JP2007290203A - インクジェット記録ヘッド及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 CR製法において、長R化した時の基板の反り、破損、オリプレの変形、破損を防止する。
【解決手段】 第1のエッチングと第2のエッチング(Si異方性エッチング)により基板下面に梁を一体物で作成する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、インクに熱エネルギーを作用させ、これにより発生する気泡の生成に基づいてインクを吐出口から吐出するインクジェット記録ヘッド及びその作製方法に関する。
インクを加熱して気泡を生成させ、この気泡の生成に基づいてインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行う、インクジェット記録方式(特開昭54−51837に記載)は、高速記録が可能であり、また比較的記録品位も高く、低騒音であるという利点を有している。この方法はカラー画像記録が比較的容易であって、普通紙等にも記録でき、装置の小型化も容易であり、さらに、記録ヘッドにおける吐出口を高密度に配設することができるので、高解像度、高品位の画像を高速で記録することができるといった多くの優れた利点を有している。この方法を用いた記録装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等における情報出力手段として用いることができる。
このようなインクジェット記録方式の記録ヘッドの一般的構造は、インクを吐出するために設けられた突出口と、これに連通してインクが満たされたインク路とこのインク路中に設けられた熱エネルギーを発生するための電気熱変換素子(以下、発熱体と記す)を具備している。発熱体は、発熱抵抗層とそれをインクから保護する上部の保護層と蓄熱するための下部の蓄熱層を具備している。これに電極配線を介してパルス的に通電(駆動パルスの印加)がなされることによって熱エネルギーを発生し、熱エネルギーの作用を受けた液体が過熱されて気泡を発生し、この気泡発生に基づく作用力によって、記録ヘッド部先端の吐出口から液滴が形成され、この液滴が被記録部材に付着して情報の記録が行われる。
近年、データ量の多い画像情報を被記録部材に出力する要求が高まり、高精細且つ高速な記録が望まれてきている。高精細な画像を出力するには小液滴を安定に吐出することとなるが、このためには高密度、且つ高精度に吐出口を形成する必要がある。
その形成方法として、特開平5−330066、及び特開平6−286149に示されたインクジェット記録ヘッドの吐出口の製造方法が提案されており、また、特開平10−146979にて前記の吐出口の形成方法においてインク供給口部上部のオリフィスプレートにリブ構造を有する形成方法が提案されている。
これらのインクジェット記録ヘッドは発熱体が形成された基板に対して、垂直方向にインク液滴が吐出するものであり、「サイドシュータ型」インクジェット記録ヘッドと称する構造を有する。
「サイドシュータ型」インクジェット記録ヘッドにおいて、高精細するに伴い吐出口の間隔が短くなり、これによりインク流路は狭くなる。インク流路が狭くなると発泡後にインクがインク流路に満たすに要する時間(リフィル時間)が長くなるため、発熱体とインク供給口との距離を短くする必要がある。インク供給口と発熱体との距離を制御できる方法として、アルカリ水溶液によるシリコンの結晶方位面に応じたエッチング速度差を利用するシリコン結晶異方性エッチングが知られている。この方法では、一般的に、基板として方位面が(100)のシリコンウエハを用いて基板裏面よりシリコン結晶異方性エッチングを行い精度良くインク供給口開口幅を形成し、発熱体とインク供給口との距離の制御を行う。より高精度な開口幅を提供するために、特開平10−181032では表面に形成した犠牲層と異方性エッチングを組み合せたインク供給口の作製方法が提案されている。
高精細インクジェット記録ヘッドを形成する上、このようなアルカリ水溶液を用いたシリコン結晶異方性エッチングは、インク供給口を精度良く作製でき有用な技術となっている。
特開昭54−51837号公報 特開平5−330066号公報 特開平6−286149号公報 特開平10−146979号公報 特開平10−181032号公報
しかしながら、高精細且つ高速に印字を行うには、特開平5−330066、特開平6−286149の製造方法において、吐出口数を増やし、印字出力幅を大きく取るヘッド構造とする必要がある。すなわち、図1に示す吐出口数を増やした長尺のインクジェット記録ヘッド(以下、長尺ヘッドと記す。)となる。吐出口数を増やすとインク供給口の開口長は吐出口数に対応して長くなり、基板の機械的強度が低下しインクジェット記録ヘッドを製造する上で基板の変形や破損等の問題が生じる。樹脂よりなるオリフィスプレートにリブを立てる構造を提案する特開平10−146979の作製方法では、オリフィスプレートがインクにて膨潤する際のオリフィスプレートの変形を防止することは可能であるが、樹脂が無機材料からなる基板と比べ、ヤング率が2桁から4桁程度小さく、ハンドリングに必要なインクジェット記録ヘッドの機械的強度は基板に因ることになり、長尺化に対応した機械的強度の改善を見込むことは困難である。長尺化に伴う機械的強度の低下で起きる基板の変形や破損等の問題点を以下に具体的に説明する。
(1)膜応力による基板の変形
基板上には、蓄熱層、発熱抵抗層、保護層、配線電極、及びオリフィスプレートが形成されている。このような複数の層からなる基板は、各層の薄膜応力により基板内に圧縮または引っ張り応力が生じる。例えば、引っ張り応力の場合には長尺化するに従い図2(ヘッドの基板部のみを簡略して示す。)に示すように、インク供給口を形成したことで応力が開放され、インク供給口中心から幅方向に曲げモーメントが発生し、インク供給口の幅がヘッドの端部と中心部とで差が生まれ突出口の位置が所望の位置からズレることとなる。このズレは、インク供給口の長さに依存するため、長尺になるに従い、ズレ量が増す。印刷を行う際にこのズレが大きくなると、突出口のズレに対応した印字ムラや、画像の歪み等の印字不良が見られることとなる。
(2)ハンドリングによる基板の破損
基板上に一括形成した複数のインクジェット記録ヘッドをチッピングし流路部材に貼る上述の工程では、長尺化した個々のインクジェット記録ヘッドをハンドリングし流路部材の所定の位置にアライメントする必要がある。インク供給口が長尺となる場合、図1の正面図の上の側と下の側はインク供給口で分離しており、長尺のインク供給口を有するヘッドの端部の基板(図1の左右の上下が接続された部分)のみでヘッド構造を保持している。インクジェット記録ヘッドをハンドリングするに際に、ヘッドの一部を掴むと曲げモーメントが発生し、前記のヘッドの端面に応力が集中し、破損することとなる。長尺化するにつれインクジェット記録ヘッドの機械的強度が低下し製造歩留まりもそれにつれて低下する。
(3)流路部材接合時の熱応力による基板の変形、破損
ヘッドをカートリッジタンクに取り付けるには、基板上に一括形成した複数のインクジェット記録ヘッドをチッピングし、ヘッドの突出エレメント毎に分け、マウント用の流路部材に接着し、カートリッジホルダに組み込む。インクジェット記録装置では、一般に、吐出エレメントを流路部材に接合する接着剤として、耐インク性のあるために熱硬化性接着剤が採用されている。また、流路部材は加工の容易で、低価格な樹脂が採用されている。吐出エレメントと樹脂製の流路部材を熱硬化性接着剤を使用して貼り合わせる場合、吐出エレメントと流路部材の熱膨張率の差から常温時に戻ったとき、熱応力が吐出エレメント中に発生する。これにより、図3に示すように突出口が平面性を保てなくなり、突出方向に角度が生じる様になる。インク供給口を長尺にすると吐出エレメントの機械的強度が低下し、熱応力により吐出エレメントの基板が変形することでオリフィスプレートが変形を起こす。
以上のような問題点から、印字を行う際にこのズレが大きくなると、突出口の角度ズレに対応した印字ムラや、画像の歪み等の印字不良が見られることとなる。さらに、熱応力が基板の降伏応力を超えた場合には、基板が割れる場合がある。
インクジェット記録ヘッドを長尺するに伴いインク供給口も同様に長尺にする方法では、製造歩留まりの低下や印字不良が発生する。これらの問題点を解決する方法として、基板にシリコン(100)基板を用い、基板の裏面にエッチング用のマスクを形成しシリコン結晶異方性エッチングより、複数のインク供給口を形成するサイドシュータ型インクジェット記録ヘッド構成が考えられる。図4に複数のインク供給口(図中破線で示す)からなるインクジェット記録ヘッドの例を示す。図4(a)は上面図であり、図4(b)はD−D断面の模式図である。この構成においては、図4(b)から明らかなように、仮に基板下面で50μmの梁幅を形成しても、シリコン異方性エッチングにより(111)面と(100)面との成す角度である54.7°でシリコンが裏面よりエッチングされ梁形状が逆台形となり、基板表面での梁幅が940μm程度に広がる。この結果、表面の梁の中心に位置する発熱体とインク供給口の距離は400μmを超えることとなり、この発熱体でのリフィル時間は極めて遅く、実用的な印字速度を得ることができなくなり、高速な印字を行うことはできない。
高精細なインクジェット記録ヘッドを形成するには、サイドシュータ型構造で且つ、シリコン結晶異方性エッチングのインク供給口の形成方法を用いる必要があるが、ヘッドを長尺にして高速印字を達成する方法は困難であった。高速印字を行うには、リフィル時間を短くでき、且つインク供給口を長尺する必要があり、この結果、製造歩留まりや印字不良が発生し、良好なインクジェット記録ヘッドを形成することができない。
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、
(1)基板の変形を抑え、突出口の位置ズレを低減でき、
(2)機械的強度の高く、ハンドリング及びマウント時の破損を回避できる、良好な印字を可能にする高精細且つ高速な記録を行うことが可能な長尺にできるインクジェット記録ヘッド及びその作製方法を提供することである。
かかる目的を達成する本発明のインクジェット記録ヘッド及びその作製方法は、
第1に、共通液室とインクを加熱して気泡を生成するための発熱体を有する基板と、該基板上にインクを吐出する吐出口を有するオリフィスプレートを備え、該オリフィスプレートの突出口から該基板面に対して垂直方向にインク液滴を突出するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記共通液室内に梁を有するインクジェット記録ヘッドであり、
第2に、前記基板がシリコン単結晶体よりなることを特徴とする第1に記載のインクジェット記録ヘッドであり、
第3に、前記梁がシリコン単結晶体よりなることを特徴とする第2に記載のインクジェット記録ヘッドであり、
第4に、前記梁が基板下面にあることを特徴とする第1〜3の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドであり、
第5に、前記梁を構成する面の一つが基板裏面と同一平面にあることを特徴とする第1〜4の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドであり、
第6に、前記梁を構成する2つの面のシリコン結晶方位が(111)よりなることを特徴とする第1〜5の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドであり、
第7に、前記共通液室を構成するシリコン結晶方位が(111)面よりなることを特徴とする第1〜6の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドであり、
第8に、発熱体を表面に有する基板と該基板表面上に設けたインクを吐出する吐出口を有するオリフィスプレートを備えたインクジェット記録ヘッドの作製方法において、
(a)前記基板表面にパッシベイション層を形成する工程
(c)前記基板裏面に複数開口部を有するマスク層を形成する工程
(b)該開口部より基板をエッチングし溝を形成する第1のエッチング工程
(c)基板面に垂直方向に貫通孔を形成すると共に隣接する前記溝を連通する連通孔を形成する第2のエッチング工程
(d)パッシベイション層を裏面より除去する工程
少なくとも(a)〜(d)の工程を有するインクジェット記録ヘッドの作製方法であり、
第9に、前記基板が単結晶シリコンからなることを特徴とする第8に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法であり、
第10に、前記(a)工程に用いる基板表面の一部に第2のエッチング工程により等方性エッチングする犠牲層を形成することを特徴とする第8〜9の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法であり、
第11に、前記(c)工程にて、基板と犠牲層が同時にエッチングされることを特徴とする第8〜10の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法であり、
第12に、前記第2のエッチングが結晶異方性エッチングであることを特徴とする第9〜11の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法であり、
第13に、前記犠牲層が多結晶シリコン膜よりなることを特徴とする第10に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法であり、
第14に、前記犠牲層が多孔質シリコンよりなることを特徴とする第10に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法であり、
第15に、前記基板の結晶方位面が(100)であることを特徴とする第9〜14の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法であり、
第16に、前記(c)工程の溝の形状が、開口部の面積に比べ、溝底面が広いことを特徴とする第8〜15の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法からなる。
以上説明したように、本発明の発熱体を備えた基板上にインク流路及び吐出口が設けられたインクジェット記録ヘッドで、インクジェット記録ヘッドの基板をエッチングし前記基板の裏面側方向に梁を設けることにより、基板への膜の積層に伴う応力による変形、流路部材接合時の熱応力による変形等により生じる印字不良、ハンドリングによる基板の破損を回避できた。
また、基板裏面側に梁を設けることでインク供給口は各発熱体に対し共通となり、リフィル時間が各インク流路で一様となり、吐出の周波数特性が均一となつた。
また、基板裏面側に梁を形成したことで流路部材との接着面積を広げることができ、接着強度が向上した。
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
以下に、本発明のインクジェット記録ヘッド及びその作製方法を説明する。
本発明のインクジェット記録ヘッドを図5〜図7に示す。図5、6、7は、夫々本発明のインクジェット記録ヘッドの斜視図、図5のA−A断面図、図5のB−B断面図である。インクジェット記録ヘッドは、基板1と、発熱体2と、インク流路3と吐出口4を有するオリフィスプレート5からなり、基板1の表面には共通液室6からインク流路3へインクを供給するための開口部を設けることでインク供給口7が形成されている。さらに、基板1の裏面側に梁を設けてあり、この梁により、インクジェット記録ヘッドの長尺のインク供給口を設けたことに伴う機械的強度の低下を抑え、基板を変形し難くし、基板の変形に伴う突出口の位置ズレを低減することができる。
また、梁が基板裏面側に形成したことにより、基板表面は共通液室となり、これによりインク供給口も共通となりリフィルの低下がない。
梁は基板をエッチングし形成する。これにより梁と基板は一体形成された同一材料よりなり、接着剤を用いて接着する場合に比べて、外部の荷重に対する強度が向上し、接着剤のような中間層の厚みムラや塑性変形、経時変化による機械的強度の低下等を気にする必要がない。この結果、ハンドリング及び流路部材へのマウント時の破損を回避できる。ヘッドが梁を有していることにより、流路部材接合時の熱応力による基板の変形、破損を回避できる。
図8を用いて流路部材とインクジェット記録ヘッドとの接着時の効果を詳細に説明する(梁形状及び基板は原理を説明するために模式的に示してある)。図8(a)は本発明のインクジェット記録ヘッドの基板及び梁の構造を示す図6と同様の断面模式図である。図8(b)は本発明のインクジェット記録ヘッドを説明するための、梁が基板厚み方向の中心付近にある断面比較図である。発明が解決しようとする課題にて記載した流路部材接合時の熱応力による基板1、201の変形、破損に関して、貼り合わせた後に樹脂からなる流路部材13はシリコン基板に対し熱膨張率が大きく常温時に戻ったとき、収縮する。これにより、流路部材とヘッドの界面にせん断応力が発生する。本発明のインクジェット記録ヘッドでは梁8を構成する面の一つが基板1の裏面と同一平面にあり接着面積が広くせん断応力に強くなる。これに対し梁208が基板厚の中心位置に配置された場合には、図8(a)に比べ接着面積が小さくなりせん断応力に弱い。
また、梁が裏面側にあるため、流路部材13との接着面積が広く取れ、せん断応力の有無に依らず流路部材との接着強度を上げることができる。
さらに、図1に示す従来のシリコン方位面が(100)の基板を用いたインクジェット記録ヘッドに比べ、共通液室の側面がV字に折れ曲がる形状をとり、裏面開口部の寸法を狭くできるので、裏面の接着面積を広く取れている。
以上より本発明のインクジェット記録ヘッドは、良好な印字を可能にする高精細且つ高速な記録を行うことが可能なインクジェット記録ヘッドとなる。
また、梁及び基板の共通液室をシリコン異方性エッチングにより形成することで、梁及び基板を構成する面の一部が、シリコン結晶方位の(111)面よりなる。(111)面のアルカリ水溶液のエッチング速度が遅いことから、梁及び共通液室がアルカリ性のインクに対して腐蝕され難くなり、耐蝕性に優れた梁及び共通液室となる。
次に、本発明の作製方法の特徴を詳細に説明する。基板の表面にパッシベイション層を設け、裏面にエッチング工程でマスクとなるマスク層を形成する。発熱体及び発熱体を駆動するための電気的な配線、オリフィスプレートが設けられる。マスク層には、複数の開口部が形成されている。梁の形成工程は、基板裏面側から開口部を通じて第1のエッチングを行い溝を形成する工程と、次に形成した溝を第2のエッチングにて基板表面のインク供給口となるパッシベイション層下部の基板を除去する共に基板裏面側に梁形成する工程からなる。第2のエッチングにより、第1のエッチングにて複数の開口部に形成した溝が基板側面方向にエッチングされ、連通し、共通液室を形成する。
第2のエッチングの際に、パッシベイション層と流路となる部材とオリフィスプレートを含むメンブレンが形成される。パッシベイション膜は第2のエッチングに対して少なくともエッチング耐性を持つ材料からなる。また、第1のエッチングにて基板に溝を形成し、その溝がパッシベイション層に到達する場合には、パッシベイション層は第1のエッチング液に対してもエッチング耐性を有する必要がある。パッシベイション層の形成方法としては、従来公知の技術例えば真空蒸着法やスパッタ法、化学気相成長、鍍金法、薄膜塗布法等の薄膜作製技術を用いることが可能である。
第1のエッチングには、反応性イオンエッチング、等方性ウエットエッチング、イオンミーリング、エキシマレーザーやYAGレーザー等を用いたレーザーアブレイション、サンドプラストによる物理的エッチング等を用いることができる。
ここで、第2のエッチングは、アルカリ水溶液からなるエッチャントによりシリコン結晶異方性エッチングであり、KOH、EDP、TMAH、ヒドラジン等の結晶面によるエッチング速度差を生じるエッチング液が用いられる。第2のエッチングがシリコン結晶異方性エッチングよりなることでインク供給口の幅の精度を保つことができる。第2のエッチングにより、第1のエッチングにて複数の開口部に設けた形成した溝が基板側面方向にエッチングされ、連通し、共通液室を形成する。
第2のエッチングにより、前記連通された共通液室を形成する方法として、パッシベイション下部に所望のインク供給口寸法となる寸法の犠牲層を設ける方法が用いられる。この場合に第2のエッチング液に対し等方性エッチングする材料より犠牲層を選択することで、第2のエッチング時に犠牲層と犠牲層下部のシリコンが同時エッチングされる。パッシベイション層下に開口長を決定する犠牲層を設け、該犠牲層上にパッシベイション層を形成することにより、基板裏面側からエッチングする場合、基板の厚み、基板内の結晶欠陥、OFの角度バラツキ、及びエッチング液の濃度バラツキ等により生じる開口長バラツキを回避することができる。すなわち、犠牲層のパターンによりインク供給口の大きさを制御することが可能となる。
犠牲層に用いる材料として、シリコン結晶異方性エッチングに用いるエッチャントにて等方性エッチングできる材料であり、且つ薄膜形成できる材料であれば半導体、絶縁体、金属等様々な材料を利用できる。例えば、半導体であれば、多結晶シリコン、多孔質シリコン等、金属ではアルミニウム、絶縁体ではZnO等のアルカリ水溶液に容易に溶解可能な材料が好ましい。特に、多結晶シリコン膜はLSIプロセスとのコンパチビリティーに優れており、プロセス再現性が高く犠牲層に好適である。犠牲層の厚みとしては薄膜形成可能な厚みであればよく、例えば、犠牲層に数百オングストローム程度の多結晶シリコンを用いた場合には、犠牲層の等方性エッチングと基板の異方性エッチングを同時に行うことができる。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、気泡連通吐出方式において有効な構成となる。ここに記載した気泡連通吐出方式とは、吐出のためにインクを加熱することにより生成される膜沸騰による気泡を、吐出口近傍で外気に連通させて吐出を行うインクジェット記録方式であり、特開平2−112832号、特開平2−112833号、特開平2−112834号、特開平2−114472号等において提案されている方式である。連通吐出方式によれば、吐出口近傍への気泡成長を急激にしかも確実に行うことができるので、上記非遮断状態のインク路によるリフィル性も手伝って、高安定高速記録を達成できる。また、気泡と大気とを連通させることによって、気泡の消泡過程がなくなり、キャビテーションによるヒータや基板の損傷を防止することもできる。また、気泡連通吐出方式の基本的な作用として、気泡が生成される部位より吐出出口側にあるインクは原理的に全てインク液滴となって吐出されるということがある。このため、吐出インク量は、吐出出口から上記気泡生成部位までの距離等、記録ヘッドの構造によって定めることができる。この結果、上記気泡連通吐出方式によれば、インク温度の変化等の影響をそれほど受けずに吐出量の安定した吐出を行うことが可能となる。
サイドシュータ型インクジェット記録ヘッドは、オリフィスプレートの厚さによりインク突出口と発熱体との距離を容易に制御できる。気泡連通吐出方式では前記距離が突出インク量を決定する重要な因子の一つであることより、本発明のインクジェット記録ヘッドは、気泡連通吐出方式に好適な構造となる。
以上本発明のインクジェット記録ヘッド及びその作製方法を図9乃至図12の工程図面を用いて詳細に説明する。
(第1実施例)
poly−Si犠牲層
本実施例にて、図5に示した本発明のインクジェット記録ヘッドの本発明の第1の作製方法を説明する。
以下、本実施例の作製工程を図9、10の工程断面図を用いて説明する。尚、図9、10は図5におけるB−B線で切断したときの断面図として示されている。また、図面中、発熱体及び発熱体に通電(駆動パルスの印加)するための配線、及び各発熱体へのインク流路は省略し、基板の幅方向に梁を形成する工程のみを記載してある。
基板1として基板厚みが625μmで結晶方位面が(100)のシリコン基板を用いた。基板上に酸化ガスにて熱酸化し、基板表面及び裏面に二酸化シリコンを形成した。次いで、先ほど基板表面に形成された二酸化シリコンのインク供給口に当る部分をバッファード弗酸により除去した。この後、犠牲層にLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)により多結晶シリコン膜(以下poly−Si膜)を成膜し、フォトリソグラフィプロセスとCF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(以下RIEと記す)により図9(a)に示す犠牲層11を形成し、続いて窒化シリコン膜をLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法にて形成しパッシベイション層12を形成した。基板裏面に形成された窒化シリコン膜はCF4ガスを用いた反応性イオンエッチングにより除去し二酸化シリコンを露出した。この二酸化シリコンを基板裏面のマスク層9として用い、フォトリソグラフィプロセスにより形成したフォトレジストをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、フォトレジストを剥離し、シリコンが露出した開口部14を形成した。
開口部と犠牲層の寸法は、裏面より第2のエッチングによりシリコン基板をシリコン結晶異方性エッチングにより貫通した際の開口寸法に比べて犠牲層寸法が大きくなるようにした。この後、図9(a)に示すように、後工程にて除去することによりインク流路となる樹脂層10を設け、さらに樹脂層10上部に吐出口を有するオリフィスプレート5を設けた。次に、第1のエッチングとして、裏面よりSF6ガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、開口部と略同一の寸法で垂直な溝を形成した。溝の深さは500μmであり、マスク層は反応性イオンエッチング後も残存していた(図9(b))。
なお、第1のエッチングを垂直にエッチングしたが、特に垂直でなくとも良く、エッチングされた溝の底面が開口部より小さい或いは大きい場合(テーパ形状)、本発明上で特に問題は生じない。
次に、第2のエッチングとなるシリコーン結晶異方性エッチングを行った。
ここで、隣接する開口部の溝同士が連通する条件として、図9(d)の第2のエッチングが犠牲層に到達することが必要であり、到達しない場合には(111)で終端された面よりなる断面がひし形の溝が形成されることとなる。第2のエッチングにて犠牲層に到達できるよう、第1のエッチングの溝の深さと開口部の寸法を適切に選ぶ必要がある。
第2のエッチングでは、開口部14からTMAHによりシリコン基板をエッチングすることで、溝に(111)面が現れ(図9(c))、この後TMAHによるエッチングが犠牲層11に到達し、犠牲層を等方性エッチングし(図9(d))、同時に犠牲層下部のシリコンもエッチングされていく。この時、図10(a)中の基板の左右のパッシベイション層下部に犠牲層はなく、シリコンの側面は折れ曲がった(111)面で停止する。犠牲層下部のシリコンはその後もエッチングされ図10(b)に示すように隣接する開口部同士が基板内部で連通する。第2のエッチングを続けると犠牲層下部のシリコンは完全に除去され共通液室及びインク供給口が形成される(図10(c))。この時の梁8の厚さは150μmであった。
最後に裏面より開口部を通じてパッシベイション層をCF4ガスを用いた反応性イオンエッチングにより除去し、さらに樹脂層10を溶解する溶媒により除去してインク流路を形成し、本発明の図5に示すインクジェット記録ヘッドを作製することができた(図10(d))。
比較のため、図9及び図10の工程にて開口部が1つで、本実施例と吐出エレメント寸法が等しい、図1に示す従来例のインクジェット記録ヘッドを作製した。図1のインク供給口の幅方向に基板が破損するまで荷重を与える破壊試験を行った。この時の破損した荷重と等しい荷重を本発明のインクジェット記録ヘッドに加えたところ、基板の破損は見られなかった。本発明の作製方法で作製した本発明のインクジェット記録ヘッドでは基板に梁が形成してあり、梁のないヘッドに比べて機械的強度が向上していた。
本発明のインクジェット記録ヘッドでは梁8を構成する面の一つが基板1の裏面と同一平面にあるため、従来と比べて接着面積が広く流路部材との接着強度も向上していた。
本発明のインクジェット記録ヘッドにより、印字を行ったところ、インク供給口から発熱体までの距離が略等しく、各ヘッドでのリフィル時間がほとんど差のない、リフィル特性に関し均一な周波数特性を得ることができた。
以上より本発明のインクジェット記録ヘッドは、良好な印字を可能にする高精細且つ高速な記録を行うことが可能なインクジェット記録ヘッドであった。
(第2実施例)
多孔質Si埋め込み層
本実施例にて、図5に示した本発明のインクジェット記録ヘッドの本発明の第2の作製方法を説明する。
以下、本実施例の作製工程を図11の工程断面図を用いて説明する。尚、図11は図5におけるB−B線で切断したときの断面図として示されている。また、図面中、発熱体及び発熱体に通電(駆動パルスの印加)するための配線、及び各発熱体へのインク流路は省略し、基板の幅方向に梁を形成する工程のみを記載してある。
基板21としてp型で抵抗率が0.02Ω・cm、厚みが625μm、結晶方位面が(100)のシリコン基板を用いた。基板上に酸化ガスにて熱酸化し、基板表面及び裏面に二酸化シリコンを形成した。続いて窒化シリコン膜をLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法にて形成した。次いで、先ほど基板表面に形成された窒化シリコン膜と二酸化シリコンのインク供給口に当る部分をフォトリソグラフィプロセスとエッチングにより除去した。エッチングは夫々の膜に対してCF4による反応性イオンエッチング及びバッファード弗酸である。次に、多孔質シリコン31からなる犠牲層を次のようにして形成した。まず、弗酸(49%):水:エタノール=1:1:1の溶液に窒化シリコン膜が設けてあるシリコン基板21を浸し、陽極化成を行った。この時、シリコン基板と対向電極の間に30mA/cm2の電流を流した。多孔質化の速度は2μm/minであり、100μm深さの埋め込み犠牲層となる多孔質シリコン31を形成した。そして、この後に、表面の窒化シリコン膜をCF4による反応性イオンエッチングにて除去した。続いて窒化シリコン膜をP−CVD(Plasma Chemical Vapor Deposition)法にて形成しパッシベイション層32を形成した。基板裏面に形成された窒化シリコン膜はCF4ガスを用いた反応性イオンエッチングにより除去し二酸化シリコンを露出した。この二酸化シリコンを基板裏面のマスク層29として用い、フォトリソグラフィプロセスにより形成したフォトレジストをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、フォトレジストを剥離し、シリコンが露出した開口部34を形成した。
この後、後工程にて除去することによりインク流路用の樹脂層30を設け、さらに樹脂層30上部に吐出口を有するオリフィスプレート25を設けた。次に、第1のエッチングとして、裏面よりSF6ガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、開口部と略同一の寸法で垂直な溝を形成した。エッチングは溝が多孔質シリコンに至るまで行い、図11(b)に示す溝を形成した。マスク層は反応性イオンエッチング後も残存していた。
なお、第1のエッチングを垂直にエッチングしたが、特に垂直でなくとも良く、エッチングされた溝の底面が開口部より小さい或いは大きい場合(テーパ形状)、本発明上で特に問題は生じない。
次に、第2のエッチングとなるシリコン結晶異方性エッチングを行った。多孔質シリコンはシリコンの結晶軸異方性エッチング液にて等方性エッチングされる。
第2のエッチングでは、開口部34からTMAHによりシリコン基板をエッチングすることで、溝に(111)面が現れ、同時に多孔質シリコン31を等方性エッチングし(図11(c))、さらにエッチングを進めることにより多孔質シリコンとその下部のシリコンがエッチングされていく。この時、図10(a)中に示すように基板の左右のパッシベイション層下部に犠牲層である多孔質シリコンがなく、シリコンの側面は折れ曲がった(111)面で停止した(図11(d))。シリコン結晶異方性エッチングにより図11(d)に示すように隣接する開口部同士が基板内部で連通した。この結果、共通液室26及びインク供給口が形成され、且つ梁28を有する基板が形成された。
最後に裏面の開口部を通じてパッシベイション層をCF4ガスを用いた反応性イオンエッチングにより除去し、さらに樹脂層を溶解する溶媒で除去してインク流路を形成し、本発明の図5に示すインクジェット記録ヘッドを作製することができた(不図示)。
比較のため、第1実施例と同様に図9、及び図10の工程にて開口部が1つで、本実施例と吐出エレメント寸法が等しい、図1の従来例のインクジェット記録ヘッドを作製した。図1のインク供給口の幅方向に基板が破損するまで荷重を与える破壊試験を行った。この時の破損した荷重と等しい荷重を本発明のインクジェット記録ヘッドに加えたところ、基板の破損は見られなかった。本発明の作製方法で作製した本発明のインクジェット記録ヘッドでは基板に梁が形成してあり、梁のないヘッドに比べて機械的強度が向上していた。
本発明のインクジェット記録ヘッドでは梁28を構成する面の一つが基板21の裏面と同一平面にあるため、従来と比べて接着面積が広く流路部材との接着強度も向上している。
本発明のインクジェット記録ヘッドにより、印字を行ったところ、インク供給口から発熱体までの距離が略等しく、各ヘッドでのリフィル時間がほとんど差のない、リフィル特性に関し均一な周波数特性を得ることができた。
以上より本発明のインクジェット記録ヘッドは、良好な印字を可能にする高精細且つ高速な記録を行うことが可能なインクジェット記録ヘッドであった。
ところで、以上の方法により形成した多孔質シリコンは弗酸を含むエッチング液を用いても、シリコンの多孔質層とシリコン基板のエッチング速度の違いにより多孔質層のみを高速で選択的にエッチングすることができる。図11(b)の工程の後に、弗酸を含むエッチング液により多孔質シリコン層を除去した後に、第2のエッチングを行ってもよい。多孔質シリコンのエッチング液としては、弗酸系のエッチング液として、弗酸+過酸化水素酸(H22)、弗酸+H22+アルコール、バッファード弗酸(HFとNH3Fとの混合液)、バッファード弗酸+H22、バッファード弗酸+H22+アルコール、が利用できる。
また、梁直上の発熱体でリフィル特性の周波数特性が低減しない程度の多孔質シリコンの厚みを得ることが可能であれば、多孔質シリコンが除去された段階でシリコン結晶異方性エッチングを停止してもよい。
(第3実施例)
本実施例にて、図5に示した本発明のインクジェット記録ヘッドの本発明の第3の作製方法を説明する。本実施例では犠牲層を用いない例を説明する。
以下、本実施例の作製工程を図12の工程断面図を用いて説明する。尚、図12は図5におけるB−B線で切断したときの断面図として示されている。また、図面中、発熱体及び発熱体に通電(駆動パルスの印加)するための配線、及び各発熱体へのインク流路は省略し、基板の幅方向に梁を形成する工程のみを記載してある。
基板41として基板厚みが625μmで結晶方位面が(100)のシリコン基板を用いた。基板上に酸化ガスにて熱酸化し、基板表面及び裏面に二酸化シリコンを形成した。次いで、裏面にフォトリソグラフィプロセスとバッファード弗酸により開口部を有するマスク層49を形成した。マスク層49をマスクとして、開口部を通じてSF6ガスを用いた反応性イオンエッチングを行い、開口部と略同一の寸法で垂直な溝を形成した(図12(a))。
次に、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法にて基板の表面と裏面にパッシベイション層52及び第2マスク層51となる窒化シリコン膜を形成した。この後、後工程にて除去することによりインク流路用樹脂層50を設け、さらに樹脂層50上部に吐出口を有するオリフィスプレート45を設けた(図12(b))。
次に、図12(c)に示すようにフォトリソグラフィプロセスとCF4による反応性イオンエッチングにより裏面の開口部の第2マスク層である窒化シリコン膜を部分的に除去し、シリコンを露出した。次に、フッ酸と硝酸との混合水溶液により、露出した裏面開口部のシリコンを図12(d)のような等方性エッチングを行った。次に、CF4による反応性イオンエッチングにより裏面の第2マスク層である窒化シリコン膜を除去した。
次に、第2のエッチングとなるシリコン結晶異方性エッチングを行った。
ここで、犠牲層を用いない本実施例では隣接する開口部の溝同士が連通する条件として、以下の数1を満たす必要がある。
[数1]
d<2×t/tan(54.7°)
dは、図12(e)に示す開口部の間隔、tは用いた基板の厚みである。数1中の54.7°は(111)面と(100)面との成す角度である。数1は図中の破線で引いた裏面側の頂点の高さ(m)が少なくとも基板厚みより短い条件であることを示している。これにより、シリコン異方性エッチングを行うと破線の頂点が基板内部に形成され犠牲層を用いずとも基板表面に梁が形成されることはなくなる。すなわち、裏面のみに梁構造が形成されることとなる。
第2のエッチングでは、開口部54からTMAHによりシリコン基板をエッチングすることで、溝に(111)面が現れ(図12(e))、隣接する開口部同士が基板内部で連通する。さらに第2のエッチングを続けると表面のパッシベイション層52の下部のシリコンは完全に除去され共通液室及びインク供給口が形成される(図12(f))。
ここで、図12(d)で等方性エッチングの深さ及びサイドエッチングにより図12(e)の破線で示した裏面側の頂点と表面側の頂点の夫々の面からの距離n、mが、以下の数2を満たす必要がある。この条件により、裏面のみに梁を残すことが可能となる。
[数2]
n<m
最後に裏面よりパッシベイション層52をCF4ガスを用いた反応性イオンエッチングにより除去し、樹脂層50を溶解することでインク流路を形成し、梁48を有する本発明の図5に示すインクジェット記録ヘッドを作製することができた。
数1及び数2を満たすことで、本発明の作製方法で作製した本発明のインクジェット記録ヘッドでは基板の裏面側に梁が形成でき、梁のないヘッドに比べて機械的強度が向上していた。
本発明のインクジェット記録ヘッドでは梁48を構成する面の一つが基板41の裏面と同一平面にあるため、従来と比べて接着面積が広く流路部材との接着強度も向上していた。
本発明のインクジェット記録ヘッドにより、印字を行ったところ、インク供給口から発熱体までの距離が略等しく、各ヘッドでのリフィル時間が略等しく、リフィル特性に関し均一な周波数特性を得ることができた。
以上より本発明のインクジェット記録ヘッドは、良好な印字を可能にする高精細且つ高速な記録を行うことが可能なインクジェット記録ヘッドであった。
従来のインクジェット記録ヘッドの長尺化に伴う課題を説明する正面図である。 従来のインクジェット記録ヘッドの長尺化に伴う基板の変形を説明する正面図である。 従来のインクジェット記録ヘッドの長尺化に伴うオリフィスプレートの変形を説明する正面図である。 従来のインクジェット記録ヘッドの長尺化に伴う課題を説明する正面図(a)と断面図(b)である。 本発明のインクジェット記録ヘッドを説明する斜視図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドを説明する図5のA−A断面図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドを説明する図5のB−B断面図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドを説明する模式図である。 本発明の第1のインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す工程図である。 本発明の第1のインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す工程図である。 本発明の第2のインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す工程図である。 本発明の第3のインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す工程図である。
符号の説明
1、21、41 基板
2 発熱体
3 インク流路
4 吐出口
5、25、45 オリフィスプレート
6、26、46 共通液室
7 インク供給口
8、28、48 梁
9、29、49 マスク層
10、30、50 樹脂層
11 犠牲層
12、32、52 パッシベイション層
14、34、54 開口部
31 多孔質シリコン
51 第2マスク層
101 基板
102 共通液室
103 インク供給口
104 吐出口
105 オリフィスプレート
106 インク液滴
201 基板
208 梁

Claims (16)

  1. 共通液室とインクを加熱して気泡を生成するための発熱体を有する基板と、該基板上にインクを吐出する吐出口を有するオリフィスプレートを備え、該オリフィスプレートの突出口から該基板面に対して垂直方向にインク液滴を突出するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記共通液室内に梁を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記基板がシリコン単結晶体よりなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記梁がシリコン単結晶体よりなることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記梁が基板下面にあることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記梁を構成する面の一つが基板裏面と同一平面にあることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記梁を構成する2つの面のシリコン結晶方位が(111)よりなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 前記共通液室を構成するシリコン結晶方位が(111)面よりなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 発熱体を表面に有する基板と該基板表面上に設けたインクを吐出する吐出口を有するオリフィスプレートを備えたインクジェット記録ヘッドの作製方法において、
    (a)前記基板表面にパッシベイション層を形成する工程
    (c)前記基板裏面に複数開口部を有するマスク層を形成する工程
    (b)該開口部より基板をエッチングし溝を形成する第1のエッチング工程
    (c)基板面に垂直方向に貫通孔を形成すると共に隣接する前記溝を連通する連通孔を形成する第2のエッチング工程
    (d)パッシベイション層を裏面より除去する工程
    少なくとも(a)〜(d)の工程を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの作製方法。
  9. 前記基板が単結晶シリコンからなることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
  10. 前記(a)工程に用いる基板表面の一部に第2のエッチング工程により等方性エッチングする犠牲層を形成することを特徴とする請求項8〜9の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
  11. 前記(c)工程にて、基板と犠牲層が同時にエッチングされることを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
  12. 前記第2のエッチングが結晶異方性エッチングであることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
  13. 前記犠牲層が多結晶シリコン膜よりなることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
  14. 前記犠牲層が多孔質シリコンよりなることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
  15. 前記基板の結晶方位面が(100)であることを特徴とする請求項9〜14の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
  16. 前記(c)工程の溝の形状が、開口部の面積に比べ、溝底面が広いことを特徴とする請求項8〜15の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
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