JP2004130629A - 発泡成形用の金型及び発泡成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外面の精度が良好な発泡成形品を高歩留りにて成形することができる発泡成形方法及びそのための金型を提供する。
【解決手段】金型1Aの下型3Aにあっては、その上端面にキャビティ4を周回する溝40が設けられている。この溝40にパッキン50が装着されている。パッキン係合部6kをパッキン突出部52に係合させた後、凹条61にこのパッキン係合部6k及びパッキン突出部52を呑み込ませるようにして押え板60を下型3Aの上端面に重ねる。空気室10内を排気してフィルム6をキャビティ面に密着させ、キャビティ4内にウレタン等の原料液を供給し、上型の型締め後、発泡させる。キュア終了後、上型を型開きし、空気室10内に空気を送り込み、フィルム6を押し上げて成形品を脱型する。
【選択図】 図1
【解決手段】金型1Aの下型3Aにあっては、その上端面にキャビティ4を周回する溝40が設けられている。この溝40にパッキン50が装着されている。パッキン係合部6kをパッキン突出部52に係合させた後、凹条61にこのパッキン係合部6k及びパッキン突出部52を呑み込ませるようにして押え板60を下型3Aの上端面に重ねる。空気室10内を排気してフィルム6をキャビティ面に密着させ、キャビティ4内にウレタン等の原料液を供給し、上型の型締め後、発泡させる。キュア終了後、上型を型開きし、空気室10内に空気を送り込み、フィルム6を押し上げて成形品を脱型する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタンフォーム等の発泡成形品を製造するための金型に係り、特に下型のキャビティ面に沿ってフィルムを配置すると共に、該キャビティ面とフィルムとの間に空気等の流体を給排させ得るよう構成された金型の改良に関する。また、本発明は、この金型を用いた発泡成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームを成形する場合、上型及び下型よりなる金型の該下型内にウレタン原料液を供給し、型締めして発泡させ、固化(キュア)後に型開きして脱型を行う。
【0003】
この脱型を効率良く行う方法として、特開平9−234748号公報には、下型のキャビティ面に沿ってフィルムを配置し、型開き後の脱型に際してはフィルムとキャビティ面との間に空気を供給してフィルムをキャビティ面から離反させ、フィルムによって成形品を下型外に押し出すようにした発泡成形方法が記載されている。
【0004】
第2図〜第3図は同号公報の方法及びそのための金型を示す断面図である。
【0005】
第2図の通り金型(モールド)は上型2と下型3とからなり、これら上下型2,3は分離可能に接合されるようになっている。上記下型3にはキャビティ4が設けられている。また、下型3には真空成形法により予めキャビティ4と相似乃至同一形状に成形されたポリプロピレン製フィルム6が設置されている。このフィルム6は下型3の上端面に固定ピン7により止められ、下型3の上端面に配設されたフィルムエアーシール用パッキン9と更にフィルム押え8で挟持されて下型に強固に固定されている。
【0006】
また、下型3の底部には、箱状の空気室10が設けられており、この空気室10には、圧力調整バルブ11を備えたエアー管12の一端が接続され、該エアー管12の他端は真空ポンプ等のエアー導入・吸引装置13と連結されている。この空気室10と下型キャビティ4とは複数のエアー連通孔(空気穴)14によって連通されている。
【0007】
このフィルム6は下型3を利用して真空成形されたものである。即ち、第3図(A)に示したように、ポリプロピレン製フィルム6の4辺をクランプ31でクランプし、このフィルム6の上下両側からヒーター32で180〜200℃、15〜20秒間程度加熱し、次に、第3図(B)に示したように、下型3上に上記加熱されたフィルム6を上述したように固定し、この状態で下型3に設けられた空気室10及び下型キャビティ4内をエアー導入・吸引装置13の作動により、所定の圧力に減圧することにより、図中矢印で示したようにフィルム6が均等に下型に押しつけられ、下型のキャビティ形状と相似形状に成形される。
【0008】
このモールド1を用いて硬質ポリウレタンフォームモールド成形品を製造する場合には、硬質ポリウレタンフォーム発泡原料をキャビティ4内の真空成形ポリプロピレンフィルム6上に所定量導入し、上型2を下型3に型締めする。第2図(A)の通り発泡・膨張させた後、上型を型開きし、第2図(B)に示したように、エアー導入・吸引装置13を作動させ、エアー管12、空気室10、及びエアー連通孔14を介して、フィルム6とキャビティ4との間隙15にエアーを吹き込み、成形品16をフィルム6と共に押し上げ、成形品16を取り出す。
【0009】
その後、エアー導入・吸引装置13によりエアーを吸引し、第2図(C)に示したようにフィルム6をキャビティ面に密着させ、次回の成形サイクルに移行する。
【0010】
【特許文献】
特開平9−234748号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記第2,3図のように固定ピン7とフィルム当接面(底面)が平坦なフィルム押え8とによってフィルム6の縁部を押えたフィルム押え構造にあっては、脱型時(第2図(B))にフィルム6に対しキャビティ側に向って引張力が加えられたときにフィルム6が僅かながらキャビティ4側に引き出されることがある。このようにフィルム6の縁部がキャビティ側に移動してしまうと、次回の成形時に空気室10内を排気してフィルム6をキャビティ面に密着させたときに、第4図の如く皺ないしは弛み状部分6aがフィルム6に生じ、この部分6aの形状が成形品外面に転写されるおそれがある。
【0012】
本発明は、このようなフィルム6に皺ないし弛み状部分が生じることを防止し、成形品の外面精度が良好な発泡成形品を成形することができる発泡成形用金型及びこの金型による発泡成形方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の発泡成形用の金型は、上型及び下型を有する発泡成形用の金型であって、該下型のキャビティ面を覆い、縁部が該下型の上端面にまで延在し、該縁部が下型の上端面とフィルム押え板との間に挟み込まれて保持されているフィルムと、該フィルムと下型のキャビティ面との間に流体を導入及び排出させる流体給排手段とを備えてなる発泡成形用の金型において、該フィルム押え板と下型の上端面との一方に、キャビティを周回する凸条を設けると共に、他方に、該凸条が係合する凹条を設け、前記フィルムの縁部を該凸条と凹条とで挟持したことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の発泡成形方法は、かかる本発明の発泡成形用の金型を用いた発泡成形方法であって、該下型内に原料を供給し、型締めした後、発泡させ、その後、上型を型開きし、フィルムと下型のキャビティ面との間に流体を供給してフィルムを押し上げ、成形品を脱型することを特徴とするものである。
【0015】
かかる本発明の金型を用いた発泡成形方法によると、フィルム縁部が強固に固定されているため、脱型時にキャビティ方向に引張力が加えられてもフィルム縁部がずれることがない。このため、外面の精度が良好な発泡成形品を高歩留りにて成形することができる。
【0016】
この凸条はゴム等のパッキンにて構成されることが好ましい。この場合、パッキンはフィルム押え板又は下型の上端面に設けられた溝にその一半側が嵌合し、その他半側が該フィルム押え板又は下型の上端面から突出していることが好ましい。
【0017】
本発明では、凸条とフィルムとの間にパッキンが介在されている構成としてもよい。この場合、パッキンはシート状であることが好ましい。また、パッキンは、該凸条の角縁及び角縁近傍領域とフィルムとの間にも介在されていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)は実施の形態に係る発泡成形用の金型の断面図、第1図(b)は第1図(a)のパッキン付近の拡大図である。なお、第1図では上型の図示は省略されている。
【0019】
この実施の形態に係る金型1Aの下型3Aにあっては、その上端面にキャビティ4を周回する溝40が設けられている。この溝40にパッキン50が装着されている。
【0020】
該パッキン50は、該溝40内に差し込まれた脚部51と、該溝40から突出した凸条よりなる突出部52とを有している。この突出部52は、溝40と同じくキャビティ4を周回している。
【0021】
該脚部51にはヒレ状の張出部53が設けられ、該張出部53が溝40の両側面に密着し、パッキン50の溝40からの抜け出しを防いでいる。なお、ヒレ状の張出部53は、脚部51の挿入方向に対して後退角を有するように該挿入方向に対して斜め後方に延在している。このため、脚部51は、溝40に対し挿入し易く、しかもきわめて抜けにくい構造となっている。なお、ヒレ状張出部53の数は図示のものに限定されず、例えば4個又はそれ以上であってもよい。
【0022】
このパッキン50は、突出部52の基端側にフランジ部54が設けられており、このフランジ部54が溝40の角縁の下型上端面に重なるように脚部51が溝40に差し込まれている。
【0023】
この下型3Aの上端面に押え板60が重ね合わされている。この押え板60の下面(底面)には、パッキン50の突出部52が入り込む凹条61が溝40と同じくキャビティ4を周回するように設けられている。
【0024】
この凹条61の形状は突出部52と略相似形であり、且つ該突出部52よりもフィルム6の厚み分だけ大きなものとなっている。
【0025】
なお、突出部52の上端側の角縁は例えば曲率半径が2mm以上、好ましくは3〜6mm程度の丸みを帯びている。凹条61の隅角部もこの丸みと同様の丸みを帯びている。(ただし、この隅角部は直角であってもよい。)また、凹条61の入口側の角縁も例えば曲率半径2mm以上、好ましくは3〜6mm程度の丸みを帯びている。
【0026】
フィルム6には、このパッキン突出部52の外形に倣った形状のパッキン係合部6kが予め真空成形による賦形操作等により形成されている。このパッキン係合部6kをパッキン突出部52に係合させた後、凹条61にこのパッキン係合部6k及びパッキン突出部52を呑み込ませるようにして押え板60を下型3Aの上端面に重ねる。そして、ボルト(図示略)等の固定手段によって押え板60を下型3Aに固定する。
【0027】
これにより、第1図(b)の通り、フィルム6の縁部6eは、この下型3Aの上端面と押え板60との間に挟持される。
【0028】
このフィルム6のパッキン係合部6kは、凸条よりなるパッキン突出部52と凹条61の内面との間にしっかりと挟み込まれる。このため、成形品の脱型時にフィルム6にキャビティ4側へ引張力が加えられても、フィルム6の縁部6eがキャビティ4側へずれることがなく、成形を多数サイクル行ってもフィルム6に皺ないし弛み状部分が生じることはない。これにより、外面の精度が良好な成形品を確実に成形することができる。
【0029】
なお、第1図の金型1Aのその他の構成は第2図の金型1と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0030】
この金型1Aを用いた成形品の成形手順は、第2図と全く同一である。
【0031】
即ち、空気室10内を排気してフィルム6をキャビティ面に密着させた第1図(a)の状態においてキャビティ4内にウレタン等の原料液を供給し、上型の型締め後、発泡させる。キュア終了後、上型を型開きし、空気室10内に空気を送り込み、前記第2図(B)の如くして成形品を脱型する。その後、空気室10内を排気して次サイクルの成形に移行する。
【0032】
上記実施の形態ではパッキン突出部52は平頂状となっているが、第5図のパッキン50Aのパッキン突出部52Aのように尖頭状とされてもよい。
【0033】
第6図は本発明の別の実施の形態を示す第1図(b)と同様部分の断面図である。
【0034】
この実施の形態では、下型3Bに凸条70が設けられ、この凸条70が押え板60の凹条61に係合するように構成されている。また、凹条61の内面に薄いシート状のパッキン71が貼着されている。
【0035】
凸条70にフィルム6のパッキン係合部6kを係合させた後、凹条61を凸条70に係合させるようにして押え板60を下型3Bの上端面に重ね合わせ、ボルト等によって固定する。
【0036】
この実施の形態によっても、フィルム6のパッキン係合部6kがパッキン71を介して凸条70と凹条61との間にしっかりと挟み付けられるので、脱型時にキャビティ方向にフィルム縁部6eに引張力が加えられても、フィルム縁部6eがキャビティ4側へずれ動くことがなく、精度の良好な成形品を高歩留りにて成形することができる。
【0037】
図示は省略するが、第6図の態様において、凹条61を図示よりも深くし、凹条61の底面(図では天井面)とパッキン71との間に間隙を形成し、このパッキン71と凹条61の底面との間にチューリップ型等の弾性パッキンを介在させてもよい。
【0038】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、上記実施の形態では押え板61に凹条を設け、下型に凸条を設けているが、逆に下型に凹条を設け、押え板に凸条を設けてもよい。空気室10には空気以外の流体が給排されてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、外面の精度が良好な発泡成形品を高歩留りにて成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図(a)は実施の形態に係る発泡成形用の金型を示す発泡成形用の金型の断面図、第1図(b)は第1図(a)のパッキン付近の拡大図である。
【図2】従来例を示す断面図である。
【図3】従来例を示す説明図である。
【図4】従来例を示す説明図である。
【図5】別の実施の形態に用いられるパッキンの断面図である。
【図6】さらに別の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1,1A 金型
3,3A,3B 下型
4 キャビティ
6 フィルム
6e フィルム縁部
6k パッキン係合部
10 空気室
50,50A パッキン
51 脚部
52 突出部(凸条)
60 押え板
61 凹条
70 凸条
71 パッキン
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタンフォーム等の発泡成形品を製造するための金型に係り、特に下型のキャビティ面に沿ってフィルムを配置すると共に、該キャビティ面とフィルムとの間に空気等の流体を給排させ得るよう構成された金型の改良に関する。また、本発明は、この金型を用いた発泡成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームを成形する場合、上型及び下型よりなる金型の該下型内にウレタン原料液を供給し、型締めして発泡させ、固化(キュア)後に型開きして脱型を行う。
【0003】
この脱型を効率良く行う方法として、特開平9−234748号公報には、下型のキャビティ面に沿ってフィルムを配置し、型開き後の脱型に際してはフィルムとキャビティ面との間に空気を供給してフィルムをキャビティ面から離反させ、フィルムによって成形品を下型外に押し出すようにした発泡成形方法が記載されている。
【0004】
第2図〜第3図は同号公報の方法及びそのための金型を示す断面図である。
【0005】
第2図の通り金型(モールド)は上型2と下型3とからなり、これら上下型2,3は分離可能に接合されるようになっている。上記下型3にはキャビティ4が設けられている。また、下型3には真空成形法により予めキャビティ4と相似乃至同一形状に成形されたポリプロピレン製フィルム6が設置されている。このフィルム6は下型3の上端面に固定ピン7により止められ、下型3の上端面に配設されたフィルムエアーシール用パッキン9と更にフィルム押え8で挟持されて下型に強固に固定されている。
【0006】
また、下型3の底部には、箱状の空気室10が設けられており、この空気室10には、圧力調整バルブ11を備えたエアー管12の一端が接続され、該エアー管12の他端は真空ポンプ等のエアー導入・吸引装置13と連結されている。この空気室10と下型キャビティ4とは複数のエアー連通孔(空気穴)14によって連通されている。
【0007】
このフィルム6は下型3を利用して真空成形されたものである。即ち、第3図(A)に示したように、ポリプロピレン製フィルム6の4辺をクランプ31でクランプし、このフィルム6の上下両側からヒーター32で180〜200℃、15〜20秒間程度加熱し、次に、第3図(B)に示したように、下型3上に上記加熱されたフィルム6を上述したように固定し、この状態で下型3に設けられた空気室10及び下型キャビティ4内をエアー導入・吸引装置13の作動により、所定の圧力に減圧することにより、図中矢印で示したようにフィルム6が均等に下型に押しつけられ、下型のキャビティ形状と相似形状に成形される。
【0008】
このモールド1を用いて硬質ポリウレタンフォームモールド成形品を製造する場合には、硬質ポリウレタンフォーム発泡原料をキャビティ4内の真空成形ポリプロピレンフィルム6上に所定量導入し、上型2を下型3に型締めする。第2図(A)の通り発泡・膨張させた後、上型を型開きし、第2図(B)に示したように、エアー導入・吸引装置13を作動させ、エアー管12、空気室10、及びエアー連通孔14を介して、フィルム6とキャビティ4との間隙15にエアーを吹き込み、成形品16をフィルム6と共に押し上げ、成形品16を取り出す。
【0009】
その後、エアー導入・吸引装置13によりエアーを吸引し、第2図(C)に示したようにフィルム6をキャビティ面に密着させ、次回の成形サイクルに移行する。
【0010】
【特許文献】
特開平9−234748号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記第2,3図のように固定ピン7とフィルム当接面(底面)が平坦なフィルム押え8とによってフィルム6の縁部を押えたフィルム押え構造にあっては、脱型時(第2図(B))にフィルム6に対しキャビティ側に向って引張力が加えられたときにフィルム6が僅かながらキャビティ4側に引き出されることがある。このようにフィルム6の縁部がキャビティ側に移動してしまうと、次回の成形時に空気室10内を排気してフィルム6をキャビティ面に密着させたときに、第4図の如く皺ないしは弛み状部分6aがフィルム6に生じ、この部分6aの形状が成形品外面に転写されるおそれがある。
【0012】
本発明は、このようなフィルム6に皺ないし弛み状部分が生じることを防止し、成形品の外面精度が良好な発泡成形品を成形することができる発泡成形用金型及びこの金型による発泡成形方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の発泡成形用の金型は、上型及び下型を有する発泡成形用の金型であって、該下型のキャビティ面を覆い、縁部が該下型の上端面にまで延在し、該縁部が下型の上端面とフィルム押え板との間に挟み込まれて保持されているフィルムと、該フィルムと下型のキャビティ面との間に流体を導入及び排出させる流体給排手段とを備えてなる発泡成形用の金型において、該フィルム押え板と下型の上端面との一方に、キャビティを周回する凸条を設けると共に、他方に、該凸条が係合する凹条を設け、前記フィルムの縁部を該凸条と凹条とで挟持したことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の発泡成形方法は、かかる本発明の発泡成形用の金型を用いた発泡成形方法であって、該下型内に原料を供給し、型締めした後、発泡させ、その後、上型を型開きし、フィルムと下型のキャビティ面との間に流体を供給してフィルムを押し上げ、成形品を脱型することを特徴とするものである。
【0015】
かかる本発明の金型を用いた発泡成形方法によると、フィルム縁部が強固に固定されているため、脱型時にキャビティ方向に引張力が加えられてもフィルム縁部がずれることがない。このため、外面の精度が良好な発泡成形品を高歩留りにて成形することができる。
【0016】
この凸条はゴム等のパッキンにて構成されることが好ましい。この場合、パッキンはフィルム押え板又は下型の上端面に設けられた溝にその一半側が嵌合し、その他半側が該フィルム押え板又は下型の上端面から突出していることが好ましい。
【0017】
本発明では、凸条とフィルムとの間にパッキンが介在されている構成としてもよい。この場合、パッキンはシート状であることが好ましい。また、パッキンは、該凸条の角縁及び角縁近傍領域とフィルムとの間にも介在されていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)は実施の形態に係る発泡成形用の金型の断面図、第1図(b)は第1図(a)のパッキン付近の拡大図である。なお、第1図では上型の図示は省略されている。
【0019】
この実施の形態に係る金型1Aの下型3Aにあっては、その上端面にキャビティ4を周回する溝40が設けられている。この溝40にパッキン50が装着されている。
【0020】
該パッキン50は、該溝40内に差し込まれた脚部51と、該溝40から突出した凸条よりなる突出部52とを有している。この突出部52は、溝40と同じくキャビティ4を周回している。
【0021】
該脚部51にはヒレ状の張出部53が設けられ、該張出部53が溝40の両側面に密着し、パッキン50の溝40からの抜け出しを防いでいる。なお、ヒレ状の張出部53は、脚部51の挿入方向に対して後退角を有するように該挿入方向に対して斜め後方に延在している。このため、脚部51は、溝40に対し挿入し易く、しかもきわめて抜けにくい構造となっている。なお、ヒレ状張出部53の数は図示のものに限定されず、例えば4個又はそれ以上であってもよい。
【0022】
このパッキン50は、突出部52の基端側にフランジ部54が設けられており、このフランジ部54が溝40の角縁の下型上端面に重なるように脚部51が溝40に差し込まれている。
【0023】
この下型3Aの上端面に押え板60が重ね合わされている。この押え板60の下面(底面)には、パッキン50の突出部52が入り込む凹条61が溝40と同じくキャビティ4を周回するように設けられている。
【0024】
この凹条61の形状は突出部52と略相似形であり、且つ該突出部52よりもフィルム6の厚み分だけ大きなものとなっている。
【0025】
なお、突出部52の上端側の角縁は例えば曲率半径が2mm以上、好ましくは3〜6mm程度の丸みを帯びている。凹条61の隅角部もこの丸みと同様の丸みを帯びている。(ただし、この隅角部は直角であってもよい。)また、凹条61の入口側の角縁も例えば曲率半径2mm以上、好ましくは3〜6mm程度の丸みを帯びている。
【0026】
フィルム6には、このパッキン突出部52の外形に倣った形状のパッキン係合部6kが予め真空成形による賦形操作等により形成されている。このパッキン係合部6kをパッキン突出部52に係合させた後、凹条61にこのパッキン係合部6k及びパッキン突出部52を呑み込ませるようにして押え板60を下型3Aの上端面に重ねる。そして、ボルト(図示略)等の固定手段によって押え板60を下型3Aに固定する。
【0027】
これにより、第1図(b)の通り、フィルム6の縁部6eは、この下型3Aの上端面と押え板60との間に挟持される。
【0028】
このフィルム6のパッキン係合部6kは、凸条よりなるパッキン突出部52と凹条61の内面との間にしっかりと挟み込まれる。このため、成形品の脱型時にフィルム6にキャビティ4側へ引張力が加えられても、フィルム6の縁部6eがキャビティ4側へずれることがなく、成形を多数サイクル行ってもフィルム6に皺ないし弛み状部分が生じることはない。これにより、外面の精度が良好な成形品を確実に成形することができる。
【0029】
なお、第1図の金型1Aのその他の構成は第2図の金型1と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0030】
この金型1Aを用いた成形品の成形手順は、第2図と全く同一である。
【0031】
即ち、空気室10内を排気してフィルム6をキャビティ面に密着させた第1図(a)の状態においてキャビティ4内にウレタン等の原料液を供給し、上型の型締め後、発泡させる。キュア終了後、上型を型開きし、空気室10内に空気を送り込み、前記第2図(B)の如くして成形品を脱型する。その後、空気室10内を排気して次サイクルの成形に移行する。
【0032】
上記実施の形態ではパッキン突出部52は平頂状となっているが、第5図のパッキン50Aのパッキン突出部52Aのように尖頭状とされてもよい。
【0033】
第6図は本発明の別の実施の形態を示す第1図(b)と同様部分の断面図である。
【0034】
この実施の形態では、下型3Bに凸条70が設けられ、この凸条70が押え板60の凹条61に係合するように構成されている。また、凹条61の内面に薄いシート状のパッキン71が貼着されている。
【0035】
凸条70にフィルム6のパッキン係合部6kを係合させた後、凹条61を凸条70に係合させるようにして押え板60を下型3Bの上端面に重ね合わせ、ボルト等によって固定する。
【0036】
この実施の形態によっても、フィルム6のパッキン係合部6kがパッキン71を介して凸条70と凹条61との間にしっかりと挟み付けられるので、脱型時にキャビティ方向にフィルム縁部6eに引張力が加えられても、フィルム縁部6eがキャビティ4側へずれ動くことがなく、精度の良好な成形品を高歩留りにて成形することができる。
【0037】
図示は省略するが、第6図の態様において、凹条61を図示よりも深くし、凹条61の底面(図では天井面)とパッキン71との間に間隙を形成し、このパッキン71と凹条61の底面との間にチューリップ型等の弾性パッキンを介在させてもよい。
【0038】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、上記実施の形態では押え板61に凹条を設け、下型に凸条を設けているが、逆に下型に凹条を設け、押え板に凸条を設けてもよい。空気室10には空気以外の流体が給排されてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、外面の精度が良好な発泡成形品を高歩留りにて成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図(a)は実施の形態に係る発泡成形用の金型を示す発泡成形用の金型の断面図、第1図(b)は第1図(a)のパッキン付近の拡大図である。
【図2】従来例を示す断面図である。
【図3】従来例を示す説明図である。
【図4】従来例を示す説明図である。
【図5】別の実施の形態に用いられるパッキンの断面図である。
【図6】さらに別の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1,1A 金型
3,3A,3B 下型
4 キャビティ
6 フィルム
6e フィルム縁部
6k パッキン係合部
10 空気室
50,50A パッキン
51 脚部
52 突出部(凸条)
60 押え板
61 凹条
70 凸条
71 パッキン
Claims (8)
- 上型及び下型を有する発泡成形用の金型であって、
該下型のキャビティ面を覆い、縁部が該下型の上端面にまで延在し、該縁部が下型の該上端面とフィルム押え板との間に挟み込まれて保持されているフィルムと、
該フィルムと下型のキャビティ面との間に流体を導入及び排出させる流体給排手段と
を備えてなる発泡成形用の金型において、
該フィルム押え板と下型の上端面との一方に、キャビティを周回する凸条を設けると共に、他方に、該凸条が係合する凹条を設け、
前記フィルムの縁部を該凸条と凹条とで挟持したことを特徴とする発泡成形用の金型。 - 請求項1において、該凸条はパッキンよりなることを特徴とする発泡成形用の金型。
- 請求項2において、該パッキンは、フィルム押え板又は下型の上端面に設けられた溝にその一半側が嵌合し、その他半側が該フィルム押え板又は下型の上端面から突出していることを特徴とする発泡成形用の金型。
- 請求項1において、前記凸条とフィルムとの間にパッキンが介在されていることを特徴とする発泡成形用の金型。
- 請求項4において、パッキンは、該凸条の角縁及び角縁近傍領域とフィルムとの間にも介在されていることを特徴とする発泡成形用の金型。
- 請求項4又は5において、該パッキンはシート状であることを特徴とする発泡成形用の金型。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、該フィルムの縁部には、該凸条に倣った形状の凸条係合部が賦形されていることを特徴とする発泡成形用の金型。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発泡成形用の金型を用いた発泡成形方法であって、
該下型内に原料を供給し、
型締めした後、発泡させ、
その後、上型を型開きし、フィルムと下型のキャビティ面との間に流体を供給してフィルムを押し上げ、成形品を脱型することを特徴とする発泡成形方法。
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-
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- 2002-10-09 JP JP2002296370A patent/JP2004130629A/ja active Pending
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