JP2004132278A - 回転軸の防塵構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造でありながら、塵埃などの侵入を確実に防止することができ、耐久性にも優れた、回転軸の防塵構造を提供する。
【解決手段】隔壁1に設けた貫通孔2に、貫通孔2の内径より外径の小さな回転軸4がその周囲に隙間3を設けて挿通され、回転軸4の先端部には送風ファン5が取り付けられ、回転軸4の隔壁1を挟んで送風ファン5と対向する位置には吸引ファン6が取り付けられている。回転軸4の基端部にはプーリ7が取り付けられ、モータ8の回転軸8aに取り付けられたプーリ9とプーリ7との間にはベルト10が掛けられている。吸引ファン6の周囲には、吸引ファン6の外径より僅かに内径が大きな円筒状のファンカバー12が、回転軸4と同軸をなすように配置されている。
【選択図】 図1
【解決手段】隔壁1に設けた貫通孔2に、貫通孔2の内径より外径の小さな回転軸4がその周囲に隙間3を設けて挿通され、回転軸4の先端部には送風ファン5が取り付けられ、回転軸4の隔壁1を挟んで送風ファン5と対向する位置には吸引ファン6が取り付けられている。回転軸4の基端部にはプーリ7が取り付けられ、モータ8の回転軸8aに取り付けられたプーリ9とプーリ7との間にはベルト10が掛けられている。吸引ファン6の周囲には、吸引ファン6の外径より僅かに内径が大きな円筒状のファンカバー12が、回転軸4と同軸をなすように配置されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、隔壁を貫通して緩挿された回転軸近傍における防塵構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7に示すように、加熱炉内部90に配置されている気体循環用の送風ファン91は、高温に晒される加熱炉内部90にファン駆動用のモータを配置することができないため、加熱炉の隔壁92に設けた貫通孔93を通して炉外へ突出させた送風ファン91の駆動用の回転軸94を、加熱炉外部に配置したモータ95で駆動することによって稼動させている。
【0003】
この場合、加熱炉の隔壁92の貫通孔93と回転軸94との間は軸受部材などを用いて気密状にシールするのが理想であるが、加熱炉稼動中は隔壁92や回転軸94などが高温となり、回転軸94自体も高速回転するため、負荷が極めて大きく、通常の軸受部材などは短時間で損傷してしまい、使用できない。このため、貫通孔93の内径を駆動軸94の外径より大きく設定し、貫通孔93と駆動軸94との間に隙間96を設けた構造が採用されている。
【0004】
一方、回転機を構成する回転軸周囲の隙間を通って外部から異物が侵入するのを防止するための軸エアシール構造として、回転軸の周囲に複数段のエア切り部と、空気室と、空気導入ダクトなどを設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−124215公報(第2−3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示す構造において、モータ95で回転軸94を駆動して送風ファン91を回転させているときは、送風ファン91は隔壁92から離れる方向へ送風するので、送風ファン91と隔壁92との間の気圧が若干負圧になる結果、貫通孔93と回転軸94との隙間96には、加熱炉外部から加熱炉内部90方向へ向かう空気流が発生する。
【0007】
このため、加熱炉外に位置する回転軸94付近の空気が隙間96を通して加熱炉内部90へ吸い込まれ、加熱効率の悪化や、炉内温度分布の不均一などのトラブルを生じることがある。また、炉外に存在する塵埃などの異物が隙間96を通して加熱炉内部90吸い込まれ、加熱炉内部90の被加熱物に悪影響を及ぼすことがある。特に、加熱炉内部90のクリーン度を高水準に保って加熱する必要がある場合、隙間96から侵入する塵埃による悪影響は決して無視することができない。
【0008】
一方、特許文献1に記載されている軸エアシール構造は、回転軸の周囲に複数段のエア切り部と、空気室と、空気導入ダクトなどを設けるとともに、空気導入ダクトを通して空気室へ空気を供給し続ける機構を設ける必要があるため、構造が複雑であり、図7に示す加熱炉の隔壁92のように、比較的厚い隔壁を回転軸が貫通している部分に採用することは困難である。また、前記軸エアシール構造は空気導入ダクトなどのように狭くて曲がった部分が多いため、塵埃などが蓄積して機能が低下するおそれが高く、耐久性に劣る面がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造であって、塵埃などの侵入を確実に防止することができ、耐久性にも優れた、回転軸の防塵構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転軸の防塵構造は、隔壁に設けた貫通孔に隙間を設けて挿通した回転軸と、前記回転軸の前記隔壁を挟んで対向する位置にそれぞれ取り付けた回転体および吸引ファンとを備え、前記回転体を前記回転軸で運転方向に回転させたとき前記吸引ファンが前記隙間から空気を吸引する機能を有するものであることを特徴とする。
【0011】
回転体を運転方向に回転させると吸引ファンも同様に回転し、吸引ファンが貫通孔と回転軸との隙間から空気を吸引するので、この隙間には回転体から吸引ファンに向かう空気流が発生し、運転中、この空気流は途切れることなく存在し続けるため、隙間を通じて回転体方向へ塵埃などが侵入するのを確実に防止することができる。回転体と隔壁を挟んで対向する位置に吸引ファンを取り付けただけであるため、簡単な構造であり、摩擦・摺動部分を有する軸受部材や塵埃が蓄積するおそれのある狭い空気ダクトなどを隔壁と回転軸との境界部分に設ける必要がないため、耐久性にも優れている。
【0012】
ここで、前記吸引ファンを前記回転軸に複数配置すれば吸引機能が高まって、回転軸と貫通孔との隙間に強い空気流が発生するため、防塵機能がさらに向上する。この場合、吸引ファンの配置個数、配置間隔、サイズ、形状などを変更することにより、使用条件に適した吸引機能に設定することができる。
【0013】
一方、前記回転軸の前記回転体と前記隔壁との間の位置に遮蔽部材を取り付けた構造とすることもできる。このような遮蔽部材を設ければ、回転体と隔壁との間に生じる負圧などに起因して、回転軸と貫通孔との隙間に回転体に向かう空気流が発生するのを抑制することができるので、吸引ファンの防塵機能を有効に確保することができる。
【0014】
また、前記吸引ファンの周囲を包囲する筒状のファンカバーを配置した構造とすることもできる。このようなファンカバーを設ければ、吸引ファンによって発生する空気流が拡散せず、その方向が回転軸と平行な方向に集中するので、回転軸と貫通孔との隙間に、より強い空気流が発生し、防塵機能がさらに高まる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態である回転軸の防塵構造を示す一部切欠側面図であり、図2は図1に示す回転軸の防塵構造の要部拡大図であり、図3は図2におけるA−A線断面図であり、図4は図1に示す回転軸の防塵構造を使用した加熱炉の縦断面図である。
【0016】
本実施形態の回転軸の防塵構造においては、図1に示すように、隔壁1に設けた貫通孔2に、貫通孔2の内径より小さい外径の回転軸4がその周囲に隙間3を設けて挿通され、回転軸4の先端部には回転体である送風ファン5が取り付けられ、回転軸4の隔壁1を挟んで送風ファン5と対向する位置には吸引ファン6が取り付けられている。回転軸4の基端部にはプーリ7が取り付けられ、モータ8の回転軸8aに取り付けられたプーリ9とプーリ7との間にはベルト10が掛けられている。11はそれぞれ回転軸4を保持するための軸受部材であり、吸引ファン6の周囲には、吸引ファン6の外径より僅かに大きい内径の円筒状のファンカバー12が、回転軸4と同軸をなすように配置されている。
【0017】
モータ8を作動させるとベルト10を介して回転軸4が運転方向Rに回転し、これによって回転軸4に取り付けられた送風ファン5が同方向Rに回転することによって矢線Wの方向への送風が行われる。送風ファン5を運転方向Rに回転させているとき、吸引ファン6も同方向Rに回転するが、この吸引ファン6は送風ファン5と反対方向、即ち隙間3から矢線Vの方向に吸引する機能を発揮する。
【0018】
図2に示すように、吸引ファン6が隙間3から矢線Vの方向に空気を吸引すると、回転軸4と貫通孔2との隙間3には送風ファン5から吸引ファン6に向かう矢線X方向の空気流が発生し、送風ファン5の運転中、この空気流は途切れることなく隙間3内に存在し続けるため、塵埃などが隙間3を通じて送風ファン5の方向へ侵入することがなく、塵埃などの侵入を確実に防止することができる。なお、吸引ファン6の吸引機能を高めるため、吸引ファン6は極力隔壁1に接近させ貫通孔2の開口部分に臨ませて配置することが望ましい。また、吸引ファン6の種類としては、図3に示すように、環状部材6bの外周に4枚の羽根6aを備え、回転軸4に沿った矢線V方向の吸引機能に優れた軸流ファンが好適である。
【0019】
本実施形態の防塵構造は、回転軸4の、送風ファン5(回転体)と隔壁1を挟んで対向する位置に吸引ファン6などを取り付けただけであるため、簡単な構造であり、隔壁1と回転軸4との境界部分などに、摩擦・摺動部分を有する軸受部材あるいは塵埃が蓄積するおそれのある狭い空気ダクトなどを設ける必要がないため、耐久性にも優れている。
【0020】
また、前述したように、吸引ファン6の周囲には円筒状のファンカバー12を回転軸4と同軸上に配置しているため、吸引ファン6の吸引で発生する空気流が拡散せず、その方向が回転軸4と平行な矢線Vの方向に集中することとなる。このため、回転軸4と貫通孔2との隙間3に矢線X方向の強い空気流が発生して、優れた防塵機能を発揮する。
【0021】
一方、本実施形態においては、図1に示すように、隔壁1の外側に位置する回転軸4およびモータ8などを箱体状のケーシング19で略気密状に包囲するとともにケーシング19の下面部分にケーシング19内部に連通する排気パイプ20を取り付け、排気パイプ20に連結された排気ファン(図示せず)を用いてケーシング19の空気を強制的に排気することもできるようにしている。このような構造とすることにより、吸引ファン6、回転軸4およびモータ8などの近傍に存在する塵埃およびモータ8の回転によってベルト10などから発生する粉塵などを確実に除去することができるため、塵埃などの侵入防止機能をさらに高めることができる。
【0022】
図4は図1に示す回転軸の防塵構造を使用した加熱炉13を示している。加熱炉13は、略直方体形状の隔壁1で区画された閉塞空間内に、炉内加熱用のヒータ14と、加熱炉内の空気を循環させて温度分布を均一化するための送風ファン5,15と、炉内を循環する空気を清浄化するためのフィルタ16などを備えており、炉内に収容した被加熱物17の熱処理を行う装置である。
【0023】
このように、送風ファン5,15を回転駆動するため、加熱炉13の隔壁1に貫通孔2を設けて挿通した回転軸4に、図1に示す回転軸の防塵構造を使用すれば、送風ファン5,15の運転中、回転軸4と貫通孔2との隙間3には炉内から炉外に向かう空気流が存在し続けるため、加熱炉13の内部における送風ファン5,15と隔壁1との間の気圧が負圧になることがあっても、炉外の塵埃などが隙間3を通して炉内に侵入することがなく、炉内のクリーン度が悪化するのを防止することができる。
【0024】
なお、本発明の回転軸の防塵構造の用途は図3に示す加熱炉に限定するものではなく、隔壁に設けた貫通孔に隙間を設けて回転軸を挿通した構造を備えた様々な装置、設備において広く使用することができる。
【0025】
次に図5,図6を参照して、本発明の第2,第3実施形態について説明する。なお、図5,図6において第1実施形態の防塵構造と同じ機能、効果を発揮する部分については図1〜図3と同じ符号を付して説明を省略する。
【0026】
図5に示す防塵構造においては、回転軸4に複数の吸引ファン6,26を取り付けている。このように、複数の吸引ファン6,26を配置すれば吸引機能がさらに高まって、回転軸4と貫通孔2との隙間3に強い空気流が発生するため、図1の場合よりも優れた防塵機能を発揮する。その他の構造、機能などについては第1実施形態と同様である。
【0027】
なお、吸引ファン6,26は互いに同形状、同サイズのものを用いているが、そのほか、形状の異なるファン、サイズの異なるファンを用いたり、3個以上のファンを配置したりすることも可能であり、これによって吸引量や吸引方向などを使用条件に適した状態に設定することができる。また、吸引ファン6,26の配置間隔を変更することによっても吸引量を調節することができる。
【0028】
一方、図6に示す防塵構造においては、回転軸4の先端部の送風ファン5(回転体)と隔壁1との間の位置に円板状の遮蔽部材18を取り付けている。このような構造とすれば、回転軸4と貫通孔2との隙間3の、送風ファン5側の開口部分が遮蔽部材18で覆われた状態となるため、送風ファン5と隔壁1との間に生じる負圧などに起因して、吸引ファン5による隙間3内の矢線X方向の空気流(図2参照)が減少するのを防止することができ、これによって、吸引ファン6の防塵機能を有効に確保することができる。なお、遮蔽部材18の機能を高めるため、遮蔽部材18は極力隔壁1に接近させ貫通孔2の開口部分に臨ませて配置することが望ましい。その他の構造、機能などについては第1実施形態と同様である。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、以下に示す効果を奏する。
【0030】
(1)隔壁に設けた貫通孔に隙間を設けて挿通した回転軸と、回転軸の隔壁を挟んで対向する位置にそれぞれ取り付けた回転体および吸引ファンとを備え、回転体を回転軸で運転方向に回転させたとき吸引ファンが前記隙間から空気を吸引する機能を有するものとすることにより、運転中、前記隙間には回転体から吸引ファンに向かう空気流が発生するため、簡単な構造でありながら、前記隙間を通じて回転体方向へ塵埃などが侵入するのを確実に防止することができ、耐久性も優れている。
【0031】
(2)吸引ファンを回転軸に複数配置すれば吸引機能が高まって、回転軸と貫通孔との隙間に強い空気流が発生するため、防塵機能がさらに向上する。
【0032】
(3)回転軸の回転体と隔壁との間の位置に遮蔽部材を取り付ければ、回転体と隔壁との間に生じる負圧などに起因して回転軸と貫通孔との隙間に回転体に向かう空気流が発生するのを抑制することができるので、吸引ファンの防塵機能を有効に確保することができる。
【0033】
(4)吸引ファンの周囲を包囲する筒状のファンカバーを配置すれば、吸引ファンによって発生する空気流が拡散せず、その方向が回転軸と平行方向に集中するので、回転軸と貫通孔との隙間により強い空気流が発生し、防塵機能がさらに高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である回転軸の防塵構造を示す一部切欠側面図である。
【図2】図1に示す回転軸の防塵構造の要部拡大図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図1に示す回転軸の防塵構造を使用した加熱炉の縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態である回転軸の防塵構造を示す一部切欠側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態である回転軸の防塵構造を示す一部切欠側面図である。
【図7】従来の技術を示す一部切欠側面図である。
【符号の説明】
1 隔壁
2 貫通孔
3 隙間
4,8a 回転軸
5,15 送風ファン
6,26 吸引ファン
6a 羽根
6b 環状部材
7,9 プーリ
8 モータ
10 ベルト
11 軸受部材
12 ファンカバー
13 加熱炉
14 ヒータ
16 フィルタ
17 被加熱物
18 遮蔽部材
19 ケーシング
20 排気パイプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、隔壁を貫通して緩挿された回転軸近傍における防塵構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7に示すように、加熱炉内部90に配置されている気体循環用の送風ファン91は、高温に晒される加熱炉内部90にファン駆動用のモータを配置することができないため、加熱炉の隔壁92に設けた貫通孔93を通して炉外へ突出させた送風ファン91の駆動用の回転軸94を、加熱炉外部に配置したモータ95で駆動することによって稼動させている。
【0003】
この場合、加熱炉の隔壁92の貫通孔93と回転軸94との間は軸受部材などを用いて気密状にシールするのが理想であるが、加熱炉稼動中は隔壁92や回転軸94などが高温となり、回転軸94自体も高速回転するため、負荷が極めて大きく、通常の軸受部材などは短時間で損傷してしまい、使用できない。このため、貫通孔93の内径を駆動軸94の外径より大きく設定し、貫通孔93と駆動軸94との間に隙間96を設けた構造が採用されている。
【0004】
一方、回転機を構成する回転軸周囲の隙間を通って外部から異物が侵入するのを防止するための軸エアシール構造として、回転軸の周囲に複数段のエア切り部と、空気室と、空気導入ダクトなどを設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−124215公報(第2−3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示す構造において、モータ95で回転軸94を駆動して送風ファン91を回転させているときは、送風ファン91は隔壁92から離れる方向へ送風するので、送風ファン91と隔壁92との間の気圧が若干負圧になる結果、貫通孔93と回転軸94との隙間96には、加熱炉外部から加熱炉内部90方向へ向かう空気流が発生する。
【0007】
このため、加熱炉外に位置する回転軸94付近の空気が隙間96を通して加熱炉内部90へ吸い込まれ、加熱効率の悪化や、炉内温度分布の不均一などのトラブルを生じることがある。また、炉外に存在する塵埃などの異物が隙間96を通して加熱炉内部90吸い込まれ、加熱炉内部90の被加熱物に悪影響を及ぼすことがある。特に、加熱炉内部90のクリーン度を高水準に保って加熱する必要がある場合、隙間96から侵入する塵埃による悪影響は決して無視することができない。
【0008】
一方、特許文献1に記載されている軸エアシール構造は、回転軸の周囲に複数段のエア切り部と、空気室と、空気導入ダクトなどを設けるとともに、空気導入ダクトを通して空気室へ空気を供給し続ける機構を設ける必要があるため、構造が複雑であり、図7に示す加熱炉の隔壁92のように、比較的厚い隔壁を回転軸が貫通している部分に採用することは困難である。また、前記軸エアシール構造は空気導入ダクトなどのように狭くて曲がった部分が多いため、塵埃などが蓄積して機能が低下するおそれが高く、耐久性に劣る面がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造であって、塵埃などの侵入を確実に防止することができ、耐久性にも優れた、回転軸の防塵構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転軸の防塵構造は、隔壁に設けた貫通孔に隙間を設けて挿通した回転軸と、前記回転軸の前記隔壁を挟んで対向する位置にそれぞれ取り付けた回転体および吸引ファンとを備え、前記回転体を前記回転軸で運転方向に回転させたとき前記吸引ファンが前記隙間から空気を吸引する機能を有するものであることを特徴とする。
【0011】
回転体を運転方向に回転させると吸引ファンも同様に回転し、吸引ファンが貫通孔と回転軸との隙間から空気を吸引するので、この隙間には回転体から吸引ファンに向かう空気流が発生し、運転中、この空気流は途切れることなく存在し続けるため、隙間を通じて回転体方向へ塵埃などが侵入するのを確実に防止することができる。回転体と隔壁を挟んで対向する位置に吸引ファンを取り付けただけであるため、簡単な構造であり、摩擦・摺動部分を有する軸受部材や塵埃が蓄積するおそれのある狭い空気ダクトなどを隔壁と回転軸との境界部分に設ける必要がないため、耐久性にも優れている。
【0012】
ここで、前記吸引ファンを前記回転軸に複数配置すれば吸引機能が高まって、回転軸と貫通孔との隙間に強い空気流が発生するため、防塵機能がさらに向上する。この場合、吸引ファンの配置個数、配置間隔、サイズ、形状などを変更することにより、使用条件に適した吸引機能に設定することができる。
【0013】
一方、前記回転軸の前記回転体と前記隔壁との間の位置に遮蔽部材を取り付けた構造とすることもできる。このような遮蔽部材を設ければ、回転体と隔壁との間に生じる負圧などに起因して、回転軸と貫通孔との隙間に回転体に向かう空気流が発生するのを抑制することができるので、吸引ファンの防塵機能を有効に確保することができる。
【0014】
また、前記吸引ファンの周囲を包囲する筒状のファンカバーを配置した構造とすることもできる。このようなファンカバーを設ければ、吸引ファンによって発生する空気流が拡散せず、その方向が回転軸と平行な方向に集中するので、回転軸と貫通孔との隙間に、より強い空気流が発生し、防塵機能がさらに高まる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施形態である回転軸の防塵構造を示す一部切欠側面図であり、図2は図1に示す回転軸の防塵構造の要部拡大図であり、図3は図2におけるA−A線断面図であり、図4は図1に示す回転軸の防塵構造を使用した加熱炉の縦断面図である。
【0016】
本実施形態の回転軸の防塵構造においては、図1に示すように、隔壁1に設けた貫通孔2に、貫通孔2の内径より小さい外径の回転軸4がその周囲に隙間3を設けて挿通され、回転軸4の先端部には回転体である送風ファン5が取り付けられ、回転軸4の隔壁1を挟んで送風ファン5と対向する位置には吸引ファン6が取り付けられている。回転軸4の基端部にはプーリ7が取り付けられ、モータ8の回転軸8aに取り付けられたプーリ9とプーリ7との間にはベルト10が掛けられている。11はそれぞれ回転軸4を保持するための軸受部材であり、吸引ファン6の周囲には、吸引ファン6の外径より僅かに大きい内径の円筒状のファンカバー12が、回転軸4と同軸をなすように配置されている。
【0017】
モータ8を作動させるとベルト10を介して回転軸4が運転方向Rに回転し、これによって回転軸4に取り付けられた送風ファン5が同方向Rに回転することによって矢線Wの方向への送風が行われる。送風ファン5を運転方向Rに回転させているとき、吸引ファン6も同方向Rに回転するが、この吸引ファン6は送風ファン5と反対方向、即ち隙間3から矢線Vの方向に吸引する機能を発揮する。
【0018】
図2に示すように、吸引ファン6が隙間3から矢線Vの方向に空気を吸引すると、回転軸4と貫通孔2との隙間3には送風ファン5から吸引ファン6に向かう矢線X方向の空気流が発生し、送風ファン5の運転中、この空気流は途切れることなく隙間3内に存在し続けるため、塵埃などが隙間3を通じて送風ファン5の方向へ侵入することがなく、塵埃などの侵入を確実に防止することができる。なお、吸引ファン6の吸引機能を高めるため、吸引ファン6は極力隔壁1に接近させ貫通孔2の開口部分に臨ませて配置することが望ましい。また、吸引ファン6の種類としては、図3に示すように、環状部材6bの外周に4枚の羽根6aを備え、回転軸4に沿った矢線V方向の吸引機能に優れた軸流ファンが好適である。
【0019】
本実施形態の防塵構造は、回転軸4の、送風ファン5(回転体)と隔壁1を挟んで対向する位置に吸引ファン6などを取り付けただけであるため、簡単な構造であり、隔壁1と回転軸4との境界部分などに、摩擦・摺動部分を有する軸受部材あるいは塵埃が蓄積するおそれのある狭い空気ダクトなどを設ける必要がないため、耐久性にも優れている。
【0020】
また、前述したように、吸引ファン6の周囲には円筒状のファンカバー12を回転軸4と同軸上に配置しているため、吸引ファン6の吸引で発生する空気流が拡散せず、その方向が回転軸4と平行な矢線Vの方向に集中することとなる。このため、回転軸4と貫通孔2との隙間3に矢線X方向の強い空気流が発生して、優れた防塵機能を発揮する。
【0021】
一方、本実施形態においては、図1に示すように、隔壁1の外側に位置する回転軸4およびモータ8などを箱体状のケーシング19で略気密状に包囲するとともにケーシング19の下面部分にケーシング19内部に連通する排気パイプ20を取り付け、排気パイプ20に連結された排気ファン(図示せず)を用いてケーシング19の空気を強制的に排気することもできるようにしている。このような構造とすることにより、吸引ファン6、回転軸4およびモータ8などの近傍に存在する塵埃およびモータ8の回転によってベルト10などから発生する粉塵などを確実に除去することができるため、塵埃などの侵入防止機能をさらに高めることができる。
【0022】
図4は図1に示す回転軸の防塵構造を使用した加熱炉13を示している。加熱炉13は、略直方体形状の隔壁1で区画された閉塞空間内に、炉内加熱用のヒータ14と、加熱炉内の空気を循環させて温度分布を均一化するための送風ファン5,15と、炉内を循環する空気を清浄化するためのフィルタ16などを備えており、炉内に収容した被加熱物17の熱処理を行う装置である。
【0023】
このように、送風ファン5,15を回転駆動するため、加熱炉13の隔壁1に貫通孔2を設けて挿通した回転軸4に、図1に示す回転軸の防塵構造を使用すれば、送風ファン5,15の運転中、回転軸4と貫通孔2との隙間3には炉内から炉外に向かう空気流が存在し続けるため、加熱炉13の内部における送風ファン5,15と隔壁1との間の気圧が負圧になることがあっても、炉外の塵埃などが隙間3を通して炉内に侵入することがなく、炉内のクリーン度が悪化するのを防止することができる。
【0024】
なお、本発明の回転軸の防塵構造の用途は図3に示す加熱炉に限定するものではなく、隔壁に設けた貫通孔に隙間を設けて回転軸を挿通した構造を備えた様々な装置、設備において広く使用することができる。
【0025】
次に図5,図6を参照して、本発明の第2,第3実施形態について説明する。なお、図5,図6において第1実施形態の防塵構造と同じ機能、効果を発揮する部分については図1〜図3と同じ符号を付して説明を省略する。
【0026】
図5に示す防塵構造においては、回転軸4に複数の吸引ファン6,26を取り付けている。このように、複数の吸引ファン6,26を配置すれば吸引機能がさらに高まって、回転軸4と貫通孔2との隙間3に強い空気流が発生するため、図1の場合よりも優れた防塵機能を発揮する。その他の構造、機能などについては第1実施形態と同様である。
【0027】
なお、吸引ファン6,26は互いに同形状、同サイズのものを用いているが、そのほか、形状の異なるファン、サイズの異なるファンを用いたり、3個以上のファンを配置したりすることも可能であり、これによって吸引量や吸引方向などを使用条件に適した状態に設定することができる。また、吸引ファン6,26の配置間隔を変更することによっても吸引量を調節することができる。
【0028】
一方、図6に示す防塵構造においては、回転軸4の先端部の送風ファン5(回転体)と隔壁1との間の位置に円板状の遮蔽部材18を取り付けている。このような構造とすれば、回転軸4と貫通孔2との隙間3の、送風ファン5側の開口部分が遮蔽部材18で覆われた状態となるため、送風ファン5と隔壁1との間に生じる負圧などに起因して、吸引ファン5による隙間3内の矢線X方向の空気流(図2参照)が減少するのを防止することができ、これによって、吸引ファン6の防塵機能を有効に確保することができる。なお、遮蔽部材18の機能を高めるため、遮蔽部材18は極力隔壁1に接近させ貫通孔2の開口部分に臨ませて配置することが望ましい。その他の構造、機能などについては第1実施形態と同様である。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、以下に示す効果を奏する。
【0030】
(1)隔壁に設けた貫通孔に隙間を設けて挿通した回転軸と、回転軸の隔壁を挟んで対向する位置にそれぞれ取り付けた回転体および吸引ファンとを備え、回転体を回転軸で運転方向に回転させたとき吸引ファンが前記隙間から空気を吸引する機能を有するものとすることにより、運転中、前記隙間には回転体から吸引ファンに向かう空気流が発生するため、簡単な構造でありながら、前記隙間を通じて回転体方向へ塵埃などが侵入するのを確実に防止することができ、耐久性も優れている。
【0031】
(2)吸引ファンを回転軸に複数配置すれば吸引機能が高まって、回転軸と貫通孔との隙間に強い空気流が発生するため、防塵機能がさらに向上する。
【0032】
(3)回転軸の回転体と隔壁との間の位置に遮蔽部材を取り付ければ、回転体と隔壁との間に生じる負圧などに起因して回転軸と貫通孔との隙間に回転体に向かう空気流が発生するのを抑制することができるので、吸引ファンの防塵機能を有効に確保することができる。
【0033】
(4)吸引ファンの周囲を包囲する筒状のファンカバーを配置すれば、吸引ファンによって発生する空気流が拡散せず、その方向が回転軸と平行方向に集中するので、回転軸と貫通孔との隙間により強い空気流が発生し、防塵機能がさらに高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である回転軸の防塵構造を示す一部切欠側面図である。
【図2】図1に示す回転軸の防塵構造の要部拡大図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図1に示す回転軸の防塵構造を使用した加熱炉の縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態である回転軸の防塵構造を示す一部切欠側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態である回転軸の防塵構造を示す一部切欠側面図である。
【図7】従来の技術を示す一部切欠側面図である。
【符号の説明】
1 隔壁
2 貫通孔
3 隙間
4,8a 回転軸
5,15 送風ファン
6,26 吸引ファン
6a 羽根
6b 環状部材
7,9 プーリ
8 モータ
10 ベルト
11 軸受部材
12 ファンカバー
13 加熱炉
14 ヒータ
16 フィルタ
17 被加熱物
18 遮蔽部材
19 ケーシング
20 排気パイプ
Claims (4)
- 隔壁に設けた貫通孔に隙間を設けて挿通した回転軸と、前記回転軸の前記隔壁を挟んで対向する位置にそれぞれ取り付けた回転体および吸引ファンとを備え、前記回転体を前記回転軸で運転方向に回転させたとき前記吸引ファンが前記隙間から空気を吸引する機能を有するものであることを特徴とする回転軸の防塵構造。
- 前記吸引ファンを前記回転軸に複数配置した請求項1記載の回転軸の防塵構造。
- 前記回転軸の前記回転体と前記隔壁との間の位置に遮蔽部材を取り付けた請求項1または2記載の回転軸の防塵構造。
- 前記吸引ファンの周囲を包囲する筒状のファンカバーを配置した請求項1〜3のいずれかに記載の回転軸の防塵構造。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002297980A JP2004132278A (ja) | 2002-10-10 | 2002-10-10 | 回転軸の防塵構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002297980A JP2004132278A (ja) | 2002-10-10 | 2002-10-10 | 回転軸の防塵構造 |
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Cited By (1)
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CN114753838A (zh) * | 2022-03-29 | 2022-07-15 | 苏州常威机械有限公司 | 一种采煤机用多功能回转台 |
-
2002
- 2002-10-10 JP JP2002297980A patent/JP2004132278A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114753838A (zh) * | 2022-03-29 | 2022-07-15 | 苏州常威机械有限公司 | 一种采煤机用多功能回转台 |
CN114753838B (zh) * | 2022-03-29 | 2023-03-10 | 苏州常威机械有限公司 | 一种采煤机用多功能回转台 |
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