JP2004115603A - 難燃性スチレン系樹脂組成物およびそれからの成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた難燃性を有すると同時に、耐熱性、表面外観および機械物性のバランスに優れたスチレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)スチレン系樹脂を少なくとも70重量%含有する樹脂成分(A成分)100重量部、(B)全末端中の95%以上が特定の末端構造を有するハロゲン化カーボネート化合物(B成分)12〜25重量部および(C)無機系難燃助剤(C成分)1〜12重量部からなり、且つ、B成分とC成分の割合が0.2≦c/b≦0.45(b;B成分の重量部、c;C成分の重量部)の範囲である難燃性スチレン系樹脂組成物。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性に優れると共に、耐熱性、表面外観および機械物性に優れたスチレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は、その優れた成形加工性、機械特性、電気特性のゆえに、多方面にわたり使用されている。しかし易燃性であるため、OA機器、家電製品のハウジングおよび電気、電子関係の部品等に用いられる際には、樹脂の難燃化が必要になる。この難燃性に関してはUL規格等により規制されており、近年種々の難燃化の手段が検討されている。その中においても家電製品のハウジング分野では、上記の難燃化規制及び耐熱性、機械物性、耐候性が求められ、これら全ての要求性能を満たすバランスのとれたスチレン系樹脂が求められている。
【0003】
一般に、スチレン系樹脂の難燃化としては、デカブロモジフェニルオキサイドなどのハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンを併用して使用することが知られている(特許文献1および特許文献2参照)。しかしながら、この難燃剤の欠点として流動性の低下、成形品の耐候性の劣化という問題があった。さらに、近年この難燃剤のある条件時に発生するガスの毒性が環境問題として取り上げられている。
【0004】
また、スチレン系樹脂にハロゲン化カーボネート化合物を用いて難燃化することが知られている(特許文献3および特許文献4参照)。しかしながら、グローイングにより安定した難燃性が得られない問題がある。
【0005】
また、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂と三酸化アンチモンを併用して使用することが知られている(特許文献5参照)。しかしながら、この難燃剤の欠点として、満足し得る難燃性を付与する量の難燃剤を添加すると、耐熱性が著しく低下する問題があった。
【0006】
また、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂にポリハロゲン化ジフェニルアルカンを併用して使用することが知られている(特許文献6参照)。しかしながら、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することにより耐熱性が充分でなく、さらに併用難燃剤として使用するポリハロゲン化ジフェニルアルカンのスチレン系樹脂への相溶性が悪いため、表面外観が悪いという問題があった。
【0007】
また、スチレン系樹脂にポリハロゲン化ジフェニルアルカンと三酸化アンチモン及び少量のポリテトラフルオロエチレンを配合することが知られている(特許文献7参照)。しかしながらこの難燃剤では、上記問題点であった耐熱性は改善されるものの、成形品の表面外観が悪く、成形品表面に艶がなく、さらに白色成形品においては白色度が低く、表面外観が求められる用途への使用には問題がある。
【0008】
以上のように、従来の技術の欠点として、スチレン系樹脂の難燃化において、安定した難燃性を保ちつつ、耐熱性と表面外観をバランスよく両立させることが困難であることが挙げられる。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−265942号公報
【特許文献2】
特開昭58−065741号公報
【特許文献3】
特開平06−128435号公報
【特許文献4】
特公昭56−025953号公報
【特許文献5】
特開昭63−072749号公報
【特許文献6】
特開平06−073268号公報
【特許文献7】
特開平08−085750号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解消し、難燃性に優れると共に、耐熱性、表面外観および機械物性に優れたスチレン系樹脂組成物に関するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スチレン系樹脂に難燃剤として特定の一価フェノール化合物により全末端中の95%以上が封止されたハロゲン化カーボネート化合物および難燃助剤を特定の割合にて組み合わせて配合することにより、上記目的を達成することを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明によれば、(A)スチレン系樹脂を少なくとも70重量%含有する樹脂成分(A成分)100重量部、(B)全末端中の95%以上が下記式(1)または下記式(2)で表わされる末端構造を有するハロゲン化カーボネート化合物(B成分)12〜25重量部および(C)無機系難燃助剤(C成分)1〜12重量部からなり、且つ、B成分とC成分の割合が0.2≦c/b≦0.45(b;B成分の重量部、c;C成分の重量部)の範囲である難燃性スチレン系樹脂組成物が提供される。
【0013】
【化4】
Figure 2004115603
【0014】
(式中、Xは臭素原子または塩素原子、nは1〜5の整数を示す。)
【0015】
【化5】
Figure 2004115603
【0016】
(式中、Rは炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基を示す。)
本発明の樹脂成分(A成分)は、スチレン系樹脂(A−1成分)を少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%含有する樹脂成分である。特に好ましくはスチレン系樹脂から実質的になる樹脂成分である。
【0017】
前記スチレン系樹脂(A−1成分)の他に他の樹脂成分(A−2成分)を含有していてもよい。他の樹脂成分(A−2成分)はA成分に基づいて30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。また、A−2成分を使用する場合、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上である。
【0018】
前記スチレン系樹脂(A−1成分)としては、スチレン、α−メチルスチレン及びp−メチルスチレン等のスチレン誘導体の単独重合体又は共重合体、これらの単量体とアクリロニトリル、メチルメタクリレート等のビニルモノマーとの共重合体、ポリブタジエン等のジエン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、アクリル系ゴムなどにスチレン及び/又はスチレン誘導体、又はスチレン及び/又はスチレン誘導体と他のビニルモノマーをグラフト重合させたものである。
【0019】
かかるスチレン系樹脂の具体例としては、例えばポリスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(水添SBS)、水添スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SEPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)等の樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
これらのスチレン系樹脂のなかでも、耐衝撃性ポリスチレンが特に好ましく用いられる。耐衝撃性ポリスチレンは、通常“HIPS”と称される衝撃性の改良されたポリスチレン樹脂である。一般的には、HIPSはゴム変性されたポリスチレン樹脂を意味する。
【0021】
かかるゴム変性ポリスチレン樹脂は主に芳香族ビニル系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体を必須成分とする単量体混合物を加えて公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合または乳化重合することにより得られる。
【0022】
前記ゴム状重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴムおよび上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特にジエン系ゴムが好ましい。
【0023】
上記ゴム状重合体の存在下に重合させるグラフト共重合可能な単量体混合物中の必須成分である芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ましい。
【0024】
上記ゴム変性ポリスチレン樹脂中のゴム状重合体成分は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%である。グラフト共重合可能な単量体混合物は、好ましくは99〜50重量%、より好ましくは98〜60重量%である。この範囲内では得られる樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性および剛性のバランスが向上し、また、不飽和結合が少なく酸化され難くなり熱安定性に優れるため好ましい。
【0025】
上記ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度である還元粘度ηsp/C(0.5g/dlのトルエン溶液を30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.5dl/gであり、より好ましくは0.4〜1.3dl/gであり、さらに好ましくは0.6〜1.1dl/gである。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp/Cに関する上記条件を満たすための手段としては、重合開始材料、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げることができる。還元粘度が高くなると耐熱性および耐衝撃性に優れる。
【0026】
また、A−2成分としての樹脂成分としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。なかでも、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはフェノール樹脂が好適である。
【0027】
本発明で用いられるB成分のハロゲン化カーボネート化合物としては、その全末端中の95%以上が前記式(1)または前記式(2)で表わされる末端構造を有するハロゲン化カーボネート化合物である。特に、前記式(1)で表わされる末端構造を有するものが好ましく、式(1)中、Xは臭素原子が好ましい。
【0028】
かかるハロゲン化カーボネート化合物としては、下記式(3)で表される構成単位が全構成単位の少なくとも60モル%で、比粘度が0.015〜0.1のハロゲン化カーボネート化合物が好適に用いられる。
【0029】
【化6】
Figure 2004115603
【0030】
(式中、Xは臭素原子または塩素原子、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4のアルキリデン基、−SO−または単結合である。)
B成分のハロゲン化カーボネート化合物において、前記式(3)中、Xは臭素原子または塩素原子、好ましくは臭素原子を示し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4のアルキリデン基、−SO−または単結合、好ましくはメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基または−SO−、特に好ましくはイソプロピリデン基を示す。
【0031】
B成分のハロゲン化カーボネート化合物は、前記式(3)で表される構成単位が全構成単位の少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも80モル%、さらに好ましくは少なくとも90モル%である。特に好ましくは前記式(3)で表される構成単位から実質的になるハロゲン化カーボネート化合物である。
【0032】
B成分のハロゲン化カーボネート化合物は、好ましくは比粘度が0.015〜0.1の範囲であり、より好ましくは0.015〜0.08の範囲である。ここで、ハロゲン化カーボネート化合物の比粘度は、温度20℃で濃度0.7g/dlの塩化メチレン溶液でオストワルド粘度計により測定し、次式により算出したものである。
比粘度(ηsp)=(t−t)/t
(tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数)
【0033】
また、B成分のハロゲン化カーボネート化合物は、その末端塩素量が0.3ppm以下であることが好ましく、0.2ppm以下であることがより好ましい。ここで、末端塩素量は、試料を塩化メチレンに溶解し、4−(p−ニトロベンジル)ピリジンを加えて末端塩素(末端クロロホーメート)と反応させ、これを紫外可視分光光度計(日立製作所製U−3200)により測定して求めたものである。末端塩素量が0.3ppm以下であると、ハロゲン化カーボネート化合物自体およびこれを樹脂に配合した樹脂組成物の熱安定性が良好となり好ましい。
【0034】
また、B成分のハロゲン化カーボネート化合物は、その末端水酸基量が、該ハロゲン化カーボネート化合物の構成単位1モルに対して、0.0005モル以下であることが好ましく、0.0003モル以下であることがより好ましい。ここで、末端水酸基量は、試料を重クロロホルムに溶解し、H−NMR法により測定して求めたものである。末端水酸基量がハロゲン化カーボネート化合物の構成単位1モルに対して、0.0005モル以下であると、ハロゲン化カーボネート化合物自体およびこれを樹脂に配合した樹脂組成物の熱安定性が良好となり好ましい。
【0035】
また、前記ハロゲン化カーボネート化合物は、例えば特開2000−297147号公報にて示される方法により製造できる。具体的には、ハロゲン置換二価フェノールを60モル%以上含む二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒および触媒の存在下反応させてハロゲン化カーボネート化合物を製造するに当り、
(1).アルカリ化合物の使用量を該二価フェノールに対して0.9〜1.4倍モル、有機溶媒の使用量を該二価フェノール100gに対して40〜250mlとして、且つ触媒として該二価フェノールに対して0.01〜0.05倍モルのアミン類触媒を存在させた混合液を調製し、
(2).(1)の混合液に、該二価フェノールに対して1.1〜1.8倍モルのホスゲンを添加し、反応系のpHを9〜12の範囲でホスゲン化反応させ、
(3).(2)のホスゲン化後の反応液にアルカリ化合物を添加しpH12以上とし、且つ一価フェノールを添加し、次いで反応温度が37〜45℃の範囲で、且つ該温度範囲での反応時間が10〜120分となる条件で反応させるハロゲン化カーボネート化合物の製造方法が採用できる。
【0036】
本発明で使用されるハロゲン化カーボネート化合物は、上述のようにハロゲン置換二価フェノールを含む二価フェノールとホスゲンとの反応において、末端停止剤として特定の一価フェノールを使用することにより製造することができる。
【0037】
かかる一価フェノールとしては、フェノール、クレゾール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、tert−オクチルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、4−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、2,6−ジブロモフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール等が挙げられ、なかでも、フェノール、tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノールが好ましい。難燃性向上の観点から2,4,6−トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノールが特に好ましく使用される。これらは単独で又は2種以上混合してもよい。
【0038】
これらの一価フェノールにより末端が封止された末端構造の割合はハロゲン化カーボネート化合物の全末端数に対して少なくとも95%、好ましくは98%以上、更に好ましくは99%以上、特に好ましくは実質的に100%であり、このようなハロゲン化カーボネート化合物は化合物自体およびこれを樹脂に配合した樹脂組成物の熱安定性が良好となり、さらに樹脂組成物に関しては難燃性が向上し、安定した難燃性を有する。ここで、末端構造の測定方法としては、試料を重クロロホルムに溶解し、H−NMR法により測定して求めたものである。
【0039】
また、かかるハロゲン化カーボネート化合物は市販されており、例えば帝人化成(株)製のテトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー(商品名FG−8500、FG−7500)が挙げられ、これらを本発明で使用することができる。
【0040】
本発明で使用されるC成分の無機系難燃助剤は、臭素化合物との相互作用により難燃性を増加させるものであり、具体的には、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三酸化硼素、硼酸亜鉛、赤燐等が挙げられ、なかでも三酸化アンチモンおよび五酸化アンチモンが特に好ましい。
【0041】
本発明において、樹脂成分(A成分)100重量部に対するハロゲン化カーボネート化合物(B成分)の配合割合は12〜25重量部であり、好ましくは14〜25重量部であり、さらに好ましくは15〜22重量部である。12重量部未満であると難燃性が不足し好ましくなく、25重量部を超えると機械的物性が著しく低下するうえ、コスト的にも不利となり好ましくない。
【0042】
また、樹脂成分(A成分)100重量部に対する無機系難燃助剤(C成分)の配合割合は1〜12重量部であり、好ましくは3〜12重量部であり、さらに好ましくは5〜12重量部である。1重量部未満であると難燃性が不足し好ましくなく、12重量部を超えると機械物性の低下、あるいはグローイングが発生しやすくなり好ましくない。
【0043】
また、ハロゲン化カーボネート化合物(B成分)と無機系難燃助剤(C成分)との割合は重量比で0.2≦c/b≦0.45(b;B成分の重量部、c;C成分の重量部)の範囲であり、好ましくは0.25≦c/b≦0.45の範囲であり、特に好ましくは0.3≦c/b≦0.4の範囲である。c/bが0.2未満であると燃焼試験時に燃焼時間が長くなり好ましくなく、0.45を越えるとグローイングが発生しやすくなり好ましくない。
【0044】
本発明の樹脂組成物は、これらの各成分を上記配合割合で配合することにより製造される。配合方法は特に制限がなく、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、二軸押出機等により混合混練する方法を適宜用いることができる。
【0045】
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で他の添加剤、例えば、着色剤、顔料、安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、充填剤、補強剤、発泡剤、その他の添加剤を所望により配合することができる。
【0046】
本発明の難燃性樹脂組成物は、家電製品、事務機器、情報機器のハウジング等の種々の成形品を成形する材料として有用である。
【0047】
【実施例】
以下に、実施例および比較例をあげて本発明を説明する。なお、以下の実施例および比較例において、種々のスチレン系樹脂組成物の諸性質を下記の方法により測定し評価した。
(1)難燃性:米国アンダーライターズ・ラボラトリー・インコーポレーション(Underwriters Loboratories Inc.,U.S.A)より出版された「UL94安全規格:機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験」の7〜10項目に記載の94V−2、94V−1、94V−0(以下「V−2」、「V−1」、「V−0」と略する)の基準によった。
(2)荷重たわみ温度(HDT):ISO 75−1〜2記載の方法にて測定した。
(3)衝撃特性:ISO 179によりシャルピー衝撃強度(ノッチ付)を測定した。
(4)曲げ特性:ISO 178により曲げ弾性率を測定した。
(5)外観:高さ90mm×幅50mm×厚み2mm(測色部)の色見本板をJIS Z 8730に従い、色差計(日本電色(株)製SE−2000)を用いてL値、及びb値を測定した。尚、L値は大きい程、b値は小さい程、外観が良好である事を示す。
(6)ハロゲン化カーボネート化合物の比粘度:乾燥した試料0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し、オストワルド粘度計により20℃で測定し、次式により算出した。
比粘度(ηsp)=(t−t)/t
(tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数)
(7)ハロゲン化カーボネート化合物の末端塩素量(クロロホーメート量):乾燥した試料を塩化メチレンに溶解し、4−(p−ニトロベンジル)ピリジンを加えて末端塩素と反応させ、これを紫外可視分光光度計(日立製作所製U−3200)により測定した。検出限界は0.2ppmである。
(8)ハロゲン化カーボネート化合物の末端水酸基量:乾燥した試料を重クロロホルムに溶解し、H−NMR法により測定した。検出限界は、ハロゲン化カーボネート化合物の構成単位1モルに対して0.0003モルである。
(9)ハロゲン化カーボネート化合物の末端封止割合量:乾燥した試料を重クロロホルムに溶解し、H−NMR法により測定した。測定限界(上限)は99.5%である。
【0048】
[実施例1〜4]
スチレン系樹脂(耐衝撃性ポリスチレン樹脂;日本A&M(株)製H−9152)100重量部に対して、ハロゲン化カーボネート化合物としてテトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー(帝人化成(株)製 商品名 FG−8500;比粘度0.029、末端停止剤2,4,6−トリブロモフェノール使用、末端封止割合量 測定限界以上、末端塩素量 検出限界以下、末端水酸基量検出限界以下)および三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製PATOX−M)を表1に示した割合で所定量混合し、シリンダー温度を190℃とした15mmφ2軸押出し機(L/D=30)で溶融押出しペレットを得、次いでこのペレットを用い、(株)日本製鋼所製75トン射出成形機(シリンダー温度210℃、金型温度40℃)により射出成形し、UL−94V(3.0mm)の試験片、曲げ試験、衝撃試験およびHDT試験用(通称ISOバー)、および色見本板(縦90mm×横50mm×厚2mm)の試験片を作成した。これらの試験片を用いて各種の試験に供した。結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
Figure 2004115603
【0050】
[比較例1〜6]
実施例1〜6で使用したスチレン系樹脂、ハロゲン化カーボネート化合物および三酸化アンチモン、さらにハロゲン化カーボネート化合物の代わりにポリハロゲン化ジフェニルエタン(アルベマール社製Saytex8010)または臭素化ビスフェノールAエポキシ樹脂(大日本インキ社製EC−20;平均分子量2000、末端封止剤として2,4,6−トリブロモフェノール使用)を表2に示した割合で所定量混合し、実施例1〜6と同様の手順により試験片を作成し各種の試験に供した。結果を表2に示した。
【0051】
【表2】
Figure 2004115603
【0052】
以上の結果より、本実施例によれば、ハロゲン化カーボネート化合物および無機系難燃助剤を所定量使用することにより、得られたスチレン系樹脂組成物は難燃性に優れると共に、耐熱性、表面外観および機械物性に優れた難燃性樹脂組成物を得ることができた。
【0053】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、難燃性に優れると共に、耐熱性、表面外観および機械物性に優れたトータルバランスの良好な難燃性樹脂組成物を得ることができる。従って、本発明の樹脂組成物は、特に難燃性を要求される分野、具体的には家電製品、事務機器、情報機器のハウジング等に有用である。

Claims (8)

  1. (A)スチレン系樹脂を少なくとも70重量%含有する樹脂成分(A成分)100重量部、(B)全末端中の95%以上が下記式(1)または下記式(2)で表わされる末端構造を有するハロゲン化カーボネート化合物(B成分)12〜25重量部および(C)無機系難燃助剤(C成分)1〜12重量部からなり、且つ、B成分とC成分の割合が0.2≦c/b≦0.45(b;B成分の重量部、c;C成分の重量部)の範囲である難燃性スチレン系樹脂組成物。
    Figure 2004115603
    (式中、Xは臭素原子または塩素原子、nは1〜5の整数を示す。)
    Figure 2004115603
    (式中、Rは炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基を示す。)
  2. A成分の樹脂成分は、耐衝撃性スチレン系樹脂を少なくとも70重量%含有する樹脂成分である請求項1記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  3. B成分のハロゲン化カーボネート化合物は、下記式(3)で表わされる構成単位が全構成単位の少なくとも60モル%で、比粘度が0.015〜0.1のハロゲン化カーボネート化合物である請求項1記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
    Figure 2004115603
    (式中、Xは臭素原子または塩素原子、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4のアルキリデン基、−SO−または単結合である。)
  4. B成分のハロゲン化カーボネート化合物は、前記式(3)において、Xは臭素原子およびRはイソプロピリデン基を示すハロゲン化カーボネート化合物である請求項3記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  5. B成分のハロゲン化カーボネート化合物は、その末端塩素量が0.3ppm以下で、且つその末端水酸基量がハロゲン化カーボネート化合物の構成単位1モルに対して0.0005モル以下である請求項1記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  6. B成分のハロゲン化カーボネート化合物は、全末端中の95%以上が前記式(1)で表わされ、式中Xは臭素原子である末端構造を有する請求項1記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  7. C成分の無機系難燃助剤は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三酸化硼素、硼酸亜鉛および赤リンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性スチレン系樹脂組成物より形成された成形品。
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