JP2004125093A - 車両制御装置、車両制御方法及び道路状況判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の現在地情報を取得する現在地情報取得処理手段89と、道路情報を取得する道路情報取得処理手段90と、現在地情報及び道路情報に基づいて、車両が減速制御を必要とするコーナに差し掛かっているかどうかを判断するコーナ判断処理手段91と、前記道路情報に基づいて、コーナにおいて山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する山回り・谷回り走行判定処理手段92と、該山回り・谷回り走行判定処理手段92による判定結果に基づいて、道路形状に対応した推奨変速比を算出する推奨変速比算出処理手段93と、算出された推奨変速比に基づいて変速制御処理を行う変速制御処理手段94とを有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法及び道路状況判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動変速機を搭載した車両においては、エンジンを駆動することによって発生させられた回転を、変速機構に伝達し、該変速機構において変速を行い、変速が行われた後の回転を駆動輪に伝達して車両を走行させるようにしている。
【0003】
前記自動変速機には、有段変速機及び無段変速機が有り、前記有段変速機においては、プラネタリギヤユニットに回転を入力するための歯車要素、プラネタリギヤユニットから回転を出力させるための歯車要素等の組合せを変更することによって変速機構の変速比を有段で変化させ、前記無段変速機においては、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間にベルトが張設され、プライマリプーリ及びセカンダリプーリの半径方向におけるベルトの位置、すなわち、有効径を変化させることによって、変速機構の変速比を無段で変化させるようにしている。そのために、プライマリプーリ及びセカンダリプーリはそれぞれ固定シーブ及び可動シーブを備え、該各可動シーブを油圧サーボ、電動機等の駆動部によって移動させることにより、前記有効径を変化させるようになっている。
【0004】
ところで、前記無段変速機において、車両がコーナに通過する際に適切な速度に減速するためのコーナ制御を行うようにした車両制御装置が提供されている。
【0005】
該車両制御装置においては、ナビゲーション装置によって取得された道路情報に基づいて車両がコーナに差し掛かっていることが検出され、運転者がアクセルペダルを緩め、運転者による減速しようとする意図が検出されたタイミングで、変速比が大きくされ、シフトダウンの変速が行われるようになっている。これにより、運転者による操作に基づく減速が補足されて減速アシストが行われるので、運転者の感覚に合うコーナ制御を行うことができ、運転性を向上させることができる。
【0006】
ところが、運転者がコーナを通過する際の車速、及び運転者が必要とする減速アシストの量(以下「減速アシスト量」という。)は、道路状況によって左右される運転者の心理的余裕により変化する。そこで、道路状況によって減速アシスト量を変化させるために、コーナを通過する際の車速を増減するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−222055号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の車両制御装置においては、コーナを通過するに当たり、内側(径方向内方)に遮蔽(へい)物があるコーナ(いわゆるブラインドコーナ)を通過する場合、走行する先を見通すことが困難であり、運転者は不安を感じやすいのに対して、外側(径方向外方)に遮蔽物があるコーナを通過する場合、走行する先を見通すことが容易であり、運転者は不安を感じにくいが、道路形状に基づいて、コーナを通過する際の車速を一律に増減させると、内側に遮蔽物があるコーナ(以下「山回り」という。)の走行において減速が十分に行われず、不安が残ったり、外側に遮蔽物があるコーナ(以下「谷回り」という。)の走行において必要以上に減速し、違和感が残ったりしてしまうことがある。
【0009】
本発明は、前記従来の車両制御装置の問題点を解決して、コーナを通過するに当たり、適正な減速を行うことができる車両制御装置、車両制御方法及び道路状況判定方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の車両制御装置においては、車両の現在地情報を取得する現在地情報取得処理手段と、道路情報を取得する道路情報取得処理手段と、現在地情報及び道路情報に基づいて、車両が減速制御を必要とするコーナに差し掛かっているかどうかを判断するコーナ判断処理手段と、前記道路情報に基づいて、コーナにおいて山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する山回り・谷回り走行判定処理手段と、該山回り・谷回り走行判定処理手段による判定結果に基づいて、道路形状に対応した推奨変速比を算出する推奨変速比算出処理手段と、算出された推奨変速比に基づいて変速制御処理を行う変速制御処理手段とを有する。
【0011】
本発明の他の車両制御装置においては、さらに、前記山回り・谷回り走行判定処理手段は、コーナにおいて設定された所定の地点の標高に基づいて、山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する。
【0012】
本発明の更に他の車両制御装置においては、さらに、前記所定の地点は道路の左右に設定される。
【0013】
本発明の更に他の車両制御装置においては、さらに、前記山回り・谷回り走行判定処理手段は、コーナを通過するのに適した車速を表す推奨車速を判定結果に基づいて修正する。そして、前記推奨変速比算出処理手段は、修正された推奨車速に基づいて推奨変速比を算出する。
【0014】
本発明の車両制御方法においては、車両の現在地情報を取得し、道路情報を取得し、現在地情報及び道路情報に基づいて、車両が減速制御を必要とするコーナに差し掛かっているかどうかを判断し、前記道路情報に基づいて、コーナにおいて山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定し、判定結果に基づいて、道路形状に対応した推奨変速比を算出し、算出された推奨変速比に基づいて変速制御処理を行う。
【0015】
本発明の道路状況判定方法においては、コーナにおける所定のノード点の座標、及びノード点において設定された所定の地点の座標及び標高を読み込み、前記ノード点及び地点の各座標、前記地点の標高に基づいて、山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態における車両制御装置の機能ブロック図である。
【0018】
図において、89は車両の現在地情報を取得する現在地情報取得処理手段、90は道路情報を取得する道路情報取得処理手段、91は、現在地情報及び道路情報に基づいて、車両が減速制御を必要とするコーナに差し掛かっているかどうかを判断するコーナ判断処理手段、92は、前記道路情報に基づいて、コーナにおいて山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する山回り・谷回り走行判定処理手段、93は、該山回り・谷回り走行判定処理手段92による判定結果に基づいて、道路形状に対応した推奨変速比を算出する推奨変速比算出処理手段、94は算出された推奨変速比に基づいて変速制御処理を行う変速制御処理手段である。
【0019】
図2は本発明の実施の形態における無段変速機の概念図である。
【0020】
図に示されるように、無段変速機10は、ベルト式の変速機構102、前後進切換装置103、ロックアップクラッチ105が内蔵されたトルクコンバータ106、カウンタシャフト107及びディファレンシャル装置109を備える。
【0021】
前記トルクコンバータ106は、図示されないエンジンの出力軸110にフロントカバー117を介して連結されたポンプインペラ111、入力軸112に連結されたタービンランナ113、及びワンウェイクラッチ115を介して支持されたステータ116を備える。そして、前記ロックアップクラッチ105は、入力軸112とフロントカバー117との間に配設される。なお、120はロックアップクラッチプレート104と入力軸112との間に配設されたダンパスプリング、121はポンプインペラ111に連結されて駆動されるオイルポンプである。
【0022】
前記変速機構102は、プライマリプーリ126、セカンダリプーリ131、及び前記プライマリプーリ126とセカンダリプーリ131との間に張設された金属製のベルト132を有する。そして、前記プライマリプーリ126は、プライマリシャフト122に固定された固定シーブ123、及び前記プライマリシャフト122に対して軸方向に摺(しゅう)動自在に支持された可動シーブ125から成り、セカンダリプーリ131は、セカンダリシャフト127に固定された固定シーブ129、及び前記セカンダリシャフト127に対して軸方向に摺動自在に支持された可動シーブ130から成る。
【0023】
また、可動シーブ125の背面にはダブルピストンから成る第1の駆動部としての油圧サーボ133が、可動シーブ130の背面にはシングルピストンから成る第2の駆動部としての油圧サーボ135が配設される。
【0024】
前記油圧サーボ133は、プライマリシャフト122に固定されたシリンダ部材136及び反力支持部材137、並びに可動シーブ125の背面に固定された筒状部材139及びピストン部材140を備え、前記筒状部材139、反力支持部材137、及び可動シーブ125の背面によって第1の油室141が、シリンダ部材136及びピストン部材140によって第2の油室142が形成される。
【0025】
そして、前記第1、第2の油室141、142が連通孔137aによって互いに連通させられるので、油圧サーボ133は、油圧サーボ135と同じ油圧が供給されることによって、油圧サーボ135に発生させられる軸力のほぼ2倍の軸力を発生させる。
【0026】
一方、前記油圧サーボ135は、セカンダリシャフト127に固定された反力支持部材143、及び可動シーブ130の背面に固定された筒状部材145を備え、前記反力支持部材143、筒状部材145及び可動シーブ130の背面によって1個の油室146が形成されるとともに、可動シーブ130と反力支持部材143との間にプリロード用のスプリング147が配設される。
【0027】
なお、本実施の形態においては、前記第1、第2の駆動部として油圧サーボ133、135が使用されるようになっているが、該油圧サーボ133、135に代えて電動機を使用することもできる。
【0028】
前記前後進切換装置103は、ダブルピニオンプラネタリギヤ150、リバースブレーキB及びダイレクトクラッチCを有する。前記ダブルピニオンプラネタリギヤ150において、サンギヤSと入力軸112とが連結され、第1、第2のピニオンP1、P2を支持するキャリヤCRと固定シーブ123とが連結され、リングギヤRと前記リバースブレーキBとが連結され、キャリヤCRとリングギヤRとが前記ダイレクトクラッチCを介して連結される。
【0029】
そして、前記カウンタシャフト107には、大ギヤ151及び小ギヤ152が固定され、前記大ギヤ151は、セカンダリシャフト127に固定されたギヤ153と噛(し)合し、また、小ギヤ152は、ディファレンシャル装置109のデフケース166に固定されたギヤ155と噛合する。前記ディファレンシャル装置109においては、前記デフケース166によって支持されたデフギヤ156の回転が、左右のサイドギヤ157、159を介して左右の車軸160、161に伝達される。
【0030】
また、固定シーブ123の外周縁には、多数の凹凸部123aが歯切りによって等間隔に形成され、前記凹凸部123aに臨ませて、図示されないケースに固定された電磁ピックアップから成るプライマリプーリ回転速度センサ162が配設される。前記固定シーブ129の外周縁には、多数の凹凸部129aが歯切りによって等間隔に形成され、前記凹凸部129aに臨ませて、前記ケースに固定された電磁ピックアップから成るセカンダリプーリ回転速度センサ、すなわち、車速センサ44が配設される。したがって、該車速センサ44によって車両の走行条件を表す車速Vを、プライマリプーリ回転速度センサ162によって入力プーリ回転速度をそれぞれ検出することができる。
【0031】
また、前記フロントカバー117に近接させて前記ケースに固定された電磁ピックアップから成るエンジン回転速度センサ165が配設され、該エンジン回転速度センサ165によってエンジン負荷を表すエンジン回転速度NE を検出することができる。
【0032】
前記構成の無段変速機10において、前記エンジンを駆動することによって発生させられた回転は、トルクコンバータ106及び前後進切換装置103を介して変速機構102に伝達され、該変速機構102において変速が行われた後、ギヤ153、大ギヤ151及び小ギヤ152を介してディファレンシャル装置109に伝達され、図示されない駆動輪に伝達される。そして、前記前後進切換装置103において、リバースブレーキBを解放した状態でダイレクトクラッチCを係合させると、ダブルピニオンプラネタリギヤ150は直結状態になり、入力軸112に伝達された回転はそのままプライマリプーリ126に伝達され、車両が前進させられる。また、リバースブレーキBを係合させた状態でダイレクトクラッチCを解放すると、入力軸112に伝達された回転は、逆転させられた状態でプライマリプーリ126に伝達され、車両が後退させられる。
【0033】
そして、シフトアップの変速を行う場合、油圧サーボ133に油圧が供給され、前記プライマリプーリ126の有効径が大きくされ、セカンダリプーリ131の有効径が小さくされる。その結果、変速機構102の変速比が小さくされる。また、シフトダウンの変速を行う場合、油圧サーボ133の油圧がドレーンされ、前記プライマリプーリ126の有効径が小さくされ、セカンダリプーリ131の有効径が大きくされる。その結果、前記変速比が大きくされる。
【0034】
次に、車両の全体の制御を行う車両制御装置について説明する。
【0035】
図3は本発明の実施の形態における車両制御装置のブロック図である。
【0036】
図において、12は無段変速機10(図2)の全体の制御を行う自動変速機制御部、13は図示されないエンジンの全体の制御を行うエンジン制御部、14は車載装置としてのナビゲーション部である。
【0037】
また、40は車両・運転者操作情報検出部であり、該車両・運転者操作情報検出部40は、ステアリングセンサ46、ウインカセンサ41、アクセルセンサ42、ブレーキセンサ43、車速Vを検出する車速センサ44、運転者による加速要求を表すスロットル開度を検出するスロットル開度センサ45、及び運転者がシフトレバー等の変速操作部を操作することによって選択されたレンジを検出するシフトポジションセンサ47を備える。なお、前記ウインカセンサ41、アクセルセンサ42、ブレーキセンサ43、ステアリングセンサ46、シフトポジションセンサ47等によって運転者による車両の操作情報を検出する運転者操作情報検出手段が構成される。
【0038】
そして、48は車両の前方を監視する前方監視装置、49は道路の車線を表す表示線を認識する表示線認識装置、50は車両の周辺を監視する周辺監視装置、51はRAM、52はROMである。なお、RAM51及びROM52によって記録装置が構成される。また、前記レンジとして、ニュートラルレンジ(N)、前進レンジ(D)、ローレンジ(L)、後進レンジ(R)及びパーキングレンジ(P)を選択することができる。なお、前記前方監視装置48は、レーザーレーダ、ミリ波レーダ、超音波センサ等、又はそれらの組合せから成り、自車周辺情報として車間距離La、車間時間、先行車に対する接近速度Va、一時停止箇所(非優先道路から優先道路への進入箇所、踏切、赤の信号が点滅する交差点等)に対する接近速度Vb、障害物に対する接近速度等を算出する。また、前記周辺監視装置50は、自車周辺情報として車両の前方の画像をCCD、C−MOS等のカメラによって撮影し、撮影によって得られた路上標識、信号機等の画像データを処理して周辺の車両数、白線位置、信号機の色等を判断する。
【0039】
前記ナビゲーション部14は、現在地を検出する現在地検出部としてのGPSセンサ21、道路データ等の各種のデータが記録された記録媒体としてのデータ記録部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38を有する。
【0040】
前記自動変速機制御部12、エンジン制御部13、ナビゲーション処理部17等は、データ、プログラム等に基づいて所定の処理を行うためのコンピュータとして機能する。
【0041】
また、前記ナビゲーション部14は、前記通信部38を介して、例えば、情報提供者としての図示されないVICSセンタから渋滞情報等の交通情報を取得し、交通情報を前記表示部35に表示したり、ナビ情報を自動変速機制御部12及びエンジン制御部13に送ったりすることができる。そして、前記ナビゲーション部14は、通信部38及び図示されないネットワークを介して図示されない情報センタ等からデータ、プログラム等を取得し、データ記録部16に記録することもできる。
【0042】
前記データ記録部16は、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、メッシュデータファイル、道路データファイル、写真データファイル、及び各地域のホテル、ガソリンスタンド、観光地案内等の施設の情報が記録された施設情報データファイル等から成るデータベースを備える。そして、前記各データファイルには、経路を検索するためのデータのほか、前記表示部35の画面に、検索した経路に沿って案内図を表示したり、交差点又は経路における特徴的な写真、コマ図等を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするための各種のデータが記録される。なお、前記データ記録部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するための各種のデータも記録される。
【0043】
ところで、前記交差点データファイルには各交差点に関する交差点データが、ノードデータファイルにはノード点に関するノードデータが、メッシュデータファイルにはメッシュ点に関するメッシュデータが、道路データファイルには道路に関する道路データがそれぞれ道路情報として記録される。
【0044】
前記ノードデータは、少なくとも道路の位置及び道路形状を構成するものであり、分岐点、交差点、ノード点、及び各ノード点間を連結するリンクを示すデータから成る。なお、前記ノード点は少なくとも道路の屈曲点の位置を示し、分岐点及びノード点は少なくとも座標(緯度及び経度)及び標高(高さ)を表す位置データを含む。
【0045】
また、前記メッシュデータは、一定の距離を置いてマトリックス状に設定されたメッシュ点を特定するためのメッシュ点の番号、座標(緯度、経度)及び標高(高さ)で表される。
【0046】
そして、前記道路データによって、道路の構造を示す項目については、幅員、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等が、コーナ等の道路形状を示す項目については、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等が、道路属性については、踏切、高速道路出口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路、道路種別(国道、一般道、高速道等)等がそれぞれ表される。
【0047】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション部14の全体の制御を行う演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、及び制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内、特定区間の決定等を行うための各種のプログラムが記録された記録媒体としてのROM33から成るとともに、前記ナビゲーション処理部17に、前記入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。なお、前記CPU31にはMPUも含まれる。
【0048】
前記データ記録部16及びROM33は、図示されない磁気コア、半導体メモリ等によって構成される。また、前記データ記録部16及びROM33として、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等の各種の記録媒体を使用することもできる。
【0049】
本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部16に各種のデータが記録されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部の記録媒体に記録することもできる。この場合、例えば、前記ナビゲーション処理部17に図示されないフラッシュメモリを配設し、前記外部の記録媒体から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに書き込むこともできる。したがって、外部の記録媒体を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。また、自動変速機制御部12用のプログラム等も前記外部の記録媒体に記録することができる。このように、各種の記録媒体に記録されたプログラムを起動し、データに基づいて各種の処理を行うことができる。
【0050】
さらに、前記通信部38は、例えば、渋滞情報、規制情報、駐車場情報等の各情報から成る交通情報のほか、交通事故情報、GPSセンサ21の検出誤差を検出するD−GPS情報等の基地局から送信された各種のデータを受信したり、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等から電波ビーコン、光ビーコン等を介して位置情報を受信したりする。
【0051】
また、前記入力部34は、走行開始時の現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したりするためのものであり、前記表示部35の図示されないディスプレイに設定された画面に画像で表示された各種のキー、操作メニュー等の操作スイッチから成る。したがって、該操作スイッチをタッチ(押下)することによって入力を行うことができる。なお、入力部34として、表示部35と別に配設されたキーボード、マウス、バーコードリーダ、ライトペン、遠隔操作用のリモートコントロール装置等を使用することもできる。
【0052】
そして、前記ディスプレイに形成された各種の画面には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、現在地から目的地までの探索経路、該探索経路に沿った案内情報等が画像で出力され、表示される。前記表示部35としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイを使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用したりすることができる。
【0053】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音情報、例えば、音声合成装置によって合成された音声から成る案内情報、変速情報等をスピーカから出力し、運転者に知らせる。なお、音声合成装置によって合成された音声のほかに、各種の音、及びあらかじめテープ、メモリ等に録音された各種の案内情報をスピーカから出力することもできる。
【0054】
前記構成のナビゲーション部14において、CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行うことによって、表示部35の前記ディスプレイに案内画面を形成し、該案内画面に現在地及び周辺の地図を表示する。そして、運転者によって入力部34が操作されて目的地が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行うことによって、現在地から目的地までの経路を探索し、経路が探索されると、前記表示処理手段は、表示処理を行うことによって、前記ディスプレイに案内画面を開き、該案内画面に現在地、周辺の地図及び探索された経路を表示し、経路案内を開始する。したがって、運転者は、前記経路案内に従って車両を走行させることができる。
【0055】
また、前記自動変速機制御部12は、車両・運転者操作情報検出部40から車両情報及び操作情報を、ナビゲーション処理部17からナビ情報を読み込んで無段変速機10の制御を行う。さらに、前記自動変速機制御部12は、前方監視装置48及び周辺監視装置50から自車周辺情報を読み込んで無段変速機10の制御を行うこともできる。
【0056】
そして、前記車両情報として、車速センサ44によって検出された車速V、スロットル開度センサ45によって検出されたスロットル開度、エンジン回転速度センサ165によって検出されたエンジン回転速度NE 、該エンジン回転速度NE に基づいて算出されたエンジン回転速度変化、車速Vに基づいて算出された車速変化(加速度、必要減速度)、図示されない油温センサによって検出されたATF温度、図示されないABSセンサによって検出された車輪ロック・アンロック、図示されない振動ジャイロセンサによって検出された車両に発生する縦ジャイロ、横ジャイロ又はロール角、図示されない水温センサによって検出されたエンジン水温、図示されない流量センサによって検出された吸入空気量、図示されない酸素(O2 )センサによって検出された酸素濃度等を利用することができる。
【0057】
また、操作情報として、アクセルセンサ42によって検出されたアクセル開度、該アクセル開度に基づいて算出された踏込速度情報又はキックダウンオン・オフ情報、図示されないキックダウンスイッチによって検出されたキックダウンオン・オフ情報、図示されないブレーキスイッチによって検出されたブレーキオン・オフ情報、前記ブレーキセンサ43によって検出された図示されないブレーキペダルの踏込強さ又は踏込速度Ve、図示されないブレーキ油圧センサによって検出された踏込強さ又は踏込速度Ve、前記ステアリングセンサ46によって検出された舵角、又は該舵角に基づいて算出された操舵速度、前記ウインカセンサ41によって検出されたウインカオフ、ウインカ右オン又はウインカ左オン、図示されないモードスイッチによって検出されたパワー(スポーツ)モード、ノーマル(エコノミー)モード、スノー(ホールド)モード又はオートモード、図示されないワイパスイッチによって検出されたワイパオフ、間欠オン、連続(ロー)オン又は連続(ハイ)オン、図示されないライトスイッチによって検出されたスモールライトオン、ヘッドライト(ロー)オン、ヘッドライト(ハイ)オン又はオートオン、シフトポジションセンサ47によって検出されたレンジ等を利用することができる。
【0058】
そして、ナビ情報として、GPSセンサ21によって検出された現在地、データ記録部16に記録された前記交差点データ、ノードデータ、メッシュデータ、道路データ等を利用することができる。また、ナビ情報として、タウン情報又は地域情報、GPSセンサ21によって検出された時間(季節)、通信部38によって取得されたVICS渋滞レベル、FM多重によるD−GPS情報又は交通情報、図示されない携帯電話等の通信手段によって取得された地図情報、交通情報、行楽情報又は天気情報、衛星放送によって取得された地図情報、図示されないDSRCによって取得されたETC情報、料金決済情報、地図情報、交差点情報又はタウン情報、SS無線によって検出された車間情報等を利用することもできる。
【0059】
そして、自車周辺情報として、前記前方監視装置48によって検出された車間距離La、車間時間、先行車走行レーン又は障害物、前記周辺監視装置50によって検出された周辺の車両数、道路形状、白線位置、路肩位置、路面状態、道路標識、信号機、信号機の色、障害物等、図示されない超音波センサによって検出された障害物、図示されないマイクロ波センサによって検出された障害物、図示されないカメラによって検出された障害物等を利用することができる。また、環境情報として、図示されない外気温センサによって検出された外気温度、図示されない日射センサによって検出された日射量等を利用することができる。さらに、表示情報として、図示されないビーコンセンサによって検出された信号機の色を利用することができる。
【0060】
次に、自動変速機制御部12の動作について説明する。
【0061】
図4は本発明の実施の形態における変速線図である。なお、図において、横軸に車速Vを、縦軸にエンジン回転速度NE を採ってある。
【0062】
まず、自動変速機制御部12(図3)の図示されない通常変速制御処理手段は、運転者によって選択されたレンジ、車速V、スロットル開度及びエンジン回転速度NE を読み込む。そして、前記通常変速制御処理手段は、ROM52に記録された変速線図を参照し、選択されたレンジにおける走行条件及び加速要求に基づいて、エンジン回転速度NE の目標値、すなわち、目標エンジン回転速度NE * を算出する。
【0063】
次に、前記通常変速制御処理手段は、前記エンジン回転速度NE と目標エンジン回転速度NE * とを比較し、比較結果に基づいて変速出力を発生させ、所定の変速比を出力する。そして、エンジン回転速度NE が目標エンジン回転速度NE * より高い場合、所定の変速比によるシフトアップの変速を行い、エンジン回転速度NE と目標エンジン回転速度NE * とが等しい場合、変速は行わず、エンジン回転速度NE が目標エンジン回転速度NE * より低い場合、所定の変速比によるシフトダウンの変速を行う。
【0064】
ところで、図において、最大変速比を表す線L1、最小変速比を表す線L2、スロットル開度が8/8、すなわち、100〔%〕であるときの最大のエンジン回転速度NE 、すなわち、最大使用回転速度を表す線L3、及びスロットル開度が0/8、すなわち、0〔%〕であるときの最小のエンジン回転速度NE 、すなわち、最小使用回転速度を表す線L4によって包囲される変速領域AR1が設定される。この場合、車速Vが大きくなるほど、又はスロットル開度が大きくなるほど、エンジン回転速度NE が高くなるように変速線図が設定される。
【0065】
したがって、スロットル開度が100〔%〕で、エンジンが最大トルクを発生させる辺りまでは、線L1に沿って最大変速比が維持され、そこから線L3に沿って右上りの曲線を描いて、車速Vの増加と共にエンジン回転速度NE が徐々に上昇する。そして、スロットル開度が小さくなる(8/8→6/8→4/8→2/8→0/8)につれて、前記変速領域AR1内の右上りの変速線が下に移動する。
【0066】
一方、所定の車速を維持した状態からスロットル開度が0〔%〕になると、エンジン回転速度NE 及び変速比は線L2に沿って変化する。そして、前記車速より低い車速になると、変速比は線L4に沿って大きくなる。
【0067】
ところで、前記車両制御装置においては、前記ナビゲーション部14によって取得された、前記交差点データ、ノードデータ、メッシュデータ、道路データ等の道路情報に基づいて走行制御を行うことができる。そして、走行制御として、例えば、コーナ制御を行う場合、現在地が検出され、現在の車速V、現在地からコーナまでの距離等に基づいて必要減速度が算出され、算出された必要減速度、及び車両駆動力に基づいて推奨変速比が算出される。なお、前記必要減速度は、現在地、現在の車速V、道路形状等から判断され、現在地からコーナに到達するまでに車両が減速しなければならない減速の度合い、すなわち、距離(現在地からコーナに到達するまでの距離)に対応する情報である。
【0068】
続いて、算出された推奨変速比、車両情報、操作情報等に基づいて、最適変速比が算出され、該最適変速比に基づいて前記変速機構102(図2)の変速比を変化させる。
【0069】
次に、前記コーナ制御を行う場合のナビゲーション処理部17の動作について説明する。
【0070】
図5は本発明の実施の形態におけるナビゲーション処理部の動作を示すメインフローチャート、図6は本発明の実施の形態における走行環境認識処理のサブルーチンを示す図、図7は本発明の実施の形態における推奨車速マップを示す図、図8は本発明の実施の形態における山回り及び谷回りを説明する図、図9は本発明の実施の形態における標高領域決定処理のサブルーチンを示す図、図10は本発明の実施の形態における山回り・谷回り走行判定処理のサブルーチンを示す図、図11は本発明の実施の形態における標高領域決定処理の動作を示す図、図12は本発明の実施の形態における推奨車速修正処理のサブルーチンを示す図、図13は本発明の実施の形態における減速線マップを示す図である。なお、図7において、横軸にノード半径Rj(j=1、2、…)を、縦軸に推奨車速Vrj(j=1、2、…)を、図13において、横軸に位置を、縦軸に車速Vを採ってある。
【0071】
まず、ナビゲーション処理部17(図3)において、CPU31の図示されないナビゲーション基本処理手段はナビゲーション基本処理を行う。そして、前記ナビゲーション基本処理手段の現在地情報取得処理手段89(図1)は、現在地情報取得処理を行い、現在地情報を取得するためにGPSセンサ21によって検出された現在地を読み込む。次に、前記ナビゲーション基本処理手段の道路情報取得処理手段90は、道路情報取得処理を行い、データ記録部16のノードデータファイルにアクセスし、該ノードデータファイルから、現在地より前方のノードデータを手前から順に読み出す。この場合、該ノードデータには、各ノード点の座標等を表す位置データ、各隣接するノード点間を連結するリンクに付随する道路特性、リンクの長さ、各ノード点におけるリンクの交差角度等が含まれる。
【0072】
続いて、前記CPU31の図示されない走行環境認識処理手段は、走行環境認識処理を行い、車両が走行する道路についての走行環境を認識する。そして、前記走行環境認識処理手段のコーナ判断処理手段91は、コーナ判断処理を行い、前記ノードデータに基づいて減速制御としてのコーナ制御を必要とするコーナが有るかどうか、すなわち、コーナ制御を必要とするコーナに差し掛かっているかどうかを判断する。
【0073】
そのために、前記コーナ判断処理手段91は、前記現在地、及び該現在地より前方のノードデータに基づいて、制御リストを作成し、制御用データとして現在地を含む道路上の所定の範囲(例えば、現在地から1〜2〔km〕)内の各ノード点nj(j=1、2、…)ごとに道路のノード半径Rjを算出する。
【0074】
なお、目的地が設定されて経路が決定されている場合は、その経路に存在するノード点についてのノード半径Rjを、経路が決定されていない場合には、現在地から、例えば、道なりに進んだ道路に存在するノード点についてのノード半径Rjを算出する。この場合、各ノード点njの座標、及び前記各ノード点njに隣接する二つのノード点nj+1、nj−1の各座標に基づいて演算処理が行われ、前記ノード半径Rjが算出される。また、道路情報としてあらかじめデータ記録部16にノード半径Rjを、例えば、各ノード点njに対応させて格納しておき、必要に応じて前記ノード半径Rjを読み出すこともできる。さらに、コーナの入口部分のノード点に、コーナの全体の曲率半径のデータを持たせ、必要に応じて該データを読み出すこともできる。
【0075】
次に、コーナ判断処理手段91は、前記所定の範囲内において前記ノード半径Rjが閾(しきい)値より小さいノード点、すなわち、対象ノードNdj(j=1、2、…)が検出されると、各対象ノードNdjにおいて車両を減速させる必要があると判断し、コーナ制御を必要とするコーナに差し掛かっていると判断する。また、前記コーナ判断処理手段91は、前記ノード点njの座標に基づいてコーナの形状を算出する。
【0076】
また、前記走行環境認識処理手段は、現在地から前記各対象ノードNdjまでの区間距離Lnj(j=1、2、…)をリンクの長さに基づいて算出する。
【0077】
続いて、前記走行環境認識処理手段の推奨車速算出処理手段は、推奨車速算出処理を行い、ROM33に記録された図7に示される推奨車速マップを参照して、前記対象ノードNdjのノード半径Rjに対応する推奨車速Vrjを読み込み、算出する。なお、該推奨車速Vrjは、コーナを通過するのに適した車速Vを表し、前記推奨車速マップにおいて、ノード半径Rjが小さくなるほど低く、ノード半径Rjが大きくなるほど高く設定される。
【0078】
そして、本実施の形態においては、車両がコーナ制御を必要とするコーナに差し掛かると、現在地から前記コーナに到達するまでに車速Vが前記推奨車速Vrjになるような減速が必要であると判断される。
【0079】
ところで、図8に示されるように、コーナには、内側(径方向内方)に山等の遮蔽物があり、外側(径方向外方)に谷があるようなコーナCnr1、内側に谷があり、外側に山等の遮蔽物があるようなコーナCnr2がある。そして、前記コーナCnr1を通過する場合、矢印A方向及び矢印B方向に山回りの走行を行うと、矢印a方向及び矢印b方向において走行する先を見通すことが困難であるだけでなく、車両に谷側に向けて遠心力f1、f2が加わるので、運転者は不安を感じやすい。これに対して、前記コーナCnr2を通過する場合、矢印C方向及び矢印D方向に谷回りの走行を行うと、矢印c方向及び矢印d方向において走行する先を見通すことが容易であるだけでなく、車両に山側に向けて遠心力f3、f4が加わるので、運転者は不安を感じにくい。
【0080】
したがって、コーナCnr1、Cnr2を通過する際の車速Vを一律に増減させると、山回りの走行において減速が十分に行われなく、不安が残ったり、谷回りの走行において必要以上に減速が行われ、違和感が残ったりしてしまう。
【0081】
そこで、本実施の形態において、前記走行環境認識処理手段の山回り・谷回り走行判定処理手段92は、山回り・谷回り走行判定処理を行い、差し掛かったコーナにおいて、山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する。
【0082】
ところで、図8に示される道路rdをノードデータで表すと、図11の実線で示されるように、各ノード点n1、n2、…を結ぶ線になる。
【0083】
そのために、前記走行環境認識処理手段の標高領域決定処理手段は、標高領域決定処理を行い、制御リストの各ノード点njごとに位置データを読み込むとともに、メッシュデータファイルにアクセスし、メッシュデータを読み込んで、各ノード点njを含む標高領域を決定し、RAM32に記録する。
【0084】
なお、図11において、h1〜h20はメッシュ点であり、前記標高領域は、各ノード点njを含み、四つのメッシュ点によって包囲される。
【0085】
続いて、前記標高領域決定処理手段は、コーナ制御が必要とされたコーナCnr1、Cnr2において山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定するために必要な計算対象標高領域を決定する。
【0086】
そのために、前記標高領域決定処理手段は、ノード点njの座標、及びノード点njに隣接する二つのノード点nj−1、nj+1の座標を読み出し、各座標に基づいて、前記ノード点njと各ノード点nj−1、nj+1とを結んで形成される角度の二等分線kj(j=1、2、…)を算出する。続いて、前記標高領域決定処理手段は、前記二等分線kjを延長したときに、最初に進入する標高領域を計算対象標高領域として決定する。例えば、ノード点が図11に示されるノード点naである場合、前記標高領域決定処理において、ノード点naを含む標高領域M1が決定され、ノード点naの座標、及びノード点naに隣接する二つのノード点na−1、na+1の座標に基づいて、ノード点naと二つのノード点na−1、na+1とを結んで形成される角度の二等分線kaが算出される。そして、二等分線kaが最初に進入する標高領域M2が計算対象標高領域として決定される。
【0087】
また、例えば、ノード点が図11に示されるノード点nbである場合、前記標高領域決定処理において、ノード点nbを含む標高領域M3が決定され、ノード点nbの座標、及びノード点nbに隣接する二つのノード点nb−1、nb+1の座標に基づいて、ノード点nbと二つのノード点nb−1、nb+1とを結んで形成される角度の二等分線kbが算出される。そして、二等分線kbが最初に進入する標高領域M4が計算対象標高領域として決定される。
【0088】
なお、前記標高領域M1はメッシュ点h11、h12、h16及びh17によって包囲された領域、前記標高領域M2はメッシュ点h12、h13、h17及びh18によって包囲された領域、前記標高領域M3はメッシュ点h3、h4、h8及びh9によって包囲された領域、前記標高領域M4はメッシュ点h4、h5、h9及びh10によって包囲された領域である。
【0089】
次に、前記走行環境認識処理手段の領域中心標高算出処理手段は、領域中心標高算出処理を行い、前記各ノードnjが含まれる標高領域、及び該標高領域に対応する計算対象標高領域の各中心点をコーナにおける所定の地点として道路rdの左右に設定し、各中心点の標高を算出する。
【0090】
例えば、ノード点naの場合、前記領域中心標高算出処理手段は、前記標高領域M1、M2の中心点Ha1、Ha2をコーナCnr1における所定の地点として道路rdの左右に設定し、前記中心点Ha1、Ha2の標高Hta1、Hta2を算出する。なお、メッシュ点h11、h12、h13、h16、h17及びh18の標高を、ht11、ht12、ht13、ht16、ht17、ht18としたとき、標高Hta1、Hta2は、
Hta1=(ht11+ht12+ht16+ht17)/4
Hta2=(ht12+ht13+ht17+ht18)/4
になる。
【0091】
また、ノード点nbの場合、領域中心標高算出処理手段は、前記標高領域M3、M4における中心点Hb1、Hb2をコーナCnr2における所定の地点として道路rdの左右に設定し、前記中心点Hb1、Hb2の標高Htb1、Htb2を算出する。なお、メッシュ点h3、h4、h5、h8、h9及びh10の標高を、ht3、ht4、ht5、ht8、ht9、ht10としたとき、標高Htb1、Htb2は、
Htb1=(ht3+ht4+ht8+ht9)/4
Htb2=(ht4+ht5+ht9+ht10)/4
になる。
【0092】
このようにして、標高領域M1〜M4における中心点Ha1、Ha2、Hb1、Hb2の標高Hta1、Hta2、Htb1、Htb2が算出されると、前記走行環境認識処理手段の山回り・谷回り走行判定処理手段92は、山回り・谷回り走行判定処理を行い、前記ノード点na、na−1、na+1の座標、及び中心点Ha1、Ha2の座標に基づいて、中心点Ha1、Ha2がコーナCnr1の径方向内方にあるか、又は径方向外方にあるかを判断し、径方向内方にある中心点を内側中心点とし、径方向外方にある中心点を外側中心点とする。
【0093】
また、前記山回り・谷回り走行判定処理手段92は、前記ノード点nb、nb−1、nb+1の座標、及び中心点Hb1、Hb2の座標に基づいて、中心点Hb1、Hb2がコーナCnr2の径方向内方にあるか、又は径方向外方にあるかを判断し、径方向内方にある中心点を内側中心点とし、径方向外方にある中心点を外側中心点とする。
【0094】
続いて、前記各コーナCnr1、Cnr2について、内側中心点の標高をHinとし、外側中心点の標高をHoutとしたとき、標高Hin、Houtについての標高差ΔH
ΔH=Hin−Hout
を算出し、該標高差ΔHがあらかじめ設定された正の閾値Hth1より大きいかどうか、又は標高差ΔHがあらかじめ設定された負の閾値Hth2より小さいかどうかを判断し、標高差ΔHが閾値Hth1より大きい場合、山回りの走行が行われると判定し、標高差ΔHが閾値Hth2より小さい場合、谷回りの走行が行われると判定し、標高差ΔHが閾値Hth1以下であり、閾値Hth2以上である場合、通常の走行が行われると判定する。
【0095】
このようにして山回り・谷回り走行判定処理が行われると、前記走行環境認識処理手段の推奨車速修正処理手段は、推奨車速修正処理を行い、山回りの走行又は谷回りの走行において減速アシスト量を適正な値にし、適正な減速を行うことができるようにするために前記推奨車速Vrjを修正する。
【0096】
すなわち、前記推奨車速修正処理手段は、山回りの走行が行われるか、谷回りの走行が行われるか、又は通常の走行が行われるかを判定し、山回りの走行が行われる場合、修正係数ρを1より小さい所定の値、例えば、0.8にし、谷回りの走行が行われる場合、修正係数ρを1より大きい所定の値、例えば、1.2にし、通常の走行が行われる場合、修正係数ρを1にして、前記推奨車速Vrjに修正係数ρを乗算した値を推奨車速Vrjとする。
【0097】
したがって、山回りの走行が行われる場合、推奨車速Vrjが修正されて低くされ、谷回りの走行が行われる場合、推奨車速Vrjが修正されて高くされ、通常の走行が行われる場合、推奨車速Vrjは修正されない。
【0098】
続いて、前記走行環境認識処理手段は、ROM33に記録された図13に示される減速線マップを参照し、各対象ノードNdjについて、車両が各対象ノードNdjに到達するまでに車速Vが、前記推奨車速修正処理において修正された後の推奨車速Vrjになるように減速線gj(j=1、2、…)を算出する。次に、前記走行環境認識処理手段は、前記各減速線gjに基づいて決定される必要減速度βj(j=1、2、…)を算出する。なお、図13において、V0は現在の車速V、Lnjは現在地から各対象ノードNdjまでの区間距離である。
【0099】
本実施の形態においては、減速線マップを参照することによって必要減速度βjを算出することができるようになっているが、所定の式によって必要減速度βjを算出することもできる。
【0100】
続いて、前記走行環境認識処理手段は、前記各対象ノードNdjの必要減速度βjのうちの最大値、すなわち、最大必要減速度βmaxを算出するとともに、必要減速度βjが最大必要減速度βmaxになる対象ノードNdjにおける推奨車速VrXを算出し、前記最大必要減速度βmax及び推奨車速VrXをRAM32に記録する。なお、前記推奨車速VrXは、コーナの形状、すなわち、コーナのきつさを表す情報である。
【0101】
そして、前記CPU31の図示されない走行環境情報伝達処理手段は、走行環境情報伝達処理を行い、前記RAM32から最大必要減速度βmax及び推奨車速VrXを読み出し、所定の通信手段によって走行環境情報として自動変速機制御部12に送る。本実施の形態においては、走行環境情報として最大必要減速度βmax及び推奨車速VrXを自動変速機制御部12に送るようになっているが、最大必要減速度βmaxに代えて、必要減速度βjが所定の値を超えたときに、減速が必要であることを表す減速フラグをオンにし、該減速フラグを自動変速機制御部12に送ることもできる。
【0102】
なお、前記コーナ判定処理において、コーナ制御を必要とするコーナがない場合、CPU31は減速が不要であることを表す減速不要フラグをオンにし、該減速不要フラグを自動変速機制御部12に送る。
【0103】
次に、図5のフローチャートについて説明する。
ステップS1 ナビゲーション基本処理を行う。
ステップS2 走行環境認識処理を行う。
ステップS3 走行環境情報伝達処理を行い、処理を終了する。
【0104】
次に、図6のフローチャートについて説明する。
ステップS2−1 ノード半径Rjを算出する。
ステップS2−2 推奨車速Vrjを算出する。
ステップS2−3 標高領域決定処理を行う。
ステップS2−4 中心点の標高を決定する。
ステップS2−5 山回り・谷回り走行判定処理を行う。
ステップS2−6 推奨車速修正処理を行う。
ステップS2−7 必要減速度βjを算出し、リターンする。
【0105】
次に、図9のフローチャートについて説明する。
ステップS2−3−1 ノード点を含む標高領域を決定する。
ステップS2−3−2 計算対象標高領域を決定し、リターンする。
【0106】
次に、図10のフローチャートについて説明する。
ステップS2−5−1 標高差ΔHが閾値Hth1より大きいかどうかを判断する。標高差ΔHが閾値Hth1より大きい場合はステップS2−5−3に、標高差ΔHが閾値Hth1以下である場合はステップS2−5−2に進む。
ステップS2−5−2 標高差ΔHが閾値Hth2より小さいかどうかを判断する。標高差ΔHが閾値Hth2より小さい場合はステップS2−5−4に、標高差ΔHが閾値Hth2以上である場合はステップS2−5−5に進む。
ステップS2−5−3 山回りの走行が行われると判定し、リターンする。
ステップS2−5−4 谷回りの走行が行われると判定し、リターンする。
ステップS2−5−5 通常の走行が行われると判定し、リターンする。
【0107】
次に、図12のフローチャートについて説明する。
ステップS2−6−1 山回りの走行が行われると判定されたかどうかを判断する。山回りの走行が行われると判定された場合はステップS2−6−3に、判定されない場合はステップS2−6−2に進む。
ステップS2−6−2 谷回りの走行が行われると判定されたかどうかを判断する。谷回りの走行が行われると判定された場合はステップS2−6−4に、判定されない場合はステップS2−6−5に進む。
ステップS2−6−3 修正係数を0.8にする。
ステップS2−6−4 修正係数を1.2にする。
ステップS2−6−5 修正係数を1にする。
ステップS2−6−6 推奨車速Vrjに修正係数ρを乗算した値を推奨車速Vrjにセットし、リターンする。
【0108】
このようにして、ナビゲーション処理部17から自動変速機制御部12に最大必要減速度βmax及び推奨車速VrXが送られると、自動変速機制御部12の図示されない協調変速制御処理手段は、協調変速制御処理を開始する。
【0109】
次に、協調変速制御処理について説明する。
【0110】
図14は本発明の実施の形態における自動変速機制御部の動作を示すメインフローチャート、図15は本発明の実施の形態における推奨変速比算出処理のサブルーチンを示す図、図16は本発明の実施の形態における最適変速比算出処理のサブルーチンを示す図、図17は本発明の実施の形態における通常走行モード処理のサブルーチンを示す図、図18は本発明の実施の形態におけるコーナ進入モード処理のサブルーチンを示す図、図19は本発明の実施の形態におけるコーナ脱出モード処理のサブルーチンを示す図である。
【0111】
まず、前記協調変速制御処理手段の目標回転速度算出処理手段は、目標回転速度算出処理を行い、選択されたレンジ、車速V、スロットル開度及びエンジン回転速度NE を読み込み、ROM52(図3)に記録された図4に示される変速線図を参照し、選択されたレンジにおける車両の走行条件及び加速要求に基づいて目標エンジン回転速度NE * を算出する。
【0112】
ところで、平坦(たん)路において減速を行う場合と、登坂路又は降坂路において減速を行う場合とでは、同じ距離を走行させても減速度が異なる。例えば、登坂路において、運転者が車両を減速させようとした場合、抵抗が大きくなるのでシフトダウンの変速を行わなくても十分な減速が行われる場合が多い。また、降坂路において、運転者が車両を減速させようとした場合、抵抗が小さくなるので積極的にシフトダウンの変速を行い、減速を行う必要がある。
【0113】
そこで、道路勾(こう)配を算出し、算出された道路勾配に基づいて前記最大必要減速度βmaxを補正するようにしている。そのために、前記協調変速制御処理手段の道路勾配算出処理手段は、道路勾配算出処理を行い、前記スロットル開度、車速V、車速Vから算出された車両の実加速度α等に基づいて道路勾配を算出する。
【0114】
該道路勾配は、次のようにして算出される。まず、車両駆動力が次の式によって算出される。
【0115】
車両駆動力=入力トルク×プーリ比×デフ・カウンタ減速比×トランスミッション効率÷タイヤ半径
次に、走行抵抗が次の式によって算出される。
【0116】
走行抵抗=転がり抵抗係数×車両重量×重力加速度+空気抵抗係数×前方投影面積×空気密度×(車速V)2 ÷2
続いて、基準加速度が次の式によって算出される。
【0117】
基準加速度=((車両駆動力)−(走行抵抗))÷((車両重量)+(トランスミッションイナーシャ)÷(タイヤ半径)2 )
ここで、トランスミッションイナーシャは、プライマリプーリ126(図2)系、ベルト132、セカンダリプーリ131系、カウンタシャフト107、ディファレンシャル装置109及びタイヤ系の各イナーシャを加算することによって得られる。
【0118】
さらに、前記基準加速度と実加速度αとの差に基づいて前記道路勾配が算出される。
【0119】
そして、前記協調変速制御処理手段の推奨変速比算出処理手段93(図1)は、推奨変速比算出処理を行い、道路形状に対応させて推奨変速比IpLを算出する。そのために、前記推奨変速比算出処理手段93は、まず、前記最大必要減速度βmaxを道路勾配に基づいて補正して補正必要減速度Grを算出する。ここで、前記道路勾配をθ〔%〕(登坂路の場合は負の値を採り、降坂路の場合は正の値を採る。)とし、道路勾配θに対応した補正関数をfg(θ)とすると、補正必要減速度Grは、
Gr=βmax+fg(θ)
になる。なお、補正関数fg(θ)は、
fg(θ)=θ/100
で近似される。
【0120】
この場合、道路勾配θに対応させて最大必要減速度βmaxが補正されるので、適切な補正必要減速度Grを得ることができる。したがって、適正なコーナ制御を行うことができる。
【0121】
続いて、前記推奨変速比算出処理手段93は、現在の車速V0を読み込み、ROM52に記録された車両のアクセルペダルを解放したときの図示されない減速特性マップを参照し、現在の車速V0及び補正必要減速度Grに応じた変速比IpGを算出する。
【0122】
そして、前記推奨変速比算出処理手段93は、ナビゲーション部14から送信された推奨車速VrXを読み込み、ROM52に記録された図示されない上限減速比マップを参照し、推奨車速VrX及び道路勾配θに応じた上限変速比Ipmaxを算出する。なお、上限減速比マップにおいて上限変速比Ipmaxは、コーナのきつさに対応するように設定され、推奨車速VrXが小さく、コーナがきついほど前記上限変速比Ipmaxが大きくされ、また、推奨車速VrXが大きく、コーナが緩いほど前記上限変速比Ipmaxが小さくされる。また、上限変速比Ipmaxを設定する際に車両の旋回特性を考慮するのが好ましい。
【0123】
続いて、前記推奨変速比算出処理手段93は、前記変速比IpGと上限変速比Ipmaxとを比較し、前記変速比IpG及び上限変速比Ipmaxのうちの小さい方を推奨変速比IpLとして算出する。
【0124】
このように、推奨車速VrXが小さく、コーナがきついほど、また、道路勾配θが大きいほど前記推奨変速比IpLは大きくされるので、アンダードライブ側の変速比を活用し、大きなエンジンブレーキ力を発生させることができるだけでなく、大きな加速トルクを発生させることができる。
【0125】
なお、前記CPU31から減速不要フラグが送られた場合、前記推奨変速比算出処理手段93は、推奨変速比IpLをオーバードライブ側の変速比に設定する。
【0126】
続いて、前記協調変速制御処理手段の最適変速比算出処理手段は、最適変速比算出処理を行う。そのために、前記最適変速比算出処理手段は、イグニッションオン・オフ時に初期化処理を行って、走行環境モードを通常走行モードに設定し、前記推奨変速比算出処理において算出された推奨変速比IpLに基づいて、走行環境モードを通常走行モード、コーナ進入モード及びコーナ脱出モード間において切り替えながら、最適変速比IpBを算出し、設定する。
【0127】
すなわち、前記最適変速比算出処理手段は、走行環境モードが通常走行モード、コーナ進入モード及びコーナ脱出モードのうちのいずれのモードであるか判定し、走行環境モードが通常走行モードである場合、前記最適変速比算出処理手段の通常走行モード処理手段は、通常走行モード処理を行い、走行環境モードがコーナ進入モードである場合、前記最適変速比算出処理手段のコーナ進入モード処理手段は、コーナ進入モード処理を行い、走行環境モードがコーナ脱出モードである場合、前記最適変速比算出処理手段のコーナ脱出モード処理手段は、コーナ脱出モード処理を行う。
【0128】
そして、走行環境モードが通常走行モードである場合、前記通常走行モード処理手段は、最適変速比IpBを初期化して最小変速比Ipminにする。次に、前記通常走行モード処理手段は、最適変速比IpB(最小変速比Ipmin)と前記推奨変速比IpLとを比較し、
IpB<IpL
である場合、前記推奨変速比IpLはアンダードライブ側に設定されているので、走行環境モードをコーナ進入モードに移行させる。
【0129】
該コーナ進入モードにおいて、前記コーナ進入モード処理手段は、コーナに対する運転者によるシフトダウンの変速意図、すなわち、コーナに対する減速する意図を表す減速意図がある場合、推奨変速比IpLを超えない範囲でシフトダウンの変速を行い、運転者がアクセルペダルを踏み込んでいる場合、推奨変速比IpLを超えない範囲でシフトアップの変速が行われるのを禁止する。
【0130】
そのために、コーナ進入モード処理手段のシフトダウン制御処理手段は、シフトダウン制御処理を行う。そして、シフトダウン制御処理手段は、アクセルセンサ42によって検出されたアクセル開度に基づいて、アクセルオフの動作が行われたかどうか、すなわち、コーナに対する運転者による減速意図があるかどうかを判断する。減速意図がある場合、シフトダウン制御処理手段は、現在の変速比、すなわち、実変速比IpNと推奨変速比IpLとの差ΔPrを算出し、該差ΔPrに対応する変移速度によって最適変速比IpBを変化させ、推奨変速比IpLに近づける。
【0131】
例えば、ある車速で車両が緩いコーナに進入する場合、必要減速度βjが小さくなり、また、推奨車速VrXが大きくなるので、推奨変速比IpLが比較的小さい変速比になり、前記差ΔPrが小さくなる。そこで、変移速度を低くし、最適変速比IpBを緩やかに推奨変速比IpLに近づける。したがって、運転者に違和感(減速を強く感じる等)を与えることがなくなる。また、ある車速で車両がきついコーナに進入する場合、必要減速度βjが大きくなり、また、推奨車速VrXが小さくなるので、推奨変速比IpLが比較的大きい変速比になり、前記差ΔPrが大きくなる。そこで、変移速度を高くし、最適変速比IpBを急速に推奨変速比IpLに近づける。この場合、早めにシフトダウンの変速を行うことができるので、急なコーナがある場合に、運転者の早めに減速したいという減速要求に適合させることができ、一層十分なエンジンブレーキ力を得ることができる。
【0132】
続いて、前記シフトダウン制御処理手段は、最適変速比IpBと推奨変速比IpLとを比較し、
IpB>IpL
である場合、推奨変速比IpLを最適変速比IpBにする。
【0133】
なお、アクセルオフの動作が行われず、アクセルオンの動作が行われている場合、減速意図がないので、シフトダウン制御処理手段はシフトダウン制御処理を終了する。
【0134】
そして、コーナ進入モード処理手段のシフトアップ禁止制御処理手段は、シフトアップ禁止制御処理を行い、シフトアップの変速を禁止し、最適変速比IpBが小さくならないようにする。したがって、コーナ進入モードにおいて、踏み込まれていたアクセルペダルが解放されたときに、シフトアップの変速(オフアップの変速)が行われることがなくなるので、運転者が空走感を覚えるのを防止することができる。
【0135】
続いて、コーナ進入モード処理手段は、最適変速比IpBと推奨変速比IpLとを比較し、
IpB>IpL
である場合、走行環境モードをコーナ脱出モードに移行させる。
【0136】
次に、該コーナ脱出モードにおいて、コーナ脱出モード処理手段は、コーナに対する運転者によるシフトアップの変速意図、すなわち、シフトアップ意図がある場合、最適変速比IpBは、運転者が違和感を与えることがない変移速度で滑らかに、かつ、推奨変速比IpLより小さくならない範囲で小さくされ、シフトアップの変速が行われる。
【0137】
そのために、コーナ脱出モード処理手段のシフトアップ制御処理手段は、シフトアップ制御処理を行う。そして、シフトアップ制御処理手段は、車速センサ44によって検出された車速Vに基づいて、増速状態が継続されているかどうかを判断し、増速状態が継続されている場合にシフトアップ意図があると判断し、最適変速比IpBを適切な変移速度で、かつ、推奨変速比IpLより小さくならない範囲で小さくし、シフトアップの変速を行う。また、アクセルセンサ42によって検出されたアクセル開度に基づいて、アクセルオンの動作が行われたかどうかを判断し、アクセルオンの動作が行われた場合にシフトアップ意図があると判断することもできる。
【0138】
なお、運転者がアクセルペダルを大きく踏み込み、前記目標エンジン回転速度NE * が最適変速比IpBに従って算出された目標エンジン回転速度、すなわち、最適目標エンジン回転速度NE * Bより高くなった場合には、最適変速比IpBを小さくして推奨変速比IpLをオーバードライブ側に変化させても、シフトアップの変速は行われず、運転者に違和感を与えない。したがって、この場合も、最適変速比IpBを推奨変速比IpLより小さくならない範囲で小さくすることができる。
【0139】
そして、コーナ脱出モード中に推奨変速比IpLが最適変速比IpBより大きくなり、アンダードライブ側になると、コーナ脱出モード処理手段は走行環境モードをコーナ進入モードに移行させる。また、コーナ脱出モード中に最適変速比IpBが十分小さくなり、推奨変速比IpLがオーバードライブ側になると、コーナ脱出モード処理手段は、シフトアップの変速が終了したと判断し、走行環境モードを通常走行モードに移行させる。
【0140】
ところで、車両が通常走行する走行環境、車両がコーナに進入する走行環境、車両がコーナから脱出する走行環境等があるが、前記各走行環境に合わない処理が行われると、処理速度が低くなってしまう。ところが、本実施の形態においては、走行環境モードが通常走行モード、コーナ進入モード及びコーナ脱出モードのうちのいずれのモードであるかが判定され、各走行環境に対応した処理が行われ、無駄な処理が行われることがないので、処理速度を高くすることができる。
【0141】
また、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ状態からアクセルペダルを戻し始めたときに、シフトアップの変速が行われると、適正なコーナ制御を行うことができないが、本実施の形態においては、コーナ進入モードにおいてシフトアップの変速が禁止されるので、適正なコーナ制御を行うことができる。
【0142】
このようにして、最適変速比算出処理が行われると、協調変速制御処理手段の変速制御処理手段94は、変速制御処理を行う。そのために、前記変速制御処理手段94は、目標エンジン回転速度NE * と前記最適目標エンジン回転速度NE * Bとを比較し、いずれか大きい方の値を最終的な目標エンジン回転速度、すなわち、最終目標エンジン回転速度NE * Eとして決定し、該最終目標エンジン回転速度NE * Eに基づいて変速制御を行う。なお、前記最適目標エンジン回転速度NE * Bは、セカンダリプーリ回転速度をNsとすると、
NE * B=IpB・Ns
で表される。
【0143】
そして、コーナ制御が終了すると、推奨変速比IpLはオーバードライブ側に設定され、前述されたように目標エンジン回転速度NE * 及び最適目標エンジン回転速度NE * Bのいずれか大きい方の値が最終目標エンジン回転速度NE * Eにされ、その後、前記通常変速制御処理手段による通常変速制御処理が行われる。
【0144】
なお、コーナ制御と共に、登坂制御、降坂制御、車間距離制御等の他の走行環境による車両駆動力制御が行われている場合、それらによる各目標エンジン回転速度NE * 及び各最適目標エンジン回転速度NE * Bのうちの最も大きい値を最終目標エンジン回転速度NE * Eとして決定する。
【0145】
次に、図14のフローチャートについて説明する。
ステップS11 目標回転速度算出処理を行う。
ステップS12 道路勾配算出処理を行う。
ステップS13 推奨変速比算出処理を行う。
ステップS14 最適変速比算出処理を行う。
ステップS15 変速制御処理を行い、処理を終了する。
【0146】
次に、図15のフローチャートについて説明する。
ステップS13−1 最大必要減速度βmaxを道路勾配に基づいて補正する。
ステップS13−2 現在の車速V0及び補正必要減速度Grに応じた変速比IpGを算出する。
ステップS13−3 変速比IpG及びコーナのきつさに対応する上限変速比Ipmaxに基づいて推奨変速比IpLを算出し、リターンする。
【0147】
次に、図16のフローチャートについて説明する。
ステップS14−1 走行環境モードが通常走行モード、コーナ進入モード及びコーナ脱出モードのうちのいずれのモードであるか判定する。走行環境モードが通常走行モードである場合はステップS14−2に、走行環境モードがコーナ進入モードである場合はステップS14−3に、走行環境モードがコーナ脱出モードである場合はステップS14−4に進む。
ステップS14−2 通常走行モード処理を行い、リターンする。
ステップS14−3 コーナ進入モード処理を行い、リターンする。
ステップS14−4 コーナ脱出モード処理を行い、リターンする。
【0148】
次に、図17のフローチャートについて説明する。
ステップS14−2−1 最適変速比IpBを初期化して最小変速比Ipminとする。
ステップS14−2−2 最適変速比IpBが推奨変速比IpLより小さいかどうかを判断する。最適変速比IpBが推奨変速比IpLより小さい場合はステップS14−2−3に進み、最適変速比IpBが推奨変速比IpL以上である場合はリターンする。
ステップS14−2−3 走行環境モードをコーナ進入モードに移行させ、リターンする。
【0149】
次に、図18のフローチャートについて説明する。
ステップS14−3−1 シフトダウン制御処理を行う。
ステップS14−3−2 シフトアップ禁止制御処理を行う。
ステップS14−3−3 最適変速比IpBが推奨変速比IpLより大きいかどうかを判断する。最適変速比IpBが推奨変速比IpLより大きい場合はステップS14−3−4に進み、最適変速比IpBが推奨変速比IpL以下である場合はリターンする。
ステップS14−3−4 走行環境モードをコーナ脱出モードに移行させ、リターンする。
【0150】
次に、図19のフローチャートについて説明する。
ステップS14−4−1 シフトアップ制御処理を行う。
ステップS14−4−2 最適変速比IpBが推奨変速比IpLより小さいかどうかを判断する。最適変速比IpBが推奨変速比IpLより小さい場合はステップS14−4−3に、最適変速比IpBが推奨変速比IpL以上である場合はステップS14−4−4に進む。
ステップS14−4−3 走行環境モードをコーナ進入モードに移行させ、リターンする。
ステップS14−4−4 シフトアップの変速が終了したかどうかを判断する。シフトアップの変速が終了した場合はステップS14−4−5に進み、終了していない場合はリターンする。
ステップS14−4−5 走行環境モードを通常走行モードに移行させ、リターンする。
【0151】
なお、前記無段変速機10には、ベルト式無段変速機のほかに、出力が零(0)になる状態に自己収束する無段変速機、トロイダル無段変速機、静油圧式無段変速機等が含まれる。また、本発明の車両制御装置は、無段変速機10に限られるものではなく、トルクコンバータ及びプラネタリギヤを備えた有段の自動変速機、機械式変速機を自動化した有段の自動変速機、更に、電気自動車及びハイブリッド型車両も含めた概念である。そして、有段の自動変速機を使用する場合、変速比を変速段に置き換えることができる。電気自動車及びハイブリッド型車両の場合には、変速制御処理手段94に代えてモータ回生量制御手段を使用することができる。この場合、ナビゲーション部14からの走行環境情報に基づいてモータの回生制御量が決定される。また、無段変速機10を備えたハイブリッド型車両の変速比も同様に制御される。
【0152】
本実施の形態においては、減速アシスト量を適正な値にし、適正な減速を行うことができるようにするために、前記推奨車速算出処理において算出された推奨車速Vrjを修正するようにしているが、該推奨車速Vrjを修正することなく、該推奨車速Vrjに基づいて必要減速度βjを算出し、該必要減速度βjが最大必要減速度βmaxになる対象ノードNdjにおける推奨車速VrXを修正することもできる。
【0153】
このように、山回りの走行が行われる場合、推奨車速Vrjが低くされ、推奨変速比IpLがその分大きくされ、無段変速機10がアンダードライブ側で駆動されるので、運転者が不安を感じることがなくなる。また、谷回りの走行が行われる場合は、山回りの走行が行われる場合より推奨車速Vrjが高くされ、推奨変速比IpLがその分小さくされ、無段変速機10がオーバードライブ側で駆動されるので、必要以上に減速してしまうことがなくなる。したがって、コーナを通過するに当たり、適正な減速を行うことができる。
【0154】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、車両制御装置においては、車両の現在地情報を取得する現在地情報取得処理手段と、道路情報を取得する道路情報取得処理手段と、現在地情報及び道路情報に基づいて、車両が減速制御を必要とするコーナに差し掛かっているかどうかを判断するコーナ判断処理手段と、前記道路情報に基づいて、コーナにおいて山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する山回り・谷回り走行判定処理手段と、該山回り・谷回り走行判定処理手段による判定結果に基づいて、道路形状に対応した推奨変速比を算出する推奨変速比算出処理手段と、算出された推奨変速比に基づいて変速制御処理を行う変速制御処理手段とを有する。
【0155】
この場合、減速制御を必要とするコーナにおいて山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定し、判定結果に基づいて、道路形状に対応した推奨変速比を算出し、算出された推奨変速比に基づいて変速制御処理を行うようになっているので、山回りの走行が行われる場合に、運転者が不安を感じることがなくなり、谷回りの走行が行われる場合に、必要以上に減速してしまうことがなくなる。したがって、コーナを通過するに当たり、適正な減速を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における車両制御装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における無段変速機の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態における車両制御装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における変速線図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるナビゲーション処理部の動作を示すメインフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における走行環境認識処理のサブルーチンを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における推奨車速マップを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における山回り及び谷回りを説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態における標高領域決定処理のサブルーチンを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における山回り・谷回り走行判定処理のサブルーチンを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における標高領域決定処理の動作を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態における推奨車速修正処理のサブルーチンを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における減速線マップを示す図である。
【図14】本発明の実施の形態における自動変速機制御部の動作を示すメインフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態における推奨変速比算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図16】本発明の実施の形態における最適変速比算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態における通常走行モード処理のサブルーチンを示す図である。
【図18】本発明の実施の形態におけるコーナ進入モード処理のサブルーチンを示す図である。
【図19】本発明の実施の形態におけるコーナ脱出モード処理のサブルーチンを示す図である。
【符号の説明】
89 現在地情報取得処理手段
90 道路情報取得処理手段
91 コーナ判断処理手段
92 山回り・谷回り走行判定処理手段
93 推奨変速比算出処理手段
94 変速制御処理手段
Claims (6)
- 車両の現在地情報を取得する現在地情報取得処理手段と、道路情報を取得する道路情報取得処理手段と、現在地情報及び道路情報に基づいて、車両が減速制御を必要とするコーナに差し掛かっているかどうかを判断するコーナ判断処理手段と、前記道路情報に基づいて、コーナにおいて山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する山回り・谷回り走行判定処理手段と、該山回り・谷回り走行判定処理手段による判定結果に基づいて、道路形状に対応した推奨変速比を算出する推奨変速比算出処理手段と、算出された推奨変速比に基づいて変速制御処理を行う変速制御処理手段とを有することを特徴とする車両制御装置。
- 前記山回り・谷回り走行判定処理手段は、コーナにおいて設定された所定の地点の標高に基づいて、山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定する請求項1に記載の車両制御装置。
- 前記所定の地点は道路の左右に設定される請求項2に記載の車両制御装置。
- 前記山回り・谷回り走行判定処理手段は、コーナを通過するのに適した車速を表す推奨車速を判定結果に基づいて修正し、前記推奨変速比算出処理手段は、修正された推奨車速に基づいて推奨変速比を算出する請求項1に記載の車両制御装置。
- 車両の現在地情報を取得し、道路情報を取得し、現在地情報及び道路情報に基づいて、車両が減速制御を必要とするコーナに差し掛かっているかどうかを判断し、前記道路情報に基づいて、コーナにおいて山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定し、判定結果に基づいて、道路形状に対応した推奨変速比を算出し、算出された推奨変速比に基づいて変速制御処理を行うことを特徴とする車両制御方法。
- コーナにおける所定のノード点の座標、及びノード点において設定された所定の地点の座標及び標高を読み込み、前記ノード点及び地点の各座標、前記地点の標高に基づいて、山回りの走行、谷回りの走行及び通常の走行のうちのいずれが行われるかを判定することを特徴とする道路状況判定方法。
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