JP2004132294A - 車輌のオイル循環供給方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気ガスの温度低下をきたすことなく内燃機関の始動時や再始動時等にも車輌の各部へできるだけ適温のオイルを循環供給すると共に、車輌全体としての熱効率を向上させる。
【解決手段】主オイル循環通路34の一部を通る補助オイル循環通路52と、補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプ38とを有し、電動オイルポンプ38の吸入プレナム62は補助オイル循環通路に設けられ内燃機関10の排気管36よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段として機能する車輌のオイル循環供給装置であり、電動オイルポンプ38を選択的に作動させることにより、吸入プレナム62内の昇温したオイルを補助オイル循環通路を経て選択的に循環させる。
【選択図】 図1
【解決手段】主オイル循環通路34の一部を通る補助オイル循環通路52と、補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプ38とを有し、電動オイルポンプ38の吸入プレナム62は補助オイル循環通路に設けられ内燃機関10の排気管36よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段として機能する車輌のオイル循環供給装置であり、電動オイルポンプ38を選択的に作動させることにより、吸入プレナム62内の昇温したオイルを補助オイル循環通路を経て選択的に循環させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌のオイル循環供給方法及び装置に係り、更に詳細には内燃機関よりの輻射熱を利用するオイル循環供給方法及び装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に搭載されるオイル循環供給装置の一つとして、例えば本願出願人の一方の出願にかかる下記の特許文献1等に記載されている如く、内燃機関を通りオイルが循環される主オイル循環通路と、内燃機関の運転中には常時作動して主オイル循環通路を経てオイルを循環させるオイルポンプと、主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路と、補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプとを有するオイル循環供給装置が従来より知られている。
【0003】
この種の補助オイル循環通路及び電動オイルポンプを備えたオイル循環供給装置によれば、内燃機関や車輌の状況に応じて電動オイルポンプを制御することにより、内燃機関や車輌の状況に応じてオイルの循環を制御することができるので、補助オイル循環通路及び電動オイルポンプを有しないオイル循環供給装置の場合に比して、車輌の各部へ好ましくオイルを供給することができる。
【特許文献1】
特開2002−155865号公報(第2−11頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、自動車等の車輌に於いては、内燃機関により発生される熱の一部が利用されずに排気ガスと共に排気熱として捨てられており、排気熱は内燃機関により発生される全熱エネルギの15%以上であることが知られており、また排気熱のうち排気管等より輻射熱として捨てられる熱エネルギの割合が高いことも知られている。
【0005】
また内燃機関の始動時や再始動時等に於いては、各摺動部の油膜が切れた状態になり易く、また低温始動時には潤滑オイルの温度が低くその粘度が高いため、フリクションの上昇を招いていることが知られている。従って内燃機関の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを各摺動部へ供給することが望ましい。
【0006】
しかるに上記特許文献1に記載されたオイル循環供給装置や従来の一般的なオイル循環供給装置に於いては、内燃機関の排気熱の有効利用については考慮されておらず、従って内燃機関の始動時や再始動時等に各摺動部を良好に潤滑することができない場合があり、また車輌全体としての熱効率を向上させる上で改善の余地がある。
【0007】
また内燃機関の排気熱を有効に利用すべく、排気ガスの熱を利用してオイルを加熱しようとすると、その態様によっては排気ガスの温度が低下し、排気ガスの熱により活性化される排気ガス浄化触媒の機能が阻害されるという新たな問題が生じる場合がある。
【0008】
本発明は、従来のオイル循環供給装置に於ける上述の如き問題及び排気ガスの熱を利用してオイルを加熱する場合に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、オイルの循環供給に際し内燃機関よりの輻射熱を有効に利用することにより、排気ガスの温度低下をきたすことなく内燃機関の始動時や再始動時等にも車輌の各部へできるだけ適温のオイルを循環供給すると共に、車輌全体としての熱効率を向上させることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、内燃機関よりの輻射熱によりオイルを昇温させ、主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路を経て前記昇温したオイルを選択的に循環させる車輌のオイル循環供給方法(請求項1の構成)、又は主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路と、前記補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプと、前記補助オイル循環通路に設けられ前記内燃機関よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段とを有する車輌のオイル循環供給装置(請求項4の構成)によって達成される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記昇温したオイルを循環させる必要性を判定し、前記昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときに前記昇温したオイルを循環させるよう構成される(請求項2の構成)。
【0011】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記補助オイル循環通路は複数の分岐通路を有し、前記昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて前記昇温したオイルを循環させる分岐通路を切換えるよう構成される(請求項2の構成)。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3の構成に於いて、前記昇温したオイルを循環させる必要性を判定し、前記昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときに前記電動オイルポンプを作動させる制御手段を有するよう構成される(請求項5の構成)。
【0013】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4又は5の構成に於いて、前記補助オイル循環通路は前記電動オイルポンプの下流側に設けられた複数の分岐通路と、前記昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて前記複数の分岐通路を切換える切換え手段とを有するよう構成される(請求項6の構成)。
【0014】
尚本明細書に於いて、「オイルを選択的に循環させる」とは、オイルを常時循環させるのではなく、オイルを循環させる状況とオイルを循環させない状況とがある態様にてオイル循環を行うことを意味する。
【0015】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の構成によれば、内燃機関よりの輻射熱によりオイルが昇温せしめられ、昇温したオイルが主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路を経て選択的に循環せしめられるので、内燃機関の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを各部へ供給することができ、また車輌全体としての熱効率を向上させることができ、更には排気ガスの温度を低下させることがないので、排気ガスの温度低下に起因する排気ガス浄化触媒の機能低下を来たすことなくオイルを昇温させることができる。
【0016】
また上記請求項2の構成によれば、昇温したオイルを循環させる必要性が判定され、昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときに昇温したオイルが循環せしめられるので、昇温したオイルを循環させる必要がない状況に於いて不必要に昇温したオイルが循環供給されることを回避することができると共に、オイルを十分に昇温させることができる。
【0017】
また上記請求項3の構成によれば、補助オイル循環通路は複数の分岐通路を有し、昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて昇温したオイルを循環させる分岐通路が切換えられるので、昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて適切に昇温したオイルを循環供給することができる。
【0018】
また上記請求項4の構成によれば、主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路と、補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプと、補助オイル循環通路に設けられ内燃機関よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段とを有するので、昇温したオイルを選択的に循環させることができ、これにより内燃機関の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを各部へ供給することができ、また車輌全体としての熱効率を向上させることができ、更には排気ガスの温度を低下させることがないので、排気ガスの温度低下に起因する排気ガス浄化触媒の機能低下を来たすことなくオイルを昇温させることができる。
【0019】
また上記請求項5の構成によれば、昇温したオイル循環させる必要性が判定され、昇温したオイル循環させる必要があると判定されたときに電動オイルポンプが作動されるので、上記請求項2の構成の場合と同様、昇温したオイルを循環させる必要がない状況に於いて不必要に昇温したオイルが循環供給されることを回避することができると共に、オイルを十分に昇温させることができる。
【0020】
また上記請求項6の構成によれば、補助オイル循環通路は電動オイルポンプの下流側に設けられた複数の分岐通路と、昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて複数の分岐通路を切換える切換え手段とを有するので、上記請求項3の構成の場合と同様、昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて適切に昇温したオイルを循環供給することができる。
【0021】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は4の構成に於いて、輻射熱は内燃機関の排気管よりの輻射熱であるよう構成される(好ましい態様1)。
【0022】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2又は5の構成に於いて、内燃機関の始動時であって、オイルが循環供給される装置の温度が低いときに昇温したオイルを循環させる必要があると判定されるよう構成される(好ましい態様2)。
【0023】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、オイルが循環供給される装置は内燃機関であるよう構成される(好ましい態様3)。
【0024】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、オイルが循環供給される装置は油圧装置であるよう構成される(好ましい態様4)。
【0025】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2又は5の構成に於いて、昇温したオイルの温度が過剰であるときに昇温したオイルを循環させる必要があると判定されるよう構成される(好ましい態様5)。
【0026】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5の方法に於いて、昇温したオイルの温度が過剰であり昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときには、内燃機関が低負荷且つ低回転状態にあるときにオイルを循環させるよう構成される(好ましい態様6)。
【0027】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5の装置に於いて、昇温したオイルの温度が過剰であり昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときには、内燃機関が低負荷且つ低回転状態にあるときに電動オイルポンプを作動させるよう構成される(好ましい態様7)。
【0028】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は5の構成に於いて、複数の分岐通路は内燃機関の互いに異なる部位を通る通路であるよう構成される(好ましい態様8)。
【0029】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は5の構成に於いて、複数の分岐通路は摺動部を潤滑するための通路と、油圧装置へオイルを供給するための通路とを含むよう構成される(好ましい態様9)。
【0030】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、電動オイルポンプの吸入プレナムがオイル昇温手段として機能するよう構成される(好ましい態様10)。
【0031】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、オイル昇温手段は内燃機関の排気管の周りに配設されたヒートインシュレータであるよう構成される(好ましい態様11)。
【0032】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様11の構成に於いて、電動オイルポンプの吸入プレナムがヒートシンクとして機能するよう構成される(好ましい態様12)。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0034】
第一の実施形態
図1は電動オイルポンプがオイル昇温手段としても機能するよう構成された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第一の実施形態を示す概略構成図、図2は図1に示された電動オイルポンプを示す拡大断面図である。
【0035】
図1に於いて、符号10は内燃機関を全体的に示しており、内燃機関10はシリンダブロック12のシリンダボア14内を往復動するピストン16を有している。周知の如くピストン16はコネクティングロッド18によりクランクシャフト20に連結されており、ピストン16の往復運動がクランクシャフト20の回転運動に変換される。
【0036】
また図1に於いて、符号22はシリンダブロック12の下方に設けられ潤滑オイルを貯留するオイルパンを示しており、オイルパン22に貯留されたオイルはオイルストレーナ24及び導管26を経てオイルポンプ28により吸引され、オイルポンプ28により吐出されたオイルは導管30を経て内燃機関10内の各摺動部へ供給される。内燃機関10内の各摺動部を潤滑したオイルは落下又は内燃機関10内の通路32等を経てオイルパン22へ戻される。
【0037】
オイルポンプ28は内燃機関10のクランクシャフト20により図には示されていないチェーンの如き動力伝達装置を介して駆動され、或いは図には示されていない電動モータにより駆動され、導管26及び30、通路32等は内燃機関10の運転中にはオイルポンプ28により内燃機関10を経てオイルが常時循環される主オイル循環通路34を郭定している。
【0038】
また図1に於いて、符号36は内燃機関10の排気管(排気マニホールド)を示しており、排気管36内には内燃機関10の本体内に於ける燃料の燃焼により発生され内燃機関10の本体より排出される高温の排気ガスが流れるので、排気管36は高温になり周囲に熱を輻射する。排気管36に近接した位置には電動オイルポンプ38が配置されており、電動オイルポンプ38はオイルパン22に貯留されたオイルをオイルストレーナ40及び導管42を経て吸引する。
【0039】
電動オイルポンプ38により吐出されたオイルは導管44を経て流路切換え弁46へ供給される。流路切換え弁46には内燃機関10内のピストン16の摺動部へ潤滑オイルを供給するピストン用分岐通路48及びクランクシャフト20の摺動部へ潤滑オイルを供給するクランクシャフト用分岐通路50が接続されている。
【0040】
流路切換え弁46は図1には示されていない電子制御装置100によって制御されることにより、導管44をピストン用分岐通路48に接続する位置、導管44をクランクシャフト用分岐通路50に接続する位置、導管44をピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50に接続位置の何れかに切り替り、これにより内燃機関10内に於けるオイルの流路を切換える。尚分岐通路48又は50を経て内燃機関10内の各摺動部へ供給されたオイルも落下又は内燃機関10内の通路32等を経てオイルパン22へ戻される。
【0041】
以上の説明より解る如く、導管42及び44、ピストン用分岐通路48、クランクシャフト用分岐通路50等は主オイル循環通路34の一部を通る補助オイル循環通路52を郭定している。またピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50は電動オイルポンプ38の下流側に設けられた複数の分岐通路として機能する。
【0042】
図2に示されている如く、電動オイルポンプ38は互いに一体的に固定されたポンプハウジング54及びモータハウジング56を有し、ポンプハウジング54内にはポンプロータ58が軸線60の周りに回転可能に配置されている。ポンプロータ58はポンプハウジング54と共働してその内部に吸入プレナム62及び吐出プレナム64を郭定しており、吸入プレナム62及び吐出プレナム64にはそれぞれ導管42及び44が接続されている。
【0043】
モータハウジング56内には電動モータ66が配置され、ポンプロータ58は電動モータ66により回転駆動され、これにより導管42より吸入プレナム62内へオイルが吸入されると共に、吐出プレナム64より導管44へ高圧のオイルが吐出される。吸入プレナム62はオイル溜りとして機能するよう吐出プレナム64よりも大きい容積を有している。
【0044】
特に図示の実施形態に於いては、ポンプハウジング54は排気管36よりの輻射熱を吸収し内部のオイルを効果的に昇温させ得るよう、熱伝導率の高い吸熱材にて形成されている。これに対しモータハウジング56は排気管36よりの輻射熱により電動モータ66が熱害を受けないよう熱伝導率の低い断熱材にて形成されている。従って吸入プレナム62は排気管36よりの輻射熱により内部のオイルを昇温させるオイル昇温手段としても機能する。
【0045】
またポンプハウジング54にはその内部のオイルの温度Toilを検出する温度センサ68が設けられており、温度センサ68により検出されたオイルの温度Toilを示す信号は図には示されていない電子制御装置100へ供給される。尚電子制御装置100はCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。また電子制御装置100には図には示されていない内燃機関制御装置等より内燃機関10の運転状況等を示す信号も入力される。
【0046】
図には示されていないが、電子制御装置100は以下の如く昇温したオイルの温度Toil若しくはオイルが循環供給される装置としての内燃機関10の状況に応じて昇温したオイル循環させる必要性を判定し、その判定結果に応じて電動オイルポンプ38及び流路切換え弁46を制御することにより、補助オイル循環通路52によるオイルの循環を制御し、これにより本発明によるオイル循環供給方法の第一の実施形態が達成される。
【0047】
(1)内燃機関10の始動時
(1−A)吸入プレナム62内のオイルの温度が高い場合
外気温が極低温であり内燃機関10の温度が低いときには、流路切換え弁46により導管44をクランクシャフト用分岐通路50に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより高温のオイルをクランクシャフト20の摺動部へ供給する。
【0048】
これに対し外気温が常温であり内燃機関10の温度が低くないときには、流路切換え弁46により導管44をピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより高温のオイルをピストン16の摺動部及びクランクシャフト20の摺動部へ供給する。
【0049】
(1−B)吸入プレナム62内のオイルの温度が低い場合
内燃機関10の始動後、吸入プレナム62内のオイルの温度がオイルパン22内のオイルの温度よりも早く適温になったときには、流路切換え弁46により導管44をピストン用分岐通路48に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより適温のオイルをピストン16の摺動部へ供給する。尚オイルパン22内のオイルの温度が吸入プレナム62内のオイルの温度よりも早く適温になったときには、電動オイルポンプ38を駆動しない。
【0050】
(2)内燃機関10の再始動時
内燃機関10が所謂エコランシステム等により再始動される場合には、一般に吸入プレナム62内のオイルの温度が高いので、流路切換え弁46により導管44をピストン用分岐通路48に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより高温のオイルをピストン16の摺動部へを供給する。
【0051】
(3)吸入プレナム62内のオイルの温度が高過ぎる場合
この場合にはオイルが過剰昇温により劣化する虞れがあるので、内燃機関10ができるだけ低負荷、低回転の状態になったときに流路切換え弁46により導管44をピストン用分岐通路48に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより高温のオイルをピストン16の摺動部を経てオイルパン22へ戻し、吸入プレナム62内のオイルを入れ替えてその温度を低下させる。
【0052】
かくして図示の第一の実施形態によれば、排気管36よりの輻射熱により電動オイルポンプ38の吸入プレナム62内のオイルが加熱されることによって昇温され、昇温されたオイルが電動オイルポンプ38が選択的に作動されることにより、昇温されたオイルが選択的に内燃機関10のピストン16若しくはクランクシャフト20へ供給される。
【0053】
従って内燃機関10の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを内燃機関10の各摺動部へ供給することができ、また排気管36よりの輻射熱を有効に利用することによって車輌全体としての熱効率を向上させることができ、更には排気ガスの温度を低下させることがないので、排気ガスの温度低下に起因する排気ガス浄化触媒の機能低下を確実に回避することができる。
【0054】
特に図示の実施形態によれば、電動オイルポンプ38の吸入プレナム62はオイル昇温手段としても機能するので、電動オイルポンプ38の吸入プレナム62とは独立のオイル昇温手段を設ける必要がなく、従ってオイル循環供給装置の構造を簡略化することができる。
【0055】
第二の実施形態
図3は排気管の周りにヒートインシュレータが配設された車輌に適用された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。尚図3に於いて図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0056】
この第二の実施形態に於いては、排気管36の周りには他の部品に対する排気管36の熱の影響を低減するヒートインシュレータ70が設けられており、導管42は導管42Aによりヒートインシュレータ70の内部通路72の一端に接続されている。内部通路72の他端は導管42B及び42Cにより電動オイルポンプ38の吸入プレナム62に接続されており、これによりヒートインシュレータ70は電動オイルポンプ38により吸入されるオイルが内部通路72内を流れる際に排気管36よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段として機能する。
【0057】
またこの実施形態に於いては、内燃機関10の運転中にヒートインシュレータ70の内部通路72内のオイルが過剰に加熱されないよう、内燃機関10の運転中には電動オイルポンプ38が断続的に作動され、これにより内部通路72内の高温のオイルが断続的に電動オイルポンプ38の吸入プレナム62へ移動されると共に、内部通路72内へ低温のオイルが導入される。
【0058】
またこの実施形態に於いては、ポンプハウジング54は排気管36よりの輻射熱により吸入プレナム62のオイルを昇温させる必要がないので、ポンプハウジング54はモータハウジング56と同様熱伝導率の低い断熱材にて形成され、これにより内部のオイルの温度の低下が抑制されるようになっている。尚この実施形態の他の点は上記第一の実施形態と同様に構成されている。
【0059】
かくして図示の第二の実施形態によれば、排気管36よりの輻射熱によりヒートインシュレータ70内のオイルが加熱されることによって昇温され、昇温されたオイルが電動オイルポンプ38が選択的に作動されることにより、昇温されたオイルが選択的に内燃機関10のピストン16若しくはクランクシャフト20へ供給される。
【0060】
従って上記第一の実施形態と同様、内燃機関10の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを内燃機関10の各摺動部へ供給することができ、また排気管36よりの輻射熱を有効に利用することによって車輌全体としての熱効率を向上させることができ、更には排気ガスの温度を低下させることがないので、排気ガスの温度低下に起因する排気ガス浄化触媒の機能低下を確実に回避することができる。
【0061】
また第二の実施形態によれば、ヒートインシュレータ70がオイル昇温手段として機能し、電動オイルポンプ38の吸入プレナム62は昇温したオイルのヒートシンクとして機能するので、上述の第一の実施形態の場合に比して電動オイルポンプ38の配置の自由度を高くすることができ、また電動オイルポンプ38を排気管36より離れた位置に配置し、これにより排気管36よりの輻射熱が電動モータ66に与える影響を確実に低減することができる。
【0062】
また第二の実施形態によれば、オイルはヒートインシュレータ70がオイル昇温手段として機能することにより昇温されるので、排気管36の周囲の部材が排気管36よりの輻射熱に起因して受ける悪影響を確実に低減しつつ、オイルを効率的に昇温させることができる。
【0063】
尚上述の第一及び第二の実施形態によれば、内燃機関10の始動時に於ける吸入プレナム62内のオイルの温度Toilに応じて電動オイルポンプ38の作動及び流路切換え弁46の位置が制御されることにより、昇温したオイルの供給及び循環経路が制御されるので、かかる制御が行われない場合に比して昇温したオイルの供給及び循環経路を好ましく制御することができると共に、オイルが過剰昇温により劣化する虞れを確実に低減することができる。
【0064】
第三の実施形態
図4は内燃機関がバルブタイミング可変装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第三の実施形態を示す概略構成図である。尚図4に於いても図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0065】
この第三の実施形態に於いては、内燃機関10は図4には示されていない吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングをそれぞれ制御する油圧式の吸気バルブ用バルブタイミング可変装置74及び排気バルブ用バルブタイミング可変装置76を有している。バルブタイミング可変装置74及び76はそれぞれバルブタイミング制御アクチュエータ78及び80の油圧が制御弁82及び84によって制御されることにより、吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングを可変制御する。
【0066】
制御弁82及び84は導管86により主オイル循環通路34に接続されると共に、流路切換え弁46にも接続されている。この第三の実施形態に於いては、流路切換え弁46は図3には示されていない電子制御装置100によって制御されることにより、導管44をピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50に接続位置と、導管44を導管84に接続する位置とに切り替り、これにより内燃機関10内に於けるオイルの流路を切換える。
【0067】
特に電子制御装置100は内燃機関10の始動後所定の時間が経過した時点又は吸入プレナム62内のオイルの温度Toilが基準値以上になった時点又は吸入プレナム62内のオイルの温度がオイルパン22内のオイルの温度よりも早く適温になった時点に於いて、導管44を導管84に接続する位置に流路切換え弁46を制御し、これにより吸入プレナム62内の昇温したオイルをバルブタイミング可変装置74及び76のバルブタイミング制御アクチュエータ78及び80へ供給し、他の状況に於いては導管44をピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50に接続位置に流路切換え弁46を制御し、これにより高温のオイルをピストン16の摺動部及びクランクシャフト20の摺動部へ供給する。
【0068】
尚導管84を経て制御弁82及び84へ供給されたオイルも、分岐通路48又は50を経て内燃機関10内の各摺動部へ供給されたオイルと同様、内燃機関10内の通路32等を経てオイルパン22へ戻される。またこの実施形態の他の点は上記第一の実施形態と同様に構成されている。
【0069】
かくして図示の第三の実施形態によれば、内燃機関10の始動直後に昇温したオイルがバルブタイミング可変装置74及び76のバルブタイミング制御アクチュエータ78及び80へ供給されるので、外気温が低くオイルの温度が低い状況に於いてもバルブタイミング可変装置74及び76を良好に作動させることができる。
【0070】
特に図示の実施形態によれば、内燃機関10の始動後所定の時間が経過した時点又は吸入プレナム62内のオイルの温度Toilが基準値以上になった時点又は吸入プレナム62内のオイルの温度がオイルパン22内のオイルの温度よりも早く適温になった時点に於いて、昇温したオイルがバルブタイミング可変装置74及び76のアクチュエータ78及び80へ供給されるので、吸入プレナム62内の昇温していないオイルが無駄にアクチュエータ78及び80へ供給されることを確実に防止することができる。
【0071】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0072】
例えば上述の各実施形態に於いては、オイルが供給される摺動部は内燃機関の摺動部であるが、摺動部は例えばトランスミッションの摺動部の如く内燃機関以外の摺動部を含んでいてよく、上述の第三の実施形態に於いては、油圧装置はバルブタイミング可変装置74及び76のアクチュエータ78及び80であるが、油圧装置は油圧式パワーステアリング装置の如く内燃機関用の油圧装置以外の油圧装置であってもよい。
【0073】
また上述の第一の実施形態に於いては、電動オイルポンプ38のポンプハウジング54はその全体が熱伝導率の高い吸熱材にて形成されているが、排気管36とは反対の側の部分は熱伝導率の低い断熱材にて形成されてもよい。
【0074】
また上述の第三の実施形態に於いては、オイル昇温手段は第一のオイル昇温手段と同一であるが、第二の実施形態のオイル昇温手段と同一のオイル昇温手段が第三の実施形態に適用されてもよく、また第三の実施形態に於ける流路切換え弁46がピストン用分岐通路48若しくはクランクシャフト用分岐通路50に対し第一及び第二の実施形態と同様に切り換えられるよう構成されてもよい。
【0075】
更に上述の各実施形態に於いては、吸入プレナム62内のオイルの温度Toilが過剰になると、内燃機関10ができるだけ低負荷、低回転の状態になったときに流路切換え弁46により導管44がピストン用分岐通路48に接続されると共に、電動オイルポンプ38が駆動され、これにより高温のオイルがピストン16の摺動部を経てオイルパン22へ戻されるようになっているが、オイルパン22へオイルを戻すオイル戻し導管が接続され、吸入プレナム62内のオイルの温度Toilが過剰になったときには流路切換え弁46により導管44がオイル戻し導管に接続され、これによりオイルが内燃機関10の摺動部を経由せずにオイルパン22へ戻されるよう修正されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動オイルポンプがオイル昇温手段としても機能するよう構成された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示された電動オイルポンプを示す拡大断面図である。
【図3】排気管の周りにヒートインシュレータが配設された車輌に適用された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。
【図4】内燃機関がバルブタイミング可変装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第三の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10…内燃機関
12…シリンダブロック
16…ピストン
18…コネクティングロッド
20…クランクシャフト
22…オイルパン
28…オイルポンプ
34…主オイル循環通路
36…排気管
38…電動オイルポンプ
46…流路切換え弁
48…ピストン用分岐通路
50…クランクシャフト用分岐通路
52…補助オイル循環通路
54…ポンプハウジング
56…モータハウジング
62…吸入プレナム
64…吐出プレナム
68…温度センサ
70…ヒートインシュレータ
74、76…バルブタイミング可変装置
100…電子制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌のオイル循環供給方法及び装置に係り、更に詳細には内燃機関よりの輻射熱を利用するオイル循環供給方法及び装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に搭載されるオイル循環供給装置の一つとして、例えば本願出願人の一方の出願にかかる下記の特許文献1等に記載されている如く、内燃機関を通りオイルが循環される主オイル循環通路と、内燃機関の運転中には常時作動して主オイル循環通路を経てオイルを循環させるオイルポンプと、主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路と、補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプとを有するオイル循環供給装置が従来より知られている。
【0003】
この種の補助オイル循環通路及び電動オイルポンプを備えたオイル循環供給装置によれば、内燃機関や車輌の状況に応じて電動オイルポンプを制御することにより、内燃機関や車輌の状況に応じてオイルの循環を制御することができるので、補助オイル循環通路及び電動オイルポンプを有しないオイル循環供給装置の場合に比して、車輌の各部へ好ましくオイルを供給することができる。
【特許文献1】
特開2002−155865号公報(第2−11頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、自動車等の車輌に於いては、内燃機関により発生される熱の一部が利用されずに排気ガスと共に排気熱として捨てられており、排気熱は内燃機関により発生される全熱エネルギの15%以上であることが知られており、また排気熱のうち排気管等より輻射熱として捨てられる熱エネルギの割合が高いことも知られている。
【0005】
また内燃機関の始動時や再始動時等に於いては、各摺動部の油膜が切れた状態になり易く、また低温始動時には潤滑オイルの温度が低くその粘度が高いため、フリクションの上昇を招いていることが知られている。従って内燃機関の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを各摺動部へ供給することが望ましい。
【0006】
しかるに上記特許文献1に記載されたオイル循環供給装置や従来の一般的なオイル循環供給装置に於いては、内燃機関の排気熱の有効利用については考慮されておらず、従って内燃機関の始動時や再始動時等に各摺動部を良好に潤滑することができない場合があり、また車輌全体としての熱効率を向上させる上で改善の余地がある。
【0007】
また内燃機関の排気熱を有効に利用すべく、排気ガスの熱を利用してオイルを加熱しようとすると、その態様によっては排気ガスの温度が低下し、排気ガスの熱により活性化される排気ガス浄化触媒の機能が阻害されるという新たな問題が生じる場合がある。
【0008】
本発明は、従来のオイル循環供給装置に於ける上述の如き問題及び排気ガスの熱を利用してオイルを加熱する場合に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、オイルの循環供給に際し内燃機関よりの輻射熱を有効に利用することにより、排気ガスの温度低下をきたすことなく内燃機関の始動時や再始動時等にも車輌の各部へできるだけ適温のオイルを循環供給すると共に、車輌全体としての熱効率を向上させることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、内燃機関よりの輻射熱によりオイルを昇温させ、主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路を経て前記昇温したオイルを選択的に循環させる車輌のオイル循環供給方法(請求項1の構成)、又は主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路と、前記補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプと、前記補助オイル循環通路に設けられ前記内燃機関よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段とを有する車輌のオイル循環供給装置(請求項4の構成)によって達成される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記昇温したオイルを循環させる必要性を判定し、前記昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときに前記昇温したオイルを循環させるよう構成される(請求項2の構成)。
【0011】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記補助オイル循環通路は複数の分岐通路を有し、前記昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて前記昇温したオイルを循環させる分岐通路を切換えるよう構成される(請求項2の構成)。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3の構成に於いて、前記昇温したオイルを循環させる必要性を判定し、前記昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときに前記電動オイルポンプを作動させる制御手段を有するよう構成される(請求項5の構成)。
【0013】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4又は5の構成に於いて、前記補助オイル循環通路は前記電動オイルポンプの下流側に設けられた複数の分岐通路と、前記昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて前記複数の分岐通路を切換える切換え手段とを有するよう構成される(請求項6の構成)。
【0014】
尚本明細書に於いて、「オイルを選択的に循環させる」とは、オイルを常時循環させるのではなく、オイルを循環させる状況とオイルを循環させない状況とがある態様にてオイル循環を行うことを意味する。
【0015】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の構成によれば、内燃機関よりの輻射熱によりオイルが昇温せしめられ、昇温したオイルが主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路を経て選択的に循環せしめられるので、内燃機関の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを各部へ供給することができ、また車輌全体としての熱効率を向上させることができ、更には排気ガスの温度を低下させることがないので、排気ガスの温度低下に起因する排気ガス浄化触媒の機能低下を来たすことなくオイルを昇温させることができる。
【0016】
また上記請求項2の構成によれば、昇温したオイルを循環させる必要性が判定され、昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときに昇温したオイルが循環せしめられるので、昇温したオイルを循環させる必要がない状況に於いて不必要に昇温したオイルが循環供給されることを回避することができると共に、オイルを十分に昇温させることができる。
【0017】
また上記請求項3の構成によれば、補助オイル循環通路は複数の分岐通路を有し、昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて昇温したオイルを循環させる分岐通路が切換えられるので、昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて適切に昇温したオイルを循環供給することができる。
【0018】
また上記請求項4の構成によれば、主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路と、補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプと、補助オイル循環通路に設けられ内燃機関よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段とを有するので、昇温したオイルを選択的に循環させることができ、これにより内燃機関の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを各部へ供給することができ、また車輌全体としての熱効率を向上させることができ、更には排気ガスの温度を低下させることがないので、排気ガスの温度低下に起因する排気ガス浄化触媒の機能低下を来たすことなくオイルを昇温させることができる。
【0019】
また上記請求項5の構成によれば、昇温したオイル循環させる必要性が判定され、昇温したオイル循環させる必要があると判定されたときに電動オイルポンプが作動されるので、上記請求項2の構成の場合と同様、昇温したオイルを循環させる必要がない状況に於いて不必要に昇温したオイルが循環供給されることを回避することができると共に、オイルを十分に昇温させることができる。
【0020】
また上記請求項6の構成によれば、補助オイル循環通路は電動オイルポンプの下流側に設けられた複数の分岐通路と、昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて複数の分岐通路を切換える切換え手段とを有するので、上記請求項3の構成の場合と同様、昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて適切に昇温したオイルを循環供給することができる。
【0021】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は4の構成に於いて、輻射熱は内燃機関の排気管よりの輻射熱であるよう構成される(好ましい態様1)。
【0022】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2又は5の構成に於いて、内燃機関の始動時であって、オイルが循環供給される装置の温度が低いときに昇温したオイルを循環させる必要があると判定されるよう構成される(好ましい態様2)。
【0023】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、オイルが循環供給される装置は内燃機関であるよう構成される(好ましい態様3)。
【0024】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、オイルが循環供給される装置は油圧装置であるよう構成される(好ましい態様4)。
【0025】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2又は5の構成に於いて、昇温したオイルの温度が過剰であるときに昇温したオイルを循環させる必要があると判定されるよう構成される(好ましい態様5)。
【0026】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5の方法に於いて、昇温したオイルの温度が過剰であり昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときには、内燃機関が低負荷且つ低回転状態にあるときにオイルを循環させるよう構成される(好ましい態様6)。
【0027】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5の装置に於いて、昇温したオイルの温度が過剰であり昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときには、内燃機関が低負荷且つ低回転状態にあるときに電動オイルポンプを作動させるよう構成される(好ましい態様7)。
【0028】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は5の構成に於いて、複数の分岐通路は内燃機関の互いに異なる部位を通る通路であるよう構成される(好ましい態様8)。
【0029】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は5の構成に於いて、複数の分岐通路は摺動部を潤滑するための通路と、油圧装置へオイルを供給するための通路とを含むよう構成される(好ましい態様9)。
【0030】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、電動オイルポンプの吸入プレナムがオイル昇温手段として機能するよう構成される(好ましい態様10)。
【0031】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、オイル昇温手段は内燃機関の排気管の周りに配設されたヒートインシュレータであるよう構成される(好ましい態様11)。
【0032】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様11の構成に於いて、電動オイルポンプの吸入プレナムがヒートシンクとして機能するよう構成される(好ましい態様12)。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0034】
第一の実施形態
図1は電動オイルポンプがオイル昇温手段としても機能するよう構成された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第一の実施形態を示す概略構成図、図2は図1に示された電動オイルポンプを示す拡大断面図である。
【0035】
図1に於いて、符号10は内燃機関を全体的に示しており、内燃機関10はシリンダブロック12のシリンダボア14内を往復動するピストン16を有している。周知の如くピストン16はコネクティングロッド18によりクランクシャフト20に連結されており、ピストン16の往復運動がクランクシャフト20の回転運動に変換される。
【0036】
また図1に於いて、符号22はシリンダブロック12の下方に設けられ潤滑オイルを貯留するオイルパンを示しており、オイルパン22に貯留されたオイルはオイルストレーナ24及び導管26を経てオイルポンプ28により吸引され、オイルポンプ28により吐出されたオイルは導管30を経て内燃機関10内の各摺動部へ供給される。内燃機関10内の各摺動部を潤滑したオイルは落下又は内燃機関10内の通路32等を経てオイルパン22へ戻される。
【0037】
オイルポンプ28は内燃機関10のクランクシャフト20により図には示されていないチェーンの如き動力伝達装置を介して駆動され、或いは図には示されていない電動モータにより駆動され、導管26及び30、通路32等は内燃機関10の運転中にはオイルポンプ28により内燃機関10を経てオイルが常時循環される主オイル循環通路34を郭定している。
【0038】
また図1に於いて、符号36は内燃機関10の排気管(排気マニホールド)を示しており、排気管36内には内燃機関10の本体内に於ける燃料の燃焼により発生され内燃機関10の本体より排出される高温の排気ガスが流れるので、排気管36は高温になり周囲に熱を輻射する。排気管36に近接した位置には電動オイルポンプ38が配置されており、電動オイルポンプ38はオイルパン22に貯留されたオイルをオイルストレーナ40及び導管42を経て吸引する。
【0039】
電動オイルポンプ38により吐出されたオイルは導管44を経て流路切換え弁46へ供給される。流路切換え弁46には内燃機関10内のピストン16の摺動部へ潤滑オイルを供給するピストン用分岐通路48及びクランクシャフト20の摺動部へ潤滑オイルを供給するクランクシャフト用分岐通路50が接続されている。
【0040】
流路切換え弁46は図1には示されていない電子制御装置100によって制御されることにより、導管44をピストン用分岐通路48に接続する位置、導管44をクランクシャフト用分岐通路50に接続する位置、導管44をピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50に接続位置の何れかに切り替り、これにより内燃機関10内に於けるオイルの流路を切換える。尚分岐通路48又は50を経て内燃機関10内の各摺動部へ供給されたオイルも落下又は内燃機関10内の通路32等を経てオイルパン22へ戻される。
【0041】
以上の説明より解る如く、導管42及び44、ピストン用分岐通路48、クランクシャフト用分岐通路50等は主オイル循環通路34の一部を通る補助オイル循環通路52を郭定している。またピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50は電動オイルポンプ38の下流側に設けられた複数の分岐通路として機能する。
【0042】
図2に示されている如く、電動オイルポンプ38は互いに一体的に固定されたポンプハウジング54及びモータハウジング56を有し、ポンプハウジング54内にはポンプロータ58が軸線60の周りに回転可能に配置されている。ポンプロータ58はポンプハウジング54と共働してその内部に吸入プレナム62及び吐出プレナム64を郭定しており、吸入プレナム62及び吐出プレナム64にはそれぞれ導管42及び44が接続されている。
【0043】
モータハウジング56内には電動モータ66が配置され、ポンプロータ58は電動モータ66により回転駆動され、これにより導管42より吸入プレナム62内へオイルが吸入されると共に、吐出プレナム64より導管44へ高圧のオイルが吐出される。吸入プレナム62はオイル溜りとして機能するよう吐出プレナム64よりも大きい容積を有している。
【0044】
特に図示の実施形態に於いては、ポンプハウジング54は排気管36よりの輻射熱を吸収し内部のオイルを効果的に昇温させ得るよう、熱伝導率の高い吸熱材にて形成されている。これに対しモータハウジング56は排気管36よりの輻射熱により電動モータ66が熱害を受けないよう熱伝導率の低い断熱材にて形成されている。従って吸入プレナム62は排気管36よりの輻射熱により内部のオイルを昇温させるオイル昇温手段としても機能する。
【0045】
またポンプハウジング54にはその内部のオイルの温度Toilを検出する温度センサ68が設けられており、温度センサ68により検出されたオイルの温度Toilを示す信号は図には示されていない電子制御装置100へ供給される。尚電子制御装置100はCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。また電子制御装置100には図には示されていない内燃機関制御装置等より内燃機関10の運転状況等を示す信号も入力される。
【0046】
図には示されていないが、電子制御装置100は以下の如く昇温したオイルの温度Toil若しくはオイルが循環供給される装置としての内燃機関10の状況に応じて昇温したオイル循環させる必要性を判定し、その判定結果に応じて電動オイルポンプ38及び流路切換え弁46を制御することにより、補助オイル循環通路52によるオイルの循環を制御し、これにより本発明によるオイル循環供給方法の第一の実施形態が達成される。
【0047】
(1)内燃機関10の始動時
(1−A)吸入プレナム62内のオイルの温度が高い場合
外気温が極低温であり内燃機関10の温度が低いときには、流路切換え弁46により導管44をクランクシャフト用分岐通路50に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより高温のオイルをクランクシャフト20の摺動部へ供給する。
【0048】
これに対し外気温が常温であり内燃機関10の温度が低くないときには、流路切換え弁46により導管44をピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより高温のオイルをピストン16の摺動部及びクランクシャフト20の摺動部へ供給する。
【0049】
(1−B)吸入プレナム62内のオイルの温度が低い場合
内燃機関10の始動後、吸入プレナム62内のオイルの温度がオイルパン22内のオイルの温度よりも早く適温になったときには、流路切換え弁46により導管44をピストン用分岐通路48に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより適温のオイルをピストン16の摺動部へ供給する。尚オイルパン22内のオイルの温度が吸入プレナム62内のオイルの温度よりも早く適温になったときには、電動オイルポンプ38を駆動しない。
【0050】
(2)内燃機関10の再始動時
内燃機関10が所謂エコランシステム等により再始動される場合には、一般に吸入プレナム62内のオイルの温度が高いので、流路切換え弁46により導管44をピストン用分岐通路48に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより高温のオイルをピストン16の摺動部へを供給する。
【0051】
(3)吸入プレナム62内のオイルの温度が高過ぎる場合
この場合にはオイルが過剰昇温により劣化する虞れがあるので、内燃機関10ができるだけ低負荷、低回転の状態になったときに流路切換え弁46により導管44をピストン用分岐通路48に接続すると共に、電動オイルポンプ38を駆動し、これにより高温のオイルをピストン16の摺動部を経てオイルパン22へ戻し、吸入プレナム62内のオイルを入れ替えてその温度を低下させる。
【0052】
かくして図示の第一の実施形態によれば、排気管36よりの輻射熱により電動オイルポンプ38の吸入プレナム62内のオイルが加熱されることによって昇温され、昇温されたオイルが電動オイルポンプ38が選択的に作動されることにより、昇温されたオイルが選択的に内燃機関10のピストン16若しくはクランクシャフト20へ供給される。
【0053】
従って内燃機関10の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを内燃機関10の各摺動部へ供給することができ、また排気管36よりの輻射熱を有効に利用することによって車輌全体としての熱効率を向上させることができ、更には排気ガスの温度を低下させることがないので、排気ガスの温度低下に起因する排気ガス浄化触媒の機能低下を確実に回避することができる。
【0054】
特に図示の実施形態によれば、電動オイルポンプ38の吸入プレナム62はオイル昇温手段としても機能するので、電動オイルポンプ38の吸入プレナム62とは独立のオイル昇温手段を設ける必要がなく、従ってオイル循環供給装置の構造を簡略化することができる。
【0055】
第二の実施形態
図3は排気管の周りにヒートインシュレータが配設された車輌に適用された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。尚図3に於いて図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0056】
この第二の実施形態に於いては、排気管36の周りには他の部品に対する排気管36の熱の影響を低減するヒートインシュレータ70が設けられており、導管42は導管42Aによりヒートインシュレータ70の内部通路72の一端に接続されている。内部通路72の他端は導管42B及び42Cにより電動オイルポンプ38の吸入プレナム62に接続されており、これによりヒートインシュレータ70は電動オイルポンプ38により吸入されるオイルが内部通路72内を流れる際に排気管36よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段として機能する。
【0057】
またこの実施形態に於いては、内燃機関10の運転中にヒートインシュレータ70の内部通路72内のオイルが過剰に加熱されないよう、内燃機関10の運転中には電動オイルポンプ38が断続的に作動され、これにより内部通路72内の高温のオイルが断続的に電動オイルポンプ38の吸入プレナム62へ移動されると共に、内部通路72内へ低温のオイルが導入される。
【0058】
またこの実施形態に於いては、ポンプハウジング54は排気管36よりの輻射熱により吸入プレナム62のオイルを昇温させる必要がないので、ポンプハウジング54はモータハウジング56と同様熱伝導率の低い断熱材にて形成され、これにより内部のオイルの温度の低下が抑制されるようになっている。尚この実施形態の他の点は上記第一の実施形態と同様に構成されている。
【0059】
かくして図示の第二の実施形態によれば、排気管36よりの輻射熱によりヒートインシュレータ70内のオイルが加熱されることによって昇温され、昇温されたオイルが電動オイルポンプ38が選択的に作動されることにより、昇温されたオイルが選択的に内燃機関10のピストン16若しくはクランクシャフト20へ供給される。
【0060】
従って上記第一の実施形態と同様、内燃機関10の始動時や再始動時等に於いてもできるだけ適温のオイルを内燃機関10の各摺動部へ供給することができ、また排気管36よりの輻射熱を有効に利用することによって車輌全体としての熱効率を向上させることができ、更には排気ガスの温度を低下させることがないので、排気ガスの温度低下に起因する排気ガス浄化触媒の機能低下を確実に回避することができる。
【0061】
また第二の実施形態によれば、ヒートインシュレータ70がオイル昇温手段として機能し、電動オイルポンプ38の吸入プレナム62は昇温したオイルのヒートシンクとして機能するので、上述の第一の実施形態の場合に比して電動オイルポンプ38の配置の自由度を高くすることができ、また電動オイルポンプ38を排気管36より離れた位置に配置し、これにより排気管36よりの輻射熱が電動モータ66に与える影響を確実に低減することができる。
【0062】
また第二の実施形態によれば、オイルはヒートインシュレータ70がオイル昇温手段として機能することにより昇温されるので、排気管36の周囲の部材が排気管36よりの輻射熱に起因して受ける悪影響を確実に低減しつつ、オイルを効率的に昇温させることができる。
【0063】
尚上述の第一及び第二の実施形態によれば、内燃機関10の始動時に於ける吸入プレナム62内のオイルの温度Toilに応じて電動オイルポンプ38の作動及び流路切換え弁46の位置が制御されることにより、昇温したオイルの供給及び循環経路が制御されるので、かかる制御が行われない場合に比して昇温したオイルの供給及び循環経路を好ましく制御することができると共に、オイルが過剰昇温により劣化する虞れを確実に低減することができる。
【0064】
第三の実施形態
図4は内燃機関がバルブタイミング可変装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第三の実施形態を示す概略構成図である。尚図4に於いても図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0065】
この第三の実施形態に於いては、内燃機関10は図4には示されていない吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングをそれぞれ制御する油圧式の吸気バルブ用バルブタイミング可変装置74及び排気バルブ用バルブタイミング可変装置76を有している。バルブタイミング可変装置74及び76はそれぞれバルブタイミング制御アクチュエータ78及び80の油圧が制御弁82及び84によって制御されることにより、吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングを可変制御する。
【0066】
制御弁82及び84は導管86により主オイル循環通路34に接続されると共に、流路切換え弁46にも接続されている。この第三の実施形態に於いては、流路切換え弁46は図3には示されていない電子制御装置100によって制御されることにより、導管44をピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50に接続位置と、導管44を導管84に接続する位置とに切り替り、これにより内燃機関10内に於けるオイルの流路を切換える。
【0067】
特に電子制御装置100は内燃機関10の始動後所定の時間が経過した時点又は吸入プレナム62内のオイルの温度Toilが基準値以上になった時点又は吸入プレナム62内のオイルの温度がオイルパン22内のオイルの温度よりも早く適温になった時点に於いて、導管44を導管84に接続する位置に流路切換え弁46を制御し、これにより吸入プレナム62内の昇温したオイルをバルブタイミング可変装置74及び76のバルブタイミング制御アクチュエータ78及び80へ供給し、他の状況に於いては導管44をピストン用分岐通路48及びクランクシャフト用分岐通路50に接続位置に流路切換え弁46を制御し、これにより高温のオイルをピストン16の摺動部及びクランクシャフト20の摺動部へ供給する。
【0068】
尚導管84を経て制御弁82及び84へ供給されたオイルも、分岐通路48又は50を経て内燃機関10内の各摺動部へ供給されたオイルと同様、内燃機関10内の通路32等を経てオイルパン22へ戻される。またこの実施形態の他の点は上記第一の実施形態と同様に構成されている。
【0069】
かくして図示の第三の実施形態によれば、内燃機関10の始動直後に昇温したオイルがバルブタイミング可変装置74及び76のバルブタイミング制御アクチュエータ78及び80へ供給されるので、外気温が低くオイルの温度が低い状況に於いてもバルブタイミング可変装置74及び76を良好に作動させることができる。
【0070】
特に図示の実施形態によれば、内燃機関10の始動後所定の時間が経過した時点又は吸入プレナム62内のオイルの温度Toilが基準値以上になった時点又は吸入プレナム62内のオイルの温度がオイルパン22内のオイルの温度よりも早く適温になった時点に於いて、昇温したオイルがバルブタイミング可変装置74及び76のアクチュエータ78及び80へ供給されるので、吸入プレナム62内の昇温していないオイルが無駄にアクチュエータ78及び80へ供給されることを確実に防止することができる。
【0071】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0072】
例えば上述の各実施形態に於いては、オイルが供給される摺動部は内燃機関の摺動部であるが、摺動部は例えばトランスミッションの摺動部の如く内燃機関以外の摺動部を含んでいてよく、上述の第三の実施形態に於いては、油圧装置はバルブタイミング可変装置74及び76のアクチュエータ78及び80であるが、油圧装置は油圧式パワーステアリング装置の如く内燃機関用の油圧装置以外の油圧装置であってもよい。
【0073】
また上述の第一の実施形態に於いては、電動オイルポンプ38のポンプハウジング54はその全体が熱伝導率の高い吸熱材にて形成されているが、排気管36とは反対の側の部分は熱伝導率の低い断熱材にて形成されてもよい。
【0074】
また上述の第三の実施形態に於いては、オイル昇温手段は第一のオイル昇温手段と同一であるが、第二の実施形態のオイル昇温手段と同一のオイル昇温手段が第三の実施形態に適用されてもよく、また第三の実施形態に於ける流路切換え弁46がピストン用分岐通路48若しくはクランクシャフト用分岐通路50に対し第一及び第二の実施形態と同様に切り換えられるよう構成されてもよい。
【0075】
更に上述の各実施形態に於いては、吸入プレナム62内のオイルの温度Toilが過剰になると、内燃機関10ができるだけ低負荷、低回転の状態になったときに流路切換え弁46により導管44がピストン用分岐通路48に接続されると共に、電動オイルポンプ38が駆動され、これにより高温のオイルがピストン16の摺動部を経てオイルパン22へ戻されるようになっているが、オイルパン22へオイルを戻すオイル戻し導管が接続され、吸入プレナム62内のオイルの温度Toilが過剰になったときには流路切換え弁46により導管44がオイル戻し導管に接続され、これによりオイルが内燃機関10の摺動部を経由せずにオイルパン22へ戻されるよう修正されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動オイルポンプがオイル昇温手段としても機能するよう構成された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示された電動オイルポンプを示す拡大断面図である。
【図3】排気管の周りにヒートインシュレータが配設された車輌に適用された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。
【図4】内燃機関がバルブタイミング可変装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌のオイル循環供給装置の第三の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10…内燃機関
12…シリンダブロック
16…ピストン
18…コネクティングロッド
20…クランクシャフト
22…オイルパン
28…オイルポンプ
34…主オイル循環通路
36…排気管
38…電動オイルポンプ
46…流路切換え弁
48…ピストン用分岐通路
50…クランクシャフト用分岐通路
52…補助オイル循環通路
54…ポンプハウジング
56…モータハウジング
62…吸入プレナム
64…吐出プレナム
68…温度センサ
70…ヒートインシュレータ
74、76…バルブタイミング可変装置
100…電子制御装置
Claims (6)
- 内燃機関よりの輻射熱によりオイルを昇温させ、主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路を経て前記昇温したオイルを選択的に循環させる車輌のオイル循環供給方法。
- 前記昇温したオイルを循環させる必要性を判定し、前記昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときに前記昇温したオイルを循環させることを特徴とする請求項1に記載の車輌のオイル循環供給方法。
- 前記補助オイル循環通路は複数の分岐通路を有し、前記昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて前記昇温したオイルを循環させる分岐通路を切換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌のオイル循環供給方法。
- 主オイル循環通路の一部を通る補助オイル循環通路と、前記補助オイル循環通路を経て選択的にオイルを循環させる電動オイルポンプと、前記補助オイル循環通路に設けられ前記内燃機関よりの輻射熱によりオイルを昇温させるオイル昇温手段とを有する車輌のオイル循環供給装置。
- 前記昇温したオイルを循環させる必要性を判定し、前記昇温したオイルを循環させる必要があると判定されたときに前記電動オイルポンプを作動させる制御手段を有することを特徴とする請求項4に記載の車輌のオイル循環供給装置。
- 前記補助オイル循環通路は前記電動オイルポンプの下流側に設けられた複数の分岐通路と、前記昇温したオイルの温度若しくはオイルが循環供給される装置の状況に応じて前記複数の分岐通路を切換える切換え手段とを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の車輌のオイル循環供給装置。
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JP2002298680A JP2004132294A (ja) | 2002-10-11 | 2002-10-11 | 車輌のオイル循環供給方法及び装置 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009532635A (ja) * | 2006-04-04 | 2009-09-10 | ハイダック システム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 特に潤滑剤からなる流動可能な媒体を搬送する装置 |
KR101253653B1 (ko) * | 2011-04-01 | 2013-04-11 | 자동차부품연구원 | 배기열을 이용한 엔진오일 웜업장치 |
KR101305776B1 (ko) * | 2011-12-26 | 2013-09-06 | 한국항공우주연구원 | 터빈엔진의 오일펌프 가열장치 |
US9127663B2 (en) | 2012-06-29 | 2015-09-08 | Ford Global Technologies, Llc | Fluid heating apparatus and method |
JP2015168360A (ja) * | 2014-03-07 | 2015-09-28 | 本田技研工業株式会社 | 四輪駆動車両 |
-
2002
- 2002-10-11 JP JP2002298680A patent/JP2004132294A/ja active Pending
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