JP2004117274A - ハイブリダイゼーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率よく、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることができ、しかも、再現性よく、定量性に優れた生化学解析用データを生成することを可能にするハイブリダイゼーション方法を提供する。
【解決手段】反応チャンバ7内に、構造または特性が既知の特異的結合物質を含む複数の吸着性領域4が、互いに離間して、形成された生化学解析用ユニット1をセットし、反応チャンバ内に、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファと、温度が制御された標識物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液を、溶液注入管路を通じて、注入して、ハイブリダイゼーションを実行させ、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液を、反応チャンバから、溶液排出管路を通じて、排出し、反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、溶液注入管路を通じて、注入して、生化学解析用ユニットを洗浄することを特徴とするハイブリダイゼーション方法。
【選択図】   図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリダイゼーション方法に関するものであり、さらに詳細には、効率よく、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることができ、しかも、再現性よく、定量性に優れた生化学解析用データを生成することを可能にするハイブリダイゼーション方法および装置ならびにそれに用いるハイブリダイゼーション反応チャンバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放射線が照射されると、放射線のエネルギーを吸収して、蓄積、記録し、その後に、特定の波長域の電磁波を用いて励起すると、照射された放射線のエネルギーの量に応じた光量の輝尽光を発する特性を有する輝尽性蛍光体を、放射線の検出材料として用い、放射性標識を付与した物質を、生物体に投与した後、その生物体あるいはその生物体の組織の一部を試料とし、この試料を、輝尽性蛍光体層が設けられた蓄積性蛍光体シートと一定時間重ね合わせることにより、放射線エネルギーを輝尽性蛍光体に、蓄積、記録し、しかる後に、電磁波によって、輝尽性蛍光体層を走査して、輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、ディジタル画像信号を生成し、画像処理を施して、CRTなどの表示手段上あるいは写真フイルムなどの記録材料上に、画像を再生するように構成されたオートラジオグラフィ解析システムが知られている(たとえば、特公平1−70884号公報、特公平1−70882号公報、特公平4−3962号公報など)。
【0003】
蓄積性蛍光体シートを放射線の検出材料として使用するオートラジオグラフィ解析システムは、写真フイルムを用いる場合とは異なり、現像処理という化学的処理が不必要であるだけでなく、得られたディジタルデータにデータ処理を施すことにより、所望のように、解析用データを再生し、あるいは、コンピュータによる定量解析が可能になるという利点を有している。
【0004】
他方、オートラジオグラフィ解析システムにおける放射性標識物質に代えて、蛍光色素などの蛍光物質を標識物質として使用した蛍光(fluorescence)解析システムが知られている。この蛍光解析システムによれば、蛍光物質から放出された蛍光を検出することによって、遺伝子配列、遺伝子の発現レベル、実験用マウスにおける投与物質の代謝、吸収、排泄の経路、状態、蛋白質の分離、同定、あるいは、分子量、特性の評価などをおこなうことができ、たとえば、電気泳動されるべき複数種の蛋白質分子を含む溶液を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、ゲル支持体を蛍光色素を含んだ溶液に浸すなどして、電気泳動された蛋白質を染色し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することによって、画像を生成し、ゲル支持体上の蛋白質分子の位置および量的分布を検出したりすることができる。あるいは、ウェスタン・ブロッティング法により、ニトロセルロースなどの転写支持体上に、電気泳動された蛋白質分子の少なくとも一部を転写し、目的とする蛋白質に特異的に反応する抗体を蛍光色素で標識して調製したプローブと蛋白質分子とを会合させ、特異的に反応する抗体にのみ結合する蛋白質分子を選択的に標識し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の蛋白質分子の位置および量的分布を検出したりすることができる。また、電気泳動させるべき複数のDNA断片を含む溶液中に、蛍光色素を加えた後に、複数のDNA断片をゲル支持体上で電気泳動させ、あるいは、蛍光色素を含有させたゲル支持体上で、複数のDNA断片を電気泳動させ、あるいは、複数のDNA断片を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、ゲル支持体を、蛍光色素を含んだ溶液に浸すなどして、電気泳動されたDNA断片を標識し、励起光により、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、ゲル支持体上のDNAを分布を検出したり、あるいは、複数のDNA断片を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、DNAを変性(denaturation)し、次いで、サザン・ブロッティング法により、ニトロセルロースなどの転写支持体上に、変性DNA断片の少なくとも一部を転写し、目的とするDNAと相補的なDNAもしくはRNAを蛍光色素で標識して調製したプローブと変性DNA断片とをハイブリダイズさせ、プローブDNAもしくはプローブRNAと相補的なDNA断片のみを選択的に標識し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の目的とするDNAの分布を検出したりすることができる。さらに、標識物質によって標識した目的とする遺伝子を含むDNAと相補的なDNAプローブを調製して、転写支持体上のDNAとハイブリダイズさせ、酵素を、標識物質により標識された相補的なDNAと結合させた後、蛍光基質と接触させて、蛍光基質を蛍光を発する蛍光物質に変化させ、励起光によって、生成された蛍光物質を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の目的とするDNAの分布を検出したりすることもできる。この蛍光解析システムは、放射性物質を使用することなく、簡易に、遺伝子配列などを検出することができるという利点がある。
【0005】
また、同様に、蛋白質や核酸などの生体由来の物質を支持体に固定し、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質により、選択的に標識し、標識物質によって選択的に標識された生体由来の物質と化学発光基質とを接触させて、化学発光基質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を、光電的に検出して、ディジタル画像信号を生成し、画像処理を施して、CRTなどの表示手段あるいは写真フィルムなどの記録材料上に、化学発光画像を再生して、遺伝子情報などの生体由来の物質に関する情報を得るようにした化学発光解析システムも知られている。
【0006】
さらに、近年、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、スポッター装置を用いて、滴下して、多数の独立したスポットを形成し、次いで、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって、生体から採取され、あるいは、さらに、化学的処理、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、蛍光物質、色素などの標識物質によって標識された物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的結合物質に、特異的に結合させたマイクロアレイに、励起光を照射して、蛍光物質、色素などの標識物質から発せられた蛍光などの光を光電的に検出して、生体由来の物質を解析するマイクロアレイ解析システムが開発されている。このマイクロアレイ解析システムによれば、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、数多くの特異的結合物質のスポットを高密度に形成して、標識物質によって標識された生体由来の物質をハイブリダイズさせることによって、短時間に、生体由来の物質を解析することが可能になるという利点がある。
【0007】
また、メンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、スポッター装置を用いて、滴下して、多数の独立したスポットを形成し、次いで、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって、生体から採取され、あるいは、さらに、化学的処理、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、放射性標識物質によって標識された物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的結合物質に、特異的に結合させたマクロアレイを、輝尽性蛍光体を含む輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートと密着させて、輝尽性蛍光体層を露光し、しかる後に、輝尽性蛍光体層に励起光を照射し、輝尽性蛍光体層から発せられた輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する放射性標識物質を用いたマクロアレイ解析システムも開発されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロアレイ解析システムやマクロアレイ解析システムにおいては、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットの表面の異なる位置に、特異的結合物質を含む溶液を滴下して、多数のスポット状領域を形成し、放射性標識物質、蛍光物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質などによって標識された生体由来の物質を、スポット状領域に含まれている特異的結合物質にハイブリダイズさせて、特異的結合物質を選択的に標識し、多数のスポット状領域に選択的に含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を露光し、露光された輝尽性蛍光体層を、励起光によって走査して、輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、あるいは、多数のスポット状領域を、励起光によって走査して、多数のスポット状領域に選択的に含まれている蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、あるいは、多数のスポット状領域に選択的に含まれている標識物質を化学発光基質と接触させ、標識物質から放出される化学発光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成することが要求されている。
【0009】
特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせる場合、従来は、実験者が、手作業で、特異的結合物質を含む多数のスポット状領域が形成されたメンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットを、ハイブリダイゼーションバッグ内に入れ、ハイブリダイゼーションバッグ内に、放射性標識物質、蛍光物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質などによって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイゼーションバッファを加え、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて、生体由来の物質を、対流あるいは拡散によって移動させて、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせ、生化学解析用ユニットをハイブリダイゼーションバッグから取り出して、洗浄溶液が満たされた容器内に入れ、洗浄するのが一般であった。
【0010】
しかしながら、実験者が、手作業で、生化学解析用ユニットを、ハイブリダイゼーションバッグ内に入れて、ハイブリダイゼーションバッファを加え、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせる場合には、ハイブリダイゼーションバッファを、特異的結合物質を含む多数のスポット状領域に、均一に接触させることは困難であり、したがって、効率的に、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることができないという問題があった。
【0011】
さらに、実験者が、手作業で、生化学解析用ユニットを、ハイブリダイゼーションバッグ内に入れて、ハイブリダイゼーションバッファを加え、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせ、生化学解析用ユニットをハイブリダイゼーションバッグから取り出して、洗浄溶液が満たされた容器内に入れ、洗浄する場合には、実験者によって、ハイブリダイゼーションの結果がばらつき、再現性が低下することは避けられず、また、同じ実験者であっても、再現性が低下するおそれがあるという問題があった。
【0012】
したがって、本発明は、効率よく、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることができ、しかも、再現性よく、定量性に優れた生化学解析用データを生成することを可能にするハイブリダイゼーション方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、構造または特性が既知の特異的結合物質を含む複数の吸着性領域が、互いに離間して、形成された生化学解析用ユニットをセットし、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファと、温度が制御された標識物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバに連通する溶液注入管路を通じて、注入して、ハイブリダイゼーションを実行させ、前記ハイブリダイゼーションバッファおよび前記プローブ溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、溶液排出管路を通じて、排出し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバに連通する前記溶液注入管路を通じて、注入して、前記生化学解析用ユニットを洗浄することを特徴とするハイブリダイゼーション方法によって達成される。
【0014】
本発明によれば、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、構造または特性が既知の特異的結合物質を含む複数の吸着性領域が、互いに離間して、形成された生化学解析用ユニットをセットし、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファと、温度が制御された標識物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバに連通する溶液注入管路を通じて、注入して、ハイブリダイゼーションを実行させ、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、溶液排出管路を通じて、排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバに連通する溶液注入管路を通じて、注入して、生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されているから、実験者によって、ハイブリダイゼーションの結果がばらつくことがなく、ハイブリダイゼーションの再現性を大幅に向上させることが可能になるとともに、大幅な省力化を実現させることが可能になる。
【0015】
さらに、本発明者の研究によれば、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバに注入する際に、温度変化が生じると、ハイブリダイゼーションの結果が大きくばらつくことが認められているが、本発明によれば、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に注入するように構成されているから、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液の温度変化に起因して、ハイブリダイゼーションの結果がばらつくことを効果的に防止することが可能になる。
【0016】
本発明の好ましい実施態様においては、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、前記生化学解析用ユニットをセットし、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファを、前記溶液注入管路を通じて、注入し、プレハイブリダイゼーションを実行し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、標識物質によって標識された生体由来の物質を含み、温度制御された前記プローブ溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入し、前記ハイブリダイゼーションバッファに混合して、ハイブリダイゼーションを実行し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記ハイブリダイゼーションバッファと前記プローブ溶液との混合溶液を、前記溶液排出管路を通じて、排出し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入して、前記生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されている。
【0017】
本発明の好ましい実施態様によれば、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、生化学解析用ユニットをセットし、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファを、溶液注入管路を通じて、注入し、プレハイブリダイゼーションを実行し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、標識物質によって標識された生体由来の物質を含み、温度制御されたプローブ溶液を、溶液注入管路を通じて、注入し、ハイブリダイゼーションバッファに混合して、ハイブリダイゼーションを実行し、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液との混合溶液を、溶液排出管路を通じて、排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、溶液注入管路を通じて、注入して、生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されているから、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバに注入する際の温度変化に起因して、ハイブリダイゼーションの結果がばらつくことを効果的に防止することが可能になる。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入して、前記生化学解析用ユニットを洗浄し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記洗浄溶液を、前記溶液排出管路を通じて、排出し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、繰り返し、洗浄溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入して、前記生化学解析用ユニットを洗浄する工程を繰り返すように構成されている。
【0019】
本発明者の研究によれば、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、洗浄溶液を注入する際の温度変化が、ハイブリダイゼーションの結果に最も大きな影響を与えることが認められているが、本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、溶液注入管路を通じて、注入して、生化学解析用ユニットを洗浄し、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、洗浄溶液を、溶液排出管路を通じて、排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、繰り返し、洗浄溶液を、溶液注入管路を通じて、注入して、生化学解析用ユニットを洗浄する工程を繰り返すように構成されているから、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、洗浄溶液を注入する際の温度変化に起因するハイブリダイゼーションの結果のばらつきを効果的に防止することが可能になる。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された前記ハイブリダイゼーションバッファを注入するのに先立って、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、前処理液を注入し、前記生化学解析用ユニットの前処理を実行するように構成されている。
【0021】
本発明の好ましい実施態様においては、前記ハイブリダイゼーションバッファタンク、前記プローブ溶液チップおよび前記洗浄溶液タンクが、恒温槽内に収容され、前記恒温槽内の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御されている。
【0022】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記ハイブリダイゼーションバッファタンク、前記プローブ溶液チップおよび前記洗浄溶液タンクが、恒温槽内に収容され、前記恒温槽内の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御されているから、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバに注入する際の温度変化に起因して、ハイブリダイゼーションの結果がばらつくことを効果的に防止することが可能になる。
【0023】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記ハイブリダイゼーションバッファタンク内に収容されたハイブリダイゼーションバッファを加温する第1のヒータと、前記プローブ溶液チップ内に収容されているプローブ溶液を加温する第2のヒータと、前記洗浄溶液タンク内に収容されている洗浄溶液を加温する第3のヒータと、前記ハイブリダイゼーションバッファタンク内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する第1の温度センサと、前記プローブ溶液チップ内に収容されているプローブ溶液の温度を検出する第2の温度センサと、前記洗浄溶液タンク内に収容されている洗浄溶液の温度を検出する第3の温度センサを設け、前記第1の温度センサによって、検出された前記ハイブリダイゼーションバッファタンク内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度にしたがって、前記第1のヒータを制御し、前記第2の温度センサによって、検出された前記プローブ溶液チップ内に収容されているプローブ溶液の温度にしたがって、前記第2のヒータを制御し、前記第3の温度センサによって、検出された前記洗浄溶液タンク内に収容されている洗浄溶液の温度にしたがって、前記第3のヒータを制御して、前記ハイブリダイゼーションバッファタンク内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度、前記プローブ溶液チップ内に収容されているプローブ溶液の温度および前記洗浄溶液タンク内に収容されている洗浄溶液の温度を、それぞれ、所定の温度範囲内に制御するように構成されている。
【0024】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファタンク内に収容されたハイブリダイゼーションバッファを加温する第1のヒータと、プローブ溶液チップ内に収容されているプローブ溶液を加温する第2のヒータと、洗浄溶液タンク内に収容されている洗浄溶液を加温する第3のヒータと、ハイブリダイゼーションバッファタンク内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する第1の温度センサと、プローブ溶液チップ内に収容されているプローブ溶液の温度を検出する第2の温度センサと、洗浄溶液タンク内に収容されている洗浄溶液の温度を検出する第3の温度センサを設け、第1の温度センサによって、検出されたハイブリダイゼーションバッファタンク内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度にしたがって、第1のヒータを制御し、第2の温度センサによって、検出されたプローブ溶液チップ内に収容されているプローブ溶液の温度にしたがって、第2のヒータを制御し、第3の温度センサによって、検出された洗浄溶液タンク内に収容されている洗浄溶液の温度にしたがって、第3のヒータを制御して、ハイブリダイゼーションバッファタンク内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液チップ内に収容されているプローブ溶液の温度および洗浄溶液タンク内に収容されている洗浄溶液の温度を、それぞれ、所定の温度範囲内に制御するように構成されているから、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバに注入する際の温度変化に起因して、ハイブリダイゼーションの結果がばらつくことを効果的に防止することが可能になる。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記溶液排出管路を通じて、排出された前記洗浄溶液に含まれている放射性標識物質の濃度を、放射線センサによって、検出するように構成されている。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、溶液排出管路を通じて、排出された洗浄溶液に含まれている放射性標識物質の濃度を、放射線センサによって、検出するように構成されているから、回収された洗浄溶液に含まれる放射性標識物質の濃度を検出することによって、洗浄の終了時点を、適切に、決定することが可能になる。
【0027】
本発明の好ましい実施態様においては、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファと、温度が制御された標識物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液の混合溶液を、前記溶液注入管路を通じて、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域を横切るように、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、強制的に供給して、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域に吸着された特異的結合物質に、前記プローブ溶液に含まれた生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせ、前記ハイブリダイゼーションバッファおよび前記プローブ溶液に前記混合溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記溶液排出管路を通じて、排出し、温度が制御された洗浄溶液を、前記溶液注入管路を通じて、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域を横切るように、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、強制的に供給して、前記生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されている。
【0028】
本発明の好ましい実施態様によれば、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファと、温度が制御された標識物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液の混合溶液を、溶液注入管路を通じて、生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、強制的に供給して、生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域に吸着された特異的結合物質に、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液との混合溶液に含まれている生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせるように構成されているから、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて、生体由来の物質を、対流あるいは拡散によって移動させて、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせる場合に比して、生体由来の物質が、吸着性領域に含まれているハイブリダイズすべき特異的結合物質と出会う確率を大幅に向上させることができ、生体由来の物質を、生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域の深い部分に含まれている特異的結合物質にも、効果的にハイブリダイズさせることが可能になるとともに、実験者により、ハイブリダイゼーションの結果がばらつくことを確実に防止することができ、また、ハイブリダイゼーションの再現性を大幅に向上させることが可能になる。
【0029】
また、本発明の好ましい実施態様によれば、温度が制御された洗浄溶液を、溶液注入管路を通じて、生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、強制的に供給して、生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されているから、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記ハイブリダイゼーションバッファと前記プローブ溶液の前記混合溶液を、正逆両方向から、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域を横切るように、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、強制的に供給して、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域に含まれた特異的結合物質に、前記ハイブリダイゼーションバッファと前記プローブ溶液の前記混合溶液に含まれている生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせ、前記ハイブリダイゼーションバッファおよび前記プローブ溶液に前記混合溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記溶液排出管路を通じて、排出し、前記洗浄溶液を、正逆両方向から、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域を横切るように、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、強制的に供給して、前記生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されている。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を、正逆両方向から、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、強制的に供給して、生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域に含まれた特異的結合物質に、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液に含まれている生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせるように構成されているから、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて、生体由来の物質を、対流あるいは拡散によって移動させて、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせる場合に比して、生体由来の物質が、吸着性領域に含まれているハイブリダイズすべき特異的結合物質と出会う確率をさらに大幅に向上させることができ、生体由来の物質を、生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域の深い部分に含まれている特異的結合物質にも、より効果的にハイブリダイズさせることが可能になるとともに、実験者により、ハイブリダイゼーションの結果がばらつくことを確実に防止することができ、また、ハイブリダイゼーションの再現性を大幅に向上させることが可能になる。
【0032】
また、本発明のさらに好ましい実施態様によれば、洗浄溶液を、正逆両方向から、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、強制的に供給して、生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されているから、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、より効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記ハイブリダイゼーションバッファと前記プローブ溶液の前記混合溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に循環させて、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域を横切るように、強制的に供給して、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域に含まれた特異的結合物質に、前記ハイブリダイゼーションバッファと前記プローブ溶液の前記混合溶液に含まれている生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせ、前記ハイブリダイゼーションバッファおよび前記プローブ溶液に前記混合溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記溶液排出管路を通じて、排出し、前記洗浄溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に循環させて、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域を横切るように、強制的に供給して、前記生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されている。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に循環させて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域を横切るように、強制的に供給して、生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域に含まれた特異的結合物質に、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液に含まれている生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせるように構成されているから、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて、生体由来の物質を、対流あるいは拡散によって移動させて、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせる場合に比して、生体由来の物質が、吸着性領域に含まれているハイブリダイズすべき特異的結合物質と出会う確率をさらに大幅に向上させることができ、生体由来の物質を、生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域の深い部分に含まれている特異的結合物質にも、より効果的にハイブリダイズさせることが可能になるとともに、実験者により、ハイブリダイゼーションの結果がばらつくことを確実に防止することができ、また、ハイブリダイゼーションの再現性を大幅に向上させることが可能になる。
【0035】
また、本発明のさらに好ましい実施態様によれば、洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に循環させて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内にセットされた生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域を横切るように、強制的に供給して、生化学解析用ユニットを洗浄するように構成されているから、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、より効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0036】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生体由来の物質が、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識されている。
【0037】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットが、複数の孔が、互いに離間して形成された基板を備え、前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された前記複数の孔に充填された吸着性材料に、特異的結合物質を吸着させて、形成されている。
【0038】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットが、複数の貫通孔が、互いに離間して形成された基板を備え、前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された前記複数の貫通孔に充填された吸着性材料に、特異的結合物質を吸着させて、形成されている。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された複数の貫通孔内に、吸着性材料を含んだ吸着性膜が圧入され、前記基板に形成された前記複数の貫通孔内に圧入された前記吸着性膜に、特異的結合物質を吸着させて、形成されている。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットが、複数の凹部が、互いに離間して形成された基板を備え、前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された前記複数の凹部に充填された吸着性材料に、特異的結合物質を吸着させて、形成されている。
【0041】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットが、吸着性基板と、複数の貫通孔が、互いに離間して形成され、前記吸着性基板の少なくとも一方の面に密着された基板を備え、前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された前記複数の貫通孔内の前記吸着性基板に、特異的結合物質を吸着させて、形成されている。
【0042】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、放射線エネルギーを減衰させる性質を有している。
【0043】
本発明の好ましい実施態様によれば、生化学解析用ユニットの基板が、放射線エネルギーを減衰させる性質を有しているから、生化学解析用ユニットに、吸着性領域を高密度に形成した場合にも、生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域に含まれた特異的結合物質に、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質を、ハイブリダイズさせて、選択的に標識し、生化学解析用ユニットと蓄積性蛍光体シートとを重ね合わせて、複数の吸着性領域に選択的に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートの支持体に形成された複数の輝尽性蛍光体層領域を露光する際に、各吸着性領域に含まれている放射性標識物質から放出された電子線(β線)が、生化学解析用ユニットの基板内で散乱することを効果的に防止することができ、したがって、各吸着性領域に含まれている放射性標識物質から放出された電子線(β線)を、対応する輝尽性蛍光体層の領域に、選択的に入射させて、対応する輝尽性蛍光体層の領域のみを露光することが可能になるから、放射性標識物質によって露光された輝尽性蛍光体層を、励起光によって走査し、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出することによって、高い分解能で、定量性に優れた生化学解析用のデータを生成することが可能になる。
【0044】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0046】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0047】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0048】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0049】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/1000以下に減衰させる性質を有している。
【0050】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、光エネルギーを減衰させる性質を有している。
【0051】
本発明の好ましい実施態様によれば、生化学解析用ユニットの基板が、光エネルギーを減衰させる性質を有しているから、生化学解析用ユニットの基板に、吸着性領域を高密度に形成し、複数の吸着性領域に含まれた特異的結合物質に、蛍光物質および/または化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質を、選択的にハイブリダイズさせた場合にも、多数の吸着性領域に、励起光を照射して、多数の吸着性領域に選択的に含まれている蛍光物質を励起し、放出された蛍光を光電的に検出する際に、各吸着物質から放出された蛍光が、基板内で散乱して、隣り合う吸着性領域から放出された蛍光と混ざり合うことを効果的に防止することができ、多数の吸着性領域から放出される化学発光が、基板内で散乱して、隣り合う吸着性領域から放出された化学発光と混ざり合うことを効果的に防止することが可能になり、したがって、蛍光あるいは化学発光を光電的に検出して、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0052】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0053】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0057】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/1000以下に減衰させる性質を有している。
【0058】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、10以上の吸着性領域が形成されている。
【0059】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、50以上の吸着性領域が形成されている。
【0060】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、100以上の吸着性領域が形成されている。
【0061】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、500以上の吸着性領域が形成されている。
【0062】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、1000以上の吸着性領域が形成されている。
【0063】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、5000以上の吸着性領域が形成されている。
【0064】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、10000以上の吸着性領域が形成されている。
【0065】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、50000以上の吸着性領域が形成されている。
【0066】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、100000以上の吸着性領域が形成されている。
【0067】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、5平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0068】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、1平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0069】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.5平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0070】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.1平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0071】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.05平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0072】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.01平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0073】
本発明において、生化学解析用ユニットに形成される吸着性領域の密度は、基板の種類、放射性標識物質から放出される電子線の種類などによって決定される。
【0074】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、10個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0075】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、50個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0076】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、100個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0077】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、500個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0078】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、1000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0079】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、5000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0080】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、10000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0081】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、50000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0082】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、100000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0083】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、500000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0084】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、1000000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0085】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットに、前記複数の吸着性領域が、規則的なパターンで形成されている。
【0086】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の貫通孔が、それぞれ、略円形に形成されている。
【0087】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の貫通孔が、それぞれ、略矩形状に形成されている。
【0088】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するための材料は、放射線エネルギーおよび/または光エネルギーを減衰させる性質を有していることが好ましいが、とくに限定されるものではなく、無機化合物材料、有機化合物材料のいずれをも使用することができ、金属材料、セラミック材料またはプラスチック材料が、好ましく使用される。
【0089】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するために好ましく使用することのできる無機化合物材料としては、たとえば、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、錫、セレンなどの金属;真鍮、ステンレス、青銅などの合金;シリコン、アモルファスシリコン、ガラス、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの珪素材料;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;タングステンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、砒化ガリウムなどの無機塩を挙げることができる。これらは、単結晶、アモルファス、セラミックのような多結晶焼結体にいずれの構造を有していてもよい。
【0090】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するために使用可能な有機化合物材料としては、高分子化合物が好ましく用いられ、好ましく使用することのできる高分子化合物としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂;ノボラックなどのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン;ブタジエン−スチレン共重合体;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、でん粉、アルギン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの多糖類;キチン;キトサン;ウルシ;ゼラチン、コラーゲン、ケラチンなどのポリアミドおよびこれら高分子化合物の共重合体などを挙げることができる。これらは、複合材料でもよく、必要に応じて、金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することもでき、また、有機化合物材料をブレンドして、使用することもできる。
【0091】
一般に、比重が大きいほど、放射線の減衰能が高くなるので、生化学解析用ユニットの基板は、比重1.0g/cm以上の化合物材料または複合材料によって形成されることが好ましく、比重が1.5g/cm以上、23g/cm以下の化合物材料または複合材料によって形成されることが、とくに好ましい。
【0092】
また、一般に、光の散乱および/または吸収が大きいほど、光の減衰能が高くなるので、生化学解析用ユニットの基板は、厚さ1cmあたりの吸光度が0.3以上であることが好ましく、厚さ1cmあたりの吸光度が1以上であれば、さらに好ましい。ここに、吸光度は、厚さTcmの板状体の直後に、積分球を置き、計測に利用するプローブ光またはエミッション光の波長における透過光量Aを分光光度計によって測定し、A/Tを算出することによって、求められる。光減衰能を向上させるために、光散乱体や光吸収体を、生化学解析用ユニットの基板に含有させることもできる。光散乱体としては、生化学解析用ユニットの基板を形成している材料と異なる材料の微粒子が用いられ、光吸収体としては、顔料または染料が用いられる。
【0093】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットが、吸着性基板を備え、前記複数の吸着性領域が、前記吸着性基板の互いに離間した領域に、特異的結合物質を吸着させて、形成されている。
【0094】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するための吸着性材料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用される。多孔質材料と繊維材料とを併用して、吸着性領域あるいは吸着性基板を形成することもできる。
【0095】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される多孔質材料は、有機材料、無機材料のいずれでもよく、有機/無機複合体でもよい。
【0096】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される有機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、活性炭などの炭素材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な材料が、好ましく用いられる。具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類;ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;コラーゲン;アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなどのアルギン酸類;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなどのポリフルオライドや、これらの共重合体または複合体が挙げられる。
【0097】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される無機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属;アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなどの金属酸化物;ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなどの金属塩やこれらの複合体などが挙げられる。
【0098】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される繊維材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0099】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域は、電解処理、プラズマ処理、アーク放電などの酸化処理;シランカップリング剤、チタンカップリング剤などを用いたプライマー処理;界面活性剤処理などの表面処理によって形成することもできる。
【0100】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0101】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置によって、生体由来の物質がハイブリダイズされる特異的結合物質を含む溶液が滴下される生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【0102】
図1に示されるように、本実施態様にかかる生化学解析用ユニット1は、ステンレス鋼によって形成され、多数の略円形状の貫通孔3が高密度に形成された基板2を備えており、多数の貫通孔3の内部には、ナイロン6が充填されて、多数の吸着性領域4が、ドット状に形成されている。
【0103】
図1には正確に示されていないが、本実施態様においては、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の貫通孔3が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的に、基板2に形成されている。吸着性領域4は、その表面が、基板2の表面と同じ高さに位置するように、多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されている。
【0104】
図2は、スポッティング装置の略正面図である。
【0105】
生化学解析にあたっては、図2に示されるように、生化学解析用ユニット1に規則的に形成された多数の吸着性領域4内に、特異的結合物質を含む溶液、たとえば、塩基配列が既知の互いに異なった複数のcDNAを含む溶液が、スポッティング装置を使用して、滴下され、特異的結合物質が吸着性領域4内に固定される。
【0106】
図2に示されるように、スポッティング装置は、特異的結合物質を含む溶液を、生化学解析用ユニット1の表面に向けて噴射するインジェクタ5とCCDカメラ6を備え、CCDカメラ6によって、インジェクタ5の先端部と、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を観察しながら、インジェクタ5の先端部と、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の中心とが合致したときに、インジェクタ5から、塩基配列が既知の互いに異なった複数のcDNAなどの特異的結合物質を含む溶液が滴下されるように構成され、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4内に、特異的結合物質を含む溶液を、正確に滴下することができるように保証されている。
【0107】
図3は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション反応チャンバの略斜視図である。
【0108】
図3に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、ケーシング8と蓋9を備えており、蓋9が閉じられたときに、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7が水密性を有するように構成されている。
【0109】
図3に示されるように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニット1の幅よりもわずかに大きい幅を有する矩形状領域10aと、矩形状部分10aの両側に、両端部に頂点を有する三角形状領域10b、10cを有している。
【0110】
蓋9の略中央部に、幅方向に沿って、一対のピン状の押さえ部材9a、9aが設けられ、生化学解析用ユニット1をケーシング8内にセットし、蓋9を閉じたときに、押さえ部材9a、9aによって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7に収容された生化学解析用ユニット1が、矩形状領域10a内に保持されるように構成されている。
【0111】
図3に示されるように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の蓋9の三角形状領域10bの一端部近傍に形成された溶液注入口11aには、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入する溶液注入チューブ11が取り付けられ、一方、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の蓋9の三角形状領域10cの一端部近傍に形成された溶液排出口12aには、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファにプローブ溶液が添加された溶液および洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7から排出する溶液排出チューブ12が取り付けられている。
【0112】
溶液注入チューブ11の先端部には、ねじ(図示せず)が形成され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の溶液注入口11aに形成されたねじ山(図示せず)に係合させることによって、溶液注入チューブ11がハイブリダイゼーション反応チャンバ7の溶液注入口11aに取り付けられ、係合を解除することによって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の溶液注入口11aから、溶液注入チューブ11を取り外すことができるように構成されている。
【0113】
溶液注入チューブ11および溶液排出チューブ12は、いずれも、可撓性を有する材料によって形成されている。
【0114】
図4は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の略側面図である。
【0115】
図4に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置は、その略中央部に設けられた軸13aを介して、基台14に揺動可能に取り付けられた揺動台13を備え、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、その中心軸線7aが、軸13aの直上方に位置するように、揺動台13の上面に、取り外し可能に取り付けられている。
【0116】
図4に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置は、さらに、前処理液を収容する前処理液タンク15aと、ハイブリダイゼーションバッファを収容するハイブリダイゼーションバッファタンク15bと、プローブ溶液を収容するプローブ溶液チップ15cと、洗浄溶液を収容する洗浄溶液タンク15dを備えている。
【0117】
本実施態様においては、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bには、ヒータ(図示せず)が設けられ、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されているハイブリダイゼーションバッファの温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御されている。
【0118】
また、プローブ溶液チップ15cには、ヒータ(図示せず)が設けられ、プローブ溶液チップ15c内に収容されているプローブ溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御されている。
【0119】
さらに、本実施態様においては、洗浄溶液タンク15dには、ヒータ(図示せず)が設けられ、洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御されている。
【0120】
図4に示されるように、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15cおよび洗浄溶液タンク15dは、それぞれ、バルブ16a、バルブ16b、バルブ16cおよびバルブ16dを介して、溶液注入チューブ11に接続されており、バルブ16a、バルブ16b、バルブ16cおよびバルブ16dと、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の間の溶液注入チューブ11には、ポンプ17が設けられている。
【0121】
ここに、バルブ16a、バルブ16b、バルブ16cおよびバルブ16dは、三方向バルブによって構成され、それぞれ、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15cおよび洗浄溶液タンク15dと、溶液注入チューブ11とを接続させる第一の位置と、大気と溶液注入チューブ11とを接続させる第二の位置と、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15cおよび洗浄溶液タンク15dならびに大気と、溶液注入チューブ11との連通を遮断させる第三の位置を、選択的に取ることができるように構成されている。
【0122】
図4に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置は、さらに、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7から、前処理液を回収する前処理液回収タンク18aと、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7から、ハイブリダイゼーションバッファにプローブ溶液が添加された溶液を回収するハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bと、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7から、洗浄溶液を回収する洗浄溶液回収タンク18cを備え、前処理液回収タンク18a、ハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bおよび洗浄溶液回収タンク18cは、それぞれ、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cを介して、溶液排出チューブ12に接続されており、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cと、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の間の溶液排出チューブ12には、ポンプ20が設けられている。
【0123】
ここに、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cは、三方向バルブによって構成され、それぞれ、前処理液回収タンク18a、ハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bおよび洗浄溶液回収タンク18cと、溶液排出チューブ12とを接続させる第一の位置と、大気と溶液排出チューブ12とを接続させる第二の位置と、前処理液回収タンク18a、ハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bおよび洗浄溶液回収タンク18cならびに大気と溶液排出チューブ12との連通を遮断させる第三の位置を、選択的に取ることができるように構成されている。
【0124】
図4に示されるように、洗浄溶液回収タンク18c内には、回収された洗浄溶液中に含まれる放射性標識物質の濃度を検出する放射線センサ21が設けられている。
【0125】
図5は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の制御系、検出系、駆動系および入力系を示すブロックダイアグラムである。
【0126】
図5に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の制御系は、ハイブリダイゼーション装置全体の動作を制御するコントロールユニット22を備えている。
【0127】
また、図5に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の検出系は、回収された洗浄溶液中に含まれる放射性標識物質の濃度を検出する放射線センサ21と、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する温度センサ21bと、プローブ溶液チップ15c内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する温度センサ21cと、洗浄溶液タンク15dないに収容された洗浄溶液の温度を検出する温度センサ21dを備えている。
【0128】
さらに、図5に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の駆動系は、揺動台13の軸13aを、正逆両方向に回転させるモータ23と、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液あるいは洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入するポンプ17と、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファにプローブ溶液が添加された溶液あるいは洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7から、排出するポンプ20と、バルブ16aと、バルブ16bと、バルブ16cと、バルブ16dと、バルブ19aと、バルブ19bと、バルブ19cと、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されているハイブリダイゼーションバッファを加温するヒータ30b、プローブ溶液チップ15c内に収容されているプローブ溶液を加温するヒータ30cおよび洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液を加温するヒータ30dとを備えている。
【0129】
図5に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の入力系は、キーボード24を備えている。
【0130】
以上のように構成された本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置は、以下のようにして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に含まれた特異的結合物質に、プローブ溶液に含まれた標識物質によって標識された生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせる。
【0131】
まず、前処理液が調製されて、前処理液タンク15a内に収容され、ハイブリダイゼーションバッファが調製されて、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容される。
【0132】
ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度は、温度センサ30bによって検出されて、温度検出信号が、コントロールユニット22に入力され、コントロールユニット22によって、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bに設けられたヒータ30bが制御される。
【0133】
さらに、洗浄溶液が調整されて、洗浄溶液タンク15d内に収容される。
【0134】
洗浄溶液タンク15d内に収容された洗浄溶液の温度は、温度センサ30dによって検出されて、温度検出信号が、コントロールユニット22に入力され、コントロールユニット22によって、洗浄溶液タンク15d内に収容された洗浄溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、洗浄溶液タンク15dに設けられたヒータ30dが制御される。
【0135】
一方、標識物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製されて、プローブ溶液チップ15c内に収容される。
【0136】
放射性標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、放射性標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製され、プローブ溶液チップ15c内に収容される。
【0137】
一方、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製され、プローブ溶液チップ15c内に収容される。
【0138】
さらに、蛍光色素などの蛍光物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、蛍光色素などの蛍光物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製されて、プローブ溶液チップ15c内に収容される。
【0139】
放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質のうち、2以上の生体由来の物質を含むプローブ溶液を調製して、プローブ溶液チップ15c内に収容させることもでき、本実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製され、プローブ溶液チップ15c内に収容されている。
【0140】
プローブ溶液チップ15c内に収容されたプローブ溶液の温度は、温度センサ30cによって検出され、温度検出信号が、コントロールユニット22に入力され、コントロールユニット22によって、プローブ溶液チップ15c内に収容されたプローブ溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、プローブ溶液チップ15cに設けられたヒータ30cが制御される。
【0141】
ハイブリダイゼーションにあたっては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の蓋9が開かれて、cDNAなどの特異的結合物質が、多数の吸着性領域4に吸着されている生化学解析用ユニット1が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の矩形状領域10a内に収容され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の蓋9が閉じられる。
【0142】
次いで、ユーザーによって、スタート信号が、キーボード24に入力される。
【0143】
キーボード24に入力されたスタート信号は、コントロールユニット22に出力される。
【0144】
スタート信号を受けると、コントロールユニット22は、バルブ16aを第一の位置に位置させて、前処理液タンク15aと、溶液注入チューブ11とを連通させ、バルブ16b、バルブ16cおよびバルブ16dを第三の位置に位置させて、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15cおよび洗浄溶液タンク15dならびに大気と、溶液注入チューブ11との連通を遮断させるとともに、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cを第二の位置に位置させて、大気と溶液排出チューブ12とを連通させる。
【0145】
次いで、コントロールユニット22は、モータ23に駆動信号を出力して、揺動台13の軸13aを回転させ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置するタイミングで、モータ23に駆動停止信号を出力して、モータ23の駆動を停止させる。
【0146】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置した状態で、揺動台13が停止されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動信号を出力する。
【0147】
その結果、前処理液タンク15aに収容された前処理液が、溶液注入チューブ11を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入される。
【0148】
この時点では、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置しているため、前処理液は、溶液注入チューブ11の近傍のハイブリダイゼーション反応チャンバ7の空間内に収容される。
【0149】
所定量の前処理液が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止するとともに、モータ23に駆動信号を出力し、揺動台13の軸13aを、正逆両方向に、交互に回転させる。
【0150】
その結果、揺動台13が、軸13aまわりに揺動され、揺動台13の上面に取り付けられているハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、軸13aまわりに揺動されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入された前処理液が撹拌され、前処理液と、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4とが均一に接触して、前処理が実行される。
【0151】
ここに、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入された前処理液は、まず、溶液注入チューブ11の近傍のハイブリダイゼーション反応チャンバ7の空間内に収容されるので、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7を揺動させることによって、前処理液と、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4とを均一に接触させることが可能になる。
【0152】
図6は、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7中の溶液の流れを示す略横断面図である。
【0153】
本実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニット1が保持された矩形状領域10aの両側に、両端部に頂点を有する三角形状領域10b、10cを有しているから、揺動台13が、軸13aまわりに揺動されるのにともなって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内の前処理液が、図6において、矢印で示されるように流れ、三角形状領域10b、10c内に流入するたびに、撹拌されて、均一に混合され、したがって、前処理の効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0154】
所定の時間が経過すると、コントロールユニット22は、モータ23に駆動停止信号を出力して、揺動台13の揺動を停止させ、バルブ16a、16b、16cおよび16dを第二の位置に位置させて、大気と溶液注入チューブ11とを連通させ、バルブ19aを第一の位置に位置させて、前処理液回収タンク18aと溶液排出チューブ12とを連通させるとともに、バルブ19bおよびバルブ19cを第三の位置に位置させて、ハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bおよび洗浄溶液回収タンク18cならびに大気と、溶液排出チューブ12との連通を遮断させる。
【0155】
次いで、コントロールユニット22は、ポンプ20に駆動信号を出力する。
【0156】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内から、前処理液が排出されて、溶液排出チューブ12を介して、前処理液回収タンク18a内に回収される。
【0157】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内の前処理液が、前処理液回収タンク18a内に回収されると、コントロールユニット22は、ポンプ20に駆動停止信号を出力して、ポンプ20の駆動を停止させる。
【0158】
次いで、コントロールユニット22は、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cを第二の位置に位置させて、大気と溶液排出チューブ12とを連通させ、バルブ16bを第一の位置に位置させて、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bと、溶液注入チューブ11とを連通させるとともに、バルブ16a、バルブ16cおよびバルブ16dを第三の位置に位置させて、前処理液タンク15a、プローブ溶液チップ15cおよび洗浄溶液タンク15dならびに大気と、溶液注入チューブ11との連通を遮断させ、さらに、ポンプ17に駆動信号を出力する。
【0159】
その結果、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bに収容され、その温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファが、溶液注入チューブ11を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入される。
【0160】
所定量のハイブリダイゼーションバッファが、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止するとともに、モータ23に駆動信号を出力し、揺動台13の軸13aを、正逆両方向に、交互に回転させる。
【0161】
その結果、揺動台13が、軸13aまわりに揺動され、揺動台13の上面に取り付けられているハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、軸13aまわりに揺動されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されたハイブリダイゼーションバッファが撹拌され、ハイブリダイゼーションバッファと、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4とが均一に接触して、プレハイブリダイゼーションが実行される。
【0162】
本実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニット1が保持された矩形状領域10aの両側に、両端部に頂点を有する三角形状領域10b、10cを有しているから、揺動台13が、軸13aまわりに揺動されるのにともなって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内のハイブリダイゼーションバッファが、図6において、矢印で示されるように流れ、三角形状領域10b、10c内に流入するたびに、撹拌されて、均一に混合され、したがって、プレハイブリダイゼーションの効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0163】
また、ハイブリダイゼーションバッファの温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット22によって、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されているハイブリダイゼーションバッファの温度が制御されているから、つねに、均一な反応条件のもとで、プレハイブリダイゼーションを実行することが可能になる。
【0164】
所定の時間が経過すると、コントロールユニット22は、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置するタイミングで、モータ23に駆動停止信号を出力して、揺動台13の揺動を停止させる。
【0165】
次いで、コントロールユニット22は、バルブ16bを第三の位置に位置させて、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bおよび大気と、溶液注入チューブ11との連通を遮断させるとともに、バルブ16cを第一の位置に位置させて、プローブ溶液チップ15cと溶液注入チューブ11とを連通させ、ポンプ17に駆動信号を出力する。
【0166】
その結果、プローブ溶液チップ15c内に収容され、その温度が制御されたプローブ溶液が、溶液注入チューブ11を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入される。
【0167】
この時点では、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置しているため、プローブ溶液は、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内のハイブリダイゼーションバッファに注入され、したがって、プローブ溶液と、ハイブリダイゼーションバッファを、均一に混合することが可能になるとともに、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に均一に接触させることが可能になる。
【0168】
所定量のプローブ溶液が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止するとともに、モータ23に駆動信号を出力し、揺動台13の軸13aを、正逆両方向に、交互に回転させる。
【0169】
その結果、揺動台13が、軸13aまわりに揺動され、揺動台13の上面に取り付けられているハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、軸13aまわりに揺動されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に収容されているハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液が撹拌され、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4とが均一に接触して、ハイブリダイゼーションが実行される。
【0170】
本実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニット1が保持された矩形状領域10aの両側に、両端部に頂点を有する三角形状領域10b、10cを有しているから、揺動台13が、軸13aまわりに揺動されるのにともなって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されているハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液が、図6において、矢印で示されるように流れ、三角形状領域10b、10c内に流入するたびに、撹拌されて、均一に混合され、したがって、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に含まれた特異的結合物質に、その特異的結合物質にハイブリダイズするべき生体由来の物質が出会う確率が飛躍的に向上し、ハイブリダイゼーションの効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0171】
また、プローブ溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット22によって、プローブ溶液チップ15c内に収容されているプローブ溶液の温度が制御されているから、つねに、均一な反応条件のもとで、ハイブリダイゼーションを実行することが可能になる。
【0172】
所定の時間が経過すると、コントロールユニット22は、モータ23に駆動停止信号を出力して、揺動台13の揺動を停止させ、バルブ16a、バルブ16b、バルブ16cおよびバルブ16dを、第二の位置に位置させて、大気と溶液注入チューブ11とを連通させ、バルブ19bを第一の位置に位置させて、ハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bと溶液排出チューブ12とを連通させるとともに、バルブ19aおよびバルブ19bを第三の位置に位置させて、前処理液回収タンク18aおよび洗浄溶液回収タンク18cならびに大気と、溶液排出チューブ12との連通を遮断させる。
【0173】
次いで、コントロールユニット22は、ポンプ20に駆動信号を出力する。
【0174】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内から、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液が排出されて、溶液排出チューブ12を介して、ハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18b内に回収される。
【0175】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内のハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液が、ハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18b内に回収されると、コントロールユニット22は、ポンプ20に駆動停止信号を出力して、ポンプ20の駆動を停止させる。
【0176】
次いで、コントロールユニット22は、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cを第二の位置に位置させて、大気と溶液排出チューブ12とを連通させ、バルブ16dを第一の位置に位置させて、洗浄溶液タンク15dと、溶液注入チューブ11とを連通させるとともに、バルブ16a、バルブ16bおよびバルブ16cを第三の位置に位置させて、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bおよびプローブ溶液チップ15cならびに大気と、溶液注入チューブ11との連通を遮断させる。
【0177】
次いで、コントロールユニット22は、モータ23に駆動信号を出力して、揺動台13の軸13aを回転させ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置するタイミングで、モータ23に駆動停止信号を出力して、モータ23の駆動を停止させる。
【0178】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置した状態で、揺動台13が停止されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動信号を出力する。
【0179】
その結果、洗浄溶液タンク15dに収容され、その温度が制御された洗浄溶液が、溶液注入チューブ11を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入される。
【0180】
この時点では、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置しているため、洗浄溶液は、溶液注入チューブ11の近傍のハイブリダイゼーション反応チャンバ7の空間内に収容される。
【0181】
所定量の洗浄溶液が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止するとともに、モータ23に駆動信号を出力し、揺動台13の軸13aを、正逆両方向に、交互に回転させる。
【0182】
その結果、揺動台13が、軸13aまわりに揺動され、揺動台13の上面に取り付けられているハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、軸13aまわりに揺動されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入された洗浄溶液が撹拌され、洗浄溶液と、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4とが均一に接触して、洗浄が実行される。
【0183】
ここに、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入された洗浄溶液は、まず、溶液注入チューブ11の近傍のハイブリダイゼーション反応チャンバ7の空間内に収容されるので、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7を揺動させることによって、洗浄溶液と、生化学解析用ユニット1とを均一に接触させることが可能になる。
【0184】
本実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニット1が保持された矩形状領域10aの両側に、両端部に頂点を有する三角形状領域10b、10cを有しているから、揺動台13が、軸13aまわりに揺動されるのにともなって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内の洗浄溶液が、図6において、矢印で示されるように流れ、三角形状領域10b、10c内に流入するたびに、撹拌されて、均一に混合され、したがって、洗浄効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0185】
また、洗浄溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット22によって、洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液の温度が制御されているから、つねに、均一な条件のもとで、生化学解析用ユニット1の洗浄を実行することが可能になる。
【0186】
所定の時間が経過すると、コントロールユニット22は、モータ23に駆動停止信号を出力して、揺動台13の揺動を停止させる。
【0187】
その後、コントロールユニット22は、バルブ16a、バルブ16b、バルブ16cおよびバルブ16dを、第二の位置に位置させて、大気と溶液注入チューブ11とを連通させ、バルブ19cを第一の位置に位置させて、洗浄溶液回収タンク18cと溶液排出チューブ12とを連通させるとともに、バルブ19aおよびバルブ19bを第三の位置に位置させて、前処理液回収タンク18aおよびハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bならびに大気と、溶液排出チューブ12との連通を遮断させる。
【0188】
次いで、コントロールユニット22は、ポンプ20に駆動信号を出力する。
【0189】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内から、洗浄溶液が排出されて、溶液排出チューブ12を介して、洗浄溶液回収タンク18c内に回収される。
【0190】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内の洗浄溶液が、洗浄溶液回収タンク18c内に回収されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止させる。
【0191】
同時に、洗浄溶液回収タンク18c内に設けられた放射線センサ21により、洗浄溶液に含まれている放射性標識物質の濃度が検出され、放射線検出信号がコントロールユニット22に出力される。
【0192】
コントロールユニット22は、放射線センサ21から入力された放射線検出信号に基づいて、洗浄溶液回収タンク18c内に回収された洗浄溶液中の放射性標識物質の濃度を、メモリ(図示せず)に記憶されている放射性標識物質基準濃度と比較する。
【0193】
その結果、洗浄溶液回収タンク18c内に回収された洗浄溶液中の放射性標識物質の濃度が、放射性標識物質基準濃度を越えているときは、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の洗浄が十分でなく、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に、さらに、洗浄溶液を注入して、洗浄操作を続ける必要があると認められるから、コントロールユニット22は、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cを第二の位置に位置させて、大気と溶液排出チューブ12とを連通させ、バルブ16dを第一の位置に位置させて、洗浄溶液タンク15dと、溶液注入チューブ11とを連通させるとともに、バルブ16a、バルブ16bおよびバルブ16cを第三の位置に位置させて、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bおよびプローブ溶液チップ15cならびに大気と、溶液注入チューブ11との連通を遮断させる。
【0194】
次いで、コントロールユニット22は、モータ23に駆動信号を出力して、揺動台13の軸13aを回転させ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置するタイミングで、モータ23に駆動停止信号を出力して、モータ23の駆動を停止させる。
【0195】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置した状態で、揺動台13が停止されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動信号を出力する。
【0196】
その結果、洗浄溶液タンク15dに収容され、その温度が制御された洗浄溶液が、溶液注入チューブ11を介して、再び、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入される。
【0197】
所定量の洗浄溶液が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止するとともに、モータ23に駆動信号を出力し、揺動台13の軸13aを、正逆両方向に、交互に回転させる。
【0198】
その結果、揺動台13が、軸13aまわりに揺動され、揺動台13の上面に取り付けられているハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、軸13aまわりに揺動されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入された洗浄溶液が撹拌され、洗浄溶液と、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4とが均一に接触して、洗浄が続行される。
【0199】
また、洗浄溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット22によって、洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液の温度が制御されているから、つねに、均一な条件のもとで、生化学解析用ユニット1の洗浄が実行される。
【0200】
所定の時間が経過すると、コントロールユニット22は、モータ23に駆動停止信号を出力して、揺動台13の揺動を停止させる。
【0201】
その後、コントロールユニット22は、バルブ16a、バルブ16b、バルブ16cおよびバルブ16dを、第二の位置に位置させて、大気と溶液注入チューブ11とを連通させ、バルブ19cを第一の位置に位置させて、洗浄溶液回収タンク18cと溶液排出チューブ12とを連通させるとともに、バルブ19aおよびバルブ19bを第三の位置に位置させて、前処理液回収タンク18aおよびハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bならびに大気と、溶液排出チューブ12との連通を遮断させる。
【0202】
次いで、コントロールユニット22は、ポンプ20に駆動信号を出力する。
【0203】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内から、洗浄溶液が排出されて、溶液排出チューブ12を介して、洗浄溶液回収タンク18c内に回収される。
【0204】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内の洗浄溶液が、洗浄溶液回収タンク18c内に回収されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止させる。
【0205】
同時に、洗浄溶液回収タンク18c内に設けられた放射線センサ21により、洗浄溶液に含まれている放射性標識物質の濃度が検出され、放射線検出信号がコントロールユニット22に出力される。
【0206】
コントロールユニット22は、放射線センサ21から入力された放射線検出信号に基づいて、洗浄溶液回収タンク18c内に回収された洗浄溶液中の放射性標識物質の濃度を、メモリ(図示せず)に記憶されている放射性標識物質基準濃度と比較する。
【0207】
その結果、洗浄溶液回収タンク18c内に回収された洗浄溶液中の放射性標識物質の濃度が、放射性標識物質基準濃度を越えているときは、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の洗浄が十分でなく、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に、さらに、洗浄溶液を注入して、洗浄操作を続ける必要があると認められるから、コントロールユニット22は、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cを第二の位置に位置させて、大気と溶液排出チューブ12とを連通させ、バルブ16dを第一の位置に位置させて、洗浄溶液タンク15dと、溶液注入チューブ11とを連通させるとともに、バルブ16a、バルブ16bおよびバルブ16cを第三の位置に位置させて、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bおよびプローブ溶液チップ15cならびに大気と、溶液注入チューブ11との連通を遮断させる。
【0208】
次いで、コントロールユニット22は、モータ23に駆動信号を出力して、揺動台13の軸13aを回転させ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置するタイミングで、モータ23に駆動停止信号を出力して、モータ23の駆動を停止させる。
【0209】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置した状態で、揺動台13が停止されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動信号を出力する。
【0210】
その結果、洗浄溶液タンク15dに収容された洗浄溶液が、溶液注入チューブ11を介して、再び、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入される。
【0211】
所定量の洗浄溶液が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止するとともに、モータ23に駆動信号を出力し、揺動台13の軸13aを、正逆両方向に、交互に回転させる。
【0212】
その結果、揺動台13が、軸13aまわりに揺動され、揺動台13の上面に取り付けられているハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、軸13aまわりに揺動されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入された洗浄溶液が撹拌され、洗浄溶液と、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4とが均一に接触して、洗浄がさらに続行される。
【0213】
また、洗浄溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット22によって、洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液の温度が制御されているから、つねに、均一な条件のもとで、生化学解析用ユニット1の洗浄が実行される。
【0214】
所定の時間が経過すると、コントロールユニット22は、モータ23に駆動停止信号を出力して、揺動台13の揺動を停止させる。
【0215】
その後、コントロールユニット22は、バルブ16a、バルブ16b、バルブ16cおよびバルブ16dを、第二の位置に位置させて、大気と溶液注入チューブ11とを連通させ、バルブ19cを第一の位置に位置させて、洗浄溶液回収タンク18cと溶液排出チューブ12とを連通させるとともに、バルブ19aおよびバルブ19bを第三の位置に位置させて、前処理液回収タンク18aおよびハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bならびに大気と、溶液排出チューブ12との連通を遮断させる。
【0216】
次いで、コントロールユニット22は、ポンプ20に駆動信号を出力する。
【0217】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内から、洗浄溶液が排出されて、溶液排出チューブ12を介して、洗浄溶液回収タンク18c内に回収される。
【0218】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内の洗浄溶液が、洗浄溶液回収タンク18c内に回収されると、コントロールユニット22は、ポンプ17に駆動停止信号を出力して、ポンプ17の駆動を停止させる。
【0219】
同時に、洗浄溶液回収タンク18c内に設けられた放射線センサ21により、洗浄溶液に含まれている放射性標識物質の濃度が検出され、放射線検出信号がコントロールユニット22に出力される。
【0220】
コントロールユニット22は、放射線センサ21から入力された放射線検出信号に基づいて、洗浄溶液回収タンク18c内に回収された洗浄溶液中の放射性標識物質の濃度を、メモリ(図示せず)に記憶されている放射性標識物質基準濃度と比較する。
【0221】
こうして、洗浄溶液回収タンク18c内に回収された洗浄溶液中の放射性標識物質の濃度が、放射性標識物質基準濃度以下に低下するまで、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に、洗浄溶液が注入されて、洗浄が繰り返され、洗浄溶液回収タンク18c内に回収された洗浄溶液中の放射性標識物質の濃度が、放射性標識物質基準濃度以下に低下すると、コントロールユニット22は、洗浄が完了したと判定して、バルブ16a、バルブ16b、バルブ16c、バルブ16dを第三の位置に位置させて、大気と、溶液注入チューブ11とを連通させるとともに、バルブ19a、バルブ19bおよびバルブ19cを第三の位置に位置させて、大気と、溶液排出チューブとを連通させる。
【0222】
洗浄が完了すると、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の蓋9が開放されて、生化学解析用ユニット1が取り出される。
【0223】
こうして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に含まれている特異的結合物質に、プローブ溶液に含まれている生体由来の物質が、選択的に、ハイブリダイズされて、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、生体由来の物質を標識している放射性標識物質の放射線データおよび生体由来の物質を標識している蛍光物質の蛍光データが記録される。
【0224】
生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に記録された蛍光データは、後述するスキャナによって読み取られ、生化学解析用データが生成され、一方、放射性標識物質の放射線データは、蓄積性蛍光体シートに転写され、蓄積性蛍光体シートに転写された放射線データは、後述するスキャナによって読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0225】
図7は、蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【0226】
図7に示されるように、本実施態様にかかる蓄積性蛍光体シート25は、多数の略円形の貫通孔28が規則的に形成されたステンレス鋼製の支持体26を備え、支持体16に形成された多数の貫通孔28内に、輝尽性蛍光体が充填されて、多数の輝尽性蛍光体層領域27が、ドット状に形成されている。
【0227】
多数の貫通孔23は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4と同一のパターンで、支持体26に形成され、各輝尽性蛍光体層領域27は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4と等しいサイズを有するように、形成されている。
【0228】
したがって、図7には正確に示されていないが、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の輝尽性蛍光体層領域27が、約5000個/平方センチメートルの密度で、かつ、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4と同一の規則的なパターンにより、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に、ドット状に形成されている。
【0229】
また、本実施態様においては、支持体26の表面と、輝尽性蛍光体層領域27の表面とが同一の高さに位置するように、支持体26に形成された貫通孔28に、輝尽性蛍光体が充填されて、蓄積性蛍光体シート25が形成されている。
【0230】
図8は、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート25に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27を露光する方法を示す略断面図である。
【0231】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1は、ステンレス鋼製の基板2に形成された多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されているので、ハイブリダイゼーションなど、液体による処理を受けても、伸縮することがなく、したがって、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4のそれぞれが、蓄積性蛍光体シート25に形成された対応する輝尽性蛍光体層領域27に、正確に対向するように、蓄積性蛍光体シート25と生化学解析用ユニット1とを重ね合わせて、輝尽性蛍光体層領域27を露光することが可能になる。
【0232】
こうして、所定の時間にわたって、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4のそれぞれが、蓄積性蛍光体シート25に形成された対応する輝尽性蛍光体層領域27に対向するように、生化学解析用ユニット1と蓄積性蛍光体シート25とを重ね合わせることによって、吸着性領域4に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート25に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27が露光される。
【0233】
この際、吸着性領域4に吸着されている放射性標識物質から電子線(β線)が発せられるが、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4は、放射線エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の基板2に、互いに離間して、形成された多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されているから、各吸着性領域4から放出された電子線(β線)が、生化学解析用ユニット1の基板2内で散乱して、隣り合う吸着性領域4から放出された電子線(β線)と混ざり合い、隣り合う吸着性領域4に対向する輝尽性蛍光体層領域27に入射することを効果的に防止することができ、さらに、蓄積性蛍光体シート25の各輝尽性蛍光体層領域27が、放射線エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体26に形成された多数の貫通孔28内に、輝尽性蛍光体を充填して、形成されているから、各吸着性領域4から放出された電子線(β線)が、蓄積性蛍光体シート25の支持体26内で散乱して、対向する輝尽性蛍光体層領域27に隣り合う輝尽性蛍光体層領域27に入射することを効果的に防止することが可能になり、したがって、吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)を、その吸着性領域4に対向する輝尽性蛍光体層領域27に選択的に入射させることができ、吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が、隣り合う吸着性領域4から放出される電子線によって露光されるべき輝尽性蛍光体層領域27に入射して、輝尽性蛍光体を露光することを確実に防止することができる。
【0234】
こうして、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されていた放射性標識物質の放射線データが、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に転写されて、記録される。
【0235】
図9は、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に記録されている放射線データおよび生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成するスキャナの略斜視図であり、図10は、図9に示されたスキャナのフォトマルチプライア近傍の詳細を示す略斜視図である。
【0236】
本実施態様にかかるスキャナは、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に記録されている放射線データおよび生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光色素などの蛍光データを読み取り可能に構成されており、640nmの波長のレーザ光34を発する第1のレーザ励起光源31と、532nmの波長のレーザ光34を発する第2のレーザ励起光源32と、473nmの波長のレーザ光34を発する第3のレーザ励起光源33とを備えている。
【0237】
本実施態様においては、第1のレーザ励起光源31は、半導体レーザ光源により構成され、第2のレーザ励起光源32および第3のレーザ励起光源33は、第二高調波生成(Second Harmonic Generation)素子によって構成されている。
【0238】
第1のレーザ励起光源31により発生されたレーザ光34は、コリメータレンズ35によって、平行光とされた後、ミラー46によって反射される。第1のレーザ励起光源31から発せられ、ミラー46によって反射されたレーザ光34の光路には、640nmのレーザ光4を透過し、532nmの波長の光を反射する第1のダイクロイックミラー37および532nm以上の波長の光を透過し、473nmの波長の光を反射する第2のダイクロイックミラー48が設けられており、第1のレーザ励起光源31により発生されたレーザ光34は、第1のダイクロイックミラー37および第2のダイクロイックミラー48を透過して、ミラー39に入射する。
【0239】
他方、第2のレーザ励起光源32より発生されたレーザ光34は、コリメータレンズ40により、平行光とされた後、第1のダイクロイックミラー37によって反射されて、その向きが90度変えられて、第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0240】
また、第3のレーザ励起光源33から発生されたレーザ光34は、コリメータレンズ41によって、平行光とされた後、第2のダイクロイックミラー48により反射されて、その向きが90度変えられた後、ミラー39に入射する。
【0241】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射され、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0242】
ミラー42によって反射されたレーザ光34の光路には、中央部に穴43が形成された凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44が配置されており、ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0243】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0244】
光学ヘッド45は、ミラー46と、非球面レンズ47を備えており、光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射されて、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された輝尽性蛍光体層領域27の1つあるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の1つに入射する。
【0245】
蓄積性蛍光体シート25のの支持体26に形成された輝尽性蛍光体層領域27に、レーザ光34が入射すると、輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、輝尽光55が発せられ、また、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4に、レーザ光34が入射すると、多数の吸着性領域4に含まれている蛍光色素などの蛍光物質が励起されて、蛍光55が発せられる。
【0246】
蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された輝尽性蛍光体層領域27から放出された輝尽光55あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4から放出された蛍光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって、ミラー46に集光され、ミラー46によって、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0247】
凹面ミラー48に入射した輝尽光55あるいは蛍光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0248】
穴開きミラー44に入射した輝尽光55あるいは蛍光55は、図10に示されるように、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、下方に反射されて、フィルタユニット58に入射し、所定の波長の光がカットされて、フォトマルチプライア60に入射し、光電的に検出される。
【0249】
図10に示されるように、フィルタユニット58は、4つのフィルタ部材61a、61b、61c、61dを備えており、フィルタユニット58は、モータ(図示せず)によって、図10において、左右方向に移動可能に構成されている。
【0250】
図11は、図10のA−A線に沿った略断面図である。
【0251】
図11に示されるように、フィルタ部材61aはフィルタ62aを備え、フィルタ62aは、第1のレーザ励起光源31を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起して、吸着性領域4から放出された蛍光55を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、640nmの波長の光をカットし、640nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0252】
図12は、図10のB−B線に沿った断面図である。
【0253】
図12に示されるように、フィルタ部材61bはフィルタ62bを備え、フィルタ62bは、第2のレーザ励起光源32を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起して、吸着性領域4から放出された蛍光55を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0254】
図13は、図10のC−C線に沿った断面図である。
【0255】
図13に示されるように、フィルタ部材61cはフィルタ62cを備え、フィルタ62cは、第3のレーザ励起光源33を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起して、吸着性領域4から放出された蛍光55を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、473nmの波長の光をカットし、473nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0256】
図14は、図10のD−D線に沿った断面図である。
【0257】
図14に示されるように、フィルタ部材61dはフィルタ62dを備え、フィルタ62dは、第1のレーザ励起光源31を用いて、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体を励起して、輝尽性蛍光体層領域27から発せられた輝尽光55を読み取るときに使用されるフィルタであり、輝尽性蛍光体層領域27から放出される輝尽光55の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有している。
【0258】
したがって、使用すべきレーザ励起光源に応じて、フィルタ部材61a、61b、61c、61dを選択的にフォトマルチプライア60の前面に位置させることによって、フォトマルチプライア60は、検出すべき光のみを光電的に検出することができる。
【0259】
フォトマルチプライア60によって、輝尽光55あるいは蛍光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器63によって、ディジタルデータに変換され、データ処理装置64に送られる。
【0260】
図9には図示されていないが、光学ヘッド45は、走査機構によって、図9において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に移動可能に構成されており、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成されたすべての輝尽性蛍光体層領域27あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成されたすべての吸着性領域4が、レーザ光34によって走査されるように構成されている。
【0261】
図15は、光学ヘッドの走査機構の略平面図である。
【0262】
図15においては、簡易化のため、光学ヘッド45を除く光学系ならびにレーザ光34および蛍光55あるいは輝尽光55の光路は省略されている。
【0263】
図15に示されるように、光学ヘッド45を走査する走査機構は、基板70を備え、基板70上には、副走査パルスモータ71と一対のレール72、62とが固定され、基板70上には、さらに、図15において、矢印Yで示された副走査方向に、移動可能な基板73とが設けられている。
【0264】
移動可能な基板73には、ねじが切られた穴(図示せず)が形成されており、この穴内には、副走査パルスモータ71によって回転されるねじが切られたロッド74が係合している。
【0265】
移動可能な基板73上には、主走査ステッピングモータ75が設けられ、主走査ステッピングモータ75は、エンドレスベルト76を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4、すなわち、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域27の距離に等しいピッチで、間欠的に駆動可能に構成されている。
【0266】
光学ヘッド45は、エンドレスベルト76に固定されており、主走査ステッピングモータ75によって、エンドレスベルト76が駆動されると、図15において、矢印Xで示された主走査方向に移動されるように構成されている。
【0267】
図15において、67は、光学ヘッド45の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダであり、78は、リニアエンコーダ77のスリットである。
【0268】
したがって、主走査ステッピングモータ75によって、エンドレスベルト76が、主走査方向に間欠的に駆動され、副走査パルスモータ71によって、基板73が、副走査方向に間欠的に移動されることによって、光学ヘッド45は、図15において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に移動され、レーザ光34によって、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成されたすべての輝尽性蛍光体層領域27あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成されたすべての吸着性領域4が走査される。
【0269】
図16は、図9に示されたスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【0270】
図16に示されるように、スキャナの制御系は、スキャナ全体を制御するコントロールユニット80を備え、スキャナの入力系は、ユーザーによって操作され、種々の指示信号を入力可能なキーボード81を備えている。
【0271】
図16に示されるように、スキャナの駆動系は、光学ヘッド45を主走査方向に間欠的に移動させる主走査ステッピングモータ75と、光学ヘッド45を副走査方向に間欠的に移動させる副走査パルスモータ71と、4つのフィルタ部材61a、61b、61c、61dを備えたフィルタユニット58を移動させるフィルタユニットモータ82を備えている。
【0272】
コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31、第2のレーザ励起光源32または第3のレーザ励起光源33に選択的に駆動信号を出力するとともに、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力可能に構成されている。
【0273】
また、図16に示されるように、スキャナの検出系は、フォトマルチプライア60と、光学ヘッド45の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダ77を備えている。
【0274】
本実施態様においては、コントロールユニット80は、リニアエンコーダ77から入力される光学ヘッド45の位置検出信号にしたがって、第1のレーザ励起光源31、第2のレーザ励起光源32または第3のレーザ励起光源33をオン・オフ制御可能に構成されている。
【0275】
以上のように構成されたスキャナは、以下のようにして、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質によって、多数の輝尽性蛍光体層領域27が露光されて、蓄積性蛍光体シート25に記録された放射性標識物質の放射線データを読み取って、生化学解析用データを生成する。
【0276】
まず、ユーザーによって、蓄積性蛍光体シート25が、ステージ50のガラス板51上に載置される。
【0277】
次いで、ユーザーによって、キーボード81に、蓄積性蛍光体シート25の多数の輝尽性蛍光体層領域27に記録された放射線データを読み取るべき旨の指示信号が入力される。
【0278】
キーボード81に入力された指示信号は、コントロールユニット80に入力され、コントロールユニット80は、指示信号にしたがって、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力し、フィルタユニット58を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光55の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ62dを備えたフィルタ部材61dを、輝尽光55の光路内に位置させる。
【0279】
さらに、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力し、光学ヘッド45を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27のうち、第1の輝尽性蛍光体層領域27に、レーザ光34を照射可能な位置に、光学ヘッド45が達したことが確認されると、主走査ステッピングモータ75に停止信号を出力するとともに、第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31を起動させ、640nmの波長のレーザ光34を発せさせる。
【0280】
第1のレーザ励起光源31から発せられたレーザ光34は、コリメータレンズ35によって、平行な光とされた後、ミラー46に入射して、反射される。
【0281】
ミラー46によって反射されたレーザ光34は、第1のダイクロイックミラー37および第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0282】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射されて、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0283】
ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0284】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0285】
光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射され、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域27に集光される。
【0286】
本実施態様においては、蓄積性蛍光体シート25の輝尽性蛍光体層領域27は、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体26に、互いに離間して、形成された多数の貫通孔28内に、輝尽性蛍光体が充填されて、形成されているから、レーザ光34が、輝尽性蛍光体層領域27内で散乱して、隣り合った輝尽性蛍光体層領域27内に入射し、隣り合った輝尽性蛍光体層領域27内に含まれている輝尽性蛍光体を励起することを効果的に防止することができる。
【0287】
レーザ光34が、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域に入射すると、第1の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体が、レーザ光34によって励起されて、第1の輝尽性蛍光体層領域27から輝尽光55が放出される。
【0288】
第1の輝尽性蛍光体領域15から放出された輝尽光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46により、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0289】
凹面ミラー48に入射した輝尽光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0290】
穴開きミラー44に入射した輝尽光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図10に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62dに入射する。
【0291】
フィルタ62dは、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光55の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有しているので、励起光である640nmの波長の光がカットされ、輝尽性蛍光体層領域27から放出された輝尽光55の波長域の光のみがフィルタ62dを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0292】
フォトマルチプライア60によって、輝尽光55が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器63に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置64に出力される。
【0293】
第1のレーザ励起光源31がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31の駆動を停止させるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域27の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0294】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域27の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されて、第1のレーザ励起光源31から発せられるレーザ光34を、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域27に隣り合う第2の輝尽性蛍光体層領域27に照射可能な位置に移動したことが確認されると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオンさせて、レーザ光34によって、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第2の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体を励起する。
【0295】
同様にして、所定の時間にわたり、レーザ光34が、蓄積性蛍光体シート25の基板26に形成された第2の輝尽性蛍光体層領域27に照射され、第2の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体が励起され、第2の輝尽性蛍光体層領域27から放出された輝尽光55が、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出されて、アナログデータが生成されると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31にクレーム停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域27の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0296】
こうして、光学ヘッド45の間欠的な移動に同期して、第1のレーザ励起光源31のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づき、光学ヘッド45が、主走査方向に1ライン分だけ、移動され、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域27のレーザ光34による走査が完了したことが確認されると、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力して、光学ヘッド45を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ71に駆動信号を出力して、移動可能な基板73を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0297】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が元の位置に復帰され、また、移動可能な基板73が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことが確認されると、コントロールユニット80は、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域27に、順次、第1のレーザ励起光源31から発せられるレーザ光34を照射したのと全く同様にして、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域27に、順次、第1のレーザ励起光源31から発せられるレーザ光34を照射して、第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域27から発せられた輝尽光55を、順次、フォトマルチプライア60に光電的に検出させる。
【0298】
フォトマルチプライア60によって、輝尽光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器63によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置64に送られる。
【0299】
こうして、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成されたすべての輝尽性蛍光体層領域27が、第1のレーザ励起光源31から放出されたレーザ光34によって走査され、輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、放出された輝尽光55が、フォトマルチプライア60によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、A/D変換器63によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置64に送られると、コントロールユニット80から、駆動停止信号が、第1のレーザ励起光源31に出力され、第1のレーザ励起光源31の駆動が停止される。
【0300】
一方、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光物質の蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成するときは、まず、ユーザーによって、生化学解析用ユニット1が、ステージ50のガラス板51上にセットされる。
【0301】
次いで、ユーザーによって、標識物質である蛍光物質の種類を特定する標識物質特定信号が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光データを読み取るべき旨の指示信号とともに、キーボード81に、入力される。
【0302】
キーボード81に入力された標識物質特定信号および指示信号は、コントロールユニット80に入力され、コントロールユニット80は、標識物質特定信号および指示信号を受けると、メモリ(図示せず)に記憶されているテーブルにしたがって、使用すべきレーザ励起光源を決定するとともに、フィルタ62a、62b、62cのいずれを蛍光55の光路内に位置させるかを決定する。
【0303】
たとえば、生体由来の物質を標識する蛍光物質として、532nmの波長のレーザにより、最も効率的に励起することのできるローダミン(登録商標)が使用され、その旨を示す標識物質特定信号が、キーボード81に入力されたときは、コントロールユニット80は、第2のレーザ励起光源32を選択するとともに、フィルタ62bを選択し、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力して、フィルタユニット58を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ62bを備えたフィルタ部材61bを、生化学解析用ユニット1から放出されるべき蛍光55の光路内に位置させる。
【0304】
さらに、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力し、光学ヘッド45を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のうち、第1の吸着性領域4に、レーザ光34を照射可能な位置に、光学ヘッド45が達したことが確認されると、主走査ステッピングモータ75に停止信号を出力するとともに、第2のレーザ励起光源32に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源32を起動させ、532nmの波長のレーザ光34を発せさせる。
【0305】
第2のレーザ励起光源32から発せられたレーザ光34は、コリメータレンズ40によって、平行な光とされた後、第1のダイクロイックミラー37に入射して、反射される。
【0306】
第1のダイクロイックミラー37によって反射されたレーザ光34は、第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0307】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射されて、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0308】
ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0309】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0310】
光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射され、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4に集光される。
【0311】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4は、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の基板2に、互いに離間して、形成された多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されているから、レーザ光34が、生化学解析用ユニット1の各吸着性領域4内で散乱して、隣り合った吸着性領域4に入射し、隣り合った吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起することを効果的に防止することができる。
【0312】
レーザ光34が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1の吸着性領域4に入射すると、第1の吸着性領域4に含まれている蛍光色素などの蛍光物質、たとえば、ローダミンが励起されて、蛍光55が発せられる。
【0313】
ローダミンから放出された蛍光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46によって、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0314】
凹面ミラー48に入射した蛍光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0315】
穴開きミラー44に入射した蛍光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図9に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62bに入射する。
【0316】
フィルタ62bは、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有しているので、励起光である532nmの波長の光がカットされ、ローダミンから放出された蛍光55の波長域の光のみがフィルタ62bを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0317】
フォトマルチプライア60によって、蛍光55が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器63に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置64に出力される。
【0318】
第2のレーザ励起光源32がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット80は、第2のレーザ励起光源32に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源32の駆動を停止させるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0319】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されて、第2のレーザ励起光源32から発せられるレーザ光34を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1の吸着性領域4に隣り合う第2の吸着性領域4に照射可能な位置に移動したことが確認されると、コントロールユニット80は、第2のレーザ励起光源32に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源32をオンさせて、レーザ光34によって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2の吸着性領域4に含まれている蛍光物質、たとえば、ローダミンを励起する。
【0320】
同様にして、所定の時間にわたり、レーザ光34が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2の吸着性領域4に照射され、第2の吸着性領域4から放出された蛍光55が、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出されて、アナログデータが生成されると、コントロールユニット80は、第2のレーザ励起光源32にクレーム停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源32をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0321】
こうして、光学ヘッド45の間欠的な移動に同期して、第1のレーザ励起光源31のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づき、光学ヘッド45が、主走査方向に1ライン分だけ、移動され、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1ライン目のすべての吸着性領域4を、レーザ光34により、走査したことが確認されると、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力して、光学ヘッド45を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ71に駆動信号を出力して、移動可能な基板73を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0322】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が元の位置に復帰され、また、移動可能な基板73が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことが確認されると、コントロールユニット80は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1ライン目の吸着性領域4に、順次、第2のレーザ励起光源32から発せられるレーザ光34を照射したのと全く同様にして、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2ライン目の吸着性領域4に含まれているローダミンを励起し、第2ライン目の吸着性領域4から放出された蛍光55を、順次、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出させる。
【0323】
フォトマルチプライア60によって、蛍光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器63によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置64に送られる。
【0324】
こうして、生化学解析用ユニット1第2ライン目のに形成されたすべての吸着性領域4が、第2のレーザ励起光源32から放出されたレーザ光34によって走査され、生化学解析用ユニット1第2ライン目のに形成された多数の吸着性領域4に含まれているローダミンが励起されて、放出された蛍光55が、フォトマルチプライア60によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、A/D変換器63によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置64に送られると、コントロールユニット80から、駆動停止信号が、第2のレーザ励起光源32に出力され、第2のレーザ励起光源32の駆動が停止される。
【0325】
本実施態様によれば、ユーザーが、生化学解析用ユニット1を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内にセットするだけで、モータ23によって、揺動台13が、軸13aまわりに揺動され、揺動台13の上面に取り付けられているハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、軸13aまわりに揺動されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入された前処理液、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液が撹拌されるように構成されているから、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の矩形状領域10a内に保持されている生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に均一に接触させて、前処理、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび洗浄を実行することができ、したがって、実験者が異なっても、再現性よく、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることが可能になり、長時間を要しても、簡易に、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることが可能になるとともに、大幅な省力化が可能になる。
【0326】
また、本実施態様によれば、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニット1が保持された矩形状領域10aの両側に、両端部に頂点を有する三角形状領域10b、10cを有しているから、揺動台13が、軸13aまわりに揺動されるのにともなって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入された前処理液、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液が、三角形状領域10b、10c内に流入するたびに、撹拌されて、均一に混合され、したがって、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に含まれた特異的結合物質に、その特異的結合物質にハイブリダイズするべき生体由来の物質が出会う確率が飛躍的に向上し、ハイブリダイゼーションの効率を大幅に向上させることが可能になるとともに、前処理、プレハイブリダイゼーションおよび洗浄の効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0327】
さらに、本実施態様によれば、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置しているときに、溶液注入チューブ11を介して、プローブ溶液が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されるように構成されているから、プローブ溶液は、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内のハイブリダイゼーションバッファに注入され、したがって、プローブ溶液と、ハイブリダイゼーションバッファを、均一に混合することが可能になる。
【0328】
また、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7から、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7に注入する際に、温度変化が生じると、ハイブリダイゼーションの結果に大きなばらつきが生ずることが認められているが、本実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファタンク15bに収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液チップ15cに収容されたプローブ溶液の温度および洗浄溶液タンク15dに収容された洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット22によって、ハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液の温度および洗浄溶液の温度が制御されているから、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7に注入する際の度変化に起因して、ハイブリダイゼーションの結果にばらつきが生ずることを効果的に防止することが可能になる。
【0329】
さらに、本実施態様によれば、放射線センサ21によって、洗浄溶液回収タンク18c内に回収された洗浄溶液に含まれている放射性標識物質の濃度を検出し、洗浄溶液中の放射性標識物質の濃度が、放射性標識物質基準濃度以下に低下するまで、洗浄溶液による洗浄を繰り返すように構成されているので、洗浄の終了時点を、的確に決定することが可能になる。
【0330】
図17は、本発明の別の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の略側面図である。
【0331】
図17に示されるように、本実施態様においては、揺動台13、基台14、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15c、洗浄溶液タンク15dおよび溶液注入チューブ11は、温度が、所定の温度範囲内に制御された恒温槽85内に収容されており、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15cおよび洗浄溶液タンク15dには、温度センサもヒータも設けられていない。
【0332】
図18は、図17に示されたハイブリダイゼーション装置の制御系、検出系、駆動系および入力系を示すブロックダイアグラムである。
【0333】
図18に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の検出系は、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する温度センサ21b、プローブ溶液チップ15c内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する温度センサ21cおよび洗浄溶液タンク15d内に収容された洗浄溶液の温度を検出する温度センサ21dに代えて、恒温槽85内の温度を検出する温度センサ86を備えている。
【0334】
図18に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の駆動系は、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されているハイブリダイゼーションバッファを加温するヒータ30b、プローブ溶液チップ15c内に収容されているプローブ溶液を加温するヒータ30cおよび洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液を加温するヒータ30dに代えて、恒温槽85内を加温するヒータ87が設けられている。
【0335】
本実施態様においては、コントロールユニット22は、温度センサ86から入力された温度検出信号にしたがって、恒温槽85内の温度が所定の温度範囲内に保持されるように、ヒータ87を制御するように構成されている。
【0336】
本実施態様においても、前記実施態様と全く同様にして、前処理、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび生化学解析用ユニット1の洗浄が実行される。
【0337】
本実施態様によれば、揺動台13、基台14、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15c、洗浄溶液タンク15dおよび溶液注入チューブ11が、恒温槽85内に収容され、コントロールユニット22によって、恒温槽85内の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように制御されているから、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7から、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入する際の度変化に起因して、ハイブリダイゼーションの結果にばらつきが生ずることを効果的に防止することが可能になる。
【0338】
図19は、本発明のさらに他の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の略縦断面図である。
【0339】
図19に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置は、生化学解析用ユニット1を収容するハイブリダイゼーション反応チャンバ97と、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97を保持するステージ98と、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97に接続され、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液あるいは洗浄溶液が流動する溶液循環パイプ99と、溶液循環パイプ99に設けられ、溶液循環パイプ99を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液あるいは洗浄溶液を強制的に供給するポンプ100と、ハイブリダイゼーションバッファを収容し、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aを介して、溶液循環パイプ99に接続されたハイブリダイゼーションバッファタンク101と、プローブ溶液を収容し、プローブ溶液供給パイプ102aを介して、溶液循環パイプ99に接続されたプローブ溶液チップ102と、洗浄溶液を収容し、洗浄溶液供給パイプ103aを介して、溶液循環パイプ99に接続された洗浄溶液タンク103と、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97の下方の溶液循環パイプ99に接続された溶液排出パイプ104とを備えている。
【0340】
図19に示されるように、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aには、切り換えバルブ101bが設けられ、プローブ溶液供給パイプ102aには、切り換えバルブ102bが設けられ、洗浄溶液供給パイプ103aには、切り換えバルブ103bが設けられている。さらに、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部にも、切り換えバルブ104bが設けられている。
【0341】
図19に示されるように、ハイブリダイゼーションバッファタンク101には、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファを加温する第1のヒータ101cが設けられ、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する温度センサ(図示せず)が設けられている。
【0342】
図19に示されるように、プローブ溶液チップ102には、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液を加温する第2のヒータ102cが設けられ、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する温度センサ(図示せず)が設けられている。
【0343】
図19に示されるように、洗浄溶液チップ103には、洗浄溶液チップ103内に収容された洗浄溶液を加温する第3のヒータ103cが設けられ、洗浄溶液チップ103内に収容された洗浄溶液の温度を検出する温度センサ(図示せず)が設けられている。
【0344】
本実施態様においては、ポンプ100は、正逆両方向に、駆動可能に構成されている。
【0345】
ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bは、三方弁によって構成され、ハイブリダイゼーションバッファタンク101と溶液循環パイプ99とを連通させる第一の位置、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置ならびにハイブリダイゼーションバッファタンク101および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置を、選択的に取ることができるように構成されている。
【0346】
プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bは、三方弁によって構成され、プローブ溶液チップ102と溶液循環パイプ99とを連通させる第一の位置、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置ならびにプローブ溶液チップ102および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置を、選択的に取ることができるように構成されている。
【0347】
洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bは、三方弁によって構成され、洗浄溶液タンク103と溶液循環パイプ99とを連通させる第一の位置、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置ならびに洗浄溶液タンク103および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置を、選択的に取ることができるように構成されている。
【0348】
また、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ104bは、溶液循環パイプ99を連通させる第一の位置と、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104とを連通させる第二の位置を、選択的に取ることができるように構成されている。
【0349】
図20は、図19に示されたハイブリダイゼーション装置の制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【0350】
図20に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の制御系は、ハイブリダイゼーション装置全体の動作を制御するコントロールユニット110を備え、ハイブリダイゼーション装置の入力系は、キーボード111を備えている。
【0351】
図20に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の駆動系は、正方向あるいは逆方向に駆動可能なポンプ100と、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bを駆動する第1のバルブ駆動手段116と、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを駆動する第2のバルブ駆動手段117と、洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bを駆動する第3のバルブ駆動手段118と、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ104bを駆動する第4のバルブ駆動手段119と、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファを加温する第1のヒータ101cと、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液を加温する第2のヒータ102cと、洗浄溶液チップ103内に収容された洗浄溶液を加温する第3のヒータ103cとを備えている。
【0352】
また、図20に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の検出系は、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する第1の温度センサ121と、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する第2の温度センサ122と、洗浄溶液チップ103内に収容された洗浄溶液の温度を検出する第3の温度センサ123を備えている。
【0353】
以上のように構成された本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置は、以下のようにして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に含まれた特異的結合物質に、標識物質によって標識され、プローブ溶液に含まれた生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせる。
【0354】
まず、ハイブリダイゼーションバッファが調製されて、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容される。
【0355】
ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度は、第1の温度センサ121によって検出されて、温度検出信号が、コントロールユニット110に入力され、コントロールユニット110によって、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、ハイブリダイゼーションバッファタンク101に設けられた第1のヒータ101cが制御される。
【0356】
さらに、洗浄溶液が調整されて、洗浄溶液タンク103内に収容される。
【0357】
洗浄溶液タンク103内に収容された洗浄溶液の温度は、第3の温度センサ123によって検出されて、温度検出信号が、コントロールユニット110に入力され、コントロールユニット110によって、洗浄溶液タンク103内に収容された洗浄溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、洗浄溶液タンク103に設けられた第3のヒータ103cが制御される。
【0358】
一方、標識物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製されて、プローブ溶液チップ102内に収容される。
【0359】
放射性標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、放射性標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製され、プローブ溶液チップ102内に収容される。
【0360】
一方、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製され、プローブ溶液チップ102内に収容される。
【0361】
さらに、蛍光色素などの蛍光物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、蛍光色素などの蛍光物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製されて、プローブ溶液チップ102内に収容される。
【0362】
放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質のうち、2以上の生体由来の物質を含むプローブ溶液を調製して、プローブ溶液チップ15c内に収容させることもでき、本実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液が調製され、プローブ溶液チップ102内に収容されている。
【0363】
プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液の温度は、第2の温度センサ122によって検出され、温度検出信号が、コントロールユニット110に入力され、コントロールユニット110によって、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、プローブ溶液チップ102に設けられた第2のヒータ102cが制御される。
【0364】
次いで、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、cDNAなどの特異的結合物質が、多数の吸着性領域4に吸着されている生化学解析用ユニット1がセットされる。
【0365】
次いで、ユーザーにより、キーボード111に、スタート信号が入力される。
【0366】
キーボード111に入力されたスタート信号は、コントロールユニット110に出力される。
【0367】
スタート信号を受けると、コントロールユニット110は、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置に位置させ、洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ110bを、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置に位置させるとともに、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ104bを、溶液循環パイプ99を連通させる第一の位置に位置させる。
【0368】
次いで、コントロールユニット110は、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bを、ハイブリダイゼーションバッファタンク101と溶液循環パイプ99を連通させる第一の位置させ、ポンプ100を、正方向に駆動する。
【0369】
その結果、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容され、その温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御されたハイブリダイゼーションバッファが、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aおよび溶液循環パイプ99を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に供給される。
【0370】
こうして、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間がすべて、ハイブリダイゼーションバッファによって満たされると、コントロールユニット110は、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bを、ハイブリダイゼーションバッファタンク101および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させるとともに、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを、プローブ溶液チップ102および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させ、洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ110bを、洗浄溶液タンク103および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させる。
【0371】
一方、コントロールユニット110は、ポンプ100を、引き続き、正方向に駆動し、その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファは、図19において、矢印Aで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99内を循環され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流される。
【0372】
したがって、ハイブリダイゼーションバッファが、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に均一に接触して、プレハイブリダイゼーションが実行される。
【0373】
また、ハイブリダイゼーションバッファの温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット110によって、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されているハイブリダイゼーションバッファの温度が制御されているから、つねに、均一な反応条件のもとで、プレハイブリダイゼーションを実行することが可能になる。
【0374】
第一の所定時間が経過すると、コントロールユニット110は、ポンプ100の駆動を停止し、次いで、ポンプ10を、逆方向に、駆動する。
【0375】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファは、図19において、矢印Bで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ9内を循環され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流される。
【0376】
したがって、ハイブリダイゼーションバッファが、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に均一に接触して、プレハイブリダイゼーションが実行される。
【0377】
第一の所定時間が経過すると、コントロールユニット110は、ポンプ110の駆動を、一旦停止し、次いで、ポンプ100を、再び、正方向に駆動して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファを、図19において、矢印Aで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99内を強制的に循環させ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流動させる。
【0378】
こうして、所定の回数にわたって、ポンプ100を、正逆方向に、交互に駆動して、ハイブリダイゼーションバッファを、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内にセットされた生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流動させた後、コントロールユニット110は、ポンプ10の駆動を停止させる。
【0379】
次いで、コントロールユニット110は、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ13aを、溶液循環パイプ99を連通させる第一の位置に位置させるとともに、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bおよび洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bを、それぞれ、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置に位置させるとともに、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを、プローブ溶液チップ102と溶液循環パイプ99とを連通させる第一の位置に位置させ、さらに、ポンプ100を、正方向に駆動する。
【0380】
その結果、プローブ溶液チップ102内に収容され、その温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御されたプローブ溶液が、プローブ溶液供給パイプ102aおよび溶液循環パイプ99を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に供給され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファに添加される。
【0381】
所定量のプローブ溶液が、プローブ溶液チップ102から、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に供給されると、コントロールユニット110は、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bを、ハイブリダイゼーションバッファタンク101および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させ、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを、プローブ溶液チップ102および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させるとともに、洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bを、洗浄溶液タンク103および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させる。
【0382】
一方、コントロールユニット110は、ポンプ100を、引き続き、正方向に駆動し、その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファに添加されたプローブ溶液は、ハイブリダイゼーションバッファとともに、図19において、矢印Aで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99内を循環され、ハイブリダイゼーションバッファと均一に混合されつつ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流される。
【0383】
したがって、プローブ溶液とハイブリダイゼーションバッファとの混合溶液に含まれている生体由来の物質が、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に吸着されている特異的結合物質に出会う確率が大幅に向上し、生体由来の物質を、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に含まれている特異的結合物質にも、効果的に、ハイブリダイズさせることが可能になる。
【0384】
また、プローブ溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット110によって、プローブ溶液チップ102内に収容されているプローブ溶液の温度が制御されているから、つねに、均一な反応条件のもとで、ハイブリダイゼーションを実行することが可能になる。
【0385】
第一の所定時間が経過すると、コントロールユニット110は、ポンプ100の駆動を停止し、次いで、ポンプ10を、逆方向に、駆動する。
【0386】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液との混合溶液は、図19において、矢印Bで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ9内を循環され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流される。
【0387】
したがって、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液との混合溶液に含まれている生体由来の物質が、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に吸着されている特異的結合物質に出会う確率がさらに向上し、生体由来の物質を、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に含まれている特異的結合物質にも、効果的に、ハイブリダイズさせることが可能になる。
【0388】
第一の所定時間が経過すると、コントロールユニット110は、ポンプ110の駆動を、一旦停止し、次いで、ポンプ100を、再び、正方向に駆動して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液との混合溶液を、図19において、矢印Aで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99内を強制的に循環させ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流動させる。
【0389】
こうして、所定の回数にわたって、ポンプ100を、正逆方向に、交互に駆動して、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液との混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内にセットされた生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流動させた後、コントロールユニット110は、ポンプ10の駆動を停止させる。
【0390】
次いで、コントロールユニット110は、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101b、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bおよび洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bを、それぞれ、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置に位置させるとともに、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ104aを、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104とを連通させる第二の位置に位置させ、ポンプ100を、正方向に駆動させる。
【0391】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液との混合溶液が、溶液排出パイプ104を通じて、排出される。
【0392】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされたハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液との混合溶液が、溶液排出パイプ104と通じて、排出されると、コントロールユニット110は、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ104bを、溶液循環パイプ99を連通させる第一の位置に位置させるとともに、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bおよびプローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを、それぞれ、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置に位置させるとともに、洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bを、洗浄溶液タンク103と溶液循環パイプ99とを連通させる第一の位置に位置させ、さらに、ポンプ100を、正方向に駆動する。
【0393】
その結果、洗浄溶液タンク103内に収容され、その温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御された洗浄溶液が、洗浄溶液供給パイプ103aおよび溶液循環パイプ99を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に供給される。
【0394】
こうして、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間がすべて、洗浄溶液によって満たされると、コントロールユニット110は、洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ110bを、洗浄溶液タンク103および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させるとともに、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bを、ハイブリダイゼーションバッファタンク101および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させ、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを、プローブ溶液チップ102および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させる。
【0395】
一方、コントロールユニット110は、ポンプ100を、引き続き、正方向に駆動し、その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液は、図19において、矢印Aで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99内を循環され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流される。
【0396】
したがって、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の深い部分に吸着された特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0397】
また、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、洗浄溶液を注入する際の温度変化が、ハイブリダイゼーションの結果に最も大きな影響を与えることが認められているが、本実施態様においては、洗浄溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット110によって、洗浄溶液タンク102内に収容されている洗浄溶液の温度が制御されているから、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97から、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、洗浄溶液を注入する際の温度変化に起因するハイブリダイゼーションの結果のばらつきを効果的に防止することが可能になる。
【0398】
第一の所定時間よりも短い第二の所定時間が経過すると、コントロールユニット110は、ポンプ100の駆動を停止し、次いで、ポンプ10を、逆方向に、駆動する。
【0399】
ここに、第一の所定時間よりも短い第二の所定時間の経過後に、ポンプ100の駆動を停止しているのは、洗浄溶液を、繰り返し、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に循環させると、洗浄によって、特異的結合物質から剥離された特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質が、特異的結合物質に再結合するおそれがあるからである。
【0400】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液は、図19において、矢印Bで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ9内を循環され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流される。
【0401】
したがって、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の深い部分に吸着された特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、より効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0402】
第二の所定時間が経過すると、コントロールユニット110は、ポンプ110の駆動を、一旦停止し、次いで、ポンプ100を、再び、正方向に駆動して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液を、図19において、矢印Aで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99内を強制的に循環させ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流動させる。
【0403】
こうして、所定の回数にわたって、ポンプ100を、正逆方向に、交互に駆動して、洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内にセットされた生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流動させた後、コントロールユニット110は、ポンプ10の駆動を停止させる。
【0404】
次いで、コントロールユニット110は、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101b、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bおよび洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bを、それぞれ、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置に位置させるとともに、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ104aを、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104とを連通させる第二の位置に位置させ、ポンプ100を、正方向に駆動させる。
【0405】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液が、溶液排出パイプ104を通じて、排出される。
【0406】
ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液が、溶液排出パイプ104と通じて、排出されると、コントロールユニット110は、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ104bを、溶液循環パイプ99を連通させる第一の位置に位置させるとともに、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bおよびプローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを、それぞれ、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置に位置させるとともに、洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bを、洗浄溶液タンク103と溶液循環パイプ99とを連通させる第一の位置に位置させ、さらに、ポンプ100を、正方向に駆動する。
【0407】
その結果、洗浄溶液タンク103内に収容され、その温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、制御された洗浄溶液が、再び、洗浄溶液供給パイプ103aおよび溶液循環パイプ99を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に供給される。
【0408】
こうして、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間がすべて、洗浄溶液によって満たされると、コントロールユニット110は、洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ110bを、洗浄溶液タンク103および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させるとともに、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101bを、ハイブリダイゼーションバッファタンク101および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させ、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bを、プローブ溶液チップ102および大気と溶液循環パイプ99との連通を遮断させる第三の位置に位置させる。
【0409】
一方、コントロールユニット110は、ポンプ100を、引き続き、正方向に駆動し、その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液は、図19において、矢印Aで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99内を循環され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流される。
【0410】
したがって、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の深い部分に吸着された特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0411】
また、ハイブリダイゼーション反応チャンバから、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、洗浄溶液を注入する際の温度変化が、ハイブリダイゼーションの結果に最も大きな影響を与えることが認められているが、本実施態様においては、洗浄溶液の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット110によって、洗浄溶液タンク102内に収容されている洗浄溶液の温度が制御されているから、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97から、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を排出し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、洗浄溶液を注入する際の温度変化に起因するハイブリダイゼーションの結果のばらつきを効果的に防止することが可能になる。
【0412】
第二の所定時間が経過すると、コントロールユニット110は、ポンプ100の駆動を停止し、次いで、ポンプ10を、逆方向に、駆動する。
【0413】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液は、図19において、矢印Bで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ9内を循環され、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流される。
【0414】
したがって、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の深い部分に吸着された特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、より効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0415】
第二の所定時間が経過すると、コントロールユニット110は、ポンプ110の駆動を、一旦停止し、次いで、ポンプ100を、再び、正方向に駆動して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液を、図19において、矢印Aで示される方向に、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99内を強制的に循環させ、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流動させる。
【0416】
こうして、所定の回数にわたって、ポンプ100を、正逆方向に、交互に駆動して、洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内にセットされた生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切って、強制的に流動させた後、コントロールユニット110は、ポンプ10の駆動を停止させる。
【0417】
次いで、コントロールユニット110は、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101aに設けられた切り換えバルブ101b、プローブ溶液供給パイプ102aに設けられた切り換えバルブ102bおよび洗浄溶液供給パイプ103aに設けられた切り換えバルブ103bを、それぞれ、大気と溶液循環パイプ99とを連通させる第二の位置に位置させるとともに、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104との接続部に設けられた切り換えバルブ104aを、溶液循環パイプ99と溶液排出パイプ104とを連通させる第二の位置に位置させ、ポンプ100を、正方向に駆動させる。
【0418】
その結果、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97および溶液循環パイプ99の内部空間に満たされた洗浄溶液が、溶液排出パイプ104を通じて、排出される。
【0419】
同様にして、所定の回数にわたって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97への洗浄溶液に供給およびハイブリダイゼーション反応チャンバ97からの洗浄溶液の排出が繰り返された後、ハイブリダイゼーションが完了する。
【0420】
こうして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、放射性標識物質の放射線データおよび蛍光色素などの蛍光物質の蛍光データが記録される。
【0421】
生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された蛍光データは、前記実施態様と同様にして、図9ないし図16に示されたスキャナによって読み取られ、生化学解析用データが生成される。
【0422】
一方、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された放射性標識物質の放射線データは、前記実施態様と同様にして、図7に示された蓄積性蛍光体シート25の多数の輝尽性蛍光体層領域27に転写され、図9ないし図16に示されたスキャナによって、蓄積性蛍光体シート25の多数の輝尽性蛍光体層領域27に転写された放射線データが読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0423】
本実施態様によれば、ユーザーが、生化学解析用ユニット1を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内にセットするだけで、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液が、ポンプ100によって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、強制的に供給されて、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび生化学解析用ユニット1の洗浄が実行されるから、実験者が異なっても、再現性よく、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることが可能になり、長時間を要しても、簡易に、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることが可能になるとともに、大幅な省力化が可能になる。
【0424】
また、本実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液が、ポンプ100によって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、強制的に供給されて、ハイブリダイゼーションが実行されるから、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液に含まれた生体由来の物質が、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に吸着されている特異的結合物質に出会う確率が大幅に向上し、生体由来の物質を、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に含まれている特異的結合物質にも、効果的に、ハイブリダイズさせることが可能になる。
【0425】
さらに、本実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液が、ポンプ100によって、溶液循環パイプ99を介して、循環され、繰り返し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、強制的に供給されるから、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に吸着されている特異的結合物質に出会う確率がさらに向上し、生体由来の物質を、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に含まれている特異的結合物質にも、より効果的に、ハイブリダイズさせることが可能になる。
【0426】
また、本実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液が、ポンプ100によって、正逆両方向から、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、強制的に供給されるから、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に吸着されている特異的結合物質に出会う確率がさらに向上し、生体由来の物質を、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4の深い部分に含まれている特異的結合物質にも、より一層、効果的に、ハイブリダイズさせることが可能になる。
【0427】
さらに、本実施態様によれば、洗浄溶液が、ポンプ100によって、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、強制的に供給されて、洗浄が実行されるから、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0428】
また、本実施態様によれば、洗浄溶液が、ポンプ100によって、溶液循環パイプ99を介して、循環され、繰り返し、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、強制的に供給されて、洗浄が実行されるから、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、より効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0429】
さらに、本実施態様によれば、洗浄溶液が、ポンプ100によって、正逆両方向から、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、強制的に供給されるから、ハイブリダイゼーションの工程で、本来、結合されるべきでない生体由来の物質が、特異的結合物質に結合されていても、特異的結合物質に結合されるべきでなかった生体由来の物質を、より一層効果的に剥離させ、除去することが可能になる。
【0430】
また、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97から、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97注入する際に、温度変化が生じると、ハイブリダイゼーションの結果に大きなばらつきが生ずることが認められているが、本実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファタンク101に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液チップ102に収容されたプローブ溶液の温度および洗浄溶液タンク103に収容された洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように、コントロールユニット110によって、ハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液の温度および洗浄溶液の温度が制御されているから、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97から、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97に注入する際の度変化に起因して、ハイブリダイゼーションの結果にばらつきが生ずることを効果的に防止することが可能になる。
【0431】
図21は、本発明のさらに他の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の略断面図である。
【0432】
図21に示されるように、本実施態様においては、ハイブリダイゼーションバッファタンク101、プローブ溶液チップ102、洗浄溶液タンク103、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101a、プローブ溶液供給パイプ102a、洗浄溶液供給パイプ103a、溶液循環パイプ99、ポンプ100、ステージ98およびハイブリダイゼーション反応チャンバ97は、温度が、所定の温度範囲内に制御された恒温槽130内に収容されており、ハイブリダイゼーションバッファタンク101、プローブ溶液チップ102および洗浄溶液タンク103には、温度センサもヒータも設けられていない。
【0433】
図22は、図21に示されたハイブリダイゼーション装置の制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【0434】
図22に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の駆動系は、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファを加温する第1のヒータ101c、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液を加温する第2のヒータ102cおよび洗浄溶液チップ103内に収容された洗浄溶液を加温する第3のヒータ103cに代えて、恒温槽130の内部を加温するヒータ131を備えている。
【0435】
また、図22に示されるように、本実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の検出系は、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する第1の温度センサ121、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する第2の温度センサ122および洗浄溶液チップ103内に収容された洗浄溶液の温度を検出する第3の温度センサ123に代えて、恒温槽130内の温度を検出する温度センサ132を備えている。
【0436】
本実施態様においては、コントロールユニット110は、温度センサ132から入力された温度検出信号にしたがって、恒温槽130内の温度が所定の温度範囲内に保持されるように、ヒータ131を制御するように構成されている。
【0437】
本実施態様においても、図19および図20に示された実施態様と全く同様にして、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび生化学解析用ユニット1の洗浄が実行される。
【0438】
本実施態様によれば、ハイブリダイゼーションバッファタンク101、プローブ溶液チップ102、洗浄溶液タンク103、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101a、プローブ溶液供給パイプ102a、洗浄溶液供給パイプ103a、溶液循環パイプ99、ポンプ100、ステージ98およびハイブリダイゼーション反応チャンバ97が、温度が、所定の温度範囲内に制御された恒温槽130内に収容され、コントロールユニット110によって、恒温槽130内の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように制御されているから、ハイブリダイゼーションバッファおよびプローブ溶液の混合溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7から、排出し、少なくとも第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に注入する際の度変化に起因して、ハイブリダイゼーションの結果にばらつきが生ずることを効果的に防止することが可能になる。
【0439】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0440】
たとえば、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニットの幅よりもわずかに大きい幅を有する矩形状領域10aと、矩形状領域10aの両側に設けられた三角形状領域10b、10cを備えているが、反応チャンバ7の蓋9に、押さえ部材9aが設けられていれば、生化学解析用ユニット1を所定の位置に保持可能であるから、矩形状領域10aが、生化学解析用ユニットの幅よりもわずかに大きい幅を有していることは必ずしも必要でなく、生化学解析用ユニット1を収容することができる幅を有していればよい。
【0441】
また、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニットの幅よりもわずかに大きい幅を有する矩形状領域10aと、矩形状領域10aの両側に設けられた三角形状領域10b、10cを備えているが、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、矩形状領域10aを備え、生化学解析用ユニット1を矩形状領域10a内に保持するように構成することは必ずしも必要でなく、生化学解析用ユニット1を収容可能な領域が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の略中央部に設けられていればよく、その形状は任意に決定することができ、矩形状に限らず、楕円状などに形成することもできる。
【0442】
さらに、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7は、生化学解析用ユニットの幅よりもわずかに大きい幅を有する矩形状領域10aと、矩形状領域10aの両側に設けられた三角形状領域10b、10cを備えているが、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7が、矩形状領域10aの両側に、設けられた三角形状領域10b、10cを備えていることは必ずしも必要でなく、生化学解析用ユニット1が保持されるべき領域の両側に、生化学解析用ユニット1が保持されるべきハイブリダイゼーション反応チャンバ7の空間の断面積よりも、断面積が小さい領域が形成されていればよく、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の空間の高さが一定であれば、生化学解析用ユニット1が保持されるべき領域の両側に、生化学解析用ユニット1が保持されるべき領域の幅よりも幅が小さい領域が形成されていればよい。
【0443】
また、前記実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の蓋9には、略中央部に、幅方向に沿って、一対の押さえ部材9a、9aが形成されているが、生化学解析用ユニット1を所定の位置に保持可能であれば、押さえ部材9aは1つでもよく、3以上の押さえ部材9aを設けることもできる。
【0444】
さらに、前記実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の蓋9には、略中央部に、幅方向に沿って、一対の押さえ部材9a、9aが形成されているが、矩形状領域10aが、生化学解析用ユニット1よりもわずかに大きいサイズを有しているなど、生化学解析用ユニット1が収容されるハイブリダイゼーション反応チャンバ7の領域が、生化学解析用ユニット1を保持可能なサイズを有していれば、蓋9に、押さえ部材9a、9aを形成することは必ずしも必要でない。
【0445】
また、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する温度センサ21b、プローブ溶液チップ15c内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する温度センサ21cおよび洗浄溶液タンク15d内に収容された洗浄溶液の温度を検出する温度センサ21d、ならびに、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されているハイブリダイゼーションバッファを加温するヒータ30b、プローブ溶液チップ15c内に収容されているプローブ溶液を加温するヒータ30cおよび洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液を加温するヒータ30dを備え、コントロールユニット22によって、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されているハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液チップ15c内に収容されているプローブ溶液の温度および洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように制御され、図17および図19に示された実施態様においては、揺動台13、基台14、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15c、洗浄溶液タンク15dおよび溶液注入チューブ11が、恒温槽85内に収容され、コントロールユニット22によって、恒温槽85内の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように制御されているが、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に制御されていれば足り、前処理液および洗浄操作に使用されるすべての洗浄溶液の温度を、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように制御することは必ずしも必要でない。
【0446】
さらに、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する温度センサ21b、プローブ溶液チップ15c内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する温度センサ21cおよび洗浄溶液タンク15d内に収容された洗浄溶液の温度を検出する温度センサ21d、ならびに、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されているハイブリダイゼーションバッファを加温するヒータ30b、プローブ溶液チップ15c内に収容されているプローブ溶液を加温するヒータ30cおよび洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液を加温するヒータ30dを備え、コントロールユニット22によって、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b内に収容されているハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液チップ15c内に収容されているプローブ溶液の温度および洗浄溶液タンク15d内に収容されている洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように制御され、図17および図19に示された実施態様においては、揺動台13、基台14、前処理液タンク15a、ハイブリダイゼーションバッファタンク15b、プローブ溶液チップ15c、洗浄溶液タンク15dおよび溶液注入チューブ11が、恒温槽85内に収容され、コントロールユニット22によって、恒温槽85内の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように制御されているが、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように制御されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入されるように構成されていればよく、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液の温度は、任意の方法によって、制御することができる。
【0447】
また、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、前処理液を回収する前処理液回収タンク18a、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を回収するハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bおよび洗浄溶液を回収する洗浄溶液回収タンク18cを備えているが、ハイブリダイゼーション装置自体が、3つの回収タンクを備えていることは必ずしも必要でなく、溶液排出チューブ12をハイブリダイゼーション装置の外部に導き、前処理液回収タンク、ハイブリダイゼーションバッファ回収タンクあるいは洗浄溶液回収タンクを、選択的に、溶液排出チューブ12に連通させて、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を回収するように構成することもできる。
【0448】
さらに、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、前処理液を回収する前処理液回収タンク18a、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液を回収するハイブリダイゼーションバッファ回収タンク18bおよび洗浄溶液を回収する洗浄溶液回収タンク18cを備えているが、ハイブリダイゼーション装置が、3つの回収タンクを備えていることは必ずしも必要でなく、ハイブリダイゼーション装置が、放射性標識物質を含まない前処理液を回収する前処理液回収タンクと、放射性標識物質を含むハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を回収する回収タンクの2つの回収タンクのみを備えていてもよく、さらには、単一の回収タンク内に、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を回収するように構成することもできる。
【0449】
また、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、回収された洗浄溶液に含まれる放射性標識物質の濃度を検出する放射線センサ21を備えているが、ハイブリダイゼーション装置が、放射線センサ21を備えていることは必ずしも必要がなく、放射線センサ21によって、回収された洗浄溶液に含まれる放射性標識物質の濃度を検出することなく、所定回数の洗浄処理が完了後に、洗浄を終了させるように構成することもできる。
【0450】
さらに、図1ないし図16に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置しているときに、溶液注入チューブ11から、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入するように構成されているが、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置しているときに、溶液注入チューブ11から、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入することは必ずしも必要でなく、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7が略平行な状態にあるときに、溶液注入チューブ11から、前処理液、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に注入するように構成することもできる。
【0451】
また、図1ないし図16に示された実施態様においては、あらかじめ、プローブ溶液を調製して、プローブチップ15c内に収容させ、プローブ溶液チップ15c内に収容されたプローブ溶液が、溶液注入チューブ11を介して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内に、自動的に注入されるように構成されているが、プレハイブリダイゼーションの完了直前に、プローブ溶液を調製し、ハイブリダイゼーションに際して、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液注入チューブ11の取り付け部が、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7への溶液排出チューブ12の取り付け部よりも下方に位置している状態で、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7の溶液注入口11aから、溶液注入チューブ11を取り外し、温度が制御されたプローブ溶液を、溶液注入口11aから、ハイブリダイゼーション反応チャンバ7内のハイブリダイゼーションバッファに注入することもできる。この場合には、ハイブリダイゼーションの直前に、プローブ溶液が調製されるから、プローブ溶液の経時的な変化を防止することが可能になる。
【0452】
さらに、図1ないし図16に示された実施態様においては、揺動台13は、モータ23によって、揺動されるように構成されているが、揺動台13を揺動させる手段は、格別限定されるものではない。
【0453】
また、図19および図20に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、ポンプ100を、正逆両方向に、駆動して、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を、図19において、矢印Aで示される方向と、矢印Bで示される方向に、交互に、流動させるように構成されているが、ポンプ100を、一方向にのみ、駆動し、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を、図3において、矢印Aで示される方向あるいは矢印Bで示される方向にのみ、流動させるように構成することもできる。
【0454】
さらに、図19および図20に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を、溶液循環パイプ99を介して、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4を横切るように、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に、強制的に循環させているが、ハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に循環させることは必ずしも必要でなく、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に収容された生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を通過したハイブリダイゼーションバッファ、ハイブリダイゼーションバッファとプローブ溶液の混合溶液および洗浄溶液を、溶液排出パイプ104を通じて、排出させるように構成することもできる。
【0455】
また、図19および図20に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する第1の温度センサ121、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する第2の温度センサ122および洗浄溶液タンク103内に収容された洗浄溶液の温度を検出する第3の温度センサ123、ならびに、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されているハイブリダイゼーションバッファを加温する第1のヒータ101c、プローブ溶液チップ102内に収容されているプローブ溶液を加温する第2のヒータ102cおよび洗浄溶液タンク103内に収容されている洗浄溶液を加温する第3のヒータ103cを備え、コントロールユニット110によって、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されているハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液チップ102内に収容されているプローブ溶液の温度および洗浄溶液タンク103内に収容されている洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように制御され、図21および図22に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーションバッファタンク101、プローブ溶液チップ102、洗浄溶液タンク103、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101a、プローブ溶液供給パイプ102a、洗浄溶液供給パイプ103a、溶液循環パイプ99、ポンプ100、ステージ98およびハイブリダイゼーション反応チャンバ97は、温度が、所定の温度範囲内に制御された恒温槽130内に収容され、コントロールユニット110によって、恒温槽130内の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように制御されているが、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および第1回目の洗浄操作に使用される洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に制御されていれば足り、前処理液および洗浄操作に使用されるすべての洗浄溶液の温度を、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように制御することは必ずしも必要でない。
【0456】
さらに、図19および図20に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーション装置は、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されたハイブリダイゼーションバッファの温度を検出する第1の温度センサ121、プローブ溶液チップ102内に収容されたプローブ溶液の温度を検出する第2の温度センサ122および洗浄溶液タンク103内に収容された洗浄溶液の温度を検出する第3の温度センサ123、ならびに、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されているハイブリダイゼーションバッファを加温する第1のヒータ101c、プローブ溶液チップ102内に収容されているプローブ溶液を加温する第2のヒータ102cおよび洗浄溶液タンク103内に収容されている洗浄溶液を加温する第3のヒータ103cを備え、コントロールユニット110によって、ハイブリダイゼーションバッファタンク101内に収容されているハイブリダイゼーションバッファの温度、プローブ溶液チップ102内に収容されているプローブ溶液の温度および洗浄溶液タンク103内に収容されている洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように制御され、図21および図22に示された実施態様においては、ハイブリダイゼーションバッファタンク101、プローブ溶液チップ102、洗浄溶液タンク103、ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ101a、プローブ溶液供給パイプ102a、洗浄溶液供給パイプ103a、溶液循環パイプ99、ポンプ100、ステージ98およびハイブリダイゼーション反応チャンバ97は、温度が、所定の温度範囲内に制御された恒温槽130内に収容され、コントロールユニット110によって、恒温槽130内の温度が、所定の温度範囲内に保持されるように制御されているが、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液の温度が、それぞれ、所定の温度範囲内に保持されるように制御されて、ハイブリダイゼーション反応チャンバ97内に注入されるように構成されていればよく、ハイブリダイゼーションバッファ、プローブ溶液および洗浄溶液の温度は、任意の方法によって、制御することができる。
【0457】
また、前記実施態様においては、前記生化学解析用ユニット1の基板2には、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的なパターンにしたがって、形成されているが、吸着性領域4を略円形に形成することは必ずしも必要でなく、矩形状など、任意の形状に形成することができる。
【0458】
さらに、前記実施態様においては、前記生化学解析用ユニット1の基板2には、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的なパターンにしたがって、形成されているが、吸着性領域4の数およびサイズは、目的に応じて、任意に選択をすることができ、好ましくは、10以上の5平方ミリメートル未満のサイズを有する吸着性領域4が、10個/平方センチメートル以上の密度で、基板2に形成される。
【0459】
また、前記実施態様においては、前記生化学解析用ユニット1の基板2には、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的なパターンにしたがって、形成されているが、吸着性領域4を、規則的なパターンにしたがって、形成することは必ずしも必要でない。
【0460】
さらに、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1は、ステンレス鋼製の基板2に形成された多数の貫通孔3の内部に、ナイロン6が充填されて、形成された多数の吸着性領域4を備えているが、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4が、ナイロン6によって形成されていることは必ずしも必要でなく、他の吸着性材料により、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を形成することもできる。生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を形成するための吸着性材料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用され、多孔質材料と繊維材料を併用して、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を形成することもできる。生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を形成するために使用される多孔質材料は、有機材料、無機材料のいずれでもよく、有機/無機複合体でもよい。生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を形成するために使用される有機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、活性炭などの炭素多孔質材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料が、好ましく用いられる。具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類;ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;コラーゲン;アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなどのアルギン酸類;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなどのポリフルオライドや、これらの共重合体または複合体が挙げられる。生化学解析用ユニット1、80の多数の吸着性領域4、84を形成するために使用される無機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属;アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなどの金属酸化物;ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなどの金属塩やこれらの複合体などが挙げられる。生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4を形成するために使用される繊維材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0461】
また、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1は、ステンレス鋼製の基板2を備えているが、生化学解析用ユニット1の基板2を、ステンレス鋼によって形成することは必ずしも必要でなく、他の材料によって、基板2を形成することもできる。生化学解析用ユニット1の基板2は、放射線エネルギーおよび/または光エネルギーを減衰させる性質を有する材料によって形成されることが好ましいが、その材料はとくに限定されるものではなく、無機化合物材料、有機化合物材料のいずれによって、生化学解析用ユニット1の基板2を形成することもでき、金属材料、セラミック材料またはプラスチック材料が、とくに好ましく使用される。生化学解析用ユニット1の基板2を形成するために好ましく使用することができる無機化合物材料としては、たとえば、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、錫、セレンなどの金属;真鍮、ステンレス、青銅などの合金;シリコン、アモルファスシリコン、ガラス、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの珪素材料;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;タングステンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、砒化ガリウムなどの無機塩を挙げることができる。これらは、単結晶、アモルファス、セラミックのような多結晶焼結体にいずれの構造を有していてもよい。また、生化学解析用ユニット1の基板2を形成するために好ましく使用することができる有機化合物材料としては、高分子化合物が好ましく用いられ、好ましい高分子化合物としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂;ノボラックなどのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン;ブタジエン−スチレン共重合体;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、でん粉、アルギン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの多糖類;キチン;キトサン;ウルシ;ゼラチン、コラーゲン、ケラチンなどのポリアミドおよびこれら高分子化合物の共重合体などを挙げることができる。これらは、複合材料でもよく、必要に応じて、金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することもでき、また、有機化合物材料をブレンドして、使用することもできる。
【0462】
さらに、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4は、ステンレス鋼製の基板2に形成された多数の貫通孔3の内部に、ナイロン6が充填されて、形成されているが、吸着性材料によって形成された吸着性基板の少なくとも一方の表面に、多数の貫通孔が形成された基板を密着させ、基板の多数の貫通孔内の吸着性基板に、特異的結合物質を含む溶液を滴下して、吸着性領域を形成するようにしてもよい。
【0463】
また、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4は、ステンレス鋼製の基板2に形成された多数の貫通孔3の内部に、ナイロン6が充填されて、形成されているが、吸着性材料によって形成された吸着性基板上の互いに離間した位置に、特異的結合物質を含む溶液を滴下して、吸着性領域を形成することもできる。
【0464】
さらに、前記実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイゼーションバッファが調製され、吸着性領域4に吸着された特異的結合物質にハイブリダイズさせているが、生体由来の物質が、放射性標識物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識されていることは必ずしも必要がなく、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質の少なくとも1種の標識物質により標識されていればよい。
【0465】
【発明の効果】
本発明によれば、効率よく、特異的結合物質と生体由来の物質をハイブリダイズさせることができ、しかも、再現性よく、定量性に優れた生化学解析用データを生成することを可能にするハイブリダイゼーション方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置によって、生体由来の物質がハイブリダイズされる特異的結合物質が滴下される生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【図2】図2は、スポッティング装置の略正面図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション反応チャンバの略斜視図である。
【図4】図4は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の略側面図である。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の制御系、検出系、駆動系および入力系を示すブロックダイアグラムである。
【図6】図6は、本発明の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション反応チャンバ中の溶液の流れを示す略横断面図である。
【図7】図7は、蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【図8】図8は、生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートに形成された多数の輝尽性蛍光体層領域を露光する方法を示す略断面図である。
【図9】図9は、スキャナの略斜視図である。
【図10】図10は、図9に示されたスキャナのフォトマルチプライア近傍の詳細を示す略斜視図である。
【図11】図11は、図10のA−A線に沿った略断面図である。
【図12】図12は、図10のB−B線に沿った略断面図である。
【図13】図13は、図10のC−C線に沿った略断面図である。
【図14】図14は、図10のD−D線に沿った略断面図である。
【図15】図15は、光学ヘッドの走査機構の略平面図である。
【図16】図16は、図9に示されたスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【図17】図17は、本発明の別の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の略側面図である。
【図18】図18は、図17に示されたハイブリダイゼーション装置の制御系、検出系、駆動系および入力系を示すブロックダイアグラムである。
【図19】図19は、本発明のさらに他の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の略断面図である。
【図20】図20は、図19に示されたハイブリダイゼーション装置の制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【図21】図21は、本発明のさらに他の好ましい実施態様にかかるハイブリダイゼーション装置の略断面図である。
【図22】図22は、図21に示されたハイブリダイゼーション装置の制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【符号の説明】
1  生化学解析用ユニット
2 基板
3 貫通孔
4 吸着性領域
5 インジェクタ
6 CCDカメラ
7 ハイブリダイゼーション反応チャンバ
7a ハイブリダイゼーション反応チャンバの中心軸線
8 ハイブリダイゼーション反応チャンバのケーシング
9 ハイブリダイゼーション反応チャンバの蓋
9a、9a 押さえ部材
10a ハイブリダイゼーション反応チャンバの矩形状領域
10b、10c ハイブリダイゼーション反応チャンバの三角形状領域
11 溶液注入チューブ
11a 溶液注入口
12 溶液排出チューブ
12a 溶液排出口
13 揺動台
13a 揺動台の軸
14 基台
15a 前処理液タンク
15b ハイブリダイゼーションバッファタンク
15c プローブ溶液チップ
15d 洗浄溶液タンク
16a、16b、16c、16d バルブ
17 ポンプ
18a 前処理液回収タンク
18b ハイブリダイゼーションバッファ回収タンク
18c 洗浄溶液回収タンク
19a、19b、19c バルブ
20 ポンプ
21 放射線センサ
21b、21c、21d 温度センサ
22 コントロールユニット
23 モータ
24 キーボード
25 蓄積性蛍光体シート
26 支持体
27 輝尽性蛍光体層領域
28 貫通孔
30b、30c、30d ヒータ
31 第1のレーザ励起光源
32 第2のレーザ励起光源
33 第3のレーザ励起光源
34 レーザ光
35 コリメータレンズ
36 ミラー
37 第1のダイクロイックミラー
38 第2のダイクロイックミラー
39 ミラー
40 コリメータレンズ
41 コリメータレンズ
42 ミラー
43 穴開きミラーの穴
44 穴開きミラー
45 光学ヘッド
46 ミラー
47 非球面レンズ
48 凹面ミラー
50 ステージ
51 ガラス板
55 蛍光あるいは輝尽光
58 フィルタユニット
60 フォトマルチプライア
61a、61b、61c、61d フィルタ部材
62a、62b、62c、62d フィルタ
63 A/D変換器
64 データ処理装置
70 基板
71 副走査パルスモータ
72 一対のレール
73 移動可能な基板
74 ロッド
75 主走査ステッピングモータ
76 エンドレスベルト
77 リニアエンコーダ
78 リニアエンコーダのスリット
80 コントロールユニット
81 キーボード
82 フィルタユニットモータ
85 恒温槽
86 温度センサ
87 ヒータ
97 ハイブリダイゼーション反応チャンバ
98 ステージ
99 溶液循環パイプ99
100 ポンプ
101 ハイブリダイゼーションバッファタンク
101a ハイブリダイゼーションバッファ供給パイプ
101b 切り換えバルブ
101c 第1のヒータ
102 プローブ溶液チップ
102a プローブ溶液供給パイプ
102b 切り換えバルブ
102c 第2のヒータ
103 洗浄溶液タンク
103a 洗浄溶液供給パイプ
103b 切り換えバルブ
103c 第3のヒータ
104 溶液排出パイプ
110 コントロールユニット
111 キーボード
116 第1のバルブ駆動手段
117 第2のバルブ駆動手段
118 第3のバルブ駆動手段
121 第1の温度センサ
122 第2の温度センサ
123 第3の温度センサ
130 恒温槽
131 ヒータ
132 温度センサ

Claims (5)

  1. ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、構造または特性が既知の特異的結合物質を含む複数の吸着性領域が、互いに離間して、形成された生化学解析用ユニットをセットし、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファと、温度が制御された標識物質によって標識された生体由来の物質を含むプローブ溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバに連通する溶液注入管路を通じて、注入して、ハイブリダイゼーションを実行させ、前記ハイブリダイゼーションバッファおよび前記プローブ溶液を、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバに連通する溶液排出管路を通じて、排出し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入して、前記生化学解析用ユニットを洗浄することを特徴とするハイブリダイゼーション方法。
  2. 前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、前記生化学解析用ユニットをセットし、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御されたハイブリダイゼーションバッファを、前記溶液注入管路を通じて、注入し、プレハイブリダイゼーションを実行し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、標識物質によって標識された生体由来の物質を含み、温度制御された前記プローブ溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入し、前記ハイブリダイゼーションバッファに混合して、ハイブリダイゼーションを実行し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記ハイブリダイゼーションバッファと前記プローブ溶液との混合溶液を、前記溶液排出管路を通じて、排出し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入して、前記生化学解析用ユニットを洗浄することを特徴とするハイブリダイゼーション方法。
  3. 前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、温度が制御された洗浄溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入して、前記生化学解析用ユニットを洗浄し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバから、前記洗浄溶液を、前記溶液排出管路を通じて、排出し、前記ハイブリダイゼーション反応チャンバ内に、繰り返し、洗浄溶液を、前記溶液注入管路を通じて、注入して、前記生化学解析用ユニットを洗浄する工程を繰り返すことを特徴とする請求項2または3に記載のハイブリダイゼーション方法。
  4. 前記生化学解析用ユニットが、複数の孔が、互いに離間して形成された基板を備え、前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された前記複数の孔に充填された吸着性材料に、特異的結合物質を含有させて、形成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーション方法。
  5. 前記生化学解析用ユニットが、吸着性基板を備え、前記複数の吸着性領域が、前記吸着性基板の互いに離間した領域に、特異的結合物質を含有させて、形成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーション方法。
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