JP2018130645A - 籾摺りロール用組成物および籾摺りロール - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐摩耗性を有し、且つ低温特性に優れる籾摺りロール用に好適な組成物および当該組成物を表面に有する籾摺りロールを得ることを目的とする。【解決手段】本発明は、表面に共重合体組成物層を有する籾摺りロールであり、当該共重合体組成物層が、エチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部、不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)0.1〜10質量部、および下記要件(C−1)を満たすフィラー(C)(ただし、カーボンブラックを除く)を1〜100質量部を含有する共重合体組成物からなることを特徴とする籾摺りロール。(C−1)平均粒子径が10μm〜50μmである。【選択図】なし

Description

本発明は、耐摩耗性を有し、且つ低温特性に優れる籾摺りロール用組成物および当該組成物を表面に有する籾摺りロールに係る。
エチレン・プロピレン共重合体(以下、EPRと呼ぶことがある)やエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(以下、EPDMと呼ぶことがある)は、耐候性、耐オゾン性、耐薬品性、電気絶縁性等の特性に優れていることから、工業用ロールや事務機器用ロールに使用されている。ところで、これらロールでは、長期間にわたって共重合体組成物物性を維持し、環境劣化に強いことが望まれている。
特許文献1には、エチレン・α−オレフィン・ポリエン非晶質共重合体に有機過酸化物、オルガノポリシロキサンなどを配合することにより、ロールの耐摩耗性等を改良することが提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示された組成物から得られるロールを籾摺りロールに用いた場合は、未だ耐摩耗性が十分でないことが判った。
特開平11−323043号公報
本発明は、耐摩耗性を有し、且つ低温特性に優れる籾摺りロール用に好適な組成物および当該組成物を表面に有する籾摺りロールを得ることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に、特定のフィラーと共に不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体、好ましくはさらに特定のシリル化ポリオレフィンおよび/またその誘導体(ただし、後述の式(1)で表され、かつ、1分子に2個以上のSiH基を有するケイ素含有化合物と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が100以上500,000以下であり、かつ、1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するビニル基含有化合物との反応物であるシリル化ポリオレフィン、およびその誘導体を除く)を配合することによりフィラーの分散性を改良でき、それにより成形性が向上するため、耐摩耗性に優れる共重合体組成物層を好適に得られ、該共重合体組成物層を籾摺りロールの表面に用いることで耐摩耗性および耐久性に優れる籾摺りロールを長期に渡って使用することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、表面に共重合体組成物層を有する籾摺りロールに係る発明を提供するものであり、当該共重合体組成物層が、以下の特徴を有する。
エチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部、
不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)0.1〜10質量部、および
下記要件(C−1)を満たすフィラー(C)(ただし、カーボンブラックを除く)を1〜100質量部を含有する共重合体組成物からなることを特徴とする籾摺りロール。
(C−1)平均粒子径が10μm〜50μmである。
本発明の籾摺りロール用組成物は、本発明によれば、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体成分と不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体と、任意成分である特定のシリル化ポリオレフィンおよび/またその誘導体を、フィラーと共に配合することにより、フィラーの分散性を改良でき、耐摩耗性に非常に優れるので、長期に渡って使用することができる層を表面に有する籾摺りロールを提供できる。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
本発明に係る共重合体組成物に含まれる成分の一つであるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)〔以下、「共重合体(A)」と呼称する場合がある。〕は、エチレンから導かれる構成単位と、炭素数4以上、好ましくは炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位と、非共役ポリエンから導かれる構成単位を含む共重合体である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。該共重合体(A)は、本発明の効果を奏する限り、トランス体やシス体など、構造異性体に何ら限定されない。
炭素数4以上のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、14−メチル−1−ドデセンおよび12−-エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。なかでも、炭素原子数4〜10のα−オレフィンが好ましく、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンがより好ましく、特に1−ブテンが好ましい。
これらα-オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエンおよび4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-イソブテニル-2-ノルボルネン、シクロペンタジエンおよびノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。なかでも、1,4−ヘキサジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンの混合物が好ましく、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンの混合物がより好ましい。
これらの非共役ポリエンは、単独で、または2種類以上組み合わせて用いられる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、好ましくは、下記要件(A−1)〜(A−3)を満たす。
(A−1)
エチレンから導かれる構成単位を、70質量%を超えて99質量%以下、好ましくは70〜90質量%、より好ましくは70〜85質量%で含み、炭素数4以上のα−オレフィンから導かれる構成単位を、1質量%以上30質量%未満、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは15〜30質量%で含む〔ただし、エチレンから導かれる構成単位とα−オレフィンから導かれる構成単位の合計量を100質量%とする。〕。
非共役ポリエンから導かれる構成単位は、エチレンから導かれる構成単位とα−オレフィンから導かれる構成単位の合計量100質量部に対して、通常1.0〜20.0質量部であり、好ましくは3.0〜15.0質量部、より好ましくは4.0〜14.0質量部の量で含まれる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の組成は、たとえば、ASTM D 3900およびASTM D 6047に準拠して、13C−NMRなどを用いて測定できる。
(A−2)
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、ASTM D 1646に準じて測定して得られた、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)(100℃)が、1〜90、より好ましくは1〜60、さらに好ましくは1〜30の範囲にある。ムーニー粘度が上記範囲にあると、良加工性および良物性を示すため好ましい。
(A−3)
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、135℃、デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が、1.0〜5.0dl/g、好ましくは1.0〜4.0dl/gである。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の製造方法>
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、たとえば、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒など公知の重合用触媒を用いて製造することができる。重合方法としても特に限定されず、溶液重合、懸濁重合、バルク重合法などの液相重合法、気相重合法、その他公知の重合方法で行うことができる。また、これらの共重合体は、本発明の効果を奏する限り限定されず、市販品としても入手可能である。市販品としては、たとえば、エクソンモービル社製のVistalon(登録商標)、住友化学(株)社製のエスプレン(登録商標)、三井化学(株)社製の三井EPT(登録商標)が挙げられる。
<不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)>
本発明に係る共重合体組成物に含まれる成分の一つである不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)〔以下、「変性共重合体(B)」と略称する場合がある。〕は、通常、不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラフト量が、変性共重合体(B)100質量%に対して、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜9質量%である。
本発明に係る変性共重合体(B)は、好ましくは、密度が、860kg/m3以上880kg/m3未満、より好ましくは860〜875kg/m3、さらに好ましくは865〜875kg/m3である。変性共重合体(B)の密度が前記範囲であると、本発明に係る共重合体組成物から得られる籾摺りロールは柔軟性と物性のバランスに優れる。
本発明に係る変性共重合体(B)は、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点が20℃以上60℃未満であるか、または示差走査熱量分析(DSC)により融点を示すピークが観察されないことが好ましい。変性共重合体(B)がこの条件を満たすと、混練成形時の共重合体(A)への分散性に優れる。示差走査熱量分析(DSC)により融点を示すピークが観察される場合、融点は、より好ましくは30℃以上60℃未満、さらに好ましくは40℃以上60℃未満である。
本発明に係る不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコ−ルとのエステルまたは無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物などを挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。具体的な化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)などの不飽和カルボン酸;またはその誘導体、例えば、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステルなどが挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、例えば、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエ−トなどが挙げられる。これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が好ましく用いられる。不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の含有量の制御は、例えば、グラフト条件を適宜選択することにより、容易に行うことができる。
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体から選ばれるグラフトモノマ−をエチレン・α−オレフィン共重合体にグラフトさせる方法については特に限定されず、溶液法、溶融混練法など、従来公知のグラフト重合法を採用することができる。例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体を溶融し、そこへグラフトモノマ−を添加してグラフト反応させる方法、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を溶媒に溶解して溶液となし、そこへグラフトモノマ−を添加してグラフト反応させる方法などがある。
これらの方法において、ラジカル開始剤の存在下にグラフト重合を行なうと、上記不飽和カルボン酸等のグラフトモノマーを効率よくグラフト重合させることができる。この場合、ラジカル開始剤は、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、通常は0.001〜1質量部の量で用いられる。
このようなラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物などが用いられる。このようなラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ化合物などが用いられる。このようなラジカル開始剤としては、具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(t-ブチルペルオキシド)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシド)ヘキサン、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルフェニルアセテート、t-ブチルペルイソブチレート、t-ブチルペル-sec- オクトエート、t-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t-ブチルペルジエチルアセテート;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどが挙げられる。
これらのうちでは、ジクミルペルオキシド、ジ-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
ラジカル開始剤を使用したグラフト重合反応、あるいはラジカル開始剤を使用せずに行なうグラフト重合反応の反応温度は、通常60〜350℃、好ましくは150〜300℃の範囲内に設定される。
本発明に係る変性共重合体(B)の製造に供されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから導かれる単位と、炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位とを含む共重合体であり、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。
α−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセンおよび12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。なかでも、プロピレン、1−ブテン、4-メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1-オクテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。これらα‐オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体におけるエチレンから導かれる構造単位の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる全構造単位に対し、通常、50.0モル%以上100モル%未満、好ましくは80.0〜99.5モル%、さらに好ましくは90.0〜99.0モル%である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、これをグラフト変性して得られるグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が前記範囲内になるような密度であることが好ましく、具体的には850〜880kg/m3、より好ましくは855〜875kg/m3である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体の融点は、これをグラフト変性して得られるグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の融点が前記条件を満たすような融点であることが好ましく、具体的には、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点が20〜70℃であるか、または示差走査熱量分析(DSC)により融点を示すピークが観察されないことであり、より好ましく、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点が30〜60℃であるか、または示差走査熱量分析(DSC)により融点を示すピークが観察されないことである。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.2〜50g/10分、さらに好ましくは0.3〜20g/10分である。
密度、エチレン含有量およびMFRが上記のような範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体をグラフト変性した共重合体(B)を用いると、組成物の加工性とゴム弾性とのバランスが良好になる。
<フィラー(C)>
本発明に係る共重合体組成物に含まれる成分の一つであるフィラー(C)は、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラックと異なり、下記要件(C−1)を満たす限り、通常、合成ゴムの補強材として使用されているものを用いることができる。
(C−1)
本発明に係るフィラー(C)は、平均粒子径が、通常10〜50μmであり、好ましくは分散性と物性のバランスの理由から、20〜40μmである。本発明において、平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置(レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置)を用いて測定した積分分布曲線から求めた50%相当粒子径d50を意味する。
本発明に係るフィラー(C)としては、シリカ、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸、タルク、クレー、ケイ酸カルシウム、カオリン、タルク、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカーなどや、これらの無機物の表面をシランカップリング剤等で処理したものを用いることができる。米の脱穀という用途を考えると、カーボンブラックなどの黒色や呈色を有するフィラーの使用は好ましくなく、シリカ、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなどの白色の色調を有するフィラーが好ましい。これらの中でも、優れた分散性を得ることができ、カーボンブラックと同定度の耐摩耗性を得ることができる点、および剛性向上の点から、シリカがより好ましい。
本発明に係るフィラー(C)は、さらに下記要件(C−2)を有することが好ましい。
(C−2)
本発明に係るフィラー(C)の比表面積は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常5〜120m2/gであることが好ましい。
<籾摺りロール用共重合体組成物>
本発明に係る籾摺りロール用共重合体組成物〔以下、「共重合体組成物」と呼称する場合がある。〕は、上記エチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部に対して、上記変性共重合体(B)を0.01〜50質量部、好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは、1〜10質量部、上記フィラー(C)を1〜100質量部、好ましくは30〜100質量部、より好ましくは高硬度を達成するとの理由から40〜100質量部を含有する。
本発明に係る共重合体組成物は、上記変性共重合体(B)を含むことにより、耐摩耗性に優れる籾摺りロールを得ることができる。
本発明に係る共重合体組成物は、上記エチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、上記変性共重合体(B)および上記フィラー(C)に加え、シリル化ポリオレフィンおよび/またはその誘導体(D)(ただし、前記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するケイ素含有化合物と、前記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するビニル基含有化合物との反応物であるシリル化ポリオレフィン、およびその誘導体を除く)を含んでいてもよい。
本発明に係る共重合体組成物が上記シリル化ポリオレフィンおよび/またはその誘導体(β)を含む場合は、上記エチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜100質量部、さらに好ましくは1〜20質量部の範囲にある。
<シリル化ポリオレフィンおよび/またはその誘導体(D)>
本発明に係るシリル化ポリオレフィンおよび/またはその誘導体(D)〔以下、「シリル化ポリオレフィン(D)」と略称する場合がある。〕は、下記式(1)で表される構造単位を含有するケイ素含有化合物と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が100以上500,000以下であるビニル基含有化合物との反応物である(ただし、該ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ該ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するもの、すなわち、該ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するケイ素含有化合物と、該ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するビニル基含有化合物との反応物であるシリル化ポリオレフィン、およびその誘導体を用いる場合は除く)。
−Si(R1)H−Y1− ・・・(1)
上記式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、Y1はO、
SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。
本発明に係るシリル化ポリオレフィン(D)の構造は定かではないが、例えば、上記式(1)の構造単位を含有するケイ素含有化合物中の−Si−Hと、ビニル基含有化合物中の−CH=CH2(ビニル基)とが反応して生成する、−Si−C−C−構造を含むのではないかと考えられる。ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は、得られるシリル化ポリオレフィンは、例えば網目構造を有する可能性が高いと考えられ、本実施形態ではこのような場合を除いている。
本発明に係るシリル化ポリオレフィン(D)を含む共重合体組成物、当該共重合体組成物架橋して得られる架橋物からなる共重合体組成物層は、表面ケイ素濃度が向上し、共重合体組成物層の表面自由エネルギーが抑制され、良好な耐摩耗性を有すると本発明者らは推察している。
また、上記シリル化ポリオレフィン(D)は、従来のシリコーン系添加剤や金属石鹸等の添加剤に比べて、共重合体組成物層中に該シリル化ポリオレフィンが良好に偏在することでフィラー(C)の脱落を良好に防止でき、また、該シリル化ポリオレフィンはフィラー(C)と、特にエチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と疎水的な結合、またSiHとシリカにおいては水素結合ができるとの理由からシリカとの親和性が高く、かつ、共重合体組成物層表面へのブリードやブルームが起きにくいため、このような共重合体組成物層を表面に有する籾摺りロールは、良好な耐摩耗性および耐久性を有すると本発明者らは推察している。
《ケイ素含有化合物》
本発明に係るシリル化ポリオレフィン(D)を構成するケイ素含有化合物は、下記式(1)で表される構造単位を有するヒドロシラン化合物である。
−Si(R1)H−Y1− ・・・(1)
上記式(1)中、R1は、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、Y1はO、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)である。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、炭素数2〜40の炭化水素基が好ましく、炭素数2〜20の炭化水素基がより好ましい。具体的には、アルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。なお、R1およびR30において、炭化水素基は互いに同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状または分岐状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
また上記の炭化水素基は、1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、これらの基の少なくとも一つの水素が、ハロゲン原子、酸素、窒素、ケイ素、リン、イオウを含む基で置換された基が挙げられる。
一実施形態において、ケイ素含有化合物は、式(2)で表される構造を有する。
22−(Si(R21)H−Y21m−Z−(Y22−Si(R23)H)n−R24・・・(2)
上記式(2)中、R21およびR23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、
22およびR24はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、または炭化水素基であり、
21およびY22はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
mは0または1であり、
nは0または1であり、
21、R23、Y21およびY22が複数存在する場合、各基は同一であっても異なっていてもよく、
Zは、下記式(3)で表される2価の基である:
−Si(R41)(R41)−(Y23−Si(R41)(R41))l− ・・・(3)
上記式(3)中、R41は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、各R41はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Y23はそれぞれ独立して、O、SまたはNR30(R30は、水素原子または炭化水素基である)であり、
lは0〜10,000の整数である。
ただし、上記式(2)において、m=n=0の場合、上記式(3)において、少なくとも1つのR41は水素原子である。
なお、上記式(2)および上記式(3)におけるハロゲン原子および炭化水素基の定義は、上記式(1)における定義と同様である。
また、上記式(1)、(2)、(3)における炭化水素基として、炭素原子と水素原子とのみからなるものであることも1つの典型的な実施態様である。
一実施形態において、ケイ素含有化合物は、好ましくは、3個以上、より好ましくは5個以上、さらに好ましくは10個以上のケイ素原子を有する。またケイ素含有化合物は、好ましくは10,000個以下、より好ましくは1,000個以下、特に好ましくは300個以下、さらに好ましくは50個以下のケイ素原子を有する。このようなケイ素含有化合物を用いたシリル化ポリオレフィンを用いることにより、共重合体組成物層中に該シリル化ポリオレフィン(D)が良好に偏在し、フィラー(C)の脱落を防止でき、また、フィラー(C)との良好な親和性により共重合体組成物層表面へのブリードやブルームが起きにくくなるため、耐傷つき性、耐久性に優れる共重合体組成物層を得ることができる。なお、ここで言う耐傷つき性とは、耐摩耗性、耐摩擦性、摺動性を含む。
一実施形態において、上記式(3)におけるlは、0〜10,000の整数であるが、好ましい上限および下限としては、上記式(2)のmとnの値と上記好ましいケイ素原子の個数とから定まる数を挙げることができる。
一実施形態において、上記式(2)においてm=n=1、すなわち両末端にSiH基を有するケイ素含有化合物が好ましく用いられる。
一実施形態において、上記式(2)においてm=1であり、n=0、すなわち片末端にSiH基を有するケイ素含有化合物が好ましく用いられる。
特に好ましいケイ素含有化合物としては、上記式(2)および式(3)において、m=n=1であり、R21、R23およびR41は全て炭化水素基である化合物が挙げられる。該炭化水素基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
特に好ましい別のケイ素含有化合物としては、上記式(2)および式(3)において、m=1、n=0であり、R21およびR41は全て炭化水素基である化合物が挙げられる。該炭化水素基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
本実施形態で用いられるケイ素含有化合物の具体例を以下に示す。本実施形態のケイ素含有化合物としては、SiH基を1個有する化合物が挙げられる。
SiH基を1個有するケイ素含有化合物の例としては、例えば、下記式(2a)で表される化合物、式(2a)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)d−Si(CH33・・・(2a)
(上記式(2a)中、dは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これら
49−((CH32SiO)9−(CH32SiH
49−((CH32SiO)65−(CH32SiH
SiH基を1個有するケイ素含有化合物の別の例としては、例えば、下記式(2b)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2b)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
Si(CH33O−(−Si(CH32−O−)e−(−SiH(CH3)−O−)−Si(CH33 ・・・(2b)
(上記式(2b)中、eは、0以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)。
なお、−Si(CH32−O−単位と−SiH(CH3)−O−単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これに限定されない。
Si(CH33O−SiH(CH3)−O−Si(CH33
本実施形態のケイ素含有化合物としてはまた、SiH基を2個以上有する化合物が挙げられる。
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物の例としては、例えば、下記式(2c)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2c)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
(CH33SiO−(−SiH(CH3)−O−)f−Si(CH33 ・・・(2c)
(上記式(2c)中、fは2以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)。
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物の別の例としては、例えば、下記式(2d)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2d)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
(CH33SiO−(−Si(CH32−O−)g−(−SiH(CH3)−O−)h−Si(CH33 ・・・(2d)
(上記式(2d)中、gは1以上の整数であり、hは2以上の整数であり、gとhとの合計の上限は、例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)。
また、上記式(2d)において、−Si(CH32−O−単位と−SiH(CH3)−O−単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これに限定されない。
Figure 2018130645
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(2e)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2e)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)i−Si(CH32H・・・(2e)
(上記式(2e)中、iは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)。
このような化合物として、より具体的には、以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)5−Si(CH32
HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)8−Si(CH32
HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)18−Si(CH32
HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)80−Si(CH32
HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)230−Si(CH32
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(2f)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、下記式(2f)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CH32O−(−SiH(CH3)−O−)j−Si(CH32H・・・(2f)
(上記式(2f)中、jは1以上の整数であり、上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)。
SiH基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、下記式(2g)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、下記式(2g)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等の1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基で置換された化合物等が挙げられる。
HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)k−(−SiH(CH3)−O−)l−Si(CH32H ・・・(2g)
(上記式(2g)中、kおよびlは、それぞれ1以上の整数であり、kとlとの合計の上限は例えば1000、好ましくは300、さらに好ましくは50である。)。
また、−Si(CH32−O−単位と−SiH(CH3)−O−単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的ランダム的であってもよい。
《ビニル基含有化合物》
本発明に係るシリル化ポリオレフィン(D)を構成するビニル基含有化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)は、100以上500,000以下であり、100以上100,000以下であることがより好ましい。数平均分子量が上記下限値以上であると、得られたシリル化ポリオレフィンが共重合体組成物層中よりブリードやブルームしてくることをより一層抑制できる。上記上限値以下であると、共重合体組成物層中におけるシリル化ポリオレフィンの分散性が向上し、共重合体組成物層の取り扱いがより良好となる。なお、本実施形態では後述するように数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびMw/Mnはポリエチレン換算の値とした。
以下に本発明に係るビニル基含有化合物について説明する。
ビニル基含有化合物は、通常炭素数2〜50のオレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンを重合又は共重合して得られるものである。
炭素数2〜50のオレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘプテン、3,4−ジメチル−1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等のα−オレフィン;シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、等の内部二重結合を含むオレフィン;イソブテン、2−メチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ヘキセン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2,3−ジメチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−オクテン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,3,3−トリメチル−1−ペンテン、2,3,3−トリメチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−オクテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ヘキセン、2,3,4−トリメチル−1−オクテン、2,4,4−トリメチル−1−ヘキセン、2,4,4−トリメチル−1−オクテン、2−メチル−3−シクロヘキシル−1−プロピレン、ビニリデンシクロペンタン、ビニリデンシクロヘキサン、ビニリデンシクロオクタン、2−メチルビニリデンシクロペンタン、3−メチルビニリデンシクロペンタン、4−メチルビニリデンシクロペンタン等のビニリデン化合物;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等のアリールビニル化合物;α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、2−メチル−3−フェニルプロピレン等のアリールビニリデン化合物;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、2−シアノプロピレン、2−アミノプロピレン、2−ヒドロキシメチルプロピレン、2−フルオロプロピレン、2−クロロプロピレン等の官能基置換ビニリデン化合物;シクロブテン、シクロペンテン、1−メチル−1−シクロペンテン、3−メチル−1−シクロペンテン、2−メチル−1−シクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロヘキセン、3−メチル−1−シクロヘキセン、2−メチル−1−シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1Hインデン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等の内部二重結合を含む脂肪族環状オレフィン;シクロペンタ−2−エニルベンゼン、シクロペンタ−3−エニルベンゼン、シクロヘキサ−2−エニルベンゼン、シクロヘキサ−3−エニルベンゼン、インデン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,4−ジヒドロナフタレン、1,4−メチノ1,4,4a,9aテトラヒドロフルオレン等の芳香環を含有する環状オレフィン;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,4−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン等の、二個以上の二重結合を有する環状ポリエンおよび二個以上の二重結合を有する鎖状ポリエン等が挙げられる。
また、炭素数2〜50のオレフィンは、酸素、窒素、硫黄等の原子を含んだ官能基を有していてもよい。例えばアクリル酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の不飽和カルボン酸金属塩;無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジルエステル;塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化アリル等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、2−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン等の不飽和シアノ化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等の不飽和エーテル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の不飽和アミド;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能基含有スチレン誘導体;N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
好ましい実施形態において、ビニル基含有化合物は、下記式(4)で表される構造を有し、数平均分子量が100以上500,000以下の化合物である。
A−CH=CH2・・・(4)
ここで、上記式(4)中、Aは1種以上の炭素数2〜50のα−オレフィン由来の構成単位を含む重合鎖である。
上記式(4)において、好ましくは、ビニル基含有化合物のA部は、エチレン重合鎖、プロピレン重合鎖または炭素数2〜50のα−オレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖である。また上記α−オレフィンは、炭素数が2〜20のα−オレフィンであることが好ましい。
好ましい実施形態において、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物のAは、炭素数2〜50のα−オレフィンのみから構成される重合鎖である。さらに好ましくはビニル基含有化合物のAは炭素数2〜20のα−オレフィンのみから構成される重合鎖である。
さらに好ましくは、ビニル基含有化合物のAは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖、またはエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン共重合鎖である。
上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、エチレン由来の構成単位が81〜100モル%、炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位が0〜19モル%の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましい。より好ましくは、エチレン由来の構成単位が90〜100モル%、炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位が0〜10モル%の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましい。ただし、エチレン由来の構成単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の構成単位の合計は100モル%である。とりわけエチレン由来の構成単位が100モル%であることが好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mn)が1.1〜3.0の範囲にあることが好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、数平均分子量(Mn)が100以上500,000以下の範囲にあることが望ましく、100以上100,000以下がより好ましく、500以上50,000以下がさらに好ましく、700以上10,000以下がさらにより好ましい。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、融点が70℃以上130℃以下であることが好ましい。
さらに好ましくは、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物のビニル基は、主鎖の末端に存在することが好ましく、ビニル基が主鎖の末端のみに存在することがより好ましい。
なお、ビニル基が主鎖の末端に存在することの確認は、例えば13CNMR、1HNMRを利用することで可能である。例えばAがエチレン単独重合体である場合、13CNMRにより3級炭素が検出されず、かつ1HNMRでビニル基の水素が検出されることで確認する方法が挙げられる。1HNMRのみにおいても、検出された各プロトンのピークを帰属することにより、構造の確認が可能である。例えば、合成例1で合成した化合物においては、プロトン積分値が3であるケミカルシフト0.81ppmのピークが片末端のメチル基であり、ケミカルシフト1.10−1.45ppmのピークは主鎖のメチレン基、プロトン積分値が2であるケミカルシフト1.93ppmのピークは末端ビニル基に隣接するメチレン基、プロトン積分値がそれぞれ1である4.80、4.86、5.60−5.72ppmのピークが末端ビニル基と帰属され、他に帰属不明のピークが存在しないことから、Aがエチレン単独重合体であり末端のみにビニル基を含有する構造であることを確認することができる。また、別の方法として、主鎖末端に存在するビニル基の水素の方が、側鎖に存在するビニル基の水素よりも1HNMR測定における緩和時間が短いことを利用して、例えば側鎖にビニル基を有するポリマーの当該ビニル基の水素と緩和時間を比較する方法で決めることも可能である。
側鎖のビニル基の1HNMRにおけるケミカルシフトが、末端に存在するビニル基よりも低磁場シフトすることを利用して判別することができる場合もある。
また、上記式(4)で表されるビニル基含有化合物が、主鎖の末端のみにビニル基を含有する場合、1H−NMRにより計算される末端不飽和率(後述するVE)が60モル%以上100モル%以下であることが好ましい。さらに好ましい態様の一つは、1H−NMRにより計算される末端不飽和率が80モル%以上99.5モル%以下、より好ましくは90モル%以上99モル%以下であるものである。
上記式(4)で表されるビニル基含有化合物は、例えば以下の式(I)、式(II)、または式(III)で表される遷移金属化合物(A)と、(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる触媒(B)により、炭素数2〜50のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンを重合または共重合することにより得ることができる。
式(I)で表される遷移金属化合物
Figure 2018130645
(上記式(I)中、Mは周期律表4〜5族の遷移金属原子を示す。mは、1〜4の整数を示す。R51は、炭素数1〜5の直鎖炭化水素基(Cn'2n'+1,n'=1〜5)または水素原子を示す。R52〜R56は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合にはR52〜R56で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
式(II)で表される遷移金属化合物
Figure 2018130645
(上記式(II)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属原子を示す。mは、1〜4の整数を示す。R61は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい3〜5員環の脂環式炭化水素基を示す。R62〜R66は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合にはR62〜R66で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)。
式(III)で表される遷移金属化合物
Figure 2018130645
(上記式(III)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属原子を示す。mは、1〜4の整数を示す。R71は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素数4〜20の少なくとも1つ以上の炭素を共有する2環性炭化水素基を示す。R72〜R76は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合にはR72〜R76で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)。
また、Aがエチレン由来の構成単位のみからなる場合、およびプロピレン由来の構成単位のみからなる場合は、以下の方法で製造することもできる。
(エチレン単独重合鎖を有するポリオレフィン)
(E1)エチレン単独重合鎖を有するポリオレフィン重合鎖は、たとえば、以下の方法によって製造することも可能である。
(a)特開2000−239312号公報、特開2001−2731号公報、特開2003−73412号公報等に示されているようなサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法。
(b)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法。
(c)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法。
(d)ジルコノセン等のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法。
(プロピレン単独重合鎖を有するポリオレフィン)
(E2)プロピレン単独重合鎖を有するポリオレフィン重合鎖は、たとえば、以下の方
法によって製造することも可能である。
(a)特開2004−262993号公報等に示されているような担持型チタン系触媒、例えばマグネシウム担持型チタン系触媒または、メタロセン触媒の存在下、プロピレンを重合する方法。
(b)特開2000−191862号公報、特開2002−097325号公報等に示されているような金属化合物中の遷移金属と反応してイオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物、アルミノキサンとからなるメタロセン系触媒の存在下、プロピレンを重合する方法。
(オレフィン・ポリエン共重合体)
本発明に係るビニル基含有化合物の1つである、オレフィン・ポリエン共重合体(Z)について説明する。
オレフィンとしては、エチレンおよび炭素原子数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
炭素原子数3〜12のα−オレフィンとしては、たとえば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィン、より好ましくは炭素原子数3〜8のα−オレフィン、特に好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。
ポリエンとしては、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、ジシクロペンタジエン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン等が挙げられる。これらのなかでは、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,4−ヘキサジエンまたは2−メチル−1,6−オクタジエンが好ましい。ビニルノルボルネンは、嵩高い骨格を有するために、低密度であってもワックスを硬くでき、ワックス製品のブロッキングを起こしにくいため、特に好ましい。
本発明に係るオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、エチレンとポリエンとの共重合体、エチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとポリエンとの共重合体であることが好ましい。
本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、全構成単位100モル中に、ポリエンから導かれる構成単位を0.01〜6.0モル%、好ましくは0.1〜4.0モル%の割合で含有することが好ましい。また、オレフィン・ポリエン共重合体(Z)が炭素原子数3〜12のα−オレフィンから導かれる構成単位を含有する場合は、その含有率は0.01〜15モル%、好ましくは0.1〜12モル%が好ましい。
本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)が、ポリエンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、重合活性も適度に高い。
また、炭素原子数3〜12のα−オレフィンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる共重合体組成物層を得ることができる。
(Z2)本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、平均で0.5〜3.0個/分子、好ましくは0.5〜2.0個/分子、より好ましくは1.0〜2.0個/分子、特に好ましくは1.0〜1.9個/分子、とりわけ好ましくは1.0〜1.5個/分子の範囲にある不飽和基を有することが好ましい。オレフィン・ポリエン共重合体(Z)中の不飽和基含有量が上記範囲内にあると、オレフィン・ポリエン共重合体(Z)中の不飽和基のほとんどにケイ素含有化合物が付加しているため、シリル化ポリオレフィンが効果的にフィラー(C)に作用し、耐摩耗性に優れる共重合体組成物層を得ることができる。
なお、オレフィン・ポリエン共重合体(Z)の不飽和基含有量は、以下のようにして測定される。13C−NMRによる不飽和部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積とを比較することにより、1,000炭素あたりの不飽和基数Mを得ることができる。1分子あたりの不飽和基含有量は、数平均分子量Mnを用いて、Mn×M/14,000により算出することができる。
なお、本実施形態において、1,000炭素あたりの不飽和基数Mは、1.4〜105個、好ましくは1.4〜70個、より好ましくは2.8〜70個が好ましい。
(Z3)本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、密度勾配管法で測定した密度が870kg/m3以上、好ましくは890kg/m3以上、より好ましくは910kg/m3以上、かつ、980kg/m3以下、好ましくは970kg/m3以下、より好ましくは960kg/m3以下であることが好ましい。オレフィン・ポリエン共重合体(Z)の密度が上記範囲内にあると、タック感が少なく、かつ共重合体組成物層中への分散性にも優れるため、耐摩耗性に優れる共重合体組成物層を得ることができる。
(Z4)本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上、かつ、130℃以下、好ましくは125℃以下、より好ましくは120℃以下であることが好ましい。オレフィン・ポリエン共重合体(Z)の融点が上記範囲内にあると、タック感が少なく、かつ共重合体組成物層中への分散性にも優れるため、耐摩耗性に優れる共重合体組成物層を得ることができる。
(Z5)本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000、好ましくは400〜4,000、より好ましくは400〜3,000、特に好ましくは1,500〜2,500の範囲にあることが好ましい。オレフィン・ポリエン共重合体(Z)のMnが上記範囲内にあると、タック感が少なく、かつ共重合体組成物層中への分散性にも優れるため、耐傷つき性、耐久性、耐摩耗性、機械強度に優れる共重合体組成物層を得ることができる。
(Z6)本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下であることが好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、ポリスチレン換算値である。ここで、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行う。
(Z7)本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、針入硬度が15dmm(1dmm=0.1mm)以下、好ましくは10dmm以下、より好ましくは3dmm以下、特に好ましくは1dmm以下であることが好ましい。なお、針入硬度はJIS K2207に準拠して測定することができる。オレフィン・ポリエン共重合体(Z)の針入硬度が上記範囲内にあると、耐摩耗性に優れた共重合体組成物層を得ることができる。
本実施形態におけるオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、上記(Z2)不飽和基含有量、(Z3)密度、(Z4)融点、(Z5)数平均分子量(Mn)、(Z6)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)、(Z7)針入硬度の条件のうち1つ以上を満たすことが望ましく、2つ以上を満たすことがより好ましく、3つ以上を満たすことがさらに好ましく、4つ以上を満たすことがさらにより好ましく、5つ以上を満たすことがとりわけ好ましく、6つ全てを満たすことが特に好ましい。例えば特に好ましい態様としては(Z2−1)不飽和基含有量が0.5〜3.0個/分子であり、(Z3−1)密度が870〜980kg/m3であり、(Z4−1)融点が70〜130℃であり、(Z5−1)数平均分子量(Mn)が400〜5,000であり、(Z6−1)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)が4.0以下である態様が挙げられ、さらに好ましくはこれら5つに加えて(Z7−1)針入硬度が15dmm以下を満たすものが挙げられる。
また、本実施形態に係るオレフィン・ポリエン共重合体(Z)がポリエンとしてビニルノルボルンネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)を用いて共重合されたものである場合、このオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、上記(Z2)不飽和基含有量、(Z3)密度、(Z4)融点、(Z5)数平均分子量(Mn)、(Z6)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)、(Z7)針入硬度の条件のうち1つ以上を満たすことが望ましく、2つ以上を満たすことがより好ましく、3つ以上を満たすことがさらに好ましく、4つ以上を満たすことがさらにより好ましく、5つ以上を満たすことがとりわけ好ましく、6つ全てを満たすことが特に好ましい。例えば特に好ましい態様としては(Z2−2)不飽和基含有量が0.5〜2.0個/分子であり、(Z3―2)密度が890〜980kg/m3であり、(Z4−2)融点が80〜130℃であり、(Z5−2)数平均分子量(Mn)が400〜5,000であり、(Z6−2)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)が4.0以下である態様が挙げられ、さらに好ましくはこれら5つに加えて、(Z7−2)針入硬度が15dmm以下を満たすものが挙げられる。
上述したようなオレフィン・ポリエン共重合体(Z)は、たとえば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる、以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。本実施形態において好適なメタロセン系触媒としては、特開2001―002731号公報、あるいは既に国際公開されたPCT出願、WO/2007/114102、WO/2007/105483、WO/2007/114009、WO/2007/122906等に記載された、例えば、(A)周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、並びに(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物および(b−3)有機アルミニウム化合物とから選ばれる少なくとも1種以上の化合物とからなるオレフィン重合用触媒を挙げることができる。
本実施形態における(A)周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物の具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチル((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド等が挙げられる。
また、本実施形態における(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物および(b−3)有機アルミニウム化合物とから選ばれる少なくとも1種以上の化合物の具体例としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。
本実施形態では特に、ビニル基含有化合物が上記式(4)で表される場合が、耐摩耗性、耐久性が優れ、また共重合体組成物層表面からのブリードやブルームも少ないため好ましい。
本実施形態で用いられるシリル化ポリオレフィン(D)は、どのような方法によって製造されたものでも使用できるが、好ましくは下記の[工程1]および[工程2]を順次実施することにより得られたシリル化ポリオレフィンもしくはその誘導体(D)、またはこれらの混合物である。
[工程1]ケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属とを混合攪拌し、得られた懸濁溶液を濾過して濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る工程、
[工程2]上記[工程1]で得られた遷移金属触媒組成物(C)の存在下、ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応(ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)させる工程。
以下で、本発明に係るシリル化ポリオレフィン(D)の製造方法について詳述する。
[工程1]:遷移金属触媒組成物(C)を得る工程
[工程1]では、ケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属とを混合攪拌し、得られた懸濁溶液を濾過して濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る。
ハロゲン化遷移金属としては、元素周期表第3族〜第12族の遷移金属のハロゲン化物であり、入手の容易さや経済性の点から好ましくは元素周期表第8族〜第10族の遷移金属のハロゲン化物であり、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、パラジウムのハロゲン化物である。さらに好ましくは白金のハロゲン化物である。また、二種以上のハロゲン化遷移金属の混合物であっても構わない。
ハロゲン化遷移金属のハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、これらのうちでは取扱いの容易さの点で塩素が好ましい。
[工程1]に使用するハロゲン化遷移金属の具体例としては、二塩化白金、四塩化白金、二臭化白金、二ヨウ化白金、三塩化ロジウム、三臭化ロジウム、三ヨウ化ロジウム、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、三臭化イリジウム、三ヨウ化イリジウム、三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、三ヨウ化ルテニウム、三塩化オスミウム、三臭化オスミウム、三ヨウ化オスミウム、二塩化ニッケル、二フッ化ニッケル、二臭化ニッケル、二ヨウ化ニッケル、二塩化パラジウム、二臭化パラジウム、二ヨウ化パラジウムが挙げられる。これらのうちでは二塩化白金、二塩化パラジウム、三塩化ルテニウム、三塩化ロジウム、三塩化イリジウムが好ましく、二塩化白金が最も好ましい。
[工程1]で用いるハロゲン化遷移金属は、通常、粉末状の固体であり、粒径は1000μm以下が好ましく、更には500μm以下が好ましい。粒径が大きくなると、遷移金属触媒組成物(C)の調製時間が長くなる。
[工程1]におけるケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属の使用量は、ケイ素含有化合物の量がハロゲン化遷移金属に対し1当量以上であれば特に制限されないが、好ましくは2当量以上である。ケイ素含有化合物の量が少ないと、遷移金属触媒組成物(C)の調製上必要な攪拌が困難になる。
[工程1]におけるケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属との混合攪拌は、これが可能であれば手段は問わないが、窒素気流下、攪拌機を備えた反応容器中にハロゲン化遷移金属を適当量仕込み、これにケイ素含有化合物を添加して攪拌を行う。少量の場合はサンプル管にスターラーチップを入れ、同様に仕込んで攪拌してもよい。
ケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属との混合攪拌時間は、特に限定されないが、通常10時間以上であり、好ましくは20時間以上であり、より好ましくは60時間以上であり、更に好ましくは80時間以上である。反応時間が短いと、次の[工程2]で得られるシリル化ポリオレフィン中の不純物である異性体のビニレン誘導体の生成割合が増大するため好ましくない。混合攪拌時間の上限は特に無いが、経済的な観点から概ね1ヶ月以内である。
ケイ素含有化合物とハロゲン化遷移金属との混合攪拌の温度は、ケイ素含有化合物の沸点以下であれば特に制限は無いが、通常0〜50℃の範囲、好ましくは10〜30℃の範囲である。また圧力は、通常は常圧で行うことができるが、必要に応じて加圧下または減圧下で行うこともできる。
[工程1]においては、必要に応じて溶媒を使用することもできる。使用する溶媒は、原料のケイ素含有化合物およびハロゲン化遷移金属に対して不活性なものが使用できる。使用できる溶媒の具体例は、例えばn−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらのうち、特にトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒を使用する場合は溶媒の使用量は原料の溶解性に作用するが、原料に対し100質量倍以下が好ましく、より好ましくは20重量倍以下である。本実施形態では、無溶媒で実施することが最も好ましい。
次に、反応で得られた懸濁溶液を濾過して固形分を除去し、濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る。濾過の方法としては特に制限はなく、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過等の一般的な方法を用いることができる。濾過で使用するフィルターとしては特に制限はなく、セルロース製ろ紙、ガラス繊維フィルター、フッ素樹脂製やセルロースアセテート製のメンブランフィルター等を適宜使用できる。これらの中でも、孔径の均一性、低吸湿性、化学的安定性等の点から、フッ素樹脂製メンブランフィルターを用いることが好ましい。また、濾過で使用するフィルターは10μmより小さな目のフィルターを使用することが好ましく、1μm以下の目のフィルターを使用することが更に好ましい。これより大きな目のフィルターを使用すると、未反応のハロゲン化遷移金属の固形分が触媒中に混入し、触媒が不均一化するため、合成目的物の不純物であるビニレン誘導体の生成量が増大する原因となる。また濾過の際、上記の溶媒を使用して固形分を洗浄することもできる。
濾過で除去される固形分、すなわち未反応のハロゲン化遷移金属の量は、使用したハロゲン化遷移金属の量に対して通常50重量%以下、好ましくは10重量%以下である。ハロゲン化遷移金属の反応率は、主に調製時間を変更することによって調節することができる。
このようにして調製した遷移金属触媒組成物(C)には、ナノコロイド状になった遷移金属化合物、ケイ素含有化合物、および必要に応じて使用した溶媒が含まれる。この遷移金属触媒組成物(C)は、そのままで次の[工程2]に用いることができるが、必要に応じて、溶媒の除去や、濃縮、希釈を行ってから、[工程2]に用いることもできる。また、ケイ素含有化合物をさらに追加して希釈し、触媒濃度を調整することもできる。
[工程1]を実施する代わりに市販の遷移金属触媒、例えば白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたもの等が挙げられるが、これを[工程2]に使用しても構わない。
[工程2]:ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させる工程
[工程2]では、上記[工程1]で得られた遷移金属触媒組成物(C)中で、ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させ(ただし、上記ケイ素含有化合物として1分子に2個以上のSiH基を有するものを用い、かつ上記ビニル基含有化合物として1分子あたり平均2.0個以上のビニル基を有するものを用いる場合は除く)、シリル化ポリオレフィンを得る。
また、[工程2]で用いるケイ素含有化合物は、[工程1]で用いたケイ素含有化合物と異なるものを用いることもできるが、好ましくは[工程1]で用いたものと同一のものを用いる。
ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させる際の量比は、目的によって異なるが、ビニル基含有化合物中のビニル基とケイ素含有化合物中のSi−H結合との当量比として0.01〜10の範囲であり、好ましくは0.1〜2の範囲である。ここでケイ素含有化合物の量は、[工程1]で用い、遷移金属触媒組成物(C)中に含まれる部分と、[工程2]で新たに追加する部分との合算量である。[工程1]において必要なケイ素含有化合物の全量を用いた場合には、[工程2]ではケイ素含有化合物を追加することなく実施することもできる。
ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との反応は、[工程1]で調製した遷移金属触媒組成物(C)の存在下で行う。遷移金属触媒組成物(C)とビニル基含有化合物との量比は、ビニル基含有化合物中のビニル基と遷移金属触媒組成物(C)中の遷移金属分との当量比として、10-10〜10-1の範囲であり、好ましくは10-7〜10-3の範囲である。
ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との反応における反応方法としては、最終的に反応すればよく、その方法は限定されるものではないが、例えば以下のように行う。反応容器中にビニル基含有化合物を装入し、窒素雰囲気下、ケイ素含有化合物と遷移金属触媒組成物(C)を装入する。予め内温をビニル基含有化合物の融点以上に昇温しておいた油浴中に、上記反応器をセットし攪拌する。反応後油浴を除いて室温に冷却し、得られた反応混合物をメタノールまたはアセトン等の貧溶媒中に取り出し2時間攪拌する。その後、得られた固体をろ取し、上記貧溶媒で洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させ、目的物を得ることができる。
[工程2]におけるビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との反応は、反応温度を100〜200℃の範囲とすることが好ましく、反応させるビニル基含有化合物の融点より高い温度で行うことがより好ましい。反応温度が100℃より低いと、反応効率が低下することがあるので好ましくない。また圧力は、通常は常圧で行うことができるが、必要に応じて加圧下または減圧下で行うこともできる。
[工程2]においては、必要に応じて溶媒を使用することもできる。使用する溶媒は、原料のケイ素含有化合物およびビニル基含有化合物に対して不活性なものが使用できる。常圧下で反応させる場合、反応させるビニル基含有化合物の融点以上の沸点を有するものを使用するのが好ましい。使用できる溶媒の具体例は、例えばn−ヘキサン、デカン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらのうち、特にトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒を使用する場合は溶媒の使用量は原料の溶解性に作用するが、原料に対し100重量倍以下が好ましく、より好ましくは20重量倍以下である。本実施形態では、無溶媒で実施することが最も好ましい。
以上のように、遷移金属触媒組成物(C)の存在下、ビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させることにより、上記式(1)で表される構造単位を含むシリル化ポリオレフィン(D)を含む反応混合物が得られる。
上記反応後のシリル化ポリオレフィン(D)を含む反応混合物には、シリル化ポリオレフィン(D)の他に、未反応のビニル基含有化合物、副生物であるビニレン誘導体が含まれている。また場合によって、未反応のケイ素含有化合物が含まれていることもある。
本発明に係るシリル化ポリオレフィン(D)中における、上記式(1)で表される構造単位に由来する構造の割合は、シリル化ポリオレフィンの目的機能が発現されれば良く、特に限定されないが、通常5〜99重量%であり、好ましくは10〜95重量%である。構成単位がこの範囲であれば耐傷つき性、耐久性、耐摩耗性、機械強度の機能が発現でき、またオイル状となって共重合体組成物層からブリードアウトすることも少ない。
上記の方法においては、[工程1]で得られた非常に高活性で高選択性の遷移金属触媒組成物を用いるため、[工程2]のビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との反応が効率よく進行する。このため、ビニル基含有化合物の二重結合の反応率は、通常90%以上、好ましくは95%以上であり、副生物であるビニレン誘導体の生成量は、シリル化ポリオレフィン(D)に対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
シリル化ポリオレフィン(D)は、上記反応混合物から、貧溶媒への再沈殿、またはスラッジングにより取り出すことができる。貧溶媒はシリル化ポリオレフィンの溶解度が小さいものであればよく、適宜選択することができ、好ましくは上記不純物が除けるものがよい。貧溶媒として具体的には、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、n−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられ、これらのうちではアセトン、メタノールが好ましい。
得られたシリル化ポリオレフィン(D)の、JISK7210の方法に従い、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトマスフローレイト(MFR)は、0.01g/10分以上、好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは1.0g/10分以上である。上限は特にない。本指標は、シリル化ポリオレフィン(D)が、共重合体組成物の流動性を損なうほどの架橋等をしていないことを示す指標である。
本実施形態で用いられるビニル基含有化合物としては、前述したように具体的には、下記式(4)で表される化合物、または、オレフィン・ポリエン共重合体(Z)が挙げられる。
A−CH=CH2・・・(4)
(上記式(4)中、Aは1種以上の炭素数2〜50のαオレフィン由来の構成単位を含む重合鎖である。)
ビニル基含有化合物が上記式(4)で表される化合物である場合、Aが炭素数2〜20のα−オレフィンのみからなる構造(構造4−1)が好ましい。
さらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、−CH=CH2がポリマー主鎖の末端に存在する構造(構造4−2)を有する。
なおさらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、−CH=CH2がポリマー主鎖の末端のみに存在する構造(構造4−3)を有する。
なおさらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、Aが炭素数2〜20のα−オレフィンのみからなり、−CH=CH2がポリマー主鎖の末端に存在する構造(構造4−4)(構造4−1と構造4−2との組み合わせ)を有する。
なおさらに好ましくは、ビニル基含有化合物は、Aが炭素数2〜20のα−オレフィンのみからなり、さらに−CH=CH2がポリマー主鎖の末端のみに存在する構造(構造4−5)(構造4−1と構造4−3との組み合わせ)を有する。
ビニル基含有化合物がオレフィン・ポリエン共重合体(Z)である場合、ポリエンとしてビニルノルボルネンを用いた構造がより好ましい。
本実施形態のケイ素含有化合物は、前述したように、具体的には上記式(2)の構造を有するものが好ましい。そのうちでもビニル基含有化合物が上記式(4)で表される場合と、オレフィン・ポリエン共重合体(Z)の構造である場合とにおける好ましいケイ素含有化合物はそれぞれ以下の通りである。
ビニル基含有化合物が上記式(4)で表される場合、ケイ素含有化合物としては、上記式(2)においてm=n=1である構造(構造2−1)が好ましく、さらには上記式(2)中のZにおけるR41が全て炭化水素基およびハロゲンから選ばれるものである構造(構造2−2)がより好ましい(すなわちR41はいずれも水素原子ではないことが好ましい。)
また、ビニル基含有化合物がオレフィン・ポリエン共重合体(Z)である場合であって、例えばビニル基が1分子に平均して2.0個以上ある場合は、ケイ素含有化合物としては、上記式(2)においてm=1、n=0であり、かつ上記式(2)中のZにおけるR41が全て炭化水素基およびハロゲンから選ばれる構造(構造2−3)であるか、または、上記式(2)においてm=0,n=0であり、かつ上記式(2)中のZにおけるR41のうち1つだけが水素原子である構造(構造2−4)である化合物が好ましい。
また、ビニル基含有化合物が1分子に平均して2.0個未満のビニル基を有する場合は、ケイ素含有化合物としては、上記構造2−3、構造2−4のようなSiH基を1分子に1個有する化合物に加えて、Si−H結合が1分子に2個以上有する化合物を使用することも可能であり、例えば前述の構造2−1、構造2−2をとってもよい。
シリル化ポリオレフィンおよびその誘導体(D)は、たとえば、式(5)〜(9)で表されるような構造を有していると推定される。もちろんそのケイ素含有化合物やビニル基含有化合物の組合せは、これらの例示になんら限定されるものではない。
Figure 2018130645
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Figure 2018130645
Figure 2018130645
Figure 2018130645
(上記各式中のm,n,o,p,qは1以上の整数を表す。)
以下に、特に好ましい態様とその推定理由とを述べる。以下ではビニル基含有化合物由来の部分のことを、「ポリオレフィン鎖」、ケイ素含有化合物由来の部分のことを、「ケイ素含有化合物鎖」ということがある。ビニル基含有化合物が上記式(4)で表される構造、中でも構造(4−5)をとり、ケイ素含有化合物が構造(2−2)をとる場合、シリル化ポリオレフィン(D)は、(ポリオレフィン鎖)−(ケイ素含有化合物鎖)−(ポリオレフィン鎖)の順に結合したブロック共重合体のような構造をとると考えられる。具体的には上記した式(5)のような推定構造を有する化合物が例示できる。
ビニル基含有化合物が構造(4−5)をとり、ケイ素含有化合物が構造(2−1)をとった場合であって、ケイ素含有化合物がSiH基を3個以上有する場合には、シリル化ポリオレフィン(D)には、(ポリオレフィン鎖)−(ケイ素含有化合物鎖)−(ポリオレフィン鎖)の順に結合しているブロック構造において、さらにケイ素含有化合物鎖からポリオレフィン鎖がグラフト的に結合したような構造が含まれ得ると考えられる。
またビニル基含有化合物が構造(4−5)をとり、ケイ素含有化合物が構造(2−3)、構造(2−4)である場合、シリル化ポリオレフィン(D)は、具体的に例示すれば、上記式(6)、式(8)のような構造をとっているのではないかと考えられる。
またビニル基含有化合物が構造(4−5)をとり、ケイ素含有化合物が、式(2)においてm=0、n=0、Zが(−SiH(CH3)O−)6−Si(CH32O−Si(C652−である場合、式(7)のような形をとるのではないか考えられる。
またビニル基含有化合物がオレフィン・ポリエン共重合体(Z)であり、ケイ素含有化合物が構造(2−3)をとる場合、シリル化ポリオレフィン(D)は、(ポリオレフィン鎖)に(ケイ素含有化合物鎖)がグラフトした、上記式(9)のような構造をとるのではないかと考えられる。
(ポリオレフィン鎖)−(ケイ素含有化合物鎖)−(ポリオレフィン鎖)のブロック共重合体の構造をとると推定されるような、たとえば上記式(5)の構造をとると推定されるようなビニル基含有化合物とケイ素含有化合物との組み合わせから得たシリル化ポリオレフィンが、ケイ素含有化合物鎖からグラフト鎖としてポリオレフィン鎖を有すると推測されるシリル化ポリオレフィンや、ポリオレフィン鎖がグラフト鎖としてケイ素含有化合物鎖を有すると推測されるシリル化ポリオレフィンよりも分子運動をしやすいと考えられる。そのため例えば金型を用いて高温架橋により当該シリル化ポリオレフィンが成形体表面に、より集まりやすいのではないかと考えられる。また、上記構造であれば、ケイ素含有化合物鎖の両末端にポリオレフィン鎖が存在するため、共重合体組成物層表面からブリードアウトやブルームアウトすることが少ないのではないかと考えられる。
本発明に係る共重合体組成物には、上記成分に加え、架橋剤を配合してもよい。
〈架橋剤〉
本発明に係る架橋剤としては、イオウ、イオウ化合物などの加硫剤や、有機過酸化物が挙げられる。該架橋剤は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、該共重合体(A):100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.3〜5重量部の割合で配合される。
本発明では、有機過酸化物に比して臭気が少ないため作業性に優れ、良好に加工できるとの理由から、イオウ、イオウ化合物などの加硫剤が好ましい。
《加硫剤》
架橋剤の一つとして、加硫の際に使用される加硫剤としては、イオウ、イオウ化合物が挙げられる。イオウとしては、具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
イオウ化合物としては、具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが挙げられる。また、加硫温度で活性イオウを放出して加硫するイオウ化合物、たとえばモルフォリンジスルフィド、アルキルフェノ−ルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなども使用することができる。中でもイオウが好ましく用いられる。これらイオウ、イオウ化合物は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
イオウ、イオウ化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A):100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部の割合で用いられるが、要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。また、加硫剤としてイオウ、イオウ化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。
〈加硫促進剤〉
加硫促進剤としては、具体的には、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2- ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2- ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2',4'-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(4'-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジ-2-ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;アセトアルデヒド- アニリン反応物、ブチルアルデヒド-アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;亜鉛華(酸化亜鉛)等の化合物を挙げることができる。
これらの加硫促進剤は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A):100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で用いられるが、要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
《有機過酸化物》
架橋剤の一つである有機過酸化物としては、通常ゴム(共重合体組成物)などの過酸化物加硫に使用されるものであればよい。具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t- ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- モノ(t-ブチルパーオキシ)- ヘキサン、α,α'- ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。中でも、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。これらの有機過酸化物は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
有機過酸化物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A):100重量部に対して、通常0.0003〜0.05モル、好ましくは0.001〜0.03モルの割合で使用されるが、要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
架橋剤として有機過酸化物を使用するときは、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p- キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;その他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1モルに対して、0.5〜2モル、好ましくは、およそ等モルの量で用いられる。
(その他の成分)
本発明に係る共重合体組成物には、性能に応じて、その他に、一般に成形加工品の製造で用いられる各種公知の添加剤、たとえば、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、アルコキシシラン化合物、活性剤、反応抑制剤、着色剤、分散剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防カビ剤、素練促進剤、粘着付与剤、界面活性剤などを適宜選定し、適切な配合量で配合してもよい。
〈軟化剤〉
軟化剤としては、通常ゴム(共重合体組成物)などに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などを挙げることができる。中でも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
これらの軟化剤の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A):100重量部に対して、150重量部以下、好ましくは最大130重量部以下である。
〈老化防止剤〉
老化防止剤を使用すれば、さらに材料寿命を長くすることが可能である。このことは、通常のゴム(共重合体組成物)などの場合と同様である。
本発明で用いられる老化防止剤としては、具体的には、フェニルナフチルアミン、4,4'- (α,α- ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'- ジ-2- ナフチル-p-フェニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤;2,6-ジ-t- ブチル-4- メチルフェノール、テトラキス- [メチレン-3-(3',5'- ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系安定剤;ビス[2-メチル-4- (3-n- アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t- ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安定剤;2-メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤;2,2,4-トリメチル-1,2- ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系安定剤などが挙げられる。これらの老化防止剤は、単独あるいは2種以上が併用して用いられる。
このような老化防止剤は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、(共重合体組成物)100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
〈加工助剤〉
加工助剤としては、通常のゴム(共重合体組成物)などの加工に使用される化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩、リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、パルチミン酸エステル、ラウリン酸エステル等の高級脂肪酸エステル類などが挙げられる。
このような加工助剤は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A):100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
〈界面活性剤〉
界面活性剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を使用することができる。
具体的には、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン、トリエタノールアミン、「アクチングB(吉富製薬株式会社製)、「アクチングSL(吉富製薬株式会社製)等のアミン類、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリテート、脂肪族および芳香族カルボン酸の亜鉛化合物(例;「Struktol activator 73」、「Struktol IB 531」、「Struktol FA541」 Schill&Seilacher社製)、「ZEONET ZP」(日本ゼオン株式会社製)、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物(例;「アーカード2HF」(ライオン・アクゾ株式会社製)等が挙げられる。
このような界面活性剤は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A):100重量部に対して、通常0.2〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜4質量部程度である。界面活性剤は、その用途により適宜選択でき、単独でも2種類以上混合して用いることができる。
<共重合体組成物の製造方法>
本発明に係る共重合体組成物は、上記共重合体(A)、上記変性共重合体(B)および上記フィラー(C)、さらに必要に応じて、上記シリル化ポリオレフィン(D)を上記記載の量で、適宜、前記架橋剤などと共に、たとえば、軟化剤などの一般にゴム(共重合体組成物)などの製品の製造で用いられる各種公知の添加剤から一般的なゴム(共重合体組成物)配合物の製造方法によって調製することができる。
本発明に係る共重合体組成物の製造方法としては、たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、上記成分などを、80〜170℃の温度で2〜20分間混練する。次いで、得られた混合物に、必要に応じて、架橋剤、軟化剤等の添加剤をオープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、必要に応じて加硫促進剤、架橋助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、軟化剤などとともに上記各成分を同時に混練することもできる。
<成形物>
本発明に係る成形物は、上記共重合体組成物、好ましくは上記共重合体組成物からなる層を有する成形物である。
本発明に係る成形物が加硫物からなる場合には、該共重合体組成物層中にイオン凝集塊が形成されることから、該共重合体組成物層は、高剛性で、優れた機械特性(伸び性)とゴム弾性を併せ持つ。そのため、共重合体組成物層を薄肉化して、所望の物性(特に、耐摩耗性および耐久性)を有することが可能となるため、特に好ましい。
共重合体組成物層は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、JIS K6253に準拠して測定したデュロメーターA硬度が10〜100であることが好ましい。デュロメーターA硬度が10未満では、ゴム層が柔らかすぎるため、耐摩耗性が低下することがある。また、デュロメーターA硬度が100を超えると、成形物を例えば、籾摺りロールの表面層に用いた場合は、籾摺り時に米が破損し、いわゆる砕米の発生率が増加するおそれがある。
デュロメーターA硬度は、40〜100がより好ましく、60〜100が米の破壊率と摩耗性のバランスの点から更に好ましい。
共重合体組成物層のデュロメーターA硬度は、籾摺りの対象となる米が比較的柔らかいジャポニカ米等である場合には40〜90程度が好ましく、籾摺りの対象となる米が比較的固いインディカ米等である場合は60〜100程度が好ましい。
なお、本発明における「共重合体組成物層」は、JIS K 9124にいう「ゴム部」に相当する。
共重合体組成物層は、tanδのピーク温度(Tg)が、10℃以下である好ましい。使用時の共重合体組成物層の温度である30〜50℃において適切なゴム弾性を発現するからである。
共重合体組成物層は、DIN摩耗量は、10〜500mgであることが好ましい。DIN摩耗量が10mg未満では、籾摺り時に砕米の発生率が高くなることがあり、500mgを超えると、耐久性が不充分となる。DIN摩耗量は、JIS−K6264−2:2005のDIN摩耗試験に準拠して測定できる。
共重合体組成物層を籾摺りロールの表面に用いる場合は、共重合体組成物層の厚さは本発明の効果を奏する限り特に限定されず、従来品と同様、籾摺りロールを取り付ける籾摺り機の仕様や、JIS規格(JIS B 9214)に合わせて適宜設定することができる。ここで、共重合体組成物層の厚さとは、未使用時の共重合体組成物層の外径と内径の差の1/2の値をいう。
〔成形物の製造方法〕
本発明に係る成形物として、籾摺りロールを製造する方法としては、例えば、ライスロールの心材部を予めセットした金型に、前記の共重合体組成物を射出成形し、架橋することによって成形される。
また、共重合体組成物層は、通常一般の共重合体組成物を架橋するときと同様に、未架橋の組成物を上述したような方法で一度調製し、次に、この配合共重合体組成物を意図する形状に成形した後に架橋を行うことで得ることもできる。架橋としては、加硫が好ましい。
上記のようにして調製された未架橋の組成物は、押出成形機、カレンダーロール又はプレスなどの種々の成形法により、成形、架橋することができるが、圧縮成形、射出成形、注入成形などの型成形により、成形、架橋する場合に最もその特性を発揮することができる。
すなわち、圧縮成形の場合、予め秤量した未架橋の共重合体組成物を型に入れ、型を閉じた後120〜270℃の温度で、30秒〜120分加熱することにより、目的とする架橋した共重合体組成物層が得られる。
射出成形の場合、リボン状あるいはペレット状の共重合体組成物をスクリューにより予め設定した量だけポットに供給する。引き続き予備加熱された共重合体組成物をプランジャーにより金型内に1〜20秒で送り込む。共重合体組成物を射出した後120〜270℃の温度で、30秒〜120分加熱することにより、目的とする共重合体組成物層が得られる。
注入成形の場合、予め秤量した共重合体組成物をポットに入れピストンにより金型内に1〜20秒で注入する。共重合体組成物を注入した後120〜270℃の温度で、30秒〜120分加熱することにより、目的とする架橋した共重合体組成物層が得られる。
〔籾摺りロール〕
本発明の籾摺りロールは、心材部の表面に該共重合体組成物層を有する。通常、籾摺りロールは、心材部の表面に共重合体組成物層を焼き付けた後、その表面を研磨加工や仕上げ加工などを施すことによって得られる。心材部としては、たとえば、金属製の金具ドラムなど、従来公知の籾摺りロールで使用されている心材部を用いることができる。心材部の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、モリブデン、チタン等が挙げられる。また、心材部の形状やサイズも特に限定されず、従来品と同様、籾摺りロールを取り付ける籾摺り機の仕様や、JIS規格(JIS B 9214:もみすり用共重合体組成物ロール)に合わせて適宜設定できる。
本発明の籾摺りロールでは、心材部と該共重合体組成物層との密着性をより向上させるために、両者の間にプライマー層及び/又は接着剤層を形成してもよい。また、心材部の外周面に該共重合体組成物層との密着性を高めるための表面処理を施してもよい。接着剤層の形成は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系接着剤等を用いて行うことができる。また、プライマー層の形成は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、ウレタン系、ポリエステル系、シラン系、ポリアミド系、フェノール系のプライマーや、シランカップリング剤等を用いて行うことができる。表面処理としては、例えば、粗化面の形成等が挙げられ、粗化面の形成は、例えば、ブラスト処理、研削処理、エッチング処理、メッキ処理、研磨処理、酸化処理等により行えばよい。
籾摺りロールは、その断面(使用時の回転軸に垂直な断面)の真円度が0.5mm以下であることが好ましい。上記真円度が0.5mmを超えると、使用時に籾摺りロール同士の間隔のバラツキが大きくなり、脱ぷ率が低下したり、砕米の発生率が増加したりすることがある。
また、本発明によれば、該籾摺りロールを備えてなる農業用脱穀機が好適に得られる。
〔籾摺りロールの製造方法〕
籾摺りロールは、例えば、下記(1)及び(2)の工程を経ることにより製造することができる。
(1)まず、心材部を作製する。心材部は、従来公知の方法により作製することができ、例えば、アルミダイキャスト等により作製することができる。その後、必要に応じて、心材部の外周面に接着剤層及び/又はプライマー層を形成する。また、必要に応じて、心材部の外周面を表面処理する。
(2)次に、心材部の周囲に共重合体組成物層を形成する。形成方法としては、たとえば、心材部を円筒形の金型内に載置し、その後、心材部の外周面と金型の内壁面との間隙に、共重合体組成物を注入し、所定の条件で架橋させることにより共重合体組成物層を形成することができる。該条件は、前述を参照できる。
架橋条件は本発明の効果を奏する限り特に限定されず、適宜設定できるが、通常100〜160℃で30〜90分間加熱する条件を採用することができる。また、架橋処理を行い、金型から脱型した後、例えば、100〜160℃で3〜48時間の条件で後架橋を行ってもよい。
本発明に係る共重合体組成物は、フィラーの分散性が顕著に改良され、好適な成形性を有するため、該組成物を心材部の表面に好適に積層するができる。そのため、本発明によれば、心材部の表面全体に渡って均一な密度を有し、耐摩耗性および耐久性に優れ、長期に渡って使用することができる共重合体組成物層が形成された籾摺りロールを好適に製造することができる。
籾摺りロールの製造方法では、必要に応じて、研削加工によって共重合体組成物層の表面を形成してもよい。金型から脱型したまま、研削加工を行わなくてもよい。
〔籾摺りロールの使用方法〕
本発明の籾摺りロールは、2個の籾摺りロールを1組にして、従来公知の共重合体組成物ロール式の籾摺り機(たとえば、農業用脱穀機)に取り付けて使用する。
一対の籾摺りロールは、通常、籾摺り機に、所定の間隔を有するように平行に取り付けられており、籾摺りロールのそれぞれを互いに逆方向に、かつ、異なる回転速度で回転させる。そして、この状態で籾摺りロール同士の間に籾米を投入すると、籾摺りロール間の周速差により籾米から籾殻が脱ぷされることとなる。
籾摺りロール隙間の距離や、籾摺りロールそれぞれの回転速度(周速度)は特に限定されず、籾摺り機の仕様、投入する籾米の種類や乾燥率、処理速度、脱ぷ率等の各種条件に応じて適宜設定すればよい。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(測定および計算方法)
シリル化ポリオレフィンに関する、分子量、融点(Tm)、収率、転化率、異性化率、およびメルトマスフローレイト(MFR)、は以下に記載の方法で測定・計算した。
[m1]分子量の測定方法
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150を用い以下のようにして測定した。すなわち、分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径7.5mm、長さ300mmのものを使用した。カラム温度は140℃とし、移動相にはオルトジクロロベンゼン(和光純薬社製)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品社製)0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は0.1質量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとした。検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、常法に従ってポリエチレン換算の値に換算した。
なお、以下の合成例にて、原料ポリマーのモル数はすべて(Mn)に基づいた値で表している。
[m2]融点の測定方法
融点(Tm)はDSCを用い測定して得られたピークトップ温度を採用した。装置は島津製作所製DSC−60Aを使用した。対照セルはアルミナを使用し、窒素流量は50ml/分の設定で行った。また10℃/分で30℃から300℃までの昇温条件で測定した。この昇温測定の前に、一旦、樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、20℃/分で常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが好ましい。
[m3]NMR解析による収率、転化率、異性化率、末端不飽和率の測定・計算方法 シリル化ポリオレフィンの収率、転化率、異性化率、末端不飽和率は1H−NMRによって決定される。収率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対して得られたシリル化ポリオレフィンのモル数の割合、転化率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対する同消費モル数の割合、異性化率は原料のビニル基含有化合物のモル数に対して生成したビニレン体のモル数の割合、末端不飽和率は原料であるビニル基含有化合物の主鎖末端ビニル基と末端メチル基の合計に対する主鎖末端ビニル基の割合と定義される。なお、末端不飽和率および炭素千個あたりのビニル基数は一般的には原料であるビニル基含有化合物に対して適用するが、ヒドロシリル化が十分でない場合等には未反応原料の残存量の指標としてシリル化ポリオレフィンにも適用することがある。
例えば、エチレンのみからなる主鎖末端ビニル基含有化合物をトリエトキシシランでヒドロシリル化して得られたシリル化ポリオレフィンのエトキシ基メチレンの6プロトン分のピーク(C)が3.8ppm、異性化したビニレン基の2プロトン分のピーク(D)が5.4ppmに観測される。ヒドロシリル化が十分でない場合は、未反応ビニル基の2プロトン分のピーク(E)が4.8〜5.1ppmに、1プロトン分のピーク(F)が5.6〜5.8ppmに観測される。原料のビニル基含有化合物については、2プロトン分の主鎖メチレン(G)が1.0〜1.5ppmに観測され、主鎖末端にビニル基を持たないものは3プロトン分の末端メチル(H)が0.8ppmに観測される。さらに二重結合に隣接した炭素上の2プロトン分のピーク(I)が1.9ppmに観測される。
各ピーク(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)および(I)のピーク面積を各々SC、SD、SE、SF、SG、SHおよびSIとすれば、収率(YLD(%))、転化率(CVS(%))、異性化率(ISO(%))、末端不飽和率(VE(%))は下記式にて算出される。
YLD(%)=(SC/3)/(SC/3+SD+SE)×100
CVS(%)={1−SE/(SC/3+SD+SE)}×100
ISO(%)=SD/(SC/3+SD+SE)×100
VE(%)=SE/(SE/2+SH/3)×100
[m4]メルトマスフローレイト(MFR)の測定方法
ビニル基含有化合物としてのポリエチレンのメルトマスフローレイト(MFR)は、東京精機社製メルトインデキサー T−111を用い、190℃、2.16kg荷重で測定した。
実施例および比較例においては、下記共重合体等を使用した。
(1)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)として、三井化学(株)社製の三井EPT(登録商標)K−9720(エチレンに由来する構成単位:77重量%、ジエンに由来する構造単位:10.4重量%、ムーニー粘度ML(1+4)(100℃)(ASTM D 1646):20)を用いた。
(2)シリル化ポリオレフィン(β)
[合成例1]
(片末端にビニル基を有するポリエチレンの合成)
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3−クミル−5−メチルサリチルアルデヒド3.89g(15.0mmol)、トルエン30ml、エチルアミン2.54g(40%水溶液、22.5mmol)を仕込み、室温で5時間攪拌した。この反応溶液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色のオイル状の化合物(L−1)を得た。
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器に、上記で得た化合物(L−1)1.12g(4.00mmol)とジエチルエーテル25mlを仕込み、−78℃に冷却し攪拌した。これにn−ブチルリチウム2.58ml(n−ヘキサン溶液、1.55M、4.00mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調製した。この溶液を、−78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.76g(2.00mol)を含むテトラヒドロフラン溶液25mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン50mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をn−ヘキサンで再沈し、減圧乾燥することにより黄色粉末の化合物(B−1)を得た。
充分に窒素置換した内容積2000mlのステンレス製オートクレーブに、室温でヘプタン1000mlを装入し、150℃に昇温した。続いてオートクレーブ内をエチレンで30kg/cm2Gに加圧し、温度を維持した。MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)0.5ml(0.5mmol)を圧入し、次いで化合物B−1のトルエン溶液(0.0002mmol/ml)0.5ml(0.0001mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガス雰囲気下、150℃で30分間重合を行った後、少量のメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む3リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。
1H−NMR測定により、得られた重合物はホモポリエチレンで、なおかつ片末端のみ二重結合を含有することが明らかであった。この片末端二重結合含有エチレン系重合体(P−1)(単体)の物性は以下の通りであった。
融点(Tm)123℃
Mw=4770、Mw/Mn=2.25(GPC)
末端不飽和率 97%
[合成例2]
(白金触媒組成物(C−1)の調製)
マグネットスターラーチップを入れた50mlサンプル管中、塩化白金(II)0.50gを、下記構造のヒドロシランA(HS(A)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、品番:XF40−C2195)(10ml)中に懸濁し、窒素気流下、室温で攪拌した。190時間攪拌した後、シリンジにて反応液を約0.4ml採取し、0.45μmPTFEフィルターを用いて濾過して10mlサンプル管中に濾液を採取し、白金濃度が3.8質量%の白金触媒組成物(C−1)を得た。
ヒドロシランA(HS(A)):HSi(CH32O−(−Si(CH32−O−)18−Si(CH32
[合成例3]
(末端ビニル基を有するポリエチレンのヒドロシランへの導入−1)
300mlの2ツ口フラスコに、[合成例1]で得た片末端ビニル基含有エチレン系重合体(P−1)25.1g(11.8mmol)を装入し、窒素雰囲気下、ヒドロシランA(HS(A))8.7g(5.9mmol;Si−H基として11.8mmol相当)と、[合成例2]で調製した白金触媒組成物(C−1)をヒドロシランA(HS(A))で200倍希釈したもの(C−1a)150μl(Pt換算で1.4×10-6mmol)を装入した。予め内温130℃に昇温しておいた油浴中に、上記反応器をセットし、攪拌した。約3分後ポリマーは融解した。次いで6時間後に冷却し、メタノール約200mlを加え、300mlビーカーに内容物を取り出し2時間攪拌した。その後、固体をろ取しメタノールで洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させることにより、白色固体のシリル化ポリオレフィン(A−1)33.1gを得た。NMR解析の結果、得られたシリル化ポリオレフィン(A−1)は収率98%、オレフィン転化率100%、異性化率2%であった。MFRは測定上限値以上(MFR>100g/10min)であり、分子式より計算される(A−1)中のポリオルガノシロキサン含量は26質量%であった。
(3)フィラー(C)
フィラー(C)として、東ソー・シリカ社製Silica VN3 GRType(一次粒子径:15nm、二次凝集体の粒子径:18μm、比表面積:200m2/g)を用いた。
本発明において各物性は以下のようにして評価した。
(1)硬さ試験
加硫成形体の平らな部分を重ねて12mmとし、JIS K6253に従い硬度(デュロメーターA硬度)を測定した。
(2)引張り試験
加硫成形体をJIS K 251に従い、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、25%伸張時のモジュラス(M25)、50%伸張時のモジュラス(M50)、100%伸張時のモジュラス(M100)、200%伸張時のモジュラス(M200)、300%伸張時のモジュラス(M300)、破断時強度(TB)および破断伸び(EB)を測定した。
(3)DIN摩擦試験(DIN摩耗量)
加硫成形体を用いて、JIS−K6264−2:2005に準拠して、直径16.0±0.2mm、厚さ6mm以上の円盤状の試験片を作製し、該試験片について、DIN摩耗試験機を用いて、直径150.0±0.2mm、長さ500mmのドラムを40回/分で回転させ、荷重1kgfで、摩耗距離を40.0±0.2mとしたときの摩耗量(DIN摩耗量:単位mg)を測定した。
(4)架橋密度
シート状試料を20mm×20mm×2mmtのサイズに切り取った後、JIS K 6258(1993)に従い、トルエンに37℃×72時間浸漬して膨潤させ、Flory−Rehnerの式(B)により、有効網目鎖密度(架橋密度)を算出した。
Figure 2018130645
式(B)中、ν(個/cm3)は有効網目鎖密度(架橋密度)であり、純ゴム1cm3中の有効網目鎖の数であり、VRは膨潤した架橋ゴム中の純ゴムの容積分率であり、V0は溶剤の分子容であり、μはゴム−溶剤間の相互作用定数=0.49であり、Aはアボガドロ数である。
(5)ペイン効果(フィラー分散指数)
加硫成形体からサンプルを打ち抜いて試験片を作成した。このサンプルについて、動的粘弾性試験機を用いて貯蔵弾性率G'の歪率依存性を測定した。測定条件は、次の通りである。
動的粘弾性試験機(RDS):Rheometrics社
サンプル:2mmシートを直径25mmの円状に打ち抜いて使用。
温度:100℃
歪率:0.01%〜10%
周波数:10Hz
得られた歪率0.01%における貯蔵弾性率G'をG'(0.01%)、歪率1.00%における貯蔵弾性率G'をG'(1.00%)として、フィラー分散性指標FDI(%)を次の式(1)から算出した。
FDI=G'(1.00%)/G'(0.01%)×100・・・(1)
〔比較例1〕
MIXTRON BB MIXER(神戸製鋼所社製、BB−4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、前記K−9720:100質量部に対して、シリカ(C)を50質量部、カップリング剤としてシリコン(Si69、Evonik社製)を1質量部、界面活性剤としてポリエチレングリコール(PEG#4000、三洋化成工業(株)製)を1質量部、加硫促進助剤として酸化亜鉛(亜鉛華、#1、ハクスイテック社製)を5質量部、加工助剤としてステアリン酸を1質量部、軟化剤としてプロセスオイル(ダイアナプロセスオイルPS−430、出光興産社製))を15質量部混練して、加硫する前の組成物を得た。混練条件は、ローター回転数が50rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm2、混練時間が5分間で行い、混練排出温度は145℃であった。
次いで、上記配合物が温度40℃となったことを確認した後、6インチロールを用いて上記配合物に加硫促進剤としてジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS、大内新興化学工業株式会社製)を0.5質量部、加硫促進剤としてN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS、大内新興化学工業株式会社製)を0.5質量部、加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD、大内新興化学工業株式会社製)を1.0質量部、加硫促進剤としてとしてジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC、大内新興化学工業株式会社製)を1.0質量部、加硫剤としてイオウを1.0質量部混練した。混練条件は、ロール温度を前ロール/後ロール=50℃/50℃、ロール回転数を前ロール/後ロール=18rpm/15rpm、ロール間隙を5mmとして混練時間8分間で分出して、籾摺りロール用共重合体組成物(配合物)を得た。
次に、この配合物からプレス成形機を用いて180℃で15分間加硫を行って、厚み2mmのゴムシート(加硫成形体)を調製した。
得られた加硫成形体について、硬さ試験、引張り試験、DIN摩擦試験、架橋密度、フィラー分散指数を上記方法にて行った。結果を表1に示す。
〔実施例1〕
比較例1で用いた配合物に加え、共重合体(A):100質量部に対して、不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)として無水マレイン酸変性エチレン・1−ブテン共重合体(タフマー(登録商標)МD715、Mitsui Elastomers Singapore Pte Ltd製、MFR(190℃、2.16kg):1.5g/10min、密度:872kg/m3、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点:40〜80℃)を5重量部追加した共重合体組成物を用いる以外は、比較例1と同様に行った。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
比較例1で用いた配合物に加え、共重合体(A):100質量部に対して、シリル化ポリオレフィン(β)を5質量部、および無水マレイン酸変性エチレン・1−ブテン共重合体(タフマー(登録商標)МD715、Mitsui Elastomers Singapore Pte Ltd製、MFR(190℃、2.16kg):1.5g/10min、密度:872kg/m3、示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点:40〜80℃)を5質量部追加した共重合体組成物を用いる以外は、比較例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 2018130645
表1に示すように、本発明に係る不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含まない共重合体組成物(比較例1)は、摩耗量が84mmgであるのに対し、本発明に係る不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含む共重合体組成物(実施例1、実施例2)は、摩耗量が68mmgおよび60mmgと少なく、耐摩耗性に優れることが明らかである。

Claims (3)

  1. 表面に共重合体組成物層を有する籾摺りロールであり、当該共重合体組成物層が、
    エチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部、
    不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)0.1〜10質量部、および
    下記要件(C−1)を満たすフィラー(C)(ただし、カーボンブラックを除く)を1〜100質量部を含有する共重合体組成物からなることを特徴とする籾摺りロール。
    (C−1)平均粒子径が10μm〜50μmである。
  2. エチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のα−オレフィンが1−ブテンである請求項1に記載の籾摺りロール。
  3. エチレン・炭素数4〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部、
    不飽和カルボン酸またはその誘導体がグラフトされたグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)0.1〜10質量部、および
    下記要件(C−1)を満たすフィラー(C)(ただし、カーボンブラックを除く)を1〜100質量部を含有することを特徴とする共重合体組成物。
    (C−1)平均粒子径が10μm〜50μmである。
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