JP2004135684A - FlavobacteriumHeparinum由来のヘパリナーゼI、II、およびIIIの精製、組成、および特異性 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 F. heparinum由来の3種のヘパリンリアーゼすべてを同時に精製して、明らかに均質にする単一の、再現性のあるスキームが、本明細書で記述される。このヘパリンリアーゼの速度論的性質が示され、そしてこれらの活性および安定性を最適化する条件も示される。この3種のヘパリンリアーゼに対するモノクローナル抗体もまた、記載され、そしてこれらは、これらのヘパリナーゼの検出、単離、および特徴づけのために有用である。
Description
本発明は、一般にFlavobacterium Heparinum由来のヘパリナーゼI、II、およびIIIの精製と特徴づけならびにそれらに対する抗体に関する。
Flavobacterium heparinumの生物学的に純粋な培養物中の Flavobacterium heparinum細胞を溶解する工程、
細胞溶解物から細胞残渣および核酸を除去する工程、
ヘパリナーゼI、II、およびIIIをヒドロキシルアパタイトへ吸着させる工程、
非ヘパリナーゼI、II、およびIIIタンパク質をQAE樹脂へ吸着させる工程、
QAE樹脂に結合しないヘパリナーゼI、II、およびIIIを回収する工程、
ヘパリナーゼI、II、およびIIIを、HPLCによって、ヒドロキシルアパタイトカラム上で分離する工程、
ヒドロキシルアパタイトカラム上で分離されたヘパリナーゼI、II、およびIIIを回収する工程、
分離されたヘパリナーゼをカチオン交換FPLCによって精製する工程、
カチオン交換FPLCによって分離されたヘパリナーゼI、II、およびIIIを回収する工程、
分離されたヘパリナーゼをゲルパーミエーションHPLCによって精製する工程、および
ゲルパーミエーションHPLCによって分離されたヘパリナーゼI、II、およびIIIを回収する工程
を包含する方法である。
F. heparinumからの3つの全てのヘパリンリアーゼを同時に、明らかに均質で、混入するリアーゼがないように精製する単一の再現可能な手法を、本明細書中で開示する。ヘパリンリアーゼI(ヘパリナーゼ、EC 4.2.2.7)、ヘパリンリアーゼII(EC番号なし)、およびヘパリンリアーゼIII(ヘパリチナーゼ、EC 4.2.2.8)は、分子量(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動による)および等電点(等電点電気泳動による)がそれぞれMr 42,800、pI 9.1−9.2, Mr 70,800、pI 9.9−10.1を有す。それらのアミノ酸分析およびペプチドマップは、これらのタンパク質はそれぞれ、異なった遺伝子産物であるが非常に関連していることを例証した。ヘパリンリアーゼの反応速度論的特性が決定され、活性および安定性の最適条件も同様に決定された。
I.ヘパリナーゼI、II、およびIIIの精製および特徴づけ
F. heparinum由来の3種のヘパリンリアーゼすべてを同時に精製して、明らかに均質(homogeneity)にする単一の、再現性のあるスキームが、本明細書で記述される。
(材料)
酵素アッセイおよび吸光度測定は、ShimadzuのUV 160分光光度計にFisher Scientific Isotamp model 9100冷却循環水浴(refrigerated circulating water bath)を接続して測定した。発酵は、Applikonの2リットルの撹拌タンク発酵器中で行った。遠心分離は、Du PontのGSAローターを用いてSorval RC−5冷却遠心分離で行った。HPLCは、LDC Milton−Roy Constametric IIIGポンプ、Rheodyne 7125インジェクター、Jule直線グラジエント形成装置(Linear Gradient Former)、および280nmフィルターを有するISCO UA−5型吸光度モニターを使用して行った。1×5cmガードカラムと直列に接続したヒドロキシルアパタイトHPLCカラム(1×30cm)はRegisから入手し、Mono−S FPLCカラムはPharmacia LKB Biotechnology Inc.から入手し、C18カラムはVydacから入手し、そしてBio−SilゲルパーミエーションHPLCカラムはBio−Radから入手した。キャピラリーゾーン電気泳動システムおよびシリカキャピラリーはDionexから入手した。Mini−Protein II電気泳動チャンバー、1405型水平電気泳動セル、および1420B型電源はBio−Radから入手した。チューブゲル電気泳動装置はE−C Apparatus Corp.から入手した。プレキャストアガロースIEFゲルはIso−labsから入手し、そして既染色分子量マーカーおよびRapid CoomassieTM染料はDiversified Biotechから入手した。Bio−Gel HT ヒドロキシルアパタイトはBio−radから入手し、そしてQAE−セファデックスはSigmaから入手した。圧力濾過ユニット、および25mmおよび43mmのPM−10フィルターはAmiconから入手した。ヘパリン(ブタ粘膜ナトリウム塩)はCelsusから入手し、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、およびコンドロイチン硫酸A、C、D、およびEはSeikagakuから入手した。ウシ血清アルブミン、ラクトース、プロタミン(遊離塩基)、ブロモフェノールブルー、ナフトールレッド、シトクロムc(ウシ心臓型VA)、ヒアルロン酸、CAPS、ビス−Tris、HEPES、TES、ジチオトレイトール、MOPS、メルカプトエタノール、ヨードアセトアミド、およびトリプシンはSigmaから入手した。タンパク質アッセイのためのクーマシー試薬はBio−Radから入手した。試薬に使用したすべての水は脱イオン化し、ガラス中で蒸留した。
分光光度計は、特定のリアーゼをアッセイする最適温度に調節した。400μgの基質を含む50mMリン酸ナトリウムバッファー(ヘパリンリアーゼIのための塩化ナトリウム100mMを含む)を700μlの石英マイクロキュベットで熱平衡化した。所定量のリアーゼを加え、最終容量を400μlとし、そしてこのキュベットを穏やかに撹拌した。このマイクロキュベットを、すぐに分光光度計に戻し、そして232nmにおける吸光度を3分にわたってで10秒間隔で測定した。生成物の吸光係数3800M−1を用いて、吸光度/単位時間の変化から活性を測定した。次に、1分間当たりに生成した生成物のマイクロモルをキュベット中のタンパク質のミリグラムで割って、比活性を算出した。ヘパリン、ヘパラン硫酸、およびコンドロイチン硫酸の分子量として用いたのは、それぞれ14,000、20,000、および25,000である(Rice, K.G., およびLinhardt, R.J.(1989) Carbohydr. Res. 190, 219−233)。タンパク質濃度はBradfordアッセイ(Bradford, M.M.(1976) Anal. Biochem. 72, 248−254)によって、ウシ血清アルブミン標準曲線に基づき測定した。
F.heparinum(Payza,A.N.,およびKorn, E.D.(1956) Nature 177, 88−89)(ATCC 13,125)を−70℃で、ジメチルスルホキシド(Me2SO)を含有する定義された培地中に保存した(Zimmermann, J.J., Oddie, K., Langer, R., およびCooney, C.L.(1991) Appl. Biochem. Biotech. 30, 137−148)。この微生物を 、2リットルの撹拌タンク発酵器中で、ヘパリンを唯一の炭素源として、Galliher, P.M., Cooney, C.L., Langer, R.S., およびLinhardt, R.J.(1981) Appl. Environ. Microbiol.41, 360−365の方法によって定義された培地中で増殖させた。5リットルの発酵ブロスから、4℃で15分間、12,000×gの遠心分離によって、80gの湿細胞ペレットが得られた。このペレットを、pH7.0で4℃の10mMリン酸ナトリウムバッファー500ml中に懸濁した。細胞懸濁液(1回に20ml)を50mlのステンレススチールカップに入れ、そして冷却しながら10分間、100ワットで、40%パルスモードで超音波処理した。破壊された細胞を4℃で30分間、12,500×gで遠心分離して、そしてペレットを捨てた。超音波処理および遠心分離によって得られた上清500mlはタンパク質16.3mg/mlを含んでいた。プロタミンを含まない塩基(2.0g)を10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)20ml中に溶解し、そして上清500ml中に撹拌しながら滴下した。10,000×g、4℃で20分間の遠心分離によって沈澱したDNAを除去し、そして上清510mlを得た。
(バッチのヒドロキシルアパタイト吸着および脱離)
15.6mg/mlのタンパク質を含有する上清510mlを凍結せずに直接使用し、250mlのポリプロピレン製遠心分離容器4個に等量づつ分けて、氷浴中に置いた。乾燥ヒドロキシルアパタイト(HA)(20g)を各容器に加え、穏やかに撹拌し、1000×g、4℃で2分間の遠心分離によって軽く凝縮し、そして上清をこのHAマトリックスからデカントした。次いでHA結合タンパク質を、リン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウム濃度を上昇させたバッファー中に再懸濁させ、そして遠心分離によって再び凝縮した。上清をマトリックスから再びデカントし、そして酵素活性およびタンパク質濃度についてアッセイした。HAマトリックスを洗浄するために使用したバッファーは、pH6.8の10mMリン酸ナトリウムバッファーと、500mM塩化ナトリウムを含むpH6.8の250mMリン酸ナトリウムバッファーとを4℃において、6:0、5:1、4:2、3:3、2:4、および0:6(v/v)比で混合することによって調製した。タンパク質上清溶液を分子量カットオフが14,000の透析チューブに入れ、4℃で終夜、pH7.0の50mMのリン酸ナトリウムバッファーに対して透析した。
バッチHAによって精製されたリアーゼ活性を、凍結せずに、ただちに使用した。エチル4級アンモニウム(QAE)−セファデックスクロマトグラフィー工程は4℃で行った。ヘパリンに対する活性が89%を超え、そしてヘパラン硫酸に対する活性が88%を超えるHA精製画分3バッチ(4:2、3:3、および2:4)(総容量1.5リットル)を合わせて(1.81mg/mlタンパク質、およびヘパリンに対して1.72単位/mlおよびヘパラン硫酸に対して2.16単位/ml)、そして600mLのQAE−セファデックスを含む3本のカラム(2.5×20cm)に等量かけた。このQAE−セファデックスカラムはあらかじめ、50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0、4℃)で平衡化しておいた。次に、各カラムを1カラム容量の50mMリン酸バッファー(pH7.0、4℃)で洗浄した。相互作用することなくカラムを通過した、リアーゼ活性を含む画分を集め、そして合わせた。次に、この2.6リットルの溶出液を、43mmのPM−10膜(カットオフ分子量10,000)を使用し、Amicon圧力濾過によって、60psi、4℃で、63ml(タンパク質8.23mg/mlを含有する)まで濃縮した。
QAE−セファデックス精製し、そして濃縮した溶液63mlを5mlのアリコート12個に分け、そして必要になるまで−70℃で保存した。5mlの試料1個(タンパク質43mg)を冷凍庫から取り出し、室温で解凍し、そして5mlループを使用してHAのHPLCカラムにインジェクトした。このHA−HPLCカラムは50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)で平衡化しておいた。試料をロードした後、カラムを50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)を用いて、0.5ml/分で20分間洗浄した。カラムを溶出するために、50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)から、750mM塩化ナトリウムを含有する50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)までの直線グラジエント60mlを使用した。溶出は280nmで連続的にモニターした。グラジエントが完了した後、1M塩化ナトリウムを含有する50mMリン酸ナトリウム)(pH7.0)5.0mlでカラムを洗浄し、強く結合したタンパク質を除去し、そして次に50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)で再平衡化した。この分画工程を、残りの11個のアリコートについて繰り返した。12画分それぞれからのヘパリンリアーゼI、ヘパリンリアーゼII、およびヘパリンリアーゼIIIに対応する画分をプールし、50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)20容量に対して12時間、4℃で透析し、そしてPM−10膜を装備したAmicon圧力濾過を使用して、60psi、4℃で濃縮した。この3種のリアーゼ調製物を各々1mlのアリコートに分け、そして−70℃で凍結した。
HA−HPLCから単離された、濃縮されたヘパリンリアーゼI調製物およびヘパリンリアーゼIII調製物を−70℃の冷凍庫から取り出し、室温で解凍し、そして50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)で平衡化したMono−S FPLC HR 5/5カチオン交換カラムにかけた。1.75mgのタンパク質を含有する、各リアーゼ調製物の一部(350μl)をインジェクトし、そして50mMリン酸ナトリウムバッファー(H7.0)によって、1ml/分で5分間、カラムを洗浄し、相互作用しないタンパク質を溶出した。50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)から500mM塩化ナトリウムを含有する50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)までの直線グラジエントを使用し、そして溶出を280nmでモニターした。活性なヘパリンリアーゼI画分およびヘパリンリアーゼIII画分を4℃で、200mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)に対して12時間、透析し、そしてPM−10膜(カットオフ分子量10,000)を用いたAmicon圧力濾過を使用して濃縮した。
Mono−S FPLCから得られたヘパリンリアーゼIおよびIII調製物、およびHA−HPLCから得られたヘパリンリアーゼII調製物を、200mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)で平衡化しておいたBio−Silゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)HPLCカラム(1×25cm)にかけた。各リアーゼをインジェクトし(ヘパリンリアーゼIおよびIIIの場合、タンパク質800μgを含有する試料250μl;ヘパリンリアーゼIIの場合タンパク質1.5mgを含有する試料200μl)、流速1ml/分で溶出し、そして280nmにおける吸光度を測定した。ヘパリンリアーゼI〜IIIについて、この分離を5回繰り返した。活性画分を一緒にプールし、そしてリアーゼ活性およびタンパク質濃度をアッセイした。各ヘパリンリアーゼを50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)に対して透析し、60psi、4℃で、25mmのPM−10膜(分子量カットオフ10,000)によって圧力濾過することにより濃縮し、そしてさらに10μlのアリコートに分けて、−70℃で保存した。
(電気泳動による純度の評価)
Laemmli, U.K.(1970) nature 227,680−685に記載された操作を少し変えて、3種のヘパリンリアーゼについて非連続的なSDS−PAGEを行った(図4)。ゲルを12%(w/v)トリクロロ酢酸で固定し、脱イオン蒸留水ですすぎ、そしてRapid Coomassie染料溶液によって染色し、そして脱色した。
逆相(RP)HPLC(HP−1090 Hewitt Packard, CA)はVydac C18カラムを用いた(Sasisekharan, R. (1991) 博士論文、Flavobacterium heparinumからのヘパリナーゼのクローニングおよび生化学的特徴づけ、Harvard University)。精製された各酵素1nmolをRP−HPLCカラムにインジェクトし、そして0.1〜1のTFA、H2O中の0〜80%アセトニトリルのグラジエントで、120分間溶出した。これらの溶出プロファイルを210nmおよび280nmでモニターした。酵素のピークを単離してアミノ酸の組成分析を行い、そしてペプチドマッピングのためにトリプシンで消化した。
RP−HPLC精製された各酵素1ナノモルを、400mM炭酸アンモニウムおよび5mMジチオトレイトールを含有する8M尿素50μl中、50℃で変性した(Sasisekharan, R. (1991)博士論文)。室温まで冷却した後、このタンパク質を、10mMヨードアセトアミドで、15分間、暗所でアルキル化した。全反応容量は200μlであった。各リアーゼ溶液にトリプシン(4%、w/w)を添加し、そしてこのタンパク質を37℃で24時間、消化した。タンパク質分解は、65℃で2分間加熱することによって停止させた。各消化により形成されたペプチドは完全に可溶であり、そしてこれをRP−HPLCカラムにインジェクトし、そして0〜80%アセトニトリルのグラジエントで120分間、溶出した。トリプシンによる(tryptic)ペプチドマップを280nmでモニターした。
アミノ酸の組成分析をマサチューセッツ工科大学のバイオポリマー研究所(Massachusetts Institute of TechnologyのBiopolymers Laboratories)において、Applied Biosystems 420/130型Derivatizer/Amino Acid Analyzerで、フェニルイソチオシアネートによるプレカラム誘導体化化学反応を用いて行った。試料の気相加水分解をWaters Pico Tag Hydrolysis Workstationを用いて行った。プレカラム誘導体化において、遊離のアミノ酸がフェニルイソチオシアネートと結合し、フェニルチオカルバミルアミノ酸を形成し、これは逆相カラムから溶出されると254nmで検出される。加水分解は、6N塩酸、0.1%フェノールを用いて、155℃で1時間、または100℃で22時間のいずれかで行った。タンパク質が完全に加水分解され、アミノ酸残基の分解が最小であることを確実にするために、36時間または48時間の加水分解時間もまた、試験した。N−末端分析は1nmolのヘパリンリアーゼI〜IIIで行った。
コハク酸(4.0〜6.5)、ビス−トリスプロパン(BTP)−HCl(6.5〜9.0)、および、Tris−HClおよびリン酸ナトリウムの両方(6.0〜7.5)を用いて、各リアーゼに対して最適な活性のpHを得た。ヘパリンリアーゼI〜IIIアッセイ溶液を、精製されたリアーゼの試料10μl(タンパク質濃度2〜3mg/ml)をリン酸ナトリウムバッファー(50mM、pH7.0)で希釈することによって作成し、そしてアッセイのために必要になるまで氷上に置いた。次に、各リアーゼの活性(Iはヘパリンに対して作用、IIはヘパリンとヘパラン硫酸の両方に対して作用、そしてIIIはヘパラン硫酸に対して作用)を異なるpH値において求めた。
各ヘパリンリアーゼに対して最適な活性を与えるバッファーは、先の実験で算出された最適pHの近傍での緩衝能についてバッファーをテストすることによって選択した。これらのバッファーは:Tris−HCl、リン酸ナトリウム、HEPES、MOPS、TES、およびBTP−HClである。各バッファーは50mMで調製し、そしてそのpHは塩酸または水酸化ナトリウムで、ヘパリンに作用するヘパリンリアーゼIIについては6.9、ヘパリンリアーゼIについては7.15、ヘパラン硫酸に作用するヘパリンリアーゼIIについては7.3、およびヘパリンリアーゼIIIについては7.6に調製した。ヘパリンリアーゼアッセイ溶液は、酵素を、上記の適切なpHに調節した50mMリン酸ナトリウムバッファー中で希釈することによって作成した。ヘパリンリアーゼ活性を、各バッファーについて求めた。各バッファーの添加直後およびそれに続く24時間、37℃のインキュベーションの後の両方で、活性をアッセイした。
BTP−HClバッファー(50mM)を、10mM塩化カルシウム、10μMまたは1mMの塩化銅(II)、10μMまたは1mMの塩化水銀(II)、および1mM塩化亜鉛(II)のいずれかを含有するように調製した。各溶液を、リアーゼをテストするための最適pHに調節し、そしてヘパリンリアーゼの活性を、2価金属の存在下または非存在下で測定した。
最適活性のための温度を、各ヘパリンリアーゼについて、それらの最適pHにおいて、リン酸ナトリウムバッファー(ヘパリンリアーゼIアッセイバッファーは100mMの塩化ナトリウムを含有する)中で、15℃から55℃の間5°づつ温度上昇させて求めた。温度は温度調節分光光度計中で調節し、そして10分間、平衡化してからアッセイを開始した。
リアーゼアッセイのストック溶液を適切なバッファー中で調製し、そして以下の温度で水浴中に置いた:ヘパリンリアーゼIは30℃、ヘパリンリアーゼIIは35℃、そしてヘパリンリアーゼIIIは35℃および40℃。種々の時間間隔(1〜22時間)をおいて、アリコートを一部取り出して、残存する酵素活性を測定した。
上記の最適化された条件を用いて、ミカエリス−メンテン定数を求めた。トータルのポリマー分解の最終吸光度を20で割って、反応が5%完了したことを表す値を求めた。精製されたリアーゼ調製物を希釈して、トータルのポリマー分解の5%が、わずか3分間のアッセイの終わりには達成されるようにした。各リアーゼおよびその基質についての特定のモル濃度における反応速度を、Perella,F.W.((1988) Anal. Biochem. 174, 437−447)のEZ−FIT双曲線カーブフィッティングプログラムを用いて速度論的に分析した。基質溶液は、50mg/mlヘパリンおよび40mg/mlのヘパラン硫酸ストック溶液から調製した。これらの定数は、ヘパリンリアーゼIについては、30℃で、100mM塩化ナトリウムを含有する50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.15)で、そしてヘパリンリアーゼIIについては35℃で、ヘパリン対してはpH7.3の50mMリン酸ナトリウムバッファーで、そしてヘパラン硫酸に対してはpH6.9の50mMリン酸ナトリウムバッファーで、そしてヘパリンリアーゼIIIについては35℃で50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.6)で求めた。
各ヘパリンリアーゼを、複合多糖類溶液(1mg/ml)に、最適化されたアッセイ条件下で添加し、反応を232nmで30分間モニターした。使用した精製されたリアーゼの量は、ヘパリンまたはヘパラン硫酸基質を30分以内に完全に分解するのに充分であった。各多糖類の分解の初期速度を測定し、次いで、この反応を24時間続け、そして多糖類の分解の最終レベルを、232nmにおける最終吸光度を測定し、そして活性パーセントで表現することによって評価した。
凍結解凍および凍結乾燥に対するヘパリンリアーゼの安定性を、2種の賦形剤、すなわち2mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)、および0.5wt%のラクトースを用いて研究した。各リアーゼを、50mMリン酸ナトリウムバッファー、2mg/mlのBSAを含有する50mMリン酸ナトリウムバッファー、または0.5%のラクトースを含有する50mMリン酸ナトリウムバッファーのいずれかに、濃度1〜3単位/mlで溶解した。これらのリアーゼ溶液を3つの等量のアリコートに分け、そして各々のうち1つを、凍結解凍、凍結乾燥、または対照として氷浴中に保持のいずれかで保存した。ヘパリンリアーゼI〜IIIの活性を賦形剤の存在下または非存在下で、以下の後に求めた:1)4℃で短期間貯蔵;2)−70℃で凍結し、そして解凍;および3)−70℃で凍結し、凍結乾燥し、そして等量の冷水で再構成。
超音波処理による、最適化されたF.heparinumの細胞溶解は、遊離した酵素が失活しない40%パルスモードを用いて100ワットで10分間で達成された。プロタミンによる沈澱によって、全活性および比活性の両方を42倍増加し、タンパク質濃度は減少しなかった。これはヘパリンリアーゼを競争的に阻害し得る多価アニオン性核酸の除去によるものと思われる。バッチのHA精製工程は、タンパク質濃度、およびヘパリン/ヘパラン硫酸代謝に関連する他の夾雑物の活性を大幅に減少させるが、3種のヘパリンリアーゼ活性を分離しない。QAE−セファデックスを使用して混入した酸性タンパク質を除去する。HA−HPLCは、3種のリアーゼ活性を分離する。図1に示すように、塩化ナトリウムの直線グラジエントを用いて、ヘパリンリアーゼI〜IIIを、それぞれ塩化ナトリウムが330mM、555mM、および435mMのところで溶出させる。コンドロイチン/デルマタン硫酸リアーゼもまたこの細菌中に見いだされるが、これらはグラジエントの最後、ヘパリンリアーゼIIのすぐ後でHA−HPLCカラムから溶出される。この手法によって、タンパク質濃度を低減しながら全ヘパリンリアーゼ活性が良好に回収される。図2に示すように、ヘパリンリアーゼIおよびIIIを、カチオン交換FPLCによって、さらに精製した。ヘパリンリアーゼIは、活性を良好に保持しながら回収され、そしてタンパク質濃度は大幅に減少した。ヘパリンリアーゼIIIの比活性は、Mono−S FPLCを使用しても改良されず、全活性の実質的な減少が示された。しかし、SDS−PAGE分析によって、この工程の後、ヘパリンリアーゼIIIの純度の向上が明らかになった。ヘパリンリアーゼIIはMono−S FPLCによって精製されなかった。なぜならカラムと結合しないからである。図3に示すように、最終精製工程において、ヘパリンリアーゼI〜IIIはGPCを用いて分画された。
3種のヘパリンリアーゼの物理的、速度論的、および安定性の性質を研究した。非連続SDS−PAGE(Laemmli, U.K.(1970))によって、この3種のヘパリンリアーゼが明らかに均質であることが例証された。ヘパリンリアーゼI〜IIIの分子量は、それぞれ42,800、84,100、および70,800と推定された。β−メルカプトエタノールを用いない非還元SDS−PAGEは、同様のバンドパターンを明らかにし、これはサブユニットが存在しないことを示唆する。3種のヘパリンリアーゼの等電点を求め、そしてその純度を評価するために、IEFを使用した。種々のpHグラジエント(pH3〜10、7〜10、および8.5〜10.5)を用いたIEFは、3種のリアーゼについての正確なpI値を与えなかった。3種のリアーゼがそれぞれ、カソードに非常に近い位置に移動したからである。次に、pHグラジエントが9〜11のアガロースゲルを用い、シトクロムc標準(pI=10.25)のバンドの下の3つのタンパク質をフォーカシングした。ヘパリンリアーゼI〜IIIについて測定されたpI値は、それぞれ、9.1〜9.2、8.9〜9.1、そして9.9〜10.1であった。Panyim, S., およびChalkley, R.(1969)の方法を用いたチューブゲル中での尿素−酢酸PAGEによって、3種のヘパリンリアーゼの均質性が確認された。各ヘパリンリアーゼのキャピラリーゾーンエレクトロフェログラム(electropherograms)(Lauer, H.H., およびMcManigill, D.(1986)) は、単一の対称なピークを与える。ヘパリンリアーゼI〜IIIは、それぞれ、移動時間12.7分、12.4分、および13.4分であった。
3種のヘパリンリアーゼの各々についての最適な反応条件を、一連の実験によって求めた。最初に試験したパラメータは最適pHであった。ヘパリンリアーゼIおよびIIについてはヘパリン濃度2.5mg/ml、およびヘパリンリアーゼIIおよびIIIについてはヘパラン硫酸濃度1.0mg/mlが、刊行されている値(14、26)および予備実験に基づいて十分であることが示された。反応温度37℃は、最初に、文献に報告されている値の平均値として選択した(Linhardt, R.J., Turnbull, J.E., Wang, H.M., Loganathan, D., およびGallagher, J.T.(1990); Silva, M.E., Dietrich, C.P., およびNader, H.B. (1976); Yang, V.C., Linhardt, R.J., Berstein, H., Cooney, C.L.,およびLanger, R. (1985))。この温度は、その後、各リアーゼについての最適値が決定した後で修正した。
ミカエリス−メンテン定数は、最適反応条件を用いて、10%未満が消費される各基質濃度における反応速度を計算するために設計された実験によって求めた(表III)。
ヘパリンリアーゼの最適な貯蔵条件の研究が必要であった。なぜならこれらの酵素の不安定性を例示する文献が多いからである。賦形剤の非存在下において、1回の凍結−解凍および凍結−乾燥の後、4℃で貯蔵されたヘパリンリアーゼIは、それぞれ、50、45、および25%の活性を保持していた。2.0mg/mlのBSAの添加によって貯蔵安定性が向上し、その結果85%を超える活性が保持され、同様に、5%のラクトースの添加によって活性が40〜80%保持された。ヘパリンリアーゼIIは、すべての貯蔵条件下で75%を超える活性を保持し、そしてBSAまたはラクトースの添加によって、追加される安定性はわずかであった。ヘパリンリアーゼIIIは凍結−解凍および凍結乾燥に対して、非常に不安定である。ヘパリンリアーゼIIIは、40℃での短期間の保存ではその活性のほとんどを保持するが、凍結−解凍または凍結−乾燥では70〜80%を失う。BSAの存在によって活性は20〜25%回復するが、ラクトースを添加するとヘパリンリアーゼIIIは不安定となる。
ヘパリンリアーゼIをマウスに注射し、そしてそのBリンパ球を使用して、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを形成した。3種の各ヘパリンリアーゼに対するモノクローナル抗体(mAb)の特異性を試験した。
(抗体産生のためのヘパリンリアーゼの調製)
上記のように、ヘパリンリアーゼI、II、およびIIIをFlavobacterium heparinumから単離し、そして均質に精製した。ヘパリンリアーゼ濃度は、Bio−Radタンパク質アッセイキット(Richmond, CA, U.S.A.)を使用して測定した。
6つのモノクローナル抗体(mAb)を調製した。簡単に述べると、精製されたヘパリンリアーゼIを、70日間にわたって3回、マウスに注射した。マウスの脾臓を取り出し、そして脾臓細胞混合物からリンパ球を単離した。このリンパ球をマウス骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマを生成した。このハイブリドーマを培養し、そしてヘパリンリアーゼIに対する抗体の産生についてスクリーニングした。ヘパリンリアーゼIに対するmAbを産生することが見いだされた6つのハイブリドーマをM−1A、M2−B7、M2−A9、M−32、M−33、およびM−34と命名した。mAb溶液のタンパク質濃度を、Pierce(Rockford,IL,U.S.A.)のBCAタンパク質アッセイ試薬を使用して、測定した。
ニトロセルロース膜、ヤギ抗マウスIgG(H+L)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体、トリス{ヒドトキシメチル}アミノメタン(Tris)、ゼラチン、Tween−20、およびHRP発色試薬(Color Development Reagent)(4−クロロ−1−ナフトール)は、Bio−Rad(Richmond,CA,U.S.A)から購入した。Tris緩衝生理食塩水(TBS)は、塩化ナトリウム500mMを含有する20mMTris(pH7.5)であった。ブロッキング溶液はTBS中に3.0%ゼラチンを含んでいた。TBSで希釈したTween−20洗浄溶液(TTBS)は、TBS中に0.05%のTween−20を含んでいた。抗体バッファーはTBS中に1%のゼラチンを含んでいた。HRP発色溶液は、使用の直前に、HRP発色試薬60mgを0℃のメタノール100mL中に、0.015%H2O2のTBS溶液とともに混合することによって作成した。
ドットブロッティングイムノアッセイ法を、Bio−Radイムノブロットアッセイプロトコル(Bio−Rad, Richmond, CA, U.S.A.)で推奨された方法で、行った。簡単に述べると、ニトロセルロース膜を2×3cmの小片にカットし、そしてこの膜上に1×1cmの四角形を、軟らかい鉛筆を用いて描いた。この膜をTBS中に15分間浸漬し、そして濾紙上で15分間、風乾した。種々の濃度のヘパリンリアーゼ(TBS中1μL)を各四角形の中央に置き、そしてこの膜を15分間風乾し、次に、この膜をブロッキング溶液中に1時間浸漬し、残りの疎水性部分を被覆した。これをTTBS中で4回洗浄し(2回すばやくすすぎ、次に5分間の撹拌を2回)、次に、0.2%(v/v)mAbを含む抗体バッファー溶液中に終夜浸漬し、次に、この膜をTTBSで4回洗浄し、そしてヤギ抗マウスHRP溶液(抗体バッファー中0.1%)に加え、4時間、穏やかに撹拌した。この膜をTTBSで4回洗浄し、次に、TBSで2回洗浄した。HRP発色溶液をこの膜に添加し、そして紫色のバンドが明確に可視化したとき、膜を蒸留水中に置いて発色を停止した。次にこの膜を濾紙上で15分間乾燥し、そしてアルミニウム箔で覆って光から保護した。
(材料)
電気泳動は、Bio−Rad(Richmond, Ca, U.S.A.)のMini−Protean II電気泳動セルを使用して行った。アクリルアミドおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミドは、International Biotechnologies Inc. (New Haven, CT, U.S.A.)から入手したものか、あるいは調製した40%アクリルアミド溶液(37.5(アクリルアミド):1(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)(Fischer Scientific, Fairlawn, NJ. U.S.A.))である。トリス{ヒドロキシメチル}アミノメタン(Tris)はBio−Rad(Richmond, CA, U.S.A.)から入手した。N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)はBoehinger Mannheim Biochemicals(Indianapolis, IN, U.S.A.)から入手した。過硫酸アンモニウム(APS)および氷酢酸は、Mallinckrodt Inc. (Pads, KY, U.S.A.)から入手した。尿素およびグリセロールはFisher Scientific (Fair Lawn, NJ, U.S.A.)から入手した。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)はBDH Chemicals Ltd.(Poole, England)から入手した。ナフトールレッドはSigma Chemical Co. (St. Louis, MO, U.S.A.)から入手した。2−β−メルカプトエタノールはEM Science (Gibbstown, NJ, U.S.A.)から入手した。ブロモフェノールブルーはMCB Manufacturing Chemists, Inc. (Cincinnati, OH, U.S.A.)から入手した。分子量標準およびRapid Coomassie染料はDiversified Biotech (Newton Centre, MA, S.S.A.)から入手した。
ヘパリンリアーゼI、II、IIIおよびFlavobacterium heparinum細胞ホモジネートを上記のように、SDS−PAGEを用いて分析した。上記のように、蒸留水4.35mL、1.5MTris(pH8.8)2.5mL、および市販の、37.5(アクリルアミド):1(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)調製溶液(Fischer Scientific, Fairlawn, NJ, U.S.A.)3.0mLを混合して、分離ゲル(12%アクリルアミド、10%SDS)を調製した。この溶液を真空下で少なくとも15分間、脱気した。次に、APS50μL(10%)およびTEMED5μLをモニター溶液に添加して、重合を開始した。このゲル溶液を、0.75mmのスペーサーで隔てられた2枚のガラス板の間にすばやく流し込み、γ−ブタノールで飽和した蒸留水で重層し、25℃で60分間、重合させた。
いくつかの実験においては、尿素/酢酸PAGEシステム(panyim, S.,およびChalkley, R.(1969) 「ヒストンの高分解能アクリルアミドゲル電気泳動」Arch. Biochem. Blophys. 130, 337−346)を、SDS−PAGEのかわりに使用して、ウェスタンブロットにおいてmAbがヘパリンリアーゼを検出する能力に対するSDSの影響を比較した。尿素/酢酸PAGEの調製に使用するストック溶液は、60%アクリルアミド溶液を、アクリルアミド60g、およびN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.4gを蒸留水100mLに溶解することによって、調製した。43.2%酢酸/TEMEDストック溶液を、酢酸43.2mL、TEMED4.0mL、および蒸留水52.8mLを混合することによって、調製した。APS/尿素を、APS5Mgを10M尿素25mL中に溶解することによって調製した。
半乾燥トランスブロッティング(transblotting)を、Hoefer Scientific Instruments (San Francisco, CA, U.S.A.)のSemiPhor Transfer Unit (Te−70)を使用しておこなった。SDS−PAGEまたは尿素/酢酸PAGEからニトロセルロース膜へのヘパリンリアーゼのエレクトロトランスファーは、Al−Hakim, A., およびLinhardt, R.J. (1990) 「半乾燥エレクトロトランスファーによる、ポリアクリルアミドゲルからの酸性オリゴ糖の単離および回収」Electrophoresis 11, 23−28に記載された半乾燥トランスブロッティング法を用いて行ったが、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)を転写バッファーとして使用したことが異なる。転写は、8V、40分間で完了した。
ニトロセルロース膜上のヘパリナーゼを、ドットブロッティングイムノアッセイ操作に関する上記記載と同じようにウェスタンブロッティング法を用いて検出した。
mAb M−32およびM−33によるヘパリンリアーゼの免疫検出に対するSDSおよび2−β−メルカプトエタノールの影響について試験した。ヘパリンリアーゼIおよびIIのドットブロッティングイムノアッセイは、ヘパリンリアーゼを、SDSおよび/または2−β−メルカプトエタノールを含有する溶液中に、SDS−PAGE分析で使用したのと同じ割合で、ニトロセルロース膜上にブロッティングする前に溶解したこと以外は、前述と同様に行った。
6種の各mAbの、3種のヘパリンリアーゼに対する反応性を試験した。種々の量の3種の各ヘパリンリアーゼをニトロセルロース膜上にスポットし、そして抗ヘパリンリアーゼmAbを用いて検出した、次いで、ヤギ抗マウスIGG−HRPおよびこの免疫結合体の発色剤を添加した。表Vに、イムノアッセイ操作で検出された各ヘパリンリアーゼの最低濃度をまとめる。表Vからわかるように、mAbは、3種のヘパリンリアーゼの免疫検出に対して広範囲の感受性を有する。例えば、M2−A9およびM2−B7は、10pgほどの少量のヘパリンリアーゼIIを検出し得、他方M−32、M−33、およびM−34は、ヘパリンリアーゼIIIを検出するためには1μgのヘパリンリアーゼIIIの存在を必要とする。
3種のヘパリンリアーゼおよびFlavobacterium heparinum細胞ホモジネート試料をSDS−PAGEとそれに続くウェスタンブロット免疫検出によって分析した(図5aに示す)。図5bは、クーマシーブルーと分子量マーカーで染色された3種のヘパリンリアーゼの典型的なSDS−PAGEゲルを含む。mAbがヘパリンリアーゼを検出する能力を、3種のヘパリンリアーゼおよびFlavobacterium heparinum細胞ホモジネートを6つのSDS−PAGEゲルを通して泳動し、次いでこのゲルの内容物をウェスタンブロット免疫検出によって試験した。ヘパリンリアーゼI(18ng)、ヘパリンリアーゼII(570ng)、ヘパリンリアーゼIII(1.63μg)、および細胞ホモジネート(87ng)を、各ゲルにロードした。M−34、M1−A、M2−A9、およびM2−B7を含むニトロセルロース膜上での検出のために用いた発色時間は、それぞれ20、10、15および40分間であった。4種のmAb(M−34、M−1A、M2−A9、およびM2−B7)が、精製されたヘパリンリアーゼI、II、およびIIIと、Flavobacterium heparinum細胞ホモジネート中に存在するヘパリンリアーゼを検出することができた。2種のmAb(M−32およびM−33)は、精製されたヘパリンリアーゼまたは細胞タンパク質のいずれをも、ウェスタンブロットで検出できなかった。
従って、mAbを使用したヘパリンリアーゼの検出は、本明細書中で記載されるドットブロッティング法を用いることによって、最も効果的に行われる。さらに、6種すべてのmAbが、Flavobacterium heparinum細胞ホモジネート中に存在する3種すべてのリアーゼを検出可能であり、従って、これらのmAbを使用して、細胞ホモジネート中のヘパリンリアーゼの存在を迅速に示し得る可能性が与えられる。リアーゼ精製に便利なように、これらのmAbは、最初に固定化され、そしてヘパリンリアーゼに対するこれらの結合活性が評価される。抗体を固定化するための方法および材料は市販されており、そして当業者に公知である。
Claims (14)
- 精製されたヘパリナーゼIIIであって、Flavobacterium heparinum中で発現され、ヘパリナーゼIII活性以外のリアーゼ活性がなく、分子量70,800であり、ヘパリン硫酸を切断し、そして最適pHが9.9〜10.1である、ヘパリナーゼIII。
- ヘパリン硫酸を切断しない、請求項1に記載のヘパリナーゼIII。
- アルブミンで安定化される、請求項1に記載のヘパリナーゼIII。
- Flavobacterium heparinumの生物学的に純粋な培養物由来のパリナーゼIおよびIIから請求項1に記載の精製されたタンパク質を精製する方法であって、
Flavobacterium heparinumの生物学的に純粋な培養物中のFlavobacterium heparinum細胞を溶解する工程、
該細胞溶解物から細胞残渣および核酸を除去する工程、
ヘパリナーゼI、II、およびIIIをヒドロキシルアパタイトへ吸着させる工程、
非ヘパリナーゼI、II、およびIIIタンパク質をQAE樹脂へ吸着させる工程、
該QAE樹脂に結合しない該ヘパリナーゼI、II、およびIIIを回収する工程、
ヘパリナーゼI、II、およびIIIを、HPLCによって、ヒドロキシルアパタイトカラム上で分離する工程、
該ヒドロキシルアパタイトカラム上で分離された該ヘパリナーゼI、II、およびIIIを回収する工程、
分離された該ヘパリナーゼをカチオン交換FPLCによって精製する工程、
該カチオン交換FPLCによって分離された該ヘパリナーゼI、II、およびIIIを回収する工程、
分離された該ヘパリナーゼをゲルパーミエーションHPLCによって精製する工程、および
ゲルパーミエーションHPLCによって分離された該ヘパリナーゼI、II、およびIIIを回収する工程
を包含する、方法。 - 前記核酸がプロタミンによる沈澱によって除去される、請求項4に記載の方法。
- 前記ヘパリナーゼが、ヒドロキシルアパタイトカラム上で塩グラジエントによる溶出によって分離される、請求項4に記載の方法。
- 前記ヘパリナーゼが、塩濃度を増加させるグラジエントによってカチオン交換カラムから溶出される、請求項4に記載の方法。
- 前記ヘパリナーゼが、グラジエントまたは塩濃度の増加によってカチオン交換カラムから溶出される、請求項4に記載の方法。
- 請求項1に記載のヘパリナーゼIIIに対して特異的に反応するモノクローナル抗体。
- ヘパリナーゼを検出する方法であって、ヘパリナーゼ活性を有する試料を、請求項9に記載の抗体と反応させる工程、および該反応の程度を決定する工程を包含する、方法。
- 前記試料がFlavobacterium heparinum由来である、請求項10に記載の方法。
- 前記抗体とヘパリナーゼとの反応性がイムノブロッティングによって決定される、請求項10に記載の方法。
- ヘパリン硫酸を切断する方法であって、該ヘパリン硫酸を、請求項1に記載の精製されたヘパリナーゼIIIと反応させる工程を包含する、方法。
- 前記ヘパリンが、細胞または組織の細胞外マトリックスである、請求項13に記載の方法。
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