JP2004050553A - ジアゾ記録材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発色性に優れたジアゾ記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルヘッド等により熱を供与して画像を記録するジアゾ記録材料は、比較的安価であり、その記録装置が簡便で信頼性が高く、メンテナンスが不要であることから、広く普及している。そのような状況の下、近年では特に高画質化、保存安定性の向上等の高性能化に対する要望が高く、ジアゾ記録材料の発色濃度、画像品質、保存性等に関する研究が鋭意おこなわれている。
【0003】
ジアゾ記録材料は、発色成分としてジアゾ化合物を用い、発色濃度、画像品質および保存性に優れたものが多く開発されている。ジアゾ化合物を含有するジアゾ記録材料は、熱によって画像を印画した後、光によってジアゾ化合物を熱分解(定着)させるものであり、また、ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包することで、画像保存性を大きく向上させることができる。
【0004】
更に、最大吸収波長の異なる複数の感熱記録層を含む記録材料を用いれば、多色記録が可能となる。このような記録材料としては、例えば、最大吸収波長がYnmのジアゾニウム塩化合物と反応してイエローに発色するカプラーを含む感熱記録層(Y層)と、最大吸収波長がMnm(Mnm<Ynm)のジアゾニウム塩化合物と反応してマゼンタに発色するカプラーを含む感熱記録層(M層)とを積層した記録材料などである。多色記録の方法は、例えば、まず、Y層を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを反応させてイエローに発色させる。次に発光中心波長がYnm付近の光を照射してY層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩を分解した後、Y層を加熱したときよりも高エネルギーを与えてM層を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを反応させてマゼンタに発色させる。この時、Y層も加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解されていて発色能力が失われているため発色しない。
しかしながら、上記の記録方法においては、Y層のジアゾニウム塩化合物とM層のジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長が近いと、Y層のジアゾニウム塩化合物を光分解する際にM層のジアゾニウム塩化合物の一部も光分解され、M層の発色性が損なわれる場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、Y層のジアゾニウム塩化合物を光分解させる際にM層のジアゾニウム塩化合物の一部が光分解するのを防止し、ジアゾ記録材料の発色性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、M層のジアゾニウム塩化合物を含むマイクロカプセルに関して、低屈折率のオイルを用いることによって、M層のジアゾニウム塩化合物の吸収を短波化し、その結果、Y層のジアゾニウム塩化合物を光分解する際に生じるM層のジアゾニウム塩化合物の光分解を抑制できることを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は次のものを提供するものである。
<1> 支持体上に、マイクロカプセルに内包された下記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーとを含む感熱記録層を設けたジアゾ記録材料であって、前記マイクロカプセルは、屈折率が1.50未満のオイルを内包していることを特徴とするジアゾ記録材料である。
【0008】
【化4】
[一般式(1)において、R1〜R3は、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。]
【0009】
<2> 前記オイルは、下記一般式(2)または一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする上記<1>のジアゾ記録材料である。
【0010】
【化5】
[一般式(2)において、R4は、炭素数2〜10のアルキル基を表す。nは1または2を表し、Yは、n=1の場合は、エチル基、R4COOCH2−を表し、n=2の場合は、−CH2OCH2−を表す。]
【0011】
【化6】
[一般式(3)において、mは0〜18までの整数を表し、nは3〜10までの整数を表す。但し、m+n≧8である。]
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のジアゾ記録材料について詳細に説明する。
(感熱記録層)
本発明のジアゾ記録材料は、感熱記録層にマイクロカプセルに内包された上記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物(以下、「本発明におけるジアゾニウム塩化合物」という場合がある。)およびカプラー化合物を含み、さらにマイクロカプセルに屈折率1.50未満のオイル(以下、「低屈折率オイル」という場合がある。)を内包させることを特徴とする。
【0013】
本発明においては本発明におけるジアゾニウム塩化合物と、屈折率が1.50未満のオイルとを、ともにマイクロカプセルに内包させることで、本発明におけるジアゾニウム塩化合物の吸収を短波化することができ、例えば、他の層の吸収波長がYnmのジアゾニウム塩化合物を光分解する際に、本発明における低屈折率オイルとともに含まれる吸収波長がMnmのジアゾニウム塩化合物(Mnm<Ynm)の光分解を抑制することができる。その結果、本発明における低屈折率オイルを含む層の発色性を向上させることできる。
【0014】
本発明において、「屈折率」はNa−D線(λ=589.3nm)を光源として、20℃でアッベ(Abbe)屈折計を用いて測定した値である。尚、低屈折率オイルが20℃で固体の場合、固体の低屈折率オイルと酢酸エチルとを任意の割合で混合して得た液体の屈折率を測定し、そこからの外挿値を求めることで低屈折率オイルの屈折率とする。尚、本発明においては、本発明におけるジアゾニウム塩化合物とともに内包されるオイル全体の屈折率が1.50未満であることが必要であり、好ましくは、1.49未満、さらに好ましくは1.48未満である。
【0015】
本発明で用いる屈折率1.50未満の低屈折率オイルは特に限定されないが、本発明におけるジアゾニウム塩化合物の生保存性を考慮すると、下記一般式(2)または(3)で表される化合物が好ましい。
【0016】
【化7】
[一般式(2)において、R4は、炭素数2〜10のアルキル基を表す。nは1または2を表し、Yは、n=1の場合は、エチル基、R4COOCH2−を表し、n=2の場合は、−CH2OCH2−を表す。]
【0017】
一般式(2)において、R4は炭素数2〜10のアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、不飽和結合を有していてもよい。直鎖のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられ、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。分岐アルキル基としては、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、iso−ペンチル基、1−エチルペンチル基が挙げられ、iso−プロピル基、1−エチルペンチル基が好ましい。不飽和結合を有するアルキル基としては、ビニル基、1−メチルビニル基、アリル基、3−ブテニル基が挙げられ、ビニル基、1−メチルビニル基が好ましい。
【0018】
【化8】
[一般式(3)において、mは0〜18までの整数を表し、nは3〜10までの整数を表す。但し、m+n≧8である。]
【0019】
一般式(3)において、mは0〜18までの整数を表し、2〜12が好ましい。nは3〜10までの整数を表し、4〜8が好ましい。但し、m+nは8以上の整数を表し、10以上であることが好ましい。
【0020】
上記一般式(2)(3)で表される化合物を例に本発明における低屈折率オイルの具体例(A−1)〜(A−58)を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
本発明において、本発明における低屈折率オイルとともにマイクロカプセルに内包されるジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0028】
【化15】
[一般式(1)において、R1〜R3は、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。]
【0029】
上記一般式(1)において、R1〜R3は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。該アルキル基およびアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。また、R1、R2およびR3は、同一でも異なっていてもよい。
上記置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。
上記アルキル基としては、直鎖あるいは分岐状でよく、炭素数1〜20のものが好ましい。このアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、中でもブチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が特に好ましい。
【0031】
上記置換基を有していてもよいアルキル基としては、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、ジアルキルアミノカルボニルアルキル基等が挙げられる。アルコキシアルキル基としては、総炭素数3〜22のものが好ましく、例えば、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、へキシルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、へキシルオキシプロピル基、デシルオキシプロピル基が挙げられる。中でもブトキシエチル基、へキシルオキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基が特に好ましい。
【0032】
アリールオキシアルキル基としては、総炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、2−フェノキシエチル基、2−(4−メトキシフェノキシ)エチル基、2−(4−メチルフェノキシ)エチル基、2−(3−メチルフェノキシ)エチル基、2−(2−メチルフェノキシ)エチル基、3−フェノキシプロピル基、3−(4−メトキシフエノキシ)プロピル基、3−(4−メチルフェノキシ)プロピル基、3−(3−メチルフェノキシ)プロピル基、3−(2−メチルフェノキシ)プロピル基が挙げられる。中でも2−フェノキシエチル基、2−(4−メトキシフェノキシ)エチル基、3−フェノキシプロピル基、3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル基が特に好ましい。
【0033】
アルコキシカルボニルアルキル基としては、総炭素数4〜22のものが好ましく、例えば、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、へキシルオキシカルボニルメチル基、オクチルオキシカルボニルメチル基、デシルオキシカルボニルメチル基、ドデシルオキシカルボニルメチル基、テトラデシルオキシカルボニルメチル基、へキサデシルオキシカルボニルメチル基、オクタデシルオキシカルボニルメチル基、2−(へキシルオキシカルボニル)エチル基、2−(オクチルオキシカルボニル)エチル基、2−(デシルオキシカルボニル)エチル基、2−(ドデシルオキシカルボニル)エチル基、1−(へキシルオキシカルボニル)エチル基、1−(オクチルオキシカルボニル)エチル基、1−(デシルオキシカルボニル)エチル基、1−(ドデシルオキシカルボニル)エチル基等が挙げられる。中でもオクチルオキシカルボニルメチル基、デシルオキシカルボニルメチル基、ドデシルオキシカルボニルメチル基が特に好ましい。
【0034】
またアルコキシカルボニルアルキル基の末端アルコキシ基はさらに総炭素数6〜15のアリール基またはアリールオキシ基で置換されていてもよく、例えば、ベンジルオキシカルボニルメチル基、(2−フェニル)エトキシカルボニルメチル基、(2−(4−メトキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基、(2−(3−メトキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基、(2−(2−メトキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基、(2−(2−オクチルオキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基が好ましい。中でもベンジルオキシカルボニルメチル基、(2−フェニル)エトキシカルボニルメチル基、2−(2−オクチルオキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基が特に好ましい。
【0035】
ジアルキルアミノカルボニルアルキル基としては、総炭素数4〜22のものが好ましく、例えば、ジメチルアミノカルボニルメチル基、ジエチルアミノカルボニルメチル基、ジブチルアミノカルボニルメチル基、ジへキシルアミノカルボニルメチル基、ジオクチルアミノカルボニルメチル基、2−(ジメチルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジエチルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジブチルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジへキシルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジオクチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジメチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジエチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジブチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジへキシルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジオクチルアミノカルボニル)エチル基が拳げられる。中でもジブチルアミノカルボニルメチル基、2−(ジブチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジブチルアミノカルボニル)エチル基が特に好ましい,
【0036】
一般式(1)中、R1、R2のアリール基としては、総炭素数6〜25のものが好ましい。このアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、2,5−ジブトキシフェニル基、2,5−ジヘプチルオキシフェニル基、2,5−ジオクチルオキシフェニル基等があげられる。中でも、フェニル基、2−メチルフェニル基、2,5−ジオクチルオキシフェニル基が特に好ましい。
【0037】
前記一般式(1)において、X−は、酸アニオンを表し、酸アニオンとしては、炭素数1〜9のポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素数1〜9のポリフルオアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフロロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。結晶性の点で、ヘキサフルオロリン酸が好ましい。
【0038】
本発明で用いられるジアゾニウム塩化合物は感熱記録層中に0.02〜3g/m2の範囲で用いることが好ましく、発色濃度の観点からは、0.1〜2g/m2の範囲で用いることが特に好ましい。本発明で用いられる低屈折率オイルはジアゾニウム塩化合物に対して0.1〜5倍質量用いるのが好ましく、地肌白色度の点からは、0.4〜3倍質量用いるのが特に好ましい。
【0039】
本発明のジアゾ記録材料は、発色成分として公知のジアゾニウム塩化合物およびカプラー、または、電子供与性無色染料および電子受容性化合物を含む感熱記録層と本発明における感熱記録層とを積層する構造であってもよい。
【0040】
以下に一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
上記公知のジアゾ化合物としては、例えば、下記一般式(4)で表されるジアゾニウム塩化合物が挙げられる。
Ar−N2 +X1− 一般式(4)
(式中、Arは置換または無置換のアリール基を表し、X1−は酸アニオンを表す。)
【0044】
一般式(4)で表されるジアゾニウム塩化合物は、加熱によって後述のカプラーとカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0045】
上記一般式(4)中、Arは、置換または無置換のアリール基を表す。
上記Arで表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、
【0046】
4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。また、これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルオキシ基、シアノ基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、ヘテロ環基等により置換されていてもよく、更に置換されていてもよい。
【0047】
上記一般式(4)で表されるジアゾニウム塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0048】
上記X1−は酸アニオンを表し、該酸アニオンとしては、炭素原子数1〜9のポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素原子数1〜9のポリフルオアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。中でも、結晶性の点でヘキサフルオロリン酸が好ましい。
【0049】
上記公知のジアゾ化合物の最大吸収波長λmaxは使用する層等によって適宜選定すればよいが、450nm以下が好ましく、290〜440nmがより好ましい。上記λmaxが、450nmを超える長波長側にあると、生保存性が低下することがあり、上記波長範囲よりも短波長側にあると、後述のカプラーとの組合わせにおいて画像定着性、画像保存性が低下したり、色相が劣化することがある。
【0050】
また、ジアゾニウム塩化合物は、炭素原子数が12以上で水に対する溶解度が1質量%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5質量%以上であることが望ましい。
尚、ジアゾニウム塩化合物は、一種単独で用いてもよいし、色相調整等の目的に応じて、二種以上を併用することもできる。
【0051】
上述のジアゾニウム塩化合物(本発明におけるジアゾニウム塩化合物を含む)とカップリング反応して色素を形成し発色させるカプラーとしては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気の下でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成し得るものであれば、いずれの化合物も用いることができ、色相等の目的に合致する範囲で適宜選択することができる。
【0052】
上記カプラーとしては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、1−ヒドロキシ−8−アセチルアミノナフタレン−1,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセチルアミノナフタレン−8.6−ジスルホン酸ジアニリド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−2’−メチルアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸モルホリノエチルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸ピペリジノプロピルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸ピペリジノエチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシル−オキシ−プロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、6−エトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、2−クロロ−3−(2,4−ジ−1−アミルフェノキシプロピルアミノカルボニル)−ピパロイルアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノー3−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン等を挙げることができる。これらのカプラーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記感熱記録層中におけるカプラーの含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0053】
本発明のジアゾ記録材料においては、上述の通り、他の発色成分としてジアゾ化合物とカプラー(ジアゾ系発色剤)とのほか、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ(ロイコ系発色剤)を用いることもできる。例えば、支持体上に複数の感熱記録層を有するジアゾ記録材料において、その少なくとも1層をロイコ系発色剤を含む層として構成することができる。
【0054】
上記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられ、中でも、発色濃度が高い点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。
【0055】
具体的には、下記化合物が挙げられる。例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、
【0056】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等である。
【0057】
上記電子供与性染料前駆体の塗布量は、既述のジアゾニウム塩化合物の場合と同様の理由から、感熱記録層中に0.1〜2g/m2とすることが好ましい。
【0058】
電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられ、中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。具体的には、下記化合物が挙げられる。
例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。
【0059】
感熱記録層中における電子受容性化合物の含有量としては、電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0060】
本発明における感熱記録層には、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を添加することが好ましい。
上記有機塩基は、感光感熱記録層中に、ジアゾニウム塩化合物およびカプラーとともに含有させるのが好ましく、単独で用いても2種以上併用してもよい。
上記有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。また、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものも使用可能である。
【0061】
中でも特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0062】
所望により有機塩基を含有させる場合の、感熱記録層中における有機塩基の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0063】
本発明のジアゾ記録材料は、上記有機塩基のほか、発色反応を促進させる目的で、感熱記録層中に増感剤を加えることもできる。
上記増感剤は、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、有機塩基またはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩、有機塩基、カプラー等を反応しやすい状況にするものである。
具体的には、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、例えば、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられる。
【0064】
本発明における感熱記録層に用いるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。
上記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変成物等が挙げられ、上記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0065】
また、本発明における感熱記録層には、発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上、または定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許EP第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載のものを挙げることができる。
【0066】
本発明において、カプラー、有機塩基や増感剤等の他の成分の使用形態については特に制限はなく、例えば、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化を利用する方法等が挙げられる。
【0067】
(マイクロカプセルの製造方法)
本発明は、一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物の吸収を短波化させるために、屈折率が1.50未満の低屈折率オイル(好ましくは上記一般式(2)または(3)で表される化合物)をマイクロカプセルに内包する。
【0068】
本発明におけるジアゾニウム塩化合物と本発明における低屈折率オイルとをマイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、本発明におけるジアゾニウム塩化合物と本発明における低屈折率オイルとを同時に水に難溶または不溶の有機溶媒に溶解または分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段によって乳化分散した後、加温することでその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法等が好適に挙げられる。該界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れたジアゾ記録材料を得ることができる。
【0069】
上記有機溶媒としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤、および/または、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等の高沸点溶剤が挙げられる。
【0070】
高沸点溶剤の具体例としては、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、モノイソプロピルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、リン酸エステル系溶剤、カルボン酸エステル系溶剤、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが特に好ましい。但し、上記高沸点溶剤の添加量は、マイクロカプセル中のオイル全体の屈折率が1.50未満となるように調整する必要があり、上記高沸点溶剤の添加量がマイクロカプセル中のオイルの総量の50質量%以下であることが好ましい。
【0071】
更に、上記高沸点溶剤に、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、上記高沸点溶剤として、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。該α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学社製の「MSD100」等がある。
【0072】
上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチン等が挙げられ、中でも、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0073】
上記水溶性高分子には、疎水性高分子のエマルジョンまたはラテックス等を併用することもできる。該エマルジョンまたはラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。この時、必要に応じて従来公知の界面活性剤等を加えてもよい。
【0074】
マイクロカプセル壁を構成する高分子物質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂が特に好ましい。
【0075】
例えば、ポリウレタン・ポリウレア樹脂をカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化し芯物質とすべき油性媒体(油相)中に混合し、更にマイクロカプセル壁前駆体と反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)中に混合し、上記油相を水相に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0076】
以下に、上記多価イソシアネート化合物の具体例を示す。但し、これらに限定されるものではない。例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、
【0077】
シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また、必要に応じて、これらを二種類以上を併用してもよい。中でも特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0078】
また、前記公知のジアゾ化合物、電子供与性無色染料等をマイクロカプセル化する場合にも上述の方法を使用することができる。マイクロカプセル化の方法において、カプラー(および電子受容性化合物)、有機塩基、増感剤等の他の成分、およびマイクロカプセル壁前駆体やこれと反応する第2物質を溶解させる有機溶剤としては、既述の有機溶剤と同様のものが用いられる。
マイクロカプセルの粒径は、0.1〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましい。
【0079】
以下に、多色のジアゾ記録材料の具体的な構成態様について説明する。
本発明のジアゾ記録材料は、支持体上に感熱記録層を複数積層した積層構造の感熱記録層を有する多色のジアゾ記録材料であることが望ましい。
【0080】
特に、シアン、イエロー、マゼンタを含むフルカラーの感熱記録層の場合には、支持体上の3層が全てジアゾ系発色剤で構成された形態、あるいは支持体に近い第一層目の感熱記録層が電子供与性染料および電子受容性化合物を含有するロイコ系発色剤で構成され、第二および第三層目の感熱記録層がジアゾ系発色剤で構成された形態よりなるジアゾ記録材料が好ましい。本発明のジアゾ記録材料としては、支持体側からシアン、マゼンタ、イエローに発色する順に各色相に発色する感熱記録層を積層した構成が好ましく、特に一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物および本発明における低屈折率オイルを内包するマイクロカプセルを含有する感熱記録層が、マゼンタに発色する感熱記録層である態様が最適である。
本発明のジアゾ記録材料は、例えば、下記(a)〜(c)に示す態様で構成されたものであってもよい。
【0081】
(a)支持体上に、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、を積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0082】
(b)支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0083】
(c)支持体上に、最大吸収波長350nm以下のジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と呈色反応をするカプラーとを含有する光定着型記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、などである。
上記各態様においては、上記態様(a)のA層、上記態様(b)のB層および上記態様(c)のA層若しくはB層には、マイクロカプセル中に本発明におけるジアゾニウム塩化合物と共に、本発明における低屈折率オイルが含まれている態様が好ましい。
【0084】
多色記録の方法について、上記(b)または(c)を例に説明する。
まず、第3の記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次に、発光中心波長430±30nmの光を照射して、C層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、第2の記録層(B層)が発色するのに十分な熱を与え、該B層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、C層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており(光定着されている)、発色能力が失われているため発色しない。さらに、発光中心波長360±20nmの光を照射し、B層に含まれるジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、最後に、第1の記録層(A層)に発色しうる程度の十分な熱を加えて発色させる。このとき、C層、B層の記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており、発色能力が失われているため発色しない。
【0085】
また、全ての記録層(A層、B層、およびC層)をジアゾ系の記録層とした場合、A層およびB層は、発色させた後に光定着をおこなうことが必要であるが、最後に画像記録をおこなうC層に関しては、必ずしも光定着をおこなう必要はない。
【0086】
光定着に用いる定着用光源としては、公知の光源の中から適宜選択でき、例えば、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、中でも、高効率に光定着する点で、光源の発光スペクトルが、記録材料に用いたジアゾニウム塩化物の吸収スペクトルとほぼ一致する光源を用いることが好ましい。
【0087】
本発明のジアゾ記録材料においては、支持体上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層や保護層を有してなる態様が好ましい。
【0088】
−光透過率調整層−
上記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0089】
上記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、ジアゾ記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層はジアゾ記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0090】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0091】
−保護層−
上記保護層は、バインダーと共に、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
上記バインダーは、バリアー性および作業性を損なわない範囲で、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん類、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等より適宜選択して使用することができる。
【0092】
上記のほか、他のバインダーとして、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられ、例えば、スチレンーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
上記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
【0093】
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤およびその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、保護層形成用の塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。上記触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、上記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
【0094】
保護層中の顔料としては、公知の有機または無機の顔料が全て使用でき、具体的には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等が挙げられる。これらは単独で、または二種以上を混合して使用できる。
上記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
上記界面活性剤は、感熱記録層上に均一な保護層を形成するために用いられる。このような界面活性剤としては、スルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、およびアンモニウム塩等が挙げられる。
【0095】
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
本発明のジアゾ記録材料は、支持体上に形成した感熱記録層上に保護層塗布液を公知の塗布方法により塗布して形成することができる。上記公知の塗布方法としては、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。
但し、保護層は、感熱記録層や光透過率調整層と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布して一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
【0096】
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0097】
−中間層−
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、上記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。上記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。
【0098】
−支持体−
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)トリアセチルセルロース(TAC)、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙等が挙げられる。また、透明なジアゾ記録材料を得る場合には、透明支持体を使用する必要があり、該透明支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられる。
【0099】
上記支持体は、単独であるいは貼り合わせて使用することができる。
上記合成高分子フィルムの厚さとしては、25〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。
【0100】
上記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよく、高分子フィルムを着色する方法としては、フィルム成形前に予め樹脂に染料を混練しフィルム状に成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製しこれを透明無色な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えばグラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布、乾燥する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルム状に成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0101】
上記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0102】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0103】
[実施例1]
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143質量部、イオン交換水367.1質量部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0104】
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286質量部、水酸化カルシウム0.153質量部、イオン交換水143.6質量部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0105】
<イエロー感熱記録層用塗布液(a)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)
酢酸エチル16.1質量部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長420nm)4.4質量部、モノイソプロピルビフェニル4.8質量部、フタル酸ジフェニル4.8質量部、およびジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASF ジャパン(株)製)0.4質量部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0106】
別途、上記フタル化ゼラチン水溶液58.6質量部にイオン交換水16.3質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.34質量部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.60μmであった。
【0107】
【化18】
【0108】
(カプラー乳化液(a)の調製)
酢酸エチル33.0質量部に下記カプラー化合物(E)9.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)3.3質量部、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6質量部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2質量部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0109】
別途上記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3質量部にイオン交換水107.3質量部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節をおこなった。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
さらに上記カプラー乳化物100質量部に対してSBRラテックス(商品名:SN−307、48質量%溶液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調整したものを9質量部添加して均一に攪拌してカプラー乳化液(a)を得た。
【0110】
【化19】
【0111】
(イエロー感熱記録層用塗布液(a)の調製)
上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および上記カプラー乳化液(a)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2.2/1になるように混合してイエロー感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0112】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製)
酢酸エチル15.1質量部に、下記ジアゾニウム塩化合物(F)(最大吸収波長365nm)2.8質量部、上記具体例(A−4)(本発明における低屈折率オイル:[nD 20:1.47]11.8質量部、および、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2質量部添加し、加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)2.5質量部、および、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)6.8質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0113】
別途、上記フタル化ゼラチン溶液55.3質量部にイオン交換水21.0質量部を添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.51μmであった。
【0114】
【化20】
【0115】
(カプラー乳化液(b)の調製)
酢酸エチル36.9質量部に下記カプラー化合物(G)11.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0質量部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)3.5質量部、下記化合物(H)3.5質量部、リン酸トリクレジル1.7質量部、マレイン酸ジエチル0.8質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5質量部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0116】
別途上記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3質量部にイオン交換水107.3質量部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5質量%になるように濃度調節をおこない、カプラー乳化物(b)を得た。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0117】
【化21】
【0118】
(マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製)
上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)および上記カプラー乳化液(b)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)を上記マイクロカプセル液(b)量10質量部に対し、0.2質量部になるように混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0119】
<シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製>
(電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製)
酢酸エチル18.1質量部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6質量部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310、日本石油(株)製)8.0質量部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm2140、チバガイギー(株)製)8.0質量部を添加し、加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)7.2質量部と、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業(株)製)5.3質量部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0120】
別途、上記フタル化ゼラチン溶液28.8質量部にイオン交換水9.5質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.17質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)4.3質量部を混合添加し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50質量部、テトラエチレンペンタミン0.12質量部を加え均一化した後、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行いカプセル液の固形分濃度が33質量%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
さらに、上記マイクロカプセル液100質量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25質量%水溶液(商品名:ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7質量部と4,4‘−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン誘導体(商品名:Kaycall BXNL、日本曹達(株)製)を添加して均一に攪拌して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0121】
【化22】
【0122】
(電子受容性化合物分散液(c)の調製)
上記フタル化ゼラチン水溶液11.3質量部にイオン交換水30.1質量部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15質量部、2質量%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8質量部を加えて、ボールミルにて一晩分散して分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6質量%であった。
上記分散液100質量部に、上記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2質量部加え30分間攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5質量%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0123】
(シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製)
上記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および上記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性無色染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0124】
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)水溶液100.0質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5質量%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)2.857質量部、水酸化カルシウム0.5質量部、イオン交換水521.643質量部を混合し、50℃にて溶解して中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0125】
上記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)0.05質量部、硼酸(4.0質量%水溶液)1.5質量部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)0.19質量部、下記化合物(J)の4質量%水溶液3.42質量部、下記化合物(J’)の4質量%水溶液1.13質量部、イオン交換水0.67質量部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0126】
【化23】
【0127】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製)
酢酸エチル71質量部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5質量部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0質量部、燐酸トリクレジル1.9質量部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45質量部を溶解し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)54.7質量部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0128】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52質量部に30質量%燐酸水溶液8.9質量部、イオン交換水532.6質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06質量部に上記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1質量部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48質量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416質量部、イオン交換水39.5質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0129】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000質量部、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株))(5質量%水溶液)5.2質量部、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.75質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)73.39質量部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0130】
<保護層用塗布液の調製>
(保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製)
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160質量部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54質量%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74質量部、イオン交換水3832質量部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0131】
(保護層用顔料分散液の調製)
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8質量部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2質量部、イオン交換水11.8質量部を混合し、ダイノミルにて分散した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
得られた分散液45.6質量部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液、日産化学(株)製)8.1質量部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
【0132】
(保護層用マット剤分散液の調製)
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220質量部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81質量部、イオン交換水1976.19質量部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0133】
(保護層用塗布ブレンド液の調製)
上記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000質量部に上記フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株))(5質量%水溶液)40質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)50質量部、上記保護層用顔料分散液49.87質量部、上記保護層用マット剤分散液16.65質量部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0134】
<下塗り層つき支持体の作製>
(下塗り層用塗布液の調製)
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40質量部をイオン交換水60質量部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8質量部と水92質量部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0135】
次いで、40℃の40質量%の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100質量部に、水120質量部およびメタノール556質量部を加え、十分攪拌混合した後、5質量%上記雲母分散液208質量部を加えて、十分に攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8質量部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3質量部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製した。
【0136】
(下塗り層つき支持体の作製)
LBPS50質量部およびLBPK50質量部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5質量部、アニオンポリアクリルアミド1.0質量部、硫酸アルミニウム1.0質量部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1質量部、カチオンポリアクリルアミド0.5質量部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0137】
上記原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と呼ぶ)。次に、上記樹脂層を形成したウラ面とは反対側の面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10質量%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmになるようにコーティングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名:アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り層用塗布液を含有する雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0138】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
上記支持体の下塗り層表面に、下から、上記シアン感熱記録層用塗布液(c)、上記中間層用塗布液(中間層A)、上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、上記中間層用塗布液(中間層B)、上記イエロー感熱記録層用塗布液(a)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃相対湿度30%、および40℃相対湿度30%の条件で連続に乾燥して実施例1のジアゾ記録材料を得た。
【0139】
この際上記イエロー感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(F)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に上記シアン感熱記録層用塗布液(c)液中に含まれる電子供与性無色染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布をおこなった。
また、上記中間層用塗布液は固形分塗布量が、中間層Aは3.34g/m2、中間層Bは2.39g/m2、上記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布をおこなった。
【0140】
[実施例2]
実施例1の<各感熱記録層用塗布液の塗布>において、支持体の下塗り層表面に、下から上記マゼンタ感熱記録材料用塗布液(b)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に3層同時に連続塗布し、30℃・相対湿度30%、および40℃・相対湿度30%の条件で連続に乾燥した以外は実施例1と同様にして実施例2の感熱記録材料を得た。
【0141】
[実施例3]
実施例1の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>において、「具体例(A−4)(本発明における低屈折率オイル:[nD 20:1.47]11.8質量部)」を、「上記具体例(A−32)(本発明における低屈折率オイル:[nD 20:1.43]11.8質量部)」に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3のジアゾ記録材料を得た。尚、得られたマイクロカプセルの粒径は実施例1と同様にして測定した結果、0.48μmであった。
【0142】
[実施例4]
実施例3の<各感熱記録層用塗布液の塗布>において、支持体の下塗り層表面に、下から、上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に3層同時に連続塗布し、30℃・相対湿度30%、および40℃・相対湿度30%の条件で連続に乾燥した以外は実施例3と同様にして実施例4のジアゾ記録材料を得た。
【0143】
[比較例1]
実施例1の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>において、「具体例(A−4)(本発明における低屈折率オイル:[nD 20:1.47]11.8質量部)」を、「リン酸トリクレジル[nD 20:1.56]11.8質量部」に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1のジアゾ記録材料を得た。尚、得られたマイクロカプセルの粒径は実施例1と同様にして測定した結果、0.46μmであった。
【0144】
[比較例2]
比較例1の<各感熱記録層用塗布液の塗布>において、支持体の下塗り層表面に、下から、上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に3層同時に連続塗布し、30℃・相対湿度30%、および40℃・相対湿度30%の条件で連続に乾燥した以外は比較例1と同様にして比較例2のジアゾ記録材料を得た。
【0145】
〔評価〕
<ジアゾ記録材料のジアゾニウム塩化合物(F)の吸収波長>
実施例2および4、比較例2から得られたジアゾ記録材料の吸収スペクトルを紫外可視分光光度計を用いて、ジアゾニウム塩化合物(F)の長波側の吸光度が最大吸収波長の吸光度の1/2になる波長を測定した。結果を表1に示す。
【0146】
【表1】
【0147】
表1から、本発明における低屈折率オイルを用いることで、実施例ではジアゾニウム塩化合物の吸収が10nm程度短波化されていることがわかった。
【0148】
<マゼンタ発色濃度>
実施例1および3、比較例1から得られたジアゾ記録材料を、発光中心波長が430nm、出力40Wの紫外線ランプを用いて全面光照射した。該光照射は、光照射後に京セラ(株)製サーマルヘッド(KST型)を用いて熱印画した際のイエロー発色濃度が0.06以下になるまで行った。この後、上記サーマルヘッドを用いて単位面積あたりの記録エネルギーが50mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電圧およびパルス幅を決めて熱印画した後、マクベス濃度計(マクベス社製)にてマゼンタ濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0149】
【表2】
【0150】
表2から、マゼンタ層に含まれるジアゾウニウム塩化合物の吸収を短波化させた実施例のジアゾ記録材料は、比較例に比してマゼンタ発色が高いことがわかった。
【0151】
【発明の効果】
支持体上にマイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーを含む感熱記録層を設けたジアゾ記録材料において、屈折率1.50未満のオイルをマイクロカプセルに内包することにより、一の層のジアゾニウム塩化合物の一部が、他の層のジアゾニウム塩化合物を光分解させる際に光分解するのを防止し、一の層の発色性を向上させることにある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発色性に優れたジアゾ記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルヘッド等により熱を供与して画像を記録するジアゾ記録材料は、比較的安価であり、その記録装置が簡便で信頼性が高く、メンテナンスが不要であることから、広く普及している。そのような状況の下、近年では特に高画質化、保存安定性の向上等の高性能化に対する要望が高く、ジアゾ記録材料の発色濃度、画像品質、保存性等に関する研究が鋭意おこなわれている。
【0003】
ジアゾ記録材料は、発色成分としてジアゾ化合物を用い、発色濃度、画像品質および保存性に優れたものが多く開発されている。ジアゾ化合物を含有するジアゾ記録材料は、熱によって画像を印画した後、光によってジアゾ化合物を熱分解(定着)させるものであり、また、ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包することで、画像保存性を大きく向上させることができる。
【0004】
更に、最大吸収波長の異なる複数の感熱記録層を含む記録材料を用いれば、多色記録が可能となる。このような記録材料としては、例えば、最大吸収波長がYnmのジアゾニウム塩化合物と反応してイエローに発色するカプラーを含む感熱記録層(Y層)と、最大吸収波長がMnm(Mnm<Ynm)のジアゾニウム塩化合物と反応してマゼンタに発色するカプラーを含む感熱記録層(M層)とを積層した記録材料などである。多色記録の方法は、例えば、まず、Y層を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを反応させてイエローに発色させる。次に発光中心波長がYnm付近の光を照射してY層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩を分解した後、Y層を加熱したときよりも高エネルギーを与えてM層を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを反応させてマゼンタに発色させる。この時、Y層も加熱されるが、既にジアゾニウム塩は分解されていて発色能力が失われているため発色しない。
しかしながら、上記の記録方法においては、Y層のジアゾニウム塩化合物とM層のジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長が近いと、Y層のジアゾニウム塩化合物を光分解する際にM層のジアゾニウム塩化合物の一部も光分解され、M層の発色性が損なわれる場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、Y層のジアゾニウム塩化合物を光分解させる際にM層のジアゾニウム塩化合物の一部が光分解するのを防止し、ジアゾ記録材料の発色性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、M層のジアゾニウム塩化合物を含むマイクロカプセルに関して、低屈折率のオイルを用いることによって、M層のジアゾニウム塩化合物の吸収を短波化し、その結果、Y層のジアゾニウム塩化合物を光分解する際に生じるM層のジアゾニウム塩化合物の光分解を抑制できることを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は次のものを提供するものである。
<1> 支持体上に、マイクロカプセルに内包された下記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーとを含む感熱記録層を設けたジアゾ記録材料であって、前記マイクロカプセルは、屈折率が1.50未満のオイルを内包していることを特徴とするジアゾ記録材料である。
【0008】
【化4】
[一般式(1)において、R1〜R3は、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。]
【0009】
<2> 前記オイルは、下記一般式(2)または一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする上記<1>のジアゾ記録材料である。
【0010】
【化5】
[一般式(2)において、R4は、炭素数2〜10のアルキル基を表す。nは1または2を表し、Yは、n=1の場合は、エチル基、R4COOCH2−を表し、n=2の場合は、−CH2OCH2−を表す。]
【0011】
【化6】
[一般式(3)において、mは0〜18までの整数を表し、nは3〜10までの整数を表す。但し、m+n≧8である。]
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のジアゾ記録材料について詳細に説明する。
(感熱記録層)
本発明のジアゾ記録材料は、感熱記録層にマイクロカプセルに内包された上記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物(以下、「本発明におけるジアゾニウム塩化合物」という場合がある。)およびカプラー化合物を含み、さらにマイクロカプセルに屈折率1.50未満のオイル(以下、「低屈折率オイル」という場合がある。)を内包させることを特徴とする。
【0013】
本発明においては本発明におけるジアゾニウム塩化合物と、屈折率が1.50未満のオイルとを、ともにマイクロカプセルに内包させることで、本発明におけるジアゾニウム塩化合物の吸収を短波化することができ、例えば、他の層の吸収波長がYnmのジアゾニウム塩化合物を光分解する際に、本発明における低屈折率オイルとともに含まれる吸収波長がMnmのジアゾニウム塩化合物(Mnm<Ynm)の光分解を抑制することができる。その結果、本発明における低屈折率オイルを含む層の発色性を向上させることできる。
【0014】
本発明において、「屈折率」はNa−D線(λ=589.3nm)を光源として、20℃でアッベ(Abbe)屈折計を用いて測定した値である。尚、低屈折率オイルが20℃で固体の場合、固体の低屈折率オイルと酢酸エチルとを任意の割合で混合して得た液体の屈折率を測定し、そこからの外挿値を求めることで低屈折率オイルの屈折率とする。尚、本発明においては、本発明におけるジアゾニウム塩化合物とともに内包されるオイル全体の屈折率が1.50未満であることが必要であり、好ましくは、1.49未満、さらに好ましくは1.48未満である。
【0015】
本発明で用いる屈折率1.50未満の低屈折率オイルは特に限定されないが、本発明におけるジアゾニウム塩化合物の生保存性を考慮すると、下記一般式(2)または(3)で表される化合物が好ましい。
【0016】
【化7】
[一般式(2)において、R4は、炭素数2〜10のアルキル基を表す。nは1または2を表し、Yは、n=1の場合は、エチル基、R4COOCH2−を表し、n=2の場合は、−CH2OCH2−を表す。]
【0017】
一般式(2)において、R4は炭素数2〜10のアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、不飽和結合を有していてもよい。直鎖のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられ、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましい。分岐アルキル基としては、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、iso−ペンチル基、1−エチルペンチル基が挙げられ、iso−プロピル基、1−エチルペンチル基が好ましい。不飽和結合を有するアルキル基としては、ビニル基、1−メチルビニル基、アリル基、3−ブテニル基が挙げられ、ビニル基、1−メチルビニル基が好ましい。
【0018】
【化8】
[一般式(3)において、mは0〜18までの整数を表し、nは3〜10までの整数を表す。但し、m+n≧8である。]
【0019】
一般式(3)において、mは0〜18までの整数を表し、2〜12が好ましい。nは3〜10までの整数を表し、4〜8が好ましい。但し、m+nは8以上の整数を表し、10以上であることが好ましい。
【0020】
上記一般式(2)(3)で表される化合物を例に本発明における低屈折率オイルの具体例(A−1)〜(A−58)を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
本発明において、本発明における低屈折率オイルとともにマイクロカプセルに内包されるジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0028】
【化15】
[一般式(1)において、R1〜R3は、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。]
【0029】
上記一般式(1)において、R1〜R3は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。該アルキル基およびアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。また、R1、R2およびR3は、同一でも異なっていてもよい。
上記置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン原子、アミノ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。
上記アルキル基としては、直鎖あるいは分岐状でよく、炭素数1〜20のものが好ましい。このアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、中でもブチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が特に好ましい。
【0031】
上記置換基を有していてもよいアルキル基としては、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、ジアルキルアミノカルボニルアルキル基等が挙げられる。アルコキシアルキル基としては、総炭素数3〜22のものが好ましく、例えば、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、へキシルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、へキシルオキシプロピル基、デシルオキシプロピル基が挙げられる。中でもブトキシエチル基、へキシルオキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基が特に好ましい。
【0032】
アリールオキシアルキル基としては、総炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、2−フェノキシエチル基、2−(4−メトキシフェノキシ)エチル基、2−(4−メチルフェノキシ)エチル基、2−(3−メチルフェノキシ)エチル基、2−(2−メチルフェノキシ)エチル基、3−フェノキシプロピル基、3−(4−メトキシフエノキシ)プロピル基、3−(4−メチルフェノキシ)プロピル基、3−(3−メチルフェノキシ)プロピル基、3−(2−メチルフェノキシ)プロピル基が挙げられる。中でも2−フェノキシエチル基、2−(4−メトキシフェノキシ)エチル基、3−フェノキシプロピル基、3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル基が特に好ましい。
【0033】
アルコキシカルボニルアルキル基としては、総炭素数4〜22のものが好ましく、例えば、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、へキシルオキシカルボニルメチル基、オクチルオキシカルボニルメチル基、デシルオキシカルボニルメチル基、ドデシルオキシカルボニルメチル基、テトラデシルオキシカルボニルメチル基、へキサデシルオキシカルボニルメチル基、オクタデシルオキシカルボニルメチル基、2−(へキシルオキシカルボニル)エチル基、2−(オクチルオキシカルボニル)エチル基、2−(デシルオキシカルボニル)エチル基、2−(ドデシルオキシカルボニル)エチル基、1−(へキシルオキシカルボニル)エチル基、1−(オクチルオキシカルボニル)エチル基、1−(デシルオキシカルボニル)エチル基、1−(ドデシルオキシカルボニル)エチル基等が挙げられる。中でもオクチルオキシカルボニルメチル基、デシルオキシカルボニルメチル基、ドデシルオキシカルボニルメチル基が特に好ましい。
【0034】
またアルコキシカルボニルアルキル基の末端アルコキシ基はさらに総炭素数6〜15のアリール基またはアリールオキシ基で置換されていてもよく、例えば、ベンジルオキシカルボニルメチル基、(2−フェニル)エトキシカルボニルメチル基、(2−(4−メトキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基、(2−(3−メトキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基、(2−(2−メトキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基、(2−(2−オクチルオキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基が好ましい。中でもベンジルオキシカルボニルメチル基、(2−フェニル)エトキシカルボニルメチル基、2−(2−オクチルオキシ)フェニル)エトキシカルボニルメチル基が特に好ましい。
【0035】
ジアルキルアミノカルボニルアルキル基としては、総炭素数4〜22のものが好ましく、例えば、ジメチルアミノカルボニルメチル基、ジエチルアミノカルボニルメチル基、ジブチルアミノカルボニルメチル基、ジへキシルアミノカルボニルメチル基、ジオクチルアミノカルボニルメチル基、2−(ジメチルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジエチルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジブチルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジへキシルアミノカルボニル)エチル基、2−(ジオクチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジメチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジエチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジブチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジへキシルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジオクチルアミノカルボニル)エチル基が拳げられる。中でもジブチルアミノカルボニルメチル基、2−(ジブチルアミノカルボニル)エチル基、1−(ジブチルアミノカルボニル)エチル基が特に好ましい,
【0036】
一般式(1)中、R1、R2のアリール基としては、総炭素数6〜25のものが好ましい。このアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、2,5−ジブトキシフェニル基、2,5−ジヘプチルオキシフェニル基、2,5−ジオクチルオキシフェニル基等があげられる。中でも、フェニル基、2−メチルフェニル基、2,5−ジオクチルオキシフェニル基が特に好ましい。
【0037】
前記一般式(1)において、X−は、酸アニオンを表し、酸アニオンとしては、炭素数1〜9のポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素数1〜9のポリフルオアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフロロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。結晶性の点で、ヘキサフルオロリン酸が好ましい。
【0038】
本発明で用いられるジアゾニウム塩化合物は感熱記録層中に0.02〜3g/m2の範囲で用いることが好ましく、発色濃度の観点からは、0.1〜2g/m2の範囲で用いることが特に好ましい。本発明で用いられる低屈折率オイルはジアゾニウム塩化合物に対して0.1〜5倍質量用いるのが好ましく、地肌白色度の点からは、0.4〜3倍質量用いるのが特に好ましい。
【0039】
本発明のジアゾ記録材料は、発色成分として公知のジアゾニウム塩化合物およびカプラー、または、電子供与性無色染料および電子受容性化合物を含む感熱記録層と本発明における感熱記録層とを積層する構造であってもよい。
【0040】
以下に一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
上記公知のジアゾ化合物としては、例えば、下記一般式(4)で表されるジアゾニウム塩化合物が挙げられる。
Ar−N2 +X1− 一般式(4)
(式中、Arは置換または無置換のアリール基を表し、X1−は酸アニオンを表す。)
【0044】
一般式(4)で表されるジアゾニウム塩化合物は、加熱によって後述のカプラーとカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0045】
上記一般式(4)中、Arは、置換または無置換のアリール基を表す。
上記Arで表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、
【0046】
4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。また、これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルオキシ基、シアノ基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、ヘテロ環基等により置換されていてもよく、更に置換されていてもよい。
【0047】
上記一般式(4)で表されるジアゾニウム塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0048】
上記X1−は酸アニオンを表し、該酸アニオンとしては、炭素原子数1〜9のポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素原子数1〜9のポリフルオアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。中でも、結晶性の点でヘキサフルオロリン酸が好ましい。
【0049】
上記公知のジアゾ化合物の最大吸収波長λmaxは使用する層等によって適宜選定すればよいが、450nm以下が好ましく、290〜440nmがより好ましい。上記λmaxが、450nmを超える長波長側にあると、生保存性が低下することがあり、上記波長範囲よりも短波長側にあると、後述のカプラーとの組合わせにおいて画像定着性、画像保存性が低下したり、色相が劣化することがある。
【0050】
また、ジアゾニウム塩化合物は、炭素原子数が12以上で水に対する溶解度が1質量%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5質量%以上であることが望ましい。
尚、ジアゾニウム塩化合物は、一種単独で用いてもよいし、色相調整等の目的に応じて、二種以上を併用することもできる。
【0051】
上述のジアゾニウム塩化合物(本発明におけるジアゾニウム塩化合物を含む)とカップリング反応して色素を形成し発色させるカプラーとしては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気の下でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成し得るものであれば、いずれの化合物も用いることができ、色相等の目的に合致する範囲で適宜選択することができる。
【0052】
上記カプラーとしては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、1−ヒドロキシ−8−アセチルアミノナフタレン−1,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセチルアミノナフタレン−8.6−ジスルホン酸ジアニリド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−2’−メチルアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸モルホリノエチルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸ピペリジノプロピルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸ピペリジノエチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシル−オキシ−プロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、6−エトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、2−クロロ−3−(2,4−ジ−1−アミルフェノキシプロピルアミノカルボニル)−ピパロイルアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノー3−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン等を挙げることができる。これらのカプラーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記感熱記録層中におけるカプラーの含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0053】
本発明のジアゾ記録材料においては、上述の通り、他の発色成分としてジアゾ化合物とカプラー(ジアゾ系発色剤)とのほか、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ(ロイコ系発色剤)を用いることもできる。例えば、支持体上に複数の感熱記録層を有するジアゾ記録材料において、その少なくとも1層をロイコ系発色剤を含む層として構成することができる。
【0054】
上記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられ、中でも、発色濃度が高い点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。
【0055】
具体的には、下記化合物が挙げられる。例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、
【0056】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等である。
【0057】
上記電子供与性染料前駆体の塗布量は、既述のジアゾニウム塩化合物の場合と同様の理由から、感熱記録層中に0.1〜2g/m2とすることが好ましい。
【0058】
電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられ、中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。具体的には、下記化合物が挙げられる。
例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。
【0059】
感熱記録層中における電子受容性化合物の含有量としては、電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0060】
本発明における感熱記録層には、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を添加することが好ましい。
上記有機塩基は、感光感熱記録層中に、ジアゾニウム塩化合物およびカプラーとともに含有させるのが好ましく、単独で用いても2種以上併用してもよい。
上記有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。また、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものも使用可能である。
【0061】
中でも特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0062】
所望により有機塩基を含有させる場合の、感熱記録層中における有機塩基の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0063】
本発明のジアゾ記録材料は、上記有機塩基のほか、発色反応を促進させる目的で、感熱記録層中に増感剤を加えることもできる。
上記増感剤は、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、有機塩基またはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩、有機塩基、カプラー等を反応しやすい状況にするものである。
具体的には、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、例えば、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられる。
【0064】
本発明における感熱記録層に用いるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。
上記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変成物等が挙げられ、上記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0065】
また、本発明における感熱記録層には、発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上、または定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許EP第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載のものを挙げることができる。
【0066】
本発明において、カプラー、有機塩基や増感剤等の他の成分の使用形態については特に制限はなく、例えば、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化を利用する方法等が挙げられる。
【0067】
(マイクロカプセルの製造方法)
本発明は、一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物の吸収を短波化させるために、屈折率が1.50未満の低屈折率オイル(好ましくは上記一般式(2)または(3)で表される化合物)をマイクロカプセルに内包する。
【0068】
本発明におけるジアゾニウム塩化合物と本発明における低屈折率オイルとをマイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、本発明におけるジアゾニウム塩化合物と本発明における低屈折率オイルとを同時に水に難溶または不溶の有機溶媒に溶解または分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段によって乳化分散した後、加温することでその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法等が好適に挙げられる。該界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れたジアゾ記録材料を得ることができる。
【0069】
上記有機溶媒としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤、および/または、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルその他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、エーテル系溶剤、モノオレフィン系溶剤、エポキシ系溶剤等の高沸点溶剤が挙げられる。
【0070】
高沸点溶剤の具体例としては、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、モノイソプロピルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、リン酸エステル系溶剤、カルボン酸エステル系溶剤、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが特に好ましい。但し、上記高沸点溶剤の添加量は、マイクロカプセル中のオイル全体の屈折率が1.50未満となるように調整する必要があり、上記高沸点溶剤の添加量がマイクロカプセル中のオイルの総量の50質量%以下であることが好ましい。
【0071】
更に、上記高沸点溶剤に、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、上記高沸点溶剤として、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。該α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学社製の「MSD100」等がある。
【0072】
上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチン等が挙げられ、中でも、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0073】
上記水溶性高分子には、疎水性高分子のエマルジョンまたはラテックス等を併用することもできる。該エマルジョンまたはラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。この時、必要に応じて従来公知の界面活性剤等を加えてもよい。
【0074】
マイクロカプセル壁を構成する高分子物質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂が特に好ましい。
【0075】
例えば、ポリウレタン・ポリウレア樹脂をカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化し芯物質とすべき油性媒体(油相)中に混合し、更にマイクロカプセル壁前駆体と反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)中に混合し、上記油相を水相に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0076】
以下に、上記多価イソシアネート化合物の具体例を示す。但し、これらに限定されるものではない。例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、
【0077】
シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また、必要に応じて、これらを二種類以上を併用してもよい。中でも特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0078】
また、前記公知のジアゾ化合物、電子供与性無色染料等をマイクロカプセル化する場合にも上述の方法を使用することができる。マイクロカプセル化の方法において、カプラー(および電子受容性化合物)、有機塩基、増感剤等の他の成分、およびマイクロカプセル壁前駆体やこれと反応する第2物質を溶解させる有機溶剤としては、既述の有機溶剤と同様のものが用いられる。
マイクロカプセルの粒径は、0.1〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましい。
【0079】
以下に、多色のジアゾ記録材料の具体的な構成態様について説明する。
本発明のジアゾ記録材料は、支持体上に感熱記録層を複数積層した積層構造の感熱記録層を有する多色のジアゾ記録材料であることが望ましい。
【0080】
特に、シアン、イエロー、マゼンタを含むフルカラーの感熱記録層の場合には、支持体上の3層が全てジアゾ系発色剤で構成された形態、あるいは支持体に近い第一層目の感熱記録層が電子供与性染料および電子受容性化合物を含有するロイコ系発色剤で構成され、第二および第三層目の感熱記録層がジアゾ系発色剤で構成された形態よりなるジアゾ記録材料が好ましい。本発明のジアゾ記録材料としては、支持体側からシアン、マゼンタ、イエローに発色する順に各色相に発色する感熱記録層を積層した構成が好ましく、特に一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物および本発明における低屈折率オイルを内包するマイクロカプセルを含有する感熱記録層が、マゼンタに発色する感熱記録層である態様が最適である。
本発明のジアゾ記録材料は、例えば、下記(a)〜(c)に示す態様で構成されたものであってもよい。
【0081】
(a)支持体上に、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、を積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0082】
(b)支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0083】
(c)支持体上に、最大吸収波長350nm以下のジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と呈色反応をするカプラーとを含有する光定着型記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、などである。
上記各態様においては、上記態様(a)のA層、上記態様(b)のB層および上記態様(c)のA層若しくはB層には、マイクロカプセル中に本発明におけるジアゾニウム塩化合物と共に、本発明における低屈折率オイルが含まれている態様が好ましい。
【0084】
多色記録の方法について、上記(b)または(c)を例に説明する。
まず、第3の記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次に、発光中心波長430±30nmの光を照射して、C層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、第2の記録層(B層)が発色するのに十分な熱を与え、該B層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、C層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており(光定着されている)、発色能力が失われているため発色しない。さらに、発光中心波長360±20nmの光を照射し、B層に含まれるジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、最後に、第1の記録層(A層)に発色しうる程度の十分な熱を加えて発色させる。このとき、C層、B層の記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており、発色能力が失われているため発色しない。
【0085】
また、全ての記録層(A層、B層、およびC層)をジアゾ系の記録層とした場合、A層およびB層は、発色させた後に光定着をおこなうことが必要であるが、最後に画像記録をおこなうC層に関しては、必ずしも光定着をおこなう必要はない。
【0086】
光定着に用いる定着用光源としては、公知の光源の中から適宜選択でき、例えば、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、中でも、高効率に光定着する点で、光源の発光スペクトルが、記録材料に用いたジアゾニウム塩化物の吸収スペクトルとほぼ一致する光源を用いることが好ましい。
【0087】
本発明のジアゾ記録材料においては、支持体上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層や保護層を有してなる態様が好ましい。
【0088】
−光透過率調整層−
上記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0089】
上記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、ジアゾ記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層はジアゾ記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0090】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0091】
−保護層−
上記保護層は、バインダーと共に、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
上記バインダーは、バリアー性および作業性を損なわない範囲で、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん類、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等より適宜選択して使用することができる。
【0092】
上記のほか、他のバインダーとして、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられ、例えば、スチレンーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
上記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
【0093】
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤およびその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、保護層形成用の塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。上記触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、上記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
【0094】
保護層中の顔料としては、公知の有機または無機の顔料が全て使用でき、具体的には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等が挙げられる。これらは単独で、または二種以上を混合して使用できる。
上記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
上記界面活性剤は、感熱記録層上に均一な保護層を形成するために用いられる。このような界面活性剤としては、スルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、およびアンモニウム塩等が挙げられる。
【0095】
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、上記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
本発明のジアゾ記録材料は、支持体上に形成した感熱記録層上に保護層塗布液を公知の塗布方法により塗布して形成することができる。上記公知の塗布方法としては、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。
但し、保護層は、感熱記録層や光透過率調整層と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布して一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
【0096】
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0097】
−中間層−
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、上記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。上記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。
【0098】
−支持体−
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)トリアセチルセルロース(TAC)、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙等が挙げられる。また、透明なジアゾ記録材料を得る場合には、透明支持体を使用する必要があり、該透明支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられる。
【0099】
上記支持体は、単独であるいは貼り合わせて使用することができる。
上記合成高分子フィルムの厚さとしては、25〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。
【0100】
上記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよく、高分子フィルムを着色する方法としては、フィルム成形前に予め樹脂に染料を混練しフィルム状に成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製しこれを透明無色な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えばグラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布、乾燥する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルム状に成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0101】
上記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0102】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0103】
[実施例1]
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143質量部、イオン交換水367.1質量部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0104】
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286質量部、水酸化カルシウム0.153質量部、イオン交換水143.6質量部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0105】
<イエロー感熱記録層用塗布液(a)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製)
酢酸エチル16.1質量部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長420nm)4.4質量部、モノイソプロピルビフェニル4.8質量部、フタル酸ジフェニル4.8質量部、およびジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASF ジャパン(株)製)0.4質量部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0106】
別途、上記フタル化ゼラチン水溶液58.6質量部にイオン交換水16.3質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.34質量部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.60μmであった。
【0107】
【化18】
【0108】
(カプラー乳化液(a)の調製)
酢酸エチル33.0質量部に下記カプラー化合物(E)9.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)3.3質量部、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.6質量部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2質量部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0109】
別途上記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3質量部にイオン交換水107.3質量部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節をおこなった。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
さらに上記カプラー乳化物100質量部に対してSBRラテックス(商品名:SN−307、48質量%溶液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調整したものを9質量部添加して均一に攪拌してカプラー乳化液(a)を得た。
【0110】
【化19】
【0111】
(イエロー感熱記録層用塗布液(a)の調製)
上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および上記カプラー乳化液(a)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2.2/1になるように混合してイエロー感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0112】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製)
酢酸エチル15.1質量部に、下記ジアゾニウム塩化合物(F)(最大吸収波長365nm)2.8質量部、上記具体例(A−4)(本発明における低屈折率オイル:[nD 20:1.47]11.8質量部、および、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2質量部添加し、加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)2.5質量部、および、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)6.8質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0113】
別途、上記フタル化ゼラチン溶液55.3質量部にイオン交換水21.0質量部を添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.51μmであった。
【0114】
【化20】
【0115】
(カプラー乳化液(b)の調製)
酢酸エチル36.9質量部に下記カプラー化合物(G)11.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0質量部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)3.5質量部、下記化合物(H)3.5質量部、リン酸トリクレジル1.7質量部、マレイン酸ジエチル0.8質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5質量部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0116】
別途上記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3質量部にイオン交換水107.3質量部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5質量%になるように濃度調節をおこない、カプラー乳化物(b)を得た。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0117】
【化21】
【0118】
(マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製)
上記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)および上記カプラー乳化液(b)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)を上記マイクロカプセル液(b)量10質量部に対し、0.2質量部になるように混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0119】
<シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製>
(電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製)
酢酸エチル18.1質量部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6質量部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310、日本石油(株)製)8.0質量部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm2140、チバガイギー(株)製)8.0質量部を添加し、加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)7.2質量部と、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業(株)製)5.3質量部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0120】
別途、上記フタル化ゼラチン溶液28.8質量部にイオン交換水9.5質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.17質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)4.3質量部を混合添加し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50質量部、テトラエチレンペンタミン0.12質量部を加え均一化した後、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行いカプセル液の固形分濃度が33質量%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
さらに、上記マイクロカプセル液100質量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25質量%水溶液(商品名:ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7質量部と4,4‘−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン誘導体(商品名:Kaycall BXNL、日本曹達(株)製)を添加して均一に攪拌して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0121】
【化22】
【0122】
(電子受容性化合物分散液(c)の調製)
上記フタル化ゼラチン水溶液11.3質量部にイオン交換水30.1質量部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15質量部、2質量%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8質量部を加えて、ボールミルにて一晩分散して分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6質量%であった。
上記分散液100質量部に、上記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2質量部加え30分間攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5質量%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0123】
(シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製)
上記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および上記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性無色染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0124】
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)水溶液100.0質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5質量%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)2.857質量部、水酸化カルシウム0.5質量部、イオン交換水521.643質量部を混合し、50℃にて溶解して中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0125】
上記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)0.05質量部、硼酸(4.0質量%水溶液)1.5質量部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)0.19質量部、下記化合物(J)の4質量%水溶液3.42質量部、下記化合物(J’)の4質量%水溶液1.13質量部、イオン交換水0.67質量部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0126】
【化23】
【0127】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製)
酢酸エチル71質量部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5質量部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0質量部、燐酸トリクレジル1.9質量部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45質量部を溶解し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)54.7質量部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0128】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52質量部に30質量%燐酸水溶液8.9質量部、イオン交換水532.6質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06質量部に上記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1質量部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48質量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416質量部、イオン交換水39.5質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0129】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000質量部、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株))(5質量%水溶液)5.2質量部、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.75質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)73.39質量部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0130】
<保護層用塗布液の調製>
(保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製)
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160質量部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54質量%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74質量部、イオン交換水3832質量部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0131】
(保護層用顔料分散液の調製)
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8質量部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2質量部、イオン交換水11.8質量部を混合し、ダイノミルにて分散した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
得られた分散液45.6質量部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液、日産化学(株)製)8.1質量部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
【0132】
(保護層用マット剤分散液の調製)
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220質量部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81質量部、イオン交換水1976.19質量部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0133】
(保護層用塗布ブレンド液の調製)
上記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000質量部に上記フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株))(5質量%水溶液)40質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)50質量部、上記保護層用顔料分散液49.87質量部、上記保護層用マット剤分散液16.65質量部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0134】
<下塗り層つき支持体の作製>
(下塗り層用塗布液の調製)
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40質量部をイオン交換水60質量部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8質量部と水92質量部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0135】
次いで、40℃の40質量%の上記下塗り層用ゼラチン水溶液100質量部に、水120質量部およびメタノール556質量部を加え、十分攪拌混合した後、5質量%上記雲母分散液208質量部を加えて、十分に攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8質量部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3質量部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製した。
【0136】
(下塗り層つき支持体の作製)
LBPS50質量部およびLBPK50質量部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5質量部、アニオンポリアクリルアミド1.0質量部、硫酸アルミニウム1.0質量部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1質量部、カチオンポリアクリルアミド0.5質量部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0137】
上記原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と呼ぶ)。次に、上記樹脂層を形成したウラ面とは反対側の面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10質量%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmになるようにコーティングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名:アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り層用塗布液を含有する雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0138】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
上記支持体の下塗り層表面に、下から、上記シアン感熱記録層用塗布液(c)、上記中間層用塗布液(中間層A)、上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、上記中間層用塗布液(中間層B)、上記イエロー感熱記録層用塗布液(a)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃相対湿度30%、および40℃相対湿度30%の条件で連続に乾燥して実施例1のジアゾ記録材料を得た。
【0139】
この際上記イエロー感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(F)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に上記シアン感熱記録層用塗布液(c)液中に含まれる電子供与性無色染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布をおこなった。
また、上記中間層用塗布液は固形分塗布量が、中間層Aは3.34g/m2、中間層Bは2.39g/m2、上記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布をおこなった。
【0140】
[実施例2]
実施例1の<各感熱記録層用塗布液の塗布>において、支持体の下塗り層表面に、下から上記マゼンタ感熱記録材料用塗布液(b)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に3層同時に連続塗布し、30℃・相対湿度30%、および40℃・相対湿度30%の条件で連続に乾燥した以外は実施例1と同様にして実施例2の感熱記録材料を得た。
【0141】
[実施例3]
実施例1の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>において、「具体例(A−4)(本発明における低屈折率オイル:[nD 20:1.47]11.8質量部)」を、「上記具体例(A−32)(本発明における低屈折率オイル:[nD 20:1.43]11.8質量部)」に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3のジアゾ記録材料を得た。尚、得られたマイクロカプセルの粒径は実施例1と同様にして測定した結果、0.48μmであった。
【0142】
[実施例4]
実施例3の<各感熱記録層用塗布液の塗布>において、支持体の下塗り層表面に、下から、上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に3層同時に連続塗布し、30℃・相対湿度30%、および40℃・相対湿度30%の条件で連続に乾燥した以外は実施例3と同様にして実施例4のジアゾ記録材料を得た。
【0143】
[比較例1]
実施例1の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>において、「具体例(A−4)(本発明における低屈折率オイル:[nD 20:1.47]11.8質量部)」を、「リン酸トリクレジル[nD 20:1.56]11.8質量部」に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1のジアゾ記録材料を得た。尚、得られたマイクロカプセルの粒径は実施例1と同様にして測定した結果、0.46μmであった。
【0144】
[比較例2]
比較例1の<各感熱記録層用塗布液の塗布>において、支持体の下塗り層表面に、下から、上記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、上記光透過率調整層用塗布液、上記保護層用塗布液の順に3層同時に連続塗布し、30℃・相対湿度30%、および40℃・相対湿度30%の条件で連続に乾燥した以外は比較例1と同様にして比較例2のジアゾ記録材料を得た。
【0145】
〔評価〕
<ジアゾ記録材料のジアゾニウム塩化合物(F)の吸収波長>
実施例2および4、比較例2から得られたジアゾ記録材料の吸収スペクトルを紫外可視分光光度計を用いて、ジアゾニウム塩化合物(F)の長波側の吸光度が最大吸収波長の吸光度の1/2になる波長を測定した。結果を表1に示す。
【0146】
【表1】
【0147】
表1から、本発明における低屈折率オイルを用いることで、実施例ではジアゾニウム塩化合物の吸収が10nm程度短波化されていることがわかった。
【0148】
<マゼンタ発色濃度>
実施例1および3、比較例1から得られたジアゾ記録材料を、発光中心波長が430nm、出力40Wの紫外線ランプを用いて全面光照射した。該光照射は、光照射後に京セラ(株)製サーマルヘッド(KST型)を用いて熱印画した際のイエロー発色濃度が0.06以下になるまで行った。この後、上記サーマルヘッドを用いて単位面積あたりの記録エネルギーが50mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電圧およびパルス幅を決めて熱印画した後、マクベス濃度計(マクベス社製)にてマゼンタ濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0149】
【表2】
【0150】
表2から、マゼンタ層に含まれるジアゾウニウム塩化合物の吸収を短波化させた実施例のジアゾ記録材料は、比較例に比してマゼンタ発色が高いことがわかった。
【0151】
【発明の効果】
支持体上にマイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーを含む感熱記録層を設けたジアゾ記録材料において、屈折率1.50未満のオイルをマイクロカプセルに内包することにより、一の層のジアゾニウム塩化合物の一部が、他の層のジアゾニウム塩化合物を光分解させる際に光分解するのを防止し、一の層の発色性を向上させることにある。
Claims (2)
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