JP2004134255A - 電池用正極材料、正極、電池及び電池用正極材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極活物質粒子を含む一次粒子が固結して形成される二次粒子である電池用正極材料であって、前記一次粒子は前記正極活物質粒子間の導電性を向上する導電化材を含むことを特徴とする。つまり、従来、正極活物質だけで構成されていた二次粒子内に導電化材を含むことで、二次粒子内での電子伝導抵抗を低減することが可能となり、この電池用正極材料を用いた電池は高い出力特性をもつことができる。二次粒子内に導電化材を含まない場合には二次粒子内を流れる電子は抵抗の大きい正極活物質を流れる必要があったが、二次粒子内に導電化材を含有させることで、電子は抵抗の小さい導電化材を流れることができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用正極材料、正極、電池及び電池用正極材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の小型化に伴い、情報関連機器、通信機器等の携帯機器分野では、これらの機器に用いる電源としてエネルギー密度の高いリチウム二次電池等の電池が実用化され広く普及するに至っている。
【0003】
ところで、電気自動車のように、電池に対して高い性能を要求する用途がある。例えば、高い出力特性や、高い回生特性が要求される。出力特性及び回生特性を向上するには電池の内部抵抗を低減する必要がある。
【0004】
電池の内部抵抗を低減するために、従来技術では、溶媒中に導電化材を分散させた後に活物質を添加し混練することで、合材中の導電化材の分散良くしている(特許文献1)。電気自動車等の高い性能が求められる電池の正極は数ミクロンオーダーの粒子径をもつ正極活物質と、サブミクロンオーダーの粒子径をもつ導電化材との混合物を集電体の表面に層状に形成したものが一般的である。
【0005】
正極活物質は電池反応の主体であり、図3に示すように、サブミクロンオーダーの正極活物質からなる一次粒子91が固結した二次粒子92である。導電化材95は、電子伝導性に乏しい正極活物質と、集電体との間に導電性を付与する作用をもつ部材であり、導電化材95をよく分散することで電池の内部抵抗を低減できる。この導電化材は二次粒子と混合され、二次粒子間の導電性を向上させている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−54113号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、従来技術を更に上回る出力特性をもつ電池が要求されている。
【0008】
そこで、本発明は高い出力特性をもつ電池を提供すること、並びに、高い出力特性をもつ電池が提供できる電池用正極材料、正極及び電池用正極材料の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の電池用正極材料は、正極活物質粒子を含む一次粒子と導電化材とを有する電池用正極材料であって、前記一次粒子は前記導電化材と一次粒子の状態で混合されていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
つまり、従来技術の電池用正極材料では二次粒子である正極活物質粒子と導電化材とから構成されており、正極活物質からなる二次粒子が導電化材と混合された場合に、導電化材は二次粒子内の導電性には寄与していなかった。本電池用正極材料は、正極活物質粒子が一次粒子の状態で導電化材と混合されているので、導電化材の作用がより発揮できるものである。
【0011】
更に、上記課題を解決する本発明の電池用正極材料は、正極活物質粒子を含む一次粒子が固結して形成される二次粒子である電池用正極材料であって、
前記一次粒子は前記正極活物質粒子間の導電性を向上する導電化材を含むことを特徴とする(請求項2)。
【0012】
つまり、従来、正極活物質だけで構成される二次粒子内に導電化材を含むことで、二次粒子内での電子伝導抵抗を低減することが可能となり、この電池用正極材料を用いた電池は高い出力特性をもつことができる。二次粒子内に導電化材を含まない場合には二次粒子内を流れる電子は抵抗の大きい正極活物質を流れる必要があったが、二次粒子内に導電化材を含有させることで、電子は抵抗の小さい導電化材を流れることができる。
【0013】
以上説明したように、本発明の電池用正極材料は、正極活物質粒子と導電化材とが一次粒子の状態で良く分散されているので、導電化材が効率的に正極活物質粒子間の導電性を向上でき、製造される電池の内部抵抗を低減できる。
【0014】
そして、前記導電化材の形状は粒子状であり、該導電化材の粒子径は前記正極活物質粒子の粒子径以下であることが好ましい(請求項3)。導電化材の形状を粒子状とし、その粒子径を二次粒子内の正極活物質粒子よりも小さくすることで、導電化材を正極活物質粒子に効率よく接触させることができる。従って、電池用正極材料を構成する一次粒子である正極活物質粒子間の抵抗が小さくなる。
【0015】
また、前記導電化材は炭素材料からなることが好ましい(請求項4)。炭素材料は安価であると共に、電池内の過酷な環境下でも化学的、物理的に安定しているからである。
【0016】
更に、電池用正極材料を構成する二次粒子内の抵抗をより低減するために、前記導電化材は前記二次粒子内に均一に分散されていることが好ましい(請求項5)。
【0017】
更に上記課題を解決する本発明の正極は、集電体と、前述の電池用正極材料を含み該集電体の表面に形成された正極活物質層と、を有することを特徴とする(請求項6)。また、上記課題を解決する本発明の電池は、この正極と、負極と、該正極及び該負極の間を充填する電解質と、を有することを特徴とする(請求項7)。
【0018】
そして、上記課題を解決する本発明の電池用正極材料の製造方法は、正極活物質粒子と導電化材とを混合する混合工程と、
該混合物を焼成し、該正極活物質粒子及び該導電化材を含む一次粒子が固結した二次粒子を形成する二次粒子形成工程と、を有することを特徴とする(請求項8)。本方法により、導電化材を高い均一性をもって二次粒子内に含ませることが容易にできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の電池用正極材料及びその製造方法、正極並びに電池について以下に説明する。本発明における電池はリチウム二次電池が例示できる。以下に、電池としてリチウム二次電池に適用した場合について説明を行う。
【0020】
〔電池用正極材料〕
(第1実施形態)
本実施形態の電池用正極材料は、正極活物質粒子と、その正極活物質粒子と混合されている導電化材とを含む一次粒子を有する。本実施形態の電池用正極材料について、図1に模式的に示す。
【0021】
一次粒子である正極活物質粒子は単一の結晶からなる。一次粒子である正極活物質粒子の粒子径は0.05μm〜0.1μm程度とすることが電池性能の観点から好ましい。
【0022】
導電化材としては電子伝導性に優れる他は特に限定しないが、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素材料からなる粉状体の1種または2種以上を混合したものを用いることができる。導電化材の粒子径は正極活物質粒子の粒子径以下であることが好ましく、0.03μm〜0.08μm程度とすることが好ましい。
【0023】
正極活物質粒子を構成する正極活物質としては特に限定されず一般的な正極活物質を使用できる。例えば、リチウム遷移金属複合酸化物等の公知の正極活物質を用いることができる。リチウム遷移金属複合酸化物は、その電気抵抗が低く、リチウムイオンの拡散性能に優れ、高い充放電効率と良好な充放電サイクル特性とが得られるため、本正極活物質に好ましい材料である。たとえばリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物や、各々にLi、Al、そしてCr等の遷移金属を添加または置換した材料等である。なお、これらのリチウム−金属複合酸化物を正極活物質として用いる場合には単独で用いるばかりでなくこれらを複数種類混合して用いることもできる。
【0024】
(第2実施形態)
本実施形態の電池用正極材料は、正極活物質粒子を含む一次粒子が固結して形成される二次粒子である。二次粒子内に固結される一次粒子には導電化材を含むことを特徴とする。本電池用正極材料を構成する二次粒子の粒子径は特に限定しないが、1μm〜10μm程度とすることが電池性能の観点から好ましい。二次粒子内における一次粒子の固結は、焼結等により形成される。
【0025】
二次粒子内には導電化材を含む。導電化材としては第1実施形態で説明した導電化材がそのまま使用できる。導電化材は後述する一次粒子として含むことができる。導電化材は他の一次粒子である正極活物質粒子以下の粒子径であることが好ましい。導電化材は二次粒子内で均一に分散されていることが好ましい。
【0026】
二次粒子を形成する一次粒子は当然に粒子径が二次粒子よりも小さく、例えば、50nm〜100nm程度とすることができる。一次粒子としては正極活物質からなる粒子を含む。正極活物質としては特に限定されず一般的な正極活物質を使用できる。例えば、第1実施形態で説明した正極活物質である。
【0027】
〔電池用正極材料の製造方法〕
本実施形態の電池用正極材料の製造方法は、混合工程と、二次粒子形成工程とを有する。本製造方法により、前述の第2実施形態の電池用正極材料が効率よく製造できる。
【0028】
混合工程は正極活物質粒子と導電化材とを混合する工程である。ここで、正極活物質及び導電化材とは前述の電池用正極材料で説明したものと同様であるので更なる説明は省略する。
【0029】
混合工程では正極活物質と導電化材とをできるだけ均一に分散させることが好ましい。例えば、適正な液体中に正極活物質及び導電化材を分散させることで、混合を行うことができる。
【0030】
正極活物質粒子を製造する方法としては特に限定しない。例えば、超音波熱分解、ゾルゲル法等の液相法や、固相法等の一般的な方法で製造できる。
【0031】
二次粒子形成工程は混合工程で混合した混合物を焼成して正極活物質粒子及び導電化材を含む一次粒子が固結した二次粒子を形成する工程である。焼成する温度としては正極活物質の種類により適正値は異なるが、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を用いる場合には500℃〜800℃で行うことができる。焼成雰囲気としては特に限定しないが、導電化材として炭素材料を用いる場合には炭素材料の酸化等を防止するために不活性雰囲気中で焼成を行うことが好ましい。
【0032】
〔正極〕
本実施形態の正極は、前述の電池用正極材料に結着剤や必要に応じた添加剤を混合し、必要に応じ適当な溶媒を加えて、ペースト状の正極合材としたものを、アルミニウム等の金属箔製の集電体表面に塗布、乾燥し、その後プレスによって活物質密度を高めることによって形成する。
【0033】
結着剤は、活物質粒子および導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものでポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。更に必要に応じて添加される添加剤は導電化材等が挙げられる。
【0034】
〔電池〕
本実施形態の電池は前述の正極と、負極と、その正極及び負極の間を充填する電解質とを有する。本実施形態の電池は、コイン型電池、ボタン型電池、円筒型電池及び角型電池等の公知の電池構造をとることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極をセパレータを介して重畳あるいは捲回等して電極体とし、正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リード等を用いて接続した後、この電極体を非水電解液とともに電池ケース内に挿設し、これを密閉して電池を完成することができる。
【0035】
負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出する負極活物質を用いることができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そのなかでも特に炭素材料を用いることが好ましい。比表面積が比較的大きくでき、リチウムの吸蔵、放出速度が速いため大電流での充放電特性、出力・回生密度に対して良好となる。特に、出力・回生密度のバランスを考慮すると、充放電に伴ない電圧変化の比較的大きい炭素材料を使用することが好ましい。中でも結晶性の高い天然黒鉛や人造黒鉛などからなるものを用いることが好ましい。このような結晶性の高い炭素材を用いることにより、負極のリチウムイオンの受け渡し効率を向上させることができる。
【0036】
このように負極活物質として炭素材料を用いた場合には、これに必要に応じて正極で説明したような導電材および結着材を混合して得られた負極合材が集電体に塗布されてなるものを用いることが好ましい。
【0037】
非水電解液は、有機溶媒に電解質を溶解させたものである。
【0038】
有機溶媒は、通常リチウム二次電池の非水電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、テトラヒドロフラン等及びそれらの混合溶媒が適当である。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの高誘電率の主溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの低粘性の副溶媒との混合有機溶媒が好ましい。また、副溶媒として、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びブチルラクトンなどを用いてもよい。
【0039】
電解質は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF3)2、LiN(SO3CF3)2、LiN(SO2C2F5)2およびLiN(SO2CF3)(SO2C4F9)から選ばれる有機塩、並びにその有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0040】
これらの電解質の使用により、電池性能をさらに優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においてもさらに高く維持することができる。電解質の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、電解質および有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
【0041】
セパレータは、正極および負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。なおセパレータは、正極と負極との絶縁を担保するため、正極および負極よりもさらに大きいものとするのが好ましい。
【0042】
ケースは、特に限定されるものではなく、公知の材料、形態で作成することができる。
【0043】
ガスケットは、ケースと正負の両端子部の間の電気的な絶縁と、ケース内の密閉性とを担保するものである。たとえば、電解液にたいして、化学的、電気的に安定であるポリプロピレンのような高分子等から構成できる。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
▲1▼ 正極活物質粒子としての平均粒径100nmの一次粒子であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末を合成した。この粉末(一次粒子)は、リチウム原料及びコバルト原料として、それぞれLiNO3及びCo(NO3)2を用いて製造した。まず、Li/Co=1となるように混合・調製し、蒸留水中に0.05〜0.1mol/Lの濃度で溶解させた。その溶液を超音波噴霧熱分解装置を用いて、霧化供給した後、乾燥分解を行った。
▲2▼ 合成した正極活物質粒子と、導電化材としての平均粒径50nmのカーボンブラック粉末とを質量比で80:20となるように、アルコール中に均一に分散させた。アルコール中への正極活物質粒子及び導電化材の分散はホモジナイザーにより行った。その後、アルコールを蒸発させ、窒素雰囲気中、500℃〜800℃で焼成することにより、正極活物質粒子及び導電化材が均一に分散した平均粒径5μmの二次粒子である電池用正極材料を得た。
▲3▼ 得られた電池用正極材料と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを質量比で95:5となるように、N−メチルピロリドン中に分散させてペーストを調製した。このペーストをアルミニウム製の箔状の集電体表面にドクターブレードにて塗布・乾燥することで厚み50μmの活物質層が集電体表面に形成された正極を得た。
▲4▼ φ16mmに打ち抜いた正極と、ポリエチレン製セパレータ(厚み25μm)と、負極としてのリチウム金属箔と重ねてコイン電池を作製した。電解液としては電解質としてのLiPF6をEC+DEC(1:1)に1mol/Lで溶解したものを用いた。得られた電池を実施例1の試験電池とした。
【0045】
(実施例2)
▲1▼ 正極活物質粒子としての平均粒径500nmの一次粒子であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末を合成した。この粉末(一次粒子)は、リチウム原料及びコバルト原料として、それぞれLiNO3及びCo(NO3)2を用いて製造した。まず、Li/Co=1となるように混合・調製し、蒸留水中に0.75〜0.1mol/Lの濃度で溶解させた。その溶液を超音波噴霧熱分解装置を用いて、霧化供給した後、乾燥分解を行った。乾燥温度は400℃、分解温度は800℃とした。
▲2▼ 合成した正極活物質粒子と、導電化材としての平均粒径50nmのカーボンブラック粉末と、結着材としてのPVDFとを質量比で75:20:5となるように、N−メチルピロリドン中に均一に分散させペーストを調製した。N−メチルピロリドン中への正極活物質粒子及び導電化材の分散はホモジナイザーにより行った。このペーストをアルミニウム製の箔状の集電体表面にドクターブレードにて塗布・乾燥することで厚み1μmの活物質層が集電体表面に形成された正極を得た。
▲3▼ 平均粒径50nmのカーボンブラック粉末とPVDFとを質量比で95:5となるように、N−メチルピロリドン中に分散させペーストを調製した。このペーストをアルミニウム製の箔状の集電体表面にドクターブレードにて塗布・乾燥することで厚み0.2μmの活物質層が集電体表面に形成された正極を得た。
▲4▼ ▲2▼及び▲3▼の工程を繰り返すことで集電体表面に厚み50μmの活物質層が形成された正極を得た。
▲5▼ φ16mmに打ち抜いた正極と、ポリエチレン製セパレータ(厚み25μm)と、負極としてのリチウム金属箔と重ねてコイン電池を作製した。電解液としては電解質としてのLiPF6をEC+DEC(1:1)に1mol/Lで溶解したものを用いた。得られた電池を実施例2の試験電池とした。
【0046】
(比較例)
▲1▼ 正極活物質粒子としての平均粒径5μmの二次粒子であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末を合成した。この粉末(二次粒子)は、リチウム原料及びコバルト原料として、それぞれLi2CO3及びCoCO3を用いて製造した。まず、Li/Co=1となるように各原料を混合・調製した後に、ペレット状に成形した。成形したペレットを700℃で5時間で焼成後、800℃で3時間焼成した。その後、焼成したペレットを粉砕することでコバルト酸リチウム粉末を得た。
▲2▼ 合成した正極活物質粒子と、導電化材としての平均粒径50nmのカーボンブラック粉末と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを質量比で75:20:5となるように、N−メチルピロリドン中に分散させてペーストを調製した。このペーストをアルミニウム製の箔状の集電体表面にドクターブレードにて塗布・乾燥することで厚み50μmの活物質層が集電体表面に形成された正極を得た。
▲4▼ φ16mmに打ち抜いた正極と、ポリエチレン製セパレータ(厚み25μm)と、負極としてのリチウム金属箔と重ねてコイン電池を作製した。電解液としては電解質としてのLiPF6をEC+DEC(1:1)に1mol/Lで溶解したものを用いた。得られた電池を比較例の試験電池とした。
【0047】
(試験)
各実施例及び比較例の試験電池を0.1mA/cm2の電流密度で3.0〜4.2V間で放電することによってコンディショニングを行った。
【0048】
各試験電池について、0.3mA/cm2、1.0mA/cm2、3.0mA/cm2の電流密度で充放電を行った時の放電容量を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表より明らかなように、実施例1及び2の試験電池は比較例の試験電池と比べて、電流密度が大きい領域で放電容量が大きいことが分かった。これは正極活物質粒子と導電化材とが、一次粒子の状態で良く分散した構造をもつために電池の内部抵抗が小さくなったためであると考えられる。なお、実施例1の試験電池と実施例2の試験電池とを比較すると、製造の容易さの観点から実施例1の試験電池がより好ましいと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における第1実施形態の電池用正極材料の拡大図である。
【図2】本実施形態における第2実施形態の電池用正極材料の拡大図である。
【図3】従来技術の電池用正極材料の拡大図である。
【符号の説明】
1…電池用正極材料(二次粒子)
10…正極活物質粒子(一次粒子)
11…導電化材
91…正極活物質粒子(一次粒子)
92…正極活物質粒子(二次粒子)
95…導電化材
Claims (8)
- 正極活物質粒子を含む一次粒子と導電化材とを有する電池用正極材料であって、
前記一次粒子は前記導電化材と一次粒子の状態で混合されていることを特徴とする電池用正極材料。 - 正極活物質粒子を含む一次粒子が固結して形成される二次粒子である電池用正極材料であって、
前記二次粒子は前記正極活物質粒子間の導電性を向上する導電化材を含むことを特徴とする電池用正極材料。 - 前記導電化材の形状は粒子状であり、該導電化材の粒子径は前記正極活物質粒子の粒子径以下である請求項1又は2に記載の電池用正極材料。
- 前記導電化材は炭素材料からなる請求項1〜3のいずれかに記載の電池用正極材料。
- 前記導電化材は前記二次粒子内に均一に分散されている請求項2〜4のいずれかに記載の電池用正極材料。
- 集電体と、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用正極材料を含み該集電体の表面に形成された正極活物質層と、を有することを特徴とする正極。
- 請求項6に記載の正極と、負極と、該正極及び該負極の間を充填する電解質と、を有することを特徴とする電池。
- 正極活物質粒子と導電化材とを混合する混合工程と、
該混合物を焼成し、該正極活物質粒子及び該導電化材を含む一次粒子が固結した二次粒子を形成する二次粒子形成工程と、を有することを特徴とする電池用正極材料の製造方法。
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JP2006344523A (ja) * | 2005-06-09 | 2006-12-21 | Nissan Motor Co Ltd | 非水電解リチウムイオン電池用正極材料、これを用いた電池および非水電解リチウムイオン電池用正極材料の製造方法 |
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- 2002-10-10 JP JP2002298073A patent/JP2004134255A/ja active Pending
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