JP2004115796A - 難燃性熱硬化性材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性を有する熱硬化性材料及びこの難燃性熱硬化性材料の製造方法を提供する。
【解決手段】特定の化学式を有するホスフィン酸塩、および/または特定の化学式を有するジホスフィン酸塩、および/またはこれらのポリマーの少なくとも1種類を難燃剤として含有し、並びに有機リン化合物または無機系リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分を含有する。
【選択図】なし

Description

 本発明は、難燃性熱硬化性材料、その製造方法およびその用途に関する。
 熱硬化性樹脂から製造される建材、特にガラス繊維強化剤を有するものはその良好な機械的性質、その低い密度、十分な耐薬品性および優れた表面品質に特徴がある。このことおよびそれの低い価格が鉄道車両、建材および航空の用途分野において金属材料の代替物質としての用途も増大させている。
 不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)、エポキシ樹脂(EP樹脂)およびポリウレタン(PU樹脂)は燃焼性であり、それ故に幾つかの用途においては難燃性にする必要がある。防火および製品の環境への適合性に関するますます増大する市場の要求はハロゲン不含の難燃剤、例えばリン化合物または金属水酸化物への興味を増している。
 用途分野次第で機械的、電気的および防火特性に関する種々の要求がある。鉄道車両分野において特に防火要求が現在、非常に強くなってきた。
 臭素−または塩素含有酸および/またはアルコール成分が難燃性不飽和ポリエステル樹脂を製造するために使用されることは公知である。これらの成分の例にはヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(HET酸)、テトラブトモフタル酸およびジブロモネオペンチルグリコールがある。三酸化アンチモンは相乗剤としてしばしば使用される。   
 特開平5−245,838号公報(CA1993:672700号明細書)では水酸化アルミニウム、赤燐および三酸化アンチモンが、難燃性を向上させるために臭素化樹脂と併用されている。臭素−および塩素含有樹脂の欠点は腐食性ガスが燃焼時に発生することであり、これは電子部品、例えば鉄道車両のリレー部品に著しい損傷をもたらし得る。好ましくない条件は多重塩素化されたまたは臭素化されたジベンゾダイオキシン類およびフラン類の発生ももたらし得る。それ故に難燃性でハロゲン不含の不飽和ポリエステル樹脂および不飽和ポリエステル成形材料が要求されている。
 ポーランド特許出願公開第159,350号明細書(CA1995/240054)には、180部までの水酸化マグネシウムを含有する不飽和ポリエステル樹脂で製造されたラミネートが開示されている。しかしながら工業的に極めて重要な射出成形法は、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムを含有する未硬化のUP樹脂の粘度が高いので、この種類の処方を用いては実施できない。
 難燃性不飽和ポリエステル樹脂を調製するための以下に説明する方法でも沢山の欠点、特に非常に高い充填剤含有量という欠点を同様に有している。
 充填剤の総含有量を減らすために、ドイツ特許出願公開第3728629号明細書に記載される様に水酸化アルミニウムをポリリン酸アンモニウムとを併用することが開示されている。特開昭57−016017号明細書(CA96(22):182248号)には不飽和ポリエステル樹脂のための難燃剤として赤燐を使用することが開示されており、そして特開昭55−094918号明細書(CA93(24):22152t)には水酸化アルミニウム、赤燐および三酸化アンチモンよりなる組合せが開示されている。
 ポーランド特許出願公開第161333号明細書(CA1994;632278号)では水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウム、赤燐および場合によっては微細なシリカを用いることによって低煙密度および少ない毒性分解生成物を達成している。更にメラミンおよび水酸化アルミニウムを使用することがドイツ特許出願公開第2159757号明細書で開示されている。
 水酸化アルミニウムだけでは不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂にとって決して非常に有効な難燃剤ではないので、赤燐との組合せが、充填剤成分を低減するために提案されている。しかしながらこの場合の欠点は製品の赤色の固有色であり、このことがその用途を暗色に着色された建材だけに制限している。
 不飽和ポリエステル樹脂は飽和および不飽和ジカルボン酸またはこれらの酸無水物とジオールとから製造された重縮合体を共重合性モノマー、好ましくはスチレンまたはメチルメタクリレートに溶解した溶液である。UP樹脂は開始剤(例えば過酸化物)および促進剤を用いて遊離基開始重合によって硬化され得る。ポリエステル鎖中の二重結合は共重合性溶剤モノマー中の二重結合と反応する。ポリエステルを製造するための最も重要なジカルボン酸は無水マレイン酸、フマル酸およびテレフタル酸である。最もしばしば使用されるジオールは1,2−プロパンジオールである。エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコール等も使用される。最も適する架橋性モノマーはスチレンである。スチレンは樹脂と十分に混和することができそして容易に共重合する。不飽和ポリエステル樹脂中のスチレン含有量は一般に25〜40%である。スチレンの代わりに使用できるモノマーはメチルメタクリレートである。
 不飽和ポリエステル樹脂はその化学的および物理的性質並びにその燃焼挙動において、上記不飽和ポリエステル樹脂と反対に熱可塑性ポリマーである名称の似たポリエステルと著しく相違している。これらのポリエステルも、不飽和ポリエステル樹脂についての上述の段落に記載した様な方法と全く異なる方法でも製造される。ポリエステルは例えばラクトン類の開環重合によって、または一般式−[O−R−(CO)]−のポリマーが得られるヒドロキシカルボン酸の重縮合によって製造される。ジオール類とジカルボン酸および/またはジカルボン酸の誘導体との重縮合は一般式−[O−R1 −(CO)−R2 −(CO)]−のポリマーを製造する。分岐したおよび架橋したポリエステルは3以上の官能性を有するアルコールと多官能性カルボン酸との重縮合によって得ることができる。 それ故に不飽和ポリエステル樹脂とポリエステルとは2種類の全く異なるポリマーでありそして完全に異なるポリマー群である。
 熱硬化性物質の別の群であるエポキシ樹脂は今日、高い耐熱性、耐薬品性および電子的性質を有する成形材料および被覆剤の製造に使用されている。
 エポキシ樹脂はエポキシ樹脂成分と架橋(硬化剤)成分との重付加反応によって製造される。使用されるエポキシ樹脂成分は芳香族ポリグリシジルエステル類、例えばビスフェノールA−ジグリシジルエステル、ビスファノールF−ジグリシジルエステル、またはフェノールホルムアルデヒド樹脂またはグレゾールホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステル、またはフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸並びにトリメリット酸のポリグリシジルエステル、芳香族アミンまたはヘテロ環窒素塩基のN−グリシジル化合物、または脂肪族多価アルコールのジ−またはポリグリシジル化合物である。使用される硬化剤はポリアミン類、例えばトリエチレンテトラミン、アミノエチルピペラジンまたはイソホロンジアミン、ポリアミドアミン類、多塩基酸またはこれらの酸無水物、例えば無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物またはメチルテトラヒドロフタル酸無水物またはフェノール類がある。架橋は適当な触媒を用いて重合することによって行ってもよい。
 エポキシ樹脂は電気部品または電子部品のポッティング(potting) および浸漬および含浸法に適している。電気工業において使用されるエポキシ樹脂は主として難燃性であり、プリント回路基板または絶縁体に使用される。
 プリント回路用エポキシ樹脂は従来技術に従って臭素含有芳香族化合物、特に四臭化ビスフェノールAを反応導入することによって難燃性にされる。火災の際に臭化炭化水素(危険物質)を放出するという欠点があり、このことが腐食損傷の原因になり得る。不利な条件のもとではポリ臭化ジベンゾダイオキシン類およびフラン類も生じ得る。水酸化アルミニウムの使用は、加工した時に水を放出するので完全に排除されている。
 電気および電子装置のための耐炎要求は製品安全の説明書および基準書に規定されている。米国では耐炎試験および承認方法が Underwriters Laboratories(UL) によって実施されそしてUL仕様書が今日、全世界で受け入れられている。プレスチックスの燃焼試験は、発火および延焼に対しての材料の耐久性を測定するために開発された。
 これら材料は耐炎要求に応じて、水平燃焼試験( 分類UL94HB)またはより厳しい垂直試験(UL94V−2、V−1またはV−0)に合格するべきである。これらの試験は電気用規格のプラスチック部材が曝され得る、電気的装置で発生する低エネルギー発火原因をシュミレーションしている。
 驚くべきことに、本発明者はホスフィン酸の塩を沢山の相乗化合物と組合せると、熱硬化性樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂に対して効果的な難燃剤であることが実証されることを見出した。
 ホスフィン酸のアルカリ金属塩は熱可塑性ポリエステルのための難燃剤添加物として以前に提案された(ドイツ特許出願公開第4,430,932号明細書)。これらは30重量%までの量で添加するべきである。ホスフィン酸とアルカリ金属または周期律表の第2または3主族の金属との塩、特に亜鉛塩(ドイツ特許出願公開第2447727号明細書)は難燃性ポリアミド成形材料を製造するためにも使用されてきた。熱可塑性ポリエステル、例えばPETおよびPBTと熱硬化性ポリエステル、例えば不飽和ポリエステル樹脂との間には燃焼挙動に著しい相違がある。即ち、熱可塑性物質は火災の際に焼けた物質の滴りが生じるが、熱硬化性物質は溶融しないかまたは焼けた物質の滴りが生じない。
 特に本発明は、下記式(I)のホスフィン酸塩および/または下記式(II)のジホスフィン酸塩
Figure 2004115796
[ 式中、R1 およびR2 は互いに同じかまたは異なり、直鎖状のまたは枝分かれしたC1  〜C6 −アルキルおよび/またはアリールであり;
  R3 は直鎖状のまたは枝分かれしたC1 〜C10−アルキレン、C6 〜C10−アリーレ ン、−アルキルアリーレンまたは−アリールアルキレンであり;
  MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、 Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基であり;
  mは1〜4であり;
  nは1〜4であり;および
  xは1〜4である。]
および/またはこれらのポリマーの少なくとも1種類を難燃剤として含有し並びに有機リン化合物または無機リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分を含有する難燃性熱硬化性材料に関する。
 Mは好ましくはカルシウム、アルミニウムまたは亜鉛である。
 プロトン化された窒素塩基は好ましくはアンモニア、メラミン、トリエタノールアミンのプロトン化された塩基、特にNH4 - である。
 R1 およびR2 は互いに同じかまたは異なり、直鎖状のまたは枝分かれしたC1 〜C6 −アルキルおよび/またはフェニルであるのが好ましい。
 R1 およびR2 は互いに同じかまたは異なり、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第三ブチル、n−ペンチルおよび/またはフェニルであるのが好ましい。
 R3 はメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、第三ブチレン、n−ペンチレン、n−オクチレンまたはn−ドデシレンであるのが好ましい。
 R3 の別の有利な基にはフェニレンまたはナフチレンがある。
 R3 の更に別の有利な基にはメチルフェニレン、エチルフェニレン、第三ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレンまたは第三ブチルナフチレンがある。
 R3 の他の有利な基にはフェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレンまたはフェニルブチレンがある。
 新規の難燃性熱硬化性材料は好ましくは100重量部の熱硬化性材料を基準として0.1〜30重量部の式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマー、および0. 1〜100重量部の有機リン化合物を含有する。
 新規の難燃性熱硬化性材料は特に好ましくは100重量部の熱硬化性材料を基準として1〜15重量部の式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマー、および1〜20重量部の有機リン化合物を含有する。
 有機リン化合物は好ましくはトリエチルホスファート、トリアリールホスファート、テトラフェニル−レゾリシナルジホスファート、ジメチル−メチルホスホナート、および/または五酸化リンとのそのポリマー、ホスホン酸エステル、(5−エチル−2−メチル−ジオキサホソロリナン−5−イル)メチルメチルメタンホスホナート、リン酸エステル、ピロリン酸エステル、アルキルホスフィン酸および/またはオキシアルキル化されたその誘導体である。
 本発明の難燃性熱硬化性材料は好ましくは100重量部の熱硬化性材料を基準として0.1〜30重量部の式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマーの少なくとも1種類、および0. 1〜100重量部の無機リン化合物を含有する。
 本発明の難燃性熱硬化性材料は特に好ましくは100重量部の熱硬化性材料を基準として1〜15重量部の式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマーの少なくとも1種類、および1〜20重量部の無機リン化合物を含有する。
 無機リン化合物は好ましくは赤リン、アンモニウムホスファートおよび/またはメラミンポリホスファートである。
 本発明の難燃性熱硬化性材料は好ましくはカルボジイミド類も含有する。
 本発明は更に、熱硬化性樹脂で製造された成形材料、被覆剤またはラミネートである、難燃性熱硬化性材料にも関する。
 熱硬化性樹脂は不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂であるのが好ましい。
 更に本発明は、熱硬化性樹脂を式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマーの少なくとも1種類の難燃剤、と有機リン化合物または無機リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分と混合しそして得られる混合物を3〜10barの圧力および20〜80℃の温度で湿潤プレス成形(冷間プレス成形)することを特徴とする、難燃性熱硬化性材料の製造方法にも関する。
 本発明はまた、熱硬化性樹脂を式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマーの少なくとも1種類の難燃剤、と有機−または無機リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分と混合しそして得られる混合物を3〜10barの圧力および80〜150℃の温度で湿潤プレス成形(温間−または熱間プレス成形)することを特徴とする、難燃性熱硬化性材料の製造方法にも関する。
 本発明に従う難燃性熱硬化性材料の別の製造方法は、熱硬化性樹脂を式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマーの少なくとも1種類の難燃剤、と有機−または無機リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分とを混合しそして得られる混合物を50〜150barの圧力および140〜160℃の温度で加工してプレプレグとすることを特徴とするものである。
 最後に本発明は、熱硬化性材料を難燃性にするための新規の難燃剤組合物を使用することにも関する。
 熱硬化性材料は好ましくは不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂であるのが好ましく、そして成形材料、被覆剤またはラミネートであるのが好ましい。
 本発明で使用するホスフィン酸の塩は公知の方法によって、例えばヨーロッパ特許出願公開(A)第0, 699, 708号明細書に詳細に記載された方法によって製造できる。   
 以下の実施例で説明する通り、有機または無機リン化合物、例えばポリリン酸アンモニウムおよび式(I)あるいは(II) のホスフィン酸塩はそれ自身で試験した時に十分な活性を有していないことが判った。
 驚くべきことに本発明者はホスフィン酸塩と有機または無機リン化合物との組合せが最も良好な格付け(熱硬化性樹脂でのUL−94垂直試験においてV−0)を達成することを見出した。実施例で使用される化合物は以下の通りである:
 (R) Alpolit SUP 403 BMT (Vianova Resins GmbH, Wiesbaden,ドイツ国) :不飽和ポリエステル樹脂(スチレン中約57%濃度、酸価:30mg(KOH)/gより大きくない)を予備促進化処理しそして弱チクソトロピー状態の低粘度(4mmフローカップでの粘度:110±10秒)および著しく低下したスチレン放出量に調製する。
 (R) Palatal 340 S (DSM-BASF Structural Resins, Ludwigshafen,ドイツ国) :
不飽和ポリエステル樹脂(スチレンおよびメチルメタクリレート中約49%濃度、密度:1.08g/mL、酸価:7mg(KOH)/g、予備促進化処理済み、低粘度:動粘度約50mPa.s)。
 (R) Beckopox EP 140 (Vianova Resins GmbH, Wiesbaden,ドイツ国) :ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの低分子量縮合生成物(密度:1.16g/mL、エポキシ価:180〜192)。
 (R) Beckopox EH 625 (Vianova Resins GmbH, Wiesbaden,ドイツ国) :73の活性水素当量および約1000mPa.sの動粘度を有する変性された脂肪族ポリアミン。
 コバルト促進剤 NL 49P (Akzo Chemie GmbH, Dueren,ドイツ国) :1重量%のコバルト含有量のコバルトオクトエートのジブチルフタレート溶液。
 コバルト促進剤 NL 63-10S (Akzo Chemie GmbH, Dueren, ドイツ国) 。
Butanox M 50 (Akzo Chemie GmbH, Dueren, ドイツ国) :ジメチルフタレートで粘液質化したメチルエチルケトンペルオキシド(少なくとも9重量%の活性酸素を有する透明な液体) 。
 DEPAL :ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩。
 試験体の製造:
 熱硬化性樹脂および難燃成分および場合によっては他の添加物をディソルバーディスクを用いて均一に混合する。均一化は硬化剤の添加後に繰り返す。
 不飽和ポリエステル樹脂の場合には、樹脂をコバルト促進剤と混合し、難燃成分を添加しそして硬化を均一化後に過酸化物を添加することによって開始する。
 エポキシ樹脂の場合には、難燃成分をエポキシ樹脂成分に添加しそして均一に混合する。次にアミン硬化剤または酸無水物硬化剤を添加する。
 (R) Hostaphan 離型フィルムおよびスチール製フレームの上に単位面積当たり450g/m2 の重量のガラス繊維製エンドレスマットの2つの層を加熱されたプレス装置中に置く。次いで樹脂−難燃剤混合物の約半分を均一に分布させる。別のガラス製マットを次に載せ、次いで残りの樹脂−難燃剤混合物を分散させ、この積層体に離型フィルムを被せそして4mmの厚さの圧縮シートを10barの圧力で1時間にわたって50℃の温度で製造する。
 アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriters Laboratories )の“プラスチック材料の可燃性試験−UL94”仕様書、1975年5月2日版に従う燃焼性能試験をUL 94 試験に従って実施する。その際に127mmの長さ、12.7mmの幅および種々の厚さの試験体を使用する。
 酸素指数の測定はASTM D2863−74に基づく。その際に変更された装置を用いる。
 1.不飽和ポリエステル樹脂を用いた結果
 表1において、有機または無機リン化合物およびDPELを不飽和ポリエステル樹脂(Viapal UP 403 BMT)の難燃剤として単独でおよび一緒に使用した比較を示す。この表は、単独で25部/100部(不飽和ポリエステル)の濃度で単独使用してもV−0の格付けを達成できないことを示している。
 しかしながらDEPALをリン化合物と組み合わせた場合には、1.5mmの厚さのラミネートでV−0の格付けを達成することができる。このラミネートは所望の通り着色されていてもよい。
 これらのUP樹脂ラミネートは、充填剤含有量が少ないので射出成形によって製造することができる。
 表1(比較):
 不飽和ポリエステル樹脂ラミネート( 30重量%のガラス繊維エンドレスマット、ラミネートの厚さ:1.5mm、樹脂: Viapal UP 403 BMT、硬化剤: Butanox M 50 、促進剤:NL 49 P)のUL94に従う燃焼挙動
Figure 2004115796
 DEPAL=ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩
 n.c.=垂直UL94試験で格付けできず。
 2.エポキシ樹脂を用いた結果
 表2は、ポリアミンを用いて硬化したエポキシ樹脂(Beckopox EP 140 樹脂、Beckopox EH 625 硬化剤) を用いた燃焼挙動を示している。DEPALをリン化合物と組み合わせることによって、厚さ1.5mmのラミネートでV−0の格付けが達成される。これに対して、これらの化合物を単独で使用した場合には、UL94 V−0は達成されない。
 表2:
 エポキシ樹脂成形体( 材料肉厚1.8mm、樹脂:100部のBeckopox EP 140 、硬化剤:39部のBeckopox EH 625 )のUL94に従う燃焼挙動
Figure 2004115796

Claims (19)

  1. 下記式(I)のホスフィン酸塩および/または下記式(II)のジホスフィン酸塩
    Figure 2004115796
    [ 式中、R1 およびR2 は互いに同じかまたは異なり、直鎖状のまたは枝分かれしたC1  〜C6 −アルキルおよび/またはアリールであり;
      R3 は直鎖状のまたは枝分かれしたC1 〜C10−アルキレン、C6 〜C10−アリーレ ン、−アルキルアリーレンまたは−アリールアルキレンであり;
      MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、 Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基であり;
      mは1〜4であり;
      nは1〜4であり;および
      xは1〜4である。]
    および/またはこれらのポリマーの少なくとも1種類を難燃剤として含有し並びに有機リン化合物または無機リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分を含有する難燃性熱硬化性材料。
  2. 1 およびR2 は互いに同じかまたは異なり、直鎖状のまたは枝分かれしたC1 〜C6 −アルキルおよび/またはフェニルである、請求項1に記載の難燃性熱硬化性材料。
  3. 1 およびR2 は互いに同じかまたは異なり、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第三ブチル、n−ペンチルおよび/またはフェニルである、請求項1または2に記載の難燃性熱硬化性材料。
  4. 3 がメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、第三ブチレン、n−ペンチレン、n−オクチレンまたはn−ドデシレンである請求項1〜3のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  5. 3 がフェニレンまたはナフチレンである請求項1〜3のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  6. 3 がメチルフェニレン、エチルフェニレン、第三ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレンまたは第三ブチルナフチレンである、請求項1〜3のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  7. 3 がフェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレンまたはフェニルブチレンである、請求項1〜3のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  8. 100重量部の熱硬化性材料を基準として0.1〜30重量部の式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマー、および0. 1〜100重量部の有機リン化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  9. 100重量部の熱硬化性材料を基準として1〜15重量部の式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマー、および1〜20重量部の有機リン化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  10. 有機リン化合物がトリエチルホスファート、トリアリールホスファート、テトラフェニル−レゾリシナルジホスファート、ジメチル−メチルホスホナート、および/または五酸化リンとのそのポリマー、ホスホン酸エステル、(5−エチル−2−メチル−ジオキサホソロリナン−5−イル)メチルメチルメタンホスホナート、リン酸エステル、ピロリン酸エステル、アルキルホスホン酸および/またはオキシアルキル化されたそれらの誘導体である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  11. 100重量部の熱硬化性材料を基準として0.1〜30重量部の式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマー、および0. 1〜100重量部の無機リン化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  12. 100重量部の熱硬化性材料を基準として1〜15重量部の式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマー、および1〜20重量部の無機リン化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  13. 無機リン化合物は赤リン、アンモニウムホスファートおよび/またはメラミンポリホスファートである、請求項1〜7のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  14. カルボジイミド類も含有する、請求項1〜13のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  15. 熱硬化性樹脂で製造された成形材料、被覆剤またはラミネートである、請求項1〜14のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料。
  16. 熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂である請求項15に記載の難燃性熱硬化性材料。
  17. 請求項1〜16のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料を製造する方法において、熱硬化性樹脂を式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマーからなる難燃剤、および有機リン化合物または無機リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分と混合しそして得られる混合物を3〜10barの圧力および20〜60℃の温度で湿潤プレス成形(冷間プレス成形)することを特徴とする、上記方法。
  18. 請求項1〜16のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料を製造する方法において、熱硬化性樹脂を式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマーからなる難燃剤、および有機−または無機リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分と混合しそして得られる混合物を3〜10barの圧力および80〜150℃の温度で湿潤プレス成形(温間−または熱間プレス成形)することを特徴とする、上記方法。
  19. 請求項1〜16のいずれか一つに記載の難燃性熱硬化性材料を製造する方法において、熱硬化性樹脂を式(I)のホスフィン酸塩および/または式(II)のジホスフィン酸塩および/またはそれらのポリマーからなる難燃剤、および有機−または無機リン化合物の物質群の内の少なくとも1種類の相乗成分と混合しそして得られる混合物を50〜150barの圧力および140〜160℃の温度で加工してプレプレグとすることを特徴とする、上記方法。
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