JP2004136134A - 歯列矯正用支持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 上下顎大臼歯の近遠心移動や圧下等の3次元的コントロールを任意に行うことができ、植立及び撤去が容易であって、術後感染や除去時の粘膜損傷の恐れが少なく、痛みや違和感を最小限に抑えることができる歯科矯正用支持体を提供する。
【解決手段】 歯科矯正用支持体が、全体的にT字型のプレートで形成されており、顎骨(1)に固定する固定部(11)と、口腔内に露出する露出部(13)と、固定部(11)と露出部(13)の間に位置し可動粘膜(2)を貫通する可動粘膜貫通部(12)とを備えている。複数のネジ止め用穴(14)が固定部(11)に形成されている。矯正力を与えるバネやゴム(19)を係止するための2連以上の鉤状のフック(15)が露出部(13)に外向きに突き出る形で形成されている。
【選択図】 図1

Description

 この発明は、歯科矯正用支持体に関するものである。
 歯科矯正治療は様々な方法で行われているが、歯を移動させるためには、移動力を加えるための付勢手段と、それを固定保持するための支点(固定源)が必要である。
 付勢手段としては、例えばゴムや板バネ等が用いられている。特許文献1を参照。
 また、固定源としては、大臼歯を用いることが多かった。しかし、その場合には、前歯部や小臼歯の移動は行えるが、大臼歯自体を移動することは極めて困難であった。
 固定源を口腔外(顎外)に求める方法も実施されている。例えば、頭部にヘッドギアを付けたり、首にネックバンドを装着して固定源するのである。しかし、このような方法では、顎外に固定装置が配置されるため、治療の成果が患者の協力度に左右される。また、何らかの外的要因によって固定装置が外れることもあった。
米国特許4,988,292
 前述のような不具合を解消するため、骨内インプラントを応用して、インプラント体を固定源とする方法も行われている。
 インプラント法は、骨内にインプラント体を植立し、骨としっかり固着させた後で、その口腔内露出部を固定源とする方法である。
 しかし、インプラント法では、ネジ状または棒状のインプラント体を直接骨に植え込んだ後で、インプラント体が骨にしっかりと固着されるまで、治療を待たねばならなかった。
 また、従来のインプラント体では、痛みや違和感を伴うことがあり、除去時に粘膜を傷付ける恐れもあった。
 さらに、固定源として、形成外科の骨接合用として用いられるミニプレートを転用する方法もある。しかしながら、形成外科用のミニプレートは、口腔内露出を考慮して作られていないため、全てネジ穴が連絡したデザインになっていて、フック部が無いため、取扱いが面倒であった。
 このような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、上下顎大臼歯の近遠心移動や圧下等の3次元的コントロールを任意に行うことができ、植立及び撤去が容易であって、術後感染や除去時の粘膜損傷の恐れが少なく、痛みや違和感を最小限に抑えることができる歯科矯正用支持体を提供することを目的としている。
 本願発明は、全体的にT字型のプレートで形成されており、顎骨(1)に固定する固定部(11)と、口腔内に露出する露出部(13)と、固定部(11)と露出部(13)の間に位置し可動粘膜(2)を貫通する可動粘膜貫通部(12)とを備え、複数のネジ止め用穴(14)が固定部(11)に形成されており、矯正力を与えるバネやゴム(19)を係止する係止部として機能する2連以上の鉤状のフック(15)が露出部(13)に外向きに突き出る形で形成されていることを特徴とする歯科矯正用支持体を要旨としている。
 本発明の歯科矯正用支持体によれば、上下顎大臼歯の3次元的コントロールを任意に行うことができ、術後感染や除去時の粘膜損傷の恐れが少なく、痛みや違和感を最小限に抑えることができる。
 バネやゴムを係止するための複数の連続した係止部として2連以上のフックを露出部に設けると、係止に使用しないフックの一部を除去することができ、それにより、フックの所望の位置から移動力を掛けることが可能となり、かつ、不要のフックを容易にカットすることが可能となる。それゆえ、機能的マイナス無しに必要なフックのみを残すことが可能である。
発明を実施するための形態
 複数のネジ止め用穴を有するネジ止めプレートで固定部を形成し、その骨接触面に粗面加工を施すことができる。
 矯正力を与えるバネやゴムを係止するための複数の連続した係止部を露出部に設け、係止部の不用の部分を除去できる構成にすると良い。
 一連のフックによって係止部を構成することができる。
 本発明の支持体の材質としては、生体に対して害の少ない材料例えばチタン、チタン合金、ステンレス合金などが好ましい。
 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
 図1は本発明の歯科矯正用支持体の1つの実施例を示す平面図とその固定部の断面図である。
 歯科矯正用支持体10は全体的にT字型のプレートであり、顎骨に固定するための固定部11と、口腔内に露出する露出部13と、固定部11と露出部13の間に位置し可動粘膜を貫通する可動粘膜貫通部12とを備えている。
 支持体10は、例えばチタンやチタン合金で形成することができる。
 支持体10は、治療に際して、固定部11と可動粘膜貫通部12の間で適宜折り曲げて用いられる。
 固定部11は3つのネジ止め用穴14を有している。各穴14は、ネジの頭部に適合するように円錐状になっている。図1の(B)と(C)に示すように、ネジ止め用穴14の向きは2種類あって、治療時のフックの向きと折り曲げ方向に応じて選択する。
 固定部11の骨接触面16、すなわちネジ止め用穴14の小径側の面16は、サンドブラストによって粗面加工されている。反対側の可動粘膜接触面には、鏡面加工を施しても良い。
 露出部13は口腔内に露出する部分であり、矯正力を与えるバネやゴム等を係止するための連続した係止部15を備えている。係止部15は3連の鉤状のフックとして形成されている。
 固定部11と露出部13の間の可動粘膜貫通部12の表面は、表面粗さの最大高さが0.1μm以下の鏡面になっている。
 次に、図2と図3を参照して、本発明の歯科矯正用支持体を用いた治療例を説明する。
 この治療例は、大臼歯3と小臼歯4を遠心移動させる症例である。
 大臼歯3の頬側の顎骨の所定位置に、支持体10が3本のネジ17により固定されている。
 固定部11の骨接触面16は粗面加工されており、また3本のネジ17で固定するため、固定を確実かつ容易に行うことができる。
 支持体10の固定位置は、牽引力の支点として係止部15が最適な位置にくるように選定する。その際、ネジ17が神経を避けるように配置することも重要である。
 支持体10は、固定部11と可動粘膜貫通部12の間で所定の角度に曲げて用いられている。この症例では、大体直角に曲げられている。
 大臼歯3と小臼歯4にはブラケットまたはボタン18が固定されている。そして、ボタン18と支持体10の2段目の係止部15の間にはゴムまたは樹脂チェーン19が掛けられ、適当な矯正力が得られるようになっている。
 3段あった係止部15のうち1番上の係止部15は除去されている。除去はプライヤー等で容易に行うことができる。
  支持体10の可動粘膜貫通部12は、鏡面加工されているので、患者の痛みを最低限に抑えることができる。また、支持体10の除去も容易となり、除去時に可動粘膜を傷つけることがない。
 なお、本発明は前述の実施例に限定されない。例えば、係止部として機能するフックは3個に限らず、2個または4個以上であっても良い。
本発明の1つの実施例を示しており、(A)はその平面図、(B)と(C)はネジ止めプレートの断面図。 本発明の歯科矯正用支持体を用いた症例を示す概略図。 同じく本発明の歯科矯正用支持体を用いた症例を別の角度から見た断面図。
符号の説明
1   顎骨
2   可動粘膜
3   大臼歯
10  歯科矯正用支持体
11  固定部
12  可動粘膜貫通部
13  露出部
14  ネジ止め用穴
15  係止部
16  骨接触面

Claims (1)

  1.  全体的にT字型のプレートで形成されており、
     顎骨(1)に固定する固定部(11)と、口腔内に露出する露出部(13)と、固定部(11)と露出部(13)の間に位置し可動粘膜(2)を貫通する可動粘膜貫通部(12)とを備え、
     複数のネジ止め用穴(14)が固定部(11)に形成されており、
     矯正力を与えるバネやゴム(19)を係止する係止部として機能する2連以上の鉤状のフック(15)が露出部(13)に外向きに突き出る形で形成されていることを特徴とする歯科矯正用支持体。

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