JP2004137741A - 緑化を特徴としたダブルルーフ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性が高められ、凹部における空気層の換気調節が可能であり、建物の熱環境負荷低減効果が充分に得られる緑化ダブルルーフを提供する。
【解決手段】折板屋根20は凸部20bと凹部20aとを有し、凹部20aに空気と水が流れ得る筒状の空間20cが保持されるように、折板屋根の凸部20bの上に薄肉マット状の無土壌培地10が固定され、凹部20aの上下端開口に開閉自在な蓋16が設けられ、凹部20aには給水管28aが配設され、無土壌培地10の所定箇所には開閉蓋13を有する換気開口18が形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】折板屋根20は凸部20bと凹部20aとを有し、凹部20aに空気と水が流れ得る筒状の空間20cが保持されるように、折板屋根の凸部20bの上に薄肉マット状の無土壌培地10が固定され、凹部20aの上下端開口に開閉自在な蓋16が設けられ、凹部20aには給水管28aが配設され、無土壌培地10の所定箇所には開閉蓋13を有する換気開口18が形成されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は折板屋根及び波形スレート屋根等の凹凸を有する屋根における緑化を特徴としたダブルルーフに関する。
【0002】
【従来の技術】
折板屋根の上を緑化することに関しては、従来から様々な提案がなされている。例えば、特開2000−166375号公報(特許文献1)には、折板屋根の凹部を栽培容器として、この凹部内に植生マットをセットし、この植生マットの上にメッシュ板を載置し、このメッシュ板をフレーム材で押さえて固定する折板屋根緑化構造が記載されている。特許文献1の図7には、保水性を有する植生マット本体部の下部に排水層部を有する植生マットが記載されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載された緑化構造では、折板屋根の凹部に植生マットを直接セットしているため、たとえ、植生マットに排水層部が形成されたとしても充分な排水効果が得られなかったり、植生マットが受ける外気の影響を折板屋根が直接受けやすく、建物内の熱環境負荷が得られないこともある。また植生マットや根により折板屋根材料の耐久性が低下するという課題もある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−166375号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような技術を背景としてなされたものであり、その課題は、耐久性が高められ、凹部における空気層の換気調節が可能であり、建物の熱環境負荷低減効果が充分に得られる、緑化を特徴としたダブルルーフを提供することにある。
【0006】
また本発明の別の課題は、無土壌培地への給水が可能な、緑化を特徴としたダブルルーフを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、折板屋根及び波形スレート屋根等の凹凸を有する屋根の緑化システムであって、前記凹部に空気と水が流れ得る隙間を保持して屋根の上に薄肉マット状の無土壌培地を固定し、前記凹部の上下端開口に開閉自在な蓋を設けたことを特徴とする緑化ダブルルーフが提供される。
この緑化ダブルルーフでは、折板の凸部上に薄肉マット状無土壌培地が載せられて折板の凹部が覆われるので、折板の凹部は傾斜方向に延びる筒状の空気層として形成され、例えば、外気温が比較的高い場合、凹部の上下端開口の蓋を開いた状態にすれば、この筒状の空気層内の空気は自然換気により空気の循環が生じ、換気冷却が発生する。したがって、緑化により得られる蒸散作用、薄肉マット状無土壌培地と空気層による断熱効果、空気層における空気循環による換気冷却効果が得られ、これら効果の相互作用により、屋根から侵入する熱が効率良く抑制され、さらには屋根の表面温度を低下させることにより屋根裏面の熱を奪うことにより、建物内部における空調負荷の低減が促進される。
一方、外気温が比較的低い場合、凹部の上下端開口の蓋を閉じた状態にすれば、循環しない空気層となり、外気の影響を受け難くすることができて、建物内部における暖房の空調負荷は低減される。
【0008】
ここで、前記無土壌培地としては、土壌に比べて軽量且つ薄い層でありながら植物を育成可能な水分の保持性能を有し、根の成長を妨げない柔かさと通気性を備えたものを使用することが好ましく、例えば、ヤシ殻などの繊維材から成る薄肉マットが使用できる。また薄肉マット状無土壌培地は、折板の凹部内に入ることが無いように、折板の凸部上に載置することが好ましく、これにより、凹部の空気と水が流れ得る隙間を比較的大きく確保することが可能になる。
前記折板の凸部上には、例えばステンレス細線からなる格子状の網材とポリエチレン製の多孔質の防根シートを敷設し、この防根シートの上に薄肉マット状無土壌培地を載置することが好ましく、これにより、折板の凹部へ植物の根が入ってくることを抑制することが可能になる。
前記薄肉マット状無土壌培地の上には、これを押えることができる押え部材を設けることが好ましい。この押え部材は無土壌培地の脱落を防止できるものであれば良く、例えば、ステンレスなどの金属、セラミックまたは合成樹脂などからなる細線が網状に形成されたものを用いることができて、その網目は無土壌培地に根づいた植物の成長を妨げない大きさにする。以上の網状細線に加えて、前記押え部材は、棒状材料から組み立てたものを使用しても良い。
【0009】
また本発明では、前記薄肉マット状の無土壌培地に水を供給するための配管を前記凹部に延設することが好ましい。なお、前記凹部に配設された各配管は給水源に接続されており、給水源からの水はポンプにより圧送されるように構成されている。給水のための配管が凹部に配設されることにより、無土壌培地の植物の生育状況、気温、日射などの条件に応じた給水管理が容易に行えるという利点が得られる。
【0010】
さらに、前記凹部の上下端部の中間に無土壌培地の上方に抜ける換気開口を設け、該換気開口に開閉自在な蓋を設けることが好ましい。この換気開口は、建物内部で冷房が行われる夏期や春、秋のような中間期に開放され、このとき、自然通風により換気作用が起こり、その際に、凹部を介して排水される水の蒸発作用により建物内部の熱が奪われるという利点がある。
一方、暖房が行われる冬期には、換気開口は閉鎖され、凹部は密閉に近い状態となり、外気の影響を和らげる空気層のように作用し、建物内部の熱が折板屋根から放出されるのを低減する効果が得られる。
【0011】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の緑化ダブルルーフの断面図であり、図2は図1をほぼ直交する方向から切断して見た断面図である。
図1及び図2において、折板屋根20は、傾斜方向に延びるように山形状に形成された凸部20aと、傾斜方向に延びるように谷形状に形成された凹部20bとを有し、折板屋根の凸部20aの上に薄肉マット状の無土壌培地10が固定されることで、凹部20bには空気と水が流れ得る筒状の空間20cが形成され、無土壌培地10の上には芝生などの植物5が植生されている。また凹部20bの下端開口20c’には開閉自在な蓋16が設けられ、図示はされていないが凹部20bの上端開口にも開閉可能な蓋が同様に設けられている。
なお、上下端開口に設けられる蓋16は、閉鎖時に筒状空間20cに空気流が発生せず、かつ閉鎖時であっても傾斜方向に筒状空間20cを流下する水が下端から流出できる程度に形成されたものであれば良い。
【0013】
ここで、折板屋根20の所定箇所には、凸部20a上に架け渡されるようにフラットバー26が複数配置される。このフラットバー26には、折板屋根20の凹部20bに嵌るような形状の固定部材24が一体に設けられ、この固定部材24の嵌合により位置ずれが防止される。フラットバー26には、ボルト13cを通すための貫通孔が穿設されている。フラットバー26は、固定部材24に接着されたゴム状のすべり止めに必要に応じてコーキング材などを用いて、折板屋根20上に固定される。
【0014】
上記フラットバー26の上には、ステンレス棒からなる格子状の網材23と、凹部20bの筒状空間20cへ植物の根が入ってくることを抑制するための防根シート22とが敷設され、格子状の網材23がフラットバー26にステンレスなどからなる細線で締結される。ここで、防根シート22としては、例えば、適度の水分や空気を透過するように形成されたポリエチレン製の多孔質シートを使用することができる。
【0015】
所定の筒状空間20cには給水手段28として配管28aが延設され、各配管28aから分岐管28bが延長して先端にノズル28cが接続され、各ノズル28cは無土壌培地10に水を給水できるように無土壌培地10内に配置される。また図示はされていないが、各配管28aは雨水の貯留タンクなども含めた給水源に接続され、給水源からの水がポンプにより圧送されるように構成されている。
【0016】
前記無土壌培地10としては、ヤシ殻などの繊維材から形成された薄肉マット、例えば、縦×横×厚さが400×400×100mm程度に形成された薄肉マットを使用することが可能である。この無土壌培地10の複数が、防根シート22やフラットバー26上に敷設され、これらの無土壌培地10の上に飛散防止のための押え部材としてのビニール製ネット11が張られ、ボルト13cの上端に押え板13bを通してナット13aを螺合させることにより、ビニール製ネット11と共に押え板13bで無土壌培地10が押えられて固定される。
複数の無土壌培地10を敷設する際には、所定箇所で敷設間隔を開けることにより換気開口18が形成されるようにする。各換気開口18には、必要に応じて開閉できるように形成された蓋17が設けられる。
【0017】
なお、上下端開口に設けられる蓋16は、閉鎖時に筒状空間20cに空気流が発生せず、かつ閉鎖時であっても傾斜方向に筒状空間20cを流下する水が下端から流出できる程度に形成されたものであれば良い。
また既存の折板屋根を緑化ダブルルーフにする場合には、屋根表面の劣化や建物内部への漏水に配慮し、必要に応じて、折板屋根上にウレタン系塗膜などの防水材を施しても良い。
【0018】
次に、本発明の緑化ダブルルーフの作用について説明する。
気温が比較的高い場合、筒状空間20cの上下端に設けられた蓋16は開放状態にされる。これにより、筒状空間20c内には自然通風により換気作用が起こり、さらに、凹部へと排水された水が自然通風により蒸発するときの冷却効果で建物内部の熱が奪われるという利点がある。
また雨量が所定以下の場合には、ポンプを稼動させて水を圧送することにより配管28a、分岐管28b、ノズル28cを介して無土壌培地10まで水が送られて植物5に給水される。このとき、外気温が高い場合には、この給水により無土壌培地10から外気に水分が蒸発し、蒸発により熱が奪われて筒状空間20c、さらには建物内部への冷却効果が期待できる。逆に、雨量が多量であったり、あるいは、配管28aを介した給水が無土壌培地10の保水限度を越えた場合には、水は筒状空間20を落下して凹部20bを傾斜に沿って流れ下り、筒状空間20cの下端開口20c’から外部に流出するため、無土壌培地10に保持される水は適量に維持される。
一方、気温が比較的低い場合、筒状空間20cの上下端に設けられた蓋16は閉鎖状態にされる。蓋16が閉鎖された状態では、筒状空間20cは密閉に近い状態となり、外気の影響を和らげる空気層のように作用し、建物内部の熱が折板屋根から放出されるのを低減する効果が得られる。したがって、建物内部における暖房時の空調負荷は低減される。また筒状空間20cの熱が無土壌培地10に作用すると植物5の生育が促進されるという効果も得られる。
ここで、無土壌培地10間に配置された換気開口18は、筒状空間20cが長く、自然の通風が低減するような場合に、適度に設置されて開放状態にされ、これにより、夏期には換気作用や蒸発作用により建物内部の熱を奪う効果がある。
逆に、換気開口18は、建物内部で暖房が行われるような場合に閉鎖され、凹部に密閉に近い状態の空気層が形成され、この空気層により建物内部の熱の放出を低減する。
【0019】
【発明の効果】
本発明の緑化ダブルルーフでは、折板の凸部上に薄肉マット状無土壌培地が載せられて折板の凹部が覆われ、折板の凹部は傾斜方向に延びる筒状の空気層として形成され、凹部の上下端開口に開閉自在な蓋が設けられているので、蓋を開閉することにより筒状空気層が建物内への熱負荷低減のために作用し、さらに筒状空気層を介して無土壌培地の排水、無土壌培地への給気も可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緑化ダブルルーフを屋根傾斜方向に切断して示した断面図である。
【図2】図1をほぼ直交する方向から切断して示した断面図である。
【符号の説明】
10 無土壌培地
13 開閉蓋
16 上下端開口の蓋
18 換気開口
20 折板屋根
20a 凹部
20b 凸部
20c 筒状空間
28a 給水管
【発明が属する技術分野】
本発明は折板屋根及び波形スレート屋根等の凹凸を有する屋根における緑化を特徴としたダブルルーフに関する。
【0002】
【従来の技術】
折板屋根の上を緑化することに関しては、従来から様々な提案がなされている。例えば、特開2000−166375号公報(特許文献1)には、折板屋根の凹部を栽培容器として、この凹部内に植生マットをセットし、この植生マットの上にメッシュ板を載置し、このメッシュ板をフレーム材で押さえて固定する折板屋根緑化構造が記載されている。特許文献1の図7には、保水性を有する植生マット本体部の下部に排水層部を有する植生マットが記載されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載された緑化構造では、折板屋根の凹部に植生マットを直接セットしているため、たとえ、植生マットに排水層部が形成されたとしても充分な排水効果が得られなかったり、植生マットが受ける外気の影響を折板屋根が直接受けやすく、建物内の熱環境負荷が得られないこともある。また植生マットや根により折板屋根材料の耐久性が低下するという課題もある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−166375号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような技術を背景としてなされたものであり、その課題は、耐久性が高められ、凹部における空気層の換気調節が可能であり、建物の熱環境負荷低減効果が充分に得られる、緑化を特徴としたダブルルーフを提供することにある。
【0006】
また本発明の別の課題は、無土壌培地への給水が可能な、緑化を特徴としたダブルルーフを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、折板屋根及び波形スレート屋根等の凹凸を有する屋根の緑化システムであって、前記凹部に空気と水が流れ得る隙間を保持して屋根の上に薄肉マット状の無土壌培地を固定し、前記凹部の上下端開口に開閉自在な蓋を設けたことを特徴とする緑化ダブルルーフが提供される。
この緑化ダブルルーフでは、折板の凸部上に薄肉マット状無土壌培地が載せられて折板の凹部が覆われるので、折板の凹部は傾斜方向に延びる筒状の空気層として形成され、例えば、外気温が比較的高い場合、凹部の上下端開口の蓋を開いた状態にすれば、この筒状の空気層内の空気は自然換気により空気の循環が生じ、換気冷却が発生する。したがって、緑化により得られる蒸散作用、薄肉マット状無土壌培地と空気層による断熱効果、空気層における空気循環による換気冷却効果が得られ、これら効果の相互作用により、屋根から侵入する熱が効率良く抑制され、さらには屋根の表面温度を低下させることにより屋根裏面の熱を奪うことにより、建物内部における空調負荷の低減が促進される。
一方、外気温が比較的低い場合、凹部の上下端開口の蓋を閉じた状態にすれば、循環しない空気層となり、外気の影響を受け難くすることができて、建物内部における暖房の空調負荷は低減される。
【0008】
ここで、前記無土壌培地としては、土壌に比べて軽量且つ薄い層でありながら植物を育成可能な水分の保持性能を有し、根の成長を妨げない柔かさと通気性を備えたものを使用することが好ましく、例えば、ヤシ殻などの繊維材から成る薄肉マットが使用できる。また薄肉マット状無土壌培地は、折板の凹部内に入ることが無いように、折板の凸部上に載置することが好ましく、これにより、凹部の空気と水が流れ得る隙間を比較的大きく確保することが可能になる。
前記折板の凸部上には、例えばステンレス細線からなる格子状の網材とポリエチレン製の多孔質の防根シートを敷設し、この防根シートの上に薄肉マット状無土壌培地を載置することが好ましく、これにより、折板の凹部へ植物の根が入ってくることを抑制することが可能になる。
前記薄肉マット状無土壌培地の上には、これを押えることができる押え部材を設けることが好ましい。この押え部材は無土壌培地の脱落を防止できるものであれば良く、例えば、ステンレスなどの金属、セラミックまたは合成樹脂などからなる細線が網状に形成されたものを用いることができて、その網目は無土壌培地に根づいた植物の成長を妨げない大きさにする。以上の網状細線に加えて、前記押え部材は、棒状材料から組み立てたものを使用しても良い。
【0009】
また本発明では、前記薄肉マット状の無土壌培地に水を供給するための配管を前記凹部に延設することが好ましい。なお、前記凹部に配設された各配管は給水源に接続されており、給水源からの水はポンプにより圧送されるように構成されている。給水のための配管が凹部に配設されることにより、無土壌培地の植物の生育状況、気温、日射などの条件に応じた給水管理が容易に行えるという利点が得られる。
【0010】
さらに、前記凹部の上下端部の中間に無土壌培地の上方に抜ける換気開口を設け、該換気開口に開閉自在な蓋を設けることが好ましい。この換気開口は、建物内部で冷房が行われる夏期や春、秋のような中間期に開放され、このとき、自然通風により換気作用が起こり、その際に、凹部を介して排水される水の蒸発作用により建物内部の熱が奪われるという利点がある。
一方、暖房が行われる冬期には、換気開口は閉鎖され、凹部は密閉に近い状態となり、外気の影響を和らげる空気層のように作用し、建物内部の熱が折板屋根から放出されるのを低減する効果が得られる。
【0011】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の緑化ダブルルーフの断面図であり、図2は図1をほぼ直交する方向から切断して見た断面図である。
図1及び図2において、折板屋根20は、傾斜方向に延びるように山形状に形成された凸部20aと、傾斜方向に延びるように谷形状に形成された凹部20bとを有し、折板屋根の凸部20aの上に薄肉マット状の無土壌培地10が固定されることで、凹部20bには空気と水が流れ得る筒状の空間20cが形成され、無土壌培地10の上には芝生などの植物5が植生されている。また凹部20bの下端開口20c’には開閉自在な蓋16が設けられ、図示はされていないが凹部20bの上端開口にも開閉可能な蓋が同様に設けられている。
なお、上下端開口に設けられる蓋16は、閉鎖時に筒状空間20cに空気流が発生せず、かつ閉鎖時であっても傾斜方向に筒状空間20cを流下する水が下端から流出できる程度に形成されたものであれば良い。
【0013】
ここで、折板屋根20の所定箇所には、凸部20a上に架け渡されるようにフラットバー26が複数配置される。このフラットバー26には、折板屋根20の凹部20bに嵌るような形状の固定部材24が一体に設けられ、この固定部材24の嵌合により位置ずれが防止される。フラットバー26には、ボルト13cを通すための貫通孔が穿設されている。フラットバー26は、固定部材24に接着されたゴム状のすべり止めに必要に応じてコーキング材などを用いて、折板屋根20上に固定される。
【0014】
上記フラットバー26の上には、ステンレス棒からなる格子状の網材23と、凹部20bの筒状空間20cへ植物の根が入ってくることを抑制するための防根シート22とが敷設され、格子状の網材23がフラットバー26にステンレスなどからなる細線で締結される。ここで、防根シート22としては、例えば、適度の水分や空気を透過するように形成されたポリエチレン製の多孔質シートを使用することができる。
【0015】
所定の筒状空間20cには給水手段28として配管28aが延設され、各配管28aから分岐管28bが延長して先端にノズル28cが接続され、各ノズル28cは無土壌培地10に水を給水できるように無土壌培地10内に配置される。また図示はされていないが、各配管28aは雨水の貯留タンクなども含めた給水源に接続され、給水源からの水がポンプにより圧送されるように構成されている。
【0016】
前記無土壌培地10としては、ヤシ殻などの繊維材から形成された薄肉マット、例えば、縦×横×厚さが400×400×100mm程度に形成された薄肉マットを使用することが可能である。この無土壌培地10の複数が、防根シート22やフラットバー26上に敷設され、これらの無土壌培地10の上に飛散防止のための押え部材としてのビニール製ネット11が張られ、ボルト13cの上端に押え板13bを通してナット13aを螺合させることにより、ビニール製ネット11と共に押え板13bで無土壌培地10が押えられて固定される。
複数の無土壌培地10を敷設する際には、所定箇所で敷設間隔を開けることにより換気開口18が形成されるようにする。各換気開口18には、必要に応じて開閉できるように形成された蓋17が設けられる。
【0017】
なお、上下端開口に設けられる蓋16は、閉鎖時に筒状空間20cに空気流が発生せず、かつ閉鎖時であっても傾斜方向に筒状空間20cを流下する水が下端から流出できる程度に形成されたものであれば良い。
また既存の折板屋根を緑化ダブルルーフにする場合には、屋根表面の劣化や建物内部への漏水に配慮し、必要に応じて、折板屋根上にウレタン系塗膜などの防水材を施しても良い。
【0018】
次に、本発明の緑化ダブルルーフの作用について説明する。
気温が比較的高い場合、筒状空間20cの上下端に設けられた蓋16は開放状態にされる。これにより、筒状空間20c内には自然通風により換気作用が起こり、さらに、凹部へと排水された水が自然通風により蒸発するときの冷却効果で建物内部の熱が奪われるという利点がある。
また雨量が所定以下の場合には、ポンプを稼動させて水を圧送することにより配管28a、分岐管28b、ノズル28cを介して無土壌培地10まで水が送られて植物5に給水される。このとき、外気温が高い場合には、この給水により無土壌培地10から外気に水分が蒸発し、蒸発により熱が奪われて筒状空間20c、さらには建物内部への冷却効果が期待できる。逆に、雨量が多量であったり、あるいは、配管28aを介した給水が無土壌培地10の保水限度を越えた場合には、水は筒状空間20を落下して凹部20bを傾斜に沿って流れ下り、筒状空間20cの下端開口20c’から外部に流出するため、無土壌培地10に保持される水は適量に維持される。
一方、気温が比較的低い場合、筒状空間20cの上下端に設けられた蓋16は閉鎖状態にされる。蓋16が閉鎖された状態では、筒状空間20cは密閉に近い状態となり、外気の影響を和らげる空気層のように作用し、建物内部の熱が折板屋根から放出されるのを低減する効果が得られる。したがって、建物内部における暖房時の空調負荷は低減される。また筒状空間20cの熱が無土壌培地10に作用すると植物5の生育が促進されるという効果も得られる。
ここで、無土壌培地10間に配置された換気開口18は、筒状空間20cが長く、自然の通風が低減するような場合に、適度に設置されて開放状態にされ、これにより、夏期には換気作用や蒸発作用により建物内部の熱を奪う効果がある。
逆に、換気開口18は、建物内部で暖房が行われるような場合に閉鎖され、凹部に密閉に近い状態の空気層が形成され、この空気層により建物内部の熱の放出を低減する。
【0019】
【発明の効果】
本発明の緑化ダブルルーフでは、折板の凸部上に薄肉マット状無土壌培地が載せられて折板の凹部が覆われ、折板の凹部は傾斜方向に延びる筒状の空気層として形成され、凹部の上下端開口に開閉自在な蓋が設けられているので、蓋を開閉することにより筒状空気層が建物内への熱負荷低減のために作用し、さらに筒状空気層を介して無土壌培地の排水、無土壌培地への給気も可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緑化ダブルルーフを屋根傾斜方向に切断して示した断面図である。
【図2】図1をほぼ直交する方向から切断して示した断面図である。
【符号の説明】
10 無土壌培地
13 開閉蓋
16 上下端開口の蓋
18 換気開口
20 折板屋根
20a 凹部
20b 凸部
20c 筒状空間
28a 給水管
Claims (3)
- 折板屋根及び波形スレート屋根等の凹凸を有する屋根の緑化システムであって、前記凹部に空気と水が流れ得る隙間を保持して屋根の上に薄肉マット状の無土壌培地を固定し、前記凹部の上下端開口に開閉自在な蓋を設けたことを特徴とする緑化ダブルルーフ。
- 前記薄肉マット状の無土壌培地に水を供給するための配管を前記凹部に延設したことを特徴とする請求項1記載の緑化ダブルルーフ。
- 前記凹部の上下端部の中間に前記無土壌培地の上方に抜ける換気開口を設け、該換気開口に開閉自在な蓋を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の緑化ダブルルーフ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002302776A JP2004137741A (ja) | 2002-10-17 | 2002-10-17 | 緑化を特徴としたダブルルーフ |
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JP2002302776A JP2004137741A (ja) | 2002-10-17 | 2002-10-17 | 緑化を特徴としたダブルルーフ |
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JP2004137741A true JP2004137741A (ja) | 2004-05-13 |
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ID=32450746
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JP (1) | JP2004137741A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006025768A (ja) * | 2004-07-21 | 2006-02-02 | Okumura Corp | 折板屋根緑化システム |
JP2009171884A (ja) * | 2008-01-23 | 2009-08-06 | Toho Leo Co | 屋上緑化の施工システム |
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2002
- 2002-10-17 JP JP2002302776A patent/JP2004137741A/ja active Pending
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JP2006025768A (ja) * | 2004-07-21 | 2006-02-02 | Okumura Corp | 折板屋根緑化システム |
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