JP2004121073A - 乳酸菌含有炊飯用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課  題】本発明は日常的に摂取する炊飯物へ炊飯調理の際に簡便に免疫賦活作用を強化することができる炊飯用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】乳酸菌またはその処理物を有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活作用を有する炊飯用組成物。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は免疫賦活作用を有する乳酸菌またはその処理物を有効成分とする炊飯用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
我々の体を病気から守っている生体防御機構は、生まれながらに備わっている自然免疫系と、生後、環境中の微生物などと接触することにより、学習・教育されていくより強く効率的な獲得免疫系とで構成されている。さらにこの獲得免疫系は、Tヘルパー1(Th1)型免疫とTヘルパー2(Th2)型免疫とに大別され、それぞれ役割を分担している。
Th1型免疫は、ウイルスや結核などの細胞内寄生細菌、腫瘍細胞などの排除を担い、Th2型免疫は抗体を産生し、細菌や毒素の効率の良い処理を担っており、健やかな日常生活を送る上でTh1型免疫とTh2型免疫は、お互いに制御しながらバランス良く働いていることが重要である。しかし、現在は環境の清浄化や老化、ストレス、病気、栄養不足等によりTh1型免疫とTh2型免疫のバランス異常が引き起こされやすい状況にあると言えるため、現代人はTh2型免疫が優位な傾向にあると言われている。そのことは、細菌、酵母、カビ、ウイルスなどの微生物による感染及び腫瘍に対する抵抗力の低下やアレルギー性疾患へのリスク増大に関連している。
【0003】
細菌、酵母、カビ、ウイルスなどの微生物による感染や腫瘍に対する防御機構において中心的な役割を果たしているのは、T細胞、マクロファージ、NK細胞などである。これら免疫担当細胞の活性化にはサイトカインという分子が大きく関与しており、中でもインターロイキン12(IL−12)は初期感染系においても重要な役割を担っている。IL−12は、Th1型免疫応答を司る中心的なサイトカインであり、感染初期ではマクロファージ、NK細胞などにより産生される。産生されたIL−12はヘルパーT細胞をTh1型へ誘導し、食細胞やキラー細胞等を活性化させるインターフェロンγ(IFN−γ)の産生を促すことで感染細胞や種々の感染源を排除する。つまり、低下した免疫力を高め、初期感染系における免疫応答を賦活させるためには、IL−12産生を促進することが重要である。
【0004】
本来、生体防御を目的とするはずの免疫応答が結果として生体に危害を及ぼすものである場合、その免疫反応をアレルギー反応と呼んでいる。このアレルギー反応の関与する疾患を総称してアレルギー疾患と呼ぶことがある。
即時型過敏反応を特徴とするアレルギー疾患の成因には、IgE抗体が大きく関与していることが知られている。B細胞が産生する抗体にはIgA、IgM、IgG、IgE、IgDといった5つのクラスが存在するが、なかでもIgG抗体は血中濃度が最も高く、一般的なT細胞依存的な抗原抗体反応の中心を担っている。抗原と結合した血中のIgG抗体は好中球、NK細胞といったエフェクター細胞上のFcレセプターと結合し、活性化して抗原の排除を促す。本来、Th1優位な環境下ではIgG2aサブクラスが、Th2優位な環境ではIgG1サブクラスが選択的に分泌され効率よく細菌や毒素といった抗原分子を排除するのだが、Th1、Th2のバランスに異常が生じるとB細胞の産生する抗体のクラスにも変化が生じる。Th2型のサイトカインであるIL−4は抗体産生を担うB細胞を活性化し、IgG抗体産生を促進させるが過剰に存在すると、B細胞をIgG抗体産生細胞からIgE抗体産生細胞へと変化させる。
【0005】
産生されたIgE抗体は抗原と結合すると、好中球、NK細胞といったエフェクター細胞ではなくマスト細胞や好塩基球といった顆粒球上のFcレセプターと結合し、細胞を活性化する。これが引き金となり、活性化されたマスト細胞は元々所持していたヒスタミン等のケミカルメディエーターを放出するとともに、プロスタグランジンやロイコトリエンといった炎症性のメディエーターを一気に合成、放出するようになる。これらの炎症性のメディエーターが、平滑筋の収縮・血管透過性亢進・小血管拡張・粘膜上への粘液分泌亢進・白血球遊走・神経刺激といった典型的なアレルギー性組織反応を導くのである。
つまり、IgE抗体の過剰産生はアレルギー反応を誘発する大きな要因であり、過剰産生へとクラススイッチを誘発するIL−4、さらにはIL−4産生過多となるTh2型へとシフトしすぎた環境自体がアレルギー反応の要因といえる。Th1型サイトカインであるIL−12及びIFN−γは、アレルギー疾患の要因であるIL−4ならびにIgE抗体産生を抑制し、Th2型へとシフトした生体環境をTh1型へと改善する効果を有するため、こうしたアレルギー反応に有効である。
【0006】
元来、乳酸菌を用いた健康食品としては、生菌体を直接経口的に摂取し、生存したまま腸内へ移行させ、腸内環境を整えることを目的とするものが主であった。腸内環境を構築する腸内フローラは、消化・吸収等の代謝系を維持、促進するのに必須であり、免疫系を含めた生体環境のバランスの改善に大きく寄与している。恒常的に生菌体を摂取することで、常に新しい腸内フローラを構築し代謝を活性化していくことは、健康増進につながるといえる。また、本発明者らが既に特許出願した通り(特許文献1〜5)、乳酸菌はTリンパ球共刺激作用とBリンパ球活性化抑制作用、IL−12やIFN−γ等のサイトカインの産生促進作用を有するため、生体防御を主眼とした今後の機能性食品の開発において、乳酸菌は重要な役割を果たす存在であると言える。
【0007】
従来から、乳酸菌、特に乳酸菌死菌体を用いた免疫賦活効果を有する素材も製品化されているが、サプリメントや飲料といった形状で製品化されることが多かった。やはり、粒子径の大きい菌体そのものを素材として使用するため、錠剤や懸濁液といった形に限定されてしまうのである。健康志向の強い欧米等ではまだしも、日本において錠剤といった薬的形状は敬遠されがちで、日常的に気軽に摂取するといった意識はなかなか浸透していないのが現状である。
【0008】
さて、われわれ日本人の食生活に目を向けると、生活レベルが上がり食生活が豊かになった反面、食生活における選択の広がりが、嗜好的、即席的な食品のみを選ばせがちとなっている。栄養バランスの偏りは、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を招き、同時に加齢やストレスにより低下した免疫機能に対しても悪影響を及ぼす。この免疫力の低下が結果として疾患にかかりやすい状況をつくってしまう。こうした食生活の中で、意識的に免疫賦活食品を摂取していくのは、よほどの意識レベルの向上が必要である。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−114667号公報
【特許文献2】
特開平10−167972号公報
【特許文献3】
特開平11−228425号公報
【特許文献4】
特開2001−64174号公報
【特許文献5】
特開2002−80364号公報
【特許文献6】
特開昭56−131349号公報
【特許文献7】
特開昭58−13356号公報
【特許文献8】
特開昭59−130157号公報
【特許文献9】
特開昭60−118153号公報
【特許文献10】
米国特許第 4,765,996号明細書
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は日常的に摂取する炊飯物の免疫賦活作用を炊飯調理の際に簡便に強化することができる炊飯用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、免疫賦活作用が付与または強化されている炊飯穀類を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、われわれ日本人の主食が米であり、選択の幅が広がった食生活においても米は唯一欠かさず食していることに着目し、米に免疫賦活作用を有する物質を付与して、米飯に免疫賦活作用を補うことは、習慣化していくうえで大変意義のあることであることを知見した。つまりこれは、意識することなく日常的に免疫機能を調節する、すなわちTh1型免疫とTh2型免疫がお互いに制御しながらバランスよく働いている状態で維持することにつながる。
本発明者らは、さらに研究を行ったところ、米飯の免疫賦活作用を付与または強化することができ、副作用がなく食品にも利用可能で、米飯の風味や味を損なわない添加物としては、乳酸菌が最適であることを見出した。すなわち、日常的に摂取する米飯をはじめとする炊飯穀物に免疫賦活作用を有する乳酸菌およびその処理物を添加することにより、食品による安全かつ安定な生体防御機構の正常化への是正およびその維持が可能となる。
【0012】
従来の炊飯用組成物は食品機能の観点から見た場合、一次機能および二次機能面での強化を目的としたものである(特許文献6〜10など)。すなわち、一次機能としては、栄養強化を目的としたミネラルおよびビタミン類の組成物、二次機能としては、炊飯後の炊飯物の形状および食感の長期安定化を目的とした油脂類組成物、または食味の改良および米特有の臭気を抑えることを目的とした酵素類組成物である。
一方で、健康の維持・増進および疾病や老化の予防を図るためには、三次機能面の強化、すなわち、生理活性物質を含有した食品による生体調節機能の強化を目的としたものが不可欠であるが、日常的に摂取する食品、例えば炊飯物用組成物としては生体機能の調節を目的としたものはなかった。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1) 乳酸菌またはその処理物を有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活作用を有する炊飯用組成物、
(2) 乳酸菌が、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属もしくはエンテロコッカス (Enterococcus)属に属する菌、またはそれらの混合菌である前記(1)記載の組成物、
(3) 乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)である前記(1)記載の組成物、
(4) 乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plantarum L−137)である前記(1)記載の組成物、
(5) 乳酸菌またはその処理物を有効成分として含有する組成物を炊飯時に添加することを特徴とする免疫賦活作用が強化されている炊飯穀類を製造する方法、
(6) 乳酸菌またはその処理物を含有することを特徴とする免疫賦活作用を有する炊飯穀類、
(7) 乳酸菌またはその処理物の、炊飯穀物に免疫賦活作用を付与するための使用、
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における炊飯用組成物とは、穀類の炊飯に使用される組成物をいう。本発明で用いる穀類としては、特に限定されないが、例えば、精白米、7分づき米、胚芽米その他精白程度の異なる各種精米・精麦などが挙げられる。以下、代表として米を炊飯する際に用いる炊飯用組成物について詳細に述べるが、他の穀物についても全く同様である。
【0015】
本発明において使用する乳酸菌としては、乳酸を産生しうる菌であれば特に限定されないが、具体的には、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属またはエンテロコッカス (Enterococcus)属に属する乳酸菌などが挙げられる。より具体的に前記乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・アシドフィリス(Lactobaccilus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobaccilus brevis)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobaccilus buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブリュキイ(Lactobaccilus delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobaccilus fermentum)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobaccilus helveticus)、ラクトバチルス・ケフィア(Lactobaccilus kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobaccilus paracasei)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobaccilus rhamnosus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・スポロゲネス(Lactobacillus sporogenes)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus  plantarum)、ラクトコッカス・ラフィノラクティス(Lactococcusraffinolactis)、ロイコノストック・シトロボラム(Leuconostoc citrovorum)、ロイコノストック・デキストラニウム(Leuconostoc dextranicum)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mescenteroides)、エンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等が挙げられる。
【0016】
本発明において使用する乳酸菌としては、とりわけ、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する菌が好ましく、例えば、ラクトバチルス・アシドフィリス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・デルブリュキイ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ケフィア、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・スポロゲネス等がより好ましい。特に、ラクトバチルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plantarum L−137)(平成7年11月30日より、受託番号FERM P−15317の下、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託してある)が好適に使用できる。
また、本発明においては、1種類の乳酸菌を単独で用いてもよいし、複数の乳酸菌を任意に組み合わせてもよい。
【0017】
本発明において使用する乳酸菌の処理物としては、本発明において用いる乳酸菌により食品を発酵させてなる、菌体を含んだ発酵物をそのまま用いてもよいし、発酵物から菌体を採取し、生菌のまま、または、例えば、加熱、紫外線照射等により不活性化し、ペースト状態あるいは乾燥して用いることもできる。乳酸菌の培養物から分離した生菌体または死菌体をさらに摩砕、破砕、酵素分解、抽出処理をし、得られた処理物を必要により加熱滅菌、乾燥して用いることもできる。
【0018】
本発明の炊飯用組成物に含まれる有効成分は、乳酸菌の生菌体よりも、それ以外の乳酸菌の処理物が好ましい。生菌体の形で製品化する場合、生菌であるがゆえ加工しにくいといった問題も存在し、液状物あるいは生菌パウダーといった限られた形状をとらざるを得ないというデメリットがあるからである。また、われわれの期待する免疫賦活作用に対しては、間接作用であるため期待した効果が現れる前にかなりの時間を有してしまう可能性がある。
【0019】
乳酸菌またはその処理物を炊飯時に添加することにより免疫賦活効果を有した炊飯物を提供するにあたり、乳酸菌またはその処理物の熱安定性が問題として生じてくる。通常、炊飯は加水してから加熱を行うが、これらの工程により乳酸菌またはその処理物の免疫賦活効果が消失してしまうことがないことが必要である。この点については、乳酸菌またはその処理物の免疫賦活作用が、一般に炊飯条件で行われる加熱温度により消失しないこと、さらに実際に米に乳酸菌またはその処理物を添加してから炊飯してその免疫賦活活性が消失しないこと、乳酸菌またはその処理物を添加していない炊飯米と比較して、乳酸菌またはその処理物を添加してから炊いた炊飯米が高い免疫賦活作用を有していることは、本発明に至るまでの検討において充分確認している。
【0020】
本発明にかかる炊飯用組成物には、乳酸菌またはその処理物以外に、公知の添加物質を含有させてもよい。そのような添加物質としては、例えば、味付け、風味の変化をつける目的で加えられるグルタミン酸ナトリウムもしくは蛋白加水分解物等の調味料;香料;栄養強化の目的で加えられるカルシウム塩、鉄等のミネラル;ビタミン類;古米等の食感を改良するために添加されるゼラチンや寒天等のゲル化剤や食用油脂;生体消化管内での澱粉質の消化・吸収を遅延させる効果を有する脂肪酸化合物などが挙げられる。
【0021】
本発明の炊飯用組成物は、上記乳酸菌またはその処理物を含有していれば、どのような形態を呈していてもよい。具体的には、公知の賦形剤ないしは担体を用い、自体公知の方法に従い、例えば、錠剤、顆粒、カプセル、粉末、クリームもしくはペーストのような固体、または溶液、シロップ、乳液もしくは懸濁液のような液体の形状とすることができる。用いる賦形剤ないしは担体としては、例えば、デキストリン、コーンスターチ、乳糖、セルロースもしくはメチルセルロースのような固体賦形剤、または水、生理食塩水もしくはエタノールのような液体賦形剤が挙げられる。
【0022】
本発明の炊飯用組成物は、一般に強化米として称される形状、すなわち米に乳酸菌またはその処理物が付着されている形状にて供給することもできる。かかる形状の炊飯用組成物は、米または加工した米に乳酸菌またはその処理物をコーティングしたり、乳酸菌またはその処理物の溶液に米穀を浸漬して浸透させた後乾燥したり、あるいはこれらの工程を組み合わしたりするなどして製造することができる。
前記コーティング方法としては、乳酸菌またはその処理物を油脂類またはロウ類などと共に加熱溶融し、溶融状態の液体を米粒に噴霧してコーティングするという方法が挙げられる。または、乳酸菌またはその処理物と共に蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルもしくはソルビタン脂肪酸エステルなどの乳化剤、または大豆レシチン、アラビアガム、キサンタンガム、ゼラチンもしくは寒天などの天然糊料を用いて常法により乳化物を調整し、かかる乳化物を米粒に噴霧してコーティングするという方法も挙げられる。
【0023】
上述の、一般的に強化米と称される形状においては、米の代わりに他の穀類や穀類を模造した加工品を用いることも可能である。すなわち、他の穀類または穀類を模造した加工品に乳酸菌またはその処理物をコーティングしたり、乳酸菌またはその処理物の溶液に他の穀類または穀類を模造した加工品を浸漬して浸透させた後乾燥したり、あるいはこれらの工程を組み合わしたりするなどして前記形状の炊飯用組成物を製造することができる。前記他の穀類としては、小麦もしくは燕麦などの麦類、そば、きび、キヌアまたはアマランサスなどが挙げられる。前記穀類を模造した加工品としては、米、麦もしくはとうもろこしなどの穀類から製造した粉類を加工して成型したもの、蒟蒻もしくは海藻類から調整したグルコマンナン、またはその他多糖類を加工して成型したものなどが挙げられる。さらに、前記穀類を模造した加工品を製造する際に、原料に乳酸菌またはその処理物を混練してから成型することによっても、本発明にかかる炊飯用組成物を製造することが可能である。
【0024】
上記形状の本発明にかかる炊飯用組成物において、乳酸菌またはその処理物とともにさらに添加物質を含む場合は、乳酸菌またはその処理物と添加物質を予め混合しておき、それを米に付着させてもよいし、乳酸菌またはその処理物および添加物質を複数回に分けて順々に米に付着させてもよい。
【0025】
上述のような本発明の炊飯用組成物を炊飯時に適量加えて炊飯することにより免疫賦活作用が強化されている炊飯された米(以下、米飯という。)を得ることができる。また、あらかじめ精白米などに本発明の炊飯用組成物を適量添加した状態で流通させるなどして供給することも可能であり、かかる炊飯用組成物含有米を炊飯することによっても免疫賦活作用が強化されている米飯を得ることができる。
上記炊飯方法としては、通常行われている炊飯方法に従えばよい。例えば、原料米を水洗し、普通1時間程度、水中に浸漬した後に水切りして蒸煮、またはそのまま炊飯する。この場合、水切り後の蒸煮は、たとえば連続式の業務用炊飯装置のようなものを使用して実施され、水切りせずにそのまま炊飯する場合はたとえば家庭用の炊飯器やその大型のものなどが用いられる。本発明の炊飯用組成物を添加する時期は炊飯前、炊飯途中、炊飯後の何れでもよいが、炊飯前が好ましい。具体的には、例えば生米を水洗してから添加し生米と共に水浸漬して炊飯を行ってもよく、あるいは水きりした後に加えてもよい。本発明の炊飯用組成物の添加量は、乳酸菌の種類または乳酸菌の処理方法などにより異なるので一概には言えない。例えば、米1合に対して乳酸菌を約0.01mg以上、好ましくは約0.02mg以上となるように本発明の炊飯用組成物を添加することが好ましい。本発明の炊飯用組成物の添加量の上限は、米飯の風味や品質を著しく損ねない限り、特に限定されない。
【0026】
上記のような免疫賦活作用が強化されている米飯は、加工米飯の形態をとっていてもよい。加工米飯としては、例えば、レトルト米飯、無菌包装米飯、冷凍米飯、チルド米飯、乾燥米飯または缶詰米飯などが挙げられる。加工米飯は、公知の方法で容易に製造することができ、かかる製造時に本発明の炊飯用組成物を添加すればよい。また、本発明の炊飯用組成物を加工米飯と別包装とし、加工米飯を食するときに本発明の炊飯用組成物を添加することとしてもよい。
【0027】
本発明の炊飯用組成物または炊飯穀類は、IL−12およびIFN−γ産生誘導作用を有するため、これらの日常的な摂取によりTh1型免疫を亢進させることが可能であり、Th2型免疫が優位である現代人の免疫バランスを調節する効果が期待される。すなわち、本発明の炊飯用組成物または炊飯穀類は、(1)各種疾患に対する抵抗性の向上、(2)免疫抑制状態や免疫機能低下からの回復、(3)アレルギー反応の抑制に有効である。
【0028】
各種疾患に対する抵抗性の向上という作用を利用することにより、具体的には、本発明の炊飯用組成物または炊飯穀類は、ウイルスもしくはバクテリア等の微生物による感染症;例えば、経口感染によるコレラ菌、毒素原性大腸菌、赤痢菌、サルモネラもしくはウイルス等の感染性腸炎;気道感染によるインフルエンザもしくは風邪症候群;口腔内感染による口内炎、歯周疾患;各種悪性腫瘍、例えば、消化管や呼吸器粘膜、肝・腎等の実質臓器に発生する非上皮性悪性腫瘍の予防や治療に有効である。
【0029】
免疫抑制状態や免疫機能低下からの回復という作用を利用することにより、具体的には、本発明の炊飯用組成物または炊飯穀類は、腫瘍により誘導される免疫抑制状態や抗癌剤治療により誘導される免疫機能低下からの回復に適しており、後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症予防;リステリア菌、サルモネラ菌、結核菌もしくは癩菌等の細胞内寄生性細菌の防除;ストレスに起因するTh1型免疫機能低下の改善等に有効であり、加齢に伴う免疫機能低下の抑制等にも適している。また、細胞内寄生性細菌のクラミジア菌に対する感染防御作用により、クラミジア菌感染との関わりが強く示唆されている動脈硬化発症に対しても予防的に働く。
【0030】
また、アレルギー反応の抑制という作用を利用することにより、本発明の炊飯用組成物または炊飯穀類は、IL−12産生誘導に伴うナイーブT細胞からのTh1細胞への分化促進、及びTh1細胞の活性化の促進に有効であり、Th2型へとシフトした生体環境をTh1型へと改善する効果を有する。さらに、活性化されたTh1細胞により産生されたIFN−γに起因するIL−4の産生抑制、及びIgE抗体産生の低下にも有効である。具体的には、本発明の炊飯用組成物または炊飯穀類は、典型的なアレルギー疾患である気管支喘息、小児喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、花粉症、枯草熱、食物アレルギー、蕁麻疹の一部、昆虫アレルギー、アレルギー性肝炎、アレルギー性胃腸疾患等の予防や治療に適している。
【0031】
【実施例】
以下、実施例および試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、それらによって何ら限定されるものではない。
【0032】
<実施例1 ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥菌体の製造方法>乳酸菌培養培地であるGYP培地のグルコースを代わりにマルトースを加えた培地10mLにラクトバチルス・プランタラムL−137保存菌を植菌して32℃で18時間培養した。得られた培養液は100倍量の培地に添加して32℃で18時間培養することを2回繰り返し、最終的に90Lのスターターを作成した。得られたスターターを4300Lの培地に添加して32℃で24時間培養を行った。得られた本培養液は蒸気を用いて80℃まで加温し20分間温度保持することにより加熱殺菌を行った。これをフィルター濾過器に通液してラクトバチルス・プランタラムL−137加熱死菌体と培地を分離し、さらにフィルター濾過器に水を加圧通液することを2回繰返して洗浄を行った。このようにして得られた加熱死菌体は水に懸濁させ、さらに賦形剤としてデキストリンを加えて溶解させてから、スプレードライ装置にて噴霧乾燥を行い、最終的にラクトバチルス・プランタラムL−137の加熱死菌体を17.8%含有する粉末36kgが得られた。
【0033】
<試験例1>
本試験例では、実施例1で得られたラクトバチルス・プランタラムL−137菌体粉末(ラクトバチルス・プランタラムL−137として17.8%含有)を用いて、マウス脾臓リンパ球のインターロイキン12産生反応に対するラクトバチルス・プランタラムL−137菌体の誘導効果を検証した。
マウス(BALB/c、雌、12週齢)から無菌的に脾臓を摘出し、RPMI1640培地中で脾臓を押しつぶし、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を5×10/mLの濃度にRPMI1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴当たり100μLを播種した。
【0034】
ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体は、リン酸緩衝液で1mg/mLに調製後、湯浴中で100℃、10分間の加熱殺菌処理を行い、RPMI1640培地でそれぞれ1μg/mLに希釈して調製し、1穴当たり100μLで加えた。37℃の5%炭酸ガス培養器内で24時間培養し、培養後の培養上清をインターロイキン12p40のエンザイムイムノアッセイで測定した。エンザイムイムノアッセイは、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体(Genzyme 社製)をホウ酸緩衝液で1μg/mLに調製した溶液を、96穴エライサプレートに1穴当たり50μL加え37℃で1日間放置し、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体を各穴に付着させたプレートを用いて行った。
【0035】
培養上清を1穴当たり50μL加え室温で90分間放置し、培養上清中のインターロイキン12p40をプレートに付着したラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体と結合させた。洗浄後ビオチン化標識したヤギ抗マウスインターロイキン12IgG抗体(R&D system,inc. 社製)をホウ酸緩衝液で0.1μg/mLに調製した溶液を、96穴エライサプレートに1穴当たり100μL加え、プレートに結合させたインターロイキン12p40と結合させた。洗浄後ホウ酸緩衝液で1000倍希釈したアビジン−HRP(BD PharMingen 社製)を96穴エライサプレートに1穴当たり100μL加え、インターロイキン12p40と結合したビオチン化標識ヤギ抗マウスインターロイキン12IgG抗体と結合させた。洗浄後、過酸化水素0.006%とオルトフェニレンジアミン0.1%を含有するリン酸緩衝液を1穴当たり100μL加え、室温で10分間反応させた後、1.5N硫酸で反応を停止させた。マイクロプレートリーダーで吸光度492nmを測定し、リコンビナントインターロイキン12で作成した標準曲線から、培養上清中のインターロイキン12の濃度を求めた。表1にその結果を示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004121073
表1から明らかなごとくラクトバチルス・プランタラムL−137菌体粉末は、マウス脾臓リンパ球からのインターロイキン12の産生を大幅に上昇させた。
【0037】
<試験例2>
本発明では、乳酸菌の免疫賦活作用が、炊飯時の熱履歴により損失することがないことを確かめる必要がある。そこで、乳酸菌による免疫賦活作用の熱安定性を検討した。すなわち、乳酸菌を加熱処理し、その乳酸菌によるマウス脾臓リンパ球のインターロイキン12産生反応誘導効果を検証した。乳酸菌は実施例1で得られたラクトバチルス・プランタラムL−137菌体粉末を使用した。マウス(BALB/c、雌、15週齢)から無菌的に脾臓を摘出し、RPMI1640培地中で脾臓を押しつぶし、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を5×10/mLの濃度にRPMI1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴当たり100μLを播種した。ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体は、リン酸緩衝液で1mg/mLに調製後、湯浴中100℃で・20分間、もしくは100℃で30分間、もしくは100℃で40分間の加熱処理を行った後、RPMI1640培地でそれぞれ1μg/mLに希釈して調製し、1穴当たり100μLで加えた。37℃の5%炭酸ガス培養器内で24時間培養し、培養後の培養上清をインターロイキン12p40のエンザイムイムノアッセイで測定した。エンザイムイムノアッセイは、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体(Genzyme 社製)をホウ酸緩衝液で1μg/mLに調製した溶液を、96穴エライサプレートに1穴当たり50μL加え37℃で1日間放置し、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体を各穴に付着させたプレートを用いて行った。
【0038】
培養上清を1穴当たり50μL加え室温で90分間放置し、培養上清中のインターロイキン12p40をプレートに付着したラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体と結合させた。洗浄後ビオチン化標識したヤギ抗マウスインターロイキン12IgG抗体(R&D system,inc. 社製)をホウ酸緩衝液で0.1μg/mLに調製した溶液を、96穴エライサプレートに1穴当たり100μL加え、プレートに結合させたインターロイキン12p40と結合させた。洗浄後ホウ酸緩衝液で1000倍希釈したアビジン−HRP(BD PharMingen 社製)を96穴エライサプレートに1穴当たり100μL加え、インターロイキン12p40と結合したビオチン化標識ヤギ抗マウスインターロイキン12IgG抗体と結合させた。洗浄後、過酸化水素0.006%とオルトフェニレンジアミン0.1%を含有するリン酸緩衝液を1穴当たり100μL加え、室温で10分間反応させた後、1.5N硫酸で反応を停止させた。マイクロプレートリーダーで吸光度492nmを測定し、リコンビナントインターロイキン12で作成した標準曲線から、培養上清中のインターロイキン12p40の濃度を求めた。表2にその結果を示す。
【0039】
【表2】
Figure 2004121073
表2から明らかなごとく、40分間、100℃で加熱処理してもラクトバチルス・プランタラムL−137菌体は、マウス脾臓リンパ球に対して、十分なインターロイキン12の産生を誘導していた。
【0040】
<試験例3>
乳酸菌を添加して米の炊飯を行い、その炊飯米に免疫賦活作用が認められるかを検討した。実施例1で得られたラクトバチルス・プランタラムL−137菌体粉末(L137として17.8%含有)を精白米に添加してから通常の炊飯を行い、得られた炊飯米のインターロイキン12産生反応、およびインターフェロンγ産生反応に対する増強効果をマウス脾臓リンパ球を用いて検証した。マウス(BALB/c、雌、12週齢)から無菌的に脾臓を摘出し、RPMI1640培地中で脾臓を押しつぶし、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を5×10/mLの濃度にRPMI1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴当たり100μLを播種した。ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体は米1合に対して100mg添加して炊飯し、炊飯後の添加米1gを10mLのリン酸緩衝液にホモジナイザーですりつぶして懸濁した後、湯浴中で100℃、10分間の加熱殺菌処理を行い、RPMI1640培地でさらに10倍希釈してサンプルとし、1穴当たり100μLで加えた。37℃の5%炭酸ガス培養器内で24時間培養し、培養後の培養上清をインターロイキン12p40、あるいはインターフェロンγのエンザイムイムノアッセイで測定した。エンザイムイムノアッセイは、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体(Genzyme 社製)、あるいはラット抗マウスインターフェロンγIgG1抗体(Endogen 社製)をホウ酸緩衝液で1μg/mL、または2μg/mLにそれぞれ調製した溶液を、96穴エライサプレートに1穴当たり50μL加え37℃で1日間放置し、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体、あるいはラット抗マウスインターフェロンγIgG1抗体を各穴に付着させたプレートを用いて行った。
【0041】
培養上清を1穴当たり50μL加えて室温で90分間放置し、培養上清中のインターロイキン12p40、あるいはインターフェロンγをプレートに付着したラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体、あるいはラット抗マウスインターフェロンγIgG1抗体と結合させた。このプレートを洗浄後、ビオチン化標識したヤギ抗マウスインターロイキン12IgG抗体(R&D system,inc. 社製)、あるいはビオチン化標識したラット抗マウスインターフェロンγIgG1抗体(Endogen 社製)をホウ酸緩衝液で0.1μg/mL、または0.5μg/mLにそれぞれ調製した溶液を、96穴エライサプレートに1穴当たり100μL加え、プレートに結合させたインターロイキン12p40、あるいはインターフェロンγと結合させた。洗浄後ホウ酸緩衝液で1000倍希釈したアビジン−HRP(BD PharMingen 社製)をそれぞれ96穴エライサプレートに1穴当たり100μL加え、インターロイキン12p40、あるいはインターフェロンγと結合したビオチン化標識ヤギ抗マウスインターロイキン12IgG抗体、あるいはビオチン化標識ラット抗マウスインターフェロンγIgG1抗体と結合させた。洗浄後、過酸化水素0.006%とオルトフェニレンジアミン0.1%を含有するリン酸緩衝液を1穴当たり100μL加え、室温で10分間反応させた後、1.5N硫酸で反応を停止させた。マイクロプレートリーダーで吸光度492nmを測定し、リコンビナントインターロイキン12、あるいはリコンビナントインターフェロンγで作成した標準曲線から、培養上清中のインターロイキン12p40、あるいはインターフェロンγの濃度を求めた。なお、同様の操作で2回炊飯し、それぞれサンプル1、サンプル2として示した。表3にその結果を示す。
【0042】
【表3】
Figure 2004121073
表3から明らかなごとくラクトバチルス・プランタラムL−137菌体添加米は、無添加米(通常の炊飯米)と比較して、マウス脾臓リンパ球からのインターロイキン12p40、あるいはインターフェロンγ産生を大幅に上昇させた。
【0043】
<試験例4>
乳酸菌の米に対する添加量を検討するため、実施例1で得られたラクトバチルス・プランタラムL−137菌体粉末(L137として17.8%含有)を用いて検討を行った。実施例1の菌体粉末を種々の濃度で精白米に添加してからそのまま炊飯して、ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体添加米のインターロイキン12産生反応に対する増強効果をマウス脾臓リンパ球を用いて検討し、有効添加濃度を検証した。マウス(BALB/c、雌、12週齢)から無菌的に脾臓を摘出し、RPMI1640培地中で脾臓を押しつぶし、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を5×10/mlの濃度にRPMI1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴当たり100μlを播種した。ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体粉末は米1合に対して0、0.1、1、10、100mgでそれぞれ添加して炊飯し、炊飯後の添加米1gを10mlのリン酸緩衝液にホモジナイザーですりつぶして懸濁した後、湯浴中で100℃、10分間の加熱殺菌処理を行い、RPMI1640培地でさらに10倍希釈してサンプルとし、1穴当たり100μlで加えた。37℃の5%炭酸ガス培養器内で24時間培養し、培養後の培養上清をインターロイキン12p40のエンザイムイムノアッセイで測定した。エンザイムイムノアッセイは、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体(Genzyme 社製)をホウ酸緩衝液で1μg/mlに調製した溶液を、96穴エライサプレートに1穴当たり50μl加え37℃で1日間放置し、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体を各穴に付着させたプレートを用いて行った。
【0044】
培養上清を1穴当たり50μl加え室温で90分間放置し、培養上清中のインターロイキン12p40をプレートに付着したラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体と結合させた。洗浄後ビオチン化標識したヤギ抗マウスインターロイキン12IgG抗体(R&D system,inc. 社製)をホウ酸緩衝液で0.1μg/mlに調製した溶液を、96穴エライサプレートに1穴当たり100μl加え、プレートに結合させたインターロイキン12p40と結合させた。洗浄後ホウ酸緩衝液で1000倍希釈したアビジン−HRP(BD PharMingen 社製)を96穴エライサプレートに1穴当たり100μl加え、インターロイキン12p40と結合したビオチン化標識ヤギ抗マウスインターロイキン12IgG抗体と結合させた。洗浄後、過酸化水素0.006%とオルトフェニレンジアミン0.1%を含有するリン酸緩衝液を1穴当たり100μl加え、室温で10分間反応させた後、1.5N硫酸で反応を停止させた。マイクロプレートリーダーで吸光度492nmを測定し、リコンビナントインターロイキン12で作成した標準曲線から、培養上清中のインターロイキン12p40の濃度を求めた。表4にその結果を示す。
【0045】
【表4】
Figure 2004121073
表4から明らかなごとくラクトバチルス・プランタラムL−137菌体(L137として17.8%含有)を白米一合に対して0.1mg以上添加することで、マウス脾臓リンパ球からのインターロイキン12p40産生を大幅に上昇させた。したがって、乳酸菌がラクトバチラス・プランタラムL−137のときは米1合に対して菌体として約0.02mg以上を使用すれば活性は充分得られると考えられた。
【0046】
<試験例5>
本発明によると、例えば炊飯米に免疫賦活作用を付加するために乳酸菌を添加してから炊飯を行うが、乳酸菌あるいはその製剤を添加することにより炊飯米の食味などに著しく影響を与えないほうが好ましい。そこで、実施例1で得られたラクトバチラス・プランタラムL−137粉末を添加して米を炊飯し、得られた炊飯物の食味について、下記の通りに評価試験を行った。
評価試験は、精白米の炊飯物とラクトバチルス・プランタラムL−137菌体粉末を添加し炊飯した炊飯物(添加量:20mg/米1合)との比較により実施した。パネラーは20代から50代の男女計13名で行った。炊飯物Aを精白米の炊飯物、炊飯物Bをラクトバチルス・プランタラムL−137菌体粉末添加炊飯物とし、評価は炊飯物Aと炊飯物Bとの一対比較で「かなり良い」(2点)、「やや良い」(1点)、「同じ」(0点)で、炊飯物B側を+とした。評価項目は味、香り、食感の3項目で実施した。
【0047】
【表5】
Figure 2004121073
表中、tは検体統計量を示す。関連2群間の差を1標本t検定法により検定した。すなわち、次式;t=d・√n/s(式中、dは平均点、nは群数、sは標準偏差を表す。)により算出される検定統計量tを、t分布表から求められる両側確立5%の値と比較することにより、有意水準5%として有意義検定を行った。
【0048】
表5において、味、香りならびに食感のいずれにおいても|t|<t(n−1,α)であり、精白米の炊飯物とラクトバチルス・プランタラムL−137菌体添加炊飯物との間に有意な差は認められなかった。これらの結果から明らかなように、ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体添加による炊飯物の食味への影響は見られなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、免疫賦活作用を有する炊飯用組成物が提供される。具体的には、乳酸菌またはその処理物を有効成分とすることを特徴とする炊飯用組成物が提供される。本発明の炊飯用組成物は、日常の炊飯時に添加することにより、炊飯物に対し食味に実質的な影響を与えることなく免疫賦活作用を強化することが可能である。すなわち、本発明によれば、日常的な食品の形状のまま摂取するという極めて簡便な方法かつ継続的摂取が可能な方法で、安全かつ安定な生体防御機構の正常化への是正およびその維持が可能となる。

Claims (7)

  1. 乳酸菌またはその処理物を有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活作用を有する炊飯用組成物。
  2. 乳酸菌が、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属もしくはエンテロコッカス (Enterococcus)属に属する菌、またはそれらの混合菌である請求項1記載の組成物。
  3. 乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)である請求項1記載の組成物。
  4. 乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plantarum L−137)である請求項1記載の組成物。
  5. 乳酸菌またはその処理物を有効成分として含有する組成物を炊飯時に添加することを特徴とする免疫賦活作用が強化されている炊飯穀類を製造する方法。
  6. 乳酸菌またはその処理物を含有することを特徴とする免疫賦活作用を有する炊飯穀類。
  7. 乳酸菌またはその処理物の、炊飯穀物に免疫賦活作用を付与するための使用。
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