JP2004126566A - ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶解物理現像が起こる現像液による処理を必要とするハロゲン化銀写真感光材料の感度を向上させ、かつ保存性を改良する処理方法を提供すること。
【解決手段】下記1〜4の化合物を1種以上含有するハロゲン化銀写真感光材料を溶解物理現像が起こる現像液で処理する工程を含むハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。1)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が引き続く結合開裂反応を伴ってさらに2電子以上の電子を放出し得る化合物;2)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が引き続くC-C結合開裂反応を伴って更にもう1電子を放出し得る化合物で、同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物;3)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が引き続く結合形成反応を経た後に更に1電子以上の電子を放出し得る化合物;4)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が引き続く分子内の環開裂反応を経た後にさらに1電子以上の電子を放出し得る化合物。
【選択図】  なし

Description

 本発明はハロゲン化銀写真感光材料の処理方法に関するものである。
 近年、写真感光材料は、感度が低感度のものから高感度のものまで種々のラインナップが揃えられており、例えば撮影感材では感度表示がISO25ほどからISO3200までのものがある。低感度のものは多くの光量を必要とするために速いシャッタースピードでのスナップ写真撮影には向かない反面、撮影画像は滑らかでざらつきが目立たない(粒状性に優れる)。一方、高感度のものは、フラッシュなしでの撮影も可能となるので撮影対象範囲が広がるが、撮影画像のざらつきが目立つようになる(粒状性が劣る)。理想的には粒状性に優れた高感度感材が求められる。画像のざらつきのもとは、感光素子でありかつ表示素子の担い手でもあるハロゲン化銀乳剤粒子のサイズが大きいためであり、粒子サイズをできるだけ小さくすることが粒状性を良化するために必要である。しかしながら粒子サイズを小さくすると感度が低下するので低感化分を補う高感化技術が別途必要となる。ハロゲン化銀の固有の感度を高めるためには様々な方法が用いられている。例えば、硫黄、金および第VIII族金属化合物などの化学増感剤による高感化、硫黄、金および第VIII族金属化合物などの化学増感剤とそれらの増感効果を促進させる添加剤との組み合わせによる高感化、およびハロゲン化銀乳剤種により増感効果をもつ添加剤の添加による高感化などが行われており、いわゆる還元増感剤を添加して、還元銀を乳剤の内部あるいは表面に形成し、高感化する方法も良く知られている。
 電子供与基と脱離基からなる有機電子供与化合物を用いた増感技術がいくつかの特許等の明細書に報告されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
 しかしながら像露光後の現像処理において、溶解物理現像が起こる現像液による処理工程を含む場合に上記の有機電子供与化合物を適用すると、従来の還元増感剤を添加した高感化の方法に比べて、効果は認められるものの高感化の程度は低く、保存性を悪化させるという問題があった。
 特開2001−42466号公報には有機電子供与化合物と特定の保存改良剤とを組み合わせて用いることにより保存性が改良されることが報告されている。しかし、追試結果では、溶解物理現像が起こる現像処理を施す工程で保存性改良効果が僅かとなった。
米国特許第5,747,235号 米国特許第5,747,236号 米国特許第6,054,260号 欧州特許第786,692A1号 米国特許第893,731A1号 米国特許第893,732A1号 WO99/05570号
 本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料の感度を向上させ、かつ保存性を改良することにある。より詳しくは、溶解物理現像が起こる現像液による処理を必要とするハロゲン化銀写真感光材料の感度を向上させ、かつ保存性を改良することにある。
 本発明者らは、現像処理において溶解物理現像が起こる現像液を必要とするハロゲン化銀写真感光材料に対し、有機電子供与化合物の添加による高感化の検討を行い、従来から知られているものに比べて、感度および保存性で優れた性能を有するものを見出した。更に、該ハロゲン化銀感光材料に対し、特定の範囲にある酸化電位を有する化合物を併用することで更にかぶりが低く保存性に優れることを見出した。
 前記の課題は以下の(1)あるいは(2)に記載のハロゲン化銀感光材料の処理方法により達成された。 
 さらに、本発明は、以下の(3)から(7)に記載のハロゲン化銀反転写真感光材料も提供する。これらのハロゲン化銀反転写真感光材料は、感度および保存性に優れた性能を有している。
 (1)下記タイプ1〜タイプ4の中から選ばれる化合物の少なくとも一種を含有するハロゲン化銀写真感光材料を溶解物理現像が起こる現像液で処理する工程を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
 (タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電子を放出し得る化合物。 
 (タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く炭素−炭素結合開裂反応を伴って、さらにもう1電子を放出し得る化合物で、かつ同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物。 
 (タイプ3)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。 
 (タイプ4)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く分子内の環開裂反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
 本発明の上記タイプ1〜タイプ4に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(1−1)〜(4−2)で表される。即ち、本発明の上記タイプ1に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(1−1)および(1−2)で表され、上記タイプ2に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(2)で表され、上記タイプ3に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(3)で表され、上記タイプ4に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(4−1)および(4−2)で表される。
Figure 2004126566
 一般式(1−1)においてRED11は還元性基を表し、L11は脱離基を表し、R112は水素原子または置換基を表す。R111は炭素原子(C)およびRED11と共に、5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成し得る非金属原子団を表す。
 一般式(1−2)においてRED12およびL12は、それぞれ一般式(1−1)のRED11およびL11と同義の基を表す。R121およびR122は、それぞれ水素原子または炭素原子に置換可能な置換基を表し、これは一般式(1−1)のR112と同義の基である。ED12は電子供与性基を表す。一般式(1−2)においてR121とRED12、R121とR122、またはED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
 一般式(2)においてRED2は一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。L2はカルボキシ基またはその塩を表し、R21、R22は水素原子または置換基を表す。RED2とR21とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。但し一般式(2)で表される化合物は、分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物である。
 一般式(3)においてRED3は一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。Y3は、RED3が1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位または炭素−炭素3重結合部位を含む反応性基を表す。L3はRED3とY3とを連結する連結基を表す。
 一般式(4−1)および一般式(4−2)においてRED41およびRED42は、それぞれ一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。R40〜R44およびR45〜R49は、それぞれ水素原子または置換基を表す。一般式(4−2)においてZ42は−CR420R421−、−NR423−、または−O−を表す。ここにR420、R421は、それぞれ水素原子または置換基を表し、R423は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
 上記タイプ1、タイプ3、タイプ4に属する化合物のうち好ましいものは、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」である。
 また同様に上記一般式 (1−1)〜一般式(4−2)で表される化合物のうち好ましいものは、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」である。
 (2)タイプ1〜タイプ4の中から選ばれる化合物が分子内に吸着性基または増感色素の部分構造を有する化合物であることを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
 (3)(1)に記載のタイプ1〜タイプ4の中から選ばれる化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀反転写真感光材料。
 (4)(1)に記載のタイプ1〜タイプ4の中から選ばれる化合物の少なくとも1種が、ハロゲン化銀乳剤中に含有されることを特徴とする(3)に記載のハロゲン化銀反転写真感光材料。
 (5)酸化電位が0.18eVから0.90eVを示す化合物の少なくとも1種を含有する層を有することを特徴とする(3)あるいは(4)に記載のハロゲン化銀反転写真感光材料。
 (6)化学増感工程後にハロゲン化銀により各粒子の平均シェル厚が20nm以下でシェル付けされたハロゲン化銀乳剤粒子を有することを特徴とする(3)ないし(5)のいずれか一項に記載のハロゲン化銀反転写真感光材料。
 (7)下記一般式で表されるアゾール系マゼンタカプラーを少なくとも一種含有することを特徴とする(3)ないし(6)のいずれか一項に記載のハロゲン化銀カラー反転写真感光材料。
Figure 2004126566
 一般式(MC−I)の式中、R1は水素原子または置換基を表し、G1、G2はいずれか一方が炭素原子、もう一方が窒素原子を表し、R2は置換基を表し、G1、G2のうち炭素原子であるほうに置換する。R1またはR2は更に置換基を有していても良く、またR1、R2を介して一般式(MC−I)の多量体を形成していても良く、R1またはR2を介して高分子鎖に結合していても良い。Xは、水素原子または芳香族第1級アミンカラー現像主薬の酸化体とのカップリング反応により離脱する基を表す。
 次に本発明を詳細に説明する。本発明において、溶解物理現像が起こる現像液とは、現像主薬を含む液(カラー反転処理の場合には第1現像液に相当)の1L中に亜硫酸イオンを0.10mol以上含むものとする。亜硫酸イオンは二亜硫酸イオンの分解からも生成し、銀イオンと結合し錯イオンを形成するのでハロゲン化銀粒子を良く溶解する。この場合は二亜硫酸イオン1分子を亜硫酸イオンの2分子として換算するものとする。
 次に本発明に用いられている化合物タイプ1〜タイプ4に属する化合物について詳しく説明する。
 (タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電子を放出し得る化合物。 
 (タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く炭素−炭素結合開裂反応を伴って、さらにもう1電子を放出し得る化合物で、かつ同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物。 
 (タイプ3)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。 
 (タイプ4)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く分子内の環開裂反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
 本発明の上記タイプ1〜タイプ4に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式 (1−1)〜(4−2)で表される。即ち、本発明の上記タイプ1に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(1−1)および(1−2)で表され、上記タイプ2に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(2)で表され、上記タイプ3に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(3)で表され、上記タイプ4に属する化合物のうち好ましいものは、以下の一般式(4−1)および(4−2)で表される。
Figure 2004126566
 一般式(1−1)においてRED11は還元性基を表し、L11は脱離基を表し、R112は水素原子または置換基を表す。R111は炭素原子(C)およびRED11と共に、5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成し得る非金属原子団を表す。
 一般式(1−2)においてRED12およびL12は、それぞれ一般式(1−1)のRED11およびL11と同義の基を表す。R121およびR122は、それぞれ水素原子または炭素原子に置換可能な置換基を表し、これは一般式(1−1)のR112と同義の基である。ED12は電子供与性基を表す。一般式(1−2)においてR121とRED12、R121とR122、またはED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
 一般式(2)においてRED2は一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。L2はカルボキシ基またはその塩を表し、R21、R22は水素原子または置換基を表す。RED2とR21とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。但し一般式(2)で表される化合物は、分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物である。
 一般式(3)においてRED3は一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。Y3は、RED3が1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位または炭素−炭素3重結合部位を含む反応性基を表す。L3はRED3とY3とを連結する連結基を表す。
 一般式(4−1)および一般式(4−2)においてRED41およびRED42は、それぞれ一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。R40〜R44およびR45〜R49は、それぞれ水素原子または置換基を表す。一般式(4−2)においてZ42は−CR420R421−、−NR423−、または−O−を表す。ここにR420、R421は、それぞれ水素原子または置換基を表し、R423は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
 上記タイプ1、タイプ3、タイプ4に属する化合物のうち好ましいものは、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」である。
 また同様に上記一般式(1−1)〜一般式(4−2)で表される化合物のうち好ましいものは、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」である。
 次に本発明の化合物について詳しく説明する。 
 タイプ1に属する化合物は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電子を放出し得る化合物である。タイプ1に属する化合物において「結合開裂反応」とは具体的に炭素−炭素もしくは炭素−ケイ素結合の開裂を意味し、炭素−水素結合の開裂がこれに付随してもよい。タイプ1に属する化合物は1電子酸化されて1電子酸化体となった後に、初めて結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上(好ましくは3電子以上)の電子を放出し得る化合物である。言いかえればさらに2電子以上(好ましくは3電子以上)酸化され得る化合物である。
 タイプ1に属する化合物のうち好ましい化合物は一般式(1−1)または一般式(1−2)で表されるが、これら化合物は一般式(1−1)または一般式(1−2)の、RED11またはRED12で表される還元性基が1電子酸化された後、自発的にL11またはL12を結合開裂反応により離脱することで、即ちC(炭素原子)−L11結合またはC(炭素原子)−L12結合が開裂することで、これに伴いさらに電子を2つ以上、好ましくは3つ以上放出し得る化合物である。
 以下、先ず一般式(1−1)で表される化合物について詳しく説明する。 
 一般式(1−1)においてRED11で表される1電子酸化され得る還元性基は、後述するR111と結合して特定の環形成をし得る基であり、具体的には次の1価基から環形成をするのに適切な箇所の水素原子1個を除いた2価基が挙げられる。例えば、アルキルアミノ基、アリールアミノ基(アニリノ基、ナフチルアミノ基等)、ヘテロ環アミノ基(ベンズチアゾリルアミノ基、ピロリルアミノ基等)、アルキルチオ基、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、ヘテロ環チオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、ヘテロ環オキシ基、アリール基(フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等)、芳香族または非芳香族のヘテロ環基(ここで、ヘテロ環の具体例としては、ヘテロ原子として少なくとも1つのS、O、N原子を含む5ないし7員の単環又は縮合したヘテロ環であって、例えばテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロキナゾリン環、インドリン環、インドール環、インダゾール環、カルバゾール環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、ベンゾチアゾリン環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、3,4-メチレンジオキシフェニル環等が挙げられる)である(以後、便宜上RED11は1価基名として記述する)。これらは置換基を有していてもよい。
 置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
 一般式(1−1)においてL11は、RED11で表される還元性基が1電子酸化された後に初めて結合開裂により脱離し得る脱離基を表し、具体的にはカルボキシ基もしくはその塩、またはシリル基を表す。
 L11がカルボキシ基の塩を表すとき、塩を形成するカウンターイオンとしては具体的にアルカリ金属イオン(Li+、Na+、K+、Cs+等)、アルカリ土類金属イオン(Mg2+、Ca2+、Ba2+等)、重金属イオン(Ag+、Fe2+/3+イオン等)、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。L11がシリル基を表す時、シリル基とは具体的にトリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、トリアリールシリル基などを表し、ここにアルキル基とはメチル、エチル、ベンジル、t−ブチル基等が、またアリール基とはフェニル基などが挙げられる。
 一般式(1−1)においてR112は水素原子または炭素原子に置換可能な置換基を表す。R112が炭素原子に置換可能な置換基を表す時、ここに置換基とは具体的に、RED11が置換基を有する時の置換基の例と同じものが挙げられる。但しR112がL11と同じ基を表すことはない。
 一般式(1−1)においてR111は炭素原子(C)およびRED11と共に、特定の5員もしくは6員の環状構造を形成し得る非金属原子団を表す。ここにR111が形成する特定の5員もしくは6員の環状構造とは、5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体もしくはオクタヒドロ体に相当する環構造を意味する。ここにヒドロ体とは、芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)に内在する炭素−炭素2重結合(または炭素−窒素2重結合)が部分的に水素化された環構造を意味し、テトラヒドロ体とは2つの炭素−炭素2重結合(または炭素−窒素2重結合)が水素化された構造を意味し、ヘキサヒドロ体とは3つの炭素−炭素2重結合(または炭素−窒素2重結合)が水素化された構造を意味し、オクタヒドロ体とは4つの炭素−炭素2重結合(または炭素−窒素2重結合)が水素化された構造を意味する。水素化されることで芳香族環は、少なくとも部分的に水素化された非芳香族の環構造となる。
 具体的には、単環の5員環の場合の例としてはピロール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環等の芳香族環のテトラヒドロ体に相当する、ピロリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、ピラゾリジン環およびオキサゾリジン環等が挙げられる。6員環の単環の場合の例としてはピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等の芳香族環のテトラヒドロ体もしくはヘキサヒドロ体が挙げられ、例えばピペリジン環,テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピペラジン環等が挙げられる。6員環の縮合環の場合の例としてはナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環等の芳香族環のテトラヒドロ体に相当する、テトラリン環、テトラヒドロキノリン環,テトラヒドロイソキノリン環,テトラヒドロキナゾリン環、およびテトラヒドロキノキサリン環等が挙げられる。3環性化合物の場合の例としてはカルバゾール環のテトラヒドロ体のテトラヒドロカルバゾール環やフェナントリジン環のオクタヒドロ体であるオクタヒドロフェナントリジン環等が挙げられる。
 これらの環構造はさらに置換されていてもよく、その置換基の例としてはRED11が有していてもよい置換基について説明したものと同じものが挙げられる。これらの環構造の置換基どおしがさらに連結して環を形成していてもよく、ここに新たに形成される環は非芳香族の炭素環またはヘテロ環である。
 次に本発明の一般式(1−1)で表される化合物の好ましい範囲を説明する。 
 一般式(1−1)においてL11は、好ましくはカルボキシ基またはその塩である。塩のカウンターイオンとして好ましくはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、アルカリ金属イオン(特にLi+、Na+、K+イオン)が最も好ましい。
 一般式(1−1)においてRED11は、好ましくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリール基、芳香族または非芳香族のヘテロ環基であり、このうちヘテロ環基に関してはテトラヒドロキノリニル基、テトラヒドロキノキサリニル基、テトラヒドロキナゾリニル基、インドリル基、インドレニル基、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、ベンゾチアゾリニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾイミダゾリニル基、3,4-メチレンジオキシフェニル-1-イル基などが好ましい。さらに好ましくはアリールアミノ基(特にアニリノ基)、アリール基(特にフェニル基)である。
 ここでRED11がアリール基を表す時、アリール基は少なくとも1つの電子供与性基を有していることが好ましい。電子供与性基の数は、好ましくは4つ以下、さらに好ましくは1〜3つがよい。ここに電子供与性基とは即ち、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、活性メチン基、電子過剰な芳香族ヘテロ環基((例えばインドリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、チアゾリル基、ベンズチアゾリル基、インダゾリル基など)、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基(ピロリジニル基、インドリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリノ基など)である。ここで活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、イミノ基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
 RED11がアリール基を表す時、そのアリール基の置換基としてより好ましくはアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基であり、さらに好ましくはアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基であり、最も好ましくはアルキルアミノ基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基である。
 一般式(1−1)においてR112は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基(フェニル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基など)、ヒドロキシ基、アルキルチオ基(メチルチオ基、ブチルチオ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキルアミノ基である。
 一般式(1−1)においてR111は好ましくは、炭素原子(C)およびRED11と共に、以下の特定の5員もしくは6員の環状構造を形成し得る非金属原子団である。即ち、単環の5員環の芳香族環であるピロール環、イミダゾール環のテトラヒドロ体に相当するピロリジン環、イミダゾリジン環など。単環の6員環の芳香族環であるピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環のテトラヒドロ体もしくはヘキサヒドロ体。例えば、ピペリジン環,テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピペラジン環など。縮合環の6員環の芳香族環であるナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環のテトラヒドロ体に相当する、テトラリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環,およびテトラヒドロキノキサリン環など。3環性の芳香族環であるカルバゾール環のテトラヒドロ体であるテトラヒドロカルバゾール環や、フェナントリジン環のオクタヒドロ体であるオクタヒドロフェナントリジン環などが挙げられる。
 R111が形成する環状構造としてさらに好ましくは、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロカルバゾール環であり、特に好ましくは、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロカルバゾール環であり、最も好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロキノリン環である。
 次に一般式(1−2)について詳しく説明する。 
 一般式(1−2)においてRED12、L12は、それぞれ一般式(1−1)のRED11、L11に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。但し、RED12は下記の環状構造を形成する場合以外は1価基であり、具体的にはRED11で記載した1価基名の基が挙げられる。R121およびR122は一般式(1−1)のR112に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。ED12は電子供与性基を表す。R121とRED12、R121とR122、またはED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
 一般式(1−2)においてED12で表される電子供与性基とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、活性メチン基、電子過剰な芳香族ヘテロ環基(例えばインドリル基、ピロリル基、インダゾリル基)、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基(ピロリジニル基、ピペリジニル基、インドリニル基、ピペラジニル基、モルホリノ基など)、およびこれら電子供与性基で置換されたアリール基(例えばp-ヒドロキシフェニル基、p-ジアルキルアミノフェニル基、o,p-ジアルコキシフェニル基、4-ヒドロキシナフチル基など)である。ここで活性メチン基とは、RED11がアリール基を表すときの置換基として説明したものに同じである。
 ED12として好ましくはヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基、電子過剰な芳香族ヘテロ環基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、およびこれら電子供与性基で置換されたフェニル基であり、さらにヒドロキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、およびこれら電子供与性基で置換されたフェニル基(例えばp-ヒドロキシフェニル基、p-ジアルキルアミノフェニル基、o,p-ジアルコキシフェニル基等)が好ましい。
 一般式(1−2)においてR122とRED12、R122とR121、またはED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ここで形成される環状構造とは、非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であって、5員〜7員環の単環または縮合環で、置換もしくは無置換の環状構造である。
 R122とRED12とが環構造を形成するとき、その具体例としてはピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、チアゾリジン環、チアゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、オキサゾリジン環、オキサゾリン環、インダン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、インドリン環、テトラリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロ-1,4-オキサジン環、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-オキサジン環、テトラヒドロ-1,4-チアジン環、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-チアジン環、2,3-ジヒドロベンゾフラン環、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン環等が挙げられる。
 ED12とRED12とが環構造を形成するとき、ED12は好ましくはアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を表し、形成される環構造の具体例としては、テトラヒドロピラジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロイソキノリン環などが挙げられる。
 R122とR121とが環構造を形成するとき、その具体例としてはシクロヘキサン環、シクロペンタン環などが挙げられる。
 本発明の一般式(1−1)で表される化合物のうちさらに好ましいものは、以下の一般式(10)〜(12)で、また一般式(1−2)で表される化合物のうちさらに好ましいものは、以下の一般式(13)および(14)で表される。
Figure 2004126566
 一般式(10)〜(14)において、L100、L101、L102、L103、L104は一般式(1−1)のL11に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。R1100とR1101、R1110とR1111、R1120とR1121、R1130とR1131、R1140とR1141は、それぞれ一般式(1−2)のR122とR121に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。ED13、ED14はそれぞれ一般式(1−2)のED12と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。
 X10、X11、X12、X13、X14はそれぞれベンゼン環に置換可能な置換基を表し、m10、m11、m12、m13、m14はそれぞれ0〜3の整数を表し、これらが複数の時、複数のX10、X11、X12、X13、X14は同じでも異なっていてもよい。Y12およびY14はアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、窒素原子で置換する非芳香族の含窒素ヘテロ環基(ピロリル基、ピペリジニル基、インドリニル基、ピペラジノ基、モルホリノ基など)、ヒドロキシ基、アルコキシ基を表す。
 Z10、Z11、Z12は、特定の環構造を形成しうる非金属原子団を表す。Z10が形成する特定の環構造とは、5員または6員の、単環もしくは縮合環の、含窒素芳香族ヘテロ環のテトラヒドロ体もしくはヘキサヒドロ体にあたる環構造で、具体的にはピロリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキノキサリン環、などが例として挙げられる。Z11が形成する特定の環構造とは、Z11が形成する環構造が縮合するベンゼン環も含めた環構造としてテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環である。Z12が形成する特定の環構造とは、Z12が形成する特定の環構造が縮合するベンゼン環も含めた環構造としてテトラリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環である。
 RN11、RN13はそれぞれ水素原子、または窒素原子に置換可能な置換基である。置換基としては具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アシル基であり、好ましくはアルキル基、アリール基である。
 X10、X11、X12、X13、X14で表されるベンゼン環に置換可能な置換基としては、一般式(1−1)のRED11が有していてもよい置換基の例と同じものが具体例として挙げられる。好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、ニトロ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、スルファモイル基等である。
 m10、m11、m12、m13、m14は好ましくは0〜2であり、さらに好ましくは0または1である。
 Y12およびY14は好ましくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、窒素原子で置換する非芳香族の含窒素ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であり、さらに好ましくはアルキルアミノ基、窒素原子で置換する5〜6員の非芳香族含窒素ヘテロ環基、ヒドロキシ基であり、最も好ましくはアルキルアミノ基(特にジアルキルアミノ基)または窒素原子で置換する5〜6員の非芳香族含窒素ヘテロ環基である。
 一般式(13)においてR1131とX13、R1131とRN13、R1130とX13、またはR1130とRN13とが結合して、環状構造を形成していてもよい。また一般式(14)においてR1141とX14、R1141とR1140、ED14とX14、またはR1140とX14とが結合して、環状構造を形成していてもよい。ここで形成される環状構造とは、非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であって、5員〜7員環の単環または縮合環で、置換もしくは無置換の環状構造である。
 一般式(13)においてR1131とX13とが結合して環状構造を形成する場合、およびR1131とRN13とが結合して環状構造を形成する場合は、環構造を形成しない場合と同様に、一般式(13)で表される化合物の好ましい例である。
 一般式(13)においてR1131とX13とで形成される環構造としては具体的に、インドリン環(この場合、R1131は単結合を表すことになる)、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-オキサジン環、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-チアジン環、などが挙げられる。特に好ましくはインドリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環である。
 一般式(13)においてR1131とRN13とで形成される環構造としては具体的に、ピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、チアゾリジン環、チアゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、オキサゾリジン環、オキサゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、インドリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロ-1,4-オキサジン環、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-オキサジン環、テトラヒドロ-1,4-チアジン環、2,3-ジヒドロベンゾ-1,4-チアジン環、2,3-ジヒドロベンゾフラン環、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン環、等が挙げられる。特に好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環である。
 一般式(14)においてR1141とX14とが結合して環状構造を形成する場合、およびED14とX14とが結合して環状構造を形成する場合は、環構造を形成しない場合と同様に、一般式(14)で表される化合物の好ましい例である。一般式(14)においてR1141とX14とが結合して形成する環状構造としては、インダン環、テトラリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、インドリン環などが挙げられる。ED14とX14とが結合して形成する環状構造としては、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロシンノリン環などが挙げられる。
 次にタイプ2に属する化合物について説明する。 
 タイプ2に属する化合物は1電子酸化されて1電子酸化体となった後に、初めて炭素−炭素結合開裂反応を伴なってさらにもう1電子を放出し、言いかえればさらに1電子酸化され得る化合物である。ここに結合開裂反応とは炭素−炭素結合の開裂を意味し、炭素−水素結合の開裂がこれに付随してもよい。
 タイプ2に属する化合物のうち好ましい化合物は一般式(2)で表されるが、ここにRED2で表される還元性基が1電子酸化された後、自発的にL2を結合開裂反応により離脱することで、即ちC(炭素原子)−L2結合が開裂することで、これに伴いさらに電子を1つ放出し得る化合物である。
 但しタイプ2に属する化合物は分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物である。より好ましくは2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を吸着性基として有する化合物である。吸着基の数は、好ましくは2〜6、さらに好ましくは、2〜4が良い。吸着性基については後述する。
 一般式(2)においてRED2は一般式(1−2)のRED12と同義の基を表し、その好ましい範囲も同じである。L2はカルボキシ基またはその塩を表し、塩を形成するカウンターイオンについては一般式(1−1)のL11について説明したのと同じであり、その好ましい範囲も同じである。R21、R22は水素原子または置換基を表し、これらは一般式(1−1)のR112と同義の基であり、その好ましい範囲も同じである。RED2とR21とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
 ここで形成される環構造とは、5員もしくは6員の、単環もしくは縮合環の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のジヒドロ体に相当する環構造で、置換基を有していてもよい。
 環構造の具体例としては、例えば2−ピロリン環、2−イミダゾリン環、2−チアゾリン環、1,2−ジヒドロピリジン環、1,4−ジヒドロピリジン環、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、ベンゾ−α−ピラン環、1,2−ジヒドロキノリン環、1,2−ジヒドロキナゾリン環、1,2−ジヒドロキノキサリン環などが挙げられる。好ましくは、2−イミダゾリン環、2−チアゾリン環、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、1,2−ジヒドロピリジン環、1,2−ジヒドロキノリン環、1,2−ジヒドロキナゾリン環、1,2−ジヒドロキノキサリン環などが挙げられ、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、1,2−ジヒドロキノリン環がより好ましく、インドリン環が特に好ましい。
 次にタイプ3に属する化合物について説明する。 
 タイプ3に属する化合物は1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得ることを特徴とする化合物であり、ここに結合形成反応とは炭素−炭素、炭素−窒素、炭素−硫黄、炭素−酸素などの原子間結合の形成を意味する。
 タイプ3に属する化合物は好ましくは、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続いて分子内に共存する炭素−炭素2重結合部位または炭素−炭素3重結合部位と反応して結合を形成した後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得ることを特徴とする化合物である。
 タイプ3に属する化合物が1電子酸化されて生成する1電子酸化体とはカチオンラジカル種であるが、そこからプロトンの脱離を伴って中性のラジカル種となる場合も在り得る。この1電子酸化体(カチオンラジカル種もしくはラジカル種)が、同じ分子内に共存する炭素−炭素2重結合部位または炭素−炭素3重結合部位に、一般に「付加環化反応」と呼ばれる形式の化学反応を起し、炭素−炭素、炭素−窒素、炭素−硫黄、炭素−酸素などの原子間結合を形成して、分子内に新たな環構造を形成する。その際同時に、もしくはその後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子が放出される点にタイプ3に属する化合物の特徴がある。
 さらに詳細に述べるとタイプ3に属する化合物は、1電子酸化された後にこの付加環化反応により新たに環構造を有するラジカル種を生成するが、このラジカル種から直接もしくはプロトンの脱離を伴って、さらに2電子目の電子が放出され、酸化される特徴を有している。
 タイプ3に属する化合物にはさらに、そうして生成した2電子酸化体がその後、ある場合には加水分解反応を受けた後に、またある場合には直接、プロトンの移動に伴なう互変異性化反応を起して、そこからさらに1電子以上、通常2電子以上の電子を放出し、酸化される能力を有しているものが含まれる。あるいはまたこうした互変異性化反応を経由せずに、直接その2電子酸化体から、さらに1電子以上、通常2電子以上の電子を放出し、酸化される能力を有しているものが含まれる。 
 タイプ3に属する化合物は好ましくは、一般式(3)で表される。
 一般式(3)においてRED3は、一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。 
 RED3として好ましくは、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、またはヒドロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、メチル基およびアミノ基からなる群から選択される基で置換されたアリール基もしくはヘテロ環基である。
 RED3がアリールアミノ基を表すとき、例えばアニリノ基、ナフチルアミノ基などが挙げられる。ヘテロ環アミノ基のヘテロ環は、芳香族または非芳香族の、単環または縮合環のヘテロ環であり、少なくとも一つの芳香族環を部分構造として含んでいるのが好ましい。ここで芳香族環を部分構造として含むとは、1)ヘテロ環自体が芳香族環である、2)ヘテロ環に芳香族環が縮環している、3)ヘテロ環に芳香族環が置換している、のいずれであってもよいが、1)または2)が好ましい。ここにアミノ基は該ヘテロ環に部分構造として含まれる芳香族環上に直接置換されている。該ヘテロ環としては例えばピロール環、インドール環、インドリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイミダゾリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアゾリン環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾオキサゾリン環、キノリン環、テトラヒドロキノリン環、キノキサリン環、テトラヒドロキノキサリン環、キナゾリン環、テトラヒドロキナゾリン環、ピリジン環、イソキノリン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、フェナジン環等が挙げられる。
 RED3がアリールアミノ基またはヘテロ環アミノ基を表すとき、ここにアリールアミノ基のアミノ基、およびヘテロ環アミノ基のアミノ基は、さらに任意の置換基で置換されていてもよく、この置換基によって、該アリール基または該ヘテロ環基とさらに環構造を形成していてもよい。この様な例としては、例えば、インドリン環、テトラヒドロキノリン環、カルバゾール環などが挙げられる。
 RED3がヒドロキシ基、メルカプト基、メチル基、アルキルチオ基またはアミノ基などで置換されたアリール基またはヘテロ環基を表すとき、ここにアリール基とはフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、ヘテロ環基のヘテロ環としては、「ヘテロ環アミノ基のヘテロ環」について説明したのと同じものが挙げられる。
またここでメチル基は任意の置換基を有していてもよく、さらにこの置換基によってアリール基またはヘテロ環基と環構造を形成していてもよい。この様な環構造としては、例えばテトラリン環、インダン環などが挙げられる。一方アミノ基も、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を置換基として有していてもよく、さらにこれら置換基によってアリール基またはヘテロ環基と環構造を形成していてもよい。この様な環構造としては、例えばテトラヒドロキノリン環、インドリン環、カルバゾール環等が挙げられる。
 RED3は、好ましくはアリールアミノ基、あるいはヒドロキシ基、メルカプト基、メチル基またはアミノ基で置換されたアリール基またはヘテロ環基であり、さらに好ましくはアリールアミノ基、あるいはメルカプト基、メチル基またはアミノ基で置換されたアリール基またはヘテロ環基である。RED3は特に好ましくはアリールアミノ基、あるいはメチル基またはアミノ基で置換されたアリール基またはヘテロ環基である。
 アリールアミノ基としてはアニリノ基、ナフチルアミノ基が好ましく、特にアニリノ基が好ましい。アニリノ基の置換基としては、クロル原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、スルホンアミド基、アルコシキカルボニル基、シアノ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、ヘテロ環基などが好ましい。
 ヒドロキシ基で置換されたアリール基もしくはヘテロ環基として好ましくは、例えばヒドロキシフェニル基、5−ヒドロキシインドリン環基、6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環基などが挙げられ、中でもヒドロキシフェニル基が特に好ましい。
 メルカプト基で置換されたアリール基もしくはヘテロ環基として好ましくは、例えば、メルカプトフェニル基、5−メルカプトインドリン環基、6−メルカプト−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環基などが挙げられ、中でもメルカプトフェニル基が特に好ましい。
 メチル基で置換されたアリール基もしくはヘテロ環基として好ましくは、例えばメチルフェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、3−メチルインドール環基、3−イソプロピルインドール環基、5−メチルインドール環基、5−メチルインドリン環基、6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環基、6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン環基等が挙げられる。
 アミノ基で置換されたアリール基もしくはヘテロ環基として好ましくは、例えば、メチルアミノフェニル基、オクチルアミノフェニル基、ドデシルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ベンジルアミノフェニル基、フェニルアミノフェニル基、メチルアミノナフチル基、5−メチルアミノテトラリン、1−ブチルアミノ−3,4−メチレンジオキシフェニル基、3−メチルアミノピロール環基、3−エチルアミノインドール環基、5−ベンジルアミノインドリン環基、2−アミノイミダゾール環基、2−メチルアミノチアゾール環基、6−フェニルアミノベンゾチアゾール環基などが挙げられる。これらのうちさらに好ましくはアルキルアミノ基またはフェニルアミノ基で置換されたフェニル基であり、特に好ましくはアルキルアミノ基で置換されたフェニル基である。
 ヒドロキシ基、メルカプト基、メチル基またはアミノ基で置換されたアリール基またはヘテロ環基が有する置換基としては、クロル原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、スルホンアミド基、アルコシキカルボニル基、シアノ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、ヘテロ環基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基などが好ましい。
 一般式(3)においてY3で表される反応性基とは、具体的には炭素−炭素2重結合部位または炭素−炭素3重結合部位を少なくとも1つ含む有機基を表す。炭素−炭素2重結合部位を有する有機基としては、置換または無置換のビニル基が挙げられ、炭素−炭素3重結合部位を有する有機基としては、置換または無置換のエチニル基が挙げられる。該炭素−炭素2重結合または炭素−炭素3重結合部位を少なくとも1つ含む有機基は置換基を有していてもよく、置換基としては、一般式(1−1)のRED11が有していてもよい置換基として説明したものと同じものが挙げられる。好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、シアノ基、電子供与性基などである。ここに電子供与性基とは、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、活性メチン基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、およびこれらの基を置換基に有するアリール基である。ここで活性メチン基とは、2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、イミノ基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
 Y3が炭素−炭素2重結合部位を少なくとも1つ含む基を表すとき、その置換基としてより好ましくは、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、電子供与基などであり、ここに電子供与性基として好ましくは、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、活性メチン基、メルカプト基、アルキルチオ基、およびこれら電子供与性基を置換基に有するフェニル基である。また置換基としてアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基などが互いに結合して炭素−炭素2重結合を含む環構造を形成する場合も好ましく、具体的には、例えば2,3−ジヒドロ−γ−ピラン環基、シクロヘキセン環基、1−チア−2−シクロヘキセン−3−イル基、テトラヒドロピリジン環基などが挙げられる。
 Y3が炭素−炭素2重結合部位を少なくとも1つ含む有機基を表す時、その置換基が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ここに形成される環状構造は、非芳香族の、5員〜7員の炭素環もしくはヘテロ環である。Y3が炭素−炭素3重結合部位を少なくとも1つ含む基を表すとき、その置換基としては水素原子、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、電子供与基などが好ましく、ここに電子供与性基として好ましくは、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、活性メチン基、メルカプト基、アルキルチオ基、およびこれら電子供与性基を置換基に有するフェニル基である。
 一般式(3)においてY3で表される反応性基としてより好ましくは、炭素−炭素2重結合を少なくとも1つ含む有機基である。
 一般式(3)においてL3は、RED3とY3とを連結する連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN−、−C(=O)−、−SO2−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。L3で表される連結基は置換基を有していてもよい。置換基としては、一般式(1−1)のRED11が有していてもよい置換基として説明したものと同じものが挙げられる。
 一般式(3)のL3で表される基は、一般式(3)のRED3が酸化されて生成するカチオンラジカル種、またはそこからプロトンの脱離を伴って生成するラジカル種と、一般式(3)のY3で表される反応性基とが反応して結合形成する際、これに関わる原子団が、L3を含めて3〜7員の環状構造を形成しうることが好ましい。
 L3の好ましい例としては、単結合、アルキレン基、アリーレン基(特にフェニレン基)、−C(=O)−基、−O−基、−NH−基、−N(アルキル基)−基、およびこれらの基の組み合わせからなる2価の連結基が挙げられる。
 一般式(3)で表される化合物のうち、好ましい化合物は、以下の一般式(I)〜(IV)によって表される。
Figure 2004126566
 一般式(I)〜(IV)においてA100、A200、A300、A400はアリール基またはヘテロ環基を表し、その好ましい範囲は一般式(3)のRED3の好ましい範囲と同じである。ただし、A100、A200、およびA400は、アリール基又はヘテロ環基から水素原子を1つ除いた2価の基を表す。L301、L302、L303、L304は連結基を表し、これは一般式(3)のL3と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。Y100、Y200、Y300、Y400は反応性基を表し、これは一般式(3)のY3と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。R3100、R3110、R3200、R3210、R3310は水素原子または置換基を表す。R3100、R3110は好ましくは水素原子、アルキル基またはアリール基である。R3200、R3310は好ましくは水素原子である。R3210は好ましくは置換基であり、置換基として好ましくはアルキル基またはアリール基である。R3110はA100と、R3210はA200と、R3310はA300と、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい。ここに形成される環構造として好ましくは、テトラリン環、インダン環、テトラヒドロキノリン環、インドリン環などである。X400はヒドロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基を表し、好ましくはヒドロキシ基、メルカプト基で、より好ましくはメルカプト基である。
 ここで一般式(I)〜(IV)と一般式(3)との関係を説明すると、一般式(I)のA100は−CH(R3110)(R3100)で置換されたアリール基またはヘテロ環基を表し、一般式(II)のA200は−N(R3210)(R3200)で置換されたアリール基もしくはヘテロ環基を表し、一般式(IV)のA400はX400で表されるヒドロキシ基、メルカプト基、またはアルキルチオ基で置換されたアリール基もしくはヘテロ環基を表し、一般式(III)のA300−N(R3310)−で表される基は同様にアリールアミノ基またはヘテロ環アミノ基を表す。
 一般式(I)〜(IV)のうち、より好ましい化合物は、一般式(I)、(II)、(IV)で表される化合物である。
 次にタイプ4に属する化合物について説明する。 
 タイプ4に属する化合物は還元性基の置換した環構造を有する化合物であり、該還元性基が1電子酸化された後、環構造の開裂反応を伴ってさらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出しうる化合物である。
 タイプ4に属する化合物は1電子酸化を受けた後に環構造が開裂する。ここで言う環の開裂反応は、次の反応式で表される形式のものを指す。
Figure 2004126566
 上記反応式中、化合物aはタイプ4に属する化合物を表す。化合物a中、Dは還元性基を表し、X、Yは環構造中の1電子酸化後に開裂する結合を形成している原子を表す。まず化合物aが1電子酸化されて1電子酸化体bを生成する。ここからD-Xの単結合が2重結合になると同時にX-Yの結合が切断され開環体cが生成する。あるいはまた1電子酸化体bからプロトンの脱離を伴ってラジカル中間体dが生成し、ここから同様に開環体eを生成する経路をとる場合もある。このように生成した開環体cまたはeから、引き続きさらに1つ以上の電子が放出される点に本発明の化合物の特徴がある。
 タイプ4に属する化合物が有する環構造とは、3〜7員環の炭素環またはヘテロ環であり、単環もしくは縮環の、飽和もしくは不飽和の非芳香族の環を表す。好ましくは飽和の環構造であり、より好ましくは3員環あるいは4員環である。好ましい環構造としてはシクロプロパン環、シクロブタン環、オキシラン環、オキセタン環、アジリジン環、アゼチジン環、エピスルフィド環、チエタン環が挙げられる。より好ましくはシクロプロパン環、シクロブタン環、オキシラン環、オキセタン環、アゼチジン環であり、特に好ましくはシクロプロパン環、シクロブタン環、アゼチジン環である。環構造は置換基を有していても良い。
 タイプ4に属する化合物は好ましくは一般式(4−1)または(4−2)で表される。 
 一般式(4−1)および一般式(4−2)においてRED41およびRED42は、それぞれ一般式(1−2)のRED12と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。R40〜R44およびR45〜R49は、それぞれ水素原子または置換基を表す。置換基としてはRED12が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。一般式(4−2)においてZ42は、−CR420R421−、−NR423−、または−O−を表す。ここにR420、R421は、それぞれ水素原子または置換基を表し、R423は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
 一般式(4−1)においてR40は、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基を表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基である。
 R41〜R44は、これらのうち少なくとも1つがドナー性基である場合と、R41とR42、あるいはR43とR44がともに電子求引性基である場合が好ましい。より好ましくはR41〜R44の少なくとも1つがドナー性基である場合である。電子求引性基は、既に活性メチン基についての説明の中で説明したものと同じである。さらに好ましくはR41〜R44の少なくとも1つがドナー性基であり且つ、R41〜R44の中でドナー性基でない基が水素原子またはアルキル基である場合である。
 ここで言うドナー性基とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、活性メチン基、あるいはRED41およびRED42として好ましい基の群から選ばれる基である。ドナー性基として好ましくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、窒素原子を環内に1つ持つ5員環の芳香族ヘテロ環基(単環でも縮環でもよい)、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、少なくとも1つの電子供与性基で置換されたフェニル基(ここでは電子供与性基はヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、または窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基を表す)が用いられる。より好ましくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、窒素原子を環内に1つ持つ5員環の芳香族ヘテロ環基(ここでは芳香族ヘテロ環はインドール環、ピロール環、カルバゾール環を表す)、電子供与性基で置換されたフェニル基(ここでは特に3つ以上のアルコキシ基で置換されたフェニル基、ヒドロキシ基またはアルキルアミノ基またはアリールアミノ基で置換されたフェニル基を表す)が用いられる。特に好ましくはアリールアミノ基、窒素原子を環内に1つ持つ5員環の芳香族ヘテロ環基(ここでは3−インドリル基を表す)、電子供与性基で置換されたフェニル基(ここでは特にトリアルコキシフェニル基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基で置換されたフェニル基を表す)が用いられる。
 一般式(4−2)においてR45の好ましい範囲は、上述の一般式(4−1)のR40のそれと同じである。
 R46〜R49として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、メルカプト基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基である。特に好ましいR46〜R49は、Z42が−CR420R421−で表される基の場合には水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基であり、Z42が−NR423−を表す場合には水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、Z42が−O−を表す場合には水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。
 Z42として好ましくは−CR420R421−または−NR423−であり、より好ましくは−NR423−である。
 R420、R421は好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、アシルアミノ基、スルホンアミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基である。R423は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基を表し、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t-アミル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、アリル基、フェニル基、ナフチル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−チアゾリル基である。
 R40〜R49およびR420、R421、R423の各基が置換基である場合にはそれぞれ総炭素数が40以下のものが好ましく、より好ましくは総炭素数30以下で、特に好ましくは総炭素数15以下である。またこれらの置換基は互いに結合して、あるいは分子中の他の部位(RED41、RED42あるいはZ42)と結合して環を形成していても良い。
 本発明のタイプ1、3、4に属する化合物は、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を少なくとも1つ有する化合物」であることが好ましい。タイプ2に属する化合物は、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。
 本発明のタイプ1〜4に属する化合物においてハロゲン化銀への吸着性基とは、ハロゲン化銀に直接吸着する基、またはハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(またはその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、またはエチニル基である。
 但し、本発明のタイプ2に属する化合物においては、吸着性基としてスルフィド基は含まれない。
 吸着性基としてメルカプト基(またはその塩)とは、メルカプト基(またはその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(またはその塩)の置換したヘテロ環基またはアリール基またはアルキル基を表す。ここにヘテロ環基は、5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基で、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、トリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていてもよく、この様なヘテロ環基の例としてはイミダゾリウム環基、ピラゾリウム環基、チアゾリウム環基、トリアゾリウム環基、テトラゾリウム環基、チアジアゾリウム環基、ピリジニウム環基、ピリミジニウム環基、トリアジニウム環基などが挙げられ、中でもトリアゾリウム環基(例えば1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート環基)が好ましい。アリール基としてはフェニル基またはナフチル基が挙げられる。アルキル基としては炭素数1〜30の直鎖または分岐または環状のアルキル基が挙げられる。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li+、Na+、K+、Mg2+、Ag+、Zn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
 吸着性基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていてもよく、具体的にはチオアミド基(ここでは−C(=S)−NH−基)、および該チオアミド基の部分構造を含む基、すなわち、鎖状もしくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、またはジチオカルバミン酸エステル基などが挙げられる。ここで環状の例としてはチアゾリジン−2−チオン基、オキサゾリジン−2−チオン基、2−チオヒダントイン基、ローダニン基、イソローダニン基、チオバルビツール酸基、2−チオキソ−オキサゾリジン−4−オン基などが挙げられる。
 吸着性基としてチオン基とは、上述のメルカプト基が互変異性化してチオン基となった場合を含め、メルカプト基に互変異性化できない(チオン基のα位に水素原子を持たない) 、鎖状もしくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、またはジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
 吸着性基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、または配位結合で銀イオンに配位し得る、“−S−”基または“−Se−”基または“−Te−”基または“=N−”基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、ベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。好ましくは前者である。
 吸着性基としてスルフィド基またはジスルフィド基とは、“−S−”または“−S−S−”の部分構造を有する基すべてが挙げられるが、好ましくはアルキル(またはアルキレン)−X−アルキル(またはアルキレン)、アリール(またはアリーレン)−X−アルキル(またはアルキレン)、アリール(またはアリーレン)−X−アリール(またはアリーレン)の部分構造を有する基で、ここにXは−S−基または−S−S−基を表す。さらにこれらのスルフィド基またはジスルフィド基は、環状構造を形成していてもよく、環状構造を形成する場合の具体例としてはチオラン環、1,3−ジチオラン環、1,2−ジチオラン環、チアン環、ジチアン環、チオモルホリン環などを含む基が挙げられる。スルフィド基として特に好ましくはアルキル(またはアルキレン)−S−アルキル(またはアルキレン)の部分構造を有する基が、またジスルフィド基として特に好ましくは1,2−ジチオラン環基が挙げられる。
 吸着性基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。ここにアンモニオ基とは、トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリールアンモニオ基、アルキルジアリールアンモニオ基などで、例えばベンジルジメチルアンモニオ基、トリヘキシルアンモニオ基、フェニルジエチルアンモニオ基などが挙げられる。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。好ましくはピリジニオ基およびイミダゾリオ基であり、特に好ましくはピリジニオ基である。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよいが、ピリジニオ基およびイミダゾリオ基の場合、置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、クロル原子、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などが挙げられ、ピリジニオ基の場合、置換基として特に好ましくはフェニル基である。
 吸着性基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。 
 上記の吸着性基は任意の置換基を有していてもよい。 
 なお吸着性基の具体例としては、さらに特開平11−95355号公報p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
 吸着性基としてより好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、ジメルカプト置換ヘテロ環基(例えば2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。吸着性基は、一般式(1−1)〜(4−2)のどこに置換されていてもよいが、一般式(1−1)〜(3)においては、RED11、RED12、RED2、RED3に、一般式(4−1)、(4−2)においては、RED41、R41、RED42、R46〜R48に置換されていることが好ましく、さらに、一般式(1−1)〜(4−2)の全てにおいて、RED11〜RED42に置換されていることがより好ましい。
 分光増感色素の部分構造とは、分光増感色素の発色団を含む基であり、分光増感色素化合物から任意の水素原子または置換基を除いた残基である。分光増感色素の部分構造は、一般式(1−1)〜(4−2)のどこに置換されていてもよいが、一般式(1−1)〜(3)においては、RED11、RED12、RED2、RED3に、一般式(4−1)、(4−2)においては、RED41、R41、RED42、R46〜R48に置換されていることが好ましく、さらに、一般式(1−1)〜(4−2)の全てにおいて、RED11〜RED42に置換されていることがより好ましい。好ましい分光増感色素は、典型的にカラー増感技法で用いられる分光増感色素であり、例えばシアニン色素類、複合シアニン色素類、メロシアニン色素類、複合メロシアニン色素類、同極のシアニン色素類、スチリル色素類、ヘミシアニン色素類を含む。代表的な分光増感色素は、リサーチディスクロージャー、アイテム36544、1994年9月に開示されている。前記リサーチディスクロージャー、もしくはF.M.HameRのThe CyaninEDyes and RelatED Compounds (InteRscience PublisheRs, New ypRk, 1964)に記載される手順によって当業者は、これらの色素を合成することができる。さらに特開平11−95355号公報のp7〜p14(米国特許6,054,260号明細書)に記載された色素類が全てそのまま当てはまる。
 本発明のタイプ1〜4に属する化合物は、その総炭素数が10〜60の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜50、さらに好ましくは11〜40であり、特に好ましくは12〜30である。
 本発明のタイプ1〜4に属する化合物は、これを用いたハロゲン化銀写真感光材料が露光されることを引き金に1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに1電子、あるいはタイプによっては2電子以上の電子が放出され、酸化されるが、その1電子目の酸化電位は、約1.4V以下が好ましく、さらには1.0V以下が好ましい。この酸化電位は好ましくは0Vより高く、より好ましくは0.3Vより高い。従って酸化電位は好ましくは約0〜約1.4V、より好ましくは約0.3〜約1.0Vの範囲である。
 ここに酸化電位はサイクリックボルタンメトリーの技法で測定でき、具体的には試料をアセトニトリル:水(0.1Mの過塩素酸リチウムを含む)=80%:20%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、ガラス状のカーボンディスクを動作電極に用い、プラチナ線を対電極に用い、そしてカロメル電極(SCE)を参照電極に用いて、25℃で、0.1V/秒の電位走査速度で測定したものである。サイクリックボルタンメトリー波のピーク電位の時に酸化電位対SCEをとる。
 本発明のタイプ1〜4に属する化合物が1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに1電子を放出する化合物である場合には、この後段の酸化電位は好ましくは−0.5V〜−2Vであり、より好ましくは−0.7V〜2Vであり、さらに好ましくは−0.9V〜−1.6Vである。
 本発明のタイプ1〜4に属する化合物が1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに2電子以上の電子を放出し、酸化される化合物である場合には、この後段の酸化電位については特に制限はない。2電子目の酸化電位と3電子目以降の酸化電位が明確に区別できない点で、これらを実際に正確に測定し区別することは困難な場合が多いためである。
 以下に本発明のタイプ1〜4に属する化合物の具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2004126566
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 本発明のタイプ1〜4に属する化合物は、それぞれ特願2002−192373号、特願2002−192374号、特願2002−188537号、特願2002−188536号、特開2003−75950号の明細書において、詳細に説明した化合物と同じものである。これら特許出願明細書に記載した具体的化合物例もまた、本発明のタイプ1〜4に属する化合物の具体例として挙げることができる。また本発明のタイプ1〜4に属する化合物の合成例も、これら特許に記載したものと同じである。
 本発明のタイプ1〜4に属する化合物は、乳剤調製時、感材製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時、塗布前である。
 本発明のタイプ1〜4に属する化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。
 本発明のタイプ1〜4に属する化合物は、乳剤層中に使用するのが好ましいが、乳剤層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9〜5×10-2モル、更に好ましくは1×10-8〜2×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
 本発明のハロゲン化銀写真感光材料は酸化電位が0.18eVから0.90eVを示す化合物の少なくとも1種を含有する層を有することが好ましく、更に好ましくは該化合物が、上述した一般式(1−1)〜一般式(4−2)で表される化合物の中から選ばれた化合物を少なくとも1種含有するハロゲン化銀乳剤層に含まれることである。ここで酸化電位は前述と同様のサイクリックボルタンメトリーの技法で測定できる。
 以下に、本発明の酸化電位が0.18eVから0.90eVを示す化合物を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
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 本発明のハロゲン化銀乳剤粒子は後述する硫黄増感剤、セレン増感剤およびテルル増感剤のうち少なくとも一種の増感剤を用いて化学増感を行うことが好ましく、化学増感工程後に更にハロゲン化銀により各粒子の平均シェル厚が20nm以下でシェル付けされていると本発明の効果が大きい。より好ましくは、平均シェル厚は10nm以下である。
 シェル付けにおいて、ハロゲン化銀微粒子、あるいは臭素、塩素または沃素のアルカリ金属塩を少なくとも一種含有する水溶液のようなハロゲンイオンを含む溶液と銀イオンを含む溶液を添加あるいはハロゲン化銀微粒子と銀イオンを含む溶液の併用添加、のいずれの方法でも良い。
 またシェル付けにおいてハロゲン化銀微粒子を用いる場合には、ハロゲン化銀微粒子が含む塩化銀量はハロゲン化銀微粒子中に0mol%以上かつ10mol%以下であることが望ましく、ハロゲン化銀微粒子の代わりにハロゲンイオンを含む溶液と銀イオンを含む溶液を添加した場合には、添加される塩化物イオンが、当該ハロゲンイオンを含む溶液中の総ハロゲンイオンの0mol%以上かつ10mol%以下となることが望ましい。
 上記シェル付けで用いられるハロゲン化銀の使用量はシェル付けの対象となるハロゲン化銀粒子に対して0.05mol%以上20mol%以下であり、望ましくは0.2mol%以上15mol%以下である。
 本発明で用いるハロゲン化銀粒子は0.5mol%以上22mol%以下の沃化銀を含むことが好ましい。さらに好ましくは、沃化銀含有率が1mol%以上10mol%以下であることである。沃化銀含有率が異なる層間の境界は明確なものであっても、連続的になだらかに変化しているものであっても良い。粒子形成時において、ヨードイオンは後述する成長過程の途中からそれ以降の沃化銀含有率が均一になるように添加しても良い、最初は高濃度で後ほど低濃度あるいは最初は低濃度で後ほど高濃度あるいはヨードイオン濃度が途中で変化しても良い。沃化銀の導入はヨードイオンを含むハロゲンイオン溶液と硝酸銀溶液の同時添加でも良いし、別々の添加でも良い。粒子中にヨードイオンが取り込まれる条件においてヨードイオンを含む溶液のみを添加するだけでも良い。また沃化銀微粒子を添加する方法を用いても良い。粒子形成途上のヨードギャップ導入により粒子の主表面あるいは周囲部に転位線は入っても入らなくとも良い。
 粒子の形状については正常晶でも、平板状粒子でも良い。平板状粒子は、互いに平行な主表面とこれらの主表面を連結する側面を有する。平板状粒子には、通常、主平面間に1または2の双晶面がある。本発明において用いる平板状粒子は、上記記載のように双晶面を含む平板状粒子でも良い。しかしながら、平板状粒子についてより好ましくは平均の投影面積直径が0.08μm以上でかつ2.0μm以下であることである。立方体の正常晶の場合、その一辺の長さは、0.2μm以下が好ましい。特に好ましくは平均の投影面積直径が0.1μm以上でかつ0.8μm以下であることである。最も好ましくは平均の投影面積直径が0.15μm以上でかつ0.5μm以下であることである。
 粒子の投影面積直径の分布の変動係数は、30%以下が好ましく、25%以下が更に好ましい。ここで投影面積直径ならびにアスペクト比は参照用のラテックス球とともにシャドーをかけたカーボンレプリカ法による電子顕微鏡写真から測定することができる。平板状粒子は、主平面に対して垂直方向から見た時に、通常六角形、三角形もしくは円形状の形態をしているが、該投影面積と等しい面積の円の相当直径を投影面積直径とする。投影面積直径を平板状粒子の厚みで割った値がアスペクト比である。平板状粒子の主平面の形状は六角形の比率が高いほど好ましく、また、六角形の各隣接する辺の長さの比は1:2以下であることが好ましい。ここで、平均の投影面積直径およびアスペクト比は、均一な乳剤に含有される100個以上の粒子の投影面積直径および粒子厚みの平均値から求めたものをいう。
 平板状粒子における本発明の効果は、平板状粒子のアスペクト比がある程度高いほど良く、好ましくは平板状粒子の全投影面積の50%以上がアスペクト比5以上の粒子で占められることである。アスペクト比があまり大きくなりすぎると、前述した粒子サイズ分布の変動係数が大きくなる方向になるために、通常アスペクト比は20以下が好ましい。
 本発明において好ましい平板状沃臭化銀乳剤を含む本発明の乳剤は、種々の方法によって調製することが可能である。一例を挙げると、平板状粒子の調製は通常、核形成、熟成ならびに成長の基本的に3工程よりなる。核形成の工程においては米国特許4,713,320号および同4,942,120号明細書に記載のメチオニン含有量の少ないゼラチンを用いること、米国特許4,914,014号明細書に記載の高pBrで核形成を行うこと、特開平2−222940号公報に記載の短時間で核形成を行うことは本発明で好ましい平板状粒子乳剤の核形成工程において極めて有効である。熟成工程において米国特許5,254,453号明細書に記載の低濃度のベースの存在下で行うこと、米国特許5,013,641号明細書に記載の高いpHでおこなうことは、本発明の粒子の平板部の熟成工程において有効である場合がある。成長工程においては、米国特許5,248,587号明細書に記載の低温で成長をおこなうこと、米国特許4,672,027号、および同4,693,964号明細書に記載の沃化銀微粒子を用いることは本発明の乳剤粒子の成長工程において特に有効である。
 本発明のハロゲン化銀乳剤粒子は、下記一般式で表されるアゾール系マゼンタカプラーを少なくとも一種含有するハロゲン化銀カラー反転感光材料において用いると効果が増大する。
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 一般式(MC−I)の式中、R1は水素原子または置換基を表し、G1、G2はいずれか一方が炭素原子、もう一方が窒素原子を表し、R2は置換基を表し、G1、G2のうち炭素原子であるほうに置換する。R1またはR2は更に置換基を有していても良く、またR1、R2を介して一般式(MC−I)の多量体を形成していても良く、R1またはR2を介して高分子鎖に結合していても良い。Xは、水素原子または芳香族第1級アミンカラー現像主薬の酸化体とのカップリング反応により離脱する基を表す。
 以下一般式(MC−I)について説明する。 
 式中R1は水素原子または置換基を、R2は置換基を表し、置換基の例としてはハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
 更に詳しくは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基(好ましくは炭素数1から30の置換または無置換のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族ヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−(n−ヘキサデシルオキシ)フェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(アニリノ基を含む)(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−(n−オクチルオキシ)フェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−(n−オクチル)アミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数3から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニル−テトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−(n−オクチルオキシ)フェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−(t−ブチル)フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)。
 上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのように構成される置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
 このうちR1としては水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環チオ基が好ましく、これらは置換基を有していても良い。
 R1としてより好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)であり、更に好ましくは総炭素数3〜15の第2級または第3級アルキル基であり、炭素数4〜10の第3級アルキル基が最も好ましい。
 G1、G2はいずれか一方が窒素原子であり、残る一方は炭素原子であり、炭素原子である方に一般式(MC−I)で示したR2が置換する。本発明ではG1が炭素原子、G2が窒素原子であり、R2がG1に置換しているものが好ましい。
 R2として好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシルアミノ基を挙げることができ、更にR2は炭素数6以上30以下のアルキル基またはアリール基を部分構造として含有する総炭素数6以上70以下の基であり、一般式(MC−I)のカプラーに不動性を付与していることが好ましい。
 またはR2がアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシルアミノ基およびこれらの組み合わされた基を介して高分子鎖に結合している基であり、一般式(MC−I)のカプラーに不動性を付与していることも好ましい。
 本明細書において、「アリール基を部分構造として含有する」基とは、その基がアリール基によって置換されている場合の他に、その基自体がアリール基である場合も含まれる。アリール基以外の基(例えばアルキル基)を部分構造として含有する場合についても同様である。即ち、ある基が「アルキル基を部分構造として含有する」とは、その基にアルキル基が置換している場合と、その基自体がアルキル基である場合とが含まれる。
 Xは水素原子または芳香族第1級アミンカラー現像薬酸化体とのカップリング反応において離脱可能な基を表す。水素原子以外の離脱可能な基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホンアミド基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル、アリールもしくはヘテロ環チオ基、カルバモイルアミノ基、カルバモイルオキシ基、5員もしくは6員の含窒素ヘテロ環基、イミド基、アリールアゾ基などがあり、これらの基は更にR2で置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
 さらに詳しくは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばエトキシ、ドデシルオキシ、メトキシエチルカルバモイルメトキシ、カルボキシプロピルオキシ、メチルスルホニルエトキシ、エトキシカルボニルメトキシ)、アリールオキシ基(例えば4−メチルフェノキシ、4−クロロフェノキシ、4−メトキシフェノキシ、4−カルボキシフェノキシ、4−メトキシカルボキシフェノキシ、4−カルバモイルフェノキシ、3−エトキシカルボキシフェノキシ、3−アセチルアミノフェノキシ、2−カルボキシフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、テトラデカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、アシルアミノ基(例えばジクロルアセチルアミノ、ヘプタフルオロブチロイルアミノ)、アルキルもしくはアリールスルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミノ、トリフルオロメタンスルホンアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えばエトキシカルボニルオキシ、ベンジルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、アルキル、アリールもしくはヘテロ環チオ基(例えばドデシルチオ、1−カルボキシドデシルチオ、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、テトラゾリルチオ)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、モルホリニルカルボニルオキシ、ピロリジニルカルボニルオキシ)、5員もしくは6員の含窒素ヘテロ環基(例えばイミダゾール、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)、イミド基(例えばスクシンイミド、ヒダントイニル)、アリールアゾ基(例えばフェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ)などである。Xは、これら以外に炭素原子を介して結合した離脱基としてアルデヒド類又はケトン類で4当量カプラーを縮合して得られるビス型カプラーの型を取る場合もある。
 好ましいXは、水素原子、ハロゲン原子、アリールオキシ基、アルキルもしくはアリールチオ基、カップリング活性位に窒素原子で結合する5員もしくは6員の含窒素ヘテロ環基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、置換されていてもよいフェノキシ基であり、本発明では水素原子が処理依存性のバランスの点で最も好ましい。
 一般式(MC−I)で表されるカプラーのうち好ましいものは、R1が2級または3級のアルキル基、またはアリール基であり、G1が炭素原子、G2が窒素原子であり、R2が置換アルキル基または置換アリール基であり、R2に置換する置換基としてアルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アシル基、ハロゲン原子から選ばれる基であり、Xが水素原子、塩素原子、または置換されていても良いフェノキシ基であるものである。うち、Xが水素原子であるものがより好ましい。
 一般式(MC−I)のうち更に好ましいものとしてR2が下記一般式(BL−1)乃至一般式(BL−2)で表される置換基である化合物を挙げることが出来る。
Figure 2004126566
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 一般式(BL−1)の式中R3、R4、R5、R6、R7は水素原子または置換基を表し、これらのうち少なくとも1つは総炭素数4以上70以下の、置換または無置換のアルキル基を部分構造として含む置換基、または総炭素数6以上70以下の、置換または無置換のアリール基を部分構造として含む置換基を表す。
 以下一般式(BL−1)で表される基について説明する。R3、R4、R5、R6、R7は各々独立に水素原子または置換基を表し、置換基である場合、置換基の例としてはR2の項で挙げたものが挙げられる。R3、R4、R5、R6、R7のうち少なくとも1つは総炭素数4以上70以下の、置換または無置換のアルキル基を部分構造として含む置換基、または総炭素数6以上70以下の置換または無置換のアリール基を部分構造として含む置換基であるが、好ましくは総炭素数4以上(アリール基を含む場合6以上)70以下の、置換または無置換のアルキル基またはアリール基を部分構造として含むアルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホニル基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルキル基、アリール基である。
 中でも炭素数4以上70以下のアルキル基、および炭素数4以上70以下のアルキル基を部分構造として含むアルコキシ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基が好ましい。
 特にR3が、またはR4とR6の2つが上記総炭素数4以上(アリール基を含む場合は6以上)70以下の、置換または無置換のアルキル基またはアリール基を部分構造として含む置換基であることが好ましい。
 一般式(BL−2)の式中G3は置換または無置換のメチレン基を表し、aは1から3の整数を表し、G4は−O−、−SO2−、−CO−を表し、R8は水素原子またはアルキル基、アリール基を表し、R9は総炭素数6以上70以下の、置換または無置換のアルキル基またはアリール基を部分構造として含む置換基を表す。
 R9が置換基を有する場合は置換基としてはR2の項で挙げたものが挙げられる。
 aが2以上であるとき複数のG3は全て同じであっても異なっていても良い。
 G3で表される置換または無置換のメチレン基は、単なるメチレン、または炭素数1以上20以下のアルキル基、または置換または無置換のフェニル基で置換されたメチレン基であることが好ましい。aは1から3の自然数を表すが、1または2が好ましい。
 より好ましくは(G3)aで表される基が−CH2−、−C(CH3)H−、−C(CH32−、−C24−、−C(CH3)H−CH2−、−C(CH32−CH2−、−C(CH32−C(CH3)H−、−C(CH3)H−C(CH3)H−、−C(CH32−C(CH32−、−C(i−C37)H−、−C(i−C37)H−CH2−である。
 G4として好ましくは、−CO−、−SO2−であり、かつR8は水素原子が好ましい。
 R9として好ましくは、総炭素数10以上70以下の、置換または無置換のアルキル基またはアリール基であり、アリール基である場合はフェニル基が好ましい。
 一般式(MC−I)で表される化合物のうち、G1が窒素原子でG2が炭素原子である場合には、R1が第3級アルキル基で、R2が一般式(BL−1)で表される基であり、R4、R6が総炭素数4以上の置換または無置換のアルキル基または炭素数6以上の置換または無置換のアリール基により置換されたアシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基から選ばれる基、Xが水素原子であることが好ましい。
 一般式(MC−I)で表される化合物のうちG1が炭素原子でG2が窒素原子である場合は、R1が第3級アルキル基で、R2が一般式(BL−1)または一般式(BL−2)で表される基であることが好ましく、特に好ましくはR2は一般式(BL−2)で表される基、または一般式(BL−1)でR3とR7が炭素数1以上6以下のアルキル基であり、R4、R5、R6のうち少なくとも1つが総炭素数6以上70以下の、置換または無置換のアルキル基またはアリール基を部分構造として含む基、Xが水素原子であるものが好ましい。
 本発明ではG1が炭素原子で、G2が窒素原子、R1が第3級アルキル基で、R2が一般式(BL−2)で表され、かつ一般式(BL−2)において、R9が炭素数6以上70以下のアルキル基を部分構造として含む基を置換基として少なくとも1つ有するフェニル基、aが1または2であるものが好ましく、このうち更にR9が−OH、−SO2NH2、−SO2NHR10、−NHSO2R10、−SO2NHCOR10、−CONHSO2R10、−COOH、−CONH2から選ばれる基を部分構造として有する基であるものが特に好ましい。
 R10は置換または無置換のアルキル基、アリール基を表し、R10がアリール基である場合は、好ましくはフェニル基であり、該フェニル基が少なくとも1つの電子吸引性基が置換していることが好ましい。好ましい電子吸引性基としては、ハロゲン原子、シアノ基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されたアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されたアリール基、アシル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールオキシカルボニル基、スルホニル基、アルキルまたはアリールアミノスルホニル基が挙げられる。
 またR10がアルキル基である場合、好ましくは炭素数1以上50以下(より好ましくは1以上30以下の)の置換または無置換の直鎖状または分岐状のアルキル基である。
 一般式(MC−I)のカプラーが多量体を形成する場合、2〜4量体が好ましく、特に2量体が好ましい。また高分子鎖に結合する場合は、高分子の総分子量として8,000〜100,000が好ましく、またカプラー母核1つあたりの分子量として500〜1,000が好ましい。
 以下一般式(MC−I)の具体的な化合物例を示すが本発明はこれら具体例に限定されない。
Figure 2004126566
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 本発明の一般式(MC−I)のカプラーの合成は公知の方法により合成できる。例えば、米国特許第4,540,654号、同4,705,863号、同5,451,501号、特開昭61−65245号、同62−209457号、同62−249155号、同63−41851号、特公平7−122744号、同5−105682号、同7−13309号、同7−82252号または米国特許第3,725,067号、同4,777,121号、特開平2−201442号、同2−101077号、同3−125143号、同4−242249号の各明細書および公報に記載されている。
 本発明の一般式(MC−I)のカプラーは、種々の公知分散法により感光材料に導入でき、高沸点有機溶媒(必要に応じて低沸点溶媒を併用)に溶解し、ゼラチン水溶液に乳化分散してハロゲン化銀乳剤に添加する水中油滴分散法が好ましい。水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の例は米国特許第2,322,027号などに記載されている。また、ポリマー分散法のひとつとしてのラテックス分散法の工程、効果、含浸用のラテックスの具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特許出願第(OLS)2,541,274号、同2,541,230号、特公昭53−41091号及び欧州特許公開第029104号などに記載されており、また有機溶媒可溶性ポリマーによる分散についてはPCT国際公開第WO88/00723号明細書に記載されている。
 前述の水中油滴分散法に用いることのできる高沸点溶媒としては、フタール酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸またはホスホン酸のエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート(リン酸トリクレジルと同義)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート)、安息香酸エステル類(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド、N,N,N,N−テトラキス(2−エチルヘキシル)イソフタル酸アミド)、アルコール類またはフェノール類(例えば、イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルトシレート)、アニリン誘導体(例えば、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)等が挙げられる。また、上記高沸点溶媒以外に、例えば特開平6−258803号に記載の化合物を高沸点溶媒として用いることも好ましい。
 これらのうち、脂肪族アルコールのリン酸エステル類、アミド類、脂肪族エステル類が好ましく、またそれと併せてアルコール類またはフェノール類を使用することも好ましい。
 本発明の一般式(MC−I)のカプラーに対して使用する高沸点有機溶媒の量の比は、質量比で0から2.0が好ましいが、より好ましくは0から1.0であり、特に0から0.4が好ましい。
 高沸点有機溶媒としてリン酸トリクレジルを多く使用すると本発明の保存性向上効果が減じるため、リン酸トリクレジルを使用する場合には、その量は本発明のカプラーに対し好ましくは質量比で0.4以下、より好ましくは0.2以下に留める。
 また補助溶媒としては沸点が30℃以上約160℃以下の有機溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルアセテート、ジメチルホルムアミド)を併用してもよい。
 本発明のカプラーの感光材料中の含有量は、好ましくは1m2あたり0.01g〜10g、より好ましくは1m2あたり0.1g〜2gであり、同一感光性乳剤層中のハロゲン化銀1モルあたり1×10-3モル〜1モルが適当であり、好ましくは2×10-3モル〜3×10-1モルである。
 感光性層が感度の異なる2層以上の感光性乳剤層から構成される単位感光性層(ユニット構成)である場合、ハロゲン化銀1モルあたりの本発明のカプラー含有量は低感度層では2×10-3モル〜2×10-1モルが好ましく、高感度層では3×10-2モル〜3×10-1モルが好ましい。単位感光成層が感度の異なる3層の感光性乳剤層からなる場合、ハロゲン化銀1モルあたりの本発明のカプラー含有量は、低感度層では2×10-3モル〜1×10-1モル(より好ましくは1×10-2モル〜1×10-1モル)が好ましく、中感度層では1×10-2モル〜2×10-1モル(より好ましくは3×10-2モル〜2×10-1モル)が好ましく、高感度層では3×10-2モル〜3×10-1モル(より好ましくは5×10-2モル〜2×10-1モル)が好ましい。
 本発明は一般式(MC−I)で表されるカプラーを含有するが、他のカプラーと併用してもよい。但し本発明のカプラーの発色色素が実質的に同じ色に発色する色素の濃度合計への寄与率が高いほど好ましい結果を与える。具体的には少なくとも発色濃度への寄与率が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上を占める量用いることが好ましい。
 本発明の感光材料には、競争化合物(画像形成カプラーと競争して発色現像薬酸化体と反応し、かつ色素画像を形成しない化合物)を併用してもよい。競争化合物としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒドラジン類、スルホンアミドフェノール類などの還元性化合物、または発色現像薬酸化体とカップリングするが実質的にカラー画像を形成しない化合物(例えばドイツ国特許1,155,675号、英国特許861,138号、米国特許3,876,428号、同3,912,513号に開示されたような無呈色カプラー、あるいは特開平6−83002号に開示されたような流出カプラーなど)が挙げられる。
 本発明で用いる乳剤を製造するための方法において、化学増感工程は、通常、粒子成長工程終了後、例えば、水洗により脱塩した後に行う。ただし、化学増感後ハロゲン化銀によりシェル付けする場合は、粒子形成中に化学増感し、その後シェル付けの工程を設ける場合と、ホスト粒子を水洗、脱塩した後に化学増感し、その後硝酸銀とハロゲン溶液の添加あるいはハロゲン化銀微粒子の添加あるいは硝酸銀溶液とハロゲン化銀微粒子の添加によってシェル付けさせる場合がある。複数種の化学増感剤を用いて化学増感を施す場合、それらの化学増感剤は、同時に添加することも別々に添加することもできる。化学増感時の乳剤の温度は、通常、30〜90℃に、pHは、通常、4〜9に、pAgは、通常、7〜10に維持することができる。
 本発明で好ましく実施しうる化学増感は、カルコゲン増感と貴金属増感の単独又は組合せであり、ジェームス(T. H. James)著、ザ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、(T. H. James、The Theory of the Photographic Process, 4th ed., Macmillan, 1977)67〜76頁に記載されるように活性ゼラチンを用いて行うことができる。また、リサーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、13452、米国特許第2,642,361号、同第3,297,446号、同第3,772,031号、同第3,857,711、同第3,901,714号、同第4,266,018号、および同第3,904,415号、並びに英国特許第1,315,755号の各明細書に記載されるように、pAg5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せを用いて行うことができる。
 貴金属増感においては、金、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることができ、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併用が好ましい。金増感の場合には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリックチオシアネート、硫化金、金セレナイドのような公知の化合物、あるいは、米国特許第5,220,030号明細書に記載のメソイオン金化合物や第5,049,484号明細書に記載のアゾール金化合物などを用いることができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、R2PdX6またはR2PdX4で表わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原子を表わす。
 具体的には、K2PdCl4、(NH4)2PdCl6、Na2PdCl4、(NH4)2PdCl4、Li2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBR4が好ましい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好ましい。
 硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,711号、同4,266,018号および同4,054,457号の各明細書に記載されている硫黄含有化合物を用いることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同3,411,914号、同3,554,757号、特開昭58−126526号公報および前述ダフィン著「写真乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
 本発明で用いる乳剤はカルコゲン増感に、金増感を併用することが好ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好ましいのはハロゲン化銀1モル当たり1×10-5〜5×10-7モルである。パラジウム化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり1×10-3から5×10-7である。チオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり5×10-2から1×10-6である。
 本発明で用いるハロゲン化銀粒子に対して使用する好ましいカルコゲン増感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好ましいのは1×10-5〜5×10-7モルである。
 具体的には、本発明で用いる粒子は金硫黄増感されていることが好ましい。表面増感されていることが好ましいが粒子の内部が増感されていても良い。ここで粒子表面とはハロゲン化銀粒子表面と粒子を覆っているゼラチンあるいは粒子への吸着物との界面から内部へ1nmまでの領域を指す。粒子内部とはこの領域よりも内部を指す。粒子内部の化学増感は20nmよりも深い部位の化学増感では効果が少ない。
 本発明で用いる粒子は金セレン増感されていることが好ましい。本発明で用いられるセレン増感は以下に掲げるセレン増感剤により増感処理することを意味する。
 すなわち、セレン増感においては、不安定セレン化合物を用いることができ、US3,297,446号、同3,297,447号、特開平4−25832号、同4−109240号、同4−147250号、同4−271341号、同5−40324号、同5−224332号、同5−224333号、同5−11385号、同6−43576号、同6−75328号、同6−175258号、同6−175259号、同6−180478号、同6−208184号、同6−208186号の各明細書および公報などに記載の化合物が好ましい。
 具体的には、ホスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニル(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンセレニド、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェート)、セレノホスフィニック アシッド エステル類、セレノホスホニック アシッド エステル類、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノウレア、N−アセチル−N,N',N'−トリメチルセレノウレア、N−トリフルオロアセチル−N,N',N'−トリメチルセレノウレア)、セレノアミド類(例えば、N,N−ジメチルセレノベンズアミド、N,N−ジエチルセレノベンズアミド)、セレノエステル類(例えば、p−メトキシセレノベンゾイックアシッド o−イソプロピルエステル、p−メトキシセレノベンゾイックアッシド Se(3'−オキソシクロヘキシル)エステル)、ジアシルセレニド類(例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)セレニド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)セレニド)、ジカルバモイルセレニド類(例えば、ビス(N,N−ジメチルカルバモイル)セレニド)、ビス(アルコキシカルボニル)セレニド類(例えば、ビス(n−ブトキシカルボニル)セレニド、ビス(ベンジルオキシカルボニル)セレニド)、トリセレナン類(例えば、2,4,6−トリス(p−メトキシフェニル)トリセレナン)、ジセレニド類、ポリセレニド類、セレニウムスルフィド、セレノケトン類、セレノカルボン酸類、イソセレノシアネート類、コロイド状セレンなどが挙げられる。好ましくは、ホスフィンセレニド類、セレノアミド類、ジカルバモイルセレニド類、ビス(アルコキシカルボニル)セレニド類、セレノエステル類が用いられる。
 また、更に、特公昭46−4553号公報、同52−34492号公報などに記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸ナトリウム、セレノシアン酸カリウム、セレナゾール類、セレニド類なども用いることができる。
 また本発明で用いる粒子は金テルル増感されていることが好ましい。本発明で用いられるテルル増感は以下に掲げるテルル増感剤により増感処理することを意味する。 
 すなわち、テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4−224595号、同4−271341号、同4−333043号、同5−303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208184号、同6−208186号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号の各公報などに記載されている不安定テルル化合物を用いることができる。
 具体的には、ホスフィンテルリド類(例えば、ノルマルブチル−ジイソプロピルホスフィンテルリド、トリイソブチルホスフィンテルリド、トリノルマルブトキシホスフィンテルリド、トリイソプロピルホスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニル−ベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド、テルロ尿素類(例えば、N、N'−ジメチルエチレンテルロ尿素)、テルロアミド類、テルロエステル類などを用いればよい。好ましくはホスフィンテルリド類、ジアシル(ジ)テルリド類である。
 上記セレン増感剤およびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子や化学増増感条件などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは、10-7〜10-3モル程度を用いることができる。
 セレン増感およびテルル増感の条件としては、特に制限はないが、pAgとしては6〜11,好ましくは7〜10であり、pHは4〜10、好ましくは5〜8、温度としては40℃〜95℃、好ましくは45℃〜85℃である。
 本発明で用いる粒子は硫黄、セレン、テルルの実現し得る組成比により金カルコゲン増感されていることが好ましいが、最も好ましくは金硫黄セレン増感されていることである。
 本発明において化学増感過程で使用するハロゲン化銀微粒子は本発明で用いるハロゲン化銀平板状粒子よりも粒子サイズ(球相当直径)が小さいものであれば、その晶癖がいずれでも良く、双晶面を含んでいても良い。前記ハロゲン化銀微粒子のハロゲン化銀組成としては、塩化銀、臭化銀、臭沃化銀、塩臭化銀、塩臭沃化銀を用いることができる。またその粒子形成の履歴はいかなるものでも良い。ハロゲン化銀微粒子が含むヨード量は、当該微粒子中の全ハロゲン化銀に対して平均で0mol%以上かつ20mol%以下のヨードイオンを含むことが望ましいが、更に望ましくは0.3mol%以上かつ10mol%以下のヨードイオンを含むことである。
 本発明で用いる乳剤粒子は粒子の内部あるいは表面または内部と表面を還元増感領域を含むのが特に有効である。粒子の表面および内部の定義は上述と同様である。還元増感領域はハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰囲気で成長させるあるいは、熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長させるあるいは熟成させる方法のいずれかにより形成することができる。また2つ以上の方法を併用することもできる。
 還元増感剤を添加して形成する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。 
 還元増感剤として第一錫塩、アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物などが公知である。本発明の還元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤として塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3モルの範囲が適当である。
 還元増感剤は水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類などの溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の適当な時期に添加する方が好ましい。また水溶性銀塩あるいは水溶性アルカリハライドの水溶液にあらかじめ還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して長時間添加するのも好ましい方法である。
 還元増感は、粒子調製の工程で行っても、その後の水洗工程後に行ってもよく、化学増感(後熟)工程で行ってもよい。
 本発明で用いる乳剤の調製時に用いられる保護コロイドとして、およびその他の親水性コロイド層のバインダーとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。
 例えばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。
 ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull. Soc. Sci. Photo. Japan. No. 16、P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、特開平8−82883号公報に記載されているフタル酸による処理を経たゼラチンを用いても良い。また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
 本発明で用いる乳剤は脱塩のために水洗し、新しく用意した保護コロイド分散にすることが好ましい。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAgも目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことができる。
 米国特許第3,772,031号明細書に記載されているようなカルコゲナイド化合物を乳剤調製中に添加する方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
 本発明で用いる乳剤の製造工程中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀等の水に難溶の銀塩を形成してもよく、又、硝酸銀等の水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na427・2H22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ぺルオキシ酸塩(例えばK228、K226、K228)、ぺルオキシ錯体化合物(例えば、K2〔Ti(O2)C24〕・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH・SO4・2H2O、Na3〔VO(O2)(C242〕・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、K2Cr27)などの酸素酸塩、沃素や臭素などのハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば過沃素酸カリウム)高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩などがある。また、有機の酸化剤としては、p−キノンなどのキノン類、過酢酸や過安息香酸などの有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
 本発明で用いる好ましい酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォン酸塩の無機酸化剤およびキノン類の有機酸化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法のなかから選んで用いることができる。これらの方法は粒子形成工程でも粒子形成工程後に用いても良い。
 本発明で用いる乳剤は、潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭63−264740号公報に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよい。このコア/シェル型内部潜像型乳剤の調製方法は、特開昭59−133542号公報に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは、現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜30nmが特に好ましい。
 本発明で用いる写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類、例えばベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)など;メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;たとえばオキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、たとえばトリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン類などのようなカブリ防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。たとえば米国特許第3,954,474号明細書、同3,982,947号明細書、特公昭52−28660号公報に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−212932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いることができる。
 本発明で用いる写真乳剤は、メチン色素類その他によって分光増感されることが本発明の効果を発揮するのに好ましい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、および複合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核など;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;およびこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、インドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核などが適用できる。これらの核は炭素原子上に置換されていてもよい。
 メロシアニン色素または複合メロシアニン色素にはケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核などの5〜6員異節環核を適用することができる。
 これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同2,977,229号、同3,397,060号、同3,522,052号、同3,527,641号、同3,617,293号、同3,628,964号、同3,666,480号、同3,672,898号、同3,679,428号、同3,703,377号、同3,769,301号、同3,814,609号、同3,837,862号、同4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号の各明細書及び公報に記載されている。
 増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
 増感色素を乳剤中に添加する時期は、これまで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階であってもよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,628,969号明細書、および同第4,225,666号明細書に記載されているように化学増感剤と同時期に添加し分光増感を化学増感と同時に行うことも、特開昭58−113928号公報に記載されているように化学増感に先立って行うことも出来、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了前に添加し分光増感を開始することも出来る。更にまた米国特許第4,225,666号明細書に教示されているようにこれらの前記化合物を分けて添加すること、即ちこれらの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第4,183,756号明細書に開示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。添加量は、ハロゲン化銀1モル当り、4×10-6〜8×10-3モルで用いることができるが、5×10-5〜5×10-3モルがより有効である。
 本発明の処理方法は、ハロゲン化銀写真感光材料の種類に限定はないが、ハロゲン化銀反転写真感光材料および黒白写真感光材料に好ましく用いられる。より好ましくは、ハロゲン化銀反転写真感光材料であり、最も好ましくはハロゲン化銀カラー反転写真感光材料である。
 本発明に用いるハロゲン化銀写真感光材料に用いることのできる種々の技術や無機・有機の素材については一般にはリサーチデイスクロージャーNo.308119(1989)、No.37038(1995)に記載されたものを用いることができる。 
 より具体的には本発明を適用できるカラー写真感光材料に用いることができる技術および無機・有機素材については、欧州特許第436,938A2号明細書の下記の箇所および下記に引用の特許に記載されている。
    項目                該当箇所
 1)層構成            第146頁34行〜第147頁25行
 2)ハロゲン化銀乳剤       第147頁26行〜第148頁12行
 3)イエローカプラー      第137頁35行目〜第146頁33行目
                 、第149頁21行目〜23行目
 4)マゼンタカプラー      第149頁24行目〜第28行目;欧州特
                 許第421,453A1号の第3頁5行目
                 〜第25頁55行目
 5)シアンカプラー       第149頁29行目〜33行目;欧州特許
                 第432,804A2号の第3頁28行目
                 〜第40頁2行目
 6)ポリマーカプラー      第149頁34行目〜38行目;欧州特許
                 第435,334A2号の第113頁39
                 行目〜第123頁37行目
 7)カラードカプラー      第53頁42行目〜第137頁34行目、
                 第149頁39行目〜45行目
 8)その他の機能性       第7頁1行目〜第53頁41行目、第14
   カプラー          9頁46行目〜第150頁3行目;欧州特
                 許第435,334A2号の第3頁1行目
                 〜第29頁50行目
 9)防腐、防黴剤        第150頁25行目〜28行目
 10)ホルマリンスカベンジャー 第149頁15行目〜17行目
 11)その他の添加剤      第153頁38行目〜47行目;欧州特許
                 第421,453A1号の第75頁21行
                 目〜第84頁56行目、第27行目40行
                 目〜第37頁40行目
12)分散方法          第150頁4行目〜24行目
13)支持体           第150頁32行目〜34行目
14)膜厚・膜物性        第150頁35行目〜49行目
15)発色現像・黒白       第150頁50行目〜第151頁47行目
   現像・かぶらせ      ;欧州特許第442,323A2号の第34
   工程            頁11行目〜54行目、第35頁14行目
                 〜22行目
16)脱銀工程          第151頁48行目〜152頁53行目
17)自動現像機         第152号54行目〜第153頁2行目
18)水洗・安定工程       第153頁3行目〜37行目
[実施例]
 以下に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
 (実施例1)
 乳剤Em−aの調製
 臭化カリウム6g、平均分子量1〜2万の低分子量ゼラチン0.8gを蒸留水1.5Lに溶かした水溶液を良く攪拌しながら、これに500mLあたり臭化カリウム64gと低分子量ゼラチン5.0gを含む水溶液と500mLあたり硝酸銀90gと硝酸アンモニウム4gを含む水溶液を35℃においてダブルジェット法により30秒間加えた。このときのpAgは9.0に保った(この添加(1)で全銀量の5.7%を消費した。)。
 この後物理熟成工程を経て、KBr水溶液でpAgを9.5に調整したのち液温を50℃に昇温し、フタル酸による処理を施したゼラチンを35g加えたのち、1Lあたり臭化カリウムを225g含む水溶液と1Lあたり硝酸銀を316gと硝酸アンモニウムを0.6g含む水溶液をダブルジェット法により14分間添加した。このときのpAgは8.8に保った(この添加(2)で全銀量の9.2%を消費した。)。
 次に1Lあたり沃化カリウムを17.2g含む水溶液と1Lあたり硝酸銀を67.5gと硝酸アンモニウムを13.2g含む水溶液をダブルジェット法により6分30秒間で同じ当量添加した(この添加(3)で全銀量の3.5%を消費した。)。 
 続いて(2)の添加過程で使用したKBr水溶液と硝酸銀水溶液をpAgを8.8に保ちながら、30分間添加した(この添加(4)で全銀量の81%を消費した。)。
 続いて、上記乳剤に対し35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え40℃でpH=6.3、pAg=8.3に調整し、同体積の球に換算した平均粒子直径が0.23μmで平均投影面積直径が0.28μmで平均アスペクト比が2.7の平板状AgBrI乳剤(平均I=3.5mol%、変動係数20%)を得、56℃に昇温した後、最適に金硫黄セレン増感を施しEm−aを得た。
 乳剤Em−bおよびEm−cの調製
 乳剤Em−aにおいて、(1)の添加工程後の物理熟成工程を経て、還元増感剤として二酸化チオ尿素を完成粒子の銀1モルあたり3×10-5モルの添加を行い、(4)の添加工程後に、C25−SO2S−Naを銀1モルあたり2.5×10-4モルの添加を行った以外はEm−aと同じにして、Em−bを得た。同様に二酸化チオ尿素を銀1モルあたり3×10-5モルの添加を(4)の添加工程後に行い、Em−cを得た。
 乳剤Em−d〜Em−kの調製
 Em−aに対して、それぞれ有機電子供与化合物A-1、1、6、19、20、21、36、45を(4)の添加工程後に最適に作用させ、Em−d〜Em−kを得た。
 乳剤Em−l〜Em−pの調製
 Em−aに対して、有機電子供与化合物A-1あるいは21を(4)の添加工程後に最適に作用させた後に、保存性改良化合物A-2、A-3、A-4あるいはA-5を添加してEm−l〜Em−pを得た。
 乳剤Em−q〜tの調製
 Em−aに対して、それぞれ有機電子供与化合物53,54,55,56を(4)の添加工程後に最適に作用させEm−q〜tを得た。
 表1に、乳剤Em−a〜Em−tに作用させた還元増感剤量、有機電子供与化合物の種類および使用量、保存性改良化合物の種類、量および酸化電位を示した。
Figure 2004126566
Figure 2004126566
 乳剤Em−a〜Em−tにそれぞれ下記に示す化合物を加え、下塗り層を有するトリアセチルセルロースフイルム支持体上に保護層と共に同時押しだし法で塗布し、それぞれ試料101〜120を得た。
 (1)乳剤層
 ・乳剤  乳剤Em−a〜Em−tのいずれか(試料101〜120にそれぞれ対応)
 ・安定剤 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
 (2)保護層
 ・ゼラチン
 これらの試料に富士フィルターSC50を通した光で適切なセンシトメトリー用露光(1秒)を与え、下記組成CR56第1現像液により20℃で10分間白黒現像処理を行った後、常法により停止、定着、水洗、乾燥し、濃度測定を行った。
 以下に処理液の組成を示す。 
〔CR56第一現像液〕            〔タンク液〕
ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸
 ・5ナトリウム塩                1.5g
ジエチレントリアミン五酢酸・5ナトリウム塩    2.0g
亜硫酸ナトリウム                  30g
ハイドロキノン・モノスルホン酸カリウム       20g
炭酸カリウム                    15g
重炭酸カリウム                   12g
1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル
 −3−ピラゾリドン               2.5g
臭化カリウム                   2.5g
チオシアン酸カリウム               1.2g
沃化カリウム                   2.0 mg
ジエチレングリコール                13g
水を加えて                    1000mL
  pH                      9.60
  pHは硫酸又は水酸化カリウムで調整した。
 この現像液は亜硫酸ナトリウムを十分に含む(亜硫酸イオンとして1L中に0.24mol含有)ので溶解物理現像が起こる現像液とみなすことができる。
 下記表2に感度、かぶりおよび試料を55℃、30%の環境で3日間放置した後に現像した時のかぶりの結果を示す。感度はかぶりと最大濃度の和の半分の濃度を与える露光量の逆数で定義し、試料101の値からの感度差をlogE相対値で示した。
Figure 2004126566
 表2に示されるように、溶解物理現像が起こる現像液を用いた現像処理を行う場合には、還元増感剤や従来の有機電子供与化合物を作用させる増感方法よりも、本発明の有機電子供与化合物を作用させる増感方法を行ったハロゲン化銀写真感光材料のほうが、高感度、低かぶりでかつ保存性にも優れることが明らかである。
 比較として、Na2SO3・7H2Oを減量して調整した現像処理液(2種類)を用いて現像したときの塗布試料101、104、105、112、113の結果を表3に示す。いずれも感度は試料101を基準として示した。本発明の優れた効果は溶解物理現像が起こる現像液(0.10mol/L以上亜硫酸イオン)で顕著に現れることが分かる。
Figure 2004126566
 (実施例2)
 塗布試料201の作成
 1.トリアセチルセルロースフィルムの作製
 トリアセチルセルロースを通常の溶液流延法により、ジクロロメタン/メタノール=92/8(質量比)にトリアセチルセルロースを溶解(質量で13%)、可塑剤トリフェニルフォスフェートとビフェニルジフェニルフォスフェートを質量比2:1で、合計がトリアセチルセルロースに対して14%になるように添加したものをバンド法にて作製した。乾燥後の支持体の厚みは97μmであった。
 2.下塗り層の内容
 上記トリアセチルセルロースフィルムの両面に対して以下の下塗りを施した。数字は下塗り液1.0リットルあたりに含まれる重量を表す。 
 なお、下塗りを施す前に、両面にコロナ放電処理を施した。
ゼラチン     10.0g
サリチル酸    0.5g
グリセリン    4.0g
アセトン     700mL
メタノール    200mL
ジクロロメタン  80 mL
ホルムアルデヒド 0.1mg
水を加えて    1.0リットル
 3.バック層の塗布
 下塗りを施した支持体の片面に以下に示すバック層を塗布した。 
 第1層 バインダー:酸処理ゼラチン(等電点9.0)   1.00g
    ポリマーラテックス:P−2(平均粒径0.1μm)  0.13g
    ポリマーラテックス:P−3(平均粒径0.2μm)  0.23g
    紫外線吸収剤U−1                0.030g
    紫外線吸収剤U−3                0.010g
    紫外線吸収剤U−4                0.020g
    高沸点有機溶媒Oil−2             0.030g
    界面活性剤W−3                 0.010g
    界面活性剤W−6                 3.0mg
 第2層 バインダー:酸処理ゼラチン(等電点9.0)   3.10g
    ポリマーラテックス:P−3(平均粒径0.2μm)  0.11g
    紫外線吸収剤U−1                0.030g
    紫外線吸収剤U−3                0.010g
    紫外線吸収剤U−4                0.020g
    高沸点有機溶媒Oil−2             0.030g
    界面活性剤W−3                 0.010g
    界面活性剤W−6                 3.0mg
    染料D−2                    0.10g
    染料D−10                   0.12g
    硫酸カリウム                   0.25g
    塩化カルシウム                  0.5mg
    水酸化ナトリウム                 0.03g
 第3層 バインダー:酸処理ゼラチン(等電点9.0)   3.30g
    界面活性剤W−3                 0.020g
    硫酸カリウム                   0.30g
    水酸化ナトリウム                 0.03g
 第4層 バインダー:石灰処理ゼラチン(等電点5.4)   1.15g
    メタクリル酸とメチルメタクリレートの1:9の共重合体
      (平均粒径2.0μm)            0.040g
    メタクリル酸とメチルメタクリレートの6:4の共重合体
      (平均粒径2.0μm)            0.030g
    界面活性剤W−3                 0.060g
    界面活性剤W−2                 7.0mg
    硬化剤H−1                   0.23g
 4.感光性乳剤層の塗布
 バック層を塗布したのと反対側に、以下に示す感光性乳剤層を塗布し、試料201とした。数字はm2あたりの添加量を表す。なお添加した化合物の効果は記載した用途に限らない。
 第1層:ハレーション防止層
   黒色コロイド銀           0.25g
   ゼラチン              2.40g
   紫外線吸収剤U−1         0.15g
   紫外線吸収剤U−3         0.15g
   紫外線吸収剤U−4         0.10g
   紫外線吸収剤U−5         0.10g
   高沸点有機溶媒Oil−1      0.10g
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.10g
   染料D−4             1.0mg
   染料D−8             2.5mg
   染料E-1の微結晶固体分散物     0.05g
 第2層:中間層
   ゼラチン              0.50g
   化合物Cpd−A          0.2mg
   化合物Cpd−K          3.0mg
   化合物Cpd−M          0.030g
   紫外線吸収剤U−6         6.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−3      0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−4      0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−7      2.0mg
   染料D−7             4.0mg
 第3層:中間層
   黄色コロイド銀           0.020g
   予め表面および内部が被らされた沃臭化銀乳剤
  (立方体粒子、平均沃化銀含有率1mol%、
  球相当平均粒径0.06μm)  銀量 0.010g
   ゼラチン              0.60g
   化合物Cpd−D          0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−3      0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−8      0.010g
 第4層:低感度赤感性乳剤層
   乳剤A            銀量 0.15g
   乳剤B            銀量 0.20g
   乳剤C            銀量 0.20g
   ゼラチン              0.80g
   カプラーC−1           0.10g
   カプラーC−2           0.05g
   カプラーC−3           0.02g
   カプラーC−10          3.0mg
   カプラーC−11          2.0mg
   紫外線吸収剤U−3         0.010g
   化合物Cpd−I          0.020g
   化合物Cpd−D          3.0mg
   化合物Cpd−J          2.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.070g
   添加物P−1            5.0mg
 第5層:中感度赤感性乳剤層
   乳剤C           銀量  0.25g
   乳剤D           銀量  0.25g
   ゼラチン              0.80g
   カプラーC−1           0.15g
   カプラーC−2           0.08g
   カプラーC−3           0.02g
   カプラーC−10          3.0mg
   化合物Cpd−D          3.0mg
   紫外線吸収剤U−3         0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.10g
   添加物P−1            7.0mg
 第6層:高感度赤感性乳剤層
   乳剤E           銀量  0.25g
   乳剤F           銀量  0.30g
   ゼラチン              1.70g
   カプラーC−1           0.10g
   カプラーC−2           0.10g
   カプラーC−3           0.60g
   カプラーC−10          5.0mg
   紫外線吸収剤U−1         0.010g
   紫外線吸収剤U−2         0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.050g
   化合物Cpd−K          1.0mg
   化合物Cpd−F          0.030g
   化合物Cpd−L          1.0mg
   添加物P−1            0.010g
   添加物P−4            0.030g
 第7層:中間層
   ゼラチン              0.70g
   添加P−2             0.10g
   染料D−5             0.020g
   染料D−9             6.0mg
   化合物Cpd−I          0.010g
   化合物Cpd−M          0.040g
   化合物Cpd−O          3.0mg
   化合物Cpd−P          5.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−6      0.050g
 第8層:中間層
   黄色コロイド銀       銀量  0.020g
   ゼラチン              1.00g
   添加物P−2            0.05g
   紫外線吸収剤U−1         0.010g
   紫外線吸収剤U−3         0.010g
   化合物Cpd−A          0.050g
   化合物Cpd−D          0.030g
   化合物Cpd−M          0.050g
   高沸点有機溶媒Oil−3      0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−6      0.050g
 第9層:低感度緑感性乳剤層
   乳剤G           銀量  0.30g
   乳剤H           銀量  0.35g
   乳剤I           銀量  0.30g
   ゼラチン              1.70g
   カプラーC−4           0.20g
   カプラーC−5           0.050g
   カプラーC−6           0.020g
   カプラーC−7           0.010g
   化合物Cpd−A          5.0mg
   化合物Cpd−B          0.030g
   化合物Cpd−D          5.0mg
   化合物Cpd−G          2.5mg
   化合物Cpd−F          0.010g
   化合物Cpd−K          2.0mg
   紫外線吸収剤U−6         5.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.15g
   添加剤P−1            5.0mg
 第10層:中感度緑感性乳剤層
   乳剤I           銀量  0.30g
   乳剤J           銀量  0.30g
  内部を被らせた臭化銀乳剤(立方体粒子、
  球相当平均粒径0.11μm) 銀量  3.0mg
   ゼラチン              0.70g
   カプラーC−4           0.050g
   カプラーC−5           0.050g
   カプラーC−6           0.020g
   カプラーC−7           0.010g
   化合物Cpd−A          5.0mg
   化合物Cpd−B          0.030g
   化合物Cpd−F          0.010g
   化合物Cpd−G          2.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.030g
 第11層:高感度緑感性乳剤層
   乳剤K           銀量  0.60g
   ゼラチン              0.80g
   カプラーC−6           0.40g
   カプラーC−7           5.0mg
   化合物Cpd−A          5.0mg
   化合物Cpd−B          0.030g
   化合物Cpd−F          0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.030g
 第12層:イエローフィルター層
   黄色コロイド銀       銀量  0.010g
   ゼラチン              1.0g
   化合物Cpd−C          0.010g
   化合物Cpd−M          0.10g
   高沸点有機溶媒Oil−1      0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−6      0.10g
   染料E−2の微結晶固体分散物    0.20g
 第13層:中間層
   ゼラチン              0.40g
   化合物Cpd−Q          0.20g
   染料D−6             2.0 mg
   高沸点有機溶媒Oil−5      0.010g
 第14層:低感度青感性乳剤層
   乳剤L           銀量  0.15g
   乳剤M           銀量  0.20g
   乳剤N           銀量  0.10g
   ゼラチン              0.80g
   カプラーC−8           0.020g
   カプラーC−9           0.30g
   カプラーC−10          5.0mg
   化合物Cpd−B          0.10g
   化合物Cpd−I          8.0mg
   化合物Cpd−K          1.0mg
   化合物Cpd−M          0.010g
   紫外線吸収剤U−6         0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.010g
 第15層:中感度青感性乳剤層
   乳剤N           銀量  0.20g
   乳剤O           銀量  0.20g
  内部を被らせた臭化銀乳剤(立方体粒子、
  球相当平均粒径0.11μm) 銀量  3.0mg
   ゼラチン              0.80g
   カプラーC−8           0.020g
   カプラーC−9           0.25g
   カプラーC−10          0.010g
   化合物Cpd−B          0.10g
   化合物Cpd−N          2.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.010g
 第16層:高感度青感性乳剤層
   乳剤P           銀量  0.20g
   乳剤Q           銀量  0.25g
   ゼラチン              2.00g
   カプラーC−3           5.0mg
   カプラーC−8           0.10g
   カプラーC−9           1.00g
   カプラーC−10          0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−2      0.10g
   高沸点有機溶媒Oil−3      0.020g
   紫外線吸収剤U−6         0.10g
   化合物Cpd−B          0.20g
   化合物Cpd−E          0.030g
   化合物Cpd−N          5.0mg
 第17層:第1保護層
   ゼラチン              1.00g
   紫外線吸収剤U−1         0.15g
   紫外線吸収剤U−2         0.050g
   紫外線吸収剤U−5         0.20g
   化合物Cpd−O          5.0mg
   化合物Cpd−A          0.030g
   化合物Cpd−H          0.20g
   染料D−1             8.0mg
   染料D−2             0.010g
   染料D−3             0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−3      0.10g
 第18層:第2保護層
   コロイド銀         銀量  2.5mg
   微粒子沃臭化銀乳剤(球相当平均粒径0.06μm、
  沃化銀含有率 1mol%)   銀量  0.10g
   ゼラチン              0.80g
   紫外線吸収剤U−1         0.030g
   紫外線吸収剤U−6         0.030g
   高沸点有機溶媒Oil−3      0.010g
 第19層:第3保護層
   ゼラチン              1.00g
   ポリメチルメタクリレート(平均粒径1.5μm)
                     0.10g
   メチルメタクリレートとメタクリル酸の6:4の共重合体
    (平均粒径 1.5 μm)       0.15g
   シリコーンオイルSO−1      0.20g
   界面活性剤W−1          3.0mg
   界面活性剤W−2          8.0mg
   界面活性剤W−3          0.040g
   界面活性剤W−7          0.015g
 また、すべての乳剤層には上記組成物の他に添加剤F−1〜F−9を添加した。さらに各層には上記組成物の他にゼラチン硬化剤H−1及び塗布用、乳化用界面活性剤W−3、W−4、W−5、W−6を添加した。 
 更に防腐、防黴剤としてフェノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、p−安息香酸ブチルエステルを添加した。
Figure 2004126566
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 有機固体分散染料の調製
 (染料E−1の微結晶固体分散物の調製)
 染料E−1のウェットケーキ(E−1の正味量として270g)にBASF社製PluRonic F88(エチレンオキシド−プロピレンオキシド ブロック共重合体)100gおよび水を加えて攪拌し4000gとした。次に、アイメックス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビースを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10m/sec、吐出量0.5リットル/minで2時間粉砕した。ビーズを濾過して除き、水を加えて染料濃度3%に希釈した後、安定化のために90℃で10時間加熱した。得られた染料微粒子の平均粒径は0.30μmであり、粒径の分布の広さ(粒径標準偏差×100/平均粒径)は20%であった。
 (染料E−2の微結晶固体分散物の調製)
 水を30質量%含むE−2のウエットケーキ1400gに水及びW−4を270g加えて攪拌し、E−2濃度40質量%のスラリーとした。次に分砕機、アイメックス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10m/sec、吐出量0.5リットル/minで8時間粉砕した。これをイオン交換水で、20質量%に希釈し、微結晶固体分散物を得た。平均粒子サイズは、0.15μmであった。
 表4には使用した乳剤の特徴を、表5には乳剤に添加した分光増感色素およびその量を示す。
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
 Em−(i)の作成
 実施例1の乳剤Em−aの未化学増感乳剤に、化学増感を施すのに最適な量の色素S−2を添加して40℃で20分間作用させ、その後56℃に昇温し、チオシアン酸カリウムの存在下で、硫黄増感剤としてハイポ、セレン増感剤としてN,N−ジメチルセレノウレア、金増感剤として塩化金酸をそれぞれ用いて金硫黄セレン増感を最適に施し、Em−(i)を得た。
 Em−(ii)〜Em−(vi)の作成
 上記Em−(i)と同様に、それぞれEm−d、Em−e、Em−i、Em−l、Em−nについて、色素S−2を添加して作用させたのちに、金硫黄セレン増感を最適に施しEm−(ii)、Em−(iii)、Em−(iv)、Em−(v)、Em−(vi)を得た。
 Em−(vii)〜Em−(ix)の作成
それぞれEm−(ii)、Em−(iii)、Em−(vi)の調製後、沃化銀を1mol%含有する直径0.05μm相当(同体積の球に換算)のAgBrIハロゲン化銀微粒子乳剤を、それぞれホスト粒子の銀量に対し3mol%に相当する量を添加して熟成し、Em−(vii)、Em−(viii)、Em−(ix)を調製した。
 以上の乳剤を試料201の乳剤Bと置き換えてそれぞれ試料202〜210とした。
 試料の評価
 感度およびかぶりの評価
 作成した試料202〜210を2500Luxで1/50秒の色温度4800Kの白色光源を用い、富士写真フィルム(株)製SC−39フィルターを通してウエッジ露光を施し、下記の現像処理を行った後に、シアン発色濃度が0.2を与える相対露光量の逆数(E)を求め、これを各試料のシアン発色感度とした。シアン発色感度は試料201において、主に乳剤Bがもたらすことを確認しており、具体的には試料202の感度を100とした相対値で示した。また、試料202のシアン発色最大濃度を基準として、その値からの低下濃度を求めた。反転感材では、便宜的にこの低下濃度を各試料のかぶりとみなすことができる。一般的にシアン発色最大濃度が低下すると、かぶりは増加する。保存中におけるかぶり変化の評価は、試料を45℃、55%の環境で7日間保存した試料と保存経時を経なかった試料のシアン発色最大濃度の差を試料202の場合の基準値と比較して行った。試料の詳細および結果を表6に示す。
Figure 2004126566
 表6から赤感性乳剤において本発明の有機電子供与化合物が従来知られているものよりも高感度、低かぶりでかつ保存後のかぶり程度が小さく、保存性改良物が有効に働くことが分かる。また、乳剤粒子をシェル付けすると本発明の有機電子供与化合物がより有効に働くことが分かった。
 (実施例3)
 Em−(x)の作成
 実施例1の乳剤Em−aの未化学増感乳剤に、化学増感を施すのに最適な量の色素S−4を添加して40℃で20分間作用させ、その後56℃に昇温し、チオシアン酸カリウムの存在下で、硫黄増感剤としてハイポ、セレン増感剤としてN,N−ジメチルセレノウレア、金増感剤として塩化金酸をそれぞれ用いて金硫黄セレン増感を最適に施し、Em−(x)を得た。
 Em−(xi)〜Em−(xiii)の作成
 上記Em−(x)と同様に、それぞれEm−d、Em−e、Em−gについて、色素S−4を添加して作用させたのちに、金硫黄セレン増感を最適に施しEm−(xi)、Em−(xii)、Em−(xiii)を得た。
 試料302〜309の作成
 以上の乳剤を試料201の乳剤Gに置き換えてそれぞれ試料302〜304とした。また、試料302〜304のカプラーC−4およびC−5をそれぞれのモル数の0.6倍に相当するC−12およびC−13に置き換えて試料305〜309とした。
 試料の評価
 感度およびかぶりの評価
 作成した試料302〜309を2500Luxで1/50秒の色温度4800Kの白色光源を用い、富士写真フィルム(株)製SC−39フィルターを通してウエッジ露光を施し、下記の現像処理を行った後に、マゼンタ発色濃度が0.18を与える相対露光量の逆数(E)を求め、これを各試料のマゼンタ発色感度とした。マゼンタ発色濃度は試料201において、主に乳剤Gがもたらすことを確認しており、具体的には試料302の感度を100とした相対値で示した。また、試料302のマゼンタ発色最大濃度を基準として、その値からの低下濃度を求めた。便宜的にこの低下濃度を各試料のかぶりとみなすことができる。一般的にマゼンタ発色最大濃度が低下すると、かぶりは増加する。保存中におけるかぶり変化の評価は、試料を45℃、55%の環境で7日間保存した試料と保存経時を経なかった試料のマゼンタ発色最大濃度の差を試料302の場合の基準値と比較して行った。試料の詳細および結果を表7に示す。
Figure 2004126566
 表7から緑感性乳剤において本発明の有機電子供与化合物が従来知られているものよりも高感度、低かぶりでかつ保存後のかぶり程度が小さく、特定の構造を有するカプラー(C−12、C−13)との組み合わせでその効果が増大するとの予想しなかった結果が得られた。 
 この結果は下記一般式MC−Iで表されるマゼンタカプラーで顕著に再現した。
Figure 2004126566
 一般式(MC−I)の式中、R1は水素原子または置換基を表し、G1、G2はいずれか一方が炭素原子、もう一方が窒素原子を表し、R2は置換基を表し、G1、G2のうち炭素原子であるほうに置換する。R1またはR2は更に置換基を有していても良く、またR1、R2を介して一般式(MC−I)の多量体を形成していても良く、R1またはR2を介して高分子鎖に結合していても良い。Xは、水素原子または芳香族第1級アミンカラー現像主薬の酸化体とのカップリング反応により離脱する基を表す。
 実施例2および3では以下に示す現像処理工程(現像処理A)を施した。 
 なお処理に際しては、試料201の未露光のものと、完全に爆光したものを1:1の比率で、補充量がタンク容量の4倍になるまでランニング処理した後に評価用の処理を行った。
   処理工程   時間   温度  タンク容量   補充量
   第一現像   6分   38℃   12L   2200mL/m2
   第一水洗   2分   38℃    4L   7500mL/m2
   反  転   2分   38℃    4L   1100mL/m2
   発色現像   6分   38℃   12L   2200mL/m2
   前漂白    2分   38℃    4L   1100mL/m2
   漂  白   6分   38℃   12L    220mL/m2
   定  着   4分   38℃    8L   1100mL/m2
   第二水洗   4分   38℃    8L   7500mL/m2
   最終リンス  1分   25℃    2L   1100mL/m2
 各処理液の組成は以下の通りであり、第一現像の亜硫酸ナトリウムが多く含まれており、溶解物理現像が起こる現像液とみなすことができる。
 〔第一現像液〕             〔タンク液〕 〔補充液〕
ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸
  ・5ナトリウム塩               1.5g   1.5g
ジエチレントリアミン五酢酸・5ナトリウム塩    2.0g   2.0g
亜硫酸ナトリウム                  30g   30g
ハイドロキノン・モノスルホン酸カリウム       20g   20g
炭酸カリウム                    15g   20g
重炭酸カリウム                   12g   15g
1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル
  −3−ピラゾリドン              2.5g   3.0g
臭化カリウム                   2.5g   1.4g
チオシアン酸カリウム               1.2g   1.2g
沃化カリウム                   2.0 mg   −
ジエチレングリコール                13g    15g
水を加えて                   1000mL   1000mL
  pH                    9.60     9.60
  pHは硫酸又は水酸化カリウムで調整した。
 〔反転液〕                 〔タンク液〕 〔補充液〕
ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸        タンク液
 ・5ナトリウム塩                3.0g   に同じ
塩化第一スズ・2水塩               1.0g
p−アミノフェノール               0.1g
水酸化ナトリウム                  8g
氷酢酸                       15mL
水を加えて                    1000mL
  pH                     6.00
  pHは酢酸又は水酸化ナトリウムで調整した。
 〔発色現像液〕              〔タンク液〕 〔補充液〕
ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸
  ・5ナトリウム塩               2.0g   2.0g
亜硫酸ナトリウム                 7.0g   7.0g
リン酸3ナトリウム・12水塩            36g    36g
臭化カリウム                   1.0g    −
沃化カリウム                   90 mg    −
水酸化ナトリウム                 8.0g   8.0g
シトラジン酸                   0.5g   0.5g
N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)
  −3−メチル−4−アミノアニリン・3/2硫酸・1水塩
                          10g   10g
3,6−ジチアオクタン−1,8−ジオール      1.0g  1.0g
水を加えて                    1000mL  1000mL
  pH                      11.80  12.00
  pHは硫酸又は水酸化カリウムで調整した。
 〔前漂白〕                  〔タンク液〕 〔補充液〕
エチレンジアミン4酢酸・2ナトリウム塩・2水塩   8.0g   8.0g
亜硫酸ナトリウム                  6.0g   8.0g
1−チオグリセロール                0.4g   0.4g
ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウム付加物       30g    35g
水を加えて                     1000mL  1000mL
  pH                      6.30    6.10
  pHは酢酸又は水酸化ナトリウムで調整した。
 〔漂白液〕                  〔タンク液〕 〔補充液〕
エチレンジアミン4酢酸・2ナトリウム塩・2水塩   2.0g   4.0g
エチレンジアミン4酢酸・Fe(III)・アンモニウム
  ・2水塩                    120g   240g
臭化カリウム                    100g   200g
硝酸アンモニウム                   10g    20g
水を加えて                     1000mL  1000mL
  pH                      5.70   5.50
  pHは硝酸又は水酸化ナトリウムで調整した。
 〔定着液〕                 〔タンク液〕 〔補充液〕
チオ硫酸アンモニウム               80g タンク液に同じ
亜硫酸ナトリウム                5.0g     〃
重亜硫酸ナトリウム                5.0g    〃
水を加えて                    1000mL    〃
  pH                     6.60
  pHは酢酸又はアンモニア水で調整した。
 〔安定液〕                  〔タンク液〕 〔補充液〕
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン       0.02g   0.03g
ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル
  (平均重合度10)               0.3g   0.3g
ポリマレイン酸(平均分子量2,000)          0.1g   0.15g
水を加えて                    1000mL   1000mL
  pH                      7.0     7.0
 なお、上記現像処理工程では、各浴は連続的に液を循環させ攪拌し、更に各タンクの下面には直径0.3mmの小孔を1cm間隔であけた発泡管を配置し、連続的に窒素ガスを発泡させて攪拌した。
 (実施例4)
 試料401の作成
 (I)トリアセチルセルロースフィルムの作成
トリアセチルセルロースを通常の溶液流延法により、ジクロロメタン/メタノール=92/8(質量比)にトリアセチルセルロースを溶解(質量で13%)、可塑剤トリフェニルフォスフェートとビフェニルジフェニルフォスフェートを質量比2:1で、合計がトリアセチルセルロースに対して14%になるように添加したものをバンド法にて作成した。乾燥後の支持体の厚みは97μmであった。
 (II)下塗り層の内容
上記トリアセチルセルロースフィルムの両面に対して以下の下塗りを施した。数字は下塗り液1.0リットルあたりに含まれる重量を表す。
ゼラチン    10.0g
サリチル酸    0.5g
グリセリン    4.0g
アセトン     700mL
メタノール    200mL
ジクロロメタン   80mL
ホルムアルデヒド 0.1mg
水を加えて    1.0リットル
 (III)バック層の塗布
 上記のように下塗りを施した支持体の片面に以下に示すバック層を塗布した。
 第1層 バインダー:酸処理ゼラチン(等電点9.0)    1.00g
    ポリマーラテックスP−2(平均粒径0.1μm)    0.13g
    ポリマーラテックス:P−3(平均粒径0.2μm)   0.23g
    紫外線吸収剤U−41                0.030g
    紫外線吸収剤U−42                0.010g
    紫外線吸収剤U−43                0.010g
    紫外線吸収剤U−44                0.020g
    高沸点有機溶媒Oil−42             0.030g
    界面活性剤W−42                 0.010g
    界面活性剤W−44                 3.0mg
 第2層 バインダー:酸処理ゼラチン(等電点9.0)    3.10g
    ポリマーラテックス:P−3(平均粒径0.2μm)  0.11g
    紫外線吸収剤U−41                0.030g
    紫外線吸収剤U−43                0.010g
    紫外線吸収剤U−44                0.020g
    高沸点有機溶媒Oil−42             0.030g
    界面活性剤W−42                 0.010g
    界面活性剤W−44                 3.0mg
    染料D−2                     0.10g
    染料D−10                    0.12g
    硫酸カリウム                    0.25g
    塩化カルシウム                   0.5mg
    水酸化ナトリウム                  0.03g
 第3層 バインダー:酸処理ゼラチン(等電点9.0)    3.30g
    界面活性剤W−42                 0.020g
    硫酸カリウム                   0.30g
    水酸化ナトリウム                 0.03g
 第4層 バインダー:石灰処理ゼラチン(等電点5.4)   1.15g
    メタクリル酸とメチルメタクリレートの1:9の共重合体
      (平均粒径2.0μm)            0.040g
    メタクリル酸とメチルメタクリレートの6:4の共重合体
      (平均粒径2.0μm)            0.030g
    界面活性剤W−42                 0.060g
    界面活性剤W−41                 7.0mg
    硬化剤H−1                   0.23g    
 (IV)感光性乳剤層の塗布
 バック層を塗布したのと反対側に、以下に示す感光性乳剤層を塗布し、試料401とした。数字はm2あたりの添加量を表す。なお添加した化合物の効果は記載した用途に限らない。
 以下に示したゼラチンは、分子量(質量平均分子量)10万〜20万のものを用いた。主な金属イオンの含有率は、カルシウム2500〜3000ppm、鉄1〜7ppm、ナトリウム1500〜3000ppmであった。 
 またカルシウム含量が1000ppm以下のゼラチンも併用した。
 各層は、含有せしめる有機化合物はゼラチンを含む乳化分散物(界面活性剤としてはW−42、W−43、W−44を使用した)として調製し、感光性乳剤、黄色コロイド銀もそれぞれゼラチン分散物として調製し、これらを混合して記載した添加量が得られるようにした塗布液を調製し、塗布に供した。Cpd−H、O、P、Q、染料D−1,2,3,5,6、8,9,10、H−1,P−4、F−1〜9は水またはメタノール、ジメチルホルムアミド、エタノール、ジメチルアセトアミドなど適当な水混和性有機溶媒に溶解し、各層の塗布液に添加した。
 このように調整された各層のゼラチン濃度(ゼラチン固形分の質量/塗布液体積)は、2.5%〜15.0%の範囲、また各塗布液のpHは、5.0〜8.5の範囲、ハロゲン化銀乳剤を含む層の塗布液においては、pH6.0、温度40℃に調整したときのpAgの値は7.0〜9.5の範囲であった。 
 塗布後は、温度10℃〜45℃の範囲に保った多段階の乾燥工程にて乾燥し試料を得た。
 第1層:ハレーション防止層
   黒色コロイド銀            0.20g
   ゼラチン               2.20g
   化合物Cpd−B           0.010g
   紫外線吸収剤U−41         0.050g
   紫外線吸収剤U−43         0.020g
   紫外線吸収剤U−44         0.020g
   紫外線吸収剤U−45         0.010g
   紫外線吸収剤U−42         0.070g
   化合物Cpd−F           0.20g
   高沸点有機溶媒Oil−42      0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−46      0.020g
   染料D−4              1.0mg
   染料D−8              1.0mg
   染料E−1の微結晶固体分散物2    0.05g
 第2層:中間層
   ゼラチン               0.4g
   化合物Cpd−F           0.050g
   化合物Cpd−R           0.020g
   化合物Cpd−S           0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−46      0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−47      5.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−48      0.020g
   染料D−11             2.0mg
   染料D−7              4.0mg
 第3層:中間層
   ゼラチン               0.4g
 第4層:感光性乳剤層
   乳剤R’           銀量  0.20g
   乳剤S’           銀量  0.10g
   微粒子沃化銀(平均球相当径0.05μm、立方体)
                  銀量  0.050g
   ゼラチン               0.5g
   化合物Cpd−F           0.030g
   高沸点有機溶媒Oil−46      0.010g
 第5層:感光性乳剤層
   乳剤U’           銀量  0.20g
   ゼラチン               0.4g
 第6層:中間層
   ゼラチン               1.50g
   化合物Cpd−M           0.10g
   化合物Cpd−D           0.010g
   化合物Cpd−K           3.0mg
   化合物Cpd−O           3.0mg
   化合物Cpd−T           5.0mg
   紫外線吸収剤U−46         0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−46      0.10g
   高沸点有機溶媒Oil−43      0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−44      0.010g
 第7層:低感度赤感性乳剤層
   乳剤A’           銀量  0.15g
   乳剤B’           銀量  0.10g
   乳剤C’           銀量  0.15g
   黄色コロイド銀        銀量  1.0mg
   ゼラチン               0.60g
   カプラーC−41           0.15g
   カプラーC−42           7.0mg
   紫外線吸収剤U−42          3.0mg
   化合物Cpd−J            2.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−45      0.050g
   高沸点有機溶媒Oil−50      0.020g
 第8層:中感度赤感性乳剤層
   乳剤C’           銀量  0.20g
   乳剤D’           銀量  0.15g
   内部を被らせた臭化銀乳剤(立方体、球相当平均粒子径0.11μm)
                  銀量  0.010g
   ゼラチン               0.60g
   カプラーC−41           0.15g
   カプラーC−42           7.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−45      0.050g
   高沸点有機溶媒Oil−50      0.020g
   化合物Cpd−T           2.0mg
 第9層:高感度赤感性乳剤層
   乳剤E’           銀量  0.15g
   乳剤F’           銀量  0.20g
   ゼラチン               1.50g
   カプラーC−41           0.70g
   カプラーC−42           0.025g
   カプラーC−43           0.020g
   カプラーC−48           3.0mg
   紫外線吸収剤U−41         0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−45      0.25g
   高沸点有機溶媒Oil−49      0.05g
   高沸点有機溶媒Oil−50      0.10g
   化合物Cpd−D           3.0mg
   化合物Cpd−L          1.0mg
   化合物Cpd−T          0.050g
   添加物P−1            0.010g
   添加物P−4            0.010g
   染料D−8             1.0mg
 第10層:中間層
   ゼラチン              0.50g
   添加物P−2            0.030g
   染料D−5             0.010g
   染料D−9             6.0mg
   化合物Cpd−I          0.020g
   化合物Cpd−O          3.0mg
   化合物Cpd−P          5.0mg
 第11層:中間層
   黄色コロイド銀        銀量  3.0mg
   ゼラチン              1.00g
   添加物P−2            0.010g
   化合物Cpd−A          0.030g
   化合物Cpd−M          0.10g
   化合物Cpd−O          2.0mg
   紫外線吸収剤U−41        0.010g
   紫外線吸収剤U−42        0.010g
   紫外線吸収剤U−45        5.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−43     0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−46     0.10g
 第12層:低感度緑感性乳剤層
   乳剤G’           銀量  0.15g
   乳剤H’           銀量  0.15g
   乳剤I’           銀量  0.15g
   ゼラチン              1.00g
   カプラーC−44          0.060g
   カプラーC−45          0.10g
   化合物Cpd−B          0.020g
   化合物Cpd−G          2.5mg
   化合物Cpd−K          1.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−42     0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−45     0.020g
 第13層:中感度緑感性乳剤層
   乳剤I’          銀量  0.10g
   乳剤J’          銀量  0.20g
   ゼラチン              0.50g
   カプラーC−44          0.10g
   カプラーC−45          0.050g
   カプラーC−46          0.010g
   化合物Cpd−B          0.020g
   化合物Cpd−U          8.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−42     0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−45     0.020g
   添加剤P−1            0.010g
 第14層:高感度緑感性乳剤層
   乳剤J’          銀量  0.15g
   乳剤K’          銀量  0.25g
   内部を被らせた臭化銀乳剤(立方体、球相当平均粒子径0.11μm)
                 銀量  5.0mg
   ゼラチン              1.20g
   カプラーC−44          0.50g
   カプラーC−45          0.20g
   カプラーC−47          0.10g
   化合物Cpd−B          0.030g
   化合物Cpd−U          0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−45     0.15g
   添加剤P−1            0.030g
 第15層:イエローフィルター層
   黄色コロイド銀       銀量  2.0mg
   ゼラチン              1.0g
   化合物Cpd−C          0.010g
   化合物Cpd−M          0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−41     0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−46     0.020g
   染料E−2の微結晶固体分散物2   0.25g
 第16層:感光性乳剤層
   乳剤T’          銀量  0.15g
   ゼラチン              0.40g
   カプラーC−41          5.0mg
   カプラーC−42          0.5mg
   高沸点有機溶媒Oil−45     2.0mg
   化合物Cpd−Q          0.20g
   染料D−6             2.0mg
 第17層:低感度青感性乳剤層
   乳剤L’          銀量  0.08g
   乳剤M’          銀量  0.10g
   乳剤N’          銀量  0.12g
   表面及び内部を被らせた臭化銀乳剤
    (立方体、球相当平均粒子径0.11μm)
                 銀量  0.010g
   ゼラチン              0.80g
   カプラーC−48          0.020g
   カプラーC−49          0.020g
   カプラーC−50          0.20g
   化合物Cpd−B          0.010g
   化合物Cpd−I          8.0mg
   化合物Cpd−K          2.0mg
   紫外線吸収剤U−45        0.010g
   添加剤P−1            0.020g
 第18層:中感度青感性乳剤層
   乳剤N’          銀量  0.20g
   乳剤O’          銀量  0.20g
   ゼラチン              0.80g
   カプラーC−48          0.030g
   カプラーC−49          0.030g
   カプラーC−50          0.30g
   化合物Cpd−B          0.015g
   化合物Cpd−E          0.020g
   化合物Cpd−N          2.0mg
   化合物Cpd−T          0.010g
   紫外線吸収剤U−45        0.015g
   添加剤P−1            0.030g
 第19層:高感度青感性乳剤層
   乳剤P’          銀量  0.20g
   乳剤Q’          銀量  0.15g
   ゼラチン              2.00g
   カプラーC−48          0.10g
   カプラーC−49          0.15g
   カプラーC−50          1.10g
   カプラーC−43          0.010g
   高沸点有機溶媒Oil−45     0.020g
   化合物Cpd−B          0.060g
   化合物Cpd−D          3.0mg
   化合物Cpd−E          0.020g
   化合物Cpd−F          0.020g
   化合物Cpd−N          5.0mg
   化合物Cpd−T          0.070g
   紫外線吸収剤U−45        0.060g
   添加剤P−1            0.10g
 第20層:第1保護層
   ゼラチン              0.70g
   紫外線吸収剤U−41        0.020g
   紫外線吸収剤U−45        0.030g
   紫外線吸収剤U−42        0.10g
   化合物Cpd−B          0.030g
   化合物Cpd−O          5.0mg
   化合物Cpd−A          0.030g
   化合物Cpd−H          0.20g
   染料D−1             2.0mg
   染料D−2             3.0mg
   染料D−3             2.0mg
   高沸点有機溶媒Oil−42     0.020g
   高沸点有機溶媒Oil−43     0.030g
 第21層:第2保護層
   微粒子沃臭化銀乳剤(平均粒径0.06μm、AgI含量 1モル%)
                 銀量  0.10g
   ゼラチン              0.80g
   紫外線吸収剤U−42        0.030g
   紫外線吸収剤U−45        0.030g
   高沸点有機溶媒Oil−42     0.010g
 第22層:第3保護層
   ゼラチン              1.00g
   ポリメチルメタクリレート(平均粒径1.5 μm)
                     0.10g
   メチルメタクリレートとメタクリル酸の6:4の共重合体
    (平均粒径1.5 μm)       0.15g
   シリコーンオイルSO−1      0.20g
   界面活性剤W−41         0.010g
   界面活性剤W−42         0.040g
 また、すべての乳剤層には上記組成物の他に添加剤F−1〜F−9を添加した。さらに各層には上記組成物の他にゼラチン硬化剤H−1及び塗布用、乳化用界面活性剤W−42、W−43、W−44を添加した。 
 更に防腐、防黴剤としてフェノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、p−安息香酸ブチルエステルを添加した。
 以上のように作成した試料401の乾燥状態での塗布膜厚は25.8μm、温度25℃で蒸留水で膨潤させた場合の膨潤率は、1.78倍であった。
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
 有機固体分散染料の分散物の調製
 (染料E−1の微結晶固体分散物2の調製)
染料E−1のウエットケーキ(E−1の正味量として270g)にW−45を15gおよび水を加えて攪拌し4000gとした。次に、アイメックス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10m/sec、吐出量0.5リットル/minで2時間粉砕した。ビーズを濾過して除き、水を加えて染料濃度3%に希釈した後、安定化のために90℃で10時間加熱した。得られた染料微粒子の平均粒径は0.25μm であり、粒径の分布の広さ(粒径標準偏差×100/平均粒径)は20%であった。
 (染料E−2の微結晶固体分散物2の作製)
 水を30質量%含むE−2のウエットケーキ1400gに水及びW−43を270g加えて攪拌し、E−2濃度40質量%のスラリーとした。次に分砕機、アイメックス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10m/sec、吐出量0.5リットル/minで8時間粉砕した。これをイオン交換水で、20質量%に希釈し、染料E−2の微結晶固体分散物2を得た。平均粒子サイズは、0.15μmであった。
 表8には、使用した乳剤の特徴を、表9には添加した分光増感色素種、量および添加時期を示す。
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
Figure 2004126566
 Em−(xxi)の作成
 実施例1の乳剤Em−aの未化学増感乳剤に化学増感を施すのに最適な量の色素S−48を添加して40℃で20分間作用させ、その後58℃に昇温チオシアン酸カリウムの存在下で硫黄増感剤としてハイポ、セレン増感剤としてN,N−ジメチルセレノウレア、金増感剤として塩化金酸を用いて金硫黄セレン増感を最適に施し、Em−(xxi)を得た。
 Em−(xxii)〜Em−(xxvi)の作成
 上記Em−(xxi)と同様に、それぞれEm−d,Em−f、Em−q、Em−s、Em−tについて色素S−47を吸着させた後に金硫黄増感を最適に施し、Em−(xxii)、Em−(xxiii)、Em−(xxiv)、Em−(xxv)、Em−(xxvi)を得た。
 以上の乳剤を試料401の乳剤N’と置き換えてそれぞれ試料402〜407を得た。
 試料の評価
感度およびかぶりの評価
 作成した試料402〜407を2500luxで1/50秒の色温度4800Kの白色光源を用い、富士写真フィルム(株)製SC−39フィルターを通してウェッジ露光を施し、下記の現像処理を行った後に、イエロー発色濃度が0.2を与える相対露光量の逆数(E)を求め、これを各試料のイエロー発色濃度とした。イエロー発色濃度は試料401において、主に乳剤N’がもたらすことを確認しており、具体的には試料402の感度を100とした相対値で示した。また、試料402のイエロー発色最大濃度を基準として、その値からの低下濃度を求めた。反転感材では、便宜的にこの低下濃度を各試料のかぶりとみなすことができる。一般的にイエロー発色最大濃度が低下するとかぶりは増加している。保存中におけるかぶり変化の評価は、試料を45℃、55%の環境で7日間保存した試料と保存経時を経なかった試料のイエロー発色最大濃度の差を試料402の場合の基準値と比較して行った。試料の詳細および結果を表10に示す。
Figure 2004126566
 実施例4における現像処理工程は、実施例2および3と同じ(現像処理A)を実施した。
 表10から青感性乳剤において本発明の有機電子供与化合物が従来知られているものよりも高感度、低かぶりでかつ保存後のかぶり程度が小さいことが分かった。

Claims (1)

  1.  下記一般式(1−1)〜(4−2)で表される化合物の少なくとも一種を含有するハロゲン化銀写真感光材料を溶解物理現像が起こる現像液で処理する工程を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
    Figure 2004126566
     一般式(1−1)においてRED11は還元性基を表し、L11は脱離基を表し、R112は水素原子または置換基を表す。R111は炭素原子(C)およびRED11と共に、5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成し得る非金属原子団を表す。 
     一般式(1−2)においてRED12およびL12は、それぞれ一般式(1−1)のRED11およびL11と同義の基を表す。R121およびR122は、それぞれ水素原子または炭素原子に置換可能な置換基を表し、これは一般式(1−1)のR112と同義の基である。ED12は電子供与性基を表す。一般式(1−2)においてR121とRED12、R121とR122、またはED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。 
     一般式(2)においてRED2は一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。L2はカルボキシ基またはその塩を表し、R21、R22は水素原子または置換基を表す。RED2とR21とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。但し一般式(2)で表される化合物は、分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物である。 
     一般式(3)においてRED3は一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。Y3は、RED3が1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位または炭素−炭素3重結合部位を含む反応性基を表す。L3はRED3とY3とを連結する連結基を表す。 
     一般式(4−1)および一般式(4−2)においてRED41およびRED42は、それぞれ一般式(1−2)のRED12と同義の基を表す。R40〜R44およびR45〜R49は、それぞれ水素原子または置換基を表す。一般式(4−2)においてZ42は−CR420R421−、−NR423−、または−O−を表す。ここにR420、R421は、それぞれ水素原子または置換基を表し、R423は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
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