JP2004131752A - 金属板表面処理剤、張り剛性に優れた表面処理金属板およびその製造方法ならびに高剛性パネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面の少なくとも一部にヤング率が20GPa以上の無機質皮膜を有することで張り剛性に優れた表面処理金属板である。また、表面の少なくとも一部にヤング率が20GPa以上の無機質と有機質の複合体皮膜を有することで張り剛性に優れた表面処理金属板である。また、表面の皮膜を特定成分とすること、および特定の副成分を含むことでさらに張り剛性が向上した表面処理金属板を提供する。さらに、この金属板を成形し、必要に応じて他の部材と組み合わせてなる高剛性パネルを提供する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車構造材、具体的にはルーフ、フード、ドアパネルなどのような曲率が大きな場所を有する部品として好適な、張り剛性に優れた表面処理金属板、その製造方法及びそれに用いる表面処理剤に関する。また、該表面処理金属板を用いた高剛性パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題に対する関心の高まりと共に、自動車の燃費向上に対する要求が厳しくなりつつある。燃費向上に対する効果的な方策のひとつには車体の軽量化があり、特に鋼板を薄くすることによる軽量化は、自動車1台あたりの使用量が多いため、効果が大きいといわれている。しかしながら、板厚を薄くした場合、特にパネル部材とよばれる鋼板1枚あたりの大きさが大きく、大きな曲率を持った部品においては、外部応力に対して変形しやすくなるという欠点があり、この結果、場所によっては鋼板にゆがみが生じて外観を損ねたり、あるいは衝突時の変形によって乗員の安全が損なわれる可能性がある。これを防ぐため、鋼板板厚を低減するにあたっては、車体の変形抵抗を大きくしておく必要がある。
【0003】
車体の変形抵抗を大きくするには大別して2通りの方法があり、これまでに車体の構造面から補強を加える方法と鋼板自体の剛性を高める方法とが検討されてきた。前者の車体の構造面からの補強を加える方法の代表例として、補強材を使用することによる方法が、特許文献1、特許文献2に、また、閉断面構造を有する箱型構造部材に発泡材を充填することによる補強方法が、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10などに開示されている。また、特許文献11には、合成樹脂製の中空成形部材を同様に閉断面構造の内側に密着状態で貼り付ける補強方法が、特許文献12には、無機質繊維を中層として介在させたサンドイッチ構造による補強方法が、それぞれ開示されている。
【0004】
また、鋼板表面に接着して剛性を高めることを目的とした補強シートが特許文献13に、鋼板の裏面から高剛性発泡剤を塗布・硬化させることによる張り剛性向上方法が特許文献14に開示されている。鋼板の成分等を改良することによって鋼板自体の張り剛性を改善する技術として、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18に低炭素冷延鋼板およびその製造方法が開示されている。
【0005】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開平7−116747号公報)
(2)特許文献2(特開平7−315247公報)
(3)特許文献3(特開昭61−205109号公報)
(4)特許文献4(特開平9−316169号公報)
(5)特許文献5(特開平10−95869号公報)
(6)特許文献6(特開平10−101902号公報)
(7)特許文献7(特開平10−139981号公報)
(8)特許文献8(特開平10−181634号公報)
(9)特許文献9(特開平10−203404号公報)
(10)特許文献10(特開2000−85618号公報)
【0006】
(11)特許文献11(特開平5−294258号公報)
(12)特許文献12(特開平6−212732号公報)
(13)特許文献13(特開2001−38842号公報)
(14)特許文献14(特開2002−59865号公報)
(15)特許文献15(特開平11−323433号公報)
(16)特許文献16(特開平11−323517号公報)
(17)特許文献17(特開2000−239787号公報)
(18)特許文献18(特開2001−348644号公報)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一方で、自動車の外板には、耐食性の付与あるいは意匠性を高めることなどを目的として表面処理が施されている。この表面処理は、通常、3〜4層程度の皮膜からなっているが、この皮膜成分あるいは表面処理剤の成分を改良することによって剛性の高い表面皮膜を形成することができれば、比較的簡便な方法で鋼板の剛性、張り剛性を向上することができ、結果として自動車車体の変更抵抗を高めることができると考えられる。加えてこの方法では、これまで開示されてきた鋼板の張り剛性向上方法あるいは自動車車体の補強方法がそのまま使えるというメリットがある。
【0008】
本発明は、改良された特定性状の皮膜を表面に有することで張り剛性が改善され、パネル外板等に好適に用いることができる表面処理金属板およびその製造方法を提供することを目的とする。また、それらの表面処理金属板を製造するために好適に用いられる表面処理剤および該表面処理金属板を用いた高剛性パネルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、所定のヤング率を有する無機質皮膜あるいは無機化合物と有機化合物の複合皮膜を表面に形成することで張り剛性に優れた表面処理鋼板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。また、所定の性状の表面処理剤を素材金属板表面に塗布、熱処理することにより前記の張り剛性に優れた金属板を好適に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下の通りである。
【0010】
(1)ヤング率が20GPa以上の無機質皮膜を、基材表面の少なくとも一部に有してなる張り剛性に優れた表面処理金属板。
(2)無機質皮膜が、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムの1種または2種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を主成分とする前記(1)に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
【0011】
(3)アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を、無機質皮膜の副成分として含有してなる前記(1)または(2)に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
(4)副成分が粒子、ファイバー、ウィスカー形状であることを特徴とする前記(3)に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
【0012】
(5)無機化合物と有機化合物との複合体からなり、かつヤング率が20GPa以上の皮膜を、基材表面の少なくとも一部に有してなる張り剛性に優れた表面処理金属板。
(6)無機化合物と有機化合物の複合体皮膜が、シロキサン結合を主とする無機の三次元網目構造と、エーテル結合及びアミノ結合を含む有機の三次元網目構造とを含み、これらの網目構造がSi原子を介して化学的に結合していることを特徴とする前記(5)に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
【0013】
(7)無機化合物と有機化合物の複合体皮膜がマトリックス連続相を形成し、該連続相に粒子、ファイバーまたはウィスカー形状の無機質化合物が分散した構造を有することを特徴とする前記(5)または(6)に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
(8)粒子、ファイバーまたはウィスカー形状の無機質化合物がアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上である前記(7)に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
【0014】
(9)基材金属板が鋼板、めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板またはアルミニウム合金板のいずれかであることを特徴とする前記(1)〜(8)に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
(10)焼き付け後の皮膜中に20GPa以上のヤング率を有する構成成分として残存し、大きさが1000nm以下のセラミック前駆体物質からなるゾルを主成分とする金属板表面処理剤。
(11)セラミック前駆体物質が、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムの1種または2種以上から構成される化合物の1種または2種以上である前記(10)に記載の表面処理剤。
【0015】
(12)焼き付け後の皮膜中に20GPa以上のヤング率を有する構成成分として残存する無機−有機複合体からなるゾルを主成分とする金属板表面処理剤。
(13)ゾルが、(A)エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物、(B)アミノ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物、(C)アルコキシシラン以外の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物を含有するシリカを主成分とする前記(12)に記載の表面処理剤。
(14)副成分として粒子、ファイバー、ウィスカー形状のアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を含有する前記(10)〜(13)のいずれかに記載の表面処理剤。
【0016】
(15)前記(10)〜(14)のいずれかに記載の表面処理剤を基材金属板表面に塗布した後、100℃以上の温度で乾燥を行い、さらに焼付け固化することを特徴とする張り剛性に優れた表面処理金属板の製造方法。
(16)基材金属板が鋼板、めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板またはアルミニウム合金板のいずれかであることを特徴とする前記(15)に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板の製造方法。
(17)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の表面処理金属板に成型加工を施してなる高剛性パネル。
(18)さらに、他部材と組み合わせてなる前記(17)に記載の高剛性パネルである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の表面処理金属板について説明する。
本発明の表面処理金属板は、基材表面の少なくとも一部にヤング率が20GPa以上の無機質皮膜を有している。表面にこの無機質皮膜を有することで、金属板全体の剛性が高められている。一般的な鋼板である炭素鋼のヤング率は約200GPa、アルミニウムのヤング率は約70GPaであり、これら金属板の剛性を高めるためには、表面の皮膜も適度な剛性、すなわち、20GPa以上のヤング率が必要である。皮膜のヤング率が20GPa未満では、金属板のヤング率と比較して皮膜のヤング率が小さすぎるため、金属板全体の剛性を向上させる効果が認められない。剛性を高めるためのより好ましい皮膜のヤング率は30GPa以上であり、さらに好ましくは50GPa以上である。
【0018】
表面の皮膜は金属板の全面に形成されている必要はないが、効果的に剛性を高めるために片面の表面積の50%以上に皮膜が形成されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。金属板表面の皮膜は片面であっても差し支えないが、両面に形成してある場合に特に剛性を向上させる効果が大きい。
本発明の金属板表面に形成された皮膜は、所定のヤング率を有していれば、特に成分の制限はないが、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムの1種または2種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を主成分とした場合に、より大きな効果が得られる。
【0019】
これらの化合物は、結晶状態において高いヤング率を有するため、本発明の表面処理金属板の皮膜として最適であることを見出したが、非晶質状態であっても高いヤング率を示すため、特に差し支えなく用いることができる。これらの化合物のうちでは、大気中での安定性、合成の容易さなどの点から酸化物が最も好適に用いられるが、必要とされる特性、例えば溶接性等を目的とした高い電気伝導率が必要な場合には、導電率が高い炭化物あるいはホウ化物を適宜組み合わせることによって望ましい結果が得られる場合が多い。
【0020】
上記主成分の皮膜に加えて、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を副成分として含有してなる皮膜を有する表面処理金属板も本発明の態様の一つである。これらの化合物は、前記主成分の皮膜に副成分として添加した場合に素材金属板の剛性を高める効果が大きく、とりわけアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ランタノイド族元素の化合物を添加した皮膜で剛性が顕著に増加することを見出した。
【0021】
副成分として含有するこれらの化合物は結晶質であることが好ましいが、非晶質あるいは部分的に結晶質状態であっても特に差し支えない。副成分は、添加量の少ない領域から効果が現れるため少量で良く、主成分に対する質量割合で0.1%以上、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上である。添加量が多すぎる場合には主成分の性質を損なうことがあるため、主成分に対する質量割合で70%以下が好ましく、より好ましくは50%以下である。本発明の副成分は、その一部が主成分と重複しており、主成分と副成分とを分けて考える必要性は少ないとも考えられる。しかしながら、前述の通り、主成分と副成分とでは張り剛性向上の効果に対する役割が異なり、また主成分のマトリックス中に副成分が粒子、ファイバー、ウィスカーとして分散して存在する皮膜の微構造の点から、主成分と副成分とを分けて記載した。
【0022】
副成分が粒子、ファイバー、ウィスカーとして存在している皮膜では、顕著に素材金属板の剛性を増加させる効果が発現する。また、副成分がファイバー、ウィスカーである場合には、その長さや方向、配向状態などを制御することで、剛性を等方的に高めることができたり、あるいは特定方向のみ高めることができたりと目的に応じた制御が可能となる。さらには、扁平状の金属粒子を含有することでメタリック調の色調を得ることもでき、剛性と意匠性を同時に高めることも可能である。
【0023】
本発明の表面処理金属板の今ひとつの重要な態様は、無機化合物と有機化合物との複合体からなり、かつヤング率が20GPa以上の皮膜を、基材表面の少なくとも一部に有してなる表面処理金属板である。無機化合物のみからなる皮膜を表面に有する金属板では、時として曲げ密着性に劣る場合があったり、曲げ、絞り等の加工性に劣る場合があった。このような場合には表面の皮膜を無機化合物と有機化合物との複合体とすることで良好な結果が得られることを見出した。ただし、この複合皮膜であっても素材金属板の剛性を高めるためには20GPa以上のヤング率が必要であり、好ましくは30GPa以上、より好ましくは50GPa以上のヤング率が必要である。
【0024】
無機質のみの皮膜と同様、皮膜は素材金属板の全面に形成されている必要はないが、効果的に剛性を増大させるために片面の表面積の50%以上に皮膜が形成されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。皮膜の形成は片面であっても差し支えないが、両面に形成してある場合に特に素材金属板の剛性を高める効果が大きい。
このような皮膜の好適な一例としては、シロキサン結合を主とする無機の三次元網目構造と、エーテル結合及びアミノ結合を含む有機の三次元網目構造とを含み、これらの網目構造がSi原子を介して化学的に結合している皮膜があげられる。
【0025】
この皮膜は、シリカを主とする無機成分と有機成分との両方から構成される。無機成分は、≡Si−O−Si≡のシロキサン結合が主体で三次元の網目構造を形成するが、M−O−M、M−O−Siのような形でSi以外の金属元素Mを含んで無機の三次元網目構造を形成しても差し支えない。Mの種類としては、Ti、Zr、Al、Ta、Nbから選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素を含むとき、特にヤング率の高い皮膜が得られるので好ましい。有機成分はC、O、N、Hから構成され、有機の三次元網目構造の主骨格は、−CH2 −CH−O−CH2 −のようなエーテル結合や、第2または第3アミンとなるようなアミノ結合などから構成される。
【0026】
無機の網目構造と有機の網目構造とはSi−C結合を介して連結され、無機と有機の網目が相互に貫入しあった構造になっている。この皮膜における有機化合物の含有割合は、皮膜全体に対する質量割合で15質量%以上80質量%以下であることが望ましい。有機化合物の割合が上記比率をこえて少なかった場合、無機質皮膜の性状とかわるところがなく、有機化合物を添加して複合体皮膜とした意味がない。また、この比率をこえて有機化合物の含有量が多い皮膜では、所定のヤング率を有する皮膜であっても、鋼板の剛性を高める効果が低下する。より好ましい有機化合物の含有量は20質量%以上75質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
【0027】
この無機−有機複合体皮膜に無機質化合物を添加した場合には、優れた剛性増大の効果が認められる。この場合において、複合体皮膜はマトリックス連続相を形成し、そこに粒子、ファイバーまたはウィスカー形状の無機質化合物が分散した構造とすることで特に優れた効果が得られる。これは、単体においても高いヤング率を有する複合体皮膜に特定形状の無機質化合物を添加することで、さらに高い皮膜のヤング率を実現したものである。なかでも無機質化合物がアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上であるときに優れた効果が得られ、特にアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる1種または2種以上を含有しているときにその効果が著しい。
【0028】
副成分として含有するこれらの化合物は結晶質であることが好ましいが、非晶質あるいは部分的な結晶状態であっても特に差し支えない。副成分の添加量としては、比較的添加量の少ない領域から効果が現れるため少量で良く、主成分である複合体皮膜との質量割合で0.1%以上、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上である。添加量が多すぎる場合には主成分の性質をそこなる場合があるため、主成分に対する質量割合で70%以下が好ましく、より好ましくは50%以下である。
【0029】
本発明の金属板表面の皮膜の厚さは、特に制限を受けるものではなく、いかなる厚さも選択可能であるが、自動車用構造材に使用することを考えた場合、好ましい厚さは片面で5μm超、より好ましい厚さとしては片面で6μm以上である。これは、通常、自動車構造材に用いられる鋼板は厚さが0.5mm以上の場合が多く、効果的に剛性を高めるためには片面あたりで1%超の皮膜厚さが必要なためである。また、皮膜厚さが厚いほど張り剛性が向上するが、厚くしすぎることは経済性を含めて実用的でなく、好ましい皮膜厚さは片面あたり100μm以下、より好ましくは片面あたり50μm以下である。
【0030】
本発明の表面処理金属板の基材金属板としては、熱延鋼板、冷延鋼板等の鋼板類、めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板またはアルミニウム合金板が好ましい。めっき鋼板としては亜鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、亜鉛−クロム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミ合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、亜鉛−アルミ−マグネシウム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミ−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板、アルミ−シリコン合金めっき鋼板、亜鉛めっきステンレス鋼板、アルミめっきステンレス鋼板等があげられる。
【0031】
ステンレス鋼板としてはフェライト系ステンレス鋼板、マルテンサイト系ステンレス鋼板、オーステナイト系ステンレス鋼板等があげられる。アルミニウム板、アルミニウム合金板としてはJIS1000番系(純Al系)、JIS2000番系(Al−Cu系)、JIS3000番系(Al−Mn系)、JIS4000番系(Al−Si系)、JIS5000番系(Al−Mg系)、JIS6000番系(Al−Mg−Si系)、JIS7000番系(Al−Zn系)等が挙げられる。
【0032】
本発明の表面処理金属板は、基材表面に前述の皮膜が直接形成されている場合はもちろんであるが、他の皮膜と複層化されている状態であっても全く差し支えない。例えば、クロメート処理を施し、クロメート皮膜が形成された金属板やクロメート以外の表面処理(例えば、リン酸塩処理等)がなされている金属板の上に本発明で用いる皮膜を形成する場合、あるいは、本発明の表面処理金属板の上に他の公知の皮膜を形成する場合等があげられる。本発明の金属板表面の皮膜は、基材金属板の表面に適当な厚さで形成されていることによって、顕著に剛性を増加させる効果を有するものである。
【0033】
引き続き、本発明の表面処理剤及び表面処理金属板の製造方法について説明する。本発明の表面処理剤は、焼付け後の皮膜中に20GPa以上のヤング率を有する構成成分として残存し、大きさが1000nm以下のセラミック前駆体物質からなるゾルを主成分としている。発明者らは、基材表面の少なくとも一部にヤング率の大きな皮膜を形成することで、金属板全体の剛性が高められることを見出している。この目的を達成するための好適な塗布剤が上記のゾルであり、ゾル中の成分は20GPa以上のヤング率を有する構成成分として皮膜中に残存することが必要である。構成成分として残存する成分のヤング率が20GPa未満では、金属板の剛性を高める十分な効果が得られないためであり、30GPa以上のヤング率を有していることが好ましく、50GPa以上のヤング率を有していることがさらに好ましい。
【0034】
焼付け後の皮膜のヤング率を決める因子としては構成成分が最も重要であるが、必ずしもそれだけではなく、皮膜の微構造、特に気孔率に大きく影響を受けることが知られている。したがって、ヤング率の大きな皮膜を合成しようとする場合、出発原料、添加物などを最適化し、緻密で気孔の少ない皮膜とすることが好ましい。皮膜を形成する塗布液に関して、特に重要な性質はセラミック前駆体物質の大きさであり、これが1000nm以下であることが望ましい。緻密で気孔の少ない皮膜を得るためには、前駆体物質は微細であることが望ましく、例えば、亜鉛めっき鋼板表面に皮膜を形成するように、あまり高い温度をかけられない場合などに特に有効である。
【0035】
前駆体物質がこの大きさをこえて大きい場合には、前述したヤング率の大きな皮膜を得ることが不可能となり、また安定なゾルを形成することが困難となるためである。より好ましい前駆体物質の大きさは800nm以下であり、さらに好ましくは500nm以下である。一方で、セラミックス前駆体物質はあまり小さすぎても安定なゾルを得られない場合があるため、該前駆体物質の大きさとしては3nm以上が好ましく、より好ましくは5nm以上である。
【0036】
本発明の表面処理剤の主成分はセラミック前駆体物質からなるが、セラミック前駆体物質とは、焼付け固化後にセラミックスとなる物質の総称であり、例えば金属酸化物、金属酸化物の水和物、金属水酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、あるいはそれらの複合体などを指す。本発明でいうところのセラミック前駆体物質はゾルを構成しているが、必ずしもゾル単体である必要はなく、上述のゾルを主体として、これにコロイドあるいは可溶性の塩類などを含んでいても差し支えない。
【0037】
セラミックス前駆体物質の成分としては、前述のヤング率の条件を満たすものであればいかなるものも用いることができるが、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムの1種または2種以上から構成される化合物がヤング率の大きさの点から好適に用いられる。これらの化合物のうちでは、合成の容易さ、扱いやすさなどの点から、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウムの前駆体化合物の1種または2種以上を主成分とするゾルが特に好適に用いられる。
【0038】
本発明の表面処理剤には、必要に応じて粒子、ファイバー、ウィスカー形状の副成分を添加することができる。副成分は、主成分であるセラミック前駆体物質からなるゾルに添加して用いることで、金属板の剛性を高める効果が特に顕著に発現する。副成分は、金属板の剛性を高める顕著な効果を有しているが、副成分を単独で用いた場合には、最終的に皮膜を形成するための焼き付け固化温度が高くなったり、あるいは外観の良好な皮膜が得られなかったりする場合が多い。
【0039】
副成分には成分の制限はなく、主成分に添加して用いることで表面の皮膜のヤング率、ひいては剛性を向上させるものであればいかなるものも好適に用いることができるが、特にアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を用いたときに好適な結果が得られる。これらの化合物のうち、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ランタノイド族元素の化合物を添加した皮膜で、特に顕著に剛性が増加する。
【0040】
副成分として含有するこれらの化合物は結晶質であることが好ましいが、非晶質あるいは部分的に結晶質であっても特に差し支えない。非晶質あるいは部分的に結晶質の副成分を添加した場合であっても十分に剛性の高い皮膜を得ることが可能であり、また、塗布後の乾燥、焼付けの過程で結晶化し、ヤング率が増加する可能性も考えられるためである。副成分は、粒子、ファイバー、ウィスカー形状であることが必要であるが、これは、副成分がこれらの形状を有しているときに、顕著に鋼板の剛性を増加させる効果が発現するためである。副成分は、添加量が少ない領域から効果が現れるため少量で良く、主成分に対する質量割合で0.1%以上添加することが好ましく、より好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.5%以上である。添加量が多すぎる場合には主成分の性質を損なうことがあるため、主成分に対する質量割合で70%以下が好ましく、より好ましくは50%以下である。
【0041】
また、本発明の表面処理剤は、前述のセラミック前駆体物質からなるゾルにかえて、無機−有機複合体からなるゾルを主成分とすることができる。無機化合物のみからなる塗布剤では、時として焼付け固化に高温長時間を必要とする場合があったり、あるいは生成した皮膜が曲げ密着性や曲げ、絞り等の加工性に劣る場合があった。このような場合には無機−有機複合体からなるゾルを主成分とする塗布剤を用い、生成する皮膜を無機化合物と有機化合物との複合体とすることで良好な結果が得られることを見出した。ただし、このような塗布剤であっても素材金属板の剛性を高めるためには、焼き付け後の皮膜中に20GPa以上のヤング率を有する構成成分として残存する成分であることが必要である。
【0042】
この無機−有機複合体からなるゾルの具体的な例として、(A)エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物、(B)アミノ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物、(C)アルコキシシラン以外の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物を含有するシリカを主体とするゾルがあげられる。
【0043】
このうち、(A)成分に相当するエポキシ基を含有するアルコキシシランとしては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0044】
(B)成分に相当するアミノ基を含有するアルコキシシランとしては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、(β−アミノエチル)−β−アミノプロピルトリメトキシシラン、(β−アミノエチル)−β−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。(A)成分であるエポキシ基を含有するアルコキシシランおよび(B)成分であるアミノ基を含有するアルコキシシランは、シリカ系コーティング液中で、アルコキシ基のすべて、または一部が加水分解されていてもよい。
【0045】
エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物100質量部に対するアミノ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物の質量部は、10以上200以下であることが特に好ましい。10質量部より少ない場合は、アミン付加反応が低くなるので、低温短時間での焼付け固化が不十分になる傾向が見られる。200質量部より多い場合は、重合度が上がりすぎて塗布液がゲル化したり、貯蔵安定性が悪くなる場合がある。
【0046】
(C)成分に相当するアルコキシシラン以外の金属アルコキシドの金属成分として、Ti、Zr、Al、Ta、Nbから選ばれる少なくとも1つ以上を用い、かつ、酸触媒として酢酸を用いたとき、エポキシ基の開環が促進され、低温短時間の焼付けで皮膜の固化が生じる。Ti、Zr、Al、Ta、Nbの金属アルコキシドは、いずれもアルコキシシランに比べて反応性が高いため、アルコキシ基の一部をβ−ジケトン、β−ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン、有機酸等で置換したアルコキシド誘導体を使用することも可能である。
【0047】
アルコキシシラン以外の金属アルコキシドは、ゾル中に存在している状態で、アルコキシ基のすべて、または一部が加水分解されていてもよい。本発明におけるアルコキシシラン以外の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物は、エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物100質量部に対して、0.5質量部以上50質量部以下であるとき、低い焼付け温度で高いヤング率の皮膜が得られ、特に好ましい。本発明における酸触媒は、エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であるとき、特に好ましい。
【0048】
また、この有機−無機複合体からなるゾル中の、前記(A)成分のエポキシ基の少なくとも一部が開環していることを特徴とするゾルがあげられる。このエポキシ基を含むアルコキシシランは、たとえばアルコキシシラン以外の金属アルコキシドと酸とともに混合することにより、エポキシ基をあらかじめ開環させておくことができる。こうすることにより、エポキシ基同士の重合反応、エポキシ基とアミノ基との間の付加反応を比較的低い温度と短い時間で進行させることが可能となり、さらに低温短時間での皮膜の焼付け固化が可能となる。
【0049】
エポキシ基を含有するアルコキシシランのエポキシ基の開環率は、エポキシ基を形成している炭素原子のNMRスペクトルから見積もることができる。簡易的には赤外吸収スペクトルにおいて、910cm−1および1253cm−1にエポキシ基に由来する吸収ピークを示すが、これらの吸収ピークが赤外吸収スペクトルで検出できなければ、おおむね50%以上の開環率とみなすことができる。
【0050】
また、本発明のゾル中には、炭素数1以上12以下のアルキル基、そのフルオロ置換体及びフェニル基から選ばれる1種以上を含有するアルコキシシラン、その加水分解物、テトラアルコキシシラン、およびその加水分解物から選ばれる1つ以上の化合物を含有させることができ、これらの添加物によって耐指紋性、撥水性、耐汚染性などの機能を皮膜に付与することができる。炭素数1以上12以下のアルキル基を有するアルコキシシランとして、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、エチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルメチルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これらのアルコキシシランは、シリカ系コーティング液中で、アルコキシ基のすべて、または一部が加水分解されていてもよい。炭素数が12より多いアルキル基の場合は、ヤング率が小さく、鉛筆硬度がB以下の柔らかい膜しか得られないので好ましくない。
【0051】
炭素数1以上12以下のアルキル基のフルオロ置換体またはフェニル基を有するアルコキシシランとして、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどを挙げることができる。また、炭素数1以上12以下のアルキル基と炭素数1以上12以下のアルキル基のフルオロ置換体を同時に含むアルコキシシランであってもよい。この例として、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシランなどが挙げられる。
【0052】
また、炭素数1以上12以下のアルキル基とフェニル基を同時に含むアルコキシシランであってもよい。この例として、フェニルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これらのアルコキシシランは、ゾル中で、アルコキシ基のすべて、または一部が加水分解されていてもよい。炭素数が12より多いアルキル基のフルオロ置換体の場合は、ヤング率が小さく、鉛筆硬度がB以下の柔らかい膜しか得られないので好ましくない。また、ゾル中にテトラアルコキシシランを含有させることにより、得られる皮膜のヤング率を大きくすることができ、また鉛筆硬度を3H〜9Hに高めることができる。
【0053】
これらの無機−有機複合体からなるゾルを主成分とする表面処理剤に対しても、粒子、ファイバー、ウィスカー形状の副成分を添加することが、ヤング率の大きい皮膜を製造する上で好ましい。副成分として好ましい成分及び添加量は、セラミック前駆体からなるゾルを主成分とする塗布剤の場合と同じであり、これらの副成分を含有することにより、さらにヤング率の高い皮膜を得ることができる。続いて、本発明の表面処理剤を用いた表面処理金属板の製造方法について説明する。これまでに述べた本発明の表面処理剤を塗布する基材金属板は、前述のように金属板であればいかなるものも差し支えなく用いることができる。
【0054】
これらの基材金属板に、前述の表面処理剤を塗布するが、これらのコーティングは、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スピンコート法、カーテンコート法など従来公知の方法を用いることができる。また、必要に応じて、塗布に先立って前処理を行うこともできる。代表的な前処理としては、酸洗、アルカリ脱脂、クロメート処理、研削、研磨、ブラスト処理等があり、必要に応じてこれらを単独もしくは組み合わせて行うことができる。
【0055】
コーティングは、直接基材金属板に行う場合、すでに他材質の皮膜が形成されている金属板に行う場合のいずれも可能である。例えば自動車用鋼板の場合、通常、3〜4層の皮膜が形成されている場合が多いが、このうちの1層以上を本発明の表面処理剤に置き換えることで、顕著な張り剛性向上効果が得られる。また、コーティングは、両面に行ったときにもっとも張り剛性の向上しろが大きいが、必要に応じて片面に塗布することができ、あるいは部分的に塗布を行って局部的な補強効果を発現させることも可能である。
【0056】
塗布に用いる基材金属板は、一般的な平板のほか、パネルあるいは他の形状に成形加工した金属板を用いることができる。成形加工した金属板を用いることで、成型加工時に亀裂が入ったり、あるいは剥離しやすい皮膜に対しても、本発明の製造方法を支障なく用いることができる。この場合の成型加工は、最終的な形状にまで行っておくことはもちろんのこと、必要に応じて、中間段階の成型加工品に対して本発明の製造方法を適用することが可能である。このような成形品の場合には、スプレーコート法、ディップコート法などの塗布方法を用いるのが便利であり、前述の部分的な塗布も容易に行うことができる。
【0057】
表面処理剤を塗布した基材金属板は、100℃以上で乾燥を行った後、焼き付け固化を行う。乾燥温度を100℃以上に限ったのは、本発明の表面処理剤は水あるいは低沸点の有機溶媒を分散媒としている場合が多く、100℃以上の乾燥温度とすることで十分な乾燥皮膜が得られるからである。一方、乾燥は250℃以下で行うことが好ましく、より好ましくは200℃以下である。この条件で乾燥を行ったときに、急激な乾燥に伴う皮膜のふくれや欠陥が生じることなく、外観の健全な皮膜が得られる。
【0058】
その後、焼き付け固化を行って、気孔の少ない緻密なセラミックスまたは無機−有機複合皮膜を形成するが、焼き付け固化の条件は、主成分と添加している副成分および基材金属板の性状に応じて適宜選択することが望ましい。有機成分を含有する塗布剤を用いる場合や亜鉛めっき鋼板を基材金属板として用いる場合などはあまり高くない温度で焼き付け固化することが望ましく、200〜400℃程度がひとつの目安となる。一方、セラミック前駆体ゾルを主成分として用いた塗布剤を用いて、冷延鋼板あるいはステンレス鋼板などに塗布する場合には比較的高い温度で緻密なセラミックス皮膜とすることが好適であり、400℃以上1000℃程度の温度がひとつの目安となる。
【0059】
これらの乾燥及び焼き付け固化の工程は、連続炉のごとく乾燥の後に直ちに焼き付け固化を行う一連の工程とする場合、あるいはこれらを全く別の工程で行う方法のいずれであっても全く差し支えない。また、鋼板の加工を必要とする場合においては、乾燥皮膜の状態で所定の形状、あるいは途中の工程まで加工を行い、その後、焼付け固化する方法も採用することができる。これらの工程は、通常、大気中で行って全く差し支えないが、必要に応じて不活性ガス雰囲気、あるいは還元ガス雰囲気とすることができる。
【0060】
本発明は、また上記の張り剛性に優れる表面処理金属板に成型加工が施された高剛性パネルもその態様として含んでいる。本発明の高剛性パネルは、上記の金属板を、例えば自動車のルーフ、ドア、ボンネットなどの形状に成形し、それを単独で、あるいは必要に応じて他の部材と適宜組み合わせたものである。
本発明の高剛性パネルは、無処理の表面処理金属板あるいは本発明で用いる無機質皮膜を形成していない金属板を用いたパネルと比較して高い張り剛性を有するため、例えば0.7mm程度の厚さのパネルに対して同等の剛性を得ようとする場合にあっては、1/2ゲージないしは1ゲージ程度、板厚を薄くすることができる。この結果、自動車をはじめとした構造物の質量を低減することが可能となる。
【0061】
本発明の高剛性パネルは、平板形状の表面処理金属板を成型加工することによって得られるほか、表面処理を行っていない基材金属板を所定の所定の形状に成型加工した後、本発明で用いる表面皮膜を形成することによっても得られる。成形加工した金属板を用いることで、成型加工時に亀裂が入ったり、あるいは剥離しやすい皮膜を用いる場合であっても、本発明の高剛性パネルを容易に得ることができる。この場合の成型加工は、最終的な形状にまで行っておくことはもちろんのこと、必要に応じて、中間段階の成型加工品に対して本発明の製造方法を適用することが可能である。
【0062】
すなわち、本発明の高剛性パネルの製造方法として、
(1)平板形状の表面処理金属板を所定形状に成形加工する方法、
(2)途中段階まで成形加工を行い、基材金属板の表面処理を行った後、所定の形状まで加工を行う方法、
(3)途中段階まで成形加工を行い、表面処理剤を塗布、乾燥後、所定の形状まで加工を行い、さらに最終的な焼付けを行う方法、
(4)最終的な形状まで成型加工した後、基材金属板の表面処理を行う方法、
などを好適に用いることができる。
【0063】
一方、本発明の高剛性パネルは、本発明の表面処理金属板と他の部材とを組み合わせて用いることもできる。この場合の他の部材とは、具体的には発泡樹脂あるいはその成形品、補強用の樹脂シート、ゴムシートなどを指す。発泡樹脂には硬質、半硬質、軟質ポリウレタンフォーム、発泡ポリスチレン、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなどがあり、必要に応じてこれらの材料を単体であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
使用にあたっては、発泡成形体をそのまま金属板に固定する方法はもちろんであるが、すでに発泡している材料を、例えば吹き付け法などの方法で複合化する方法や、発泡剤を含んだ樹脂を塗布後、焼き付けを行いながら発泡させて複合化することも可能である。また、補強用の樹脂シート、ゴムシート等は、通常、本発明の表面処理金属板の裏面に貼り付けて補強を行うことができるが、特に補強が必要な箇所に部分的に用いることができるため、発泡樹脂を用いる方法と同様、本発明の高剛性パネルの部材として好適に使用することができる。
【0065】
【実施例】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
皮膜形成用の表面処理剤を以下の方法により準備した。皮膜の主成分であるセラミック前駆体のうちSiO2、TiO2、Al2O3はいずれも市販の溶液またはゾルを用いた。SiO2は日産化学製コロイダルシリカ、ST−O及びST−OXグレード、TiO2はマツモト交商製オルガチックス、TC−400グレード、Al2O3は日産化学製アルミナゾル、AS−200グレードである。またMgOとZrO2は、それぞれ神島化学製酸化マグネシウム、HP−30Aグレード、第一稀元素化学工業酸化ジルコニウム粉末、UEPグレードを蒸留水に均一に分散させ、酸化ジルコニウムに対しては硝酸を微量添加してゾルを作製した。添加した副成分は、いずれも市販の微粒子またはファイバーを使用した。ただし、AlONの化学式で表した酸窒化アルミニウムは市販品の入手が困難であったため、AlN粉末とAl2O3粉末とを反応させることによって合成した。
【0066】
主成分及び副成分は表1に示した組み合わせとなるように配合した。副成分の添加量は、いずれも主成分ゾルに対する質量割合で20%とした。これらの塗布液を厚さが0.5mmの加工用冷延鋼板(超深絞り用(SSPDX))の両面にロールコーターで塗布し、150℃で乾燥させた後、SiO2 及びTiO2 を主成分とする場合には500℃で、その他の成分では750℃で焼付け固化して表面処理鋼板を得た。形成した皮膜の厚さはいずれも片面あたり5.5μmである。また、比較例として、沈降法によって作製した市販のSiO2 粉末及びTiO2 粉末を出発原料として、前駆体のサイズが1200nm、および1250nmと本発明の範囲外のゾルを作製し、それを主成分として用いた結果についても示した。
【0067】
皮膜のヤング率は、超音波パルス法の反射法によって測定した。ヤング率は、表面に形成した皮膜の状態での測定が困難であったため、バルク状態のヤング率の測定結果で代用した。バルクの試験片は、セラミック前駆体あるいは副成分を添加したゾルを乾燥、前述の焼付け固化温度で熱処理して作製した。試験片は、直径10mm、高さ20mmの円柱状試験片である。
鋼板の剛性は、スパン70mmまたは80mmの3点曲げ試験法によって測定した。曲げ試験の支持体には円柱状ジグを横にして用い、試験片のたわみに追従できるかたちとした。試験は1mm/minの一定速度で試験片に曲げ変位を与え、そのときの荷重を検出することで荷重−変位曲線を作成し、得られた曲線の傾きから剛性を計算した。付与した変位は、いずれも弾性変形の領域である。
【0068】
表1には、皮膜を形成した表面処理鋼板の剛性の増加を、もとの鋼板の剛性に対する比率で示した。ただし、皮膜を形成することによって皮膜厚さ分の板厚が増加し、その分の剛性が増加すると考えられたため、表1に示した剛性比はその分を計算によって補正した。表1からも明らかなように、本発明の塗布液を使用し、本発明の塗布液及び製造方法によって作成した20GPa以上のヤング率の無機質皮膜を有する表面処理鋼板の剛性は、もとの鋼板に対する剛性比で5%以上増加しており、明らかに剛性に優れた鋼板が得られていることがわかる。
【0069】
また、実施例と比較例とは焼付け後の皮膜成分としては同じであるが、出発原料であるセラミック前駆体サイズが異なっているため、表面皮膜の性状が異なっていた。このため、最終的に得られた皮膜のヤング率が小さく、本発明で用いる皮膜のヤング率の要件を満たしていない。結果として、得られた鋼板の剛性比も小さい値にとどまり、本発明の張り剛性に優れる表面処理金属板は得られなかった。
【0070】
【表1】
【0071】
(実施例2)
実施例1と同じ成分系で皮膜形成用の表面処理剤を準備した。主成分と副成分との配合の組み合わせを表2に示した。副成分の添加量は、主成分皮膜に対する質量割合で40%とした。これらの塗布液を厚さが0.5mmの焼き付け硬化型絞り加工用冷延鋼板の両面にロールコーターで塗布し、150℃で乾燥した後500℃または750℃で焼付け固化して表面処理鋼板を得た。また、実施例1と同じ方法で比較用の試験材を得た。鋼板表面に形成した皮膜の厚さは、いずれも片面あたり8μmであった。
【0072】
表2には、表1と同様、皮膜を形成した表面処理鋼板の剛性の増加を、もとの鋼板の剛性に対する比率で示した。表2からも明らかなように、本発明の塗布液を使用し、本発明の製造方法によって作成した20GPa以上のヤング率の無機質皮膜を有する表面処理鋼板の剛性は、もとの鋼板に対する剛性比で8%以上増加しており、明らかに剛性に優れた鋼板が得られていることがわかる。
本実施例においても、比較材表面に形成した皮膜は本発明のヤング率の要件を満たしていないため、結果として、比較材では張り剛性に優れた表面処理金属板は得られなかった。
【0073】
【表2】
【0074】
(実施例3)
皮膜形成用の表面処理剤を以下の方法により準備した。グリシドキシプロピルトリエトキシシラン100質量部に対してテトラエトキシチタンを8質量部、酢酸を9質量部加えてエポキシ基に由来する赤外吸収スペクトルの910cm−1および1253cm−1のピークが消失するまで攪拌後、テトラエトキシシランを40質量部と70質量部のエタノールを加え、30質量部の水で加水分解した。さらにアミノプロピルトリエトキシシランを150質量部加えて無機−有機複合体からなるゾルを作製した。
【0075】
この主成分塗布液と副成分とを、表3に示した組み合わせとなるように配合した。副成分の添加量は、いずれも主成分皮膜に対する質量割合で20%とした。これらの塗布液を厚さが0.5mmの溶融亜鉛めっき鋼板の両面にロールコーターで塗布し、150℃で乾燥した後、引き続き250℃で焼き付けて張り剛性に優れた表面処理鋼板を得た。形成した皮膜の厚さはいずれも片面あたり6μmである。
【0076】
また、比較材として、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン100質量部に対してテトラエトキシチタンを0.5質量部、酢酸を5質量部加えて攪拌後、テトラエトキシシランを0.3質量部と50質量部のエタノールを加え、30質量部の水で加水分解した。さらにアミノプロピルトリエトキシシランを5質量部加えて無機−有機複合体からなるゾルを作製した。比較材は、同様に0.5mmの溶融亜鉛めっき鋼板の両面にロールコーターで塗布し、室温(25℃)で乾燥した後、80℃で固化して表面処理鋼板を得た。形成した皮膜の厚さは片面あたり6μmである。
【0077】
表3には、表1、2と同様、皮膜を形成した表面処理鋼板の補正後の剛性の増加を、もとの鋼板の剛性に対する比率で示した。表3から明らかなように、本発明の無機−有機複合体からなるゾルを主成分とする表面処理剤を使用し、本発明の製造方法によって作製した表面処理鋼板は、20GPa以上のヤング率の無機質皮膜を有することで、もとの鋼板に対する剛性比で5%以上増加しており、明らかに剛性が増加していることがわかる。また、本発明の無機−有機複合体からなるゾルを主成分とした場合には、副成分を添加することで、さらに剛性に優れた鋼板が得られていることがわかる。
【0078】
【表3】
【0079】
(実施例4)
実施例1において、大きな被膜ヤング率と剛性比が得られたNo.16とNo.17の試験材、および比較材のNo.1とNo.2について大サイズの試験片を準備し、何れも表面処理をしていない冷延鋼板とともに、自動車用パネルの例としてフードアウタパネルをプレス成形した。得られたパネルに対して、フードの中心部に所定の質量の重りを乗せ、そのときのへこんだフードのたわみ量を測定することによって、剛性を評価した。その結果、本発明の表面処理鋼板は、比較材と比べて約5%、冷延鋼板と比較して約8%たわみ量が減少しており、パネル部品に加工した状態でも剛性が向上していることがわかった。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、ヤング率が大きい無機質皮膜を有し、張り剛性に優れた表面処理金属板が得られるため、基材金属板を薄くすることができ、構造物の軽量化を図ることが可能となる。また、本発明の高剛性パネルを、例えば自動車用のパネル部材として用いた場合、車体を軽量化することができ、燃費向上など省エネルギーをもたらすものである。さらに、本発明は、所定の性状の塗布液を表面に塗布、焼付けを行うという簡便な方法で、顕著に張り剛性を高めた表面処理金属板を得ることができ、汎用性に優れた技術である。
Claims (18)
- ヤング率が20GPa以上の無機質皮膜を、基材表面の少なくとも一部に有してなる張り剛性に優れた表面処理金属板。
- 無機質皮膜が、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムの1種または2種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を主成分とする請求項1に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
- アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を、無機質皮膜の副成分として含有してなる請求項1または2に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
- 副成分が粒子、ファイバー、ウィスカー形状であることを特徴とする請求項3に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
- 無機化合物と有機化合物との複合体からなり、かつヤング率が20GPa以上の皮膜を、基材表面の少なくとも一部に有してなる張り剛性に優れた表面処理金属板。
- 無機化合物と有機化合物の複合体皮膜が、シロキサン結合を主とする無機の三次元網目構造と、エーテル結合及びアミノ結合を含む有機の三次元網目構造とを含み、これらの網目構造がSi原子を介して化学的に結合していることを特徴とする請求項5に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
- 無機化合物と有機化合物の複合体皮膜がマトリックス連続相を形成し、該連続相に粒子、ファイバーまたはウィスカー形状の無機質化合物が分散した構造を有することを特徴とする請求項5または6に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
- 粒子、ファイバーまたはウィスカー形状の無機質化合物がアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上である請求項7に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
- 基材金属板が鋼板、めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板またはアルミニウム合金板のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし8に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板。
- 焼き付け後の皮膜中に20GPa以上のヤング率を有する構成成分として残存し、大きさが1000nm以下のセラミック前駆体物質からなるゾルを主成分とする金属板表面処理剤。
- セラミック前駆体物質が、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムの1種または2種以上から構成される化合物の1種または2種以上である請求項10に記載の表面処理剤。
- 焼き付け後の皮膜中に20GPa以上のヤング率を有する構成成分として残存する無機−有機複合体からなるゾルを主成分とする金属板表面処理剤。
- ゾルが、(A)エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物、(B)アミノ基を含有するアルコキシシランおよび/またはその加水分解物、(C)アルコキシシラン以外の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解物を含有するシリカを主成分とする請求項12に記載の表面処理剤。
- 副成分として粒子、ファイバー、ウィスカー形状のアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ランタノイド族元素単体またはこれらの1種以上を含有する酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、炭窒化物よりなる群の1種または2種以上を含有する請求項10〜13のいずれかに記載の表面処理剤。
- 請求項10〜14のいずれかに記載の表面処理剤を基材金属板表面に塗布した後、100℃以上の温度で乾燥を行い、さらに焼付け固化することを特徴とする張り剛性に優れた表面処理金属板の製造方法。
- 基材金属板が鋼板、めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板またはアルミニウム合金板のいずれかであることを特徴とする請求項15に記載の張り剛性に優れた表面処理金属板の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理金属板に成型加工を施してなる高剛性パネル。
- さらに、他部材と組み合わせてなる請求項17に記載の高剛性パネル。
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JP2002294827A JP4167468B2 (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 金属板表面処理剤、張り剛性に優れた表面処理金属板およびその製造方法ならびに高剛性パネル |
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