JP2004130209A - 球状清掃具 - Google Patents

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Abstract

【課題】清掃具が管路に十分密着して精密な清掃が可能な清掃具を提供することである。
【解決手段】分割型複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維から選ばれた少なくとも1種により構成される単繊維繊度が5.0dtex以下であり、繊維長が0.5〜10mmである接着性捲縮ステープル繊維を80質量%以上含み、構成繊維が絡合と融着により網状構造を形成した長径が0.5〜30mmの球状清掃具であって、棒状柄部の先端に前記球状清掃具を直列に融着するか、または樹脂により固定した管路洗浄用具である。
【選択図】図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光コネクタに付着した汚れを清掃するための球状清掃具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバー相互間の接続において、接続と切り離しを容易に行うために用いられている光コネクタにおいて、フェルールの側面や割スリーブの内面にミクロンオーダーの油汚れやゴミが付着した場合では、突き合わせるフェルール同士の光軸のずれが生じ、この軸ずれにより接続損失が増大する。また、光が伝わる光ファイバーの部分に同様の汚れが付着すると光が伝わらなくなることもある。このため、光コネクタを使用する場合には接続作業の前にフェルール端面や割スリーブの内面を清浄にする必要があるが、従来は、芯棒の周囲に弾性体を設け、この弾性体を極細繊維で織られた筒状の布または編紐により覆い、これを折り曲げたりねじったりした清掃具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、布または編紐に挿入された極細繊維は組織的に拘束されているため、糸としての自由度が極めて低いことと、さらに弾性体の変形と布または編紐の変形とは実質的に異なるため、実際には被清掃物の形状にフィットすることも出来ず、細部の清掃には対応できないといった欠点があった。
【0003】
また、0.5dtex以下の合成繊維フィラメント糸を収束させて円筒状あるいは円柱状の把持部の先端に埋設した筆状の清掃具が提案されているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、このような清掃具は光ファイバーとフェルールの先端しか清掃することが出来ず、割スリーブの内面は清掃することができないという欠点があった。
一方、清掃布を使用せずに支持用芯棒の先端にウレタンゴム等の弾性体だけを付着させ、清掃布の厚み分だけを細くした清掃具の提案もあるが、弾性体の良さは形状にフィットする利点はあるが、清掃布を設けていないため、精密な清掃が出来ないといった欠点があった。
【0004】
【特許文献1】
実開平3−117208号公報
【特許文献2】
特開平9−031743号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、精密な清掃を施さなければ十分な性能が発揮されない光コネクタのような細い管路を清掃するための新規な構造を有する洗浄具を提供することにある。
より詳細には、清掃具が管路に十分密着して精密な清掃が可能な清掃具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、単繊維繊度が5.0dtex以下であり、繊維長が0.5〜10mmである接着性捲縮ステープル繊維を80質量%以上含む球状清掃具であって、該球状清掃具を構成する繊維は絡合と融着により網状構造を形成していることを特徴とする球状清掃具であり、好ましくは該接着性捲縮ステープル繊維が分割型複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維から選ばれた少なくとも1種により構成される上記の球状清掃具であり、より好ましくは該接着性捲縮ステープル繊維が、繊維表面の少なくとも一部にエチレン−ビニルアルコール系共重合体が存在する繊維である上記の球状清掃具であり、さらに好ましくは該球状清掃具の長径が0.5〜30mmである上記の球状清掃具である。
また本発明は、棒状柄部の先端に上記の球状清掃具を直列に融着するか、または樹脂により固定した管路洗浄用具に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の球状清掃具に使用する接着性捲縮ステープル繊維とは、乾熱処理下においては110〜190℃で自己接着または他の繊維に接着するポリマー成分を含有する繊維であり、また湿熱無緊張処理下においては約95〜100℃の熱水で軟化して、自己接着または他の繊維に接着するポリマー成分を含有する繊維である。この様なポリマーの一例として、好適にはエチレンビニルアルコール系共重合体を挙げることができる。エチレンビニルアルコール系共重合体としては、ポリビニルアルコールにエチレン残基が10〜60モル%共重合されたものが好ましく、特にエチレン残基が30〜50モル%共重合されたものが湿熱接着性の点で好ましい。またビニルアルコール部分は95モル%以上の鹸化度を持つものが好ましい。エチレン残基が多いことにより、湿熱接着性を有するが熱水には溶解性にくいという、特異な性質を有する。重合度は特に限定されないが、400〜1500程度が好ましい。
また、他のポリマーの例としては、アクリルアミドを1成分とする共重合体、ポリ乳酸、共重合ポリアミド、変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0008】
本発明の接着性捲縮ステープル繊維は、上記の共重合体単独からなる繊維でもよいし、他の熱可塑性重合体との複合繊維や、他の熱可塑性重合体からなる繊維に該共重合体をコートした繊維でもよい。他の熱可塑性重合体としては耐熱性、寸法安定性等の点で融点がエチレンビニルアルコール系共重合体より高いものが好ましく、例えば150℃以上の結晶性熱可塑性重合体が好ましく、具体的にはポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等を挙げることができる。
ポリエステルとしてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2、6−ジカルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4,4’−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオールからなる繊維形成性のポリエステルを挙げることができ、構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることが好ましい。
【0009】
ポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン12を主成分とする脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドを挙げることができ、少量の第3成分を含有するポリアミドでもよい。
【0010】
本発明の接着性捲縮ステープル繊維は、より好ましくはエチレンビニルアルコール系共重合体と他の熱可塑性重合体からなる複合繊維であり、繊維表面に少なくとも一部にエチレンビニルアルコール系共重合体が存在する繊維である。エチレンビニルアルコール系共重合体と他の熱可塑性重合体からなる複合繊維において、複合比は前者:後者(質量比)=10:90〜90:10、特に30:70〜70:30であることが、紡糸性の点で好ましい。また、複合形態は従来公知の複合形態であれば特に限定はなく、芯鞘型、偏芯芯鞘型、多層貼合型、サイドバイサイド型、ランダム複合型、放射状貼合型等を挙げることができる。これらの繊維の断面形状は、中実断面形状である丸断面や異型断面形状に限らず、中空断面形状等、種々の断面形状とすることができる。
【0011】
そして、上記接着性捲縮繊維の単繊維繊度は5.0dtex以下であることが必要である。5.0dtexを上回ると繊維が柔らか過ぎるために固体の汚染物を掻き取ることができなくなる。好ましい単繊維繊度は0.05〜0.5dtexである。また、下記に記す方法により球状体を得るためには単繊維の繊維長は0.5〜10.0mmである必要がある。繊維長が0.5mmを下回ると後述する造粒操作により本発明の球状繊維構造体の前駆体である造粒体は得られるが、繊維間の接着性が乏しくなり清掃操作において毛羽の脱落が生じる。また、繊維長が10.0mmを上回ると球状構造が得られなくなってしまう。好ましくは1.0〜3.0mmの範囲である。
【0012】
また、本発明に使用するステープル繊維には捲縮が必要である。捲縮のないストレートなものは以下で説明する造粒操作において繊維間での絡合が生じないか、または繊維間での絡合が極めて起こり難い。即ち、造粒を乾式または湿式条件下で実施する場合には捲縮を有することが不可欠である。
ここで、捲縮を有するとは、実質的に繊維がストレートではないことを指すものであって、本発明の球状清掃具から取り出された構成繊維には必ず湾曲した部分を有することであって、使用する繊維のカット前の状態として波状捲縮、立体コイル捲縮、ランダムな捲縮から選ばれた繊維束であったことを意味するものである。また、捲縮が存在することにより得られる球状清掃具の表面に存在する繊維が高い自由度を与えることと、適度に弾力性を付与するものである。
【0013】
次に、球状清掃具中における接着性捲縮ステープル繊維の含有量は80質量%以上であることが必要である。接着性捲縮ステープル繊維の含有量が80質量%を下回ると接着されない繊維が発生して、清掃操作中に表面の繊維が多数脱落するといった問題が生じる。好ましくは90質量%以上であるが、脱落した繊維が品質・性能に影響を及ぼす場合には100質量%使用することが好ましい。
【0014】
また本発明の球状清掃具を構成する繊維は絡合と融着により網状構造を形成していることが重要である。このような構造を形成することにより、通常の綿棒のように毛羽が脱落することを防ぐことができる。
【0015】
次に本発明の球状清掃具を製造するための方法の一例について説明する。
本発明の球状繊維構造体の前駆体である造粒体を得るための造粒装置は円筒状容器の底面上に回転円盤を備え、また該円筒状容器の側面に固定した整流棒を備えた転動造粒装置を使用することが好ましい。
造粒は原料ステープル繊維の所定量を回転円盤上に投入し、繊維重量に対して水10〜100質量%をスプレーを用いて噴霧した後、回転円盤を60〜400rpmの回転速度で回転し、原料ステープル繊維を回転円盤上を回転とともに移動させるが、遠心力により原料ステープル繊維は円筒容器内壁に集まり、転動しないが、整流棒が備わっているために、原料ステープル繊維は整流棒との衝突により、接線方向への転動が生じ、大小さまざまなサイズに造粒されていく。
【0016】
上記操作において、適宜水を適当量噴霧して造粒を行ない、球状清掃具の前駆体を得る。この時点で所定の粒径サイズに分級しても良い。得られた該前駆体は沸騰水中に投入して接着性捲縮ステープル繊維の接着性成分が融着するに必要な時間処理した後、取り上げて冷水中で形状を固定化させて本発明の繊維製球状清掃具を得る。
尚、使用した原料ステープル繊維が海島型複合繊維である場合には海成分が適度に抽出されるまで沸騰水中で処理することが必要であるが、完全に抽出除去する必要はない。
この時点で、要求される粒径サイズに分級することも出来る。
【0017】
本発明により得られる球状清掃具を棒状柄部の先端に直列に融着するか、または樹脂により固定することによって綿棒状の清掃具が得られるが、綿棒のように繊維が清掃操作で脱落することはない。
以下、本発明を図を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の球状清掃具について分割型複合繊維からなる場合の一例を示した表面電顕写真を示したものであり、図2は本発明の球状清掃具について芯鞘型複合繊維と海島型複合繊維との混合体の一例を示した表面電顕写真である。
清掃具の表面は断面が扁平となる分割型複合繊維1の接着性成分による融着部2を多数形成すると同時に高次に絡合した状態を示す。また、芯鞘型複合繊維3と海島型複合繊維4とを混合した本発明の清掃具の表面においては芯鞘型複合繊維3と海成分未抽出の海島型複合繊維4とが融着した融着部5と芯鞘型複合繊維3相互による融着部6とが存在し、また、海成分抽出後に形成された極細部分がみられる。
【0018】
図3は芯鞘型複合繊維からなる本発明の清掃具の一例を示した断面電顕写真である。芯鞘型複合繊維3相互が高度に絡合と融着している状態がみられる。
図4は本発明の清掃具の一例を示した外観写真である。
単繊維が複雑に絡み合いながら綿玉状に絡合して、表面に自由度の高い毛羽が多数存在している。しかしながら、構成繊維は必ず構成繊維間で接着性成分の融着により接着しているため、通常の綿棒のように毛羽が脱落することはなく、また、成形後にバインダー樹脂または接着剤を噴霧するといった操作を施す必要はない。
【0019】
図5は本発明に使用できる接着性捲縮ステープル繊維の横断面模式図の一例を示す。図5(a)は芯鞘型複合繊維の一例を示し、図5(b)は分割型複合繊維の一例を示し、、図5(c)は海島型複合繊維の一例を示したものである。
特に分割型複合繊維における分割後の断面は扁平形状を有するため、特に清掃時の払拭性に優れる。また、芯鞘型複合繊維は鞘成分を接着性成分により被覆されているために接着性が高い。一方、海島型複合繊維においては海成分を抽出除去した後の島成分の単繊維繊度が極めて小さくなるため、払拭性が高くなる。
したがって、本発明においては分割型複合繊維または海島型複合繊維を単独で使用するよりも芯鞘型複合繊維との混合体として用いることが好ましい。
尚、いずれの複合繊維においても接着性成分はエチレンビニルアルコール共重合体であるため、接着性については良好である。
図6は本発明の球状清掃具を棒状柄部の先端に直列に樹脂により固定した管路洗浄用具の模式図である。棒状柄部7と球状清掃部8とが連結している状態を示す。
【0020】
本発明の球状清掃具は従来の織編物単独または弾性体に被覆して使用することなく、球状清掃具自体が変形しやすい形状であるために、被清掃体の形状にも十分にフィットして精密な清掃が可能となる。また、構成繊維が接着性捲縮ステープルであるために、繊維の脱落がないという特徴も有している。さらに本発明の清掃具は球状体であると同時に網状構造を有するために被清掃体の形状にフィットするため高い清掃効果を発揮することができる。
球状体の粒径も造粒条件と分級により管状構造を有する被清掃体に適合できるものである。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定される物ではない。
なお、本発明における捲縮伸長率、毛羽脱落性および汚れ除去性は下記の方法により求められたものを示す。
【0022】
(1)捲縮伸長率
カセ取機で5500dtexのカセとなるまで糸条を巻き取った後、カセの下端中央に10gの荷重を吊るし、上部でこのカセを固定し、0.009cN/dtexの荷重が掛かった状態で90℃にて30分間熱水処理を行った。ついで、無荷重状態で室温に放置して乾燥した後、再び10gの荷重をかけて5分間放置後の糸長を測定し、これをL1(mm)とした。次に1kgの荷重を掛け、30秒間放置後の糸長を測定し、これをL2(mm)とするとき、下記式により算出した。
捲縮伸長率(%)={(L2−L1)/L2}×100
(2)毛羽脱落試験
長径が3±0.2mmに分級された試料20粒を100ccのガラス容器に入れて1分間振とうさせた後、蒸留水を50cc加えて表面に浮き上がった単繊維の状態を下記の基準により目視判定する。判定に際しては黒い厚紙の上にガラス容器を置いて判定する。
A:水面に単繊維が浮かんでいない。
B:水面に僅か単繊維が浮かんでいる。
C:水面に多量の単繊維が浮かんでいる。
(3)払拭試験A法
内径が3mmで長さが0.5mの透明チューブに食用油〔日清オイリオグループ(株)製「日清キャノーラ油」〕に0.01質量%分散させたカーボンブラック(粒径0.03〜0.2μm)を10ml注入して内壁を黒く汚染させる。
次に、3〜3.2mmの球状清掃具をチューブの片端に詰め、注射器〔ニプロ(株)製「ニプロシリンジ10mL」〕でもう片側の一端吸引する。試料が吸引されると同時に壁面のカーボンブラックの汚染が拭き取られる状態を目視により判定する。
払拭試験B法
食用油〔日清オイリオグループ(株)製「日清キャノーラ油」〕に0.01質量%分散させたカーボンブラック(粒径0.03〜0.2μm)で黒く汚染させた内径が1mmで長さが3mmの透明チューブをアクリル樹脂板に垂直に立てて把持した状態で、長径が1.0〜1.2mmの球状清掃具を直径が0.2mmの針の先端に樹脂で固定させた球状清掃具を用いて回転操作と往復動操作によりチューブ内壁とアクリル樹脂板に付着した汚染物の払拭性を目視により判定する。
【0023】
実施例1
微粒子シリカを3質量%含有したポリエチレンテレフタレート[フェノール/テトラクロロエタン等質量混合溶媒中、30℃で測定した固有粘度=0.68]を芯成分とし、鞘成分として、エチレン含有量40モル%、MI=10のエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いて紡糸温度260℃で紡糸し、図5(a)で示した芯鞘型複合繊維を得た。(芯/鞘比率=50/50、167dtex/48フィラメント)
この繊維を用いて仮撚数2350T/M、1段ヒーター温度120℃、2段ヒーター温度135℃により仮撚加工を施して、捲縮率が17%の仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸を110万dtexのトウに集束して繊維長を1mmとしてカットし、単繊維繊度3.3dtexの芯鞘型複合ステープル繊維を得た。
得られた芯鞘型複合ステープル繊維を前記造粒装置に100g投入し、その直後に蒸留水を繊維質量に対して10質量%噴霧し、次いで100rpmで5分間回転させて、さらに前記と同量の水を噴霧して1分間回転させて繊維製球状物を得た。これを篩で分級して、本発明の球状清掃具となる前駆体を得た。
次に、上記前駆体を沸騰水中に投入して1分後に取り出して乾燥させて本発明の直径が3.0±0.2mmと1.0±0.2mmの球状清掃具を得た。
【0024】
実施例2
A成分ポリマーとしてケン化度が99%でエチレン含有量が44モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVALと略記)で、85%含水フェノールを用いて30℃で測定した固有粘度が1.05dl/gのチップを用いた。B成分ポリマーとしては、イソフタル酸を8モル%共重合したポリエチレンテレフタレート系ポリマー(以下PETと略記)でフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒を用いて30℃で測定した固有粘度が0.64のチップを用いた。A成分とB成分との複合比率を3:7とし、その横断面は図5(b)で示されるようなEVALが5層、PETが6層の多層複合繊維となるように複合ポリマーを紡糸温度265℃、紡糸速度1000m/分の紡糸条件下で巻取り、得られた紡糸原糸を通常のローラーブレート方式の延伸機により70℃の熱ローラー及び120℃の熱プレートに接触させて延伸して80dtex/24fの複合フィラメントを得た。
この延伸糸を用いてスピンドル仮撚方式により仮撚数3000T/M、1段ヒーター温度130℃、オーバーフィード率0.5%により仮撚加工を実施してA成分繊維とB成分繊維とが部分的に分割剥離せしめた捲縮伸長率が11%の仮撚加工糸を得た。
得られた仮撚加工糸を110万dtexのトウに集束した後、繊維長を1mmに設定して部分分割複合捲縮ステープル繊維を得た。
これを実施例1と同様に、造粒装置に100g投入し、その直後に蒸留水を繊維質量に対して20質量%噴霧し、次いで100rpmで7分間回転させて、さらに前記と同量の水を噴霧して1分間回転させて繊維製球状物を得た。これを篩で分級して、本発明の球状清掃具となる前駆体を得た。
次に、上記前駆体を沸騰水中に投入して1分後に取り出して乾燥させて本発明の直径が3.0±0.2mmと1.0±0.2mmの球状清掃具を得た。
【0025】
実施例3
実施例1および実施例2で得られた仮撚加工された複合繊維を引き揃えて110万dtexのトウに収束した後、繊維長を1mmに設定して混繊された複合捲縮ステープル繊維を得た。
これを実施例1と同様に、造粒装置に100g投入し、その直後に蒸留水を繊維質量に対して20質量%噴霧し、次いで100rpmで7分間回転させて、さらに前記と同量の水を噴霧して1分間回転させて繊維製球状物を得た。これを篩で分級して、本発明の球状清掃具となる前駆体を得た。
次に、上記前駆体を沸騰水中に投入して1分後に取り出して乾燥させて本発明の直径が3.0±0.2mmと1.0±0.2mmの球状清掃具を得た。
【0026】
比較例1
実施例1の芯鞘型複合フィラメントの製造方法により、170dtex/24fの芯鞘複合フィラメントを得、これを仮撚数2410T/M、1段ヒーター温度120℃、2段ヒーター温度130℃により仮撚加工を実施して捲縮伸長率が14%の仮撚加工糸を得た。
さらに、得られた仮撚加工糸を110万dtexのトウに集束した後、繊維長を1mmに設定して単繊維繊度が7.2dtexの芯鞘型複合捲縮ステープル繊維を得た。
これを実施例1と同様に、造粒装置に100g投入し、その直後に蒸留水を繊維重量に対して10質量%噴霧し、次いで100rpmで5分間回転させて、さらに前記と同量の水を噴霧して1分間回転させて繊維製球状物を得た。これを篩で分級して、本発明の球状清掃具となる前駆体を得た。
次に、上記前駆体を沸騰水中に投入して1分後に取り出して乾燥させて本発明の直径が3.0±0.2mmと1.0±0.2mmの球状清掃具を得た。
【0027】
比較例2
実施例1により得られた芯鞘型複合捲縮ステープル繊維の繊維長を0.3mmに設定した以外は全く同様にして造粒プロセスを通して、直径が3.0±0.2mmと1.0±0.2mmの球状清掃具を得た。
【0028】
比較例3
実施例1により得られた芯鞘型複合捲縮ステープル繊維の繊維長を12.0mmに設定した以外は全く同様にして造粒操作を行ったが、造粒できなかった。
【0029】
比較例4
実施例1により得られた芯鞘型複合糸の仮撚加工糸と165dtex/48fのレギュラーポリエステル仮撚加工糸とを1:1で引き揃えて110万dtexのトウに集束して繊維長を1.0mmに設定して芯鞘型複合捲縮ステープル繊維を50%とレギュラーポリエステル捲縮ステープル繊維を50%含む混合原綿を得た。
これを、実施例1と同様の造粒プロセスを通して直径が3.0±0.2mmと1.0±0.2mmの球状清掃具を得た。
上記で得られた球状清掃具について毛羽脱落試験と払拭試験A法およびB法について性能評価を実施した。
【0030】
実施例1、2、3および比較例1については毛羽脱落もなく全てAの判定であった。一方、比較例2においては僅かではあるが毛羽の脱落が見られ、比較例4については毛羽の脱落が多く見られた。
次の払拭試験A法においては実施例2および3が極めて良好な払拭性を示し、実施例1は良好な払拭性を示した。実施例1においては1回目の試験に続いて2回目の洗浄操作を実施すると実施例2および3のレベルまで清掃可能であった。
一方、比較例1、2および4においては1回目の払拭操作では全く清掃されず、比較例2では2回目で清掃できたが、チューブ内に僅かな毛羽が残った。比較例1および4では繰り返し払拭操作を行っても殆ど清掃できなかった。
次に払拭試験B法により性能を評価した結果、実施例については全てチューブ内壁とアクリル製樹脂板の汚れを除去することができたが、比較例においては時間を掛けても除去することができなかった。
【0031】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、細い管路の内壁に付着した汚れを精密に清掃することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分割型複合繊維を用いた本発明の球状洗浄具の表面電顕写真。
【図2】芯鞘型複合繊維と海島型複合繊維とを混繊した本発明の球状洗浄具の表面電顕写真。
【図3】芯鞘型複合繊維からなる本発明の球状洗浄具の断面電顕写真。
【図4】本発明の清掃具の一例を示した外観写真。
【図5】本発明に使用できる複合繊維の横断面模式図。
(a)芯鞘型複合繊維の横断面
(b)分割型複合繊維の横断面
(c)海島型複合繊維の横断面
【図6】球状清掃具を棒状柄具に固定化した本発明の清掃具の一例を示す模式図。
【符号の説明】
1:分割型複合繊維
2:融着部
3:芯鞘複合繊維
4:海島型複合繊維
5:海島複合繊維と芯鞘複合繊維との融着部
6:芯鞘複合繊維相互の融着部
7:棒状柄部
8:球状洗浄部

Claims (5)

  1. 単繊維繊度が5.0dtex以下であり、繊維長が0.5〜10mmである接着性捲縮ステープル繊維を80質量%以上含む球状清掃具であって、該球状清掃具を構成する繊維は絡合と融着により網状構造を形成していることを特徴とする球状清掃具。
  2. 該接着性捲縮ステープル繊維が分割型複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維から選ばれた少なくとも1種により構成される請求項1に記載の球状清掃具。
  3. 該接着性捲縮ステープル繊維が、繊維表面の少なくとも一部にエチレン−ビニルアルコール系共重合体が存在する繊維である請求項1または2に記載の球状清掃具。
  4. 該球状清掃具の長径が0.5〜30mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状清掃具。
  5. 棒状柄部の先端に請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状清掃具を直列に融着するか、または樹脂により固定した管路洗浄用具。
JP2002296948A 2002-10-10 2002-10-10 球状清掃具 Withdrawn JP2004130209A (ja)

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