JP2004115478A - 分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、写真用カプラー、写真用添加剤、医薬、染料および農薬として、あるいはこれらの中間体として有用な、分子内に2個以上のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸のジエステルを安価、簡便で、かつ高収率に合成できる製造方法を提供することにある。
【解決手段】アルコール類と塩化チオニルを混合し、次いで、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物を加えることを特徴とする、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】アルコール類と塩化チオニルを混合し、次いで、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物を加えることを特徴とする、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真用カプラー、写真用添加剤、医薬、染料および農薬として、あるいはこれらの中間体として有用な分子内に2個以上のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸のジエステルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸ジエステルは写真用カプラー、写真用添加剤、医薬、染料および農薬として、あるいはこれらの中間体として有用であり、これまでもその製造法が研究されてきた。
【0003】
例えば、メタノールにHClガスを吹き込んで35〜40%の塩酸/メタノール溶液を調製した後、この溶液をイミダゾール−4,5−ジカルボン酸に添加する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。また、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸にエタノール還流下にて塩酸ガスを吹き込むことによりジエチルエステル体を合成する方法も知られている(例えば、非特許文献2参照。)。しかしながらこれらの製造方法は操作性、収率の点で改良が望まれた。
一方、メタノール、塩化チオニルとイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を使用して、該ジカルボン酸のジエステル体を製造する方法も知られている(例えば、非特許文献3参照。)。しかしながら、この方法は、中間体に3環性の2量体(4,9−ジオキソ−4,9−ジヒドロジイミダゾ[1,5−a、1’,5’−d]ピラジン−1,6−ジカルボン酸ジメチル)を経由し、該2量体の開環反応によって得る方法であり、開環反応の収率が低く、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジメチはほとんど得られない。
このように、特にカルボキシル基を少なくとも2個有する化合物のエステル化反応は、カルボキシル基が1個の化合物と異なり、操作性に劣ることおよび収率が低いなどの問題があり、汎用性が高く、しかも操作性、収率の点で優れた製造方法が望まれていた。
【0004】
【非特許文献1】
Khim.Reactivov.Prep.,14巻、p.40(1966)
【非特許文献2】
J.Heterocyclic Chem.,1巻,p.275(1964)
【非特許文献3】
日本化学会誌,p.2244(1975)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、前述の問題点を克服し、写真用カプラー、写真用添加剤、医薬、染料および農薬として、あるいはこれらの中間体として有用な、分子内に2個以上のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸のジエステルを安価、簡便で、かつ高収率に合成できる製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討し、以下に示す製造方法で、本発明の上記目的が達成されることを見出した。
1)アルコール類と塩化チオニルを混合し、次いで、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物を加えることを特徴とする、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の製造方法。
2)前記分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物が分子内に少なくとも1つの窒素原子を含む化合物であることを特徴とする1)に記載の製造方法。
3)下記一般式(3)で表される化合物と塩化チオニルを混合し、次いで、下記一般式(2)で表される化合物を加えることを特徴とする、下記一般式(1)で表される化合物の製造方法。
【0007】
【化7】
【0008】
一般式(1)および(2)中、Z1は環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、一般式(1)および(3)中、R1はアルキル基、もしくはアルキレン基を表す。nは1、または2である。nが2のとき、一般式(1)の化合物は下記の一般式(10)で表される環状構造であっても良い。
【0009】
【化8】
【0010】
4)下記一般式(6)で表される化合物と塩化チオニルを混合し、次いで、下記一般式(5)で表される化合物を加えることを特徴とする、下記一般式(4)で表される化合物の製造方法。
【0011】
【化9】
【0012】
一般式(4)および(5)中、Z2はヘテロ原子を2個以上含む5員ヘテロ環を表し、一般式(4)および(6)中、R2はアルキル基、もしくはアルキレン基を表す。nは1、または2である。nが2のとき、一般式(1)の化合物は下記の一般式(11)で表される環状構造であっても良い。
【0013】
【化10】
【0014】
5)下記一般式(9)で表される化合物と塩化チオニルを混合し、次いで、下記一般式(8)で表される化合物を加えることを特徴とする、下記一般式(7)で表される化合物の製造方法。
【0015】
【化11】
【0016】
一般式(7)および(9)中、R3はアルキル基、もしくはアルキレン基を表し、一般式(7)および(8)中、R4は水素原子または置換基を表し、R5は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。nは1、または2である。nが2のとき、一般式(1)の化合物は下記の一般式(12)で表される環状構造であっても良い。
【0017】
【化12】
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の製造方法を詳細に説明する。
まず最初に、本発明で使用する化合物について詳しく説明する。
本発明で製造する化合物は、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物である。分子内に有するアルコキシカルボニル基の数は少なくとも2個であり、この個数は特に制限はない。この個数は好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜3個、更に好ましくは2個である。
分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物として、より好ましくは、分子内に少なくとも1個の窒素原子を有する化合物である。
分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物として、更に好ましい化合物は下記一般式(1)または一般式(10)で表される化合物である。
【0019】
【化13】
【0020】
一般式(1)もしくは一般式(10)において、Z1は環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R1はアルキル基、もしくはアルキレン基を表す。
Z1は、好ましくは炭素数1〜30(好ましくは、炭素数1〜15、更に好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換の環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Z1により形成される環は、単環であっても、多環または縮合環であってもよく、脂肪族環、芳香族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環、芳香族ヘテロ環であってもよい。また、Z1で形成される環の環員数は、好ましくは5〜10員環、更に好ましくは5〜7員環である。Z1で形成される環は、好ましくはシクロアルキル環(例えばシクロヘキサン、シクロペンタン、4−メトキシシクロヘプタン)、ビシクロアルキル環(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン、ビシクロ[2,2,2]オクタン)、シクロアルケン環(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、ビシクロアルケン環(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプトー2―エン、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン))、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン)、ヘテロ環(具体的には脂肪族ヘテロ環(好ましくは5または6員環で例えば、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン)、芳香族ヘテロ環(好ましくは5または6員環で例えばピリジン、ピラジン、トリアジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、トリアゾール、フラン))であり、より好ましくはシクロアルキル環、芳香族炭化水素環、ヘテロ環(すなわち脂肪族ヘテロ環、芳香族ヘテロ環)であり、更に好ましくは芳香族炭化水素環、ヘテロ環(すなわち脂肪族ヘテロ環、芳香族ヘテロ環)であり、これより更に好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、含窒素ヘテロ環(すなわち含窒素脂肪族ヘテロ環、含窒素芳香族ヘテロ環)である。
【0021】
Z1で形成される環の上記より好ましい環は、ヘテロ環であり、ヘテロ原子を1個以上、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2〜3個含むヘテロ環である。最も好ましくは、2個である。このうち該ヘテロ原子の少なくとも1個が窒素原子、より好ましくは少なくとも2個が窒素原子、最も好ましくは2個が窒素原子のものである。また、環員数は5〜6員環(より好ましくは5員環)のものが、好ましく、この組合せにおいて、上記ヘテロ原子の数と窒素原子の関与の関係が、上記の順に好ましい。
【0022】
Z1で形成される環は置換基を有してもよく、該置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。)、
【0023】
アルケニル基(直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
【0024】
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、
【0025】
アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
【0026】
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、
【0027】
スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、
【0028】
カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)がある。
【0029】
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。これらの例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0030】
これらのうち、Z1の置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基およびシリル基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基およびシリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、スルホ基、アシル基およびシリル基であり、最も好ましくは塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜9のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜9のアリールオキシ基である。
【0031】
一般式(1)もしくは一般式(10)のR1はアルキル基、もしくはアルキレン基を表すが、好ましくは炭素数が1〜30、より好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜7のアルキル基であり、該アルキル基は置換基を有してもよい。R1で表されるアルキル基は直鎖、分岐または環状のアルキル基で、好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基である。該アルキル基が置換してもよい置換基としては、前記のZ1における置換基の例が挙げられる。一般式(10)の場合、R1は本発明で説明するアルキル基より水素原子を一つ除いたアルキレン基を表し、同一の範囲より選ぶことができる。従って、本発明ではアルキル基で説明し、アルキレン基についての説明は重複するので省略する。
【0032】
このうち、R1のアルキル基が有してよい置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基およびシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基およびシリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、スルホ基、アシル基およびシリル基である。
これら上記の基のうち、更に好ましくはフッ素原子、塩素原子、炭素数6〜9のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜9のアリールオキシ基である。
また、上記に加え、無置換のアルキル基も好ましい。
【0033】
一般式(1)で表される化合物の好ましいものは、下記一般式(4)、または一般式(11)で表すことができる。
【0034】
【化14】
【0035】
一般式(4)において、Z2はヘテロ原子を2個以上含む5員ヘテロ環を表し、R2はアルキル基、もしくはアルキレン基を表す。
Z2の5員ヘテロ環は、置換基を有してもよく、好ましくは炭素数の総和が1〜30、より好ましくは1〜15、更に好ましくは2〜8である。ヘテロ原子は窒素原子、酸素原子、イオウ原子が好ましく、このうち、少なくとも1個(より好ましくは少なくとも2個)が窒素原子であるものが好ましい。
Z2は、好ましくは1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環またはイソチアゾール環であり、これよりより好ましくは1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾールおよびチアゾールであり、より好ましくはイミダゾール、ピラゾールおよびチアゾールであり、更に好ましくはイミダゾールであり、最も好ましくは4,5−位に−CO2R2を有するイミダゾール環である。
【0036】
Z2のヘテロ環が有してもよい置換基は、Z1が有してもよい置換基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0037】
R2はアルキル基、もしくはアルキレン基を表し、該アルキル基は一般式(1)もしくは一般式(10)におけるR1と同義であり好ましい範囲も同じである。
【0038】
一般式(4)で表される化合物のうち、更に好ましいものは、下記一般式(7)、もしくは一般式(12)で表される化合物である。
【0039】
【化15】
【0040】
一般式(7)もしくは一般式(12)において、R3はアルキル基、もしくはアルキレン基を表し、R4は水素原子または置換基を表し、R5は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
R3のアルキル基、もしくはアルキレン基は、一般式(1)もしくは一般式(10)のR1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
R4における置換基は、Z1でが有してもよい置換基として挙げた置換基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0041】
R5は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜7の置換基を有してもよい、直鎖、分岐または環状のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜15、更に好ましくは2〜7の置換基を有してもよい、直鎖、分岐または環状のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜15、更に好ましくは2〜7の置換基を有してもよい、直鎖、分岐または環状のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換基を有してもよいアリール基)、またはヘテロ環基〔好ましくは炭素数0〜30の置換基を有してもよいヘテロ環基で、さらに好ましくは5〜10員環(より好ましくは5〜6員環)で、環構成のヘテロ原子として、窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選択される原子を少なくとも1個有するヘテロ環基〕を表す。ここで、これらの各基が有してもよい置換基としては、Z1におい有してもよい置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。R5として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基またはアリール基であり、更に好ましくは水素原子またはアルキル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0042】
R5の各基が置換してもよい置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基またはシリル基である。
【0043】
更に好ましくはハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、またはシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、スルホ基、アシル基またはシリル基である。
特に好ましくは塩素原子、炭素数6〜9のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜9のアリールオキシ基である。
【0044】
次に、本発明の分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の合成原料について説明する。
本発明の分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物は、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物を使用する。該化合物の好ましい化合物は、本発明の分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の説明から明らかである。
好ましくは、下記一般式(2)で表される化合物である。
【0045】
【化16】
【0046】
一般式(2)において、Z1は一般式(1)のZ1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(2)で表される化合物は、更に好ましくは下記一般式(5)で表される化合物である。
【0047】
【化17】
【0048】
一般式(5)において、Z2は一般式(4)のZ2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(5)で表される化合物は、更に好ましくは下記一般式(8)で表される化合物である。
【0049】
【化18】
【0050】
一般式(8)において、R4及びR5は一般式(7)における対応するR4及びR5とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
なお、本発明においては、特に、一般式(5)においては環構成原子に窒素原子を含み、該窒素原子に水素原子が置換した化合物、また一般式(8)においては、R5が水素原子の場合に効果的に、本発明の効果が発揮される。
【0051】
本発明で使用されるアルコール類について説明する。
アルコール類として好ましくは、一般式(3)、一般式(6)、および一般式(9)で表されるが、単官能アルコール、もしくは2官能以上の多価アルコールである。好ましくは単官能アルコール、もしくは2官能アルコールであり、さらに好ましくは単官能アルコールである。ここで、R1、R2およびR3はそれぞれ、対応する一般式(1)、(4)、(7)、もしくは一般式(10)、(11)、(12)のものと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0052】
以下に、本発明で使用される分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
【化19】
【0054】
【化20】
【0055】
【化21】
【0056】
【0057】
【化22】
【0058】
【化23】
【0059】
【化24】
【0060】
【化25】
【0061】
【化26】
【0062】
【化27】
【0063】
次に、本発明の製造方法について、説明する。
本発明の製造方法であるエステル化の反応には、原料となる分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物(好ましくは前記一般式(2)で表される化合物)に対して、アルコール類(好ましくは前記一般式(3)で表される化合物)を2〜500倍モル、好ましくは2〜200倍モル、より好ましくは2〜100倍モル、塩化チオニルを2〜50倍モル、好ましくは3〜20倍モル、更に好ましくは4〜10倍モルを使用して行なうのが好ましい。反応は溶媒を使用しても無溶媒でも構わないが、無溶媒で行うのが好ましい。溶媒を使用する場合、溶媒として次に述べるものを用いるのも好ましい。
【0064】
ハロゲン系溶媒(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等)、アミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、スルホラン系溶媒(例えばスルホラン等)、スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド等)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア等)、エーテル系溶媒(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、炭化水素系溶媒(例えばヘキサン、トルエン、キシレン等)等を用いるのが好ましい。この中で、特に好ましい溶媒としては、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒である。
【0065】
反応温度は−20〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜70℃であり、反応時間は5分〜72時間、好ましくは30分〜10時間であり、また、0.5〜50モル、好ましくは1〜20モル、更に好ましくは2〜10モルの有機酸(例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)や無機の酸(例えば塩酸、硫酸、リン酸等)を添加することも好ましく、更にオルトエステル(例えばオルトぎ酸メチル、オルトぎ酸エチル、オルト酢酸メチル等)を上記の量を添加することも好ましい。
【0066】
本発明においては、化合物の添加順序が重要であり、アルコール類と塩化チオニルを混合した後、ここに、前記カルボン酸化合物を加えるものであり、この添加順序が異なると、例えば、イミダゾールのように1位の窒素原子が活性なジカルボン酸の場合、3環性の化合物が得られ、収率が大幅に低下する。
【0067】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
実施例1
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−1)を得た。
【0069】
【化28】
【0070】
3ツ口フラスコにメタノール240mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−5〜−10℃にて攪拌しながら塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。続けてここへ化合物(1)20.0gを添加し、内温55〜56℃にて4時間加熱攪拌した。その後、150mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水20mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液77.4mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−1)を21.2g得た(収率90%)。
【0071】
実施例2
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A―19)を得た。
【0072】
【化29】
【0073】
3ツ口フラスコにイソプロピルアルコール500mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−5〜−10℃にて攪拌しながら塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。続けてここへ化合物(1)20.0gを添加し、内温55〜56℃にて7時間加熱攪拌した。その後、150mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水20mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液77.4mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−19)を20.7g得た(収率86%)。
【0074】
実施例3
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−20)を得た。
【0075】
【化30】
【0076】
3ツ口フラスコにメタノール240mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−10〜−5℃にて攪拌しながら塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。続けてここへ化合物(2)20.0gを添加し、内温54〜55℃にて4時間加熱攪拌した。その後、150mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水20mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液77.4mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−20)を21.9g得た(収率93%)。
NMR(CDCl3):7.754(s、1H)、3.962(s、6H)
【0077】
実施例4
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−20)を得た。
【0078】
【化31】
【0079】
3ツ口フラスコにメタノール115mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−10〜−5℃にて攪拌しながら塩化チオニル28.0mlを20分かけて滴下した。続けてここへ化合物(2)20.0gを添加し、更に塩酸ガス36.5gを1時間かけて吹き込んだ。この時内温は47℃まで上昇した。その後内温55℃にて4時間加熱攪拌した後、溶媒70mlを減圧留去し、氷水浴として、水20mlを添加した。ここへ水酸化ナトリウムの25%水溶液を36.2ml加え、更に水65mlを添加した。このとき系のpHは5.80であった。そのまま1時間攪拌した後、得られた結晶を吸引濾過して乾燥し、目的の例示化合物(A−20)22.0gを得た(収率93%)。
【0080】
実施例5
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−38)を得た。
【0081】
【化32】
【0082】
3ツ口フラスコにシクロペンタノール86g、1、4―ジオキサン60mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−10〜−5℃にて攪拌しながら塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。続けてここへ化合物(2)20.0gを添加し、内温70〜74℃にて3時間加熱攪拌した。その後、70mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水200mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液70.2mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−38)を29.2g得た(収率78%)。
【0083】
比較例1
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−20)を得た。
【0084】
【化33】
【0085】
3ツ口フラスコにメタノール240mlを入れ、ここへ化合物(2)20.0gを添加し、加熱還流しながらこのメタノール溶液に塩酸ガス36.5gを5時間かけて吹き込んだ。その後、150mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水20mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液71.1mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−20)を14.4g得た(収率61%)。
【0086】
比較例2
本発明の例示化合物(A−20)を得る目的で下記操作を行った。
3ツ口フラスコにメタノール240mlを入れ、氷―メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−10〜−9℃にて攪拌しながら化合物(2)20.0gを添加し、続けて−9〜−5℃にて塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。その後、内温53〜54℃にて4時間加熱攪拌し、150mlの溶媒を減圧留去し、この反応液の一部を液体クロマトグラフィー測定を行ったが、目的の例示化合物(A−20)のピークは2.1面積%しか得られなかった。
【0087】
(液体クロマトグラフィー条件)
カラム:ODS80−TM(東ソー製)、溶離液:メタノール:水=15:85、酢酸、トリエチルアミンを各0.1%づつ添加、流量:1.0ml/min.、検出波長:254nm
【0088】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸ジエステルが簡便、高収率で得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真用カプラー、写真用添加剤、医薬、染料および農薬として、あるいはこれらの中間体として有用な分子内に2個以上のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸のジエステルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸ジエステルは写真用カプラー、写真用添加剤、医薬、染料および農薬として、あるいはこれらの中間体として有用であり、これまでもその製造法が研究されてきた。
【0003】
例えば、メタノールにHClガスを吹き込んで35〜40%の塩酸/メタノール溶液を調製した後、この溶液をイミダゾール−4,5−ジカルボン酸に添加する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。また、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸にエタノール還流下にて塩酸ガスを吹き込むことによりジエチルエステル体を合成する方法も知られている(例えば、非特許文献2参照。)。しかしながらこれらの製造方法は操作性、収率の点で改良が望まれた。
一方、メタノール、塩化チオニルとイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を使用して、該ジカルボン酸のジエステル体を製造する方法も知られている(例えば、非特許文献3参照。)。しかしながら、この方法は、中間体に3環性の2量体(4,9−ジオキソ−4,9−ジヒドロジイミダゾ[1,5−a、1’,5’−d]ピラジン−1,6−ジカルボン酸ジメチル)を経由し、該2量体の開環反応によって得る方法であり、開環反応の収率が低く、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジメチはほとんど得られない。
このように、特にカルボキシル基を少なくとも2個有する化合物のエステル化反応は、カルボキシル基が1個の化合物と異なり、操作性に劣ることおよび収率が低いなどの問題があり、汎用性が高く、しかも操作性、収率の点で優れた製造方法が望まれていた。
【0004】
【非特許文献1】
Khim.Reactivov.Prep.,14巻、p.40(1966)
【非特許文献2】
J.Heterocyclic Chem.,1巻,p.275(1964)
【非特許文献3】
日本化学会誌,p.2244(1975)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、前述の問題点を克服し、写真用カプラー、写真用添加剤、医薬、染料および農薬として、あるいはこれらの中間体として有用な、分子内に2個以上のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸のジエステルを安価、簡便で、かつ高収率に合成できる製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討し、以下に示す製造方法で、本発明の上記目的が達成されることを見出した。
1)アルコール類と塩化チオニルを混合し、次いで、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物を加えることを特徴とする、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の製造方法。
2)前記分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物が分子内に少なくとも1つの窒素原子を含む化合物であることを特徴とする1)に記載の製造方法。
3)下記一般式(3)で表される化合物と塩化チオニルを混合し、次いで、下記一般式(2)で表される化合物を加えることを特徴とする、下記一般式(1)で表される化合物の製造方法。
【0007】
【化7】
【0008】
一般式(1)および(2)中、Z1は環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、一般式(1)および(3)中、R1はアルキル基、もしくはアルキレン基を表す。nは1、または2である。nが2のとき、一般式(1)の化合物は下記の一般式(10)で表される環状構造であっても良い。
【0009】
【化8】
【0010】
4)下記一般式(6)で表される化合物と塩化チオニルを混合し、次いで、下記一般式(5)で表される化合物を加えることを特徴とする、下記一般式(4)で表される化合物の製造方法。
【0011】
【化9】
【0012】
一般式(4)および(5)中、Z2はヘテロ原子を2個以上含む5員ヘテロ環を表し、一般式(4)および(6)中、R2はアルキル基、もしくはアルキレン基を表す。nは1、または2である。nが2のとき、一般式(1)の化合物は下記の一般式(11)で表される環状構造であっても良い。
【0013】
【化10】
【0014】
5)下記一般式(9)で表される化合物と塩化チオニルを混合し、次いで、下記一般式(8)で表される化合物を加えることを特徴とする、下記一般式(7)で表される化合物の製造方法。
【0015】
【化11】
【0016】
一般式(7)および(9)中、R3はアルキル基、もしくはアルキレン基を表し、一般式(7)および(8)中、R4は水素原子または置換基を表し、R5は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。nは1、または2である。nが2のとき、一般式(1)の化合物は下記の一般式(12)で表される環状構造であっても良い。
【0017】
【化12】
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の製造方法を詳細に説明する。
まず最初に、本発明で使用する化合物について詳しく説明する。
本発明で製造する化合物は、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物である。分子内に有するアルコキシカルボニル基の数は少なくとも2個であり、この個数は特に制限はない。この個数は好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜3個、更に好ましくは2個である。
分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物として、より好ましくは、分子内に少なくとも1個の窒素原子を有する化合物である。
分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物として、更に好ましい化合物は下記一般式(1)または一般式(10)で表される化合物である。
【0019】
【化13】
【0020】
一般式(1)もしくは一般式(10)において、Z1は環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R1はアルキル基、もしくはアルキレン基を表す。
Z1は、好ましくは炭素数1〜30(好ましくは、炭素数1〜15、更に好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換の環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Z1により形成される環は、単環であっても、多環または縮合環であってもよく、脂肪族環、芳香族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環、芳香族ヘテロ環であってもよい。また、Z1で形成される環の環員数は、好ましくは5〜10員環、更に好ましくは5〜7員環である。Z1で形成される環は、好ましくはシクロアルキル環(例えばシクロヘキサン、シクロペンタン、4−メトキシシクロヘプタン)、ビシクロアルキル環(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン、ビシクロ[2,2,2]オクタン)、シクロアルケン環(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、ビシクロアルケン環(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプトー2―エン、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン))、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン)、ヘテロ環(具体的には脂肪族ヘテロ環(好ましくは5または6員環で例えば、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン)、芳香族ヘテロ環(好ましくは5または6員環で例えばピリジン、ピラジン、トリアジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、トリアゾール、フラン))であり、より好ましくはシクロアルキル環、芳香族炭化水素環、ヘテロ環(すなわち脂肪族ヘテロ環、芳香族ヘテロ環)であり、更に好ましくは芳香族炭化水素環、ヘテロ環(すなわち脂肪族ヘテロ環、芳香族ヘテロ環)であり、これより更に好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、含窒素ヘテロ環(すなわち含窒素脂肪族ヘテロ環、含窒素芳香族ヘテロ環)である。
【0021】
Z1で形成される環の上記より好ましい環は、ヘテロ環であり、ヘテロ原子を1個以上、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2〜3個含むヘテロ環である。最も好ましくは、2個である。このうち該ヘテロ原子の少なくとも1個が窒素原子、より好ましくは少なくとも2個が窒素原子、最も好ましくは2個が窒素原子のものである。また、環員数は5〜6員環(より好ましくは5員環)のものが、好ましく、この組合せにおいて、上記ヘテロ原子の数と窒素原子の関与の関係が、上記の順に好ましい。
【0022】
Z1で形成される環は置換基を有してもよく、該置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。)、
【0023】
アルケニル基(直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
【0024】
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、
【0025】
アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、
【0026】
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、
【0027】
スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、
【0028】
カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)がある。
【0029】
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。これらの例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0030】
これらのうち、Z1の置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基およびシリル基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基およびシリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、スルホ基、アシル基およびシリル基であり、最も好ましくは塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜9のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜9のアリールオキシ基である。
【0031】
一般式(1)もしくは一般式(10)のR1はアルキル基、もしくはアルキレン基を表すが、好ましくは炭素数が1〜30、より好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜7のアルキル基であり、該アルキル基は置換基を有してもよい。R1で表されるアルキル基は直鎖、分岐または環状のアルキル基で、好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基である。該アルキル基が置換してもよい置換基としては、前記のZ1における置換基の例が挙げられる。一般式(10)の場合、R1は本発明で説明するアルキル基より水素原子を一つ除いたアルキレン基を表し、同一の範囲より選ぶことができる。従って、本発明ではアルキル基で説明し、アルキレン基についての説明は重複するので省略する。
【0032】
このうち、R1のアルキル基が有してよい置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基およびシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基およびシリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、スルホ基、アシル基およびシリル基である。
これら上記の基のうち、更に好ましくはフッ素原子、塩素原子、炭素数6〜9のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜9のアリールオキシ基である。
また、上記に加え、無置換のアルキル基も好ましい。
【0033】
一般式(1)で表される化合物の好ましいものは、下記一般式(4)、または一般式(11)で表すことができる。
【0034】
【化14】
【0035】
一般式(4)において、Z2はヘテロ原子を2個以上含む5員ヘテロ環を表し、R2はアルキル基、もしくはアルキレン基を表す。
Z2の5員ヘテロ環は、置換基を有してもよく、好ましくは炭素数の総和が1〜30、より好ましくは1〜15、更に好ましくは2〜8である。ヘテロ原子は窒素原子、酸素原子、イオウ原子が好ましく、このうち、少なくとも1個(より好ましくは少なくとも2個)が窒素原子であるものが好ましい。
Z2は、好ましくは1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環またはイソチアゾール環であり、これよりより好ましくは1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾールおよびチアゾールであり、より好ましくはイミダゾール、ピラゾールおよびチアゾールであり、更に好ましくはイミダゾールであり、最も好ましくは4,5−位に−CO2R2を有するイミダゾール環である。
【0036】
Z2のヘテロ環が有してもよい置換基は、Z1が有してもよい置換基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0037】
R2はアルキル基、もしくはアルキレン基を表し、該アルキル基は一般式(1)もしくは一般式(10)におけるR1と同義であり好ましい範囲も同じである。
【0038】
一般式(4)で表される化合物のうち、更に好ましいものは、下記一般式(7)、もしくは一般式(12)で表される化合物である。
【0039】
【化15】
【0040】
一般式(7)もしくは一般式(12)において、R3はアルキル基、もしくはアルキレン基を表し、R4は水素原子または置換基を表し、R5は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
R3のアルキル基、もしくはアルキレン基は、一般式(1)もしくは一般式(10)のR1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
R4における置換基は、Z1でが有してもよい置換基として挙げた置換基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0041】
R5は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜7の置換基を有してもよい、直鎖、分岐または環状のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜15、更に好ましくは2〜7の置換基を有してもよい、直鎖、分岐または環状のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜15、更に好ましくは2〜7の置換基を有してもよい、直鎖、分岐または環状のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換基を有してもよいアリール基)、またはヘテロ環基〔好ましくは炭素数0〜30の置換基を有してもよいヘテロ環基で、さらに好ましくは5〜10員環(より好ましくは5〜6員環)で、環構成のヘテロ原子として、窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選択される原子を少なくとも1個有するヘテロ環基〕を表す。ここで、これらの各基が有してもよい置換基としては、Z1におい有してもよい置換基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。R5として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基またはアリール基であり、更に好ましくは水素原子またはアルキル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0042】
R5の各基が置換してもよい置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基またはシリル基である。
【0043】
更に好ましくはハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、またはシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、スルホ基、アシル基またはシリル基である。
特に好ましくは塩素原子、炭素数6〜9のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜9のアリールオキシ基である。
【0044】
次に、本発明の分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の合成原料について説明する。
本発明の分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物は、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物を使用する。該化合物の好ましい化合物は、本発明の分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の説明から明らかである。
好ましくは、下記一般式(2)で表される化合物である。
【0045】
【化16】
【0046】
一般式(2)において、Z1は一般式(1)のZ1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(2)で表される化合物は、更に好ましくは下記一般式(5)で表される化合物である。
【0047】
【化17】
【0048】
一般式(5)において、Z2は一般式(4)のZ2と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(5)で表される化合物は、更に好ましくは下記一般式(8)で表される化合物である。
【0049】
【化18】
【0050】
一般式(8)において、R4及びR5は一般式(7)における対応するR4及びR5とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
なお、本発明においては、特に、一般式(5)においては環構成原子に窒素原子を含み、該窒素原子に水素原子が置換した化合物、また一般式(8)においては、R5が水素原子の場合に効果的に、本発明の効果が発揮される。
【0051】
本発明で使用されるアルコール類について説明する。
アルコール類として好ましくは、一般式(3)、一般式(6)、および一般式(9)で表されるが、単官能アルコール、もしくは2官能以上の多価アルコールである。好ましくは単官能アルコール、もしくは2官能アルコールであり、さらに好ましくは単官能アルコールである。ここで、R1、R2およびR3はそれぞれ、対応する一般式(1)、(4)、(7)、もしくは一般式(10)、(11)、(12)のものと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0052】
以下に、本発明で使用される分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
【化19】
【0054】
【化20】
【0055】
【化21】
【0056】
【0057】
【化22】
【0058】
【化23】
【0059】
【化24】
【0060】
【化25】
【0061】
【化26】
【0062】
【化27】
【0063】
次に、本発明の製造方法について、説明する。
本発明の製造方法であるエステル化の反応には、原料となる分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物(好ましくは前記一般式(2)で表される化合物)に対して、アルコール類(好ましくは前記一般式(3)で表される化合物)を2〜500倍モル、好ましくは2〜200倍モル、より好ましくは2〜100倍モル、塩化チオニルを2〜50倍モル、好ましくは3〜20倍モル、更に好ましくは4〜10倍モルを使用して行なうのが好ましい。反応は溶媒を使用しても無溶媒でも構わないが、無溶媒で行うのが好ましい。溶媒を使用する場合、溶媒として次に述べるものを用いるのも好ましい。
【0064】
ハロゲン系溶媒(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等)、アミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、スルホラン系溶媒(例えばスルホラン等)、スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド等)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア等)、エーテル系溶媒(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、炭化水素系溶媒(例えばヘキサン、トルエン、キシレン等)等を用いるのが好ましい。この中で、特に好ましい溶媒としては、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒である。
【0065】
反応温度は−20〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜70℃であり、反応時間は5分〜72時間、好ましくは30分〜10時間であり、また、0.5〜50モル、好ましくは1〜20モル、更に好ましくは2〜10モルの有機酸(例えばメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)や無機の酸(例えば塩酸、硫酸、リン酸等)を添加することも好ましく、更にオルトエステル(例えばオルトぎ酸メチル、オルトぎ酸エチル、オルト酢酸メチル等)を上記の量を添加することも好ましい。
【0066】
本発明においては、化合物の添加順序が重要であり、アルコール類と塩化チオニルを混合した後、ここに、前記カルボン酸化合物を加えるものであり、この添加順序が異なると、例えば、イミダゾールのように1位の窒素原子が活性なジカルボン酸の場合、3環性の化合物が得られ、収率が大幅に低下する。
【0067】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
実施例1
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−1)を得た。
【0069】
【化28】
【0070】
3ツ口フラスコにメタノール240mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−5〜−10℃にて攪拌しながら塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。続けてここへ化合物(1)20.0gを添加し、内温55〜56℃にて4時間加熱攪拌した。その後、150mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水20mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液77.4mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−1)を21.2g得た(収率90%)。
【0071】
実施例2
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A―19)を得た。
【0072】
【化29】
【0073】
3ツ口フラスコにイソプロピルアルコール500mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−5〜−10℃にて攪拌しながら塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。続けてここへ化合物(1)20.0gを添加し、内温55〜56℃にて7時間加熱攪拌した。その後、150mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水20mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液77.4mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−19)を20.7g得た(収率86%)。
【0074】
実施例3
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−20)を得た。
【0075】
【化30】
【0076】
3ツ口フラスコにメタノール240mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−10〜−5℃にて攪拌しながら塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。続けてここへ化合物(2)20.0gを添加し、内温54〜55℃にて4時間加熱攪拌した。その後、150mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水20mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液77.4mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−20)を21.9g得た(収率93%)。
NMR(CDCl3):7.754(s、1H)、3.962(s、6H)
【0077】
実施例4
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−20)を得た。
【0078】
【化31】
【0079】
3ツ口フラスコにメタノール115mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−10〜−5℃にて攪拌しながら塩化チオニル28.0mlを20分かけて滴下した。続けてここへ化合物(2)20.0gを添加し、更に塩酸ガス36.5gを1時間かけて吹き込んだ。この時内温は47℃まで上昇した。その後内温55℃にて4時間加熱攪拌した後、溶媒70mlを減圧留去し、氷水浴として、水20mlを添加した。ここへ水酸化ナトリウムの25%水溶液を36.2ml加え、更に水65mlを添加した。このとき系のpHは5.80であった。そのまま1時間攪拌した後、得られた結晶を吸引濾過して乾燥し、目的の例示化合物(A−20)22.0gを得た(収率93%)。
【0080】
実施例5
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−38)を得た。
【0081】
【化32】
【0082】
3ツ口フラスコにシクロペンタノール86g、1、4―ジオキサン60mlを入れ、氷−メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−10〜−5℃にて攪拌しながら塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。続けてここへ化合物(2)20.0gを添加し、内温70〜74℃にて3時間加熱攪拌した。その後、70mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水200mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液70.2mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−38)を29.2g得た(収率78%)。
【0083】
比較例1
下記反応スキームにより、本発明の例示化合物(A−20)を得た。
【0084】
【化33】
【0085】
3ツ口フラスコにメタノール240mlを入れ、ここへ化合物(2)20.0gを添加し、加熱還流しながらこのメタノール溶液に塩酸ガス36.5gを5時間かけて吹き込んだ。その後、150mlの溶媒を減圧留去し、氷浴に浸した。ここへ水20mlを添加して攪拌しながら5Nの水酸化ナトリウム水溶液71.1mlを添加した。このときpHの終点は8.5であった。ここへ水30mlを添加し、更に1NのHCl溶液にてpHを5.5に調整し、そのまま1時間攪拌した。得られた結晶を吸引濾過した後乾燥し、目的の例示化合物(A−20)を14.4g得た(収率61%)。
【0086】
比較例2
本発明の例示化合物(A−20)を得る目的で下記操作を行った。
3ツ口フラスコにメタノール240mlを入れ、氷―メタノール浴にて冷却した。ここへ内温−10〜−9℃にて攪拌しながら化合物(2)20.0gを添加し、続けて−9〜−5℃にて塩化チオニル65.4mlを30分かけて滴下した。その後、内温53〜54℃にて4時間加熱攪拌し、150mlの溶媒を減圧留去し、この反応液の一部を液体クロマトグラフィー測定を行ったが、目的の例示化合物(A−20)のピークは2.1面積%しか得られなかった。
【0087】
(液体クロマトグラフィー条件)
カラム:ODS80−TM(東ソー製)、溶離液:メタノール:水=15:85、酢酸、トリエチルアミンを各0.1%づつ添加、流量:1.0ml/min.、検出波長:254nm
【0088】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物、特にアゾールジカルボン酸ジエステルが簡便、高収率で得られる。
Claims (5)
- アルコール類と塩化チオニルを混合し、次いで、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物を加えることを特徴とする、分子内に少なくとも2個のアルコキシカルボニル基を有する化合物の製造方法。
- 前記分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物が分子内に少なくとも1つの窒素原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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