JP2007267732A - 屋上緑化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】家屋内の温度をできるだけ最適に保持しつつ、家屋からの雨水の流出を抑制し、更に給水管理およびメインテナンスを簡単にし、しかも雨水をより一層有効に利用する。
【解決手段】屋上緑化システム34は3個の緑化システム1a,1b,1cを備え、これらの緑化システム1a,1b,1cは、一般住宅等の木造の家屋の傾斜屋根にその傾斜に沿って上からこれらの順に階段状に並設されている。その場合、これらの緑化システム1a,1b,1cは、瓦、スレートなどの屋根構造部分に代えて、直接屋根構造の基礎部分に設置されている。これにより、太陽光等による家屋内の温度上昇および雪等による家屋内の温度降下を効果的に軽減して家屋内をできるだけ最適な温度に保持し、家屋に降った雨水の流出をより効果的に削減し、更に貯留した雨水を二次用水として利用することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、家屋の屋上や屋根を緑化する屋上緑化システムの技術分野に関し、特に、太陽光等による家屋内の温度上昇および雪等による家屋の温度降下を抑制して家屋内の温度をできるだけ最適な温度に保持しつつ、家屋の屋上や屋根に降る雨による家屋周囲の洪水等を抑制し、更には雨水を有効に利用することのできる屋上緑化システムの技術分野に関する。
近年、地球上においては温度が上昇するというヒートアイランド現象が問題となっている。このヒートアイランド現象の一因として、建築物の屋上、ベランダ、テラス、舗装グランドや舗装道路等の人工地盤などの人工建造物に照射する日光の照り返しや輻射熱による温度上昇、建築物の冷房の過剰使用による温度上昇、あるいは化石燃料の過剰使用で多量発生するCO2による温度上昇等が挙げられる。
そこで、前述の人工建造物を緑化して温度上昇を抑制することで、このヒートアイランド現象を軽減することが種々提案されている(例えば、特許文献1ないし4参照)。
特許文献1には、雨水タンクに雨水を貯め、この雨水を自然落下により緑化用人工地盤中に供給して緑化用植物を栽培することで、地下水源等に頼ることなく、屋上を緑化することが開示されている。
また、特許文献2には、パイプで形成した貯水槽に雨水を貯めて、この雨水をポンプで揚水して散水ノズルから屋上庭園に散水して植物栽培をはかることが開示されている。
更に、特許文献3には、貯水槽の水を送給することで屋上を緑化するための植物栽培装置を搬送可能にすることが開示されている。
更に、特許文献4には、直接の緑化システムではないがヒートアイランド現象を軽減するものとして、建築物の屋上に降る雨水の全てを排水管を通じて地上に設置された貯水タンクに貯め、この雨水をポンプで揚水して給水管を通じて屋上に散水することで、建築物の屋上に降る雨水の全てを一気に下水へ排水することなく有効に利用してヒートアイランド現象を抑制し、その際、貯水タンクから揚水した雨水を屋上に設置したビオトープに一旦給水してビオトープ内の水草類や水苔類などで水中に含まれるタンパク質や窒素化合物、窒素、リン酸、カリウムなど不純物を吸収させ、雨水の腐敗を防止することが開示されている。
特開2003−23883号公報。 特開2003−213735号公報 特開2003−23868号公報。 特開2003−105883号公報。
しかしながら、前述の特許文献1に開示のものは、屋上に設置された雨水タンクに降った雨水を貯めるものであることから、屋上に降った雨水の建築物から外部への流出を一時的に制限するものの、屋上に設けた緑化用人工地盤の面積よりかなり小さい横断面積の雨水タンクに降った雨水のみを貯めるため、屋上に降った雨水を効率よく貯めることができず、建築物から外部への雨水の流出制限効果は小さい。このため、建築物の外部周囲における自然災害である洪水を防止することができない。特に、近年の降雨の傾向は、きわめて多くの雨量の雨が短時間に集中して降る、いわゆる熱帯のスコールのような大雨の傾向にあるが、このような大雨に対しては、建築物周囲の洪水を効果的にかつ十分に防止することができないという問題がある。
また、雨水タンクに貯まった雨水を緑化用人工地盤に単に給水するだけのものであるため、雨水タンクの雨水は給水時のみ植物の生育に利用されるだけであって、有効に利用されていないばかりでなく、給水頻度が多くなってバルブ開閉等の給水管理が煩雑であるという問題がある。しかも、雨水タンクに雨水を貯めるため、雨水タンクを上方に常時開放しておく必要があるが、雨水タンクを長期間開放すると、雨水タンクに貯まっている雨水が腐敗してしまい、この雨水の腐敗により藻等の不純物が発生するばかりでなく、この不純物がバルブや配管を詰まらせてしまう。このため、バルブや配管のメインテナンスが煩雑となる問題がある。
更に、前述の特許文献2に開示のものは、雨水を細長い雨水樋を通じて貯水槽に貯めるものであることから、屋上あるいは屋根に降った雨水の建築物から外部への流出を一時的に制限するものの、雨水樋の横断面積がかなり小さいため、特許文献1に開示のものと同様に屋上あるいは屋根に降った雨水を効率よく貯めることができず、建築物から外部への雨水の流出制限効果は小さい。このため、特許文献1に開示のものと同様に建築物の外部周囲における洪水を効果的にかつ十分に防止することができないという問題がある。
また、貯水槽に貯まった雨水を植物の緑化槽に単に給水するだけのものであるため、同様に貯水槽の雨水は給水時のみ植物の生育に利用されるだけであって、有効に利用されていないばかりでなく、給水頻度が多くなってバルブ開閉等の給水管理が煩雑であるという問題がある。
更に、前述の特許文献3に開示のものは、雨水を貯水槽に貯めるものであることから、屋上に降った雨水の建築物から外部への流出を一時的に制限するものの、貯水槽の横断面積がかなり小さいため、特許文献1および2に開示のものと同様に屋上に降った雨水を効率よく貯めることができず、建築物から外部への雨水の流出制限効果は小さい。このため、特許文献1および2に開示のものと同様に建築物の外部周囲における洪水を効果的にかつ十分に防止することができないという問題がある。
また、貯水槽に貯まった雨水を植物の緑化槽に単に給水するだけのものであるため、同様に貯水槽の雨水は給水時のみ植物の生育に利用されるだけであって、有効に利用されていないばかりでなく、給水頻度が多くなってバルブ開閉等の給水管理が煩雑であるという問題がある。
更に、前述の特許文献4に開示のものは、屋上の緑化システムではないが、屋上に降った雨水を細長い排水管を通じて貯水タンクに貯めるものであることから、屋上に降った雨水の建築物から外部への流出を一時的に制限するものの、貯水槽の横断面積がかなり小さいため、特許文献1ないし3に開示のものと同様に屋上に降った雨水を効率よく貯めることができず、建築物から外部への雨水の流出制限効果は小さい。このため、特許文献1ないし3に開示のものと同様に建築物の外部周囲における洪水を効果的にかつ十分に防止することができないという問題がある。
また、屋上に植物の緑化槽が設置されておらず、貯水タンクに貯まった雨水を屋上に設置したビオトープで浄水して屋上全体に単に散水するだけであるので、貯水タンクの雨水が植物の生育に有効利用されるものではない。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、家屋の屋上や屋根の緑化により家屋内の温度をできるだけ最適に保持しつつ、家屋からの雨水の流出を効果的に抑制し、更に給水管理およびメインテナンスを簡単にし、しかも雨水をより一層有効に利用することのできる屋上緑化システムを提供することである。
前述の課題を解決するために、請求項1に係る発明の屋上緑化システムは、家屋の屋上または屋根を緑化する屋上緑化システムにおいて、所定数の緑化システムが前記屋上または屋根に並設されており、前記所定数の緑化システムが、それぞれ、植物が生育される緑化槽と、前記緑化槽の下に、この緑化槽を浸透した水が貯えられる底部貯水槽とを少なくとも備えており、更に、前記緑化槽のすべてより下方に設置され、前記所定数の緑化システムの前記緑化槽および前記底部貯水槽から流出する水を貯える下部貯水槽と、前記緑化槽のすべてより上方に設置された上部貯水槽と、前記下部貯水槽内に貯えられた水を揚水して前記上部貯水槽に供給する揚水手段と、前記上部貯水槽内に貯えられた水を前記植物に散水する散水装置とを備えていることを特徴としている。
また、請求項2に係る発明の屋上緑化システムは、家屋の屋上または屋根が傾斜しており、前記所定数の緑化システムのそれぞれの前記緑化槽および前記底部貯水槽が、前記屋上または屋根の傾斜に沿って階段状に並設されていることを特徴としている。
更に、請求項3に係る発明の屋上緑化システムは、前記屋上または屋根がその最上構造に瓦またはスレートが設けられていない屋上または屋根であり、前記所定数の緑化システムのそれぞれの前記緑化槽および前記底部貯水槽が、屋上または屋根の最上構造として設けられていることを特徴としている。
更に、請求項4に係る発明の屋上緑化システムは、並設された前記所定数の緑化システムの前記緑化槽および前記底部貯水槽のうち、1つの緑化システムの緑化槽および底部貯水槽がこれらに隣接する緑化システムの底部貯水槽に連通し、また、この隣接する緑化システムの緑化槽および底部貯水槽が更にこれらに隣接する緑化システムの底部貯水槽に連通するようにして、前記所定数の緑化システムの前記緑化槽および前記底部貯水槽が並設されており、最後の緑化システムの底部貯水槽が前記下部貯水槽に連通していることを特徴としている。
更に、請求項5に係る発明の屋上緑化システムは、前記緑化システムのそれぞれが、前記緑化槽と前記底部貯水槽との間を隔離する隔離板を備えているとともに、前記緑化槽に植物が生育される土壌が収納されており、前記隔離板が、前記緑化槽を通して浸透してきた水を前記底部貯水槽に透水させるとともに前記底部貯水槽に貯えられている水の蒸発水を前記緑化槽の土壌に透水させる透水性を有し、前記緑化槽に降った雨水および前記散水装置からの散水の少なくとも一方が前記緑化槽および前記隔離板を通して前記底部貯水槽内に貯えられるとともに、前記底部貯水槽内の水の蒸発水が前記隔離板を通して前記緑化槽の土壌に透水するようになっていることを特徴としている。
更に、請求項6に係る発明の屋上緑化システムは、前記緑化槽の土壌に、互いに並設された所定数の可搬の土壌ブロックが用いられていることを特徴としている。
更に、請求項7に係る発明の屋上緑化システムは、前記土壌ブロックが前記緑化槽内に設置される前に、植物の種子が前記土壌ブロックの土壌中に予め含まれていることを特徴としている。
本発明に係る屋上緑化システムによれば、家屋の屋上に緑化システムを構築しているので、緑化槽の表面から水分が蒸発することで、この蒸発熱の効果からヒートアイランド現象を緩和することができる。これにより、夏季において太陽光等による家屋内の温度上昇が抑制されるので、家屋の冷房の使用を低減できる。したがって、この冷房の使用低減によっても、ヒートアイランド現象の緩和を更に緩和することができる。また、冬季には、雪等による家屋内の温度降下が抑制されるので、家屋の暖房の使用を低減できる。
また、緑化槽から流出する水を下部貯水槽に貯留するようにしているので、家屋の屋上あるいは屋根に降った雨水が緑化槽2から溢れても家屋からその周囲に直接流出することを阻止でき、家屋からの雨水の流出をより一層効果的に抑制および遅延することができる。したがって、降雨時の家屋周辺の洪水が抑制される。特に、前述のスコールのようなきわめて多くの雨量の大雨に対して下部貯水槽の深さ(容量)を適宜設定することで、多量の雨水を底部貯水槽に確実に貯水でき、家屋からの雨水の流出をより効果的に抑制および遅延することができる。
更に、緑化槽の下に底部貯水槽を設けているので、降雨時、屋上あるいは屋根に降った雨水をこの底部貯水槽で一旦貯水することができる。これにより、屋上に降った雨水が家屋からその周囲に直接流出することを阻止できるので、家屋からの雨水の流出を更に効果的に抑制および遅延することができる。その場合、底部貯水槽の深さ(容量)を適宜設定することで、多量の雨水を底部貯水槽4に確実に貯水でき、家屋からの雨水の流出をより効果的に抑制および遅延することができる。
このようにして、家屋の屋上あるいは屋根の緑化によるヒートアイランド現象の軽減を図りつつ、家屋からの雨水の流出を効果的に抑制して自然災害を未然に防止しあるいは自然災害による被害をより少なく抑え、しかも緑化槽の植物を効果的に育成することができる。
更に、底部貯水槽、下部貯水槽および上部貯水槽の3つの貯水槽を設けるだけで、屋上や屋根の緑化と家屋からの雨水の流出抑制とを行っているので、簡単な構成でかつ低コストで屋上緑化システムを構築することができる。特に、屋上緑化システムをブロック単位で構成することにより、所定数のブロックを単に並べて配置するだけで、屋上緑化システムの設置を短時間で簡便に行うことができる。しかも、このブロックを可搬型にすることで、任意の設置場所および屋上の任意の形状に柔軟に対応することができる。
更に、屋上緑化システムでは雨水を用い水道水を使用しないので、水道料金等がかからなく、管理費を安価にすることができる。
更に、複数のブロックの各緑化槽に、前述の陸地型、水中植物型、およびビオトープ型のいくつかの緑化槽を適宜組み合わせ使用することにより、ヒートアイランド現象をより効果的に低減できるとともに、屋上や屋根の景観を良好にしてオアシスの機能を発揮させることができる。
更に、緑化槽の土壌に、緑化槽の大きさに基づいて予め設定された土壌ブロックを用いているので、緑化槽の設置がきわめて簡単になる。しかも、土壌ブロックの設置前にこの土壌ブロックの土壌6中に予め植物の種子を含ませている(蒔いている)ことで、土壌ブロックの設置後に植物の種子を蒔く作業が不要となり、屋上緑化システムの設置作業をきわめて簡単にできかつ設置時間を効果的に短縮できる。
更に、一般住宅等の木造の家屋に所定数の緑化システムを傾斜屋根の傾斜に沿って階段状に設けているので、木造の家屋において緑化システムによる家屋内の最適温度効果をより効果的に得ることができる。また、下部貯水槽および底部貯水槽に家屋に降った雨水を貯留するようにしているので、この雨水を家屋の二次用水として効果的に利用することができる。このように二次用水として利用することで、家屋に降った雨水の流出削減効果をより効果的に得ることができる。
更に、所定数の緑化システムを家屋の屋根の瓦やスレートに代えて利用することで、屋上緑化システムを家屋の屋根に設けても、瓦やスレートを用いない分、コストを低減することができる。
このように、一般住宅等の木造の家屋の屋根に本発明の屋上緑化システムを設けることで、太陽光等による家屋内の温度上昇および雪等による家屋内の温度降下を効果的に軽減して家屋内をできるだけ最適な温度に保持することができる。しかも、家屋に降った雨水の流出をより効果的に削減し、更に貯留した雨水を家屋での生活用水のうち、水道水を用いなくても済む生活用水に二次用水として利用することができ、生活費を低減することができる。
更に、散水装置の作動を制御装置により自動制御することで、給水管理および屋上緑化システムのメインテナンスを簡単にすることができる。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る屋上緑化システムの実施の形態の一例に用いられる緑化システムを模式的に示す全体概略図である。
図1に示すように、この例の緑化システム1は、家屋の屋上や屋根に設けられた屋上緑化システムとして構成されており、緑化槽2を備えているとともにこの緑化槽2の真下に隔離板3を介して底部貯水槽4を備えている。これらの緑化槽2および底部貯水槽4は1つの共通槽として一体に形成されている。なお説明の便宜上、底部貯水槽4、隔離板3および緑化槽2は、図1にはその左右方向に沿う鉛直面による断面で示されている。
緑化槽2および底部貯水槽4はいずれも同じ所定の大きさの平面視矩形状に形成されている。そして、底部貯水槽4は緑化槽2の下面のすべてを覆うように配置されている。この底部貯水槽4は、緑化槽2に降った雨の浸透水を貯留して、建築物に降った雨水の流出の削減と、緑化槽2からの水分蒸発分を補給する等の緑化槽2への水分補給のための補給水源として機能する。
底部貯水槽4の深さh0は雨水の上記流出削減の目標と緑化槽への水分補給とを考慮して設定され、底部貯水槽4の空の状態で例えば50mm/hr程度の降雨量の大雨までの雨水を貯水可能な深さに設定されている。
また、隔離板3は共通槽の内周面にほとんど隙間なく嵌合される大きさの矩形状に形成されており、この隔離板3は緑化槽2と底部貯水槽4とを隔離するものである。図2(a)に示すように、隔離板3には多数の小孔3aが二次元的に縦横に整列されて設けられている。
緑化槽2は多数の植物5を植える槽であり、この緑化槽2には土壌6が収納されている。その場合、土壌6の土が隔離板3の小孔3aを通して底部貯水槽4内に落下しないようにするため、まず、径が小孔3aの径より大きな小石を隔離板3の上に敷き詰め、次いで敷き詰めた小石の上にそれらの小石より径の小さな小石や砂利あるいは砂を敷き詰め、最後にそれらの上に土を敷き詰めるようにする。
土壌6に草花や雑木などの植物5が植えられていて、この第1例の緑化槽2は陸地植物生育型に形成されている。なお、緑化槽2は前述の陸地植物生育型に代えて、稲や芹などの水中植物生育型に形成することもできるし、あるいは、小水路のあるビオトープ型に形成することもできる。また、陸地植物生育型、水中植物生育型およびビオトープ型の少なくともいずれか2つ以上を組み合わせることもできる。
そして、屋上の緑化槽2に降った雨が緑化槽2内の土壌6を浸透しかつ隔離板3の多数の小孔3aを通過して底部貯水槽4内に浸入して貯水されるようになっている。なお、隔離板3の多数の小孔3aは必ずしも縦横に整列されて設けられる必要はなく、図2(b)に示すように二次元的にランダムに配置されて設けられてもよい。
図1に示すように、各植物5が成長すると、それらの根5aが対応する小孔3aを通って底部貯水槽4内の水まで伸びてその水を吸い上げることができるようになっている。このように、各植物5は底部貯水槽4内の水を直接吸い上げることによっても生育するようになっている。その場合、図3(a),(b)および図4に示す底面板30を用いるときには、この底面板30にも植物5の根5aが通過可能でかつ土壌の土が落下しない程度の大きさの小孔を設けるようにする。
なお、多数の小孔3aを有する隔離板3に代えて、メッシュ状の隔離板を用いることもできる。したがって、本発明の多数の小孔を有する隔離板には、メッシュ状の隔離板も含まれる。
底部貯水槽4および緑化槽2の共通槽の一側の、緑化槽2が形成される側壁2aには、緑化槽越流部7が設けられている。この緑化槽越流部7は底部貯水槽4の底部からの高さh1の位置に設けられており、この例ではこの高さh1は緑化槽2内の土壌6の表面(上面)より若干(数cm程度)高く設定されている。また、緑化槽越流部7には、流出パイプ8が連結されている。緑化槽越流部7および流出パイプ8はそれぞれ1組設けてもよいし、所定数組を図1の図面に直交する方向に所定の間隔を置いて設けてもよい。そして、図示しないが、このように構成された底部貯水槽4および緑化槽2の共通槽は一対並設されている。
更に、この例の緑化システム1は平面視矩形状の下部貯水槽9を備えており、この下部貯水槽9は底部貯水槽4および緑化槽2の共通槽の下方に設けられている。なお説明の便宜上、図1には、下部貯水槽9は同図において左右方向に沿う鉛直面による断面で示されている。
下部貯水槽9は、緑化槽2および底部貯水槽4の共通層から流出する水を貯える貯留槽とされているとともに、下部貯水槽9の水を後述する上部貯水槽17に補給するための補給水源とされている。下部貯水槽9の貯水量は設置場所や使用態様に応じて異なるが、通常、後述する点滴型散水装置21の散水量の1カ月分ないし1.5カ月分の量を貯水する。
1つの下部貯水槽9に対して、底部貯水槽4および緑化槽2の共通槽が一対対応して設けられている。そして、一対の共通槽の各緑化槽越流部7にそれぞれ連結された各流出パイプ8はいずれも下部貯水槽9の下部貯水槽9内に進入して設けられている。したがって、緑化槽2から緑化槽越流部7を通じて流出する水が流出パイプ8を通して下部貯水槽9内に流入しかつ貯えられるようになっている。その場合、緑化槽越流部7に例えばメッシュあるいは格子状部材等からなる異物流出阻止部材を設けることで、緑化槽2内の枯葉やゴミ等の異物が流出パイプ8を通して下部貯水槽9内に流入するのを阻止するようにすることもできる。これにより、下部貯水槽9内への異物の堆積が抑制される。なお、1つの下部貯水槽9に対する底部貯水槽4および緑化槽2の共通槽は一対に限定されることはなく、共通槽は1つ以上の任意の数を1つの下部貯水槽9に対応させることができる。また、下部貯水槽9の上方開口部は閉じられている。
更に、この例の緑化システム1は平面視矩形状の上部貯水槽17を備えており、この上部貯水槽17は下部貯水槽9の上方でかつ底部貯水槽4および緑化槽2の共通槽より上方に設けられている。なお説明の便宜上、図1には、上部貯水槽17は同図において左右方向に沿う鉛直面による断面で示されている。
上部貯水槽17には、少なくとも下部貯水槽9内の所定量の水18が貯水されるようになっている。この上部貯水槽17は、後述する点滴型散水装置21への給水のための水を貯留するものであり、その貯水量は設置場所や使用態様に応じて異なるが、通常約1週間分の散水量を貯水する。なお、この貯水量はこれに限定されるものではない。
下部貯水槽9内の水18を上部貯水槽17内に送給するために、下部貯水槽9内には揚水ポンプ19が設置されているとともに、この揚水ポンプ19に揚水ホース20が連結されている。この揚水ホース20は、その先端が上部貯水槽17内に向くようにして設けられている。これらの揚水ポンプ19および揚水ホース20により本発明の揚水手段が構成されている。
下部貯水槽9の上方開口部は揚水ホース20を通して上部貯水槽17内に水を送給可能に、例えば蓋等により開閉可能に閉塞されている。したがって、下部貯水槽9内の水は直接外気に触れないとともに日光に直射されないので、水の蒸発が抑制されるとともに、水の腐敗が抑制されて藻等の不純物の発生が低減され、更に、下部貯水槽9内へのごみ等の異物の混入が防止されるようになっている。
そして、下部貯水槽9内の所定量の水18が貯えられている状態で、上部貯水槽17内に所定量の水が貯えられていないときには、揚水ポンプ19が所定時間駆動されて下部貯水槽9内の水18が上部貯水槽17内に所定量送給されるようになっている。なお、図示しないが上部貯水槽17内に水位検知センサを設置して、この水位検知センサからの上部貯水槽17内の水位の検知信号に基づいて、図示しない制御装置(コンピュータ)が揚水ポンプ19の駆動開始(揚水開始)および駆動停止(揚水停止)を自動的に制御するようにすることもできる。その場合、更に下部貯水槽9内にも水位検知センサを設置して、この水位検知センサからの下部貯水槽9内の水位の検知信号に基づいても、制御装置が揚水ポンプ19の駆動開始(揚水開始)および駆動停止(揚水停止)を自動的に制御することで、揚水開始および揚水停止をより一層正確にかつより一層効率よく行うことができる。このように、下部貯水槽9および上部貯水槽17の少なくとも一方は、水位感知型の貯水槽に構成可能である。また、揚水ポンプ19として、水位感知型のポンプを用いることもできる。この水位感知型のポンプを用いた場合には、下部貯水槽9内の水位検知センサは省略される。
この例の緑化システム1では、揚水ポンプ19を駆動する電力として、太陽電池であるソーラーパネルで発電された電力を用いている。しかし、通常の電力等の他の電力を用いることもできる。
上部貯水槽17の上方開口部も、下部貯水槽9の場合と同様に揚水ホース20を通して上部貯水槽17内に水を送給可能に、例えば蓋等で開閉可能に閉塞されている。したがって、上部貯水槽17内の水は直接外気に触れないとともに日光に直射されないので、水の蒸発が抑制されるとともに、水の腐敗が抑制されて藻等の不純物の発生が低減され、更に、上部貯水槽17内へのごみ等の異物の混入が防止されるようになっている。
これにより、この不純物で、後述する点滴型散水装置21の開閉バルブ22や点滴型散水パイプ23が詰まることが抑制され、メインテナンスが簡略化する。なお、上部貯水槽17の上方開口部は開放することもできる。その場合には、上部貯水槽17に降る雨水がこの上部貯水槽17に一旦貯えれるので、上方開口部を閉塞する場合に比べて水の流出制限効果が若干多く得られる。しかし、上方開口部を開放すると、上部貯水槽17内の水が直接外気に触れるとともに日光に直射されることで腐敗する可能性があるので、上部貯水槽17の上方開口部は閉塞することが望ましい。更に、上部貯水槽17の上部開口部を蓋で閉塞する場合に、上部貯水槽17の蓋を傾斜させるとともにこの傾斜した蓋の低い方側に孔を設け、傾斜した蓋の上に降った雨水を集水して蓋の孔から上部貯水槽17内に流すようにすることもできる。なお、図示しないが上部貯水槽17にも越流部を設ることもできる。
上部貯水槽17の側壁17aには、散水装置として点滴型散水装置21が設けられている。この点滴型散水装置21は、側壁17aの取出し孔(不図示)に設けられかつ開閉バルブ22を有する点滴型散水装置制御部とこの開閉バルブ22に連結されかつ多数の小孔23aが下部に穿設された細長い点滴型散水パイプ23とから構成されている。
開閉バルブ22が前述の制御装置によって開かれると、上部貯水槽17の水が滴型散水パイプ23を通して涙滴状あるいは水滴状に散水され、開閉バルブ22が前述の制御装置によって閉じられると、この散水が停止される。また、点滴型散水パイプ23は開閉バルブ22側から先端に向かって下がるように傾斜して設けられていて、先端側の小孔23aにも水が確実に供給されるようにされている。
上部貯水槽17への揚水のための揚水ポンプの運転制御(つまり揚水方法)および間欠散水のための開閉バルブ22の開閉制御(つまり散水方法)は、次の方法を用いることができる。
(1)点滴型散水装置21に時間設定機能を持たせ、開閉バルブ22が前述の制御装置によって、予め設定された散水時間に基づいて開閉制御されるようにする。すなわち、制御装置は散水時間に基づいて、開閉バルブ22を通常時は閉じているが、予め設定された植物5に水が必要な時刻に、同じく予め設定された必要な時間だけ開くように開閉制御して、間欠散水を行う。この場合には、揚水ポンプ19による揚水開始および揚水停止の制御は、上部貯水槽17の水位に基づいて行うようにすることが望ましい。
(2)点滴型散水装置21に(1)の時間設定機能を持たせないで、予め設定された揚水ポンプ19の間欠揚水時間で散水を制御する。この場合には、揚水ポンプ19の運転制御機構である制御装置が揚水ポンプ19の揚水開始および揚水停止を制御するが、その制御方法として、(A)制御装置が揚水開始時間を制御して、設定された揚水開始時間で揚水ポンプ19を駆動開始し、上部貯水槽17の水位が予め設定された水位となると、揚水ポンプ19を駆動停止する方法、および(B)制御装置が揚水ポンプ19による揚水開始および揚水停止を制御する。
(3)緑化槽2がビオトープ型の緑化槽あるいは水田型の緑化槽等の常に散水する場合には、制御装置が上部貯水槽17の水位に基づいて揚水ポンプ19の運転開始および停止を制御することが望ましい。
(4)緑化システムの近傍に雨量計を設置し、この雨量計からの雨量検知信号で所定の降雨量が検知されたときには、制御装置が散水を停止するように点滴型散水装置21を制御することが望ましい。
(5)特許文献3に記載されているような土壌水分センサを緑化槽2の土壌6中に設置し、この土壌水分センサで検知した土壌6中の水分量に基づいて、制御装置が土壌6中の水分量が予め設定された所定の含水量以下になったと判断したとき、開閉バルブ22を開いて散水を行うようにすることもできる。
(6)ヒートアイランド現象を緩和するために、温度計により緑化槽2の表面温度を測定して、制御装置が緑化槽2の表面温度が所定温度になったと判断したとき、開閉バルブ22を開いて散水を行うようにすることもできる。
図示しないが、開閉バルブ22のそれより下流側(開閉バルブ22に関し上部貯水槽17と反対側)に連結された管が所定数の分岐管に分岐されており、これらの分岐管にそれぞれ点滴型散水パイプ23が連結されている。これらの点滴型散水パイプ23は緑化槽2の領域全体にわたって配置されていて、開閉バルブ22が開かれて上部貯水槽17の水が導入されたとき、各点滴型散水パイプ23内の水がそれぞれ多数の小孔23aから図1に示すように点滴状αに自然落下して緑化槽2の領域全体内の植物5および土壌6にほぼ均一に散水するようにされている。その場合、複数の点滴型散水パイプ23を緑化槽2の領域全体にわたって適宜配置しかつ点滴状αに給水することで、水を緑化槽2の領域全体にわたって土壌を水の噴流で飛ばすことなく給水することができる。点滴型散水装置21としては、市販のもの(例えば、商品名水やり君:(株)松下電器製作所製)を利用することができる。もちろん、点滴型散水装置21はこれに限定されることはなく、必要時に点滴状に散水することができるものであれば、どのようなものも用いることができる。
この例の緑化システム1では、開閉バルブ22を開閉駆動する電力として、前述のソーラーパネルで発電された電力を用いることできるが、前述と同様に、通常の電力等の他の電力を用いることもできる。
点滴型散水パイプ23内の水の自然落下で緑化槽2の植物5に確実に散水するためには、点滴型散水パイプ23の下部が植物5のトップより上方でかつ上部貯水槽17の下部に対応する位置に設ける必要がある。そのためには、上部貯水槽17の底部ができるだけ上方に位置することが望ましい。しかし、上部貯水槽17の底部はこれに限定されるものではない。
この例の緑化システム1では、緑化槽2と隔離板3と底部貯水槽4とからなる一対の共通槽、下部貯水槽9、上部貯水槽17、揚水ポンプ19、および揚水ホース20が1つのブロックとして構成される。この1ブロックはその大きさが縦横1m×2m程度の大きさに設定されるとともに、任意の場所に搬送できる可搬型ブロックとされている。その場合、各ブロックは、図1に示すように上部貯水槽17が最上位置に配置され、この上部貯水槽17より下方位置に緑化槽2および底部貯水槽4の共通槽が配置され、更に、この共通槽より下方位置に下部貯水槽9が配置される。
そして、屋上2に設置するブロックの数は設置しようとする屋上2の面積に応じて設定され、設定された数のブロックが屋上2の床面に、全面的にあるいはほぼ全面にあるいは部分的に並べられて設置される。その場合、各緑化槽2は、すべて陸地植物生育型、水中植物生育型およびビオトープ型のいずれか1つであってもよいし、あるいは、それぞれこれらの陸地植物生育型、水中植物生育型およびビオトープ型の少なくともいずれか2つ以上を組み合わせてもよく、家屋の建築場所の環境や家屋の種類等の家屋の状況に応じて設定すればよい。
このように構成されたこの例の緑化システム1においては、設定数の前述のブロックが家屋の屋上に全面的にあるいは部分的に設置され、各ブロックの緑化槽2にはそれぞれ、例えば図1に示すように土壌6が収納されかつそれらの土壌6には多数の植物5が植えられている。雨天時、各ブロックの緑化槽2にも雨が降るが、各緑化槽2に降った雨水(以下、単に水ともいう)は、それぞれ、緑化槽2内の土壌6を浸透しかつ隔離板3の多数の小孔3aを通って底部貯水槽4内に貯水される。
このように、屋上に降った雨水のうち、各緑化槽2に降った雨水が底部貯水槽4内に貯水されるので、家屋から流出する雨水の量が抑制される。これにより、家屋周囲の雨水量が少なくなり、洪水のおそれが低減する。特に、降雨量が50mm/hr程度のかなり強い雨であっても、屋上に降った雨水の一部が底部貯水槽4内に確実に貯水されるので、家屋から流出する雨水の量が効率よく抑制され、家屋周囲における洪水のおそれは効果的に低減する。
底部貯水槽4内の貯水量が満杯になり、緑化槽2に降った雨水が土壌6を浸透しなくなると、土壌6の表面上に貯水するようになる。そして、土壌6の表面上に貯水した雨水の水位が緑化槽越流部7の高さh1より高くなると、この雨水は緑化槽越流部7から流出パイプ8を通して自動的に流出し、下部貯水槽9内に貯水される。
一方、揚水ポンプ19はその前述のいずれかの運転方法により運転されることにより、下部貯水槽9内の水が所定量だけ上部貯水槽17に揚水されかつ貯留される。
上部貯水槽16内に貯留された水の水位が、取出し口(開閉バルブ22の設置箇所)の位置および点滴型散水パイプ23の小孔23aの高さ位置より高くなると、散水が可能となる。しかし、通常時は開閉バルブ22が閉じているので、上部貯水槽16内の水は点滴型散水パイプ23の方へ流出しない。そして、開閉バルブ22はその前述のいずれかの開閉方法により開かれることにより、上部貯水槽16内の水が開閉バルブ22を通して点滴型散水パイプ23内に流出し、更に、点滴型散水パイプ23内の水は多数の小孔23aから点滴状αに自然落下して緑化槽2内の植物5および土壌6に、土壌6が飛ばされることなく散水される。
点滴型散水パイプ23からの水の散水あるいは降雨により、緑化槽2内の植物が成長していくと、その根5aが図1に示すように隔離板3の小孔3aを通って底部貯水槽4内の水中に進入する。これにより、各植物5はそれらの根5aから底部貯水槽4内の水を吸い上げることができるようになり、底部貯水槽4内の水で更に成長を続けるようになる。このように、植物5が根5aから底部貯水槽4内の水を吸い上げることで、点滴型散水パイプ23からの散水の回数が低減可能となる。
更に、上部貯水槽17には、二次利用水パイプ32が開閉バルブ33を介して接続されている。開閉バルブ33が開閉制御されることで、上部貯水槽17の水が二次利用水パイプ32を通して、例えば水洗便所の用水、庭の植物に散水するための水、および自動車の洗車のための水等に二次利用されるようになっている。その場合、開閉バルブ33の開閉は手動あるいは前述の制御装置によって適宜制御される。
この例の緑化システム1によれば、家屋の屋上に緑化システム1を構築しているので、緑化槽2の表面から水分が蒸発することで、この蒸発熱の効果からヒートアイランド現象を緩和することができる。これにより、夏季において家屋内の温度上昇が抑制されるので、家屋の冷房の使用を低減できる。したがって、この冷房の使用低減によっても、ヒートアイランド現象の緩和を更に緩和することができる。
また、緑化槽2から流出する水を下部貯水槽9に貯留するようにしているので、家屋の屋上あるいは屋根に降った雨水が緑化槽2から溢れても家屋からその周囲に直接流出することを阻止でき、家屋からの雨水の流出をより一層効果的に抑制および遅延することができる。したがって、降雨時の家屋周辺の洪水が抑制される。特に、前述のスコールのようなきわめて多くの雨量の大雨に対して下部貯水槽9の深さ(容量)を適宜設定することで、多量の雨水を底部貯水槽4に確実に貯水でき、家屋からの雨水の流出をより効果的に抑制および遅延することができる。
更に、緑化槽2の下に底部貯水槽4を設けているので、降雨時、屋上あるいは屋根に降った雨水をこの底部貯水槽4で一旦貯水することができる。これにより、屋上に降った雨水が家屋からその周囲に直接流出することを阻止できるので、家屋からの雨水の流出を更に効果的に抑制および遅延することができる。その場合、底部貯水槽4の深さ(容量)を適宜設定することで、多量の雨水を底部貯水槽4に確実に貯水でき、家屋からの雨水の流出をより効果的に抑制および遅延することができる。
また、緑化槽2の下に底部貯水槽4を設けるとともに、緑化槽2と底部貯水槽4との間に多数の小孔3aを有する隔離板3を介在させているので、直物7の根5aがこれらの小孔3aを通って底部貯水槽4の貯水中に進入することで、底部貯水槽4内の水を植物5の生育に有効に利用することができる。これにより、開閉バルブ22の開閉頻度を少なくでき、開閉バルブ22の開閉管理を簡略化することができる。その場合、植物5および土壌6に点滴状に散水しているので、給水時に緑化槽表面の土砂の流出を防止できるとともに土壌6を飛ばして緑化槽6の表面の洗掘を防止でき、緑化槽2の領域全体に均一に給水することができる。
このようにして、家屋の屋上あるいは屋根の緑化によるヒートアイランド現象の軽減を図りつつ、家屋からの雨水の流出を効果的に抑制して自然災害を未然に防止しあるいは自然災害による被害をより少なく抑え、しかも緑化槽2の植物5を効果的に育成することができる。
更に、底部貯水槽4、下部貯水槽9および上部貯水槽17の3つの貯水槽を設けるだけで、屋上や屋根の緑化と家屋からの雨水の流出抑制とを行っているので、簡単な構成でかつ低コストで緑化システム1を構築することができる。特に、緑化システム1をブロック単位で構成することにより、所定数のブロックを単に並べて配置するだけで、緑化システム1の設置を短時間で簡便に行うことができる。しかも、このブロックを可搬型にすることで、任意の設置場所および屋上の任意の形状に柔軟に対応することができる。
更に、この例の緑化システム1では雨水を用い水道水を使用しないので、水道料金等がかからなく、管理費を安価にすることができる。そのうえ、ポンプ19の駆動や開閉バルブ22の開閉駆動にソーラーパネルの電力を利用することで、更に管理を低減することができる。
更に、複数のブロックの各緑化槽2に、前述の陸地型、水中植物型、およびビオトープ型のいくつかの緑化槽を適宜組み合わせ使用することにより、ヒートアイランド現象をより効果的に低減できるとともに、屋上の景観を良好にしてオアシスの機能を発揮させることができる。
図3は前述の例の緑化システムに用いられる緑化槽の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図であり、図4は図3に示す緑化槽に用いられる土壌ブロックを示す斜視図である。
図3(a)および(b)に示すように、緑化槽2内には、それぞれ同じ大きさの直方体形状に形成された所定数(図示例では、4個)の土壌ブロック29が並設されている。その場合、緑化槽2の側壁2aと土壌ブロック29との間および隣接する土壌ブロック29どうしの間には、それぞれ若干の隙間cが設定されている。この隙間cにより、土壌ブロック29に降った雨水や点滴型散水パイプ23から土壌ブロック29に点滴で供給された水等の植生に必要な水以外の余剰水がこの隙間に流出し、更に緑化槽越流部7および流出パイプ8を通して下部貯水槽9に流入するようになっている。
これらの土壌ブロック29は、植物が生育される土壌6を含んでいるとともに、土壌ブロック29が緑化槽2内に設置される前に、雑草を主体にする植物の種子が土壌ブロック29の土壌6中に予め含まれている(蒔かれている)。
図4に示すように、土壌ブロック29は底面板30とその外周縁に全周にわたって立設された側壁31とから構成されており、底面板30と側壁31とから構成される収容部に、種子を含んだ土壌6が収納されている。この土壌ブロック29の幅B(m)、長さL(m)、および高さの(土壌の厚さ)d(cm)は可搬可能にかつ緑化槽2の大きさに対応して決定されている。底面板30は、完全に遮水でない透水性の低い、つまり難透水性の板またはシートでで構成される。この底面板30には、例えば、合板(ベニヤ板)、合成樹脂の板、合成樹脂製のシートなどの市販のものを用いることができる。
また、側壁31は、運搬時に土壌6が崩れない程度の強さを有し、緑化槽2内に設置後には水を通過させ、いずれは(所定時間経過後には)腐敗して土壌の一部となる材料で構成される。この側壁31には、例えば、段ボール板あるいは厚手の紙等を用いることができる。更に、土壌6に予め含ませる植物の種子は、土壌ブロック29が緑化槽2に設置された後に植物の種子が発芽するとともに生育のし易い植物の種子がよい。植物としては特に限定されないが、生育後に手間や費用があまりかからなく、管理がし易い雑草等の植物が望ましい。
このような土壌ブロック29を用いることで、土壌6の運搬作業および緑化槽2への土壌6の収納作業がともに簡単にかつ作業時間を短縮できる。しかも、土壌ブロック29の設置前にこの土壌ブロック29の土壌6中に予め植物5の種子を含ませる(蒔く)ことで、土壌ブロック29の設置後に植物5の種子を蒔く作業を不要にできる。また、土壌ブロック29の植生の成長などに不具合が出たとき、その土壌ブロック6のみを交換すればよいだけであるので、維持管理がより一層容易となる。
図5は、本発明に係る緑化システムの実施の形態の他の例を模式的に示す全体概略図である。前述の例の緑化システムと同じ構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
図5に示すようにこの例の緑化システム1では、前述の例の緑化システム1における緑化槽2の土壌6に、図4に示す土壌ブロック29が図3に示すと同様に設置されている。
また、この例の緑化システム1では、点滴型散水パイプ23の小孔23aに代えて、所定数の点滴ノズル23bが点滴型散水パイプ23に設けられている。図示しないが点滴型散水パイプ23は分岐されており、各点滴ノズル23bは、図3(a)および(b)に示すように、それぞれ各土壌ブロック29の中心位置となるように配設されている。
このように点滴ノズル23bが配設された場合、各点滴ノズル23b間の間隔は緑化槽2の大きさ、つまり土壌ブロック29の大きさに基づいて決定される。そして、土壌6に散水する場合の散水量q0(cm3)、散水時間の間隔T(hour)が、土壌6の含水率pが最適含水率となるように設定される。その場合、含水率pは土壌6中に含まれる水の重さを、水を含む土壌6の重さで割った値である(単位なし。なお、両重さの単位は同一であり、例えばkg等で与えられる)。また、最適含水率は、植生の成長が維持でき、枯死しない程度の含水率pである。
土壌6中の含水率pは、次のようにして求められる。理論解析の結果、含水率pは次の2つのパラメータα,βによって決まることがわかった。
Figure 2007267732
Figure 2007267732
そして、含水率pはこれらのパラメータα,βにより、
Figure 2007267732
で与えられる。これらの数式1ないし3において、Lは点滴ノズル23bの間隔(m)で図3(a)に示す土壌ブロック29の幅B(m)あるいは長さL(m)のいずれか一方を緑化槽2の設置場所等状況に応じての適宜選択して用いられる。この場合、土壌ブロック29間等の隙間c(cm)は幅B(m)および長さL(m)に比してきわめて小さいので無視し、点滴ノズル25bの間隔L(m)は実質的に幅B(m)あるいは長さL(m)とみなすことができる。また、λは土壌の空隙率であり、空隙率は土壌6中の空隙の体積を土壌の体積で割った値(単位なし)である。更に、kは透水係数または拡散係数(cm/s)である。更に、evは単位時間(sec)当たりでかつ単位面積当たりの蒸発量(cm3/s/cm2)、evは単位時間(sec)当たりでかつ単位面積当たりの隔離板3からの漏水量(cm3/s/cm2)である。
そして、数式2によりパラメータβを求め、求めたβと、緑化槽2の設置状況に応じて最適に設定した含水率pとに基づいて、数式3によりパラメータαを求める。最後に、求めたαに基づいて、数式1により散水時間の時間間隔T(hour)を求める。
また、この例の緑化システム1によれば、緑化槽2の土壌6に、緑化槽2の大きさに基づいて予め設定された土壌ブロック29を用いているので、緑化槽2の設置がきわめて簡単になる。しかも、土壌ブロック29の設置前にこの土壌ブロック29の土壌6中に予め植物5の種子を含ませている(蒔いている)ので、土壌ブロック29の設置後に植物5の種子を蒔く作業が不要となり、緑化システム1の設置作業をきわめて簡単にできかつ設置時間を効果的に短縮できる。特に、植物の種子として雑草の種子を用いることにより、緑化システムの設置場所を含む周辺地域の生態系を保全維持可能となり、植物の遺伝子の保全の点でも意義が大きいものとなる。
この例の緑化システム1の他の構成および他の作用効果は、前述の例と実質的に同じである。
図6は、本発明に係る屋上緑化システムの実施の形態の一例を模式的に示す全体概要図である。
図6に示すように、この例の屋上緑化システム34は、所定数(図示例では、3個)の緑化システム1a,1b,1cを用いている。これらの緑化システム1a,1b,1cは、一般住宅等の木造の家屋の傾斜屋根にその傾斜に沿って上からこれらの順に階段状に並設されている。その場合、家屋の屋根構造のうち、瓦、スレートなどの屋根構造部分に代えて、これらの緑化システム1a,1b,1cが直接屋根構造の基礎部分に設置されている。各緑化システム1a,1b,1cには、基本的には前述の図1および図5に示す例のいずれかの緑化システム1が採用されている。
最上位置に設置される緑化システム1aは、実質的に図1および図5に示す例のいずれかの緑化システム1と同じ構成とされている。したがって、緑化システム1aは、植物が植えられている土壌6が収納された緑化層2、隔離板3、流出パイプ8、底部貯水槽4、下部貯水槽9、揚水ポンプ19、揚水ホース20、開閉バルブ22、点滴型散水パイプ23、二次利用水パイプ32、および開閉バルブ33を備えている。この緑化システム1aの緑化層2、隔離板3、および底部貯水槽4は、図示しない傾斜屋根に立設された支持台枠35に水平に設置されている。また、緑化システム1aの下部貯水槽9は、図示しない傾斜屋根に立設された共通の支持台枠36に水平に設置されているとともに、上部貯水槽17は緑化システム1aの緑化層2の上部に設置されている。更に、揚水ポンプ19は支持支柱37に取り付けられている。
最上位置にある緑化システム1aに隣接し一段下の中間位置にある緑化システム1bは、植物が植えられている土壌6が収納された緑化層2、隔離板3、流出パイプ8、および底部貯水槽4を備えている。その場合、中間位置にある緑化システム1bの一端部は最上位置にある緑化システム1aの一端部の下に位置して、両緑化システム1a,1bは上下方向に部分的にオーバーラップしている。また、最上位置にある緑化システム1aの流出パイプ8は中間位置にある緑化システム1bの底部貯水槽4に連通していて、緑化システム1aからの余剰水が流出パイプ8を通して緑化システム1bの底部貯水槽4に流入するようになっている。更に、中間位置にある緑化システム1bの点滴型散水パイプ23は、最上位置にある緑化システム1aの点滴型散水パイプ23と一体にされている。
この緑化システム1bの緑化層2、隔離板3、および底部貯水槽4は、同じく傾斜屋根に立設された支持台枠38に水平に設置されている。その場合、緑化システム1bにおける緑化層2、隔離板3、および底部貯水槽4の共通槽と、緑化システム1aの支持支柱39との間の隙間の領域、および緑化層2より上方の支持台枠35と支持支柱39の設置領域が、それぞれ雨じまり40で締め切られている。この雨じまり40により、降雨時に雨水が共通槽と支持支柱39との間の隙間および緑化層2より上方の支持台枠35と支持支柱39の設置領域を通って屋根裏等の屋内へ浸入するのが防止される。
ところで、図7に示すように、上段に配置される緑化層2、隔離板3、および底部貯水槽4の共通槽と、下段に配置される緑化層2、隔離板3、および底部貯水槽4の共通槽との間の段差が比較的に大きい場合には、雨じまり40に例えば開閉窓や引き違い窓等の窓44が設けられるようにする。この窓44により、屋根裏の温度が高くなったときにこの窓44を開いて屋根裏内の換気を行うことが可能となる。
中間位置にある緑化システム1bに隣接し更に一段下の最下位置にある緑化システム1cは、中間位置にある緑化システム1bと同様に、植物が植えられている土壌6が収納された緑化層2、隔離板3、流出パイプ8、および底部貯水槽4を備えている。その場合、最下位置にある緑化システム1cの一端部は中間位置にある緑化システム1bの一端部の下に位置して、両緑化システム1b,1cは上下方向に部分的にオーバーラップしている。また、中間位置にある緑化システム1bの流出パイプ8は最下位置にある緑化システム1cの底部貯水槽4に連通していて、緑化システム1bからの余剰水が流出パイプ8を通して緑化システム1cの底部貯水槽4に流入するようになっている。更に、最下位置にある緑化システム1bの点滴型散水パイプ23は、中間位置にある緑化システム1aの点滴型散水パイプ23と一体にされている。
この緑化システム1cの緑化層2、隔離板3、および底部貯水槽4は、共通の支持台枠36に水平に設置されている。その場合、緑化システム1cにおける緑化層2、隔離板3、および底部貯水槽4の共通槽と、緑化システム1bの支持支柱41との間の隙間が前述と同様に雨じまり42で締め切られている。これにより、降雨時に雨水が共通槽と支持支柱41との間の隙間を通って屋根裏へ浸入するのが防止される。上段の共通槽と下段の共通槽との間の段差が比較的大きい場合には、前述の雨じまり40の場合と同様に雨じまり42にも、窓44と同様に換気のための窓を設けるようにする。
最下位置にある緑化システム1cの底部貯水槽4は、取水パイプ43を介して下部貯水槽9に連通されている。したがって、最上位置にある緑化システム1aの底部貯水槽4の余剰水が中間位置にある緑化システム1bの底部貯水槽4に流入し、また、中間位置にある緑化システム1bの底部貯水槽4の余剰水が最下位置にある緑化システム1cの底部貯水槽4に流入し、更に、最下位置にある緑化システム1cの底部貯水槽4の水が取水パイプ43を介して下部貯水槽9に流入する。更に、例えば強降雨時には最下位置にある緑化システム1cの底部貯水槽4の水が所定量以上になったとき、緑化システム1cの流出パイプ8を通して外部に流出するようになっている。この最下位置にある緑化システム1cの流出パイプ8の上端は、底部貯水槽4内に位置するようにされている。
図6に示す例の屋上緑化システム34は、例えば図8(a)に示すように、南側の傾斜屋根と北側の傾斜屋根とをともに有する家屋の屋根に図6に示すと同様に設置することができる。その場合、瓦を葺く前の屋根構造部材45に屋上緑化システム34を設置する。このように瓦を葺かない屋根構造部材45に屋上緑化システム34を設置することで、屋上緑化システム34の設置が容易になる。また、屋根構造部材45に瓦の重量がかからないので、屋上緑化システム34を屋根構造部材45に設けても、その分、屋根構造部材45の負荷が軽減される。また、屋上緑化システム34は、図8(b)に示すように、南側に傾斜する傾斜屋根のみを有する家屋の屋根に図6に示すと同様に設置することもできる。更に、図示しないが、屋上緑化システム34は東あるいは西側に傾斜する家屋の屋根に図6に示すと同様に設置することもできる。なお、図8(a)および(b)中、符号1aないし1fは、図6に示す符号1aないし1cと同様の緑化システムを示している。また、瓦が屋根構造部材45に葺かれた屋根にこの例の屋上緑化システム34を設置することもできる。しかし、この場合には、屋上緑化システム34の屋根構造部材45への設置が面倒になるとともに、瓦の重量により屋根構造部材45の負荷が大きくなるので、前述のように屋上緑化システム34は瓦を葺かない屋根構造部材45に設置することもできる。
このようにこの例の屋上緑化システム34によれば、一般住宅等の木造の家屋に所定数の緑化システム1を傾斜屋根の傾斜に沿って階段状に設けているので、木造の家屋において緑化システム1の前述の作用効果である家屋内の温度軽減効果をより効果的に得ることができる。また、下部貯水槽9および底部貯水槽4に家屋に降った雨水を貯留するようにしているので、この雨水を家屋の二次用水として効果的に利用することができる。このように二次用水として利用することで、緑化システム1の前述の作用効果である家屋に降った雨水の流出削減効果をより効果的に得ることができる。
更に、所定数の緑化システム1を家屋の屋根の瓦やスレートに代えて利用することで、屋上緑化システム34を家屋の屋根に設けても、瓦やスレートを用いない分、コストを低減することができる。
このように、一般住宅等の木造の家屋の屋根にこの例の屋上緑化システム34を設けることで、太陽光等による家屋内の温度上昇および雪等による家屋内の温度降下を効果的に軽減して家屋内をできるだけ最適な温度に保持することができる。しかも、家屋に降った雨水の流出をより効果的に削減し、更に貯留した雨水を家屋での生活用水のうち、水道水を用いなくても済む生活用水に二次用水として利用することができ、生活費を低減することができる。
点滴型散水装置21の作動を制御装置により自動制御することで、給水管理および屋上緑化システムのメインテナンスを簡単にすることができる。
なお、前述の例では、階段状に並設された緑化システム1a,1b,1cが、瓦やスレートなどの屋根構造部分に代えて設けているが、これらの緑化システム1a,1b,1cは、瓦やスレートなどの上に(つまり、瓦やスレートの上に載置して)に設けることもできる。
図9は、本発明に係る屋上緑化システムの実施の形態の他の例を模式的に示す全体概要図である。
前述の図6に示す例の屋上緑化システム34では、家屋の傾斜屋根に設けているが、図9に示すように、この例の屋上緑化システム34は、家屋の傾斜していない水平の屋根(屋上)に設けられている。
水平の屋上を有する家屋では、屋上のみで屋上緑化システム34の前述の作用効果、つまり温度削減効果、雨水の流出削減効果、および二次用水の効果が得られる。しかし、所定数の緑化システム1が階段状に設けられる傾斜屋根を有する家屋に比べると、これらの効果は若干少ない。
この例の屋上緑化システム34の他の構成および他の作用効果は、前述の図6に示す例の屋上緑化システム34と実質的に同じである。
なお、前述の各例において、緑化槽2が設けられる部分を底部貯水槽4と同じ水平断面積でかつ底部貯水槽4とは別体の緑化槽として形成してこの緑化槽を底部貯水槽4の上に取り外し可能に設置してもよい。その場合、緑化槽2の底部に隔離板3を設けるとともに、この隔離板3の上に緑化槽2を形成するようにする。更に、底部貯水槽4の水平断面積の大きさを緑化槽のそれよりも大きく形成することもできるが、このとき、底部貯水槽4の上部開口部が部分的に上方に開放する場合には、その開放部分は閉塞するようにする。これにより、底部貯水槽4内の水が前述と同様に腐敗するのが抑制される。
また、緑化槽2、底部貯水槽4、下部貯水槽9および上部貯水槽17をいずれも平面視矩形状に形成するものとしているが、これに限定されるものではなく、それぞれ個別に種々の形状に形成することもできる。更に、散水装置として点滴型散水装置21に限定されることはなく、従来公知の散水装置を用いることもできる。
本発明の屋上緑化システムは、家屋の屋上や屋根を緑化する屋上緑化システムに利用することができる。特に、太陽光等による家屋内の温度上昇および雪等による家屋の温度降下を抑制して家屋内の温度をできるだけ最適な温度に保持しつつ、家屋の屋上や屋根に降る雨による家屋周囲の洪水等を抑制し、更には雨水を有効に利用することのできる屋上緑化システムに好適に利用することができる。
本発明に係る屋上緑化システムの実施の形態の一例に用いられる緑化システムを模式的に示す全体概略図である。 図1に示す例の屋上緑化システムに用いられる緑化システムの隔離板を示し、(a)は縦横に整列された多数の小孔を示す図、(b)はランダムに配置された多数の小孔を示す図である。 前述の各例に用いられる緑化槽の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。 図3に示す緑化槽に用いられる土壌ブロックを示す斜視図である。 本発明に係る屋上緑化システムに用いられる緑化システムの他の例を模式的に示す全体概略図である。 本発明に係る屋上緑化システムの実施の形態の一例を模式的に示す全体概略図である。 図6に示す例の屋上緑化システムを設置したときの変形例を模式的に示す部分概略図である。 図6に示す例の屋上緑化システムを設置する屋根のパターンを模式的に示し、(a)は南北に傾斜する屋根への屋上緑化システムの設置を示す概略図、(b)は南側のみに傾斜する屋根への屋上緑化システムの設置を示す概略図である。 本発明に係る屋上緑化システムの実施の形態の他の例を模式的に示す全体概略図である。
符号の説明
1…緑化システム、2は緑化槽、3は隔離板、4は底部貯水槽、5は植物、6は土壌、7は緑化槽越流部、8…流出パイプ、9…下部貯水槽、10…隔壁、11…第1下部水槽、12…第2下部水槽、13…下部貯水槽越流部、14…逆止弁、15…第2下部水槽越流部、16…第2下部水槽用水取り出し口、17…上部貯水槽、18…水、19…揚水ポンプ、20…揚水ホース、21…点滴型散水装置、22…開閉バルブ、23…点滴型散水パイプ、24…第1連結ホース(管)、25…第2連結ホース(管)、26…第3連結ホース(管)、27…第4連結ホース(管)、29…土壌ブロック、30…底面板、31…側壁、34…屋上緑化システム、40,41…雨じまり

Claims (7)

  1. 家屋の屋上または屋根を緑化する屋上緑化システムにおいて、
    所定数の緑化システムが前記屋上または屋根に並設されており、
    前記所定数の緑化システムは、それぞれ、植物が生育される緑化槽と、前記緑化槽の下に、この緑化槽を浸透した水が貯えられる底部貯水槽とを少なくとも備えており、
    更に、前記緑化槽のすべてより下方に設置され、前記所定数の緑化システムの前記緑化槽および前記底部貯水槽から流出する水を貯える下部貯水槽と、前記緑化槽のすべてより上方に設置された上部貯水槽と、前記下部貯水槽内に貯えられた水を揚水して前記上部貯水槽に供給する揚水手段と、前記上部貯水槽内に貯えられた水を前記植物に散水する散水装置とを備えていることを特徴とする屋上緑化システム。
  2. 家屋の屋上または屋根が傾斜しており、
    前記所定数の緑化システムのそれぞれの前記緑化槽および前記底部貯水槽が、前記屋上または屋根の傾斜に沿って階段状に並設されていることを特徴とする請求項1記載の屋上緑化システム。
  3. 前記屋上または屋根はその最上構造に瓦またはスレートが設けられていない屋上または屋根であり、
    前記所定数の緑化システムのそれぞれの前記緑化槽および前記底部貯水槽が、屋上または屋根の最上構造として設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の屋上緑化システム。
  4. 並設された前記所定数の緑化システムの前記緑化槽および前記底部貯水槽のうち、1つの緑化システムの緑化槽および底部貯水槽がこれらに隣接する緑化システムの底部貯水槽に連通し、また、この隣接する緑化システムの緑化槽および底部貯水槽が更にこれらに隣接する緑化システムの底部貯水槽に連通するようにして、前記所定数の緑化システムの前記緑化槽および前記底部貯水槽が並設されており、最後の緑化システムの底部貯水槽が前記下部貯水槽に連通していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の屋上緑化システム。
  5. 前記緑化システムのそれぞれは、前記緑化槽と前記底部貯水槽との間を隔離する隔離板を備えているとともに、前記緑化槽に植物が生育される土壌が収納されており、前記隔離板は、前記緑化槽を通して浸透してきた水を前記底部貯水槽に透水させるとともに前記底部貯水槽に貯えられている水の蒸発水を前記緑化槽の土壌に透水させる透水性を有し、前記緑化槽に降った雨水および前記散水装置からの散水の少なくとも一方が前記緑化槽および前記隔離板を通して前記底部貯水槽内に貯えられるとともに、前記底部貯水槽内の水の蒸発水が前記隔離板を通して前記緑化槽の土壌に透水するようになっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載の緑化システム。
  6. 前記緑化槽の土壌に、互いに並設された所定数の可搬の土壌ブロックが用いられていることを特徴とする請求項5記載の緑化システム。
  7. 前記土壌ブロックが前記緑化槽内に設置される前に、植物の種子が前記土壌ブロックの土壌中に予め含まれていることを特徴とする請求項6記載の緑化システム。
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