JP2004115814A - 止水シート用ゴム - Google Patents

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Abstract

【解決手段】
 本発明の止水シート用ゴム組成物は、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと特定の分岐鎖状ポリエン化合物とからなるランダム共重合体ゴムと、加硫剤と、充填剤とからなり、該共重合体ゴムは、エチレンとα- オレフィンとのモル比、ヨウ素価および極限粘度が特定の範囲にある。本発明の止水シートは、この組成物の加硫物である。
【効果】
 上記止水シート用ゴム組成物は、耐外傷性および低温柔軟性に優れた止水シートを高速成形することができる。したがって、止水シートは耐外傷性および低温柔軟性に優れている。
  【選択図】 なし

Description

 本発明は、止水シート用ゴムに関し、さらに詳しくは、耐外傷性、低温柔軟性に優れた止水シート用ゴムに関する。
 エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(以下、EPDMと称する場合がある)は、その優れた耐候性、低温柔軟性、耐熱老化性、電気絶縁性を活かして電線被覆ゴムなどの電気絶縁部品に使用されている。通常使用されている電線は、導線の周りに絶縁層が設けられ、さらに絶縁層の外周にシースが設けられている。このような電線は、通常、絶縁層を形成するゴムとシースを形成するゴムを連続加硫して成形される。このような成形法では、絶縁層を形成するゴムを加硫した後直ちにシースを形成するゴムを連続加硫して、効率よく短時間で電線を生産することが望ましいが、従来のEPDMは、加硫速度が遅いため電線被覆ゴムを高速成形することができないという問題がある。また、シースをかぶせていない、絶縁層がむき出し状態の電線では、絶縁層の耐外傷性、耐潰れ性が特に問題となる。
 そこで、EPDMの加硫密度を大きくしてEPDMを高モジュラス化し、このEPDMを電線被覆ゴムに使用することが考えられる。このようなEPDMを用いれば、電線被覆ゴムを高速成形することができ、電線の生産性を落とすことなく電線被覆ゴムの耐外傷性、耐潰れ性の向上を計ることができる。
 しかしながら、従来のEPDMの加硫密度を高めて高モジュラス化するためには、EPDMの非共役ジエン含量を増加させる方法しか考えられない。EPDMの非共役ジエン含量が多くなると、EPDMは、低温下での柔軟性が悪化し、冬場や寒冷地のような低温雰囲気下では、電線として必要不可欠なゴム弾性が乏しくなるため、耐外傷性、耐潰れ性の改良が非常に困難になるという問題がある。
 一方、建築や土木に用いられるルーフィングシートなどの止水シートに適したブチルゴムの加硫シートが、昭和30年代に出現したが、この加硫シートは、耐候性、耐熱性、耐熱老化性等が必ずしも十分でない。その後、耐候性、耐熱老化性等の改良された加硫シートとしてブチルゴムとEPDMとのブレンド物からなる加硫シートが用いられるようになっている。当初、このブレンド物におけるEPDMの使用割合は、少なかったがやがて多くなり、ルーフィングシートなどの止水シートとしての性能アップのため、最近では、EPDMの方がブチルゴムよりも使用割合が多くなり、EPDM単味からなる止水シートの生産も行なわれるようになっている。
 加硫ゴムからなるルーフィングシートなどの止水シートを生産するに際して、表面肌の良好な加硫ゴムシートを如何に連続的に高速押出しするか、また止水シートとして要求される耐候性、耐熱老化性、耐外傷性、低温柔軟性等の物性を保持しながら如何に加硫を短時間で終了させて生産性を上げるかということが問題になる。
 止水シートの生産性を考えた場合、電線被覆ゴムの場合と同様に、従来のEPDMは、EPDMのヨウ素価を上げることにより加硫速度を多少アップさせることはできる。しかしながら、この方法では目的とする加硫速度は得ることができないので、止水シートの生産性向上には限りがある。また、止水シートの物性面を考えた場合、従来のEPDMは、EPDMのヨウ素価を上げることにより、止水シートに強く要求される耐外傷性を多少向上させることができる。しかしながら、EPDMの非共役ジエン含量が多くなると、EP
DMは、低温下での柔軟性が悪化し、冬場や寒冷地のような低温雰囲気下では、止水シートとして必要不可欠なゴム弾性が乏しくなるため、耐外傷性の改良が非常に困難になるという問題がある。
 したがって、耐外傷性、耐潰れ性、低温柔軟性等に優れた電線被覆ゴム、および耐外傷性、低温柔軟性等に優れた止水シート用ゴムの出現が従来より望まれている。
 本発明は、耐外傷性、低温柔軟性に優れた止水シート用ゴムを提供することを目的としている。
 本発明に係る電線被覆ゴムは、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記一般式[I]で表わされる少なくとも一種の分岐鎖状ポリエン化合物とからなるランダム共重合体ゴム(A)、
 加硫剤(B)、および
 充填剤(C)
を含有してなるゴム組成物で形成され、
 該ランダム共重合体ゴム(A)は、
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/60〜95/5の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が5〜40の範囲にあり、
(iii) 135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が
   0.8 dl/g <[η]<5 dl/g で表わされる範囲にある
ことを特徴としている。
Figure 2004115814
[式[I]中、nは1〜5の整数であり、R1 は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、R2 およびR3 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。]
 本発明に係る止水シート用ゴムは、
 エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記一般式[I]で表わされる少なくとも一種の分岐鎖状ポリエン化合物とからなるランダム共重合体ゴム(A)、
 加硫剤(B)、および
 充填剤(C)
を含有してなるゴム組成物で形成され、
 該ランダム共重合体ゴム(A)は、
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/60〜85/15の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が5〜40の範囲にあり、
(iii) 135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が
   0.8 dl/g <[η]<5 dl/g で表わされる範囲にある
ことを特徴としている。
Figure 2004115814
 [式[I]中、nは1〜5の整数であり、R1 は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、R2 およびR3 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である]。
 本発明で用いられるエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと上述した分岐鎖状ポリエン化合物とからなるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンとα- オレフィンとのモル比、ヨウ素価および極限粘度[η]が特定の範囲にあるので、耐外傷性、耐潰れ性、低温柔軟性に優れた加硫ゴムを提供することができ、しかも、加硫速度が速く高速成形が可能である。また、このランダム共重合体ゴム(A)は、耐候性、耐オゾン性および耐熱老化性等の特性に優れている。
 本発明に係る電線被覆ゴムは、上記ランダム共重合体ゴム(A)と加硫剤(B)と充填剤(C)とを含有してなる組成物で形成されているので、耐外傷性、耐潰れ性および低温柔軟性に優れている。
 また、本発明に係る止水シート用ゴムは、上記ランダム共重合体ゴム(A)と、加硫剤(B)と、充填剤(C)とを含有してなる組成物で形成されているので、耐外傷性および低温柔軟性に優れている。
 以下、本発明に係る電線被覆ゴム、および止水シート用ゴムについて具体的に説明する。
 本発明に係る電線被覆ゴムおよび止水シート用ゴムは、特定のランダム共重合体ゴム(A)と加硫剤(B)と充填剤(C)とを含有してなる組成物で形成されている。
           ランダム共重合体ゴム(A)
 本発明で用いられるエチレン系共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、分岐鎖状ポリエン化合物とからなる。
 このような炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、3-エチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ペンテン、4-エチル-1- ヘキセン、3-エチル-1- ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。中でも、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましく用いられる。
これらのα- オレフィンは、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。また、分岐鎖状ポリエン化合物は、下記一般式[I]で表わされる。
Figure 2004115814
 式[I]中、nは1〜5の整数であり、R1 は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、R2 およびR3 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。
 炭素原子数1〜5のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基などが挙げられる。
 このような分岐鎖状ポリエン化合物(以下、分岐鎖状ポリエン化合物[I]ともいう)としては、具体的に下記(1)〜(24)に例示するような化合物が挙げられる。中でも、(5)、(6)、(9)、(11)、(14)、(19)、(20)の分岐鎖状ポリエン化合物が好ましく用いられる。
(1)4-エチリデン-1,6- オクタジエン
(2)7-メチル-4- エチリデン-1,6- オクタジエン
(3)7-メチル-4- エチリデン-1,6- ノナジエン
(4)7-エチル-4- エチリデン-1,6- ノナジエン
(5)6,7-ジメチル-4- エチリデン-1,6- オクタジエン
(6)6,7-ジメチル-4- エチリデン-1,6- ノナジエン
(7)4-エチリデン-1,6- デカジエン
(8)7-メチル-4- エチリデン-1,6- デカジエン
(9)7-メチル-6- プロピル-4- エチリデン-1,6- オクタジエン
(10)4-エチリデン-1,7- ノナジエン
(11)8-メチル-4- エチリデン-1,7- ノナジエン(EMN)
(12)4-エチリデン-1,7- ウンデカジエン
(13)8-メチル-4- エチリデン-1,7- ウンデカジエン
(14)7,8-ジメチル-4- エチリデン-1,7- ノナジエン
(15)7,8-ジメチル-4- エチリデン-1,7- デカジエン
(16)7,8-ジメチル-4- エチリデン-1,7- ウンデカジエン
(17)8-メチル-7- エチル-4- エチリデン-1,7- ウンデカジエン
(18)7,8-ジエチル-4- エチリデン-1,7- デカジエン
(19)9-メチル-4- エチリデン-1,8- デカジエン
(20)8,9-ジメチル-4- エチリデン-1,8- デカジエン
(21)10- メチル-4- エチリデン-1,9- ウンデカジエン
(22)9,10- ジメチル-4- エチリデン-1,9- ウンデカジエン
(23)11- メチル-4- エチリデン-1,10-ドデカジエン
(24)10,11-ジメチル-4- エチリデン-1,10-ドデカジエン
 これらは、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
 上記の分岐鎖状ポリエン化合物[I]は、トランス体およびシス体の混合物であってもよく、トランス体単独またはシス体単独であってもよい。
 このような分岐鎖状ポリエン化合物は、本願出願人の出願に係る特願平6−154952号明細書に記載の方法によって調製することができる。
 すなわち、下記[I−a]で示される共役ジエンを有する化合物とエチレンとを、遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒の存在下に反応させることにより製造することができる。
Figure 2004115814
 (式[I−a]中、n、R1、R2 およびR3 は、それぞれ上述した一般式[I]におけ
るn、R1、R2 およびR3と同じである。)
 本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、上記のようなエチレン、α- オレフィンおよび分岐鎖状ポリエン化合物それぞれの単量体から誘導される構成単位が、ランダムに配列して結合し、分岐鎖状ポリエン化合物に起因する分岐構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている。
 この共重合体ゴムが実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、この共重合体ゴムが有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体ゴムが135℃中のデカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
 また、このようなランダム共重合体ゴム(A)において、分岐鎖状ポリエン化合物から誘導される構成単位は、実質的に下記式[II]で示される構造を有している。
Figure 2004115814
 [式[II]中、n、R1、R2 およびR3は、それぞれ上述した一般式[I]におけるn、R1、R2 およびR3と同じである。]
なお、分岐鎖状ポリエン化合物から誘導される構成単位が上記構造を有していることは、この共重合体の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
 本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、以下のような組成および特性を有する。
 (i)電線被覆ゴム用組成物を構成するランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/6
0〜95/5、好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは60/40〜85/15の範囲にある。
 エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比が、上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、機械的強度に優れるとともに、低温下におけるゴム弾性に優れた電線被覆ゴムを提供することができる組成物が得られる。
 また、止水シート用ゴム組成物を構成するランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/60〜85/15、好ましくは50/50〜80/20、さらに好ましくは60/40〜80/20の範囲にある。
 エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比が、上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、機械的強度に優れるとともに、低温下におけるゴム弾性に優れた止水シートを提供することができるゴム組成物が得られる。
 (ii)電線被覆ゴム用組成物を構成するランダム共重合体ゴム(A)は、ヨウ素価が5〜40、好ましくは7〜25の範囲にある。ヨウ素価が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、耐外傷性に優れるとともに、EPDMが本来有している優れた耐熱老化性を保持した電線被覆ゴムを提供することができる組成物が得られる。
 また、止水シート用ゴムを構成するランダム共重合体ゴム(A)は、ヨウ素価が5〜40、好ましくは7〜25の範囲にある。ヨウ素価が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、耐外傷性に優れるとともに、EPDMが本来有している優れた耐熱老化性を保持した止水シート用ゴムを提供することができる組成物が得られる。
 ポリエン成分が4-エチリデン-8- メチル-1,7- ノナジエン(以下、EMNと略する場合ある)であるEPDM(以下、EMN−EPDMと略する場合がある)と、ポリエン成分が5-エチリデン-2- ノルボルネン(以下、ENBと略する場合がある)であるEPDM(以下、ENB−EPDMと略する場合がある)とを同じヨウ素価で比較すると、EMN−EPDMの方が、加硫速度が2倍以上速い。
 なお、ENB−EPDMは、そのポリエン含量を高くしても、ポリエン含量が4モル%を超えると、加硫速度の改善効果がなくなる。一方、EMN−EPDMは、そのポリエン含量が7モル%になるまでポリエン含量に比例して加硫速度を速めることができる。
 また、ENB−EPDMは、加硫速度を速めるためにそのヨウ素価を増加させると、それに比例して低温柔軟性が悪化する。一方、EMN−EPDMは、そのヨウ素価に関係なく優れた低温柔軟性を有する。
 (iii) 電線被覆ゴム用組成物を構成するランダム共重合体ゴム(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.8 dl/g <[η]<5 dl/g、好ましくは1.
0 dl/g <[η]<3.5 dl/g で表わされる範囲にある。極限粘度[η]が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、耐外傷性に優れた電線被覆ゴムを提供することができる、押出加工性に優れた組成物が得られる。
 また、止水シート用ゴム組成物を構成するランダム共重合体(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.8 dl/g <[η]<5 dl/g 、好ましくは1.5 dl/g <[η]<3.0 dl/g で表わされる範囲にある。極限粘度[η]が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、耐外傷性に優れた止水シート用ゴムを
提供することができる押出加工性に優れた組成物が得られる。
 上記のようなランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、上記一般式[I]で表わされる分岐鎖状ポリエン化合物とを、触媒の存在下に共重合させて得ることができる。
 このような触媒としては、たとえばバナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)などの遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなるチーグラー型触媒が使用できる。
 本発明では、[a]可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒、あるいは[b]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒が特に好ましく用いられる。
 本発明では、上記のような触媒[a](可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒)または触媒[b](周期律表第IV族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒)の存在下に、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、分岐鎖状ポリエン化合物とを、通常液相で共重合させる。
 この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレン等のα- オレフィンを溶媒として用いてもよい。
 このような炭化水素溶媒としては、具体的には、
 ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、
 シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、
 ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、および
クロロベンゼン等のハロゲン誘導体などが用いられる。
 これら溶媒は組み合わせて用いてもよい。エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと分岐鎖状ポリエン化合物との共重合は、バッチ法、あるいは連続法いずれの方法で行なってもよい。共重合を連続法で実施するに際しては、上記触媒は以下のような濃度で用いられる。
 本発明において、上記触媒[a]、すなわち可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる場合には、
 重合系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常、0.01〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/リットルである。この可溶性バナジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。
 また、有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。
 可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒[a]は、通常、上述の炭化水素溶媒、および/または液状の炭素原子数3〜20のα-オレフィンおよび
分岐鎖状ポリエン化合物で希釈されて供給される。この際、可溶性バナジウム化合物は上述した濃度に希釈されることが望ましく、また有機アルミニウム化合物は重合系内における濃度のたとえば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内に供給されることが望ましい。
 また、本発明においてメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物ともいう。)とからなる触媒[b]が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常、0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
 また、有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するアルミニウム原子の比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
 イオン化イオン性化合物の場合は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
 また、有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常、約0〜5ミリモル/リットル(重合度積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
 本発明において、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒[a]の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと分岐鎖状ポリエン化合物とを共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−50℃〜100℃、好ましくは−30℃〜80℃、さらに好ましくは−20℃〜60℃で、圧力が50kg/cm2 以下、好ましくは20kg/cm2 以下の条件下に行なわれる。ただし、圧力は0ではない。
 また本発明において、メタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒[b]の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと分岐鎖状ポリエン化合物とを共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜120℃、さらに好ましくは0℃〜100℃で、圧力が80kg/cm2 以下、好ましくは50kg/cm2 以下の条件下に行なわれる。ただし、圧力は0ではない。
 また反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常、5分〜5時間、好ましくは10分〜3時間である。
 本発明では、エチレン、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよび分岐鎖状ポリエン化合物は、上述した特定組成のランダム共重合体ゴムが得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
 上記のようにしてエチレン、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよび分岐鎖状ポリエン化合物を共重合させると、ランダム共重合体ゴムは通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、ランダム共重合体ゴムが得られる。
 ランダム共重合体ゴム(A)[不飽和性エチレン系共重合体]の上記のような調製方法
は、本願出願人の出願に係る特願平7−69986号明細書に詳細に記載されている。
              加硫剤(B)
 本発明で用いられる加硫剤(B)としては、イオウ、イオウ化合物、有機過酸化物が挙げられる。
 イオウとしては、具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
 イオウ化合物としては、具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが挙げられる。また、加硫温度で活性イオウを放出して加硫するイオウ化合物、たとえばモルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなども使用することができる。
 本発明においては、イオウないしイオウ化合物は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。
 また、加硫剤(B)としてイオウないしイオウ化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、具体的には、
 N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4- モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;
 ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;
 アセトアルデヒド- アニリン反応物、ブチルアルデヒド- アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド- アンモニア系化合物;
 2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;
 チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;
 テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;
 ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;
 ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;
 亜鉛華などの化合物を挙げることができる。
 本発明においては、加硫促進剤は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で用いられる。
 有機過酸化物としては、通常ゴムの過酸化物加硫に使用される化合物であればよい。たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキ
シン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- モノ(t-ブチルパーオキシ)- ヘキサン、α,α'- ビス(t-ブチルパーオキ
シ-m-イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。なかでも、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。これらの有機過酸化物は、1種または2種以上組合わせて用いられる。
 本発明においては、有機過酸化物は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、3×10-4〜5×10-2モルの割合で使用されるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
 加硫剤(B)として有機過酸化物を使用するときは、加硫助剤を併用することが好ましい。加硫助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシムなどのキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレートなどのメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物;その他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
 電線被覆ゴム用組成物では、加硫剤(B)として有機過酸化物を用いるのが好ましい。また、止水シート用ゴム組成物では、加硫剤(B)としてイオウないしイオウ化合物を用いるのが好ましい。
             充填剤(C)
 本発明で用いられる充填剤(C)には、補強性のある充填剤と補強性のない充填剤とがある。
 補強性のある充填剤は、加硫ゴムの引張り強さ、引裂き強さ、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このような充填剤としては、具体的には、シランカップリング剤などによる表面処理が施されていてもよいカーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルクなどが挙げられる。本発明においては、通常ゴムに使用されるカーボンブラックならば、その種類は問わず、全て用いることができる。
 また、補強性のない充填剤は、物性にあまり影響を与えることなく、ゴム製品の硬さを高めたり、コストを引き下げることを目的として使用される。このような充填剤としては、具体的には、タルク、クレー、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
 本発明においては、充填剤(C)は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、20〜200重量部、好ましくは50〜150重量部の割合で用いられる。
              その他の成分
 本発明で用いられる電線被覆ゴム用組成物または止水シート用ゴム組成物中に、上記のランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)および充填剤(C)に加えて、上述したように加硫促進剤、加硫助剤を配合することができるが、そのほかに軟化剤、加工助剤、発泡剤およびその他のゴム用配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
 軟化剤としては、通常ゴム用に使用される軟化剤、すなわち各種の鉱物油類、合成油類、エステル系可塑剤などが挙げられる。具体的には、通常ゴムのプロセスオイルとして使用される各種鉱油、たとえばパラフィン系、ナフテン系、アロマ系の鉱油、ブテンオリゴマー、エチレン・α- オレフィンコオリゴマー等の合成炭化水素油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフルオロエチ
レン油、フルオロエステル油、塩素化ビフェニル油、シリコーン油などが挙げられる。
 軟化剤は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、10〜120重量部、好ましくは30〜80重量部の割合で用いられる。加工助剤としては、通常ゴムに使用される加工助剤を、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは1〜5重量部の割合で使用すればよい。
             組成物の調製
 本発明で用いられる電線被覆ゴム用組成物および止水シート用ゴム組成物は、たとえば次のような方法で調製することができる。
 すなわち、本発明で用いられる電線被覆ゴム用組成物および止水シート用ゴム組成物は、バンバリーミキサーのようなミキサー類によりランダム共重合体ゴム(A)、充填剤(C)、および軟化剤などの必要な添加剤を、80〜170℃の温度で約3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類を使用して、加硫剤(B)、必要に応じて加硫促進剤または加硫助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして得られるゴム組成物は、リボン状またはシート状のゴム配合物である。
 また、本発明で用いられる電線被覆ゴム用組成物および止水シート用ゴム組成物は、ランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)、充填剤(C)および上記の添加剤を約80〜100℃に加熱された押出機に直接供給し、滞留時間を約0.5〜5分間とって、造粒し、ペレット状に調製することもできる。
             電線被覆ゴム
 本発明に係る電線被覆ゴムは、上述したようなランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)、充填剤(C)、および必要に応じて軟化剤、加工助剤、発泡剤等のゴム用配合剤からなるゴム組成物で形成されており、通常は加硫されている。
 このような本発明に係る電線被覆ゴムは、たとえば導線の周囲に絶縁層を設けた後直ちに、その絶縁層の周囲を上述した方法により調製された加硫可能な配合ゴムで押出被覆し加硫を行なうことにより調製することができる。また、本発明に係る電線被覆ゴムは、上述した本発明に係る電線被覆ゴム用組成物から調製された、いわゆる電線保護カバーであってもよい。
            止水シート用ゴム
 本発明に係る止水シート用ゴムは、上述したようなランダム共重合体ゴム(A)、加硫剤(B)、充填剤(C)、および必要に応じて軟化剤、加工助剤等のゴム用配合剤からなるゴム組成物で形成されており、通常は加硫されている。
 本発明に係る止水シート用ゴムは、上述したようなゴム組成物を用いて、たとえば従来公知のT−ダイ押出法あるいはカレンダー法により得ることができる。
 [実施例]
 以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
 なお、実施例および比較例におけるエチレン・α- オレフィン・ポリエン共重合体ゴムおよび加硫ゴムの評価試験方法は、以下のとおりである。
 [1]未加硫ゴムの物性試験
 未加硫ゴムの物性試験は、JIS K 6300に準拠して行ない、ムーニー粘度[ML1+4 (130℃)]を求めた。また、未加硫ゴムについて、日本合成ゴム(株)製のキュラストメーター(CURELAST METER)3型を用いて160℃でトルク変化を測定し、t90[分]を求め加硫速度とした。t90が短時間ほど加硫速度が速いことを示す。
 [2]引張り試験
 加硫ゴムシートを打抜いてJIS K 6301(1989年)に記載されている3号形ダンベル試験片を作製し、該試験片を用いて同JIS K 6301第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、300%モジュラス(M300 )、引張破断点応力TB および引張破断点伸びEB を測定した。
 [3]硬さ試験硬さ試験は、JIS K 6301(1989年)に準拠して、スプリング硬さHS(JIS A硬度)を測定した。
 [4]圧縮永久歪試験圧縮永久歪試験は、JIS K 6301(1989年)に準拠して行ない、圧縮永久歪(CS)を求めた。
 [5]加熱変形試験加熱変形試験は、JIS C 3005に準じて行ない、加熱変形後の厚さの減少率[%]を求めた。この減少率は、加硫ゴムの耐潰れ性の指標となる。
 (試験条件)
 加熱温度:90℃、120℃、150℃
 荷重:10.5kg
 [6]染色摩耗試験
 染色摩耗試験は、JIS L-0823に準拠して行ない、試験前後の重量変化率[%]を求めた。この重量変化率は、加硫ゴムの耐外傷性の指標となる。
(試験条件)
  試験荷重:200g
  摩擦面:20×20mm
  試験片のサイズ:25×210mm
  摩擦片:サイズ20×20mmの布(カナキン3号)
  摩擦回数:500回
 [7]低温ねじり試験(ゲーマンねじり試験)
 低温ねじり試験は、JIS K 6301に準じて行ない、T5 [℃]を求めた。この温度は、加硫ゴムの低温柔軟性の指標となる。
(試験条件)
  ねじりワイヤーのねじれ定数:0.5gf・cm/度
  浸漬時間:10分
  ねじり時間:5秒
 また、実施例および比較例で用いたランダム共重合体ゴムは、第1表に示す通りである。
Figure 2004115814
 [電線被覆ゴムについての実施例および比較例]
 第1表に示した共重合体(1)100重量部と、亜鉛華5重量部と、ステアリン酸1重量部と、ミストロンベーパータルク[充填剤]100重量部と、パラフィン系オイル20重量部とを容量4.3リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で混練した。
 このようにして得られた混練物に、ジクミルパーオキサイド6.8重量部およびp-(p-ジベンゾイルキノン)ジオキシム[加硫助剤]3.5重量部を加えて8インチロール(前ロールおよび後ロールの温度50℃)で混練した後、シート状に分出して、160℃で10分プレス加硫して、厚み2mmの加硫シートを調製した。
 得られた加硫シートについて上記物性試験等を上記方法に従って行なった。また、上記加硫を行なう前の未加硫ゴム組成物について、上記方法に従って、ムーニー粘度[ML1+4 (130℃)]、t90を求めた。
 結果を第2表に示す。
 実施例1において、共重合体(1)の代わりに第1表に示した共重合体(3)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
 結果を第2表に示す。
[比較例1、2]
 実施例1において、共重合体(1)の代わりに第1表に示した共重合体(5)、(6)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
 結果を第2表に示す。
Figure 2004115814
 第2表より、以下のことが判った。ヨウ素価の低い共重合体(1)を用いた比較例1とヨウ素価の高い共重合体(2)を用いた比較例2を比較すると、耐潰れ性、耐外傷性を向上させるためには、共重合体のヨウ素価を高くする、すなわちENB含量を多くすればよいが、低温柔軟性が損なわれる。
 これに対し、実施例1と比較例2を比較すると、実施例1で用いた共重合体(1)は、比較例2で用いた共重合体(6)のヨウ素価と同じヨウ素価を有するにもかかわらず、実施例1は、比較例2よりも優れた低温柔軟性を示すとともに、耐外傷性も非常に優れている。
 また、実施例1と比較例2は、同じヨウ素価を有する共重合体を用いているにもかかわらず、実施例1の方が比較例2よりも加硫速度が非常に速い。
 [止水シート用ゴムについての実施例および比較例]
 第1表に示した共重合体(2)100重量部と、亜鉛華5重量部と、ステアリン酸1重量部と、HAFカーボンブラック75重量部と、重質炭酸カルシウム40重量部と、パラフィン系オイル40重量部とを容量4.3リットルのバンバリーミキサー[(株)神戸製鋼所製]で混練した。
 このようにして得られた混練物に、イオウ1.0重量部、2-メルカプトベンゾチアゾール0.75重量部、ジベンゾチアジルジスルフィド0.75重量部およびテトラメチルチウラムジスルフィド0.5重量部を加えて8インチロール(前ロールおよび後ロールの温度50℃)で混練した後、シート状に分出して、160℃で10分プレス加硫して、厚み2mmの加硫シートを調製した。
 得られた加硫シートについて上記物性試験等を上記方法に従って行なった。また、上記加硫を行なう前の未加硫ゴム組成物について、上記方法に従って、ムーニー粘度[ML1+4 (130℃)]、t90を求めた。
 結果を第3表に示す。
 実施例3において、共重合体(2)の代わりに第1表に示した共重合体(4)を用いた以外は、実施例3と同様に行なった。
 結果を第3表に示す。
[比較例3、4]
 実施例3において、共重合体(2)の代わりに第1表に示した共重合体(7)、(8)を用いた以外は、実施例3と同様に行なった。
 結果を第3表に示す。
Figure 2004115814
 第3表より、以下のことが判った。ヨウ素価の低い共重合体(7)を用いた比較例3とヨウ素価の高い共重合体(8)を用いた比較例4を比較すると、耐外傷性を向上させるためには、共重合体のヨウ素価を高くする、すなわちENB含量を多くすればよいが、低温柔軟性が損なわれる。
 これに対し、実施例3と比較例4を比較すると、実施例3で用いた共重合体(2)は、比較例4で用いた共重合体(8)のヨウ素価とほぼ同じヨウ素価を有するにもかかわらず、実施例3は、比較例4よりも優れた低温柔軟性を示すとともに、耐外傷性も非常に優れている。
 また、実施例3と比較例4は、ほぼ同じヨウ素価を有する共重合体を用いているにもかかわらず、実施例3の方が比較例4よりも加硫速度が非常に速い。

Claims (1)

  1.  エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記一般式[I]で表わされる少なくとも一種の分岐鎖状ポリエン化合物とからなるランダム共重合体ゴム(A)、
     加硫剤(B)、および
     充填剤(C)
    を含有してなるゴム組成物で形成され、
     該ランダム共重合体ゴム(A)は、
    (i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/60〜85/15の範囲にあり、
    (ii)ヨウ素価が5〜40の範囲にあり、
    (iii) 135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が
       0.8 dl/g <[η]<5 dl/g で表わされる範囲にある
    ことを特徴とする止水シート用ゴム;
    Figure 2004115814
    [式[I]中、nは1〜5の整数であり、
     R1 は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、
     R2 およびR3 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である]。
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