JP4089717B2 - 逸震型地下室構造体とその構築工法 - Google Patents
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即ち先ず逸震型地下室構造体としては、コンクリート打設により形成された地下側面外壁と地下底面耐圧盤とからなる地下室の躯体とこの躯体外面周囲に配設され地震波による衝撃力を拡散,吸収,緩和せしめる緩衝帯とを具備しており、この緩衝帯は側面緩衝帯と下面緩衝帯とからなっている。 側面緩衝帯は、地下側面外壁周囲と掘削地盤との間に切込砕石を充填して礫垣となしたものであり、下面緩衝帯は、地下底面耐圧盤とその下面の支持地盤との間に配設されてなるもので、下面が支持地盤と接し切込砕石を適宜厚さに敷き込み転圧した1次緩衝帯と上面が地下底面耐圧盤に接し小砂利を適宜厚さに敷き詰め転圧した2次緩衝帯との二重構造でその中間に底面を円錐形の傾斜面となした高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートを挟持せしめてなるものである。しかして直下から来る地震波に対しては砕石層と小砂利層からなる1次及び2次緩衝帯により支持地盤の地耐力を均一かつ充分に確保するとともにその衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和せしめ、水平方向からの地震波に対しては側面の礫垣(側面緩衝帯)と連動して高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートと小砂利層からなりベアリングの役目を果たす2次緩衝帯との相互作用によりこの2次緩衝帯を介して地下底面耐圧盤及びローラープレートを摺動可能な状態となしその衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和せしめるようになしたことを特徴とする。
ローラープレートは、周囲適宜幅をクッションとして残し内部にワイヤーメッシュを入れて高強度コンクリートを打設して適宜幅の板体に形成したもの若しくは工場製産のPC板を用いる。 またローラープレートの底面の形状は、円錐形状の傾斜面となす代わりに、円弧状に凸に湾曲する皿型形状となして傾斜面となす場合もある。
ローラープレートは、周囲適宜幅をクッションとして残し内部にワイヤーメッシュを入れて高強度コンクリートを打設して適宜幅の板体に形成したもの若しくは工場製産のPC板を用いる。 またローラープレートの底面の形状は、円錐形状の傾斜面となす代わりに、円弧状に凸に湾曲する皿型形状となして傾斜面となす場合もある。
水平方向に作用する地震震動波に対しては、側面緩衝帯として鋼製反射板からなる山留鋼板を構造部材として残している場合には、それによってその衝撃力を拡散,反射させて和らげるとともに、礫垣としての砕石層により拡散,吸収,緩和して和らげることができる。 垂直方向に作用する即ち直下から来る地震震動波に対しては、下面緩衝帯としての層の厚い砕石層と小砂利層からなる1次及び2次緩衝帯により支持地盤の地耐力を均一かつ充分に確保することができるとともに、衝撃力を充分に拡散,吸収,緩和して和らげることができる。
更に,水平方向からの地震波に対しては側面の礫垣(側面緩衝帯)と連動して高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートと2次緩衝帯との相互作用によってもその衝撃力を和らげることができる。即ち,小砂利層からなる2次緩衝帯は地下底面耐圧盤と下面のローラープレートとの間で水平力に対しベアリングの役目を果たすこととなり、この2次緩衝帯を介して地下底面耐圧盤及びローラープレートが摺動可能な状態となり、これによっても衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和することができる。
なお,ローラープレートは工場製産のPC板を用いても同様の効果を奏する。
(1) 地上建築物に対し、堅固な基礎を確保することができる。
(2) 深い地盤で建築物を受けることとなるので、確実性の高い地耐力を期待できる。
(3) 地上建物の基礎を地下の逆梁工法を採用して構築することにより、1階床下の収納や配管スペースを充分に確保することができ、又1階床面を高く取ることにより、大雨時の道路冠水等の室内流入防止対策を適切になすことができる。
(4) 地下室構造体であるため、建築基準法の改正に伴う容積率の緩和優遇措置の恩恵にあずかれる。
(5) 逸震効果に優れる地下室構造体を構築することにより、建物の資産価値が上がり、付加価値として備蓄倉庫、音響関係室等の対応が簡単に可能となる。
そして地下側面外壁と地下底面耐圧盤とからなる地下室の躯体の形状を円筒形状になすとともに,地下側面外壁とその外周囲の掘削地盤側面壁との間および地下底面耐圧盤とその下方の支持地盤との間に夫々地震波による衝撃力を拡散,吸収,緩和せしめる側面緩衝帯と下面緩衝帯とを配設せしめ、側面緩衝帯は,切込砕石を充填した礫垣にて形成し、下面緩衝帯は,切込砕石を適宜厚さに敷き詰め転圧した下段の1次緩衝帯と小砂利を適宜厚さに敷き詰め転圧した上段の2次緩衝帯とからなる上下二重構造の緩衝帯の中間に底面を円錐形の傾斜面となした高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートを挟持して形成せしめることにより、あらゆる方向からの地震波による衝撃力を充分に拡散,吸収,分散して緩和せしめることができる逸震効果に優れた地下室構造体を実現させることができた。
直下から来る地震波に対しては砕石層と小砂利層とからなる1次及び2次緩衝帯により支持地盤の地耐力を均一かつ充分に確保するとともにその衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和せしめ、水平方向からの地震波に対しては側面の礫垣(側面緩衝帯)と連動して高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートと小砂利層からなりベアリングの役目を果たす2次緩衝帯との相互作用によりこの2次緩衝帯を介して地下底面耐圧盤及びローラープレートを摺動可能な状態となしその衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和せしめる。
ローラープレートは、周囲適宜幅をクッションとして残し内部にワイヤーメッシュを入れて高強度コンクリートを打設して適宜幅の板体に形成したもの若しくは工場製産のPC板を用いる。 ローラープレートの底面が円錐形状若しくは皿型形状の傾斜面となしていることにより、直下から来る地震波による衝撃力はその底面の傾斜面に沿って分散されるので、これによっても一層衝撃力が拡散,吸収,緩和される。
地震時に発生する砂質地盤の液状化現象に伴う流砂の噴出及びその衝撃を、側面及び下面における緩衝帯の厚い砕石層により拡散,分散,吸収し、それによる被害を軽減することができる。
地下側面外壁と地下底面耐圧盤とからなる地下室の躯体として、底面が耐圧盤にて閉塞するほぼ円筒形状に形成したことにより、あらゆる方向から来る地震波による衝撃力に対し、躯体全周において均一にそれに抵抗する応力が生じ衝撃力を拡散しやすくそれを打ち消しあう効果があるので、耐久性上一層好適である。
先ず、建設地盤の躯体建設予定地内及びそれを囲む適宜範囲の周囲に亘って地上より500〜800mm程度の深さに表土鍬取りを施し、表土中に存在する軟質の腐植土を除去するとともに、地中障害物の調査と除去を行う。
軟質の腐植土を除外した表土鍬取り地盤1上に、建設予定地を囲んで溝型鋼を円形枠状に接続連結して頭継ぎ用ガイドリング2を組み立て設置する。
なお前記躯体形成に際しての作業を詳しく説明すると、先ず2次緩衝帯11の構築後、上部構造物構築のための鉄筋配筋、型枠組み立て、各種取り付け物等墨出し(位置出し)のため、コンクリート50mmを打ち、地上部より建物の通り芯を落とし墨入れをする。 そして耐圧盤と立ち上がり壁の打ち継ぎ部分に当たる外型枠に防水工事を前施工し耐圧盤、ピット、排水立ち上がり、壁等の鉄筋の配筋後B1SLまでの防水コンクリートを密に打設する。 耐圧盤スラブ上に上部躯体の墨出しを行い壁配筋、壁・スラブ型枠、梁、スラブ配筋、取り付け物等のセットを行い壁・梁・スラブの防水コンクリートを打設する。
この場合には、鋼製反射板からなる山留鋼板6´が各親杭H型鋼3間の躯体形成側前面フランジ側にセットされ地下側面外壁12に接する状態で掘削地盤に圧入されて屏風立て状に配設される点で図1及び図2の場合と相違するが、その他の点では上記に詳述した要領と同じである。
2 ガイドリング
3 親杭H型鋼
4 ガイドリング受金物
5 切欠溝
6 山留鋼板
6´ 山留鋼板
7 1次緩衝帯
8 外型枠
9 礫垣(側面緩衝帯)
10 ローラープレート
11 2次緩衝帯
12 地下側面外壁
13 地下底面耐圧盤
14 水よけ笠木
Claims (10)
- コンクリート打設により形成された地下側面外壁と地下底面耐圧盤とからなる地下室の躯体とこの躯体外面周囲に配設され地震波による衝撃力を拡散,吸収,緩和せしめる緩衝帯とを具備しており、この緩衝帯は側面緩衝帯と下面緩衝帯とからなり、側面緩衝帯は、地下側面外壁周囲と掘削地盤との間に切込砕石を充填して礫垣となしたものであり、下面緩衝帯は、地下底面耐圧盤とその下面の支持地盤との間に配設されてなるもので,下面が支持地盤と接し切込砕石を適宜厚さに敷き込み転圧した1次緩衝帯と上面が地下底面耐圧盤に接し小砂利を適宜厚さに敷き詰め転圧した2次緩衝帯との二重構造でその中間に底面を円錐形の傾斜面となした高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートを挟持せしめてなるものであり、直下から来る地震波に対しては砕石層と小砂利層からなる1次及び2次緩衝帯により支持地盤の地耐力を均一かつ充分に確保するとともにその衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和せしめ、水平方向からの地震波に対しては側面の礫垣(側面緩衝帯)と連動して高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートと小砂利層からなりベアリングの役目を果たす2次緩衝帯との相互作用によりこの2次緩衝帯を介して地下底面耐圧盤及びローラープレートを摺動可能な状態となしその衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和せしめることを特徴とする逸震型地下室構造体。
- コンクリート打設により形成された地下側面外壁と地下底面耐圧盤とからなる地下室の躯体とこの躯体外面周囲に配設され地震波による衝撃力を拡散,吸収,緩和せしめる緩衝帯とを具備しており、この緩衝帯は側面緩衝帯と下面緩衝帯とからなり、側面緩衝帯は、地下側面外壁周囲と掘削地盤との間に切込砕石を充填して礫垣となしたものであり、下面緩衝帯は、地下底面耐圧盤とその下面の支持地盤との間に配設されてなるもので,下面が支持地盤と接し切込砕石を適宜厚さに敷き込み転圧した1次緩衝帯と上面が地下底面耐圧盤に接し小砂利を適宜厚さに敷き詰め転圧した2次緩衝帯との二重構造でその中間に底面を傾斜面とせず平板形状となした高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートを挟持せしめてなるものであり、直下から来る地震波に対しては砕石層と小砂利層からなる1次および2次緩衝帯により支持地盤の地耐力を均一かつ充分に確保するとともにその衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和せしめ、水平方向からの地震波に対しては側面の礫垣(側面緩衝帯)と連動して高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートと小砂利層からなりベアリングの役目を果たす2次緩衝帯との相互作用によりこの2次緩衝帯を介して地下底面耐圧盤及びローラープレートを摺動可能な状態となしその衝撃力を拡散,吸収,分散して緩和せしめることを特徴とする逸震型地下室構造体。
- 地下側面外壁周囲と掘削地盤との間に配設した側面緩衝帯として、掘削地盤に接して圧入された山留鋼板としての鋼製反射板と地下側面外壁周囲との間に切込砕石を充填して礫垣となしたものを用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の逸震型地下室構造体。
- 地下側面外壁周囲と掘削地盤との間に配設した側面緩衝帯として、地下側面外壁周囲に接して掘削地盤に圧入された山留鋼板としての鋼製反射板と掘削地盤との間に切込砕石を充填して礫垣となしたものを用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の逸震型地下室構造体。
- 地下側面外壁と地下底面耐圧盤とからなる地下室の躯体として、底面が耐圧盤にて閉塞するほぼ円筒形状に形成したものを用いたことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の逸震型地下室構造体。
- 躯体建設予定地内及びそれを囲む適宜範囲の周囲に亘って適宜深さに表土鍬取りを施して軟質の腐植土を除去し、その表土鍬取り地盤上に建設予定地を囲んで各親杭H型鋼を地盤内に杭打機にて打ち込み枠状に並列配設し、親杭同士の頭を接続金具にて緊結せしめ、各親杭の躯体形成側前面を掘削するとともに、この枠状に並列する各親杭の躯体形成と反対側後面フランジ間に鋼製反射板からなる山留鋼板をセットしその前面側を更に掘削するとともに各山留鋼板を上方より圧入して屏風立て状にセットして山留壁を形成し、支持地盤上に床付仕上げを施すとともにその上に適宜径の切込砕石を適宜厚さに敷き込み転圧して1次緩衝帯を構築する一方,屏風立て状にセットした鋼製反射板からなる山留鋼板と親杭H型鋼の躯体形成側前面フランジにセットした躯体形成用の外型枠との間の空隙部内に適宜径の切込砕石を充填して礫垣となした側面緩衝帯を形成し、前記1次緩衝帯の上面に底面を円錐形の傾斜面となした高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートを構築するとともに,その上面に小砂利を適宜厚さに敷き詰め転圧した2次緩衝体を構築して,1次緩衝帯と2次緩衝帯との二重構造の中間にローラープレートを挟持せしめた下面緩衝帯を形成し、前記外型枠前面と下面緩衝帯最上部の2次緩衝帯の上にコンクリート打設により地下側面外壁と地下底面耐圧盤とを連続して形成せしめたことを特徴とする逸震型地下室構造体の構築工法。
- 躯体建設予定地内及びそれを囲む適宜範囲の周囲に亘って適宜深さに表土鍬取りを施して軟質の腐植土を除去し、その表土鍬取り地盤上に建設予定地を囲んで溝型鋼を枠状に接続連結して頭継ぎ用ガイドリングを組み立て設置し、この枠状に配設されたガイドリングの躯体形成側前面においてそのガイドリングに所定間隔でマークされた各親杭打設位置の個所に各親杭H型鋼を地盤内に杭打機にて打ち込み並列配設し、ガイドリングと各親杭とを各親杭の躯体形成と反対側後面フランジにセットしたガイドリング受金物と締め付け金具を介して緊結し親杭同士の頭も接続金具にて緊結せしめ、各親杭の躯体形成側前面を掘削するとともに、この枠状に並列する各親杭の前記後面フランジにセットされたガイドリング受金物に施した切欠溝を介して各親杭間背面に鋼製反射板からなる山留鋼板をセットしその前面側を更に掘削するとともに各山留鋼板を上方より圧入して屏風立て状にセットして山留壁を形成し、支持地盤上に床付仕上げを施すとともにその上に適宜径の切込砕石を適宜厚さに敷き込み転圧して1次緩衝帯を構築する一方,屏風立て状にセットした鋼製反射板からなる山留鋼板と親杭H型鋼の躯体形成側前面フランジにセットした躯体形成用の外型枠との間の空隙部内に適宜径の切込砕石を充填して礫垣となした側面緩衝帯を形成し、前記1次緩衝帯の上面に底面を円錐形の傾斜面となした高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートを構築するとともに,その上面に小砂利を適宜厚さに敷き詰め転圧した2次緩衝体を構築して,1次緩衝帯と2次緩衝帯との二重構造の中間にローラープレートを挟持せしめた下面緩衝帯を形成し、前記外型枠前面と下面緩衝帯最上部の2次緩衝帯の上にコンクリート打設により地下側面外壁と地下底面耐圧盤とを連続して形成せしめたことを特徴とする逸震型地下室構造体の構築工法。
- 側面緩衝帯の形成方法として、地下側面外壁周囲に接して掘削地盤に圧入された即ち親杭H型鋼の躯体形成側前面フランジにセットした鋼製反射板からなる山留鋼板と掘削地盤との間の空隙部内に適宜径の切込砕石を充填して礫垣となしたものを用いたことを特徴とする請求項6又は7記載の逸震型地下室構造体の構築工法。
- 高強度コンクリート製で滑り受け用のローラープレートとして、底面を円錐形状の傾斜面とせず平板状のものを用いたことを特徴とする請求項6、7又は8記載の逸震型地下室構造体の構築工法。
- 地下側面外壁と地下底面耐圧盤とからなる地下室の躯体として、底面が耐圧盤にて閉塞するほぼ円筒形状に形成したものを用いたことを特徴とする請求項6、7、8又は9記載の逸震型地下室構造体の構築工法。
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