し出された余剰樹脂(ABS)のABSをカットした。
さらに、射出ゲート部分となった吐水管上端部に通水路となる径の穴を後加工することで、外装部が金属で内装部に合成樹脂の層16が形成された吐水管(通水部材)を得ることができた。
【0045】
次に、給水管と給水器具をつなぐ脚3の作製方法について図8乃至図11に基づいて下記する。
まず、あらかじめ成形された、外装部となる給水管と給水器具をつなぐ脚3(図8)を図示しない金型にインサートする。
この金型は、上述の金型同様、インサートされる外装部の外径より3mm程度大きい凹部を形成しておく。そして、インサートされる外装部と金型の間の3mmの隙間にゴム層を形成する。
そして、給水管と給水器具をつなぐ脚3(図8)の給水本体接続部分18に副キャビティ21を取り付ける。また、ネジ部19には樹脂が被覆しないようにネジ部に合ったネジ山のついたネジキャップ22を取り付けておく。
【0046】
上述したような金型、副キャビティ21、ネジキャップ22を用いて、給水管と給水器具をつなぐ脚3に対して中空射出成形を行った。
射出樹脂としては吐水管と同様にABSを用いた。また、図9乃至図11も図8と同様に金型や付帯設備を除いて、工程が判る図とした。
まず、金型内に、副キャビティ21を給水本体接続部分18に、ネジ部19にネジキャップ22を取り付けた給水管と給水器具をつなぐ脚(図9)をインサートした後、金型の型締を行った。
以下、給水管接続部分20を射出ゲート部とし、上記の吐水管と同様の手法で中空射出成形を行い、吐水管内に合成樹脂層23を形成した。(図10)こうして成形された脚を副キャビティ21と一緒に取り出し、副キャビティ21を給水本体接続部分18から取り外し、ガス圧により副キャビティ側に押し出された余剰樹脂(ABS)のABSをカットした。
さらに、射出ゲート部分となった給水管接続部分20に通水路となる径の穴を後加工し、また、ネジ部19からネジキャップ22を取り外し、ネジ穴の奥に形成された樹脂の壁を後加工で穴をあけた。このようにして、外装部が金属で内装部に合成樹脂層23が形成された脚3(通水部材)を得ることができた(図11)。
【0047】
上述したように合成樹脂を通水部材の内部に射出して引き続き、ガスを注入し、このガスで保圧することにより、合成樹脂と金属との密着性を確保し、通水部を形成する。そのため、通水部材が、直管以外の屈曲・湾曲したどのような形状をしていてもその内部に合成樹脂の通水部を形成させることができるのである。
【0048】
これらの工程を経て作製された通水部材は、通水部である内装部が合成樹脂で形成されているため、長期間の使用に対しても吐水管の劣化する恐れが金属製の吐水管に比べて少ない。
また、通水部に熱湯が流れた場合においても、内部の樹脂層の熱伝導率が低いため、通水部材の表面温度が上がりにくい。
そのため、従来の吐水管に比べて吐水管を左右に動かす等の操作を熱い思いをせずに容易に行うことができる。
【0049】
なお、意匠性をもたせるために外観表面にめっきを施してもよい。
本発明の通水部材においては、外装部を金属としてその表面にめっきを施し外観性を向上させることができる。しかも、前述したような外装部が合成樹脂、内装部が金属で形成された通水部材と比較すると、本発明の通水部材は内装部を合成樹脂にて形成しているので、熱湯等の高温流体が断続的に長期間流れたとしても外装部まで温度が伝わり難く、さらには、外装部が合成樹脂である場合はめっき層と合成樹脂層の線膨張係数の差が大きいが、めっき層と金属層の線膨張係数の差は比較的小さいため、本発明のように外装部が金属で形成されると、めっきが剥がれにくく長期に亘り高品質の外観性を維持することができる。また、めっきを施すことで、金属管の劣化を防ぐことができる。
【0050】
(実施例2)
次に、特に外装部の外観形状の寸法誤差が大きい場合(図5に示す引き出し式水栓の吐水管など)の製造工程を図12に基づき説明する。
まず、あらかじめ成形された外装部(たとえばU字形状をした吐水管25)を金型Aにインサートする。
この金型Aには、インサートされる外装部の外径が5mm程度大きい凹部を形成しておく。
このように吐水管よりも若干大きい凹部を形成する理由は、特に通水部が直線状ではなく、屈曲もしくは湾曲させた吐水管の外観形状の寸法精度を出すことは難しいため、インサートされる吐水管に寸法誤差があったとしても金型内にインサートできるようにするためである。
そして、この金型の凹部に吐水管をインサートさせて、位置を調節できる複数の爪部24を用いて吐水管24を凹部内に保持させる。
また、この爪部には、約2mmの厚みのゴムを設けておく。
このようにゴムを爪部に設ける理由は、吐水管を爪部により保持したときに、キズもしくはカケ等の発生を防止するためである。さらには、吐水管内に射出成形にて合成樹脂を送り込んだとき、吐水管内部に存在する余剰樹脂を押し出すためにガスを注入して吐水管に発生する応力により保持している爪部に余計な力が加わりキズもしくはカケ等が発生するのを防止するためである。
そして、吐水管の他端部に副キャビティ27を設けておく。これは、ガスの吹き込みにより押し出される余剰の合成樹脂をこの副キャビティ27にて受け入れるためである。そして、この副キャビティ27は、吐水管の吐水口に接続され、溶融樹脂が、金型Aとインサートされた金属管の隙間に流出しないようにしている。(図12)
【0051】
上述した金型A、副キャビティ27を用いて、吐水口を有するヘッドが取り付けられた屈曲自在のフレキシブルホースが水栓本体及び吐水管を通して引き出し可能にキャビネットに収納される引き出し式水栓に対して中空射出成形を行った。
ここでは、射出する合成樹脂としてはポリアミドを用いた。ポリアミドを使用する理由としては、フレキシブルホースが通る通路を形成しなければならないので、摺動特性に優れるこの材料を採用した。
まず、金型内に、副キャビティ27を吐水口に取り付けた吐水管25を金型Aにインサートし上述した爪部24を用いて固定した後、金型Aの型締を行った。
その後、吐水管下端部から吐水管25の中に溶融状態のポリアミドを射出成形機の射出シリンダCから射出した。
射出が終了してから、同じく吐水管下端部から窒素ガスを径が1mmのノズルから15秒間で
50kgf/cm2の圧力になるように徐々に吹き込み、10秒間保圧した後に10秒かけてガス圧を開放した。
その後、型を開き、ポリアミドが内部に被覆された吐水管を副キャビティと一緒に取り出し、副キャビティを吐水口からはずして、ガス圧により副キャビティ側に押し出された余剰樹脂(ポリアミド)と吐水口部分のポリアミドをカットした。
さらに、射出ゲート部分となった吐水管下端部に通水路となる径の穴を後加工することで、外装部が金属で内装部に合成樹脂の層が形成された吐水管(通水部材)を得ることができた。
【0052】
なお、意匠性をもたせるために外観表面にめっきを施してもよい。
本発明の通水部材においては、外装部を金属としてその表面にめっきを施し外観性を向上させることができる。しかも、前述したような外装部が合成樹脂、内装部が金属で形成された通水部材と比較すると、本発明の通水部材は内装部を合成樹脂にて形成しているので、熱湯等の高温流体が断続的に長期間流れたとしても外装部まで温度が伝わり難く、さらには、外装部が合成樹脂である場合はめっき層と合成樹脂層の線膨張係数が大きいが、本発明のように外装部が金属で形成されると、めっき層と金属層の線膨張係数の差は比較的小さくなるため、めっきが剥がれにくく長期に亘り高品質の外観性を維持することができる。また、めっきを施すことで、金属管の劣化を防ぐことができる。
【0053】
(実施例3)
中空射出成形において、余剰樹脂を押し出すために用いられる流体を水とした製造工程について説明する。
実施例2において用いた外装部と樹脂としてはポリアセタールを用いて、図12に基づき説明する。
まず、あらかじめ成形された外装部(U字形状をした吐水管24)を金型にインサートする。
この金型には、インサートされる外装部の外径より5mm程度大きい凹部を形成しておく。
そして、この金型の凹部に吐水管をインサートさせて、位置を調節できる複数の爪部23を用いて吐水管24を凹部内に保持させる。
また、この爪部には、約2mmの厚みのゴムを設けておく。
そして、吐水管の他端部に副キャビティ27を設けておく。これは、水により押し出される余剰の合成樹脂をこの副キャビティ27にて受け入れるためである。そして、この副キャビティ27は、吐水管の吐水口に接続され、溶融樹脂が、金型Aとインサートされた金属管25との隙間に流出しないようにしている。(図12)
【0054】
上述した金型、副キャビティ27を用いて、吐水口を有するヘッドが取り付けられた屈曲自在のフレキシブルホースが水栓本体及び吐水管を通して引き出し可能にキャビネットに収納される引き出し式水栓に対して中空射出成形を行った。ここでは、射出する合成樹脂としてはポリアセタールを用いた。ポリアセタールを使用する理由としてはフレキシブルホースが通る通路を形成しなければならないので、摺動特性に優れるこの材料を採用した。
まず、金型内に、副キャビティ27を吐水口に取り付けた吐水管25をインサートし上述した爪部24を用いて固定した後、金型の型締を行った。
その後、吐水管下端部から吐水管25の中に溶融状態のポリアセタールを射出成形機の射出シリンダCから射出した。
射出が終了してから、同じく吐水管下端部から70℃に設定した温水を径が1mmのノズルから10秒間で120kgf/cm2の圧力になるように徐々に吹き込み、5秒間保圧した後に5秒かけて水圧を開放した。
その後、型を開き、ポリアセタールが内部に被覆された吐水管を副キャビティと一緒に取り出し、副キャビティを吐水口からはずして、ガス圧により副キャビティ側に押し出された余剰樹脂(ポリアセタール)と吐水口部分のポリアセタールをカットした。
さらに、射出ゲート部分となった吐水管下端部に通水路となる径の穴を後加工することで、外装部が金属で内装部に合成樹脂の層が形成された吐水管(通水部材)を得ることができた。
この時、余剰樹脂を押し出す流体を水にすることで、窒素ガス等の気体に比べて、樹脂層を冷却する効果が大きくなるため成形サイクルを短くすることができた。
【0055】
なお、意匠性をもたせるために外観表面にめっきを施してもよい。
【0056】
本発明における通水部材とは水や湯だけでなく、他の液体や気体を通すことも含み、例えばガソリンなどの油、水栓の手洗いに用いられる水石けん、酸やアルカリの薬剤を通す部材を指す。
【0057】
上記のような油を通す通水部材の内装部には耐油性の優れたポリアミド、水石けんを通す通水部材の内装部には耐薬品性の優れたポリプロピレン、酸やアルカリの薬剤を通す通水部材の内装部には耐酸、耐アルカリ性に優れたPPSが好適に用いられる。
【0058】
また、本発明の通水部材は断熱効果を発揮するため、熱湯を通水したときに外装部の表面温度が上がりにくく通水部材を素手でも扱いやすいというだけでなく、結露を防止することができる。つまり、通水部材内部を通る流体の温度が低く、通水部材の設置されている場所の外気温が高かったとしても、熱伝導率の低い樹脂製の内装部が間に介在するため、通水部材の外装部表面と外気温との温度差が大きくならないため、結露が発生しにくい。よって、本発明は洗面スペースの排水管などにも好適に用いることができるのである。
【0059】
【発明の効果】
以上により、断熱性に優れ熱湯を通水しても表面温度が高温にならず、長時間にわたる使用においても錆や腐食が発生せず、さらには、流体の入口と出口があればどのような形状にも応用可能である通水部材の製造方法および通水部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外装部形状の実施態様を示すストレート管とシングルアール管の断面図を示す。
【図2】本発明の外装部形状の実施態様を示すグースネック形状の管と波形の管、蛇腹管の概略図を示す。
【図3】本発明の実施形態を示す湯水混合栓の示す外観図を示す。
【図4】本発明の実施形態を示す引き出し式水栓の一部切り欠け断面図を示す。
【図5】本発明の実施形態を示すグースネック形状の引き出し式水栓の一部切り欠き断面図を示す。
【図6】本発明の実施形態を示す吐水管の外観図を示す。
【図7】本発明の製造方法を示す成形終了時の通水部材と金型との概略図を示す。
【図8】本発明の製造方法の樹脂被覆前の通水部材の断面図を示す。
【図9】本発明の製造方法の樹脂被覆前の樹脂注入直前の通水部材の断面図を示す。
【図10】本発明の製造方法の樹脂被覆直後の通水部材の断面図を示す。
【図11】本発明の製造方法の樹脂被覆後の通水部材の断面図を示す。
【図12】本発明の製造方法の他の形態を示す成形終了時の通水部材と金型との示す概略図を示す。
【符号の説明】
1,吐水管
2,給水器具本体
3,脚
4,引き出し可能なシャワーヘッド
5,外装部(金属管)
6,フレキシブルホース
7,外装部の内側に形成した樹脂層
8,引き出し可能な吐水口
9,頂点部分(ホースと外装部の接触部分)
10,外装部(金属管)
11,外装部の内側に形成した樹脂層
12,フレキシブルホース
13,開口端部
14,弾性部材
15,吐水管
16,樹脂層
17,副キャビティ
18,給水本体接続部分
19,ネジ部
20,給水管接続部分
21,副キャビティ
22,ネジキャップ
23,樹脂層
24,爪部(外装部を保持)
25,吐水管
26,爪部(副キャビティを保持)
27,副キャビティ
A,金型
B,ノズル
C,ガス射出シリンダ

Claims (10)

  1. 外装部が金属で構成され、その外装部の内側に内装部を設けた通水部材であって、
    前記内装部は、中空射出成形により合成樹脂を外装部の内側に被覆して通水部が形成されることを特徴とする通水部材。
  2. 前記合成樹脂には、無機物質を5〜50重量(%)含んでいることを特徴とする請求項1に記載の通水部材。
  3. 前記外装部には、めっきを施していることを特徴とする請求項1または2に記載の通水部材。
  4. 前記通水部材を水栓本体に接続してなり、かつ、この通水部材の通水部にフレキシブルホースを挿入してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の通水部材を用いた水栓。
  5. 前記通水部材は、グースネック形状に湾曲していることを特徴とする請求項4に記載の水栓。
  6. 金属により構成されかつ連通された開口を有する外装部を金型内にインサートし、さらにこの外装部の一方の開口から合成樹脂を注入し、さらに加圧した流体を圧入して副キャビティに余剰の合成樹脂を押し出すことで合成樹脂を外装部の内側に被覆して通水部が形成することを特徴とする通水部材の製造方法。
  7. 前記金型内に外装部をインサートする凹部を外装部の外観形状よりも大きく形成するとともに、金型表面に弾性部材を敷設することによりインサートする外装部と金型の隙間をなくしたことを特徴とする請求項6に記載の通水部材の製造方法。
  8. 前記金型内に外装部をインサートする凹部を外装部の外観形状よりも大きく形成するとともに、その近傍に爪部を形成して、この爪部にて外装部を保持することを特徴とする請求項6に記載の通水部材の製造方法。
  9. 前記爪部には弾性部材を設けておき、この弾性部材を介在させて外装部を爪部にて保持することを特徴とする請求項6または8記載の通水部材の製造方法。
  10. 前記流体が水であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の通水部材の製造方法。
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