JP2004135377A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転電気において、ステータに対する鎖交磁束を減少させる。
【解決手段】ステータコアと前記ステータコアに設けられたステータ巻線とを有するステータ5と、前記ステータに対して回転可能であり、複数の永久磁石9a、9bを有するロータと、を備えた回転電機において、少なくとも一つの永久磁石を前記ロータに対して回転させる駆動機構10を備えており、前記複数の永久磁石は、円柱形の形状と該永久磁石の中心軸方向に略垂直な磁化方向を有する。前記ロータに対して回転する前記少なくとも一つの永久磁石の磁化方向が該回転に伴って変化する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロータに永久磁石を備える回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ロータに永久磁石を埋め込んだ電動機において、ロータの回転数に応じてロータを軸方向に移動させることで、ステータへの鎖交磁束を減少させて高速回転時の誘起電力を抑えるものがある(例えば、特許文献1参照)。従来技術では、ロータ本体と共に回転するウエイト(錘)を設け、ロータの回転によりウエイトに遠心力を生じさせる。さらに、ウエイトに働く遠心力を利用してウエイトとワイアで連結したロータ本体が軸方向に移動する。高速回転時に誘起電圧を抑えることで、電流を少なくすることが可能となり、効率が良くなる。また、出力を若干増加することが可能となる。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−300712号公報(第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術において、非常に大きな重量のロータを動かす機構が必要である。また、この機構のための大きな動力源を提供することは容易でなく、機構の寸法も大きくなる。
【0005】
本発明は、ステータへの鎖交磁束を減少させて高速回転時の誘起電力を抑える簡便な装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ステータコアと前記ステータコアに設けられたステータ巻線とを有するステータと、前記ステータに対して回転可能であり、複数の永久磁石を有するロータと、を備えた回転電機において、前記複数の永久磁石は、円柱形の形状と該永久磁石の中心軸方向に略垂直な磁化方向を有し、かつ前記ロータの回転軸に略平行に配列され、少なくとも一つの永久磁石を該永久磁石の中心軸のまわりで前記ロータに対して回転させる駆動機構を備え、前記ロータに対して回転する前記少なくとも一つの永久磁石の磁化方向が該回転に伴って変化することを特徴とする。
【0007】
【作用・効果】
本発明によれば、円柱形状の永久磁石の磁化方向をステータに対して回転させることができる。このため、ステータに対する鎖交磁束を簡便に増減することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態は電動機に対して説明される。
【0009】
図1は、本発明の第一実施形態に係る電動機の軸方向の断面側面図を示す。図2は、本発明の第一実施形態に係るロータの軸方向に垂直な断面を示しており、図1のII−II線に沿った断面である。
【0010】
図1と図2を参照すると電動機は、回転軸1と、回転軸1の周りに配置されて取り付けられるロータ3、ロータ3の周りに配置されるステータ5、ステータ5を収容するケース7を備えている。ロータ3とステータ5は、それぞれ軸方向に延びる円筒形状をしており、さらにロータ3とステータ5の間にはエアギャップと呼ばれる隙間が存在し互いに接触することはない。ステータ5のステータコア6には、巻線11が施され、巻線11に流れる交流電流により発生する回転磁場が永久磁石9に反力を及ぼし、ロータ3は回転軸1とともに回転する。
【0011】
ロータ3の外周面付近には、複数の円柱形の永久磁石9が回転軸1に略平行に、かつ回転軸1の軸心に対して略同一円周上に埋め込まれている。ここで、円柱形状とは、外形が円柱形であればよく内部が空洞である円筒形状であってもよい。ケース7は、ステータ5に接してこれを固定する円筒板7aと円筒板7aの軸方向両端の開口をふさぐ側板7b、7cからなる。回転軸1の両端は、ベアリング16を介してケース7の側板7b、7cに支持され、ステータ5及びケース7に対して回転可能である。ケース7の一方の側板の外側表面には、回転軸1の回転速度(単位時間あたりの回転数)を検出する回転センサ12が取り付けられている。
【0012】
電動機は、円柱形の永久磁石9をその中心軸4の周りで回転させる磁石駆動機構10をさらに備えている。従って、円柱形の永久磁石9は、ロータと共に回転軸1の周りで公転するとともに、自身の中心軸4の周りで自転(傾転)することになる。なお、図示できないが、円柱形の永久磁石9がスムーズに回転するために、ロータ3の軸孔3aとこれに挿入される永久磁石9の間に若干の隙間が設けられている。永久磁石9の磁化の方向(着磁方向)20は、その中心軸4の方向に対して略直角であり、さらに回転軸1の方向にも直角であり、永久磁石9の傾転に伴って、永久磁石9の磁化の方向20も傾転する。なお、磁化の方向20は図2において矢印で示されている。
【0013】
図2のように、隣り合う二つの永久磁石9aと永久磁石9bは磁石対8を形成し、磁石対8が一つの磁極(S又はN極)を構成する。隣接する磁極が互いに相違するように、磁石対8はロータ3の円周方向に所定間隔(例えば45°)毎に配置されている。ここで、ある磁石対8に属する二つの永久磁石9a、9b間の距離は、隣り合う磁石対8、8’の距離に比較してかなり小さくなっており、磁石対8は一つの磁石とみなすことができる。さらに、すべての永久磁石9a、9bは、ロータ中心軸13からのロータ半径方向の距離が略同一に配置されているので、二つの永久磁石9aと永久磁石9bがそれに対して面対称に配置されているようなロータの直径方向に延びる中心面14が定義される。
【0014】
なお、二つの永久磁石9aと永久磁石9bを対にして配置し一つの磁極を構成せずに、通常どおり一つの磁石で一つの磁極を構成することももちろん可能である。また、三つ以上の磁石で一つの磁極を構成することもできる。
【0015】
ここで、永久磁石9のロータ3に対する回転の程度を示す「傾転角(回転角)」θを定義しておく。傾転角θの基準を二つの永久磁石9aと永久磁石9bの間で直径方向に延びる中心面14の方向にとり、永久磁石9aと永久磁石9bの傾転角θは、磁化方向と中心面14との間の角度で定義する。すなわち、永久磁石の磁化の方向が、中心面14と平行の場合、傾転角θをゼロにとり、直角の場合、傾転角θを90°にとる。
【0016】
図3は、本発明の第一実施形態に係る電動機のロータに埋め込まれる円柱形磁石を示す図である。図3に示す通り、永久磁石9の一方側には磁石端部ギア15が取り付けられている。他方の端には、磁石支持板17が、円柱形状をなすように磁石に巻かれるように取り付けられている。磁石端部ギア15と磁石端部ギア15の軸部18と磁石支持板17とにより、永久磁石9はロータ3に対して回転可能に支持されている。なお、ロータ3には、磁石端部ギア15の軸部18に適合する穴(図示せず)が設けられ軸部18を軸支する。
【0017】
次に、図1に加えて図4と図5を参照して、磁石駆動機構10について詳細に説明する。
【0018】
磁石駆動機構10は、ロータ3の回転軸1の内部に設けられた油路27を通って伝えられる油圧により作動する油圧アクチェータ19から構成される。油圧アクチュエータ19は、油圧に応じて伸縮するラック21(棒ギア)と、ラック21に係合するピニオン23(円形ギア)を具備している。ピニオン23は、ロータ3に軸支され、ロータ3に対して回転可能である。また、ラック21の先端は、ロータ3に結合した弾性体としてのバネ29と繋がっているので、油圧に略比例する距離だけラック21を移動することもできる。この場合には、傾転角も油圧にほぼ比例することになる。
【0019】
ラック21は、回転軸1の軸心つまりロータ中心軸13から放射状に半径方向に延び、かつ互いに均等な角度間隔で配置される。さらに、ラック21は、磁石対8の中間に位置するように、ロータ3に形成された摺動溝22(摺動孔)に沿って半径方向に移動可能となっている。また、バネ29は摺動溝22の端面とラック21の端部に結合され、摺動溝22内に配置されている。
【0020】
ラック21の伸縮によりピニオン23が回転し、ピニオン23に係合する磁石端部ギア15も回転する。本実施形態では、ラック21の両側面に歯を設けることにより、一つのラック21でラック21の両側面に設けた二つのピニオン23を駆動する。油圧の増加によりラック21が伸びると、二つのピニオン23が互いに逆向きに回転し、さらに磁石対8を形成する二つの永久磁石9aと永久磁石9bがそれぞれ係合するピニオンと反対方向に傾転(回転)する。
【0021】
このように、油圧を用いた直線方向すなわち軸方向のラック21の位置変化を、ギアを用いて回転方向の変化に変換することで、ロータ3の回転に影響なく、永久磁石9の磁化の方向をロータ3に対して相対的に変化させることが可能となる。
【0022】
通常どおり一つの磁石で一つの磁極を構成する場合には、永久磁石9a、9bの一方を削除すればよく、ラック21の片面のみに歯を設ける構成にすれば足りる。さらに、磁石駆動機構10は、一部の極に属する永久磁石9のみを傾転させるよう構成されてもよい。
【0023】
次に、図6を参照して、電動機の制御装置について説明する。
【0024】
電動機の制御装置は、前述の磁石駆動機構10と、磁石駆動機構10に油圧を供給する油圧ポンプ41と、油圧ポンプ41と固定用シールを介して結合し且つ磁石駆動機構10の油路27と運動用シールを介して結合する配管43と、電動機50に電流を供給するインバータ45と、該電流を検出する電流センサ47と、インバータ45から電動機50に加わる電圧を検出する電圧センサ49と、前述の回転センサ12と、インバータ45と油圧ポンプ41を制御するコントローラ60から構成される。本実施形態の場合、インバータ45は交流電流を三相三線式で電動機に供給し、電流センサ47は線電流を、電圧センサ49は線間電圧をそれぞれ検出する。回転センサ12、電流センサ47、電圧センサ49からの信号は入出力インタフェースを介してコントローラ60に入力されている。油圧ポンプ41は、磁石駆動機構10に駆動力としての油圧を供給し、磁石駆動機構10のための駆動力源として働く。
【0025】
コントローラ60は、互いにバスを介して結合されている中央演算装置 (CPU)、読み出し専用メモリ (ROM) 、ランダムアクセスメモリ (RAM) 及び入出力インタフェース (I/O インタフェース) をもつマイクロコンピュータから構成されている。
【0026】
コントローラ60は、インバータ45が供給すべき三相交流の電流を設定し、この電流に相当する電流指令値をインバータ45に出力する。インバータ45は、電流指令値に基づいて電流を電動機50に供給する。さらに、コントローラ60は、油圧ポンプ41が発生すべき油圧を決定し、この油圧に相当する油圧指令値を油圧ポンプ41に出力する。なお、インバータ45と油圧ポンプ41は、コントローラ60と電気的に結合し、コントローラ60の指令を受信するインターフェースを具備している。コントローラ60は回転センサ12で検出されるロータ3の回転速度、電流センサ47で検出される電流値、電圧センサ49で検出される電圧値の少なくとも一つに従って目標の傾転角θを設定し、この傾転角θを実現するための油圧を図示しないマップ、関数等を参照して決定する。なお、油圧は傾転角θの目標値とともに単調に増加するものであってよい。一般的に、ロータ3の回転速度の増加はインバータ45から与えられる電流、電圧の増加をもたらすので、電流値や電圧値は回転速度の目安となる。このため、回転速度を検出せずとも、電流値又は電圧値を検出しこれに応じて傾転角θを設定することにより、高回転領域での誘起電圧を削減できる。
【0027】
図7のフローチャートを参照して、コントローラ60が実行する永久磁石9の傾転角制御のための制御ルーチンについて説明する。コントローラ60は、電動機の運転中に所定時間毎に制御ルーチンを繰り返し実行する。
【0028】
ステップS1において、ロータの回転速度、電動機に供給される電流、または電動機に供給される電圧が読込まれる。
【0029】
ステップS2において、マップが参照される。回転速度が検出される場合、傾転角θと回転速度の関係を示す図8(a)のマップが参照され、電流が検出される場合、傾転角θと電流の関係を示す図8(b)のマップが参照され、電圧が検出される場合、傾転角θと電圧の関係を示す図8(c)のマップが参照される。これらのマップにおいて、傾転角θは、回転速度、電流又は電圧の増加により増加する。つまり、傾転角θと回転速度、電流または電圧の関係は、鎖交磁束の減少により高回転領域でのステータの巻線11に発生する誘起電圧が小さくなる関係に設定されている。図8(a)のマップ、図8(b)のマップ、及び図8(c)のマップは、マイクロコンピュータのROMに格納されている。なお、これらのマップは例示的に示したものであり、電動機の特性により様々な変更がなしうる。
【0030】
ステップS3において、読込まれた回転速度、電流又は電圧に応じて、傾転角θ(回転角)の目標値が決定される。
【0031】
ステップS4において、傾転角θの目標値に相当する油圧を加えるよう油圧ポンプ41が指令され、磁石駆動機構10の油圧アクチェータ19が制御される。こうして永久磁石9が回転する。
【0032】
図9と図10を参照して、上記の永久磁石9の傾転角制御による効果を具体的に説明する。
【0033】
図9(a)を参照すると、傾転角θの増加とともに誘起電圧は減少する。つまり、高回転領域で傾転角θを大きくすることによりステータ5の巻線11に鎖交する磁束を減少させることができ、従って高回転領域でステータ5の巻線11に生じる誘起電圧を減少できる。
【0034】
図9(b)は、傾転角θとともに永久磁石9の磁化の向きが回転する様子を示す。本実施形態では、一つの磁極が2つの永久磁石9a、9bで構成され、同じ角度で(同位相で)各磁石の傾転角θが変化するので、傾転角θの変化によりステータ5に鎖交磁束を簡便に大きく変化することができる。
【0035】
図10(a)と図10(b)を参照すると、ロータ回転速度に応じて永久磁石9を回転させる場合、永久磁石9がロータ3に対して固定したままの場合に比較して電動機の効率と最大出力が増加する。
【0036】
図11と図12を参照して、磁石駆動機構10に係る第二実施形態を説明する。なお、図11において、軸方向可動部53と回転軸1は、一部が省略されて描かれている。
【0037】
本実施形態では、磁石駆動機構10は、油圧により回転軸1の軸方向に回転軸1に対して摺動可能な軸方向可動部53と、軸方向可動部53の螺旋状の軸ネジ55に対して内周部に設けられた対応する円筒ネジ(図示しない)により接続する回転方向可動部57と、軸方向可動部53を油圧により軸方向に移動させる軸方向駆動ユニット61を具備する。回転方向可動部57は、軸方向に移動しないが回転方向に変位する。回転方向可動部57は、回転軸1の軸方向への軸方向可動部53の運動を回転軸1の周りの回転に変換する。回転方向可動部57は、外周に設けられた環状ギア59を備え、回転方向可動部57と係合するピニオン23を介して回転を伝達することにより永久磁石9を傾転させる。ただし、対を形成する永久磁石9a、9bを互いに逆向きに回転させるために、永久磁石9aに回転を伝えるピニオン23aはさらにもう一つのアイドラギア24に係合する。永久磁石9aはアイドラギア24から磁石端部ギア15を介して回転を伝達される。
【0038】
図12を参照すると、軸方向可動部53は軸方向駆動ユニット61を介して、油圧ポンプ41からの油圧により回転軸方向に移動する。軸方向駆動ユニット61はケース7に固定されるが、軸方向可動部53は回転軸1と共に回転する。軸方向駆動ユニット61は油圧ピストン62を備え、油圧ピストン62のピストンロッド63は、軸方向可動部53の円盤部53aに転動可能に接する円柱状又はボール状の転動体67を保持し、スラスト軸受64を構成する。油圧ピストン62の円環状のピストンロッド63が円盤部53aを軸方向からスラスト軸受64を介して押圧する。軸方向駆動ユニット61は、円盤部53aに関して油圧ピストン62とは反対側にさらにもう一つのスラスト軸受64’を有しており、このスラスト軸受64’はリターンスプリング65を介して軸方向駆動ユニット61の本体に結合している。なお、油圧の制御は、ロータ回転速度に応じて、第一実施形態と同様に行われる。また、スラスト軸受の代わりに、ピストンロッド63に対して回転可能に軸支されるローラを備える構成を用いてもよい。
【0039】
図13を参照して、磁石駆動機構10に係る第三実施形態を説明する。
【0040】
本実施形態では、磁石駆動機構10は、油圧により回転軸1の方向に可動な軸方向可動部71と、軸方向可動部71の軸方向の変位により回転する溝付ギア73とを具備する。軸方向可動部71は、軸方向に平行な円筒状の胴体部71aと、尖った先端71cを有するロータ半径方向に延びる棒状の係合部71bから構成される。溝付ギア73は、永久磁石9の磁石端部ギア15と係合する円筒状のギア部73aと、軸方向可動部71の係合部71bの先端71cが摺動する螺旋状に形成された溝を外周面に有する略円柱状の溝部73bから構成される。
【0041】
軸方向駆動ユニット61は、第二実施形態と同様に、スラスト軸受64を介して軸方向可動部71の円盤部71dを軸方向に押圧することにより、軸方向に移動する。
【0042】
図14(a)は、軸方向可動部71の軸方向の位置変化により溝付ギア73が回転する様子を説明する溝付ギア73の側面図である。軸方向可動部71の先端71cが溝の底部に接して軸方向に溝部73bの端面からギア部73aに向かって移動するとともに、溝付ギア73が90°回転する。さらに、図14(b)を参照すると、軸方向可動部71のこの移動にしたがって、傾転角θが0°から90°に変化するまで永久磁石9は回転する。なお、永久磁石9は90°回転すれば足りるので、溝部73bの溝は溝部73bの円周方向90°に渡って形成されていればよい。
【0043】
図15を参照して、永久磁石の傾転に関する第四実施形態を説明する。
【0044】
第一実施形態では、対で設けられる永久磁石9a、9bは共通の磁石駆動機構10により同期的に同じ傾転角をもって傾転するが、永久磁石9a、9bに対して個別に磁石駆動機構10を設けることにより、図15(a)のように永久磁石9a、9bを別の位相すなわち別の傾転角をもって傾転させることができる。さらに、永久磁石9a、9bに対して個別に磁石駆動機構10を設けることに加えて、個別に油路と油圧ポンプを設けることにより、個別に永久磁石9a、9bをコントローラ60により制御することも可能である。また、ラック21の両側面に設けられるギアのピッチを異ならせることで永久磁石9a、9bを別の位相をもって傾転させることができる。
【0045】
図15(b)を参照すると、ロータ3の回転方向等を考慮して、好適に永久磁石9a、9bを異なる位相で制御する場合、永久磁石9a、9bを同位相で制御する場合に比較して電動機の最大トルクを増加させることができる。
【0046】
上記の実施形態において、一極当たり永久磁石2個設けられたが、一極を1個、3個、或いはさらに多くの永久磁石で構成されてもよい。ステータ巻線について規定していないが、ステータ巻線は集中巻でも分布巻でもよい。ステータは、ステータコアが一体構造のものであるが、分割構造のステータコアでもかまわない。また、電動機の極数は8極であるが、他の極数の電動機にも本発明は適用可能である。さらに、交流、直流を問わず、電動機、発電機、またはその両方として動作する回転電機に対して本発明は適用できる。
【0047】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係る電動機の軸方向の断面側面図である。ただし、永久磁石とピニオンが直接的に見えるようにロータの一部が切り欠かれている。
【図2】第一実施形態に係るロータの軸方向に垂直な断面図であり、図1のII−II線に沿った断面を示す図である。
【図3】第一実施形態に係る電動機のロータの永久磁石を示す斜視図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿ってとられた、第一実施形態に係るロータの軸方向に垂直な断面図であり、ロータに設けられた永久磁石の磁石駆動機構の断面を示す図である。
【図5】第一実施形態に係る磁石駆動機構の斜視図である。
【図6】電動機の制御装置を示す概略図である。
【図7】永久磁石の傾転角制御のための制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】(a)永久磁石の傾転角θとロータの回転速度の関係を示すマップである。(b)永久磁石の傾転角θと電動機の電流の関係を示すマップである。(c)永久磁石の傾転角θと電動機の電圧の関係を示すマップである。
【図9】(a)永久磁石の傾転角θと誘起電圧の関係を示すグラフである。(b)傾転角θとともに永久磁石の磁化の向きが回転する様子を示す図である。
【図10】(a)ロータの回転速度に応じて永久磁石を傾転させる場合と永久磁石がロータに対して固定したままの場合の電動機の効率を示すグラフである。(b)ロータの回転速度に応じて永久磁石を傾転させる場合と永久磁石がロータに対して固定したままの場合の電動機の最大出力を示すグラフである。
【図11】第二実施形態に係る磁石駆動機構の一部を示す斜視図である。
【図12】第二実施形態に係る磁石駆動機構を示す軸方向の概略断面図である。
【図13】第三実施形態に係る磁石駆動機構を示す軸方向の概略断面図である。
【図14】(a)は、軸方向可動部の軸方向の位置変化により磁石駆動機構の溝付ギアが回転する様子を説明する溝付ギアの側面図である。(b)軸方向可動部の軸方向の位置変化により永久磁石が傾転する様子を示す図である。
【図15】(a)対を形成する二つの永久磁石が別位相又は同位相で傾転する様子を示す図である。(b)二つの永久磁石が別位相又は同位相で傾転する場合の電動機の最大トルクを示す図である。
【符号の説明】
1 回転軸
3 ロータ
4 永久磁石の中心軸
5 ステータ
6 ステータコア
8 二つの永久磁石から一極を構成する磁石対
9 円柱状の永久磁石
11 ステータコアに巻かれるステータ巻線
12 回転センサ
15 磁石端部ギア
19 油圧アクチェータ
20 永久磁石の磁化の方向を示す矢印
23 ピニオン
27 油路
41 油圧ポンプ
45 インバータ
47 電流センサ
49 電圧センサ
50 電動機
60 コントローラ

Claims (11)

  1. ステータコアと前記ステータコアに設けられたステータ巻線とを有するステータと、前記ステータに対して回転可能であり、複数の永久磁石を有するロータと、を備えた回転電機において、
    前記複数の永久磁石は、円柱形の形状と該永久磁石の中心軸方向に略垂直な磁化方向を有し、かつ前記ロータの回転軸に略平行に配列され、
    少なくとも一つの永久磁石を該永久磁石の中心軸のまわりで前記ロータに対して回転させる駆動機構を備え、
    前記ロータに対して回転する前記少なくとも一つの永久磁石の磁化方向が該回転に伴って変化することを特徴とする回転電機。
  2. 前記ロータの少なくとも一つの磁極が、複数の永久磁石により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記ロータの少なくとも一つの磁極が、前記ロータの直径方向の中心面に対して対称に配置され、かつ隣接する2つの磁石により構成されており、前記2つの磁石の磁化方向が、前記中心面に対して互いに等しい角度を有することを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記駆動機構が回転電機外部の制御装置により制御されることを特徴とする請求項1から3に記載の回転電機。
  5. 前記制御装置が、前記駆動機構の駆動力を供給する駆動力源と、前記駆動力源と電気的に結合することにより駆動力を制御するコントローラと、を備えることを特徴とする請求項4に記載の回転電機。
  6. 前記制御装置は、前記ロータの回転速度を検出しかつ前記コントローラに前記回転速度を出力する回転センサを備え、
    前記制御装置の前記コントローラが前記回転速度に応じて前記駆動力を制御することにより、前記少なくとも一つの永久磁石の磁化方向が前記回転速度に伴って変化することを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
  7. 前記制御装置は、前記回転電機を流れる電流を検出しかつ前記コントローラに前記電流を出力する電流センサを備え、
    前記制御装置の前記コントローラが前記電流に応じて前記駆動力を制御することにより、前記少なくとも一つの永久磁石の磁化方向が前記電流に応じて変化することを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
  8. 前記制御装置は、前記回転電機に供給される電圧を検出しかつ前記コントローラに前記電圧を出力する電圧センサを備え、
    前記制御装置の前記コントローラが前記電圧に応じて前記駆動力を制御することにより、前記少なくとも一つの永久磁石の磁化方向が前記電圧に応じて変化することを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
  9. 前記駆動力源は直線方向の駆動力を前記駆動機構に供給し、
    前記駆動機構は前記直線方向の駆動力により伸縮するアクチュエータと、アクチュエータの伸縮により回転するギアを備えることを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
  10. 前記駆動力源が油圧ポンプであり、且つ前記駆動力が油圧であることを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
  11. 前記ロータの少なくとも一つの磁極を構成する各永久磁石が、前記駆動機構により互いに異なる回転角度で回転することを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
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