発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、本実施形態のアクチュエータの部分断面図である。図1の断面は、図2に示す回転軸AXを通ってアーム部80の長軸と平行な面F2の断面であるが、後述するナット23の内部構成は、省略している。図1の断面において、固定部材の位置を示すため、適宜、他の断面がわかるように、部分断面が示されている。図2は、アクチュエータの上面図である。図3は、ねじ軸を下降させた状態を示す図である。図4は、回転軸AXと直交する二軸一体型モータMPの断面図である。
図1に示すように、アクチュエータ1は、例えば、ピックアンドプレース装置として用いられる。アクチュエータ1は、ワークを移送するアーム部80と、アーム部80を駆動する二軸一体型モータMPと、を有する。アーム部80は、例えば、単一のアームのみを有する片持ちのアームである。アーム部80の先端部には、ワークを保持するチャックの配置位置WPが設けられている。アクチュエータ1は、例えば、アーム部80の回転軸AXをZ方向に向けて図示略の支持台に固定されている。図1及び図2に示すように、アクチュエータ1は、アーム部80をZ方向(直動方向)に移動させてアーム部80をZ方向に上下させ、アーム部80をZ方向と直交する任意の平面内で、回転方向θRに回転あるいは回動させてワークを所望の位置に移送する。
二軸一体型モータMPは、ステータ10と、第1ロータ20と、第2ロータ30と、ハウジング90と、第1回転検出部101と、第2回転検出部102と、を有する。ステータ10、第1ロータ20及び第2ロータ30は、回転軸AXを中心として、互いに同軸に配置されている。ステータ10は、第1ロータ20と第2ロータ30との間に配置されている。例えば、第1ロータ20は、ステータ10の径方向内側に配置され、ステータ10に対して相対回転する。第2ロータ30は、ステータ10の径方向外側に配置され、ステータ10に対して相対回転する。
ステータ10は、ステータコア11と、第1励磁コイル12と、第2励磁コイル13と、を有する。図4に示すように、ステータ10は、回転軸AXの周りに筒状に設けられている。ステータコア11は、筒状のバックヨーク15と、バックヨーク15の径方向内側に配置された複数の第1ティース14と、バックヨーク15の径方向外側に配置された複数の第2ティース16と、を有する。
複数の第1ティース14は、バックヨーク15の内周に沿って並んでいる。複数の第1ティース14は、バックヨーク15と接続されている。第1励磁コイル12は、第1ティース14の周りに巻き回されている。第1励磁コイル12は、第1ドライバ121と電気的に接続されている。第1ドライバ121は、第1励磁コイル12に第1駆動電流I1を供給することにより、第1ロータ20を駆動する。
第1励磁コイル12を励磁させて得られる回転磁界は、例えば3相である。第1励磁コイル12には、駆動信号の各位相が120°ずれたU相用、V相用及びW相用の励磁コイルが含まれる。
複数の第2ティース16は、バックヨーク15の外周に沿って並んでいる。複数の第2ティース16は、バックヨーク15と接続されている。第2励磁コイル13は、第2ティース16の周りに巻き回されている。第2励磁コイル13は、第2ドライバ122と電気的に接続されている。第2ドライバ122は、第2励磁コイル13に第2駆動電流I2を供給することにより、第2ロータ30を駆動する。
第2励磁コイル13を励磁させて得られる回転磁界は、例えば3相である。第2励磁コイル13には、駆動信号の各位相が120°ずれたU相用、V相用及びW相用の励磁コイルが含まれる。
第1ドライバ121と第2ドライバ122は、コントローラー120と電気的に接続されている。コントローラー120は、第1ドライバ121と第2ドライバ122とを独立して制御する。コントローラー120は、第1駆動電流I1の電流量と第2駆動電流I2の電流量とを独立に制御する。第1駆動電流I1の電流量によって、第1ロータ20の回転角が制御される。第2駆動電流I2の電流量によって、第2ロータ30の回転角が制御される。コントローラー120は、第1ロータ20の回転角と第2ロータ30の回転角とを独立に制御する。
複数の第1ティース14の軸方向長さは、複数の第2ティース16の軸方向長さより、長い。この構造により、第1駆動電流I1の電流量と、第2駆動電流I2の電流量とが同じでも、第1ロータ20のトルクが、第2ロータ30のトルクよりも極端に小さくならない。第1駆動電流I1の電流量と、第2駆動電流I2の電流量とが同じ場合、第1ロータ20のトルクが、第2ロータ30のトルクが小さくなるように、複数の第1ティース14の軸方向長さを、複数の第2ティース16の軸方向長さより長くする。これにより、コントローラー120は、第1ロータ20と、第2ロータ30とを独立して制御しやすくなる。
図1に示すように、ハウジング90は、第1ハウジング部91と、第2ハウジング部92と、を有する。第1ハウジング部91及び第2ハウジング部92は、ボルトなどの固定部材93で連結されている。
第2ハウジング部92には、ボルトなどの固定部材94により、ステータコア11が固定されている。
第1ロータ20は、永久磁石によって構成された第1ロータコア22を有する。第1ロータコア22は、N極のマグネット部とS極のマグネット部とを有する。N極のマグネット部とS極のマグネット部は、回転方向に交互に等間隔で配置されている。第1ロータコア22は、第1励磁コイル12が第1ティース14に励磁した回転磁界に応じて回転する。第1ロータコア22は、第1ロータブラケット21に外周面に貼り付けられてもよいし、第1ロータコア22の内部に埋め込まれてもよい。
図4に示すように、第1ロータブラケット21は、回転軸AXの周りに筒状に設けられている。第1ロータブラケット21は、内径側の円筒出力軸とも言える。
第2ロータ30は、永久磁石によって構成された第2ロータコア32と第2ロータブラケット31とを有する。第2ロータコア32は、N極のマグネット部とS極のマグネット部とを有する。
第2ロータブラケット31は、第2ロータコア32の外周側に配置されている。N極のマグネット部とS極のマグネット部は、回転方向に交互に等間隔で配置されている。第2ロータコア32は、第2励磁コイル13が第2ティース16に励磁した回転磁界に応じて回転する。第2ロータコア32は、第2ロータブラケット31に内周面に貼り付けられてもよいし、第2ロータブラケット31の内部に埋め込まれてもよい。
図4に示すように、第2ロータブラケット31は、回転軸AXの周りに筒状に設けられている。第2ロータブラケット31は、外径側の円筒出力軸とも言える。
第1ティース14及び第1励磁コイル12と、Z方向において重ならない位置に、第1軸受61が配置されている。第1軸受61は、バックヨーク15と、第1ロータブラケット21との間にあり、第1ロータ20を回転自在に支持している。第1軸受61は、軸受62及び軸受63を有する複数組み合わせ軸受である。バックヨーク15内には、径方向内側と、径方向外側とを分ける非磁性のスリットを設けることが望ましい。
第1軸受61は、第1ロータブラケット21の外周にある突起部で位置決めされ、固定されている。
第2ティース16及び第2励磁コイル13と、Z方向において重ならない位置に、第2軸受64が配置されている。第2軸受64は、バックヨーク15と、第2ロータブラケット31との間にあり、第2ロータ30を回転自在に支持している。第2軸受64は、軸受65及び軸受66を有する複数組み合わせ軸受である。
第2軸受64は、第2ロータブラケット31の内周にある突起部で位置決めされ、固定されている。
第1軸受61とZ方向において重ならない位置に、第1回転検出部101が設けられている。第1回転検出部101は、ハウジング90に対する第1ロータブラケット21の回転角を検出し、コントローラー120(図4参照)に供給する。
第1回転検出部101は、例えば、レゾルバである。第1回転検出部101は、レゾルバステータ101aと、レゾルバロータ101bと、を有する。レゾルバロータ101bは、第1ロータブラケット21の外周面に固定されている。レゾルバステータ101aは、レゾルバロータ101bの径方向において対向する位置に配置される。コントローラー120は、第1ロータ20において所望の回転角を得られるように、第1回転検出部101の検出結果に基づいて第1駆動電流I1の電流量を調節する。
第2軸受64とZ方向において重ならない位置に、第2回転検出部102が設けられている。第2回転検出部102は、ハウジング90に対する第1ロータブラケット21の回転角を検出し、コントローラー120(図4参照)に供給する。
第2回転検出部102は、例えば、レゾルバである。第2回転検出部102は、レゾルバロータ102aと、レゾルバステータ102bと、を有する。レゾルバロータ102aは、第2ロータブラケット31の内周面に固定されている。レゾルバロータ102aは、レゾルバステータ102bの径方向において対向する位置に配置されている。コントローラー120は、第2ロータ30において所望の回転角を得られるように、第2回転検出部102の検出結果に基づいて第2駆動電流I2の電流量を調節する。
第1回転検出部101と、第2回転検出部102とは、円環板状のカバー99で覆われている。円環板状のカバー99は、異物が第1回転検出部101と、第2回転検出部102との周囲に侵入しないよう、抑制している。
第1ロータブラケット21には、第1ロータブラケット21の回転に連動するようにナット23が固定されている。本実施形態においては、ボルトなどの固定部材38及び固定部材39で、第1ロータブラケット21と、ナット23とが固定されている。
ナット23は、第1ロータブラケット21の内径側に配置されている。ナット23は、第1ロータ20と同軸に配置され、第1ロータ20の回転とともに回転する。ナット23の内径側には、ねじ軸70が挿入されている。ねじ軸70は、ナット23と螺合している。ナット23が回転すると、回転に応じてねじ軸70が軸方向(Z方向)に移動する。ねじ軸70と、ナット23と、転動体を有する機構は、ボールねじと呼ばれる。本実施形態のボールねじには、内部予圧が加えられている。例えば、転動体のボール径や、ナット23内の転動体の軌道位置を調整することで、内部予圧が加えられる。このため、後述するブラケット50に荷重がかかり、ねじ軸70に軸方向の荷重がかかっても、剛性が高くなっているので、軸方向の変位が抑制される。
ねじ軸70の一端には、第3軸受67を介してブラケット50が支持されている。すなわち、ブラケット50は、ねじ軸70と連結されている。なお、ブラケット50は、第3軸受67以外の部材をさらに介して、ねじ軸70と連結されていてもよい。第3軸受67は、軸受68及び軸受69を有する複数組み合わせ軸受である。
ブラケット50は、回転軸AXを含む断面でみると、L字状である。ブラケット50は、第1ブラケット部51と、第2ブラケット部52と、を有する。第1ブラケット部51は、フランジ部51Aと、フランジ張り出し部51Bとを有する。フランジ部51Aは、第3軸受67の外輪側に固定されている。より詳細に、説明すると、ねじ軸70は、フランジ部51Aを貫通する。フランジ部51Aの内周には、内周面から突出する軸受規制部51Pを備え、第3軸受67は、フランジ部51Aと、ねじ軸70との間に収容される。第3軸受67の外輪上には、軸受押さえ55が配置される。ボルトなどの固定部材57及び固定部材56により、軸受押さえ55が軸受規制部51Pとの間で、第3軸受67の外輪を挟み固定する。また、ねじ軸70の端部には、雄ねじ部53を備えており、雄ねじ部53に螺合するロックナット54が、ねじ軸70のくびれに対して圧力を加え、第3軸受67の内輪を押さえる。上述した構造によれば、第3軸受67には、内部予圧が加えられる。これにより、第3軸受67の摩擦トルクは、第2軸受64の摩擦トルクよりも大きくできる。その結果、第2ロータ30の回転により、意図せずねじ軸70が連れ回りにくくなる。なお、第3軸受67が単列軸受であっても、内部予圧が加えられることが望ましい。
本実施形態のアクチュエータにおいては、第3軸受67には、内部予圧が加えることに加え、回転抑制機構40を備えている。なお、回転抑制機構40を備えれば、第3軸受67には、内部予圧を加えなくてもよい。
回転抑制機構40は、ナット23に対して、第3軸受67とは反対側に設けられている。このため、軸方向の体積を有効に利用でき、本実施形態のアクチュエータ1は、フットプリント(専有面積)が小さく、高さを抑えられる。
回転抑制機構40は、ねじ軸70の他端部71に固定された転がり軸受41と、ガイド部46とを有している。転がり軸受41は、外輪と、内輪と、転動体を備える。ねじ軸70の他端部71は、環状のリング固定部43の貫通孔を貫通している。リング固定部43の側面には、転がり軸受41の内輪を止めるボルトなどの固定部材42が螺合され、固定される。ねじ軸70の他端部71には、雄ねじ部44を備えており、雄ねじ部44に螺合するロックナット45が、ねじ軸70のくびれとリング固定部43を挟んで固定する。これにより、転がり軸受41の外輪が回転自在な状態で固定されている。また、転がり軸受41は、転がり軸受41の外輪の回転中心の延長線が、回転軸AXと直交する平面にあって、かつ回転軸AXと交差するように固定されている。
ガイド部46は、第1ハウジング部91にボルトなどの固定部材47で固定されている。ガイド部46は、軸方向からみると、円筒であり、円筒を軸方向に切り欠いたスリット又は内周面の凹部による摺動面46Aを軸方向に沿って有している。摺動面46Aには、転がり軸受41の外輪が摺動するようにはめ込まれている。
例えば、第1ロータ20が回転し、ナット23が回転すると、ねじ軸70は、ナット23の回転に応じて、軸方向に移動する。転がり軸受41の回転方向の両側に摺動面46Aがあるので、ねじ軸70は回転軸AXの回りに回転することなく、軸方向に移動することができる。
例えば、第2ロータ30のみが回転する場合、ブラケット50を介して、第3軸受67の外輪が回転しても、転がり軸受41の回転方向の両側に摺動面46Aがある。このため、ねじ軸70が回転軸AXの回りに回転することなく、ねじ軸70が第2ロータ30の回転に連れ回らない。その結果、第1ロータ20と、第2ロータ30とは、独立した駆動をすることができるようになる。
このため、第1ロータ20の回転軸と、第2ロータ30の回転軸とが一致するようにしてもよい。これにより、第1ロータ20の回転中心と第2ロータ30の回転中心とが平行かつ異なる位置にある場合に比較して、位置決め精度を高めることができる。
フランジ部51Aと、フランジ張り出し部51Bとは、上述した固定部材56で連結されている。なお、フランジ部51Aと、フランジ張り出し部51Bとは、別部材であるが、一体の部材であってもよい。
第2ロータ30の回転は、直動案内機構89の回転と連動するように、直動案内機構89が固定されている。図2に示すように、直動案内機構89は、保持板85を介してブラケット50を軸方向にスライド自在に支持する。
図1及び図2に示すように、直動案内機構89は、例えば、支持部82と、ガイドレール81と、スライダ83とを有する。支持部82と、ガイドレール81とは、ボルトなどの固定部材88で固定されている。直動案内機構89においては、内部予圧が加えられている。例えば、スライダ83内の転動体のボール径や、スライダ83内の転動体の軌道位置を調整することで、内部予圧が加えられる。この構成によれば、直動案内機構89に荷重がかかっても変位が小さく、位置決め精度が高くなる。
ガイドレール81のレール溝81Aは、第2ロータブラケット31の側面に沿って軸方向に延びている。支持部82には、径方向内側に突出するフランジ部84が設けられている。フランジ部84は、固定部材77によって第2ロータブラケット31の上端部(アーム部80側の端部)に固定されている。ガイドレール81は、支持部82の外周面上に固定されている。ガイドレール81は、軸方向に延び、スライダ83を軸方向にスライド自在に支持する。ガイドレール81のレール溝81Aは、スライダ83が、下端EPに到達するまでの長さがある。
図2に示すように、第2ブラケット部52には、軸方向に切り欠かれたスリットSLがあり、スリットSL内には、直動案内機構89が配置されている。第2ブラケット部52は、スリットSLにより、第1部分52Aと第2部分52Bとに分割されている。第1部分52Aと第2部分52Bとは、直動案内機構89とは非接触で、かつ直動案内機構89を間に挟む。この構造により、第2ブラケット部52が軸方向に移動しても、第2ブラケット部52と、ガイドレール81とが干渉しない。
図2に示すように、保持板85は、ボルトなどの固定部材86で、スライダ83に固定されている。また、保持板85は、ボルトなどの固定部材58A、固定部材58Bで第2ブラケット部52の周方向外側端面に固定されている。保持板85は、例えば鉄鋼製又はステンレス鋼製の金属板であり、バネ性を有している。
図2に示すように、軸方向からみて、第2ブラケット部52と、保持板85とにより、直動案内機構89が囲まれている。保持板85がバネ性を有しているので、ボルトなどの固定部材58A、固定部材58Bで第2ブラケット部52に保持板85を固定する際には、スライダ83が第2ブラケット部52に押しつけられるように、付勢された状態で、保持板85が第2ブラケット部52に固定される。
アーム部80の一端部は、ブラケット50の取り付け部59に固定されている。ブラケット50とアーム部80とは、一体に回転する。なお、ねじ軸70の中心部には、ねじ軸70を軸方向に貫通する貫通孔が設けられていてもよい。この場合、アーム部80及び第1ロータブラケット21には、ねじ軸70の貫通孔と連通する貫通孔がそれぞれ設けられることになる。これらの貫通孔により、アーム部80へエア配管及び電気配線などが引き回し可能になる。
図1及び図2に示すように、アーム部80の他端部は、ねじ軸70の回転軸AXを挟んで直動案内機構89とは反対側に配置されている。直動案内機構89は、アーム部80側には配置されていない。支持部82及びガイドレール81は、回転軸AXを挟んでアーム部80の他端部が配置される側には設けられていない。そのため、第2ロータ30の近傍までワークスペースとして利用可能となっている。
本実施形態では、回転体RBは、アーム部80、直動案内機構89、ブラケット50及びチャック部等のワーク(但し、二軸一体型モータMPは含まない)によって構成されている。第2ロータ30によって回転駆動される回転体RBの重心の位置は、回転軸AXの近傍にすることができる。この構成では、回転体RBの回転によってアクチュエータ1に振動が発生しにくい。
回転軸AXを通ってアーム部80の短軸と平行な面をF1とすると、直動案内機構89及びブラケット50のトータルの重心の位置は、面F1を挟んで、アーム部80の重心の位置とは反対側に配置されている。例えば、第2ロータ30によって回転駆動される回転体RBの重心は、回転軸AX上に配置されている。これにより、アーム部80が回転してもアクチュエータ1の振動が抑制されている。
なお、回転体RBの重心は、軸方向からみて、回転軸AXとぴったり一致していることが好ましいが、回転体RBの重心は、必ずしも回転軸AXとぴったり一致している必要はない。回転体RBの重心が回転軸AXのごく近傍であれば、アクチュエータ1の振動を効果的に抑制することができる。
例えば、回転体RBの重心が、軸方向からみて、ねじ軸70と重畳する位置に配置されていれば、アクチュエータ1の振動が有効に抑制される。そのため、本実施形態では、回転体RBの重心が、軸方向からみて、ねじ軸70と重畳する位置に配置されている場合も、回転体RBの重心が回転軸AX上に配置されているものと解釈する。
以上説明した本実施形態のアクチュエータ1は、ハウジング90と、第1ロータ20と、第2ロータ30と、ボールねじと、ブラケット50と、直動案内機構89と、保持板85とを含む。第1ロータ20は、ハウジング90に対して回転自在であり、第2ロータ30は、第1ロータ20の径方向外側に配置され、ハウジング90に対して回転自在である。ボールねじは、ナット23及びねじ軸70を有している。ナット23は、第1ロータ20とともに回転可能である。ねじ軸70は、ナット23と螺合し、ナット23の回転に伴ってナット23に対してナット23の軸方向(Z方向)に移動する。ブラケット50は、ねじ軸70に連結して取り付けられ、ねじ軸70とともに、ナット23の軸方向(Z方向)に移動する。直動案内機構89は、第2ロータ30と連動して回転可能なガイドレール81と、ガイドレール81に対してナット23の軸方向にスライド自在なスライダ83と、を有する。そして、保持板85がブラケット50とスライダ83とを連結している。
コントローラー120は、第2ロータ30を一方向あるいは、他方向に回転させる。図2に示すように、第2ロータ30が任意の回転方向θRに回動できる。第2ロータ30の回転に伴い、直動案内機構89のガイドレール81が回転する。ガイドレール81に対して、スライド自在なスライダ83もガイドレール81の回転に伴い、回転する。スライダ83の回転は、保持板85を介して、ブラケット50に伝達される。その結果、回転体RBが第2ロータ30の回転に伴い回転する。
ここで、回転体RBの重心の位置は、必ずしもねじ軸70の回転軸AXと一致するとは限らない。回転体RBの重心の位置がねじ軸70の回転中心とずれている状態でワークが回転すると、直動案内機構89には、負荷モーメントが加わり、直動案内機構89のスライダ83の移動に振動が発生することがある。
本実施形態のアクチュエータ1において、保持板85がブラケット50とスライダ83とを連結しているので、スライダ83の移動による振動の影響が小さくなる。このため、本実施形態のアクチュエータ1は、位置決め精度が高くなる。
第1ロータ20の回転中心と第2ロータ30の回転中心とが平行かつ異なる位置にある場合においてもスライダ83の移動による振動の影響が起こりえるが、本実施形態のアクチュエータ1において、保持板85がブラケット50とスライダ83とを連結しているので、スライダ83の移動による振動の影響が小さくなる。
コントローラー120は、第1ロータ20を一方向へ回転させる。図1及び図2に示すように、アクチュエータ1は、ナット23が一方向へ回転する。ねじ軸70は、軸方向に上昇移動(直動運動)する。ねじ軸70は、第3軸受67を介して、ブラケット50をZ方向(直動方向)に上昇移動させる。ブラケット50は、保持板85を介して、スライダ83をZ方向(直動方向)に上昇移動させる。
コントローラー120は、第1ロータ20を他方向へ回転させる。図3に示すように、アクチュエータ1は、ナット23が他方向へ回転する。ねじ軸70は、軸方向に下降移動(直動運動)する。ねじ軸70は、第3軸受67を介して、ブラケット50をZ方向(直動方向)に下降移動させる。ブラケット50は、保持板85を介して、スライダ83をZ方向(直動方向)に下降移動させる。
また、ブラケット50及びスライダ83には、Z方向(直動方向)に上昇又は下降した際に、慣性モーメントが加わり、振動が生じやすい。実施形態のアクチュエータ1において、保持板85がブラケット50とスライダ83とを連結しているので、振動の影響が小さくなる。
本実施形態のアクチュエータ1は、第1ロータ20を回転自在に支持する第1軸受61と、第2ロータ30を回転自在に支持する第2軸受64と、ねじ軸70に対して第2ロータ30を回転自在に支持する第3軸受67と、を備えている。そして、本実施形態のアクチュエータ1は、さらに、ナット23に対して第3軸受67とは反対側に設けられ、ねじ軸70の回転を抑制する回転抑制機構40を備える。この構造により、ねじ軸70は、軸方向に移動(直動運動)することができるが、ねじ軸70の回転が抑制されている。このため、第1ロータ20の回転駆動と、第2ロータ30の回転駆動とは、同期駆動しなくても、第2ロータ30の回転に伴うねじ軸70の連れ回りが抑制されている。このため、第1ロータ20と、第2ロータ30とが独立して駆動することで、より位置決め精度を高めることができる。
ブラケット50は、L字状であって、第3軸受67の外輪の回転と連動して回転する。このため、本実施形態のアクチュエータ1は、複数の直動案内機構89を備えてもよいが、回転軸AXの周りに等間隔に配置する必要がない。1つ又は複数の直動案内機構89が回転軸AXの周りに偏って配置されていても、直動案内機構89の偏りによる回転体RBの重心のずれの影響を、保持板85が抑制できる。保持板85がブラケット50とスライダ83とを連結しているので、直動案内機構89の偏りによる回転体RBの重心のずれによるスライダ83の振動の影響が小さくなる。
変形例としては、ブラケット50において、第2ブラケット部52が回転方向に複数備えられてもよい。この場合、本実施形態のアクチュエータ1は、複数の直動案内機構89を備える。そして、回転軸AXの周りに等間隔に配置してもよい。ワークの位置によっては、回転体RBの重心の位置が回転軸AXとは異なる位置にあっても、回転体RBの重心のずれの影響を、保持板85が抑制できる。
ブラケット50は、第1ロータ20の回転中心(回転軸AX)を挟んで直動案内機構89とは反対側に、アーム部80が配置されるように、アーム部80の取り付け部59がある。また、直動案内機構89とアーム部80とが、回転軸AXを挟んで配置されるため、第2ロータ30によって回転駆動される回転体RBの重心の位置が回転軸AXの近傍に配置される。そのため、回転体RBの回転によってスライダ83に振動が発生しにくい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に記載されたものに限定されない。例えば、上記の実施形態では、第1ロータ20及び第2ロータ30の回転子として、PM(Permanent Magnet)型の回転子が用いられたが、第1ロータ20及び第2ロータ30の回転子として、VR(Variable Reluctance)型の回転子が用いられてもよい。また、回転抑制機構40は、ねじ軸70の他端部71に固定された転がり軸受41の代わりに、カムフォロアを備えても良い。