発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るアクチュエータ1の一例を示す斜視図である。図2は、アクチュエータ1の一例を示す平面図である。図3は、図2におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。図4は、図3における要部(二軸一体型モータMP)を示す要部断面図である。
図1に示すように、アクチュエータ1は、例えば、ピックアンドプレース装置として用いられる。アクチュエータ1は、駆動源である二軸一体型モータMPと、二軸一体型モータMPに接続されるアーム部50と、アーム部50に接続されるリンク機構60と、リンク機構60に接続されるエンドエフェクタ70とを備えている。以下、Z軸に平行な方向であって、二軸一体型モータMPからアーム部50に向けた方向を上方とし、アーム部50から二軸一体型モータMPに向けた方向を下方として説明する。
図3に示すように、二軸一体型モータMPは、ステータ10と、第1ロータ20と、第2ロータ30と、ハウジング40とを有する。ステータ10、第1ロータ20及び第2ロータ30は、Z軸に平行な回転軸AXを中心として、互いに同軸に配置されている。ステータ10は、第1ロータ20と第2ロータ30との間に配置されている。例えば、第1ロータ20は、ステータ10の径方向内側に配置され、ステータ10に対して相対回転する。第2ロータ30は、ステータ10の径方向外側に配置され、ステータ10に対して相対回転する。
ステータ10は、ステータコア11と、第1励磁コイル12と、第2励磁コイル13と、を有する。図4に示すように、ステータ10は、回転軸AXの周りに筒状に設けられている。ステータコア11は、筒状のバックヨーク15と、バックヨーク15の径方向内側に配置された複数の第1ティース14と、バックヨーク15の径方向外側に配置された複数の第2ティース16と、を有する。
複数の第1ティース14は、バックヨーク15の内周に沿って並んでいる。複数の第1ティース14は、バックヨーク15と接続されている。第1励磁コイル12は、第1ティース14の周りに巻き回されている。第1励磁コイル12は、第1ドライバ121と電気的に接続されている。第1ドライバ121は、第1励磁コイル12に第1駆動電流I1を供給することにより、第1ロータ20を駆動する。
第1励磁コイル12を励磁させて得られる回転磁界は、例えば3相である。第1励磁コイル12には、駆動信号の各位相が120°ずれたU相用、V相用及びW相用の励磁コイルが含まれる。
複数の第2ティース16は、バックヨーク15の外周に沿って並んでいる。複数の第2ティース16は、バックヨーク15と接続されている。第2励磁コイル13は、第2ティース16の周りに巻き回されている。第2励磁コイル13は、第2ドライバ122と電気的に接続されている。第2ドライバ122は、第2励磁コイル13に第2駆動電流I2を供給することにより、第2ロータ30を駆動する。
第2励磁コイル13を励磁させて得られる回転磁界は、例えば3相である。第2励磁コイル13には、駆動信号の各位相が120°ずれたU相用、V相用及びW相用の励磁コイルが含まれる。
第1ドライバ121と第2ドライバ122は、コントローラー120と電気的に接続されている。コントローラー120は、第1ドライバ121と第2ドライバ122とを独立して制御する。コントローラー120は、第1駆動電流I1の電流量と第2駆動電流I2の電流量とを独立に制御する。第1駆動電流I1の電流量によって、第1ロータ20の回転角が制御される。第2駆動電流I2の電流量によって、第2ロータ30の回転角が制御される。コントローラー120は、第1ロータ20の回転角と第2ロータ30の回転角とを独立に制御する。
複数の第1ティース14の軸方向長さは、複数の第2ティース16の軸方向長さより、長い。この構造により、第1駆動電流I1の電流量と、第2駆動電流I2の電流量とが同じでも、第1ロータ20のトルクが、第2ロータ30のトルクよりも極端に小さくならない。第1駆動電流I1の電流量と、第2駆動電流I2の電流量とが同じ場合、第1ロータ20のトルクが、第2ロータ30のトルクが小さくなるように、複数の第1ティース14の軸方向長さを、複数の第2ティース16の軸方向長さより長くする。これにより、コントローラー120は、第1ロータ20と、第2ロータ30とを独立して制御しやすくなる。
第1ロータ20は、第1ロータブラケット21と、永久磁石によって構成された第1ロータコア22とを有する。図3に示すように、第1ロータブラケット21は、回転軸AXの周りに円柱状に設けられている。なお、第1ロータブラケット21は、円筒状であってもよい。第1ロータブラケット21は、内径側の円筒出力軸とも言える。第1ロータブラケット21は、上部に平面視円形状のフランジ部23を有する。フランジ部23は、後述の第2ロータ30の第2ロータブラケット31の内周面との間に隙間を空けた状態で配置される。第1ロータブラケット21は、上側端部に平面部21aが設けられている。本実施形態において、平面部21aは、フランジ部23の上面に相当する。平面部21aは、例えば回転軸AXに垂直に配置される。
第1ロータコア22は、N極のマグネット部とS極のマグネット部とを有する。N極のマグネット部とS極のマグネット部は、回転方向に交互に等間隔で配置されている。第1ロータコア22は、第1励磁コイル12が第1ティース14に励磁した回転磁界に応じて回転する。第1ロータコア22は、第1ロータブラケット21に外周面に貼り付けられてもよいし、第1ロータコア22の内部に埋め込まれてもよい。
第2ロータ30は、第2ロータブラケット31と、永久磁石によって構成された第2ロータコア32とを有する。第2ロータブラケット31は、第2ロータコア32の外周側に配置されている。図3に示すように、第2ロータブラケット31は、回転軸AXの周りに筒状に設けられている。第2ロータブラケット31は、外径側の円筒出力軸とも言える。第2ロータブラケット31は、上側端部に平面部31aが設けられている。平面部31aは、環状に形成され、回転軸AXに垂直に配置される。本実施形態において、第2ロータブラケット31の平面部31aは、上記した第1ロータブラケット21の平面部21aと面一状態で配置される。また、図2等に示すように、第2ロータブラケット31の内周面は、フランジ部23の外周面との間に隙間を空けて配置される。
第2ロータコア32は、N極のマグネット部とS極のマグネット部とを有する。N極のマグネット部とS極のマグネット部は、回転方向に交互に等間隔で配置されている。第2ロータコア32は、第2励磁コイル13が第2ティース16に励磁した回転磁界に応じて回転する。第2ロータコア32は、第2ロータブラケット31に内周面に貼り付けられてもよいし、第2ロータブラケット31の内部に埋め込まれてもよい。
第1ティース14及び第1励磁コイル12と、Z方向において重ならない位置に、第1軸受25が配置されている。第1軸受25は、バックヨーク15と、第1ロータブラケット21との間にあり、第1ロータ20を回転自在に支持している。第1軸受25は、軸受25a及び軸受25bを有する複数組み合わせ軸受である。バックヨーク15内には、径方向内側と、径方向外側とを分ける非磁性のスリットを設けることが望ましい。第1軸受25は、第1ロータブラケット21の外周にある突起部で位置決めされ、固定されている。
第2ティース16及び第2励磁コイル13と、Z方向において重ならない位置に、第2軸受35が配置されている。第2軸受35は、バックヨーク15と、第2ロータブラケット31との間にあり、第2ロータ30を回転自在に支持している。第2軸受35は、軸受35a及び軸受35bを有する複数組み合わせ軸受である。第2軸受35は、第2ロータブラケット31の内周にある突起部で位置決めされ、固定されている。
第1軸受25とZ方向において重ならない位置に、第1回転検出部101が設けられている。第1回転検出部101は、ハウジング40に対する第1ロータブラケット21の回転角を検出し、コントローラー120(図4参照)に供給する。
第1回転検出部101は、例えば、レゾルバである。第1回転検出部101は、レゾルバステータ101aと、レゾルバロータ101bと、を有する。レゾルバロータ101bは、第1ロータブラケット21の外周面に固定されている。レゾルバステータ101aは、レゾルバロータ101bの径方向において対向する位置に配置される。コントローラー120は、第1ロータ20において所望の回転角を得られるように、第1回転検出部101の検出結果に基づいて第1駆動電流I1の電流量を調節する。
第2軸受35とZ方向において重ならない位置に、第2回転検出部102が設けられている。第2回転検出部102は、ハウジング40に対する第2ロータブラケット31の回転角を検出し、コントローラー120(図3参照)に供給する。
第2回転検出部102は、例えば、レゾルバである。第2回転検出部102は、レゾルバロータ102aと、レゾルバステータ102bと、を有する。レゾルバロータ102aは、第2ロータブラケット31の内周面に固定されている。レゾルバロータ102aは、レゾルバステータ102bの径方向において対向する位置に配置されている。コントローラー120は、第2ロータ30において所望の回転角を得られるように、第2回転検出部102の検出結果に基づいて第2駆動電流I2の電流量を調節する。
第1回転検出部101と、第2回転検出部102とは、円環板状のカバー103で覆われている。円環板状のカバー103は、異物が第1回転検出部101と、第2回転検出部102との周囲に侵入しないよう、抑制している。
ハウジング40は、二軸一体型モータMPの底部に配置される。ハウジング40は、例えばネジ、ボルト等の固定部材45により、ステータコア11を固定する。
アーム部50は、第1ロータ20に接続される第1アーム51と、第2ロータ30に接続される第2アーム52とを有する。
第1アーム51は、第1ロータ20の回転と連動して、回転軸AXの軸回り方向に回転する。第1アーム51は、接続部51aと、直線部(第1直線部)51bとを有する。接続部51aは、第1ロータ20のうち、例えば第1ロータブラケット21の平面部21a(つまりフランジ部23の上面)に接続される。例えば、接続部51aは、不図示のネジ又はボルト等の固定部材により、平面部21aに固定される。接続部51aは、平面部21aの外周に沿った円弧状の形状を有する。接続部51aは、例えば平面部21aの円周のうち、半分の領域に配置される。つまり、接続部51aは、半円の円弧状に形成される。また、接続部51aの外周面は、平面部21aの円周上に配置される。直線部51bは、接続部51aから第2ロータ20を跨いで第2ロータ20の径方向の外側に向けて直線状に延び出される。なお、直線部51bは、後述する第2アーム52の接続部52aが設けられない領域に向けて延びている。また、直線部51bは、第1アーム51及び第2アーム52が回転する場合に、第2アーム52の接続部52aの軌道上から外れた領域に向けて延びている。このため、直線部51aと第2アーム52の接続部52aとが干渉しない構成となっている。
第2アーム52は、第2ロータ30の回転と連動して、回転軸AXの軸回り方向に回転する。第2アーム52は、接続部52aと、直線部(第2直線部)52bとを有する。接続部52aは、第2ロータ30のうち、例えば第2ロータブラケット31の平面部31aに接続される。例えば、接続部51aは、不図示のネジ又はボルト等の固定部材により、平面部21aに固定される。接続部52aは、平面部31aに沿った円弧状の形状を有する。接続部52aは、例えば平面部31aの円周のうち、半分の領域に配置される。つまり、接続部52aは、半円の円弧状に形成される。また、接続部52aの内周面は、平面部31aの内周上に配置される。したがって、接続部52aの内周面は、上記の第1アーム51の接続部52aの外周面との間に、隙間を空けて対向して配置される。このため、第1アーム51及び第2アーム52が回転する場合に、接続部51aと接続部52aとが干渉しない構成となっている。また、接続部52aは、第1アーム51の接続部51aに対して径方向の外側に設けられるため、接続部51aに比べて径が大きく、周方向の長さが長くなっている。直線部52bは、接続部52aから第2ロータ20の径方向の外側に向けて直線状に延び出される。
図5は、図2におけるB−B断面に沿った構成を示す図である。図5に示すように、第1アーム51の直線部51bは、第2ロータ30の平面部31aに対して回転軸AXの軸方向に隙間Rを空けた状態で隔離して配置される。このため、第1アーム51と第2ロータ30との間の干渉が抑制される。
図6は、図2におけるC−C断面に沿った構成を示す図である。図6に示すように、第2アーム52の直線部52bは、第2ロータ30から径方向の外側に延び出され、平面視において第1ロータ20側には重ならないため、第2アーム52と第1ロータ20との間の干渉が抑制される。
リンク機構60は、第2ロータ30の径方向外側に配置される。リンク機構60は、二軸一体型モータMPに対して、着脱可能に設けられる。このように、リンク機構60は、二軸一体型モータMPに外付けが可能である。リンク機構60は、第1接続ピン(第1接続部)61と、第2接続ピン(第2接続部)62と、伸縮機構63と、移動部64とを有する。
第1接続ピン61は、ピボット61aを介して第1アーム51の直線部51bに連結される。第1接続ピン61は、例えば直線部51bから下方に突出した状態で連結される。第1接続ピン61は、例えば円柱状に形成される。第1接続ピン61は、直線部51bに対して、回転軸AXに平行な中心軸の軸回り方向に回転可能に設けられる。
第2接続ピン62は、ピボット62aを介して第2アーム52の直線部52bに連結される。第2接続ピン62は、例えば直線部52bから下方に突出した状態で連結される。第2接続ピン62は、例えば円柱状に形成される。第2接続ピン62は、直線部52bに対して、回転軸AXに平行な中心軸の軸回り方向に回転可能に設けられる。第2接続ピン62は、Z方向の寸法が第1接続ピン61と等しくなっている。
伸縮機構63は、第1接続ピン61及び第2接続ピン62に接続される。第1接続ピン61及び第2接続ピン62が第1アーム51及び第2アーム52を介して回転軸AXの軸回り方向に移動することにより、伸縮機構63は、回転軸AXの軸方向に伸縮する。伸縮機構63は、直動案内部63aと、連結部63bとを有する。直動案内部63aは、後述の移動部64を径方向に軸方向に平行な方向に案内する。連結部63bは、移動部64に連結される。
移動部64は、連結部63bにより伸縮機構63に連結される。移動部64は、直動案内部63aを案内する案内溝64aを有する。案内溝64aは、回転軸AXの軸方向に平行に形成される。案内溝64aは、移動部64の移動可能な範囲を示している。移動部64は、下端部にエンドエフェクタ70が取り付けられる。エンドエフェクタ70は、例えばリフト状の構成が用いられているが、これに限定されない。例えば、エアチャックや吸着パッド等が用いられてもよい。
図7は、リンク機構60の動作の一例を示す図である。図8から図10は、エンドエフェクタ70を移動させる場合の一例を示す図である。図7では、伸縮機構63の状態別に示している。図7の左側の状態は、伸縮機構63が収縮した収縮状態STHを示している。また、図7の右側の状態は、伸縮機構63が伸張した伸長状態STLを示している。図7の中央の状態は、伸縮機構63が収縮状態STHと伸長状態STLとの中間の状態(中間状態STM)であることを示している。
例えば、図7の収縮状態STHの図及び図8に示すように、第1接続ピン61と第2接続ピン62とが互いに離れる方向に第1アーム51と第2アーム52とを反対方向に回転させる場合、伸縮機構63は、第1接続ピン61及び第2接続ピン62との連結部分を支点として上方に収縮する。つまり、第1接続ピン61及び第2接続ピン62は、回転軸AXの軸回り方向に移動するが、Z方向には移動しない。このため、伸縮機構63は、第1接続ピン61と第2接続ピン62との距離WHが大きくなるにつれて、第1接続ピン61及び第2接続ピン62側に引っ張られるように上方に収縮する。このとき、収縮状態STHでは、直動案内部63aが最もZ方向の上側に配置される。なお、この場合、第1接続ピン61及び第2接続ピン62においては、ピボット61a及びピボット62aの軸受が回転を吸収するため、リンク機構60のねじれが抑制される。伸縮機構63が収縮する場合、当該収縮に連動して、連結部63bが上方に移動する。連結部63bの移動によって移動部64が上方に移動するため、エンドエフェクタ70が上方に移動する。このとき、エンドフェクタ70は、第1接続ピン61及び第2接続ピン62からZ方向について距離DHとなる位置に配置される。
また、例えば、図7の伸長状態STLの図及び図9に示すように、第1接続ピン61と第2接続ピン62とが互いに近づく方向に第1アーム51と第2アーム52とを反対方向に回転させる場合、伸縮機構63は、第1アーム51及び第2アーム52との連結部分を支点として下方に伸張する。この場合も、第1接続ピン61及び第2接続ピン62は、回転軸AXの軸回り方向に移動するが、Z方向には移動しない。このため、伸縮機構63は、第1接続ピン61と第2接続ピン62との距離WLが小さくなるにつれて、第1接続ピン61及び第2接続ピン62側から押し出されるように下方に伸張する。このとき、伸長状態STLでは、直動案内部63aが最もZ方向の下側に配置される。なお、この場合、第1接続ピン61及び第2接続ピン62においては、収縮時と同様に、ピボット61a及びピボット62aの軸受が回転を吸収するため、リンク機構60のねじれが抑制される。伸縮機構63が伸張する場合、当該伸長に連動して、連結部63bが下方に移動する。連結部63bの移動によって移動部64が下方に移動するため、エンドエフェクタ70が下方に移動する。このとき、エンドフェクタ70は、第1接続ピン61及び第2接続ピン62からZ方向について距離DLとなる位置に配置される。
また、図10に示すように、第1接続ピン61と第2接続ピン62との距離を一定に維持するように第1アーム51と第2アーム52とを同一方向に回転させる場合、伸縮機構63は、収縮及び伸長が行われずに同一の形状を保持する。この場合、例えば第1ロータ20及び第2ロータ30の回転速度を同期させることにより、第1接続ピン61と第2接続ピン62との距離を一定に維持する。また、第1アーム51及び第2アーム52が同一方向に回転することにより、リンク機構60全体が、第1アーム51及び第2アーム52の回転に連動して、回転軸AXの軸回り方向に移動する。この移動により、移動部64が回転軸AXの軸回り方向に移動する。この場合、第1アーム51及び第2アーム52の回転速度を調整することにより、移動部64のθ方向(図3参照)における位置を調整することができる。これにより、エンドエフェクタ70が回転軸AXの軸回り方向に移動する。
なお、アクチュエータ1においては、例えば第1接続ピン61と第2接続ピン62との距離が変化するように第1アーム51と第2アーム52とを同一方向又は反対方向に回転させてもよい。この場合、第1接続ピン61と第2接続ピン62との距離に応じて伸縮機構63が伸縮し、かつ、回転軸AXの軸回り方向に移動する。このため、移動部64及びエンドエフェクタ70は、上下方向及び回転軸AXの軸回り方向に同時に移動する。なお、第1接続ピン61と第2接続ピン62との距離を変化させつつ、リンク機構60を回転軸AXの軸回り方向に移動させる場合、例えば第1ロータ20及び第2ロータ30の回転速度を異なるように設定すればよい。この場合、例えば第1ロータ20及び第2ロータ30の一方を回転を停止させたまま、他方を回転させることを含む。このように、第1アーム51及び第2アーム52の回転方向、回転速度の設定に応じて、伸縮機構63の伸縮及び移動部64のθ方向(図3参照)における位置の調整を柔軟に行うことができる。
以上のように、本実施形態に係るアクチュエータ1は、ハウジング40と、ハウジング40に対して回転自在な第1ロータ20と、第1ロータ20の径方向外側に配置され、ハウジング40に対して回転自在な第2ロータ30と、第1ロータ20に接続され、第1ロータ20の回転と連動して回転する第1アーム51と、第2ロータ30に接続され、第2ロータ30の回転と連動して回転する第2アーム52と、第1アーム51に接続される第1接続ピン61と、第2アーム52に接続される第2接続ピンと、第2ロータ20の径方向外側に配置され、第1接続ピン61及び第2接続ピン62との距離に応じて第1アーム51及び第2アーム52の回転軸AXの軸方向に移動する移動部64とを有するリンク機構60とを備える。
この構成によれば、第1ロータ20及び第2ロータ30が回転すると、第1アーム51及び第2アーム52が回転し、第1接続ピン61及び第2接続ピン62が第1アーム51及び第2アーム52の回転に連動して移動する。この第1接続ピン61及び第2接続ピン62が第1アーム51及び第2アーム52の回転方向について互いに離れる方向及び近づく方向に移動する場合には、移動部64が回転軸AXに平行な方向に直動運動する。この構成において、リンク機構60が第1アーム51及び第2アーム52を介して第2ロータ30の径方向外側に配置されるため、第1ロータ20及び第2ロータ30の内側の機構が複雑化することを抑制できる。これにより、機構の簡略化及び低コスト化が可能となる。
本実施形態に係るアクチュエータ1において、移動部64は、第1アーム51及び第2アーム52の回転により第1接続ピン61と第2接続ピン62とが第1アーム51及び第2アーム52の回転方向について互いに離れる方向及び近づく方向に移動する場合には、第1接続ピン61及び第2接続ピン62の移動に連動して軸方向に移動する。
この構成によれば、第1アーム51及び第2アーム52が回転すると、回転に連動して第1接続ピン61と第2接続ピン62とが移動する。これにより、第1接続ピン61及び第2接続ピン62が第1アーム51及び第2アーム52の回転方向について互いに離れる方向及び近づく方向に移動させることにより、移動部64を回転軸に平行な方向に直動運動させることができる。
本実施形態に係るアクチュエータ1において、移動部64は、第1アーム51及び第2アーム52の回転により第1接続ピン61と第2接続ピン62とが同一方向に等速で移動する場合には、第1接続ピン61及び第2接続ピン62の移動に連動して回転軸AXの軸回り方向に移動する。
この構成によれば、第1アーム51及び第2アーム52の回転により第1接続ピン61及び第2接続ピン62を同一方向に等速で回転させることにより、回転に連動して移動部64を回転軸AXの軸回り方向に移動させることができる。
本実施形態に係るアクチュエータ1において、移動部64は、第1アーム51及び第2アーム52の回転により第1接続ピン61と第2接続ピン62とが異なる速度で移動する場合には、第1接続ピン61及び第2接続ピン62の移動に連動して軸方向及び回転軸AXの軸回り方向に移動する。
この構成によれば、第1アーム51及び第2アーム52の回転により第1接続ピン61と第2接続ピン62とが異なる速度で移動させることにより、回転に連動して移動部64を軸方向及び回転軸AXの軸回り方向に同時に移動させることができる。
本実施形態に係るアクチュエータ1において、第1アーム51は、第1ロータ20から第2ロータ30を跨いで第2ロータ30の径方向外側に向けて延びる直線部51bを有し、第2アーム52は、第2ロータ30の径方向外側に向けて延びる直線部52bを有し、リンク機構60は、第1アーム51及び第2アーム52のそれぞれの直線部51b、52bに接続される。
この構成によれば、第1アーム51が第2ロータ30を跨いで第2ロータ30の外側に向けて延びるため、第2ロータ30の外側でリンク機構60を接続しやすい構成とすることができる。
本実施形態に係るアクチュエータ1において、第1アーム51は、第2ロータ30に対して回転軸AXの軸方向に隔離して配置される。
この構成によれば、第1アーム51が回転する場合に第2ロータ30と干渉することを抑制できる。
本実施形態に係るアクチュエータ1において、第1ロータ20及び第2ロータ30は、円筒状又は円柱状であり、第1アーム51は、第1ロータ20に接続される接続部51aが、第1ロータ20の周方向に沿った円弧状の形状を有し、第2アーム52は、第2ロータ30に接続される接続部52aが、第2ロータ30の周方向に沿った円弧状の形状を有する。
この構成によれば、リンク機構60を介して第1アーム51及び第2アーム52に対して作用する力が、円弧状の接続部52b、52bにおいて第1ロータ20及び第2ロータ30の周方向に分散される。これにより、第1ロータ20及び第2ロータ30に対して局所的に大きな力が掛かることを抑制できる。
本実施形態に係るアクチュエータ1において、第1ロータ20及び第2ロータ30は、回転軸AXの軸方向の一方の端部に、互いに面一状態となる平面部21a、31aをそれぞれ有し、第1アーム51は、第1ロータ20の平面部21aに接続され、第2アーム52は、第2ロータ30の平面部31aに接続される。
この構成によれば、第1アーム51及び第2アーム52が、それぞれ同一平面状に配置されるため、リンク機構60が回転軸AXの軸回り方向及び軸方向に移動部64を移動しやすい構成となる。
本実施形態に係るアクチュエータ1において、リンク機構60は、第1接続ピン61と第2接続ピン62とが第1アーム51及び第2アーム52の回転方向について互いに離れる方向及び近づく方向に移動する場合に第1接続ピン61及び第2接続ピン62の移動に連動して軸方向に収縮又は伸長する伸縮機構63を有し、移動部64は、伸縮機構63の収縮又は伸長に連動して軸方向に移動する。
この構成によれば、伸縮機構の収縮又は伸長により移動部64を直動移動させることができるため、リンク機構60の構成を簡略化できる。
[第2実施形態]
図11は、第2実施形態に係るアクチュエータ2の一例を示す斜視図である。図11に示すように、アクチュエータ2は、駆動源である二軸一体型モータMPと、二軸一体型モータMPに接続されるアーム部50と、アーム部50に接続されるリンク機構160と、リンク機構160に接続されるエンドエフェクタ70とを備えている。第2実施形態では、リンク機構160の構成が第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点であるリンク機構160の構成を中心に説明する。なお、他の構成については、第1実施形態と同様である。第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
リンク機構160は、第1接続ピン161と、第2接続ピン162と、第1ベアリング163と、第2ベアリング164と、ベースプレート165と、第1案内部材166と、第2案内部材167とを有する。
第1接続ピン161は、ピボット161aを介して第1アーム51の直線部51bに連結される。第1接続ピン161は、例えば直線部51bから下方に突出した状態で連結される。第1接続ピン161は、例えば円柱状に形成される。第1接続ピン161は、直線部51bに対して、回転軸AXに平行な中心軸の軸回り方向に回転可能に設けられる。
第2接続ピン162は、ピボット162aを介して第2アーム52の直線部52bに連結される。第2接続ピン162は、例えば直線部52bから下方に突出した状態で連結される。第1連結部162は、例えば円柱状に形成される。第1接続ピン161は、直線部52bに対して、回転軸AXに平行な中心軸の軸回り方向に回転可能に設けられる。
第1ベアリング163は、第1接続ピン161の下部に取り付けられている。第1ベアリング163は、第1接続ピン161と連動して移動し、後述の第1案内部材166に沿って滑らかに移動可能である。第2ベアリング164は、第2接続ピン162の下部に取り付けられている。第2ベアリング164は、第2接続ピン162と連動して移動し、後述の第2案内部材167に沿って滑らかに移動可能である。
ベースプレート165は、例えば台形状の形状を有する板状部材である。ベースプレート165は、第1案内部材166及び第2案内部材167を有する。
第1案内部材166は、第1ベアリング163を介して第1接続ピン161を案内する。第1案内部材166としては、例えば第1ベアリング163が移動可能な直線状のレール等が用いられる。第1案内部材166は、回転軸AXに対して傾いて配置される。したがって、第1案内部材166は、第1ベアリング163を回転軸AXに対して傾いた方向に移動させる。
第2案内部材167は、第2ベアリング164を介して第2接続ピン162を案内する。第2案内部材167としては、例えば第2ベアリング164が移動可能な直線状のレール等が用いられる。第2案内部材167は、回転軸AXに対して第1案内部材166とは反対側に傾いて配置される。したがって、第2案内部材167は、第2ベアリング164を回転軸AXに対して第1案内部材166とは反対側に傾いた方向に移動させる。
第1案内部材166と第2案内部材167とは、ベースプレート165上において、軸方向の一方から他方に掛けて互いの距離が徐々に大きくなる状態で配置される。本実施形態では、ベースプレート165の上部から下部に掛けて、第1案内部材166と第2案内部材167との距離が徐々に大きくなる状態で配置される。つまり、第1案内部材166と第2案内部材167とは、互いに直線状に形成され、ベースプレート165の上部から下部に掛けて、間隔が広がる状態で配置される。
図12は、リンク機構160の動作の一例を示す図である。図13から図15は、エンドエフェクタ70を移動させる場合の一例を示す図である。図12では、ベースプレート165の位置毎に示している。図12の左側の状態は、ベースプレート165が上昇位置に配置された上昇状態STHを示している。また、図12の右側の状態は、ベースプレート165が下降位置に配置された下降状態STLを示している。また、図12の中央の状態は、ベースプレート165が上昇状態STHと下降状態STLとの中間の状態(中間状態STM)であることを示している。
例えば、図12の上昇状態STHの図及び図13に示すように、直線部51bと直線部52bとが互いに離れる方向に第1アーム51と第2アーム52とを反対方向に回転させる場合、ベースプレート165は、第1アーム51及び第2アーム52に対して上方に移動する。つまり、第1接続ピン161及び第2接続ピン162は、回転軸AXの軸回り方向に移動するが、Z方向には移動しない。このため、ベースプレート165は、第1接続ピン161と第2接続ピン162との距離WH2が大きくなるにつれて、第1接続ピン161及び第2接続ピン162側に引っ張られるように上方に移動する。なお、この場合、第1接続ピン161及び第2接続ピン162においては、ピボット161a及びピボット162aの軸受が回転を吸収するため、リンク機構160のねじれが抑制される。ベースプレート165の上昇により、ベースプレート165の上昇に連動してエンドエフェクタ70が上昇する。このとき、エンドフェクタ70は、第1接続ピン61及び第2接続ピン62からZ方向について距離DH2となる位置に配置される。
また、例えば、図12の伸長状態STLの図及び図14に示すように、直線部51bと直線部52bとが互いに近づく方向に第1アーム51と第2アーム52とを反対方向に回転させる場合、ベースプレート165は、第1アーム51及び第2アーム52に対して下方に移動する。この場合も、第1接続ピン161及び第2接続ピン162は、回転軸AXの軸回り方向に移動するが、Z方向には移動しない。このため、ベースプレート165は、第1接続ピン161と第2接続ピン162との距離WL2が小さくなるにつれて、第1接続ピン161及び第2接続ピン162側から押し出されるように下方に移動する。なお、この場合、第1接続ピン161及び第2接続ピン162においては、上昇時と同様に、ピボット161a及びピボット162aの軸受が回転を吸収するため、リンク機構160のねじれが抑制される。伸縮機構63が伸張する場合、当該伸長に連動して、連結部63bが下方に移動する。ベースプレート165の下降により、ベースプレート165の下降に連動してエンドエフェクタ70が下降する。このとき、エンドフェクタ70は、第1接続ピン61及び第2接続ピン62からZ方向について距離DL2となる位置に配置される。
また、図15に示すように、直線部51bと直線部52bとの相対位置又は相対距離を一定に維持するように第1アーム51と第2アーム52とを同一方向に回転させる場合、ベースプレート165は、上昇及び下降が行われず位置を保持する。この場合、例えば第1ロータ20及び第2ロータ30の回転速度を同期させることにより、直線部51bと直線部52bとの相対位置又は相対距離を一定に維持する。また、第1アーム51及び第2アーム52が同一方向に回転することにより、リンク機構160全体が、第1アーム51及び第2アーム52の回転に連動して、回転軸AXの軸回り方向に移動する。この移動により、ベースプレート165が回転軸AXの軸回り方向に移動するため、エンドエフェクタ70が回転軸AXの軸回り方向に移動する。
以上のように、本実施形態に係るアクチュエータ2において、リンク機構160は、第1アーム51に接続された第1接続ピン161と、第2アーム52に接続された第2接続ピン162と、第1接続ピン161を案内する第1案内部材166と、第2接続ピン162を案内する第2案内部材167とを有するベースプレート165と、を有し、第1案内部材166及び第2案内部材167は、ベースプレート165上において、軸方向の上方から下方にかけて互いの距離が徐々に大きくなる状態で配置される。
この構成によれば、第1アーム51と第2アーム52とが回転する場合に、第1接続ピン161及び第2接続ピン162とベースプレート165とを相対的に軸方向に直動移動させることが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に記載されたものに限定されない。例えば、上記の実施形態では、第1ロータ20及び第2ロータ30の回転子として、PM(Permanent Magnet)型の回転子が用いられたが、第1ロータ20及び第2ロータ30の回転子として、VR(Variable Reluctance)型の回転子が用いられてもよい。
また、例えば上記第2実施形態では、第1案内部材166及び第2案内部材167が、ベースプレート165上において、軸方向の一方から他方にかけて互いの距離が徐々に大きくなる状態で配置される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば軸方向の下方から上方にかけて互いの距離が徐々に大きくなる状態で配置される構成であってもよい。