JP3632420B2 - ポジ型レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アルカリ可溶性ノボラック樹脂を含有するポジ型レジスト組成物に関し、特に紫外線、遠紫外線に感応する高集積回路作製用レジストとして好適なポジ型レジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポジ型レジストは、集積回路の製造において多く用いられているが、近年における集積回路の高集積化に伴って、より解像度の向上したレジストパターンを形成できるポジ型レジストが望まれている。
一般にポジ型レジストの解像度を向上させる方法として、キノンジアジド化合物の添加量を増やすことがある。しかしながら、キノンジアジド化合物の添加量を増やすと現像性が悪化し易い。他方、解像度の向上を図る方法としてステッパーの開口係数(NA)を大きくする方法があるが、この場合には焦点深度(フォーカス許容性)が狭くなりがちである。
また、ラインアンドスペース(L/S)パターンと異なって、コンタクトホール(C/H)パターンを形成させる場合、集積度の向上によって超解像技術の1種であるハーフトーン露光を採用することがある。この場合、従来のレジストを用いると光の漏れによる“サイドローブ”と呼ばれるパターン欠陥が発生し、デバイスの歩留り低下を招く恐れがある。このハーフトーン露光に適応したC/H用ポジ型レジストが望まれている。
【0003】
【発明が解決すべき課題】
そこで、本発明の目的は、新規なポジ型レジスト組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、C/Hパターンでのスカムの発生が有効に抑制され、現像性に優れ、良好なサイドローブマージン、露光余裕を備えたポジ型レジストとして好適な組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、前記の目的は、
(A)下記一般式(1):
【0005】
【化4】
[式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基または水酸基である。]
で表されるフェノール化合物、
(B)m−クレゾールと下記一般式(2):
【0006】
【化5】
[式(2)中、nは2または3の整数である。]
で表されるフェノール化合物とからなり、 m−クレゾールの割合が全フェノール化合物中の50〜90モル%であるフェノール化合物の混合物を、アルデヒド化合物と縮合させて得られるアルカリ可溶性ノボラック樹脂、および
(C)下記式(3):
【0007】
【化6】
[式(3)中、X1およびX2は、独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基または水酸基であり、Y1〜Y8は、独立に、水素原子またはアルキル基である。]
で表されるフェノール化合物の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
を含有してなるポジ型レジスト組成物によって達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
(A)フェノール化合物
本発明に使用される前記一般式(1)で表されるフェノール化合物(以下、「フェノール化合物(A)という。)において、Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられ、Rのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素原子数1〜4のアルコキシ基ばあげられる。
フェノール化合物(A)において、Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられ、Rのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素原子数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
フェノール化合物(A)としては、例えば、下記に示す構造の化合物が好ましい。
【0009】
【化7】
特に、式(1−1)および(1−2)で表されるフェノール化合物が好ましい。これらのフェノール化合物(A)は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
フェノール化合物(A)の配合量は、後述する(B)成分であるアルカリ可溶性ノボラック樹脂100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、10〜30重量部がより好ましい。フェノール化合物(A)の配合量が少なすぎると得られる組成物の感度、解像度、サイドローブマージン等のレジスト性能が極端に低下し、多すぎると現像性、耐熱性などのレジスト性能が低下する。
これらのフェノール化合物(A)は、公知の合成法(例えば、特開平4−364147号公報参照)によって、容易に得られる。
【0010】
(B)アルカリ可溶性ノボラック樹脂
本発明において(B)成分として用いられるアルカリ可溶性ノボラック樹脂(以下、「ノボラック樹脂(B)」という)は、m−クレゾールと前記一般式(2)で表わされるフェノール化合物とをアルデヒド化合物と縮合して得られる樹脂であって、m−クレゾールの割合が全フェノール化合物中の50〜90モル%であるフェノール化合物の混合物を、アルデヒド化合物と、縮合させて得られる。m−クレゾールの割合が50モル%未満であると、組成物の感度、現像性が悪化し、90モル%を超えると解像度、サイドローブマージンが低下する。
前記縮合反応させる際の、m−クレゾールの割合が全フェノール化合物中の60〜80モル%であることが好ましい。
ノボラック樹脂(B)の合成に使用される前記一般式(2)で表わされるフェノール化合物としては、例えば、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールおよび2,3,5−トリメチルフェノールなどを挙げることができ、中でも好ましいものは、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、3,4−キシレノールおよび2,3,5−トリメチルフェノールである。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0011】
また、フェノール化合物の好ましい組み合わせとしては、m−クレゾール/2,3−キシレノール、m−クレゾール/2,4−キシレノール、m−クレゾール/2,3−キシレノール/3,4−キシレノール、m−クレゾール/2,3,5−トリメチルフェノールおよびm−クレゾール/2,3−キシレノール/2,3,5−トリメチルフェノールなどを挙げることができる。
縮合させるアルデヒド化合物としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド等を挙げることができる。これらのうち、特に、ホルムアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒドを好適に用いることができる。これらのアルデヒド化合物も1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合におけるアルデヒド化合物の使用量は、フェノール化合物1モルに対し0.4〜2モルが好ましく、より好ましくは0.6〜1.5モルである。
【0012】
フェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合反応には、通常、酸性触媒が使用される。この酸性触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの酸性触媒の使用量は、通常、フェノール化合物1モルに対し、1×10−5〜5×10−1モルである。
縮合反応においては、通常、反応媒質としてホルムアルデヒド水溶液に存在する水が使用されるが、反応初期から不均一系になる場合は、反応媒質として例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類等の有機溶剤を用いることができる。これらの反応媒質の使用量は、通常、フェノール成分とアルデヒド成分との合計100重量部当り、20〜1,000重量部である。
縮合反応の温度は、原料の反応性に応じて適宜調整することができるが、通常10〜200℃である。
反応方法としては、フェノール化合物、アルデヒド化合物、酸性触媒等を一括して反応容器に仕込む方法、および予め酸性触媒を反応容器に仕込んでおき、その存在下にフェノール化合物、アルデヒド化合物等を反応の進行とともに加えていく方法等を適宜採用することができる。
【0013】
縮合反応終了後に生成したノボラック樹脂(B)を回収するには、系内に存在する未反応原料、酸性触媒、反応媒質等を除去するために、反応温度を130℃〜230℃に上昇させ、減圧下で揮発分を除去し、ノボラック樹脂を回収する方法、得られたノボラック樹脂をエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、ジオキサン、メタノール、酢酸エチル等の良溶媒に溶解したのち、水、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の貧溶媒を混合し、次いで、析出する樹脂溶液層を分離し、高分子量のノボラック樹脂を回収する方法を利用することができる。
ノボラック樹脂(B)のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、本発明の組成物を基材へ塗布する際の作業性、レジストとして使用する際の現像性、感度および耐熱性が良好である点から、2,000〜20,000であることが好ましく、3,000〜15,000であることが特に好ましい。
【0014】
(C)キノンジアジドスルホン酸エステル化合物
本発明に(C)成分として使用される1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル化合物(以下、「キノンジアジド化合物(C)」という)は、前記一般式(3)で表されるフェノール化合物の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステルであり、感光剤として作用する。
式(3)における、X1およびX2のアルキル基及びアルコキシ基としては、式(1)におけるRのアルキル基およびアルコキシ基として例示した基が挙げられる。
また、Y1〜Y3のアルキル基としては、式(1)におけるRのアルキル基として例示した基が挙げられる。
一般式(3)で表されるフェノール化合物としては、例えば、下記式に示す化合物が挙げられる。
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】
【化10】
【0018】
特に、式(3−1)、(3−5)、(3−6)で表されるフェノール化合物の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが好ましい。
該1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとしては、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが好ましい。
キノンジアジド化合物(C)は、一般式(3)のフェノール化合物とキノンジアジドスルホニルクロリドとを塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られる。通常、一般式(3)のフェノール化合物が有する全水酸基に対するキノンジアジドスルホン酸エステルの割合(平均エステル化率)は、5%以上95%以下であり、好ましくは20%〜90%である。平均エステル化率が低すぎると、良好なパターン形成が難しく、高すぎると得られる組成物の感度の低下を招くことがある。
また、上記キノンジアジド化合物(C)の配合量は、ノボラック樹脂100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部である。
【0019】
その他の成分
本発明の組成物には、上記の必須成分(A)〜(C)の他に、必要に応じて他の成分を添加することができ、例えば、次のようなものが挙げられる。
他の感光剤
本発明においては、キノンジアジド化合物(C)以外のキノンジアジドスルホン酸エステル化合物(以下、「キノンジアジド化合物(d)」という。)を感光剤として用いることもできる。例えば、下記に示す構造のフェノール化合物の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが挙げられる。ここで1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとしては、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが挙げられる。
【0020】
【化11】
[式中、Z1〜Z15は独立に水素原子、アルキル基または水酸基である。但し、Z1〜Z5、Z6〜Z10およびZ11〜Z15の各群において、少なくとも1つは水酸基である。R1〜R3は、独立に、水素原子またはアルキル基である。
【0021】
【化12】
[式中、Z16〜Z29は前記Z1〜Z15に関し定義の通りであり、Z16〜Z19およびZ20〜Z24の各群において少なくとも1つは水酸基である。R4は、水素原子またはアルキル基である。]
【0022】
【化13】
[式中、Z30〜Z42は、前記Z1〜Z15に関し定義の通りであり、Z30〜Z34およびZ35〜Z37の各群において少なくとも1つは水酸基である。R5〜R8は、前記R1〜R3に関し定義の通りである。]
【0023】
【化14】
[式中、Z43〜Z64は、前記Z1〜Z15に関し定義の通りであり、Z43〜Z47、Z48〜Z52、Z53〜Z57およびZ58〜Z62の各群において少なくとも1つは水酸基である。]
【0024】
これらのキノンジアジド化合物(d)は、2種以上組み合わせて使用しても良く、その配合量は、ノボラック樹脂(B)100重量部に対して、5〜30重量部である。
また、レジスト組成物中のキノンジアジド基の含有量は、固形分に対する割合として、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%となるように調節される。
【0025】
界面活性剤
界面活性剤は、組成物の塗布性や現像性を改良するために配合することができる。界面活性剤の配合量は、界面活性剤を除いた組成物の固形分100重量部当たり、好ましくは界面活性剤の有効成分が2重量部以下である。
さらに本発明の組成物には、レジストの放射線照射部の潜像を可視化させ、放射線照射時のハレーションの影響を少なくするために、染料や顔料を配合することができ、また接着性を改善するために接着助剤を配合することもできる。さらに必要に応じて保存安定剤、消泡剤等も配合することもできる。
【0026】
溶剤
本発明の組成物には通常溶剤に溶解した溶液状態で使用される。全固形分の濃度が、例えば、20〜40重量%となるように溶剤に溶解し、孔径0.2μm程度のフィルターで濾過することによって調製される。
この際に用いられる溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等を挙げることができる。さらに、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を添加することもできる。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
【0027】
レジスト被膜の形成
溶液として調製された本発明の組成物は、これを回転塗布、流延塗布、ロール塗布等によって、例えばシリコンウエハーまたはアルミニウム等が被覆されたウエハーに塗布される。次いでこれをプレベークすることによりレジスト被膜を形成し、所望のレジストパターンを形成するようにレジスト被膜に放射線を照射し、現像液で現像することによりパターンの形成が行われる。
この際用いられる放射線としては、g線、i線等の紫外線が好ましく用いられるが、エキシマレーザー等の遠紫外線等の各種放射線を用いることもできる。
また本発明の組成物は、レジスト被膜を形成し、プレベークおよび放射線照射を行った後、70〜140℃で加熱する操作(以下、「ポストベーク」という。)を行い、その後に現像することによって、本発明の効果をさらに向上させることもできる。
【0028】
上記レジスト被膜に対し使用する現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を、濃度が、例えば1〜10重量%となるように水に溶解してなるアルカリ性水溶液が使用される。該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類や界面活性剤を適量添加することもできる。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合は、一般的には、現像後、水で洗浄する。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって、なんら制約されるものではない。なお、実施例中のMwの測定およびレジストの評価は、以下の方法により行った。
Mw:
東ソー社製GPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本、G4000HXL:1本)を用い、流量:1.0ml/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ法により測定した
感度:
透過率8%のハーフトーン型位相シフトマスクを介して露光し、ピッチ1:1の0.40μmのマスクを用いて、0.35μmのC/Hパターンを解像するときの露光量(適正露光量)を感度とした。
【0030】
現像性:
組成物のレジスト被膜を形成し、0.35μmのC/Hパターン形成後のスカムや現像残りの程度を走査型電子顕微鏡を用いて調べた。
フォーカス許容性:
走査型電子顕微鏡を用い、適正露光量において解像される0.35μmのC/Hパターンの寸法が、マスクの設計寸法の±10%以内となる場合のフォーカスの振れ幅をフォーカスレンジとした。
露光マージン:
適正露光量(Eop)を0.35μmのC/Hパターンが解像し始めるときの露光量(Ec)で割った値を露光マージンとした。その値が大きいことは、良好な露光マージンを有していることを意味する。
サイドローブマージン:
0.40μmのマスクを用いて、ハーフトーン露光し、C/Hパターンを形成した際、そのパターンの周辺にサイドローブが発生する時の露光量(Elim)をEopで割った値をサイドローブマージンとした。その値が大きいことは、良好なサイドローブマージンを有していることを意味する。
【0031】
〈ノボラック樹脂(B)の合成〉
合成例1
冷却管と攪拌装置を装着した2Lのセパラブルフラスコに、m−クレゾール 129.6g(1.2モル)、2,3−キシレノール 73.2g(0.6モル)、3,4−キシレノール 24.4g(0.2モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液 141.9g(ホルムアルデヒド:1.75モル)、p−トルエンスルホン酸1水和物 5.7g(0.03モル)およびメチルイソブチルケトン 568gを仕込み、内温を90〜100℃に保持して攪拌しながら8時間縮合を行った。得られたノボラック樹脂を含む溶液をイオン交換水 568gで3回水洗し、ノボラック樹脂(B−1)を得た。この樹脂(B−1)のMwは、5,800であった。
【0032】
合成例2
冷却管と攪拌装置を装着した2Lのセパラブルフラスコに、m−クレゾール 151.2g(1.4モル)、2,4−キシレノール 73.2g(0.6モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液 120.0g(ホルムアルデヒド:1.4モル)、シュウ酸2水和物 12.6g(0.1モル)およびメチルイソブチルケトン 561gを仕込み、合成例1と同様の操作を行い、ノボラック樹脂を得た。この樹脂を樹脂(B−2)という。樹脂(B−2)のMwは4,900であった。
【0033】
合成例3
合成例1で得られたノボラック樹脂(B−1)のメチルイソブチルケトン溶液500gにn−ヘキサン600gを加え、30分間攪拌し、1時間静置した。析出した樹脂層の上澄み液をデカンデーションによって取り除き、乳酸エチルを加え、加熱減圧下で残留メチルイソブチルケトンおよびn−ヘキサンを留去し、乳酸エチルの樹脂溶液を得た。このノボラック樹脂(B−3)のMwは、6,900 であった。
【0034】
合成例4
合成例2で得られたノボラック樹脂(B−2)のメチルイソブチルケトン溶液を使用した以外は、合成例3と同様な操作を行い、ノボラック樹脂(B−4)を得た。この樹脂のMwは、6,700であった。
【0035】
合成例5
2Lのオートクレーブに、m−クレゾール 172.8g(1.6モル)、2,3,5−トリメチルフェノール 54.4g(0.4モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液 142.7g(ホルムアルデヒド;1.76モル)、シュウ酸2水和物 12.6g(0.1モル)およびプロピレングリコールモノメチルエーテル 568gを仕込み、内温を120〜130℃に保持して、攪拌しながら6時間縮合を行った。この樹脂溶液に、酢酸エチル 380g、イオン交換水 665gを加え、30分攪拌した後、1時間静置した。上層をデカンテーションによって、取り除き、さらにイオン交換水 665gを用いて2回水洗した。得られた樹脂溶液に乳酸エチルを加え、加熱減圧下で濃縮し、乳酸エチルの樹脂(B−5)溶液を得た。この樹脂のMwは、6,600であった。
【0036】
〈キノンジアジド化合物(C)の合成〉
合成例6
遮光下で、攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、下記式:
【0037】
【化15】
で表される化合物 29.0g(0.05モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド 40.2g(0.15モル)およびジオキサン 410gを仕込み、攪拌しながら溶解させた。ついで、フラスコを30℃にコントロールされた水浴中に浸し、内温が30℃一定となった時点で、この溶液にトリエチルアミン 17.2g(0.17モル)を内温が35℃を越えないように滴下ロートを用いて加え、同温度で2時間反応させた。その後、析出したトリエチルアミン塩酸塩をろ過により取り除き、濾液を大量の希塩酸水溶液中に注ぎ込んで反応生成物を析出させ、ついで析出物を濾過し、回収し、真空乾燥器中、40℃で一昼夜乾燥してキノンジアジド化合物(C−1)を得た。
【0038】
合成例7
下記式で表される化合物 32.3g(0.05モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド 21.5g(0.08モル)、ジオキサン 240g、N,N−ジメチルホルムアミド 80gおよびトリエチルアミン9.1g(0.09モル)を仕込んだ以外は、合成例6と同様の操作により、キノンジアジド化合物(C−2)を得た。
【0039】
【化16】
【0040】
合成例8
下記式で表される化合物 33.7g(0.05モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド 21.5g(0.08モル)、ジオキサン 330gおよびトリエチルアミン 9.1g(0.09モル)を仕込んだ以外は、合成例6と同様の操作により、キノンジアジド化合物(C−3)を得た。
【0041】
【化17】
【0042】
〈キノンジアジド化合物(d)の合成〉
合成例9
下記式で表される化合物 21.2g(0.05モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド 32.2g(0.12モル)、ジオキサン 320gおよびトリエチルアミン 13.1g(0.13モル)を仕込んだ以外は、合成例6と同様の操作により、キノンジアジド化合物(d−1)を得た。
【0043】
【化18】
【0044】
合成例10
下記式で表される化合物 36.4g(0.1モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド 80.5g(0.3モル)、ジオキサン 585gおよびトリエチルアミン 33.3g(0.33モル)を仕込んだ以外は、合成例6と同様の操作により、キノンジアジド化合物(d−2)を得た。
【0045】
【化19】
【0046】
合成例11
下記式で表される化合物 36.2g(0.1モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド 26.8g(0.1モル)、ジオキサン 378gおよびトリエチルアミン 11.1g(0.11モル)を仕込んだ以外は、合成例6と同様の操作により、キノンジアジド化合物(d−3)を得た。
【0047】
【化20】
【0048】
合成例12
下記式で表される化合物 28.0g(0.05モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド 40.2g(0.15モル)、ジオキサン 408gを仕込んだ以外は、合成例6と同様の操作により、キノンジアジド化合物(d−4)を得た。
【0049】
【化21】
【0050】
実施例1〜10
表1に示す組成で(但し、部は重量部である)、フェノール化合物、ノボラック樹脂(B)、キノンジアジド化合物および溶剤を混合して、均一溶液としたのち、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、組成物の溶液を調製した。
得られた溶液を、シリコン酸化膜を有するシリコンウエハー上にスピンナーを用いて塗布したのち、ホットプレート上で90℃にて2分間プレベークして厚さ0.86μmのレジスト被膜を形成した。ついで、透過率8%のハーフトーン型位相シフトマスクを介して、(株)ニコン社製NSR−2205i12D縮小投影露光機(レンズ開口数=0.57)で波長365nm(i線)を用いて露光し、ホットプレート上で110℃にて1分間ポストベークをした後、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、超純水でリンスし、乾燥し、1:1のピッチの0.40μmのマスク寸法に対して、0.35μmのC/Hパターンを解像させた。得られたC/Hパターンを調べ、各実施例の組成物のパターンとしての特性を評価した。結果を表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1において、フェノール化合物a−3、a−4および溶剤の種類は、次の通りである。
フェノール化合物
a−3:
【0054】
【化22】
a−4:
【0055】
【化23】
【0056】
溶剤
S1:乳酸エチル
S2:3−エトキシプロピオン酸エチル
S3:2−ヘプタノン
【0057】
【発明の効果】
本発明のポジ型レジスト組成物は、C/Hパターンでのスカムの発生が有効に抑制され、現像性に優れ、良好なサイドローブマージンが得られるとともに、露光マージンが改善される。そのため、高集積度の集積回路作製用レジストとして好適に使用できる。
Claims (2)
- (A)下記一般式(1):
[式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基または水酸基である。]
で表されるフェノール化合物、
(B)m−クレゾールと下記一般式(2):
[式(2)中、nは2または3の整数である。]
で表されるフェノール化合物とからなり、 m−クレゾールの割合が全フェノール化合物中の50〜90モル%であるフェノール化合物の混合物を、アルデヒド化合物と縮合させて得られるアルカリ可溶性ノボラック樹脂、および
(C)下記式(3):
[式(3)中、X1およびX2は、独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基または水酸基であり、Y 1 、Y 2 、Y 7 およびY 8 はアルキル基であり、Y 3 、Y 4 、Y 5 およびY 6 は、独立に、水素原子またはアルキル基である。]
で表されるフェノール化合物の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物
を含有してなるポジ型レジスト組成物。
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