JP2004128242A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スルーホール電極を有する高周波特性に優れた大容量で生産性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】多孔質化された弁金属箔1の表面に誘電体被膜2を形成する工程と、固体電解質層3を形成する工程と、集電体層4を形成する工程と、レジスト膜10を形成する工程と、弁金属箔1にスルーホール9を形成する工程と、スルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面を化学処理する工程と、スルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面に絶縁層5を形成する工程と、レジスト膜10を剥離する工程と、スルーホール9内に集電体層4と電気的に接続されるスルーホール電極6を形成する製造方法である。
【選択図】 図4
【解決手段】多孔質化された弁金属箔1の表面に誘電体被膜2を形成する工程と、固体電解質層3を形成する工程と、集電体層4を形成する工程と、レジスト膜10を形成する工程と、弁金属箔1にスルーホール9を形成する工程と、スルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面を化学処理する工程と、スルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面に絶縁層5を形成する工程と、レジスト膜10を剥離する工程と、スルーホール9内に集電体層4と電気的に接続されるスルーホール電極6を形成する製造方法である。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体電解コンデンサの製造方法に関するものであり、さらに言えば等価直列抵抗(以下ESRと記す)および等価直列インダクタンス(以下ESLと記す)を低減し、かつ、半導体部品に直接接続可能な固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高周波特性に優れた大容量の固体電解コンデンサが求められてきている。
【0003】
この要望を満足する固体電解コンデンサの構造は、第一の接続端子と第二の接続端子を同一面上に配置することにより半導体部品と直接接続でき、かつ、スルーホール電極により効率的に電荷を運ぶことができるようにすることにより、更なる低ESR化、低ESL化を実現し、高周波特性のより優れたものとしている。
【0004】
この固体電解コンデンサの製造方法としては、スルーホール形成方法としてパンチング加工法、ドリル加工法、レーザー加工法を用い、絶縁層の形成方法として電着法を用いることが提案されている。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−307955号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パンチング加工など機械的手段によりスルーホールを形成した場合においては、ばり、異物の付着、油脂などの汚れなどが発生し、レーザー加工法などでスルーホールを形成した場合においては、溶融物のばり、酸化被膜の付着が発生するためにスルーホールの内壁及びその周辺の表面状態が不均一となる。
【0008】
その結果、スルーホールの内壁に絶縁層を形成するときには絶縁不良、スルーホールの目詰まりといった内容の不良が生じていた。そして、このようなスルーホールの内壁への絶縁層の形成不良及びスルーホールの目詰まりはスルーホールの孔径が小さくなるほど顕著になる。
【0009】
本発明は上記課題を解決し、スルーホールを形成した後スルーホールの内壁およびその周辺に化学的もしくは電気化学的処理による清浄を行って表面状態を均一化することにより、絶縁層の形成工程で生じる不良を低減し、スルーホール電極を有する固体電解コンデンサの歩留まりを向上することのできる固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記集電体層上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、スルーホールの内壁およびその周辺の表面状態を均一化することで絶縁層の形成工程で生じる不良を低減し、スルーホール電極を有する固体電解コンデンサの歩留まりを向上することができる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項1の作用に加えて、レジスト膜を形成する工程からレジスト膜を剥離する工程までが誘電体被膜、固体電解質層、集電体層に影響を及ぼすことがないので信頼性の高い固体電解コンデンサの製造方法を提供することができ、さらに集電体層とスルーホール電極を連続して形成することができるので工程の簡略化を図ることができる。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項1の作用に加えて、レジスト膜を形成する工程からレジスト膜を剥離する工程までが集電体層に影響を及ぼすことがなく信頼性の高い固体電解コンデンサを提供することができ、さらに、固体電解質層を形成してからスルーホールを形成するため、固体電解質がスルーホール内に形成されてESRが増大したり、他面の電極とショートするといった不良を防止することができるとともに、誘電体層を形成する工程でかけられる高温処理が絶縁層に影響を及ぼすことがないので、絶縁の信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項1の作用に加えて、レジスト膜を形成する工程からレジスト膜を剥離する工程までが固体電解質層、集電体層に影響を及ぼすことがなく信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができ、また、誘電体層を形成する工程でかけられる高温処理が、絶縁層に影響を及ぼすことがなく絶縁の信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に未硬化の絶縁層を形成する工程と、前記未硬化の絶縁層を仮硬化する工程と、レジスト膜を剥離する工程と、前記仮硬化した絶縁層を本硬化する工程と、誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、絶縁層の本硬化工程によりレジスト膜に加えられる熱量を抑えられることで、レジスト膜の剥離が容易になるために容量低下の少ない固体電解コンデンサを製造することができる。
【0015】
本発明の請求項6に記載の発明は、化学処理する工程が酸によるエッチング処理からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、絶縁性に優れた固体電解コンデンサを製造することができる。
【0016】
本発明の請求項7に記載の発明は、化学処理する工程が酸によるエッチング処理と界面活性剤による脱脂処理からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、より絶縁性に優れた固体電解コンデンサを製造することができる。
【0017】
本発明の請求項8に記載の発明は、スルーホールの内壁および弁金属箔の他面を化学処理する工程が電解研磨法からなる請求項6または7に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、スルーホールの形成により生じた凸部を効率的に除去する効果を有し、これによりスルーホール内および弁金属箔の他面に形成する絶縁層の絶縁の信頼性を向上することができる。
【0018】
本発明の請求項9に記載の発明は、絶縁層がレジストを剥離する工程に耐性を有する樹脂からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、レジストを剥離する工程に用いられる剥離剤により著しい劣化が起こらない樹脂を用いることにより、スルーホール内および弁金属箔の他面に形成する絶縁層の絶縁の信頼性を向上することができる。
【0019】
本発明の請求項10に記載の発明は、絶縁層がエポキシ系樹脂またはポリイミド系樹脂からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項9の作用に加えて、絶縁性、耐溶剤性、耐熱性、弁金属箔との密着性に優れているため、製造工程において弁金属箔の表面を有機溶剤、酸、アルカリから保護するだけでなく固体電解コンデンサを外部環境から保護する効果も有するとともに電極間の絶縁性に優れた固体電解コンデンサを提供することができる。
【0020】
本発明の請求項11に記載の発明は、絶縁層を形成する工程が電着法である請求項1〜4のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、化学処理により均一化された弁金属箔の表面に容易かつ精度よく絶縁層を形成することができるため、電極間の絶縁性に優れた固体電解コンデンサを提供することができる。
【0021】
本発明の請求項12に記載の発明は、未硬化の絶縁層を形成する工程が電着法である請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項11と同じ作用を有する。
【0022】
本発明の請求項13に記載の発明は、レジスト膜が多孔質化された弁金属箔の表面のピット内に充填される液状のレジスト樹脂から形成される請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、スルーホールの形成工程後行われる化学処理から多孔質部および酸化被膜を保護することができるため、固体電解コンデンサの容量を低下させることを防ぐとともに漏れ電流の発生を防ぐことができる。
【0023】
本発明の請求項14に記載の発明は、レジスト膜が溶解剥離するレジスト樹脂からなる請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、多孔質化された弁金属箔の表面のピット内に充填したレジストを速やかに剥離することができるため、レジストがピット内に残留することによる固体電解コンデンサの容量低下を防ぐことができる。
【0024】
本発明の請求項15に記載の発明は、レジスト膜がノボラック系樹脂またはアクリル系樹脂からなる請求項13または14に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項13または14の作用に加えて、スルーホールを形成する工程後行われる化学処理に耐性を有する上記樹脂を用いることで、多孔質部および酸化被膜を保護する信頼性を向上することができ、また、上記樹脂は有機溶剤または弱アルカリにより溶解剥離することができるため、レジスト膜の剥離により露出した誘電体被膜を破壊することなくレジスト膜の剥離を行うことができ、固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0025】
本発明の請求項16に記載の発明は、レジスト膜を形成する工程が少なくともレジスト樹脂を2回以上塗布して形成する請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、多孔質化された弁金属箔の表面のピット内にレジストを十分に充填させることができるため、スルーホールの形成工程後行われる化学処理から多孔質部および酸化被膜を保護することができ、固体電解コンデンサの容量を低下させることを防ぐとともに漏れ電流の発生を防ぐことができる。
【0026】
本発明の請求項17に記載の発明は、レジスト膜を剥離する工程で使用する剥離剤が、アルコール系有機溶剤またはケトン系有機溶剤、もしくはpH=2〜13までの弱酸、弱アルカリからなる請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、レジスト膜の剥離により露出した誘電体被膜を破壊することなくレジスト膜の剥離を行うことができるために固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0027】
本発明の請求項18に記載の発明は、未硬化の絶縁層を仮硬化させる工程が少なくとも異なる温度で2回以上行う請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、絶縁層を形成した樹脂の溶媒を除去する工程と、レジスト膜を剥離する工程に対して耐性を向上する工程とを分けることにより、絶縁層の絶縁の信頼性を向上させることで固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0028】
本発明の請求項19に記載の発明は、仮硬化の絶縁層を本硬化させる工程が少なくとも異なる温度で2回以上行う請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、絶縁層を形成した樹脂の溶媒を除去する工程と、絶縁層を完全に硬化させる工程とを分けることにより、絶縁層の絶縁の信頼性を向上させることで固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の固体電解コンデンサの製造方法について実施の形態および図面を用いて説明する。
【0030】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1および図1〜4により請求項1、請求項6〜11に記載の発明を説明する。
【0031】
図1は本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの斜視図であり、図2はその断面図、図3は要部の拡大断面図、また図4は本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの製造方法を説明するための断面図である。
【0032】
図2及び図3において、1は片面が多孔質化された弁金属箔であり、この弁金属箔1の多孔質化された表面上に誘電体被膜2を形成している。さらにこの誘電体被膜2の表面には固体電解質層3が形成され、弁金属箔1とともに固体電解コンデンサとして機能する。この弁金属箔1の多孔質化は単位面積当たりの誘電体被膜2の表面積を拡大することによって、固体電解コンデンサの静電容量を大容量化させるために行っている。
【0033】
更に、前記固体電解質層3の表面には外部への電極取出しを容易にするため集電体層4が設けられており、さらにこの集電体層4はスルーホール電極6を介して接続バンプ7と電気的に接続している。このスルーホール電極6はスルーホールの内部に導電体を充填することによって形成され、弁金属箔1とは絶縁層5によって電気的に絶縁されている。
【0034】
また、接続端子8は陽極電極として弁金属箔1と直接接続されており、この接続端子8は接続バンプ7と接続されている。そして外装11を形成することにより、固体電解コンデンサを実現することができる。
【0035】
上記のように接続バンプ7を弁金属箔1の同一面上に配置する構成とすることにより、固体電解コンデンサ上に直接、半導体部品または他の電子部品を接続することができる。
【0036】
これにより、半導体部品及び他の電子部品間と固体電解コンデンサ間の配線を大幅に短縮することができるためにESRやESLの低減が可能となる。さらに図1および図2で示すように、電極の端子が交互に配列するように形成させた接続バンプ7の配置構成とすることによって、電流の流れが交互に反対方向になるために磁界が打ち消しあってESLが低減できるという効果が得られる。
【0037】
次に図4(a)〜図4(i)を用いて本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの製造工程を説明する。
【0038】
初めに図4(a)に示すように、弁金属箔1であるアルミニウム箔を電解液中で交流電流を印加して電解エッチングすることにより、片面を多孔質化した弁金属箔1を形成する(片面多孔質化工程)。このときの弁金属箔1は生産性、コストの観点からアルミニウム箔が好ましいが、タンタル、ニオブなどの弁金属であればこれに限定するものではない。また、多孔質化の方法も直流エッチングなど他の方法でもよい。
【0039】
次に図4(b)に示すように、この多孔質化した弁金属箔1の片面を化成液中で陽極酸化することにより、誘電体被膜2を形成する(誘電体被膜形成工程)。
【0040】
その後、図4(c)に示すように、この誘電体被膜2の上に固体電解質層3を形成する(固体電解質層形成工程)。この固体電解質層3の形成方法はポリピロールやポリチオフェンなどのパイ電子共役高分子またはそれ以外の導電性高分子を用いて化学重合や電解重合によって、固体電解質層3を形成することができる。また、この固体電解質層3は化学重合でプレコートした後電解重合してもよいし、導電性高分子の粉末の懸濁液を塗布・乾燥した後電解重合してもよいし、硝酸マンガンを含浸させてから熱分解して二酸化マンガンを形成した後導電性高分子を電解重合してもよい。
【0041】
次に、図4(d)に示すように、前記固体電解質層3の上に集電体層4を形成する(集電体層形成工程)。この集電体層4はカーボン微粒子の懸濁液および銀ペーストなどの導電性接着剤を用いて、カーボン層と銀ペースト層の積層構造を前記固体電解質層3の上に集電体層4として形成することにより、効率的に電荷を引き出すことが可能である。
【0042】
また、電気めっき法や無電解めっき法を用いて固体電解質層3に直接銀や銅などの金属膜を形成することにより、より低いESR特性の固体電解コンデンサを作製することができる。
【0043】
その後、図4(e)に示すように、レジスト膜10を弁金属箔1の片面に形成した集電体層4の上に形成する(レジスト膜形成工程)。このレジスト膜10の形成方法としては、フォトレジスト材料を用いて、浸漬、スピンコート、スクリーン印刷、フィルム接着法、スプレー法などを用いることが挙げられ、いずれも容易かつ生産性高くレジスト膜10を形成することができる。
【0044】
次に、図4(f)に示すように、上記のように構成された弁金属箔1の所定の位置にスルーホール9を形成する(スルーホール形成工程)。このスルーホール9はレーザー加工法、パンチング加工法、ドリル加工法などを用いることにより、スルーホール9を所定の位置に高精度に形成することができる。
【0045】
しかしながらこのとき、特にスルーホール9をレーザー加工法により形成した場合、スルーホール9の内壁および周辺の弁金属箔1に熱酸化層が形成される。
【0046】
さらに、溶融物である加工くずなどがスルーホール9の内部に残存することがある。
【0047】
また、パンチング加工法またはドリル加工法などを用いて形成した場合にはバリが発生したり、加工くず、油脂などが残存することがある。
【0048】
上記課題を解決するために、次にスルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面を化学処理する(化学処理工程)。この化学処理工程として、酸によりスルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面をエッチング処理することで、レーザー加工法により生じた熱酸化層および溶融物、パンチング加工法またはドリル加工法により生じたバリ、加工くず、油脂などを完全に除去することができる。この化学処理に用いる酸としてはリン酸、硝酸、酢酸のいずれか一つを含む酸溶液を用いると効果的であった。特にアルミニウムからなる弁金属箔1に対してはリン酸が最も良い結果を得ることができた。
【0049】
さらに、酸による化学処理工程はスルーホール9のエッジの面とり効果もあり、絶縁層5を形成するときに絶縁性を高めることができる。またスルーホール9の内部の加工くずは化学処理するときに超音波を発生させることによって、さらに効率良く加工くずを除去することができる。そして、油脂はアルカリ、有機溶剤、界面活性剤を用いて洗浄することで除去することができる。特に酸によるエッチング処理と界面活性剤による脱脂処理を含む化学処理工程が最も有効な処理方法である。これらの化学処理を入れることにより、後の工程で形成される絶縁層5の絶縁の信頼性を向上させることができる。
【0050】
また、電解研磨を用いることでスルーホール9のエッジ部の面とり効率をより向上させることができる。
【0051】
次に、図4(g)に示すように、スルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面に絶縁層5を形成する。この絶縁層5を形成する方法として電着法を用いることにより、導電体であるスルーホール9の内壁と弁金属箔1の他面の表面のみに選択的に絶縁層5として被覆することができる。この絶縁層5は電着法によって絶縁体を被覆後、熱硬化させることで緻密な絶縁膜となる。
【0052】
この絶縁層5の形成に用いる絶縁体材料としてエポキシ系樹脂またはポリイミド系樹脂を用いることにより、後のレジスト膜10を剥離する工程で用いられる剥離剤により著しい劣化を起こすことなく、絶縁の信頼性の高い絶縁層5を形成することができる。
【0053】
その後、図4(h)に示すように、集電体層4の上に形成したレジスト膜10を剥離剤へ浸漬することによって剥離する(レジスト膜剥離工程)。
【0054】
次に、図4(i)に示すように、スルーホール9の内部に集電体層4と電気的に接続したスルーホール電極6と弁金属箔1の他面側に接続端子8を形成する。スルーホール電極6と接続端子8を形成する方法として導電性ペーストを充填し、硬化する方法を用いることができる。この方法ではスルーホール9内への充填および硬化が容易でスルーホール電極6と接続端子8を容易に形成することができる。また、電気めっきや無電解めっきを用いてスルーホール電極6と接続端子8を形成することもできる。この場合、より低ESRの固体電解コンデンサを作製することができる。
【0055】
その後、スルーホール電極6と接続端子8の上に接続バンプ7を形成することによって図1及び図2に示す固体電解コンデンサを作製することができる。
【0056】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2および図5により請求項2に記載の発明を説明する。
【0057】
図5(a)〜図5(i)は実施の形態2における固体電解コンデンサの製造工程を示す断面図である。
【0058】
初めに図5(a)に示すように、弁金属箔1であるアルミニウム箔の片面にレジスト膜10を形成する(レジスト膜形成工程)。このレジスト膜10を形成する方法は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0059】
次のスルーホール形成工程からスルーホール電極形成工程までは実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0060】
上記の製造方法においては、本実施の形態2において実施の形態1と異なるところは、レジスト膜形成工程(図5(a)からレジスト膜剥離工程(図5(d)))までが誘電体被膜2、固体電解質層3および集電体層4を形成する前に行うということである。
【0061】
そのためスルーホール形成工程(図5(b))での応力、絶縁層形成工程(図5(c))での熱ストレス、レジスト膜剥離工程(図5(d))での剥離剤の影響などが誘電体被膜2、固体電解質層3及び集電体層4に対して、割れ、はがれ、溶解などの悪影響を及ぼさないようにすることにより、ショートの発生や漏れ電流の増大を抑えた信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0062】
さらに、固体電解質層3の上に導電性ペーストを塗布することにより集電体層4とスルーホール電極6を連続して形成することができるので工程の簡略化を図ることができる。
【0063】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3および図6により請求項3に記載の発明を説明する。
【0064】
図6(a)〜図6(i)は実施の形態3における固体電解コンデンサの製造工程を示す断面図である。
【0065】
弁金属箔1であるアルミニウム箔の片面をエッチングにより多孔質化する工程(図6(a))から固体電解質層形成工程(図6(c))は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0066】
次に図6(d)に示すように、レジスト膜10を固体電解質層3の上に形成する(レジスト膜形成工程)。その後、スルーホール形成工程(図6(e))からレジスト膜剥離工程(図6(g))までの工程は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0067】
その後、集電体層形成工程(図6(h))の次に、スルーホール電極形成工程(図6(i))を経て固体電解コンデンサを製造することができる。
【0068】
この製造方法において、実施の形態1と異なっているところはレジスト膜形成工程(図6(d))からレジスト膜剥離工程(図6(g))までが集電体層形成工程(図6(h))の前に行われることである。
【0069】
このような製造工程とすることによって、スルーホール電極形成工程での応力、絶縁層形成工程での熱ストレス、レジスト剥離工程での剥離剤などの悪影響が集電体層4に対して、割れ、はがれ、溶解などの被害を及ぼすことがなくなり、ショートの発生や漏れ電流の増大を抑えた信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0070】
さらに、固体電解質層3の上に導電性ペーストを塗布することにより集電体層4とスルーホール電極6を連続して形成することができるので、工程の簡略化を図ることができるとともに、ESRが増大したり、他面の電極と接触してショートするといった不良を防止することができる。
【0071】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4および図7により請求項4、13〜17に記載の発明を説明する。
【0072】
図7(a)〜図7(i)は実施の形態4における固体電解コンデンサの製造工程を示す断面図である。
【0073】
まず図7に示すように、弁金属箔1であるアルミニウム箔の片面をエッチングにより多孔質化する工程(図7(a))から誘電体被膜2を形成する工程(図7(b))は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0074】
次に、図7(c)に示すようにレジスト膜10を誘電体被膜2の上に形成する(レジスト膜形成工程)。このレジスト膜10には多孔質化された弁金属箔1の表面のピット内に充填することのできるアクリル系かノボラック系の液状レジスト樹脂を用いることが好ましい。このようなレジスト膜10を形成することによって、化学処理する工程で用いられる酸が誘電体被膜2を溶解して固体電解コンデンサのショート不良や漏れ電流を増大させたり、弁金属箔1の多孔質部の表面積が溶解によって減少することによって固体電解コンデンサの容量が低下するといった不良の発生を防止する信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0075】
また、上記レジスト樹脂が剥離時に溶解剥離する樹脂を用いることで、膨潤剥離するタイプのものより多孔質化された弁金属箔1の表面のピット内に充填された部分を速やかに剥離することができるためにレジスト樹脂がピット内に残留することによる固体電解コンデンサの容量低下を防ぐことができる。
【0076】
さらに、上記レジスト樹脂が有機溶剤またはpH2〜13の弱酸、弱アルカリにより剥離する樹脂を用いることにより、誘電体被膜2を破壊することなくレジスト膜10の剥離を行うことができたために固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0077】
このレジスト樹脂を塗布する方法としては、浸漬法、スピンコート法、スプレー法を用いることができる。さらに上記の方法を2回以上行うことで、多孔質化された弁金属箔1の表面のピット内にレジスト樹脂を十分に充填させることができるために、スルーホール形成工程の後に行われる化学処理工程から、多孔質のピット形状および誘電体被膜2を保護することができることから、固体電解コンデンサの容量を低下させることを防ぐとともに漏れ電流の発生を防ぐことができる。
【0078】
前記レジスト膜形成工程の後にスルーホール形成工程(図7(d))から絶縁層形成工程(図7(e))は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0079】
次に、図7(f)に示すように、レジスト膜剥離工程を行う。このとき、レジスト樹脂であるノボラック系またはアクリル系の樹脂に対して、剥離剤としてケトン系またはアルコール系の有機溶剤、pH2〜13の弱酸、弱アルカリを用いることで誘電体被膜2を溶解することなくレジスト膜10の剥離を行うことができる。このような方法でレジスト膜10を剥離することによって、ショートの発生や漏れ電流の増大を抑えた固体電解コンデンサを製造することができる。
【0080】
その後、実施の形態1と同様の条件で固体電解質層形成工程(図7(g))、集電体層形成工程(図7(h))、スルーホール電極形成工程(図7(i))を経ることによって固体電解コンデンサを製造することができる。
【0081】
上記の製造方法において、レジスト膜形成工程(図7(c))からレジスト膜剥離工程(図7(f))までが固体電解質層3および集電体層4を形成する工程の前に行われることになる。そのため、スルーホール形成工程での応力、絶縁層形成工程での熱ストレス、レジスト膜剥離工程での剥離剤などが固体電解質層3および集電体層4に対して、割れ、はがれ、溶解などの被害を及ぼすことがなく、ショートの発生や漏れ電流の増大を抑えた信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0082】
さらに、固体電解質層3の上に導電性ペーストを塗布することにより集電体層4とスルーホール電極6を連続して形成することができるので工程の簡略化も図ることができる。
【0083】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5および図8により請求項5、12、18、19に記載の発明を説明する。
【0084】
弁金属箔1の片面をエッチングにより多孔質化する工程(片面多孔質化工程)から化学処理する工程(化学処理工程)までは実施の形態4と同様の工法で形成することができる。
【0085】
次に、スルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面に電着法により絶縁体材料で被覆し(未硬化絶縁層形成工程)、この絶縁体材料を仮硬化させる(未硬化絶縁層仮硬化工程)。この仮硬化とは絶縁体を被覆した段階で含まれる溶媒や溶剤を除去するために行われる熱処理を示している。このとき同時にレジスト膜10を形成する樹脂の重合も進んでいる。このために次の工程で行われるレジスト膜剥離工程において、レジスト膜10を剥離する前に過剰な熱量をレジスト膜10に加えるとレジスト樹脂の重合が進みすぎて、剥離剤によって剥離することが困難となってくる。
【0086】
そこで、仮硬化条件をレジスト膜10は剥離可能であるが未硬化絶縁層はレジスト膜10を剥離する剥離剤に対して耐性を有する条件とすることが好ましい。この未硬化絶縁層仮硬化工程の後、未硬化絶縁層本硬化工程を行う前にレジスト膜剥離工程を導入することでレジスト膜10の剥離が容易になる。
【0087】
また、未硬化絶縁層仮硬化工程を異なる温度で少なくとも2回以上行い、未硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒を除去する工程と、レジスト膜10を剥離する工程に対して耐性を向上させる工程とを使い分けることができる。例えばエポキシ樹脂と溶媒がIPAとブチルセロソルブの混合溶媒を用いた場合には、溶媒を除去する温度としては100℃で10分間処理し、その後耐性を持たせるために120℃15分間処理することによって上記の目的を達成することができる。
【0088】
このように未硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒の沸点と、レジスト膜10を剥離する工程に対して耐性を向上させる仮硬化温度に差がある場合、いきなり後者の温度で仮硬化させると未硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒が突沸を起こし、本硬化によって形成される絶縁層5も膜質に欠陥を生じることがある。
【0089】
これを回避するために未硬化絶縁層を仮硬化させる工程を異なる温度で2回以上行うことで、絶縁層5の絶縁の信頼性を向上させ、固体電解コンデンサのショートの発生、漏れ電流の増大を抑えることができる。
【0090】
また、硬化温度をより高い温度に上げる場合、一度低温へ下げてもよいし、連続的に高温へ上げてもよい。
【0091】
次に、実施の形態1と同じ条件にてレジスト膜剥離工程を経て、仮硬化絶縁層を本硬化させる(仮硬化絶縁層本硬化工程)。この本硬化とは絶縁体に耐溶剤性、耐熱性、耐絶縁性などの耐性を有するように、仮硬化よりも高温で行われる熱処理を示している。
【0092】
このとき、仮硬化絶縁層を本硬化させる工程を異なる温度で少なくとも2回以上行い、仮硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒を完全に除去する工程と、仮硬化絶縁層を完全に本硬化させる工程とを分けることができる。
【0093】
特に、前記レジスト膜10を剥離する工程の前に行われる未硬化絶縁層仮硬化条件では未硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒を完全に除去しきれていない場合がある。その場合、本硬化させる工程を異なる温度で少なくとも2回以上行うことで、樹脂の溶媒の突沸を完全に回避し、絶縁層5の絶縁の信頼性を向上させることで固体電解コンデンサのショートの発生、漏れ電流の増大を抑えることができる。
【0094】
上記の製造方法とすることで、レジスト膜10の剥離が容易になり、レジスト膜10を形成する樹脂が多孔質のピット内に残存することで固体電解コンデンサの容量を低下させるといった不良を低減することができる。
【0095】
【発明の効果】
上記の通り本発明は、低ESR化、低ESLを実現し、高周波特性の優れた固体電解コンデンサの信頼性の向上を実現することのできる製造方法を提供することができるものであり、その工業的価値は大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの斜視図
【図2】同断面図
【図3】同要部の拡大断面図
【図4】同製造工程を説明するための断面図
【図5】本発明の実施の形態2における製造工程を説明するための断面図
【図6】本発明の実施の形態3における製造工程を説明するための断面図
【図7】本発明の実施の形態4における製造工程を説明するための断面図
【図8】本発明の実施の形態5における製造工程図
【符号の説明】
1 弁金属箔
2 誘電体被膜
3 固体電解質層
4 集電体層
5 絶縁層
6 スルーホール電極
7 接続バンプ
8 接続端子
9 スルーホール
10 レジスト膜
11 外装
【発明の属する技術分野】
本発明は固体電解コンデンサの製造方法に関するものであり、さらに言えば等価直列抵抗(以下ESRと記す)および等価直列インダクタンス(以下ESLと記す)を低減し、かつ、半導体部品に直接接続可能な固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高周波特性に優れた大容量の固体電解コンデンサが求められてきている。
【0003】
この要望を満足する固体電解コンデンサの構造は、第一の接続端子と第二の接続端子を同一面上に配置することにより半導体部品と直接接続でき、かつ、スルーホール電極により効率的に電荷を運ぶことができるようにすることにより、更なる低ESR化、低ESL化を実現し、高周波特性のより優れたものとしている。
【0004】
この固体電解コンデンサの製造方法としては、スルーホール形成方法としてパンチング加工法、ドリル加工法、レーザー加工法を用い、絶縁層の形成方法として電着法を用いることが提案されている。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−307955号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パンチング加工など機械的手段によりスルーホールを形成した場合においては、ばり、異物の付着、油脂などの汚れなどが発生し、レーザー加工法などでスルーホールを形成した場合においては、溶融物のばり、酸化被膜の付着が発生するためにスルーホールの内壁及びその周辺の表面状態が不均一となる。
【0008】
その結果、スルーホールの内壁に絶縁層を形成するときには絶縁不良、スルーホールの目詰まりといった内容の不良が生じていた。そして、このようなスルーホールの内壁への絶縁層の形成不良及びスルーホールの目詰まりはスルーホールの孔径が小さくなるほど顕著になる。
【0009】
本発明は上記課題を解決し、スルーホールを形成した後スルーホールの内壁およびその周辺に化学的もしくは電気化学的処理による清浄を行って表面状態を均一化することにより、絶縁層の形成工程で生じる不良を低減し、スルーホール電極を有する固体電解コンデンサの歩留まりを向上することのできる固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記集電体層上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、スルーホールの内壁およびその周辺の表面状態を均一化することで絶縁層の形成工程で生じる不良を低減し、スルーホール電極を有する固体電解コンデンサの歩留まりを向上することができる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項1の作用に加えて、レジスト膜を形成する工程からレジスト膜を剥離する工程までが誘電体被膜、固体電解質層、集電体層に影響を及ぼすことがないので信頼性の高い固体電解コンデンサの製造方法を提供することができ、さらに集電体層とスルーホール電極を連続して形成することができるので工程の簡略化を図ることができる。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項1の作用に加えて、レジスト膜を形成する工程からレジスト膜を剥離する工程までが集電体層に影響を及ぼすことがなく信頼性の高い固体電解コンデンサを提供することができ、さらに、固体電解質層を形成してからスルーホールを形成するため、固体電解質がスルーホール内に形成されてESRが増大したり、他面の電極とショートするといった不良を防止することができるとともに、誘電体層を形成する工程でかけられる高温処理が絶縁層に影響を及ぼすことがないので、絶縁の信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項1の作用に加えて、レジスト膜を形成する工程からレジスト膜を剥離する工程までが固体電解質層、集電体層に影響を及ぼすことがなく信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができ、また、誘電体層を形成する工程でかけられる高温処理が、絶縁層に影響を及ぼすことがなく絶縁の信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に未硬化の絶縁層を形成する工程と、前記未硬化の絶縁層を仮硬化する工程と、レジスト膜を剥離する工程と、前記仮硬化した絶縁層を本硬化する工程と、誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法であり、絶縁層の本硬化工程によりレジスト膜に加えられる熱量を抑えられることで、レジスト膜の剥離が容易になるために容量低下の少ない固体電解コンデンサを製造することができる。
【0015】
本発明の請求項6に記載の発明は、化学処理する工程が酸によるエッチング処理からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、絶縁性に優れた固体電解コンデンサを製造することができる。
【0016】
本発明の請求項7に記載の発明は、化学処理する工程が酸によるエッチング処理と界面活性剤による脱脂処理からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、より絶縁性に優れた固体電解コンデンサを製造することができる。
【0017】
本発明の請求項8に記載の発明は、スルーホールの内壁および弁金属箔の他面を化学処理する工程が電解研磨法からなる請求項6または7に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、スルーホールの形成により生じた凸部を効率的に除去する効果を有し、これによりスルーホール内および弁金属箔の他面に形成する絶縁層の絶縁の信頼性を向上することができる。
【0018】
本発明の請求項9に記載の発明は、絶縁層がレジストを剥離する工程に耐性を有する樹脂からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、レジストを剥離する工程に用いられる剥離剤により著しい劣化が起こらない樹脂を用いることにより、スルーホール内および弁金属箔の他面に形成する絶縁層の絶縁の信頼性を向上することができる。
【0019】
本発明の請求項10に記載の発明は、絶縁層がエポキシ系樹脂またはポリイミド系樹脂からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項9の作用に加えて、絶縁性、耐溶剤性、耐熱性、弁金属箔との密着性に優れているため、製造工程において弁金属箔の表面を有機溶剤、酸、アルカリから保護するだけでなく固体電解コンデンサを外部環境から保護する効果も有するとともに電極間の絶縁性に優れた固体電解コンデンサを提供することができる。
【0020】
本発明の請求項11に記載の発明は、絶縁層を形成する工程が電着法である請求項1〜4のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、化学処理により均一化された弁金属箔の表面に容易かつ精度よく絶縁層を形成することができるため、電極間の絶縁性に優れた固体電解コンデンサを提供することができる。
【0021】
本発明の請求項12に記載の発明は、未硬化の絶縁層を形成する工程が電着法である請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項11と同じ作用を有する。
【0022】
本発明の請求項13に記載の発明は、レジスト膜が多孔質化された弁金属箔の表面のピット内に充填される液状のレジスト樹脂から形成される請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、スルーホールの形成工程後行われる化学処理から多孔質部および酸化被膜を保護することができるため、固体電解コンデンサの容量を低下させることを防ぐとともに漏れ電流の発生を防ぐことができる。
【0023】
本発明の請求項14に記載の発明は、レジスト膜が溶解剥離するレジスト樹脂からなる請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、多孔質化された弁金属箔の表面のピット内に充填したレジストを速やかに剥離することができるため、レジストがピット内に残留することによる固体電解コンデンサの容量低下を防ぐことができる。
【0024】
本発明の請求項15に記載の発明は、レジスト膜がノボラック系樹脂またはアクリル系樹脂からなる請求項13または14に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、請求項13または14の作用に加えて、スルーホールを形成する工程後行われる化学処理に耐性を有する上記樹脂を用いることで、多孔質部および酸化被膜を保護する信頼性を向上することができ、また、上記樹脂は有機溶剤または弱アルカリにより溶解剥離することができるため、レジスト膜の剥離により露出した誘電体被膜を破壊することなくレジスト膜の剥離を行うことができ、固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0025】
本発明の請求項16に記載の発明は、レジスト膜を形成する工程が少なくともレジスト樹脂を2回以上塗布して形成する請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、多孔質化された弁金属箔の表面のピット内にレジストを十分に充填させることができるため、スルーホールの形成工程後行われる化学処理から多孔質部および酸化被膜を保護することができ、固体電解コンデンサの容量を低下させることを防ぐとともに漏れ電流の発生を防ぐことができる。
【0026】
本発明の請求項17に記載の発明は、レジスト膜を剥離する工程で使用する剥離剤が、アルコール系有機溶剤またはケトン系有機溶剤、もしくはpH=2〜13までの弱酸、弱アルカリからなる請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、レジスト膜の剥離により露出した誘電体被膜を破壊することなくレジスト膜の剥離を行うことができるために固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0027】
本発明の請求項18に記載の発明は、未硬化の絶縁層を仮硬化させる工程が少なくとも異なる温度で2回以上行う請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、絶縁層を形成した樹脂の溶媒を除去する工程と、レジスト膜を剥離する工程に対して耐性を向上する工程とを分けることにより、絶縁層の絶縁の信頼性を向上させることで固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0028】
本発明の請求項19に記載の発明は、仮硬化の絶縁層を本硬化させる工程が少なくとも異なる温度で2回以上行う請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、絶縁層を形成した樹脂の溶媒を除去する工程と、絶縁層を完全に硬化させる工程とを分けることにより、絶縁層の絶縁の信頼性を向上させることで固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の固体電解コンデンサの製造方法について実施の形態および図面を用いて説明する。
【0030】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1および図1〜4により請求項1、請求項6〜11に記載の発明を説明する。
【0031】
図1は本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの斜視図であり、図2はその断面図、図3は要部の拡大断面図、また図4は本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの製造方法を説明するための断面図である。
【0032】
図2及び図3において、1は片面が多孔質化された弁金属箔であり、この弁金属箔1の多孔質化された表面上に誘電体被膜2を形成している。さらにこの誘電体被膜2の表面には固体電解質層3が形成され、弁金属箔1とともに固体電解コンデンサとして機能する。この弁金属箔1の多孔質化は単位面積当たりの誘電体被膜2の表面積を拡大することによって、固体電解コンデンサの静電容量を大容量化させるために行っている。
【0033】
更に、前記固体電解質層3の表面には外部への電極取出しを容易にするため集電体層4が設けられており、さらにこの集電体層4はスルーホール電極6を介して接続バンプ7と電気的に接続している。このスルーホール電極6はスルーホールの内部に導電体を充填することによって形成され、弁金属箔1とは絶縁層5によって電気的に絶縁されている。
【0034】
また、接続端子8は陽極電極として弁金属箔1と直接接続されており、この接続端子8は接続バンプ7と接続されている。そして外装11を形成することにより、固体電解コンデンサを実現することができる。
【0035】
上記のように接続バンプ7を弁金属箔1の同一面上に配置する構成とすることにより、固体電解コンデンサ上に直接、半導体部品または他の電子部品を接続することができる。
【0036】
これにより、半導体部品及び他の電子部品間と固体電解コンデンサ間の配線を大幅に短縮することができるためにESRやESLの低減が可能となる。さらに図1および図2で示すように、電極の端子が交互に配列するように形成させた接続バンプ7の配置構成とすることによって、電流の流れが交互に反対方向になるために磁界が打ち消しあってESLが低減できるという効果が得られる。
【0037】
次に図4(a)〜図4(i)を用いて本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの製造工程を説明する。
【0038】
初めに図4(a)に示すように、弁金属箔1であるアルミニウム箔を電解液中で交流電流を印加して電解エッチングすることにより、片面を多孔質化した弁金属箔1を形成する(片面多孔質化工程)。このときの弁金属箔1は生産性、コストの観点からアルミニウム箔が好ましいが、タンタル、ニオブなどの弁金属であればこれに限定するものではない。また、多孔質化の方法も直流エッチングなど他の方法でもよい。
【0039】
次に図4(b)に示すように、この多孔質化した弁金属箔1の片面を化成液中で陽極酸化することにより、誘電体被膜2を形成する(誘電体被膜形成工程)。
【0040】
その後、図4(c)に示すように、この誘電体被膜2の上に固体電解質層3を形成する(固体電解質層形成工程)。この固体電解質層3の形成方法はポリピロールやポリチオフェンなどのパイ電子共役高分子またはそれ以外の導電性高分子を用いて化学重合や電解重合によって、固体電解質層3を形成することができる。また、この固体電解質層3は化学重合でプレコートした後電解重合してもよいし、導電性高分子の粉末の懸濁液を塗布・乾燥した後電解重合してもよいし、硝酸マンガンを含浸させてから熱分解して二酸化マンガンを形成した後導電性高分子を電解重合してもよい。
【0041】
次に、図4(d)に示すように、前記固体電解質層3の上に集電体層4を形成する(集電体層形成工程)。この集電体層4はカーボン微粒子の懸濁液および銀ペーストなどの導電性接着剤を用いて、カーボン層と銀ペースト層の積層構造を前記固体電解質層3の上に集電体層4として形成することにより、効率的に電荷を引き出すことが可能である。
【0042】
また、電気めっき法や無電解めっき法を用いて固体電解質層3に直接銀や銅などの金属膜を形成することにより、より低いESR特性の固体電解コンデンサを作製することができる。
【0043】
その後、図4(e)に示すように、レジスト膜10を弁金属箔1の片面に形成した集電体層4の上に形成する(レジスト膜形成工程)。このレジスト膜10の形成方法としては、フォトレジスト材料を用いて、浸漬、スピンコート、スクリーン印刷、フィルム接着法、スプレー法などを用いることが挙げられ、いずれも容易かつ生産性高くレジスト膜10を形成することができる。
【0044】
次に、図4(f)に示すように、上記のように構成された弁金属箔1の所定の位置にスルーホール9を形成する(スルーホール形成工程)。このスルーホール9はレーザー加工法、パンチング加工法、ドリル加工法などを用いることにより、スルーホール9を所定の位置に高精度に形成することができる。
【0045】
しかしながらこのとき、特にスルーホール9をレーザー加工法により形成した場合、スルーホール9の内壁および周辺の弁金属箔1に熱酸化層が形成される。
【0046】
さらに、溶融物である加工くずなどがスルーホール9の内部に残存することがある。
【0047】
また、パンチング加工法またはドリル加工法などを用いて形成した場合にはバリが発生したり、加工くず、油脂などが残存することがある。
【0048】
上記課題を解決するために、次にスルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面を化学処理する(化学処理工程)。この化学処理工程として、酸によりスルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面をエッチング処理することで、レーザー加工法により生じた熱酸化層および溶融物、パンチング加工法またはドリル加工法により生じたバリ、加工くず、油脂などを完全に除去することができる。この化学処理に用いる酸としてはリン酸、硝酸、酢酸のいずれか一つを含む酸溶液を用いると効果的であった。特にアルミニウムからなる弁金属箔1に対してはリン酸が最も良い結果を得ることができた。
【0049】
さらに、酸による化学処理工程はスルーホール9のエッジの面とり効果もあり、絶縁層5を形成するときに絶縁性を高めることができる。またスルーホール9の内部の加工くずは化学処理するときに超音波を発生させることによって、さらに効率良く加工くずを除去することができる。そして、油脂はアルカリ、有機溶剤、界面活性剤を用いて洗浄することで除去することができる。特に酸によるエッチング処理と界面活性剤による脱脂処理を含む化学処理工程が最も有効な処理方法である。これらの化学処理を入れることにより、後の工程で形成される絶縁層5の絶縁の信頼性を向上させることができる。
【0050】
また、電解研磨を用いることでスルーホール9のエッジ部の面とり効率をより向上させることができる。
【0051】
次に、図4(g)に示すように、スルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面に絶縁層5を形成する。この絶縁層5を形成する方法として電着法を用いることにより、導電体であるスルーホール9の内壁と弁金属箔1の他面の表面のみに選択的に絶縁層5として被覆することができる。この絶縁層5は電着法によって絶縁体を被覆後、熱硬化させることで緻密な絶縁膜となる。
【0052】
この絶縁層5の形成に用いる絶縁体材料としてエポキシ系樹脂またはポリイミド系樹脂を用いることにより、後のレジスト膜10を剥離する工程で用いられる剥離剤により著しい劣化を起こすことなく、絶縁の信頼性の高い絶縁層5を形成することができる。
【0053】
その後、図4(h)に示すように、集電体層4の上に形成したレジスト膜10を剥離剤へ浸漬することによって剥離する(レジスト膜剥離工程)。
【0054】
次に、図4(i)に示すように、スルーホール9の内部に集電体層4と電気的に接続したスルーホール電極6と弁金属箔1の他面側に接続端子8を形成する。スルーホール電極6と接続端子8を形成する方法として導電性ペーストを充填し、硬化する方法を用いることができる。この方法ではスルーホール9内への充填および硬化が容易でスルーホール電極6と接続端子8を容易に形成することができる。また、電気めっきや無電解めっきを用いてスルーホール電極6と接続端子8を形成することもできる。この場合、より低ESRの固体電解コンデンサを作製することができる。
【0055】
その後、スルーホール電極6と接続端子8の上に接続バンプ7を形成することによって図1及び図2に示す固体電解コンデンサを作製することができる。
【0056】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2および図5により請求項2に記載の発明を説明する。
【0057】
図5(a)〜図5(i)は実施の形態2における固体電解コンデンサの製造工程を示す断面図である。
【0058】
初めに図5(a)に示すように、弁金属箔1であるアルミニウム箔の片面にレジスト膜10を形成する(レジスト膜形成工程)。このレジスト膜10を形成する方法は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0059】
次のスルーホール形成工程からスルーホール電極形成工程までは実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0060】
上記の製造方法においては、本実施の形態2において実施の形態1と異なるところは、レジスト膜形成工程(図5(a)からレジスト膜剥離工程(図5(d)))までが誘電体被膜2、固体電解質層3および集電体層4を形成する前に行うということである。
【0061】
そのためスルーホール形成工程(図5(b))での応力、絶縁層形成工程(図5(c))での熱ストレス、レジスト膜剥離工程(図5(d))での剥離剤の影響などが誘電体被膜2、固体電解質層3及び集電体層4に対して、割れ、はがれ、溶解などの悪影響を及ぼさないようにすることにより、ショートの発生や漏れ電流の増大を抑えた信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0062】
さらに、固体電解質層3の上に導電性ペーストを塗布することにより集電体層4とスルーホール電極6を連続して形成することができるので工程の簡略化を図ることができる。
【0063】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3および図6により請求項3に記載の発明を説明する。
【0064】
図6(a)〜図6(i)は実施の形態3における固体電解コンデンサの製造工程を示す断面図である。
【0065】
弁金属箔1であるアルミニウム箔の片面をエッチングにより多孔質化する工程(図6(a))から固体電解質層形成工程(図6(c))は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0066】
次に図6(d)に示すように、レジスト膜10を固体電解質層3の上に形成する(レジスト膜形成工程)。その後、スルーホール形成工程(図6(e))からレジスト膜剥離工程(図6(g))までの工程は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0067】
その後、集電体層形成工程(図6(h))の次に、スルーホール電極形成工程(図6(i))を経て固体電解コンデンサを製造することができる。
【0068】
この製造方法において、実施の形態1と異なっているところはレジスト膜形成工程(図6(d))からレジスト膜剥離工程(図6(g))までが集電体層形成工程(図6(h))の前に行われることである。
【0069】
このような製造工程とすることによって、スルーホール電極形成工程での応力、絶縁層形成工程での熱ストレス、レジスト剥離工程での剥離剤などの悪影響が集電体層4に対して、割れ、はがれ、溶解などの被害を及ぼすことがなくなり、ショートの発生や漏れ電流の増大を抑えた信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0070】
さらに、固体電解質層3の上に導電性ペーストを塗布することにより集電体層4とスルーホール電極6を連続して形成することができるので、工程の簡略化を図ることができるとともに、ESRが増大したり、他面の電極と接触してショートするといった不良を防止することができる。
【0071】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4および図7により請求項4、13〜17に記載の発明を説明する。
【0072】
図7(a)〜図7(i)は実施の形態4における固体電解コンデンサの製造工程を示す断面図である。
【0073】
まず図7に示すように、弁金属箔1であるアルミニウム箔の片面をエッチングにより多孔質化する工程(図7(a))から誘電体被膜2を形成する工程(図7(b))は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0074】
次に、図7(c)に示すようにレジスト膜10を誘電体被膜2の上に形成する(レジスト膜形成工程)。このレジスト膜10には多孔質化された弁金属箔1の表面のピット内に充填することのできるアクリル系かノボラック系の液状レジスト樹脂を用いることが好ましい。このようなレジスト膜10を形成することによって、化学処理する工程で用いられる酸が誘電体被膜2を溶解して固体電解コンデンサのショート不良や漏れ電流を増大させたり、弁金属箔1の多孔質部の表面積が溶解によって減少することによって固体電解コンデンサの容量が低下するといった不良の発生を防止する信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0075】
また、上記レジスト樹脂が剥離時に溶解剥離する樹脂を用いることで、膨潤剥離するタイプのものより多孔質化された弁金属箔1の表面のピット内に充填された部分を速やかに剥離することができるためにレジスト樹脂がピット内に残留することによる固体電解コンデンサの容量低下を防ぐことができる。
【0076】
さらに、上記レジスト樹脂が有機溶剤またはpH2〜13の弱酸、弱アルカリにより剥離する樹脂を用いることにより、誘電体被膜2を破壊することなくレジスト膜10の剥離を行うことができたために固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
【0077】
このレジスト樹脂を塗布する方法としては、浸漬法、スピンコート法、スプレー法を用いることができる。さらに上記の方法を2回以上行うことで、多孔質化された弁金属箔1の表面のピット内にレジスト樹脂を十分に充填させることができるために、スルーホール形成工程の後に行われる化学処理工程から、多孔質のピット形状および誘電体被膜2を保護することができることから、固体電解コンデンサの容量を低下させることを防ぐとともに漏れ電流の発生を防ぐことができる。
【0078】
前記レジスト膜形成工程の後にスルーホール形成工程(図7(d))から絶縁層形成工程(図7(e))は実施の形態1と同様の工法で形成することができる。
【0079】
次に、図7(f)に示すように、レジスト膜剥離工程を行う。このとき、レジスト樹脂であるノボラック系またはアクリル系の樹脂に対して、剥離剤としてケトン系またはアルコール系の有機溶剤、pH2〜13の弱酸、弱アルカリを用いることで誘電体被膜2を溶解することなくレジスト膜10の剥離を行うことができる。このような方法でレジスト膜10を剥離することによって、ショートの発生や漏れ電流の増大を抑えた固体電解コンデンサを製造することができる。
【0080】
その後、実施の形態1と同様の条件で固体電解質層形成工程(図7(g))、集電体層形成工程(図7(h))、スルーホール電極形成工程(図7(i))を経ることによって固体電解コンデンサを製造することができる。
【0081】
上記の製造方法において、レジスト膜形成工程(図7(c))からレジスト膜剥離工程(図7(f))までが固体電解質層3および集電体層4を形成する工程の前に行われることになる。そのため、スルーホール形成工程での応力、絶縁層形成工程での熱ストレス、レジスト膜剥離工程での剥離剤などが固体電解質層3および集電体層4に対して、割れ、はがれ、溶解などの被害を及ぼすことがなく、ショートの発生や漏れ電流の増大を抑えた信頼性の高い固体電解コンデンサを製造することができる。
【0082】
さらに、固体電解質層3の上に導電性ペーストを塗布することにより集電体層4とスルーホール電極6を連続して形成することができるので工程の簡略化も図ることができる。
【0083】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5および図8により請求項5、12、18、19に記載の発明を説明する。
【0084】
弁金属箔1の片面をエッチングにより多孔質化する工程(片面多孔質化工程)から化学処理する工程(化学処理工程)までは実施の形態4と同様の工法で形成することができる。
【0085】
次に、スルーホール9の内壁および弁金属箔1の他面に電着法により絶縁体材料で被覆し(未硬化絶縁層形成工程)、この絶縁体材料を仮硬化させる(未硬化絶縁層仮硬化工程)。この仮硬化とは絶縁体を被覆した段階で含まれる溶媒や溶剤を除去するために行われる熱処理を示している。このとき同時にレジスト膜10を形成する樹脂の重合も進んでいる。このために次の工程で行われるレジスト膜剥離工程において、レジスト膜10を剥離する前に過剰な熱量をレジスト膜10に加えるとレジスト樹脂の重合が進みすぎて、剥離剤によって剥離することが困難となってくる。
【0086】
そこで、仮硬化条件をレジスト膜10は剥離可能であるが未硬化絶縁層はレジスト膜10を剥離する剥離剤に対して耐性を有する条件とすることが好ましい。この未硬化絶縁層仮硬化工程の後、未硬化絶縁層本硬化工程を行う前にレジスト膜剥離工程を導入することでレジスト膜10の剥離が容易になる。
【0087】
また、未硬化絶縁層仮硬化工程を異なる温度で少なくとも2回以上行い、未硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒を除去する工程と、レジスト膜10を剥離する工程に対して耐性を向上させる工程とを使い分けることができる。例えばエポキシ樹脂と溶媒がIPAとブチルセロソルブの混合溶媒を用いた場合には、溶媒を除去する温度としては100℃で10分間処理し、その後耐性を持たせるために120℃15分間処理することによって上記の目的を達成することができる。
【0088】
このように未硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒の沸点と、レジスト膜10を剥離する工程に対して耐性を向上させる仮硬化温度に差がある場合、いきなり後者の温度で仮硬化させると未硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒が突沸を起こし、本硬化によって形成される絶縁層5も膜質に欠陥を生じることがある。
【0089】
これを回避するために未硬化絶縁層を仮硬化させる工程を異なる温度で2回以上行うことで、絶縁層5の絶縁の信頼性を向上させ、固体電解コンデンサのショートの発生、漏れ電流の増大を抑えることができる。
【0090】
また、硬化温度をより高い温度に上げる場合、一度低温へ下げてもよいし、連続的に高温へ上げてもよい。
【0091】
次に、実施の形態1と同じ条件にてレジスト膜剥離工程を経て、仮硬化絶縁層を本硬化させる(仮硬化絶縁層本硬化工程)。この本硬化とは絶縁体に耐溶剤性、耐熱性、耐絶縁性などの耐性を有するように、仮硬化よりも高温で行われる熱処理を示している。
【0092】
このとき、仮硬化絶縁層を本硬化させる工程を異なる温度で少なくとも2回以上行い、仮硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒を完全に除去する工程と、仮硬化絶縁層を完全に本硬化させる工程とを分けることができる。
【0093】
特に、前記レジスト膜10を剥離する工程の前に行われる未硬化絶縁層仮硬化条件では未硬化絶縁層を形成した樹脂の溶媒を完全に除去しきれていない場合がある。その場合、本硬化させる工程を異なる温度で少なくとも2回以上行うことで、樹脂の溶媒の突沸を完全に回避し、絶縁層5の絶縁の信頼性を向上させることで固体電解コンデンサのショートの発生、漏れ電流の増大を抑えることができる。
【0094】
上記の製造方法とすることで、レジスト膜10の剥離が容易になり、レジスト膜10を形成する樹脂が多孔質のピット内に残存することで固体電解コンデンサの容量を低下させるといった不良を低減することができる。
【0095】
【発明の効果】
上記の通り本発明は、低ESR化、低ESLを実現し、高周波特性の優れた固体電解コンデンサの信頼性の向上を実現することのできる製造方法を提供することができるものであり、その工業的価値は大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの斜視図
【図2】同断面図
【図3】同要部の拡大断面図
【図4】同製造工程を説明するための断面図
【図5】本発明の実施の形態2における製造工程を説明するための断面図
【図6】本発明の実施の形態3における製造工程を説明するための断面図
【図7】本発明の実施の形態4における製造工程を説明するための断面図
【図8】本発明の実施の形態5における製造工程図
【符号の説明】
1 弁金属箔
2 誘電体被膜
3 固体電解質層
4 集電体層
5 絶縁層
6 スルーホール電極
7 接続バンプ
8 接続端子
9 スルーホール
10 レジスト膜
11 外装
Claims (19)
- 少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記集電体層上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法。
- 少なくとも弁金属箔の片面にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法。
- 少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法。
- 少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に絶縁層を形成する工程と、前記レジスト膜を剥離する工程と、前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法。
- 少なくとも弁金属箔の片面を多孔質化する工程と、この多孔質化された弁金属箔の表面に誘電体被膜を形成する工程と、前記誘電体被膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記弁金属箔の所定の位置に少なくとも1つ以上のスルーホールを形成する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面を化学処理する工程と、前記スルーホールの内壁および前記弁金属箔の他面に未硬化の絶縁層を形成する工程と、前記未硬化の絶縁層を仮硬化する工程と、レジスト膜を剥離する工程と、前記仮硬化した絶縁層を本硬化する工程と、誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層上に集電体層を形成する工程と、前記スルーホール内に前記集電体層と電気的に接続されるスルーホール電極を形成する工程とからなる固体電解コンデンサの製造方法。
- 化学処理する工程が酸によるエッチング処理からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 化学処理する工程が酸によるエッチング処理と界面活性剤による脱脂処理からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- スルーホールの内壁および弁金属箔の他面を化学処理する工程が電解研磨法からなる請求項6または7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 絶縁層がレジストを剥離する工程に耐性を有する樹脂からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 絶縁層がエポキシ系樹脂またはポリイミド系樹脂からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 絶縁層を形成する工程が電着法である請求項1〜4のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 未硬化の絶縁層を形成する工程が電着法である請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- レジスト膜が多孔質化された弁金属箔の表面のピット内に充填される液状のレジスト樹脂から形成される請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- レジスト膜が溶解剥離するレジスト樹脂からなる請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- レジスト膜がノボラック系樹脂またはアクリル系樹脂からなる請求項13または14に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- レジスト膜を形成する工程が少なくともレジスト樹脂を2回以上塗布して形成する請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- レジスト膜を剥離する工程で使用する剥離剤が、アルコール系有機溶剤またはケトン系有機溶剤、もしくはpH=2〜13までの弱酸、弱アルカリからなる請求項4または5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 未硬化の絶縁層を仮硬化させる工程が少なくとも異なる温度で2回以上行う請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 仮硬化の絶縁層を本硬化させる工程が少なくとも異なる温度で2回以上行う請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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