JP2004119786A - 基板処理装置及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バルブの切替えによらず、反応物又は非反応物を高速で切替えることができるようにする。
【解決手段】反応室1内で基板3を支持台6に支持させ、基板3の外周にプレート11を載置して、基板3上にガス流を形成するように構成する。基板支持台6は回転機構40により回転する。反応室1内に常時反応物または非反応物を給する複数の供給口を設ける。第2の供給口7は第2の反応物を、第1の供給口8は第1の反応物を供給する。第2の供給口7と第1の供給口8との間に反応室1内に非反応物を供給する第3の供給口9、10を設ける。また、支持台6全周からガスを排気する排気通路35を設ける。各供給口7〜10は反応室1内で、基板表面の外側の排気通路35に向かって反応物または非反応物を供給するよう配置される。プレート11は、一方の反応物供給口7と対面するときは他方の反応物供給口8とは対向しない非円形をしており、その回転により、基板面外から基板面内への反応物の切替えを行えるように構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】反応室1内で基板3を支持台6に支持させ、基板3の外周にプレート11を載置して、基板3上にガス流を形成するように構成する。基板支持台6は回転機構40により回転する。反応室1内に常時反応物または非反応物を給する複数の供給口を設ける。第2の供給口7は第2の反応物を、第1の供給口8は第1の反応物を供給する。第2の供給口7と第1の供給口8との間に反応室1内に非反応物を供給する第3の供給口9、10を設ける。また、支持台6全周からガスを排気する排気通路35を設ける。各供給口7〜10は反応室1内で、基板表面の外側の排気通路35に向かって反応物または非反応物を供給するよう配置される。プレート11は、一方の反応物供給口7と対面するときは他方の反応物供給口8とは対向しない非円形をしており、その回転により、基板面外から基板面内への反応物の切替えを行えるように構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より薄膜の形成には、真空蒸着、分子線エピタキシー、化学気相蒸着(CVD)などの方法が用いられているが、これに代わって原子層堆積(ALD)法と称される方法が用いられるようになってきた。このALD法においては、反応室に少なくとも2つ以上の反応物を交互に供給し、その交互に供給する間に、余分な反応物や副生成物を取り除くために非反応性物を供給して、基板上に薄膜を形成させるのが一般的である。
【0003】
例えば、2つの反応性ガスを供給する場合には、次のようなステップで基板上に薄膜を形成させる。
(1)まず反応性ガスAを反応室に供給して、基板表面に反応性ガスA原料を1原子単位で吸着させる。
(2)吸着させた後、反応室内の余分な反応性ガスAを取り除くために非反応性ガスを供給する。
(3)つぎに、反応性ガスBを反応室に供給して、基板表面に吸着している反応性ガスA原料と表面反応を起こさせ、基板表面に薄膜の1原子層を形成させる。
(4)つづいて、余分な反応性ガスBおよび反応副生成物を取り除くために非反応性ガスを供給する。
【0004】
この(1)〜(4)のステップを1サイクルとして、所定の膜厚に達するまで、複数サイクルの処理を行う。決められたある条件においては、1サイクルで形成される膜厚は決まっており、要求される時間内に所望の膜厚を形成するためには、要求される時間内に必要なサイクル数の処理を行うことが必要になってくる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
要求される時間内に必要なサイクル数を行うためには、1サイクルあたりの時間が必然的に決まってくるが、生産に関する経済性を満足する時間あたりの成膜可能枚数、つまりスループットを達成するには、1サイクルに要する時間が例えば1秒以内であることを要求される場合がある。この場合、上記、反応性ガスA、Bおよび非反応性ガスは、4分の1秒毎に切替えて反応室に供給しなければならない。また、反応室を真空引きするためのポンプは、先の4分の1秒の間に供給されたガスを、次の4分の1秒の間に完全に引ききらなければならない。さらに、フィードバック制御のために応答性の悪い流量制御コントローラ(MFC)を用いて流量も調整する必要がある。
【0006】
そのため、反応物や非反応物を給排制御するMFC、開閉バルブ、ポンプなどから構成される給排機構の応答時間は、4分の1秒よりもはるかに短くなければならないが、一般的な給排機構では、応答時間は速いものでは10分の1秒のものもあるが遅いと1秒近いものもあるので、要請される応答時間を達成するためには、特殊な給排設備を準備しなければならない。
【0007】
また、特殊な給排設備が準備できたとしても、1サイクルで成膜される膜厚がALD法においては1原子層であるので、所望の膜厚に達するまでのバルブ切替え回数が多くなり、計算によれば、バルブの動作寿命が数百万回としても、一般的な製造システムの稼働率から、その寿命日数は100日程度であることがわかっており、一般的に要求されている故障時間間隔、つまり、MTBF=1年を達成できない。
【0008】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解消して、バルブの切替えによらず、反応物又は非反応物を切替えることが可能な基板処理装置及び半導体製造装置の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、反応物又は非反応物を高速に切替えることが可能な基板処理装置及び半導体製造装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、基板を処理する反応室と、前記反応室内で前記基板を支持する支持台と、前記基板の周囲に載置されるプレートと、基板支持台上の基板と前記プレートとを回転させる回転機構と、前記反応室内に反応物を供給する複数の反応物供給口と、前記複数の反応物供給口の間に設けられ前記反応室内に非反応物を供給する複数の非反応物供給口と、前記支持台に支持される基板の面外となる支持台の周囲に設けられて前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を排気する排気通路とを備えた基板処理装置であって、前記複数の反応物供給口及び前記複数の非反応物供給口は、共に前記反応室内で前記支持台に支持される基板の面外に対して前記反応物又は前記非反応物を供給するよう構成されるものであり、前記プレートは、プレートの回転中心に対して非対称に形成されるものであることを特徴とする基板処理装置である。ここで前記プレートは、前記支持台の周囲に設けられた排気通路を部分的に遮ることが可能なようにプレートの回転中心に対して非対称に形成され、前記プレートの回転により、排気通路を部分的に遮ることで前記反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えることが可能なように構成されるものであることが好ましい。
【0010】
回転中心に対して外形が非対称に形成されたプレートを回転させると、基板の面外に供給されていた反応物又は非反応物が、プレートの回転にともなって面内に供給されるようになる。したがって、反応物供給口及び非反応物供給口から反応物又は非反応物を連続供給した状態で、バルブを用いずに、反応物又は非反応物の基板面外から基板面内への切替え供給ができる。また、プレートを高速回転させることで、反応物又は非反応物の高速切替え供給が可能となる。
【0011】
第2の発明は、基板を処理する反応室と、前記反応室内で前記基板を支持する支持台と、前記基板の周囲に載置されるプレートと、前記支持台上の基板と前記プレートとを回転させる回転機構と、前記反応室内に反応物を供給する複数の反応物供給口と、前記複数の反応物供給口の間に設けられ前記反応室内に非反応物を供給する複数の非反応物供給口と、前記支持台の周囲に設けられて前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を排気する排気通路とを備えた基板処理装置であって、前記プレートは、プレートの回転により、前記複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から反応室内に供給される反応物を前記支持台上に支持される基板の面内に供給し、前記複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から反応室内に供給される反応物を前記基板支持台上に支持される基板の面外に供給することが可能なように構成されるものであることを特徴とする基板処理装置である。
【0012】
プレートを回転機構によって回転させると、プレートの回転にともなって、複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から供給される反応物が、支持台上に支持される基板の面内に供給され、複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から供給される反応物が、基板支持台上に支持される基板の面外に供給される。したがって、反応物供給口及び非反応物供給口から反応物又は非反応物を連続供給した状態で、バルブを用いずに、反応物又は非反応物の基板面外から基板面内への切替え供給ができる。また、プレートを高速回転させることで、反応物又は非反応物の高速切替え供給が可能となる。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、各反応物供給口と前記支持台との間に、非反応物を供給する第2の非反応物供給口を設けたことを特徴とする基板処理装置である。ここで、前記各反応物供給口と前記支持台との間に、基板の面内に供給されたのち、前記排気通路より排気される反応物と、基板の面内に供給されずに基板の面外から直接前記排気通路より排気される反応物との前記支持台の周囲での混合を防止するために、非反応物を供給する第2の非反応物供給口を設けることが好ましい。各反応物供給口と前記支持台との間に設けた第2の非反応物供給口から非反応物を供給すると、複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から基板の面内に供給されたのち排気通路より排気される反応物と、複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から基板の面内に供給されずに基板の面外から直接排気通路より排気される反応物とが、支持台の周囲で混合されようとしても、両反応物間に非反応物のバリアが形成されるので、反応物の混合を防止して反応を起こさないようにすることができる。
【0014】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記反応物供給口を前記基板の表面より下方に設け、前記プレートを該プレートと前記基板の表面より下方に設けた反応物供給口とが干渉しないような構成としたことを特徴とする基板処理装置である。反応物供給口を前記基板の表面より下方に設けると、複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から基板の面内に供給されたのち排気通路より排気される反応物と、複数の反応物供給口のうちの他部の反応物供給口から基板の面内に供給されずに基板の面外から直接排気通路より排気される反応物とが、支持台の周囲で混合して異物(パーティクル)を発生しても、発生場所が基板表面より下方になるので、基板表面への異物の付着を低減できる。また、プレートを、該プレートと基板の表面より下方に設けた反応物供給口とが干渉しないような構成としたので、プレートの円滑な回転を確保できる。なお、プレートと反応供給口とが干渉しないような構成としては、例えばプレートの外周を折り曲げたり、プレートの外周に凹部を設けたりすることができる。
【0015】
第5の発明は、反応室内に設けた回転可能な支持台上に基板を支持し、前記基板の周囲に、回転中心に対して外形が非対称に形成されたプレートを載置し、複数の反応物供給口、及び該複数の反応物供給口の間に設けられた複数の非反応物供給口から、反応物及び非反応物を前記基板の面外に対してそれぞれ供給し、前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を、前記支持台に支持される基板の面外となる支持台の周囲に設けられた通路であって、前記プレートによって部分的に遮られることが可能な排気通路から排気し、前記プレートの回転により、前記反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えるようにした半導体装置の製造方法である。ここで、前記支持台を回転させて、前記基板の外周に載置された前記非対称に形成されたプレートの回転により、前記支持台の周囲に設けられた排気通路を部分的に遮ることで、前記反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えるようにすることが好ましい。
【0016】
回転中心に対して外形が非対称に形成されたプレートを回転させると、基板の面外に常時供給されている反応物又は非反応物が、プレートの回転にともなって基板の面内に切替え供給されるようになる。したがって、反応物供給口及び非反応物供給口から反応物又は非反応物を常時供給した状態で、バルブを用いずに、反応物又は非反応物の基板面外から基板面内への切替え供給ができる。また、プレートを高速回転させることで、反応物又は非反応物の高速切替え供給が可能となる。
【0017】
第6の発明は、第1ないし第5の発明において、前記プレートが次のような種々の形状、構造または機能を有するものとして構成したものである。
例えば、プレートの形状は、外径を非円形としたり、回転中心とプレートの重心が一致しない形状としたり、さらには回転中心からプレート外周までの距離が一定ではない周辺を有する非対称な形とすることができる。また、プレートの形状は、一つまたは一部の反応物供給口と対面するときはその他の反応物供給口と対面しない形状とする。また、反応物、非反応物の区別なく、一つまたは一部の供給口と対面するときはその他の供給口と対面しない形状とすることができる。又は、一つまたは一部の反応物供給口からの反応物の流れを基板に向けるときはその他の反応物供給口からの反応物の流れを基板に向けない形状とすることもできる。さらには、反応物、非反応物の区別なく、一つまたは一部の供給口からの反応物又は非反応物の流れを基板に向けるときはその他の供給口からの反応物又は非反応物の流れを基板に向けない形状とすることもできる。
【0018】
第7の発明は、第1ないし第6の発明において、前記プレートに反応物及び非反応物を案内する側壁を設けることを特徴とする。前記プレートに側壁を設けるようにしたので、反応物及び非反応物を基板面内に確実に案内することができる。
【0019】
第8の発明は、第1ないし第7の発明において、反応物供給口又は/及び非反応物供給口又は/及び反応物供給口と支持台との間に設けた非反応物を供給する供給口に、複数の小孔を設けたことを特徴とする。各供給口に複数の小孔を設けるようにしたので、各供給口から供給する反応物又は非反応物を均一に反応室内に供給できる。
【0020】
第9の発明は、第1ないし第8の発明において、反応物供給口が2つ又は3つ設けられることを特徴とする。反応物供給口が2つ設けられていると2種類の反応物を交互に供給できる。また、反応物供給口が3つ設けられていると、3種類の反応物をサイクリックに供給できる。
【0021】
第10の発明は、第1ないし第9の発明において、プレートを断続的に回転させることを特徴とする。プレートを断続的に回転させるようにすると、反応物又は非反応物の基板面内に対する供給時間を任意に制御できる。
【0022】
第11の発明は、第1ないし第10の発明において、基板に対するプレートの回転速度または回転方向を異ならせることを特徴とする。基板に対するプレートの回転速度または回転方向を異ならせることにより、反応物又は非反応物を基板に対してより均一に供給することができる。
【0023】
第12の発明は、第11の発明において、基板に対するプレートの回転速度を遅らせる、または基板の回転方向と反対方向にプレートを回転することを特徴とする。基板に対するプレートの回転速度を遅らせたり、基板の回転方向と反対方向にプレートを回転させたりすることにより、反応物又は非反応物を基板に対してより均一に供給することができる。
【0024】
第13の発明は、第1ないし第12の発明において、プレートの回転に連動して少なくとも反応物の供給量を制御することを特徴とする。プレートの回転に連動して反応物の供給量を制御することにより、反応物の使用量を調整することができる。
【0025】
第14の発明は、第13の発明において、プレートが反応物供給口と対面せずに反応物が基板面外に供給されるときの反応物の流量を、プレートが反応物供給口と対面して反応物が基板面内に供給されるときの反応物の流量よりも少なくなるよう制御することを特徴とする。基板処理に寄与しないときの反応物の流量を、基板処理に寄与するときの反応物の流量よりも少なくするように制御すると、反応物の使用量を節約することができる。
【0026】
第15の発明は、第1ないし第14の発明において、少なくとも一つの反応物供給口に連通するプラズマ発生器を有し、このプラズマ発生器により少なくとも一つの反応物を活性化させて反応室に供給することを特徴とする。プラズマ発生器により反応物を活性化させて供給すると、反応物を低温で基板と反応させることができるので、処理温度を低温化できる。
【0027】
第16の発明は、第15の発明において、前記プラズマ発生器では常にArプラズマを形成しつつ反応物供給口から反応室へ供給した状態としておき、プレートがこの反応物供給口と対面して、この供給口から基板上に反応物を流すときに、Arプラズマ中に反応物を添加し反応物を活性化させて供給することを特徴とする。基板面内に供給するときのみ反応物を活性化して供給しているので、反応物を常時活性化した状態で供給している場合と比べて、基板処理に寄与しないときの反応を低減することができる。
【0028】
第17の発明は、第1ないし第16の発明において、各反応物供給口の向かい側に排気口をそれぞれ設けることを特徴とする。各反応物供給口のすぐ向かい側に排気口をそれぞれ設けることにより、反応物が基板処理に寄与しないときは、反応物を速やかに排除でき、基板処理に寄与しない不用意な反応を低減できる。
【0029】
第18の発明は、第1ないし第17の発明において、前記プレートを前記支持台に一体に設けたことを特徴とする。支持台にプレートの機能を持たせたので、構成を簡素化することできる。
【0030】
第19の発明は、第1ないし第18の発明において、基板表面より下方であって複数の反応物同士が混合する支持台の周囲領域の温度を100℃以下に保つことを特徴とする。基板表面より下方であって複数の反応物同士が混合する領域の温度を100℃以下に保つことにより、複数の反応物同士が混合しても、それらが反応することを低減できる。
【0031】
第20の発明は、第1ないし第19の発明において、前記処理とは、一つの反応物を基板上に供給して吸着させる工程と、基板上に吸着させた反応物に対して他の反応物を供給して反応を起こさせて膜を形成する工程とを複数回繰り返すことにより所望の膜厚の膜を形成する処理であることを特徴とする。基板処理が、特に反応物又は非反応物の切替え回数を要求する成膜処理であるので、反応物又は非反応物の高速切替え供給ができれば、スループットを向上できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は第1の実施の形態の基板処理装置の構成図であって、(a)は容器上板を取り去った平面図、(b)は縦断面図、図2は装置内で上下動するヒータユニットの説明図であって、(a)は待機位置を示す図、(b)は成膜位置を示す図である。図3は反応物の流れを示す装置内の説明図であって、(a)は装置の平面図、(b)は装置の縦断面図である。図4はプレートの成膜動作説明図であり、(a)〜(h)はプレートの回転角度に応じた反応物、非反応物の流れを示す図である。
【0034】
図1(b)に示すように基板処理装置は、反応室1を形成する真空容器20と、支持台としてのヒータユニット13と、ヒータユニット13に支持されるプレート11とを備える。
【0035】
真空容器20は、その反応室1に収容された基板3を処理する。真空容器20は、容器側板21と底板22と容器上板23とを備えている。容器上板23には複数の供給口7〜10が取り付けられており、各供給口7〜10は、反応室1に連通している。複数の供給口7〜10は、反応室1内に複数の反応物を供給する複数の反応物供給口7、8と、複数の反応物供給口7、8の間に設けられ反応室1内に複数の非反応物を供給する複数の非反応物供給口9、10とから構成される。各供給口7〜10は基板3の面外に対して反応物または非反応物を供給するように配置されている。また、真空容器20の底板22の中央部には、貫通孔24が設けられている。
【0036】
ここで、「反応物」という用語は、基板表面と反応することができる蒸発可能な材料を指す。実施の形態においては、2つの異なった基に属する反応物を用いる。1つは金属反応物(前者の基)であり、他の1つは非金属反応物(後者の基)である。
【0037】
「金属反応物」という用語は、金属化合物または重要な金属の反応物として使用される。適切な金属反応物、すなわち前者の基は、例えば、塩化物、臭化物および複合化合物などの冶金化合物のハロゲン化物や、金属−配位子錯体前駆物質の、当該配位子がアルキル、アルコキシド、ハロゲン、水素、アミド、イミド、アジ化物イオン、硝酸銀、シクロペンタジニエル、カルボニル、並びにそれらのフッ素、酸素および窒素置換類似物からなる群より選ばれる組成物である。
【0038】
「非金属反応物」という用語は、金属化合物に反応することが可能な化合物および要素を指す。後者の基は、通常、水、酸素、アンモニアでよいが、時には何らかの方法で活性化されたラジカルやイオンの場合もある。また、後者の基も、「反応物」という言葉を使用するが、実際には前者の基と反応を起こさないが、前者の基の自己分解反応にエネルギーを与えるものでも良い。例えば、プラズマなどで活性化された希ガスや不活性ガスの場合もある。
【0039】
実施の形態において、「非反応物」という用語は、反応室1に供給されて、基板に吸着した反応物以外の不要な反応物を取り除く場合や、二つの異なった基の反応物が基板の面内以外の場所で混ざり合い反応するのを防ぐために用いられる。この非反応物には、窒素ガスおよび希ガスなどの不活性ガスが用いられる。
【0040】
真空容器20は上容器部25と下容器部26とにより構成されている。それに対応して容器側板21も上容器部25の容器上側板21aと下容器部26の容器下側板21bとから構成されている。容器上側板21aには排気口2が設けられており、下容器26には基板搬入出口4が設けられている。容器下側板21bの内壁と容器上側板21aの内壁とは共に上下方向に連続して延在している。容器下側板21bの内壁の方が容器上側板21aの内壁よりも真空容器20の内側に設けられている。容器上側板21aの内壁よりも内側に突出する容器下側板21bの内壁の上面部分が段差部27となっている。段差部27は平面視的にみた場合には略環状となっている。
【0041】
ヒータユニット13は、反応室1内に設けられ、基板3を支持する。ヒータユニット13は、中空状のユニット本体30と中空回転軸15とを備えている。ユニット本体30は、基板3を支持するサセプタ6と、サセプタ6を支持するサセプタ支持部材31とから構成される。サセプタ6は、基板3を保持するとともに加熱源であるヒータ5からの熱を基板3に伝える役割を果たすとともに、カバープレート11を保持する役割も果たす。サセプタ支持部材31は、支持部材側板31aと支持部材底板31bとを備えており、支持部材側板31aによってサセプタ6が支持されている。ユニット本体30内のサセプタ6の下方にはヒータ5及びリフレクタ12が設けられており、サセプタ6を介して基板3を加熱できるようになっている。中空回転軸15は、サセプタ支持部材31に取り付けられてユニット本体30を支持する。ユニット本体30の支持部材側板31aは上下方向に連続して延在して設けられている。中空回転軸15は、真空容器20の底板22の貫通孔24内に鉛直方向に挿通されている。
【0042】
ヒータユニット13は、図1(b)におけるヒータ5、サセプタ6、リフレクタ12、およびサセプタ支持部材31等を含んだ加熱機構全体を示す。
【0043】
真空容器20の外部に、中空回転軸15を介してヒータユニット13を回転させる回転機構40が設けられている。回転機構40は、サセプタ6上の基板3とカバープレート11を回転させる。また、ヒータユニット13を上下動させる昇降機構(図示せず。)も設けられている。回転機構40は、ヒータユニット13内に固定されたヒータ5の熱分布を均一化するとともに、基板面内(基板表面ともいう)を流れる反応物および非反応物が均一に基板表面にわたるようにするため回転可能部分を回転させる。ここで回転可能部分とは、ヒータユニット13を構成する要素のうち、ヒータ5、リフレクタ12を除く、サセプタ6、サセプタ支持部材31、中空回転軸15、およびカバープレート11である。回転機構40は、ここでは詳しく述べないが、真空隔壁モータなどで構成される。基板表面で異なる二つ以上の反応物が、1回転につき1回、基板表面上で成膜反応し、1原子層の薄膜が形成される。したがって回転速度は、速ければ時間あたりの反応回数が増え、成膜速度が増加してスループットが向上する。しかし、速すぎると成膜反応が十分に起こらなくなるため、適切な速度以下でなければならない。
【0044】
ヒータユニット13に基板受渡しのためのピン14が複数本(図示例では便宜的に1本だけ示されている)設けられる。ピン14は、サセプタ6、ヒータ5、リフレクタ12及び支持部材底板31bに設けられた貫通孔32内を貫通し得るように設けられている。
【0045】
カバープレート11は、反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ、又は基板面内から基板面外へ切替えるスイッチの役割を果たす。カバープレート11は、長径部と短径部とを有する外径が非対称のリングで構成される。常時は反応物又は非反応物を基板面外に供給しているが、回転中心34を回転軸として回転させることにより、基板面外に供給されている反応物又は非反応物を、長径部で遮るとともに、遮られた反応物又は非反応物を長径部で方向転換させて基板面内に誘導する。
【0046】
このカバープレート11は、サセプタ6上に載置されるとともに基板3面内(に反応物又は非反応物の流れを形成することが可能なように構成される。カバープレート11は、ヒータユニット13のサセプタ6の周囲部上にサセプタ6から張り出して支持される。カバープレート11は略環状となっており、その環状穴の中にサセプタ6に支持される基板3がちょうど納まるようになっている。カバープレート11は例えばセラミックスで構成される。カバープレート11の厚さは、図示例では基板3よりも若干薄くなっているが、基板の厚さと同じ、または基板よりも厚くてもよい。
【0047】
カバープレート11は、これを回転させることにより、基板外周の排気コンダクタンスを変化させて、反応物又は非反応物を所定方向に誘導するために、その外径が非対称、例えば非円形で構成されている。図1(a)に示すように、カバープレート11は、楕円形の一部分を切り取ったような形状をしている。これは、二つ以上の反応物供給口7、8および二つ以上の非反応物供給口9、10から供給される反応物又は非反応物のうち、1つ又は2つの供給口から供給された反応物又は非反応物だけがカバープレート11面に接触するような形状に工夫されているためである。
【0048】
図1(a)に示すように、カバープレート11は平面視でリング状をしており、中に基板3が納まる円形の穴54が形成されている。カバープレート11は、その外形が基板3ないしカバープレート11の回転中心34に対して非対称形をして構成されている。非対称のカバープレート11は、半円状の短径部51と、円弧状の長径部52と短径部51及び長径部52をつなぐ直状部53とから構成される。短径部51は、基板3の回転中心34からの距離が最も短い部分であり、その外径がサセプタ6の外径よりも若干大き目に形成される。長径部52は、基板3の回転中心34からの距離が最も長い部分であり、短径部51と反対側に位置して、その外径が容器上側板21aの内壁の径よりも若干小さ目に形成され、径方向に幅広になっている。直状部53は、長径部52と短径部51とをつないでいる。
【0049】
容器上側板21aの内壁とカバープレート11との間に形成される隙間は、基板面外となるヒータユニット13の周囲に設けられた環状排気通路35への開口33を構成する。この開口33の幅は、カバープレート11の外周に沿って変化し、基板外周の排気コンダクタンスを変化させる。短径部51と容器上側板内壁との間の開口部分は、その幅が最も広く、したがって排気コンダクタンスが大きく、カバープレート11より下方への反応物又は非反応物の流れを許容する。長径部52と容器上側板内壁との間の開口部分は、その幅が最も狭く、排気コンダクタンスが小さく、カバープレート11より下方への反応物又は非反応物の流れを規制する。直状部53と容器上側板内壁との間の開口部分は、カバープレート11より下方への反応物又は非反応物の流れを許容するが、その幅が短径部51の場合よりも小さくなり、排気コンダクタンスも小さいので、反応物又は非反応物がカバープレート11表面に沿って直状部53または短径部51に向かう場合には、反応物又は非反応物はコンダクタンスのより大きい短径部51側に誘導される。
【0050】
長径部52は基板面外への流れを遮り、基板面内への流れに切り替える。また、短径部51及び直状部53は、基板面外への流れを許容する。基板面外に向かう反応物又は非反応物の進路を遮ることになる長径部52は、回転中心34から見て、その両側エッジ間の角度に広がりを持っている(図示例の場合、110°に設定されている)。したがって、カバープレート11の回転により長径部52の一端が各供給口7〜10に差し掛かってから、長径部52の他端のエッジまで回転移動する間、各供給口7〜10は長径部52と対面することになり、基板面外への流路が塞がれて、各供給口から供給される反応物又は非反応物は、基板面内に誘導されことになる。図示例の場合、長径部52のエッジ間の角度は供給口間の角度90°よりも大きいので、長径部52は隣り合う供給口7〜10から基板面外への進路を同時に塞ぐことになり、進路を塞がれた隣り合う2つの供給口からの反応物及び非反応物は基板面内に同時に誘導されることになる。
【0051】
図1(a)に示すように、反応室1において各供給口7〜10は、短径部51の外側位置から基板3の回転中心34までを半径とする、基板3の回転中心34の同心円上に配置されることが望ましい。短径部の外側位置とは、基板3の回転中心34からの距離が最も短いカバープレート11の短径部51の外側であって、かつ基板3の回転中心34からの距離が最も長いカバープレート11の長径部52の内側に来る位置である。また、各供給口7〜10のうちの、二つの反応物供給口7、8は、その同心円上において同じ間隔になるように配置されることが望ましい。
【0052】
また、反応室1には、排気バッファとなる排気通路35が形成される。この排気通路35は、カバープレート11と、容器上側板21a内壁と、ヒータユニット13の支持部材側板31a内壁と段差部27とで囲まれた環状空間で構成される。したがって、供給口7〜10から反応室1に供給された反応物又は非反応物は、供給口7〜10から排気通路35への流路がカバープレート11に遮られずに連通したときは、排気通路35を経由して排気口2から排気される。その連通が断たれたときは、反応物又は非反応物は、進路を変更されてカバープレート11上から基板3面内を迂回して流れた後、反対側の排気通路35を経由して排気口2から排気される。
【0053】
図2に示すように、ヒータユニット13は、白抜き矢印で示すように、最下限位置D1、基板受渡し位置D2、カバープレート受渡し位置D3、および成膜位置D4に移動し、各位置において、成膜のために必要な次の動作を行う。
【0054】
まず、図2(a)に示す待機位置である最下限位置D1にヒータユニット13を降ろし、ロボットアーム等(図示せず)により外部から基板搬送口4を介して反応室1に基板3を搬入する。この際、ロボットアーム等を下方に降ろすと、ヒータユニット13に取り付けられている基板受渡しのためのピン14に基板3が移載保持される。なお、ピン14を使用せず、外周保持のためのリング等により、基板を保持してもよい。
【0055】
次に、図示しないロボットアームを反応室1から取り出し、ヒータユニット13を上方に動かすことにより、基板受渡し位置D2に移動すると、基板3はピン14からヒータユニット13の上に移載保持される。さらにヒータユニット13を上方に動かすと、カバープレート受渡し位置D3の段差部27に保持されていたカバープレート11がヒータユニット13上に載置される。この状態でヒータユニット13をさらに上方の成膜位置D4まで移動する。図2(b)にヒータユニットが成膜位置D4に移動した状態を示す。
【0056】
この成膜位置D4で成膜が行われる。カバープレート11を回転することによって、反応室1に2つの反応物AとBとを交互に供給し、その交互に供給する間に、余分な反応物や副生成物を取り除くために非反応物を供給して、基板3上に薄膜を形成させる。上記反応物A、B、及び非反応物は、常時は基板面外から垂直方向下方へ供給されて、排気通路35を通してそのまま排気口2から排気される。反応物A、B、及び非反応物の基板面内への切替え供給は、カバープレート11によって交互に行なわれる。例えば、反応物Bの場合について図3を用いて説明すると、反応物供給口7から垂直方向下方へ供給される反応物Bは、カバープレート11に接触して流れの向きを水平方向に変えられる。太矢印で示すように、基板3面内に供給され、基板3を横切り、コンダクタンスの大きな反対側の反応物供給口8側に流れ、排気通路35を通して排気口2から排気される。他の反応物A、非反応物は、基板面外から直接排気口2へ排気される。
【0057】
成膜が終了すると、図2(a)に示すように、ヒータユニット13を下方へ移動させる。移動途中で、カバープレート受渡し位置D3の段差部27に、カバープレート11を保持させて置き去りにする。さらに下方に移動することにより、ピン14により基板3を保持させ、さらに最下限位置D1まで移動する。この最下限位置D1で、再度、ロボットアームが基板取り出しのため、基板受渡し位置D2より低い高さで反応室1に挿入される。そのアームを上方にすくい上げることにより、基板3をロボットアームに移載保持し、ロボットアームとともに基板3を反応室1から取り出す。
【0058】
次に、カバープレート11を用いた具体的な成膜法を説明する。ALD法を用いて成膜するには、まず、基板3を支持したヒータユニット13を成膜位置D4まで移動する。このとき、非反応物供給口9、10からは、非反応物が反応室1に流されている。次に、ヒータユニット13のうち回転可能部分を回転させ始める。回転速度が定常状態になったら、二つ以上の反応物供給口7、8からも反応物A、Bを交互に流し始める。そして、図4に例示された1サイクルの繰り返しにより成膜がなされる。時計回りに回転するカバープレートは45°毎((a)〜(h))の回転状態が示されている。ここでは、基板上に形成される膜種は金属酸化膜である。反応物供給口7、8から供給する反応物A、Bは、それぞれリモートプラズマ酸素(Remote Prasma Oxygen、以下RPOという)、有機金属原料(MO(Metal Organic)原料、以下単にMOと略す)とし、非反応物供給口9、10から供給する非反応物はN2ガスとする。図4に示す1サイクルは基本的には次の4つのステップ(1)〜(4)から構成される。
【0059】
(1)不要な反応物RPOの排除(図4(a)、(b)、(h))
非反応物N2ガスを基板面内に流して前回サイクルで残留した反応物RPO及び反応副生成物を基板上から排除する。
(2)MO吸着(図4(b)、(c)、(d))
反応物MOを基板面内に流して基板上にMOを吸着させる。
(3)MO排除(図4(d)、(e)、(f))
N2ガスを基板面内に流して残留した反応物MO及び反応副生成物を基板上から排除する。
(4)MOとRPOとを反応させて成膜(図4(f)、(g)、(h))
基板上に吸着されたMOとRPOとを反応させて1原子層だけ成膜させる。
以下、図4(a)〜(h)に示す45°毎の回転状態成膜動作を具体的に説明する。
【0060】
(a)に示すように、回転角0°で、プレート長径部52は第1の非反応物供給口10に対面する位置にある。第1非反応物供給口10から出て直下のサセプタ6外周の排気通路35に向かった非反応物N2は、排気通路35の手前でプレート11の長径部52に当たり排気通路35への進路を遮られる。進路を遮られた非反応物N2は、真空引きにより排気口2を介して排気通路35が常に負圧になっているので、進路を変えられ、矢印に示すようにプレート11の表面に沿って第1非反応物供給口10と対向するコンダクタンスの大きな第2非反応物供給口9側に流れる。プレート11の表面の沿って流れた非反応物N2は基板面内に供給され、基板面内を横断して基板面内上の残留物、例えば前回のサイクルで残留しているRPO(Remote Prasma Oxygen)を排除した後、開口33から排気通路35に流れ込み、排気口2から排気される。なお、このとき第2反応物供給口7、第2非反応物供給口9、及び第1反応物供給口8から出た各反応物RPO、非反応物N2、及び反応物MOは、プレート11に遮られることなく、そのまま供給口直下にある基板面外の開口33を通って排気通路35に流れ込み、排気口2から排気される。
【0061】
(b)回転角45°で、長径部52は第1非反応物供給口10と第1の反応物供給口8の両方に対面する位置に来る。このとき第1非反応物供給口10から導出される非反応物N2の基板面内への供給は維持される。また、第1反応物供給口8から基板面外に流れていた第1の反応物MOは、その流れをプレート11によって基板面内に切替えられ、基板面内に供給されて、基板面上に反応物MOを吸着させる。非反応物N2と第1反応物MOは、排気コンダクタンスの大きな第2反応物供給口7と第2非反応物供給口9との中間に位置する排気通路35に流れ込む。基板面内にMOとN2とが同時に供給されると、同一基板上にあって、MOが流れる基板上の一の部分では吸着が行なわれ、N2が供給される基板上の他の部分では残留物の排除が行なわれる。
【0062】
(c)回転角90°で、長径部52は第1反応物供給口8のみに対面する位置に来る。このとき第1反応物MOの基板面内への供給は維持され、その供給路上に来る基板上の部分へMOの吸着が継続する。第1非反応物供給口10からの非反応物N2の供給は、第1非反応物供給口10の対面部が長径部52から短径部51に変るので、基板面内から基板面外に切り替えられ、非反応物N2はプレート11に遮られることなく、そのまま供給口直下にある基板面外の排気通路35から排気される。
【0063】
(d)回転角135°で、長径部52は第1反応物供給口8と第2非反応物供給口9との両方に対面する位置に来る。これにより第1反応物供給口8からの第1反応物MOと第2非反応物供給口9からの非反応物N2が共に基板面内に供給される。MOが流れる基板上の部分でのMOの吸着が継続される。また、N2が供給される基板上の残りの部分では残留物の排除が同時に行なわれる。
【0064】
(e)回転角180°で、長径部52は第2非反応物供給口9のみに対面する位置に来る。これにより第1反応物MOの基板面内への供給は停止され、MOに代わって第2非反応物供給口9から非反応物N2が基板面内に供給され、基板面内上に残留したMO及び反応副生成物を排除する。なお、第1反応物供給口8からのMOの供給は、第1反応物供給口8の対面部が長径部52から短径部51に変ることにより、基板面内から基板面外へ切り替えられ、カバープレート11に遮られることなく、MOはそのまま第1反応物供給口直下にある基板面外の排気通路35から排気されることになる。
【0065】
(f)回転角225°で、長径部52は第2反応物供給口7と第2非反応物供給口9との両方に対面する位置に来る。これにより第2反応物供給口7からの第2反応物RPOと第2非反応物供給口9からの非反応物N2が共に基板面内に供給される。RPOが流れる基板上のMO吸着部分でRPOがMOと反応して膜を形成する。また、N2が供給される基板上の他の部分では引き続き残留物の排除が行なわれる。
【0066】
(g)回転角270°で、長径部52は第2反応物供給口7のみに対面す位置に来る。これにより第2反応物供給口7からの第2反応物RPOが基板面内に供給され、反応・成膜を継続する。
(h)回転角315°で、長径部52は第2反応物供給口7と第1非反応物供給口10との両方に対面する位置に来る。これにより第2反応物供給口7からの第2反応物RPOと第1非反応物供給口10からの非反応物N2が共に基板面内に供給される。RPOが流れる基板上のMO吸着部分では反応・成膜が継続する。また、N2が供給される基板上の他の部分では同時に残留物の排除が行なわれる。
【0067】
上述した(a)〜(h)の動作を1サイクルとして、所定の膜厚に達するまで、複数サイクルの処理を行う。ここで回転速度は、例えば、第1反応物MO供給時間を0.5秒、非反応物N2供給時間を0.5秒、第2反応物RPO供給時間を0.5秒、非反応物N2供給時間を0.5秒とし、1サイクルを2秒程度で行うようにする場合、2秒で1回転(30rpm)とするのがよい。なお、サイクル時間を縮める必要がある場合は、回転速度を速くすればよい。
【0068】
また、供給口配置、成膜原料および成膜条件は次の通りである。例えば、反応物が2種類の場合は、「反応物A」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」の順に基板表面にさらせばよいので、図1〜図4のように供給口7〜10を4つ、回転中心34を中心軸として90度毎に容器上板23の周囲に配置すればよい。この構成で、例えばハフニア(酸化ハフニウム:HfO2)を成膜する場合、反応物Aとしてテトラキスジエチルアミノハフニウム(Hf(N(C2H5)2)4:TDEAHfと略す)を、反応物Bとしてリモートプラズマ酸素(RPO)またはオゾンを、そして非反応物として窒素N2をそれぞれ用いればよい。
【0069】
反応物Bにリモートプラズマ酸素(RPO)を用いた場合の成膜条件は次の通りである。TDEAHfは、液体原料なので、別途気化器により、気化させられている必要がある。流量については、例えば、反応物Aとしては、TDEAHfを、0.1〜0.01g/minを気化させ、窒素1SLMで希釈する。反応物Bとしては、Ar:1SLMに対して、0.1SLMの酸素O2を添加したものをリモートプラズマ源(図示せず)に導入して、リモートプラズマ酸素(RPO)を発生させる。非反応物としては、二つの供給口9、10から、それぞれ1SLMのN2を流す。それぞれの流量は、反応物AおよびBの性質や、排気に用いるポンプの性能によって変わる。
【0070】
また、このときの反応室1の圧力は、反応物A、Bおよび非反応物の流量によっても変わるが、1〜1000Paが用いられる。基板3の温度は、反応物A、Bの性質によって変わるが、おおむね250〜450℃の範囲が用いられる。ALD法の場合、「反応物A」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」の1サイクルで、0.5〜1.0Åの膜厚が得られることから、1回転でこの膜厚が得られると考えてよい。ハフニア(HfO2)で構成するゲート酸化膜の場合、通常30Å程度が用いられることから、基板3を60〜30回転させることで、所望の膜厚が得られる。1時間に成膜すべき基板3の枚数は、他の工程とも関係が深いことから、ただ多ければよいわけではないが、一般的に10〜20枚/時間の生産能力があればよいといわれている。20枚/時間で考えた場合、1枚処理するのに、つまり、「反応室への基板搬送」→「昇温」→「成膜」→「降温」→「基板の取り出し」に3分の時間が使えることから、成膜までと、成膜後から基板の取り出しを経て次の基板の搬送直前までとに、それぞれ1分要したとして、成膜に要する時間に1分間を割り当てることができる場合、30〜60rpmで回転機構40を回転させればよいことになる。
【0071】
ところで、反応物が2種類ではなく3種類の場合には、図5に示すように、反応物供給口を3つ設けて、3種類の反応物を用いようにすることも可能である。反応物供給口が3つ設けられていると、3種類の反応物をサイクリックに供給できる。この場合、3つの反応物供給口37〜39は120°間隔で配置し、各反応物供給口37〜39との間に3つの非反応物供給口41〜43を120°間隔で配置するとよい。このように反応物を3種類用いる場合には、一般的には供給口は6つでよい。
【0072】
しかし、反応物を3種類用いる場合であっても、特に「反応物A」および「反応物C」が「反応物B」と成膜反応を起こすときは、「反応物A」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」→「反応物C」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」の順に、これらを基板表面にさらす必要がある。したがって、このような場合には、図6のように供給口を8つ、回転中心を中心として45度毎に容器上板23に、上記の順にしたがって配置することが好ましい。この構成で、例えば、ハフニウムシリケート(HfxSiyOZ)を成膜する場合、反応物AとしてTDEAHfを、反応物Bとしてリモートプラズマ酸素やオゾンを、反応物Cとしてテトラキスジメチルアミノシリコン(Si(N(CH3)2)4:TDMASと略す)を、そして非反応物として窒素N2をそれぞれ用いればよい。
【0073】
反応物Bにオゾンを用いた場合の成膜条件は次の通りである。TDEAHfおよびTDMASは、液体原料なので、別途気化器により、気化させられている必要がある。流量については、例えば、反応物A、Cとしては、TDEAHfおよびTDMASを、0.1〜0.01g/minを気化させ、窒素0.5〜5SLMで希釈する。反応物Bとしては、N2:0.5〜5SLMに対して、0.1〜3SLMの酸素をオゾナイザに通して導入する。非反応物としては、3つの非反応物供給口から、それぞれ、0.5〜5SLMのN2を流す。それぞれの流量は、反応物AおよびCの性質や、排気に用いるポンプの性能によって変わる。
【0074】
また、このときの反応室1の圧力は、反応物A、Cおよび非反応物の流量によっても変わるが、1〜1000Paが用いられる。基板温度は、反応物の性質によって変わるが、おおむね250〜450℃の範囲が用いられる。ALD法の場合、「反応物A」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」のサイクルおよび「反応物C」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」のサイクルで、0.5〜1.0Åの膜厚が得られることから、1回転でこの2倍の膜厚が得られると考えてよい。ここで、反応物AおよびCを同程度の希釈量および流量で、均一な速度で回転させた場合、反応物AおよびCの元素の組成比は、1:1に近くなることが予想される。このような3元素系の薄膜を成膜し、その組成を制御しなければならない場合は、反応物AおよびCの希釈量や流量を制御しなければならない。
【0075】
上述した説明では、3種類の反応物を用いた成膜を行う場合、6つ又は8つの供給口を配置する装置構成としたが、図1、2に示した装置構成においても、3種類の反応物を用いた成膜が可能である。「反応物A」および「反応物C」が「反応物B」と成膜反応を起こす場合は、図1の反応物Aを流す反応物供給口8より、反応物AとCを最適な混合比で流す方法をとることができる。ただし、反応物AおよびCと、反応物Bの反応速度の違いがあるため、流量比がそのまま組成比にはならないので注意しなければならない。
【0076】
あるいは、上述した反応物AとCを最適な混合比で流す方法のほかにも、回転に同期して、反応物Aあるいは反応物Cだけを、それぞれ必要回数、所望の組成比になるように流す方法を取ることができる。具体的には、非円形のカバープレート11のガスの流れを基板表面に作るように幅広になった長径部52が、反応物AおよびCの反応物供給口8を通り過ぎたあと、反応物AあるいはCを切り替えることによって行う。たとえば、所望の膜厚を得るために30回転必要であり、必要なAとCの比率が2:1の場合、その切替のシーケンスは、A−A−C−A−A−Cと繰り返せばよい。すなわち、1回転目にA、2回転目にA、3回転目にC…という具合に流すとよい。
【0077】
ところで、上述した実施の形態ではALD法によって成膜を行う場合について説明している。しかし、本発明は、ALD法に限定されない。通常のMOCVD原料が自己分解する温度帯での「MOCVDによる成膜」と「リモートプラズマを用いた改質処理」の繰り返しにも適用できる(ここでは、これをMRCVD法という)。もっとも、ALD法による成膜が行なわれる温度帯、すなわち「原料の吸着」と「原料と反応を起こす反応物の供給」の繰り返しに対して用いるのがより好ましい。成膜の温度帯をCVD成膜温度領域(600〜800℃)とする場合、基板面内で膜厚差が発生する可能性があるが、ALD成膜温度領域(250〜450℃ないし300〜600℃)とする場合、吸着がメインとなるので基板面内での膜厚均一性は確保できるからである。なお、ALD法もMRCVD法も、原料ガス供給とRPO供給とを複数回繰り返すという点では同じであるが、MRCVD法の方は、原料ガス供給時に膜が形成されるのに対し、ALD法の方は原料ガス供給時は原料ガスが基板表面に吸着するだけであり、RPO供給の時にはじめて膜が形成される。したがって、温度を低くすると、吸着がメインとなるALD法となり、温度を上げていくとMRCVD法となる。
【0078】
さて、上述した実施の形態の方法は、カバープレート11と基板3とが一体になって、つまり基板3を保持するサセプタ6が同時に回転する機構であったが、カバープレート11と基板3を独立させて回転させる方法が有効な場合もある。たとえば、反応物を2種類用いた成膜時に、カバープレート11が1回転する間に、基板を4×n回転させた場合、反応物AおよびBに基板をさらしている間、n回転していることになる。基板3とカバープレート11が一体になって回転する場合は、前述したように、通常のMOCVD原料が自己分解する温度帯での「MOCVDによる成膜」と「リモートプラズマを用いた改質処理」の繰り返しよりは、ALDによる成膜が行われる温度帯、すなわち「原料の吸着」と「原料と反応を起こす反応物の供給」の繰り返しに対して用いるのがより好ましい。しかし、カバープレート11と基板3を独立させて回転させる方式の場合、成膜の温度帯をCVD成膜温度領域とする場合でも、原料の流れ方向が1方向ではなくなる。したがって、基板面内で膜厚差が発生する可能性がなくなり、基板面内での膜厚均一性が確保できるようになるので、「MOCVDによる成膜」と「リモートプラズマを用いた改質処理」の繰り返しにも用いることができるようになる。
【0079】
基板3とカバープレート11を独立に回転させる場合の態様として、例えば、基板3は連続的に回転させ、カバープレート11は、断続的に回転させる方法が有効である場合もある。この場合、非円形のカバープレート11のガスの流れを基板表面に作るように幅広になった長径部52が供給口の下に来て、供給口と対面した時、カバープレート11を数秒〜数十秒間、つまり基板3が1回転以上する間停止させる。この間十分に基板表面にガスを供給した後、再びカバープレート11を回転させて次の供給口の下に移動させることにより、膜厚の均一性が確保できる。
【0080】
また、基板3とカバープレート11を独立に回転させる場合の他の態様として、基板3とカバープレート11の回転方向は同じであるが、基板3の回転に対してカバープレート11の回転を遅らせるようにしたり、あるいは基板3の回転方向と反対方向にカバープレート11を回転するようにしても、膜厚の均一性が確保できると考えられる。
【0081】
カバープレート11と基板3すなわちヒータユニット13とを一体回転させる場合には、図8に示す回転機構を用いることができる。また、カバープレート11とヒータユニット13とを独立して回転させる場合には、図9に示す回転機構を用いることができる。
【0082】
図8はカバープレートとヒータユニット13とを一体回転させる回転機構40の概略図である。図中の円でくくった部分に回転機構40としての真空隔壁モータが設けられる。真空容器20の底板より取り出された中空回転軸15は、その下部が中空回転軸15を覆う固定筒体61にベアリング軸受(図示せず)を介して回転自在に軸支されるように構成される。固定筒体61の下部は昇降台66に支持される。固定筒体61の上部は、真空容器20の底部にベローズ64を介して気密に連結される。昇降台66は、固定筒体61の他に、ヒータユニット13から回転軸15内を垂下しているヒータ支持部材56、及びリフレクタ支持部材57も支持している。昇降台66はガイドロッド65に沿って昇降するように構成される。昇降台66とガイドロッド65とからヒータユニット13を昇降させるエレベータが構成される。固定筒体61には筒状の電磁石用コイル62が、固定筒体61に軸支された中空回転軸15には筒状の永久磁石63がそれぞれ取り付けられる。この電磁石用コイル62と永久磁石63とから真空隔壁モータが構成される。エレベータによってヒータユニット13が昇降し、真空隔壁モータによってヒータユニット13が回転する。
【0083】
図9はヒータユニット13とカバープレート11とを独立回転させる回転機構67の概略図である。回転機構67は、ヒータユニット13を回転させる第1の回転機構68と、カバープレート11を回転させる第2の回転機構69とを備える。第1の回転機構68は、図8に示した回転機構40と同様に、第1の電磁石用コイル62と第1の永久磁石63からなる第1の真空隔壁モータで構成されて、中空回転軸15を回転させてヒータユニット13を回転する。第2の回転機構69は次のように構成される。カバープレート11をヒータユニット13とは別体の筒状カバープレート支持部材70で支持する。この筒状カバープレート支持部材70を、中空回転軸15の外周に沿って、真空容器20の底板より取り出す。真空容器20の底板より取り出された筒状カバープレート支持部材70は、その下部が筒状カバープレート支持部材70を覆う固定筒体61にベアリング軸受(図示せず)を介して回転自在に軸支されるように構成される。固定筒体61には、第1の筒状電磁石用コイル62に加えて第2の筒状電磁石用コイル72が、固定筒体61に軸支された筒状カバープレート支持部材70には第2の筒状永久磁石73がそれぞれ取り付けられる。第2の回転機構69は、この第2の電磁石用コイル72と第2の永久磁石73とからなる第2の真空隔壁モータで構成されて、この第2の真空隔壁モータによってカバープレート支持部材70を回転させて、カバープレート11を回転させる。
【0084】
なお、上述した回転機構40をはじめとした各種の制御は、図15に示す制御手段48によって行っている。制御手段48は、回転機構40、反応物又は非反応物を供給する各供給口に通じる供給ユニット44、45、およびポンプ47に通じる排気口2に設けた排気コンダクタンス制御手段46を統括制御する。
【0085】
制御手段48では、複数の反応物供給口及び複数の非反応物供給口が、共に反応室内でヒータユニットに支持される基板の面外に対して反応物又は非反応物を供給するよう構成されるものであり、カバープレート11が、ヒータユニットの周囲に設けられた排気通路を部分的に遮ることが可能なようにカバープレート11の回転中心に対して非対称に形成される場合に、カバープレート11を回転させて、排気通路を部分的に遮ることで反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えることが可能なような制御も行う。制御手段48では、カバープレート11を回転させて、複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から反応室内に供給される反応物をヒータユニット上に支持される基板の面内に供給し、複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から反応室内に供給される反応物を基板ヒータユニット上に支持される基板の面外に供給することが可能なような制御も行う。
【0086】
制御手段48では、反応室内に設けた回転可能なヒータユニット上に基板を支持し、基板を支持したヒータユニット上に、回転中心に対して外形が非対称に形成されたカバープレート11を載置し、複数の反応物供給口、及び複数の反応物供給口の間に設けられた複数の非反応物供給口から、反応物及び非反応物を基板の面外に対してそれぞれ供給し、反応室内に供給される反応物及び非反応物を、ヒータユニットに支持される基板の面外となるヒータユニットの周囲に設けられた通路であって、カバープレート11によって部分的に遮られることが可能な排気通路から排気し、ヒータユニットを回転することによりヒータユニット上に載置された非対称に形成されたカバープレート11の回転によりヒータユニットの周囲に設けられた排気通路を部分的に遮ることで、反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えるようにする制御も行う。
【0087】
制御手段48では、カバープレートを断続的に回転させる制御も行う。制御手段48では、基板に対するカバープレート11の回転速度または回転方向を異ならせる制御も行う。制御手段48では、基板に対するプレートの回転速度を遅らせたり、基板の回転方向と反対方向にカバープレート11を回転させたりする制御も行う。制御手段48では、カバープレート11の回転に連動して少なくとも反応物の供給量を調節する制御も行う。制御手段48では、カバープレートが反応物供給口と対面せずに反応物が基板面外に供給されるときの反応物の流量を、カバープレート11が反応物供給口と対面して反応物が基板面内に供給されるときの反応物の流量よりも少なくする制御も行う。制御手段48では、プラズマ発生器により少なくとも一つの反応物を活性化させて反応室に供給する制御も行う。制御手段48では、プラズマ発生器では常にArプラズマを形成しつつ反応物供給口から反応室へ供給した状態としておき、カバープレート11がこの反応物供給口と対面して、この供給口から基板上に反応物を流すときに、Arプラズマ中に反応物を添加し反応物を活性化させて供給する制御も行う。制御手段48では、カバープレート11を一体に設けたヒータユニットを回転する制御も行う。制御手段48では、基板表面より下方であって複数の反応物同士が混合するヒータユニットの周囲領域の温度を100℃以下に保つ制御も行う。そして、制御手段48では、一つの反応物を基板上に供給して吸着させる工程と、基板上に吸着させた反応物に対して他の反応物を供給して反応を起こさせて膜を形成する工程とを複数回繰り返すことにより所望の膜厚の膜を基板上に形成する制御も行う。
【0088】
ところで、図3(b)にも示すように、カバープレート11の回転により反応物A、Bを切替え制御すると、基板3上を横切ってきた反応物Bが反応物Aと合流するので、反応物Aと反応物Bとが基板表面以外の部分で混ざる可能性がある。この場合、気相での反応物Aと反応物Bとの混合により反応が起こり、気相中でパーティクルを形成する恐れがある。このパーティクルが半導体装置の回路パターン上に残ると、半導体装置が動作しなくなる原因になるため、混合を避けるか、パーティクルの発生を抑えるか、発生しても基板表面に付着させないようにする必要がある。大部分の場合は、基板表面以外の部分は非加熱部分での混合であり、その部分での温度は、原料が反応する温度以下になっているため、2つの反応物間の反応が起こることはなく、パーティクルが発生する可能性は低く問題にならない。このことは、反応性の高い反応物の場合であっても同様である。仮に、2つの反応物間の反応が激しく起こり、パーティクルの発生を抑える必要がある場合には、反応物A、B間に非反応物バリアを作って、混合を防止することが好ましい。
【0089】
図10は、そのような非反応物バリアを作る実施の形態を示す。反応物供給口7とヒータユニット13の外周との間に、非反応物を供給する第3の非反応物供給口19を設ける。ここで、ヒータユニット13の外周は、基板面外であって、基板3の面内に供給された反応物Aが基板3を横切って流れ込む排気通路35を構成する。第3の非反応物供給口19は、例えば反応物供給口7に隣接して設けることができる。なお、反応物供給口8についても同様に第3の非反応物供給口を設ける。非反応物としてはN2を使用するとよい。反応物供給口7に隣接して設けた第3の非反応物供給口19から非反応物を供給すると、反応物供給口8から基板3の面内に供給されたのち排気通路35より排気される反応物Aと、反応物供給口7から基板3の面内に供給されずに直接排気通路35より排気される反応物Bとが、ヒータユニット13の周囲で混合されようとしても、両反応物A、B間に非反応物のバリアが形成されるので、反応物A、Bの混合を防止して反応を起こさないようにすることができる。
【0090】
このように、第3の非反応物供給口19を設けることによって、非反応物バリアを作ることにより、2種類の反応物A、Bの混合を避け、パーティクルの発生を抑えることができる。もっとも、バリアを設けた場合であっても、その下方で反応物Aと反応物Bとが混合する可能性がある。AとBが混合される可能性があるヒータユニット13の周囲領域の温度は、通常、100℃程度以下の低温となっているので、それほど激しい反応は起こらない。よって、そのような低温領域で反応物AとBが混ざっても、問題となる程のパーティクルは発生しないと考えられる。
【0091】
上述した例では、パーティクルが基板に付着しないように、2種類の反応物間にバリアを形成するようにしてパーティクルの発生を防止している。しかし、パーティクルが発生しても、それが基板に付着しなければ、かならずしもパーティクルの発生を防止する必要はない。例えば、2種類の反応物の混合を基板表面よりも下方の位置で起こるようにすれば、気相中で形成されたパーティクルが基板表面に付着することを避けることが出来る。図11はそのような構成例を示したものである。反応物供給口7、8を基板面よりも下方に配置させている。そのために、カバープレート11を立体的に変形させ、反応物供給口7、8がカバープレート11と干渉しないようにしている。
【0092】
反応物供給口7、8を基板3の表面より下方に設けると、反応物供給口8から基板3の面内に供給された後、排気通路35より排気される反応物Aと、反応物供給口7から基板3の面外から直接排気通路35より排気される反応物Bとが、ヒータユニット13の周囲で混合してパーティクルを発生しても、発生場所が基板表面より下方になるので、基板表面へのパーティクルの付着を低減できる。また、カバープレート11をこれと基板3の表面より下方に設けた反応物供給口7、8とが干渉しないような構成としたので、カバープレート11の円滑な回転を確保できる。
【0093】
カバープレート11と反応供給口とが干渉しないような構成としては、例えばカバープレート11の外周を水平方向に延在させるのではなく、折り曲げて下方に延在させたり、カバープレート11の外周に凹部を設けたりするとよい。図12に、そのようなカバープレート11の立体的な変形例を示す。(a)のものは、カバープレート11の短径部の外周は単に下方に折り曲げているだけだが、長径部の外周は略L字状にダウンセット加工している。(b)のものは、さらに折返し部を設けて長径部にチャンネル状の凹みを形成している。(c)のものは(b)の折曲部にRを付けている。
【0094】
上述した例では、基板面外での反応物又は非反応物の流れを規制するために、カバープレートを変形するようにしたが、基板面内での反応物又は非反応物の流れを規制するためにカバープレートを変形してもよい。例えば、上述した実施の形態では、同時に2つの供給口を遮るようにしたが、遮る供給口は1つでもよい。この場合、図14、図7に示すように、カバープレート11上にガスの流れを作るための側壁からなるガイド16を設けるようにしても良い。図14に示すものは、カバープレート11の短径部から長径部に直状部に沿って対向するガイド16を備える。これによりガイド16間に一方向のチャネルが形成されため、基板上を同時に流れる反応物又は非反応物を1種類に限定することができる。また、図7に示すガイドは、短径部から長径部にかけて対向するガイド16を備えている点では、図14のものと同様であるが、特に、図6に示す装置例における8つの供給口の配置に合わせてガイド16に曲面を持たせ、8つの供給口があっても、基板上を同時に流れるガスを1種類に限定することができるように構成してある。このようにガイドを設けることによって、カバープレート11上に反応物及び非反応物の流れを規制するチャンネルが形成されるので、所望の反応物及び非反応物のみを基板面内に確実に誘導することができる。
【0095】
また、上述した実施の形態では、真空容器20に排気口2を1つだけ設けたうえで、非円形のカバープレート11によって変化する基板外周の排気コンダクタンスを利用して、基板上に反応物又は非反応物を誘導するようにしている。この誘導をより効果的にするために、排気口2を複数設けることも可能である。例えば、図16に示すように各反応供給口7、8の向かい側に互いに排気口2が配置されるようにする。反応物Bを流す反応物供給口7を排気口2Aと相対させ、反応物Aを流す反応物供給孔8を排気口2Bと相対させる。反応物A、Bは、排気口2Aに強く引き込まれため、反応物Aは排気口2Aに直ちに排気され、反応物Bは、基板上を通って排気口2Aに排気される。したがって、排気口2を1つ設けた場合に比べて、反応物供給口7から供給される反応物を拡散させることなく基板上に確実に誘導することができる。
【0096】
なお、図16の装置において、反応物供給口7の下方に非円形のカバープレート11が位置して、基板表面上を反応物が流れる位置にある場合、その反応物供給口7の下方に位置する排気口2Bをバルブにより閉じることにより、反応物の流れをいっそう作りやすくしてもよい。
【0097】
また、実施の形態では、成膜に寄与するときと寄与しないときとにかかわらず、常に所定の流量の反応物A、Bを反応室に供給している。この場合、成膜に寄与しない反応物を供給する時は、その反応物の供給量を低減することができれば、反応物資源の節約を図ることができる。そのようにするために、例えば、カバープレート11の回転に連動して反応物供給量を制御するとよい。例えばカバープレート11が反応物供給口8と対面せず、反応物Aが基板3上に流れないときの反応物の流量を、カバープレート11が反応物供給口8と対面して、反応物Aが基板3上に流れるときの反応物の流量よりも少なくなるよう制御する。これにより反応物資源の有効利用が図れる。
【0098】
また、前述した例でも述べた通り、複数種の反応物のうち、少なくとも一つの反応物はプラズマにより活性化する場合がある。反応物を活性化させて供給すると、反応物を低温でも反応させることができるので、処理温度を低温化できるからである。この場合、反応物プラズマを供給する反応物供給口と連通するプラズマ発生器を設け、このプラズマ発生器により反応物を活性化させて反応室に供給するように構成することが好ましい。この場合、反応物を常時活性化しておき、この活性化した反応物を常時反応室に供給するようにすることも可能である。しかし、成膜に寄与しない時にも、活性化した反応物を供給することは不用意に成膜させる可能性がある。したがって、成膜に寄与するときだけ、反応物を活性化して反応室に供給することが好ましい。
【0099】
このような構成例を図17に示す。例えば反応物供給口7に通じるプラズマ発生器49に、アルゴンArと反応物Bとを供給できるようする。Arはプラズマ生成用のガスであって、常時プラズマ発生器49に供給されてArプラズマを反応物供給口7から反応室に供給するようになっている。これに対して、反応物Bはカバープレート11の回転に応じて開閉制御されるバルブを介してプラズマ発生器49に供給されるようになっている。
【0100】
これによれば、反応物Bを供給しないときはバルブは閉じておく。常時アルゴンArをプラズマ発生器49に供給してArプラズマを形成し、このArプラズマを反応物供給口7から反応室へ供給した状態としておく(図17(a))。カバープレート11が反応物供給口7と対面して、この供給口7から基板3上に反応物Bを流すときに、バルブを開いてプラズマ発生器49に反応物Bを供給して、Arプフズマ中に反応物Bを添加し、活性化された反応物Bを反応室に供給さする(図17(b))。これにより、基板面内に供給するときのみ反応物を活性化して供給しているので、反応物を常時活性化した状態で供給している場合と比べて、基板処理に寄与しないときの反応物の反応を低減することができる。
【0101】
また、実施の形態ではカバープレートを、基板外周のコンダクタンスを均一化させないで調節変化させるために非円形としたが、この非円形の態様として種々の形状が考えられる。また、非円形に限定されない。カバープレートについては、例えば、つぎのような種々の構成とすることが考えられる。
【0102】
カバープレートの形状は、外径を非円形としたり、回転中心とプレートの重心が一致しない形状としたり、さらには回転中心からプレート外周までの距離が一定ではない周辺を有する非対称な形とすることができる。また、プレートの形状は、一つまたは一部の反応物供給口と対面するときはその他の反応物供給口と対面しない形状とする。また、反応物、非反応物の区別なく、一つまたは一部の供給口と対面するときはその他の供給口と対面しない形状とすることができる。又は、一つまたは一部の反応物供給口からの反応物の流れを基板に向けるときはその他の反応物供給口からの反応物の流れを基板に向けない形状とすることもできる。さらには、反応物、非反応物の区別なく、一つまたは一部の供給口からのガスの流れを基板に向けるときはその他の供給口からのガスの流れを基板に向けない形状とすることもできる。
【0103】
非対称形のプレートにあっては、回転中心からの距離が長い長距離周辺部と、回転中心からの距離が短い短距離周辺部とを持つことができる。プレートが、回転中心からの距離が一定でない周辺を有する非対称な形で形成されている場合には、プレートが回転して、一つ又は一部の反応物供給口又は非反応物供給口が、プレートの回転中心からの距離が長い長距離周辺部に対面すると、一つ又は一部の反応物供給口又は非反応物供給口からの基板面外に供給される反応物又は非反応物が長径部に当たって進路を変更させられるため、反応物又は非反応物は基板面外から基板面内に供給される。他の又は残りの反応物供給口又は非反応物供給口が、プレートの回転中心からの距離が短い短距離周辺部に対面すると、他の又は残りの反応物供給口又は非反応物供給口から基板面外に供給されていた反応物又は非反応物は、進路を変更されることなく、そのまま基板面外に供給される。
【0104】
長距離周辺部と短距離周辺部とを径のことなる2つの円弧部で構成することができる。この場合、長距離周辺部は長径部52となり、短距離周辺部は短径部51となる。プレート11の長径部52と短径部51とは、例えば、長径部52の円弧の長さを短くして短径部51に直線状に繋ぐことができる。また、回転中心34からみて長径部52の輪郭の回転軌跡は、短径部51の輪郭のそれよりも外側に出るため、長径部52は出っ張り部を構成することになる。また、この出っ張り部が反応物供給口7、8又は非反応物供給口9、10と対面する部分となり、非出っ張り部は対面しない部分となる。出っ張り部が反応物供給口又は非反応物供給口と対面すると、反応物または非反応物の基板面外となる排気通路35への流路が塞がれるとともに、反応物または非反応物の流れを基板面内に誘導する。
【0105】
また、反応物供給口又は非反応物供給口と対面するカバープレート11の表面には、反応物又は非反応物を受け流す受流し部を形成し、反応物又は非反応物が受流し部に接触すると、反応物又は非反応物が受けながされて基板面内へ流れるように構成するとよい。この受流し部はプレートの厚さを外側から内側に向かって漸次薄くする曲面で形成することができる。なお、カバープレート11側に変形を加えずに、反応物供給口をプレート面に対して少し傾けて、プレート面に対して斜めに当てるようにしてもよい。又は、プレートの表面に反応物又は非反応物の流れが変化する流れ変化部を形成し、反応物又は非反応物が流れ変化部に当たると、反応物又は非反応物の流れが基板面外から基板面内に変化するように構成するとよい。
プレートが回転することにより、出っ張り部は各供給口に順番に対面する。また、受流し部は各供給口からの反応物又は非反応物に順番に接触する。更に、流れ変化部は、各供給口からのガスの流れを順番に変える。ガスの流れを順番に変える場合、プレートが回転することにより、各供給口からのガスの流れを一種類または一部種類ずつ順番に基板上に向けるようにすることが好ましい。
【0106】
また、カバープレートは非円形でなくてもよい。例えば、図13に示すように、カバープレート11の外形は円形として、外周に長孔55を形成した部分と、長孔55を設けずに塞いだ部分とを設けるようにすることができる。プレート11が回転して、長孔55が供給口と対面すると、反応物又は非反応物は基板面外に供給される。長孔55が塞いだ部分と対面すると、反応物又は非反応物は基板面内に供給される。
【0107】
なお、実施の形態では、各供給口7〜10は、単一口で構成したが、各供給口7〜10に複数の小孔29を設けるようにしてもよい。小孔29は、例えば、図18(a)に示すように、各供給口7(8〜9、58)の端部にチャンバ28(58)を取り付け、チャンバ底壁に複数の小孔29を設ける。供給口7からチャンバ28に供給し、複数の小孔29からシャワー状に供給させると、各反応物又は非反応物を均一に反応室内に供給できる。
【0108】
小孔付きの供給口は、例えば、図18(b)のように、反応物供給口7、8のみとしたり、図18(c)のように非反応物供給口9、10にも適用したり、あるいは図18(d)のように気相バリア形成用非反応物供給口58に適用したり、更には、図18(e)のように全ての供給口に適用してもよい。
【0109】
また、上記の実施の形態では、カバープレートをヒータユニットと別体に設けて構成したが、かならずしも別体である必要はない。サセプタあるいはヒータユニットそのものを非円形にしてカバープレートの機能を持たせることも可能である。このようにしてもコンダクタンスを変化させ、ウェーハ外周方向へのガスの流れを作ることができる。例えば、図5に示すように、ヒータユニット13を長円形のような形にして、ヒータユニット13にカバープレート11の機能をもたせても良い。このヒータユニット13の形状は、ガスの供給口7〜10の数を基に、ガス流のシミュレーションにより求められる。またこの場合、カバープレートの受渡しがなくなるので、段差部を真空容器内に設けなくてもよい。したがって、基板処理装置の構造を簡素化できる。なお、既に説明した図6の装置においても、サセプタあるいはヒータユニット13を非円形にして、カバープレートを一体化して構成している。
【0110】
上述したように実施の形態による装置は、真空容器である反応室と気体反応生成物および過剰反応物を排出する排気口だけでなく、基板を搬送することができる基板搬送口を有する反応室に、前記基板を保持し、かつ交互に供給される気相反応物を基板上で表面反応させるための熱源であるヒータからの熱を基板に伝えるサセプタおよび反応物を供給する供給口と非反応物を供給する供給口を有する。このような装置において、さらに、サセプタ上の基板の周りに装備された非円形で略楕円形をしたカバープレートを備える。サセプタが回転することにより、略楕円形のカバープレートのサセプタよりも円周方向に広がった部分が、サセプタの外周部よりも外側上方に位置する二つの供給口から下方に流れる反応物の流れを交互に変えて基板表面に反応物の流れを形成することができる。基板上に表面反応を起こさせ、サセプタの回転速度に依存して、薄膜の形成速度を制御することができ、高速な成膜が可能になる。高速バルブ切替等により交互に供給する必要がなくなる。また、反応室に供給する反応物や非反応物の流量を頻繁に流量制御機構で制御する必要もなく、その制御機構の寿命の問題もなくなる。その結果、一般的に要求されているスループットやMTBFを達成することができる。特に、本装置は、半導体装置およびディスプレイユニットなどの薄膜形成が必要な装置の薄膜の製造に有用である。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、バルブの切替えによらず、プレートの回転によって、反応物又は非反応物を切替えることができる。また、プレートの高速回転によって、反応物又は非反応物を高速に切替えることができる。したがって、制御が容易で安価に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態による基板処理装置の構成図であって、(a)は容器上板を取り去った平面図、(b)は縦断面図である。
【図2】実施の形態によるヒータユニットの昇降説明図であって、(a)はヒータユニットが下降して待機位置にあるときの図、(b)はヒータユニットが上昇して成膜位置にあるときの図である。
【図3】実施の形態によるカバープレートによる反応物Bの流れを示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】実施の形態によるカバープレートの回転推移による反応物、非反応物の流れの切替えを示す説明図である。
【図5】実施の形態による反応物供給口及び非反応物供給口をそれぞれ3つづつ有する装置を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図6】実施の形態による供給口を8つ有する装置を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図7】実施の形態によるカバープレートのガイドを示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図8】実施の形態による真空隔壁モータを用いた回転機構を示す概略図である。
【図9】実施の形態によるサセプタとカバープレートを別回転させるための回転機構示す概略図である。
【図10】実施の形態による気相バリアの説明図である。
【図11】実施の形態による供給口に対するカバープレートの干渉防止の説明図である。
【図12】実施の形態による干渉防止手段の各種説明図である。
【図13】実施の形態によるカバープレートの変形例を示す平面図である。
【図14】実施の形態によるカバープレートのガイドを示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図15】実施の形態による基板処理装置の制御系の説明図である。
【図16】実施の形態による排気口を対向して配置した説明図である。
【図17】実施の形態による反応物プラズマを供給する方法を示した説明図であり、(a)はアルゴンプラズマを流している図、(b)は反応物Bプラズマを流している図である。
【図18】実施の形態による複数の小孔を設けた供給口の説明図であって、(a)は小孔付供給口の斜視図、(b)〜(e)は小孔付供給口の取付け状況を示す図である。
【符号の説明】
3 基板
1 反応室
13 ヒータユニット(支持台)
11 カバープレート
40 回転機構
7、8 反応物供給口
9、10 非反応物供給口
35 排気通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より薄膜の形成には、真空蒸着、分子線エピタキシー、化学気相蒸着(CVD)などの方法が用いられているが、これに代わって原子層堆積(ALD)法と称される方法が用いられるようになってきた。このALD法においては、反応室に少なくとも2つ以上の反応物を交互に供給し、その交互に供給する間に、余分な反応物や副生成物を取り除くために非反応性物を供給して、基板上に薄膜を形成させるのが一般的である。
【0003】
例えば、2つの反応性ガスを供給する場合には、次のようなステップで基板上に薄膜を形成させる。
(1)まず反応性ガスAを反応室に供給して、基板表面に反応性ガスA原料を1原子単位で吸着させる。
(2)吸着させた後、反応室内の余分な反応性ガスAを取り除くために非反応性ガスを供給する。
(3)つぎに、反応性ガスBを反応室に供給して、基板表面に吸着している反応性ガスA原料と表面反応を起こさせ、基板表面に薄膜の1原子層を形成させる。
(4)つづいて、余分な反応性ガスBおよび反応副生成物を取り除くために非反応性ガスを供給する。
【0004】
この(1)〜(4)のステップを1サイクルとして、所定の膜厚に達するまで、複数サイクルの処理を行う。決められたある条件においては、1サイクルで形成される膜厚は決まっており、要求される時間内に所望の膜厚を形成するためには、要求される時間内に必要なサイクル数の処理を行うことが必要になってくる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
要求される時間内に必要なサイクル数を行うためには、1サイクルあたりの時間が必然的に決まってくるが、生産に関する経済性を満足する時間あたりの成膜可能枚数、つまりスループットを達成するには、1サイクルに要する時間が例えば1秒以内であることを要求される場合がある。この場合、上記、反応性ガスA、Bおよび非反応性ガスは、4分の1秒毎に切替えて反応室に供給しなければならない。また、反応室を真空引きするためのポンプは、先の4分の1秒の間に供給されたガスを、次の4分の1秒の間に完全に引ききらなければならない。さらに、フィードバック制御のために応答性の悪い流量制御コントローラ(MFC)を用いて流量も調整する必要がある。
【0006】
そのため、反応物や非反応物を給排制御するMFC、開閉バルブ、ポンプなどから構成される給排機構の応答時間は、4分の1秒よりもはるかに短くなければならないが、一般的な給排機構では、応答時間は速いものでは10分の1秒のものもあるが遅いと1秒近いものもあるので、要請される応答時間を達成するためには、特殊な給排設備を準備しなければならない。
【0007】
また、特殊な給排設備が準備できたとしても、1サイクルで成膜される膜厚がALD法においては1原子層であるので、所望の膜厚に達するまでのバルブ切替え回数が多くなり、計算によれば、バルブの動作寿命が数百万回としても、一般的な製造システムの稼働率から、その寿命日数は100日程度であることがわかっており、一般的に要求されている故障時間間隔、つまり、MTBF=1年を達成できない。
【0008】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解消して、バルブの切替えによらず、反応物又は非反応物を切替えることが可能な基板処理装置及び半導体製造装置の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、反応物又は非反応物を高速に切替えることが可能な基板処理装置及び半導体製造装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、基板を処理する反応室と、前記反応室内で前記基板を支持する支持台と、前記基板の周囲に載置されるプレートと、基板支持台上の基板と前記プレートとを回転させる回転機構と、前記反応室内に反応物を供給する複数の反応物供給口と、前記複数の反応物供給口の間に設けられ前記反応室内に非反応物を供給する複数の非反応物供給口と、前記支持台に支持される基板の面外となる支持台の周囲に設けられて前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を排気する排気通路とを備えた基板処理装置であって、前記複数の反応物供給口及び前記複数の非反応物供給口は、共に前記反応室内で前記支持台に支持される基板の面外に対して前記反応物又は前記非反応物を供給するよう構成されるものであり、前記プレートは、プレートの回転中心に対して非対称に形成されるものであることを特徴とする基板処理装置である。ここで前記プレートは、前記支持台の周囲に設けられた排気通路を部分的に遮ることが可能なようにプレートの回転中心に対して非対称に形成され、前記プレートの回転により、排気通路を部分的に遮ることで前記反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えることが可能なように構成されるものであることが好ましい。
【0010】
回転中心に対して外形が非対称に形成されたプレートを回転させると、基板の面外に供給されていた反応物又は非反応物が、プレートの回転にともなって面内に供給されるようになる。したがって、反応物供給口及び非反応物供給口から反応物又は非反応物を連続供給した状態で、バルブを用いずに、反応物又は非反応物の基板面外から基板面内への切替え供給ができる。また、プレートを高速回転させることで、反応物又は非反応物の高速切替え供給が可能となる。
【0011】
第2の発明は、基板を処理する反応室と、前記反応室内で前記基板を支持する支持台と、前記基板の周囲に載置されるプレートと、前記支持台上の基板と前記プレートとを回転させる回転機構と、前記反応室内に反応物を供給する複数の反応物供給口と、前記複数の反応物供給口の間に設けられ前記反応室内に非反応物を供給する複数の非反応物供給口と、前記支持台の周囲に設けられて前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を排気する排気通路とを備えた基板処理装置であって、前記プレートは、プレートの回転により、前記複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から反応室内に供給される反応物を前記支持台上に支持される基板の面内に供給し、前記複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から反応室内に供給される反応物を前記基板支持台上に支持される基板の面外に供給することが可能なように構成されるものであることを特徴とする基板処理装置である。
【0012】
プレートを回転機構によって回転させると、プレートの回転にともなって、複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から供給される反応物が、支持台上に支持される基板の面内に供給され、複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から供給される反応物が、基板支持台上に支持される基板の面外に供給される。したがって、反応物供給口及び非反応物供給口から反応物又は非反応物を連続供給した状態で、バルブを用いずに、反応物又は非反応物の基板面外から基板面内への切替え供給ができる。また、プレートを高速回転させることで、反応物又は非反応物の高速切替え供給が可能となる。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、各反応物供給口と前記支持台との間に、非反応物を供給する第2の非反応物供給口を設けたことを特徴とする基板処理装置である。ここで、前記各反応物供給口と前記支持台との間に、基板の面内に供給されたのち、前記排気通路より排気される反応物と、基板の面内に供給されずに基板の面外から直接前記排気通路より排気される反応物との前記支持台の周囲での混合を防止するために、非反応物を供給する第2の非反応物供給口を設けることが好ましい。各反応物供給口と前記支持台との間に設けた第2の非反応物供給口から非反応物を供給すると、複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から基板の面内に供給されたのち排気通路より排気される反応物と、複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から基板の面内に供給されずに基板の面外から直接排気通路より排気される反応物とが、支持台の周囲で混合されようとしても、両反応物間に非反応物のバリアが形成されるので、反応物の混合を防止して反応を起こさないようにすることができる。
【0014】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記反応物供給口を前記基板の表面より下方に設け、前記プレートを該プレートと前記基板の表面より下方に設けた反応物供給口とが干渉しないような構成としたことを特徴とする基板処理装置である。反応物供給口を前記基板の表面より下方に設けると、複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から基板の面内に供給されたのち排気通路より排気される反応物と、複数の反応物供給口のうちの他部の反応物供給口から基板の面内に供給されずに基板の面外から直接排気通路より排気される反応物とが、支持台の周囲で混合して異物(パーティクル)を発生しても、発生場所が基板表面より下方になるので、基板表面への異物の付着を低減できる。また、プレートを、該プレートと基板の表面より下方に設けた反応物供給口とが干渉しないような構成としたので、プレートの円滑な回転を確保できる。なお、プレートと反応供給口とが干渉しないような構成としては、例えばプレートの外周を折り曲げたり、プレートの外周に凹部を設けたりすることができる。
【0015】
第5の発明は、反応室内に設けた回転可能な支持台上に基板を支持し、前記基板の周囲に、回転中心に対して外形が非対称に形成されたプレートを載置し、複数の反応物供給口、及び該複数の反応物供給口の間に設けられた複数の非反応物供給口から、反応物及び非反応物を前記基板の面外に対してそれぞれ供給し、前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を、前記支持台に支持される基板の面外となる支持台の周囲に設けられた通路であって、前記プレートによって部分的に遮られることが可能な排気通路から排気し、前記プレートの回転により、前記反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えるようにした半導体装置の製造方法である。ここで、前記支持台を回転させて、前記基板の外周に載置された前記非対称に形成されたプレートの回転により、前記支持台の周囲に設けられた排気通路を部分的に遮ることで、前記反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えるようにすることが好ましい。
【0016】
回転中心に対して外形が非対称に形成されたプレートを回転させると、基板の面外に常時供給されている反応物又は非反応物が、プレートの回転にともなって基板の面内に切替え供給されるようになる。したがって、反応物供給口及び非反応物供給口から反応物又は非反応物を常時供給した状態で、バルブを用いずに、反応物又は非反応物の基板面外から基板面内への切替え供給ができる。また、プレートを高速回転させることで、反応物又は非反応物の高速切替え供給が可能となる。
【0017】
第6の発明は、第1ないし第5の発明において、前記プレートが次のような種々の形状、構造または機能を有するものとして構成したものである。
例えば、プレートの形状は、外径を非円形としたり、回転中心とプレートの重心が一致しない形状としたり、さらには回転中心からプレート外周までの距離が一定ではない周辺を有する非対称な形とすることができる。また、プレートの形状は、一つまたは一部の反応物供給口と対面するときはその他の反応物供給口と対面しない形状とする。また、反応物、非反応物の区別なく、一つまたは一部の供給口と対面するときはその他の供給口と対面しない形状とすることができる。又は、一つまたは一部の反応物供給口からの反応物の流れを基板に向けるときはその他の反応物供給口からの反応物の流れを基板に向けない形状とすることもできる。さらには、反応物、非反応物の区別なく、一つまたは一部の供給口からの反応物又は非反応物の流れを基板に向けるときはその他の供給口からの反応物又は非反応物の流れを基板に向けない形状とすることもできる。
【0018】
第7の発明は、第1ないし第6の発明において、前記プレートに反応物及び非反応物を案内する側壁を設けることを特徴とする。前記プレートに側壁を設けるようにしたので、反応物及び非反応物を基板面内に確実に案内することができる。
【0019】
第8の発明は、第1ないし第7の発明において、反応物供給口又は/及び非反応物供給口又は/及び反応物供給口と支持台との間に設けた非反応物を供給する供給口に、複数の小孔を設けたことを特徴とする。各供給口に複数の小孔を設けるようにしたので、各供給口から供給する反応物又は非反応物を均一に反応室内に供給できる。
【0020】
第9の発明は、第1ないし第8の発明において、反応物供給口が2つ又は3つ設けられることを特徴とする。反応物供給口が2つ設けられていると2種類の反応物を交互に供給できる。また、反応物供給口が3つ設けられていると、3種類の反応物をサイクリックに供給できる。
【0021】
第10の発明は、第1ないし第9の発明において、プレートを断続的に回転させることを特徴とする。プレートを断続的に回転させるようにすると、反応物又は非反応物の基板面内に対する供給時間を任意に制御できる。
【0022】
第11の発明は、第1ないし第10の発明において、基板に対するプレートの回転速度または回転方向を異ならせることを特徴とする。基板に対するプレートの回転速度または回転方向を異ならせることにより、反応物又は非反応物を基板に対してより均一に供給することができる。
【0023】
第12の発明は、第11の発明において、基板に対するプレートの回転速度を遅らせる、または基板の回転方向と反対方向にプレートを回転することを特徴とする。基板に対するプレートの回転速度を遅らせたり、基板の回転方向と反対方向にプレートを回転させたりすることにより、反応物又は非反応物を基板に対してより均一に供給することができる。
【0024】
第13の発明は、第1ないし第12の発明において、プレートの回転に連動して少なくとも反応物の供給量を制御することを特徴とする。プレートの回転に連動して反応物の供給量を制御することにより、反応物の使用量を調整することができる。
【0025】
第14の発明は、第13の発明において、プレートが反応物供給口と対面せずに反応物が基板面外に供給されるときの反応物の流量を、プレートが反応物供給口と対面して反応物が基板面内に供給されるときの反応物の流量よりも少なくなるよう制御することを特徴とする。基板処理に寄与しないときの反応物の流量を、基板処理に寄与するときの反応物の流量よりも少なくするように制御すると、反応物の使用量を節約することができる。
【0026】
第15の発明は、第1ないし第14の発明において、少なくとも一つの反応物供給口に連通するプラズマ発生器を有し、このプラズマ発生器により少なくとも一つの反応物を活性化させて反応室に供給することを特徴とする。プラズマ発生器により反応物を活性化させて供給すると、反応物を低温で基板と反応させることができるので、処理温度を低温化できる。
【0027】
第16の発明は、第15の発明において、前記プラズマ発生器では常にArプラズマを形成しつつ反応物供給口から反応室へ供給した状態としておき、プレートがこの反応物供給口と対面して、この供給口から基板上に反応物を流すときに、Arプラズマ中に反応物を添加し反応物を活性化させて供給することを特徴とする。基板面内に供給するときのみ反応物を活性化して供給しているので、反応物を常時活性化した状態で供給している場合と比べて、基板処理に寄与しないときの反応を低減することができる。
【0028】
第17の発明は、第1ないし第16の発明において、各反応物供給口の向かい側に排気口をそれぞれ設けることを特徴とする。各反応物供給口のすぐ向かい側に排気口をそれぞれ設けることにより、反応物が基板処理に寄与しないときは、反応物を速やかに排除でき、基板処理に寄与しない不用意な反応を低減できる。
【0029】
第18の発明は、第1ないし第17の発明において、前記プレートを前記支持台に一体に設けたことを特徴とする。支持台にプレートの機能を持たせたので、構成を簡素化することできる。
【0030】
第19の発明は、第1ないし第18の発明において、基板表面より下方であって複数の反応物同士が混合する支持台の周囲領域の温度を100℃以下に保つことを特徴とする。基板表面より下方であって複数の反応物同士が混合する領域の温度を100℃以下に保つことにより、複数の反応物同士が混合しても、それらが反応することを低減できる。
【0031】
第20の発明は、第1ないし第19の発明において、前記処理とは、一つの反応物を基板上に供給して吸着させる工程と、基板上に吸着させた反応物に対して他の反応物を供給して反応を起こさせて膜を形成する工程とを複数回繰り返すことにより所望の膜厚の膜を形成する処理であることを特徴とする。基板処理が、特に反応物又は非反応物の切替え回数を要求する成膜処理であるので、反応物又は非反応物の高速切替え供給ができれば、スループットを向上できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は第1の実施の形態の基板処理装置の構成図であって、(a)は容器上板を取り去った平面図、(b)は縦断面図、図2は装置内で上下動するヒータユニットの説明図であって、(a)は待機位置を示す図、(b)は成膜位置を示す図である。図3は反応物の流れを示す装置内の説明図であって、(a)は装置の平面図、(b)は装置の縦断面図である。図4はプレートの成膜動作説明図であり、(a)〜(h)はプレートの回転角度に応じた反応物、非反応物の流れを示す図である。
【0034】
図1(b)に示すように基板処理装置は、反応室1を形成する真空容器20と、支持台としてのヒータユニット13と、ヒータユニット13に支持されるプレート11とを備える。
【0035】
真空容器20は、その反応室1に収容された基板3を処理する。真空容器20は、容器側板21と底板22と容器上板23とを備えている。容器上板23には複数の供給口7〜10が取り付けられており、各供給口7〜10は、反応室1に連通している。複数の供給口7〜10は、反応室1内に複数の反応物を供給する複数の反応物供給口7、8と、複数の反応物供給口7、8の間に設けられ反応室1内に複数の非反応物を供給する複数の非反応物供給口9、10とから構成される。各供給口7〜10は基板3の面外に対して反応物または非反応物を供給するように配置されている。また、真空容器20の底板22の中央部には、貫通孔24が設けられている。
【0036】
ここで、「反応物」という用語は、基板表面と反応することができる蒸発可能な材料を指す。実施の形態においては、2つの異なった基に属する反応物を用いる。1つは金属反応物(前者の基)であり、他の1つは非金属反応物(後者の基)である。
【0037】
「金属反応物」という用語は、金属化合物または重要な金属の反応物として使用される。適切な金属反応物、すなわち前者の基は、例えば、塩化物、臭化物および複合化合物などの冶金化合物のハロゲン化物や、金属−配位子錯体前駆物質の、当該配位子がアルキル、アルコキシド、ハロゲン、水素、アミド、イミド、アジ化物イオン、硝酸銀、シクロペンタジニエル、カルボニル、並びにそれらのフッ素、酸素および窒素置換類似物からなる群より選ばれる組成物である。
【0038】
「非金属反応物」という用語は、金属化合物に反応することが可能な化合物および要素を指す。後者の基は、通常、水、酸素、アンモニアでよいが、時には何らかの方法で活性化されたラジカルやイオンの場合もある。また、後者の基も、「反応物」という言葉を使用するが、実際には前者の基と反応を起こさないが、前者の基の自己分解反応にエネルギーを与えるものでも良い。例えば、プラズマなどで活性化された希ガスや不活性ガスの場合もある。
【0039】
実施の形態において、「非反応物」という用語は、反応室1に供給されて、基板に吸着した反応物以外の不要な反応物を取り除く場合や、二つの異なった基の反応物が基板の面内以外の場所で混ざり合い反応するのを防ぐために用いられる。この非反応物には、窒素ガスおよび希ガスなどの不活性ガスが用いられる。
【0040】
真空容器20は上容器部25と下容器部26とにより構成されている。それに対応して容器側板21も上容器部25の容器上側板21aと下容器部26の容器下側板21bとから構成されている。容器上側板21aには排気口2が設けられており、下容器26には基板搬入出口4が設けられている。容器下側板21bの内壁と容器上側板21aの内壁とは共に上下方向に連続して延在している。容器下側板21bの内壁の方が容器上側板21aの内壁よりも真空容器20の内側に設けられている。容器上側板21aの内壁よりも内側に突出する容器下側板21bの内壁の上面部分が段差部27となっている。段差部27は平面視的にみた場合には略環状となっている。
【0041】
ヒータユニット13は、反応室1内に設けられ、基板3を支持する。ヒータユニット13は、中空状のユニット本体30と中空回転軸15とを備えている。ユニット本体30は、基板3を支持するサセプタ6と、サセプタ6を支持するサセプタ支持部材31とから構成される。サセプタ6は、基板3を保持するとともに加熱源であるヒータ5からの熱を基板3に伝える役割を果たすとともに、カバープレート11を保持する役割も果たす。サセプタ支持部材31は、支持部材側板31aと支持部材底板31bとを備えており、支持部材側板31aによってサセプタ6が支持されている。ユニット本体30内のサセプタ6の下方にはヒータ5及びリフレクタ12が設けられており、サセプタ6を介して基板3を加熱できるようになっている。中空回転軸15は、サセプタ支持部材31に取り付けられてユニット本体30を支持する。ユニット本体30の支持部材側板31aは上下方向に連続して延在して設けられている。中空回転軸15は、真空容器20の底板22の貫通孔24内に鉛直方向に挿通されている。
【0042】
ヒータユニット13は、図1(b)におけるヒータ5、サセプタ6、リフレクタ12、およびサセプタ支持部材31等を含んだ加熱機構全体を示す。
【0043】
真空容器20の外部に、中空回転軸15を介してヒータユニット13を回転させる回転機構40が設けられている。回転機構40は、サセプタ6上の基板3とカバープレート11を回転させる。また、ヒータユニット13を上下動させる昇降機構(図示せず。)も設けられている。回転機構40は、ヒータユニット13内に固定されたヒータ5の熱分布を均一化するとともに、基板面内(基板表面ともいう)を流れる反応物および非反応物が均一に基板表面にわたるようにするため回転可能部分を回転させる。ここで回転可能部分とは、ヒータユニット13を構成する要素のうち、ヒータ5、リフレクタ12を除く、サセプタ6、サセプタ支持部材31、中空回転軸15、およびカバープレート11である。回転機構40は、ここでは詳しく述べないが、真空隔壁モータなどで構成される。基板表面で異なる二つ以上の反応物が、1回転につき1回、基板表面上で成膜反応し、1原子層の薄膜が形成される。したがって回転速度は、速ければ時間あたりの反応回数が増え、成膜速度が増加してスループットが向上する。しかし、速すぎると成膜反応が十分に起こらなくなるため、適切な速度以下でなければならない。
【0044】
ヒータユニット13に基板受渡しのためのピン14が複数本(図示例では便宜的に1本だけ示されている)設けられる。ピン14は、サセプタ6、ヒータ5、リフレクタ12及び支持部材底板31bに設けられた貫通孔32内を貫通し得るように設けられている。
【0045】
カバープレート11は、反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ、又は基板面内から基板面外へ切替えるスイッチの役割を果たす。カバープレート11は、長径部と短径部とを有する外径が非対称のリングで構成される。常時は反応物又は非反応物を基板面外に供給しているが、回転中心34を回転軸として回転させることにより、基板面外に供給されている反応物又は非反応物を、長径部で遮るとともに、遮られた反応物又は非反応物を長径部で方向転換させて基板面内に誘導する。
【0046】
このカバープレート11は、サセプタ6上に載置されるとともに基板3面内(に反応物又は非反応物の流れを形成することが可能なように構成される。カバープレート11は、ヒータユニット13のサセプタ6の周囲部上にサセプタ6から張り出して支持される。カバープレート11は略環状となっており、その環状穴の中にサセプタ6に支持される基板3がちょうど納まるようになっている。カバープレート11は例えばセラミックスで構成される。カバープレート11の厚さは、図示例では基板3よりも若干薄くなっているが、基板の厚さと同じ、または基板よりも厚くてもよい。
【0047】
カバープレート11は、これを回転させることにより、基板外周の排気コンダクタンスを変化させて、反応物又は非反応物を所定方向に誘導するために、その外径が非対称、例えば非円形で構成されている。図1(a)に示すように、カバープレート11は、楕円形の一部分を切り取ったような形状をしている。これは、二つ以上の反応物供給口7、8および二つ以上の非反応物供給口9、10から供給される反応物又は非反応物のうち、1つ又は2つの供給口から供給された反応物又は非反応物だけがカバープレート11面に接触するような形状に工夫されているためである。
【0048】
図1(a)に示すように、カバープレート11は平面視でリング状をしており、中に基板3が納まる円形の穴54が形成されている。カバープレート11は、その外形が基板3ないしカバープレート11の回転中心34に対して非対称形をして構成されている。非対称のカバープレート11は、半円状の短径部51と、円弧状の長径部52と短径部51及び長径部52をつなぐ直状部53とから構成される。短径部51は、基板3の回転中心34からの距離が最も短い部分であり、その外径がサセプタ6の外径よりも若干大き目に形成される。長径部52は、基板3の回転中心34からの距離が最も長い部分であり、短径部51と反対側に位置して、その外径が容器上側板21aの内壁の径よりも若干小さ目に形成され、径方向に幅広になっている。直状部53は、長径部52と短径部51とをつないでいる。
【0049】
容器上側板21aの内壁とカバープレート11との間に形成される隙間は、基板面外となるヒータユニット13の周囲に設けられた環状排気通路35への開口33を構成する。この開口33の幅は、カバープレート11の外周に沿って変化し、基板外周の排気コンダクタンスを変化させる。短径部51と容器上側板内壁との間の開口部分は、その幅が最も広く、したがって排気コンダクタンスが大きく、カバープレート11より下方への反応物又は非反応物の流れを許容する。長径部52と容器上側板内壁との間の開口部分は、その幅が最も狭く、排気コンダクタンスが小さく、カバープレート11より下方への反応物又は非反応物の流れを規制する。直状部53と容器上側板内壁との間の開口部分は、カバープレート11より下方への反応物又は非反応物の流れを許容するが、その幅が短径部51の場合よりも小さくなり、排気コンダクタンスも小さいので、反応物又は非反応物がカバープレート11表面に沿って直状部53または短径部51に向かう場合には、反応物又は非反応物はコンダクタンスのより大きい短径部51側に誘導される。
【0050】
長径部52は基板面外への流れを遮り、基板面内への流れに切り替える。また、短径部51及び直状部53は、基板面外への流れを許容する。基板面外に向かう反応物又は非反応物の進路を遮ることになる長径部52は、回転中心34から見て、その両側エッジ間の角度に広がりを持っている(図示例の場合、110°に設定されている)。したがって、カバープレート11の回転により長径部52の一端が各供給口7〜10に差し掛かってから、長径部52の他端のエッジまで回転移動する間、各供給口7〜10は長径部52と対面することになり、基板面外への流路が塞がれて、各供給口から供給される反応物又は非反応物は、基板面内に誘導されことになる。図示例の場合、長径部52のエッジ間の角度は供給口間の角度90°よりも大きいので、長径部52は隣り合う供給口7〜10から基板面外への進路を同時に塞ぐことになり、進路を塞がれた隣り合う2つの供給口からの反応物及び非反応物は基板面内に同時に誘導されることになる。
【0051】
図1(a)に示すように、反応室1において各供給口7〜10は、短径部51の外側位置から基板3の回転中心34までを半径とする、基板3の回転中心34の同心円上に配置されることが望ましい。短径部の外側位置とは、基板3の回転中心34からの距離が最も短いカバープレート11の短径部51の外側であって、かつ基板3の回転中心34からの距離が最も長いカバープレート11の長径部52の内側に来る位置である。また、各供給口7〜10のうちの、二つの反応物供給口7、8は、その同心円上において同じ間隔になるように配置されることが望ましい。
【0052】
また、反応室1には、排気バッファとなる排気通路35が形成される。この排気通路35は、カバープレート11と、容器上側板21a内壁と、ヒータユニット13の支持部材側板31a内壁と段差部27とで囲まれた環状空間で構成される。したがって、供給口7〜10から反応室1に供給された反応物又は非反応物は、供給口7〜10から排気通路35への流路がカバープレート11に遮られずに連通したときは、排気通路35を経由して排気口2から排気される。その連通が断たれたときは、反応物又は非反応物は、進路を変更されてカバープレート11上から基板3面内を迂回して流れた後、反対側の排気通路35を経由して排気口2から排気される。
【0053】
図2に示すように、ヒータユニット13は、白抜き矢印で示すように、最下限位置D1、基板受渡し位置D2、カバープレート受渡し位置D3、および成膜位置D4に移動し、各位置において、成膜のために必要な次の動作を行う。
【0054】
まず、図2(a)に示す待機位置である最下限位置D1にヒータユニット13を降ろし、ロボットアーム等(図示せず)により外部から基板搬送口4を介して反応室1に基板3を搬入する。この際、ロボットアーム等を下方に降ろすと、ヒータユニット13に取り付けられている基板受渡しのためのピン14に基板3が移載保持される。なお、ピン14を使用せず、外周保持のためのリング等により、基板を保持してもよい。
【0055】
次に、図示しないロボットアームを反応室1から取り出し、ヒータユニット13を上方に動かすことにより、基板受渡し位置D2に移動すると、基板3はピン14からヒータユニット13の上に移載保持される。さらにヒータユニット13を上方に動かすと、カバープレート受渡し位置D3の段差部27に保持されていたカバープレート11がヒータユニット13上に載置される。この状態でヒータユニット13をさらに上方の成膜位置D4まで移動する。図2(b)にヒータユニットが成膜位置D4に移動した状態を示す。
【0056】
この成膜位置D4で成膜が行われる。カバープレート11を回転することによって、反応室1に2つの反応物AとBとを交互に供給し、その交互に供給する間に、余分な反応物や副生成物を取り除くために非反応物を供給して、基板3上に薄膜を形成させる。上記反応物A、B、及び非反応物は、常時は基板面外から垂直方向下方へ供給されて、排気通路35を通してそのまま排気口2から排気される。反応物A、B、及び非反応物の基板面内への切替え供給は、カバープレート11によって交互に行なわれる。例えば、反応物Bの場合について図3を用いて説明すると、反応物供給口7から垂直方向下方へ供給される反応物Bは、カバープレート11に接触して流れの向きを水平方向に変えられる。太矢印で示すように、基板3面内に供給され、基板3を横切り、コンダクタンスの大きな反対側の反応物供給口8側に流れ、排気通路35を通して排気口2から排気される。他の反応物A、非反応物は、基板面外から直接排気口2へ排気される。
【0057】
成膜が終了すると、図2(a)に示すように、ヒータユニット13を下方へ移動させる。移動途中で、カバープレート受渡し位置D3の段差部27に、カバープレート11を保持させて置き去りにする。さらに下方に移動することにより、ピン14により基板3を保持させ、さらに最下限位置D1まで移動する。この最下限位置D1で、再度、ロボットアームが基板取り出しのため、基板受渡し位置D2より低い高さで反応室1に挿入される。そのアームを上方にすくい上げることにより、基板3をロボットアームに移載保持し、ロボットアームとともに基板3を反応室1から取り出す。
【0058】
次に、カバープレート11を用いた具体的な成膜法を説明する。ALD法を用いて成膜するには、まず、基板3を支持したヒータユニット13を成膜位置D4まで移動する。このとき、非反応物供給口9、10からは、非反応物が反応室1に流されている。次に、ヒータユニット13のうち回転可能部分を回転させ始める。回転速度が定常状態になったら、二つ以上の反応物供給口7、8からも反応物A、Bを交互に流し始める。そして、図4に例示された1サイクルの繰り返しにより成膜がなされる。時計回りに回転するカバープレートは45°毎((a)〜(h))の回転状態が示されている。ここでは、基板上に形成される膜種は金属酸化膜である。反応物供給口7、8から供給する反応物A、Bは、それぞれリモートプラズマ酸素(Remote Prasma Oxygen、以下RPOという)、有機金属原料(MO(Metal Organic)原料、以下単にMOと略す)とし、非反応物供給口9、10から供給する非反応物はN2ガスとする。図4に示す1サイクルは基本的には次の4つのステップ(1)〜(4)から構成される。
【0059】
(1)不要な反応物RPOの排除(図4(a)、(b)、(h))
非反応物N2ガスを基板面内に流して前回サイクルで残留した反応物RPO及び反応副生成物を基板上から排除する。
(2)MO吸着(図4(b)、(c)、(d))
反応物MOを基板面内に流して基板上にMOを吸着させる。
(3)MO排除(図4(d)、(e)、(f))
N2ガスを基板面内に流して残留した反応物MO及び反応副生成物を基板上から排除する。
(4)MOとRPOとを反応させて成膜(図4(f)、(g)、(h))
基板上に吸着されたMOとRPOとを反応させて1原子層だけ成膜させる。
以下、図4(a)〜(h)に示す45°毎の回転状態成膜動作を具体的に説明する。
【0060】
(a)に示すように、回転角0°で、プレート長径部52は第1の非反応物供給口10に対面する位置にある。第1非反応物供給口10から出て直下のサセプタ6外周の排気通路35に向かった非反応物N2は、排気通路35の手前でプレート11の長径部52に当たり排気通路35への進路を遮られる。進路を遮られた非反応物N2は、真空引きにより排気口2を介して排気通路35が常に負圧になっているので、進路を変えられ、矢印に示すようにプレート11の表面に沿って第1非反応物供給口10と対向するコンダクタンスの大きな第2非反応物供給口9側に流れる。プレート11の表面の沿って流れた非反応物N2は基板面内に供給され、基板面内を横断して基板面内上の残留物、例えば前回のサイクルで残留しているRPO(Remote Prasma Oxygen)を排除した後、開口33から排気通路35に流れ込み、排気口2から排気される。なお、このとき第2反応物供給口7、第2非反応物供給口9、及び第1反応物供給口8から出た各反応物RPO、非反応物N2、及び反応物MOは、プレート11に遮られることなく、そのまま供給口直下にある基板面外の開口33を通って排気通路35に流れ込み、排気口2から排気される。
【0061】
(b)回転角45°で、長径部52は第1非反応物供給口10と第1の反応物供給口8の両方に対面する位置に来る。このとき第1非反応物供給口10から導出される非反応物N2の基板面内への供給は維持される。また、第1反応物供給口8から基板面外に流れていた第1の反応物MOは、その流れをプレート11によって基板面内に切替えられ、基板面内に供給されて、基板面上に反応物MOを吸着させる。非反応物N2と第1反応物MOは、排気コンダクタンスの大きな第2反応物供給口7と第2非反応物供給口9との中間に位置する排気通路35に流れ込む。基板面内にMOとN2とが同時に供給されると、同一基板上にあって、MOが流れる基板上の一の部分では吸着が行なわれ、N2が供給される基板上の他の部分では残留物の排除が行なわれる。
【0062】
(c)回転角90°で、長径部52は第1反応物供給口8のみに対面する位置に来る。このとき第1反応物MOの基板面内への供給は維持され、その供給路上に来る基板上の部分へMOの吸着が継続する。第1非反応物供給口10からの非反応物N2の供給は、第1非反応物供給口10の対面部が長径部52から短径部51に変るので、基板面内から基板面外に切り替えられ、非反応物N2はプレート11に遮られることなく、そのまま供給口直下にある基板面外の排気通路35から排気される。
【0063】
(d)回転角135°で、長径部52は第1反応物供給口8と第2非反応物供給口9との両方に対面する位置に来る。これにより第1反応物供給口8からの第1反応物MOと第2非反応物供給口9からの非反応物N2が共に基板面内に供給される。MOが流れる基板上の部分でのMOの吸着が継続される。また、N2が供給される基板上の残りの部分では残留物の排除が同時に行なわれる。
【0064】
(e)回転角180°で、長径部52は第2非反応物供給口9のみに対面する位置に来る。これにより第1反応物MOの基板面内への供給は停止され、MOに代わって第2非反応物供給口9から非反応物N2が基板面内に供給され、基板面内上に残留したMO及び反応副生成物を排除する。なお、第1反応物供給口8からのMOの供給は、第1反応物供給口8の対面部が長径部52から短径部51に変ることにより、基板面内から基板面外へ切り替えられ、カバープレート11に遮られることなく、MOはそのまま第1反応物供給口直下にある基板面外の排気通路35から排気されることになる。
【0065】
(f)回転角225°で、長径部52は第2反応物供給口7と第2非反応物供給口9との両方に対面する位置に来る。これにより第2反応物供給口7からの第2反応物RPOと第2非反応物供給口9からの非反応物N2が共に基板面内に供給される。RPOが流れる基板上のMO吸着部分でRPOがMOと反応して膜を形成する。また、N2が供給される基板上の他の部分では引き続き残留物の排除が行なわれる。
【0066】
(g)回転角270°で、長径部52は第2反応物供給口7のみに対面す位置に来る。これにより第2反応物供給口7からの第2反応物RPOが基板面内に供給され、反応・成膜を継続する。
(h)回転角315°で、長径部52は第2反応物供給口7と第1非反応物供給口10との両方に対面する位置に来る。これにより第2反応物供給口7からの第2反応物RPOと第1非反応物供給口10からの非反応物N2が共に基板面内に供給される。RPOが流れる基板上のMO吸着部分では反応・成膜が継続する。また、N2が供給される基板上の他の部分では同時に残留物の排除が行なわれる。
【0067】
上述した(a)〜(h)の動作を1サイクルとして、所定の膜厚に達するまで、複数サイクルの処理を行う。ここで回転速度は、例えば、第1反応物MO供給時間を0.5秒、非反応物N2供給時間を0.5秒、第2反応物RPO供給時間を0.5秒、非反応物N2供給時間を0.5秒とし、1サイクルを2秒程度で行うようにする場合、2秒で1回転(30rpm)とするのがよい。なお、サイクル時間を縮める必要がある場合は、回転速度を速くすればよい。
【0068】
また、供給口配置、成膜原料および成膜条件は次の通りである。例えば、反応物が2種類の場合は、「反応物A」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」の順に基板表面にさらせばよいので、図1〜図4のように供給口7〜10を4つ、回転中心34を中心軸として90度毎に容器上板23の周囲に配置すればよい。この構成で、例えばハフニア(酸化ハフニウム:HfO2)を成膜する場合、反応物Aとしてテトラキスジエチルアミノハフニウム(Hf(N(C2H5)2)4:TDEAHfと略す)を、反応物Bとしてリモートプラズマ酸素(RPO)またはオゾンを、そして非反応物として窒素N2をそれぞれ用いればよい。
【0069】
反応物Bにリモートプラズマ酸素(RPO)を用いた場合の成膜条件は次の通りである。TDEAHfは、液体原料なので、別途気化器により、気化させられている必要がある。流量については、例えば、反応物Aとしては、TDEAHfを、0.1〜0.01g/minを気化させ、窒素1SLMで希釈する。反応物Bとしては、Ar:1SLMに対して、0.1SLMの酸素O2を添加したものをリモートプラズマ源(図示せず)に導入して、リモートプラズマ酸素(RPO)を発生させる。非反応物としては、二つの供給口9、10から、それぞれ1SLMのN2を流す。それぞれの流量は、反応物AおよびBの性質や、排気に用いるポンプの性能によって変わる。
【0070】
また、このときの反応室1の圧力は、反応物A、Bおよび非反応物の流量によっても変わるが、1〜1000Paが用いられる。基板3の温度は、反応物A、Bの性質によって変わるが、おおむね250〜450℃の範囲が用いられる。ALD法の場合、「反応物A」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」の1サイクルで、0.5〜1.0Åの膜厚が得られることから、1回転でこの膜厚が得られると考えてよい。ハフニア(HfO2)で構成するゲート酸化膜の場合、通常30Å程度が用いられることから、基板3を60〜30回転させることで、所望の膜厚が得られる。1時間に成膜すべき基板3の枚数は、他の工程とも関係が深いことから、ただ多ければよいわけではないが、一般的に10〜20枚/時間の生産能力があればよいといわれている。20枚/時間で考えた場合、1枚処理するのに、つまり、「反応室への基板搬送」→「昇温」→「成膜」→「降温」→「基板の取り出し」に3分の時間が使えることから、成膜までと、成膜後から基板の取り出しを経て次の基板の搬送直前までとに、それぞれ1分要したとして、成膜に要する時間に1分間を割り当てることができる場合、30〜60rpmで回転機構40を回転させればよいことになる。
【0071】
ところで、反応物が2種類ではなく3種類の場合には、図5に示すように、反応物供給口を3つ設けて、3種類の反応物を用いようにすることも可能である。反応物供給口が3つ設けられていると、3種類の反応物をサイクリックに供給できる。この場合、3つの反応物供給口37〜39は120°間隔で配置し、各反応物供給口37〜39との間に3つの非反応物供給口41〜43を120°間隔で配置するとよい。このように反応物を3種類用いる場合には、一般的には供給口は6つでよい。
【0072】
しかし、反応物を3種類用いる場合であっても、特に「反応物A」および「反応物C」が「反応物B」と成膜反応を起こすときは、「反応物A」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」→「反応物C」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」の順に、これらを基板表面にさらす必要がある。したがって、このような場合には、図6のように供給口を8つ、回転中心を中心として45度毎に容器上板23に、上記の順にしたがって配置することが好ましい。この構成で、例えば、ハフニウムシリケート(HfxSiyOZ)を成膜する場合、反応物AとしてTDEAHfを、反応物Bとしてリモートプラズマ酸素やオゾンを、反応物Cとしてテトラキスジメチルアミノシリコン(Si(N(CH3)2)4:TDMASと略す)を、そして非反応物として窒素N2をそれぞれ用いればよい。
【0073】
反応物Bにオゾンを用いた場合の成膜条件は次の通りである。TDEAHfおよびTDMASは、液体原料なので、別途気化器により、気化させられている必要がある。流量については、例えば、反応物A、Cとしては、TDEAHfおよびTDMASを、0.1〜0.01g/minを気化させ、窒素0.5〜5SLMで希釈する。反応物Bとしては、N2:0.5〜5SLMに対して、0.1〜3SLMの酸素をオゾナイザに通して導入する。非反応物としては、3つの非反応物供給口から、それぞれ、0.5〜5SLMのN2を流す。それぞれの流量は、反応物AおよびCの性質や、排気に用いるポンプの性能によって変わる。
【0074】
また、このときの反応室1の圧力は、反応物A、Cおよび非反応物の流量によっても変わるが、1〜1000Paが用いられる。基板温度は、反応物の性質によって変わるが、おおむね250〜450℃の範囲が用いられる。ALD法の場合、「反応物A」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」のサイクルおよび「反応物C」→「非反応物」→「反応物B」→「非反応物」のサイクルで、0.5〜1.0Åの膜厚が得られることから、1回転でこの2倍の膜厚が得られると考えてよい。ここで、反応物AおよびCを同程度の希釈量および流量で、均一な速度で回転させた場合、反応物AおよびCの元素の組成比は、1:1に近くなることが予想される。このような3元素系の薄膜を成膜し、その組成を制御しなければならない場合は、反応物AおよびCの希釈量や流量を制御しなければならない。
【0075】
上述した説明では、3種類の反応物を用いた成膜を行う場合、6つ又は8つの供給口を配置する装置構成としたが、図1、2に示した装置構成においても、3種類の反応物を用いた成膜が可能である。「反応物A」および「反応物C」が「反応物B」と成膜反応を起こす場合は、図1の反応物Aを流す反応物供給口8より、反応物AとCを最適な混合比で流す方法をとることができる。ただし、反応物AおよびCと、反応物Bの反応速度の違いがあるため、流量比がそのまま組成比にはならないので注意しなければならない。
【0076】
あるいは、上述した反応物AとCを最適な混合比で流す方法のほかにも、回転に同期して、反応物Aあるいは反応物Cだけを、それぞれ必要回数、所望の組成比になるように流す方法を取ることができる。具体的には、非円形のカバープレート11のガスの流れを基板表面に作るように幅広になった長径部52が、反応物AおよびCの反応物供給口8を通り過ぎたあと、反応物AあるいはCを切り替えることによって行う。たとえば、所望の膜厚を得るために30回転必要であり、必要なAとCの比率が2:1の場合、その切替のシーケンスは、A−A−C−A−A−Cと繰り返せばよい。すなわち、1回転目にA、2回転目にA、3回転目にC…という具合に流すとよい。
【0077】
ところで、上述した実施の形態ではALD法によって成膜を行う場合について説明している。しかし、本発明は、ALD法に限定されない。通常のMOCVD原料が自己分解する温度帯での「MOCVDによる成膜」と「リモートプラズマを用いた改質処理」の繰り返しにも適用できる(ここでは、これをMRCVD法という)。もっとも、ALD法による成膜が行なわれる温度帯、すなわち「原料の吸着」と「原料と反応を起こす反応物の供給」の繰り返しに対して用いるのがより好ましい。成膜の温度帯をCVD成膜温度領域(600〜800℃)とする場合、基板面内で膜厚差が発生する可能性があるが、ALD成膜温度領域(250〜450℃ないし300〜600℃)とする場合、吸着がメインとなるので基板面内での膜厚均一性は確保できるからである。なお、ALD法もMRCVD法も、原料ガス供給とRPO供給とを複数回繰り返すという点では同じであるが、MRCVD法の方は、原料ガス供給時に膜が形成されるのに対し、ALD法の方は原料ガス供給時は原料ガスが基板表面に吸着するだけであり、RPO供給の時にはじめて膜が形成される。したがって、温度を低くすると、吸着がメインとなるALD法となり、温度を上げていくとMRCVD法となる。
【0078】
さて、上述した実施の形態の方法は、カバープレート11と基板3とが一体になって、つまり基板3を保持するサセプタ6が同時に回転する機構であったが、カバープレート11と基板3を独立させて回転させる方法が有効な場合もある。たとえば、反応物を2種類用いた成膜時に、カバープレート11が1回転する間に、基板を4×n回転させた場合、反応物AおよびBに基板をさらしている間、n回転していることになる。基板3とカバープレート11が一体になって回転する場合は、前述したように、通常のMOCVD原料が自己分解する温度帯での「MOCVDによる成膜」と「リモートプラズマを用いた改質処理」の繰り返しよりは、ALDによる成膜が行われる温度帯、すなわち「原料の吸着」と「原料と反応を起こす反応物の供給」の繰り返しに対して用いるのがより好ましい。しかし、カバープレート11と基板3を独立させて回転させる方式の場合、成膜の温度帯をCVD成膜温度領域とする場合でも、原料の流れ方向が1方向ではなくなる。したがって、基板面内で膜厚差が発生する可能性がなくなり、基板面内での膜厚均一性が確保できるようになるので、「MOCVDによる成膜」と「リモートプラズマを用いた改質処理」の繰り返しにも用いることができるようになる。
【0079】
基板3とカバープレート11を独立に回転させる場合の態様として、例えば、基板3は連続的に回転させ、カバープレート11は、断続的に回転させる方法が有効である場合もある。この場合、非円形のカバープレート11のガスの流れを基板表面に作るように幅広になった長径部52が供給口の下に来て、供給口と対面した時、カバープレート11を数秒〜数十秒間、つまり基板3が1回転以上する間停止させる。この間十分に基板表面にガスを供給した後、再びカバープレート11を回転させて次の供給口の下に移動させることにより、膜厚の均一性が確保できる。
【0080】
また、基板3とカバープレート11を独立に回転させる場合の他の態様として、基板3とカバープレート11の回転方向は同じであるが、基板3の回転に対してカバープレート11の回転を遅らせるようにしたり、あるいは基板3の回転方向と反対方向にカバープレート11を回転するようにしても、膜厚の均一性が確保できると考えられる。
【0081】
カバープレート11と基板3すなわちヒータユニット13とを一体回転させる場合には、図8に示す回転機構を用いることができる。また、カバープレート11とヒータユニット13とを独立して回転させる場合には、図9に示す回転機構を用いることができる。
【0082】
図8はカバープレートとヒータユニット13とを一体回転させる回転機構40の概略図である。図中の円でくくった部分に回転機構40としての真空隔壁モータが設けられる。真空容器20の底板より取り出された中空回転軸15は、その下部が中空回転軸15を覆う固定筒体61にベアリング軸受(図示せず)を介して回転自在に軸支されるように構成される。固定筒体61の下部は昇降台66に支持される。固定筒体61の上部は、真空容器20の底部にベローズ64を介して気密に連結される。昇降台66は、固定筒体61の他に、ヒータユニット13から回転軸15内を垂下しているヒータ支持部材56、及びリフレクタ支持部材57も支持している。昇降台66はガイドロッド65に沿って昇降するように構成される。昇降台66とガイドロッド65とからヒータユニット13を昇降させるエレベータが構成される。固定筒体61には筒状の電磁石用コイル62が、固定筒体61に軸支された中空回転軸15には筒状の永久磁石63がそれぞれ取り付けられる。この電磁石用コイル62と永久磁石63とから真空隔壁モータが構成される。エレベータによってヒータユニット13が昇降し、真空隔壁モータによってヒータユニット13が回転する。
【0083】
図9はヒータユニット13とカバープレート11とを独立回転させる回転機構67の概略図である。回転機構67は、ヒータユニット13を回転させる第1の回転機構68と、カバープレート11を回転させる第2の回転機構69とを備える。第1の回転機構68は、図8に示した回転機構40と同様に、第1の電磁石用コイル62と第1の永久磁石63からなる第1の真空隔壁モータで構成されて、中空回転軸15を回転させてヒータユニット13を回転する。第2の回転機構69は次のように構成される。カバープレート11をヒータユニット13とは別体の筒状カバープレート支持部材70で支持する。この筒状カバープレート支持部材70を、中空回転軸15の外周に沿って、真空容器20の底板より取り出す。真空容器20の底板より取り出された筒状カバープレート支持部材70は、その下部が筒状カバープレート支持部材70を覆う固定筒体61にベアリング軸受(図示せず)を介して回転自在に軸支されるように構成される。固定筒体61には、第1の筒状電磁石用コイル62に加えて第2の筒状電磁石用コイル72が、固定筒体61に軸支された筒状カバープレート支持部材70には第2の筒状永久磁石73がそれぞれ取り付けられる。第2の回転機構69は、この第2の電磁石用コイル72と第2の永久磁石73とからなる第2の真空隔壁モータで構成されて、この第2の真空隔壁モータによってカバープレート支持部材70を回転させて、カバープレート11を回転させる。
【0084】
なお、上述した回転機構40をはじめとした各種の制御は、図15に示す制御手段48によって行っている。制御手段48は、回転機構40、反応物又は非反応物を供給する各供給口に通じる供給ユニット44、45、およびポンプ47に通じる排気口2に設けた排気コンダクタンス制御手段46を統括制御する。
【0085】
制御手段48では、複数の反応物供給口及び複数の非反応物供給口が、共に反応室内でヒータユニットに支持される基板の面外に対して反応物又は非反応物を供給するよう構成されるものであり、カバープレート11が、ヒータユニットの周囲に設けられた排気通路を部分的に遮ることが可能なようにカバープレート11の回転中心に対して非対称に形成される場合に、カバープレート11を回転させて、排気通路を部分的に遮ることで反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えることが可能なような制御も行う。制御手段48では、カバープレート11を回転させて、複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から反応室内に供給される反応物をヒータユニット上に支持される基板の面内に供給し、複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から反応室内に供給される反応物を基板ヒータユニット上に支持される基板の面外に供給することが可能なような制御も行う。
【0086】
制御手段48では、反応室内に設けた回転可能なヒータユニット上に基板を支持し、基板を支持したヒータユニット上に、回転中心に対して外形が非対称に形成されたカバープレート11を載置し、複数の反応物供給口、及び複数の反応物供給口の間に設けられた複数の非反応物供給口から、反応物及び非反応物を基板の面外に対してそれぞれ供給し、反応室内に供給される反応物及び非反応物を、ヒータユニットに支持される基板の面外となるヒータユニットの周囲に設けられた通路であって、カバープレート11によって部分的に遮られることが可能な排気通路から排気し、ヒータユニットを回転することによりヒータユニット上に載置された非対称に形成されたカバープレート11の回転によりヒータユニットの周囲に設けられた排気通路を部分的に遮ることで、反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えるようにする制御も行う。
【0087】
制御手段48では、カバープレートを断続的に回転させる制御も行う。制御手段48では、基板に対するカバープレート11の回転速度または回転方向を異ならせる制御も行う。制御手段48では、基板に対するプレートの回転速度を遅らせたり、基板の回転方向と反対方向にカバープレート11を回転させたりする制御も行う。制御手段48では、カバープレート11の回転に連動して少なくとも反応物の供給量を調節する制御も行う。制御手段48では、カバープレートが反応物供給口と対面せずに反応物が基板面外に供給されるときの反応物の流量を、カバープレート11が反応物供給口と対面して反応物が基板面内に供給されるときの反応物の流量よりも少なくする制御も行う。制御手段48では、プラズマ発生器により少なくとも一つの反応物を活性化させて反応室に供給する制御も行う。制御手段48では、プラズマ発生器では常にArプラズマを形成しつつ反応物供給口から反応室へ供給した状態としておき、カバープレート11がこの反応物供給口と対面して、この供給口から基板上に反応物を流すときに、Arプラズマ中に反応物を添加し反応物を活性化させて供給する制御も行う。制御手段48では、カバープレート11を一体に設けたヒータユニットを回転する制御も行う。制御手段48では、基板表面より下方であって複数の反応物同士が混合するヒータユニットの周囲領域の温度を100℃以下に保つ制御も行う。そして、制御手段48では、一つの反応物を基板上に供給して吸着させる工程と、基板上に吸着させた反応物に対して他の反応物を供給して反応を起こさせて膜を形成する工程とを複数回繰り返すことにより所望の膜厚の膜を基板上に形成する制御も行う。
【0088】
ところで、図3(b)にも示すように、カバープレート11の回転により反応物A、Bを切替え制御すると、基板3上を横切ってきた反応物Bが反応物Aと合流するので、反応物Aと反応物Bとが基板表面以外の部分で混ざる可能性がある。この場合、気相での反応物Aと反応物Bとの混合により反応が起こり、気相中でパーティクルを形成する恐れがある。このパーティクルが半導体装置の回路パターン上に残ると、半導体装置が動作しなくなる原因になるため、混合を避けるか、パーティクルの発生を抑えるか、発生しても基板表面に付着させないようにする必要がある。大部分の場合は、基板表面以外の部分は非加熱部分での混合であり、その部分での温度は、原料が反応する温度以下になっているため、2つの反応物間の反応が起こることはなく、パーティクルが発生する可能性は低く問題にならない。このことは、反応性の高い反応物の場合であっても同様である。仮に、2つの反応物間の反応が激しく起こり、パーティクルの発生を抑える必要がある場合には、反応物A、B間に非反応物バリアを作って、混合を防止することが好ましい。
【0089】
図10は、そのような非反応物バリアを作る実施の形態を示す。反応物供給口7とヒータユニット13の外周との間に、非反応物を供給する第3の非反応物供給口19を設ける。ここで、ヒータユニット13の外周は、基板面外であって、基板3の面内に供給された反応物Aが基板3を横切って流れ込む排気通路35を構成する。第3の非反応物供給口19は、例えば反応物供給口7に隣接して設けることができる。なお、反応物供給口8についても同様に第3の非反応物供給口を設ける。非反応物としてはN2を使用するとよい。反応物供給口7に隣接して設けた第3の非反応物供給口19から非反応物を供給すると、反応物供給口8から基板3の面内に供給されたのち排気通路35より排気される反応物Aと、反応物供給口7から基板3の面内に供給されずに直接排気通路35より排気される反応物Bとが、ヒータユニット13の周囲で混合されようとしても、両反応物A、B間に非反応物のバリアが形成されるので、反応物A、Bの混合を防止して反応を起こさないようにすることができる。
【0090】
このように、第3の非反応物供給口19を設けることによって、非反応物バリアを作ることにより、2種類の反応物A、Bの混合を避け、パーティクルの発生を抑えることができる。もっとも、バリアを設けた場合であっても、その下方で反応物Aと反応物Bとが混合する可能性がある。AとBが混合される可能性があるヒータユニット13の周囲領域の温度は、通常、100℃程度以下の低温となっているので、それほど激しい反応は起こらない。よって、そのような低温領域で反応物AとBが混ざっても、問題となる程のパーティクルは発生しないと考えられる。
【0091】
上述した例では、パーティクルが基板に付着しないように、2種類の反応物間にバリアを形成するようにしてパーティクルの発生を防止している。しかし、パーティクルが発生しても、それが基板に付着しなければ、かならずしもパーティクルの発生を防止する必要はない。例えば、2種類の反応物の混合を基板表面よりも下方の位置で起こるようにすれば、気相中で形成されたパーティクルが基板表面に付着することを避けることが出来る。図11はそのような構成例を示したものである。反応物供給口7、8を基板面よりも下方に配置させている。そのために、カバープレート11を立体的に変形させ、反応物供給口7、8がカバープレート11と干渉しないようにしている。
【0092】
反応物供給口7、8を基板3の表面より下方に設けると、反応物供給口8から基板3の面内に供給された後、排気通路35より排気される反応物Aと、反応物供給口7から基板3の面外から直接排気通路35より排気される反応物Bとが、ヒータユニット13の周囲で混合してパーティクルを発生しても、発生場所が基板表面より下方になるので、基板表面へのパーティクルの付着を低減できる。また、カバープレート11をこれと基板3の表面より下方に設けた反応物供給口7、8とが干渉しないような構成としたので、カバープレート11の円滑な回転を確保できる。
【0093】
カバープレート11と反応供給口とが干渉しないような構成としては、例えばカバープレート11の外周を水平方向に延在させるのではなく、折り曲げて下方に延在させたり、カバープレート11の外周に凹部を設けたりするとよい。図12に、そのようなカバープレート11の立体的な変形例を示す。(a)のものは、カバープレート11の短径部の外周は単に下方に折り曲げているだけだが、長径部の外周は略L字状にダウンセット加工している。(b)のものは、さらに折返し部を設けて長径部にチャンネル状の凹みを形成している。(c)のものは(b)の折曲部にRを付けている。
【0094】
上述した例では、基板面外での反応物又は非反応物の流れを規制するために、カバープレートを変形するようにしたが、基板面内での反応物又は非反応物の流れを規制するためにカバープレートを変形してもよい。例えば、上述した実施の形態では、同時に2つの供給口を遮るようにしたが、遮る供給口は1つでもよい。この場合、図14、図7に示すように、カバープレート11上にガスの流れを作るための側壁からなるガイド16を設けるようにしても良い。図14に示すものは、カバープレート11の短径部から長径部に直状部に沿って対向するガイド16を備える。これによりガイド16間に一方向のチャネルが形成されため、基板上を同時に流れる反応物又は非反応物を1種類に限定することができる。また、図7に示すガイドは、短径部から長径部にかけて対向するガイド16を備えている点では、図14のものと同様であるが、特に、図6に示す装置例における8つの供給口の配置に合わせてガイド16に曲面を持たせ、8つの供給口があっても、基板上を同時に流れるガスを1種類に限定することができるように構成してある。このようにガイドを設けることによって、カバープレート11上に反応物及び非反応物の流れを規制するチャンネルが形成されるので、所望の反応物及び非反応物のみを基板面内に確実に誘導することができる。
【0095】
また、上述した実施の形態では、真空容器20に排気口2を1つだけ設けたうえで、非円形のカバープレート11によって変化する基板外周の排気コンダクタンスを利用して、基板上に反応物又は非反応物を誘導するようにしている。この誘導をより効果的にするために、排気口2を複数設けることも可能である。例えば、図16に示すように各反応供給口7、8の向かい側に互いに排気口2が配置されるようにする。反応物Bを流す反応物供給口7を排気口2Aと相対させ、反応物Aを流す反応物供給孔8を排気口2Bと相対させる。反応物A、Bは、排気口2Aに強く引き込まれため、反応物Aは排気口2Aに直ちに排気され、反応物Bは、基板上を通って排気口2Aに排気される。したがって、排気口2を1つ設けた場合に比べて、反応物供給口7から供給される反応物を拡散させることなく基板上に確実に誘導することができる。
【0096】
なお、図16の装置において、反応物供給口7の下方に非円形のカバープレート11が位置して、基板表面上を反応物が流れる位置にある場合、その反応物供給口7の下方に位置する排気口2Bをバルブにより閉じることにより、反応物の流れをいっそう作りやすくしてもよい。
【0097】
また、実施の形態では、成膜に寄与するときと寄与しないときとにかかわらず、常に所定の流量の反応物A、Bを反応室に供給している。この場合、成膜に寄与しない反応物を供給する時は、その反応物の供給量を低減することができれば、反応物資源の節約を図ることができる。そのようにするために、例えば、カバープレート11の回転に連動して反応物供給量を制御するとよい。例えばカバープレート11が反応物供給口8と対面せず、反応物Aが基板3上に流れないときの反応物の流量を、カバープレート11が反応物供給口8と対面して、反応物Aが基板3上に流れるときの反応物の流量よりも少なくなるよう制御する。これにより反応物資源の有効利用が図れる。
【0098】
また、前述した例でも述べた通り、複数種の反応物のうち、少なくとも一つの反応物はプラズマにより活性化する場合がある。反応物を活性化させて供給すると、反応物を低温でも反応させることができるので、処理温度を低温化できるからである。この場合、反応物プラズマを供給する反応物供給口と連通するプラズマ発生器を設け、このプラズマ発生器により反応物を活性化させて反応室に供給するように構成することが好ましい。この場合、反応物を常時活性化しておき、この活性化した反応物を常時反応室に供給するようにすることも可能である。しかし、成膜に寄与しない時にも、活性化した反応物を供給することは不用意に成膜させる可能性がある。したがって、成膜に寄与するときだけ、反応物を活性化して反応室に供給することが好ましい。
【0099】
このような構成例を図17に示す。例えば反応物供給口7に通じるプラズマ発生器49に、アルゴンArと反応物Bとを供給できるようする。Arはプラズマ生成用のガスであって、常時プラズマ発生器49に供給されてArプラズマを反応物供給口7から反応室に供給するようになっている。これに対して、反応物Bはカバープレート11の回転に応じて開閉制御されるバルブを介してプラズマ発生器49に供給されるようになっている。
【0100】
これによれば、反応物Bを供給しないときはバルブは閉じておく。常時アルゴンArをプラズマ発生器49に供給してArプラズマを形成し、このArプラズマを反応物供給口7から反応室へ供給した状態としておく(図17(a))。カバープレート11が反応物供給口7と対面して、この供給口7から基板3上に反応物Bを流すときに、バルブを開いてプラズマ発生器49に反応物Bを供給して、Arプフズマ中に反応物Bを添加し、活性化された反応物Bを反応室に供給さする(図17(b))。これにより、基板面内に供給するときのみ反応物を活性化して供給しているので、反応物を常時活性化した状態で供給している場合と比べて、基板処理に寄与しないときの反応物の反応を低減することができる。
【0101】
また、実施の形態ではカバープレートを、基板外周のコンダクタンスを均一化させないで調節変化させるために非円形としたが、この非円形の態様として種々の形状が考えられる。また、非円形に限定されない。カバープレートについては、例えば、つぎのような種々の構成とすることが考えられる。
【0102】
カバープレートの形状は、外径を非円形としたり、回転中心とプレートの重心が一致しない形状としたり、さらには回転中心からプレート外周までの距離が一定ではない周辺を有する非対称な形とすることができる。また、プレートの形状は、一つまたは一部の反応物供給口と対面するときはその他の反応物供給口と対面しない形状とする。また、反応物、非反応物の区別なく、一つまたは一部の供給口と対面するときはその他の供給口と対面しない形状とすることができる。又は、一つまたは一部の反応物供給口からの反応物の流れを基板に向けるときはその他の反応物供給口からの反応物の流れを基板に向けない形状とすることもできる。さらには、反応物、非反応物の区別なく、一つまたは一部の供給口からのガスの流れを基板に向けるときはその他の供給口からのガスの流れを基板に向けない形状とすることもできる。
【0103】
非対称形のプレートにあっては、回転中心からの距離が長い長距離周辺部と、回転中心からの距離が短い短距離周辺部とを持つことができる。プレートが、回転中心からの距離が一定でない周辺を有する非対称な形で形成されている場合には、プレートが回転して、一つ又は一部の反応物供給口又は非反応物供給口が、プレートの回転中心からの距離が長い長距離周辺部に対面すると、一つ又は一部の反応物供給口又は非反応物供給口からの基板面外に供給される反応物又は非反応物が長径部に当たって進路を変更させられるため、反応物又は非反応物は基板面外から基板面内に供給される。他の又は残りの反応物供給口又は非反応物供給口が、プレートの回転中心からの距離が短い短距離周辺部に対面すると、他の又は残りの反応物供給口又は非反応物供給口から基板面外に供給されていた反応物又は非反応物は、進路を変更されることなく、そのまま基板面外に供給される。
【0104】
長距離周辺部と短距離周辺部とを径のことなる2つの円弧部で構成することができる。この場合、長距離周辺部は長径部52となり、短距離周辺部は短径部51となる。プレート11の長径部52と短径部51とは、例えば、長径部52の円弧の長さを短くして短径部51に直線状に繋ぐことができる。また、回転中心34からみて長径部52の輪郭の回転軌跡は、短径部51の輪郭のそれよりも外側に出るため、長径部52は出っ張り部を構成することになる。また、この出っ張り部が反応物供給口7、8又は非反応物供給口9、10と対面する部分となり、非出っ張り部は対面しない部分となる。出っ張り部が反応物供給口又は非反応物供給口と対面すると、反応物または非反応物の基板面外となる排気通路35への流路が塞がれるとともに、反応物または非反応物の流れを基板面内に誘導する。
【0105】
また、反応物供給口又は非反応物供給口と対面するカバープレート11の表面には、反応物又は非反応物を受け流す受流し部を形成し、反応物又は非反応物が受流し部に接触すると、反応物又は非反応物が受けながされて基板面内へ流れるように構成するとよい。この受流し部はプレートの厚さを外側から内側に向かって漸次薄くする曲面で形成することができる。なお、カバープレート11側に変形を加えずに、反応物供給口をプレート面に対して少し傾けて、プレート面に対して斜めに当てるようにしてもよい。又は、プレートの表面に反応物又は非反応物の流れが変化する流れ変化部を形成し、反応物又は非反応物が流れ変化部に当たると、反応物又は非反応物の流れが基板面外から基板面内に変化するように構成するとよい。
プレートが回転することにより、出っ張り部は各供給口に順番に対面する。また、受流し部は各供給口からの反応物又は非反応物に順番に接触する。更に、流れ変化部は、各供給口からのガスの流れを順番に変える。ガスの流れを順番に変える場合、プレートが回転することにより、各供給口からのガスの流れを一種類または一部種類ずつ順番に基板上に向けるようにすることが好ましい。
【0106】
また、カバープレートは非円形でなくてもよい。例えば、図13に示すように、カバープレート11の外形は円形として、外周に長孔55を形成した部分と、長孔55を設けずに塞いだ部分とを設けるようにすることができる。プレート11が回転して、長孔55が供給口と対面すると、反応物又は非反応物は基板面外に供給される。長孔55が塞いだ部分と対面すると、反応物又は非反応物は基板面内に供給される。
【0107】
なお、実施の形態では、各供給口7〜10は、単一口で構成したが、各供給口7〜10に複数の小孔29を設けるようにしてもよい。小孔29は、例えば、図18(a)に示すように、各供給口7(8〜9、58)の端部にチャンバ28(58)を取り付け、チャンバ底壁に複数の小孔29を設ける。供給口7からチャンバ28に供給し、複数の小孔29からシャワー状に供給させると、各反応物又は非反応物を均一に反応室内に供給できる。
【0108】
小孔付きの供給口は、例えば、図18(b)のように、反応物供給口7、8のみとしたり、図18(c)のように非反応物供給口9、10にも適用したり、あるいは図18(d)のように気相バリア形成用非反応物供給口58に適用したり、更には、図18(e)のように全ての供給口に適用してもよい。
【0109】
また、上記の実施の形態では、カバープレートをヒータユニットと別体に設けて構成したが、かならずしも別体である必要はない。サセプタあるいはヒータユニットそのものを非円形にしてカバープレートの機能を持たせることも可能である。このようにしてもコンダクタンスを変化させ、ウェーハ外周方向へのガスの流れを作ることができる。例えば、図5に示すように、ヒータユニット13を長円形のような形にして、ヒータユニット13にカバープレート11の機能をもたせても良い。このヒータユニット13の形状は、ガスの供給口7〜10の数を基に、ガス流のシミュレーションにより求められる。またこの場合、カバープレートの受渡しがなくなるので、段差部を真空容器内に設けなくてもよい。したがって、基板処理装置の構造を簡素化できる。なお、既に説明した図6の装置においても、サセプタあるいはヒータユニット13を非円形にして、カバープレートを一体化して構成している。
【0110】
上述したように実施の形態による装置は、真空容器である反応室と気体反応生成物および過剰反応物を排出する排気口だけでなく、基板を搬送することができる基板搬送口を有する反応室に、前記基板を保持し、かつ交互に供給される気相反応物を基板上で表面反応させるための熱源であるヒータからの熱を基板に伝えるサセプタおよび反応物を供給する供給口と非反応物を供給する供給口を有する。このような装置において、さらに、サセプタ上の基板の周りに装備された非円形で略楕円形をしたカバープレートを備える。サセプタが回転することにより、略楕円形のカバープレートのサセプタよりも円周方向に広がった部分が、サセプタの外周部よりも外側上方に位置する二つの供給口から下方に流れる反応物の流れを交互に変えて基板表面に反応物の流れを形成することができる。基板上に表面反応を起こさせ、サセプタの回転速度に依存して、薄膜の形成速度を制御することができ、高速な成膜が可能になる。高速バルブ切替等により交互に供給する必要がなくなる。また、反応室に供給する反応物や非反応物の流量を頻繁に流量制御機構で制御する必要もなく、その制御機構の寿命の問題もなくなる。その結果、一般的に要求されているスループットやMTBFを達成することができる。特に、本装置は、半導体装置およびディスプレイユニットなどの薄膜形成が必要な装置の薄膜の製造に有用である。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、バルブの切替えによらず、プレートの回転によって、反応物又は非反応物を切替えることができる。また、プレートの高速回転によって、反応物又は非反応物を高速に切替えることができる。したがって、制御が容易で安価に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態による基板処理装置の構成図であって、(a)は容器上板を取り去った平面図、(b)は縦断面図である。
【図2】実施の形態によるヒータユニットの昇降説明図であって、(a)はヒータユニットが下降して待機位置にあるときの図、(b)はヒータユニットが上昇して成膜位置にあるときの図である。
【図3】実施の形態によるカバープレートによる反応物Bの流れを示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】実施の形態によるカバープレートの回転推移による反応物、非反応物の流れの切替えを示す説明図である。
【図5】実施の形態による反応物供給口及び非反応物供給口をそれぞれ3つづつ有する装置を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図6】実施の形態による供給口を8つ有する装置を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図7】実施の形態によるカバープレートのガイドを示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図8】実施の形態による真空隔壁モータを用いた回転機構を示す概略図である。
【図9】実施の形態によるサセプタとカバープレートを別回転させるための回転機構示す概略図である。
【図10】実施の形態による気相バリアの説明図である。
【図11】実施の形態による供給口に対するカバープレートの干渉防止の説明図である。
【図12】実施の形態による干渉防止手段の各種説明図である。
【図13】実施の形態によるカバープレートの変形例を示す平面図である。
【図14】実施の形態によるカバープレートのガイドを示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図15】実施の形態による基板処理装置の制御系の説明図である。
【図16】実施の形態による排気口を対向して配置した説明図である。
【図17】実施の形態による反応物プラズマを供給する方法を示した説明図であり、(a)はアルゴンプラズマを流している図、(b)は反応物Bプラズマを流している図である。
【図18】実施の形態による複数の小孔を設けた供給口の説明図であって、(a)は小孔付供給口の斜視図、(b)〜(e)は小孔付供給口の取付け状況を示す図である。
【符号の説明】
3 基板
1 反応室
13 ヒータユニット(支持台)
11 カバープレート
40 回転機構
7、8 反応物供給口
9、10 非反応物供給口
35 排気通路
Claims (5)
- 基板を処理する反応室と、
前記反応室内で前記基板を支持する支持台と、
前記基板の周囲に載置されるプレートと、
基板支持台上の基板と前記プレートとを回転させる回転機構と、
前記反応室内に反応物を供給する複数の反応物供給口と、
前記複数の反応物供給口の間に設けられ前記反応室内に非反応物を供給する複数の非反応物供給口と、
前記支持台に支持される基板の面外となる前記支持台の周囲に設けられて、前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を排気する排気通路と
を備えた基板処理装置であって、
前記複数の反応物供給口及び前記複数の非反応物供給口は、共に前記反応室内で前記支持台に支持される基板の面外に対して前記反応物又は前記非反応物を供給するよう構成されるものであり、
前記プレートは、プレートの回転中心に対して非対称に形成されるものであることを特徴とする基板処理装置。 - 基板を処理する反応室と、
前記反応室内で前記基板を支持する支持台と、
前記基板の周囲に載置されるプレートと、
前記支持台上の基板と前記プレートとを回転させる回転機構と、
前記反応室内に反応物を供給する複数の反応物供給口と、
前記複数の反応物供給口の間に設けられ前記反応室内に非反応物を供給する複数の非反応物供給口と、
前記支持台に支持される基板の面外となる支持台の周囲に設けられて前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を排気する排気通路と
を備えた基板処理装置であって、
前記プレートは、プレートの回転により、前記複数の反応物供給口のうちの一部の反応物供給口から反応室内に供給される反応物を前記支持台上に支持される基板の面内に供給し、前記複数の反応物供給口のうちの残りの反応物供給口から反応室内に供給される反応物を前記基板支持台上に支持される基板の面外に供給することが可能なように構成されるものである
ことを特徴とする基板処理装置。 - 各反応物供給口と前記支持台との間に、非反応物を供給する第2の非反応物供給口を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置。
- 前記反応物供給口を前記支持台に支持される基板の表面より下方に設け、前記プレートを該プレートと前記基板の表面より下方に設けた反応物供給口とが干渉しないような構成としたことを特徴とする請求項1又は2に基板処理装置。
- 反応室内に設けた回転可能な支持台上に基板を支持し、
前記基板の周囲に、回転中心に対して外形が非対称に形成されたプレートを載置し、
複数の反応物供給口、及び該複数の反応物供給口の間に設けられた複数の非反応物供給口から、反応物及び非反応物を前記基板の面外に対してそれぞれ供給し、
前記反応室内に供給される反応物及び非反応物を、前記支持台に支持される基板の面外となる支持台の周囲に設けられた通路であって、前記プレートによって部分的に遮られることが可能な排気通路から排気し、
前記プレートの回転により、前記反応物又は非反応物の供給を基板面外から基板面内へ切替えるようにした半導体装置の製造方法。
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