JP3837377B2 - 緑化可能な傾斜屋根 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芝生などの植物を植栽できるようにした緑化可能な傾斜屋根に関する。更に詳細には、傾斜屋根面上に、植生基盤を載置するための植生パレットまたは基板を、傾斜屋根面と植生パレットまたは基板の間に空間が生じるように載置し、植生パレットまたは基板上に植生基盤を載置してなる緑化可能な傾斜屋根であって、屋根面の遮熱、断熱効果が改善された緑化可能な傾斜屋根、更には、植生基盤上に植栽される植物への灌水が改善された緑化可能な傾斜屋根に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビルの屋上などの平坦な屋根面を緑化するために、屋上に植生基盤を造成し、この植生基盤に、例えば切芝やロール芝などの植物を植栽して、目に安らぎを与え、更には遮熱、断熱効果を図ることが行われている。
更に、一般住宅などの傾斜屋根の緑化も行われており、例えば、傾斜屋根を緑化するために屋根下地に防水シートを敷設し、排水用長尺板等を設けた勾配屋根の植栽施工体が提案されている(特許文献1)。また、山部と谷部を有する勾配屋根に、低背な板状の緑化ユニットを勾配屋根上に隣接して並べ、緑化ユニット上に植物を植栽した勾配屋根の緑化ユニットも提案さている(特許文献2)。更には、傾斜屋根上に係り止め部を有する基板を設置し、基板上に植物生育用マットを固定した緑化可能な屋根も提案されている(特許文献3)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−13713号公報
【特許文献2】
特開2000−324953号公報
【特許文献3】
特開2001−78561号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の傾斜屋根の緑化方法は、屋根の遮熱、断熱効果などが依然として十分ではなく、また植栽した植物への灌水も屋根全体に植栽された植物へ均一に水を供給する点で依然として改良の余地のあるものである。
従って、本発明の課題は、傾斜屋根の遮熱、断熱効果が改善され、また、灌水も改善された緑化可能な傾斜屋根を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、傾斜屋根面上に、傾斜方向と直交する横方向に、桟木を多段式に載置し;植生基盤を載置するための植生パレットまたは基板を、傾斜屋根面と植生パレットまたは基板との間に空間が生じるように、多段式に設置された桟木上に設置して、傾斜屋根を覆い;次いで、植生パレットまたは基板上に植生基盤を載置してなる緑化可能な傾斜屋根に関する。
本発明では、植生基盤止め用立ち上がり部を端部に沿って有する植生パレットを、植生基盤止め用立ち上がり部が傾斜方向の下側に来るように、多段式に設置された桟木上に載置して傾斜屋根を覆った、あるいは植生基盤止め用係り止め部を有する基板を、植生基盤止め用係り止め部が傾斜方向と直交する横方向になるように、多段式に載置された桟木上に傾斜方向に沿って多段式に載置して、傾斜屋根を覆った緑化可能な傾斜屋根が好ましい。
また、本発明では、傾斜屋根最上部から植生パレットと植生パレット上に載置された植生基盤の間または基板と基板上に載置された植生基盤の間を水が流下するように、傾斜屋根最上部に潅水装置を設け、傾斜屋根最上部から流下する水が傾斜屋根上側に載置された植生パレットの植生基盤止め用立ち上がり部または基板の植生基盤止め用係り止め部によって堰き止められて飽和し、飽和した水が植生パレットの植生基盤止め用立ち上がり部または基板の植生基盤止め用係り止め部を乗り越えて、その下側に載置された植生基盤に水が更に流下するように構築された、緑化可能な傾斜屋根が好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。図1は、植生パレットを用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の説明的外観図である。図2、図3、図4および図5は、植生パレットを用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の側面断面図である。図6は、基板を用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の側面断面図である。1は屋根の野地板、2は防水シート、3は防水シートを止め抑えるするためのルーフテープ、4は桟木、5は植生を載置するための植生パレット、6は植生を栽培するための植生基盤、7は植生である。
野地板1、防水シート2、ルーフテープ3、桟木4は、傾斜屋根面上に、順に積層載置し、桟木をステンレス釘8などの防錆性、止水性を施した金具により数ヶ所固定する。桟木は、図1に示すように、傾斜屋根面上に、屋根の傾斜方向と直交する横方向に、多段式に載置する。桟木4は、通常、横方向に連続させて設置し、屋根の傾斜方向では、200mm〜1000mm、好ましくは400mm〜600mmの間隔を持って多段式に載置する。
【0007】
植生パレット5は、図2、図3および図5に示すように、植生基盤止め用立ち上がり部9を端部に沿って有する。更に、植生パレットは、植生基盤止め用立ち上がり部9を有する端部の他方の端部に沿って、植生パレットを桟木上に載置するための係り止め部10を有するのが好ましい。植生パレットは、通常、ステンレス板、鉄板、亜鉛鉄板、アルミニウム板、銅板等の金属板、木材や木材加工品、合成板等からなる木質板、各種セメント板、スレート板等の板状体などを材料としてなるものが用いられる。植生パレットは、例えば、その係り止め部を、傾斜屋根の上側に来るようにして、植生パレットの端部を桟木4に引掛け止めする。この時、植生基盤止め用立ち上がり部9は、傾斜屋根の傾斜方向の下側に来る。植生パレットの上側部の数ヶ所をステンレス釘8などの防錆性、止水性を施した金具により桟木に数ヶ所固定することができる。このようにして、植生パレットを桟木上に載置することにより、図2、図3、図4および図5に示すように、傾斜屋根面上と載置された植生パレットとの間に空間11が設けられるようになる。
【0008】
また、本発明では、植生パレットの代わりに、図6に示すように植生基盤止め用係り止め部14を有する基板13を用いることもできる。植生基盤止め用係り止め部14は、基板に一体となって成形され構成されてた凸部でもよく、また基板上に別体に構成した凸部もしくはL字型部であってもよい。別体に構成した凸部もしくはL字型部は、レール状に成形したものを、基板にリベットなどで止めかあるいは溶接などにより取り付ければよい。このような係り止め部は、傾斜屋根面上の桟木に基板を載置後に、取り付けてもよく、また載置前に取り付けてもよい。基板は、植生パレットと同様に、通常、ステンレス板、鉄板、亜鉛鉄板、アルミニウム板、銅板等の金属板、木材や木材加工品、合成板等からなる木質板、各種セメント板、スレート板等の板状体などを材料としてなるものが用いられる。
基板は、多段式に載置された桟木上に、屋根面上と基板との間に空間11が生じるように、且つ植生基盤止め用係り止め部が屋根傾斜方向と直交する横方向になるように、屋根傾斜方向に沿って多段式に載置するのが好ましい。基板は、ステンレス釘などによって桟木に止めればよい。基板は、傾斜屋根と直交する横方向に並列して、複数個を載置してもよく、また、横方向を一枚の基板で傾斜屋根を覆ってもよい。
【0009】
以上のようにして、本発明では傾斜屋根面と植生パレットまたは基板との間に空間が設けられ、この空間11により、屋根面の空気流通が促進され、本発明の緑化可能な傾斜屋根は、遮熱、断熱効果が従来のものに比べて著しく改善されたものとなる。この空間11からなる通気層間隔は、通常、20mm〜100mm、好ましくは40mm〜80mmである時に、遮熱、断熱が有効に達成される。この空間11には、必要に応じて、凹凸を有する平板上のスペーサー12を設置してもよい。このようなスペーサーとしては、金属製、樹脂製などの耐久性のある材質からなるものであればいずれでもよく、例えば、トタン、ポリカーボネートの波板、高密度ポリエチレンの圧縮成形品、ポリプロピレン、ポリエチレン等の繊維を面状に固めたシート材などの材料からなるものが挙げられる。
【0010】
上記したように、基板は、傾斜屋根と直交する横方向に並列して、複数個を載置してもよく、また、横方向を一枚の基板で傾斜屋根を覆ってもよい。同様に、植生パレット5も、傾斜屋根と直交する横方向においては、図1に示すように、屋根の横方向に連続または所定長さに分割して並列に載置することができる連続して載置する場合、例えば金属板を、ローリングフォーミングマシンなどの押出し成形機械を用い、対象とする屋根長さに合わせて、横方向の長さを屋根の横方向の長さに合わせて、植生パレットまたは基板の成形を行う。このことによって、工場による生産ばかりでなく、実際の現場での加工が可能になる。
分割して並列に設置する場合、あらかじめ所定の寸法に分割されて作成された植生パレットまたは基板の両端部は、互いの植生パレットまたは基板と所定の重ね代をもち、載置するのが好ましい。所定の寸法Lの決定は、以下の式によって求めることができる。
【0011】
【式1】
所定の寸法=(軒の長さ−t)/n
所定重ね代tは、重ね代強度を保つことができればよく、例えば、所定の寸法の1/10以上であることが望ましい。自然数nは、強度、耐水性、施工性から勘案し、決定する値であり、その値は1〜10、好ましくは4〜6である。このようにして設定された植生パレットまたは基板の横幅は、通常30cm〜90cmである。
また、植生パレットまたは基板の、傾斜屋根面上に載置した時の傾斜方向と同じ方向の縦幅は、通常、15cm以上100cm以下、好ましくは30cm以上50cm以下である。植生パレットまたは基板の縦幅が小さい場合、後述する灌水方式で水を植生パレットまたは基板に流下させた時に、植生パレットまたは基板上に載置された植生基盤の全面がほぼ飽和水分量となり、植生の根腐れが発生しやすいだけでなく、小さい植生パレットまたは基板を多く載置することになるためにコスト高になり、施工性も悪く漏水の危険性が高くなる。また、植生パレットまたは基板の縦幅が著しく大きい場合、植生パレットまたは基板内の上下位置の違いによる水分不均等が発生しく、施工性が悪くなる。また、屋根面に固定するポイントが相対的に少なくなるため強風への耐性が弱くなる。
以上に述べたような横幅および縦幅を有する植生パレットまたは基板を用いることにより、植生パレットまたは基板の取付けは、従来行われている屋根瓦の取付け方法と同様に、取付け可能となる。
【0012】
植生基盤6は、植生パレット5または基板13に載置される。植栽基盤6は、屋根・屋上用に軽量成形化された土壌を用いることができる。これにより、運搬、取付けなどの取扱いが容易となる。植生基盤6は、例えば、植生パレット5または基板12の表面形状を凹凸、カギ状、ループ状など突起物を設け、植生7の根をからみやすくすることもできる。これにより、植生バレット5または基板13と植生基盤6との固定度が高まる。
植生基盤としては、本発明では、pF1.8時の容水量が200リットル/m3以上900リットル/m3以下のものが好ましく、特に好ましくは300リットル/m3以上800リットル/m3以下のものである。本発明に用いるこのような好ましい植生基盤としては、例えば、ロックウール、発泡ウレタンホーム(オアシス)、パーライト、バーミキュライト、ヤシ外果皮の解砕物、ピートモス、赤土、黒土などが挙げられる。植生基盤は、ロックウール、発泡ウレタンホーム(オアシス)、パーライト、バーミキュライト、ヤシ外果皮の解砕物、ピートモス、赤土、黒土などを繊維製シートで被覆し圧縮成形した植物生育用軽量マットでもよい。これらの植生基盤が降雨によって流出しないように配慮する必要がある。この方法としては、屋根面に施工する前にあらかじめ植物を植え、植物で完全に土壌表面が被覆する程度あるいは完全に根鉢を形成する程度まで養生しておく方法や、植生基盤をネットなどに包む方法などを用いることができる。
【0013】
植生7は、植生基盤6に載置する。植生7はあらかじめ、別途、平地において植生基盤6上で、一定の予備栽培を行うのが好ましい。これにより、植生7の植生基盤6への固定度が高まる。また、植生パレット5または基板13から植生7までの載置を、あらかじめ、平地において別途、予備栽培を行うこともできる。予備栽培は通常、植物の活着を以て終了とすることができる。植物が活着した状態とは、植栽する植物の根が植生基盤まで十分に侵入した状態をいい、好ましくは植生基盤の底面まで根が伸長し露出された状態となることがよい。更に植物の地上部が植生基盤のできるだけ全域(60%以上)を覆う程度に繁茂した状態になることが好ましい。これにより、それぞれの固定度を高めることによって、ひとつのユニットとして扱うことができ、能率的に施工を進めることができる。また、設置後の屋根面からのずれや強風などにより吹き飛ばされることなく、堅固な設置状態とすることができる。
【0014】
本発明で用いる植物については、特に制限はないが、耐乾性、耐暑性が高い、宿根性、矮性などの性質を兼ね揃えたものが好ましい。これらの性質を具備する植物の例として、芝、イワダレソウ、ミント類、ローズマリー、タマリュウ、ササ類、ヤブラン、マンネングサ、コニファー類が挙げられる。
【0015】
本発明の緑化可能な傾斜屋根においては、傾斜屋根最上部から植生パレットと植生パレットに載置された植生基盤の間または基板と基板上に載置された植生基盤の間を水が流下するように、傾斜屋根最上部に潅水装置を設けて灌水するのが好ましい。例えば、図4および図7に示すように、傾斜屋根の最上部に灌水チューブ15を設置して灌水するのが好ましい。傾斜屋根最上部の例えば灌水チューブから流下する水22が、傾斜屋根上側に載置された植生パレットとその植生パレット上に載置された植生基盤の間または基板と基板上に載置された植生基盤の間を流下するように灌水するのが好ましい。図5および図7に示すように、植生パレットと植生基盤の間または基板と基板上に載置された植生基盤の間を流下する水は、植生パレットの植生基盤止め用立ち上がり部9または基板の植生基盤止め用係り止め部14によって堰き止められて飽和し、飽和した水が植生基盤止め用立ち上がり部9または植生基盤止め用係り止め部14を乗り越えて、その下側に載置された植生基盤に水が更に流下する。
このような、所謂底面潅水法により潅水することにより、植生基盤と植生パレットの間または植生基盤と基板の間を流下した水は植生基盤の持つ毛管作用により植生基盤全体に渡ることができる。このような底面灌水法を採用する場合、上記したように植生基盤は、pF1.8時の容水量が200リットル/m3以上900リットル/m3以下のものが好ましく、特に300リットル/m3以上800リットル/m3以下のものが好ましい。PF1.8の容水量が200リットル/m3以下の植生基盤を用いた場合、給水能が著しく劣るため特に屋根上端部側の植生パレットまたは基板内で水分不足となる。また、容水量が著しく多い場合、植生パレットの植生基盤止め用立ち上げ部または基板の植生基盤止め用係り止め部と平面部で囲まれた部分に溜まった水が植物の吸収により適湿になるまでに時間がかかり、場合によっては過湿で根腐を起こしたり、植生パレットまたは基板内での水分不均等を起こしたりするので好ましくない。
また、植生パレットの植生基盤止め用立ち上がり部または基板の植生基盤止め用係り止め部を乗り越えて、それより下位に載置された植生基盤に流下する水が速やかに植生基盤底部に流下するためのスペーサを設けることが好ましい。このスペーサは透水性が飽和透水係数の値で凡そ0.01m/sec以上で、屋上での使用に適した対熱性、紫外線耐性、分解耐性等を有すればとくに制限はないが、凹凸形状のあるプラスチック板(登録商標:グリシート、製造元:タキロン(株)、一般名称:土木で使用する場合は、面状排水材、屋上緑化の底面に使用する場合のみ、貯水機能つき面状排水材)、玉砂利等を用いることができる
【0016】
更に、いずれの植生基盤を用いた場合でも、通常、水道(みずみち)と呼ばれる水が他に比べて著しく通りやすい部分が形成され、それにより水分の不均等が発生するが、本発明では植生パレットの植生基盤止め用立ち上がり部または基板の植生基盤止め用係り止め部によって必ず水が堰き止められるため、そのような水分の不均等が発生しない。また、植生パレットまたは基板に堰き止められる水の量は、植生基盤止め用立ち上がり部の長さと植生パレットまたは植生基盤止め用係り止め部の長さと基板を設置する傾斜屋根の傾斜角度によって決定され、これらが変わらない限り単位植生パレットまたは基板あたりの保水量が等しくなる。底面灌水方式で灌水することによって、上部の植生パレットまたは基板が飽和になると植生基盤止め用立ち上がり部を越えて、それより下位に載置される植生基盤に水が流下する。これが次々と繰り返され、最終的に屋根面全体が一律に一時的に飽和水分となるため、屋根上に載置される場所の違いによる植生パレット間の水分不均等が発生しない。このように、植生基盤止め用立ち上がり部を設けた植生パレットまたは植生基盤止め用係り止め部を設けた基盤を、傾斜屋根面上に多段式に載置したところに、屋根面最上部から底面灌水方式にて灌水することにより、屋根面全体を均一に灌水することができる。
【0017】
灌水方法は屋根面全体が飽和となる量を灌水するかけ流し方式でもよいが、図6に示すように、灌水する水を可能なかぎり節約するためにタンク19を設置した循環式が好ましい。一定間隔でポンプ16を一定時間駆動し、屋根最下部の灌水チューブから水が流れ出る程度に灌水する。図7に示すように、余剰水はタンク19内に戻るように設定することにより、植物に必要な量だけ灌水することができる。ポンプ16を動かす間隔は季節や栽培する植物に応じて決めればよく、例えば芝の場合、夏季は毎日、春あるいは秋は2〜3日おき、冬場は2週間に一度程度が好ましい。用いるポンプ16は屋根最上部まで揚水能力があるものならとくに制限はなく、浅井戸用の水中ポンプや受水槽用ポンプなどが利用できる。また、希釈混入型液肥混合装置17を用いることによってポンプから屋根面に上げる水中に一定濃度で液肥を混合することができ、施肥も同時に行うことができる。屋根最下部からタンク19に戻る配管の途中に水センサー18を設けることにより、ポンプの駆動時間を最小限に制御することができる。水センサー18が配管中を流れる水を感知したらポンプ16を止めるよう信号を出すことにより、降雨時の運転を止めたり、降水が続いた後で植生基盤の水分が多いときなどにポンプ16の運転時間を短縮させたりできる。用いる水センサー18にとくに制限はなく、貯水部19と組み合わせたフロート式や水の通電を利用した電極式等が例示される。
【0018】
以上に説明した本発明の緑化可能な傾斜屋根の適用地域は、建築・省エネルギー機構の次世代省エネルギー基準の地域区分に基づき、III地域以西の屋根の断熱・遮熱が必要とされる地域に適用するのが好ましい。III地域以西の平均気温は通常、年間最高気温24℃以上、年間最低気温1.0℃以上の地域である。
【0019】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明する。
図1から図5に示すようにして、実際に緑化可能な傾斜屋根を作成して、本発明の傾斜屋根における遮熱効果および断熱効果を調べた。
本発明の傾斜屋根における空間11を形成する植生パレット5と野地板1の間の間隔dとそのときの野地板表面における夏季の最高温度と冬季の最低温度の測定結果をそれぞれ図8および図9に示した。夏季、冬季とも通気層間隔dが大きくなるほど、野地板表面温度は低下していくものの、間隔dがおおよそ60mmを超えると、表面温度は一定の値に近づく。図10は、図8および図9の結果から、両者の温度差を図示したものである。両者の差は、遮熱、断熱による温度低下幅を示し、この値が大きくなるほど、遮熱、断熱とも効果が大きくなることを示している。
図10より、空間11の通気層間隔dが60mmを超えると、遮熱・断熱効果がほぼ一定となる。このことから、断熱を考慮した遮熱に効果的な空間11の通気層間隔dは、20mm〜100mm、好ましくは40mm〜80mmである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、植生パレットを用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の説明的外観図である。
【図2】図2は、植生パレットを用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の側面断面図である。
【図3】図3は、植生パレットを用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の側面断面図である。
【図4】図4は、植生パレットを用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の側面断面図である。
【図5】図5は、植生パレットを用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の側面断面図である。
【図6】図6は、基板を用いた本発明の緑化可能な傾斜屋根の側面断面図である。
【図7】図7は、本発明の緑化可能な傾斜屋根の灌水方式の説明図である。
【図8】図8は、本発明の傾斜屋根における空間を形成する植生パレットと野地板の間の間隔とそのときの野地板表面における夏季の最高温度の測定結果を示す。
【図9】図9は、本発明の傾斜屋根における空間を形成する植生パレットと野地板の間の間隔とそのときの野地板表面における冬季の最高温度の測定結果を示す。
【図10】図10は、図8および図9の結果から、両者の温度差を図示したものである。
【符号の説明】
1 屋根の野地板
2 防水シート
3 防水シートを止め抑えるするためのルーフテープ
4 桟木
5 植生を載置するための植生パレット
6 植生を栽培するための植生基盤
7 植生
8 ステンレス釘
9 植生パレットの植生基盤止め用立ち上がり部
10 植生パレットの係り止め部
11 植生パレットまたは基板と野地板の間で形成される空間
12 スペーサー
13 基板
14 植生基盤止め用係り止め部
15 灌水チューブ
16 ポンプ
17 希釈混入型液肥混合装置
18 水センサー
19 貯水部
20 スイッチ
21 電源
22 水

Claims (1)

  1. 傾斜屋根面上に、傾斜方向と直交する横方向に、桟木を多段式に載置し;植生基盤を載置するための植生パレットを、傾斜屋根面と植生パレットとの間に空間が生じるように、多段式に設置された桟木上に設置して、傾斜屋根全体を覆い;次いで、植生パレット上に植生基盤を載置してなる緑化可能な傾斜屋根であって、
    該植生パレットは、植生基盤止め用立ち上がり部を端部に沿って有し、該端部の他方の端部に沿って、植生パレットを桟木上に載置するための係り止め部を有する植生パレットであり、
    傾斜屋根最上部から植生パレットと植生パレット上に載置された植生基盤の間を水が流下するように、傾斜屋根最上部に潅水装置を設け、傾斜屋根最上部から流下する水が傾斜屋根上側に載置された植生パレットの植生基盤止め用立ち上がり部によって堰き止められて飽和し、飽和した水が植生パレットの植生基盤止め用立ち上がり部を乗り越えて、その下側に載置された植生基盤に水が更に流下するように構築された、
    緑化可能な傾斜屋根
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