JP2004117650A - 静電荷現像用正帯電性トナー - Google Patents

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Katsuyuki Ogura
小倉 克之
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Abstract

【課題】優れた着色力及び色相を有し、色再現性に優れた高品質の印刷画像が得られ、長時間の連続印刷の際にも安定した帯電特性を示す、低速から高速に至る広範囲な速度の静電荷像現像装置において使用可能な静電荷現像用正帯電性トナーを提供する。
【解決手段】バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有する静電荷現像用正帯電性トナーにおいて、前記着色剤が青色の無機顔料を含有し、前記帯電制御剤が式1、
【化1】
Figure 2004117650

(式1)
で表される化合物を含有することを特徴とする静電荷現像用正帯電性トナーを用いる。
【選択図】

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電の立ち上がりが早く、帯電安定性に優れるため、低速から高速に至る広範囲な静電荷像現像装置において、高品位な画像を提供できる、優れた特性を有する静電荷現像用正帯電性トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法により可視画像を得るためのトナー組成物として、多くはカーボンブラックの如き黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散させたものが使用されている。しかしながら、最近では、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、又はその他の有彩色の顔料をバインダー樹脂中に分散させたカラートナーも使用されており、これらのカラートナーを用いたフルカラーあるいはモノカラーの複写機、プリンターが開発されている。
【0003】
カラートナーに要求される特性としては、印刷後の画像が鮮やかな発色性を有すること、多色印刷を行った際の色重ねにおいて優れた透明性を発揮して色濁りの生じない鮮明な色再現性を有すること、あるいは、オーバーヘッドプロジェクター(以下、OHPという)シート上に定着したカラー画像がスクリーン上に鮮明な色の投影像を写し出すこと、等がある。
【0004】
ところで、最近においてはマシンの高速化が進み、カラートナーの分野においてもA4紙換算で毎分10枚程度の現像速度から、毎分50枚乃至は毎分100枚といった高速現像に適した、優れた帯電性能を有するトナーの開発が望まれている。このような高速現像を行うプリンターには、主としてセレン等の無機光導電体で構成された感光体が用いられ、これに予め帯電させた乾式トナーが供給されて可視画像とする現像方法が採られている。その際に用いられるトナーは正帯電性のトナーである。そのようなトナーに求められる特性としては、前記の透明性や色再現性の他に、低速から高速に至る種々の現像条件に適した帯電特性が必要である。特に、高速の現像装置に用いられるトナーにおいては、トナーが現像装置内で瞬時に所期の帯電量に達する特性、いわゆる帯電の立ち上がり特性が優れていること、また、高い帯電量を有し、現像装置内で長時間撹拌された際にも、帯電の変動を生じないこと、等が重要である。
【0005】
ところで、カラートナーの用途としては、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナー、ブラックトナーの4色を組み合わせて用い、写真や絵画等を再現するフルカラー印刷あるいはプロセスカラー印刷の用途と、主に単色のカラートナー、例えば、青トナー、緑トナー、赤トナーを用いて、マーク、イラスト、色文字やベタ部を印刷するモノカラー印刷とがある。そのような用途に使用される青系のトナーの着色剤としては、一般的に、銅フタロシアニン顔料が用いられている。しかしながら、銅フタロシアニン顔料は結晶性が強く、トナー用のバインダー樹脂に対する分散性が不十分なため、長時間使用した場合、帯電量の上昇を起こして画像濃度が低下したり、帯電不良のトナー粒子が発生することにより、非画像部の地汚れや現像装置周辺の飛散トナーによる汚れが発生したりし易いといった問題がある。
【0006】
これを改良するため、例えば、特開平5−88410号公報においては、銅フタロシアニンと青色の無機顔料を組み合わせて使用する技術が、また、特開2000−147831号公報では、無機感光体を用いた現像装置に使用するトナーとして、紺青を着色剤として使用する技術が提案されている。しかしながら、これらの従来技術に記載された青色のトナーにおいても、高速の現像装置に用いられるトナーに求められる特性、つまり、帯電の立ち上がり特性が優れ、高い帯電量を有し、現像装置内で長時間撹拌された際にも、帯電の変動を生じないことに関して、十分満足のできるものは得られていない。
【0007】
【特許文献1】特開平5−88410号公報(特許請求の範囲、第3頁;実施例1、2)
【特許文献2】特開2000−147831号公報(特許請求の範囲、第4頁;実施例1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた着色力及び色相を有し、色再現性に優れた高品質の印刷画像が得られる静電荷現像用正帯電性トナーを提供することにある。また、本発明の他の目的は、長時間の連続印刷の際にも安定した帯電特性を示す静電荷現像用正帯電性トナーを提供することにある。また、本発明の他の目的は、低速から高速に至る広範囲な速度の静電荷像現像装置において上記課題を解決する静電荷現像用正帯電性トナーを提供することにある。更に、本発明の他の目的は、上記課題を解決する青色の静電荷現像用正帯電性トナーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有する静電荷現像用正帯電性トナーにおいて、前記着色剤が青色の無機顔料を含有し、前記帯電制御剤が式1、
【化4】
Figure 2004117650
(式1)
{式中、mは1〜3の整数、nは0〜2の整数、X及びZは1又は2、Yは0又は1を示し、X=1の時、Y=1、Z=1であり、X=2の時、Y=0、Z=2であり、Mは水素原子又は1価の金属イオンを表し、R、R、R、Rは水素原子、炭素数1〜30の直鎖状若しくは枝分かれした飽和又は不飽和のアルキル基、式[(−CHCHO)−R(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はアシル基であり、pは1〜10の整数である)]で表されるオキシエチル基、炭素数5〜12の単環又は多環式脂肪族基、あるいは単環又は多環式芳香族基を表し、R〜R12は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状若しくは枝分かれした飽和又は不飽和のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、あるいは式[(−C2q−O)−R(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はアシル基であり、qは2〜5の整数、rは1〜10の整数である)]で表されるポリオキシアルキレン基を表す。}で表される化合物を含有することを特徴とする静電荷現像用正帯電性トナーを提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明の静電荷現像用正帯電性トナーに用いるバインダー樹脂としては、本発明の目的を損なわないものであれば特に制限なく使用することができる。具体的には、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、またはスチレンブタジエン樹脂のようなビニル系の共重合体樹脂、さらに、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂等を挙げることができるが、これらの中でもエポキシ樹脂、ビニル系の共重合体樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、定着性、耐オフセット性、透明性等のバランスが良いことから、ポリエステル樹脂が特に好適に使用することができる。
【0012】
ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとが脱水縮合されることによって合成される。多塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類などが挙げられる。これらの多塩基酸は、単独で用いることもでき、2種類以上を併用して用いることもできる。これらの多塩基酸の中でも、芳香族カルボン酸を使用するのが好ましい。
【0013】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのごとき脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAのごとき脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のごとき芳香族ジオール類などが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いることもでき、2種以上を併用して用いることもできる。これらの多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、芳香族ジオール類がより好ましい。
【0014】
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/又はモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、及び/又はカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整することができる。
【0015】
このような目的で用いるモノカルボン酸としては、例えば、酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸などが挙げられる。また、モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどが挙げられる。
【0016】
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸とを常法に従って縮合反応させることにより、製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸とを、温度計、攪拌器、流下式コンデンサーを備えた反応容器に配合し、窒素等の不活性ガスの存在下において150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の物性値に達した時点で反応を停止させ、冷却することにより、目的とする反応物を得ることができる。
【0017】
このようなポリエステル樹脂の合成は、触媒を添加して行うこともできる。使用するエステル化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイドのごとき有機金属や、テトラブチルチタネートのごとき金属アルコキシドなどが挙げられる。また、使用するカルボン酸成分が低級アルキルエステルである場合には、エステル交換触媒を使用することができる。エステル交換触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸マグネシウムのごとき金属酢酸塩;酸化亜鉛、酸化アンチモンのごとき金属酸化物;テトラブチルチタネートのごとき金属アルコキシド、などが挙げられる。触媒の添加量については、原材料の総量に対して0.01〜1質量%の範囲とするのが好ましい。
【0018】
なお、このような縮重合反応において、特に架橋ポリエステル樹脂を製造するためには、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸またはその無水物、及び/又は、1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールを必須とした合成原料を用いればよい。
【0019】
また、本発明で用いられるビニル系共重合体としてはスチレン−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体樹脂が好ましい。スチレンモノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−スルホンスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等がある。
【0020】
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートの如きアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレートの如き脂環族(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレートの如き芳香族(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの如き水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロキシエチルホスフェートの如きリン酸基含有(メタ)アクリレート;2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレートの如きハロゲン原子含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートの如きエポキシ基含有(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレートの如きエーテル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き塩基性窒素原子又はアミド基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0021】
また、これらと共に共重合可能な不飽和化合物も必要に応じ用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸の如きカルボキシル基含有ビニルモノマー;スルホエチルアクリルアミドの如きスルホ基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリルの如きニトリル基含有ビニルモノマー;ビニルメチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンの如きケトン基含有ビニルモノマー;N−ビニルイミダゾール、1−ビニルピロール、2−ビニルキノリン、4−ビニルピリジン、N−ビニル2−ピロリドン、N−ビニルピペリドンの如き塩基性窒素原子又はアミド基含有ビニルモノマー等を使用することができる。
【0022】
また、架橋剤を上記ビニルモノマーに対して0.1〜2質量%の範囲で使用してもよい。架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
スチレン−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体の製造方法としては通常の重合方法を採ることが可能で、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、重合触媒の存在下に重合反応を行う方法が挙げられる。
【0024】
重合触媒としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、その使用量はビニルモノマー成分の0.1〜10.0質量%が好ましい。
【0025】
本発明で用いるエポキシ樹脂としては、従来公知の構造のエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂、ビフェニル型のエポキシ樹脂等がある。中でも、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。具体的には、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂として、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「エピクロン2055」(軟化点80〜90℃)、「エピクロン3050」(軟化点94〜102℃)、「エピクロン4050」(軟化点96〜104℃)、「エピクロン7050」(軟化点122〜131℃)、油化シェルエポキシ(株)製の「エピコート1002」(軟化点83℃)、「エピコート1003」(軟化点89℃)、「エピコート1004」(軟化点98℃)、「エピコート1007」(軟化点128℃)、「エピコート1009」(軟化点148℃)等が挙げられる。また、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「エピクロンN−690」(軟化点85〜95℃)、「エピクロンN−695」(軟化点90〜100℃)等が挙げられる。
【0026】
エポキシ樹脂をバインダー樹脂としたトナーは、ヒートロール定着方式のみではなく、フラッシュ定着方式にも用いることができる。エポキシ樹脂はフラッシュ定着方式における定着性に優れ、また、耐ボイド性にも優れ、画像欠損のない優れた画像品質の印刷物を得ることができる。
【0027】
本発明に用いられるバインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上のものが好ましいが、中でも、そのTgが55℃以上のものが特に好ましい。Tgが50℃以下ではトナーが保存、運搬、あるいはマシンの現像装置内部で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)を生じやすい。
【0028】
また、本発明に使用されるバインダー樹脂の軟化点としては、90℃以上、中でも、90℃〜180℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、95℃〜160℃の範囲である。軟化点が90℃未満の場合は、トナーが凝集現象を生じやすく、保存時や印字の際にトラブルになりやすく、180℃を越える場合には定着性が悪くなることが多い。
【0029】
さらに、フルカラートナーとして、特に、色重ね時の色再現性やOHPシート上に定着させた際の透明性を要求される場合には、樹脂の軟化点としては、90℃〜130℃の範囲のものが好ましい、より好ましくは、95℃〜120℃の範囲である。
【0030】
本発明における樹脂の軟化点は定荷重押出し形細管式レオメータである島津製作所製フローテスタCFT−500を用いて測定されるT1/2温度で定義する。フローテスターでの測定条件は、ピストン断面積1cm、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50゜C、昇温速度6゜C/min、試料質量1.5gの条件で行った。
【0031】
また、酸価については20以下が望ましく、10以下であることが特に望ましい。酸価が高すぎると帯電量の低下を招き所期の帯電量が得られない。
【0032】
本発明で使用する青色の無機顔料としては、従来公知の材料であれば使用することができるが、例えば、紺青(Fe(NH)Fe(CN)・nHO、C.I.Pigment Blue 27)、群青(Na6−8Al242−4、C.I.Pigment Blue 29)、コバルトブルー(CoO・Al、C.I.Pigment Blue 28)、セルリアンブルー(CoO・nSnO・mMgO:n=1.5〜3.5、m=2〜6、C.I.Pigment Blue 35)、呉須(Co+SiO+Al+Fe+NiO+MnO)、及びターコイズブルー(C.I.Pigment Blue 36)から選択される1種以上を含有することが好ましい。中でも、紺青、群青、コバルトブルー、セルリアンブルーを使用することが好ましく、紺青を使用することが特に好ましい。
【0033】
本発明における着色剤の使用量は、バインダー樹脂100質量部当たり1〜50質量部の範囲が好ましく、1〜30質量部の範囲がより好ましく、1〜20質量部の範囲が特に好ましい。
【0034】
本発明では前記の無機顔料に加えて、本発明の効果を失わない範囲において、他の着色剤を添加して用いることができる。そのような着色剤としては、周知のものがあげられるが、例えば、黒の着色剤としては製法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、或いは、C.I.Pigment Black 11等の鉄酸化物系顔料、C.I.Pigment Black 12等の鉄−チタン酸化物系顔料、フタロシアニン系のシアニンブラックBX等があげられる。青系の着色剤としてはフタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 15−3、インダンスロン系のC.I.Pigment Blue 60等が、赤系の着色剤としてはキナクリドン系のC.I.Pigment Red 122、アゾ系のC.I.Pigment Red 22、C.I.Pigment Red 23、C.I.Pigment Red31、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.Pigment Red 57:1等が、黄系の着色剤としてはアゾ系のC.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 155、ベンズイミダゾロン系のC.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow
154、C.I.Pigment Yellow 180、等がある。
【0035】
本発明で使用するトナーに用いる帯電制御剤は、式1で表される4級アンモニウム塩化合物である。式1の帯電制御剤は、無色の化合物であり、有彩色の有機顔料を用いたカラートナー用の帯電制御剤として適している。
【0036】
式1の帯電制御剤の具体的な例としては、式1の範囲及び本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の構造の化合物が好適に使用できるが、下記の構造の化合物がより高い帯電付与能力、帯電安定性、透明性を有し特に好適に使用できる。好ましい帯電制御剤の構造式は以下に示した<帯電制御剤1>及び<帯電制御剤2>である。中でも特に好ましいのは<帯電制御剤1>である。
【0037】
【化5】
Figure 2004117650
<帯電制御剤1>
【0038】
【化6】
Figure 2004117650
<帯電制御剤2>
【0039】
本発明で使用するトナーには、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の構造の帯電制御剤を併用することができる。そのような帯電制御剤としては、従来公知の帯電制御剤を用いることができる。例えば正帯電制御剤としてニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、式1以外の4級アンモニウム塩、4級アンモニウム基及び/又はアミノ基を含有する樹脂等が、負帯電制御剤としてトリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カリックスアレン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基及び/又はスルホニル基を含有する樹脂、等が必要に応じて用いられる。式1の帯電制御剤は正帯電性帯電制御剤であるので、その他の帯電制御剤を併用する場合は正の帯電制御剤であることが好ましい。
【0040】
また、本発明で使用するトナーにはこれまで公知の種々の離型剤(以下、本発明ではワックスという)、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリアミド系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナバワックス、エステルワックス等を離型剤として適宜用いることができる。中でも、好ましく使用できるのは、高級脂肪酸エステル化合物及び/または脂肪族アルコール化合物を含有するワックスである。このようなワックスは、特にポリエステル樹脂をバインダー樹脂として用いた場合に、同樹脂に対する分散性が良く、また、離型性、摺動性が良好であり好ましい。これらのワックスをトナー中に添加する場合、同量のポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等ポリオレフィン系ワックスと比較して、より良好な耐ホットオフセット性、定着強度が得られる。
【0041】
また、更に高級脂肪酸エステル化合物及び/または脂肪族アルコール化合物を主成分とするワックスはヒートロール定着時におけるオフセット現象を防止する離型剤としての働きの他に、多数枚、長時間の印刷においても、例えば二成分現像剤用トナーとして用いた場合、キャリア表面に付着することなく、トナーに安定した帯電を与え、飛散トナーの発生等が無く高品位かつ高精細な画像の印刷を可能とする。
【0042】
高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックスの中でも、カルナウバワックス、モンタン系エステルワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス等の天然ワックス、及び/または合成エステル系ワックスが特に好ましい。合成エステル系ワックスとしてはペンタエリスリトールのテトラベヘン酸エステルが特に好ましい。
【0043】
これらのワックスは特にポリエステル樹脂に良好な分散性を示し、定着性、耐オフセット性の改善が顕著である。また、更に、これらのワックスは多数枚、長時間の印刷においても、例えば非磁性一成分現像用トナーとして用いた場合、現像スリーブに押しつけられた帯電部材に付着することなく、トナーに安定した帯電を与え、画像欠陥や地汚れ等が無く、高品位かつ高精細な画像の印刷が可能となる。さらに、本発明で使用する着色剤と共に用いてトナーとした場合、ポリプロピレンワックスのような炭化水素系のワックスと比較して透明性に優れたトナーが得られる。このような特性を有するトナーは、透明性があり、鮮やかな投影画像が求められるOHPシートへの印刷、および2色以上を重ねて印刷して良好な色再現性の中間色を印刷する用途に適している。
【0044】
カルナウバワックスとしては精製により遊離脂肪酸を除去した脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスを用いることが好ましい。脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスの酸価としては3以下が好ましく、より好ましくは酸価2以下である。脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスは従来のカルナウバワックスより微結晶となりポリエステル樹脂中での分散性が向上する。モンタン系エステルワックスは鉱物より精製されたものであり、精製によりカルナウバワックスと同様に微結晶となりポリエステル樹脂中での分散性が向上する。モンタン系エステルワックスでは酸価として特に30以下であることが好ましい。また、ライスワックスは米ぬかロウを精製したものであり、酸価は13以下であることが好ましい。カイガラムシワックスはカイガラムシ(別名イボタロウムシ)の幼虫が分泌する蝋状成分を、例えば、熱湯に溶かし、上層を分離後冷却固化して、あるいはそれを繰り返すことにより得ることができる。このような手段により精製されたカイガラムシワックスは固体状態において白色であり、極めてシャープな融点を示し本発明におけるトナー用ワックスとして適している。精製により酸価は10以下となり、トナー用として好ましいのは5以下である。
【0045】
上記ワックスは単独で用いても組み合わせて用いても良く、バインダー樹脂に対して0.3〜40質量部、好ましくは1〜30質量部含有させることにより良好な定着オフセット性能が得られる。より好ましくは1〜20質量部である。0.3質量部より少ないと耐オフセット性が損なわれ、40質量部より多いとトナーの流動性が悪くなり、また、二成分現像方式においてはキャリア表面に付着することによりスペントキャリアが発生し、トナーの帯電特性に悪影響を与えたり、非磁性一成分現像方式においては現像ロールに圧接された層厚規制部材に付着したりすることになる。
【0046】
本発明で使用するトナーは、特定の製造方法に依らず極めて一般的な製造方法に依って得る事ができるが、例えば樹脂と着色剤とを、樹脂の融点(軟化点)以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることが出来る。
【0047】
具体的には例えば、上記の樹脂と着色剤とを必須成分として、2本ロール、3本ロール、加圧ニーダー、又は2軸押し出し機等の混練手段により混合する。この際、樹脂中に、着色剤が均一に分散すればよく、その溶融混練の条件は特に限定されるものではないが、通常80〜180℃で30秒〜2時間である。着色剤は樹脂中に均一に分散するようにあらかじめフラッシング処理、あるいは樹脂と高濃度で溶融混練したマスターバッチを用いても良い。次いで、それを冷却後、ジェットミル等の粉砕機で微粉砕し、風力分級機等により分級するという方法が挙げられる。
【0048】
本発明のトナーを製造する他の方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、あるいは特開平5−66600号公報、特開平8−62891号公報等により開示されている転相乳化法等がある。転相乳化法とは、バインダー樹脂と着色剤等と有機溶剤からなる混合物に水性媒体(水または水を主成分とする液媒体)を添加することによりWater in Oilの不連続相を生成させ、さらに水を追加することで、Oil in Waterの不連続相に転相し、そして、更に水性媒体を追加することで水性媒体中に前記混合物が粒子(液滴)として浮遊する懸濁液を形成させ、その後、有機溶剤を除去することによりトナー粒子を製造する方法である。
【0049】
トナー母体を構成する粒子の平均粒径は、特に制限されないが、通常5〜15μmとなる様に調整される。通常、この様にして得られたトナー母体に対しては、外添剤が、例えばヘンシェルミキサー等の混合機を用いて混合される。
【0050】
本発明で用いられる外添剤は、例えばトナーの流動性向上、帯電特性改良などトナー母体の表面改質のために用いることができるものであれば特に材質、種類を限定するものではないが、例えば二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機微粉体及びそれらをシリコーンオイル、シランカップリング剤などの疎水化処理剤で表面処理したもの、ポリスチレン、アクリル、スチレンアクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、ポリウレタン、ベンゾグアナミン、メラミン、ナイロン、シリコーン、フェノール、フッ化ビニリデン等の樹脂微粉体等が用いられる。
【0051】
外添剤の粒子径は母体トナーである着色微粒子の直径の1/3以下であることが望ましく、特に好適には1/10以下である。また、これらのシリカ等の外添剤は、異なる平均粒子径の2種以上を併用してもよい。また、その使用割合はトナー母体100質量部に対して、通常0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
【0052】
これらの中でも各種のシリコーンオイルやポリオルガノシロキサンやシランカップリング剤等で表面を疎水化処理した二酸化珪素(シリカ)が特に好適に用いることができる。そのようなものとして、例えば、次のような商品名で市販されているものがある。
【0053】
AEROSIL R972,R974,R202,R805,R812,
RX200,RY200、 R809,RX50,
RA200HS,RA200H
〔日本アエロジル(株)〕
WACKER   HDK H2000、H2050EP
HDK H3050EP、HVK2150
〔ワッカーケミカルズイーストアジア(株)〕
Nipsil  SS−10、SS−15,SS−20,SS−50,
SS−60,SS−100、SS−50B,SS−50F,
SS−10F、SS−40、SS−70,SS−72F、
〔日本シリカ工業(株)〕
CABOSIL  TG820F、TS−530、TS−720
〔キャボット・スペシャルティー・ケミカルズ・インク〕
【0054】
本発明で使用するトナーはバインダー樹脂、着色剤、ワックスを主成分としているが、その他の添加剤を含める様にしても良い。一例として、滑剤としては、例えば金属石鹸、ステアリン酸亜鉛等が、研磨剤としては、例えば酸化セリウム、炭化ケイ素等が使用できる。
【0055】
本発明のトナーを二成分現像剤として用いるには、二成分現像剤用キャリアとして酸化鉄粉等公知のものが使用できるが、本発明では特に表面に樹脂被覆した磁性キャリアを用いることが望ましい。
【0056】
キャリアのコア剤は通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライト等が使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形等、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜500μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜120μmが好ましい。
【0057】
また、これらのコア剤を被覆するコーティング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリルポリオール樹脂等が使用できる。これらの中でも、特にシリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度等に優れ、より好適に使用し得る。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、あるいはマグネタイトを用い、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであることが好ましい。
【0058】
この場合、通常の使用条件であれば特に現像装置の帯電付与部材の材質等を限定するものではない。例えばアルミニウム、ステンレス、ウレタンゴム、シリコーンゴム製の現像スリーブ、アルミニウム、ステンレス、ジュラルミン、銅、あるいはそれらにウレタンゴム、シリコーンゴムを貼り合わせた層厚規制部材等が好適に使用できる。
【0059】
【実施例】
次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例中、「部」は特に明記しない限り「質量部」を表す。
【0060】
<樹脂合成例>
(樹脂R1の合成例)
イソフタル酸                116部
テレフタル酸                166部
無水トリメリット酸              38部
ジエチレングリコール             26部
ネオペンチルグリコール                  104部
エチレングリコール                        50部
テトラブチルチタネート           2.5部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が148℃に達した時反応を終了した。得られた重合体は、無色の固体であり、酸価4、DSC測定法によるガラス転移温度72℃、軟化点は151℃であった。
【0061】
樹脂の軟化点は定荷重押出し形細管式レオメータである島津製作所製フローテスタCFT−500を用いて測定されるT1/2温度で定義する。フローテスターでの測定条件は、ピストン断面積1cm、シリンダ圧力0.98MPa、ダイ長さ1mm、ダイ穴径1mm、測定開始温度50゜C、昇温速度6゜C/min、試料質量1.5gの条件で行った。
【0062】
(樹脂R2の合成例)
テレフタル酸                332部
イソフタル酸              ……332部
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン ……700部
トリメチロールプロパン          ……80部
エチレングリコール            ……75部
テトラブチルチタネート           ……3部
上記配合物を攪拌器、コンデンサー、温度計をセットした四つ口フラスコに入れ、窒素ガス気流下、脱水縮合により生成した水を除去しながら、240℃にて10時間常圧で反応させた。その後順次減圧し10mmHgで反応を続行した。反応は軟化点により追跡し、軟化点が151℃に達した時反応を終了した。得られた重合体の軟化点は153℃、酸価は4、DSC測定法によるTgは65℃であった。
【0063】
(樹脂R3の合成例)
スチレン                  380部
ブチルメタアクリレート           120部
ジビニルベンゼン                5部
過酸化ベンゾイル                5部
温度計、ガラス製気流導入管、耐真空シール装置付撹拌棒及び水冷ジムロート型コンデンサーを付属した2容量の4つ口丸底フラスコに、キシレン500部と上記モノマー及び開始剤の全量を投入した。ガラス製気流導入管から窒素ガスを導入して反応器内を不活性雰囲気に置換した後、内容物をスライダツク付マントルヒーターにより徐々に加熱して75℃迄上昇せしめた。反応は75℃〜80℃に保ちつつ行なわれ、10〜12時間後に反応を終了せしめるべく温度を130℃迄上昇せしめて重合を完結した。次に水冷コンデンサー及びガラス製気流導入管をフラスコから取除き、かわりに減圧蒸留用のキヤピラリーとクライゼン分溜管を装着した。クライゼン分溜管には温度計と水冷リービツヒコンデンサーを連結し、コンデンサーの排出口は吸引アダプターを経てナス型フラスコへと連結せしめた。吸引アダプターと真空ポンプをマノメーター及びトラップを介して減圧用ゴム管で結び減圧蒸溜の準備を終了した。マントルヒーターを加熱し、内容物を充分に撹拌しつつ真空ポンプを作動させ20mmHg迄減圧すると液温75℃、溜出温度38℃でキシレン或は場合により未反応のモノマーが溜出を始めた。最後は液温180℃に於て0.5mmHg迄減圧して溶剤を完全に除去した。得られた重合体は高温溶融状態のうちにステンレスパンにあけ、室温迄冷却後破砕した。得られた重合体は軟化点143℃、Tg55℃であつた。
【0064】
(実施例1)
<トナーの製造>
・R1の樹脂                 94部
・紺青                     3部
(671コンクT紺青;大日精化工業社製)
・帯電制御剤1                 1部
・ワックス  カルナウバワックス        2部
(精製カルナバワックスNo.1、酸価5、セラリカNODA(株)製)
をヘンシェルミキサーで混合し、2軸混練機で混練する。このようにして得た混練物を粉砕、分級して体積平均粒子径7.8ミクロンの「外添前トナーA」を得た。
【0065】
・上記「外添前トナーA」                    100部・シリカ                            0.5部
(TG820F;キャボット・スペシャルティー・ケミカルズ・インク製)
をヘンシェルミキサーで混合の後、篩いかけをして、「トナーA」を得た。
【0066】
<現像剤の調整>
・上記「トナーA」               3部
・キャリア                  97部
(シリコーン樹脂を被覆したフェライトキャリア)
を混合攪拌して現像剤Aを調整した。
【0067】
以下同様に表1の配合にてトナーを製造し現像剤A(実施例1)〜現像剤I(実施例9)、及び現像剤J(比較例1)〜現像剤N(比較例5)を製造した。
【0068】
【表1】
Figure 2004117650
【0069】
・エポキシ樹脂;エピクロン3050/エピクロン7050=1/9
混合樹脂の軟化点127℃(大日本インキ化学工業(株)製)
・PETB;ペンタエリスリトールのテトラベヘン酸エステル
・PPWAX;ビスコール550P(三洋化成製、ポリプロピレンワックス)
・P.B.15:3;C.I.PIGMENT BLUE 15:3
(銅フタロシアニン顔料)
・P−51;ボントロンP−51(オリエント化学製、4級アンモニウム塩構造のカチオン、ナフタレン構造のアニオンからなる帯電制御剤)
・TP−415;TP−415(保土谷化学製、4級アンモニウム塩構造のカチオン、モリブデン系の無機アニオンからなる帯電制御剤)
・TPM;COPY BLUE PR(クラリアント製、トリフェニルメタン染料)
・ニグロシン:ボントロンN−01(オリエント化学製)
・群青;青口群青No.8800(第一化成製)
・コバルトブルー;Daipyrofine Blue9410(大日精化製)
【0070】
上記実施例及び比較例で得られた現像剤について、定着開始温度、ホットオフセット開始温度、印刷テストを以下の通り行った。
【0071】
(ヒートロール定着・オフセット性能評価)
市販複写機改造機にてA−4紙サイズの未定着画像サンプルを作成し、下記仕様のヒートロール定着ユニットを用いて、定着開始温度、およびオフセット現象の有無を確認した。
ロール材質      上:四弗化エチレン
下:HTVシリコーン
ロール形状      径:50mm
長さ:370mm
上ロール荷重      : 15kg
上/下ロールニップ幅  :  8mm
紙送り速度       : 300mm/sec
【0072】
上記定着条件にて温度を種々変えて未定着画像の定着実験を行った。定着開始温度は得られた定着後の画像サンプルの擦り定着強度を測定することで求めた。擦り定着強度は次式で計算される擦り定着強度試験残存比率で判定した。画像濃度はマクベス画像濃度計RD−918にて測定した。
擦り定着強度試験残存比率=擦り試験後画像濃度/擦り試験前画像濃度
擦り定着強度としては、残存比率80%以上で実用上問題のないレベルとし、その最低温度を擦り定着開始温度とした。ここで、擦り試験後画像濃度とは、学振型摩擦堅牢度試験機(摩擦子:ワットマン濾紙No.42、荷重:500g、擦り操作:20ストローク)を用いて定着画像に摩擦を加えた後の画像濃度をマクベス画像濃度計で測定したものである。オフセット開始温度は定着画像サンプルを観察し、目視にてオフセット現象が認められる温度とした。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
Figure 2004117650
【0074】
(印刷テスト1)
市販のレーザービームプリンター(セレン感光体搭載:50m/分の現像速度、A4紙180枚/分の印刷速度に相当)を用いて連続プリントによる印字品質を評価すると共に、現像剤の帯電量を測定した。連続プリント時のトナーの補給はシリカ添加後のトナーをマシンの補給トナー用ホッパーに充填することにより、連続プリント時に自動で行われるようにした。なお、帯電量はブローオフ帯電量測定機で測定した。画像濃度はマクベス濃度計RD−918で測定、地汚れは白地部濃度からプリント前白紙濃度を差し引いて求めた。
【0075】
(トナー飛散量)
50KP(5万枚)印刷後のマシン内部を観察し感光体、現像装置周辺部等に飛散トナーによる汚れがほとんどない場合を○、やや汚れが発生した場合を△、激しい汚れが発生した場合を×とした。
【0076】
以上の評価結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
Figure 2004117650
【0078】
表中の表示は次の通り。
【0079】
*「帯電量」; μC/g
*「地汚れ評価」○:0.01未満、△:0.01〜0.03未満,×:0.03以上
*「トナー飛散」;50KP(5万枚)印刷後の目視観察
○:飛散ほとんどなし
△:やや飛散による汚れが発生
×:激しい飛散が発生
【0080】
(印刷テスト2)
市販のプリンター(A4紙10枚/分の印刷速度)を用いて印刷テスト1と同様に1万枚の印字テストを行った。結果を表4に示す。
【0081】
【表4】
Figure 2004117650
【0082】
表中の表示は次の通り。
【0083】
*「帯電量」; μC/g
*「地汚れ評価」○:0.01未満、△:0.01〜0.03未満,×:0.03以上
*「トナー飛散」;10KP(1万枚)印刷後の目視観察
○:飛散ほとんどなし
△:やや飛散による汚れが発生
×:激しい飛散が発生
【0084】
(帯電量の立ち上がりの測定)
前記現像剤A〜Nを直径5cm高さ6cmの円柱型ポリエチレン容器中に入れ、そのポリエチレン容器を115rpmで3分間攪拌した後、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル製)で帯電量を測定した。さらに7分攪拌(計10分)し、同様に帯電量を測定した。結果を表5にまとめる。
【0085】
【表5】
Figure 2004117650
【0086】
【発明の効果】
本発明の静電荷現像用正帯電性トナーによれば、現像装置内でのトナーの飛散が無く、現像剤の使用初期から終了時に至るまで安定した帯電特性を示し、地汚れの無い高品質の印刷画像を得ることができる。また、本発明の静電荷現像用正帯電性トナーは、低速から高速に至る広範囲な速度の静電荷像現像装置において上記の優れた現像特性を示す。

Claims (5)

  1. バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有する静電荷現像用正帯電性トナーにおいて、前記着色剤が青色の無機顔料を含有し、前記帯電制御剤が式1、
    Figure 2004117650
    (式1)
    {式中、mは1〜3の整数、nは0〜2の整数、X及びZは1又は2、Yは0又は1を示し、X=1の時、Y=1、Z=1であり、X=2の時、Y=0、Z=2であり、Mは水素原子又は1価の金属イオンを表し、R、R、R、Rは水素原子、炭素数1〜30の直鎖状若しくは枝分かれした飽和又は不飽和のアルキル基、式[(−CHCHO)−R(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はアシル基であり、pは1〜10の整数である)]で表されるオキシエチル基、炭素数5〜12の単環又は多環式脂肪族基、あるいは単環又は多環式芳香族基を表し、R〜R12は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状若しくは枝分かれした飽和又は不飽和のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、あるいは式[(−C2q−O)−R(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はアシル基であり、qは2〜5の整数、rは1〜10の整数である)]で表されるポリオキシアルキレン基を表す。}で表される化合物を含有することを特徴とする静電荷現像用正帯電性トナー。
  2. 前記青色の無機顔料が紺青、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、呉須、及びターコイズブルーから選択される1種以上を含有する請求項1記載の静電荷現像用正帯電性トナー。
  3. 前記帯電制御剤が式2、
    Figure 2004117650
    (式2)
    及び/又は式3、
    Figure 2004117650
    (式3)
    の化合物を含有する請求項1又は2のいずれかに記載の静電荷現像用正帯電性トナー。
  4. 更にワックスを含有する請求項1記載の静電荷現像用正帯電性トナー。
  5. 前記ワックスが高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックスである請求項4記載の静電荷現像用正帯電性トナー。
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