JP2004130844A - エコノミークラス症候群予防装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操作が簡単で血栓発生効果に優れたエコノミークラス症候群予防装置及びそれを用いた車両用フットレスト装置を提供すること。
【解決手段】コントローラ14は着座者の手動指令を待つことなく、着座者の下肢に定期的にモータ131を駆動し、これにより踏み板12を定期的に振動させて、長時間走行においても自動的に血栓症の発症を確実に予防する。
【選択図】図1
【解決手段】コントローラ14は着座者の手動指令を待つことなく、着座者の下肢に定期的にモータ131を駆動し、これにより踏み板12を定期的に振動させて、長時間走行においても自動的に血栓症の発症を確実に予防する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エコノミークラス症候群予防装置及びそれを用いた車両用フットレスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、航空機の座席に長時間座っていると下肢における血液循環不足に起因して血栓症が生じる問題が、いわゆるエコノミークラス症候群として知られている。
【0003】
従来、車両のフットレスト装置として下記の文献記載の装置が提案されている。
【0004】
上記したエコノミークラス症候群は、航空機に限られず、たとえば長距離トラックのドライバーによる長時間の車両運転などにおいても同様に生じる可能性があると考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開平9−226431号公報
【0006】
この技術は、フットレスト装置の踏み板に設けた多数の孔から振動突起を突出させ、各振動突起の基端部を踏み板の裏側にて保持板に固定し、踏み板の上部にスイッチを設け、このスイッチを足によりオンすることにより保持板を振動させて各振動突起を振動させ、これにより足裏へマッサージ効果を与える振動ことを提案している。この公報のフットレスト装置を用いれば、車両におけるこのエコノミークラス症候群も抑止乃至軽減できると考えられる。
【0007】
また、この公報のフットレスト装置のごとき下肢振動装置を、車両のみならず、長時間着座が要求される列車座席、航空機座席、静止座席に設け、運転者がその意志により振動を生起させるならば、同様にエコノミークラス症候群を抑止できると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の車両用フットレスト装置は、振動突起を振動させるために踏み板の上部に設けたスイッチを押す必要があった。
【0009】
運転者の意想に応じて足裏に単に快適なマッサージ感を与える場合には、このようなスイッチ起動は振動突起がマッサージを望まない場合に決して振動することがないために適切であるが、上記したエコノミークラス症候群は運転者にとって無自覚に発生すること、かつ、運転者がエコノミークラス症候群の原因である血栓発生危険について十分な予備知識を常時念頭に置くことはほとんどありえないため、上記公報の車両用フットレスト装置は、快適マッサージ装置としては有効であるが、エコノミークラス症候群防止装置としては、実質的に有効ではなかった。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、操作が簡単で血栓発生防止効果に優れたエコノミークラス症候群予防装置及びそれを用いた車両用フットレスト装置を提供することをその目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のエコノミークラス症候群予防装置は、通電されて着座者の下肢を振動乃至周期運動させる下肢振動要素、前記着座者のエコノミークラス症候群発生可能性増大を検知する血栓発生可能性検知要素、及び、前記血栓発生可能性検知要素からの出力に基づいて前記エコノミークラス症候群発生可能性が大きいと判断する場合に前記下肢振動要素へ通電して前記下肢振動要素を振動させる振動制御要素を備え、前記血栓発生可能性検知要素は、前回の下肢振動要素の振動停止時点からの経過時間が所定のしきい値時間を超える場合にそれを前記エコノミークラス症候群発生可能性の増大を示す信号として前記振動制御要素に出力することを特徴としている。本発明によれば、着座者の手動指令を待つことなく、着座者の下肢に定期的に振動を与えることができるので、血栓症に関する着座者の意識を期待することなく着座者の長時間着座時における血栓症の発症を簡単確実に予防することができる。
【0012】
態様1において、前記着座者の着座時間に関連する情報を検出する着座時間検知要素を有し、前記血栓発生可能性検知要素は、前記下肢振動要素が振動していない状態において前記着座時間が所定のしきい値時間を超える場合にそれを前記エコノミークラス症候群発生可能性の増大を示す信号として前記振動制御要素に出力する。着座の検出は、たとえば着座センサの他、車両のイグニッションスイッチなどを採用することができる。これにより、着座していないにもかかわらず、下肢振動要素が振動する愚を避けることができる。なお、イグニッションスイッチのオンを着座検出信号として用いる場合、この着座検出信号により着座時間検知要素としてのタイマを起動させることができる他、イグニッションスイッチを通じてこのタイマに電源電力を給電するようにしてもよい。また、フットレスト装置の踏み板を足が踏んでいる状態を検出して着座と判定してもよい。
【0013】
態様2において、前記下肢振動要素は、車両のフットレスト装置に設けられる。このようにすれば、従来、見逃されていた車両長時間運転者特に長距離トラック運転者などにおける血栓症発症を簡素な構成により良好に防止することができる。
【0014】
態様3において、前記下肢振動要素は、前記車両の床部に振動可能に保持される踏み板と、前記床部と前記踏み板との間に配置されて前記踏み板を振動させる振動装置とを有する。このようにすれば、踏み板自体を振動させることができるので、上記した従来の振動式フットレスト装置に比べて構成を簡素化することができる。
【0015】
態様4において、前記車両の状態に関連する情報を検知する車両状態検知要素を有し、前記振動制御要素は、前記車両状態検知要素が検知した前記情報に基づいて所定の車両状態を検知した場合に、前記振動を優先的に停止乃至規制する。このようにすれば、車両状態がドライバーの下肢振動に好ましくない場合にこれを停止乃至規制することができるので、ドライバー運転操作に違和感や障害を与えたることがない。
【0016】
態様5において、前記車両状態検知要素は、ブレーキ操作及びステアリング操作の少なくともいずれかを検出し、前記振動制御要素は、前記ブレーキ操作又はステアリング操作がなされる場合に前記振動を優先的に停止ないし規制する。このようにすれば、ブレーキ操作及びステアリング操作において、フットレスト装置の踏み板を強く踏んだ彼の足裏に強い振動を与えて、ドライバーが違和感を感じることを防止することができる。
【0017】
態様6において、前記車両状態検知要素は、車両衝突に関する情報を検知し、前記振動制御要素は、前記情報に基づいて車両衝突が予測される場合又は発生した場合に前記振動を優先的に停止ないし規制する。このようにすれば、車両衝突時にドライバーがフットレスト装置の踏み板を強く踏み込んでも、彼の足裏に強い振動を与えて、ドライバーが違和感を感じることを防止することができる。
【0018】
態様7において、前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記下肢振動要素の作動状態を変更する。このようにすれば、運転者の選択によりあるいは走行条件により好適な振動モードを採用することができる。なお、この作動状態の変更としては、振動強度の変更、振動周波数の変更、振動継続時間の変更などを採用することができる。たとえば、高速道路の長距離走行時間の増大につれて、振動強度を徐々に増大したり、振動継続時間を徐々に延長したりすることができる。これは、長距離走行時間の増大につれてたとえ定期的に振動を行っても徐々に血栓症発症確率が増大するためである。
【0019】
態様8において、前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記しきい値時間を変更する。このようにすれば、運転者の好みによりあるいは走行条件により好適な振動モードを採用することができる。たとえば、高速道路の長距離走行時間の増大につれて、振動期間と振動期間との間の振動休止時間を短縮する。これは、長距離走行時間の増大につれてたとえ定期的に振動を行っても徐々に血栓症発症確率が増大するためである。
【0020】
態様9において、前記車両状態検知要素は、車両クルージング状態に関する情報を検知し、前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記しきい値時間を変更する。このようにすれば、車両走行状態に応じて好適に血栓予防のための振動を発生することができる。たとえば、このような血栓症発症は頻繁に走行モードが変化する市街地走行時には生じにくく、一定の運転姿勢が長時間保持されやすい高速クルージング走行において生じやすいので、高速クルージング走行における前記しきい値時間を市街地走行におけるそれよりも短縮することができる。なお、高速クルージング走行の分別は、たとえば速度センサ出力などにより容易に検出することができる。
【0021】
態様10において、前記着座者が操作可能な手動スイッチを有し、前記振動制御要素は、前記スイッチのオンにより前記下肢振動要素を強制起動させる。このようにすれば、たとえば運転者はその欲する時点で快適なマッサージ感を得ることができる。
【0022】
態様11において、前記着座者の覚醒状態に関連する情報を検知する覚醒状態検知要素を有し、前記振動制御要素は、前記情報に基づいて前記着座者の覚醒を促す必要があると判定する場合に前記下肢振動要素を強制起動させる。このようにすれば、運転者が居眠り運転を始めた場合に運転者を覚醒させることができ、走行安全性を高める効果を上記血栓予防効果に併せて奏することができる。なお、居眠り運転の検出については、ドライバーの顔面状態特に目の状態に関する画像情報に基づいて判定したり、あるいは、車両の蛇行走行状態により検出したりすることができる。
【0023】
態様12において、前記車両走行状態の危険に関連する情報を検知する手段を有し、前記振動制御要素は、前記情報に基づいて前記危険に対する前記着座者の注意を喚起する必要があると判定する場合に前記下肢振動要素を強制起動させる。このようにすれば、運転者が注意力が散漫な漫然運転を行っていたり、あるいは外部の危険に気がつかない場合に運転者に注意を喚起することができるので、走行安全性を高める効果を上記血栓予防効果に併せて奏することができる。なお、上記危険は、車両に装備した衝突検出レーダーなどの障害物検出装置の出力に基づいて検出することができる。また、漫然運転時には、運転者は遅れて急操作(急ブレーキや急ハンドル)を行う傾向にあるので、このような操作状況が所定時間続く場合に漫然(注意散漫)運転と判定することができる。
【0024】
態様13において、前記振動制御要素は、前記覚醒を促す場合又は前記注意を喚起する場合における前記振動の状態と、前記血栓予防のための前記振動の状態とを変更する。たとえば、前者の場合に振動周波数又は振動強度を最大とすればよい。これにより、運転者が振動を周知のエコノミークラス症候群予防用と誤認することを防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のエコノミークラス症候群予防装置を用いた車両用フットレスト装置の好適な態様を以下の実施例により詳細に説明する。なお、本発明のエコノミークラス症候群予防装置は車両用フットレスト装置以外にも各種移動手段搭載の座席又は静止建物内の座席に採用されることができる。
【0026】
【実施例1】
実施例1の車両用フットレスト装置の模式縦断面図を図1に示す。
【0027】
フットレスト装置1は、従来のフットレスト装置と同様に車両の床板2の前端部にトーボード3に沿って配置されている。フットレスト装置1は、ケース11、踏み板12、振動装置(本発明で言う下肢振動要素)13、コントローラ(本発明で言う血栓発生可能性検知要素、着座時間検知要素、振動制御要素)14からなる。
【0028】
ケース11は、従来のフットレスト装置の踏み板とほぼ同様の姿勢で車両内に配置されている踏み板12とトーボード13との間に配置されており、内部に振動装置13及びコントローラ14を収容している。
【0029】
踏み板12は、その下端部120においてケース11の下端部又は床板2に回動自在に枢支されている。
【0030】
振動装置13は、モータ131、ベルト132、カム133を有し、モータ131を駆動すると、ベルト132を通じてカム133が回転する。ケース11は、カム133及び踏み板12の間の部位に位置して、カム133が突出する窓(図示省略)を有し、カム133は楕円柱体形状を有しており、回転するカム133は図2に示すようにその半回転ごとに踏み板12を1回突き上げ、これによりモータ131の回転により踏み板12が振動、正確には周期揺動する。
【0031】
コントローラ14は、図3に示すように車両に搭載された不図示の車両制御用電子制御装置(ECU)から必要な車両状態信号を受け取り、また、不図示のイグニッションキーのオンにより電源電圧が給電されるマイコン型の制御装置であり、モータ131を駆動制御する。コントローラ14の制御例を図3に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0032】
まず、不図示のイグニッションキーのオンによりコントローラ14へ電源電圧が給電され、コントローラ14の内部状態は初期状態にリセットされる。次に、図示しない内蔵のタイマーT1、T2をリセットした後、計時カウントをスタートさせ(S100)、次に走行中でかつ踏み板12が踏まれているかどうかを判定する(S102)。
【0033】
なお、走行中かどうかは上記ECUから入力された車速が0以上であるかどうかで判定され、踏み板12が踏まれているかどうかは、踏み板12の踏み込み荷重を検出する荷重センサ(図1では図示省略)の出力信号が所定値以上かどうかで判定すればよい。
【0034】
この判定により走行中でかつドライバーが踏み板12を踏んでいると判定した場合にはステップS104に進み、そうでなければステップS100に戻る。
【0035】
ステップS104ではタイマT1の現在値を読み込み、次にタイマT1の原自在値が所定のしきい値時間T1thを超えたかどうかを判別し(S106)、超えていなければステップS102に戻り、超えたらモータ131を回転させて踏み板12を振動させる(S108)。
【0036】
次に、大きく操舵されたかもしくは強く制動されたかどうかを判定し(S110)、ドライバーは通常においてフットレストを強く踏み込むためその振動は好ましくないので、ただちにモータ131の回転を停止して踏み板12の振動を停止し(S116)、そうでなければ、ステップS112に進む。
【0037】
なお、大きく操舵されたかどうかは上記ECUから入力された操舵角信号θの絶対値が所定のしきい値θth以上かどうかで判定すればよく、強く制動されたかどうかは上記ECUから入力されたブレーキペダル踏み角信号Lの絶対値が所定のしきい値Lth以上かどうかで判定すればよい。
【0038】
ステップS112ではタイマT2の現在値を読み込み、次にタイマT2の現在値が所定のしきい値時間T2thを超えたかどうかを判別し(S114)、超えていなければステップS102に戻り、超えたらモータ131を停止させて踏み板12の振動を停止させ(S116)、ステップS100にリターンする。
【0039】
これにより、走行中かつ踏み板12を踏んでいる状態が所定時間T1th経過したら踏み板12の振動を開始し、その後、大操舵又は強制動を行わない状態が所定時間T2th経過するまでこの振動を持続させることができ、長時間走行における血栓症予防を確実に実現することができる。
【0040】
好適には、T1thは30分、T2thは30分15秒、振動周波数2Hzとされる。また、T1thを60分、T2thを3秒、振動周波数1Hzとしてもよい。
【0041】
【実施例2】
実施例2の車両用フットレスト装置の模式縦断面図を図5に示す。
【0042】
この実施例は、実施例1の振動装置13の代わりに振動装置130を用いたものである。
【0043】
振動装置130は、たとえば振動モータからなるバイブレータ134により構成されており、ケース11に支持されて通電により踏み板12を振動させる。もちろん、振動装置130として振動モータ以外のバイブレータを用いることができることは当然である。
【0044】
【実施例3】
コントローラ14による他の制御例を図6に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0045】
まず、不図示のイグニッションキーのオンによりコントローラ14へ電源電圧が給電され、コントローラ14の内部状態は初期状態にリセットされる(S200)。次に、振動の開始、停止に関連する各入力信号すなわち入力パラメータを読み込み(S202)、現在振動指令中(振動開始指令後であって振動停止指令の前)かどうかを判別し(S204)、振動中でなければ上記各入力信号を基づいてあらかじめ設定されている振動条件が満足さされているかどうかすなわち振動を行うべきかどうかを判定し(S206)、行うべきでないと判定した場合にはステップS202に戻り、行うべきと判定した場合には振動開始を指令して(S208)、ステップS202に戻る。ステップS204にて、振動中と判別した場合には、上記各入力信号を基づいてあらかじめ設定されている振動停止条件が満足さされているかどうかすなわち振動を停止するべきかどうかを判定し(S210)、停止するべきでないと判定した場合にはステップS202に戻り、停止すべきと判定した場合には振動停止を指令して(S212)、ステップS202に戻る。
【0046】
振動開始乃至持続条件の例について以下に説明する。なお、これらの振動条件を決定する入力信号の検知自体はECU又は公知の車載装置から又は内蔵のタイマーなどから容易に受け取ることができ、かつ、本発明の主旨でもないので図示を省略する。
【0047】
まず、振動開始条件の一つは、前回の振動停止時点からの入力信号(入力パラメータ)としての経過時間が所定のしきい値時間を超えたかどうかの信号がタイマなどにより形成される。
【0048】
ただし、この経過時間は、ドライバーの着座の有無について考慮していないため、振動開始条件の一つとして着座時間が所定のしきい値時間を超えたかどうかの信号がタイマなどにより形成される。着座の開始は、イグニッションスイッチのオン、着座センサの出力信号、踏み板の踏み込みを示す信号や、車両操作信号を用いることができる。その他、振動装置を短時間オンし、その時の振動装置の入力電流の大きさに基づいて足が踏み板12に乗っているかどうかを判定してもよい。すなわち足が踏み板12に乗っていれば、振動装置13の電流は大きくなり、足が踏み板12に乗っていることを判別することができる。
【0049】
振動持続条件は上記タイマの満了により終了する。上記した経過時間、着座時間は振動装置13を定期的に振動させるための重要乃至必須の判断条件をなす。
【0050】
振動開始乃至持続条件又はその逆条件としての振動停止条件として、車両走行状態又は車両内部状態に関する情報である車両状態が振動が好ましくない所定状態となったかどうかを採用することができる。たとえば、急ブレーキ操作及び大ステアリング操作時に振動を優先的に停止ないし規制することができる。また、車両衝突予測時に振動を停止する。
【0051】
振動制御において、ステップS202で読み込んだ車両状態(運転者のマニュアルモードスイッチのオン動作を含む)の状態に基づいて(S210)、振動状態の変更を行う(S212)ことができる。たとえば、マニュアルモードスイッチが押された場合には振動装置を常時振動させればよい。マニュアルモードスイッチにより振動強度を調整することも可能である。また、上記定期的な振動の持続時間、休止時間を手動調整乃至車両状態により変更可能とすることもできる。また、種々の走行モードに合わせて振動モードを変更することもできる。
【0052】
ステップS202における振動制御に関するパラメータとして、着座者の居眠り状態に関する入力情報を採用し、着座者が居眠り状態と判定したら直ちに振動を開始することもできる。同様に、ステップS202における振動制御に関するパラメータとして、着座者の漫然運転(注意散漫)状態に関する入力情報を採用し、着座者が居眠り状態と判定したら直ちに振動を開始することもできる。この漫然運転状態はドライバーが疲労している場合、単にぼーっとしている場合、横見している場合、会話に夢中になっている場合、なにか他のことを考えているばあいなどに生じる。このような場合には、適切な運転操作が遅れがちとなり、あわててブレーキペダルやステアリング操作を行う傾向にあるので、このような車両操作状態が所定時間持続すれば振動を強制開始することが有効である。また、上記漫然運転や居眠り運転に対する警告としての振動は音響振動を伴っても良く、また振動強度などの振動パターンを上記した血栓予防のための定期振動と異なるものとすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエコノミークラス症候群予防装置を用いた車両用フットレスト装置の模式縦断面図である。
【図2】本発明のエコノミークラス症候群予防装置を用いた車両用フットレスト装置の模式縦断面図である。
【図3】図1のコントローラの模式断面図である。
【図4】図1のコントローラの制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】図1の車両用フットレスト装置の他例を示す模式縦断面図である。
【図6】図1のコントローラの制御の他例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 フットレスト装置(エコノミークラス症候群予防装置)
12 踏み板
13 振動装置(下肢振動要素)
14 コントローラ(血栓発生可能性検知要素、着座時間検知要素、振動制御要素)
【発明の属する技術分野】
本発明は、エコノミークラス症候群予防装置及びそれを用いた車両用フットレスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、航空機の座席に長時間座っていると下肢における血液循環不足に起因して血栓症が生じる問題が、いわゆるエコノミークラス症候群として知られている。
【0003】
従来、車両のフットレスト装置として下記の文献記載の装置が提案されている。
【0004】
上記したエコノミークラス症候群は、航空機に限られず、たとえば長距離トラックのドライバーによる長時間の車両運転などにおいても同様に生じる可能性があると考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開平9−226431号公報
【0006】
この技術は、フットレスト装置の踏み板に設けた多数の孔から振動突起を突出させ、各振動突起の基端部を踏み板の裏側にて保持板に固定し、踏み板の上部にスイッチを設け、このスイッチを足によりオンすることにより保持板を振動させて各振動突起を振動させ、これにより足裏へマッサージ効果を与える振動ことを提案している。この公報のフットレスト装置を用いれば、車両におけるこのエコノミークラス症候群も抑止乃至軽減できると考えられる。
【0007】
また、この公報のフットレスト装置のごとき下肢振動装置を、車両のみならず、長時間着座が要求される列車座席、航空機座席、静止座席に設け、運転者がその意志により振動を生起させるならば、同様にエコノミークラス症候群を抑止できると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の車両用フットレスト装置は、振動突起を振動させるために踏み板の上部に設けたスイッチを押す必要があった。
【0009】
運転者の意想に応じて足裏に単に快適なマッサージ感を与える場合には、このようなスイッチ起動は振動突起がマッサージを望まない場合に決して振動することがないために適切であるが、上記したエコノミークラス症候群は運転者にとって無自覚に発生すること、かつ、運転者がエコノミークラス症候群の原因である血栓発生危険について十分な予備知識を常時念頭に置くことはほとんどありえないため、上記公報の車両用フットレスト装置は、快適マッサージ装置としては有効であるが、エコノミークラス症候群防止装置としては、実質的に有効ではなかった。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、操作が簡単で血栓発生防止効果に優れたエコノミークラス症候群予防装置及びそれを用いた車両用フットレスト装置を提供することをその目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のエコノミークラス症候群予防装置は、通電されて着座者の下肢を振動乃至周期運動させる下肢振動要素、前記着座者のエコノミークラス症候群発生可能性増大を検知する血栓発生可能性検知要素、及び、前記血栓発生可能性検知要素からの出力に基づいて前記エコノミークラス症候群発生可能性が大きいと判断する場合に前記下肢振動要素へ通電して前記下肢振動要素を振動させる振動制御要素を備え、前記血栓発生可能性検知要素は、前回の下肢振動要素の振動停止時点からの経過時間が所定のしきい値時間を超える場合にそれを前記エコノミークラス症候群発生可能性の増大を示す信号として前記振動制御要素に出力することを特徴としている。本発明によれば、着座者の手動指令を待つことなく、着座者の下肢に定期的に振動を与えることができるので、血栓症に関する着座者の意識を期待することなく着座者の長時間着座時における血栓症の発症を簡単確実に予防することができる。
【0012】
態様1において、前記着座者の着座時間に関連する情報を検出する着座時間検知要素を有し、前記血栓発生可能性検知要素は、前記下肢振動要素が振動していない状態において前記着座時間が所定のしきい値時間を超える場合にそれを前記エコノミークラス症候群発生可能性の増大を示す信号として前記振動制御要素に出力する。着座の検出は、たとえば着座センサの他、車両のイグニッションスイッチなどを採用することができる。これにより、着座していないにもかかわらず、下肢振動要素が振動する愚を避けることができる。なお、イグニッションスイッチのオンを着座検出信号として用いる場合、この着座検出信号により着座時間検知要素としてのタイマを起動させることができる他、イグニッションスイッチを通じてこのタイマに電源電力を給電するようにしてもよい。また、フットレスト装置の踏み板を足が踏んでいる状態を検出して着座と判定してもよい。
【0013】
態様2において、前記下肢振動要素は、車両のフットレスト装置に設けられる。このようにすれば、従来、見逃されていた車両長時間運転者特に長距離トラック運転者などにおける血栓症発症を簡素な構成により良好に防止することができる。
【0014】
態様3において、前記下肢振動要素は、前記車両の床部に振動可能に保持される踏み板と、前記床部と前記踏み板との間に配置されて前記踏み板を振動させる振動装置とを有する。このようにすれば、踏み板自体を振動させることができるので、上記した従来の振動式フットレスト装置に比べて構成を簡素化することができる。
【0015】
態様4において、前記車両の状態に関連する情報を検知する車両状態検知要素を有し、前記振動制御要素は、前記車両状態検知要素が検知した前記情報に基づいて所定の車両状態を検知した場合に、前記振動を優先的に停止乃至規制する。このようにすれば、車両状態がドライバーの下肢振動に好ましくない場合にこれを停止乃至規制することができるので、ドライバー運転操作に違和感や障害を与えたることがない。
【0016】
態様5において、前記車両状態検知要素は、ブレーキ操作及びステアリング操作の少なくともいずれかを検出し、前記振動制御要素は、前記ブレーキ操作又はステアリング操作がなされる場合に前記振動を優先的に停止ないし規制する。このようにすれば、ブレーキ操作及びステアリング操作において、フットレスト装置の踏み板を強く踏んだ彼の足裏に強い振動を与えて、ドライバーが違和感を感じることを防止することができる。
【0017】
態様6において、前記車両状態検知要素は、車両衝突に関する情報を検知し、前記振動制御要素は、前記情報に基づいて車両衝突が予測される場合又は発生した場合に前記振動を優先的に停止ないし規制する。このようにすれば、車両衝突時にドライバーがフットレスト装置の踏み板を強く踏み込んでも、彼の足裏に強い振動を与えて、ドライバーが違和感を感じることを防止することができる。
【0018】
態様7において、前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記下肢振動要素の作動状態を変更する。このようにすれば、運転者の選択によりあるいは走行条件により好適な振動モードを採用することができる。なお、この作動状態の変更としては、振動強度の変更、振動周波数の変更、振動継続時間の変更などを採用することができる。たとえば、高速道路の長距離走行時間の増大につれて、振動強度を徐々に増大したり、振動継続時間を徐々に延長したりすることができる。これは、長距離走行時間の増大につれてたとえ定期的に振動を行っても徐々に血栓症発症確率が増大するためである。
【0019】
態様8において、前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記しきい値時間を変更する。このようにすれば、運転者の好みによりあるいは走行条件により好適な振動モードを採用することができる。たとえば、高速道路の長距離走行時間の増大につれて、振動期間と振動期間との間の振動休止時間を短縮する。これは、長距離走行時間の増大につれてたとえ定期的に振動を行っても徐々に血栓症発症確率が増大するためである。
【0020】
態様9において、前記車両状態検知要素は、車両クルージング状態に関する情報を検知し、前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記しきい値時間を変更する。このようにすれば、車両走行状態に応じて好適に血栓予防のための振動を発生することができる。たとえば、このような血栓症発症は頻繁に走行モードが変化する市街地走行時には生じにくく、一定の運転姿勢が長時間保持されやすい高速クルージング走行において生じやすいので、高速クルージング走行における前記しきい値時間を市街地走行におけるそれよりも短縮することができる。なお、高速クルージング走行の分別は、たとえば速度センサ出力などにより容易に検出することができる。
【0021】
態様10において、前記着座者が操作可能な手動スイッチを有し、前記振動制御要素は、前記スイッチのオンにより前記下肢振動要素を強制起動させる。このようにすれば、たとえば運転者はその欲する時点で快適なマッサージ感を得ることができる。
【0022】
態様11において、前記着座者の覚醒状態に関連する情報を検知する覚醒状態検知要素を有し、前記振動制御要素は、前記情報に基づいて前記着座者の覚醒を促す必要があると判定する場合に前記下肢振動要素を強制起動させる。このようにすれば、運転者が居眠り運転を始めた場合に運転者を覚醒させることができ、走行安全性を高める効果を上記血栓予防効果に併せて奏することができる。なお、居眠り運転の検出については、ドライバーの顔面状態特に目の状態に関する画像情報に基づいて判定したり、あるいは、車両の蛇行走行状態により検出したりすることができる。
【0023】
態様12において、前記車両走行状態の危険に関連する情報を検知する手段を有し、前記振動制御要素は、前記情報に基づいて前記危険に対する前記着座者の注意を喚起する必要があると判定する場合に前記下肢振動要素を強制起動させる。このようにすれば、運転者が注意力が散漫な漫然運転を行っていたり、あるいは外部の危険に気がつかない場合に運転者に注意を喚起することができるので、走行安全性を高める効果を上記血栓予防効果に併せて奏することができる。なお、上記危険は、車両に装備した衝突検出レーダーなどの障害物検出装置の出力に基づいて検出することができる。また、漫然運転時には、運転者は遅れて急操作(急ブレーキや急ハンドル)を行う傾向にあるので、このような操作状況が所定時間続く場合に漫然(注意散漫)運転と判定することができる。
【0024】
態様13において、前記振動制御要素は、前記覚醒を促す場合又は前記注意を喚起する場合における前記振動の状態と、前記血栓予防のための前記振動の状態とを変更する。たとえば、前者の場合に振動周波数又は振動強度を最大とすればよい。これにより、運転者が振動を周知のエコノミークラス症候群予防用と誤認することを防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のエコノミークラス症候群予防装置を用いた車両用フットレスト装置の好適な態様を以下の実施例により詳細に説明する。なお、本発明のエコノミークラス症候群予防装置は車両用フットレスト装置以外にも各種移動手段搭載の座席又は静止建物内の座席に採用されることができる。
【0026】
【実施例1】
実施例1の車両用フットレスト装置の模式縦断面図を図1に示す。
【0027】
フットレスト装置1は、従来のフットレスト装置と同様に車両の床板2の前端部にトーボード3に沿って配置されている。フットレスト装置1は、ケース11、踏み板12、振動装置(本発明で言う下肢振動要素)13、コントローラ(本発明で言う血栓発生可能性検知要素、着座時間検知要素、振動制御要素)14からなる。
【0028】
ケース11は、従来のフットレスト装置の踏み板とほぼ同様の姿勢で車両内に配置されている踏み板12とトーボード13との間に配置されており、内部に振動装置13及びコントローラ14を収容している。
【0029】
踏み板12は、その下端部120においてケース11の下端部又は床板2に回動自在に枢支されている。
【0030】
振動装置13は、モータ131、ベルト132、カム133を有し、モータ131を駆動すると、ベルト132を通じてカム133が回転する。ケース11は、カム133及び踏み板12の間の部位に位置して、カム133が突出する窓(図示省略)を有し、カム133は楕円柱体形状を有しており、回転するカム133は図2に示すようにその半回転ごとに踏み板12を1回突き上げ、これによりモータ131の回転により踏み板12が振動、正確には周期揺動する。
【0031】
コントローラ14は、図3に示すように車両に搭載された不図示の車両制御用電子制御装置(ECU)から必要な車両状態信号を受け取り、また、不図示のイグニッションキーのオンにより電源電圧が給電されるマイコン型の制御装置であり、モータ131を駆動制御する。コントローラ14の制御例を図3に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0032】
まず、不図示のイグニッションキーのオンによりコントローラ14へ電源電圧が給電され、コントローラ14の内部状態は初期状態にリセットされる。次に、図示しない内蔵のタイマーT1、T2をリセットした後、計時カウントをスタートさせ(S100)、次に走行中でかつ踏み板12が踏まれているかどうかを判定する(S102)。
【0033】
なお、走行中かどうかは上記ECUから入力された車速が0以上であるかどうかで判定され、踏み板12が踏まれているかどうかは、踏み板12の踏み込み荷重を検出する荷重センサ(図1では図示省略)の出力信号が所定値以上かどうかで判定すればよい。
【0034】
この判定により走行中でかつドライバーが踏み板12を踏んでいると判定した場合にはステップS104に進み、そうでなければステップS100に戻る。
【0035】
ステップS104ではタイマT1の現在値を読み込み、次にタイマT1の原自在値が所定のしきい値時間T1thを超えたかどうかを判別し(S106)、超えていなければステップS102に戻り、超えたらモータ131を回転させて踏み板12を振動させる(S108)。
【0036】
次に、大きく操舵されたかもしくは強く制動されたかどうかを判定し(S110)、ドライバーは通常においてフットレストを強く踏み込むためその振動は好ましくないので、ただちにモータ131の回転を停止して踏み板12の振動を停止し(S116)、そうでなければ、ステップS112に進む。
【0037】
なお、大きく操舵されたかどうかは上記ECUから入力された操舵角信号θの絶対値が所定のしきい値θth以上かどうかで判定すればよく、強く制動されたかどうかは上記ECUから入力されたブレーキペダル踏み角信号Lの絶対値が所定のしきい値Lth以上かどうかで判定すればよい。
【0038】
ステップS112ではタイマT2の現在値を読み込み、次にタイマT2の現在値が所定のしきい値時間T2thを超えたかどうかを判別し(S114)、超えていなければステップS102に戻り、超えたらモータ131を停止させて踏み板12の振動を停止させ(S116)、ステップS100にリターンする。
【0039】
これにより、走行中かつ踏み板12を踏んでいる状態が所定時間T1th経過したら踏み板12の振動を開始し、その後、大操舵又は強制動を行わない状態が所定時間T2th経過するまでこの振動を持続させることができ、長時間走行における血栓症予防を確実に実現することができる。
【0040】
好適には、T1thは30分、T2thは30分15秒、振動周波数2Hzとされる。また、T1thを60分、T2thを3秒、振動周波数1Hzとしてもよい。
【0041】
【実施例2】
実施例2の車両用フットレスト装置の模式縦断面図を図5に示す。
【0042】
この実施例は、実施例1の振動装置13の代わりに振動装置130を用いたものである。
【0043】
振動装置130は、たとえば振動モータからなるバイブレータ134により構成されており、ケース11に支持されて通電により踏み板12を振動させる。もちろん、振動装置130として振動モータ以外のバイブレータを用いることができることは当然である。
【0044】
【実施例3】
コントローラ14による他の制御例を図6に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0045】
まず、不図示のイグニッションキーのオンによりコントローラ14へ電源電圧が給電され、コントローラ14の内部状態は初期状態にリセットされる(S200)。次に、振動の開始、停止に関連する各入力信号すなわち入力パラメータを読み込み(S202)、現在振動指令中(振動開始指令後であって振動停止指令の前)かどうかを判別し(S204)、振動中でなければ上記各入力信号を基づいてあらかじめ設定されている振動条件が満足さされているかどうかすなわち振動を行うべきかどうかを判定し(S206)、行うべきでないと判定した場合にはステップS202に戻り、行うべきと判定した場合には振動開始を指令して(S208)、ステップS202に戻る。ステップS204にて、振動中と判別した場合には、上記各入力信号を基づいてあらかじめ設定されている振動停止条件が満足さされているかどうかすなわち振動を停止するべきかどうかを判定し(S210)、停止するべきでないと判定した場合にはステップS202に戻り、停止すべきと判定した場合には振動停止を指令して(S212)、ステップS202に戻る。
【0046】
振動開始乃至持続条件の例について以下に説明する。なお、これらの振動条件を決定する入力信号の検知自体はECU又は公知の車載装置から又は内蔵のタイマーなどから容易に受け取ることができ、かつ、本発明の主旨でもないので図示を省略する。
【0047】
まず、振動開始条件の一つは、前回の振動停止時点からの入力信号(入力パラメータ)としての経過時間が所定のしきい値時間を超えたかどうかの信号がタイマなどにより形成される。
【0048】
ただし、この経過時間は、ドライバーの着座の有無について考慮していないため、振動開始条件の一つとして着座時間が所定のしきい値時間を超えたかどうかの信号がタイマなどにより形成される。着座の開始は、イグニッションスイッチのオン、着座センサの出力信号、踏み板の踏み込みを示す信号や、車両操作信号を用いることができる。その他、振動装置を短時間オンし、その時の振動装置の入力電流の大きさに基づいて足が踏み板12に乗っているかどうかを判定してもよい。すなわち足が踏み板12に乗っていれば、振動装置13の電流は大きくなり、足が踏み板12に乗っていることを判別することができる。
【0049】
振動持続条件は上記タイマの満了により終了する。上記した経過時間、着座時間は振動装置13を定期的に振動させるための重要乃至必須の判断条件をなす。
【0050】
振動開始乃至持続条件又はその逆条件としての振動停止条件として、車両走行状態又は車両内部状態に関する情報である車両状態が振動が好ましくない所定状態となったかどうかを採用することができる。たとえば、急ブレーキ操作及び大ステアリング操作時に振動を優先的に停止ないし規制することができる。また、車両衝突予測時に振動を停止する。
【0051】
振動制御において、ステップS202で読み込んだ車両状態(運転者のマニュアルモードスイッチのオン動作を含む)の状態に基づいて(S210)、振動状態の変更を行う(S212)ことができる。たとえば、マニュアルモードスイッチが押された場合には振動装置を常時振動させればよい。マニュアルモードスイッチにより振動強度を調整することも可能である。また、上記定期的な振動の持続時間、休止時間を手動調整乃至車両状態により変更可能とすることもできる。また、種々の走行モードに合わせて振動モードを変更することもできる。
【0052】
ステップS202における振動制御に関するパラメータとして、着座者の居眠り状態に関する入力情報を採用し、着座者が居眠り状態と判定したら直ちに振動を開始することもできる。同様に、ステップS202における振動制御に関するパラメータとして、着座者の漫然運転(注意散漫)状態に関する入力情報を採用し、着座者が居眠り状態と判定したら直ちに振動を開始することもできる。この漫然運転状態はドライバーが疲労している場合、単にぼーっとしている場合、横見している場合、会話に夢中になっている場合、なにか他のことを考えているばあいなどに生じる。このような場合には、適切な運転操作が遅れがちとなり、あわててブレーキペダルやステアリング操作を行う傾向にあるので、このような車両操作状態が所定時間持続すれば振動を強制開始することが有効である。また、上記漫然運転や居眠り運転に対する警告としての振動は音響振動を伴っても良く、また振動強度などの振動パターンを上記した血栓予防のための定期振動と異なるものとすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエコノミークラス症候群予防装置を用いた車両用フットレスト装置の模式縦断面図である。
【図2】本発明のエコノミークラス症候群予防装置を用いた車両用フットレスト装置の模式縦断面図である。
【図3】図1のコントローラの模式断面図である。
【図4】図1のコントローラの制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】図1の車両用フットレスト装置の他例を示す模式縦断面図である。
【図6】図1のコントローラの制御の他例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 フットレスト装置(エコノミークラス症候群予防装置)
12 踏み板
13 振動装置(下肢振動要素)
14 コントローラ(血栓発生可能性検知要素、着座時間検知要素、振動制御要素)
Claims (14)
- 通電されて着座者の下肢を振動乃至周期運動させる下肢振動要素、
前記着座者のエコノミークラス症候群発生可能性増大を検知する血栓発生可能性検知要素、及び、
前記血栓発生可能性検知要素からの出力に基づいて前記エコノミークラス症候群発生可能性が大きいと判断する場合に前記下肢振動要素へ通電して前記下肢振動要素を振動させる振動制御要素、
を備え、
前記血栓発生可能性検知要素は、前回の下肢振動要素の振動停止時点からの経過時間が所定のしきい値時間を超える場合にそれを前記エコノミークラス症候群発生可能性の増大を示す信号として前記振動制御要素に出力することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項1記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記着座者の着座時間に関連する情報を検出する着座時間検知要素を有し、
前記血栓発生可能性検知要素は、前記下肢振動要素が振動していない状態において前記着座時間が所定のしきい値時間を超える場合にそれを前記エコノミークラス症候群発生可能性の増大を示す信号として前記振動制御要素に出力することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項1又は2記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記下肢振動要素は、車両のフットレスト装置に設けられることを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項3記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記下肢振動要素は、前記車両の床部に振動可能に保持される踏み板と、前記床部と前記踏み板との間に配置されて前記踏み板を振動させる振動装置とを有することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項3記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記車両の状態に関連する情報を検知する車両状態検知要素を有し、
前記振動制御要素は、前記車両状態検知要素が検知した前記情報に基づいて所定の車両状態を検知した場合に、前記振動を優先的に停止乃至規制することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項5記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記車両状態検知要素は、ブレーキ操作及びステアリング操作の少なくともいずれかを検出し、
前記振動制御要素は、前記ブレーキ操作又はステアリング操作がなされる場合に前記振動を優先的に停止ないし規制することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項5記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記車両状態検知要素は、車両衝突に関する情報を検知し、
前記振動制御要素は、前記情報に基づいて車両衝突が予測される場合又は発生した場合に前記振動を優先的に停止ないし規制することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項3記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記下肢振動要素の作動状態を変更することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項8記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記しきい値時間を変更することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項9記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記車両状態検知要素は、車両クルージング状態に関する情報を検知し、
前記振動制御要素は、所定の入力状態に基づいて前記しきい値時間を変更することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項9記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記着座者が操作可能な手動スイッチを有し、
前記振動制御要素は、前記スイッチのオンにより前記下肢振動要素を強制起動させることを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項8記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記着座者の覚醒状態に関連する情報を検知する覚醒状態検知要素を有し、
前記振動制御要素は、前記情報に基づいて前記着座者の覚醒を促す必要があると判定する場合に前記下肢振動要素を強制起動させることを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項8記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記車両走行状態の危険に関連する情報を検知する手段を有し、
前記振動制御要素は、前記情報に基づいて前記危険に対する前記着座者の注意を喚起する必要があると判定する場合に前記下肢振動要素を強制起動させることを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。 - 請求項12又は13記載のエコノミークラス症候群予防装置において、
前記振動制御要素は、前記覚醒を促す場合又は前記注意を喚起する場合における前記振動の状態と、前記血栓予防のための前記振動の状態とを変更することを特徴とするエコノミークラス症候群予防装置。
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2002
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