JP2004130755A - インクカートリッジの差し替えが可能な印刷 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のノズル列を有する印刷ヘッドを用いて階調表現の豊かさと印刷速度の速さとを1台の印刷装置で実現できる技術を提供する。
【解決手段】本発明は、インクカートリッジが有するメモリから読み出された情報に応じて、高速印刷モードあるいは高画質印刷モードを選択可能とするように印刷モードが管理されることを特徴とする。ここで、高速印刷モードは、各色のインクを複数のノズル列で印刷する印刷モードであり、高画質印刷モードは、各色相毎に複数の種類のインクを各ノズル列印刷する印刷モードである。
【選択図】 図7
【解決手段】本発明は、インクカートリッジが有するメモリから読み出された情報に応じて、高速印刷モードあるいは高画質印刷モードを選択可能とするように印刷モードが管理されることを特徴とする。ここで、高速印刷モードは、各色のインクを複数のノズル列で印刷する印刷モードであり、高画質印刷モードは、各色相毎に複数の種類のインクを各ノズル列印刷する印刷モードである。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インク滴を吐出して印刷媒体上に画像を印刷する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出することにより印刷媒体上にインクドットを形成して画像を印刷する印刷装置は、コンピュータで作成した画像の出力装置として広く使用されている。インクジェット式印刷装置の印刷ヘッドには、複数のノズル群が設けられており、これらのノズル群は通常は互いに異なるインクをそれぞれ吐出する。
【0003】
近年、階調表現を豊かにするために、これらの複数のノズル群には、シアンインクやマゼンタインク、イエロインクといった彩度の高いインクと、これらのインクと色相が同一で彩度が淡シアンインクや淡マゼンタインク、暗イエロインクといった彩度の低いインクをそれぞれ吐出するためのノズル群が含まれることが多くなってきた。このようなノズル群を備える印刷装置は、たとえば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−225315号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、常に色彩表現の豊かさのみがより強く望まれるわけでなく、用途によっては色彩表現の豊かさよりも印刷速度の速さがより望まれることもある。このため、用途に応じて色彩表現の豊かさと印刷速度の速さとを1台の印刷装置で実現できることが望まれていた。
【0006】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、複数のノズル列を有する印刷ヘッドを用いて階調表現の豊かさと印刷速度の速さとを1台の印刷装置で実現できる技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷部に供給すべき印刷データを生成する印刷制御装置であって、前記印刷部は、シアン、マゼンタ、イエロの3つの基本色カラーインクを収容する3つの基本色カラーインクタンクと、前記3つの基本色カラーインクと同一色相のインクを収容する3つの付加カラーインクタンクとを装着可能なカートリッジ装着部と、前記3つの基本色カラーインクをそれぞれ吐出可能な3つの基本色カラーノズル列と、前記3つの基本色カラーノズル列の各々に対して千鳥に配列された3つの付加カラーノズル列とを有する印刷ヘッドと、前記3つの基本色カラーインクタンクの各々から前記3つの基本色カラーノズル列の各々にインクを供給するとともに、前記3つの付加カラーインクタンクの各々から前記3つの付加カラーノズル列の各々にインクを供給するインク供給部と、前記3つの付加カラーインクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す情報読み出し部とを備え、前記印刷制御装置は、前記メモリから読み出された情報に応じて、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクを収容する場合には、前記3つの付加カラーノズル列からも前記3つの基本色カラーインクを吐出する高速印刷モードを選択可能とし、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクのそれぞれと色相が同一で彩度が異なる3つのインクを収容する場合には、6色のインクを各ノズル列で吐出する高画質印刷モードを選択可能とする印刷モード管理部と、前記高速印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクと前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う色変換部と、前記高速印刷モードが選択された場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を千鳥に配列された2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質印刷モードが選択された場合には、前記6つのインクの各々を各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する印刷データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の印刷制御装置によれば、装着されたインクカートリッジに応じて、印刷データの生成処理のモードが自動的に切り替わるので、インクカートリッジの装着状態と印刷データの生成処理のモードとの間の不整合を未然に防止することができる。この結果、複数のノズル列を有する印刷ヘッドを用いて階調表現の豊かさと印刷速度の速さとを1台の印刷装置で実現することができる。
【0009】
上記印刷制御装置において、前記各インクタンク内のインク残量を算出し、少なくとも一部のインクタンクについて前記算出されたインク残量が所定の値より小さくなると、前記一部のインクタンクを特定するための情報を含むインクエンド情報を、前記印刷モード管理部に送信するインク残量監視部を備え、前記印刷モード管理部は、前記高速印刷モードで印刷が実行されている場合には、前記インクエンド情報に応じて、特定の処理モードで処理することを前記印刷データ生成部に要求することが可能であり、前記印刷データ生成部は、前記特定の処理モードが要求されると、前記インクエンド情報に応じて、前記一部のインクタンクが前記3つの付加カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの基本色カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、前記一部のインクタンクが前記3つの基本カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの付加カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、それぞれ生成するようにしたり、
前記各インクタンク内のインク残量を算出し、少なくとも一部のインクタンクについて前記算出されたインク残量が所定の値より小さくなると、前記一部のインクタンクを特定するための情報を含むインクエンド情報を、前記印刷モード管理部に送信するインク残量監視部を備え、前記印刷モード管理部は、前記高速印刷モードで印刷が実行されている場合には、前記インクエンド情報に応じて、特定の処理モードで処理することを前記印刷データ生成部に要求することが可能であり、前記印刷データ生成部は、前記特定の処理モードが要求されると、前記インクエンド情報に応じて、前記一部のインクタンクが前記3つの付加カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの基本色カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、前記一部のインクタンクが前記3つの基本カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの付加カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、それぞれ生成するようにすることが好ましい。
【0010】
こうすれば、一部のインクがインクエンドとなっても印刷を継続することができる選択肢をユーザに与えることができるという利点がある。本機能の利点は、後述する変形例で示されるようにインクカートリッジの数の増加に応じて顕著となる。インクカートリッジの数が増加すると、一部のインクカートリッジのみがインクエンドとなる可能性が高くなるからである。
【0011】
上記印刷制御装置において、前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクは、シアンの基本色インクに比べて濃度が低い淡シアンインクと、マゼンタの基本色インクに比べて濃度が低い淡マゼンタインクと、イエロの基本色インクに比べて明度が低い暗イエロインクであるように構成しても良い。
【0012】
上記印刷制御装置において、前記カートリッジ装着部は、さらにブラックインクを収容するブラックインクタンクと、無彩色のインクを収容する付加無彩色インクタンクとを装着可能であり、前記印刷ヘッドは、さらに前記ブラックインクを吐出可能なブラックノズル列と、前記ブラックノズル列に対して千鳥に配列された付加無彩色ノズル列とを有し、前記インク供給部は、さらに前記ブラックインクタンクから前記ブラックノズル列にインクを供給するとともに、前記付加無彩色インクタンクから前記付加無彩色ノズル列にインクを供給し、前記情報読み出し部は、さらに前記付加無彩色インクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出し、前記印刷モード管理部は、前記メモリから読み出された情報に応じて、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクを収容する場合には、前記付加無彩色ノズル列からも前記ブラックインクを吐出する高速白黒印刷モードを選択可能とし、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクと明度が異なるグレーインクを収容する場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを前記各ノズル列で吐出する高画質白黒印刷モードを選択可能とし、前記色変換部は、前記高速白黒印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記ブラックインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第3の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質白黒印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記ブラックインクと前記グレーインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第4の色変換テーブルを用いて色変換を行い、前記印刷データ生成部は、前記高速白黒印刷モードが選択された場合には、前記ブラックインクを千鳥に配列された2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質白黒印刷モードが選択された場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを各ノズル列で吐出するための印刷データを生成するようにしても良い。
【0013】
また、本発明の別の態様は、インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷装置であって、シアン、マゼンタ、イエロの3つの基本色カラーインクを収容する3つの基本色カラーインクタンクと、前記3つの基本色カラーインクと同一色相のインクを収容する3つの付加カラーインクタンクとを装着可能なカートリッジ装着部と、前記3つの基本色カラーインクをそれぞれ吐出可能な3つの基本色カラーノズル列と、前記3つの基本色カラーノズル列の各々に対して千鳥に配列された3つの付加カラーノズル列とを有する印刷ヘッドと、前記3つの基本色カラーインクタンクの各々から前記3つの基本色カラーノズル列の各々にインクを供給するとともに、前記3つの付加カラーインクタンクの各々から前記3つの付加カラーノズル列の各々にインクを供給するインク供給部と、前記3つの付加カラーインクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す情報読み出し部と、前記メモリから読み出された情報に応じて、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクを収容する場合には、前記付加無彩色ノズル列からも前記ブラックインクを吐出する高速白黒印刷モードを選択可能とし、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクと明度が異なるグレーインクを収容する場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを前記各ノズル列で吐出する高画質白黒印刷モードを選択可能とする印刷モード管理部と、前記高速印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクと前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う色変換部と、前記高速印刷モードが選択された場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質印刷モードが選択された場合には、前記6つのインクの各々を各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する印刷データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、たとえば、印刷方法および印刷装置、印刷制御方法および印刷制御装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、その印刷装置に用いられる印刷ヘッドやカートリッジ、その組合せ等の態様で実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の構成:
B.本発明の第1実施例における印刷モード管理処理:
C.本発明の第2実施例における印刷モード管理処理:
D.変形例:
【0016】
A.装置の構成:
図1は、本発明の一実施例としての印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷制御装置としてのコンピュータ90と、印刷部としてのカラープリンタ20と、を備えている。なお、カラープリンタ20とコンピュータ90の組み合わせを、広義の「印刷装置」と呼ぶことができる。
【0017】
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、カラープリンタ20に転送するための印刷データPDが出力されることになる。アプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示する。
【0018】
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをカラープリンタ20に供給するための印刷データPDに変換する。図1に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、減色モジュール99と、印刷データ生成モジュール100と、印刷モード管理部101と、複数の色変換テーブルLUTと、が備えられている。なお、複数の色変換テーブルLUTが備えられている理由については後述する。
【0019】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データの解像度(即ち、単位長さ当りの画素数)を、プリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3色からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換テーブルLUTを参照しつつ、各画素ごとに、RGB画像データを、カラープリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。
【0020】
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。減色モジュール99は、インクドットを分散して形成することにより、カラープリンタ20でこの階調値を表現するための減色処理を実行する。減色処理された画像データは、印刷データ生成モジュール100によりカラープリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。なお、印刷データPDは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータとを含んでいる。なお、印刷モード管理部101の機能と、印刷モード管理部101が受信する制御情報とについては後述する。
【0021】
なお、プリンタドライバ96は、印刷データPDを生成する機能を実現するためのプログラムに相当する。プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0022】
図2は、カラープリンタ20の概略構成図である。カラープリンタ20は、紙送りモータ22によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30をプラテン26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60(「印刷ヘッド集合体」とも呼ぶ)を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
【0023】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転をプラテン26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
【0024】
図3は、制御回路40を中心としたカラープリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45と、カラープリンタ20の動作環境を保持するデータベースであるMIB(Management Information Base)46とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ22およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54とを備えている。
【0025】
I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷データPDを受け取ることができる。カラープリンタ20は、この印刷データPDに従って印刷を実行する。なお、RAM44は、ラスタデータを一時的に格納するためのバッファメモリとして機能する。また、コンピュータ90は、MIB46にアクセスすることにより、プリンタ20の動作環境に関する情報を得ることができる。この動作環境には、装着されているカートリッジに関する情報が含まれている。
【0026】
印刷ヘッドユニット60は、印刷ヘッド28を有しており、また、インクカートリッジを搭載可能である。なお、印刷ヘッドユニット60は、1つの部品としてカラープリンタ20に着脱される。すなわち、印刷ヘッド28を交換しようとする際には、印刷ヘッドユニット60を交換することになる。
【0027】
図4は、印刷ヘッドユニット60の斜視図である。印刷ヘッドユニット60は、カートリッジ装着部29と、印刷ヘッド28と、8つの導入管Sとを備えている。
【0028】
カートリッジ装着部29は、ブラックインクを収容するブラックインクカートリッジ171Kと、シアンインクを収容するシアンインクカートリッジ171Cと、マゼンタインクを収容するマゼンタインクカートリッジ171Mと、イエロインクを収容するイエロインクカートリッジ171Yと、淡シアンインクを収容する淡シアンインクカートリッジ171Lcと、淡マゼンタインクを収容する淡マゼンタインクカートリッジ171Lmと、ダークイエロインクを収容するダークイエロインクカートリッジ171Dyと、淡ブラックインクを収容する淡ブラックインクカートリッジ171Lkと、が装着可能である。
【0029】
なお、本明細書では、各色相で彩度が最も高い3つのカラーインクC,M,Yを「3つの基本色カラーインク」と呼ぶ。この3つの基本色カラーインクに、明度が最も低い無彩色インクであるブラックインクを合わせて「4つの基本色インク」と呼ぶ。一方、淡シアンインクや淡マゼンタインク、ダークイエロインクといった各色相で基本色カラーインクよりも彩度が低いインクを「3つの付加カラーインク」と呼ぶ。この3つの付加カラーインクに、ブラックインクよりも明度が高い無彩色インクである淡ブラックインクを合わせて「4つの付加インク」と呼ぶ。
【0030】
淡シアンインクとは、シアンの基本色インクに比べて濃度が低いインクをいい、淡マゼンタインクとは、マゼンタの基本色インクに比べて濃度が低いインクをいう。これらのインクは、シアンやマゼンタの色相において、階調表現を豊かにするために使用される彩度が抑えられたインクである。
【0031】
ダークイエロインクとは、イエロインクと比較して彩度と明度とが低いインクをいい、暗イエロインクとも呼ばれる。具体的には、ダークイエローインクは、イエローインクに他のインク用の色材(例えば濃シアンと濃マゼンタ)が混合されたインクである。濃シアン成分と濃マゼンタ成分とを含むダークイエローインクを用いると、イエローと濃シアンと濃マゼンタのインク滴を別々に吐出する場合に比べて、印刷媒体上に吐出するインク量(特に溶剤の量)が少なくて済む。この結果、特にシャドー部の印刷画質を向上させることができるという利点がある。
【0032】
淡ブラックインクとは、ブラックインクに比べて明度が高いインクをいう。淡ブラックインクを用いると、コンポジットブラックの生成に伴うカラーバランスのばらつきや、シャドー部における粒状感を抑制することができるという利点がある。カラーバランスとは、カラーインクを用いてコンポジットブラックを形成する際のシアン、マゼンタ、イエロのバランスをいう。カラーバランスがばらつくと、すなわち、たとえばシアンが多いとシアンがかったブラックとなって画質を劣化させる。
【0033】
カートリッジ装着部29には、各インクカートリッジに挿入されてインク流路を形成するための8個の導入管S1〜S8が立設されている。これらの導入管Sは、印刷ヘッドユニット60の下部に装備されている印刷ヘッド28が有する各ノズル列に接続されている。
【0034】
図5は、印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図である。印刷ヘッド28の下面には、8つのノズル列N1〜N8が設けられている。各ノズル列は48個のノズルを有している。48個のノズルは、副走査方向SSに沿って一定のノズルピッチK・Dでそれぞれ整列している。ここで、Kは整数であり、Dは副走査方向における印刷解像度に相当するピッチ(「ドットピッチ」と呼ぶ)である。
【0035】
ノズル列N1、N3、N5、N7は、ノズル列N2、N4、N6、N8に対してそれぞれ千鳥に配列されている。千鳥に配列されているとは、本明細書では、所定の距離だけ副走査方向にシフトして配列されていることをいう。所定の距離は、「各ノズル列のノズルピッチ」と「千鳥に配列されるノズル列の数」に応じて決定される。具体的には、図5に示されるように、各ノズル列のノズルピッチがK・Dで千鳥に配列されるノズル列の数が各組2個なので、所定の値は、(k/2)×Dとなる。なお、千鳥に配列されるノズル列の数が2以上の場合については後述する。
【0036】
副走査方向のシフト量を、このような距離としているのは、互いに千鳥に配列された2個のノズル列を使用して1回の主走査で形成できる主走査線の数を2倍に増やすことができるようにするためである。たとえば2つのノズル列N1、N2にブラックインクを供給すれば、ノズル列N1とノズル列N2が有するノズルの数(96本)だけ1回の主走査で主走査線を形成することができる。一方、いずれか一方のノズルにブラックインクの代わりに淡ブラックインクを供給すればきめ細かな階調表現を可能とすることができる。
【0037】
また、各ノズル列の複数のノズルは、副走査方向に沿って一直線上に配列されている必要はなく、たとえば、さらに千鳥状に配列されていてもよい。本明細書において、「副走査方向に沿って配列されたノズル」とは、一直線上に配列されたノズルという意味と、千鳥状に配列されたノズルという意味と、を包含する広い意味を有している。なお、ノズルが千鳥状に配列されている場合にも、副走査方向に測ったノズルピッチK・Dは、図5の場合と同様に定義することができる。
【0038】
各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてのピエゾ素子(図示せず)が設けられている。印刷時には、印刷ヘッド28が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルからインク滴が吐出される。
【0039】
図6は、クリーニング機構200の構成を示す概念図である。クリーニング機構200は、ヘッドキャップ210と、ホース220と、ポンプローラ230とを備えている。なお、図6では、ホース220は途中までしか示されていない。
【0040】
ヘッドキャップ210は、その内部空間が8つの吸引室V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8に分かれている。このヘッドキャップ210が上昇して印刷ヘッド28の下面に密着すると、8つの吸引室V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8は、各ノズル列N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8を覆う8つの閉空間を形成する。これら8つの閉空間の各々は、ヘッドキャップ210内でそれぞれが備える図示しない電磁弁を経由して、ホース220に接続されている。各閉空間が電磁弁を備えているのは、ノズル列毎にノズルクリーニングを可能とするためである。
【0041】
ポンプローラ230は、その周縁部の近傍に2つの小ローラ232,234を有している。これらの2つの小ローラ232,234の周囲には、ホース220が巻回されている。紙送りモータ31がポンプローラ230に接続され、これが矢印A方向に回転すると、小ローラ232,234によってホース220内の空気が押され、これによってヘッドキャップ210内の各閉空間から排気される。いずれの閉空間から排気するかは、電磁弁を開閉することにより制御される。
【0042】
以上説明したハードウェア構成を有するカラープリンタ20は、紙送りモータ22により用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド28のピエゾ素子を駆動して、各色インク滴の吐出を行い、インクドットを形成して用紙P上に多色多階調の画像を形成する。
【0043】
B.本発明の第1実施例における印刷モード管理処理:
図7は、本発明の第1実施例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図である。図7(a)は、4つの基本インクC、M、Y、Kと4つの付加インクLc、Lm、Ly、Lkとが各ノズルから吐出される8色印刷モードの形態を示している。これは、カートリッジ装着部29の所定の位置に、4つの基本インクC、M、Y、Kと4つの付加インクLc、Lm、Ly、Lkとをそれぞれ収容する8種類のインクカートリッジが装着されている状態である。
【0044】
図7(b)は、4つの基本インクC、M、Y、Kの各々が2つのノズルから吐出される4色印刷モードの形態を示している。これは、カートリッジ装着部29の所定の位置に、4つの基本インクC、M、Y、Kのそれぞれを収容するインクカートリッジが2つずつ計8つのカートリッジが装着されている状態である。
【0045】
ここで、8色印刷モードは高画質の印刷を行うための印刷モードであり、4色印刷モードは高速で印刷を行うための印刷モードである。また、本実施例では、基本ノズル列は、8色印刷モードと4色印刷モードの双方において、基本インクC、M、Y、Kをそれぞれ吐出する4つのノズル列N1、N3、N5、N7である。一方、付加ノズル列は、8色印刷モードにおいて付加インクLc、Lm、Ly、Lkをそれぞれ吐出し、4色印刷モードにおいて基本インクC、M、Y、Kをそれぞれ吐出する4つのノズル列N2、N4、N6、N8である。
【0046】
なお、本実施例では、常に4つの基本色インクが供給される4つのノズル列N1、N3、N5、N7が特許請求の範囲における「基本色ノズル列」に相当し、4つの付加インクが供給される場合がある4つのノズル列N2、N4、N6、N8が特許請求の範囲における「付加ノズル列」に相当する。
【0047】
図8は、本発明の第1実施例における印刷処理のための準備手順を示すフローチャートである。この準備手順は、カラープリンタ20の電源が「ON」にされると自動的に開始される(ステップS101)。なお、この準備手順は、カラープリンタ20の電源が「ON」の状態で、8個のインクカートリッジ171(図3)のいずれかが差し替えられたときにも同様に開始される。この場合は、次のステップS102から手順が開始される。
【0048】
ステップS102では、カラープリンタ20のCPU41は、8個のインクカートリッジ171を検知する。ここで、インクカートリッジの検知とは、インクカートリッジ171に設けられたメモリ181と電気的接続が確立したことを意味する。
【0049】
ステップS103では、データ読み出し部53(図3)は、メモリ181からカラープリンタ20に装着されたインクカートリッジを使用するための制御情報を読み出す。この制御情報には、インクカートリッジが収容するインクの種類を表す情報が含まれる。
【0050】
CPU41(図3)は、MIB46にアクセスしてプリンタ20の動作環境に変化がないか、特に装着されたカートリッジに変化が無いかを調べる。たとえば、8色印刷モードの形態から4色印刷モードの形態に変更された場合には、図7に示されるように淡ブラックインクカートリッジ171Lkが装着されていた位置にはブラックインクカートリッジ171Kが装着され、また、淡シアンインクカートリッジLc、淡マゼンタインクカートリッジLm、ダークイエロインクカートリッジDyがそれぞれ装着されていた位置には、シアンインクカートリッジC、マゼンタインクカートリッジM、イエロインクカートリッジYが装着されていることになる。
【0051】
インクカートリッジの差し替えが認識されたときには、CPU41は、装着されたカートリッジに変更があった旨と、変更後の装着形態とを表す制御データをコンピュータ90の印刷モード管理部101に送信する。制御情報は、コネクタ56(図3)を介してコンピュータ90に送られる(ステップS104)。
【0052】
ステップS105では、印刷モード管理部101は、制御データに応じて印刷ヘッドのクリーニングの許可をユーザに求める画面(図9)を表示する。図9に示される例は、図7(a)に示される8色印刷モードから図7(b)に示される4色印刷モードに変更されたときに表示される画面である。この画面上で、ユーザが、「はい」をクリックすると、印刷ヘッドのクリーニングが行われる。一方、ユーザが、「いいえ」をクリックすると、印刷画質が一時的に劣化する旨の警告が現れた後に、この画面が消える。
【0053】
このようなインクカートリッジの差し替えが行われたときには、差し替えられたシアンインクカートリッジが収容するインクを使用して付加ノズル列N2、N4、N6、N8と、これらに接続された導入管S2、S4、S6、S8の洗浄を行う。これにより、インク色の混合による画質の劣化を防止することができる。なお、カートリッジの種類を変更する場合には、変更に先立って付加ノズル列を洗浄するための洗浄液を収容する洗浄用カートリッジを用いて付加ノズル列を洗浄することが好ましい。
【0054】
ステップS106では、印刷モード管理部101(図1)は、印刷モード管理処理を行う。印刷モード管理処理は、装着されたインクカートリッジの種類に応じて行われる。具体的には、印刷モード管理部101は、付加ノズル列N2、N4、N6、N8にインクを供給する導入管S2、S4、S6、S8に装着されたインクカートリッジが基本インクを収容するか、あるいは付加インクを収容するかに応じて、色変換モジュール98と印刷データ生成モジュール100とに対して処理モードの切替を要求する。
【0055】
色変換モジュール98は、印刷モード管理部101からの要求に応じて、色変換に用いる色変換テーブルLUTを切り替える。色変換テーブルLUTには、8色印刷モード用の色変換テーブルと4色印刷モード用の色変換テーブルとを含んでいる。
【0056】
8色印刷モード用の色変換テーブルは、与えられた画像の画素の色と、4つの基本色インクと淡シアンインクと淡マゼンタインクと淡ブラックインクとダークイエロインクとを使用してこの画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた色変換テーブルである。4色印刷モード用の色変換テーブルは、与えられた画像の画素の色と、4つの基本色インクのみを使用してこの画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた色変換テーブルである。
【0057】
印刷データ生成モジュール100は、印刷モード管理部101からの要求に応じて、プリンタ20に出力するための最終処理のモードを切り替える。最終処理のモードには、8色印刷モード用の処理モードと4色印刷モード用の処理モードとが含まれている。
【0058】
8色印刷モードでは、同一のインクを吐出するノズルピッチK・Dで配列された48個のノズルを有する各ノズル列を用いて印刷が行われる。一方、4色印刷モードでは、同一のインクを吐出するノズルピッチK・D/2で配列された96個のノズルを有する4組のノズル列を用いて印刷が行われる。印刷データ生成モジュール100は、最終処理のモードの切り替えにより、8色印刷モードあるいは4色印刷モードに適した各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータとが生成可能である。
【0059】
このような処理が完了すると、コンピュータ90は、設定された新たな動作環境をMIB46に保存する。そして、印刷装置は、カートリッジ装着部29上のインクカートリッジ171の装着形態に対応した印刷処理を行うことが可能な状態となる。
【0060】
このように、本実施例では、カートリッジ装着部29に装着されたインクカートリッジの装着形態に応じて、印刷データの生成処理のモードが自動的に切り替わるので、インクカートリッジの装着形態と印刷データの生成処理のモードとの間の不整合を未然に防止することができる。
【0061】
C.本発明の第2実施例における印刷モード管理処理:
図10は、本発明の第2実施例における印刷処理のための準備手順を示すフローチャートである。図11は、本発明の第2実施例の8色印刷モード形態において一部のノズル列がインクの消耗によりインクの吐出ができなくなった状態を示す説明図である。この例では、淡シアンインクを吐出するノズル列N4がインクを吐出できない状態となっている。
【0062】
この準備手順は、第1実施例と同様に、カラープリンタ20の電源が「ON」にされると自動的に開始される(ステップS301)。ステップS302では、カラープリンタ20のCPU41は、インクエンドを検知する。インクエンドとは、インクカートリッジ内のインクが残り少なくなってきたことを示す用語である。インクエンドの検知は、たとえばメモリ181に格納されているインク残量を表すインク残量情報に基づいて行うことができる。インク残量情報は、たとえば各ページの印刷で行った各インクの吐出数を用いてインクの消費量を算出し、この消費量に応じて各ページの印刷の終了毎に更新されるように構成しても良い。
【0063】
ステップS303では、データ読み出し部53(図3)は、インクエンドとなった旨と、インクエンドとなったインクタンクを特定するための情報を含むインクエンド情報をコンピュータPCに送信する。コンピュータPCは、インクエンド情報に応じて、インクエンドとなったインクカートリッジに接続されているノズル列を特定する。
【0064】
ステップS304では、印刷モード管理部101は、インクエンド情報に応じて、特定のインクカートリッジ内のインクが残り少なくなってきたことを示すインクエンド警告画面(図12)を表示するとともに印刷の実行を停止する。この警告画面は、次ページの印刷の途中で淡シアンインクのインクが無くなる恐れがあるという情報と、これに対する以下の3つの選択肢とをユーザに提供する。
(1)淡シアンインクカートリッジを新しい物と差し替えてから印刷を再開する。
(2)淡シアンインクの代わりにシアンインクを使用して印刷を再開する。
(3)印刷を中止する。
【0065】
ユーザが第1の選択肢を選択した場合には、CPU41が淡シアンインクカートリッジの差し替えを検知するとともに、プリンタ20上の所定のボタン(図示せず)が押されると、印刷が再開される。
【0066】
ユーザが第2の選択肢を選択した場合には、印刷が直ちに再開される。ただし、色変換に用いる色変換テーブルLUTが切り替えられる。具体的には、シアンインクの階調値の算出には、4色印刷モード用の色変換テーブルが使用され、淡シアンとシアンを除く他の6色の階調値の算出には、8色印刷モード用の色変換テーブルが使用される。
【0067】
ユーザが第3の選択肢を選択した場合には、印刷は直ちに終了される。これは、たとえば淡シアンインクカートリッジの購入後に印刷を再開するときに選択される選択肢である。
【0068】
一方、4色印刷モード形態において、インクエンドが検知された場合には、以下のように処理される。図13は、本発明の第2実施例の4色印刷モード形態において一部のノズル列がインクの消耗によりインクの吐出ができなくなった状態を示す説明図である。
【0069】
この場合、たとえばノズル列N4にインクを供給しているシアンインクカートリッジがインクエンドとなった場合には、4つのノズル列N1、N3、N5、N7を用いて印刷を続行することができる。ただし、印刷速度はほぼ半分になる。
【0070】
このように、第2実施例では、一部のインクがインクエンドとなっても印刷を継続することができる選択肢をユーザに与えることができるという利点がある。本機能の利点は、後述する変形例で示されるようにインクカートリッジの数の増加に応じて顕著となる。インクカートリッジの数が増加すると、一部のインクカートリッジのみがインクエンドとなる可能性が高くなるからである。なお、CPU41が特許請求の範囲における「インク残量監視部」として機能している。
【0071】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0072】
D−1.上記各実施例では、図7に示されるように、第1実施例における8色印刷モードと4色印刷モードでは、同一色相のインクが隣接するノズル列から吐出されるようにインクが供給されているが、たとえば図14の第1変形例に示されるように、主走査方向に左右対称になるようにインクを供給するようにしても良い。
【0073】
また、上記各実施例では、ブラックインクや淡ブラックが使用されているが、ブラックインクや淡ブラックを使用しない構成としても良い。
【0074】
さらに、上記第1実施例では、ノズル列N3、N5、N7が特許請求の範囲における「3つの基本色カラーノズル列」に相当するが、たとえばノズル列N3とノズル列N4とを入れ替えて、ノズル列N4、N5、N7を3つの基本色カラーノズル列としても良い。この場合には、ノズル列N3、N6、N8が特許請求の範囲における「3つの付加カラーノズル列」に相当する。
【0075】
D−2.上記各実施例では、図5に示されるように、各ノズル列のノズルピッチがK・Dで千鳥に配列されるノズル列の数が各組2個なので、副走査方向にシフトする距離は、(k/2)×Dとなっているが、たとえば図15に示される印刷ヘッド28aのように、千鳥に配列されるノズル列の数が各組3個であっても良い。この場合には、副走査方向にシフトする距離は、それぞれ(k/3)×Dとなる。
【0076】
このような印刷ヘッドでは、4色印刷モードでは、互いに千鳥に配列された3個のノズル列を使用して1回の主走査で形成できる主走査線の数を3倍に増やすことができる。一方、12色印刷モードでは、各色相毎に彩度や明度が異なる3種類のインクが使用できるので、上述の各実施例よりもさらに階調表現を豊かにすることができる。
【0077】
D−3.上記各実施例では、カラーインクを吐出する各ノズル列に対して千鳥に配列された付加ノズル列を追加しているが、図16に示される印刷ヘッド28bように、ブラックインクを吐出するノズル列に対して、千鳥に配列された付加ノズル列を追加するようにしても良い。これらの付加ノズル列からブラックインクと明度が異なる無彩色インク、あるいはブラックインクを吐出することにより、それぞれ階調表現が豊かな高画質モノクロ印刷や高速モノクロ印刷が可能となる。
【0078】
ここで、無彩色インクとは、彩度がゼロのインクには限られず、たとえばセピアが入った灰色であっても良い。一般に、本発明で使用される無彩色インクとは、ブラックインクとともにモノクロ印刷に使用可能なインクを意味する。
【0079】
D−4.上記各実施例では、各ノズル列は、主走査方向に配列されているが、たとえば図17に示される印刷ヘッド28cのように副走査方向にも配列されていても良い。
【0080】
D−5.上記各実施例では、印刷ヘッド28とカートリッジ装着部29とが一体の印刷ヘッドユニット60として構成されているが、図18に示されるように、印刷ヘッド28dとカートリッジ装着部29aとを分離するような構成としても良い。なお、図18に示す例では、ダンパ681〜688がインク供給路に設けられている。ダンパ681〜688は、長いインク供給路で安定的にインクを供給するための一時貯蔵部である。
【0081】
D−6.上記各実施例では、有色のインクが使用されているが、たとえば無色の液剤(たとえば保護剤や耐光材)を利用可能な印刷装置にも本発明は適用できる。一般に、本発明は、複数種類のインクを吐出可能な印刷装置に適用可能である。また、本明細書では、インクの語は、有色の液剤のならず無色の液剤(たとえば保護剤や耐光材)をも含む広い概念である。
【0082】
D−7.上記各実施例では、接続切替の際のクリーニングはインクの吸引によって行われているが、たとえばクリーニング用印刷データをプリンタ20に送信して印刷ヘッドを駆動することにより行っても良い。一般に、本発明におけるクリーニングは、ノズルからインクを吐出するものであれば良い。
【0083】
D−8.上記各実施例では、各インク毎に独立したインクカートリッジを印刷ヘッドユニット60に装着できるように、印刷ヘッドユニットが構成されているが、複数のインクタンクを有するインクカートリッジが装着可能となるように構成されても良い。一般に、本発明で使用されるインクタンク装着部は、結果として複数種類のインクをそれぞれ収容するための複数のインクタンクが装着可能であれば良い。
【0084】
なお、この説明からも理解できるように、本明細書において、「インクタンク」とは、1種類のインクを収容するための容器を意味している。また、インクカートリッジとは、一体として形成され、少なくとも1つのインクタンクを有する容器を意味している。
【0085】
D−9.上記各実施例では、インクカートリッジ171に設けられたメモリ181と電気的接続を確立することによって、メモリ181からデータを取得しているが、たとえば電磁誘導を利用してデータを取得するようにしても良い。
【0086】
この発明は、ドラムプリンタにも適用できる。尚、ドラムプリンタでは、ドラム回転方向が主走査方向、キャリッジ走行方向が副走査方向となる。また、この発明は、インクジェットプリンタのみでなく、一般に、複数のノズル列を有する記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面に記録を行うドット記録装置に適用することができる。
【0087】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1に示したプリンタドライバ96の機能の一部または全部を、プリンタ20内の制御回路40が実行するようにすることもできる。この場合には、印刷データを作成する印刷制御装置としてのコンピュータ90の機能の一部または全部が、プリンタ20の制御回路40によって実現される。
【0088】
本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例として印刷システムの構成を示すブロック図。
【図2】プリンタの構成を示す説明図。
【図3】カラープリンタ20における制御回路40の構成を示すブロック図。
【図4】印刷ヘッドユニット60の斜視図。
【図5】印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図。
【図6】クリーニング機構200の構成を示す概念図。
【図7】本発明の第1実施例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図8】本発明の第1実施例における印刷処理の手順を示すフローチャート。
【図9】印刷ヘッドのクリーニングの許可をユーザに求めるための画面。
【図10】本発明の第2実施例における印刷処理のための準備手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の第2実施例の8色印刷モード形態において一部のノズル列がインクの消耗によりインクの吐出ができなくなった状態を示す説明図。
【図12】特定のインクカートリッジ内のインクが残り少なくなってきたことを示すインクエンド警告画面。
【図13】本発明の第2実施例の4色印刷モード形態において一部のノズル列がインクの消耗によりインクの吐出ができなくなった状態を示す説明図。
【図14】本発明の第1変形例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図15】本発明の第2変形例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図16】本発明の第3変形例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図17】本発明の第4変形例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図18】本発明の第5変形例におけるインク供給機構を示す説明図。
【符号の説明】
20…カラープリンタ
21…CRT
22…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印刷ヘッド
30…キャリッジ
31…紙送りモータ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置センサ
40…制御回路
41…CPU
44…RAM
46…MIB
50…I/F専用回路
52…ヘッド駆動回路
53…部
54…モータ駆動回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色変換モジュール
99…減色モジュール
100…印刷データ生成モジュール
101…印刷モード管理部
171…インクカートリッジ
181…メモリ
200…クリーニング機構
210…ヘッドキャップ
220…ホース
230…ポンプローラ
232,234…小ローラ
【発明の属する技術分野】
この発明は、インク滴を吐出して印刷媒体上に画像を印刷する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出することにより印刷媒体上にインクドットを形成して画像を印刷する印刷装置は、コンピュータで作成した画像の出力装置として広く使用されている。インクジェット式印刷装置の印刷ヘッドには、複数のノズル群が設けられており、これらのノズル群は通常は互いに異なるインクをそれぞれ吐出する。
【0003】
近年、階調表現を豊かにするために、これらの複数のノズル群には、シアンインクやマゼンタインク、イエロインクといった彩度の高いインクと、これらのインクと色相が同一で彩度が淡シアンインクや淡マゼンタインク、暗イエロインクといった彩度の低いインクをそれぞれ吐出するためのノズル群が含まれることが多くなってきた。このようなノズル群を備える印刷装置は、たとえば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−225315号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、常に色彩表現の豊かさのみがより強く望まれるわけでなく、用途によっては色彩表現の豊かさよりも印刷速度の速さがより望まれることもある。このため、用途に応じて色彩表現の豊かさと印刷速度の速さとを1台の印刷装置で実現できることが望まれていた。
【0006】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、複数のノズル列を有する印刷ヘッドを用いて階調表現の豊かさと印刷速度の速さとを1台の印刷装置で実現できる技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷部に供給すべき印刷データを生成する印刷制御装置であって、前記印刷部は、シアン、マゼンタ、イエロの3つの基本色カラーインクを収容する3つの基本色カラーインクタンクと、前記3つの基本色カラーインクと同一色相のインクを収容する3つの付加カラーインクタンクとを装着可能なカートリッジ装着部と、前記3つの基本色カラーインクをそれぞれ吐出可能な3つの基本色カラーノズル列と、前記3つの基本色カラーノズル列の各々に対して千鳥に配列された3つの付加カラーノズル列とを有する印刷ヘッドと、前記3つの基本色カラーインクタンクの各々から前記3つの基本色カラーノズル列の各々にインクを供給するとともに、前記3つの付加カラーインクタンクの各々から前記3つの付加カラーノズル列の各々にインクを供給するインク供給部と、前記3つの付加カラーインクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す情報読み出し部とを備え、前記印刷制御装置は、前記メモリから読み出された情報に応じて、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクを収容する場合には、前記3つの付加カラーノズル列からも前記3つの基本色カラーインクを吐出する高速印刷モードを選択可能とし、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクのそれぞれと色相が同一で彩度が異なる3つのインクを収容する場合には、6色のインクを各ノズル列で吐出する高画質印刷モードを選択可能とする印刷モード管理部と、前記高速印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクと前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う色変換部と、前記高速印刷モードが選択された場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を千鳥に配列された2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質印刷モードが選択された場合には、前記6つのインクの各々を各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する印刷データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の印刷制御装置によれば、装着されたインクカートリッジに応じて、印刷データの生成処理のモードが自動的に切り替わるので、インクカートリッジの装着状態と印刷データの生成処理のモードとの間の不整合を未然に防止することができる。この結果、複数のノズル列を有する印刷ヘッドを用いて階調表現の豊かさと印刷速度の速さとを1台の印刷装置で実現することができる。
【0009】
上記印刷制御装置において、前記各インクタンク内のインク残量を算出し、少なくとも一部のインクタンクについて前記算出されたインク残量が所定の値より小さくなると、前記一部のインクタンクを特定するための情報を含むインクエンド情報を、前記印刷モード管理部に送信するインク残量監視部を備え、前記印刷モード管理部は、前記高速印刷モードで印刷が実行されている場合には、前記インクエンド情報に応じて、特定の処理モードで処理することを前記印刷データ生成部に要求することが可能であり、前記印刷データ生成部は、前記特定の処理モードが要求されると、前記インクエンド情報に応じて、前記一部のインクタンクが前記3つの付加カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの基本色カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、前記一部のインクタンクが前記3つの基本カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの付加カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、それぞれ生成するようにしたり、
前記各インクタンク内のインク残量を算出し、少なくとも一部のインクタンクについて前記算出されたインク残量が所定の値より小さくなると、前記一部のインクタンクを特定するための情報を含むインクエンド情報を、前記印刷モード管理部に送信するインク残量監視部を備え、前記印刷モード管理部は、前記高速印刷モードで印刷が実行されている場合には、前記インクエンド情報に応じて、特定の処理モードで処理することを前記印刷データ生成部に要求することが可能であり、前記印刷データ生成部は、前記特定の処理モードが要求されると、前記インクエンド情報に応じて、前記一部のインクタンクが前記3つの付加カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの基本色カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、前記一部のインクタンクが前記3つの基本カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの付加カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、それぞれ生成するようにすることが好ましい。
【0010】
こうすれば、一部のインクがインクエンドとなっても印刷を継続することができる選択肢をユーザに与えることができるという利点がある。本機能の利点は、後述する変形例で示されるようにインクカートリッジの数の増加に応じて顕著となる。インクカートリッジの数が増加すると、一部のインクカートリッジのみがインクエンドとなる可能性が高くなるからである。
【0011】
上記印刷制御装置において、前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクは、シアンの基本色インクに比べて濃度が低い淡シアンインクと、マゼンタの基本色インクに比べて濃度が低い淡マゼンタインクと、イエロの基本色インクに比べて明度が低い暗イエロインクであるように構成しても良い。
【0012】
上記印刷制御装置において、前記カートリッジ装着部は、さらにブラックインクを収容するブラックインクタンクと、無彩色のインクを収容する付加無彩色インクタンクとを装着可能であり、前記印刷ヘッドは、さらに前記ブラックインクを吐出可能なブラックノズル列と、前記ブラックノズル列に対して千鳥に配列された付加無彩色ノズル列とを有し、前記インク供給部は、さらに前記ブラックインクタンクから前記ブラックノズル列にインクを供給するとともに、前記付加無彩色インクタンクから前記付加無彩色ノズル列にインクを供給し、前記情報読み出し部は、さらに前記付加無彩色インクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出し、前記印刷モード管理部は、前記メモリから読み出された情報に応じて、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクを収容する場合には、前記付加無彩色ノズル列からも前記ブラックインクを吐出する高速白黒印刷モードを選択可能とし、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクと明度が異なるグレーインクを収容する場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを前記各ノズル列で吐出する高画質白黒印刷モードを選択可能とし、前記色変換部は、前記高速白黒印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記ブラックインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第3の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質白黒印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記ブラックインクと前記グレーインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第4の色変換テーブルを用いて色変換を行い、前記印刷データ生成部は、前記高速白黒印刷モードが選択された場合には、前記ブラックインクを千鳥に配列された2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質白黒印刷モードが選択された場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを各ノズル列で吐出するための印刷データを生成するようにしても良い。
【0013】
また、本発明の別の態様は、インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷装置であって、シアン、マゼンタ、イエロの3つの基本色カラーインクを収容する3つの基本色カラーインクタンクと、前記3つの基本色カラーインクと同一色相のインクを収容する3つの付加カラーインクタンクとを装着可能なカートリッジ装着部と、前記3つの基本色カラーインクをそれぞれ吐出可能な3つの基本色カラーノズル列と、前記3つの基本色カラーノズル列の各々に対して千鳥に配列された3つの付加カラーノズル列とを有する印刷ヘッドと、前記3つの基本色カラーインクタンクの各々から前記3つの基本色カラーノズル列の各々にインクを供給するとともに、前記3つの付加カラーインクタンクの各々から前記3つの付加カラーノズル列の各々にインクを供給するインク供給部と、前記3つの付加カラーインクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す情報読み出し部と、前記メモリから読み出された情報に応じて、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクを収容する場合には、前記付加無彩色ノズル列からも前記ブラックインクを吐出する高速白黒印刷モードを選択可能とし、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクと明度が異なるグレーインクを収容する場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを前記各ノズル列で吐出する高画質白黒印刷モードを選択可能とする印刷モード管理部と、前記高速印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクと前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う色変換部と、前記高速印刷モードが選択された場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質印刷モードが選択された場合には、前記6つのインクの各々を各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する印刷データ生成部とを備えることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、たとえば、印刷方法および印刷装置、印刷制御方法および印刷制御装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、その印刷装置に用いられる印刷ヘッドやカートリッジ、その組合せ等の態様で実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の構成:
B.本発明の第1実施例における印刷モード管理処理:
C.本発明の第2実施例における印刷モード管理処理:
D.変形例:
【0016】
A.装置の構成:
図1は、本発明の一実施例としての印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷制御装置としてのコンピュータ90と、印刷部としてのカラープリンタ20と、を備えている。なお、カラープリンタ20とコンピュータ90の組み合わせを、広義の「印刷装置」と呼ぶことができる。
【0017】
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、カラープリンタ20に転送するための印刷データPDが出力されることになる。アプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示する。
【0018】
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをカラープリンタ20に供給するための印刷データPDに変換する。図1に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、減色モジュール99と、印刷データ生成モジュール100と、印刷モード管理部101と、複数の色変換テーブルLUTと、が備えられている。なお、複数の色変換テーブルLUTが備えられている理由については後述する。
【0019】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データの解像度(即ち、単位長さ当りの画素数)を、プリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3色からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換テーブルLUTを参照しつつ、各画素ごとに、RGB画像データを、カラープリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。
【0020】
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。減色モジュール99は、インクドットを分散して形成することにより、カラープリンタ20でこの階調値を表現するための減色処理を実行する。減色処理された画像データは、印刷データ生成モジュール100によりカラープリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。なお、印刷データPDは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータとを含んでいる。なお、印刷モード管理部101の機能と、印刷モード管理部101が受信する制御情報とについては後述する。
【0021】
なお、プリンタドライバ96は、印刷データPDを生成する機能を実現するためのプログラムに相当する。プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0022】
図2は、カラープリンタ20の概略構成図である。カラープリンタ20は、紙送りモータ22によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30をプラテン26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60(「印刷ヘッド集合体」とも呼ぶ)を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
【0023】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転をプラテン26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
【0024】
図3は、制御回路40を中心としたカラープリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45と、カラープリンタ20の動作環境を保持するデータベースであるMIB(Management Information Base)46とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ22およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54とを備えている。
【0025】
I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷データPDを受け取ることができる。カラープリンタ20は、この印刷データPDに従って印刷を実行する。なお、RAM44は、ラスタデータを一時的に格納するためのバッファメモリとして機能する。また、コンピュータ90は、MIB46にアクセスすることにより、プリンタ20の動作環境に関する情報を得ることができる。この動作環境には、装着されているカートリッジに関する情報が含まれている。
【0026】
印刷ヘッドユニット60は、印刷ヘッド28を有しており、また、インクカートリッジを搭載可能である。なお、印刷ヘッドユニット60は、1つの部品としてカラープリンタ20に着脱される。すなわち、印刷ヘッド28を交換しようとする際には、印刷ヘッドユニット60を交換することになる。
【0027】
図4は、印刷ヘッドユニット60の斜視図である。印刷ヘッドユニット60は、カートリッジ装着部29と、印刷ヘッド28と、8つの導入管Sとを備えている。
【0028】
カートリッジ装着部29は、ブラックインクを収容するブラックインクカートリッジ171Kと、シアンインクを収容するシアンインクカートリッジ171Cと、マゼンタインクを収容するマゼンタインクカートリッジ171Mと、イエロインクを収容するイエロインクカートリッジ171Yと、淡シアンインクを収容する淡シアンインクカートリッジ171Lcと、淡マゼンタインクを収容する淡マゼンタインクカートリッジ171Lmと、ダークイエロインクを収容するダークイエロインクカートリッジ171Dyと、淡ブラックインクを収容する淡ブラックインクカートリッジ171Lkと、が装着可能である。
【0029】
なお、本明細書では、各色相で彩度が最も高い3つのカラーインクC,M,Yを「3つの基本色カラーインク」と呼ぶ。この3つの基本色カラーインクに、明度が最も低い無彩色インクであるブラックインクを合わせて「4つの基本色インク」と呼ぶ。一方、淡シアンインクや淡マゼンタインク、ダークイエロインクといった各色相で基本色カラーインクよりも彩度が低いインクを「3つの付加カラーインク」と呼ぶ。この3つの付加カラーインクに、ブラックインクよりも明度が高い無彩色インクである淡ブラックインクを合わせて「4つの付加インク」と呼ぶ。
【0030】
淡シアンインクとは、シアンの基本色インクに比べて濃度が低いインクをいい、淡マゼンタインクとは、マゼンタの基本色インクに比べて濃度が低いインクをいう。これらのインクは、シアンやマゼンタの色相において、階調表現を豊かにするために使用される彩度が抑えられたインクである。
【0031】
ダークイエロインクとは、イエロインクと比較して彩度と明度とが低いインクをいい、暗イエロインクとも呼ばれる。具体的には、ダークイエローインクは、イエローインクに他のインク用の色材(例えば濃シアンと濃マゼンタ)が混合されたインクである。濃シアン成分と濃マゼンタ成分とを含むダークイエローインクを用いると、イエローと濃シアンと濃マゼンタのインク滴を別々に吐出する場合に比べて、印刷媒体上に吐出するインク量(特に溶剤の量)が少なくて済む。この結果、特にシャドー部の印刷画質を向上させることができるという利点がある。
【0032】
淡ブラックインクとは、ブラックインクに比べて明度が高いインクをいう。淡ブラックインクを用いると、コンポジットブラックの生成に伴うカラーバランスのばらつきや、シャドー部における粒状感を抑制することができるという利点がある。カラーバランスとは、カラーインクを用いてコンポジットブラックを形成する際のシアン、マゼンタ、イエロのバランスをいう。カラーバランスがばらつくと、すなわち、たとえばシアンが多いとシアンがかったブラックとなって画質を劣化させる。
【0033】
カートリッジ装着部29には、各インクカートリッジに挿入されてインク流路を形成するための8個の導入管S1〜S8が立設されている。これらの導入管Sは、印刷ヘッドユニット60の下部に装備されている印刷ヘッド28が有する各ノズル列に接続されている。
【0034】
図5は、印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図である。印刷ヘッド28の下面には、8つのノズル列N1〜N8が設けられている。各ノズル列は48個のノズルを有している。48個のノズルは、副走査方向SSに沿って一定のノズルピッチK・Dでそれぞれ整列している。ここで、Kは整数であり、Dは副走査方向における印刷解像度に相当するピッチ(「ドットピッチ」と呼ぶ)である。
【0035】
ノズル列N1、N3、N5、N7は、ノズル列N2、N4、N6、N8に対してそれぞれ千鳥に配列されている。千鳥に配列されているとは、本明細書では、所定の距離だけ副走査方向にシフトして配列されていることをいう。所定の距離は、「各ノズル列のノズルピッチ」と「千鳥に配列されるノズル列の数」に応じて決定される。具体的には、図5に示されるように、各ノズル列のノズルピッチがK・Dで千鳥に配列されるノズル列の数が各組2個なので、所定の値は、(k/2)×Dとなる。なお、千鳥に配列されるノズル列の数が2以上の場合については後述する。
【0036】
副走査方向のシフト量を、このような距離としているのは、互いに千鳥に配列された2個のノズル列を使用して1回の主走査で形成できる主走査線の数を2倍に増やすことができるようにするためである。たとえば2つのノズル列N1、N2にブラックインクを供給すれば、ノズル列N1とノズル列N2が有するノズルの数(96本)だけ1回の主走査で主走査線を形成することができる。一方、いずれか一方のノズルにブラックインクの代わりに淡ブラックインクを供給すればきめ細かな階調表現を可能とすることができる。
【0037】
また、各ノズル列の複数のノズルは、副走査方向に沿って一直線上に配列されている必要はなく、たとえば、さらに千鳥状に配列されていてもよい。本明細書において、「副走査方向に沿って配列されたノズル」とは、一直線上に配列されたノズルという意味と、千鳥状に配列されたノズルという意味と、を包含する広い意味を有している。なお、ノズルが千鳥状に配列されている場合にも、副走査方向に測ったノズルピッチK・Dは、図5の場合と同様に定義することができる。
【0038】
各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてのピエゾ素子(図示せず)が設けられている。印刷時には、印刷ヘッド28が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルからインク滴が吐出される。
【0039】
図6は、クリーニング機構200の構成を示す概念図である。クリーニング機構200は、ヘッドキャップ210と、ホース220と、ポンプローラ230とを備えている。なお、図6では、ホース220は途中までしか示されていない。
【0040】
ヘッドキャップ210は、その内部空間が8つの吸引室V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8に分かれている。このヘッドキャップ210が上昇して印刷ヘッド28の下面に密着すると、8つの吸引室V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8は、各ノズル列N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8を覆う8つの閉空間を形成する。これら8つの閉空間の各々は、ヘッドキャップ210内でそれぞれが備える図示しない電磁弁を経由して、ホース220に接続されている。各閉空間が電磁弁を備えているのは、ノズル列毎にノズルクリーニングを可能とするためである。
【0041】
ポンプローラ230は、その周縁部の近傍に2つの小ローラ232,234を有している。これらの2つの小ローラ232,234の周囲には、ホース220が巻回されている。紙送りモータ31がポンプローラ230に接続され、これが矢印A方向に回転すると、小ローラ232,234によってホース220内の空気が押され、これによってヘッドキャップ210内の各閉空間から排気される。いずれの閉空間から排気するかは、電磁弁を開閉することにより制御される。
【0042】
以上説明したハードウェア構成を有するカラープリンタ20は、紙送りモータ22により用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド28のピエゾ素子を駆動して、各色インク滴の吐出を行い、インクドットを形成して用紙P上に多色多階調の画像を形成する。
【0043】
B.本発明の第1実施例における印刷モード管理処理:
図7は、本発明の第1実施例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図である。図7(a)は、4つの基本インクC、M、Y、Kと4つの付加インクLc、Lm、Ly、Lkとが各ノズルから吐出される8色印刷モードの形態を示している。これは、カートリッジ装着部29の所定の位置に、4つの基本インクC、M、Y、Kと4つの付加インクLc、Lm、Ly、Lkとをそれぞれ収容する8種類のインクカートリッジが装着されている状態である。
【0044】
図7(b)は、4つの基本インクC、M、Y、Kの各々が2つのノズルから吐出される4色印刷モードの形態を示している。これは、カートリッジ装着部29の所定の位置に、4つの基本インクC、M、Y、Kのそれぞれを収容するインクカートリッジが2つずつ計8つのカートリッジが装着されている状態である。
【0045】
ここで、8色印刷モードは高画質の印刷を行うための印刷モードであり、4色印刷モードは高速で印刷を行うための印刷モードである。また、本実施例では、基本ノズル列は、8色印刷モードと4色印刷モードの双方において、基本インクC、M、Y、Kをそれぞれ吐出する4つのノズル列N1、N3、N5、N7である。一方、付加ノズル列は、8色印刷モードにおいて付加インクLc、Lm、Ly、Lkをそれぞれ吐出し、4色印刷モードにおいて基本インクC、M、Y、Kをそれぞれ吐出する4つのノズル列N2、N4、N6、N8である。
【0046】
なお、本実施例では、常に4つの基本色インクが供給される4つのノズル列N1、N3、N5、N7が特許請求の範囲における「基本色ノズル列」に相当し、4つの付加インクが供給される場合がある4つのノズル列N2、N4、N6、N8が特許請求の範囲における「付加ノズル列」に相当する。
【0047】
図8は、本発明の第1実施例における印刷処理のための準備手順を示すフローチャートである。この準備手順は、カラープリンタ20の電源が「ON」にされると自動的に開始される(ステップS101)。なお、この準備手順は、カラープリンタ20の電源が「ON」の状態で、8個のインクカートリッジ171(図3)のいずれかが差し替えられたときにも同様に開始される。この場合は、次のステップS102から手順が開始される。
【0048】
ステップS102では、カラープリンタ20のCPU41は、8個のインクカートリッジ171を検知する。ここで、インクカートリッジの検知とは、インクカートリッジ171に設けられたメモリ181と電気的接続が確立したことを意味する。
【0049】
ステップS103では、データ読み出し部53(図3)は、メモリ181からカラープリンタ20に装着されたインクカートリッジを使用するための制御情報を読み出す。この制御情報には、インクカートリッジが収容するインクの種類を表す情報が含まれる。
【0050】
CPU41(図3)は、MIB46にアクセスしてプリンタ20の動作環境に変化がないか、特に装着されたカートリッジに変化が無いかを調べる。たとえば、8色印刷モードの形態から4色印刷モードの形態に変更された場合には、図7に示されるように淡ブラックインクカートリッジ171Lkが装着されていた位置にはブラックインクカートリッジ171Kが装着され、また、淡シアンインクカートリッジLc、淡マゼンタインクカートリッジLm、ダークイエロインクカートリッジDyがそれぞれ装着されていた位置には、シアンインクカートリッジC、マゼンタインクカートリッジM、イエロインクカートリッジYが装着されていることになる。
【0051】
インクカートリッジの差し替えが認識されたときには、CPU41は、装着されたカートリッジに変更があった旨と、変更後の装着形態とを表す制御データをコンピュータ90の印刷モード管理部101に送信する。制御情報は、コネクタ56(図3)を介してコンピュータ90に送られる(ステップS104)。
【0052】
ステップS105では、印刷モード管理部101は、制御データに応じて印刷ヘッドのクリーニングの許可をユーザに求める画面(図9)を表示する。図9に示される例は、図7(a)に示される8色印刷モードから図7(b)に示される4色印刷モードに変更されたときに表示される画面である。この画面上で、ユーザが、「はい」をクリックすると、印刷ヘッドのクリーニングが行われる。一方、ユーザが、「いいえ」をクリックすると、印刷画質が一時的に劣化する旨の警告が現れた後に、この画面が消える。
【0053】
このようなインクカートリッジの差し替えが行われたときには、差し替えられたシアンインクカートリッジが収容するインクを使用して付加ノズル列N2、N4、N6、N8と、これらに接続された導入管S2、S4、S6、S8の洗浄を行う。これにより、インク色の混合による画質の劣化を防止することができる。なお、カートリッジの種類を変更する場合には、変更に先立って付加ノズル列を洗浄するための洗浄液を収容する洗浄用カートリッジを用いて付加ノズル列を洗浄することが好ましい。
【0054】
ステップS106では、印刷モード管理部101(図1)は、印刷モード管理処理を行う。印刷モード管理処理は、装着されたインクカートリッジの種類に応じて行われる。具体的には、印刷モード管理部101は、付加ノズル列N2、N4、N6、N8にインクを供給する導入管S2、S4、S6、S8に装着されたインクカートリッジが基本インクを収容するか、あるいは付加インクを収容するかに応じて、色変換モジュール98と印刷データ生成モジュール100とに対して処理モードの切替を要求する。
【0055】
色変換モジュール98は、印刷モード管理部101からの要求に応じて、色変換に用いる色変換テーブルLUTを切り替える。色変換テーブルLUTには、8色印刷モード用の色変換テーブルと4色印刷モード用の色変換テーブルとを含んでいる。
【0056】
8色印刷モード用の色変換テーブルは、与えられた画像の画素の色と、4つの基本色インクと淡シアンインクと淡マゼンタインクと淡ブラックインクとダークイエロインクとを使用してこの画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた色変換テーブルである。4色印刷モード用の色変換テーブルは、与えられた画像の画素の色と、4つの基本色インクのみを使用してこの画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた色変換テーブルである。
【0057】
印刷データ生成モジュール100は、印刷モード管理部101からの要求に応じて、プリンタ20に出力するための最終処理のモードを切り替える。最終処理のモードには、8色印刷モード用の処理モードと4色印刷モード用の処理モードとが含まれている。
【0058】
8色印刷モードでは、同一のインクを吐出するノズルピッチK・Dで配列された48個のノズルを有する各ノズル列を用いて印刷が行われる。一方、4色印刷モードでは、同一のインクを吐出するノズルピッチK・D/2で配列された96個のノズルを有する4組のノズル列を用いて印刷が行われる。印刷データ生成モジュール100は、最終処理のモードの切り替えにより、8色印刷モードあるいは4色印刷モードに適した各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータとが生成可能である。
【0059】
このような処理が完了すると、コンピュータ90は、設定された新たな動作環境をMIB46に保存する。そして、印刷装置は、カートリッジ装着部29上のインクカートリッジ171の装着形態に対応した印刷処理を行うことが可能な状態となる。
【0060】
このように、本実施例では、カートリッジ装着部29に装着されたインクカートリッジの装着形態に応じて、印刷データの生成処理のモードが自動的に切り替わるので、インクカートリッジの装着形態と印刷データの生成処理のモードとの間の不整合を未然に防止することができる。
【0061】
C.本発明の第2実施例における印刷モード管理処理:
図10は、本発明の第2実施例における印刷処理のための準備手順を示すフローチャートである。図11は、本発明の第2実施例の8色印刷モード形態において一部のノズル列がインクの消耗によりインクの吐出ができなくなった状態を示す説明図である。この例では、淡シアンインクを吐出するノズル列N4がインクを吐出できない状態となっている。
【0062】
この準備手順は、第1実施例と同様に、カラープリンタ20の電源が「ON」にされると自動的に開始される(ステップS301)。ステップS302では、カラープリンタ20のCPU41は、インクエンドを検知する。インクエンドとは、インクカートリッジ内のインクが残り少なくなってきたことを示す用語である。インクエンドの検知は、たとえばメモリ181に格納されているインク残量を表すインク残量情報に基づいて行うことができる。インク残量情報は、たとえば各ページの印刷で行った各インクの吐出数を用いてインクの消費量を算出し、この消費量に応じて各ページの印刷の終了毎に更新されるように構成しても良い。
【0063】
ステップS303では、データ読み出し部53(図3)は、インクエンドとなった旨と、インクエンドとなったインクタンクを特定するための情報を含むインクエンド情報をコンピュータPCに送信する。コンピュータPCは、インクエンド情報に応じて、インクエンドとなったインクカートリッジに接続されているノズル列を特定する。
【0064】
ステップS304では、印刷モード管理部101は、インクエンド情報に応じて、特定のインクカートリッジ内のインクが残り少なくなってきたことを示すインクエンド警告画面(図12)を表示するとともに印刷の実行を停止する。この警告画面は、次ページの印刷の途中で淡シアンインクのインクが無くなる恐れがあるという情報と、これに対する以下の3つの選択肢とをユーザに提供する。
(1)淡シアンインクカートリッジを新しい物と差し替えてから印刷を再開する。
(2)淡シアンインクの代わりにシアンインクを使用して印刷を再開する。
(3)印刷を中止する。
【0065】
ユーザが第1の選択肢を選択した場合には、CPU41が淡シアンインクカートリッジの差し替えを検知するとともに、プリンタ20上の所定のボタン(図示せず)が押されると、印刷が再開される。
【0066】
ユーザが第2の選択肢を選択した場合には、印刷が直ちに再開される。ただし、色変換に用いる色変換テーブルLUTが切り替えられる。具体的には、シアンインクの階調値の算出には、4色印刷モード用の色変換テーブルが使用され、淡シアンとシアンを除く他の6色の階調値の算出には、8色印刷モード用の色変換テーブルが使用される。
【0067】
ユーザが第3の選択肢を選択した場合には、印刷は直ちに終了される。これは、たとえば淡シアンインクカートリッジの購入後に印刷を再開するときに選択される選択肢である。
【0068】
一方、4色印刷モード形態において、インクエンドが検知された場合には、以下のように処理される。図13は、本発明の第2実施例の4色印刷モード形態において一部のノズル列がインクの消耗によりインクの吐出ができなくなった状態を示す説明図である。
【0069】
この場合、たとえばノズル列N4にインクを供給しているシアンインクカートリッジがインクエンドとなった場合には、4つのノズル列N1、N3、N5、N7を用いて印刷を続行することができる。ただし、印刷速度はほぼ半分になる。
【0070】
このように、第2実施例では、一部のインクがインクエンドとなっても印刷を継続することができる選択肢をユーザに与えることができるという利点がある。本機能の利点は、後述する変形例で示されるようにインクカートリッジの数の増加に応じて顕著となる。インクカートリッジの数が増加すると、一部のインクカートリッジのみがインクエンドとなる可能性が高くなるからである。なお、CPU41が特許請求の範囲における「インク残量監視部」として機能している。
【0071】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0072】
D−1.上記各実施例では、図7に示されるように、第1実施例における8色印刷モードと4色印刷モードでは、同一色相のインクが隣接するノズル列から吐出されるようにインクが供給されているが、たとえば図14の第1変形例に示されるように、主走査方向に左右対称になるようにインクを供給するようにしても良い。
【0073】
また、上記各実施例では、ブラックインクや淡ブラックが使用されているが、ブラックインクや淡ブラックを使用しない構成としても良い。
【0074】
さらに、上記第1実施例では、ノズル列N3、N5、N7が特許請求の範囲における「3つの基本色カラーノズル列」に相当するが、たとえばノズル列N3とノズル列N4とを入れ替えて、ノズル列N4、N5、N7を3つの基本色カラーノズル列としても良い。この場合には、ノズル列N3、N6、N8が特許請求の範囲における「3つの付加カラーノズル列」に相当する。
【0075】
D−2.上記各実施例では、図5に示されるように、各ノズル列のノズルピッチがK・Dで千鳥に配列されるノズル列の数が各組2個なので、副走査方向にシフトする距離は、(k/2)×Dとなっているが、たとえば図15に示される印刷ヘッド28aのように、千鳥に配列されるノズル列の数が各組3個であっても良い。この場合には、副走査方向にシフトする距離は、それぞれ(k/3)×Dとなる。
【0076】
このような印刷ヘッドでは、4色印刷モードでは、互いに千鳥に配列された3個のノズル列を使用して1回の主走査で形成できる主走査線の数を3倍に増やすことができる。一方、12色印刷モードでは、各色相毎に彩度や明度が異なる3種類のインクが使用できるので、上述の各実施例よりもさらに階調表現を豊かにすることができる。
【0077】
D−3.上記各実施例では、カラーインクを吐出する各ノズル列に対して千鳥に配列された付加ノズル列を追加しているが、図16に示される印刷ヘッド28bように、ブラックインクを吐出するノズル列に対して、千鳥に配列された付加ノズル列を追加するようにしても良い。これらの付加ノズル列からブラックインクと明度が異なる無彩色インク、あるいはブラックインクを吐出することにより、それぞれ階調表現が豊かな高画質モノクロ印刷や高速モノクロ印刷が可能となる。
【0078】
ここで、無彩色インクとは、彩度がゼロのインクには限られず、たとえばセピアが入った灰色であっても良い。一般に、本発明で使用される無彩色インクとは、ブラックインクとともにモノクロ印刷に使用可能なインクを意味する。
【0079】
D−4.上記各実施例では、各ノズル列は、主走査方向に配列されているが、たとえば図17に示される印刷ヘッド28cのように副走査方向にも配列されていても良い。
【0080】
D−5.上記各実施例では、印刷ヘッド28とカートリッジ装着部29とが一体の印刷ヘッドユニット60として構成されているが、図18に示されるように、印刷ヘッド28dとカートリッジ装着部29aとを分離するような構成としても良い。なお、図18に示す例では、ダンパ681〜688がインク供給路に設けられている。ダンパ681〜688は、長いインク供給路で安定的にインクを供給するための一時貯蔵部である。
【0081】
D−6.上記各実施例では、有色のインクが使用されているが、たとえば無色の液剤(たとえば保護剤や耐光材)を利用可能な印刷装置にも本発明は適用できる。一般に、本発明は、複数種類のインクを吐出可能な印刷装置に適用可能である。また、本明細書では、インクの語は、有色の液剤のならず無色の液剤(たとえば保護剤や耐光材)をも含む広い概念である。
【0082】
D−7.上記各実施例では、接続切替の際のクリーニングはインクの吸引によって行われているが、たとえばクリーニング用印刷データをプリンタ20に送信して印刷ヘッドを駆動することにより行っても良い。一般に、本発明におけるクリーニングは、ノズルからインクを吐出するものであれば良い。
【0083】
D−8.上記各実施例では、各インク毎に独立したインクカートリッジを印刷ヘッドユニット60に装着できるように、印刷ヘッドユニットが構成されているが、複数のインクタンクを有するインクカートリッジが装着可能となるように構成されても良い。一般に、本発明で使用されるインクタンク装着部は、結果として複数種類のインクをそれぞれ収容するための複数のインクタンクが装着可能であれば良い。
【0084】
なお、この説明からも理解できるように、本明細書において、「インクタンク」とは、1種類のインクを収容するための容器を意味している。また、インクカートリッジとは、一体として形成され、少なくとも1つのインクタンクを有する容器を意味している。
【0085】
D−9.上記各実施例では、インクカートリッジ171に設けられたメモリ181と電気的接続を確立することによって、メモリ181からデータを取得しているが、たとえば電磁誘導を利用してデータを取得するようにしても良い。
【0086】
この発明は、ドラムプリンタにも適用できる。尚、ドラムプリンタでは、ドラム回転方向が主走査方向、キャリッジ走行方向が副走査方向となる。また、この発明は、インクジェットプリンタのみでなく、一般に、複数のノズル列を有する記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面に記録を行うドット記録装置に適用することができる。
【0087】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1に示したプリンタドライバ96の機能の一部または全部を、プリンタ20内の制御回路40が実行するようにすることもできる。この場合には、印刷データを作成する印刷制御装置としてのコンピュータ90の機能の一部または全部が、プリンタ20の制御回路40によって実現される。
【0088】
本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例として印刷システムの構成を示すブロック図。
【図2】プリンタの構成を示す説明図。
【図3】カラープリンタ20における制御回路40の構成を示すブロック図。
【図4】印刷ヘッドユニット60の斜視図。
【図5】印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図。
【図6】クリーニング機構200の構成を示す概念図。
【図7】本発明の第1実施例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図8】本発明の第1実施例における印刷処理の手順を示すフローチャート。
【図9】印刷ヘッドのクリーニングの許可をユーザに求めるための画面。
【図10】本発明の第2実施例における印刷処理のための準備手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の第2実施例の8色印刷モード形態において一部のノズル列がインクの消耗によりインクの吐出ができなくなった状態を示す説明図。
【図12】特定のインクカートリッジ内のインクが残り少なくなってきたことを示すインクエンド警告画面。
【図13】本発明の第2実施例の4色印刷モード形態において一部のノズル列がインクの消耗によりインクの吐出ができなくなった状態を示す説明図。
【図14】本発明の第1変形例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図15】本発明の第2変形例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図16】本発明の第3変形例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図17】本発明の第4変形例における2つの印刷モードにおいて各ノズル列から吐出されるインクの種類を示す説明図。
【図18】本発明の第5変形例におけるインク供給機構を示す説明図。
【符号の説明】
20…カラープリンタ
21…CRT
22…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印刷ヘッド
30…キャリッジ
31…紙送りモータ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置センサ
40…制御回路
41…CPU
44…RAM
46…MIB
50…I/F専用回路
52…ヘッド駆動回路
53…部
54…モータ駆動回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色変換モジュール
99…減色モジュール
100…印刷データ生成モジュール
101…印刷モード管理部
171…インクカートリッジ
181…メモリ
200…クリーニング機構
210…ヘッドキャップ
220…ホース
230…ポンプローラ
232,234…小ローラ
Claims (10)
- インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷部に供給すべき印刷データを生成する印刷制御装置であって、
前記印刷部は、
シアン、マゼンタ、イエロの3つの基本色カラーインクを収容する3つの基本色カラーインクタンクと、前記3つの基本色カラーインクと同一色相のインクを収容する3つの付加カラーインクタンクとを装着可能なカートリッジ装着部と、
前記3つの基本色カラーインクをそれぞれ吐出可能な3つの基本色カラーノズル列と、前記3つの基本色カラーノズル列の各々に対して千鳥に配列された3つの付加カラーノズル列とを有する印刷ヘッドと、
前記3つの基本色カラーインクタンクの各々から前記3つの基本色カラーノズル列の各々にインクを供給するとともに、前記3つの付加カラーインクタンクの各々から前記3つの付加カラーノズル列の各々にインクを供給するインク供給部と、
前記3つの付加カラーインクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す情報読み出し部と、
を備え、
前記印刷制御装置は、
前記メモリから読み出された情報に応じて、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクを収容する場合には、前記3つの付加カラーノズル列からも前記3つの基本色カラーインクを吐出する高速印刷モードを選択可能とし、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクのそれぞれと色相が同一で彩度が異なる3つのインクを収容する場合には、6色のインクを各ノズル列で吐出する高画質印刷モードを選択可能とする印刷モード管理部と、
前記高速印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクと前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う色変換部と、
前記高速印刷モードが選択された場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を千鳥に配列された2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質印刷モードが選択された場合には、前記6つのインクの各々を各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備えることを特徴とする、印刷制御装置。 - 請求項1記載の印刷制御装置であって、さらに、
前記各インクタンク内のインク残量を算出し、少なくとも一部のインクタンクについて前記算出されたインク残量が所定の値より小さくなると、前記一部のインクタンクを特定するための情報を含むインクエンド情報を、前記印刷モード管理部に送信するインク残量監視部を備え、
前記印刷モード管理部は、前記高画質印刷モードで印刷が実行されている場合において、前記一部のインクタンクが前記3つの付加カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記インクエンド情報に応じて、特定の処理モードで処理することを前記色変換部と前記印刷データ生成部とに要求することが可能であり、
前記色変換部は、前記特定の処理モードが要求されると、前記一部のインクタンクに収容されたインクと同一色相の基本インクについては、前記第1の色変換テーブルを用いて色変換を行ない、
前記印刷データ生成部は、前記特定の処理モードが要求されると、前記一部のインクタンクに接続された特定ノズル列の代わりに、前記特定ノズル列と同一色相の基本インクを吐出するノズル列を用いて印刷するための印刷データを生成する、印刷制御装置。 - 請求項1または2に記載の印刷制御装置であって、
前記各インクタンク内のインク残量を算出し、少なくとも一部のインクタンクについて前記算出されたインク残量が所定の値より小さくなると、前記一部のインクタンクを特定するための情報を含むインクエンド情報を、前記印刷モード管理部に送信するインク残量監視部を備え、
前記印刷モード管理部は、前記高速印刷モードで印刷が実行されている場合には、前記インクエンド情報に応じて、特定の処理モードで処理することを前記印刷データ生成部に要求することが可能であり、
前記印刷データ生成部は、前記特定の処理モードが要求されると、前記インクエンド情報に応じて、前記一部のインクタンクが前記3つの付加カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの基本色カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、前記一部のインクタンクが前記3つの基本カラーインクタンクのいずれかであるときには、前記3つの付加カラーノズル列を用いて印刷するための印刷データを、それぞれ生成する、印刷制御装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクは、シアンの基本色インクに比べて濃度が低い淡シアンインクと、マゼンタの基本色インクに比べて濃度が低い淡マゼンタインクと、イエロの基本色インクに比べて明度が低い暗イエロインクである、印刷制御装置。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記カートリッジ装着部は、さらにブラックインクを収容するブラックインクタンクと、無彩色のインクを収容する付加無彩色インクタンクとを装着可能であり、
前記印刷ヘッドは、さらに前記ブラックインクを吐出可能なブラックノズル列と、前記ブラックノズル列に対して千鳥に配列された付加無彩色ノズル列とを有し、
前記インク供給部は、さらに前記ブラックインクタンクから前記ブラックノズル列にインクを供給するとともに、前記付加無彩色インクタンクから前記付加無彩色ノズル列にインクを供給し、
前記情報読み出し部は、さらに前記付加無彩色インクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出し、
前記印刷モード管理部は、前記メモリから読み出された情報に応じて、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクを収容する場合には、前記付加無彩色ノズル列からも前記ブラックインクを吐出する高速白黒印刷モードを選択可能とし、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクと明度が異なるグレーインクを収容する場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを前記各ノズル列で吐出する高画質白黒印刷モードを選択可能とし、
前記色変換部は、前記高速白黒印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記ブラックインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第3の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質白黒印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記ブラックインクと前記グレーインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第4の色変換テーブルを用いて色変換を行い、
前記印刷データ生成部は、前記高速白黒印刷モードが選択された場合には、前記ブラックインクを千鳥に配列された2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質白黒印刷モードが選択された場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する、印刷制御装置。 - 請求項5記載の印刷制御装置であって、
前記グレーインクは、ブラックインクに比べて明度が高い淡ブラックインクである、印刷制御装置。 - インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷部に供給すべき印刷データを生成する印刷制御装置であって、
前記印刷部は、
ブラックインクを収容するブラックインクタンクと、無彩色のインクを収容する付加無彩色インクタンクとを装着可能なカートリッジ装着部と、
前記ブラックインクを吐出可能なブラックノズル列と、前記ブラックノズル列に対して千鳥に配列された付加無彩色ノズル列とを有する印刷ヘッドと、
前記ブラックインクタンクから前記ブラックノズル列にインクを供給するとともに、前記付加無彩色インクタンクから前記付加無彩色ノズル列にインクを供給するインク供給部と、
前記付加無彩色インクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す情報読み出し部と、
を備え、
前記印刷制御装置は、
前記メモリから読み出された情報に応じて、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクを収容する場合には、前記付加無彩色ノズル列からも前記ブラックインクを吐出する高速白黒印刷モードを選択可能とし、前記付加無彩色インクタンクが前記ブラックインクと明度が異なるグレーインクを収容する場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを前記各ノズル列で吐出する高画質白黒印刷モードを選択可能とする印刷モード管理部と、
前記高速白黒印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記ブラックインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質白黒印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記ブラックインクと前記グレーインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う色変換部と、
前記高速白黒印刷モードが選択された場合には、前記ブラックインクを2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質白黒印刷モードが選択された場合には、前記ブラックインクと前記グレーインクとを各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備えることを特徴とする、印刷制御装置。 - インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷装置であって、
シアン、マゼンタ、イエロの3つの基本色カラーインクを収容する3つの基本色カラーインクタンクと、前記3つの基本色カラーインクと同一色相のインクを収容する3つの付加カラーインクタンクとを装着可能なカートリッジ装着部と、
前記3つの基本色カラーインクをそれぞれ吐出可能な3つの基本色カラーノズル列と、前記3つの基本色カラーノズル列の各々に対して千鳥に配列された3つの付加カラーノズル列とを有する印刷ヘッドと、
前記3つの基本色カラーインクタンクの各々から前記3つの基本色カラーノズル列の各々にインクを供給するとともに、前記3つの付加カラーインクタンクの各々から前記3つの付加カラーノズル列の各々にインクを供給するインク供給部と、
前記3つの付加カラーインクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す情報読み出し部と、
前記メモリから読み出された情報に応じて、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクを収容する場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を前記3つの基本色カラーノズル列と前記3つの付加カラーノズル列とで吐出する高速印刷モードを選択可能とし、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクのそれぞれと彩度が異なる3つのインクを収容する場合には、6色のインクを各ノズル列で吐出する高画質印刷モードを選択可能とする印刷モード管理部と、
前記高速印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクと前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う色変換部と、
前記高速印刷モードが選択された場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質印刷モードが選択された場合には、前記6つのインクの各々を各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備えることを特徴とする、印刷装置。 - インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷方法であって、
(a)シアン、マゼンタ、イエロの3つの基本色カラーインクを収容する3つの基本色カラーインクタンクと、前記3つの基本色カラーインクと同一色相のインクを収容する3つの付加カラーインクタンクとを装着する工程と、
(b)前記3つの基本色カラーインクをそれぞれ吐出可能な3つの基本色カラーノズル列と、前記3つの基本色カラーノズル列の各々に対して千鳥に配列された3つの付加カラーノズル列とを有する印刷ヘッドを準備する工程と、
(c)前記3つの基本色カラーインクタンクの各々から前記3つの基本色カラーノズル列の各々にインクを供給するとともに、前記3つの付加カラーインクタンクの各々から前記3つの付加カラーノズル列の各々にインクを供給する工程と、
(d)前記3つの付加カラーインクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す工程と、
(e)前記メモリから読み出された情報に応じて、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクを収容する場合には、前記3つの付加カラーノズル列からも前記3つの基本色カラーインクを吐出する高速印刷モードを選択可能とし、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクのそれぞれと色相が同一で彩度が異なる3つのインクを収容する場合には、6色のインクを各ノズル列で吐出する高画質印刷モードを選択可能とする工程と、
(f)前記高速印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクと前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う工程と、
(g)前記高速印刷モードが選択された場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を千鳥に配列された2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質印刷モードが選択された場合には、前記6つのインクの各々を各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する工程と、
を備えることを特徴とする、印刷方法。 - インクを印刷媒体上に吐出することによって印刷を行う印刷部に供給すべき印刷データを生成するための処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記印刷部は、
シアン、マゼンタ、イエロの3つの基本色カラーインクを収容する3つの基本色カラーインクタンクと、前記3つの基本色カラーインクと同一色相のインクを収容する3つの付加カラーインクタンクとを装着可能なカートリッジ装着部と、
前記3つの基本色カラーインクをそれぞれ吐出可能な3つの基本色カラーノズル列と、前記3つの基本色カラーノズル列の各々に対して千鳥に配列された3つの付加カラーノズル列とを有する印刷ヘッドと、
前記3つの基本色カラーインクタンクの各々から前記3つの基本色カラーノズル列の各々にインクを供給するとともに、前記3つの付加カラーインクタンクの各々から前記3つの付加カラーノズル列の各々にインクを供給するインク供給部と、
前記3つの付加カラーインクタンクが備えるメモリに格納された情報を読み出す情報読み出し部と、
を備え、
前記コンピュータプログラムは、
前記メモリから読み出された情報に応じて、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクを収容する場合には、前記3つの付加カラーノズル列からも前記3つの基本色カラーインクを吐出する高速印刷モードを選択可能とし、前記3つの付加カラーインクタンクが前記3つの基本色カラーインクのそれぞれと色相が同一で彩度が異なる3つのインクを収容する場合には、6色のインクを各ノズル列で吐出する高画質印刷モードを選択可能とする機能と、
前記高速印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第1の色変換テーブルを用いて色変換を行い、一方、前記高画質印刷モードが選択された場合には、与えられた画像の画素の色と、前記3つの基本色インクと前記3つの付加カラーインクタンクが収容するインクを使用して前記画素の色を表現するための各色階調値の組合せと、を対応づけた第2の色変換テーブルを用いて色変換を行う機能と、
前記高速印刷モードが選択された場合には、前記3つの基本色カラーインクの各々を千鳥に配列された2つのノズル列で吐出するための印刷データを生成し、前記高画質印刷モードが選択された場合には、前記6つのインクの各々を各ノズル列で吐出するための印刷データを生成する機能と、
を前記コンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
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---|---|---|---|---|
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- 2002-10-15 JP JP2002299957A patent/JP2004130755A/ja active Pending
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