JP2004121979A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガス浄化用触媒1にNOx吸蔵材としてアルカリ金属を用いたときにコージェライト製の基材2にクラックを生じ易くなるという問題を解決する。
【解決手段】基材2にチタニア含有層3を形成し、このチタニア含有層3の上にアルカリ金属を含む触媒担持層4を形成することにより、触媒担持層4のアルカリ金属が基材2に接触して該基材2と反応することをチタニア含有層3によって防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】基材2にチタニア含有層3を形成し、このチタニア含有層3の上にアルカリ金属を含む触媒担持層4を形成することにより、触媒担持層4のアルカリ金属が基材2に接触して該基材2と反応することをチタニア含有層3によって防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は排ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンエンジンが空燃比リーンで運転されるときの排ガスは酸素濃度が高いため、三元触媒だけでは排ガス中のHC(炭化水素)やCOは酸化浄化することができても、NOx(窒素酸化物)の還元浄化は困難になる。そこで、アルカリ金属やアルカリ土類金属をNOx吸蔵材として用いたNOx吸蔵触媒が開発されている。そのNOx吸蔵材は、排ガスの酸素濃度が高いときにNOxを吸蔵し、該酸素濃度が低下すると吸蔵していたNOxを放出する性質があり、この放出するNOxをPt等の貴金属触媒の存在下、排ガス中のHCやCOを利用して還元するようになっている。
【0003】
また、NOx吸蔵触媒に関し、ハニカム担体基材の表面にチタニア層を形成し、このチタニア層の上にNOx吸蔵材を含む触媒担持層を形成することが知られている(特許文献1参照)。これは、チタニアが光の照射によって超親水性化する点に着目し、その状態でNOx吸蔵材の水溶液を触媒担持層に吸水させることにより、NOx吸蔵材を触媒担持層の表層部に担持させようとするものである。このNOx吸蔵材としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属及び一部の希土類金属が掲げられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−76831号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者の研究によれば、NOx吸蔵材として、Kに代表されるアルカリ金属を用いると、アルカリ土類金属の場合に比べて、排ガス(ないしは触媒)が400℃以上、特に450℃以上の高温時におけるNOx浄化性能が良い。従って、高温でのNOx浄化性能を向上させるためにはNOx吸蔵触媒におけるアルカリ金属の含有量を増量することが好ましい。
【0006】
しかし、本発明者の研究によれば、基材(触媒担体)がコージェライトのようなケイ素を含有する無機多孔質で形成されている場合、上記アルカリ金属の含有量を多くすると、基材にクラックを生じ、該基材に支持させている触媒層が剥落する、という問題があった。これは、触媒製造時にアルカリ金属の溶液が基材の細孔内に侵入し、触媒が高温に晒されたときに、アルカリ金属と基材のケイ素とが反応して基材の構造破壊を生ずることが原因であることがわかった。
【0007】
本発明の課題は、このようなケイ素を含有する基材のクラックの問題を解決することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、上記クラックの問題を招くことなく、排ガス高温時(触媒高温時)のNOx浄化性能を高め、リーンバーンエンジンにおけるリーンバーン運転領域を高負荷ないしは高回転側に拡大できるようにすること、或いは触媒を排気管におけるエンジン本体に近い排ガス温度が高い位置にも配設できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような課題に対して、触媒担持層のアンダーコート層としてチタニアを用いると、基材のクラックを防止することができること、特に基材に対するチタニア担持量とアルカリ金属担持量とを所定の比率にすると、基材のクラックを防止する効果が高いことを見出し、本発明を完成した。
【0010】
請求項1に係る発明は、ケイ素を含有する無機多孔質の基材と、該基材にコートされたチタニア含有層と、該基材における当該チタニア含有層よりも外側にコートされたアルカリ金属を含む触媒担持層とを備えた排ガス浄化用触媒において、
上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比が0.05以上0.5以下に設定されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成であれば、アルカリ金属が基材に接触することがチタニア含有層によって妨げられ、該アルカリ金属と基材との反応による基材の構造破壊が避けられる。すなわち、チタニア含有層が基材表面の微小凹凸や細孔を塞ぐため、アルカリ金属が基材内部へ侵入することが防がれるものであり、また、チタニアが固体酸としての性質を有し、アルカリ金属と結合することにより、該アルカリ金属の基材表面への移動を阻止するものである。
【0012】
従って、上記基材へのチタニアの担持量を多くするほど、つまりチタニアに対する上記アルカリ金属の質量比を小さくするほど、アルカリ金属と基材との反応を阻止する上で有利になる。しかし、基材にアルカリ金属を所望量(例えば、基材1L当たり5g以上)担持する場合、上記質量比が小さくなると、それだけチタニア担持量が多くなり、触媒全体としてのボリュームが大きくなることから、当該質量比は0.05以上に設定している。
【0013】
また、上記質量比が大きくなると、アルカリ金属と基材との反応をチタニア含有層によって確実に阻止することが難しくなることから、当該質量比は0.5以下に設定している。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1において、
上記基材1L当たりの上記アルカリ金属の担持量が6g以上42g以下に設定されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒である。
【0015】
本発明においては、アルカリ金属の担持量を6g/L(「g/L」は基材1L当たりのグラム数(乾燥質量)の意味。以下、同じ。)以上としているから、排ガス又は触媒の高温時におけるNOx浄化性能を高める上で有利になる。但し、アルカリ金属の担持量が多量になると、それだけチタニアの担持量が多くなり、触媒全体のボリュームが大きくなる不具合があり、また、当該触媒担持層に含ませる他の触媒金属がアルカリ金属によって覆われ、その活性点が減少して活性が低下する不具合がある。そのため、当該アルカリ金属の担持量は42g/L以下としている。
【0016】
請求項3に係る発明は、ケイ素を含有する無機多孔質の基材と、該基材にコートされたチタニア含有層と、該基材における当該チタニア含有層よりも外側にコートされたカリウムを含む触媒担持層とを備えた排ガス浄化用触媒において、
上記基材1L当たりの上記カリウムの担持量が5g以上25g以下に設定され、
上記チタニアに対する上記カリウムの質量比が0.05以上0.5以下に設定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、触媒担持層がカリウムを含有し、その担持量を5g/L以上としているから、排ガス中のNOxを高温化でも効率良く吸蔵させる上で有利になる。そうして、上記カリウムの担持量を25g/L以下として、チタニアに対する上記カリウムの質量比を0.05以上0.5以下に設定しているから、触媒全体のボリュームが過大になることや、カリウムによって他の触媒金属が覆われて活性が低下することを避けながら、請求項1に係る発明と同様に、カリウムが基材に接触することをチタニア含有層によって妨げ、該カリウムと基材との反応による該基材の構造破壊を防止することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、ケイ素を含有する無機多孔質の基材に、チタニア含有層とアルカリ金属を含む触媒担持層とを、後者が外側になるようにコートした排ガス浄化用触媒において、上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比が0.05以上0.5以下に設定されているから、アルカリ金属と基材との反応による基材の構造破壊が避けられ、高温下でのNOx浄化性能を高めながら、触媒の高温耐久性を高める上で有利になる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、請求項1において、上記基材1L当たりの上記アルカリ金属の担持量が6g以上42g以下に設定されているから、さらに、触媒全体のボリュームが過大になることや、触媒活性が低下することを避けながら、高温化でのNOx浄化性能を高める上で有利になる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、ケイ素を含有する無機多孔質の基材に、チタニア含有層とカリウムを含む触媒担持層とを、後者が外側になるようにコートした排ガス浄化用触媒において、上記基材1L当たりの上記カリウムの担持量が5g以上25g以下に設定され、上記チタニアに対する上記カリウムの質量比が0.05以上0.5以下に設定されているから、触媒全体のボリュームが過大になることや、触媒の活性が低下することを避けながら、カリウムと基材との反応による該基材の構造破壊を防止することができ、高温下でのNOx浄化性能を高めながら、触媒の高温耐久性を高める上で有利になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に本発明に係る排ガス浄化用触媒1の一部を拡大した断面図で示す。この排ガス浄化用触媒1は、自動車用リーンバーンエンジンの排ガスを浄化するために使用されるものであり、その排ガスで加熱されて触媒温度は400℃〜700℃に達することがある。なお、「〜」はその両側に記載した数値を含む範囲を表す記号として使用している。
【0023】
同図において、2はコージェライト製のハニカム状基材であり、各セルの内面がチタニア含有層3によって覆われ、該チタニア含有層3の表面に触媒担持層4が形成されている。
【0024】
触媒担持層4は、触媒金属と、NOx吸蔵材と、触媒金属及びNOx吸蔵材を担持するサポート材と、このサポート材粉末を結合し基材2に保持するバインダとを備えている。触媒金属としては、例えばPt、Rh等の貴金属を採用することができる。NOx吸蔵材としては、K等のアルカリ金属を必須として、その他に例えばBa、Mg、Sr等のアルカリ土類金属や、希土類金属を採用することができる。サポート材としては、アルミナが好ましく、このアルミナと酸素吸蔵材(例えばCe−Pr複合酸化物)との混合物を採用することができる。酸素吸蔵材は、例えば担体1L当たり15〜300g含ませることができる。
【0025】
本発明では、上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比を0.05以上0.5以下に設定している。上記アルカリ金属の担持量は6g/L以上42g/L以下に設定することが好ましく、アルカリ金属がカリウムである場合、その担持量5g/L以上25g/L以下に設定し、上記チタニアに対する上記カリウムの質量比を0.05以上0.5以下に設定することが好ましい。
【0026】
なお、触媒担持層4は、サポート材や触媒金属の種類を変えて2層以上形成するようにしてもよい。
【0027】
(触媒の製法)
触媒の基本的な製法は次の通りである。
【0028】
まず、チタニアゾルを上記基材2にウォッシュコートし、乾燥及び焼成を行なうことによりチタニア含有層3を形成する。次に、サポート材、バインダ及び水を混合してなるスラリーを上記基材2のチタニア含有層3の上にウォッシュコートし、乾燥及び焼成を行なうことによって、触媒担持層を形成する。 続いて、触媒金属の溶液と、NOx吸蔵材を構成する各金属の溶液との混合溶液を上記触媒担持層に含浸させ、乾燥及び焼成を行なう。以上により上記排ガス浄化用触媒1が得られる。
【0029】
(触媒の使用形態)
上記排ガス浄化用触媒1は、例えば図2に示すように、車両用のリーンバーンエンジン5の排気通路6に配設される。その配設部位はエンジン搭載時のエンジン下方部に相当する。その配設部位は排気マニホールド直ぐ下流部位でもよい。なお、同図において、7は気筒、8は燃焼室、9は点火プラグ、10は吸気通路である。
【0030】
触媒1は、リーン燃焼運転時には排ガスに含まれるNOxをNOx吸蔵材(Ba、K、Sr、Mg)に吸蔵し、次に理論空燃比近傍または空気過剰率λ≦1での燃焼運転時(以下、リッチ燃焼運転時という。)にはNOx吸蔵材から放出されたNOxとHC、CO及びH2とを反応させ、三元触媒と同様に排気ガスを浄化する。すなわち、触媒1はリーンNOx浄化作用を有するものである。
【0031】
リーン燃焼運転時における排ガスの酸素濃度は例えば4〜5%から20%となり、空燃比はA/F=16〜22あるいはA/F=18〜50である。一方、リッチ燃焼運転時における排ガスの酸素濃度は2.0%以下、あるいは0.5%以下となる。
【0032】
触媒1は、リーン燃焼運転が長時間続くとNOx吸蔵量が飽和状態となってNOx浄化性能の低下を招くこととなる。そのため、本実施形態は、第1期間は上記リーン燃焼運転を行なって排ガスの酸素濃度を高くし、該第1期間よりも短い第2期間は上記リッチ燃焼運転を行なって当該酸素濃度を相対的に低くする、というように高酸素濃度状態と低酸素濃度状態とを交互に繰り返す酸素濃度制御手段(エンジンの空燃比制御手段)を備え、適宜NOxの放出を促すようにしている。
【0033】
すなわち、最後にNOx放出制御を行なってからの走行距離とその間に消費した燃料の総量等とに基づいてNOx吸蔵量を推定し、そのNOx吸蔵量が所定値以上(NOxの吸蔵過剰状態)になったときに上記第1期間を経過したと判定して、エンジンに供給する燃料を増量することにより上記リッチ燃焼運転を1〜10秒(第2期間)行なって、NOx吸蔵材に吸蔵されていたNOxを放出させるようにすればよい。
【0034】
また、エンジンの定常運転時において、上記リーン燃焼運転を行なう第1期間と上記リッチ燃焼運転を行なう第2期間とを周期的に繰り返す、というものであってもよい。その場合、例えば第1期間を1〜5分とし、第2期間を1〜10秒とすることができる。
【0035】
また、エンジンの定常運転時はリーン燃焼運転とし、加速運転時にリッチ燃焼運転とすることで、NOx吸蔵材に吸蔵されていたNOxを放出させるものであってもよい。
【0036】
以下、上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比(以下、K/TiO2比という。)、並びに上記アルカリ金属の担持量について検討する。
【0037】
−供試触媒の調製−
まず、チタニアゾルを準備し、基材2をチタニアゾルに浸漬して引き上げ、150℃の温度で1時間の乾燥を行ない、次いで500℃で1時間の焼成を行なうことにより、チタニア含有層3を形成した。チタニア担持量は40g/L、50g/L、80g/L及び100g/Lの4種類である。
【0038】
一方、γーアルミナとCe−Zr複合酸化物(質量組成比はCeO2:ZrO2=74:26)とアルミナバインダとを、γ−アルミナ担持量が160g/L、Ce−Zr複合酸化物担持量が160g/L及びアルミナバインダ担持量が32g/Lとなるように秤量して混合し、これにイオン交換水を添加することによってスラリーを調製した。このスラリーに上記チタニア含有層3が形成された基材2を浸漬して引き上げ、余分なスラリーを吹き飛ばす、という方法により、担体にスラリーをウォッシュコートした。次いで、これを150℃の温度で1時間乾燥し、540℃の温度で2時間焼成することによって、上記チタニア含有層3の上に触媒担持層を形成した。
【0039】
次に、ジニトロジアミン白金硝酸塩水溶液と、酢酸ロジウム水溶液と、酢酸バリウム水溶液と、酢酸カリウム水溶液と、酢酸ストロンチウム水溶液と、酢酸マグネシウム水溶液とを、Pt担持量が3g/L、Rh担持量が0.3g/L、Ba担持量が30g/L、K担持量が5〜60g/L、Sr担持量が10g/L及びMg担持量が10g/Lとなるように秤量し混合してなる各混合溶液(上記K担持量が異なる各混合溶液)を調製した。
【0040】
そうして、上記各種の混合溶液を上記チタニア担持量が異なる各種供試材の触媒担持層に含浸させ、150℃の温度で1時間の乾燥、540℃の温度で2時間の焼成を行なうことにより、K/TiO2比及びK担持量が相異なる供試触媒A〜Pを得た。この供試触媒A〜PのK担持量、TiO2担持量及びK/TiO2比は表1に示す通りである。なお、各供試触媒の不純物量は1%未満である。
【0041】
【表1】
【0042】
(評価試験1)
上記供試触媒A〜Pについて、大気雰囲気において900℃の温度に24時間保持する加熱処理を行ない、基材2の外周面にクラックを生じているか否かを調べた。結果は表1のクラック欄に示されている。
【0043】
表1に示すように、K/TiO2比が0.05〜0.5の範囲に存する供試触媒A〜F,L〜Oにはクラックの発生が認められなかったが、当該比が0.06以上になると基材2の外周面にクラックの発生が認められた。
【0044】
(評価試験2)
K担持量がNOx浄化性能に与える影響を調べるために、供試触媒A〜G,I,K、並びにK担持量が零の供試触媒(他の構成は他の供試触媒と同じ。)について、リーンNOx浄化率を測定した。すなわち、各供試触媒について、900℃で24時間の加熱処理を大気雰囲気において行なった後、固定床流通式反応評価装置に取り付け、空燃比リーンの模擬排ガス(ガス組成A)を60秒間流し、次にガス組成を空燃比リッチの模擬排ガス(ガス組成B)に切り換えてこれを60秒間流す、というサイクルを5回繰り返した後、ガス組成を空燃比リーン(ガス組成A)に切り換え、この切り換え時点から60秒間のNOx浄化率(リーンNOx浄化率)を測定した。触媒温度及び模擬排ガス温度は450℃、そのガス組成は表2に示す通りであり、また、空間速度SVは25000h−1とした。
【0045】
【表2】
【0046】
結果は図3に示されている。同図によれば、リーンNOx浄化率85%以上を得るには、K担持量を6g/L〜42g/Lにすればよいことがわかる。模擬排ガス温度450℃において、K担持量が零から多くなるに従ってリーンNOx浄化率が漸次高くなっているのは、Kが高温時のNOxの吸蔵に有効に働くことを意味する。一方、K担持量が30g/Lを越えて多くなると、リーンNOx浄化率が低下してきているが、これは、Kが他の触媒金属(Pt,Rh)を覆い、その活性点を減少させて触媒の活性低下を招いているためと考えられる。
【0047】
以上から、リーンNOx浄化率を高くしながら、基材2のクラックを防止するには、K担持量を5〜25g/L程度としてK/TiO2比を0.05〜0.5の範囲に設定することが好ましいことがわかる。また、そのような設定にすることにより、触媒担持層4のボリュームが過度に増大すること(セルの通路面積が過度に小さくなること)も防止される。より好ましいK担持量は10〜25g/L、さらに好ましいのは15〜25g/Lである。
【0048】
なお、上記実施形態ではチタニアゾルによってチタニア含有層を形成したが、チタニアとバインダ(例えばアルミナバインダ)とを混合してスラリーを形成し、該スラリーを基材にウォッシュコートしてチタニア含有層を形成するようにしてもよい。また、チタニア含有層には、チタニアやバインダ以外の触媒材料を含ませるようにしてもよい。
【0049】
また、本発明に係る触媒はディーゼルエンジンの排ガス浄化にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排ガス浄化用触媒の一部を拡大した断面図。
【図2】同触媒をエンジンの排気通路に設けた状態を示す図。
【図3】K担持量とリーンNOx浄化率との関係を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 排ガス浄化用触媒
2 基材
3 チタニア含有層
4 触媒担持層
5 エンジン
6 排気通路
【発明の属する技術分野】
本発明は排ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンエンジンが空燃比リーンで運転されるときの排ガスは酸素濃度が高いため、三元触媒だけでは排ガス中のHC(炭化水素)やCOは酸化浄化することができても、NOx(窒素酸化物)の還元浄化は困難になる。そこで、アルカリ金属やアルカリ土類金属をNOx吸蔵材として用いたNOx吸蔵触媒が開発されている。そのNOx吸蔵材は、排ガスの酸素濃度が高いときにNOxを吸蔵し、該酸素濃度が低下すると吸蔵していたNOxを放出する性質があり、この放出するNOxをPt等の貴金属触媒の存在下、排ガス中のHCやCOを利用して還元するようになっている。
【0003】
また、NOx吸蔵触媒に関し、ハニカム担体基材の表面にチタニア層を形成し、このチタニア層の上にNOx吸蔵材を含む触媒担持層を形成することが知られている(特許文献1参照)。これは、チタニアが光の照射によって超親水性化する点に着目し、その状態でNOx吸蔵材の水溶液を触媒担持層に吸水させることにより、NOx吸蔵材を触媒担持層の表層部に担持させようとするものである。このNOx吸蔵材としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属及び一部の希土類金属が掲げられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−76831号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者の研究によれば、NOx吸蔵材として、Kに代表されるアルカリ金属を用いると、アルカリ土類金属の場合に比べて、排ガス(ないしは触媒)が400℃以上、特に450℃以上の高温時におけるNOx浄化性能が良い。従って、高温でのNOx浄化性能を向上させるためにはNOx吸蔵触媒におけるアルカリ金属の含有量を増量することが好ましい。
【0006】
しかし、本発明者の研究によれば、基材(触媒担体)がコージェライトのようなケイ素を含有する無機多孔質で形成されている場合、上記アルカリ金属の含有量を多くすると、基材にクラックを生じ、該基材に支持させている触媒層が剥落する、という問題があった。これは、触媒製造時にアルカリ金属の溶液が基材の細孔内に侵入し、触媒が高温に晒されたときに、アルカリ金属と基材のケイ素とが反応して基材の構造破壊を生ずることが原因であることがわかった。
【0007】
本発明の課題は、このようなケイ素を含有する基材のクラックの問題を解決することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、上記クラックの問題を招くことなく、排ガス高温時(触媒高温時)のNOx浄化性能を高め、リーンバーンエンジンにおけるリーンバーン運転領域を高負荷ないしは高回転側に拡大できるようにすること、或いは触媒を排気管におけるエンジン本体に近い排ガス温度が高い位置にも配設できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような課題に対して、触媒担持層のアンダーコート層としてチタニアを用いると、基材のクラックを防止することができること、特に基材に対するチタニア担持量とアルカリ金属担持量とを所定の比率にすると、基材のクラックを防止する効果が高いことを見出し、本発明を完成した。
【0010】
請求項1に係る発明は、ケイ素を含有する無機多孔質の基材と、該基材にコートされたチタニア含有層と、該基材における当該チタニア含有層よりも外側にコートされたアルカリ金属を含む触媒担持層とを備えた排ガス浄化用触媒において、
上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比が0.05以上0.5以下に設定されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成であれば、アルカリ金属が基材に接触することがチタニア含有層によって妨げられ、該アルカリ金属と基材との反応による基材の構造破壊が避けられる。すなわち、チタニア含有層が基材表面の微小凹凸や細孔を塞ぐため、アルカリ金属が基材内部へ侵入することが防がれるものであり、また、チタニアが固体酸としての性質を有し、アルカリ金属と結合することにより、該アルカリ金属の基材表面への移動を阻止するものである。
【0012】
従って、上記基材へのチタニアの担持量を多くするほど、つまりチタニアに対する上記アルカリ金属の質量比を小さくするほど、アルカリ金属と基材との反応を阻止する上で有利になる。しかし、基材にアルカリ金属を所望量(例えば、基材1L当たり5g以上)担持する場合、上記質量比が小さくなると、それだけチタニア担持量が多くなり、触媒全体としてのボリュームが大きくなることから、当該質量比は0.05以上に設定している。
【0013】
また、上記質量比が大きくなると、アルカリ金属と基材との反応をチタニア含有層によって確実に阻止することが難しくなることから、当該質量比は0.5以下に設定している。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1において、
上記基材1L当たりの上記アルカリ金属の担持量が6g以上42g以下に設定されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒である。
【0015】
本発明においては、アルカリ金属の担持量を6g/L(「g/L」は基材1L当たりのグラム数(乾燥質量)の意味。以下、同じ。)以上としているから、排ガス又は触媒の高温時におけるNOx浄化性能を高める上で有利になる。但し、アルカリ金属の担持量が多量になると、それだけチタニアの担持量が多くなり、触媒全体のボリュームが大きくなる不具合があり、また、当該触媒担持層に含ませる他の触媒金属がアルカリ金属によって覆われ、その活性点が減少して活性が低下する不具合がある。そのため、当該アルカリ金属の担持量は42g/L以下としている。
【0016】
請求項3に係る発明は、ケイ素を含有する無機多孔質の基材と、該基材にコートされたチタニア含有層と、該基材における当該チタニア含有層よりも外側にコートされたカリウムを含む触媒担持層とを備えた排ガス浄化用触媒において、
上記基材1L当たりの上記カリウムの担持量が5g以上25g以下に設定され、
上記チタニアに対する上記カリウムの質量比が0.05以上0.5以下に設定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、触媒担持層がカリウムを含有し、その担持量を5g/L以上としているから、排ガス中のNOxを高温化でも効率良く吸蔵させる上で有利になる。そうして、上記カリウムの担持量を25g/L以下として、チタニアに対する上記カリウムの質量比を0.05以上0.5以下に設定しているから、触媒全体のボリュームが過大になることや、カリウムによって他の触媒金属が覆われて活性が低下することを避けながら、請求項1に係る発明と同様に、カリウムが基材に接触することをチタニア含有層によって妨げ、該カリウムと基材との反応による該基材の構造破壊を防止することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、ケイ素を含有する無機多孔質の基材に、チタニア含有層とアルカリ金属を含む触媒担持層とを、後者が外側になるようにコートした排ガス浄化用触媒において、上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比が0.05以上0.5以下に設定されているから、アルカリ金属と基材との反応による基材の構造破壊が避けられ、高温下でのNOx浄化性能を高めながら、触媒の高温耐久性を高める上で有利になる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、請求項1において、上記基材1L当たりの上記アルカリ金属の担持量が6g以上42g以下に設定されているから、さらに、触媒全体のボリュームが過大になることや、触媒活性が低下することを避けながら、高温化でのNOx浄化性能を高める上で有利になる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、ケイ素を含有する無機多孔質の基材に、チタニア含有層とカリウムを含む触媒担持層とを、後者が外側になるようにコートした排ガス浄化用触媒において、上記基材1L当たりの上記カリウムの担持量が5g以上25g以下に設定され、上記チタニアに対する上記カリウムの質量比が0.05以上0.5以下に設定されているから、触媒全体のボリュームが過大になることや、触媒の活性が低下することを避けながら、カリウムと基材との反応による該基材の構造破壊を防止することができ、高温下でのNOx浄化性能を高めながら、触媒の高温耐久性を高める上で有利になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に本発明に係る排ガス浄化用触媒1の一部を拡大した断面図で示す。この排ガス浄化用触媒1は、自動車用リーンバーンエンジンの排ガスを浄化するために使用されるものであり、その排ガスで加熱されて触媒温度は400℃〜700℃に達することがある。なお、「〜」はその両側に記載した数値を含む範囲を表す記号として使用している。
【0023】
同図において、2はコージェライト製のハニカム状基材であり、各セルの内面がチタニア含有層3によって覆われ、該チタニア含有層3の表面に触媒担持層4が形成されている。
【0024】
触媒担持層4は、触媒金属と、NOx吸蔵材と、触媒金属及びNOx吸蔵材を担持するサポート材と、このサポート材粉末を結合し基材2に保持するバインダとを備えている。触媒金属としては、例えばPt、Rh等の貴金属を採用することができる。NOx吸蔵材としては、K等のアルカリ金属を必須として、その他に例えばBa、Mg、Sr等のアルカリ土類金属や、希土類金属を採用することができる。サポート材としては、アルミナが好ましく、このアルミナと酸素吸蔵材(例えばCe−Pr複合酸化物)との混合物を採用することができる。酸素吸蔵材は、例えば担体1L当たり15〜300g含ませることができる。
【0025】
本発明では、上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比を0.05以上0.5以下に設定している。上記アルカリ金属の担持量は6g/L以上42g/L以下に設定することが好ましく、アルカリ金属がカリウムである場合、その担持量5g/L以上25g/L以下に設定し、上記チタニアに対する上記カリウムの質量比を0.05以上0.5以下に設定することが好ましい。
【0026】
なお、触媒担持層4は、サポート材や触媒金属の種類を変えて2層以上形成するようにしてもよい。
【0027】
(触媒の製法)
触媒の基本的な製法は次の通りである。
【0028】
まず、チタニアゾルを上記基材2にウォッシュコートし、乾燥及び焼成を行なうことによりチタニア含有層3を形成する。次に、サポート材、バインダ及び水を混合してなるスラリーを上記基材2のチタニア含有層3の上にウォッシュコートし、乾燥及び焼成を行なうことによって、触媒担持層を形成する。 続いて、触媒金属の溶液と、NOx吸蔵材を構成する各金属の溶液との混合溶液を上記触媒担持層に含浸させ、乾燥及び焼成を行なう。以上により上記排ガス浄化用触媒1が得られる。
【0029】
(触媒の使用形態)
上記排ガス浄化用触媒1は、例えば図2に示すように、車両用のリーンバーンエンジン5の排気通路6に配設される。その配設部位はエンジン搭載時のエンジン下方部に相当する。その配設部位は排気マニホールド直ぐ下流部位でもよい。なお、同図において、7は気筒、8は燃焼室、9は点火プラグ、10は吸気通路である。
【0030】
触媒1は、リーン燃焼運転時には排ガスに含まれるNOxをNOx吸蔵材(Ba、K、Sr、Mg)に吸蔵し、次に理論空燃比近傍または空気過剰率λ≦1での燃焼運転時(以下、リッチ燃焼運転時という。)にはNOx吸蔵材から放出されたNOxとHC、CO及びH2とを反応させ、三元触媒と同様に排気ガスを浄化する。すなわち、触媒1はリーンNOx浄化作用を有するものである。
【0031】
リーン燃焼運転時における排ガスの酸素濃度は例えば4〜5%から20%となり、空燃比はA/F=16〜22あるいはA/F=18〜50である。一方、リッチ燃焼運転時における排ガスの酸素濃度は2.0%以下、あるいは0.5%以下となる。
【0032】
触媒1は、リーン燃焼運転が長時間続くとNOx吸蔵量が飽和状態となってNOx浄化性能の低下を招くこととなる。そのため、本実施形態は、第1期間は上記リーン燃焼運転を行なって排ガスの酸素濃度を高くし、該第1期間よりも短い第2期間は上記リッチ燃焼運転を行なって当該酸素濃度を相対的に低くする、というように高酸素濃度状態と低酸素濃度状態とを交互に繰り返す酸素濃度制御手段(エンジンの空燃比制御手段)を備え、適宜NOxの放出を促すようにしている。
【0033】
すなわち、最後にNOx放出制御を行なってからの走行距離とその間に消費した燃料の総量等とに基づいてNOx吸蔵量を推定し、そのNOx吸蔵量が所定値以上(NOxの吸蔵過剰状態)になったときに上記第1期間を経過したと判定して、エンジンに供給する燃料を増量することにより上記リッチ燃焼運転を1〜10秒(第2期間)行なって、NOx吸蔵材に吸蔵されていたNOxを放出させるようにすればよい。
【0034】
また、エンジンの定常運転時において、上記リーン燃焼運転を行なう第1期間と上記リッチ燃焼運転を行なう第2期間とを周期的に繰り返す、というものであってもよい。その場合、例えば第1期間を1〜5分とし、第2期間を1〜10秒とすることができる。
【0035】
また、エンジンの定常運転時はリーン燃焼運転とし、加速運転時にリッチ燃焼運転とすることで、NOx吸蔵材に吸蔵されていたNOxを放出させるものであってもよい。
【0036】
以下、上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比(以下、K/TiO2比という。)、並びに上記アルカリ金属の担持量について検討する。
【0037】
−供試触媒の調製−
まず、チタニアゾルを準備し、基材2をチタニアゾルに浸漬して引き上げ、150℃の温度で1時間の乾燥を行ない、次いで500℃で1時間の焼成を行なうことにより、チタニア含有層3を形成した。チタニア担持量は40g/L、50g/L、80g/L及び100g/Lの4種類である。
【0038】
一方、γーアルミナとCe−Zr複合酸化物(質量組成比はCeO2:ZrO2=74:26)とアルミナバインダとを、γ−アルミナ担持量が160g/L、Ce−Zr複合酸化物担持量が160g/L及びアルミナバインダ担持量が32g/Lとなるように秤量して混合し、これにイオン交換水を添加することによってスラリーを調製した。このスラリーに上記チタニア含有層3が形成された基材2を浸漬して引き上げ、余分なスラリーを吹き飛ばす、という方法により、担体にスラリーをウォッシュコートした。次いで、これを150℃の温度で1時間乾燥し、540℃の温度で2時間焼成することによって、上記チタニア含有層3の上に触媒担持層を形成した。
【0039】
次に、ジニトロジアミン白金硝酸塩水溶液と、酢酸ロジウム水溶液と、酢酸バリウム水溶液と、酢酸カリウム水溶液と、酢酸ストロンチウム水溶液と、酢酸マグネシウム水溶液とを、Pt担持量が3g/L、Rh担持量が0.3g/L、Ba担持量が30g/L、K担持量が5〜60g/L、Sr担持量が10g/L及びMg担持量が10g/Lとなるように秤量し混合してなる各混合溶液(上記K担持量が異なる各混合溶液)を調製した。
【0040】
そうして、上記各種の混合溶液を上記チタニア担持量が異なる各種供試材の触媒担持層に含浸させ、150℃の温度で1時間の乾燥、540℃の温度で2時間の焼成を行なうことにより、K/TiO2比及びK担持量が相異なる供試触媒A〜Pを得た。この供試触媒A〜PのK担持量、TiO2担持量及びK/TiO2比は表1に示す通りである。なお、各供試触媒の不純物量は1%未満である。
【0041】
【表1】
【0042】
(評価試験1)
上記供試触媒A〜Pについて、大気雰囲気において900℃の温度に24時間保持する加熱処理を行ない、基材2の外周面にクラックを生じているか否かを調べた。結果は表1のクラック欄に示されている。
【0043】
表1に示すように、K/TiO2比が0.05〜0.5の範囲に存する供試触媒A〜F,L〜Oにはクラックの発生が認められなかったが、当該比が0.06以上になると基材2の外周面にクラックの発生が認められた。
【0044】
(評価試験2)
K担持量がNOx浄化性能に与える影響を調べるために、供試触媒A〜G,I,K、並びにK担持量が零の供試触媒(他の構成は他の供試触媒と同じ。)について、リーンNOx浄化率を測定した。すなわち、各供試触媒について、900℃で24時間の加熱処理を大気雰囲気において行なった後、固定床流通式反応評価装置に取り付け、空燃比リーンの模擬排ガス(ガス組成A)を60秒間流し、次にガス組成を空燃比リッチの模擬排ガス(ガス組成B)に切り換えてこれを60秒間流す、というサイクルを5回繰り返した後、ガス組成を空燃比リーン(ガス組成A)に切り換え、この切り換え時点から60秒間のNOx浄化率(リーンNOx浄化率)を測定した。触媒温度及び模擬排ガス温度は450℃、そのガス組成は表2に示す通りであり、また、空間速度SVは25000h−1とした。
【0045】
【表2】
【0046】
結果は図3に示されている。同図によれば、リーンNOx浄化率85%以上を得るには、K担持量を6g/L〜42g/Lにすればよいことがわかる。模擬排ガス温度450℃において、K担持量が零から多くなるに従ってリーンNOx浄化率が漸次高くなっているのは、Kが高温時のNOxの吸蔵に有効に働くことを意味する。一方、K担持量が30g/Lを越えて多くなると、リーンNOx浄化率が低下してきているが、これは、Kが他の触媒金属(Pt,Rh)を覆い、その活性点を減少させて触媒の活性低下を招いているためと考えられる。
【0047】
以上から、リーンNOx浄化率を高くしながら、基材2のクラックを防止するには、K担持量を5〜25g/L程度としてK/TiO2比を0.05〜0.5の範囲に設定することが好ましいことがわかる。また、そのような設定にすることにより、触媒担持層4のボリュームが過度に増大すること(セルの通路面積が過度に小さくなること)も防止される。より好ましいK担持量は10〜25g/L、さらに好ましいのは15〜25g/Lである。
【0048】
なお、上記実施形態ではチタニアゾルによってチタニア含有層を形成したが、チタニアとバインダ(例えばアルミナバインダ)とを混合してスラリーを形成し、該スラリーを基材にウォッシュコートしてチタニア含有層を形成するようにしてもよい。また、チタニア含有層には、チタニアやバインダ以外の触媒材料を含ませるようにしてもよい。
【0049】
また、本発明に係る触媒はディーゼルエンジンの排ガス浄化にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排ガス浄化用触媒の一部を拡大した断面図。
【図2】同触媒をエンジンの排気通路に設けた状態を示す図。
【図3】K担持量とリーンNOx浄化率との関係を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 排ガス浄化用触媒
2 基材
3 チタニア含有層
4 触媒担持層
5 エンジン
6 排気通路
Claims (3)
- ケイ素を含有する無機多孔質の基材と、該基材にコートされたチタニア含有層と、該基材における当該チタニア含有層よりも外側にコートされたアルカリ金属を含む触媒担持層とを備えた排ガス浄化用触媒において、
上記チタニアに対する上記アルカリ金属の質量比が0.05以上0.5以下に設定されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒。 - 請求項1において、
上記基材1L当たりの上記アルカリ金属の担持量が6g以上42g以下に設定されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒。 - ケイ素を含有する無機多孔質の基材と、該基材にコートされたチタニア含有層と、該基材における当該チタニア含有層よりも外側にコートされたカリウムを含む触媒担持層とを備えた排ガス浄化用触媒において、
上記基材1L当たりの上記カリウムの担持量が5g以上25g以下に設定され、
上記チタニアに対する上記カリウムの質量比が0.05以上0.5以下に設定されていることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
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