JP2004115958A - 耐薬品性を施した高強度繊維及びその複合体 - Google Patents

耐薬品性を施した高強度繊維及びその複合体 Download PDF

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Eiji Fujioka
藤岡 英治
Atsushi Tsunoda
角田 敦
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Abstract

【課  題】耐薬品性、耐衝撃性及び耐候性に優れた、樹脂被覆高強度繊維、繊維製品、複合体及び成形品の提供。
【解決手段】高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されていることを特徴とする樹脂被覆高強度繊維。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐薬品性、耐衝撃性及び耐候性に優れた、樹脂被覆高強度繊維、繊維製品、複合体及び成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂は金属と比較して軽量でかつ耐候性に優れた特性を有しているため、様々な用途の材料に採用されている。しかしながら、合成樹脂は、金属より耐衝撃性等において劣っているものが多く、必ずしも満足のいくものではなかった。そこで、この問題を解決するため、合成樹脂に強化繊維を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、合成樹脂に用いられる強化繊維は十分に満足できる耐薬品性を示さないものが多く、そのため合成樹脂と強化繊維からなる複合材料の本来有している耐候性、耐衝撃性及び耐薬品性を兼ね備え、これらの好ましい性質を、可及的かつ長期的に、且つ、十分に生かすための新しい材料の出現が望まれている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−239417号公報(第3−5頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐薬品性、耐衝撃性及び耐候性に優れた、樹脂被覆高強度繊維、繊維製品、複合体及び成形品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、高強度繊維をエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆すると、その樹脂被覆高強度繊維が被覆前に比べ、耐薬品性、耐衝撃性及び耐候性に優れていることを見出した。上記高強度繊維が、アラミド、芳香族ポリエステル及びポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールからなる群から選ばれる少なくとも一種類の繊維であることが好ましいことを知見した。
【0006】
また、本発明者らは、高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維を含んでなる繊維製品も耐薬品性、耐衝撃性及び耐候性に優れていることを見出した。上記繊維製品として布帛、ロープ又は手袋が好ましいことを知見した。また、(イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を含んでなる複合体が耐薬品性、耐衝撃性及び耐候性に優れていることを見出した。上記複合体が、土木建築資材として優れ、特に道路舗装材、コンクリート補強材又は剥離防止材としても優れていることを知見した。
【0007】
さらに、本発明者らは、(イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は/及び(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を含んでなる複合体からなる成形品も耐薬品性、耐衝撃性及び耐候性に優れ、上記成形品として特に下水道管が好適に使用されることを知見した。高強度繊維をエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆することによって上記樹脂被覆高強度繊維が容易に製造できることを見出した。(イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を樹脂で処理することによって種々の用途を有する複合体が容易に製造できることを知見した。
本発明者らは、かかる種々の知見を得た後、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されていることを特徴とする樹脂被覆高強度繊維、
(2) 高強度繊維が、アラミド、芳香族ポリエステル及びポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールからなる群から選ばれる少なくとも一種類の繊維であることを特徴とする(1)に記載の樹脂被覆高強度繊維、
(3) 高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維を含んでなることを特徴とする繊維製品、
(4) 布帛、ロープ又は手袋であることを特徴とする(3)に記載の繊維製品、
に関する。
【0009】
また、本発明は、
(5) (イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を含んでなることを特徴とする複合体、
(6) 土木建築資材であることを特徴とする(5)に記載の複合体、
(7) 土木建築資材が道路舗装材、コンクリート補強材又は剥離防止材であることを特徴とする(6)に記載の複合体、
に関する。
【0010】
また、本発明は、
(8) (イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は/及び(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を含んでなる複合体からなることを特徴とする成形品、
(9) 下水道管であることを特徴とする(8)に記載の成形品、
(10) 高強度繊維をエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆することを特徴とする樹脂被覆高強度繊維の製造方法、
(11) (イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を樹脂で処理することを特徴とする複合体の製造方法、
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維である。本発明に係る樹脂被覆高強度繊維は、高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されているものであればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。以下、各構成要件について説明する。
【0012】
本発明で用いられる高強度繊維は、特に限定されないが、強度が約8g/D以上である繊維が好ましく、強度が約15g/D〜50g/Dの範囲内である繊維がより好ましい。「強度」は、JIS L 1013:1999 化学繊維フィラメント糸試験方法8.5.1に従って測定することにより求められる。本発明で用いられる高強度繊維として、例えば全芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維又はヘテロ環芳香族繊維等が挙げられ、また、これら繊維を組み合わせた混合繊維等を用いることもできる。
【0013】
上記全芳香族ポリアミド繊維は、通常置換されていてもよい二価の芳香族基を少なくとも一個有する繊維であって、アミド結合を少なくとも一個有する繊維であればどのようなものでもよく、全芳香族ポリアミド繊維と称される公知のものであってよい。上記において、置換されていてもよい二価の芳香族基とは、同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよい二価の芳香族基を意味し、かかる「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルフィノ基、メルカプト基、ホスホノ基、例えば直鎖状又は分岐状のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基又はエイコシル基等)、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロギシメチル基、ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシイソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基又は1−ヒドロキシ−イソブチル基等)、ハロゲノアルキル基(例えばクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、5,5,5−トリフルオロペンチル又は6,6,6−トリフルオロヘキシル等)、シクロアルキル基(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル等)、アルケニル基(例えばビニル、クロチル、2−ペンテニル又は3−ヘキセニル等)、シクロアルケニル基(例えば2−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、2−シクロペンテニルメチル又は2−シクロヘキセニルメチル等)、アルキニル基(例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ペンチニル又は3−ヘキシニル等)、オキソ基、チオキソ基、アミジノ基、イミノ基、アルキレンジオキシ基(例えばメチレンジオキシ又はエチレンジオキシ等)、例えばフェニル、ビフェニル等の単環式あるいは縮合環式炭化水素基、例えば1−アダマンチル基、2−ノルボルナニル等の架橋環式炭化水素基などの炭化水素基、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ又はヘキシルオキシ等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ又はヘキシルチオ等)、カルボキシル基、アルカノイル基(例えばホルミル;アセチル、プロピオニル、ブチリル又はイソブチリル等)、アルカノイルオキシ基(例えばホルミルオキシ;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ又はイソブチリルオキシ等のアルキル−カルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル又はブトキシカルボニル等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えばベンジルオキシカルボニル等)、チオカルバモイル基、アルキルスルフィニル基(例えばメチルスルフィニル又はエチルスルフィニル等)、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル又はブチルスルホニル等)、スルファモイル基、モノ−アルキルスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル又はエチルスルファモイル等)、ジ−アルキルスルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル又はジエチルスルファモイル等)、アリールスルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル又はナフチルスルファモイル等)、アリール基(例えばフェニル又はナフチル等)、アリールオキシ基(例えばフェニルオキシ又はナフチルオキシ等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ又はナフチルチオ等)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル又はナフチルスルフィニル等)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル又はナフチルスルホニル等)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル又はナフトイル等)、アリールカルボニルオキシ基(例えばベンゾイルオキシ又はナフトイルオキシ等)、ハロゲン化されていてもよいアルキルカルボニルアミノ基(例えばアセチルアミノ又はトリフルオロアセチルアミノ等)、置換基を有していてもよいカルバモイル基(例えば式−CONR(式中、RおよびRはそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい複素環基を示すか、またはRとRは隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)で表される基)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えばアミノ、アルキルアミノ、テトラヒドロピロール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロール又はイミダゾール等)、置換基を有していてもよいウレイド基(例えば、式−NHCONR(式中、RおよびRは前記と同意義を示す)で表される基等)、置換基を有していてもよいカルボキサミド基(例えば式−NRCOR(式中、RおよびRは前記と同意義を示す)で表される基)、置換基を有していてもよいスルホナミド基(例えば式−NRSO(式中、RおよびRは前記と同意義を示す。)で表される基等)、置換基を有していてもよい水酸基もしくはメルカプト基、置換基を有していてもよい複素環基(例えば環系を構成する原子(環原子)として、炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1〜3種を少なくとも1個含む芳香族複素環基(例えばピリジル、フリル、チアゾリル等)、又は飽和あるいは不飽和の脂肪族複素環基等)、又はこれら置換基を化学的に許容される限り置換させた置換基等が挙げられる。また、かかる「二価の芳香族基」としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニレン基等が挙げられる。
【0014】
また、全芳香族ポリアミド繊維は、別名アラミド繊維とも呼ばれており、パラ系アラミド繊維またはメタ系アラミド繊維に大別でき、どちらも本発明において好ましく用いられる。本発明において用いられるパラ系アラミド繊維は、例えば上記置換されていてもよい二価の芳香族基が置換されていてもよいp−フェニレン基である上記全芳香族ポリアミド繊維であればどのようなものでもよく、パラ系アラミド繊維と称される公知のものであってよい。上記した置換されていてもよいp−フェニレン基とは、同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよいp−フェニレン基を意味し、かかる「置換基」は、前記と同意義である。また、上記パラ系アラミド繊維として、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(米国デュポン株式会社、東レ・デュポン株式会社製、商品名KEVLAR(デュポン株式会社登録商標))、又はパラフェニレンテレフタルアミドと3,4’−オキシジフェニルテレフタルアミドとの共重合体繊維(帝人株式会社製、商品名テクノーラ(帝人株式会社登録商標))等の市販品を用いることができる。本発明において用いられるメタ系アラミド繊維は、例えば分子鎖における上記置換されていてもよいベンゼン環の結合がメタ位での結合である上記した芳香族ポリアミド繊維であればどのようなものでもよく、メタ系アラミド繊維と称される公知のものであってよい。上記メタ系アラミド繊維として、例えば、ポリメタフェニレンテレフタルアミド繊維(米国デュポン株式会社製、商品名NOMEX(デュポン株式会社登録商標))等の市販品を用いることができる。本発明においては、上記したアラミド繊維を、公知の方法又はそれに準ずる方法で製造して用いてもよい。
【0015】
上記全芳香族ポリエステル繊維は、通常置換されていてもよい二価の芳香族基を少なくとも一個有する繊維であって、エステル結合を少なくとも一個有する繊維であればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。上記した「置換されていてもよい二価の芳香族基」は前記と同意義である。また、上記全芳香族ポリエステル繊維は、全芳香族ポリエステル繊維と称される公知の繊維であってよく、例えば、パラヒドロキシ安息香酸の自己縮合ポリマー、テレフタル酸とハイドロキノンからなるポリエステル、または、パラヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなるポリエステル繊維等であってよい。本発明において、このような全芳香族ポリエステル繊維を、公知の方法またはそれに準ずる方法で製造して用いることができる。また、本発明において、上記全芳香族ポリエステル繊維として、例えば商品名ベクトラン(クラレ株式会社製)等の市販品を用いることもできる。
【0016】
上記ヘテロ環芳香族繊維は、通常置換されていてもよい二価の芳香族複素環基を少なくとも一個有する繊維であればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。上記において、「置換されていてもよい二価の芳香族複素環基」とは、同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよい二価の芳香族複素環基を意味し、かかる「置換基」は、前記と同意義である。また、かかる「二価の芳香族複素環基」としては、例えば環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及び弗素原子等から選ばれる同一又は異なるヘテロ原子1ないし4種を少なくとも1個有する芳香族複素環基等が挙げられる。二価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、例えば芳香族単環式複素環(例えばフラン、チオフェン、ピロリン、オキサゾリン、イソオキサゾリン、チアゾリン、イソチアゾリン、イミダゾリン、ピラゾリン、1,2,3−オキサジアゾリン、1,2,4−オキサジアゾリン、1,3,4−オキサジアゾリン、フラザニン、1,2,3−チアジアゾリン、1,2,4−チアジアゾリン、1,3,4−チアジアゾリン、1,2,3−トリアゾリン、1,2,4−トリアゾリン、テトラゾリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン又はトリアジン等)、又は芳香族縮合複素環(例えばベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾ〔b〕チオフェン、インドリン、イソインドリン、1H−インダゾリン、ベンズインダゾリン、ベンゾオキサゾリン、1,2−ベンゾイソオキサゾリン、ベンゾチアゾリン、ベンゾピラジン、1,2−ベンゾイソチアゾリン、1H−ベンゾトリアゾリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、ブテリジン、カルバゾリン、α−カルボリン、β−カルボリン、γ−カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチン、チアントレン、フェナトレン、フェナトロリン、インドリジン、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジン、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジン、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジン等)などが挙げられる。また、ヘテロ環芳香族繊維と称される公知のものであってよく、例えばポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(以下PBO繊維ともいう)又はポリベンズイミダゾール繊維等であってよい。また、上記ヘテロ環芳香族繊維は、公知の方法又はそれに準ずる方法で製造され得る。また、本発明において、上記ヘテロ環芳香族繊維として、例えば市販のPBO繊維(東洋紡績社製の製品名ザイロン)等を用いることができる。
【0017】
上記高強度繊維は、最終製品の用途、要求性能、繊維の製造コスト又は製品の加工コスト等に応じて、適宜選択される。本発明においては、上記KEVLAR(デュポン社登録商標)あるいはTwaron(帝人・トワロン社製)の商品名で知られる、パラ系ホモポリマーからなるアラミド繊維を、高強度繊維として用いることが好ましい。
【0018】
本発明で用いられるエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂は、通常少なくとも1個のエチレン基を有するメタクリル酸樹脂であればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂と称される公知の樹脂であってよく、例えば、式
【化1】
Figure 2004115958
で表わされる二価の炭化水素基を有する樹脂等であってよい。本発明においては、上記エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂として、例えば三井・デュポンポリケミカル株式会社製の商品名ニュクレル(米国デュポン株式会社登録商標)等の市販品を用いることができる。
【0019】
また、本発明においては、上記エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂として、上記エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂の金属イオン中和物を用いてもよい。「上記エチレン−メタクリル酸共重合体の金属イオン中和物」としては、例えばエチレン−メタクリル酸共重合体中の少なくとも一個のカルボン酸が金属イオンで部分的に中和されているものが挙げられる。具体的に例えば、式
【化2】
Figure 2004115958
(式中、Mは金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、銅イオン又はマンガンイオン等の2価金属イオン、またはアルミニウムイオン又はネオジウムイオン等の3価金属イオン等)を示す)で表わされる二価の炭化水素基を有する樹脂等が挙げられる。また、上記エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂の金属イオン中和物として、商品名ハイミラン(三井・デュポン
ポリケミカル株式会社製)等の市販品を用いることができる。
【0020】
本発明で用いられるポリサルファイド変性エポキシ樹脂は、ポリサルファイド骨格(−SS−)を主鎖にもつエポキシ樹脂であればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。また、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と称される公知のものであってよい。本発明においては、上記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂として、商品名フレップ(東レチオコール株式会社製)等の市販品を用いることができる。
【0021】
本発明では、上記高強度繊維を上記エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及び上記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆することにより、上記樹脂被覆高強度繊維を製造することができる。「被覆」は、繊維の全てが樹脂で覆われていなくてもよく、繊維の一部でも樹脂で覆われている部分があればそれでよく、本発明において、特に限定されない。被覆方法は、上記高強度繊維を上記エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及び上記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆できればどのような方法であってもよく、特に限定されない。また、上記被覆方法として、公知の方法を適宜用いてもよい。公知の方法として、例えば、含浸、スプレー又は塗布等でもって樹脂を繊維に被覆させる工程と繊維に被覆した樹脂を硬化させる工程とからなる製造方法などが挙げられる。より具体的に例えば、高強度樹脂を押し出し機にて溶融した後、押し出しダイを通して中空状に押し出しながら、該ダイの中心部より同時に上記エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及び上記ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と高強度繊維を連続的に引き出すことにより繊維の表面を被覆させ、ついで冷却(例えば放冷等)又は乾燥(例えばドライヤー等)でもって樹脂を硬化させる方法、又はエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂の溶液又はディスパージョン中に高強度繊維を浸漬した後、冷却(例えば放冷等)又は乾燥(例えばドライヤー等)などによって樹脂を硬化させることにより被覆する方法等が挙げられる。「エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂の溶液」は、例えば上記樹脂を加熱すること又は上記樹脂に溶媒を用いること等により形成され得る。「溶媒」は、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂を溶かすものであればどのようなものでもよく、例えば蟻酸、クレゾール又はヘキサフルオロイソプロパノール等であってよい。「エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂のディスパージョン」は、例えば上記樹脂に分散剤を用いて分散させること等により形成され得る。「分散剤」は、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂を分散させるものであればどのようなものでもよく、例えば、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(いわゆるポリビニルアルコール)、セルロース誘導体、無水マレイン酸−スチレン共重合体、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体またはゼラチン等であってよい。これら分散剤を、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
本発明では、上記高強度繊維の水分率を減少させ、ついで樹脂被覆することが好ましい。例えば、約150℃〜250℃に約5秒〜60秒加熱することによって前記高強度繊維の水分率を減少させることによって、樹脂が繊維をより好適に被覆し得る。本発明においては、前記高強度繊維の水分率が10重量%以下であることが好ましく、5%重量以下であることがより好ましい。ここでいう水分率は、JIS L−1096の水分率測定法に従って測定される。
【0023】
本発明における繊維製品は、高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維を含む製品であればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。例えば、上記した樹脂被覆高強度繊維から得られる、繊維を引き揃えたり撚ったりした糸などの1次加工した糸、組紐等の紐、綿、例えば織物、編物、またはフェルト又は紙等の不織布等の布帛、または、ロープ又はコード類等を挙げることができる。さらに、これら1次加工品の単独、あるいはその組み合わせ、さらには他の樹脂や金属など他の素材を含む組合せでもって加工されて得られる2次加工品までも上記繊維製品として挙げることができる。また、本発明においては、上記繊維製品を、公知の方法を適宜用いて製造することができる。以下、上記繊維製品が組紐、織物、編物又は不織布である場合の製造方法を例示する。
【0024】
上記繊維製品が組紐である場合、上記樹脂被覆高強度繊維を原料として、公知の組紐機(製紐機)を用いて、丸打ち、角打ちまたは平打ち等の製紐方法により、所望の組紐を作製することができる。より具体的には、例えば、4本のフィラメントを準備し、右側または左側の糸を交互に真中に配置させて組み上げていくことで、組紐が得られる。製紐に用いるフィラメントの数は、4本に限らず、8本、12本又は16本等、所望の本数を用いてよい。
上記繊維製品が織物である場合、例えば、公知の織機(ジェット織機またはスルザー織機等)を用いて、平織、綾織、朱子織または斜文織等の所望の織物を上記樹脂被覆高強度繊維から作製することができる。
【0025】
上記繊維製品が編物である場合、例えば、公知の編機(縦編機または横編機等)を用いて、横編み、平編み又はゴム編み等の所望の編物を作製することができる。
上記繊維製品が不織布である場合、例えば、公知の不織布機を用いて、湿式法、トウ開繊法などの乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法又はフラッシュ紡糸法等により、所望の不織布を上記樹脂被覆高強度繊維から作製することができる。より具体的に例えば、上記湿式法を用いる場合、樹脂被覆高強度繊維を短く切断し、抄紙機で抄紙後、乾燥させることによって湿式不織布を作製することができる。
【0026】
このように上記繊維製品は、種々の用途に応用することができる。また、上記布帛を利用して、衣類などの繊維製品を作製することもできる。とくに、上記繊維製品が安全防護衣であることが好ましい。安全防護衣としては、装着している人の身体を保護する目的の衣類であれば特に限定されないが、例えば作業着、消防服又は各種スポーツ服等が挙げられる。また、上記布帛から、手袋を作ることができる。また、上記樹脂被覆高強度繊維を編むことでも、手袋、特に作業用手袋を作製することができる。さらに、パッキン材やロープなどにも応用することができる。
【0027】
本発明における複合体は、上記樹脂被覆高強度繊維又は上記繊維製品を含んでなるものであればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。上記樹脂被覆高強度繊維又は上記繊維製品がさらなる構成要素を含んでいるものが上記複合体に含まれる。上記した「さらなる構成要素」は、どのようなものでもよく、低分子であってもよく、高分子であってもよく、また、いかなる形状を有していようとも、本発明において、特に限定されるものではない。さらなる構成要素として、例えば、他の樹脂、金属、溶媒、分散媒、無機又は有機フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、ワックス類、着色剤、結晶化促進剤又はこれらの混合物等が挙げられる。上記さらなる構成要素を含んでいる上記複合体として、例えば、固体材料、液体材料等が挙げられる。
【0028】
「上記固体材料」は、(イ)上記樹脂被覆高強度繊維又は上記繊維製品と(ロ)樹脂又は金属とを含んでさえいればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。前記他の樹脂としては、本発明において、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドアミノ樹脂、PES(ポリエーテルサルフォン)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、又はCPレジン(例えば架橋ポリエステルアミド又は架橋ポリアミノアミド等)などの熱硬化性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、フェノール(ノボラック型など)樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー、またはこれらの共重合体又は変性体等の熱可塑性樹脂、これらの共重合体樹脂又は変性体樹脂、又はこれら樹脂又は/及びエラストマーを2種類以上ブレンドした樹脂等が挙げられる。
【0029】
上記金属としては、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ケイ素及びセリウムから選ばれる1種の金属、又はこれらの合金等が挙げられる。
【0030】
上記固体材料は、例えば上記樹脂被覆高強度繊維又は/及び上記繊維製品を上記樹脂又は上記金属で処理することによって製造することができる。上記樹脂被覆高強度繊維又は/及び上記繊維製品を上記他の樹脂又は上記金属で処理するには、例えば、上記他の樹脂を用いる場合、所望により上記他の樹脂を例えば熱融解させたり、蟻酸、クレゾール、クレゾール置換体又はヘキサフルオロイソプロパノール等の有機溶媒、又は濃硫酸又は濃塩酸等の無機媒体に溶解させたりして、通常上記樹脂被覆高強度繊維又は繊維製品に上記他の樹脂を含浸させ、次いで、その含浸させた樹脂を硬化すればよい。含浸及び硬化の方法として、例えばハンドレイアップ法、プリフォームドマッチドダイ成形法、コールドプレス法、レジンインジェクション法、SMC法、BMC法又はプルトルージョン法等の公知の方法を用いることができる。
【0031】
上記「上記液体材料」は、上記樹脂被覆高強度繊維が分散しているものであればどのようなものでもよく、本発明において、特に限定されない。分散方法は、上記樹脂被覆高強度繊維を分散剤に分散させることができればどのような方法であってよく、本発明において、特に限定されない。また、本発明においては、公知の方法等を適宜用いることが好ましく、このような例として、上記樹脂被覆高強度繊維を分散剤でもって分散させること等が挙げられる。「分散剤」は、上記樹脂被覆高強度樹脂を分散させるものであればどのようなものでもよく、例えば、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(いわゆるポリビニルアルコール)、セルロース誘導体、無水マレイン酸−スチレン共重合体、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体又はゼラチン等であってよい。また、これら分散剤を、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。本発明においては、上記複合体が液体材料である場合、上記樹脂被覆高強度繊維が短繊維であることが好ましい。
【0032】
また、本発明における複合体を様々な用途に用いることができる。かかる「用途」としては、特に限定されず、例えば、道路舗装材、コンクリート補強材、剥離防止剤又は建築物の部材等の土木建築資材、タービン・ホイールのようなガスタービンの部材、バーナの部材、ノズルの部材、宇宙船又は航空機の部材、ミサイルの部品、熱交換器の部品、自動車、貨物船又は工業用車等の部材、またはテレビ、携帯型音楽再生機、ラジオ、ステレオ、CDプレーヤー、ビデオ又はパソコン等の家電製品の部材等に用いることができる。液体材料は、例えば塗料、バインダーとしてあるいは固化させることによって上記固体材料として種々の用途に使用される。
【0033】
本発明における成形品は、上記複合体からなる成形品であれば、特に限定されない。例えば、上記複合体を種々の形状に成形した成形品等が挙げられる。かかる成形品を成形する方法としては、例えば上記複合体を切断する方法等が挙げられる。「複合体を切断する方法」は、上記複合体を切断さえすれば、特に限定されず、公知の切断方法などを適宜用いてよい。本発明においては、上記複合体を切断する方法として、例えば、所望の大きさになるように、カッター等の切断機などを用いて切断すること等が好ましい。このように上記複合体を切断すれば所望の形状の成形品を得ることができる。また、複合体が主として液状、ゾル状又はゲル状である場合には、例えば物品に複合体を付着(例えば含浸、スプレー又は塗布等)させ、ついで複合体を硬化させることにより成形品を得ることができる。上記した物品とは、通常形を有するものであればどのようなものでもよく、公知のものであってよい。例えば市場で流通している種々の製品又はその部品等が挙げられる。
【0034】
本発明における成形品の形状は、特に限定されず、どのような形態をとっていてもよい。すなわち係る成形品の形状は、平面状でも、曲げ状でもよく、特に限定されない。曲げ状としては、例えばコの字型、L字型、U字型、螺旋状、または、三角形、四角形、五角形あるいは六角形等の多角形等が挙げられる。しかし、これらに限られるものではなく、所望によりさまざまな形状に曲げたものを使用することが可能である。
【0035】
本発明における成形品を、様々な形状でもって用いることができるため、あらゆる用途に用いることができる。例えば下水道管又は上水道管等の配管、ブロック又は床材等の土木建築用品、タービン・ホイールのようなガスタービンの部品、バーナの部品、ノズル又はその部品、熱ガスパイプ、テスト・ゾンデ、ゾンデの被覆管、宇宙船又は航空機のエンジン部材、ミサイルの部品、熱交換器の部品、自動車、貨物船又は工業用車等の部品、テレビ、携帯型音楽再生機、ラジオ、ステレオ、CDプレーヤー、ビデオ又はパソコン等の家電製品の部品等に用いることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0037】
1.熱処理による吸湿率低下確認
パラ系アラミド繊維原糸の熱処理有無による水分率の測定は、JIS L−1096(一般織物試験方法)の水分率測定法にて実施した。
(試験例1)
パラ系アラミド繊維(東レ・デュポン株式会社製「ケブラー29」 (R)繊維)繊度1666デシテックスを190℃×10sec.で熱処理した原糸を得たこの糸の吸湿率を測定した。
(試験例2)
パラ系アラミド繊維(東レ・デュポン株式会社製「ケブラー29」 (R)繊維)繊度1666デシテックスを熱処理していない原糸の吸湿率を測定した。
試験例1及び試験例2の測定結果を表1に示す。表1に示すように熱処理したものは水分率が低下した。
【0038】
【表1】
Figure 2004115958
【0039】
2.原糸樹脂被覆有無の耐薬品性確認
(実施例1)
試験例1で得られた熱処理したパラ系アラミド繊維(東レ・デュポン株式会社製「ケブラー29」(R)繊維)繊度1666デシテックスにエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル株式会社製 商品名ニュクレル(米国デュポン株式会社登録商標))をコード処理機で糸速20m/分、処理温度180℃×1分にて、重量比で8重量%のエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂を付着させた糸を製造した。この糸を薬液(Ca(OH)10%水溶液、NaOH30%水溶液、濃塩酸5%水溶液又は濃硫酸5%水溶液)浸漬(50℃×1000hr)後の引張強度保持率を測定した。その測定結果を表2に示す。引張強度保持率は、薬液浸漬処理前の糸の引張強度を100%とし、薬液浸漬処理後の糸の引張強度の割合である。引張強度は、JIS L 1013:1999 化学繊維フィラメント糸試験方法8.5.1に従って測定することにより求められる。
【0040】
(比較例1)
試験例1で得られた熱処理したパラ系アラミド繊維(東レ・デュポン株式会社製「ケブラー29」(R)繊維)繊度1666デシテックスをエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル株式会社製 商品名ニュクレル(米国デュポン株式会社登録商標))で処理せずに、上記と同様に薬液浸漬(50℃×1000hr)後の引張強度保持率を測定した。その測定結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 2004115958
【0042】
(実施例2)
実施例1で製造した樹脂被覆糸を、(株)島精機製作所の7ゲージの手袋編み機で手袋を編み上げた。
(実施例3)
実施例1で薬液浸漬処理した樹脂被覆糸を、10ゲージのシームレスグローブ編機に供給して作業用手袋を編み上げた。
【0043】
(実施例4)
試験例1で得られた熱処理したパラ系アラミド繊維(東レ・デュポン株式会社製「ケブラー29」(R)繊維)繊度1666デシテックスを引揃え、9mm径の組紐に製紐し、170℃でエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル株式会社製 商品名ニュクレル(米国デュポン株式会社登録商標))に含浸し、50℃で10分間硬化させて組紐状の長さ1mロッドを製作した。
ロッド表面に、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを含むテトラグリシジルアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂(住友化学株式会社製スミーエポキシELM−434;ガラス転移点230℃)を含浸させ、150℃にて1時間硬化させて、厚み0.5mmの被覆層とし、目的とする棒材を得た。
【0044】
(実施例5)
白色系高強度繊維HT−PVAの綿番手20/1(292dtex相当)の紡績糸を合撚して綿番手20/2(292dtex×2相当)の双糸とし、次の構造の平織物を製織した。
糸使い      ;綿番手20/2(292dtex×2相当)
糸密度・たて×よこ;55x45(本/25.4mm)
織物組織     ;2/1綾織り
単位面積あたりの質量;240(g/m
【0045】
得られた織物を筒状に配し、170℃でエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(三井・デュポンポリケミカル株式会社製 商品名ニュクレル(米国デュポン株式会社登録商標))に含浸して、50℃で10分間硬化させて筒状の長さ1mの管を製造した。
石灰石と粘土とを4:1の比率で混ぜ合わせ、高温の焼炉にかけたあと、3%の石膏を混ぜ合わせてセメントを作製した。このセメントに細骨材(砂)と粗骨材(砕いた石や砂利)、そして水を混ぜ合わせ、固まる前のコンクリートを作製した。
上記製造した管の表面に固まる前のコンクリートを厚さ10mmになるよう塗った後、コンクリートが硬化することにより下水道管を製造した。
【0046】
【発明の効果】
本発明によって、耐薬品性、耐衝撃性及び耐候性に優れた、樹脂被覆高強度繊維、その繊維製品、前記繊維又は前記繊維製品を含む複合体及び前記複合体からなる成形品を提供することができる。

Claims (11)

  1. 高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されていることを特徴とする樹脂被覆高強度繊維。
  2. 高強度繊維が、アラミド、芳香族ポリエステル及びポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールからなる群から選ばれる少なくとも一種類の繊維であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆高強度繊維。
  3. 高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維を含んでなることを特徴とする繊維製品。
  4. 布帛、ロープ又は手袋であることを特徴とする請求項3に記載の繊維製品。
  5. (イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を含んでなることを特徴とする複合体。
  6. 土木建築資材であることを特徴とする請求項5に記載の複合体。
  7. 土木建築資材が道路舗装材、コンクリート補強材又は剥離防止材であることを特徴とする請求項6に記載の複合体。
  8. (イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は/及び(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を含んでなる複合体からなることを特徴とする成形品。
  9. 下水道管であることを特徴とする請求項8に記載の成形品。
  10. 高強度繊維をエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆することを特徴とする樹脂被覆高強度繊維の製造方法。
  11. (イ)高強度繊維がエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂又は/及びポリサルファイド変性エポキシ樹脂で被覆されている樹脂被覆高強度繊維又は(ロ)前記樹脂被覆高強度繊維を含む繊維製品を樹脂で処理することを特徴とする複合体の製造方法。
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