JP2004115728A - フォトレジスト用樹脂、フォトレジスト用樹脂組成物およびフォトレジスト - Google Patents

フォトレジスト用樹脂、フォトレジスト用樹脂組成物およびフォトレジスト Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、フォトレジスト樹脂中の昇華物による生産ラインの汚染を低減し、それにより生産性を向上することができるフォトレジスト用樹脂、フォトレジスト用樹脂組成物、およびそれを用いたフォトレジストを提供することである。
【解決手段】本発明のフォトレジスト用樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒の存在下で反応させて得られるフォトレジスト用フェノール樹脂であって、前記フェノール類が、オルソクレゾールを必須成分として含有することを特徴とするものである。
また、本発明のフォトレジスト用樹脂組成物は、上記フォトレジスト用樹脂、感光剤、および溶剤を含むことを特徴とするものである。
また、本発明のフォトレジストは、上記フォトレジスト用樹脂と、感光剤とを含むことを特徴とするものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトレジスト用樹脂、フォトレジスト用樹脂組成物およびフォトレジストに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にポジ型フォトレジストにはナフトキノンジアジド化合物等のキノンジアジド基を有する感光剤とアルカリ可溶性樹脂(例えばノボラック型フェノ−ル樹脂)が用いられている。このような組成からなるポジ型フォトレジストは、露光後にアルカリ溶液による現像によって高い解像力を示し、IC、LSI等の半導体製造、LCDなどの表示画面機器の製造および印刷原版の製造などに利用されている。また、ノボラック型フェノ−ル樹脂はプラズマドライエッチングに対し、芳香環を多く持つ構造に起因する高い耐熱性も有しており、これまでノボラック型フェノ−ル樹脂とナフトキノンジアジド系感光剤とを含有する数多くのポジ型フォトレジストが開発、実用化され、大きな成果を挙げてきている。
【0003】
ポジ型フォトレジストには、メタ・パラクレゾ−ルとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させて得られたノボラック型フェノ−ル樹脂が一般に使用されている。そして、フォトレジストの特性を調整または向上させるために、フェノ−ル樹脂中のメタ・パラクレゾ−ルの比率や分子量、分子量分布などの検討がなされてきた。
しかし、メタ・パラクレゾールとホルムアルデヒドから一般的方法により得られた樹脂を適用したフォトレジストでは、例えば、LCDの製造において、フォトレジスト中の樹脂成分(主に2核体成分)が昇華することにより、その昇華物が生産ラインに堆積・汚染し、製品の歩留まり低下を引き起こす原因となっている。このため、フェノール樹脂の2核体成分の低減要求が非常に高くなってきている。従来の低ダイマー樹脂は溶剤分画などの手法(例えば、特許文献1参照)、水蒸気蒸留による除去(例えば、特許文献2参照)などで合成されている例があるが、廃棄物を多く出しかつ合成に多大な時間がかかるため、安価に製造することができない。
【特許文献1】
特表2001−50694号公報
【特許文献2】
特開平11−246643公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フォトレジスト樹脂中の昇華物による生産ラインの汚染を低減し、それにより生産性を向上することができるフォトレジスト用樹脂、フォトレジスト用樹脂組成物およびそれを用いたフォトレジストを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(8)記載の本発明により達成される。
(1)フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させて得られるフォトレジスト用フェノール樹脂であって、前記フェノール類が、オルソクレゾールを必須成分として含有することを特徴とするフォトレジスト用樹脂。
(2)前記フェノール類が、更にパラクレゾールを含むものである第(1)に記載のフォトレジスト用樹脂。
(3)前記フェノール類が、更にメタクレゾール、2,3−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノールから選ばれる少なくとも1種以上を含むものである第(1)または(2)に記載のフォトレジスト用樹脂。
(4)前記オルソクレゾールの含有量は、フェノール類全体の30〜90重量%である第(1)ないし(3)のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂。
(5)前記フォトレジスト用樹脂の重量平均分子量は、1,000〜100,000である第(1)ないし(4)のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂。
(6)前記フォトレジスト用樹脂の2核体成分の含有量は、樹脂全体の5%以下である第(1)ないし(5)のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂。
(7)第(1)ないし(6)のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂、感光剤,および溶剤を含むことを特徴とするフォトレジスト用樹脂組成物。
(8)第(1)ないし(6)のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂と、感光剤とを含むことを特徴とするフォトレジスト。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフォトレジスト用樹脂、フォトレジスト用樹脂組成物およびフォトレジストについて詳細に説明する。
本発明のフォトレジスト用樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させて得られるフォトレジスト用フェノール樹脂であって、前記フェノール類が、オルソクレゾールを必須成分として含有することを特徴とするものである。
また、本発明のフォトレジスト用樹脂組成物は、上記フォトレジスト用樹脂、感光剤、および溶剤を含むことを特徴とするものである。
また、本発明のフォトレジストは、上記フォトレジスト用樹脂と、感光剤とを含むことを特徴とするものである。
【0007】
まず、フォトレジスト用樹脂について説明する。
本発明のフォトレジスト用樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒存在下で反応させて得られるものである。
前記フェノール類は、オルソクレゾールを必須成分として含有する。これにより、フォトレジスト樹脂中の昇華物を低減することができる。
前記オルソクレゾールの含有量は、特に限定されないが、フェノール類全体の30〜90重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。前記範囲内で2核体の含有量が少ない樹脂を得ることができる。含有量が前記下限値未満であると昇華物を低減できる効果が低下する場合があり、前記上限値を超えるとフォトレジストの膜減り特性が低下する場合がある。
【0008】
前記フェノール類は、特に限定されないが、更にパラクレゾールを含むことが好ましい。これにより、フォトレジスト用樹脂の耐熱性を向上することができる。
従来、フォトレジスト用樹脂には、メタクレゾールと、パラクレゾールが用いられていた。しかし、これらからなるフォトレジスト用樹脂では、樹脂中の昇華物が多く、生産性に劣っていた。
これに対し、本願発明では、オルソクレゾールとパラクレゾールとを用いることにより、樹脂中の昇華物をより低減し、かつ耐熱性を向上することができるものであります。
【0009】
前記パラクレゾールの含有量は、特に限定されないが、フェノール類全体の5〜60重量%が好ましく、特に30〜50重量%が好ましい。含有量が前記範囲内で、特に樹脂中の昇華物の低減および耐熱性を向上することができる。
【0010】
前記フェノール類は、特に限定されないが、更にメタクレゾール、2,3−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノールから選ばれる少なくとも1種以上を含むことが好ましい。これにより、フォトレジスト用樹脂から得られるフォトレジストの膜減り量を改善することができる。
前記メタクレゾール等から選ばれる1種以上のフェノール類の含有量は、特に限定されないが、フェノール類全体の1〜30重量%が好ましく、特に5〜20重量が好ましい。含有量が前記下限値未満であると膜減り量を改善する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えるとダイマー量が5%を超える場合がある。
【0011】
前記アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド等あるいはこれらの混合物を用いることができる。また、これらのアルデヒド類の発生源となる物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することもできる。
【0012】
前記酸性触媒としては、例えば塩酸、硫酸、燐酸、ホウ酸などの無機酸類、シュウ酸、酢酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸類があげられ、特に限定されることなく単独及び混合して使用することができるが、モノマ−除去時に分解、昇華などにより反応系から容易に除去できるものが好ましい。使用量については触媒の種類により異なるため、特に限定されないが、反応系内のpHが1〜6の範囲になる量を設定することが好ましい。
【0013】
前記フェノール類とアルデヒド類との比は、特に限定されないが、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比0.5〜1.8が好ましく、特に0.7〜1.6が好ましい。前記範囲内においてフォトレジスト用樹脂の耐熱性、感度を特に向上することができる。モル比が前記下限値未満であるとフォトレジスト用樹脂の分子量が低下し、耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えるとフォトレジストの感度が低下する場合がある。
【0014】
次に、本発明におけるフォトレジスト用樹脂の反応の一例を説明する。
フォトレジスト用樹脂の反応は、攪拌機、温度計および熱交換器を備えた反応釜に、フェノ−ル類と、アルデヒド類と、酸性触媒とを配合し、反応を開始する。
反応温度および時間は、特に限定されないが、安定かつ経済的に製造可能な条件として反応時間で2〜6時間、反応温度で60〜100℃が好ましい。
また、必要によって反応溶剤を添加使用することもできる。溶剤の種類は特に限定されないが、フェノ−ル樹脂を溶解する溶剤であればよく、具体的にはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ブタノ−ルなどのアルコ−ル類、エトキシエタノ−ルなどのエ−テルアルコ−ル類などが挙げられる。
【0015】
反応終了後、常圧下及び減圧下で脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂を得ることができる。脱水・脱モノマ−の条件は、特に限定されないが、得られたフェノ−ル樹脂の性状を考慮すると、減圧度は、0.1〜200torr程度で行うのが好ましく、反応釜からの取り出し温度は、150〜250℃で行うのが好ましい。
【0016】
本発明のフォトレジスト用樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、1,000〜100,000が好ましく、特に2,000〜18,000が好ましい。重量平均分量が前記下限値未満であると耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えるとフォトレジストの感度が低下する場合がある。
【0017】
本発明のフォトレジスト用樹脂の2核体成分の含有量は、特に限定されないが、5%以下が好ましく、特に4%以下が好ましい。含有量が前記上限値を超えると昇華物を低減することにより、生産性を向上する効果が低下する場合がある。
【0018】
前記重量平均分子量および2核体成分の含有量は、例えば以下の方法で評価することができる。重量平均分子量および2核体成分の含有量は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC測定)により測定した。重量平均分子量は、ポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線をもとに計算した。2核体成分の含有量は、分子量分布曲線から、樹脂全体に対する2核体成分の面積比率(%)により算出した。GPC測定はテトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で実施した。装置は、本体:TOSOH製HLC−8020、検出器:波長280nmにセットしたTOSOH製UV−8011、分析用カラム:昭和電工製SHODEX KF−802 1本、KF−803 1本、KF−805 1本、を使用した。
【0019】
本発明のフォトレジスト用樹脂において、使用時に昇華物となる2核体成分の含有量を低減できる理由としては、フェノール類にオルソクレゾールとパラクレゾールとを用いた場合、アルデヒド類との反応性の差が小さいため、反応が不充分なクレゾールの低分子量成分が残りにくいためと考えられる。
これに対し、従来用いられていたメタクレゾールと、パラクレゾールの場合は、メタクレゾールの反応性が非常に大きいため、パラクレゾールがホルムアルデヒドと反応が困難であった。その結果、2核体成分の含有量が多くなっていると考えられる。
【0020】
本発明は、安価に合成できる2核体成分の含有量が少ないフォトレジスト用ノボラック型フェノール樹脂に関するものである。本発明のフェノール樹脂は、昇華物が少なく、製品の歩留まりを向上させることができ、半導体や液晶表示画面(LCD)などを製造する際のリソグラフィ−に好適に使用することができる。
【0021】
次に本発明のフォトレジスト用樹脂組成物について、説明する。
本発明のフォトレジスト用樹脂組成物は、上述のフォトレジスト用樹脂、感光剤、および溶剤を含むことを特徴とするものである。
【0022】
前記感光剤としては、特に限定されないが、例えば1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等が挙げられ、好ましくは、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸とのエステル化物、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸とのエステル化物などが挙げられる。
【0023】
前記溶剤としては、特に限定されないが、例えばアルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類などを挙げることができ、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メトキシエチルプロピオネート、エトキシエチルプロピオネート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトンなどが挙げられる。
【0024】
以下に、本発明のフォトレジスト用樹脂組成物の製造方法を説明する。まず、フォトレジスト用樹脂と感光剤とを、溶剤に溶解する。溶解は、通常室温程度の温度条件下、各成分が十分溶解する時間(例えば6〜12時間)、攪拌する事により溶解させる。
溶解終了後、フィルター(ろ過精度が0.1μm以下のポリテトラフルオロエチレンフィルタ−などが好ましい)などを利用して異物を除去し、あらかじめ異物、金属不純物などが除去された容器に充填、梱包する。充填する際は、クラス100以下のクリーンルーム内で、人間が関与しない自動充填装置などを使用することが好ましい。
【0025】
次に本発明のフォトレジストについて、説明する。
本発明のフォトレジストは、本発明のフォトレジスト用樹脂と、感光剤とを含むことを特徴とする。
本発明のフォトレジストは、上述のフォトレジスト用樹脂組成物を用いてスピンコーター等で膜を形成して得ることができる。
そして、フォトレジストを現像、洗浄等することにより、実用に供することができる。このようにして得られたフォトレジストは、膜減り特性に特に優れたものである。
【0026】
【実施例】
以下本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、ここに記載されている「部」及び「%」はすべて「重量部」及び「重量%」を示す。
《実施例1》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにオルソクレゾール990部、パラクレゾ−ル720部、メタクレゾール90部(オルソクレゾール/パラクレゾール/メタクレゾール=55/40/5)、37%のホルマリン1419部(フェノール類に対するホルムアルデヒドの仕込みモル比、(「以後「モル比」」という、1.05)及びシュウ酸18部を仕込み、98〜102℃で6時間反応を行った。その後、常圧下で内温170℃まで脱水し、さらに60torrの減圧下で195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂2,000部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は3,400、2核体成分2.7%、遊離モノマ−は1.0%であった。
【0027】
《実施例2》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにオルソクレゾール1080部、パラクレゾ−ル540部、3,4−キシレノール180部(オルソクレゾール/パラクレゾール/3,4−キシレノール=60/30/10)、37%のホルマリン1443部(モル比1.08)及びシュウ酸18部を仕込み、98〜102℃で6時間反応を行った。その後、常圧下で内温170℃まで脱水し、さらに60torrの減圧下で195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂2000部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は2,400、2核体成分1.9%、遊離モノマ−は0.9%であった。
【0028】
《実施例3》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにオルソクレゾール990部、パラクレゾ−ル540部、3,4−キシレノール180部、メタクレゾール(オルソクレゾール/パラクレゾール/メタクレゾール/3,4−キシレノール=55/30/5/10)、37%のホルマリン1336部(モル比1.00)及びシュウ酸18部を仕込み、98〜102℃で6時間反応を行った。その後、常圧下で内温170℃まで脱水し、さらに60torrの減圧下で195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂1800部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は2,900、2核体成分3.2%、遊離モノマ−は0.9%であった。
【0029】
《実施例4》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにオルソクレゾール990部、パラクレゾ−ル720部、メタクレゾール90部(オルソクレゾール/パラクレゾール/メタクレゾール=55/40/5)、37%のホルマリン1419部(モル比0.70)及びシュウ酸18部を仕込み、98〜102℃で6時間反応を行った。その後、常圧下で内温170℃まで脱水し、さらに60torrの減圧下で195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂1,800部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は1,500、2核体成分4.5%、遊離モノマ−は1.5%であった。
【0030】
《実施例5》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにオルソクレゾール990部、パラクレゾ−ル720部、メタクレゾール90部(オルソクレゾール/パラクレゾール/メタクレゾール=55/40/5)、37%のホルマリン2432部(モル比1.80)及びシュウ酸18部を仕込み、98〜102℃で6時間反応を行った。その後、常圧下で内温170℃まで脱水し、さらに60torrの減圧下で195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂2100部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は95,000、2核体成分0.8%、遊離モノマ−は0.8%であった。
【0031】
《実施例6》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにオルソクレゾール1620部、パラクレゾール90部、3,4−キシレノール90部(オルソクレゾール/パラクレゾール/3,4−キシレノール=90/5/5)、37%のホルマリン1478部(モル比1.10)及びシュウ酸18部を仕込み、100℃で6時間反応を行った。その後、常圧下で内温170℃まで脱水し、さらに60torrの減圧下で195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂1,800部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は8,000、2核体成分1.0%、遊離モノマ−は1.0%であった。
【0032】
《実施例7》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにオルソクレゾール540部、パラクレゾ−ル1080部、3,4−キシレノール180部(オルソクレゾール/パラクレゾール/3,4−キシレノール=30/60/10)、37%のホルマリン1344部(モル比1.00)及びシュウ酸18部を仕込み、100℃で6時間反応を行った。その後、常圧下で内温170℃まで脱水し、さらに60torrの減圧下で195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂2,000部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は2,800、2核体成分4.0%、遊離モノマ−は1.2%であった。
【0033】
《実施例8》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにオルソクレゾール1080部、パラクレゾール180部、3.4−キシレノール270部(オルソクレゾール/パラクレゾール/3,4−キシレノール=60/10/30)、37%のホルマリン1274部(モル比1.00)及びシュウ酸18部を仕込み、100℃で6時間反応を行った。その後、常圧下で内温170℃まで脱水し、さらに60torrの減圧下で195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂2000部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は2,600、2核体成分1.8%、遊離モノマ−は1.0%であった。
【0034】
《比較例1》
攪拌機、温度計、熱交換器のついた5Lの四つ口フラスコにメタクレゾ−ル800部、パラクレゾ−ル1200部(メタクレゾール/パラクレゾール=40/60)、37%ホルマリン811部(モル比0.54)、シュウ酸10部を仕込み、98〜102℃で4時間還流反応を行った後、常圧下で脱水を行い内温140℃まで上昇させ、次いで80Torrの減圧下で内温195℃まで脱水・脱モノマ−を行い、フォトレジスト用フェノ−ル樹脂1400部を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は3,600、2核体成分12.2%、遊離モノマ−1.8%であった。
【0035】
《評価方法1》昇華性試験評価方法
得られたフェノール樹脂をエチルセロソルブアセテートに溶解して、25%の樹脂溶液を調製し、3インチシリコンウエハ上に約1μmの厚みになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で100秒間乾燥させた。この乾燥時に、シリコンウエハをシャーレで覆い昇華物を捕集した。この作業を10枚分行い、シャーレに付着した物質の重量を測定した。乾燥前のシリコンウエハに塗布された樹脂溶液の総量は、約500mgである。
【0036】
《評価方法2》膜減り率測定方法
得られたフェノール樹脂100部、感光剤(2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとのエステル化物)30部をエチルセロソルブアセテート390部に溶解しフォトレジスト用樹脂組成物を調製した。調製した溶液を3インチシリコンウエハ上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で100秒間乾燥させた。そのウエハを現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸した後、水で洗浄し、110℃のホットプレート上で100秒間乾燥させた。現像液に浸した時の膜厚の減少量を現像液に浸す前の膜厚に対して百分率で表し、膜減り率とした。
【0037】
実施例、比較例の配合及び得られたフェノール樹脂の評価結果を表1に示す。
【表1】
Figure 2004115728
【0038】
実施例1〜7ではいずれも、オルソクレゾール、パラクレゾール、フェノール類(A)との重量比、及びホルムアルデヒドとフェノール源とのモル比をいずれも適切な範囲で用いており、2核体成分の含有量が5%以下、Mw=1,000〜100,000のフェノール樹脂が得られ、これらの樹脂を用いた昇華物捕集試験は良好な結果となった。
一方、比較例1ではフェノール類の重量比が適切ではなく、2核体成分の含有量が多いフェノール樹脂となり、捕集された昇華物量も多くなった。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、フォトレジスト樹脂中の昇華物による生産ラインの汚染を低減し、それにより生産性を向上することができるフォトレジスト用樹脂、フォトレジスト用樹脂組成物、およびそれを用いたフォトレジストを提供することができる。

Claims (8)

  1. フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させて得られるフォトレジスト用フェノール樹脂であって、
    前記フェノール類が、オルソクレゾールを必須成分として含有することを特徴とするフォトレジスト用樹脂。
  2. 前記フェノール類が、更にパラクレゾールを含むものである請求項1に記載のフォトレジスト用樹脂。
  3. 前記フェノール類が、更にメタクレゾール、2,3−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノールから選ばれる少なくとも1種以上を含むものである請求項1または2に記載のフォトレジスト用樹脂。
  4. 前記オルソクレゾールの含有量は、フェノール類全体の30〜90重量%である請求項1ないし3のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂。
  5. 前記フォトレジスト用樹脂の重量平均分子量は、1,000〜100,000である請求項1ないし4のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂。
  6. 前記フォトレジスト用樹脂の2核体成分の含有量は、樹脂全体の5%以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂、感光剤、および溶剤を含むことを特徴とするフォトレジスト用樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし6のいずれかに記載のフォトレジスト用樹脂と、感光剤とを含むことを特徴とするフォトレジスト。
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