JP2004132230A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料性状の違いによるイオウ濃度の違いに対応して、被毒解除処理を過不足なく行わせ、燃費の悪化や触媒の熱劣化の発生を防止する。
【解決手段】ハイオクガソリンでの走行距離HMILEとレギュラーガソリンでの走行距離RMILEとを個別に積算させ、前記HMILE+RMILEが閾値SOXFULL以上になったときに、被毒解除要求を発生させる。被毒解除要求が発生しても被毒解除処理の許可条件が成立するまでは、前記走行距離の積算を継続させる。前記許可条件が成立すると、走行距離RMILEをレギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEによって0にまで減算し、その後、走行距離HMILEをステップ解除量RSMILE×kによって0にまで減算し、走行距離HMILEが0になったときに被毒解除要求をキャンセルする。
【選択図】 図2
【解決手段】ハイオクガソリンでの走行距離HMILEとレギュラーガソリンでの走行距離RMILEとを個別に積算させ、前記HMILE+RMILEが閾値SOXFULL以上になったときに、被毒解除要求を発生させる。被毒解除要求が発生しても被毒解除処理の許可条件が成立するまでは、前記走行距離の積算を継続させる。前記許可条件が成立すると、走行距離RMILEをレギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEによって0にまで減算し、その後、走行距離HMILEをステップ解除量RSMILE×kによって0にまで減算し、走行距離HMILEが0になったときに被毒解除要求をキャンセルする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関し、詳しくは、排気浄化触媒に付着した被毒物質を解除する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気浄化触媒における被毒物質の付着量を推定し、該推定結果に基づいて被毒解除処理を行う装置として、特許文献1に開示されるものがあった。
このものは、NOxトラップ触媒に対する被毒物質(イオウ酸化物)の付着量を燃料供給量に基づいて推定する一方、空燃比を強制的にリッチ化したときに、触媒下流の空燃比センサで検出される排気空燃比に基づいて、推定付着量を補正することで、燃料中の被毒物質濃度のばらつきによって、付着量の推定精度が低下することを防止する構成である。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−280179号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、排気空燃比をリッチにしたときの触媒下流側での酸素濃度が、触媒におけるNOxトラップ量を反映し、該NOxトラップ量が被毒状態に影響されることに基づいて、付着量の推定誤差を判断している。
このため、燃料中の被毒物質濃度のばらつきを精度良く判断することが困難で、付着量を安定的に精度良く補正することができず、これにより、被毒解除処理が過剰に行われて、燃費の悪化や触媒の劣化を招く可能性があるという問題があった。
【0005】
また、触媒の下流側に新たに酸素センサを設ける必要があり、コストが高い仕様になってしまうという問題もあった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃料中の被毒物質濃度にばらつきがあっても、過剰に被毒物質の解除処理が行われることを回避でき、然も、低コストに構成できる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、
被毒解除手段の非作動時に被毒物質の付着量を推定し、この推定した付着量に基づいて解除要求を発生させる一方、被毒解除手段の作動許可条件を判定し、解除要求発生時でかつ作動許可条件が成立するときに、前記被毒解除手段を作動させる。
【0007】
そして、被毒解除手段が作動しているときに燃料性状に応じて被毒物質の解除量を推定し、この推定された解除量に基づいて前記解除要求をキャンセルする構成とした。
【0008】
【発明の効果】
本発明によると、燃料性状によって被毒物質の解除量が演算されることで、燃料性状による被毒物質濃度の違いに応じて被毒解除処理が行われる期間が適正に設定され、また、被毒物質の付着量が多くなって被毒解除処理が必要な状態であっても、被毒解除処理の許可条件が成立せずに、被毒解除処理が実行されない場合には、付着量の推定が継続して行われるから、付着量を精度良く推定でき、これにより、過剰に被毒物質の解除処理が行われて燃費の悪化や触媒の熱劣化を招くことを防止できるという効果がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は実施の形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。
この図1に示す内燃機関1には、スロットル弁2で計量された空気が吸引され、燃料噴射弁3から燃焼室内に直接噴射される燃料(ガソリン)と前記吸入空気とが混合して、燃焼室内に混合気が形成される。
【0010】
尚、燃料噴射弁3は、吸気ポート部に燃料を噴射する構成であっても良い。
前記燃焼室内に形成された混合気は、点火栓4による火花点火によって着火燃焼し、燃焼排気は排気管9に介装されたNOxトラップ触媒5(排気浄化触媒)で浄化された後に、大気中に排出される。
前記NOxトラップ触媒5は、排気空燃比がリーンであるときに排気中のNOxをトラップし、排気空燃比が理論空燃比又はリッチであるときに前記トラップしていたNOxを放出して三元触媒層で還元処理する触媒(NOxトラップ型三元触媒)である。
【0011】
前記燃料噴射弁3による噴射時期・噴射量、及び、点火栓4による点火時期を制御するコントロールユニット6は、マイクロコンピュータを含んで構成される。
前記コントロールユニット6は、各種センサからの検出信号に基づく演算処理によって、前記燃料噴射弁3に対して燃料噴射信号(噴射パルス信号)を出力し、点火栓4(パワートランジスタ)に対して点火信号を出力する。
【0012】
前記コントロールユニット6による噴射量制御においては、運転条件に応じて目標空燃比を決定し、該目標空燃比の混合気が形成されるように燃料噴射量(噴射パルス幅)を演算するが、前記目標空燃比として理論空燃比よりもリーンである空燃比が運転条件に応じて設定され、所謂リーンバーン運転が行われる構成となっている。
【0013】
前記リーンバーン運転状態では、排気中のNOxが前記NOxトラップ触媒5にトラップされるが、リーン運転が長く継続すると、NOxトラップ触媒5におけるNOxトラップ量が飽和状態となる。
そこで、リーン運転状態において定期的に或いはNOxトラップ量が所定以上になっていると推定されるときに、空燃比を強制的にリッチ化させることによって、トラップしたNOxを放出させて三元触媒層で還元処理することで、NOxトラップ触媒5のNOxトラップ能力を回復させるようになっている。
【0014】
前記各種センサとしては、機関1の吸入空気流量を検出するエアフローメータ7、前記スロットル弁2の開度を検出するスロットルセンサ8、前記NOxトラップ触媒5の上流側の排気管9に配置されて排気空燃比を検出する空燃比センサ10、ノッキングの発生時の振動を検出するノックセンサ15、機関1が搭載される車両の走行速度を検出する車速センサ16、機関1の回転速度に応じた回転信号を出力するクランク角センサ17などが設けられる。
【0015】
前記空燃比センサ10は、排気中の酸素濃度に基づいて排気空燃比を検出するセンサであり、理論空燃比のみを検出するストイキセンサであっても良いし、また、排気空燃比を広域に検出できる広域空燃比センサであっても良い。
前記コントロールユニット6は、通常は、前記空燃比センサ10で検出される排気空燃比を目標空燃比に近づけるように、前記燃料噴射量を補正するための空燃比フィードバック補正係数ALPHAを、例えば比例・積分・微分制御などにより設定する。
【0016】
また、排気マニホールド11から吸気コレクタ部13へ燃焼排気の一部を還流させるEGR管12が設けられ、該EGR管12にはEGRバルブ14が介装されている。
前記コントロールユニット6は、運転条件に応じて前記EGRバルブ14を制御して排気還流率を制御する。
【0017】
ところで、前記NOxトラップ触媒5には、燃料中に含まれるイオウ(イオウ酸化物SOx)が付着しやすく、NOxトラップ触媒5に対するイオウ付着量が増大すると、その分NOxのトラップ能力が低下することになってしまう。
そこで、前記NOxトラップ触媒5に対するイオウ付着量を推定し、該推定付着量が多くなると、被毒物質としてのイオウ成分(イオウ酸化物SOx)をNOxトラップ触媒5から放出させる被毒解除処理を行うようになっている。
【0018】
以下、上記被毒解除処理を、図2のフローチャートに従って詳細に説明する。
ステップS1では、機関が現在使用しているガソリン燃料が、ハイオクタンガソリンであるかレギュラーガソリンであるかを判定する(燃料性状判定手段)。
尚、ガソリン燃料を、ハイオクタンガソリンとレギュラーガソリンとのいずれかに判別する方法については、後で詳細に説明する。
【0019】
ステップS1で、現在使用しているガソリン燃料がレギュラーガソリンであると判別されると、ステップS2へ進み、前回までのレギュラーガソリンによる走行距離RMILEに本ルーチン実行周期当たりの車両走行距離ΔVSPを加算した結果を、新たな走行距離RMILEとする演算を行う。
尚、前記走行距離ΔVSPは、車速センサの出力を単位時間毎の走行距離に換算した値である。
【0020】
一方、ステップS2で、現在使用しているガソリン燃料がハイオクタンガソリンであると判別されると、ステップS3へ進み、前回までのハイオクタンガソリンによる走行距離HMILEに本ルーチン実行周期当たりの車両走行距離ΔVSPを加算した結果を、新たな走行距離HMILEとする演算を行う。
ステップS4では、被毒解除要求フラグFLSに、被毒解除要求状態を示す1がセットされているか否かを判別する。
【0021】
前記被毒解除要求フラグFLSに0がセットされているとき、即ち、前回までに被毒解除要求が発生していない場合には、ステップS5へ進む。
一方、前回までに被毒解除要求フラグFLSに1がセットされているときには、ステップS5,6を迂回して、ステップS7へ進む。
ステップS5では、前記レギュラーガソリンによる走行距離RMILEとハイオクタンガソリンによる走行距離HMILEとの加算値(前回の被毒解除完了時からの走行距離)が、閾値SOXFU LL以上になっているか否かを判別する。
【0022】
そして、RMILE+HMILEが閾値SOXFULL以上であれば、ステップS6へ進み、前記被毒解除要求フラグFLSに1をセットし、RMILE+HMILEが閾値SOXFULLよりも小さい場合には、ステップS1へ戻る。
上記ステップS5,6の部分が、解除要求発生手段に相当する。
前記NOxトラップ触媒5に対するイオウ付着量は、走行距離に略比例して増大変化するから、前述のように、イオウ付着量に相当する値として走行距離を積算させる。
【0023】
従って、前記ステップS1〜3の部分が、付着量推定手段に相当する。
そして、走行距離RMILE+HMILEが閾値SOXFULL以上になったときには、NOxトラップ触媒5に対するイオウ付着量が、被毒解除が必要なだけの量になっているものと推定する。
上記被毒解除要求の判別には、レギュラーガソリンによる走行距離RMILEとハイオクタンガソリンによる走行距離HMILEとの区別は関与しないが、後述する解除量の演算に用いられる。
【0024】
但し、イオウ付着量の推定を走行距離に基づいて行う構成に限定するものではなく、排気ガス量や燃料量に基づいて行わせる構成であっても良い。
前記被毒解除要求フラグFLSに1がセットされると、ステップS7へ進む。
許可条件判定手段としてのステップS7では、被毒解除処理の作動許可条件が成立しているか否かを判別する。
【0025】
前記作動許可条件としては、例えば、車速が所定値以上であること、機関の運転状態が所定の高負荷・高回転域であること、触媒5の温度が所定温度以上であることなどを判定させる。
ステップS7で、被毒解除処理の作動許可条件が成立していると判別されると、ステップS8(被毒解除手段)へ進み、被毒解除処理を実行する。
【0026】
尚、被毒解除処理の詳細については、後で説明する。
従って、前記被毒解除要求フラグFLSに1がセットされていて、かつ、前記作動許可条件が成立しているときに、被毒解除処理が実行されることになり、ステップS4〜7の機能が、作動制御手段に相当する。
一方、ステップS7で、被毒解除処理の作動許可条件が成立していないと判別されると、ステップS8以降に進むことなく、ステップS1に戻るようにする。
【0027】
即ち、図3,4に示すように、被毒解除要求フラグFLSに1がセットされても、被毒解除処理の作動許可条件が成立していないときには、被毒解除処理が行われず、その後被毒解除処理の作動許可条件が成立するまでの間(図3,4の区間A)において、付着量(走行距離)の積算を続ける。
また、図4に示すように、被毒解除処理の作動許可条件が成立し、一旦被毒解除処理が開始された後で、作動許可条件が不成立となって被毒解除処理が中断される場合があるが、係る中断の間(図4の区間B)も、付着量(走行距離)の積算を続けられ、被毒解除処理が行われていないときの付着量の増大変化を精度良く推定できる。
【0028】
ステップS8で被毒解除処理を実行すると、ステップS9では、前記レギュラーガソリンによる走行距離RMILEが、被毒解除処理に伴う解除量の演算によって0にまで減少しているか否かを判別する。
走行距離RMILEが0でないときには、ステップS10へ進み、前回までの走行距離RMILEからレギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEを減算した結果を新たな走行距離RMILEとして更新させる。
【0029】
前記ステップ解除量RSMILEは、全てレギュラーガソリンを使用した状態で付着したイオウを解除する場合に適合する値として予め記憶されている。
即ち、レギュラーガソリンのみを使用して走行距離が被毒解除要求に達し、被毒解除処理を行ったときには、本ルーチンの実行周期毎に前記ステップ解除量RSMILEずつ走行距離RMILEを減少させて、走行距離RMILEが0にまで減少する時間が、実際のイオウ付着量を全て解除できる時間に略一致するようにしてある。
【0030】
一方、走行距離RMILEが0であるときには、ステップS11へ進む。
尚、全てハイオクタンガソリンで走行した場合には、走行距離RMILE=0であるから、初めてステップS9へ進んだときから、ステップS11へ進むことになる。
ステップS11では、前記ハイオクタンガソリンによる走行距離HMILEが、被毒解除処理に伴う解除量の演算によって0にまで減少しているか否かを判別する。
【0031】
走行距離HMILEが0でないときには、ステップS12へ進み、前回までの走行距離HMILEから、レギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEと係数kとの乗算値を減算した結果を新たな走行距離HMILEとして更新させる。
前記係数kは、予め設定される任意の係数であり、例えばk=6とする。
【0032】
ガソリン中に含まれるイオウ成分濃度は、ハイオクタンガソリンとレギュラーガソリンとで異なり、レギュラーガソリンはハイオクタンガソリンに比べてイオウ成分濃度が高く、平均的には、ハイオクタンガソリンに含まれるイオウ成分濃度に比べて、レギュラーガソリンに含まれるイオウ成分濃度は約6倍高い。
このため、同じ走行距離で比較すると、ハイオクタンガソリンを使用している場合には、レギュラーガソリンを使用している場合に比べて実際のイオウ付着量が1/6程度となり、換言すれば、同じ走行距離で比較すると、ハイオクタンガソリンを使用している場合には、見掛け上6倍の速度で被毒解除が進行することになる。
【0033】
そこで、レギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEに係数k(例えばk=6)を乗算することで、レギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEを基準に、ハイオクタンガソリン用のステップ解除量が設定されるようにしてある。
即ち、ハイオクタンガソリンのみを使用して走行距離が被毒解除要求に達し、被毒解除処理を行ったときには、本ルーチンの実行周期毎にRSMILE×kずつ走行距離HMILEを減少させて、走行距離HMILEが0にまで減少する時間が、実際のイオウ付着量を全て解除できる時間に略一致するようにしてある。
【0034】
従って、ハイオクタン・レギュラーガソリンが使い分けられる場合であっても、被毒解除量を精度良く推定でき、以って、過不足なく被毒解除処理を行わせることができ、触媒5の熱劣化や燃費性能の悪化を回避できる。
上記ステップS9〜ステップS12の部分が解除量推定手段に相当する。
ステップS11で、前記走行距離HMILEが0になっていると判別されると、解除停止手段としてのステップS13へ進み、前記被毒解除要求フラグFLSを0にリセットして、被毒解除要求をキャンセルし、被毒解除処理を停止させる。
【0035】
尚、前記走行距離HMILEの減算を先に行わせ、走行距離HMILEが0になってから走行距離RMILEの減算を行わせるようにしても、同じである。
図5のフローチャートは、ハイオクタンガソリンとレギュラーガソリンとに判別して点火時期を切り換える制御(燃料性状判定手段)を示す。
ステップS101では、予めハイオクタンガソリンを使用したときに適合されている点火時期マップ(機関の負荷・回転に応じて点火進角値を記憶したマップ)を参照して基本点火時期を求める。
【0036】
ステップS102では、初期値が0である遅角補正値で前記基本点火時期を補正して最終的な点火時期を決定し、該点火時期に基づいて点火栓4による点火を制御する。
ステップS103では、ノッキングが発生したか否かを前記ノックセンサ15の検出結果に基づいて判断する。
【0037】
ノッキングが発生すると、ステップS104へ進み、前記遅角補正値を、点火時期の遅角方向に所定値だけ変化させる。
一方、ステップS103でノッキングの発生がないと判断されたときには、ステップS105へ進み、前記遅角補正値を、点火時期の進角方向に所定値だけ変化させる。
【0038】
ステップS106では、前記遅角補正値の加重平均値を演算する。
ステップS107では、前記遅角補正値の加重平均値が示す遅角方向の補正量が閾値以上であるか否かを判別する。
遅角方向の補正量が閾値以上である場合には、実際の使用燃料がハイオクタンガソリンよりもオクタン価の低いレギュラーガソリンであるため、ハイオクタンガソリンに適合された点火時期ではノッキングが発生して、閾値以上の遅角補正が要求されたものと判断し、ステップS108へ進んで、点火時期制御において参照する点火時期マップをレギュラーガソリン用の点火時期マップに切り換える(図6参照)。
【0039】
従って、点火時期制御に用いているマップが、ハイオクタンガソリン用のものであるか、レギュラーガソリン用のものであるかを判別することで、前記被毒解除処理(前記ステップS1)におけるハイオクタンガソリン・レギュラーガソリンの判別が行える。
図7のフローチャートは、前記ステップS8における被毒解除処理の詳細を示す。
【0040】
ステップS21では、前記EGRバルブ14を閉じて排気還流を停止させる。
また、次のステップS22では、点火時期を予め設定された角度だけ遅角補正する。
更に、ステップS23では、空燃比フィードバック制御の目標空燃比のリッチ化させる。
【0041】
上記排気還流の停止,点火時期の遅角及び目標空燃比のリッチ化によって、排気温度を強制的に上昇させ、以って、NOxトラップ触媒5の温度を所定温度以上に上昇させ、このときNOxトラップ触媒5がリッチ雰囲気に晒されることにより、付着していたイオウ成分(イオウ酸化物)をNOxトラップ触媒5から放出させるようにする。
【0042】
尚、イオウ成分(被毒物質)を放出させるには、空燃比をリッチ化させると共に、触媒温度を所定温度以上に上昇させれば良く、また、上記の排気還流の停止,点火時期の遅角,空燃比のリッチ化は全て排気温度の上昇を招くから、必ずしも空燃比のリッチ化と同時に、排気還流の停止,点火時期の遅角を同時に実行させる必要はない。
【0043】
また、触媒温度を上昇させる手段として、NOxトラップ触媒5を加熱するヒータを備えるようにしたり、また、排気温度を上昇させる手段として、燃料の噴射時期を遅らせたり、燃料噴射を2回に分けて行わせるようにしても良い。
上記実施形態によると、被毒解除処理によるイオウの解除量が、イオウ成分濃度(被毒物質濃度)に相関する燃料性状に応じて演算されるから、被毒解除処理が過剰に行われて燃費の悪化やNOxトラップ触媒5の劣化が発生することを回避できる。
【0044】
また、燃料性状としてハイオクタンガソリン,レギュラーガソリンの判定を行わせることで、簡便な構成でイオウ成分濃度(被毒物質濃度)の違いに対応した被毒解除処理を行わせることができ、特に、ノッキング検出に基づく点火時期制御による判定結果を用いれば、燃料性状の判定結果を共用でき、制御構成が複雑になることがない。
【0045】
尚、上記実施形態では、走行距離HMILE,RMILEを個別に減算させる構成としたが、走行距離HMILE,RMILEの割合からステップ解除量を演算し、該ステップ解除量に基づいて走行距離HMILE,RMILEの総和を減算処理する構成としても良い。
また、上記実施形態では、被毒物質が付着する排気浄化触媒を、NOxトラップ触媒としたが、イオウが付着する触媒であれば同様にして被毒解除処理を行わせることができ、排気浄化触媒をNOxトラップ触媒に限定するものではなく、また、被毒物質をイオウに限定するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関のシステム構成図。
【図2】イオウ被毒の解除制御を示すフローチャート。
【図3】走行距離の積算,走行距離による被毒解除要求,解除処理の許可条件,被毒解除処理の相関を示すタイムチャート。
【図4】走行距離の積算,走行距離による被毒解除要求,解除処理の許可条件,被毒解除処理の相関を示すタイムチャート。
【図5】ハイオクタン・レギュラー判定処理を示すフローチャート。
【図6】ハイオクタン・レギュラー判定処理時の点火時期制御の特性を示すタイムチャート。
【図7】被毒解除処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関
2…スロットル弁
3…燃料噴射弁
4…点火栓
5…NOxトラップ触媒
6…コントロールユニット
7…エアフローメータ
8…スロットルセンサ
9…排気管
10…空燃比センサ
11…排気マニホールド
12…EGR管
13…吸気コレクタ部
14…EGRバルブ
15…ノックセンサ
16…車速センサ
17…クランク角センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関し、詳しくは、排気浄化触媒に付着した被毒物質を解除する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気浄化触媒における被毒物質の付着量を推定し、該推定結果に基づいて被毒解除処理を行う装置として、特許文献1に開示されるものがあった。
このものは、NOxトラップ触媒に対する被毒物質(イオウ酸化物)の付着量を燃料供給量に基づいて推定する一方、空燃比を強制的にリッチ化したときに、触媒下流の空燃比センサで検出される排気空燃比に基づいて、推定付着量を補正することで、燃料中の被毒物質濃度のばらつきによって、付着量の推定精度が低下することを防止する構成である。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−280179号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、排気空燃比をリッチにしたときの触媒下流側での酸素濃度が、触媒におけるNOxトラップ量を反映し、該NOxトラップ量が被毒状態に影響されることに基づいて、付着量の推定誤差を判断している。
このため、燃料中の被毒物質濃度のばらつきを精度良く判断することが困難で、付着量を安定的に精度良く補正することができず、これにより、被毒解除処理が過剰に行われて、燃費の悪化や触媒の劣化を招く可能性があるという問題があった。
【0005】
また、触媒の下流側に新たに酸素センサを設ける必要があり、コストが高い仕様になってしまうという問題もあった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃料中の被毒物質濃度にばらつきがあっても、過剰に被毒物質の解除処理が行われることを回避でき、然も、低コストに構成できる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、
被毒解除手段の非作動時に被毒物質の付着量を推定し、この推定した付着量に基づいて解除要求を発生させる一方、被毒解除手段の作動許可条件を判定し、解除要求発生時でかつ作動許可条件が成立するときに、前記被毒解除手段を作動させる。
【0007】
そして、被毒解除手段が作動しているときに燃料性状に応じて被毒物質の解除量を推定し、この推定された解除量に基づいて前記解除要求をキャンセルする構成とした。
【0008】
【発明の効果】
本発明によると、燃料性状によって被毒物質の解除量が演算されることで、燃料性状による被毒物質濃度の違いに応じて被毒解除処理が行われる期間が適正に設定され、また、被毒物質の付着量が多くなって被毒解除処理が必要な状態であっても、被毒解除処理の許可条件が成立せずに、被毒解除処理が実行されない場合には、付着量の推定が継続して行われるから、付着量を精度良く推定でき、これにより、過剰に被毒物質の解除処理が行われて燃費の悪化や触媒の熱劣化を招くことを防止できるという効果がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は実施の形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。
この図1に示す内燃機関1には、スロットル弁2で計量された空気が吸引され、燃料噴射弁3から燃焼室内に直接噴射される燃料(ガソリン)と前記吸入空気とが混合して、燃焼室内に混合気が形成される。
【0010】
尚、燃料噴射弁3は、吸気ポート部に燃料を噴射する構成であっても良い。
前記燃焼室内に形成された混合気は、点火栓4による火花点火によって着火燃焼し、燃焼排気は排気管9に介装されたNOxトラップ触媒5(排気浄化触媒)で浄化された後に、大気中に排出される。
前記NOxトラップ触媒5は、排気空燃比がリーンであるときに排気中のNOxをトラップし、排気空燃比が理論空燃比又はリッチであるときに前記トラップしていたNOxを放出して三元触媒層で還元処理する触媒(NOxトラップ型三元触媒)である。
【0011】
前記燃料噴射弁3による噴射時期・噴射量、及び、点火栓4による点火時期を制御するコントロールユニット6は、マイクロコンピュータを含んで構成される。
前記コントロールユニット6は、各種センサからの検出信号に基づく演算処理によって、前記燃料噴射弁3に対して燃料噴射信号(噴射パルス信号)を出力し、点火栓4(パワートランジスタ)に対して点火信号を出力する。
【0012】
前記コントロールユニット6による噴射量制御においては、運転条件に応じて目標空燃比を決定し、該目標空燃比の混合気が形成されるように燃料噴射量(噴射パルス幅)を演算するが、前記目標空燃比として理論空燃比よりもリーンである空燃比が運転条件に応じて設定され、所謂リーンバーン運転が行われる構成となっている。
【0013】
前記リーンバーン運転状態では、排気中のNOxが前記NOxトラップ触媒5にトラップされるが、リーン運転が長く継続すると、NOxトラップ触媒5におけるNOxトラップ量が飽和状態となる。
そこで、リーン運転状態において定期的に或いはNOxトラップ量が所定以上になっていると推定されるときに、空燃比を強制的にリッチ化させることによって、トラップしたNOxを放出させて三元触媒層で還元処理することで、NOxトラップ触媒5のNOxトラップ能力を回復させるようになっている。
【0014】
前記各種センサとしては、機関1の吸入空気流量を検出するエアフローメータ7、前記スロットル弁2の開度を検出するスロットルセンサ8、前記NOxトラップ触媒5の上流側の排気管9に配置されて排気空燃比を検出する空燃比センサ10、ノッキングの発生時の振動を検出するノックセンサ15、機関1が搭載される車両の走行速度を検出する車速センサ16、機関1の回転速度に応じた回転信号を出力するクランク角センサ17などが設けられる。
【0015】
前記空燃比センサ10は、排気中の酸素濃度に基づいて排気空燃比を検出するセンサであり、理論空燃比のみを検出するストイキセンサであっても良いし、また、排気空燃比を広域に検出できる広域空燃比センサであっても良い。
前記コントロールユニット6は、通常は、前記空燃比センサ10で検出される排気空燃比を目標空燃比に近づけるように、前記燃料噴射量を補正するための空燃比フィードバック補正係数ALPHAを、例えば比例・積分・微分制御などにより設定する。
【0016】
また、排気マニホールド11から吸気コレクタ部13へ燃焼排気の一部を還流させるEGR管12が設けられ、該EGR管12にはEGRバルブ14が介装されている。
前記コントロールユニット6は、運転条件に応じて前記EGRバルブ14を制御して排気還流率を制御する。
【0017】
ところで、前記NOxトラップ触媒5には、燃料中に含まれるイオウ(イオウ酸化物SOx)が付着しやすく、NOxトラップ触媒5に対するイオウ付着量が増大すると、その分NOxのトラップ能力が低下することになってしまう。
そこで、前記NOxトラップ触媒5に対するイオウ付着量を推定し、該推定付着量が多くなると、被毒物質としてのイオウ成分(イオウ酸化物SOx)をNOxトラップ触媒5から放出させる被毒解除処理を行うようになっている。
【0018】
以下、上記被毒解除処理を、図2のフローチャートに従って詳細に説明する。
ステップS1では、機関が現在使用しているガソリン燃料が、ハイオクタンガソリンであるかレギュラーガソリンであるかを判定する(燃料性状判定手段)。
尚、ガソリン燃料を、ハイオクタンガソリンとレギュラーガソリンとのいずれかに判別する方法については、後で詳細に説明する。
【0019】
ステップS1で、現在使用しているガソリン燃料がレギュラーガソリンであると判別されると、ステップS2へ進み、前回までのレギュラーガソリンによる走行距離RMILEに本ルーチン実行周期当たりの車両走行距離ΔVSPを加算した結果を、新たな走行距離RMILEとする演算を行う。
尚、前記走行距離ΔVSPは、車速センサの出力を単位時間毎の走行距離に換算した値である。
【0020】
一方、ステップS2で、現在使用しているガソリン燃料がハイオクタンガソリンであると判別されると、ステップS3へ進み、前回までのハイオクタンガソリンによる走行距離HMILEに本ルーチン実行周期当たりの車両走行距離ΔVSPを加算した結果を、新たな走行距離HMILEとする演算を行う。
ステップS4では、被毒解除要求フラグFLSに、被毒解除要求状態を示す1がセットされているか否かを判別する。
【0021】
前記被毒解除要求フラグFLSに0がセットされているとき、即ち、前回までに被毒解除要求が発生していない場合には、ステップS5へ進む。
一方、前回までに被毒解除要求フラグFLSに1がセットされているときには、ステップS5,6を迂回して、ステップS7へ進む。
ステップS5では、前記レギュラーガソリンによる走行距離RMILEとハイオクタンガソリンによる走行距離HMILEとの加算値(前回の被毒解除完了時からの走行距離)が、閾値SOXFU LL以上になっているか否かを判別する。
【0022】
そして、RMILE+HMILEが閾値SOXFULL以上であれば、ステップS6へ進み、前記被毒解除要求フラグFLSに1をセットし、RMILE+HMILEが閾値SOXFULLよりも小さい場合には、ステップS1へ戻る。
上記ステップS5,6の部分が、解除要求発生手段に相当する。
前記NOxトラップ触媒5に対するイオウ付着量は、走行距離に略比例して増大変化するから、前述のように、イオウ付着量に相当する値として走行距離を積算させる。
【0023】
従って、前記ステップS1〜3の部分が、付着量推定手段に相当する。
そして、走行距離RMILE+HMILEが閾値SOXFULL以上になったときには、NOxトラップ触媒5に対するイオウ付着量が、被毒解除が必要なだけの量になっているものと推定する。
上記被毒解除要求の判別には、レギュラーガソリンによる走行距離RMILEとハイオクタンガソリンによる走行距離HMILEとの区別は関与しないが、後述する解除量の演算に用いられる。
【0024】
但し、イオウ付着量の推定を走行距離に基づいて行う構成に限定するものではなく、排気ガス量や燃料量に基づいて行わせる構成であっても良い。
前記被毒解除要求フラグFLSに1がセットされると、ステップS7へ進む。
許可条件判定手段としてのステップS7では、被毒解除処理の作動許可条件が成立しているか否かを判別する。
【0025】
前記作動許可条件としては、例えば、車速が所定値以上であること、機関の運転状態が所定の高負荷・高回転域であること、触媒5の温度が所定温度以上であることなどを判定させる。
ステップS7で、被毒解除処理の作動許可条件が成立していると判別されると、ステップS8(被毒解除手段)へ進み、被毒解除処理を実行する。
【0026】
尚、被毒解除処理の詳細については、後で説明する。
従って、前記被毒解除要求フラグFLSに1がセットされていて、かつ、前記作動許可条件が成立しているときに、被毒解除処理が実行されることになり、ステップS4〜7の機能が、作動制御手段に相当する。
一方、ステップS7で、被毒解除処理の作動許可条件が成立していないと判別されると、ステップS8以降に進むことなく、ステップS1に戻るようにする。
【0027】
即ち、図3,4に示すように、被毒解除要求フラグFLSに1がセットされても、被毒解除処理の作動許可条件が成立していないときには、被毒解除処理が行われず、その後被毒解除処理の作動許可条件が成立するまでの間(図3,4の区間A)において、付着量(走行距離)の積算を続ける。
また、図4に示すように、被毒解除処理の作動許可条件が成立し、一旦被毒解除処理が開始された後で、作動許可条件が不成立となって被毒解除処理が中断される場合があるが、係る中断の間(図4の区間B)も、付着量(走行距離)の積算を続けられ、被毒解除処理が行われていないときの付着量の増大変化を精度良く推定できる。
【0028】
ステップS8で被毒解除処理を実行すると、ステップS9では、前記レギュラーガソリンによる走行距離RMILEが、被毒解除処理に伴う解除量の演算によって0にまで減少しているか否かを判別する。
走行距離RMILEが0でないときには、ステップS10へ進み、前回までの走行距離RMILEからレギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEを減算した結果を新たな走行距離RMILEとして更新させる。
【0029】
前記ステップ解除量RSMILEは、全てレギュラーガソリンを使用した状態で付着したイオウを解除する場合に適合する値として予め記憶されている。
即ち、レギュラーガソリンのみを使用して走行距離が被毒解除要求に達し、被毒解除処理を行ったときには、本ルーチンの実行周期毎に前記ステップ解除量RSMILEずつ走行距離RMILEを減少させて、走行距離RMILEが0にまで減少する時間が、実際のイオウ付着量を全て解除できる時間に略一致するようにしてある。
【0030】
一方、走行距離RMILEが0であるときには、ステップS11へ進む。
尚、全てハイオクタンガソリンで走行した場合には、走行距離RMILE=0であるから、初めてステップS9へ進んだときから、ステップS11へ進むことになる。
ステップS11では、前記ハイオクタンガソリンによる走行距離HMILEが、被毒解除処理に伴う解除量の演算によって0にまで減少しているか否かを判別する。
【0031】
走行距離HMILEが0でないときには、ステップS12へ進み、前回までの走行距離HMILEから、レギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEと係数kとの乗算値を減算した結果を新たな走行距離HMILEとして更新させる。
前記係数kは、予め設定される任意の係数であり、例えばk=6とする。
【0032】
ガソリン中に含まれるイオウ成分濃度は、ハイオクタンガソリンとレギュラーガソリンとで異なり、レギュラーガソリンはハイオクタンガソリンに比べてイオウ成分濃度が高く、平均的には、ハイオクタンガソリンに含まれるイオウ成分濃度に比べて、レギュラーガソリンに含まれるイオウ成分濃度は約6倍高い。
このため、同じ走行距離で比較すると、ハイオクタンガソリンを使用している場合には、レギュラーガソリンを使用している場合に比べて実際のイオウ付着量が1/6程度となり、換言すれば、同じ走行距離で比較すると、ハイオクタンガソリンを使用している場合には、見掛け上6倍の速度で被毒解除が進行することになる。
【0033】
そこで、レギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEに係数k(例えばk=6)を乗算することで、レギュラーガソリン用のステップ解除量RSMILEを基準に、ハイオクタンガソリン用のステップ解除量が設定されるようにしてある。
即ち、ハイオクタンガソリンのみを使用して走行距離が被毒解除要求に達し、被毒解除処理を行ったときには、本ルーチンの実行周期毎にRSMILE×kずつ走行距離HMILEを減少させて、走行距離HMILEが0にまで減少する時間が、実際のイオウ付着量を全て解除できる時間に略一致するようにしてある。
【0034】
従って、ハイオクタン・レギュラーガソリンが使い分けられる場合であっても、被毒解除量を精度良く推定でき、以って、過不足なく被毒解除処理を行わせることができ、触媒5の熱劣化や燃費性能の悪化を回避できる。
上記ステップS9〜ステップS12の部分が解除量推定手段に相当する。
ステップS11で、前記走行距離HMILEが0になっていると判別されると、解除停止手段としてのステップS13へ進み、前記被毒解除要求フラグFLSを0にリセットして、被毒解除要求をキャンセルし、被毒解除処理を停止させる。
【0035】
尚、前記走行距離HMILEの減算を先に行わせ、走行距離HMILEが0になってから走行距離RMILEの減算を行わせるようにしても、同じである。
図5のフローチャートは、ハイオクタンガソリンとレギュラーガソリンとに判別して点火時期を切り換える制御(燃料性状判定手段)を示す。
ステップS101では、予めハイオクタンガソリンを使用したときに適合されている点火時期マップ(機関の負荷・回転に応じて点火進角値を記憶したマップ)を参照して基本点火時期を求める。
【0036】
ステップS102では、初期値が0である遅角補正値で前記基本点火時期を補正して最終的な点火時期を決定し、該点火時期に基づいて点火栓4による点火を制御する。
ステップS103では、ノッキングが発生したか否かを前記ノックセンサ15の検出結果に基づいて判断する。
【0037】
ノッキングが発生すると、ステップS104へ進み、前記遅角補正値を、点火時期の遅角方向に所定値だけ変化させる。
一方、ステップS103でノッキングの発生がないと判断されたときには、ステップS105へ進み、前記遅角補正値を、点火時期の進角方向に所定値だけ変化させる。
【0038】
ステップS106では、前記遅角補正値の加重平均値を演算する。
ステップS107では、前記遅角補正値の加重平均値が示す遅角方向の補正量が閾値以上であるか否かを判別する。
遅角方向の補正量が閾値以上である場合には、実際の使用燃料がハイオクタンガソリンよりもオクタン価の低いレギュラーガソリンであるため、ハイオクタンガソリンに適合された点火時期ではノッキングが発生して、閾値以上の遅角補正が要求されたものと判断し、ステップS108へ進んで、点火時期制御において参照する点火時期マップをレギュラーガソリン用の点火時期マップに切り換える(図6参照)。
【0039】
従って、点火時期制御に用いているマップが、ハイオクタンガソリン用のものであるか、レギュラーガソリン用のものであるかを判別することで、前記被毒解除処理(前記ステップS1)におけるハイオクタンガソリン・レギュラーガソリンの判別が行える。
図7のフローチャートは、前記ステップS8における被毒解除処理の詳細を示す。
【0040】
ステップS21では、前記EGRバルブ14を閉じて排気還流を停止させる。
また、次のステップS22では、点火時期を予め設定された角度だけ遅角補正する。
更に、ステップS23では、空燃比フィードバック制御の目標空燃比のリッチ化させる。
【0041】
上記排気還流の停止,点火時期の遅角及び目標空燃比のリッチ化によって、排気温度を強制的に上昇させ、以って、NOxトラップ触媒5の温度を所定温度以上に上昇させ、このときNOxトラップ触媒5がリッチ雰囲気に晒されることにより、付着していたイオウ成分(イオウ酸化物)をNOxトラップ触媒5から放出させるようにする。
【0042】
尚、イオウ成分(被毒物質)を放出させるには、空燃比をリッチ化させると共に、触媒温度を所定温度以上に上昇させれば良く、また、上記の排気還流の停止,点火時期の遅角,空燃比のリッチ化は全て排気温度の上昇を招くから、必ずしも空燃比のリッチ化と同時に、排気還流の停止,点火時期の遅角を同時に実行させる必要はない。
【0043】
また、触媒温度を上昇させる手段として、NOxトラップ触媒5を加熱するヒータを備えるようにしたり、また、排気温度を上昇させる手段として、燃料の噴射時期を遅らせたり、燃料噴射を2回に分けて行わせるようにしても良い。
上記実施形態によると、被毒解除処理によるイオウの解除量が、イオウ成分濃度(被毒物質濃度)に相関する燃料性状に応じて演算されるから、被毒解除処理が過剰に行われて燃費の悪化やNOxトラップ触媒5の劣化が発生することを回避できる。
【0044】
また、燃料性状としてハイオクタンガソリン,レギュラーガソリンの判定を行わせることで、簡便な構成でイオウ成分濃度(被毒物質濃度)の違いに対応した被毒解除処理を行わせることができ、特に、ノッキング検出に基づく点火時期制御による判定結果を用いれば、燃料性状の判定結果を共用でき、制御構成が複雑になることがない。
【0045】
尚、上記実施形態では、走行距離HMILE,RMILEを個別に減算させる構成としたが、走行距離HMILE,RMILEの割合からステップ解除量を演算し、該ステップ解除量に基づいて走行距離HMILE,RMILEの総和を減算処理する構成としても良い。
また、上記実施形態では、被毒物質が付着する排気浄化触媒を、NOxトラップ触媒としたが、イオウが付着する触媒であれば同様にして被毒解除処理を行わせることができ、排気浄化触媒をNOxトラップ触媒に限定するものではなく、また、被毒物質をイオウに限定するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関のシステム構成図。
【図2】イオウ被毒の解除制御を示すフローチャート。
【図3】走行距離の積算,走行距離による被毒解除要求,解除処理の許可条件,被毒解除処理の相関を示すタイムチャート。
【図4】走行距離の積算,走行距離による被毒解除要求,解除処理の許可条件,被毒解除処理の相関を示すタイムチャート。
【図5】ハイオクタン・レギュラー判定処理を示すフローチャート。
【図6】ハイオクタン・レギュラー判定処理時の点火時期制御の特性を示すタイムチャート。
【図7】被毒解除処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関
2…スロットル弁
3…燃料噴射弁
4…点火栓
5…NOxトラップ触媒
6…コントロールユニット
7…エアフローメータ
8…スロットルセンサ
9…排気管
10…空燃比センサ
11…排気マニホールド
12…EGR管
13…吸気コレクタ部
14…EGRバルブ
15…ノックセンサ
16…車速センサ
17…クランク角センサ
Claims (10)
- 内燃機関の排気管に介装される排気浄化触媒と、
前記排気浄化触媒に付着した被毒物質を解除する被毒解除手段と、
前記被毒解除手段の非作動時に前記被毒物質の付着量を推定する付着量推定手段と、
前記付着量に基づいて前記被毒解除手段による解除要求を発生する解除要求発生手段と、
前記被毒解除手段の作動許可条件を判定する許可条件判定手段と、
前記解除要求発生時でかつ前記作動許可条件が成立するときに、前記被毒解除手段を作動させる作動制御手段と、
前記機関の燃料性状を判定する燃料性状判定手段と、
前記被毒解除手段が作動しているときに前記燃料性状に応じて前記被毒物質の解除量を推定する解除量推定手段と、
前記推定された解除量に基づいて前記解除要求をキャンセルする解除停止手段と、
を含んで構成されたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記許可条件判定手段が、車速,機関回転速度,機関負荷,前記排気浄化触媒の温度のうちの少なくとも1つに基づいて、前記作動許可条件の成立を判定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記解除量推定手段が、前記被毒物質の濃度が低い燃料性状であるときほど、より大きな解除量を推定することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記排気浄化触媒が、排気空燃比がリーンであるときに排気中のNOxをトラップし、排気空燃比が理論空燃比又はリッチであるときにトラップしていたNOxを放出するNOxトラップ触媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記被毒物質がイオウであり、前記燃料性状判定手段が、イオウ濃度に相関する燃料性状として、ガソリン燃料をハイオクタンガソリンとレギュラーガソリンとのいずれかに判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料性状判定手段が、ノッキング検出に基づく点火時期の進角・遅角制御によって、ガソリン燃料をハイオクタンガソリンとレギュラーガソリンとのいずれかに判定することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記付着量推定手段が、前記被毒物質の付着量に比例する値として車両の走行距離を積算することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記付着量推定手段が、前記車両の走行距離を、前記ハイオクタンガソリンでの運転時と前記レギュラーガソリンでの運転時とで個別に積算し、
前記解除量推定手段が、前記ハイオクタンガソリン用のステップ解除量,レギュラーガソリン用のステップ解除量をそれぞれ用いて、前記ハイオクタンガソリンでの運転による走行距離とレギュラーガソリンでの運転による走行距離との一方を0にまで減少させた後、他方を減少させる構成であり、
前記解除停止手段が、前記他方の走行距離が0になったときに、前記被毒解除要求をキャンセルすることを特徴とする請求項7記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記被毒解除手段が、排気温度を強制的に上昇させる処理を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記被毒解除手段が、排気温度を強制的に上昇させる処理として、空燃比のリッチ化,点火時期の遅角補正,排気還流の停止のうちの少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項9記載の内燃機関の排気浄化装置。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007077857A (ja) * | 2005-09-13 | 2007-03-29 | Mitsubishi Motors Corp | 内燃機関の運転モード制御装置 |
JP2007224750A (ja) * | 2006-02-21 | 2007-09-06 | Toyota Motor Corp | 硫黄被毒回復制御装置 |
GB2508802A (en) * | 2012-10-24 | 2014-06-18 | Gm Global Tech Operations Inc | Estimating sulphur release in desulphation process of NOx trap |
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DE112018001531T5 (de) | 2017-03-22 | 2019-12-05 | Hitachi Automotive Systems, Ltd. | Steuervorrichtung und steuerverfahren für einen verbrennungsmotor |
-
2002
- 2002-10-09 JP JP2002296441A patent/JP2004132230A/ja active Pending
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