JP2004136476A - 成形体の製造法 - Google Patents

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Tomoyoshi Otaki
大瀧 智嘉
Koji Minami
南 幸治
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Abstract

【課題】抜き勾配の小さい筒状で、外観を損ねる傷がなく、意匠性に優れた、脂環構造含有重合体樹脂を含有する材料製の光反射板などの部材を製造するのに好適な成形体の製造法を提供する。
【解決手段】凹部を有する金型Aと凸部を有する金型Bとからなり、該凸部と凹部とで筒状キャビティーを形成でき、該凸部の表面のロックウェル硬度Cが40以上で且つ十点平均粗さが0.5〜2.5μmであり、抜き勾配が0〜5度である金型を用いて、脂環構造含有重合体樹脂を成形することによって、光反射部品などに好適な成形体を得る。
【選択図】なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面傷のない成形体、その表面に意匠層を設けた部材及び成形体の製造法、さらに詳細には、抜き勾配の小さい筒状で、外観を損なう傷がなく、意匠性に優れた、脂環構造含有重合体樹脂製の成形体、その表面に意匠層を設けた部材、及びその成形体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光反射部品等の部材製造では、鏡面仕上げした金型が用いられてきた。例えば、十点平均粗さ0.001〜0.5μmの金型で、ポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイドなどを射出成形する方法が知られている。さらに、金属被覆表面処理、非金属被覆表面処理、又はそれらの複合皮膜表面処理を施し、必要に応じて研磨して得られた十点平均粗さ0.001〜0.5μmの金型でポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイドなどを射出成形する方法(特開2002−225088号公報)などが知られている。金型の表面処理としては、硬質クロムメッキ処理、窒化クロム処理、窒化チタン処理、クロム酸処理などが知られている。これらの表面処理によってマイクロビッカース硬度を高くできることも知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−225088号公報
【特許文献2】
特開平11−291280号公報
【特許文献3】
特開平11−164887号公報
【特許文献4】
特開平8−84773号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、抜き勾配の小さい筒状で、外観を損なう傷がなく、意匠性に優れた、脂環構造含有重合体樹脂を含有する材料製の光反射部品等の部材を製造するのに好適な成形体の製造法を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するために、#14000の研磨材で表面を研磨し、十点平均粗さ0.5μm未満で、筒内面の抜き勾配が0〜5度である筒状キャビティーを有するクロムモリブデン鋼(SCM系)製金型を得、この金型で脂環構造含有重合体樹脂を射出成形した。ところがこの成形法によって得られた成形体には筋状の傷が多数発生することがわかった。
そこで、本発明者らは更に鋭意検討をした結果、凹部を有する金型Aと凸部を有する金型Bとからなり、該凸部と凹部とで筒状キャビティーを形成でき、該凸部の表面のロックウェル硬度Cが40以上で且つ十点平均粗さが0.5μm超2.5μm以下であり、抜き勾配が0〜5度である金型を用いて、脂環構造含有重合体樹脂を成形することによって、抜き勾配の小さい筒状で、傷のない、意匠性に優れた自動車ランプ用反射板などの部材が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、凹部を有する金型Aと凸部を有する金型Bとからなり、該凸部と凹部とで筒状キャビティーを形成でき、該凸部の表面のロックウェル硬度Cが40以上で且つ十点平均粗さが0.5μm超2.5μm以下であり、抜き勾配が0〜5度である金型を用いて、脂環構造含有重合体樹脂を成形することからなる、成形体の製造法が提供される。
また、本発明によれば、前記製法によって得られる成形体、該成形体の表面に意匠層を設けた部材が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる金型は、凹部を有する金型Aと凸部を有する金型Bとからなり、該凸部と凹部とで筒状キャビティーを形成できるものである。
例えば、図1に示すような金型形状をなしている。図1では凹部を有する金型1と凸部を有する金型2とによってキャビティー3、4、5及び6が形成される。キャビティー3及び4は図1紙面の奥側及び手前側で結合しており筒状をなしている。キャビティー5及び6は筒の縁から周辺部に向かって広がる曲面をなしている。キャビティー3及び4で形成される筒の内面、すなわち金型2の凸部は抜き勾配が0〜5度になっている。
【0007】
本発明に用いる金型Bの凸部表面は、そのロックウェル硬度Cが40以上、好ましくは50以上である。ロックウェル硬度が低くなると、金型そのものの傷(初期傷)が多くなり、また射出成形の回数が増すに従って筋状の傷が増えてくる。ロックウェル硬度CはJIS Z 2245で規定されるロックウェル硬度Cスケールである。
金型の硬度は、金型を形成する材料、表面処理などによって調整できる。材料としては、クロムモリブデン鋼、SCM析出硬化型鋼、ステンレス鋼(SUS420鋼)などが挙げられる。また表面処理としては窒化チタン処理、クロムメッキ処理、窒化クロム処理などが挙げられる。
【0008】
また本発明に用いる金型の凸部表面は、その十点平均粗さが0.5μm超2.5μm以下、好ましくは0.7〜2μmである。十点平均粗さが0.5μm以下のものは、射出成形の回数が増すに従って筋状の傷が増えてくる。逆に2.5μmを超えるものは初期傷が多くなる。十点平均粗さは、金型表面を例えば、研磨することによって調整できる。
【0009】
なお、本発明に用いる金型Aの凹部表面の硬度、表面粗さなどは特に制限されないが、凹部表面で形成される成形体の面に意匠性を求められる場合は、ロックウェル硬度Cが40以上、好ましくは50以上で、十点平均粗さが2.5μm以下、好ましくは2μm以下であるものが好適である。
【0010】
本発明に用いる脂環構造含有重合体樹脂は、主鎖及び/または側鎖に脂環構造を有する重合体である。機械的強度や耐熱性などの観点から、主鎖に脂環構造を含有する樹脂が好適である。脂環構造としては、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。また、脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋架け環などが挙げられる。脂環構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。また、本発明で使用される脂環構造含有重合体樹脂は、通常、熱可塑性のものである。
【0011】
脂環構造含有重合体樹脂は、通常、脂環構造を有するオレフィン(以下、脂環式オレフィンということがある。)由来の繰り返し単位を含有する。脂環構造含有重合体樹脂中における脂環式オレフィン由来の繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。脂環式オレフィン由来の繰り返し単位の割合が過度に少ないと、耐熱性に劣り好ましくない。脂環式オレフィン由来の繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
【0012】
また、脂環構造含有重合体樹脂は、極性基を有するものであってもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物残基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基又はカルボン酸無水物残基が好適である。
【0013】
脂環構造含有重合体樹脂は、通常、脂環式オレフィンを付加重合又は開環重合し、そして必要に応じて不飽和結合部分を水素化することによって、或いは芳香族オレフィンを付加重合し、そして該重合体の芳香環部分を水素化することによって得られる。また、極性基を有する脂環構造含有重合体樹脂は、例えば、前記脂環構造含有重合体樹脂に極性基を有する化合物を変性反応により導入することによって、あるいは極性基を含有する単量体を共重合成分として共重合することによって得られる。
【0014】
脂環構造含有重合体樹脂を得るために使用される脂環式オレフィンとしては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110、13.02、7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3、4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4、7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これら環状オレフィンには置換基として極性基を有していてもよい。
芳香族オレフィンとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
脂環式オレフィン及び/又は芳香族オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
脂環式オレフィン又は芳香族オレフィンと共重合可能な単量体を必要に応じて付加共重合させることができる。その具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
脂環式オレフィン又は/及び芳香族オレフィンの重合は公知の方法に従って行うことができる。
重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kgf/cmの重合圧力で重合させる。水素化反応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行う。
【0017】
脂環構造含有重合体樹脂の具体例としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物(エチレンや、α−オレフィンなど)との付加重合体、単環シクロアルケンの重合体、脂環式共役ジエン系単量体の重合体、ビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素化物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物(=エチレンやα−オレフィンなど)との付加重合体、芳香族オレフィン重合体の芳香環水素化物が好ましく、特にノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物が好ましい。
前記の脂環構造含有重合体樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
脂環構造含有重合体樹脂は、その分子量によって特に制限されない。脂環構造含有重合体樹脂の分子量は、シクロヘキサンまたはトルエンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜250,000の範囲である。脂環構造含有重合体樹脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあるときには、耐熱性、接着性、表面平滑性などがバランスされ好適である。
【0019】
脂環構造含有重合体樹脂の分子量分布は、シクロヘキサンまたはトルエンを溶媒とするGPCで測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、通常5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
【0020】
脂環構造含有重合体樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは70℃以上、より好ましくは120℃以上、最も好ましくは140℃以上である。
【0021】
本発明に用いる脂環構造含有重合体樹脂には、必要に応じて、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などを適宜配合することができる。
【0022】
着色剤としては特に制限はないが、例えば、モノアゾ、ジアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、ハンザイエロー、スレンイエロー、パーマネントイエロー、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、ニッケルチタンイエロー、アンチモン黄等の黄色系着色剤;キナクドリンレッド、クリスタルバイオレッド、パーマネントレッド、弁殻、朱、カドミウムレッド、クロムパーミリオン等の赤色系着色剤;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、インダスレンブルー、群青、紺青、コバルトブルー等の青色系着色剤;アニリンブラック、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の黒色系着色剤;二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色系着色剤;等が挙げられる。これらのうち、カーボンブラックが好適である。着色剤の配合量は特に制限されず、脂環構造含有重合体樹脂100重量部に対して、通常0.001〜1部である。
【0023】
また、意匠性に優れた成形体を形成するために、酸化防止剤を配合することが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
【0024】
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
【0025】
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
【0026】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル 3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ [5,5] ウンデカンなどが挙げられる。
【0027】
これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、脂環構造含有重合体樹脂100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0028】
本発明の成形体は、前記製造法によって得られるものである。この成形体は外観を損なう傷がなく、高い光反射率を有し、さらに形状や色などの経時変化による光反射率の低下が少なく、意匠性に優れている。
本発明の成形体は、その表面の十点平均粗さが通常、2.5μm以下、好ましくは2μm以下である。十点平均粗さの下限は通常0.5μm、好ましくは0.7μmである。本発明の成形体は、筒状部分を有するものが好ましく、特に筒状部分の内面が上記十点平均粗さの範囲にある成形体が好ましい。さらに筒状部分の抜き角度が0〜5度であるものが好ましい。
【0029】
本発明の部材は、前記成形体の表面に意匠層を設けたものである。意匠層は、成形体の外観に美感や質感を与えるための層である。例えば、着色層、光反射層、艶消し層などがある。本発明部材では筒状部分を有する成形体に意匠層を設けたものが好ましく、特に筒状部分の内面に意匠層を設けたものが好ましい。
意匠層は、鍍金、蒸着、スパッタなどによって金属や金属化合物を表面に積層する方法;塗料などを塗布する方法;及びその他の積層法によって設けることができる。本発明の部材において好適な意匠層は、蒸着によって積層させたアルミ層である。
【0030】
【発明の効果】
本発明の製造法によって、抜き勾配の小さい筒状で、外観を損なう傷がなく、意匠性に優れた、脂環構造含有重合体樹脂製の成形体が効率的に得られる。この成形体に光反射層などの意匠層を設けることによって、四輪自動車ランプ用、二輪自動車ランプ用、室内照明器具用の光反射板や、自動車ランプの縁部分などに美感を与えるための板(=エクステンションリフレクター)などの部材に好適に用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、「部」は特に断りがない限り「重量部」である。
【0032】
製造例1
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、テトラシクロ〔7.4.110,13.01,9.02,7〕−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、以下、MTFという)60部、テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0 〕−ドデカ−3−エン(以下、TCDという)40部及び六塩化タングステン0.7%トルエン溶液40部を2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
【0033】
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により50kg/cmに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、開環重合体水素化ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。重合体中の各ノルボルネン類の共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、MTF/TCD=60/40ほぼ仕込み組成に等しかった。このMTF/TCD開環重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は32,000、水素添加率は99.9%、Tgは約160℃であった。
【0034】
実施例1
製造例1で得られたMTF/TCD開環共重合体水素添加物92.5部、カーボンブラック1.5部、及びフェノール系酸化防止剤6部を2軸混練機(日本プラコム製、スクリュー径47mm、L/D=30、スクリュー回転数210rpm、樹脂温度260℃、フィードレート45kg/時間)で混練して押し出し、ペレット化した。
このペレット5部と製造例1で得られたペレット状のMTF/TCD開環共重合体水素添加物95部とを2軸混練機(日本プラコム製、スクリュー径47mm、L/D=30、スクリュー回転数210rpm、樹脂温度260℃、フィードレート45kg/時間)で混練して押し出し、ペレット化し、140℃、4時間で加熱予備乾燥を行った。
予備乾燥したペレットを、射出成形装置(株式会社ソディック製の製品番号:TR100EH)に投入し、樹脂温度:290℃、金型温度105℃で、900回射出成形した。成形金型は、クロムメッキ処理されたクロムモリブデン鋼製であり、底開口部内径が50mm、上開口部内径45mm、高さ52mm(抜き勾配=2.75度)の筒状成形品を得るためのキャビティーを有し、#3000のアルミナ研磨材で十点平均粗さ1.72μmに研磨されている。ロックウェル硬度は69であった。
初回の射出成形品をプロジェクターランプ照明下に目視観察し傷付き状態を調べ、観察された傷を初期傷とした。次に射出成形100回目毎に筒状成形体表面をプロジェクターランプ照明下に目視観察し傷付き状態を調べた。初期傷以外の外観を損ねる傷が見つかったときの回数(900回目でも傷が見つからなかった場合は∞と表記)を記録した。
その結果を表1に示す。
【0035】
実施例2
実施例1で用いた成形金型を、ステンレス鋼製で、底開口部内径が50mm、上開口部内径45mm、高さ52mm(抜き勾配=2.75度)の筒状成形品を得るためのキャビティーを有し、十点平均粗さ1.33μmに研磨され、ロックウェル硬度が53の金型に取り替えた他は実施例1と同様にして筒状成形体を得た。評価結果を表1に示す。
【0036】
比較例1
実施例1で用いた成形金型を、クロムモリブデン鋼製で、底開口部内径が50mm、上開口部内径45mm、高さ52mm(抜き勾配=2.75度)の筒状成形品を得るためのキャビティーを有し、#14000のアルミナ研磨材で十点平均粗さ0.21μmに研磨され、ロックウェル硬度が33の金型に取り替えた他は実施例1と同様にして筒状成形体を得た。評価結果を表1に示す。
【0037】
比較例2
実施例2で用いたMTF/TCD開環共重合体水素添加物を、ポリカーボネート樹脂(GEプラスチック社製、レキサンLS−2)に替えた他は実施例2と同様にして筒状成形体を得た。評価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004136476
【0039】
注)*初期傷の状態
○:目視観察で外観を損ねる傷が10個未満
△:目視観察で外観を損ねる傷が10個以上30個未満
×:目視観察で外観を損ねる傷が30個以上
【0040】
表1の結果から、金型凸部の表面硬度が高く、十点平均粗さが0.5〜2.5μmの金型を用いて、脂環構造含有重合体樹脂を成形することによって、外観を損なう傷の少ない、意匠性に優れた成形体が得られることがわかる。
一方、表面を十分に研磨して十点平均粗さを小さくしたものは、外観を損なう傷ができやすいことがわかる。また、高い硬度の金型を用いても、ポリカーボネート樹脂で成形したものも外観を損なう傷ができやすく意匠性に優れた成形体の製造が困難なことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造法に用いる金型の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・凹部を有する金型A
2・・凸部を有する金型B
3、4・・筒状のキャビティ−
5、6・・キャビティ−

Claims (6)

  1. 凹部を有する金型Aと凸部を有する金型Bとからなり、該凸部と凹部とで筒状キャビティーを形成でき、
    該凸部の表面のロックウェル硬度Cが40以上で且つ十点平均粗さが0.5μm超2.5μm以下であり、抜き勾配が0〜5度である金型を用いて、脂環構造含有重合体樹脂を成形することからなる、成形体の製造法。
  2. 前記凸部表面が、窒化チタン処理、クロムメッキ処理又は窒化クロム処理と、研磨処理とを施されたものである請求項1記載の成形体の製造法。
  3. 脂環構造含有重合体樹脂が、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、又は芳香族ビニル単量体の付加重合体の核水素化物である、請求項1又は2記載の成形体の製造法。
  4. 脂環構造含有重合体樹脂が酸化防止剤及びカーボンブラックを含有させたものである請求項1又は2記載の成形体の製造法。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の製造法によって得られる成形体。
  6. 請求項5記載の成形体の表面に意匠層を設けた部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008112977A (ja) * 2006-10-06 2008-05-15 Hitachi Chem Co Ltd タブレット成形金型、ならびにタブレット、光半導体素子搭載用基板の製造方法および光半導体装置。
JP2013132394A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Polyplastics Co プレフィルドシリンジ用外筒の製造方法、及び射出成形用金型の製造方法
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