JP2004124548A - 杭基礎、地中壁体構造物およびそれらの施工方法 - Google Patents

杭基礎、地中壁体構造物およびそれらの施工方法 Download PDF

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堀田 光
Shuichi Kuroda
黒田 修一
Masaaki Notani
野谷 正明
Yoshihiro Sato
佐藤 嘉広
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Abstract

【課題】地盤振動に起因する生活空間の不快な環境を改善するとともに、特別に高強度の杭本体を使用せずに工事費用増大の軽減を図ることを目的とする。
【解決手段】地盤振動aの伝播範囲内の地盤A中に打設される杭本体9を有する杭基礎3において、地盤Aと杭本体9の杭周面との間に防振体12が介在されている。また、地盤振動aの振動発生源1と被防振地盤Bとの間の地盤A中に帯状に設けられている防振体12からなる地中壁体構造物16において、防振体12の中には、複数の空隙およびこの空隙を貫通する複数の通水孔が設けられ、空隙は通水孔によって外部と連通されている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路交通や鉄道交通等により発生する振動が、地盤を介して隣接する地域や構造物の杭に伝播することを防止するための杭基礎、地中壁体構造物およびそれらの施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、道路、鉄道、トンネルや地下鉄等の地下構造物、高架の基礎、工場等を振動発生源とする地盤振動は、振動伝播範囲内の地盤中に配設された杭基礎に地盤を介して伝達され、この杭基礎により支持されている構造物に伝播することで、構造物内に形成されている生活空間に不快な環境を与えることが知られている。
【0003】
従来、地盤振動が構造物に伝達することを防止するための構造物の杭基礎として、先端部に構造物を支持する支持構造体が設けられた杭本体が、振動伝播範囲内の地盤中に配設された中空の外側杭体の内部に、空隙が生じるように収容される構成からなるものが知られている。この杭基礎により、構造物は杭本体を介して支持構造体で支持されるとともに、外側杭体の内部の杭本体は周辺地盤と隔離される。このため、地盤振動は生活空間を形成する構造物に伝達されず、人間生活に不快な環境を与えることがない(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−140888号公報 (第2−3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の杭基礎によれば、杭本体は外側杭体の内部に空隙が生じるように収容されているため、杭本体の杭周面面には支持力が作用しない。このため、杭本体の座屈を防止するとともに地震などの横揺れに対して対抗し得る耐震性能を確保するために相当強度の高い杭本体が必要であり、工事費用が増幅するという問題が存在する。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、地盤振動に起因する生活空間の不快な環境を改善するとともに、特別に高強度の杭本体を使用せずに工事費用増大の軽減を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、地盤振動の伝播範囲内の地盤中に打設され、前記地盤の上方に構築される構造物を支持する杭本体を有する杭基礎において、前記地盤と前記杭本体の杭周面との間に防振体が介在されていることを特徴としている。
【0008】
このような特徴により、杭基礎を介して構造物に伝達される地盤振動は吸収される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の杭基礎において、前記防振体は、前記杭周面に並行に設けられた二重のコンクリート板の間に介在されていることを特徴としている。
【0010】
このような特徴により、防振体の表面は保持され、長期的に地盤振動の振動吸収効果を確保する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の杭基礎において、前記防振体の内周面および外周面には防振体凹凸面が形成され、前記コンクリート板の前記防振体との接合面には前記防振体凹凸面に噛み合うコンクリート板凹凸面が形成されていることを特徴としている。
【0012】
このような特徴により、コンクリート板と防振体との接触面積が大きくなるため、コンクリート板と防振体との間に働く摩擦力は増大し、この摩擦力が地下水などにより防振体に作用する浮力に対抗する。また、防振体凹凸面がコンクリート板凹凸面に噛み合うことでコンクリート板の重量が防振体に作用し、このコンクリート板の重量が地下水などにより防振体に作用する浮力に対抗する。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の杭基礎において、前記防振体の外周は、鋼板によって被覆されていることを特徴としている。
【0014】
このような特徴により、防振体の表面は保持され、長期的に地盤振動の振動吸収効果を確保する。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の杭基礎において、前記鋼板には、前記防振体の方向に向かって突起部が設けられていることを特徴としている。
【0016】
このような特徴により、突起部により鋼板と防振体とは固定され、この鋼板の重量は地下水などにより防振体に作用する浮力に対抗する。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の杭基礎において、前記防振体は、ブロック状の防振材が組積されて構成されていることを特徴としている。
【0018】
このような特徴により、防振体は条件に合わせて適宜形状や大きさを容易に変更することができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の杭基礎において、前記防振体の中には複数の空隙および該空隙を貫通する複数の通水孔が設けられ、前記空隙は前記通水孔によって外部と連通されていることを特徴としている。
【0020】
このような特徴により、防振体の体積は減少するため、地下水などにより防振体に作用する浮力は小さくなる。
【0021】
請求項8記載の発明は、地盤振動の振動発生源と該振動発生源に隣接する被防振地盤との間で前記地盤振動の伝播範囲内の地盤中に帯状に設けられている防振体からなる地中壁体構造物において、前記防振体の中には複数の空隙および該空隙を貫通する複数の通水孔が設けられ、前記空隙は前記通水孔によって外部と連通されていることを特徴としている。
【0022】
このような特徴により、被防振地盤に伝播する地盤振動は防振体により吸収される。また、防振体に設けられた空隙により体積は縮小するため、地下水などにより防振体に作用する浮力は小さくなる。
【0023】
請求項9記載の発明は、地盤振動の伝播範囲内の地盤中に打設して、前記地盤の上方に構築される構造物を支持する杭本体を有する杭基礎の施工方法において、筒形に形成され軸方向に貫通孔を有する防振体を前記地盤に鉛直に掘られた杭孔に鉛直に配設し、前記貫通孔に前記杭本体を打設することを特徴としている。
【0024】
このような特徴により、地盤振動伝播範囲内の杭本体の杭周面に防振体が形成され、杭基礎を介して構造物に伝達される地盤振動は吸収される。
【0025】
請求項10記載の発明は、地盤振動の伝播範囲内の地盤中に打設して、前記地盤の上方に構築される構造物を支持する杭本体を有する杭基礎の施工方法において、予め既製杭からなる前記杭本体の杭周面に防振体を被覆して、前記地盤に鉛直に掘られた杭孔に前記杭本体を打設することを特徴としている。
【0026】
このような特徴により、防振体の配設と杭本体の打設が同時に行われる。
【0027】
請求項11記載の発明は、地盤振動の振動発生源と該振動発生源に隣接する被防振地盤との間で前記地盤振動の伝播範囲内の地盤中に帯状に設けられている防振体からなる地中壁体構造物の施工方法において、前記地盤内に両側に傾斜面を有する溝を帯状に設けて、前記防振体の底面から鉛直方向に空隙が設けられている前記防振体を前記溝の中に帯状に構築することを特徴としている。
【0028】
このような特徴により、空隙を有することで体積が縮小することで防振体に作用する浮力が減少し、防振体は地盤振動の振動発生源と振動発生源に隣接する被防振地盤との間に形成される。この防振体によって、被防振地盤に伝達される地盤振動は吸収される。
【0029】
請求項12記載の発明は、地盤振動の振動発生源と該振動発生源に隣接する被防振地盤との間で前記地盤振動の伝播範囲内の地盤中に帯状に設けられている防振体からなる地中壁体構造物の施工方法において、前記地盤内に複数の矢板を前記防振体の高さよりも深く連続的に二列並行に打設し、前記矢板の間を掘削して帯状の溝を設け、前記防振体を前記溝の中に配設することを特徴としている。
【0030】
このような特徴により、矢板が溝の側面の土圧を抑止するため、溝の周辺地盤の崩壊は防止される。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1、第2、第3の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0032】
〈第1の実施の形態〉
本発明に係る杭基礎、地中壁体構造物およびその施工方法の第1の実施の形態について説明する。
【0033】
図1に示すように、振動発生源1は、自動車や電車の交通振動等により発生する地盤振動aの発生源であり、道路、地下鉄トンネル、高架の基礎等である。振動発生源1の近隣には、構造物2が建てられており、構造物2の下部には地盤G内に鉛直に配設される杭基礎3が設けられており、上部には柱4と梁5を有する上部構造体6が構築されている。上部構造体6内には、集合住宅や事務所等の生活空間7が形成されている。杭基礎3の上方には、上部構造体6の荷重を最下階の柱4から杭基礎3に伝達するフーチング8が設けられている。
【0034】
振動発生源1より発生する地盤振動aが伝播する伝播範囲内の地盤A内の杭基礎3は、上部構造体6の荷重を地盤Gに伝達する杭本体9と、地盤振動aの伝播を吸収する防振部10とから構成されている。杭本体9は、既製コンクリート杭からなるものであり、杭天端はフーチング8の下部に若干(100ミリメートル程度)入り込んでフーチング8と一体化されている。
【0035】
図1、図2に示すように、地盤振動aの伝播範囲内の地盤Aと当該杭本体9の杭周面9aとの間には防振部10が介在されており、地盤振動aが伝達しない地盤G内の杭本体9は地盤Gに接している。防振部10は、内側コンクリート板11aおよび外側コンクリート板11bからなる二重のコンクリート板11と、複数のブロック状の防振材12aからなる防振体12とで構成されている。内側コンクリート板11aは、杭周面9aに沿って設けられた中空円筒形のものであり、外側コンクリート板11bは、内側コンクリート板11aの外方に設けられ内側コンクリート板11aの外周面に沿って設けられた中空円筒形のものである。内側コンクリート板11aおよび外側コンクリート板11bの内部には、それぞれ複数のひび割れ防止鉄筋13が間隔をあけて鉛直に配設されている。内側コンクリート板11aと外側コンクリート板11bとの間には、防振体12が介在されている。防振体12は、内側コンクリート板11aおよび外側コンクリート板11bとそれぞれ密着した状態で配設されている。
【0036】
図3に示すように、内側コンクリート板11aの外周面および外側コンクリート板11bの内周面にはコンクリート板凹凸面14が形成されており、防振体12の内周面及び外周面には防振体凹凸面15が形成されている。コンクリート板凹凸面14および防振体凹凸面15は、それぞれ水平方向に延びている凹部或いは凸部を有しており、互いに噛み合うような凹部或いは凸部が形成されている。
【0037】
図2、図4に示すように、防振体12は、複数の防振材12aを中空円筒形に組積することで形成されている。防振材12aは、断面形状がT字形および逆T字形の合成樹脂発泡体ブロックであり、鉛直方向に互い違いに組積されている。
【0038】
図1に示すように、地盤振動aの伝播範囲内である地盤A内には、被防振地盤Bが存在している。この被防振地盤Bと振動発振源1との間には、地表面から鉛直下方向に設けられる地中壁体構造物16が帯状に介在されている。図5に示すように、地中壁体構造物16は、地盤振動aを吸収する防振体17からなるものであり、防振体17は複数の防振材17aを壁状に組積することで形成されている。図6(a)、図6(b)に示すように、防振材17aの中には、複数の矩形の空隙17bおよび水平方向に空隙17bを貫通する通水孔17cが設けられており、空隙17bは通水孔17cによって連通されている。また、防振材17aの側面には複数の溝17dが鉛直に設けられており、溝17dの底面には通水孔17cが設けられている。防振材17aの上面および下面には複数の溝17eが設けられており、溝17eの底面には空隙17bに貫通する通気孔17fが設けられている。また、空隙17aの内部は地盤Aの地下水で満たされている。
【0039】
次に、第1の実施の形態の施工方法について説明する。
【0040】
まず、図1に示すように、杭基礎3の施工方法については、掘削径の拡張が可能なオーガヘッドを有するアースオーガにより、地盤G内に地表面から所定の深さまで鉛直に杭孔掘削を行う。地盤振動aの伝播範囲内の地盤Aの中においては、オーガヘッドの掘削径を拡大し、防振部10の外径より若干大きい杭孔18aを所定の深さまで築造する。次に地盤振動aの伝播範囲外の地盤Gにおいては、オーガヘッドの掘削径を通常の大きさに戻し、杭本体9の外径より若干大きい杭孔18bを杭孔18aの低面から所定の深さまで築造する。
【0041】
次に、中空円筒形に形成した軸方向に貫通孔10aを有する防振部10を、杭孔18aの中に配設する。防振部10は、防振材12aを組積して形成されている防振体12を内側コンクリート板11aおよび外側コンクリート板11bでサンドする構成からなっている。次に、杭本体9を、貫通孔10aの天端から挿入し、貫通孔10a内を挿通させ、杭孔18b内まで打設する。防振材12aは、合成樹脂発泡体を材料とする部材であり、樹脂の種類としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ポリウレタン等が用いられる。また、防振材12aは、地盤振動aを減衰させる防振性のほかに、耐圧縮性、耐水性、耐久性に優れた部材である。
【0042】
一方、図7に示すように、地中壁体構造物16の施工方法については、被防振地盤Bと振動発振源1との間の地盤A内に、複数の矢板19を防振体17の高さよりも深く連続的に二列並行に打設する。次に、二列並行に打設された矢板19の間を所定の深さまで掘削し、帯状の溝20を築造する。このとき、土圧による矢板19の変形を小さくするため、矢板19の上部に図示せぬ切梁を設置する。次に、予め防振材17aを壁状に形成してなる防振体17を溝20の中に配置する。その後、矢板19および図示せぬ切梁を撤去する。
【0043】
このような構成により、地盤振動aの伝播範囲内の地盤A中の杭本体9の杭周に、地盤振動aを吸収する防振体12を被覆することで、地盤振動aは杭本体9を介して上部構造体6に伝達されない。これによって、生活空間7において地盤振動aによる不快な影響は軽減できる。また、防振体12はコンクリート板11によってサンドされているため、地盤A内の岩石などによる損傷からその表面は保護され、長期間に渡って振動吸収効果が期待できる。
【0044】
さらに、前記防振体凹凸面14とコンクリート板凹凸面15が噛み合う構成になっているため、コンクリート板11と防振体12との接触面積を大きくなるためコンクリート板11と防振体12との間に働く摩擦力は増大し、また、防振体凹凸面14がコンクリート板凹凸面15に噛み合うことでコンクリート板11の重量が防振体12に作用する。この摩擦力およびコンクリート板11の重量が地下水などにより防振体12に作用する浮力に対抗し、防振体12の浮き上がりを防止できる。
【0045】
一方、地中壁体構造物16は防振体17からなり、防振体17の内部には空隙17bが設けられているため、この空隙17bの分だけ体積は小さくなり、地下水などにより防振体17に作用する浮力は小さくなる。これによって、防振体17に作用する浮力を抑制するコンクリートなどは不要になり、コストの削減と工期の短縮が図れる。また、防振材17aの中を水平方向に貫通する通水孔17cによって空隙17bの中へ地下水が流入し、空隙17bの中の空気は防振材17aの上下面に設けられた通気孔17fから外部に流出する。
【0046】
また、溝20を築造する際に、矢板19によって周辺の土圧に対抗しているため、周辺に近接する構造物がある場合等、周辺地盤に影響を与えないで施工することができる。
【0047】
〈第2の実施の形態〉
本発明に係る杭基礎、地中壁体構造物およびその施工方法の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態で用いた構成要素と同一の構成要素には、第1の実施の形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図8に示すように、地中壁体構造物16の施工方法について、被防振地盤Bと振動発振源1との間の地盤A内をオープンカット工法により所定の深さまで帯状に掘削し、両側に傾斜面21を有する溝22を築造する。このとき、傾斜面21の角度は地盤Aの土質によって適当な角度を設けて土砂崩壊が起きないようにするとともに、傾斜面21をシートなどで覆って養生するのが好ましい。次に、溝22内に防振材17aを壁状に形成し防振体17を帯状に構築する。その後、傾斜面21と防振体17との間の隙間に埋め戻し土23によって地表面まで埋め戻しを行う。
【0049】
第2の実施の形態によれば、溝22を築造する際に、矢板19が不要でありコストダウンを図ることができる。また、防振体17を構築するための作業スペースが確保できる。
【0050】
〈第3の実施の形態〉
本発明に係る杭基礎、地中壁体構造物およびその施工方法の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態で用いた構成要素と同一の構成要素には、第1、第2の実施の形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図9に示すように、地盤振動aの伝播範囲内の地盤Aと当該杭本体9の杭周面9aとの間には防振部24が介在されており、地盤振動aが伝達しない地盤G内の杭本体9は地盤Gに接している。防振部24は、複数のブロック状の防振材25aからなる防振体25と鋼板26とで構成されている。
【0052】
図9、図10に示すように、防振体25は、複数の防振材25aを中空円筒形に組積することで形成されており、防振材12aは、対向する湾曲面を有する長方体の合成樹脂発泡体ブロックである。防振体25の外周は、鋼板26によって被覆されており、鋼板26は中空円筒形の形状をしている。鋼板26の内周面には、L型アングル27の一端部の外側面が水平に複数接合されており、L型アングル27の他端部は鋼板26の内周面に垂直に成され、防振体25の方向に突出する突起部27が形成されている。突起部27は、上下の防振材25aとの接合部に一定間隔をあけて配置されている。
【0053】
次に、第3の実施の形態の施工方法について説明する。
【0054】
まず、予め防振体25と鋼板26とで構成された防振部24を、接着剤などにより杭本体9の所定の位置に取り付けて一体にしておく。次に、図1に示すように、防振部24が取り付けられた杭本体9を杭孔18a、18b内に挿入し、杭本体9の先端が杭孔18bの底部まで達するところまで打設する。
【0055】
第3の実施の形態によれば、地盤振動aを吸収する防振体25は鋼板26によって被覆されているため、地盤A内の岩石などによる損傷からその表面は保護され、長期間に渡って振動吸収効果が期待できる。
【0056】
また、鋼板26には防振体25の方に突出する突起部28が設けられ、この突起部28は防振体25を形成する防振材25aの接合部に介在しているため、防振体25に鋼板26の重量が作用し、地下水などにより防振体12に作用する浮力に対抗する。これによって、防振体25の浮き上がりを防止できる。
【0057】
さらに、防振体25と鋼板26とで構成された防振部24を予め杭本体9に取り付けておくことで、防振部24の配設作業と杭本体9の打設作業が同時に行われるので、工期の短縮を図ることができる。
【0058】
以上、本発明に係る杭基礎、地中壁体構造物およびそれらの施工方法について説明したが、本発明は第1、第2、第3の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1、第3の実施の形態では、杭本体9の杭周に配置される防振体12、25は、合成樹脂発泡体からなるブロック状の防振材12a、25aを形成してなるものを使用しているが、中空円筒形に加工された防振体12、25を使用してもよく、或いは現場で発泡させて中空円筒形に成形する防振体12、25を使用してもよい。また、合成樹脂発泡体に換えて、防振性に優れた防振ゴム、或いは内部に空隙を有するとともに空隙を貫通する合成樹脂発泡体を使用してもよい。さらに、杭本体9に既製コンクリート杭を使用しているが、鋼管杭、鋼管コンクリート杭、場所打コンクリート杭等を使用してもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係る杭基礎、地中壁体構造物およびそれらの施工方法によれば、地盤振動の伝播範囲内の地盤と杭本体の杭周面の間に地盤振動を吸収する防振体を介在させることで、地盤振動に起因する生活空間の不快な環境を改善することができる。杭本体の性能を向上させる必要はなく、安価な材料と単純な形状により防振対策ができるため、工事費用増大の軽減を図ることができる。また、通水孔によって外部と連通されている空隙を有する防振体を使用することで、防振体に作用する浮力を抑制するコンクリートなどを不用になるため、コストの削減および工期の短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明する断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の杭基礎を説明する水平断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の杭基礎を説明する断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の防振体を説明する詳細図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の地中壁体構造物を説明する断面図である。
【図6】(a)は本発明の第1の実施の形態の地中壁体構造物を構成する防振体を説明する断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の地中壁体構造物の施工方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の地中壁体構造物の施工方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の杭基礎を説明する水平断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の杭基礎を説明する断面図である。
【符号の説明】
1  振動発振源
2  構造物
3  杭基礎
9  杭本体
9a 杭周面
10a貫通孔
11 コンクリート板
12、17、25 防振体
12a、17a、25a 防振材
14 防振体凹凸面
15 コンクリート板凹凸面
16 地中壁体構造物
17b空隙
17c通水孔
18a、18b 杭孔
19 矢板
20、22 溝
21 傾斜面
26 鋼板
28 突起部
G  地盤
A  地盤振動の伝播範囲内の地盤
B  被防振地盤
a  地盤振動

Claims (12)

  1. 地盤振動の伝播範囲内の地盤中に打設され、前記地盤の上方に構築される構造物を支持する杭本体を有する杭基礎において、
    前記地盤と前記杭本体の杭周面との間に防振体が介在されていることを特徴とする杭基礎。
  2. 請求項1記載の杭基礎において、
    前記防振体は、前記杭周面に並行に設けられた二重のコンクリート板の間に介在されていることを特徴とする杭基礎。
  3. 請求項2記載の杭基礎において、
    前記防振体の内周面および外周面には防振体凹凸面が形成され、前記コンクリート板の前記防振体との接合面には前記防振体凹凸面に噛み合うコンクリート板凹凸面が形成されていることを特徴とする杭基礎。
  4. 請求項1記載の杭基礎において、
    前記防振体の外周は、鋼板によって被覆されていることを特徴とする杭基礎。
  5. 請求項4記載の杭基礎において、
    前記鋼板には、前記防振体の方向に向かって突起部が設けられていることを特徴とする杭基礎。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の杭基礎において、
    前記防振体は、ブロック状の防振材が組積されて構成されていることを特徴とする杭基礎。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の杭基礎において、
    前記防振体の中には複数の空隙および該空隙を貫通する複数の通水孔が設けられ、前記空隙は前記通水孔によって外部と連通されていることを特徴とする杭基礎。
  8. 地盤振動の振動発生源と該振動発生源に隣接する被防振地盤との間で前記地盤振動の伝播範囲内の地盤中に帯状に設けられている防振体からなる地中壁体構造物において、
    前記防振体の中には複数の空隙および該空隙を貫通する複数の通水孔が設けられ、前記空隙は前記通水孔によって外部と連通されていることを特徴とする地中壁体構造物。
  9. 地盤振動の伝播範囲内の地盤中に打設して、前記地盤の上方に構築される構造物を支持する杭本体を有する杭基礎の施工方法において、
    筒形に形成され軸方向に貫通孔を有する防振体を前記地盤に鉛直に掘られた杭孔に鉛直に配設し、前記貫通孔に前記杭本体を打設することを特徴とする杭基礎の施工方法。
  10. 地盤振動の伝播範囲内の地盤中に打設して、前記地盤の上方に構築される構造物を支持する杭本体を有する杭基礎の施工方法において、
    予め既製杭からなる前記杭本体の杭周面に防振体を被覆して、前記地盤に鉛直に掘られた杭孔に前記杭本体を打設することを特徴とする杭基礎の施工方法。
  11. 地盤振動の振動発生源と該振動発生源に隣接する被防振地盤との間で前記地盤振動の伝播範囲内の地盤中に帯状に設けられている防振体からなる地中壁体構造物の施工方法において、
    前記地盤内に両側に傾斜面を有する溝を帯状に設けて、前記防振体の底面から鉛直方向に空隙が設けられている前記防振体を前記溝の中に帯状に構築することを特徴とする地中壁体構造物の施工方法。
  12. 地盤振動の振動発生源と該振動発生源に隣接する被防振地盤との間で前記地盤振動の伝播範囲内の地盤中に帯状に設けられている防振体からなる地中壁体構造物の施工方法において、
    前記地盤内に複数の矢板を前記防振体の高さよりも深く連続的に二列並行に打設し、前記矢板の間を掘削して帯状の溝を設け、前記防振体を前記溝の中に配設することを特徴とする地中壁体構造物の施工方法。
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