JP2004136694A - インクジェットヘッドの製造方法及びそのヘッドを用いたインクジェットプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 Si基板を異方性エッチングして形成するインクジェットヘッドにおいて、振動板の厚み精度を向上させて、吐出の安定性を増すことにより、安定した高品質の印字を可能とする。
【解決手段】 ボロンドープ層46が形成され、酸化膜42がパターニングされているSi基板41を35w%水酸化カリウム水溶液で、ボロンドープ層46に達する直前までエッチングし、次いで5w%水酸化カリウム水溶液でエッチングを継続してエッチングストップさせる。さらにエッチングを継続し、所定の振動板厚みになるまでエッチングする。この方法により、エッチングストップに至るまでのエッチング面81の面荒れを抑え、エッチングストップ面82からの追加エッチングによって面荒れが低下する、という効果により、エッチング面83の面荒れがさらに低下し、振動板5の厚み精度を2±0.025ミクロンにできる。
【選択図】 図8

Description

 本発明は、記録を必要とする時にのみインク液滴を吐出し、記録紙面に付着させるインクジェットヘッド記録装置の主要部であるインクジェットヘッドの製造方法およびその製造方法により得られたインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタに関する。
 インクジェット記録装置は、記録時の騒音が極めて小さいこと、高速印字が可能であること、インクの自由度が高く安価な普通紙を使用できることなど多くの利点を有する。この中でも記録が必要な時にのみインク液滴を吐出する、いわゆるインク・オン・デマンド方式が、記録に不要なインク液滴の回収を必要としないため、現在主流となってきている。
 このインク・オン・デマンド方式のインクジェットヘッド記録装置には、インクを吐出させる方法として、駆動手段に静電気力を利用したインクジェットヘッド記録装置があり(特開平6−71882号公報)、この方式は小型高密度・高印字品質及び長寿命であるという利点を有している。
 この静電気力を駆動源とするインクジェットヘッドにおいては、振動板の機械的変形特性はインク吐出特性に大きく影響し、振動板の厚みを高精度に制御する必要がある。従来、振動板をSi基板をエッチングして形成する場合、エッチング時間を管理して振動板の厚みを管理する方法が取られてきた。しかし、インクジェットヘッドの小型高性能化が進むにしたがって、振動板は薄膜化し、更に厚み精度が要求されるようになると、エッチング時間管理だけでは困難となってきた。そこで、特開平6−71882号公報20頁15行又は特開昭53−63880号公報10頁46行にもあるようなエッチストップ技術を用い、p型不純物層のエッチング速度が遅いことを利用し、p型不純物層のみをエッチングにより残留せしめて、振動板となる薄膜を形成する方法が取られるようになってきた。
 しかしながら、前記のインクジェットヘッドの振動板の製造方法では、p型不純物層でのエッチングレートが低下した時点での振動板の板厚ムラが大きく、2ミクロンの振動板厚みに対して、1ミクロンの厚みムラが発生していた。したがって、振動板の剛性が振動板内で一定とならないため、吐出性能が安定しないという課題があった。
 そこで、本発明は上記した様な課題を解決するためのもので、その目的とするところは、振動板の厚み精度を向上させ、安定したインク吐出性能で優れた印字品質のインクジェットヘッドの製造方法を提供するところにある。
 本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、
 インク液滴を吐出する単一または複数のノズル孔と、ノズル孔の各々に連結する吐出室と、吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板と、振動板に変形を生じさせる駆動手段とを備え、駆動手段が振動板を静電気力により変形させる電極からなり、振動板が高濃度p型不純物層からなるSi基板であるインクジェットヘッドの製造方法において、前記Si基板の高濃度p型不純物層が形成された面の反対面から低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングし、高濃度p型不純物層を残留せしめて振動板を形成し、残留せしめた振動板を低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングすることを特徴とする。
 また、前記インクジェットヘッドの製造方法において、Si基板の高濃度p型不純物層が形成された面の反対面の、高濃度p型不純物層の近傍までのSi基板のエッチングを高濃度水酸化カリウム水溶液で行い、高濃度p型不純物層の近傍から高濃度p型不純物層までのエッチングを低濃度水酸化カリウム水溶液で行い、高濃度p型不純物層を残留させて振動板を形成することを特徴とし、さらに、前記した高濃度水酸化カリウム及び低濃度水酸化カリウムを使用して形成した振動板を、低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングすることを特徴とする。
 また、前記した低濃度水酸化カリウム水溶液の濃度が、0.5〜10w%(重量%、以下本明細書では同様)であることを特徴とし、あるいは、高濃度水酸化カリウム水溶液の濃度が、30〜55w%であることを特徴とする。
 また、前記高濃度p型不純物層が高濃度ボロンドープ層であることを特徴とする。
 さらに、前述の製造方法により得られたインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタであることを特徴とする。
 インクジェットヘッドの振動板形成において、低濃度水酸化カリウム水溶液のみでエッチングしたときにエッチングストップ時に残存する振動板エッチング面の面荒れを、エッチングストップ状態からさらに追加エッチングすることによって改善できたことにより、振動板の厚み精度が向上し、インク吐出性能が安定したインクジェットヘッドを提供できた。また、高濃度水酸化カリウム水溶液を用いたエッチング面荒れを抑えた初期エッチング、継続する低濃度水酸化カリウム水溶液によるエッチングストップによって振動板の面荒れを改善できたことにより、振動板の厚み精度の向上が可能となり、印字品質の優れたインクジェットヘッドが得られた。
 さらに、高濃度水酸化カリウム水溶液による初期エッチング、低濃度水酸化カリウム水溶液によるエッチングストップを行って振動板を形成し、継続して低濃度水酸化カリウム水溶液で振動板をさらに追加エッチングを行うことよって、振動板の面荒れを低く抑えることができるようなったことにより、振動板の厚み精度をさらに高めることが可能となり、印字品質がより優れたインクジェットヘッドおよびインクジェットプリンタを提供できるようになった。
作用
 Si基板を異方性エッチングすることによって作製されるインクジェットヘッドにおいて、高濃度p型不純物層でのエッチングレートが極度に低下する現象を利用し、高濃度p型不純物層をエッチングにより薄膜として残留させることによって、板厚精度の高い振動板を高濃度p型不純物層で形成する。
 以下に、本発明の好適な例を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
 図1は、本発明の第1の実施例におけるインクジェットヘッドの分解斜視図で、一部断面図で示してある。本実施例はインク液滴を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるフェイスインクジェットタイプの例を示すものである。図2は組み立てられた全体装置の側面の断面図、図3は図2のA−A´線矢視図である。本実施例のインクジェットヘッドは、下記に詳記する構造を持つ3枚の基板1・2・3を重ねて接合した積層構造となっている。
 中間の第1の基板1は、Si基板であり、底壁を振動板5とする吐出室6を構成することになる凹部7と、凹部7の後部に設けられたオリフィス8を構成することになるインク流入口のための細溝9と、各々の吐出室6にインクを供給するための共通のインクキャビティ10を構成することになる凹部11を有する。第1の基板1の全面に、熱酸化により酸化膜12を0.1ミクロン形成して絶縁膜としている。これは、インクジェット駆動時の絶縁破壊、ショートを防止するためである。
 第1の基板1の下面に接合される第2の基板2は、ホウケイ酸ガラスを使用し、この基板2に電極13を装着するための凹部14を0.3ミクロンエッチングすることにより、振動板5とこれに対向して配置される電極13との対向間隔、すなわちギャップGを形成している。この凹部14はその内部に電極13、リード部15及び端子部16を装着できるように電極部形状に類似したやや大きめの形状にパターン形成している。電極13は凹部14内にITOを0.1ミクロンスパッタし、ITOパターンを形成することで作製する。したがって、本実施例における第1の基板1と第2の基板2を陽極接合した後のギャップGは0.2ミクロンとなっている。
 また、第1の基板1の上面に接合される第3の基板3には、厚さ100ミクロンのSi基板を用い、基板3の面部に、吐出室6用の凹部7と連通するようにそれぞれノズル孔17を設け、またインクキャビティ10用の凹部11と連通するようにインク供給口18を設ける。
 上記のように構成されたインクジェットヘッドの動作を説明する。電極13に発信回路19により0Vから35Vのパルス電位を印加し、電極13の表面がプラスに帯電すると、対応する振動板5の下面はマイナス電位に帯電する。したがって、振動板5は静電気の吸引作用により下方へたわむ。次に、電極13をOFFにすると、振動板5は復元する。そのため、吐出室6内の圧力が急激に上昇し、ノズル孔17よりインク液滴20を記録紙21に向けて吐出する。次に、振動板5が再び下方へたわむことにより、インクがインクキャビティ10よりオリフィス8を通じて吐出室6内に補給される。なお、基板1と発信回路19との接続は、ドライエッチングにより基板1の一部に開けた酸化膜12の窓(図示せず)において行う。
 本実施例のインクジェットヘッドにおける振動板5は、高濃度p型不純物層でであって、高濃度p型不純物層は所望の振動板厚と同じだけの厚さを有している。なお、高濃度p型不純物層を形成する不純物としては、ボロン・ガリウム・アルミニウム等があるが、半導体分野においてはp型不純物層を形成する不純物としボロンが一般的であり、本実施例においてもボロンを不純物とした。したがって、高濃度p型不純物層を高濃度ボロンドープ層とした場合について以降説明する。アルカリによるSiエッチングにおけるエッチングレートは、ドーパントがボロンの場合、高濃度(約5×1019cm-3以上)の領域において、エッチングレートが非常に小さくなる(図6)。本実施例では、このことを利用し、振動板形成領域を高濃度ボロンドープ層とし、アリカリ異方性エッチングにより、吐出室、インクキャビティを形成する際に、ボロンドープ層が露出した時点でエッチングレートが極端に小さくなる、いわゆるエッチストップ技術により、振動板5を所望の板厚に作製するものである。
 本実施例におけるインクジェットヘッドの第1の基板1の製造方法を、図4の第1の基板の拡散工程図において、B23 を不純物拡散源として、2ミクロンの振動板5を形成する場合について詳細に説明する。
 先ず、(110)を面方位とするSi基板の両面を鏡面研磨し、180ミクロンの厚みの基板41を作製する(図4(a))。Si基板41を、熱酸化炉にセットし、酸素及び水蒸気雰囲気中で摂氏1100度、4時間で熱酸化処理を施し、基板41表面に酸化膜42を1.2ミクロン成膜する(図4(b))。次いで、ボロンドープ層を形成する面43の酸化膜42を剥離するため、基板41のボロンドープ層を形成する面43の反対側の面44にレジストをコート、レジストを保護膜としてボロンドープ層を形成する面43の酸化膜42をフッ酸水溶液にてエッチング除去し、レジストを剥離する(図4(c))。拡散源となるB23 を有機溶剤中に3.15w%を分散した拡散剤45を、酸化膜42を除去した面43に2000rpm,1分間の条件でスピンコーティングし、クリーンオーブン中で摂氏140度の温度で30分間ベークする(図4(d))。このとき拡散剤の厚みは1.2ミクロンとなる。
 拡散剤45をコーティングした基板41を熱酸化炉にセットし、酸素雰囲気中、摂氏600度の条件で加熱し、拡散剤45中の有機バインダーを酸化除去しB23 を焼成する。引き続き炉内を窒素雰囲気にし、温度を摂氏1100度に上昇させ、そのまま温度を12時間保持し、ボロンをSi基板中に拡散させ、ボロンドープ層46を形成する。この時、B23 と基板表面ボロンドープ層の界面にボロン化合物47が形成されている(図4(e))。
 ボロンドープ層46を形成した面の反対側44にレジストをコートし、拡散剤45をフッ酸水溶液によりエッチング除去する(図4(f))。基板表面に現れたボロン化合物47は耐エッチング性が高く、ウェットエッチングによる除去が不可能なため、次のような手段をとる。まず、基板41のレジストを剥離した後、基板41を酸化炉にセットし、酸素及び水蒸気雰囲気、摂氏600度の条件でボロン化合物47を1時間酸化し、フッ酸水溶液によるエッチングが可能なB23 +SiO2 に化学変化させる。なお、酸化の温度が低いため、拡散が進行することはなく、ボロン化合物47を酸化せずドライエッチングで除去することも可能である。拡散面のボロン化合物47を酸化してB23 +SiO2 に化学変化させた状態でさらに熱酸化して、ボロンドープ層側に1.2ミクロンの酸化膜48を形成する(図4(g))。続けて、酸化膜側44に吐出室6、インクキャビティ10を作り込むためのレジストパターニングを施し、フッ酸水溶液でエッチングし酸化膜42をパターニングする。そして前記基板41のレジストを剥離する(図4(h))。
 以上が、高濃度ボロンドープ層の形成を塗布法で実施した場合であり、他に高濃度のドープ層を形成する手段として、ボロン拡散板をSi基板に対向させて熱拡散を行う方法がある。
 Si基板のエッチング工程を経た後、基板41に残留する酸化膜42をフッ酸水溶液を用いエッチング除去した後、基板41の表面に熱酸化によって酸化膜12を0.1ミクロン成膜し、第1の基板1が作製される。
 本発明の第1の実施例であるエッチング工程を、濃度が5w%の水酸化カリウム水溶液であるエッチング液において行う場合について、図5の第1の基板のエッチング工程図において説明する。酸化膜42をパターニングした基板41(図5(a))を10w%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、Siエッチングを行う。酸化膜42をパターニングした側のSiが露出している部分51から基板41がエッチングされて行き、ボロンドープ層46に達した時、エッチングが停止してボロンドープ層46が残留せしめ、ボロンドープ層46が振動板5となる(図5(b))。しかし、ボロンドープ層46に達するまでに発生するエッチング面52の面荒れは10ミクロンであるため、ボロンドープ層46でのエッチングレートの低下によるエッチングストップによって、前記の面荒れが低減されても、エッチングストップ時(図5(c))の振動板5表面のエッチング面53の面荒れは1ミクロンである。したがって、振動板5はエッチング面53の面荒れにより1ミクロンの板厚ムラを有することになる。ここで、エッチングストップとは、エッチングにエッチング面から発生する気泡が停止した状態と定義し、実際のエッチングにおいて気泡の発生の停止をもってエッチングストップと判断する。
 前記エッチングストップの状態(図5(c))からさらにエッチングを継続し、振動板5を所定の厚みになるようにエッチング量を制御する(図5(d))。
エッチングが進むにつれてボロンドープ層46のボロン濃度も拡散面表面に向かって高くなり、エッチングレートもボロン濃度の増加に応じて低下するため、エッチング面54の面荒れが小さくなっていく。なお、追加エッチングのエッチング量を予測して、拡散条件を調整しボロンドープ層46の厚みを確保することは言うまでもない。
 前記エッチングストップした状態からの追加エッチングによって、振動板5の厚み精度を2±0.3ミクロン以下にすることができ、インクジェットヘッドのインク吐出性能を安定化することができた。
(実施例2)
 本発明の第2の実施例であるエッチング工程を、濃度が35w%濃度の水酸化カリウム水溶液、及び5w%濃度の水酸化カリウム水溶液であるエッチング液において行う場合について、図7の第1の基板のエッチング工程図において説明する。
 前記第1の実施例で説明した方法でボロンドープ層46を形成し、酸化膜42をパターニングしたSi基板41(図7(a))を形成する。ただし、拡散時間は8時間に変更する。次に、Si基板41を35w%水酸化カリウム水溶液でエッチングし、エッチングをボロンドープ層46に達する直前(残り10ミクロン程度)まで行う(図7(b))。前記35w%水酸化カリウム水溶液でのエッチングでは、エッチング面71の面荒れが1ミクロン以下に抑えられる。次にエッチング液を5w%水酸化カリウム水溶液に変え、エッチングを継続してエッチングストップさせる(図7(c))。本例の場合、ボロンドープ層46に達するまでのエッチング面の面荒れが、5w%水酸化カリウム水溶液単独でエッチングしてきた時に比べ10分の1以下に抑えられるため、エッチングストップ時のエッチング面72の面荒れは0.1ミクロン以下になる。以上の2種類のエッチング液を使用してエッチングを行うことで、振動板5の厚み精度を2±0.05ミクロンにすることができ、吐出安定性の優れたインクジェットヘッドを提供できた。
(実施例3)
 本発明の第3の実施例であるエッチング工程を、35w%濃度の水酸化カリウム水溶液、5w%濃度の水酸化カリウム水溶液をエッチング液において行い、かつエッチングストップした状態から追加エッチングする場合について、図8の第1の基板のエッチング工程図において説明する。
 前記第1の実施例で説明したように、ボロンドープ層46が形成され、酸化膜42をパターニングされているSi基板41(図8(a))を35w%水酸化カリウム水溶液で、エッチングがボロンドープ層46に達する直前(残り10ミクロン程度)まで行い(図8(b))、5w%水酸化カリウム水溶液で、エッチングを継続してエッチングストップさせる(図8(c))。さらに、エッチングストップ状態からのエッチングを継続し、所定の振動板厚みになるまでエッチングする(図8(d))。 
 前記のエッチング方法により、エッチングストップに至るまでのエッチング面81の面荒れを抑えたこと、エッチングストップ面82からの追加エッチングによって面荒れが低下すること、という2つの効果により、エッチング面83の面荒れがさらに低下し、振動板厚み精度を2±0.025ミクロンにすることができた。そして、振動板厚み精度をさらに向上させたことにより、インクジェットヘッドの吐出の安定性がさらに増した。
(実施例4)
本発明の第4の実施例である低濃度水酸化カリウム水溶液の濃度について、エッチング液濃度とエッチングストップ選択比(ボロンドープされたSiのエッチングレートに対するドープされていないSiのエッチングレートの比)の関係を示した図9において説明する。
 水酸化カリウム水溶液の低濃度エッチング液の濃度選定のポイントは、いかにエッチングストップ選択比を大きく取るかと言うことである。すなわち、エッチングストップによって、エッチングストップに至るまでに発生する面荒れ、及びSi基板厚みのばらつきをどれだけ吸収できかを意味し、エッチングストップ選択比は高いことが望ましい。ボロンドープ層46に至るまでのエッチング面の面荒れが低濃度エッチング液において10ミクロン程度であることを考慮すると、振動板厚み精度を最悪でも±0.3ミクロン以内に抑えるため、選択比は16以上必要となる。すなわち、選択比16以上を確保するためには、図9より水酸化カリウム水溶液の濃度は、10w%以下で良いことが解る。一方、水酸化カリウム水溶液は濃度が極端に低くなると、Siに対するエッチング能力が不安定になり易く、0.5w%より低い濃度では実用的ではない。したがって、インクジェットヘッド製造方法における振動板形成においてエッチングストップを目的とした低濃度水酸化カリウム水溶液の最適な濃度は0.5〜10w%であり、前記低濃度水酸化カリウムによって該振動板の面荒れを抑制できたことにより、印字品質の安定したインクジェットヘッドを提供できた。。
(実施例5)
本発明の第5の実施例である高濃度水酸化カリウム水溶液の濃度について、エッチング量と面荒れの関係を示した図10において説明する。
高濃度水酸化カリウム水溶液をエッチング液として使用する大きな目的は、ボロンドープ層46に達する直前までエッチング面の面荒れを抑えることであり、濃度の選定に当たっては、エッチングによって発生する面荒れのみに着目すれば良い。図10により、低濃度のエッチング液でのエッチング面荒れはボロンドープ層46に達する直前170ミクロンエッチングした状態においては、10ミクロン程度発生することが解る。低濃度水酸化カリウム水溶液において発生する10ミクロンの面荒れに対し、30w%以上のエッチング液では3ミクロン以下に面荒れが抑えられため、低濃度水酸化カリウムでエッチングストップまでエッチングしたときの面荒れは最大で0.2ミクロンまで抑えられる。よって、振動板の面荒れを低減するためには、水酸化カリウム水溶液の濃度を高めれば良いことが解るが、水酸化カリウム水溶液の調整可能な最高濃度は55w%である。したがって、印字性能が優れたインクジェットヘッドを実現するために必要される厚み精度を有する振動板を形成するためには、初期エッチング工程において使用される高濃度の水酸化カリウム水溶液の最適濃度は30〜55w%でなければならない。
本発明の第1の実施例におけるインクジェットヘッドの構造を分解して示す斜視図である。 本発明の第1実施例におけるインクジェットヘッドの断面側面図である。 図2のA−A´線矢視図である。 本発明の第1の実施例におけるインクジェットヘッドの第1の基板の製造工程を構成する拡散の工程図である。 本発明の第1の実施例におけるインクジェットヘッドの第1の基板の製造工程を構成するエッチングの工程図である。 本発明の第1の実施例におけるボロン濃度とエッチングレートの関係図である。 本発明の第2の実施例におけるインクジェットヘッドの第1の基板の製造工程を構成するエッチングの工程図である。 本発明の第2の実施例におけるインクジェットヘッドの第1の基板の製造工程を構成するエッチングの工程図である。 本発明の第4の実施例における水酸化カリウム濃度と選択比の関係図である。 本発明の第5の実施例におけるエッチング量と面荒れの関係図である。
符号の説明
   1  第1の基板
   2  第2の基板
   3  第3の基板
   5  振動板
6  吐出室
   7  凹部
   8  オリフィス
   9  細溝
  10  インクキャビティ
  11  凹部
  12  酸化膜
13  電極
  14  凹部
  15  リード部
  16  端子部
17 ノズル孔
18  インク供給口
  19  発信回路
  20  インク液滴
  21  記録紙
41  基板
42  酸化膜
  43  ボロンドープ層を形成する面
  44  反対側の面
45  拡散剤
46  ボロンドープ層
47  ボロン化合物
  48 酸化膜
  51  露出部分
  52,53 エッチング面
  54 エッチング面
71,72 エッチング面
  81,83 エッチング面
  82 エッチングストップ面
  G  ギャップ

Claims (7)

  1.  インク液滴を吐出する単一または複数のノズル孔と、該ノズル孔の各々に連結する吐出室と、該吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板と、該振動板に変形を生じさせる駆動手段とを備え、該駆動手段が該振動板を静電気力により変形させる電極からなり、該振動板が高濃度p型不純物層からなるSi基板であるインクジェットヘッドの製造方法において、前記Si基板の高濃度p型不純物層が形成された面の反対面から低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングし、該高濃度p型不純物層を残留せしめて振動板を形成し、残留せしめた該振動板を該低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2.  インク液滴を吐出する単一または複数のノズル孔と、該ノズル孔の各々に連結する吐出室と、該吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板と、該振動板に変形を生じさせる駆動手段とを備え、該駆動手段が該振動板を静電気力により変形させる電極からなり、該振動板が高濃度p型不純物層からなるSi基板であるインクジェットヘッドの製造方法において、前記Si基板の高濃度p型不純物層が形成された面の反対面の、該高濃度p型不純物層の近傍までのSi基板のエッチングを高濃度水酸化カリウム水溶液で行い、前記高濃度p型不純物層の近傍から該高濃度p型不純物層までのエッチングを低濃度水酸化カリウム水溶液で行い、前記高濃度p型不純物層を残留させて振動板を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 前記高濃度水酸化カリウム及び低濃度水酸化カリウムを使用して形成した振動板を、低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングすることを特徴とする請求項2記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 前記低濃度水酸化カリウム水溶液の濃度が、0.5〜10w%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  5.  前記高濃度水酸化カリウム水溶液の濃度が、30〜55w%であることを特徴とする請求項2または3記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  6.  高濃度p型不純物層が高濃度ボロンドープ層であることを特徴とする請求項1ないし2記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7.  請求項1ないし6のいずれか記載の製造方法により得られたインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタ。
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