JP2004136491A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布面状に優れた感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、(1)上記感熱記録層は、2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて、または、(2)油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする感熱記録材料。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、(1)上記感熱記録層は、2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて、または、(2)油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする感熱記録材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に関し、より詳細には、発色感度および塗布面状に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルヘッド等により熱を供与して画像を記録する感熱記録材料は、比較的安価であり、その記録装置が簡便で信頼性が高く、メンテナンスが不要であることから広く普及している。従来から感熱記録材料に対しては、高画質化や保存安定性の向上等の高性能化に対する要望が高く、発色濃度、画像品質、保存性等に関する研究が鋭意行われている。
また、感熱記録材料としては、従来から電子供与性無色染料とこれを発色させる電子受容性化合物との反応を利用したもの、ジアゾニウム塩等のジアゾニウム塩化合物とこれを発色させるカプラー化合物との反応を利用したものなどが広く知られている。
【0003】
近年では多色(フルカラー)の感熱記録材料の発展も著しく、該多色の感熱記録材料は、イエロー、マゼンタ、シアンに発色する層をそれぞれ積層した構造を有し、各層を熱によって発色させてフルカラーの画像を形成するのが一般的である。
上記多色の感熱記録材料としては、電子供与性無色染料および電子受容性化合物からなる発色層(感熱記録層)と、ジアゾニウム塩化合物等およびカプラー化合物からなる発色層とを組み合わせ、各発色層を上層から、イエロー、マゼンタ、およびシアンの順に積層したものなどがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
感熱記録材料にジアゾニウム塩化合物およびカプラー化合物からなる発色層を形成する場合、発色層用の塗布液には、カプラー化合物が油相と水相とからなるカプラー化合物乳化物として添加される。しかしながら、従来の感熱記録材料では、カプラー乳化物の安定性不良に伴ってカプラー乳化物中に粗大油滴が発生し、感熱記録材料の塗布面状が悪化してしまうといった問題がある。
【0005】
【非特許文献1】
繊維学会誌 第51巻 11号 450頁(1995年)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、塗布面状に優れた感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、上記感熱記録層は、2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする感熱記録材料である。
【0008】
<2> 支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、上記感熱記録層は、油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする感熱記録材料である。
【0009】
<3> 上記感熱記録層は、発色助剤を含有することを特徴とする<1>または<2>の感熱記録材料である。
【0010】
【発明の実施の形態】
《感熱記録材料》
以下、本発明の感熱記録材料について説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、上記感熱記録層は、(1)2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて、または、(2)油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の感熱記録材料は、本発明における感熱記録層を感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、(1)2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて、または、(2)油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成することで、発色性等の他の性能を維持したまま、感熱記録層の塗布面状を向上させることができる。感熱記録層の塗布面状を向上させることで、塗布故障を抑制し、画質を向上させ、歩留まりを高める(不良率を低減させる)ことができる。
【0012】
<感熱記録層>
本発明における感熱記録層は、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物と、を含有し、発色助剤等の他の成分を含んでいてもよい。
【0013】
(ジアゾニウム塩化合物)
本発明におけるジアゾニウム塩化合物としては、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
Ar−N2 + X− …(i)
〔式中、Arは芳香族部分を表し、X−は酸アニオンを表す。〕
【0014】
上記ジアゾニウム塩化合物は、加熱により後述のカプラー化合物とカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0015】
塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0016】
上記ジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxとしては、450nm以下が好ましく、290〜440nmがより好ましい。上記λmaxが、450nmを超える長波長側にあると、生保存性が低下することがあり、上記波長範囲よりも短波長側にあると、後述のカプラー化合物との組合わせにおいて画像定着性、画像保存性が低下したり、イエロー発色の色相が劣化することがある。
【0017】
また、ジアゾニウム塩化合物は、炭素原子数が12以上で水に対する溶解度が1%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上であることが望ましい。尚、ジアゾニウム塩化合物は、1種単独で用いてもよいし、色相調整等の目的に応じて、2種以上を併用することもできる。
【0018】
上記ジアゾニウム塩化合物の中でも、色素の色相、画像保存性、画像定着性の点で、下記構造式(1)〜(3)で表されるジアゾニウム塩化合物がより好ましい。
【0019】
【化1】
【0020】
上記構造式(1)中、Arは、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
上記アリール基が置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、置換アミノ基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、シアノ基、等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
【0021】
上記Arで表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、
【0022】
4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0023】
上記構造式(1)中、R21およびR22は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。R21およびR22は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
置換されている場合の置換基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、置換アミノ基、置換アミド基、アリール基、アリールオキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0024】
上記R21、R22で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜18のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、オクタデシル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、トルフェニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル基、2’,4’−ジイソペンチルフェニルオキシメチル基、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシメチル基、ジベンジルアミノカルボニルメチル基、2,4−ジ−t−アミルフェニルオキシプロピル基、エトキシカルボニルプロピル基、1−(2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシ)プロピル基、アセチルアミノエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、メタンスルホニルアミノプロピル基、アセチルアミノエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基等が挙げられる。
【0025】
上記R21、R22で表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、
【0026】
4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、これらの基は、更にアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0027】
上記構造式(2)中、R24、R25およびR26は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表し、R24、R25およびR26は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
【0028】
上記R24、R25およびR26で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜18のアルキル基が好ましく、例えば、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアルキル基、および1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル基、ジ−n−オクチルアミノカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0029】
上記R24、R25およびR26で表されるアリール基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアリール基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。
また、これらの基は、更にアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0030】
上記構造式(2)中、Yは水素原子、OR23基を表し、R23は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記Yの中でも、色相調節の点で、水素原子、R23がアルキル基であるアルキルオキシ基が好ましい。
【0031】
上記R23で表されるアルキル基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアルキル基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。
上記R23で表されるアリール基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアリール基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。
また、これらのアリール基は、更にアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0032】
上記構造式(3)中、R27およびR28は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表し、R27およびR28は同一であってもよいし異なっていてもよい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
【0033】
上記R27、R28で表されるアルキル基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアルキル基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。
上記R27、R28で表されるアリール基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアリール基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。また、これらのアリール基は、更にアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0034】
上記構造式(1)〜(3)において、X−は酸アニオンを表し、該酸アニオンとしては、炭素原子数1〜9のポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素原子数1〜9のポリフルオアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。中でも、結晶性の点でヘキサフルオロリン酸が好ましい。
【0035】
以下に、上記構造式(1)〜(3)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
上記構造式(1)〜(3)で表されるジアゾニウム塩化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、色相調整等の諸目的に応じて、構造式(1)〜(3)で表されるジアゾニウム塩化合物と既存の他のジアゾニウム塩化合物とを併用してもよい。
【0041】
本発明において、感熱記録層中のジアゾニウム塩化合物含有量としては、0.05〜1.5g/m2が好ましく、0.07〜0.5g/m2がより好ましい。該含有量が、0.05g/m2未満であると、十分な発色濃度が得られないことがあり、1.5g/m2を超えると、塗布液の塗布適性が劣化することがある。
【0042】
(カプラー化合物)
前述のジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して色素を形成し発色させるカプラー化合物としては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気の下でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成し得るものであれば、いずれの化合物も用いることができる。
【0043】
ハロゲン化銀写真感光材料に用いられる、いわゆる4当量カプラー化合物は全てカプラー化合物として使用可能であり、色相等の目的に合致する範囲で適宜選択することができる。
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等が挙げられる。
【0044】
中でも、下記式(ii)で表される化合物、または該化合物の互変異性体は特に好ましい。
E1−CH2−E2 …(ii)
上記式(ii)中、E1およびE2は、それぞれ独立に電子吸引性基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記電子吸引性基は、Hammettのσ値が正である置換基を指し、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基、ジエチルホスホノ基等のホスホノ基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基、ニトロ基、イミノ基、シアノ基が好適に挙げられる。
【0045】
また、上記E1およびE2は、互いに結合して環を形成していてもよい。E1とE2で形成される環としては、5員若しくは6員の炭素環または複素環が好ましい。
【0046】
上記カプラー化合物の具体例としては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、
【0047】
1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、
【0048】
1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0049】
上記カプラー化合物の詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号の各公報、特願平5−278608号、特願平5−297024号、特願平6−18669号、特願平6−18670号、特願平7−316280号、特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号の各明細書等に記載されている。
【0050】
以下に、上記式(ii)で表されるカプラー化合物の具体例(B1〜B30)を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
感熱記録層中におけるカプラー化合物の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0056】
−カプラー化合物乳化物の調製−
本発明におけるカプラー化合物乳化物は、油相と水相とからなる乳化物であり、少なくともカプラー化合物と界面活性剤とを含有し、必要に応じて後述する有機塩基等を含有する。
カプラー化合物は上記油相溶液に添加され、水相溶液と混合し、乳化分散することで調製される。上記界面活性剤は、2種以上の界面活性剤を用いる場合には、油相溶液、水相溶液のいずれに添加してもよく、さらに油相溶液と水相溶液とを混合する前に各溶液に添加してもよいし、混合後の溶液に添加してもよい。また、カプラー化合物乳化物の油相と水相とのそれぞれに界面活性剤を添加する場合には、油相溶液と水相溶液とを混合する前に各溶液に添加するのが好ましい。
【0057】
上記界面活性剤は、カプラー化合物中に(1)2種以上、または、(2)油相および水相のそれぞれに少なくとも1種含有される。上記界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から適宜選定して用いることができる。中でも、アニオン性界面活性剤を用いると、カプラー化合物乳化物の乳化安定性をさらに向上させることが出来るため好ましい。
上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸せっけん等のカルボン酸塩系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩の他、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、リン酸エステル塩等の一般的な界面活性剤を用いることができる。この中でも上記水相に含有させる界面活性剤としては、スルホン酸ナトリウム系の界面活性剤が好ましい。
【0058】
上記界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ドデシルべンゼンスルホン酸カルシウムなどが挙げられる。これらの中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましく、油相に添加する界面活性剤としてはドデシルべンゼンスルホン酸カルシウムが好ましい。
【0059】
上記油相に用いられる有機溶媒としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤、および/または、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等が挙げられる。
【0060】
上記水相に用いられる溶媒には主に水が用いられる。また、水相には、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等を添加することができる。上記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変性物、等が挙げられ、上記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0061】
カプラー化合物乳化物中に2種以上の界面活性剤を用いる際、その組み合わせは特に限定されるものではないが、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとの組み合わせが好ましい。
また、カプラー化合物の油相と水相とのそれぞれに界面活性剤を含有させる場合には、油相に含まれる界面活性剤と水相に含まれる界面活性剤とは同一のものであってもよく異なっていてもよい。
【0062】
上記カプラー化合物乳化物中のカプラー化合物の含有量としては、5〜50質量%が好ましく、7〜30質量%がさらに好ましい。また、上記カプラー化合物乳化物中の界面活性剤の総量は、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。また、カプラー化合物乳化物の油相と水相とに界面活性剤を添加する場合、油相に含まれる界面活性剤の含有量は、0.5〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がさらに好ましく、水相に含まれる界面活性剤の含有量は、0.5〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がさらに好ましい。
【0063】
〜電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物〜
本発明の感熱記録材料においては、発色成分として上記ジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物(ジアゾ系発色剤)のほか、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ(ロイコ系発色剤)を用いることもきる。例えば、支持体上に複数の感熱記録層を有する感熱記録材料において、その少なくとも1層をロイコ系発色剤を含む層として構成することができる。
【0064】
上記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられ、中でも、発色濃度が高い点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。
【0065】
具体的には、下記化合物が挙げられる。例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、
【0066】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等である。
【0067】
既述のジアゾニウム塩化合物の場合と同様の理由から、感熱記録層中の上記電子供与性染料前駆体の塗布量としては、0.1〜1g/m2が好ましい。
【0068】
上記電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられ、中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。具体的には、下記化合物が挙げられる。
例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール等である。
【0069】
感熱記録層中における電子受容性化合物の含有量としては、電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0070】
(発色助剤)
本発明には、発色反応を促進させる目的で、感熱記録層中に発色助剤を加えることが好ましい。
上記発色助剤は、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー化合物、有機塩基またはジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩化合物、有機塩基、カプラー化合物等を反応しやすい状況にするものである。
【0071】
低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が可能となるように、上記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が好ましい。また、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0072】
具体的には、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、例えば、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサンなどのフェノール系化合物、4−(2−エチルへキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド、4−n−ペンチルオキシべンゼンスルホン酸アミド等のスルホンアミド化合物が挙げられる。
【0073】
上記発色助剤の感熱記録層中における含有量は、カプラー化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましい。
【0074】
(他の成分)
−有機塩基−
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物とのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を添加することが好ましい。
上記有機塩基は、感光感熱記録層中に、ジアゾニウム塩化合物およびカプラー化合物とともに含有させるのが好ましく、単独で用いても2種以上併用してもよい。
上記有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。また、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものも使用可能である。
【0075】
中でも特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0076】
所望により有機塩基を含有させる場合の、感熱記録層中における有機塩基の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0077】
−バインダー−
感熱記録層に用いられるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。上記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変性物、等が挙げられ、上記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0078】
−酸化防止剤等−
また、発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上させる、または定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
【0079】
本発明において、カプラー化合物、有機塩基や発色助剤等の他の成分の使用形態については特に制限はなく、例えば、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化を利用する方法等が挙げられる。
【0080】
(熱応答性マイクロカプセルの製造方法)
本発明においては、感熱記録材料の保存安定性、特に地肌部の白色性に対する生保存性をより向上させる点で、上記ジアゾニウム塩化合物(および電子供与性染料前駆体)を熱応答性マイクロカプセルに内包する。
【0081】
発色成分をマイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、一方の発色成分であるジアゾニウム塩化合物(および電子供与性染料前駆体)を、水に難溶または不溶の有機溶媒に溶解または分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法等が好適に挙げられる。該界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。
【0082】
上記有機溶剤としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤、および/または、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等が挙げられる。
【0083】
具体例としては、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、モノイソプロピルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点溶剤が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、リン酸エステル系溶剤、カルボン酸エステル系溶剤、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが特に好ましい。
【0084】
更に、上記高沸点溶剤に、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、上記高沸点溶剤として、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。該α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学社製の「MSD100」等がある。
【0085】
上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチン等が挙げられ、中でも、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0086】
上記水溶性高分子には、疎水性高分子のエマルジョンまたはラテックス等を併用することもできる。該エマルジョンまたはラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。この時、必要に応じて従来公知の界面活性剤等を加えてもよい。
【0087】
マイクロカプセル壁を構成する高分子物質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂が特に好ましい。
【0088】
例えば、ポリウレタン・ポリウレア樹脂をカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化し芯物質とすべき油性媒体(油相)中に混合し、更にマイクロカプセル壁前駆体と反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)中に混合し、上記油相を水相に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0089】
以下に、上記多価イソシアネート化合物の具体例を示す。但し、これらに限定されるものではない。例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、
【0090】
シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等である。また、必要に応じて、2種類以上を併用してもよい。中でも特に好ましいものは、分子内にイソシアネート基を3個以上有するものである。
【0091】
マイクロカプセル化の方法において、カプラー化合物(および電子受容性化合物)、有機塩基、増感剤等の他の成分、およびマイクロカプセル壁前駆体やこれと反応する第2物質を溶解させる有機溶剤としては、既述の有機溶剤と同様である。
マイクロカプセルの粒径としては、0.1〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましい。
【0092】
(感熱記録材料の構成)
本発明の感熱記録材料は、ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセル、カプラー化合物、ゼラチン、および必要に応じて、発色助剤、有機塩基、その他の添加物を含有する感熱記録層形成のための塗布液(以下、感熱記録層塗布液と称する場合がある)を調製し、後述する公知の塗布方法により紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布することにより形成された感熱記録層を、少なくとも1層有することを特徴とする。感熱記録層の固形分質量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0093】
また、感熱記録層形成の態様としては、
(1)熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物を含有する液(A)を調製し、カプラー化合物、およびゼラチンを含有する乳化液(B)を調製し、該液(A)および液(B)を混合してなる感熱記録層用塗布液(C)を塗布、乾燥して感熱記録層を形成する態様、
(2)熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物を含有する液(A)を調製し、カプラー化合物およびゼラチンを含有する乳化液(B)を調製し、該液(A)、および液(B)を混合してなる感熱記録層用塗布液(C)を塗布、乾燥して感熱記録層を形成する態様等がある。
【0094】
以下に、多色の記録材料の具体的な構成態様について説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層を1層有する単色の感熱記録材料、および単色の記録層を複数積層した積層構造の感熱記録層を有する多色の感熱記録材料のいずれであってもよい。多色の感熱記録材料としては、感熱記録層を構成する少なくとも1層が、ジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含む光定着型記録層であることが好ましい。
【0095】
特に、シアン、イエロー、マゼンタを含むフルカラーの感熱記録層の場合には、支持体上の3層が全てジアゾ系発色剤で構成された形態、或いは支持体に近い第1層目の感熱記録層が電子供与性染料および電子受容性化合物を含有するロイコ系発色剤で構成され、第2および第3層目の感熱記録層がジアゾ系発色剤で構成された形態よりなる感熱記録材料が好ましい。例えば、下記(a)〜(c)に示す態様で構成されたものであってもよい。
【0096】
即ち、(a)支持体上に、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第1の記録層(A層))と、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第2の記録層(B層))と、を積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0097】
(b)支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する記録層(第1の記録層(A層))と、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第2の記録層(B層))と、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第3の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0098】
(c)支持体上に、最大吸収波長350nm以下のジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と呈色反応をするカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第1の記録層(A層))と、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第2の記録層(B層))と、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第3の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、などである。
【0099】
多色記録の方法について、上記(b)または(c)により以下に説明する。
まず、第3の記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラー化合物とを発色させる。次に、発光中心波長430±30nmの光を照射して、C層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、第2の記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物とを発色させる。このとき、C層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており(光定着されている)、発色能力が失われているため発色しない。さらに、発光中心波長360±20nmの光を照射し、B層に含まれるジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、最後に、第1の記録層(A層)が発色しうる十分な熱を加えて発色させる。このとき、C層、B層の記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており、発色能力が失われているため発色しない。
【0100】
また、全ての記録層(A層、B層、およびC層)をジアゾ系の記録層とした場合、A層およびB層は、発色させた後に光定着を行うことが必要であるが、最後に画像記録を行うC層に関しては、必ずしも光定着を行う必要はない。
【0101】
光定着に用いる定着用光源としては、公知の光源の中から適宜選択でき、例えば、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、中でも、高効率に光定着する点で、光源の発光スペクトルが、記録材料に用いたジアゾニウム塩化物の吸収スペクトルとほぼ一致する光源を用いることが好ましい。
【0102】
−他の層−
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層や保護層を有してなる態様が好ましい。
【0103】
(光透過率調整層)
上記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0104】
上記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0105】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0106】
(保護層)
上記保護層は、バインダーと共に、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
上記バインダーは、バリアー性および作業性を損なわない範囲で、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん類、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等より適宜選択して使用することができる。
【0107】
上記のほか、他のバインダーとして、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられ、例えば、スチレンーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。上記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
【0108】
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤およびその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられる。上記触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
【0109】
上記顔料としては、公知の有機または無機の顔料が全て使用でき、具体的には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して使用できる。
上記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
上記界面活性剤としては、感熱記録層上に均一に保護層を形成可能なように、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、およびアンモニウム塩等が挙げられる。
【0110】
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に形成した感熱記録層上に保護層塗布液を公知の塗布方法により塗布して形成することができる。上記公知の塗布方法としては、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。
但し、保護層は、感熱記録層や光透過率調整層と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布して一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
【0111】
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0112】
(中間層)
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、上記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。上記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。
【0113】
(支持体)
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)トリアセチルセルロース(TAC)、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙等が挙げられる。また、透明な感熱記録材料を得る場合には、透明支持体を使用する必要があり、該透明支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられる。
【0114】
上記支持体は、単独で或いは貼り合わせて使用することができる。
上記合成高分子フィルムの厚さとしては、25〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。
【0115】
上記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよく、高分子フィルムを着色する方法としては、▲1▼フィルム成形前に予め樹脂に染料を混練しフィルム状に成形する方法、▲2▼染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製しこれを透明無色な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えばグラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布、乾燥する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルム状に成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0116】
上記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0117】
【実施例】
以下、実施例において本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。また、以下において特に指定のない場合「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
【0118】
[実施例1]
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、(株)ニッピ製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0119】
<乳化物作製用ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0120】
(1)イエロー感熱記録層用塗布液(a)の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル4.8部およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名;ルシリンTPO、BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。得られた混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6部を添加し、均一に撹拌し混合液(I)を得た。
【0121】
別途、上記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で撹拌し、酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0122】
【化10】
【0123】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)19.8部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM、三井石油化学(株)製)20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルへキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド13.6部、4−n−ペンチルオキシべンゼンスルホン酸アミド6.8部、ドデシルべンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0124】
別途上記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(ネオペレックスF−25、花王(株)製)2.4部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、真空度70torr、外温60℃の条件で酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に攪拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0125】
カプラー化合物乳化液(a)中の粗大オイルドロップレット数は32個/cm3であった。尚、カプラー化合物乳化液中の粗大オイルドロップレット数は、45℃に保温した乳化液5mlをガラス板(9×12cm)上に塗布、乾燥した後、ガラス板上を15ブロックに分け(1ブロック:0.6cm×12cm)、その内3ブロックについて実体顕微鏡を用い、30μm以上のオイルドロップレットをカウントした。
【0126】
【化11】
【0127】
<イエロー感熱記録層用塗布液(a)の調製>
上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および上記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が2.2/1になるように混合し、イエロー感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0128】
(2)マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル1.9部、フェニル2−べンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部および下記化合物(E)(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)0.1部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0129】
別途、上記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部を添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で、0.43μmであった。
【0130】
【化12】
【0131】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(F)11.9部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM、三井石油化学(株)製)14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルべンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0132】
別途上記乳化物作製用ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0133】
【化13】
【0134】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製>
上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)および上記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0135】
(3)シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合液(商品名;ハイゾールSAS−310、日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)の商品名)8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)10.6部とを混合し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0136】
別途、上記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行い、カプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節し、マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン誘導体を含む螢光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)4.2部とを添加して均一に攪拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0137】
【化14】
【0138】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
上記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%−2−エチルへキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6%であった。
上記分散液100部に、上記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部を加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0139】
<シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製>
上記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および上記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0140】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
上記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製 2.0%水溶液)0.05部、硼酸(4.0%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)の4%水溶液4.53部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0141】
【化15】
【0142】
(5)光透過率調整層用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100、三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)0.45部を均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を得た。
【0143】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部にイオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に上記紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。
【0144】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、下記化合物(K)(商品名:メガファックF−120、5%水溶液、大日本インキ化学工業(株))5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0145】
【化16】
【0146】
(6)保護層用塗布液の調製
<保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製>
ビニルアルコール・アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130、電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57、(54%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0147】
<保護層用顔料分散液の調製>
硫酸バリウム(商品名;BF−21F、硫酸バリウム含有量93%以上、堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液)、花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を調製した。この分散液は粒径測定(LA−910、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して保護層用顔料分散液を得た。
【0148】
<保護層用マット剤分散液の調製>
小麦澱粉(商品名;小麦澱粉S、新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0149】
<保護層用塗布ブレンド液の調製>
上記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に上記化合物(K)(商品名:メガファックF−120、5%水溶液、大日本インキ化学工業(株))40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、上記保護層用顔料分散液49.87部、上記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115、20.5%水溶液、中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0150】
(7)下塗り層つき支持体
<下塗り層液の作製>
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスぺクト比:1000、商品名:ソマシフME100、コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0151】
40℃の40%の上記ゼラチン水溶液100部に、水120部およびメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5%上記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7%)を調製し、下塗り用塗布液を得た。
【0152】
<下塗り層つき支持体の作製>
LBPS50部、LBPK50部からなる木材パルプをディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化べヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0153】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーティングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0154】
(7)各感熱記録層用塗布液の塗布
上記下塗り層つき支持体の上に、下から、上記イエロー感熱記録層用塗布液(a)、上記中間層用塗布液、上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、上記中間層用塗布液、上記シアン感熱記録層用塗布液(c)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件で乾燥して実施例1の多色感熱記録材料を得た。
【0155】
この際上記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に上記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に上記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。
また、上記中間層用塗布液は(a)と(b)との間は固形分塗布量が2.39g/m2、(b)と(c)との間は固形分塗布量が3.34g/m2、上記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
【0156】
得られた多色感熱記録材料に、京セラサーマルヘッドKST型を用いて、サーマルヘッドに対する印画電力およびパルス幅を、単位体積当りの記録エネルギーが35mJ/mm2となるように設定し、それぞれの多色感熱記録材料を印画して、画像を記録し、試料1を得た。
【0157】
[実施例2]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%水溶液(ネオペレックスG−15、花王(株)製)4部に変更した以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(c)を調製し、試料2を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(c)中の粗大オイルドロップレット数は25個/cm3であった。
【0158】
[実施例3]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%水溶液(ネオペレックスG−15、花王(株)製)3.6部に変更した以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(d)を調製し、試料3を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(d)中の粗大オイルドロップレット数は28個/cm3であった。
【0159】
[実施例4]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%水溶液(ネオペレックスG−15、花王(株)製)4.8部に変更した以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(e)を調製し、試料4を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(e)中の粗大オイルドロップレット数は26個/cm3であった。
【0160】
[実施例5]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム70%水溶液(テイカパワーBN2070M、テイカ(株)製)0.86部に変更した以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(f)を調製し、試料5を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(f)中の粗大オイルドロップレット数は43個/cm3であった。
【0161】
[比較例1]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液をしなかった以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(g)を調製し、比較用の試料6を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(g)中の粗大オイルドロップレット数は61個/cm3であった。
【0162】
<評価>
上記実施例1〜5および比較例1において得られた試料1〜6について、下記の評価をおこなった。結果を表1に示す。
【0163】
(塗布面状)
上記実施例1〜5および比較例1において得られた試料1〜6を2Lサイズに裁断し、各資料について4枚ずつデジタルカラープリンター(NC−600D、富士写真フイルム(株)製)にてグレーパターンを印画した。次いで、印画面をルーペーで観察し、0.2mm以上の油状物が一枚当たりいくつ存在しているかを4枚の平均で算出し、下記規準に従ってイエロー感熱記録層の塗布面状を評価した。
〔規準〕
○:油状物の数が2Lサイズ一枚当たり0.5個以下であった。
△:油状物の数が2Lサイズ一枚当たり0.5個越〜2個以下であった。
×:油状物の数が2Lサイズ一枚当たり2個を超えていた。
【0164】
【表1】
【0165】
表1の結果より、本発明の感熱記録材料は、塗布面状に優れることが確認された。
【発明の効果】
本発明によれば、塗布面状に優れた感熱記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に関し、より詳細には、発色感度および塗布面状に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルヘッド等により熱を供与して画像を記録する感熱記録材料は、比較的安価であり、その記録装置が簡便で信頼性が高く、メンテナンスが不要であることから広く普及している。従来から感熱記録材料に対しては、高画質化や保存安定性の向上等の高性能化に対する要望が高く、発色濃度、画像品質、保存性等に関する研究が鋭意行われている。
また、感熱記録材料としては、従来から電子供与性無色染料とこれを発色させる電子受容性化合物との反応を利用したもの、ジアゾニウム塩等のジアゾニウム塩化合物とこれを発色させるカプラー化合物との反応を利用したものなどが広く知られている。
【0003】
近年では多色(フルカラー)の感熱記録材料の発展も著しく、該多色の感熱記録材料は、イエロー、マゼンタ、シアンに発色する層をそれぞれ積層した構造を有し、各層を熱によって発色させてフルカラーの画像を形成するのが一般的である。
上記多色の感熱記録材料としては、電子供与性無色染料および電子受容性化合物からなる発色層(感熱記録層)と、ジアゾニウム塩化合物等およびカプラー化合物からなる発色層とを組み合わせ、各発色層を上層から、イエロー、マゼンタ、およびシアンの順に積層したものなどがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
感熱記録材料にジアゾニウム塩化合物およびカプラー化合物からなる発色層を形成する場合、発色層用の塗布液には、カプラー化合物が油相と水相とからなるカプラー化合物乳化物として添加される。しかしながら、従来の感熱記録材料では、カプラー乳化物の安定性不良に伴ってカプラー乳化物中に粗大油滴が発生し、感熱記録材料の塗布面状が悪化してしまうといった問題がある。
【0005】
【非特許文献1】
繊維学会誌 第51巻 11号 450頁(1995年)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、塗布面状に優れた感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、上記感熱記録層は、2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする感熱記録材料である。
【0008】
<2> 支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、上記感熱記録層は、油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする感熱記録材料である。
【0009】
<3> 上記感熱記録層は、発色助剤を含有することを特徴とする<1>または<2>の感熱記録材料である。
【0010】
【発明の実施の形態】
《感熱記録材料》
以下、本発明の感熱記録材料について説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、上記感熱記録層は、(1)2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて、または、(2)油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の感熱記録材料は、本発明における感熱記録層を感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、(1)2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて、または、(2)油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成することで、発色性等の他の性能を維持したまま、感熱記録層の塗布面状を向上させることができる。感熱記録層の塗布面状を向上させることで、塗布故障を抑制し、画質を向上させ、歩留まりを高める(不良率を低減させる)ことができる。
【0012】
<感熱記録層>
本発明における感熱記録層は、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物と、を含有し、発色助剤等の他の成分を含んでいてもよい。
【0013】
(ジアゾニウム塩化合物)
本発明におけるジアゾニウム塩化合物としては、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
Ar−N2 + X− …(i)
〔式中、Arは芳香族部分を表し、X−は酸アニオンを表す。〕
【0014】
上記ジアゾニウム塩化合物は、加熱により後述のカプラー化合物とカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0015】
塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0016】
上記ジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxとしては、450nm以下が好ましく、290〜440nmがより好ましい。上記λmaxが、450nmを超える長波長側にあると、生保存性が低下することがあり、上記波長範囲よりも短波長側にあると、後述のカプラー化合物との組合わせにおいて画像定着性、画像保存性が低下したり、イエロー発色の色相が劣化することがある。
【0017】
また、ジアゾニウム塩化合物は、炭素原子数が12以上で水に対する溶解度が1%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上であることが望ましい。尚、ジアゾニウム塩化合物は、1種単独で用いてもよいし、色相調整等の目的に応じて、2種以上を併用することもできる。
【0018】
上記ジアゾニウム塩化合物の中でも、色素の色相、画像保存性、画像定着性の点で、下記構造式(1)〜(3)で表されるジアゾニウム塩化合物がより好ましい。
【0019】
【化1】
【0020】
上記構造式(1)中、Arは、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
上記アリール基が置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、置換アミノ基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、シアノ基、等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
【0021】
上記Arで表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、
【0022】
4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0023】
上記構造式(1)中、R21およびR22は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。R21およびR22は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
置換されている場合の置換基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、置換アミノ基、置換アミド基、アリール基、アリールオキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0024】
上記R21、R22で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜18のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、オクタデシル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、トルフェニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル基、2’,4’−ジイソペンチルフェニルオキシメチル基、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシメチル基、ジベンジルアミノカルボニルメチル基、2,4−ジ−t−アミルフェニルオキシプロピル基、エトキシカルボニルプロピル基、1−(2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシ)プロピル基、アセチルアミノエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基、メタンスルホニルアミノプロピル基、アセチルアミノエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基等が挙げられる。
【0025】
上記R21、R22で表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、
【0026】
4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、これらの基は、更にアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0027】
上記構造式(2)中、R24、R25およびR26は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表し、R24、R25およびR26は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
【0028】
上記R24、R25およびR26で表されるアルキル基としては、炭素原子数1〜18のアルキル基が好ましく、例えば、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアルキル基、および1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル基、ジ−n−オクチルアミノカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0029】
上記R24、R25およびR26で表されるアリール基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアリール基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。
また、これらの基は、更にアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0030】
上記構造式(2)中、Yは水素原子、OR23基を表し、R23は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記Yの中でも、色相調節の点で、水素原子、R23がアルキル基であるアルキルオキシ基が好ましい。
【0031】
上記R23で表されるアルキル基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアルキル基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。
上記R23で表されるアリール基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアリール基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。
また、これらのアリール基は、更にアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0032】
上記構造式(3)中、R27およびR28は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表し、R27およびR28は同一であってもよいし異なっていてもよい。
置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
【0033】
上記R27、R28で表されるアルキル基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアルキル基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。
上記R27、R28で表されるアリール基は、上記構造式(1)中のR21、R22で表されるアリール基と同義である。但し、これらに限定されるものではない。また、これらのアリール基は、更にアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0034】
上記構造式(1)〜(3)において、X−は酸アニオンを表し、該酸アニオンとしては、炭素原子数1〜9のポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素原子数1〜9のポリフルオアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。中でも、結晶性の点でヘキサフルオロリン酸が好ましい。
【0035】
以下に、上記構造式(1)〜(3)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
上記構造式(1)〜(3)で表されるジアゾニウム塩化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、色相調整等の諸目的に応じて、構造式(1)〜(3)で表されるジアゾニウム塩化合物と既存の他のジアゾニウム塩化合物とを併用してもよい。
【0041】
本発明において、感熱記録層中のジアゾニウム塩化合物含有量としては、0.05〜1.5g/m2が好ましく、0.07〜0.5g/m2がより好ましい。該含有量が、0.05g/m2未満であると、十分な発色濃度が得られないことがあり、1.5g/m2を超えると、塗布液の塗布適性が劣化することがある。
【0042】
(カプラー化合物)
前述のジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して色素を形成し発色させるカプラー化合物としては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気の下でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成し得るものであれば、いずれの化合物も用いることができる。
【0043】
ハロゲン化銀写真感光材料に用いられる、いわゆる4当量カプラー化合物は全てカプラー化合物として使用可能であり、色相等の目的に合致する範囲で適宜選択することができる。
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等が挙げられる。
【0044】
中でも、下記式(ii)で表される化合物、または該化合物の互変異性体は特に好ましい。
E1−CH2−E2 …(ii)
上記式(ii)中、E1およびE2は、それぞれ独立に電子吸引性基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記電子吸引性基は、Hammettのσ値が正である置換基を指し、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基、ジエチルホスホノ基等のホスホノ基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基、ニトロ基、イミノ基、シアノ基が好適に挙げられる。
【0045】
また、上記E1およびE2は、互いに結合して環を形成していてもよい。E1とE2で形成される環としては、5員若しくは6員の炭素環または複素環が好ましい。
【0046】
上記カプラー化合物の具体例としては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、
【0047】
1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、
【0048】
1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0049】
上記カプラー化合物の詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号の各公報、特願平5−278608号、特願平5−297024号、特願平6−18669号、特願平6−18670号、特願平7−316280号、特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号の各明細書等に記載されている。
【0050】
以下に、上記式(ii)で表されるカプラー化合物の具体例(B1〜B30)を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
感熱記録層中におけるカプラー化合物の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0056】
−カプラー化合物乳化物の調製−
本発明におけるカプラー化合物乳化物は、油相と水相とからなる乳化物であり、少なくともカプラー化合物と界面活性剤とを含有し、必要に応じて後述する有機塩基等を含有する。
カプラー化合物は上記油相溶液に添加され、水相溶液と混合し、乳化分散することで調製される。上記界面活性剤は、2種以上の界面活性剤を用いる場合には、油相溶液、水相溶液のいずれに添加してもよく、さらに油相溶液と水相溶液とを混合する前に各溶液に添加してもよいし、混合後の溶液に添加してもよい。また、カプラー化合物乳化物の油相と水相とのそれぞれに界面活性剤を添加する場合には、油相溶液と水相溶液とを混合する前に各溶液に添加するのが好ましい。
【0057】
上記界面活性剤は、カプラー化合物中に(1)2種以上、または、(2)油相および水相のそれぞれに少なくとも1種含有される。上記界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から適宜選定して用いることができる。中でも、アニオン性界面活性剤を用いると、カプラー化合物乳化物の乳化安定性をさらに向上させることが出来るため好ましい。
上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸せっけん等のカルボン酸塩系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩の他、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、リン酸エステル塩等の一般的な界面活性剤を用いることができる。この中でも上記水相に含有させる界面活性剤としては、スルホン酸ナトリウム系の界面活性剤が好ましい。
【0058】
上記界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ドデシルべンゼンスルホン酸カルシウムなどが挙げられる。これらの中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましく、油相に添加する界面活性剤としてはドデシルべンゼンスルホン酸カルシウムが好ましい。
【0059】
上記油相に用いられる有機溶媒としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤、および/または、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等が挙げられる。
【0060】
上記水相に用いられる溶媒には主に水が用いられる。また、水相には、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等を添加することができる。上記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変性物、等が挙げられ、上記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0061】
カプラー化合物乳化物中に2種以上の界面活性剤を用いる際、その組み合わせは特に限定されるものではないが、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとの組み合わせが好ましい。
また、カプラー化合物の油相と水相とのそれぞれに界面活性剤を含有させる場合には、油相に含まれる界面活性剤と水相に含まれる界面活性剤とは同一のものであってもよく異なっていてもよい。
【0062】
上記カプラー化合物乳化物中のカプラー化合物の含有量としては、5〜50質量%が好ましく、7〜30質量%がさらに好ましい。また、上記カプラー化合物乳化物中の界面活性剤の総量は、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。また、カプラー化合物乳化物の油相と水相とに界面活性剤を添加する場合、油相に含まれる界面活性剤の含有量は、0.5〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がさらに好ましく、水相に含まれる界面活性剤の含有量は、0.5〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がさらに好ましい。
【0063】
〜電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物〜
本発明の感熱記録材料においては、発色成分として上記ジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物(ジアゾ系発色剤)のほか、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ(ロイコ系発色剤)を用いることもきる。例えば、支持体上に複数の感熱記録層を有する感熱記録材料において、その少なくとも1層をロイコ系発色剤を含む層として構成することができる。
【0064】
上記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられ、中でも、発色濃度が高い点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。
【0065】
具体的には、下記化合物が挙げられる。例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、
【0066】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等である。
【0067】
既述のジアゾニウム塩化合物の場合と同様の理由から、感熱記録層中の上記電子供与性染料前駆体の塗布量としては、0.1〜1g/m2が好ましい。
【0068】
上記電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられ、中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。具体的には、下記化合物が挙げられる。
例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール等である。
【0069】
感熱記録層中における電子受容性化合物の含有量としては、電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0070】
(発色助剤)
本発明には、発色反応を促進させる目的で、感熱記録層中に発色助剤を加えることが好ましい。
上記発色助剤は、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー化合物、有機塩基またはジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩化合物、有機塩基、カプラー化合物等を反応しやすい状況にするものである。
【0071】
低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が可能となるように、上記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が好ましい。また、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0072】
具体的には、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、例えば、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサンなどのフェノール系化合物、4−(2−エチルへキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド、4−n−ペンチルオキシべンゼンスルホン酸アミド等のスルホンアミド化合物が挙げられる。
【0073】
上記発色助剤の感熱記録層中における含有量は、カプラー化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましい。
【0074】
(他の成分)
−有機塩基−
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物とのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を添加することが好ましい。
上記有機塩基は、感光感熱記録層中に、ジアゾニウム塩化合物およびカプラー化合物とともに含有させるのが好ましく、単独で用いても2種以上併用してもよい。
上記有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。また、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものも使用可能である。
【0075】
中でも特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0076】
所望により有機塩基を含有させる場合の、感熱記録層中における有機塩基の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0077】
−バインダー−
感熱記録層に用いられるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。上記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変性物、等が挙げられ、上記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0078】
−酸化防止剤等−
また、発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上させる、または定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
【0079】
本発明において、カプラー化合物、有機塩基や発色助剤等の他の成分の使用形態については特に制限はなく、例えば、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化を利用する方法等が挙げられる。
【0080】
(熱応答性マイクロカプセルの製造方法)
本発明においては、感熱記録材料の保存安定性、特に地肌部の白色性に対する生保存性をより向上させる点で、上記ジアゾニウム塩化合物(および電子供与性染料前駆体)を熱応答性マイクロカプセルに内包する。
【0081】
発色成分をマイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、一方の発色成分であるジアゾニウム塩化合物(および電子供与性染料前駆体)を、水に難溶または不溶の有機溶媒に溶解または分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法等が好適に挙げられる。該界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。
【0082】
上記有機溶剤としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤、および/または、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等が挙げられる。
【0083】
具体例としては、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、モノイソプロピルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等の高沸点溶剤が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、リン酸エステル系溶剤、カルボン酸エステル系溶剤、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが特に好ましい。
【0084】
更に、上記高沸点溶剤に、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、上記高沸点溶剤として、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。該α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学社製の「MSD100」等がある。
【0085】
上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチン等が挙げられ、中でも、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0086】
上記水溶性高分子には、疎水性高分子のエマルジョンまたはラテックス等を併用することもできる。該エマルジョンまたはラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。この時、必要に応じて従来公知の界面活性剤等を加えてもよい。
【0087】
マイクロカプセル壁を構成する高分子物質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂が特に好ましい。
【0088】
例えば、ポリウレタン・ポリウレア樹脂をカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化し芯物質とすべき油性媒体(油相)中に混合し、更にマイクロカプセル壁前駆体と反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)中に混合し、上記油相を水相に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0089】
以下に、上記多価イソシアネート化合物の具体例を示す。但し、これらに限定されるものではない。例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、
【0090】
シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等である。また、必要に応じて、2種類以上を併用してもよい。中でも特に好ましいものは、分子内にイソシアネート基を3個以上有するものである。
【0091】
マイクロカプセル化の方法において、カプラー化合物(および電子受容性化合物)、有機塩基、増感剤等の他の成分、およびマイクロカプセル壁前駆体やこれと反応する第2物質を溶解させる有機溶剤としては、既述の有機溶剤と同様である。
マイクロカプセルの粒径としては、0.1〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましい。
【0092】
(感熱記録材料の構成)
本発明の感熱記録材料は、ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセル、カプラー化合物、ゼラチン、および必要に応じて、発色助剤、有機塩基、その他の添加物を含有する感熱記録層形成のための塗布液(以下、感熱記録層塗布液と称する場合がある)を調製し、後述する公知の塗布方法により紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布することにより形成された感熱記録層を、少なくとも1層有することを特徴とする。感熱記録層の固形分質量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0093】
また、感熱記録層形成の態様としては、
(1)熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物を含有する液(A)を調製し、カプラー化合物、およびゼラチンを含有する乳化液(B)を調製し、該液(A)および液(B)を混合してなる感熱記録層用塗布液(C)を塗布、乾燥して感熱記録層を形成する態様、
(2)熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物を含有する液(A)を調製し、カプラー化合物およびゼラチンを含有する乳化液(B)を調製し、該液(A)、および液(B)を混合してなる感熱記録層用塗布液(C)を塗布、乾燥して感熱記録層を形成する態様等がある。
【0094】
以下に、多色の記録材料の具体的な構成態様について説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層を1層有する単色の感熱記録材料、および単色の記録層を複数積層した積層構造の感熱記録層を有する多色の感熱記録材料のいずれであってもよい。多色の感熱記録材料としては、感熱記録層を構成する少なくとも1層が、ジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー化合物とを含む光定着型記録層であることが好ましい。
【0095】
特に、シアン、イエロー、マゼンタを含むフルカラーの感熱記録層の場合には、支持体上の3層が全てジアゾ系発色剤で構成された形態、或いは支持体に近い第1層目の感熱記録層が電子供与性染料および電子受容性化合物を含有するロイコ系発色剤で構成され、第2および第3層目の感熱記録層がジアゾ系発色剤で構成された形態よりなる感熱記録材料が好ましい。例えば、下記(a)〜(c)に示す態様で構成されたものであってもよい。
【0096】
即ち、(a)支持体上に、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第1の記録層(A層))と、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第2の記録層(B層))と、を積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0097】
(b)支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する記録層(第1の記録層(A層))と、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第2の記録層(B層))と、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第3の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0098】
(c)支持体上に、最大吸収波長350nm以下のジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と呈色反応をするカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第1の記録層(A層))と、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第2の記録層(B層))と、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー化合物とを含有する光定着型記録層(第3の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、などである。
【0099】
多色記録の方法について、上記(b)または(c)により以下に説明する。
まず、第3の記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラー化合物とを発色させる。次に、発光中心波長430±30nmの光を照射して、C層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、第2の記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物とを発色させる。このとき、C層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており(光定着されている)、発色能力が失われているため発色しない。さらに、発光中心波長360±20nmの光を照射し、B層に含まれるジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、最後に、第1の記録層(A層)が発色しうる十分な熱を加えて発色させる。このとき、C層、B層の記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており、発色能力が失われているため発色しない。
【0100】
また、全ての記録層(A層、B層、およびC層)をジアゾ系の記録層とした場合、A層およびB層は、発色させた後に光定着を行うことが必要であるが、最後に画像記録を行うC層に関しては、必ずしも光定着を行う必要はない。
【0101】
光定着に用いる定着用光源としては、公知の光源の中から適宜選択でき、例えば、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、中でも、高効率に光定着する点で、光源の発光スペクトルが、記録材料に用いたジアゾニウム塩化物の吸収スペクトルとほぼ一致する光源を用いることが好ましい。
【0102】
−他の層−
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層や保護層を有してなる態様が好ましい。
【0103】
(光透過率調整層)
上記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0104】
上記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0105】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0106】
(保護層)
上記保護層は、バインダーと共に、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
上記バインダーは、バリアー性および作業性を損なわない範囲で、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん類、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等より適宜選択して使用することができる。
【0107】
上記のほか、他のバインダーとして、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられ、例えば、スチレンーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。上記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
【0108】
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤およびその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられる。上記触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
【0109】
上記顔料としては、公知の有機または無機の顔料が全て使用でき、具体的には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して使用できる。
上記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
上記界面活性剤としては、感熱記録層上に均一に保護層を形成可能なように、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、およびアンモニウム塩等が挙げられる。
【0110】
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に形成した感熱記録層上に保護層塗布液を公知の塗布方法により塗布して形成することができる。上記公知の塗布方法としては、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。
但し、保護層は、感熱記録層や光透過率調整層と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布して一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
【0111】
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0112】
(中間層)
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、上記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。上記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。
【0113】
(支持体)
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)トリアセチルセルロース(TAC)、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙等が挙げられる。また、透明な感熱記録材料を得る場合には、透明支持体を使用する必要があり、該透明支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられる。
【0114】
上記支持体は、単独で或いは貼り合わせて使用することができる。
上記合成高分子フィルムの厚さとしては、25〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。
【0115】
上記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよく、高分子フィルムを着色する方法としては、▲1▼フィルム成形前に予め樹脂に染料を混練しフィルム状に成形する方法、▲2▼染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製しこれを透明無色な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えばグラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布、乾燥する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルム状に成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0116】
上記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0117】
【実施例】
以下、実施例において本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。また、以下において特に指定のない場合「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
【0118】
[実施例1]
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、(株)ニッピ製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0119】
<乳化物作製用ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0120】
(1)イエロー感熱記録層用塗布液(a)の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム塩化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル4.8部およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名;ルシリンTPO、BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。得られた混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6部を添加し、均一に撹拌し混合液(I)を得た。
【0121】
別途、上記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で撹拌し、酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
【0122】
【化10】
【0123】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)19.8部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM、三井石油化学(株)製)20.8部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルへキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド13.6部、4−n−ペンチルオキシべンゼンスルホン酸アミド6.8部、ドデシルべンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0124】
別途上記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(ネオペレックスF−25、花王(株)製)2.4部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、真空度70torr、外温60℃の条件で酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に攪拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0125】
カプラー化合物乳化液(a)中の粗大オイルドロップレット数は32個/cm3であった。尚、カプラー化合物乳化液中の粗大オイルドロップレット数は、45℃に保温した乳化液5mlをガラス板(9×12cm)上に塗布、乾燥した後、ガラス板上を15ブロックに分け(1ブロック:0.6cm×12cm)、その内3ブロックについて実体顕微鏡を用い、30μm以上のオイルドロップレットをカウントした。
【0126】
【化11】
【0127】
<イエロー感熱記録層用塗布液(a)の調製>
上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および上記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が2.2/1になるように混合し、イエロー感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0128】
(2)マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル1.9部、フェニル2−べンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部および下記化合物(E)(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)0.1部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0129】
別途、上記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部を添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で、0.43μmであった。
【0130】
【化12】
【0131】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(F)11.9部、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM、三井石油化学(株)製)14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G)3.5部、リン酸トリクレジル1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルべンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液、竹本油脂(株)製)4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0132】
別途上記乳化物作製用ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0133】
【化13】
【0134】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製>
上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)および上記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0135】
(3)シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合液(商品名;ハイゾールSAS−310、日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)の商品名)8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)10.6部とを混合し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0136】
別途、上記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行い、カプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節し、マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン誘導体を含む螢光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)4.2部とを添加して均一に攪拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0137】
【化14】
【0138】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
上記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%−2−エチルへキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6%であった。
上記分散液100部に、上記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部を加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0139】
<シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製>
上記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および上記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0140】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
上記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製 2.0%水溶液)0.05部、硼酸(4.0%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)の4%水溶液4.53部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0141】
【化15】
【0142】
(5)光透過率調整層用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100、三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)0.45部を均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を得た。
【0143】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部にイオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に上記紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。
【0144】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、下記化合物(K)(商品名:メガファックF−120、5%水溶液、大日本インキ化学工業(株))5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0145】
【化16】
【0146】
(6)保護層用塗布液の調製
<保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製>
ビニルアルコール・アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130、電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57、(54%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0147】
<保護層用顔料分散液の調製>
硫酸バリウム(商品名;BF−21F、硫酸バリウム含有量93%以上、堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液)、花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を調製した。この分散液は粒径測定(LA−910、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して保護層用顔料分散液を得た。
【0148】
<保護層用マット剤分散液の調製>
小麦澱粉(商品名;小麦澱粉S、新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0149】
<保護層用塗布ブレンド液の調製>
上記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に上記化合物(K)(商品名:メガファックF−120、5%水溶液、大日本インキ化学工業(株))40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、上記保護層用顔料分散液49.87部、上記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115、20.5%水溶液、中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0150】
(7)下塗り層つき支持体
<下塗り層液の作製>
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスぺクト比:1000、商品名:ソマシフME100、コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0151】
40℃の40%の上記ゼラチン水溶液100部に、水120部およびメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5%上記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7%)を調製し、下塗り用塗布液を得た。
【0152】
<下塗り層つき支持体の作製>
LBPS50部、LBPK50部からなる木材パルプをディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化べヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0153】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーティングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0154】
(7)各感熱記録層用塗布液の塗布
上記下塗り層つき支持体の上に、下から、上記イエロー感熱記録層用塗布液(a)、上記中間層用塗布液、上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、上記中間層用塗布液、上記シアン感熱記録層用塗布液(c)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件で乾燥して実施例1の多色感熱記録材料を得た。
【0155】
この際上記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に上記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に上記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。
また、上記中間層用塗布液は(a)と(b)との間は固形分塗布量が2.39g/m2、(b)と(c)との間は固形分塗布量が3.34g/m2、上記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
【0156】
得られた多色感熱記録材料に、京セラサーマルヘッドKST型を用いて、サーマルヘッドに対する印画電力およびパルス幅を、単位体積当りの記録エネルギーが35mJ/mm2となるように設定し、それぞれの多色感熱記録材料を印画して、画像を記録し、試料1を得た。
【0157】
[実施例2]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%水溶液(ネオペレックスG−15、花王(株)製)4部に変更した以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(c)を調製し、試料2を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(c)中の粗大オイルドロップレット数は25個/cm3であった。
【0158】
[実施例3]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%水溶液(ネオペレックスG−15、花王(株)製)3.6部に変更した以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(d)を調製し、試料3を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(d)中の粗大オイルドロップレット数は28個/cm3であった。
【0159】
[実施例4]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%水溶液(ネオペレックスG−15、花王(株)製)4.8部に変更した以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(e)を調製し、試料4を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(e)中の粗大オイルドロップレット数は26個/cm3であった。
【0160】
[実施例5]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム70%水溶液(テイカパワーBN2070M、テイカ(株)製)0.86部に変更した以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(f)を調製し、試料5を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(f)中の粗大オイルドロップレット数は43個/cm3であった。
【0161】
[比較例1]
実施例1における<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液をしなかった以外は、実施例1と同様にしてカプラー化合物乳化液(g)を調製し、比較用の試料6を得た。
尚、カプラー化合物乳化液(g)中の粗大オイルドロップレット数は61個/cm3であった。
【0162】
<評価>
上記実施例1〜5および比較例1において得られた試料1〜6について、下記の評価をおこなった。結果を表1に示す。
【0163】
(塗布面状)
上記実施例1〜5および比較例1において得られた試料1〜6を2Lサイズに裁断し、各資料について4枚ずつデジタルカラープリンター(NC−600D、富士写真フイルム(株)製)にてグレーパターンを印画した。次いで、印画面をルーペーで観察し、0.2mm以上の油状物が一枚当たりいくつ存在しているかを4枚の平均で算出し、下記規準に従ってイエロー感熱記録層の塗布面状を評価した。
〔規準〕
○:油状物の数が2Lサイズ一枚当たり0.5個以下であった。
△:油状物の数が2Lサイズ一枚当たり0.5個越〜2個以下であった。
×:油状物の数が2Lサイズ一枚当たり2個を超えていた。
【0164】
【表1】
【0165】
表1の結果より、本発明の感熱記録材料は、塗布面状に優れることが確認された。
【発明の効果】
本発明によれば、塗布面状に優れた感熱記録材料を提供することができる。
Claims (3)
- 支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、上記感熱記録層は、2種以上の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする感熱記録材料。
- 支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラー化合物とを含有する感熱記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料であって、上記感熱記録層は、油相および水相のそれぞれに少なくとも1種の界面活性剤を含んだカプラー化合物乳化物を用いて形成されたことを特徴とする感熱記録材料。
- 上記感熱記録層は、発色助剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録材料。
Priority Applications (1)
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JP2002301784A JP2004136491A (ja) | 2002-10-16 | 2002-10-16 | 感熱記録材料 |
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-
2002
- 2002-10-16 JP JP2002301784A patent/JP2004136491A/ja not_active Withdrawn
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