JP2004132403A - 流体軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数が少なく、低コストでかつ信頼性が高く、さらには軸受隙間への異物の混入を確実に防止することのできる流体軸受装置を提供する。
【解決手段】ハウジング7を、軸受スリーブ8をインサート部品とする樹脂の型成形で形成する。軸受スリーブ8は焼結合金で形成され、その内周にはへリングボーン形の動圧溝が形成されている。型成形に伴ってP部に形成されたバリをハウジング7の上端面7dに樹脂のガラス転位点以上、融点温度以下で溶着する。
【選択図】 図1
【解決手段】ハウジング7を、軸受スリーブ8をインサート部品とする樹脂の型成形で形成する。軸受スリーブ8は焼結合金で形成され、その内周にはへリングボーン形の動圧溝が形成されている。型成形に伴ってP部に形成されたバリをハウジング7の上端面7dに樹脂のガラス転位点以上、融点温度以下で溶着する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜によって回転部材を非接触支持する流体軸受装置に関する。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用として好適である。
【0002】
【従来の技術】
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の一つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
【0003】
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑油に動圧を発生させる動圧発生手段を備えたいわゆる動圧軸受と、動圧発生手段を備えていないいわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
【0004】
例えば、HDD等のディスク装置のスピンドルモータやレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータに組込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に回転自在に支持するスラスト軸受部とが設けられ、ラジアル軸受部として、軸受部材の内周面又は軸部材の外周面に動圧発生用の溝(動圧溝)を設けた動圧軸受が用いられる。スラスト軸受部としては、例えば、軸部材の一端面をスラストプレートによって接触支持する構造の軸受(いわゆるピボット軸受)が用いられる。通常、軸受部材はハウジングの内周の所定位置に固定され、また、ハウジングの内部空間に注油した潤滑油が外部に漏れるのを防止するため、ハウジングの開口部にシール部材を配設する場合が多い(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−191945号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の流体軸受装置は、ハウジング、軸受部材、軸部材、スラストプレート、及びシール部材といった多くの部品で構成され、情報機器の益々の高性能化に伴って必要とされる高い軸受性能を確保すべく、各部品の加工精度や組立精度を高める努力がなされている。その一方で、情報機器の低価格化・小型化の傾向に伴い、この種の流体軸受装置に対するコスト低減の要求も益々厳しくなっている。
【0007】
本発明の課題は、部品点数が少なく、低コストで、かつ信頼性の高い流体軸受装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、軸受部材と、軸受部材の内周に挿入した軸部材と、軸受部材の内周面と軸部材の外周面との間の軸受隙間に介在させた潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向で非接触に支持するラジアル軸受部とを有する流体軸受装置において、軸受部材を、含油焼結金属で底部を有する筒状に形成し、かつ軸受部材の外表面に封孔処理を施したものである。
【0009】
このように軸受部材を、底部を有する筒状に形成したことから、軸受部材の内周に挿入した軸部材の軸端を軸受部材の底部でスラスト方向に接触支持することが可能となる。この際、軸受部材を含油焼結金属で形成しているので、接触部には焼結金属の細孔から滲み出した油が供給され、接触部が良好な潤滑状態に維持される。従って、軸受部材および軸部材のみで、ラジアル軸受部はもちろん、軸部材をスラスト方向で支持するスラスト軸受部をも有する流体軸受装置を提供することができ、この種の軸受装置の低コスト化を図ることができる。軸受部材を通常の金属材料で成形する場合、有底筒状形状を得るためには、削り出し等で成形する必要があり、コストアップを招くと考えられるが、上述のように軸受部材を焼結金属で形成すれば、焼結体を再度押型に入れ圧力を加えることにより(サイジング)、高精度の成形を低コストに行うことが可能となる。
【0010】
軸受部材の外表面には封孔処理が施される。封孔処理を施さない場合、軸受部材の外表面から油が滲み出すため、そのままでは情報機器用のモータ類のように潤滑油漏れを嫌う用途では使用が困難となるが、封孔処理を施すことによってこれらの用途にも使用可能となる。
【0011】
ここでいう「外表面」は、軸部材の挿入後に外部に露出する軸受部材の表面をいい、外周面の他、底部の外側面、開口側の端面等が含まれる。封孔処理は、これらの表面の全てに施す必要はなく、必要箇所にのみ部分的に施してもよいが(例えばモータへの組込みに際してブラケット等と接触する面にのみ施す等)、少なくとも外周面には封孔処理を施すのが望ましい。
【0012】
封孔処理は、軸受部材の表面の開孔を閉じるような全ての処理をいい、例えば軸受部材をインサート部品とする樹脂の型成形でハウジングを形成するもの(インサート成形)が該当する。インサート成形により、成形型のキャビティに臨む軸受部材の表面の開孔から表層部の気孔内に溶融樹脂が侵入して固化するので、一種のアンカー効果により樹脂を上記表面に強固に固着することができる。
【0013】
この構造であれば、樹脂製ハウジングによって軸受部材の表面からの油の滲み出しが抑制されるため、モータ等への組込みも容易となり、また、ハウジングと軸受部材を接着や圧入で固定する場合に比べて、工数を削減できるために製造コストの低廉化を図ることができる。
【0014】
ところで、インサート成形において樹脂が固化する際、ハウジングの底部を構成する樹脂部分には内径側への内部応力が発生する。軸受部材が従来品と同様に両端を開口した円筒状(スリーブ状)であると、この内部応力が軸受部材の内周の面取り部(ハウジングの底部側)から樹脂を剥離する方向に作用するため、当該面取り部から樹脂が剥離し、ハウジングと軸受部材の接合強度を低下させたり、剥離部分が脱落して軸受隙間に入り込み、軸受性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
これに対し、上述のように軸受部材が底部を有する筒状であれば、上記底部側の内周面取り部が存在しないため、この部分からの樹脂の剥離自体が起こり得ず、従って、樹脂の剥離に伴う上記問題の発生も回避することができる。
【0016】
ハウジングは、その一端側に底部を有するものとすることができる。これによりハウジング底部開口を別部材で閉塞する必要がなく、部品点数や組立工数の削減による低コスト化を図ることができる。
【0017】
また、ハウジングは、その他端側に、軸部材の外周面との間にシール空間を形成するシール部を有するものとすることができる。これにより、ハウジングと別のシール部材でシールする場合に比べ、部品点数や組立工数の削減によるさらなる低コスト化を図ることができる。
【0018】
ラジアル軸受部を、動圧発生手段によりラジアル軸受隙間内に潤滑油の動圧作用を生じさせ、その圧力で軸部材をラジアル方向に非接触支持するもの(動圧軸受)で構成すれば、上記真円軸受に比べて軸振れを少なくし、ラジアル方向の軸受剛性を高めることができるので、高回転精度が要求される情報機器用のモータ類に使用する上で好適となる。
【0019】
以上の流体軸受装置には、軸部材をスラスト方向で支持するスラスト軸受部を設けることができる。スラスト軸受部としては、軸部材の端部を軸受部材の底部に接触させてスラスト荷重を支持するピボット軸受の他、軸受部材の底部と軸部材の端部との間に形成されたスラスト軸受隙間に、動圧発生手段により潤滑油の動圧作用を生じさせ、その圧力で軸部材をスラスト方向に非接触支持するもの(動圧軸受)を使用することもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、この実施形態に係る流体軸受装置(流体動圧軸受装置)1を示している。この流体軸受装置1は、例えば、HDD等のディスク装置のスピンドルモータやレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータに組込まれるもので、軸受部材3と軸部材2とを主要な構成部品とする。なお、以下では、説明の便宜上、スラスト軸受部Tの側を下側、スラスト軸受部Tと反対の側を上側として説明を進める。
【0022】
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材で形成され、その下側端面は凸球状に形成される。軸部材2は、軸受部材3の内周に挿入され、その先端の凸球状部は後述する軸受部材3の底部31に接触している。
【0023】
軸受部材3は、例えば、多孔質の含油焼結金属で底部31および側部32を有する有底円筒状に形成される。焼結金属としては、例えば、銅、鉄、及びアルミニウムの中から選択される1種以上の金属粉末、若しくは銅被覆鉄粉などの被覆処理を施した金属粉末や合金粉末を主原料とし、必要に応じて、すず、亜鉛、鉛、黒鉛、二硫化モリブデン等の粉末又はこれらの合金粉末を混合し、成形し、焼結して得られたものを用いることができる。このような焼結金属は、内部に多数の気孔(内部組織としての気孔)を備えていると共に、これら気孔が外表面に通じて形成される多数の開孔を備えている。
【0024】
この焼結金属で形成された軸受部材3の内周面3aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、これら2つの領域には、動圧発生手段として、例えば破線で示すヘリングボーン形状の動圧溝がそれぞれ形成される。尚、動圧溝の形状として、スパイラル形状や軸方向溝形状等を採用しても良く、また、動圧溝は軸部材2の外周面に形成してもよい。その他、動圧発生手段として、軸受部材3の内周面3aを非円形(例えば複数の円弧を組み合わせたもの)とすることもできる。
【0025】
本発明において、軸受部材3の外表面には封孔処理が行われる。図1は封孔処理層5を軸受部材3の底部31の外側面3c、外周面3d、および開口側の端面3eに形成した例である。このような封孔処理層5を形成するための具体的処理としては、表面に樹脂を含浸させる方法、表面を樹脂等のフィルム材で被覆する方法、表面に目潰し加工を施す方法等が考えられる。
【0026】
この実施形態の動圧軸受装置1は、軸受部材3に対して、軸部材2を装着することによって組立ることができる。すなわち、軸部材2を軸受部材3の内周面3aに挿入して、その下側端面を軸受部材3の底部31に接触させる。そして、例えば真空引きの状態で、軸受部材3の内部空間に潤滑油を注油し、その後、大気圧に開放する等の手段で、軸受隙間等の内部空間を油で満たすと共に、軸受部材3の気孔に油を含浸させる。
【0027】
軸受部材3と軸部材2の相対回転時(本実施形態では軸部材2の回転時)、軸受部材3の内周面3aのラジアル軸受面となる領域(上下2箇所の領域)は、それぞれ、軸部材2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間に潤滑油の動圧効果によって圧力が発生し、軸部材2が上記ラジアル軸受隙間に形成される油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが軸方向に離隔して構成される。同時に、軸部材2の下側端面がスラスト受け面4となる軸受部材3の底部31内側面によって接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に支持するスラスト軸受部Tが構成される。軸部材2とスラスト受け面4との接触部には焼結金属の細孔から滲み出した油が供給されるので、接触部を良好な潤滑状態に維持することができる。
【0028】
この実施形態によれば、軸受部材3および軸部材2のみで、ラジアル軸受部R1、R2はもちろん、スラスト軸受部Tをも有する流体軸受装置を提供することができるので、この種の軸受装置の低コスト化を図ることができる。また、軸受部材3が焼結金属で形成されているので、焼結体を再度押型に入れて圧力を加えることにより(サイジング)、高精度の成形が低コストに行える。この再圧縮時に軸受部材3の内周面3aに動圧溝形状に対応した溝型部を有する成形型を挿入すれば、サイジングと同時に動圧溝を形成することもできる。軸受部材3の外表面には上記の通り封孔処理が施されているので、その表面から油が滲み出すことはなく、従って、情報機器用のモータ類のように潤滑油漏れが厳しく制限される用途でも軸受装置1の組み付けが可能となる。
【0029】
図2〜図4は、上記封孔処理の他の例を示すもので、軸受部材3をインサート部品とした樹脂の型成形でハウジング50を形成した軸受装置1を示す。このインサート成形により、軸受部材3からの油の滲み出しがハウジング50によって規制される。また、ハウジング50と軸受部材3とが別段の固定工程を経ることなく相互に固定されるので、接着や圧入等の手段で両者を固定していた従来品に比べて製造コストの低廉化を図ることができる。
【0030】
図2に示す実施形態において、インサート成形されたハウジング50は、円筒状の側部52と、側部52の下端に一体形成された底部51と、側部52の上端から内径側に一体に延びた環状のシール部53とを備えるコップ型をなす。シール部53の内周面53aは、軸部材2の外周面2aと円筒状のシール空間S1を介して対向している。なお、軸受部材3の内周面3aや内周上端側の面取り部3fは樹脂に覆われていない。
【0031】
ハウジング50のインサート成形自体は、軸受部材3が有底円筒状ではなく、従来品のように両端を開口させた単なる円筒状である場合にも同様に行うことができる。しかしながら、この場合、上記コップ型ハウジング50をインサート形成すると、軸受部材3のハウジング底部側の内周面取り部から樹脂が剥離し易くなり、ハウジング50と軸受部材3の接合強度の低下を招いたり、あるいは剥離部分が脱落して軸受隙間に入り込み、軸受性能に悪影響を及ぼすことが懸念される。これは、樹脂が固化する際、ハウジングの底部を構成する樹脂部分に内径側への内部応力が発生し、この内部応力が軸受部材の内周の面取り部(ハウジングの底部側)から樹脂を剥離する方向に作用するためである。
【0032】
これに対し、上述のように軸受部材3を有底円筒状に形成すれば、軸受部材3から底部側の内周面取り部を排除することができる。従って、当該面取り部からの樹脂の剥離は起こり得ず、樹脂の剥離に伴う上記問題の発生も回避することができる。
【0033】
図3は、図2の実施形態の変形例で、当該実施形態とは、スラスト受け面4が軸受部材3の底部31内側面に配置されたスラスト部材6に形成されている点、およびシール部53の内周面53aと対向する軸部材2の外周面2aがテーパ面2a1となっている点が異なる。
【0034】
スラスト部材6は、樹脂等の低摩擦材料でプレート状に形成されている。図2の実施形態の構造では、軸部材2の下側端面がハウジング50に接触しているため、接触部に求められる特性(摺動特性、音響特性等)と構造材として求められる特性(強度、耐熱性等)とを共通の部位で満たす必要があり、樹脂材料の選定が難しくなる。これに対し、図3に示す実施形態のようにスラスト部材6を配置すれば、これら二つの特性を分離して設計することができ、それぞれの特性について最適な樹脂選定を行うことが可能となる。
【0035】
軸部材2のテーパ面2a1は、上方に向けて縮径しており、シール部53の円筒状の内周面53aとの間でテーパ状のシール空間S2を形成している。軸部材2の回転時、軸部材2のテーパ面2a1はいわゆる遠心力シールとしても機能するため、良好なシール機能が得られる。もちろん円筒状のシール空間S1とテーパ状のシール空間S2は求められるシール機能に基づいて任意に選択することができ、図2に示す軸受装置1でテーパ状のシール空間S2を使用してもよいし、あるいは図3に示す軸受装置1で円筒状のシール空間S1を使用してもよい。
【0036】
図4も図2に示す実施形態の変形例で、当該実施形態とは、ハウジング50のシール部53を省略すると共に、別体のシール部材7を軸受部材3の上端に配置した点が異なる。シール部材7の内周面7aと軸部材2の外周面2aとの間で円筒状のシール空間S1が形成され、また、シール部材7の下側端面7bは軸受部材3の開口側端面3eと接触している。この場合、ハウジング50のインサート成形は、軸受部材3およびシール部材7の双方をインサート部品として行われる。ハウジング50の側部52上端には、内径側に延びる押さえ部54が一体形成され、これによりシール部材7を上方から拘束する構造になっている。
【0037】
図4に示す実施形態では、図3に示す実施形態と同様にスラスト軸受部Tにスラスト部材6を使用し、あるいは軸部材2の外周面2aにテーパ面2a1を設けてテーパ状のシール空間S2を形成することもできる。
【0038】
以上の説明では、スラスト軸受部Tとして、軸部材2の端部を接触支持するピボット軸受を例示しているが、このスラスト軸受部Tとしては、ラジアル軸受部R1、R2と同様に、軸受隙間に生じた潤滑油の動圧作用で圧力を発生させて軸部材2をスラスト方向で非接触支持する動圧軸受を使用することもできる。
【0039】
図5(a)(b)はその一例で、軸受部材3のスラスト受け面4(底部3cの内側面)に、スラスト軸受面となる領域を形成したものである。この領域には、動圧発生手段として、例えばスパイラル形状の動圧溝4aが形成されている。これにより、図示しない軸部材の回転時には、スラスト受け面4と軸部材の端部との間のスラスト軸受隙間に、動圧溝4aによって潤滑油の動圧作用が生じ、その圧力で軸部材がスラスト方向に非接触支持される。動圧溝4aはヘリングボーン形状でもよく、また、軸部材(図示せず)の端部に動圧溝を形成することもできる。
【0040】
なお、上記何れの実施形態においても、ラジアル軸受部R1、R2の何れか一方または双方を真円軸受で構成することもできる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、コンパクトで部品点数が少なく、より一層低コストで、且つ信頼性の高い流体軸受装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる流体軸受装置を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図5】(a)図は本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図、(b)図はこれに用いる軸受部材の平面図である。
【符号の説明】
1 流体軸受装置
2 軸部材
2a 外周面
3 軸受部材
4 スラスト受け面
31 底部
32 側部
3a 内周面
4 スラスト受け面
4a 動圧溝
5 封孔処理層
6 スラスト部材
7 シール部材
50 ハウジング
51 底部
52 側部
53 シール部
R1 第1ラジアル軸受部
R2 第2ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜によって回転部材を非接触支持する流体軸受装置に関する。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用として好適である。
【0002】
【従来の技術】
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の一つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
【0003】
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑油に動圧を発生させる動圧発生手段を備えたいわゆる動圧軸受と、動圧発生手段を備えていないいわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
【0004】
例えば、HDD等のディスク装置のスピンドルモータやレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータに組込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に回転自在に支持するスラスト軸受部とが設けられ、ラジアル軸受部として、軸受部材の内周面又は軸部材の外周面に動圧発生用の溝(動圧溝)を設けた動圧軸受が用いられる。スラスト軸受部としては、例えば、軸部材の一端面をスラストプレートによって接触支持する構造の軸受(いわゆるピボット軸受)が用いられる。通常、軸受部材はハウジングの内周の所定位置に固定され、また、ハウジングの内部空間に注油した潤滑油が外部に漏れるのを防止するため、ハウジングの開口部にシール部材を配設する場合が多い(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−191945号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の流体軸受装置は、ハウジング、軸受部材、軸部材、スラストプレート、及びシール部材といった多くの部品で構成され、情報機器の益々の高性能化に伴って必要とされる高い軸受性能を確保すべく、各部品の加工精度や組立精度を高める努力がなされている。その一方で、情報機器の低価格化・小型化の傾向に伴い、この種の流体軸受装置に対するコスト低減の要求も益々厳しくなっている。
【0007】
本発明の課題は、部品点数が少なく、低コストで、かつ信頼性の高い流体軸受装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、軸受部材と、軸受部材の内周に挿入した軸部材と、軸受部材の内周面と軸部材の外周面との間の軸受隙間に介在させた潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向で非接触に支持するラジアル軸受部とを有する流体軸受装置において、軸受部材を、含油焼結金属で底部を有する筒状に形成し、かつ軸受部材の外表面に封孔処理を施したものである。
【0009】
このように軸受部材を、底部を有する筒状に形成したことから、軸受部材の内周に挿入した軸部材の軸端を軸受部材の底部でスラスト方向に接触支持することが可能となる。この際、軸受部材を含油焼結金属で形成しているので、接触部には焼結金属の細孔から滲み出した油が供給され、接触部が良好な潤滑状態に維持される。従って、軸受部材および軸部材のみで、ラジアル軸受部はもちろん、軸部材をスラスト方向で支持するスラスト軸受部をも有する流体軸受装置を提供することができ、この種の軸受装置の低コスト化を図ることができる。軸受部材を通常の金属材料で成形する場合、有底筒状形状を得るためには、削り出し等で成形する必要があり、コストアップを招くと考えられるが、上述のように軸受部材を焼結金属で形成すれば、焼結体を再度押型に入れ圧力を加えることにより(サイジング)、高精度の成形を低コストに行うことが可能となる。
【0010】
軸受部材の外表面には封孔処理が施される。封孔処理を施さない場合、軸受部材の外表面から油が滲み出すため、そのままでは情報機器用のモータ類のように潤滑油漏れを嫌う用途では使用が困難となるが、封孔処理を施すことによってこれらの用途にも使用可能となる。
【0011】
ここでいう「外表面」は、軸部材の挿入後に外部に露出する軸受部材の表面をいい、外周面の他、底部の外側面、開口側の端面等が含まれる。封孔処理は、これらの表面の全てに施す必要はなく、必要箇所にのみ部分的に施してもよいが(例えばモータへの組込みに際してブラケット等と接触する面にのみ施す等)、少なくとも外周面には封孔処理を施すのが望ましい。
【0012】
封孔処理は、軸受部材の表面の開孔を閉じるような全ての処理をいい、例えば軸受部材をインサート部品とする樹脂の型成形でハウジングを形成するもの(インサート成形)が該当する。インサート成形により、成形型のキャビティに臨む軸受部材の表面の開孔から表層部の気孔内に溶融樹脂が侵入して固化するので、一種のアンカー効果により樹脂を上記表面に強固に固着することができる。
【0013】
この構造であれば、樹脂製ハウジングによって軸受部材の表面からの油の滲み出しが抑制されるため、モータ等への組込みも容易となり、また、ハウジングと軸受部材を接着や圧入で固定する場合に比べて、工数を削減できるために製造コストの低廉化を図ることができる。
【0014】
ところで、インサート成形において樹脂が固化する際、ハウジングの底部を構成する樹脂部分には内径側への内部応力が発生する。軸受部材が従来品と同様に両端を開口した円筒状(スリーブ状)であると、この内部応力が軸受部材の内周の面取り部(ハウジングの底部側)から樹脂を剥離する方向に作用するため、当該面取り部から樹脂が剥離し、ハウジングと軸受部材の接合強度を低下させたり、剥離部分が脱落して軸受隙間に入り込み、軸受性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
これに対し、上述のように軸受部材が底部を有する筒状であれば、上記底部側の内周面取り部が存在しないため、この部分からの樹脂の剥離自体が起こり得ず、従って、樹脂の剥離に伴う上記問題の発生も回避することができる。
【0016】
ハウジングは、その一端側に底部を有するものとすることができる。これによりハウジング底部開口を別部材で閉塞する必要がなく、部品点数や組立工数の削減による低コスト化を図ることができる。
【0017】
また、ハウジングは、その他端側に、軸部材の外周面との間にシール空間を形成するシール部を有するものとすることができる。これにより、ハウジングと別のシール部材でシールする場合に比べ、部品点数や組立工数の削減によるさらなる低コスト化を図ることができる。
【0018】
ラジアル軸受部を、動圧発生手段によりラジアル軸受隙間内に潤滑油の動圧作用を生じさせ、その圧力で軸部材をラジアル方向に非接触支持するもの(動圧軸受)で構成すれば、上記真円軸受に比べて軸振れを少なくし、ラジアル方向の軸受剛性を高めることができるので、高回転精度が要求される情報機器用のモータ類に使用する上で好適となる。
【0019】
以上の流体軸受装置には、軸部材をスラスト方向で支持するスラスト軸受部を設けることができる。スラスト軸受部としては、軸部材の端部を軸受部材の底部に接触させてスラスト荷重を支持するピボット軸受の他、軸受部材の底部と軸部材の端部との間に形成されたスラスト軸受隙間に、動圧発生手段により潤滑油の動圧作用を生じさせ、その圧力で軸部材をスラスト方向に非接触支持するもの(動圧軸受)を使用することもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、この実施形態に係る流体軸受装置(流体動圧軸受装置)1を示している。この流体軸受装置1は、例えば、HDD等のディスク装置のスピンドルモータやレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータに組込まれるもので、軸受部材3と軸部材2とを主要な構成部品とする。なお、以下では、説明の便宜上、スラスト軸受部Tの側を下側、スラスト軸受部Tと反対の側を上側として説明を進める。
【0022】
軸部材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材で形成され、その下側端面は凸球状に形成される。軸部材2は、軸受部材3の内周に挿入され、その先端の凸球状部は後述する軸受部材3の底部31に接触している。
【0023】
軸受部材3は、例えば、多孔質の含油焼結金属で底部31および側部32を有する有底円筒状に形成される。焼結金属としては、例えば、銅、鉄、及びアルミニウムの中から選択される1種以上の金属粉末、若しくは銅被覆鉄粉などの被覆処理を施した金属粉末や合金粉末を主原料とし、必要に応じて、すず、亜鉛、鉛、黒鉛、二硫化モリブデン等の粉末又はこれらの合金粉末を混合し、成形し、焼結して得られたものを用いることができる。このような焼結金属は、内部に多数の気孔(内部組織としての気孔)を備えていると共に、これら気孔が外表面に通じて形成される多数の開孔を備えている。
【0024】
この焼結金属で形成された軸受部材3の内周面3aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、これら2つの領域には、動圧発生手段として、例えば破線で示すヘリングボーン形状の動圧溝がそれぞれ形成される。尚、動圧溝の形状として、スパイラル形状や軸方向溝形状等を採用しても良く、また、動圧溝は軸部材2の外周面に形成してもよい。その他、動圧発生手段として、軸受部材3の内周面3aを非円形(例えば複数の円弧を組み合わせたもの)とすることもできる。
【0025】
本発明において、軸受部材3の外表面には封孔処理が行われる。図1は封孔処理層5を軸受部材3の底部31の外側面3c、外周面3d、および開口側の端面3eに形成した例である。このような封孔処理層5を形成するための具体的処理としては、表面に樹脂を含浸させる方法、表面を樹脂等のフィルム材で被覆する方法、表面に目潰し加工を施す方法等が考えられる。
【0026】
この実施形態の動圧軸受装置1は、軸受部材3に対して、軸部材2を装着することによって組立ることができる。すなわち、軸部材2を軸受部材3の内周面3aに挿入して、その下側端面を軸受部材3の底部31に接触させる。そして、例えば真空引きの状態で、軸受部材3の内部空間に潤滑油を注油し、その後、大気圧に開放する等の手段で、軸受隙間等の内部空間を油で満たすと共に、軸受部材3の気孔に油を含浸させる。
【0027】
軸受部材3と軸部材2の相対回転時(本実施形態では軸部材2の回転時)、軸受部材3の内周面3aのラジアル軸受面となる領域(上下2箇所の領域)は、それぞれ、軸部材2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間に潤滑油の動圧効果によって圧力が発生し、軸部材2が上記ラジアル軸受隙間に形成される油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが軸方向に離隔して構成される。同時に、軸部材2の下側端面がスラスト受け面4となる軸受部材3の底部31内側面によって接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に支持するスラスト軸受部Tが構成される。軸部材2とスラスト受け面4との接触部には焼結金属の細孔から滲み出した油が供給されるので、接触部を良好な潤滑状態に維持することができる。
【0028】
この実施形態によれば、軸受部材3および軸部材2のみで、ラジアル軸受部R1、R2はもちろん、スラスト軸受部Tをも有する流体軸受装置を提供することができるので、この種の軸受装置の低コスト化を図ることができる。また、軸受部材3が焼結金属で形成されているので、焼結体を再度押型に入れて圧力を加えることにより(サイジング)、高精度の成形が低コストに行える。この再圧縮時に軸受部材3の内周面3aに動圧溝形状に対応した溝型部を有する成形型を挿入すれば、サイジングと同時に動圧溝を形成することもできる。軸受部材3の外表面には上記の通り封孔処理が施されているので、その表面から油が滲み出すことはなく、従って、情報機器用のモータ類のように潤滑油漏れが厳しく制限される用途でも軸受装置1の組み付けが可能となる。
【0029】
図2〜図4は、上記封孔処理の他の例を示すもので、軸受部材3をインサート部品とした樹脂の型成形でハウジング50を形成した軸受装置1を示す。このインサート成形により、軸受部材3からの油の滲み出しがハウジング50によって規制される。また、ハウジング50と軸受部材3とが別段の固定工程を経ることなく相互に固定されるので、接着や圧入等の手段で両者を固定していた従来品に比べて製造コストの低廉化を図ることができる。
【0030】
図2に示す実施形態において、インサート成形されたハウジング50は、円筒状の側部52と、側部52の下端に一体形成された底部51と、側部52の上端から内径側に一体に延びた環状のシール部53とを備えるコップ型をなす。シール部53の内周面53aは、軸部材2の外周面2aと円筒状のシール空間S1を介して対向している。なお、軸受部材3の内周面3aや内周上端側の面取り部3fは樹脂に覆われていない。
【0031】
ハウジング50のインサート成形自体は、軸受部材3が有底円筒状ではなく、従来品のように両端を開口させた単なる円筒状である場合にも同様に行うことができる。しかしながら、この場合、上記コップ型ハウジング50をインサート形成すると、軸受部材3のハウジング底部側の内周面取り部から樹脂が剥離し易くなり、ハウジング50と軸受部材3の接合強度の低下を招いたり、あるいは剥離部分が脱落して軸受隙間に入り込み、軸受性能に悪影響を及ぼすことが懸念される。これは、樹脂が固化する際、ハウジングの底部を構成する樹脂部分に内径側への内部応力が発生し、この内部応力が軸受部材の内周の面取り部(ハウジングの底部側)から樹脂を剥離する方向に作用するためである。
【0032】
これに対し、上述のように軸受部材3を有底円筒状に形成すれば、軸受部材3から底部側の内周面取り部を排除することができる。従って、当該面取り部からの樹脂の剥離は起こり得ず、樹脂の剥離に伴う上記問題の発生も回避することができる。
【0033】
図3は、図2の実施形態の変形例で、当該実施形態とは、スラスト受け面4が軸受部材3の底部31内側面に配置されたスラスト部材6に形成されている点、およびシール部53の内周面53aと対向する軸部材2の外周面2aがテーパ面2a1となっている点が異なる。
【0034】
スラスト部材6は、樹脂等の低摩擦材料でプレート状に形成されている。図2の実施形態の構造では、軸部材2の下側端面がハウジング50に接触しているため、接触部に求められる特性(摺動特性、音響特性等)と構造材として求められる特性(強度、耐熱性等)とを共通の部位で満たす必要があり、樹脂材料の選定が難しくなる。これに対し、図3に示す実施形態のようにスラスト部材6を配置すれば、これら二つの特性を分離して設計することができ、それぞれの特性について最適な樹脂選定を行うことが可能となる。
【0035】
軸部材2のテーパ面2a1は、上方に向けて縮径しており、シール部53の円筒状の内周面53aとの間でテーパ状のシール空間S2を形成している。軸部材2の回転時、軸部材2のテーパ面2a1はいわゆる遠心力シールとしても機能するため、良好なシール機能が得られる。もちろん円筒状のシール空間S1とテーパ状のシール空間S2は求められるシール機能に基づいて任意に選択することができ、図2に示す軸受装置1でテーパ状のシール空間S2を使用してもよいし、あるいは図3に示す軸受装置1で円筒状のシール空間S1を使用してもよい。
【0036】
図4も図2に示す実施形態の変形例で、当該実施形態とは、ハウジング50のシール部53を省略すると共に、別体のシール部材7を軸受部材3の上端に配置した点が異なる。シール部材7の内周面7aと軸部材2の外周面2aとの間で円筒状のシール空間S1が形成され、また、シール部材7の下側端面7bは軸受部材3の開口側端面3eと接触している。この場合、ハウジング50のインサート成形は、軸受部材3およびシール部材7の双方をインサート部品として行われる。ハウジング50の側部52上端には、内径側に延びる押さえ部54が一体形成され、これによりシール部材7を上方から拘束する構造になっている。
【0037】
図4に示す実施形態では、図3に示す実施形態と同様にスラスト軸受部Tにスラスト部材6を使用し、あるいは軸部材2の外周面2aにテーパ面2a1を設けてテーパ状のシール空間S2を形成することもできる。
【0038】
以上の説明では、スラスト軸受部Tとして、軸部材2の端部を接触支持するピボット軸受を例示しているが、このスラスト軸受部Tとしては、ラジアル軸受部R1、R2と同様に、軸受隙間に生じた潤滑油の動圧作用で圧力を発生させて軸部材2をスラスト方向で非接触支持する動圧軸受を使用することもできる。
【0039】
図5(a)(b)はその一例で、軸受部材3のスラスト受け面4(底部3cの内側面)に、スラスト軸受面となる領域を形成したものである。この領域には、動圧発生手段として、例えばスパイラル形状の動圧溝4aが形成されている。これにより、図示しない軸部材の回転時には、スラスト受け面4と軸部材の端部との間のスラスト軸受隙間に、動圧溝4aによって潤滑油の動圧作用が生じ、その圧力で軸部材がスラスト方向に非接触支持される。動圧溝4aはヘリングボーン形状でもよく、また、軸部材(図示せず)の端部に動圧溝を形成することもできる。
【0040】
なお、上記何れの実施形態においても、ラジアル軸受部R1、R2の何れか一方または双方を真円軸受で構成することもできる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、コンパクトで部品点数が少なく、より一層低コストで、且つ信頼性の高い流体軸受装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる流体軸受装置を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図5】(a)図は本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図、(b)図はこれに用いる軸受部材の平面図である。
【符号の説明】
1 流体軸受装置
2 軸部材
2a 外周面
3 軸受部材
4 スラスト受け面
31 底部
32 側部
3a 内周面
4 スラスト受け面
4a 動圧溝
5 封孔処理層
6 スラスト部材
7 シール部材
50 ハウジング
51 底部
52 側部
53 シール部
R1 第1ラジアル軸受部
R2 第2ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
Claims (6)
- 軸受部材と、軸受部材の内周に挿入した軸部材と、軸受部材の内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に介在させた潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向で非接触に支持するラジアル軸受部とを有する流体軸受装置において、
軸受部材を、含油焼結金属で底部を有する筒状に形成し、かつ軸受部材の外表面に封孔処理を施したことを特徴とする流体軸受装置。 - 封孔処理として、軸受部材をインサート部品とする樹脂の型成形でハウジングを形成した請求項1記載の流体軸受装置。
- ハウジングが、その一端側に底部を有する請求項2記載の流体軸受装置。
- ハウジングが、その他端側に、軸部材の外周面との間にシール空間を形成するシール部を有する請求項2または3記載の流体軸受装置。
- ラジアル軸受部が、動圧発生手段によりラジアル軸受隙間内に潤滑油の動圧作用を生じさせ、その圧力で軸部材をラジアル方向に非接触支持するものである請求項1〜4何れか記載の流体軸受装置。
- 軸受部材の底部と軸部材の端部との間に形成されたスラスト軸受隙間に、動圧発生手段により潤滑油の動圧作用を生じさせ、その圧力で軸部材をスラスト方向に非接触支持するスラスト軸受部を有する請求項1〜5何れか記載の流体軸受装置。
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