JP2004106478A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させた感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上にマイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物とカプラーとを含む感熱記録層を設け、不揮発性の下記一般式(1)で表される化合物がマイクロカプセルに内包され、かつ、前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxが、400〜460nmの範囲にある感熱記録材料。
【化1】
(一般式(1)において、R1〜R6は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子または−A−Arを表し、R1〜R6のうちの1〜3個が−A−Arを表す。また、R1〜R6は何れかの組み合わせでベンゼン環と縮環してもよい。ここでAはCOOまたはOCOを表し、Arは炭素数6〜20のアリール基を表す。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上にマイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物とカプラーとを含む感熱記録層を設け、不揮発性の下記一般式(1)で表される化合物がマイクロカプセルに内包され、かつ、前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxが、400〜460nmの範囲にある感熱記録材料。
【化1】
(一般式(1)において、R1〜R6は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子または−A−Arを表し、R1〜R6のうちの1〜3個が−A−Arを表す。また、R1〜R6は何れかの組み合わせでベンゼン環と縮環してもよい。ここでAはCOOまたはOCOを表し、Arは炭素数6〜20のアリール基を表す。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生保存性に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルヘッド等により熱を供与して画像を記録する感熱記録材料は、比較的安価であり、その記録装置が簡便で信頼性が高く、メンテナンスが不要であることから、広く普及している。そのような状況の下、近年では特に高画質化、保存安定性の向上等の高性能化に対する要望が高く、感熱記録材料の発色濃度、画像品質、保存性等に関する研究が鋭意おこなわれている。
【0003】
感熱記録材料としては、発色濃度、画像品質および保存性を向上させるため、発色成分としてジアゾ化合物を用いたものが多く開発されている。該ジアゾ化合物を含有する感熱記録材料は、熱によって画像を印画した後、光によってジアゾ化合物を熱分解(定着)させ、また、ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包することで、画像保存性を大きく向上させることができる。
【0004】
しかし、前記ジアゾ化合物を含有する感熱記録材料において、ジアゾ化合物の一部が画像形成前の保存(生保存)時に徐々に分解することが原因で発色濃度が低下するという問題があった。
これに対し、ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルの疎水性不揮発性成分として特定のエステル化合物を用いた感熱記録材料の製造方法が開示されている。該製造方法により得られる感熱記録材料は、光分解性ステインの抑制には優れるものの、生保存性は必ずしも充分ではない。(例えば、特許文献1参照。)
更に、特願2002−061891号明細書、及び特願2002−098663号明細書では、カプセルオイルとして特定の化合物を用いることが提案されており、さらなる改善が望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−324129号公報(第1−7頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させた感熱記録材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、ジアゾニウム塩化合物を含むマイクロカプセルに特定の化合物を添加することにより、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させることが可能となることを見出し本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
<1> 支持体上に、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料において、
不揮発性の下記一般式(1)で表される化合物がマイクロカプセルに内包され、
かつ、前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxが、400〜460nmの範囲にあることを特徴とする感熱記録材料である。
【0009】
【化6】
【0010】
(一般式(1)において、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子または−A−Arを表し、R1〜R6のうちの1〜3個が−A−Arを表す。また、R1〜R6は何れかの組み合わせでベンゼン環と縮環してもよい。ここでAはCOOまたはOCOを表し、Arは炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【0011】
<2> 前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物が、下記一般式(2)または/および一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする<1>に記載の感熱記録材料である。
【0012】
【化7】
【0013】
(一般式(2)において、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表す。Yは硫黄原子または酸素原子を表す。X−は対アニオンを表す。)
【0014】
【化8】
【0015】
(一般式(3)において、R14〜R16はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R15とR16は結合してヘテロ環を形成してもよい。X−は対アニオンを表す。)
【0016】
<3> 前記一般式(1)において、R1〜R6のうちの
(1)1個のみ
(2)隣接する2個
(3)メタ位に位置する2個
(4)1,2,4位に位置する3個
の何れかが−A−Arであることを特徴とする<1>または<2>に記載の感熱記録材料である。
【0017】
<4> 前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率が、カプセルオイルに対して25質量%以上であることを特徴とする<1>〜<3>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0018】
<5> 前記一般式(1)で表される化合物の融点が、45℃以上120℃以下であることを特徴とする<1>〜<4>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0019】
<6> 前記一般式(1)で表される化合物と共に、下記一般式(4)または/および下記一般式(5)で表される化合物がマイクロカプセルに内包されることを特徴とする<1>〜<5>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0020】
【化9】
【0021】
(一般式(4)において、R21は炭素数4〜15のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【0022】
【化10】
【0023】
(一般式(5)において、R22〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはハロゲン原子を表し、R27は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲン原子を表し、nは 0〜4の整数を表す。)
【0024】
<7> 前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物のうちのすくなくとも何れかが、融点が45℃以上120℃以下である化合物であることを特徴とする<6>に記載の感熱記録材料である。
【0025】
<8> 更に、発色色相の異なる1層以上の感熱記録層を積層し、多色画像を形成することができることを特徴とする<1>〜<7>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0026】
<9> 前記マイクロカプセルが、ポリウレタンまたは/およびポリウレアからなることを特徴とする<1>〜<8>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。
(感熱記録層)
本発明の感熱記録材料は、感熱記録層がマイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物、およびカプラー化合物を含み、さらにマイクロカプセル中に不揮発性の下記一般式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」ということがある。)を含有し、前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxが、400〜460nmの範囲にあることを特徴とする。
【0028】
【化11】
【0029】
一般式(1)において、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子または−A−Arを表し、R1〜R6のうちの1〜3個が−A−Arを表す。また、R1〜R6は何れかの組み合わせでベンゼン環と縮環してもよい。ここでAはCOOまたはOCOを表し、Arは炭素数6〜20のアリール基を表す。
【0030】
一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)におけるR1〜R6のうちの1〜3個が−A−Arであるが、R1〜R6のうちの
(1)1個のみ
(2)隣接する2個
(3)メタ位に位置する2個
(4)1,2,4位に位置する3個
の何れかが−A−Arであることが好ましい。
【0031】
また、前記Arが表す炭素数6〜20のアリール基としては、ビフェニル基またはナフチル基が好ましい。前記Arが表す炭素数6〜20のアリール基は、更に置換基を有していてもよく、前記Arが有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子が挙げられる。
前記Arが有する置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましいものとして挙げられる。
前記Arが有する置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましいものとして挙げられる。
【0032】
前記Arが有する置換基としてのアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基が好ましいものとして挙げられる。
【0033】
一般式(1)において、R1〜R6で表される基のうち炭素数1〜10のアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基またはトルイル基が好ましい。
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、炭素数1〜4の低級アルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましいものとして挙げられ。
またハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子が好ましいものとして挙げられる。
【0034】
前記一般式(1)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
【化12】
【0036】
本発明の感熱記録材料は、前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率が、カプセルオイルに対して25質量%以上であることが好ましい。ここで、カプセルオイルとは後述するマイクロカプセルの製造方法における水に難溶または不溶の不揮発性の有機化合物のことをいい、その詳細についてはマイクロカプセルの製造方法において説明する。
前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率は、カプセルオイルに対して30質量%以上であることがより好ましい。前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率がカプセルオイルに対して25質量%以上であると、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させるという本発明の効果がより顕著となる。
【0037】
本発明の感熱記録材料は、前記一般式(1)で表される化合物と共に、下記一般式(4)または/および後記の一般式(5)で表される化合物がマイクロカプセルに内包されることが好ましい。
【0038】
【化13】
【0039】
一般式(4)において、R21は炭素数4〜15のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表す。
前記一般式(4)におけるR21が表す炭素数4〜15のアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、炭素数4〜12が好ましく、具体的にはsec−ブチル基、iso−ブチル基、t−アミル基、3−ペンチル基、2−エチルヘキシロキシ基、シクロヘキシル基が挙げられる。
また、前記炭素数4〜15のアルキル基が有する置換基としては、メチル基、メトキシ基、フェノキシ基が挙げられる。
【0040】
前記一般式(4)におけるR21が表す炭素数6〜20のアリール基は、更に置換基を有していてもよく、炭素数6〜16が好ましく、具体的にはフェニル基、トルイル基、ナフチル基、4−メトキシフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等が挙げられる。
また、前記炭素数6〜20のアリール基が有する置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基が挙げられる。
【0041】
前記一般式(4)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明における一般式(4)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化14】
【0043】
次に一般式(5)で表される化合物を説明する。
【0044】
【化15】
【0045】
一般式(5)において、R22〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはハロゲン原子を表し、R27は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲン原子を表し、nは 0〜4の整数を表す。
前記一般式(5)において、R22〜R26で表される基のうち炭素数1〜10のアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜16のアリール基が好ましく、特にフェニル基、トルイル基、ナフチル基が好ましい。
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、炭素数1〜4の低級アルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましいものとして挙げられる。
またハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子が好ましいものとして挙げられる。
更に、nは0〜2の整数であることが好ましい。
【0046】
前記一般式(5)において、R27で表される基のうち炭素数1〜10のアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
またハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子が好ましいものとして挙げられる。
【0047】
前記一般式(5)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明における一般式(5)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
【0048】
【化16】
【0049】
上述のとおり、前記一般式(1)で表される化合物と共に、下記一般式(4)または/および後記の一般式(5)で表される化合物がマイクロカプセルに内包される場合でも、前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率が、カプセルオイルに対して25質量%以上であることが好ましい。
また、前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、前記一般式(4)および前記一般式(5)で表される化合物の含有量の合計より多いことが好ましい。
【0050】
本発明の感熱記録材料は、前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物のうちのすくなくとも何れかが、融点が45℃以上120℃以下である化合物であることが好ましく、融点が50℃以上100℃以下である化合物であることがより好ましい。また、前記一般式(1)で表される化合物が、上述の融点の規定を満たすことが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物の何れもが融点が45℃未満であると、マイクロカプセル内でジアゾニウム塩化合物を溶融している油相が常温で不安定となる場合があり、ジアゾニウム塩化合物の熱安定性が確保されない場合がある。一方、前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物の何れもが融点が120℃を越えると結晶性が高くなる場合があり、マイクロカプセル液を調製してから塗布するまでの間に、乳化液の分離や粘度上昇が発生し、経時安定性が低下する場合がある。また、塗布液を調製する際にブレンド被りが発生する場合もある。
【0051】
本発明の感熱記録材料において、前記一般式(1)で表される化合物とともにマイクロカプセルに内包されるジアゾニウム塩化合物は、最大吸収波長λmax(メタノール溶液)が400〜460nmの範囲にあることを特徴とし、前記最大吸収波長λmaxが410〜455nmの範囲にあることが好ましい。
前記最大吸収波長λmaxが400nm未満であると、本発明のカプセルオイルを用いた感熱記録材料において、顕著な生保存性向上効果が発現しない、良好な地肌白色度を得ることができない、或いは後述のカプラーとの組み合わせにおいて色相が劣化する等の不具合を生じてしまう。一方、前記最大吸収波長λmaxが460nmを超えると、後述のカプラーとの組合わせにおいて画像定着性、画像保存性が低下したり、色相が劣化する。
【0052】
【化17】
【0053】
一般式(2)において、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表す。Yは硫黄原子または酸素原子を表す。X−は対アニオンを表す。
【0054】
一般式(2)において、R11〜R13の炭素数の総和は、12以上が好ましく、14以上がさらに好ましい。
一般式(2)においてR11〜R13が表す炭素数1〜30のアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、デシル基等が挙げられる。
【0055】
前記アルキル基が有する置換基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、置換アミノ基、置換アミド基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。前記アルキル基が有する置換基の具体例としては、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、2’,4’−ジイソペンチルフェニルオキシメチル基、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシメチル基、ジベンジルアミノカルボニルメチル基、2,4−ジ−t−アミルフェニルオキシプロピル基、エトキシカルボニルプロピル基、1−(2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシ)プロピル基、アセチルアミノエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、メタンスルホニルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0056】
一般式(2)においてR11〜R13が表す炭素数7〜30のアラルキル基は、
更に置換基を有していてもよく、炭素数7〜16のアラルキル基が好ましい。例えば、ベンジル基、フェネチル基、4−メトキシベンジル基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。
前記アラルキル基が有する置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0057】
一般式(2)においてR11〜R13が表す炭素数6〜30のアリール基は、
更に置換基を有していてもよく、炭素数6〜16のアリール基が好ましい。
前記アリール基が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基、ハロゲン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0058】
前記炭素数6〜30のアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。
【0059】
前記炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基は、更にに置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。
【0060】
一般式(2)において、X−で示される陰イオンは、無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオンが好ましく、有機陰イオンとしてはポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、テトラアリールボレートイオン等が好ましい。特にヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが好ましい。
【0061】
以下に、一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(例示化合物(1)〜(16))を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
【化18】
【0063】
【化19】
【0064】
【化20】
【0065】
次に、一般式(3)で表されるジアゾニウム塩化合物について説明する。
【0066】
【化21】
【0067】
一般式(3)において、R14〜R16はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R15とR16は結合してヘテロ環を形成してもよい。X−は対アニオンを表す。
【0068】
一般式(3)において、R14で表される炭素数1〜30のアルキル基は置換基を有していてもよく、また、炭素数は1〜18のものが好ましい。このようなアルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、ターシャリーブチル、セカンダリーブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルオクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5,−トリメチルヘキシル、ノルマルドデシル、シクロヘキシル、アリル、2−クロロエチル、メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルエチル等の各基が好ましいものとして挙げられる。
【0069】
R14で表される炭素数6〜30のアリール基は置換基を有していてもよく、また、炭素数6〜18のアリール基が好ましい。これには、たとえばフェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニルの各基が好ましいものとして挙げられる。
R14で表される炭素数7〜30のアラルキル基は置換基を有していてもよく、また、炭素数7〜18のアラルキル基が好ましい。具体的には、ベンジル、2−クロロベンジル、2−メチルベンジル、3−クロロベンジル、3−メチルベンジル、3−メトキシベンジル、α−メチルベンジルの各基が好ましいものとして挙げられる。
【0070】
R15およびR16で表される炭素数1〜30のアルキル基は置換基を有していてもよく、また、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。これには、たとえば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、セカンダリーブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルオクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5,−トリメチルヘキシル、ノルマルデシル、ノルマルドデシル、シクロヘキシル、ベンジル、アリル、2−クロロエチル、2−イソプロピルオキシエチル、2−アリルオキシエチル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、2−(2,5−ジ−ターシャリーアミルフェノキシ)エチル、2−ベンゾイルオキシエチル、2−オクタノイルオキシエチル、2−デカノイルオキシエチル、ドデカノイルオキシエチル、メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルエチルの各基が好ましいものとして挙げられる。
【0071】
R15およびR16で表される炭素数6〜30のアリール基は置換基を有していてもよく、炭素数6〜18のアリール基が好ましい。たとえばフェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニルの各基が好ましいものとして挙げられる。
またR15とR16が結合して、隣接する窒素原子と共に含窒素複素環を形成していても良い。含窒素複素環として好ましいものとしては、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、4−アシルピペラジノ、4−スルホニルピペラジノ、ヘキサメチレンイミノ、インドリノ等の各基が挙げられる。
R15およびR16で表される炭素数7〜30のアラルキル基は置換基を有していてもよく、また、炭素数7〜18のアラルキル基が好ましい。具体的には、ベンジル、2−クロロベンジル、2−メチルベンジル、3−クロロベンジル、3−メチルベンジル、3−メトキシベンジル、α−メチルベンジルの各基が好ましいものとして挙げられる。
【0072】
一般式(3)において、X−で示される陰イオンは、無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオンが好ましく、有機陰イオンとしてはポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、テトラアリールボレートイオン等が好ましい。特にヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが好ましい。
【0073】
一般式(3)のジアゾニウム塩化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
【化22】
【0075】
本発明で用いられるジアゾニウム塩化合物は感熱記録層中に0.02〜3g/m2の範囲で用いることが好ましく、発色濃度の観点からは、0.1〜2g/m2の範囲で用いることが特に好ましい。本発明で用いられる化合物(1)はジアゾニウム塩化合物に対して0.1〜5倍質量用いるのが好ましく、地肌白色度の点からは、0.4〜3倍質量用いるのが特に好ましい。
【0076】
本発明の感熱記録材料は、発色成分として公知のジアゾニウム塩化合物およびカプラー、または、電子供与性無色染料および電子受容性化合物を含む感熱記録層と本発明における感熱記録層とを積層する構造であってもよい。
【0077】
前記公知のジアゾニウム塩化合物としては、例えば、下記一般式(III)で表されるジアゾニウム塩化合物が挙げられる。
Ar−N2 +X1− 一般式(III)
(式中、Arは置換または無置換のアリール基を表し、X1−は酸アニオンを表す。)
【0078】
一般式(III)で表されるジアゾニウム塩化合物は、加熱によって後述のカプラーとカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0079】
前記一般式(III)中、Arは、置換または無置換のアリール基を表す。
前記Arで表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、
【0080】
4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。また、これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルオキシ基、シアノ基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、ヘテロ環基等により置換されていてもよく、更に置換されていてもよい。
【0081】
前記一般式(III)で表されるジアゾニウム塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0082】
前記X1−は酸アニオンを表し、該酸アニオンとしては、炭素原子数1〜9のポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素原子数1〜9のポリフルオアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。中でも、結晶性の点でヘキサフルオロリン酸が好ましい。
【0083】
前記公知のジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxは使用する層等によって適宜選定すればよいが、450nm以下が好ましく、290〜440nmがより好ましい。前記λmaxが、450nmを超える長波長側にあると、生保存性が低下することがあり、前記波長範囲よりも短波長側にあると、後述のカプラーとの組合わせにおいて画像定着性、画像保存性が低下したり、色相が劣化することがある。
【0084】
また、ジアゾニウム塩化合物は、炭素原子数が12以上で水に対する溶解度が1質量%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5質量%以上であることが望ましい。
尚、ジアゾニウム塩化合物は、一種単独で用いてもよいし、色相調整等の目的に応じて、二種以上を併用することもできる。
【0085】
上述のジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して色素を形成し発色させるカプラーとしては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気の下でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成し得るものであれば、いずれの化合物も用いることができ、色相等の目的に合致する範囲で適宜選択することができる。
【0086】
前記カプラーとしては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、1−ヒドロキシ−8−アセチルアミノナフタレン−1,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセチルアミノナフタレン−8.6−ジスルホン酸ジアニリド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−2’−メチルアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸モルホリノエチルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸ピペリジノプロピルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸ピペリジノエチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシル−オキシ−プロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、6−エトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、2−クロロ−3−(2,4−ジ−1−アミルフェノキシプロピルアミノカルボニル)−ピパロイルアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノー3−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン等を挙げることができる。これらのカプラーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記感熱記録層中におけるカプラーの含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0087】
本発明の感熱記録材料においては、上述の通り、発色成分としてジアゾ化合物とカプラー(ジアゾ系発色剤)とのほか、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ(ロイコ系発色剤)を用いることもできる。例えば、支持体上に複数の感熱記録層を有する感熱記録材料において、その少なくとも1層をロイコ系発色剤を含む層として構成することができる。
【0088】
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられ、中でも、発色濃度が高い点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。
【0089】
具体的には、下記化合物が挙げられる。例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、
【0090】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等である。
【0091】
前記電子供与性染料前駆体の塗布量は、既述のジアゾニウム塩化合物の場合と同様の理由から、感熱記録層中に0.1〜2g/m2とすることが好ましい。
【0092】
電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられ、中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。具体的には、下記化合物が挙げられる。
例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。
【0093】
感熱記録層中における電子受容性化合物の含有量としては、電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0094】
本発明における感熱記録層には、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を添加することが好ましい。
前記有機塩基は、感光感熱記録層中に、ジアゾニウム塩化合物およびカプラーとともに含有させるのが好ましく、単独で用いても2種以上併用してもよい。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。また、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものも使用可能である。
【0095】
中でも特に、N,N′−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N′−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0096】
所望により有機塩基を含有させる場合の、感熱記録層中における有機塩基の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0097】
本発明の感熱記録材料は、前記有機塩基のほか、発色反応を促進させる目的で、感熱記録層中に増感剤を加えることもできる。
前記増感剤は、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、有機塩基またはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩、有機塩基、カプラー等を反応しやすい状況にするものである。
具体的には、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、例えば、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられる。
【0098】
本発明における感熱記録層に用いるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。
前記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変成物等が挙げられ、前記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0099】
また、本発明における感熱記録層には、発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上、または定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許EP第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載のものを挙げることができる。
【0100】
本発明において、カプラー、有機塩基や増感剤等の他の成分の使用形態については特に制限はなく、例えば、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化を利用する方法等が挙げられる。
【0101】
(マイクロカプセルの製造方法)
本発明は、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を向上させるために、一般式(1)で表される化合物をマイクロカプセルに内包する。
【0102】
ジアゾニウム塩化合物と化合物(1)とをマイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ジアゾニウム塩化合物と化合物(1)とを同時に水に難溶または不溶の有機溶媒に溶解または分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段によって乳化分散した後、加温することでその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法等が好適に挙げられる。該界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。
【0103】
前記有機溶媒としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤が挙げられる。
【0104】
前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチン等が挙げられ、中でも、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0105】
前記水溶性高分子には、疎水性高分子のエマルジョンまたはラテックス等を併用することもできる。該エマルジョンまたはラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。この時、必要に応じて従来公知の界面活性剤等を加えてもよい。
【0106】
マイクロカプセル壁を構成する高分子物質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂が特に好ましい。
【0107】
例えば、ポリウレタン・ポリウレア樹脂をカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化し芯物質とすべき油性媒体(油相)中に混合し、更にマイクロカプセル壁前駆体と反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)中に混合し、前記油相を水相に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0108】
以下に、前記多価イソシアネート化合物の具体例を示す。但し、これらに限定されるものではない。例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、
【0109】
シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また、必要に応じて、これらを二種類以上を併用してもよい。中でも特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0110】
また、前記公知のジアゾニウム塩化合物、電子供与性無色染料等をマイクロカプセル化する場合にも上述の方法を使用することができる。マイクロカプセル化の方法において、カプラー(および電子受容性化合物)、有機塩基、増感剤等の他の成分、およびマイクロカプセル壁前駆体やこれと反応する第2物質を溶解させる有機溶剤としては、既述の有機溶剤と同様のものが用いられる。
マイクロカプセルの粒径は、0.1〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましい。
【0111】
以下に、多色の記録材料の具体的な構成態様について説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層を1層有する単色の感熱記録材料、および単色の記録層を複数積層した積層構造の感熱記録層を有する多色の感熱記録材料のいずれであってもよい。
【0112】
特に、シアン、イエロー、マゼンタを含むフルカラーの感熱記録層の場合には、支持体上の3層が全てジアゾ系発色剤で構成された形態、あるいは支持体に近い第一層目の感熱記録層が電子供与性染料および電子受容性化合物を含有するロイコ系発色剤で構成され、第二および第三層目の感熱記録層がジアゾ系発色剤で構成された形態よりなる感熱記録材料が好ましい。本発明の感熱記録材料としては、支持体側からシアン、マゼンタ、イエローに発色する順に各色相に発色する感熱記録層を積層した構成が好ましく、特に一般式(1)で表される化合物とジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルを含有する本発明における感熱記録層としては、イエローに発色する感熱記録層が最適である。
本発明の感熱記録材料は、例えば、下記(a)〜(c)に示す態様で構成されたものであってもよい。
【0113】
(a)支持体上に、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、を積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0114】
(b)支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0115】
(c)支持体上に、最大吸収波長350nm以下のジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と呈色反応をするカプラーとを含有する光定着型記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、などである。
【0116】
多色記録の方法について、前記(b)または(c)により以下に説明する。
まず、第3の記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次に、発光中心波長430±30nmの光を照射して、C層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、第2の記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、C層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており(光定着されている)、発色能力が失われているため発色しない。さらに、発光中心波長360±20nmの光を照射し、B層に含まれるジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、最後に、第1の記録層(A層)が発色しうる十分な熱を加えて発色させる。このとき、C層、B層の記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており、発色能力が失われているため発色しない。
【0117】
また、全ての記録層(A層、B層、およびC層)をジアゾ系の記録層とした場合、A層およびB層は、発色させた後に光定着をおこなうことが必要であるが、最後に画像記録をおこなうC層に関しては、必ずしも光定着をおこなう必要はない。
【0118】
光定着に用いる定着用光源としては、公知の光源の中から適宜選択でき、例えば、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、中でも、高効率に光定着する点で、光源の発光スペクトルが、記録材料に用いたジアゾニウム塩化物の吸収スペクトルとほぼ一致する光源を用いることが好ましい。
【0119】
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層や保護層を有してなる態様が好ましい。
【0120】
−光透過率調整層−
前記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0121】
前記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0122】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0123】
−保護層−
前記保護層は、バインダーと共に、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
前記バインダーは、バリアー性および作業性を損なわない範囲で、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん類、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等より適宜選択して使用することができる。
【0124】
前記のほか、他のバインダーとして、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられ、例えば、スチレンーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
前記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
【0125】
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤およびその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、保護層形成用の塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。前記触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、前記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
【0126】
保護層中の顔料としては、公知の有機または無機の顔料が全て使用でき、具体的には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等が挙げられる。これらは単独で、または二種以上を混合して使用できる。
前記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
前記界面活性剤は、感熱記録層上に均一な保護層を形成するために用いられる。このような界面活性剤としては、スルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、およびアンモニウム塩等が挙げられる。
【0127】
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に形成した感熱記録層上に保護層塗布液を公知の塗布方法により塗布して形成することができる。前記公知の塗布方法としては、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。
但し、保護層は、感熱記録層や光透過率調整層と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布して一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
【0128】
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0129】
−中間層−
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、前記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。前記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。
【0130】
−支持体−
前記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)トリアセチルセルロース(TAC)、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙等が挙げられる。また、透明な感熱記録材料を得る場合には、透明支持体を使用する必要があり、該透明支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられる。
【0131】
前記支持体は、単独であるいは貼り合わせて使用することができる。
前記合成高分子フィルムの厚さとしては、25〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。
【0132】
前記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよく、高分子フィルムを着色する方法としては、フィルム成形前に予め樹脂に染料を混練しフィルム状に成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製しこれを透明無色な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えばグラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布、乾燥する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルム状に成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0133】
前記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0134】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0135】
[実施例1]
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.914質量部、イオン交換水367.1質量部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0136】
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.729質量部、水酸化カルシウム0.153質量部、イオン交換水143.6質量部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0137】
<イエロー感熱記録層用塗布液(a−1)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製)
酢酸エチル17.1質量部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))4.1質量部、前記一般式(1)で表される化合物(例示化合物:1−15、融点:75℃)4.8質量部、前記一般式(1)で表される化合物(例示化合物:1−20、融点:82℃)4.8質量部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASF ジャパン(株)製)0.6質量部を添加し室温にて均一に溶解した。
【0138】
【化23】
【0139】
前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(51質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.8質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0140】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6質量部にイオン交換水16.3質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.34質量部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.35μmであった。
【0141】
(カプラー乳化液(a−1)の調製)
酢酸エチル33.0質量部に下記カプラー化合物(C)9.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.0質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)4.3質量部、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.8質量部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.6質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2質量部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0142】
【化24】
【0143】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.9質量部にイオン交換水107.0質量部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節をおこなった。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
さらに前記カプラー乳化物100質量部に対してSBRラテックス(商品名:SN−307、48質量%溶液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調整したものを9質量部添加して均一に攪拌してカプラー乳化液(a−1)を得た。
【0144】
(イエロー感熱記録層用塗布液(a−1)の調製)
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)および前記カプラー乳化液(a−1)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2/1になるように混合してイエロー感熱記録層用塗布液(a−1)を得た。
【0145】
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)水溶液100.0質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5質量%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)2.86質量部、水酸化カルシウム0.5質量部、イオン交換水521.643質量部を混合し、50℃にて溶解して中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0146】
前記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)0.05質量部、硼酸(4.0質量%水溶液)1.5質量部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)0.19質量部、下記化合物(J)の4質量%水溶液3.42質量部、下記化合物(J’)の4質量%水溶液1.13質量部、イオン交換水0.67質量部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0147】
【化25】
【0148】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製)
酢酸エチル71質量部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5質量部、2,5’−ジ(t−オクチル)ハイドロキノン5.0質量部、燐酸トリクレジル1.9質量部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45質量部を溶解し均一に溶解した。前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)54.7質量部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0149】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52質量部に30質量%燐酸水溶液8.9質量部、イオン交換水532.6質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06質量部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1質量部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48質量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416質量部、イオン交換水39.5質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0150】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000質量部、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株)、5質量%水溶液)5.2質量部、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.75質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)73.39質量部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0151】
<保護層用塗布液の調製>
(保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製)
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160質量部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54質量%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74質量部、イオン交換水3832質量部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0152】
(保護層用顔料分散液の調製)
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8質量部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2質量部、イオン交換水11.8質量部を混合し、ダイノミルにて分散した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
得られた分散液45.6質量部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液、日産化学(株)製)8.1質量部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
【0153】
(保護層用マット剤分散液の調製)
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220質量部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81質量部、イオン交換水1976.19質量部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0154】
(保護層用塗布ブレンド液の調製)
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000質量部に前記フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株))(5質量%水溶液)40質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)50質量部、前記保護層用顔料分散液49.87質量部、前記保護層用マット剤分散液16.65質量部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0155】
<下塗り層つき支持体の作製>
(下塗り層用塗布液の調製)
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40質量部をイオン交換水60質量部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8質量部と水92質量部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0156】
次いで、40℃の40質量%の前記下塗り層用ゼラチン水溶液100質量部に、水120質量部およびメタノール556質量部を加え、十分攪拌混合した後、5質量%前記雲母分散液208質量部を加えて、十分に攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8質量部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3質量部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製した。
【0157】
(下塗り層つき支持体の作製)
LBPS50質量部およびLBPK50質量部からなる木材パルプをディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5質量部、アニオンポリアクリルアミド1.0質量部、硫酸アルミニウム1.0質量部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1質量部、カチオンポリアクリルアミド0.5質量部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0158】
前記原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と呼ぶ)。次に、前記樹脂層を形成したウラ面とは反対側の面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10質量%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmになるようにコーティングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名:アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、前記下塗り層用塗布液を含有する雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0159】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記支持体の下塗り層表面に、下から、前記中間層用塗布液、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−1)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に4層同時に連続塗布し、30℃相対湿度30%、および40℃相対湿度30%の条件で連続に乾燥して感熱記録材料T−1を得た。
【0160】
この際前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−1)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で、0.08g/m2となるように、前記中間層層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で2.39g/m2となるように、前記光透過率調整層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で2.35g/m2となるように、前記保護層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で1.39g/m2となるように塗布をおこなった。
【0161】
[実施例2]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:1−22(融点:55℃) 9.0質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料T−2を得た。
【0162】
[実施例3]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))を、下記ジアゾニウム塩化合物(B)(最大吸収波長λmax=425nm(メタノール溶液))に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料T−3を得た。
【0163】
【化26】
【0164】
[実施例4]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:4−6(融点:86℃)4.6質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料T−4を得た。
【0165】
[実施例5]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:5−1(融点:95℃)4.5質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料T−5を得た。
【0166】
[比較例1]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、下記化合物:r−1(常温で液体) 7.9質量部、及び例示化合物:5−1 1.6質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−1を得た。
【0167】
【化27】
【0168】
[比較例2]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))を、下記ジアゾニウム塩化合物(D)(最大吸収波長λmax=380nm(メタノール溶液))に、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:1−15 0.96質量部、及び前記化合物:r−1 7.7質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−2を得た。
【0169】
【化28】
【0170】
[比較例3]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))を、ジアゾニウム塩化合物(D)(最大吸収波長λmax=380nm(メタノール溶液))に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−3を得た。
【0171】
[比較例4]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:4−6 8.9質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−4を得た。
【0172】
[比較例5]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、下記化合物:r−2 7.5質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−5を得た。
【0173】
【化29】
【0174】
<<評価>>
前記の如くして得られた感熱記録材料T−1〜T−5および感熱記録材料R−1〜R−5を下記の方法によって評価した。
1.熱記録方法
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用いて記録エネルギーが23mJ/mm2 になるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決め、該感熱記録材料に印画して、イエローの画像を記録した。その記録材料を発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプ下に15秒照射した。
2.発色濃度
前記方法にて、熱記録された感熱記録材料の画像部の最大濃度部分及び未印画部分について、発色濃度を日本平板機材(株)製X−rite310TRを用いて測定した。
3.生保存性
記録前の感熱記録材料T−1〜T−5および感熱記録材料R−1〜R−5を温度60℃、相対湿度30%RHの条件下にて72時間強制保存した。その後、前記と同様に熱記録と発色濃度測定を行った。結果を表1に示す。尚、結果は最大濃度部分については強制保存前の濃度に対する強制保存後の濃度の比率を百分率で表した。また、未印画部分については強制保存前の濃度と強制保存後の濃度の差で表した。
【0175】
[実施例6]
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.914質量部、イオン交換水367.1質量部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0176】
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.729質量部、水酸化カルシウム0.153質量部、イオン交換水143.6質量部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0177】
<イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−2)の調製)
酢酸エチル17.1質量部に、前記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))4.1質量部、前記一般式(1)で表される化合物(例示化合物:1−15、融点:75℃)4.8質量部、前記一般式(1)で表される化合物(例示化合物:1−20、融点:82℃)4.8質量部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASF ジャパン(株)製)0.6質量部を添加し室温にて均一に溶解した。
【0178】
前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(51質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.8質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0179】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6質量部にイオン交換水16.3質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.34質量部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−2)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.35μmであった。
【0180】
(カプラー乳化液(a−2)の調製)
酢酸エチル33.0質量部に前記カプラー化合物(C)9.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.0質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)4.3質量部、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.8質量部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.6質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2質量部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0181】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.9質量部にイオン交換水107.0質量部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節をおこなった。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
さらに前記カプラー乳化物100質量部に対してSBRラテックス(商品名:SN−307、48質量%溶液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調整したものを9質量部添加して均一に攪拌してカプラー乳化液(a−2)を得た。
【0182】
(イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)の調製)
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−2)および前記カプラー乳化液(a−2)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2/1になるように混合してイエロー感熱記録層用塗布液(a−2)を得た。
【0183】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製)
酢酸エチル15.1質量部に、前記ジアゾニウム塩化合物(D)2.8質量部、フタル酸ジフェニル3.8質量部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名:ライトエステルTMP、共栄油脂化学(株)製)4.2質量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.1質量部添加し、加熱して均一に溶解した。
【0184】
前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)2.5質量部、およびキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)6.8質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0185】
別途、前記フタル化ゼラチン溶液55.3質量部にイオン交換水21.0質量部を添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0186】
(カプラー乳化液(b)の調製)
酢酸エチル36.9質量部に下記カプラー化合物(E)11.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0質量部、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノール14質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)3.5質量部、下記化合物(G)3.5質量部、リン酸トリクレジル1.7質量部、マレイン酸ジエチル0.8質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5質量部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0187】
【化30】
【0188】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3質量部にイオン交換水107.3質量部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5質量%になるように濃度調節をおこない、カプラー乳化物(b)を得た。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0189】
(マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製)
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)および前記カプラー乳化液(b)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)を前記マイクロカプセル液(b)量10部に対し、0.2部になるように混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0190】
<シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製>
(電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製)
酢酸エチル18.1質量部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6質量部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310、日本石油(株)製)8.0質量部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm2140、チバガイギー(株)製)8.0質量部を添加し、加熱して均一に溶解した。
【0191】
【化31】
【0192】
前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)7.2質量部と、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業(株)製)5.3質量部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0193】
別途、前記フタル化ゼラチン溶液28.8質量部にイオン交換水9.5質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.17質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)4.3質量部を混合添加し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50質量部、テトラエチレンペンタミン0.12質量部を加え均一化した後、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行いカプセル液の固形分濃度が33質量%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
さらに、前記マイクロカプセル液100質量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25質量%水溶液(商品名:ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7質量部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名:Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)を添加して均一に攪拌して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0194】
(電子受容性化合物分散液(c)の調製)
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3質量部にイオン交換水30.1質量部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15質量部、2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウムの2%水溶液3.8質量部を加えて、ボールミルにて一晩分散して分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6質量%であった。
前記分散液100質量部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2質量部加え30分間攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5質量%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0195】
(シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製)
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性無色染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0196】
実施例1と同様にして、中間層用塗布液、、光透過率調整層用塗布液、および保護層用塗布液を調製し、下塗り層つき支持体を作製した。
(下塗り層用塗布液の調製)
【0197】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記支持体の下塗り層表面に、下から、前記シアン感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃相対湿度30%、および40℃相対湿度30%の条件で連続に乾燥して感熱記録材料T−6を得た。
【0198】
この際前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.08g/m2となるように、同様に前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に前記シアン感熱記録層用塗布液(c)液中に含まれる電子供与性無色染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布をおこなった。
また、前記中間層用塗布液は固形分塗布量が、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)と前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の間は2.35g/m2、前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)と前記シアン感熱記録層用塗布液(c)の間は3.34g/m2、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布をおこなった。
【0199】
[比較例6]
実施例6のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−2)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、前記化合物r−1 8.0質量部、及び例示化合物:5−1 1.5質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−6を得た。
【0200】
<<評価>>
前記の如くして得られた感熱記録材料T−6および感熱記録材料R−6を下記の方法によって評価した。
1.熱記録方法
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用いて記録エネルギーが23mJ/mm2 になるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決め、該感熱記録材料に印画して、イエローの画像を記録した。その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプ下に25秒照射した。続けて同じサーマルヘッドを用いて記録エネルギーが90mJ/mm2 になるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決め、該感熱記録材料に印画して、シアンの画像を記録した。
発色濃度および生保存性の評価は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0201】
【表1】
【0202】
表1の結果は、実施例1〜6に記載の本発明の感熱記録材料は、比較例の感熱記録材料に比べて、最大濃度部分および未印画部分ともに強制保存前後での濃度の変化が小さいことを示している。
【0203】
【発明の効果】
本発明は、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させた感熱記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生保存性に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルヘッド等により熱を供与して画像を記録する感熱記録材料は、比較的安価であり、その記録装置が簡便で信頼性が高く、メンテナンスが不要であることから、広く普及している。そのような状況の下、近年では特に高画質化、保存安定性の向上等の高性能化に対する要望が高く、感熱記録材料の発色濃度、画像品質、保存性等に関する研究が鋭意おこなわれている。
【0003】
感熱記録材料としては、発色濃度、画像品質および保存性を向上させるため、発色成分としてジアゾ化合物を用いたものが多く開発されている。該ジアゾ化合物を含有する感熱記録材料は、熱によって画像を印画した後、光によってジアゾ化合物を熱分解(定着)させ、また、ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包することで、画像保存性を大きく向上させることができる。
【0004】
しかし、前記ジアゾ化合物を含有する感熱記録材料において、ジアゾ化合物の一部が画像形成前の保存(生保存)時に徐々に分解することが原因で発色濃度が低下するという問題があった。
これに対し、ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルの疎水性不揮発性成分として特定のエステル化合物を用いた感熱記録材料の製造方法が開示されている。該製造方法により得られる感熱記録材料は、光分解性ステインの抑制には優れるものの、生保存性は必ずしも充分ではない。(例えば、特許文献1参照。)
更に、特願2002−061891号明細書、及び特願2002−098663号明細書では、カプセルオイルとして特定の化合物を用いることが提案されており、さらなる改善が望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−324129号公報(第1−7頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させた感熱記録材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、ジアゾニウム塩化合物を含むマイクロカプセルに特定の化合物を添加することにより、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させることが可能となることを見出し本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
<1> 支持体上に、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料において、
不揮発性の下記一般式(1)で表される化合物がマイクロカプセルに内包され、
かつ、前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxが、400〜460nmの範囲にあることを特徴とする感熱記録材料である。
【0009】
【化6】
【0010】
(一般式(1)において、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子または−A−Arを表し、R1〜R6のうちの1〜3個が−A−Arを表す。また、R1〜R6は何れかの組み合わせでベンゼン環と縮環してもよい。ここでAはCOOまたはOCOを表し、Arは炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【0011】
<2> 前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物が、下記一般式(2)または/および一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする<1>に記載の感熱記録材料である。
【0012】
【化7】
【0013】
(一般式(2)において、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表す。Yは硫黄原子または酸素原子を表す。X−は対アニオンを表す。)
【0014】
【化8】
【0015】
(一般式(3)において、R14〜R16はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R15とR16は結合してヘテロ環を形成してもよい。X−は対アニオンを表す。)
【0016】
<3> 前記一般式(1)において、R1〜R6のうちの
(1)1個のみ
(2)隣接する2個
(3)メタ位に位置する2個
(4)1,2,4位に位置する3個
の何れかが−A−Arであることを特徴とする<1>または<2>に記載の感熱記録材料である。
【0017】
<4> 前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率が、カプセルオイルに対して25質量%以上であることを特徴とする<1>〜<3>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0018】
<5> 前記一般式(1)で表される化合物の融点が、45℃以上120℃以下であることを特徴とする<1>〜<4>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0019】
<6> 前記一般式(1)で表される化合物と共に、下記一般式(4)または/および下記一般式(5)で表される化合物がマイクロカプセルに内包されることを特徴とする<1>〜<5>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0020】
【化9】
【0021】
(一般式(4)において、R21は炭素数4〜15のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表す。)
【0022】
【化10】
【0023】
(一般式(5)において、R22〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはハロゲン原子を表し、R27は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲン原子を表し、nは 0〜4の整数を表す。)
【0024】
<7> 前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物のうちのすくなくとも何れかが、融点が45℃以上120℃以下である化合物であることを特徴とする<6>に記載の感熱記録材料である。
【0025】
<8> 更に、発色色相の異なる1層以上の感熱記録層を積層し、多色画像を形成することができることを特徴とする<1>〜<7>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0026】
<9> 前記マイクロカプセルが、ポリウレタンまたは/およびポリウレアからなることを特徴とする<1>〜<8>の何れか1つに記載の感熱記録材料である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。
(感熱記録層)
本発明の感熱記録材料は、感熱記録層がマイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物、およびカプラー化合物を含み、さらにマイクロカプセル中に不揮発性の下記一般式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」ということがある。)を含有し、前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxが、400〜460nmの範囲にあることを特徴とする。
【0028】
【化11】
【0029】
一般式(1)において、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子または−A−Arを表し、R1〜R6のうちの1〜3個が−A−Arを表す。また、R1〜R6は何れかの組み合わせでベンゼン環と縮環してもよい。ここでAはCOOまたはOCOを表し、Arは炭素数6〜20のアリール基を表す。
【0030】
一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)におけるR1〜R6のうちの1〜3個が−A−Arであるが、R1〜R6のうちの
(1)1個のみ
(2)隣接する2個
(3)メタ位に位置する2個
(4)1,2,4位に位置する3個
の何れかが−A−Arであることが好ましい。
【0031】
また、前記Arが表す炭素数6〜20のアリール基としては、ビフェニル基またはナフチル基が好ましい。前記Arが表す炭素数6〜20のアリール基は、更に置換基を有していてもよく、前記Arが有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子が挙げられる。
前記Arが有する置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましいものとして挙げられる。
前記Arが有する置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましいものとして挙げられる。
【0032】
前記Arが有する置換基としてのアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基が好ましいものとして挙げられる。
【0033】
一般式(1)において、R1〜R6で表される基のうち炭素数1〜10のアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基またはトルイル基が好ましい。
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、炭素数1〜4の低級アルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましいものとして挙げられ。
またハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子が好ましいものとして挙げられる。
【0034】
前記一般式(1)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
【化12】
【0036】
本発明の感熱記録材料は、前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率が、カプセルオイルに対して25質量%以上であることが好ましい。ここで、カプセルオイルとは後述するマイクロカプセルの製造方法における水に難溶または不溶の不揮発性の有機化合物のことをいい、その詳細についてはマイクロカプセルの製造方法において説明する。
前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率は、カプセルオイルに対して30質量%以上であることがより好ましい。前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率がカプセルオイルに対して25質量%以上であると、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させるという本発明の効果がより顕著となる。
【0037】
本発明の感熱記録材料は、前記一般式(1)で表される化合物と共に、下記一般式(4)または/および後記の一般式(5)で表される化合物がマイクロカプセルに内包されることが好ましい。
【0038】
【化13】
【0039】
一般式(4)において、R21は炭素数4〜15のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表す。
前記一般式(4)におけるR21が表す炭素数4〜15のアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、炭素数4〜12が好ましく、具体的にはsec−ブチル基、iso−ブチル基、t−アミル基、3−ペンチル基、2−エチルヘキシロキシ基、シクロヘキシル基が挙げられる。
また、前記炭素数4〜15のアルキル基が有する置換基としては、メチル基、メトキシ基、フェノキシ基が挙げられる。
【0040】
前記一般式(4)におけるR21が表す炭素数6〜20のアリール基は、更に置換基を有していてもよく、炭素数6〜16が好ましく、具体的にはフェニル基、トルイル基、ナフチル基、4−メトキシフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等が挙げられる。
また、前記炭素数6〜20のアリール基が有する置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、イソプロポキシ基が挙げられる。
【0041】
前記一般式(4)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明における一般式(4)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化14】
【0043】
次に一般式(5)で表される化合物を説明する。
【0044】
【化15】
【0045】
一般式(5)において、R22〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはハロゲン原子を表し、R27は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲン原子を表し、nは 0〜4の整数を表す。
前記一般式(5)において、R22〜R26で表される基のうち炭素数1〜10のアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜16のアリール基が好ましく、特にフェニル基、トルイル基、ナフチル基が好ましい。
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、炭素数1〜4の低級アルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましいものとして挙げられる。
またハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子が好ましいものとして挙げられる。
更に、nは0〜2の整数であることが好ましい。
【0046】
前記一般式(5)において、R27で表される基のうち炭素数1〜10のアルキル基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
またハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子が好ましいものとして挙げられる。
【0047】
前記一般式(5)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明における一般式(5)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
【0048】
【化16】
【0049】
上述のとおり、前記一般式(1)で表される化合物と共に、下記一般式(4)または/および後記の一般式(5)で表される化合物がマイクロカプセルに内包される場合でも、前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率が、カプセルオイルに対して25質量%以上であることが好ましい。
また、前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、前記一般式(4)および前記一般式(5)で表される化合物の含有量の合計より多いことが好ましい。
【0050】
本発明の感熱記録材料は、前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物のうちのすくなくとも何れかが、融点が45℃以上120℃以下である化合物であることが好ましく、融点が50℃以上100℃以下である化合物であることがより好ましい。また、前記一般式(1)で表される化合物が、上述の融点の規定を満たすことが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物の何れもが融点が45℃未満であると、マイクロカプセル内でジアゾニウム塩化合物を溶融している油相が常温で不安定となる場合があり、ジアゾニウム塩化合物の熱安定性が確保されない場合がある。一方、前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物の何れもが融点が120℃を越えると結晶性が高くなる場合があり、マイクロカプセル液を調製してから塗布するまでの間に、乳化液の分離や粘度上昇が発生し、経時安定性が低下する場合がある。また、塗布液を調製する際にブレンド被りが発生する場合もある。
【0051】
本発明の感熱記録材料において、前記一般式(1)で表される化合物とともにマイクロカプセルに内包されるジアゾニウム塩化合物は、最大吸収波長λmax(メタノール溶液)が400〜460nmの範囲にあることを特徴とし、前記最大吸収波長λmaxが410〜455nmの範囲にあることが好ましい。
前記最大吸収波長λmaxが400nm未満であると、本発明のカプセルオイルを用いた感熱記録材料において、顕著な生保存性向上効果が発現しない、良好な地肌白色度を得ることができない、或いは後述のカプラーとの組み合わせにおいて色相が劣化する等の不具合を生じてしまう。一方、前記最大吸収波長λmaxが460nmを超えると、後述のカプラーとの組合わせにおいて画像定着性、画像保存性が低下したり、色相が劣化する。
【0052】
【化17】
【0053】
一般式(2)において、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表す。Yは硫黄原子または酸素原子を表す。X−は対アニオンを表す。
【0054】
一般式(2)において、R11〜R13の炭素数の総和は、12以上が好ましく、14以上がさらに好ましい。
一般式(2)においてR11〜R13が表す炭素数1〜30のアルキル基は、更に置換基を有していてもよく、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、デシル基等が挙げられる。
【0055】
前記アルキル基が有する置換基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、置換アミノ基、置換アミド基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。前記アルキル基が有する置換基の具体例としては、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、トリフェニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、2’,4’−ジイソペンチルフェニルオキシメチル基、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシメチル基、ジベンジルアミノカルボニルメチル基、2,4−ジ−t−アミルフェニルオキシプロピル基、エトキシカルボニルプロピル基、1−(2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシ)プロピル基、アセチルアミノエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、メタンスルホニルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0056】
一般式(2)においてR11〜R13が表す炭素数7〜30のアラルキル基は、
更に置換基を有していてもよく、炭素数7〜16のアラルキル基が好ましい。例えば、ベンジル基、フェネチル基、4−メトキシベンジル基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。
前記アラルキル基が有する置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0057】
一般式(2)においてR11〜R13が表す炭素数6〜30のアリール基は、
更に置換基を有していてもよく、炭素数6〜16のアリール基が好ましい。
前記アリール基が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基、ハロゲン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0058】
前記炭素数6〜30のアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。
【0059】
前記炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基は、更にに置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。
【0060】
一般式(2)において、X−で示される陰イオンは、無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオンが好ましく、有機陰イオンとしてはポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、テトラアリールボレートイオン等が好ましい。特にヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが好ましい。
【0061】
以下に、一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(例示化合物(1)〜(16))を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
【化18】
【0063】
【化19】
【0064】
【化20】
【0065】
次に、一般式(3)で表されるジアゾニウム塩化合物について説明する。
【0066】
【化21】
【0067】
一般式(3)において、R14〜R16はそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、R15とR16は結合してヘテロ環を形成してもよい。X−は対アニオンを表す。
【0068】
一般式(3)において、R14で表される炭素数1〜30のアルキル基は置換基を有していてもよく、また、炭素数は1〜18のものが好ましい。このようなアルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、ターシャリーブチル、セカンダリーブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルオクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5,−トリメチルヘキシル、ノルマルドデシル、シクロヘキシル、アリル、2−クロロエチル、メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルエチル等の各基が好ましいものとして挙げられる。
【0069】
R14で表される炭素数6〜30のアリール基は置換基を有していてもよく、また、炭素数6〜18のアリール基が好ましい。これには、たとえばフェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニルの各基が好ましいものとして挙げられる。
R14で表される炭素数7〜30のアラルキル基は置換基を有していてもよく、また、炭素数7〜18のアラルキル基が好ましい。具体的には、ベンジル、2−クロロベンジル、2−メチルベンジル、3−クロロベンジル、3−メチルベンジル、3−メトキシベンジル、α−メチルベンジルの各基が好ましいものとして挙げられる。
【0070】
R15およびR16で表される炭素数1〜30のアルキル基は置換基を有していてもよく、また、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。これには、たとえば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、セカンダリーブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルオクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5,−トリメチルヘキシル、ノルマルデシル、ノルマルドデシル、シクロヘキシル、ベンジル、アリル、2−クロロエチル、2−イソプロピルオキシエチル、2−アリルオキシエチル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、2−(2,5−ジ−ターシャリーアミルフェノキシ)エチル、2−ベンゾイルオキシエチル、2−オクタノイルオキシエチル、2−デカノイルオキシエチル、ドデカノイルオキシエチル、メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルエチルの各基が好ましいものとして挙げられる。
【0071】
R15およびR16で表される炭素数6〜30のアリール基は置換基を有していてもよく、炭素数6〜18のアリール基が好ましい。たとえばフェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニルの各基が好ましいものとして挙げられる。
またR15とR16が結合して、隣接する窒素原子と共に含窒素複素環を形成していても良い。含窒素複素環として好ましいものとしては、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、4−アシルピペラジノ、4−スルホニルピペラジノ、ヘキサメチレンイミノ、インドリノ等の各基が挙げられる。
R15およびR16で表される炭素数7〜30のアラルキル基は置換基を有していてもよく、また、炭素数7〜18のアラルキル基が好ましい。具体的には、ベンジル、2−クロロベンジル、2−メチルベンジル、3−クロロベンジル、3−メチルベンジル、3−メトキシベンジル、α−メチルベンジルの各基が好ましいものとして挙げられる。
【0072】
一般式(3)において、X−で示される陰イオンは、無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸水素イオン、硫酸イオンが好ましく、有機陰イオンとしてはポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、テトラアリールボレートイオン等が好ましい。特にヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが好ましい。
【0073】
一般式(3)のジアゾニウム塩化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
【化22】
【0075】
本発明で用いられるジアゾニウム塩化合物は感熱記録層中に0.02〜3g/m2の範囲で用いることが好ましく、発色濃度の観点からは、0.1〜2g/m2の範囲で用いることが特に好ましい。本発明で用いられる化合物(1)はジアゾニウム塩化合物に対して0.1〜5倍質量用いるのが好ましく、地肌白色度の点からは、0.4〜3倍質量用いるのが特に好ましい。
【0076】
本発明の感熱記録材料は、発色成分として公知のジアゾニウム塩化合物およびカプラー、または、電子供与性無色染料および電子受容性化合物を含む感熱記録層と本発明における感熱記録層とを積層する構造であってもよい。
【0077】
前記公知のジアゾニウム塩化合物としては、例えば、下記一般式(III)で表されるジアゾニウム塩化合物が挙げられる。
Ar−N2 +X1− 一般式(III)
(式中、Arは置換または無置換のアリール基を表し、X1−は酸アニオンを表す。)
【0078】
一般式(III)で表されるジアゾニウム塩化合物は、加熱によって後述のカプラーとカップリング反応を起こして発色し、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0079】
前記一般式(III)中、Arは、置換または無置換のアリール基を表す。
前記Arで表されるアリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、
【0080】
4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。また、これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルオキシ基、シアノ基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、ヘテロ環基等により置換されていてもよく、更に置換されていてもよい。
【0081】
前記一般式(III)で表されるジアゾニウム塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−[N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−[N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−[N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ]−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−[ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ]ベンゼンジアゾニウム、2−ベンジルスルホニル−4−[N−メチル−N−(2−オクタノイルオキシエチル)]アミノベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
【0082】
前記X1−は酸アニオンを表し、該酸アニオンとしては、炭素原子数1〜9のポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素原子数1〜9のポリフルオアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。中でも、結晶性の点でヘキサフルオロリン酸が好ましい。
【0083】
前記公知のジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxは使用する層等によって適宜選定すればよいが、450nm以下が好ましく、290〜440nmがより好ましい。前記λmaxが、450nmを超える長波長側にあると、生保存性が低下することがあり、前記波長範囲よりも短波長側にあると、後述のカプラーとの組合わせにおいて画像定着性、画像保存性が低下したり、色相が劣化することがある。
【0084】
また、ジアゾニウム塩化合物は、炭素原子数が12以上で水に対する溶解度が1質量%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5質量%以上であることが望ましい。
尚、ジアゾニウム塩化合物は、一種単独で用いてもよいし、色相調整等の目的に応じて、二種以上を併用することもできる。
【0085】
上述のジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して色素を形成し発色させるカプラーとしては、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気の下でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成し得るものであれば、いずれの化合物も用いることができ、色相等の目的に合致する範囲で適宜選択することができる。
【0086】
前記カプラーとしては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、1−ヒドロキシ−8−アセチルアミノナフタレン−1,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセチルアミノナフタレン−8.6−ジスルホン酸ジアニリド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−2’−メチルアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸モルホリノエチルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸ピペリジノプロピルアミド、2−ヒドロキシナフトエ酸ピペリジノエチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシル−オキシ−プロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、6−エトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、6−メトキシ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、2−クロロ−3−(2,4−ジ−1−アミルフェノキシプロピルアミノカルボニル)−ピパロイルアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノー3−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン等を挙げることができる。これらのカプラーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記感熱記録層中におけるカプラーの含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0087】
本発明の感熱記録材料においては、上述の通り、発色成分としてジアゾ化合物とカプラー(ジアゾ系発色剤)とのほか、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ(ロイコ系発色剤)を用いることもできる。例えば、支持体上に複数の感熱記録層を有する感熱記録材料において、その少なくとも1層をロイコ系発色剤を含む層として構成することができる。
【0088】
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられ、中でも、発色濃度が高い点で、トリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が好ましい。
【0089】
具体的には、下記化合物が挙げられる。例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、
【0090】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等である。
【0091】
前記電子供与性染料前駆体の塗布量は、既述のジアゾニウム塩化合物の場合と同様の理由から、感熱記録層中に0.1〜2g/m2とすることが好ましい。
【0092】
電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられ、中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。具体的には、下記化合物が挙げられる。
例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。
【0093】
感熱記録層中における電子受容性化合物の含有量としては、電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0094】
本発明における感熱記録層には、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を添加することが好ましい。
前記有機塩基は、感光感熱記録層中に、ジアゾニウム塩化合物およびカプラーとともに含有させるのが好ましく、単独で用いても2種以上併用してもよい。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。また、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものも使用可能である。
【0095】
中でも特に、N,N′−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N′−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0096】
所望により有機塩基を含有させる場合の、感熱記録層中における有機塩基の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0097】
本発明の感熱記録材料は、前記有機塩基のほか、発色反応を促進させる目的で、感熱記録層中に増感剤を加えることもできる。
前記増感剤は、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、有機塩基またはジアゾニウム塩等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩、有機塩基、カプラー等を反応しやすい状況にするものである。
具体的には、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましく、例えば、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられる。
【0098】
本発明における感熱記録層に用いるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。
前記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等およびこれらの変成物等が挙げられ、前記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0099】
また、本発明における感熱記録層には、発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上、または定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許EP第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載のものを挙げることができる。
【0100】
本発明において、カプラー、有機塩基や増感剤等の他の成分の使用形態については特に制限はなく、例えば、(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法、(5)マイクロカプセル化を利用する方法等が挙げられる。
【0101】
(マイクロカプセルの製造方法)
本発明は、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を向上させるために、一般式(1)で表される化合物をマイクロカプセルに内包する。
【0102】
ジアゾニウム塩化合物と化合物(1)とをマイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ジアゾニウム塩化合物と化合物(1)とを同時に水に難溶または不溶の有機溶媒に溶解または分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段によって乳化分散した後、加温することでその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法等が好適に挙げられる。該界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。
【0103】
前記有機溶媒としては、例えば、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤が挙げられる。
【0104】
前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アミノ変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、ゼラチン等が挙げられ、中でも、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0105】
前記水溶性高分子には、疎水性高分子のエマルジョンまたはラテックス等を併用することもできる。該エマルジョンまたはラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。この時、必要に応じて従来公知の界面活性剤等を加えてもよい。
【0106】
マイクロカプセル壁を構成する高分子物質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でも、ポリウレタン・ポリウレア樹脂が特に好ましい。
【0107】
例えば、ポリウレタン・ポリウレア樹脂をカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化し芯物質とすべき油性媒体(油相)中に混合し、更にマイクロカプセル壁前駆体と反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)中に混合し、前記油相を水相に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0108】
以下に、前記多価イソシアネート化合物の具体例を示す。但し、これらに限定されるものではない。例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、
【0109】
シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また、必要に応じて、これらを二種類以上を併用してもよい。中でも特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0110】
また、前記公知のジアゾニウム塩化合物、電子供与性無色染料等をマイクロカプセル化する場合にも上述の方法を使用することができる。マイクロカプセル化の方法において、カプラー(および電子受容性化合物)、有機塩基、増感剤等の他の成分、およびマイクロカプセル壁前駆体やこれと反応する第2物質を溶解させる有機溶剤としては、既述の有機溶剤と同様のものが用いられる。
マイクロカプセルの粒径は、0.1〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましい。
【0111】
以下に、多色の記録材料の具体的な構成態様について説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層を1層有する単色の感熱記録材料、および単色の記録層を複数積層した積層構造の感熱記録層を有する多色の感熱記録材料のいずれであってもよい。
【0112】
特に、シアン、イエロー、マゼンタを含むフルカラーの感熱記録層の場合には、支持体上の3層が全てジアゾ系発色剤で構成された形態、あるいは支持体に近い第一層目の感熱記録層が電子供与性染料および電子受容性化合物を含有するロイコ系発色剤で構成され、第二および第三層目の感熱記録層がジアゾ系発色剤で構成された形態よりなる感熱記録材料が好ましい。本発明の感熱記録材料としては、支持体側からシアン、マゼンタ、イエローに発色する順に各色相に発色する感熱記録層を積層した構成が好ましく、特に一般式(1)で表される化合物とジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルを含有する本発明における感熱記録層としては、イエローに発色する感熱記録層が最適である。
本発明の感熱記録材料は、例えば、下記(a)〜(c)に示す態様で構成されたものであってもよい。
【0113】
(a)支持体上に、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、を積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0114】
(b)支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、
【0115】
(c)支持体上に、最大吸収波長350nm以下のジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と呈色反応をするカプラーとを含有する光定着型記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長420±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた記録材料、などである。
【0116】
多色記録の方法について、前記(b)または(c)により以下に説明する。
まず、第3の記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩とカプラーとを発色させる。次に、発光中心波長430±30nmの光を照射して、C層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、第2の記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、C層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており(光定着されている)、発色能力が失われているため発色しない。さらに、発光中心波長360±20nmの光を照射し、B層に含まれるジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、最後に、第1の記録層(A層)が発色しうる十分な熱を加えて発色させる。このとき、C層、B層の記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており、発色能力が失われているため発色しない。
【0117】
また、全ての記録層(A層、B層、およびC層)をジアゾ系の記録層とした場合、A層およびB層は、発色させた後に光定着をおこなうことが必要であるが、最後に画像記録をおこなうC層に関しては、必ずしも光定着をおこなう必要はない。
【0118】
光定着に用いる定着用光源としては、公知の光源の中から適宜選択でき、例えば、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、中でも、高効率に光定着する点で、光源の発光スペクトルが、記録材料に用いたジアゾニウム塩化物の吸収スペクトルとほぼ一致する光源を用いることが好ましい。
【0119】
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に単数若しくは複数の感熱記録層を有するほか、光透過率調整層や保護層を有してなる態様が好ましい。
【0120】
−光透過率調整層−
前記光透過率調整層は、紫外線吸収剤前駆体を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、しかも可視光線の透過率も高いので、感熱記録層の定着に支障を来すこともない。この紫外線吸収剤前駆体は、マイクロカプセル中に含ませることが好ましい。
また、光透過率調整層に含有する化合物としては、特開平9−1928号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0121】
前記紫外線吸収剤前駆体は、感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは感熱記録層と最外保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。光透過率調整層の特性は、感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0122】
光透過率調整層形成用の塗布液(光透過率調整層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。該光透過率調整層塗布液を、例えばバーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等の公知の塗布方法により塗布して形成することができる。光透過率調整層は、感熱記録層等と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布し一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
光透過率調整層の乾燥塗布量としては、0.8〜4.0g/m2が好ましい。
【0123】
−保護層−
前記保護層は、バインダーと共に、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、硬膜剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有してなる。
前記バインダーは、バリアー性および作業性を損なわない範囲で、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、でんぷん類、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等より適宜選択して使用することができる。
【0124】
前記のほか、他のバインダーとして、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等が挙げられ、例えば、スチレンーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
前記バインダーの含有量としては、保護層中の顔料に対して、10〜500質量%が好ましく、50〜400質量%がより好ましい。
【0125】
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤およびその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、保護層形成用の塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。前記触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、前記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
【0126】
保護層中の顔料としては、公知の有機または無機の顔料が全て使用でき、具体的には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末等が挙げられる。これらは単独で、または二種以上を混合して使用できる。
前記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
前記界面活性剤は、感熱記録層上に均一な保護層を形成するために用いられる。このような界面活性剤としては、スルフォコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、およびアンモニウム塩等が挙げられる。
【0127】
保護層形成用の塗布液(保護層用塗布液)は、前記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に形成した感熱記録層上に保護層塗布液を公知の塗布方法により塗布して形成することができる。前記公知の塗布方法としては、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いた方法が挙げられる。
但し、保護層は、感熱記録層や光透過率調整層と同時塗布してもよく、例えば感熱記録層形成用の塗布液を塗布して一旦感熱記録層を乾燥させた後、該層上に塗布形成してもよい。
【0128】
保護層の乾燥塗布量としては、0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。該乾燥塗設量が、0.2g/m2未満であると、耐水性が維持できないことがあり、7g/m2を超えると、著しく熱感度が低下することがある。保護層の塗布形成後、必要に応じてキャレンダー処理を施してもよい。
【0129】
−中間層−
感熱記録層を複数積層する場合、各感熱記録層間には中間層を設けることが好ましい。該中間層には、前記保護層と同様、各種バインダーに更に顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤等を含ませることができる。前記バインダーとしては、保護層と同様のバインダーが使用できる。
【0130】
−支持体−
前記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)トリアセチルセルロース(TAC)、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙等が挙げられる。また、透明な感熱記録材料を得る場合には、透明支持体を使用する必要があり、該透明支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルムが挙げられる。
【0131】
前記支持体は、単独であるいは貼り合わせて使用することができる。
前記合成高分子フィルムの厚さとしては、25〜300μmが好ましく、100〜250μmがより好ましい。
【0132】
前記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよく、高分子フィルムを着色する方法としては、フィルム成形前に予め樹脂に染料を混練しフィルム状に成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製しこれを透明無色な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えばグラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布、乾燥する方法等が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルム状に成形し、これに耐熱処理、延伸処理、帯電防止処理を施したものが好ましい。
【0133】
前記感熱記録層、保護層、光透過率調整層、中間層等は、支持体上に、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0134】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0135】
[実施例1]
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.914質量部、イオン交換水367.1質量部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0136】
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.729質量部、水酸化カルシウム0.153質量部、イオン交換水143.6質量部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0137】
<イエロー感熱記録層用塗布液(a−1)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製)
酢酸エチル17.1質量部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))4.1質量部、前記一般式(1)で表される化合物(例示化合物:1−15、融点:75℃)4.8質量部、前記一般式(1)で表される化合物(例示化合物:1−20、融点:82℃)4.8質量部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASF ジャパン(株)製)0.6質量部を添加し室温にて均一に溶解した。
【0138】
【化23】
【0139】
前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(51質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.8質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0140】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6質量部にイオン交換水16.3質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.34質量部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.35μmであった。
【0141】
(カプラー乳化液(a−1)の調製)
酢酸エチル33.0質量部に下記カプラー化合物(C)9.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.0質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)4.3質量部、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.8質量部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.6質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2質量部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0142】
【化24】
【0143】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.9質量部にイオン交換水107.0質量部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節をおこなった。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
さらに前記カプラー乳化物100質量部に対してSBRラテックス(商品名:SN−307、48質量%溶液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調整したものを9質量部添加して均一に攪拌してカプラー乳化液(a−1)を得た。
【0144】
(イエロー感熱記録層用塗布液(a−1)の調製)
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)および前記カプラー乳化液(a−1)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2/1になるように混合してイエロー感熱記録層用塗布液(a−1)を得た。
【0145】
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)水溶液100.0質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5質量%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)2.86質量部、水酸化カルシウム0.5質量部、イオン交換水521.643質量部を混合し、50℃にて溶解して中間層作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0146】
前記中間層作製用ゼラチン水溶液10.0質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0質量%水溶液)0.05質量部、硼酸(4.0質量%水溶液)1.5質量部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)0.19質量部、下記化合物(J)の4質量%水溶液3.42質量部、下記化合物(J’)の4質量%水溶液1.13質量部、イオン交換水0.67質量部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0147】
【化25】
【0148】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製)
酢酸エチル71質量部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5質量部、2,5’−ジ(t−オクチル)ハイドロキノン5.0質量部、燐酸トリクレジル1.9質量部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)0.45質量部を溶解し均一に溶解した。前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)54.7質量部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液を得た。
【0149】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52質量部に30質量%燐酸水溶液8.9質量部、イオン交換水532.6質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06質量部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1質量部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48質量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416質量部、イオン交換水39.5質量部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0150】
(光透過率調整層用塗布液の調製)
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000質量部、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株)、5質量%水溶液)5.2質量部、4質量%水酸化ナトリウム水溶液7.75質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)73.39質量部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0151】
<保護層用塗布液の調製>
(保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製)
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160質量部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名:ネオスコアCM−57(54質量%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74質量部、イオン交換水3832質量部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0152】
(保護層用顔料分散液の調製)
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8質量部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40質量%水溶液),花王(株)製)0.2質量部、イオン交換水11.8質量部を混合し、ダイノミルにて分散した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
得られた分散液45.6質量部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20質量%水分散液、日産化学(株)製)8.1質量部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
【0153】
(保護層用マット剤分散液の調製)
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220質量部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81質量部、イオン交換水1976.19質量部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0154】
(保護層用塗布ブレンド液の調製)
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000質量部に前記フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,大日本インキ化学工業(株))(5質量%水溶液)40質量部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製2.0質量%水溶液)50質量部、前記保護層用顔料分散液49.87質量部、前記保護層用マット剤分散液16.65質量部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5質量%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0155】
<下塗り層つき支持体の作製>
(下塗り層用塗布液の調製)
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:1.5mPa・s(15mP)、PAGI法ゼリー強度:20g)40質量部をイオン交換水60質量部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8質量部と水92質量部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、体積平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5質量%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
【0156】
次いで、40℃の40質量%の前記下塗り層用ゼラチン水溶液100質量部に、水120質量部およびメタノール556質量部を加え、十分攪拌混合した後、5質量%前記雲母分散液208質量部を加えて、十分に攪拌混合し、1.66質量%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8質量部を加えた。そして液温を35℃〜40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤7.3質量部を加えて下塗り層用塗布液(5.7質量%)を調製した。
【0157】
(下塗り層つき支持体の作製)
LBPS50質量部およびLBPK50質量部からなる木材パルプをディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5質量部、アニオンポリアクリルアミド1.0質量部、硫酸アルミニウム1.0質量部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1質量部、カチオンポリアクリルアミド0.5質量部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造し、キャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0158】
前記原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面を「ウラ面」と呼ぶ)。次に、前記樹脂層を形成したウラ面とは反対側の面に溶融押出機を用いて、アナターゼ型二酸化チタン10質量%および微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmになるようにコーティングし、光沢面からなる樹脂層を形成した(この面を「オモテ面」と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名:アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名:スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2となるように塗布した。次に、オモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、前記下塗り層用塗布液を含有する雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0159】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記支持体の下塗り層表面に、下から、前記中間層用塗布液、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−1)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に4層同時に連続塗布し、30℃相対湿度30%、および40℃相対湿度30%の条件で連続に乾燥して感熱記録材料T−1を得た。
【0160】
この際前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−1)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で、0.08g/m2となるように、前記中間層層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で2.39g/m2となるように、前記光透過率調整層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で2.35g/m2となるように、前記保護層用塗布液の塗布量は固形分塗布量で1.39g/m2となるように塗布をおこなった。
【0161】
[実施例2]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:1−22(融点:55℃) 9.0質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料T−2を得た。
【0162】
[実施例3]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))を、下記ジアゾニウム塩化合物(B)(最大吸収波長λmax=425nm(メタノール溶液))に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料T−3を得た。
【0163】
【化26】
【0164】
[実施例4]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:4−6(融点:86℃)4.6質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料T−4を得た。
【0165】
[実施例5]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:5−1(融点:95℃)4.5質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料T−5を得た。
【0166】
[比較例1]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、下記化合物:r−1(常温で液体) 7.9質量部、及び例示化合物:5−1 1.6質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−1を得た。
【0167】
【化27】
【0168】
[比較例2]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))を、下記ジアゾニウム塩化合物(D)(最大吸収波長λmax=380nm(メタノール溶液))に、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:1−15 0.96質量部、及び前記化合物:r−1 7.7質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−2を得た。
【0169】
【化28】
【0170】
[比較例3]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))を、ジアゾニウム塩化合物(D)(最大吸収波長λmax=380nm(メタノール溶液))に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−3を得た。
【0171】
[比較例4]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、例示化合物:4−6 8.9質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−4を得た。
【0172】
[比較例5]
実施例1のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−1)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、下記化合物:r−2 7.5質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−5を得た。
【0173】
【化29】
【0174】
<<評価>>
前記の如くして得られた感熱記録材料T−1〜T−5および感熱記録材料R−1〜R−5を下記の方法によって評価した。
1.熱記録方法
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用いて記録エネルギーが23mJ/mm2 になるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決め、該感熱記録材料に印画して、イエローの画像を記録した。その記録材料を発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプ下に15秒照射した。
2.発色濃度
前記方法にて、熱記録された感熱記録材料の画像部の最大濃度部分及び未印画部分について、発色濃度を日本平板機材(株)製X−rite310TRを用いて測定した。
3.生保存性
記録前の感熱記録材料T−1〜T−5および感熱記録材料R−1〜R−5を温度60℃、相対湿度30%RHの条件下にて72時間強制保存した。その後、前記と同様に熱記録と発色濃度測定を行った。結果を表1に示す。尚、結果は最大濃度部分については強制保存前の濃度に対する強制保存後の濃度の比率を百分率で表した。また、未印画部分については強制保存前の濃度と強制保存後の濃度の差で表した。
【0175】
[実施例6]
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン、ニッビコレーゲン(株)製)32質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.914質量部、イオン交換水367.1質量部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0176】
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5質量部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.729質量部、水酸化カルシウム0.153質量部、イオン交換水143.6質量部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
【0177】
<イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−2)の調製)
酢酸エチル17.1質量部に、前記ジアゾニウム塩化合物(A)(最大吸収波長λmax=420nm(メタノール溶液))4.1質量部、前記一般式(1)で表される化合物(例示化合物:1−15、融点:75℃)4.8質量部、前記一般式(1)で表される化合物(例示化合物:1−20、融点:82℃)4.8質量部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASF ジャパン(株)製)0.6質量部を添加し室温にて均一に溶解した。
【0178】
前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(51質量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.8質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0179】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6質量部にイオン交換水16.3質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.34質量部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−2)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.35μmであった。
【0180】
(カプラー乳化液(a−2)の調製)
酢酸エチル33.0質量部に前記カプラー化合物(C)9.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.0質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)4.3質量部、4−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)13.8質量部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.6質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2質量部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0181】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.9質量部にイオン交換水107.0質量部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5質量%になるように濃度調節をおこなった。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
さらに前記カプラー乳化物100質量部に対してSBRラテックス(商品名:SN−307、48質量%溶液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5質量%に濃度調整したものを9質量部添加して均一に攪拌してカプラー乳化液(a−2)を得た。
【0182】
(イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)の調製)
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−2)および前記カプラー乳化液(a−2)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2/1になるように混合してイエロー感熱記録層用塗布液(a−2)を得た。
【0183】
<マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製>
(ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製)
酢酸エチル15.1質量部に、前記ジアゾニウム塩化合物(D)2.8質量部、フタル酸ジフェニル3.8質量部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名:ライトエステルTMP、共栄油脂化学(株)製)4.2質量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)0.1質量部添加し、加熱して均一に溶解した。
【0184】
前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50質量%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)2.5質量部、およびキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)6.8質量部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0185】
別途、前記フタル化ゼラチン溶液55.3質量部にイオン交換水21.0質量部を添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24質量部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1質量部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2質量部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0186】
(カプラー乳化液(b)の調製)
酢酸エチル36.9質量部に下記カプラー化合物(E)11.9質量部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0質量部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0質量部、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノール14質量部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン(三協化学(株)製)3.5質量部、下記化合物(G)3.5質量部、リン酸トリクレジル1.7質量部、マレイン酸ジエチル0.8質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.5質量部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0187】
【化30】
【0188】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3質量部にイオン交換水107.3質量部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5質量%になるように濃度調節をおこない、カプラー乳化物(b)を得た。得られたカプラー乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0189】
(マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の調製)
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)および前記カプラー乳化液(b)を、カプラー/ジアゾニウム塩化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5質量%)を前記マイクロカプセル液(b)量10部に対し、0.2部になるように混合し、マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0190】
<シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製>
(電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製)
酢酸エチル18.1質量部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6質量部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310、日本石油(株)製)8.0質量部、下記化合物(I)(商品名:Irgaperm2140、チバガイギー(株)製)8.0質量部を添加し、加熱して均一に溶解した。
【0191】
【化31】
【0192】
前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75質量%酢酸エチル溶液)、三井武田ケミカル(株)製)7.2質量部と、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業(株)製)5.3質量部とを添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0193】
別途、前記フタル化ゼラチン溶液28.8質量部にイオン交換水9.5質量部、Scraph AG−8(50質量%、日本精化(株)製)0.17質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)4.3質量部を混合添加し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50質量部、テトラエチレンペンタミン0.12質量部を加え均一化した後、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行いカプセル液の固形分濃度が33質量%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
さらに、前記マイクロカプセル液100質量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25質量%水溶液(商品名:ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7質量部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名:Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)を添加して均一に攪拌して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0194】
(電子受容性化合物分散液(c)の調製)
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3質量部にイオン交換水30.1質量部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15質量部、2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウムの2%水溶液3.8質量部を加えて、ボールミルにて一晩分散して分散液を得た。この分散液の固形分濃度は26.6質量%であった。
前記分散液100質量部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2質量部加え30分間攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5質量%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0195】
(シアン感熱記録層用塗布液(c)の調製)
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性無色染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、シアン感熱記録層用塗布液(c)を得た。
【0196】
実施例1と同様にして、中間層用塗布液、、光透過率調整層用塗布液、および保護層用塗布液を調製し、下塗り層つき支持体を作製した。
(下塗り層用塗布液の調製)
【0197】
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記支持体の下塗り層表面に、下から、前記シアン感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃相対湿度30%、および40℃相対湿度30%の条件で連続に乾燥して感熱記録材料T−6を得た。
【0198】
この際前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.08g/m2となるように、同様に前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は、液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に前記シアン感熱記録層用塗布液(c)液中に含まれる電子供与性無色染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布をおこなった。
また、前記中間層用塗布液は固形分塗布量が、前記イエロー感熱記録層用塗布液(a−2)と前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)の間は2.35g/m2、前記マゼンタ感熱記録層用塗布液(b)と前記シアン感熱記録層用塗布液(c)の間は3.34g/m2、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布をおこなった。
【0199】
[比較例6]
実施例6のジアゾニウム塩化合物内包カプセル液(a−2)の調製において、例示化合物:1−15 4.8質量部、及び例示化合物:1−20 4.8質量部を、前記化合物r−1 8.0質量部、及び例示化合物:5−1 1.5質量部に変更して用いた以外は、実施例1と同様にしてジアゾニウム塩化合物内包カプセル液を得た。このカプセル液を用いて実施例1と同様に塗布を行い、感熱記録材料R−6を得た。
【0200】
<<評価>>
前記の如くして得られた感熱記録材料T−6および感熱記録材料R−6を下記の方法によって評価した。
1.熱記録方法
京セラ株式会社製サーマルヘッド(KST型)を用いて記録エネルギーが23mJ/mm2 になるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決め、該感熱記録材料に印画して、イエローの画像を記録した。その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプ下に25秒照射した。続けて同じサーマルヘッドを用いて記録エネルギーが90mJ/mm2 になるようにサーマルヘッドに対する印加電圧、パルス幅を決め、該感熱記録材料に印画して、シアンの画像を記録した。
発色濃度および生保存性の評価は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0201】
【表1】
【0202】
表1の結果は、実施例1〜6に記載の本発明の感熱記録材料は、比較例の感熱記録材料に比べて、最大濃度部分および未印画部分ともに強制保存前後での濃度の変化が小さいことを示している。
【0203】
【発明の効果】
本発明は、ジアゾニウム塩化合物の生保存性を高め、発色濃度の低下を防止し、画像のコントラストを向上させた感熱記録材料を提供することができる。
Claims (9)
- 支持体上に、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーとを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料において、
不揮発性の下記一般式(1)で表される化合物がマイクロカプセルに内包され、
かつ、前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxが、400〜460nmの範囲にあることを特徴とする感熱記録材料。
- 前記マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物が、下記一般式(2)または/および一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記一般式(1)において、R1〜R6のうちの
(1)1個のみ
(2)隣接する2個
(3)メタ位に位置する2個
(4)1,2,4位に位置する3個
の何れかが−A−Arであることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録材料。 - 前記一般式(1)で表される化合物のマイクロカプセル中の含有率が、カプセルオイルに対して25質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の感熱記録材料。
- 前記一般式(1)で表される化合物の融点が、45℃以上120℃以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の感熱記録材料。
- 前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(4)で表される化合物および前記一般式(5)で表される化合物のうちのすくなくとも何れかが、融点が45℃以上120℃以下である化合物であることを特徴とする請求項6に記載の感熱記録材料。
- 更に、発色色相の異なる1層以上の感熱記録層を積層し、多色画像を形成することができることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の感熱記録材料。
- 前記マイクロカプセルが、ポリウレタンまたは/およびポリウレアからなることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の感熱記録材料。
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- 2002-09-20 JP JP2002275729A patent/JP2004106478A/ja active Pending
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