JP2004114822A - ワイヤハーネス用スプールプロテクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】車体とドアとの間に配索するワイヤハーネスを伸縮可能に収容するプロテクタを提供する。
【解決手段】底壁部と周壁部を有し、対角位置の周壁部にそれぞれ電線引込部と電線引出部を有する本体ケースを備え、本体ケースは電線引込部から対向する周壁部近傍に電線巻付用円筒部を突設すると共に、電線引込部の近傍にバネ係止ピンを突設し、かつ、該バネ係止ピンの近傍から電線引出部の近傍に亙って滑車ガイド溝を設けると共に、該滑車ガイド溝の両側に滑車安定リブを突設し、本体ケースの滑車ガイド溝に滑車の主軸を摺動自在に嵌合すると共に、滑車安定リブを滑車に当接し、かつ、滑車の主軸とバネ係止ピンとに環状ゴムバネを巻き付けて滑車を電線引込部側へと付勢し、車体側よりワイヤハーネスを電線引込部を通して本体ケース内に引き込んで、上記電線巻付用円筒部と滑車に巻き付けて折り返して、電線引出部よりドア側へ引き出している。
【選択図】 図4
【解決手段】底壁部と周壁部を有し、対角位置の周壁部にそれぞれ電線引込部と電線引出部を有する本体ケースを備え、本体ケースは電線引込部から対向する周壁部近傍に電線巻付用円筒部を突設すると共に、電線引込部の近傍にバネ係止ピンを突設し、かつ、該バネ係止ピンの近傍から電線引出部の近傍に亙って滑車ガイド溝を設けると共に、該滑車ガイド溝の両側に滑車安定リブを突設し、本体ケースの滑車ガイド溝に滑車の主軸を摺動自在に嵌合すると共に、滑車安定リブを滑車に当接し、かつ、滑車の主軸とバネ係止ピンとに環状ゴムバネを巻き付けて滑車を電線引込部側へと付勢し、車体側よりワイヤハーネスを電線引込部を通して本体ケース内に引き込んで、上記電線巻付用円筒部と滑車に巻き付けて折り返して、電線引出部よりドア側へ引き出している。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はワイヤハーネス用スプールプロテクタに関し、詳しくは、自動車の車体側からバックドア等のドアに配索されるワイヤハーネスをドアの開閉に応じて巻取り/引出し自在に収容するプロテクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、自動車の車体に開閉自在に取り付けられるドア、例えば、トランクルームのバックドアは、車体からドアへ配索するワイヤハーネスをドアの開閉に追従させて伸縮させる必要があるため、図7に示すように、蛇腹状のグロメットG内に余長を持たせたワイヤハーネスを通して車体1とバックドア2との間に架け渡している場合が多い。
また、車体1とバックドア2との間のヒンジにワイヤハーネスW/Hの一部を固定して垂らしている場合もある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−16195号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7の蛇腹状のグロメットGを用いると、該グロメットGがバックドア2の開閉動作で屈曲して座屈しやすく、このような座屈が繰り返し発生すると、座屈したグロメットG内で電線に集中応力が発生して断線が発生しやすくなる問題がある。
また、ヒンジにワイヤハーネスW/Hの一部を固定する構造とすると、余長をもたせているワイヤハーネスW/Hが垂れ下がっているため、積載物などに引っ掛ったり、ドア2と車体1との間に噛み混んで損傷する恐れがあると共に、外観上も好ましくない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、車体からバックドア等のドアに架け渡されるワイヤハーネスを、ドアの開閉に応じてスムーズに追従させ得る状態で収容するスプールプロテクタを提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、車体とドアとの間に配索されるワイヤハーネスを収容し、ドアの開閉作動に応じて伸縮させるワイヤハーネス用スプールプロテクタであって、
底壁部と周壁部とからなる浅底の本体ケースを備え、 該本体ケースの一隅に電線引出部を設けると共に、 該電線引出部の近傍から対角線の隅部に向けて略L形状に屈曲する滑車ガイド溝を設け、該滑車ガイド溝に主軸を摺動自在に貫通させた滑車を本体ケース内部に取り付けると共に、上記対角線の隅部にバネ係止ピンを突設し、該バネ係止ピンと滑車の主軸との間に環状ゴムバネを張架して滑車を上記対角線の隅部側へと付勢し、かつ、 上記電線引出部の隅部と同一辺側の他隅近傍に上記底壁より電線巻付用円筒部を立設すると共に、該電線巻付円筒部の外面側から上記バネ係止ピンの近傍の外側に設ける電線引出部までの間に樋形状の電線挿通路を設け、
上記車体側よりワイヤハーネスを上記電線引込部から本体ケース内に引き込んで、上記電線挿通路を通して、上記電線巻付円筒部に巻き付けた後に上記滑車に巻き付けて、電線引出部よりドア側へと引き出し、
ドアの開作動時にワイヤハーネスが引き出される力により上記滑車を環状ゴムバネの付勢力に抗して移動してワイヤハーネスを引き出す一方、ドアの閉作動時は上記環状ゴムバネにより移動復元してワイヤハーネスを本体ケース内部に巻き戻して収容できる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用スプールプロテクタを提供している。
【0007】
上記スプールプロテクタでは、滑車を本体ケース内に設けると共に、ワイヤハーネスを本体ケース内で迂回させていることにより、ドア開作動時には、ワイヤハーネスが引き出される力によって滑車を移動させて、ワイヤハーネスの迂回距離を小さくすることによりワイヤハーネスがスムーズに引き出されてワイヤハーネスは伸長できる一方、ドア閉作動時は、環状ゴムバネのによって滑車が原状位置へと復帰して、ワイヤハーネスの迂回距離を大きくするため、引き出されたワイヤハーネスがスムーズにプロテクタ内部へと巻き戻すことができる。よって、従来は撓んで外部干渉材と干渉して損傷が発生する恐れがあったワイヤハーネスを確実に保護することができる。
【0008】
また、上記環状ゴムバネをバネではなくゴムにより形成しているため製造コストを低減することができる。さらに、上記滑車を樹脂により成形してもよく、この場合、金属部材を使用した場合と比較して、さらに製造コストを低減することができ、ワイヤハーネスの引き出し/巻き戻し時に可動部材の移動による異音の発生を抑制することができる。
【0009】
上記環状ゴムバネは上記滑車より突出する上記主軸の上下と上記バネ係止ピンとの間にそれぞれ張架して、上下に2本設け、かつ、上記滑車ガイド溝の両側に滑車安定リブを上記底壁から突出させ、上記滑車の下面を滑車安定リブの上面に沿って摺動させる構成としている。
【0010】
上記構成とすると、滑車の上下共に環状ゴムバネを引掛け、かつ、滑車ガイド溝の両側に設けた滑車安定リブを滑車に当接させているので、滑車を安定した状態で本体ケース内を移動させることができる。
【0011】
上記本体ケースに外嵌して組みつける蓋を備え、該蓋に上記本体ケースの滑車ガイド溝と対向する位置に蓋側滑車ガイド溝を設け、該蓋側滑車ガイド溝に上記滑車の主軸の上部を摺動自在に挿通させ、かつ、上記本体ケースの滑車安定リブと対向する位置に蓋側滑車安定リブを突設し、上記滑車の上面を蓋側滑車安定リブに摺動自在に当接させている。
【0012】
上記構成とすると、滑車から上下に突出する主軸の下端部を本体ケースの滑車ガイド溝に、上端部を蓋の蓋側滑車ガイド溝に摺動自在に嵌合すると共に、滑車の下面を本体ケースの滑車安定リブに当接させ、上面を蓋の蓋側滑車安定リブに当接しているので、滑車をより安定した状態で本体ケース内を移動させることができる。
【0013】
上記滑車は、その上下面を突出させると共に、その間の外周面を窪ませてワイヤハーネス巻付部とし、かつ、上下面の中心位置から上記主軸を突出させ、これら上下突出部は大径部の先端に小径部を設けた段状とし、大径部に上記環状ゴムバネを巻き付けると共に、先端の小径部を上記本体ケース側と蓋側の滑車ガイド溝に摺動自在に貫通させている。
【0014】
滑車を上記構成とすることにより、上記滑車には外周面を窪ませたワイヤハーネス巻付部を設けているので、ワイヤハーネスの円弧面が滑車の外周面に当接した状態で巻き付くと共に、滑車の中央位置にワイヤハーネスの引っ張り力がかかり、安定した状態で滑車を移動させることができる。また、滑車の上下面から突出する主軸を大径部の先端に小径部を設けた段状としているので、小径部のみを滑車ガイド溝に嵌合することで、大径部をバネ係止部とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。 図1乃至図6は本発明の実施形態を示す。
図1は本発明のスプールプロテクタ10の取付位置を示すもので、車体1側にスプールプロテクタ10を固定し、該スプールプロテクタ10より引き出されたワイヤハーネスW/Hをトランクルームのバックドア2に架け渡している。
【0016】
スプールプロテクタ10は、図2に示す合成樹脂で成形された本体ケース11と蓋19とからなる。
本体ケース11は五角形状の底壁部15と周壁部14とを備え、底壁部15の対角位置に電線引込部16と電線引出部17を設けている。電線引込部16から対向する周壁部14の近傍まで仕切り壁15cを突設して樋形状の電線挿通路18を設け、上記仕切り壁15cの本体ケース11の内部側端部に円筒形状の電線巻付用円筒部15bを連続して設けている。また、仕切り壁15cよりも電線引出部17側の電線引込部16近傍には、底壁部15からバネ係止ピン15aを突設しており、該バネ係止ピン15aの近傍から電線引出部17の近傍に亙って略L字形状の滑車ガイド溝13を設けると共に、該滑車ガイド溝13の両側に滑車ガイド溝13に沿わせて滑車安定リブ12を2本突設している。また、滑車ガイド溝13の電線引出部17側の端部近傍には、周壁部14から円弧面を有する滑車受け部14aを突設している。
【0017】
蓋19は本体ケース11の底壁部15と略同形状の上壁部19aと周壁部19bとからなり、本体ケース11の底壁部15に設けた滑車安定リブ12と滑車ガイド溝13に対向する位置に蓋側滑車安定リブ19cと蓋側滑車ガイド溝19dを設けている。
この蓋19は、本体ケース11にワイヤハーネスW/Hを収容した後に本体ケース11に被せてロック結合させるようにしている。
【0018】
図3に示す滑車20は、上記本体ケース11内に収容し、電線の引き出し/巻き戻しに応じて本体ケース11内を移動するものである。
この滑車20は、2枚の円盤部21の間に幅方向に凹設した円弧面からなるワイヤハーネス巻付部22を設けており、中心位置に主軸23を摺動自在に貫通させると共に、該主軸23の上下端を円盤部21の上下面から突出させている。該主軸23は基部側を大径部23aとして環状ゴムバネ30を巻き付け、先端側を小径部23bとして本体ケース11の滑車ガイド溝13及び蓋19の蓋側滑車ガイド溝19dに摺動自在に嵌合している。
【0019】
図4は、スプールプロテクタ10の内部にワイヤハーネスW/Hを収容した内部状態を示す図面であり、電線引込部16からワイヤハーネスW/Hを引き込んで、電線挿通路18を通してワイヤハーネスW/Hを本体ケース11内に引き込み、電線巻付用円筒部15bに巻き付けて折り返し、さらに、滑車20のワイヤハーネス巻付部22に巻き付けて折り返して、電線引出部17を通してバックドア2側へと引き出している。
図5に示すように、滑車20から突出する主軸23の小径部23bを本体ケース11の滑車ガイド溝13及び蓋19の蓋側滑車ガイド溝19dに摺動自在に嵌合すると共に、本体ケース11の滑車安定リブ12を滑車20の底面に当接させる一方、蓋19の蓋側滑車安定リブ19cを滑車20の上面に当接させている。また、本体ケース11に突設したバネ係止ピン15aに巻き付けた2本の環状ゴムバネ30を滑車20の主軸23の大径部23aに巻き付けて、滑車20をバネ係止ピン15a側に付勢している。
【0020】
スプールプロテクタ10内に収容されたワイヤハーネスW/Hは、バックドア2が開けられた際、バックドア2側と接続されたワイヤハーネスW/Hが、図6に示すように、電線引出部17より引き出され、スプールプロテクタ10内で迂回しているワイヤハーネスW/Hの迂回距離が短くなり、該ワイヤハーネスW/Hの引っ張りによって滑車20が電線引出部17近傍に設けた滑車受け部14aまで移動して、ワイヤハーネスW/Hをバックドア2の開作動に追従させる。
【0021】
逆に、バックドア2が閉じられると、バックドア2側へのワイヤハーネスW/Hへの引張り力が無くなり、環状ゴムバネ30の復元力で滑車20が原状位置に引き戻され、その力によりワイヤハーネスW/Hの迂回距離が大きくなり図4に示す状態に戻され、ワイヤハーネスW/Hの引き出された余分な部分は電線引出部17から内部に巻き戻されて吸収される。
【0022】
即ち、本発明のスプールプロテクタ10を用いれば、ワイヤハーネスW/Hがトランクルーム内で垂れ下がることもなく、自動的に引き出し/巻き戻しされるので、ワイヤハーネスW/Hが積載物などに引っ掛ったり、断線したりして損傷するのを防止できると共に、外観も良好となる。
【0023】
なお、上記実施形態は車体とトランクルームの蓋からなるバックドアとの間に配索するワイヤハーネスに適用しているが、車体の後部全面を開閉するバックドア、さらには車体とサイドドアとの間に配索するワイヤハーネスにも適用できる。
また、複数の芯線からなる電線に代えて、フラットケーブルを上記スプールプロテクタに用いてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、車体とドアとの間に配索され、ドアの開閉作動に応じて伸縮させて追従させる必要があるワイヤハーネスをのスプールプロテクタに収容し、該スプールプロテクタ内に、摺動自在に滑車を取り付けているため、ワイヤハーネスを迂回させて上記滑車に巻き付けて収容すると、ドアの開作動時に滑車が電線引出部側に移動し、ワイヤハーネスの迂回距離が小さくなってスムーズに引き出される一方、ドアの閉作動時は、環状ゴムバネの復元力により滑車が原状位置に戻り、ワイヤハーネスの迂回距離を大きくしているため、プロテクタ内部にワイヤハーネスをスムーズに巻き戻して収容できる。
【0025】
また、ワイヤハーネスがトランクルーム内等で垂れ下がることもなく、常に、スプールプロテクタ内に収容されているため、ワイヤハーネスW/Hが外部干渉材に干渉して損傷を受けることはない。
また、上記環状ゴムバネをバネではなくゴムにより形成しているため製造コストを低減することができる。さらに、上記滑車を樹脂により成形してもよく、この場合、金属部材を使用した場合と比較して、さらに製造コストを低減することができ、ワイヤハーネスの引き出し/巻き戻し時に可動部材の移動による異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワイヤハーネス用スプールプロテクタの適用例を示す概略図である。
【図2】(A)はスプール用プロテクタの本体ケースを示す斜視図、(B)は蓋を示す斜視図である。
【図3】(A)は滑車の斜視図、(B)は滑車の正面図である。
【図4】上記本体ケース内にワイヤハーネスを収容した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明のスプールプロテクタに滑車を収容した状態を示す断面図である。
【図6】ドアの開作動時にワイヤハーネスが引き出される状態を示す斜視図である。
【図7】従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 スプールプロテクタ
11 本体ケース
12 滑車安定リブ
13 滑車ガイド溝
14 周壁部
15 底壁部
15a バネ係止ピン
16 電線引込部
17 電線引出部
18 電線挿通路
19 蓋
19c 蓋側滑車安定リブ
19d 蓋側滑車ガイド溝
20 滑車
22 ワイヤハーネス巻付部
23 主軸
23a 大径部
23b 小径部
30 環状ゴムバネ
W/H ワイヤハーネス
【発明の属する技術分野】
本発明はワイヤハーネス用スプールプロテクタに関し、詳しくは、自動車の車体側からバックドア等のドアに配索されるワイヤハーネスをドアの開閉に応じて巻取り/引出し自在に収容するプロテクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、自動車の車体に開閉自在に取り付けられるドア、例えば、トランクルームのバックドアは、車体からドアへ配索するワイヤハーネスをドアの開閉に追従させて伸縮させる必要があるため、図7に示すように、蛇腹状のグロメットG内に余長を持たせたワイヤハーネスを通して車体1とバックドア2との間に架け渡している場合が多い。
また、車体1とバックドア2との間のヒンジにワイヤハーネスW/Hの一部を固定して垂らしている場合もある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−16195号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7の蛇腹状のグロメットGを用いると、該グロメットGがバックドア2の開閉動作で屈曲して座屈しやすく、このような座屈が繰り返し発生すると、座屈したグロメットG内で電線に集中応力が発生して断線が発生しやすくなる問題がある。
また、ヒンジにワイヤハーネスW/Hの一部を固定する構造とすると、余長をもたせているワイヤハーネスW/Hが垂れ下がっているため、積載物などに引っ掛ったり、ドア2と車体1との間に噛み混んで損傷する恐れがあると共に、外観上も好ましくない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、車体からバックドア等のドアに架け渡されるワイヤハーネスを、ドアの開閉に応じてスムーズに追従させ得る状態で収容するスプールプロテクタを提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、車体とドアとの間に配索されるワイヤハーネスを収容し、ドアの開閉作動に応じて伸縮させるワイヤハーネス用スプールプロテクタであって、
底壁部と周壁部とからなる浅底の本体ケースを備え、 該本体ケースの一隅に電線引出部を設けると共に、 該電線引出部の近傍から対角線の隅部に向けて略L形状に屈曲する滑車ガイド溝を設け、該滑車ガイド溝に主軸を摺動自在に貫通させた滑車を本体ケース内部に取り付けると共に、上記対角線の隅部にバネ係止ピンを突設し、該バネ係止ピンと滑車の主軸との間に環状ゴムバネを張架して滑車を上記対角線の隅部側へと付勢し、かつ、 上記電線引出部の隅部と同一辺側の他隅近傍に上記底壁より電線巻付用円筒部を立設すると共に、該電線巻付円筒部の外面側から上記バネ係止ピンの近傍の外側に設ける電線引出部までの間に樋形状の電線挿通路を設け、
上記車体側よりワイヤハーネスを上記電線引込部から本体ケース内に引き込んで、上記電線挿通路を通して、上記電線巻付円筒部に巻き付けた後に上記滑車に巻き付けて、電線引出部よりドア側へと引き出し、
ドアの開作動時にワイヤハーネスが引き出される力により上記滑車を環状ゴムバネの付勢力に抗して移動してワイヤハーネスを引き出す一方、ドアの閉作動時は上記環状ゴムバネにより移動復元してワイヤハーネスを本体ケース内部に巻き戻して収容できる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用スプールプロテクタを提供している。
【0007】
上記スプールプロテクタでは、滑車を本体ケース内に設けると共に、ワイヤハーネスを本体ケース内で迂回させていることにより、ドア開作動時には、ワイヤハーネスが引き出される力によって滑車を移動させて、ワイヤハーネスの迂回距離を小さくすることによりワイヤハーネスがスムーズに引き出されてワイヤハーネスは伸長できる一方、ドア閉作動時は、環状ゴムバネのによって滑車が原状位置へと復帰して、ワイヤハーネスの迂回距離を大きくするため、引き出されたワイヤハーネスがスムーズにプロテクタ内部へと巻き戻すことができる。よって、従来は撓んで外部干渉材と干渉して損傷が発生する恐れがあったワイヤハーネスを確実に保護することができる。
【0008】
また、上記環状ゴムバネをバネではなくゴムにより形成しているため製造コストを低減することができる。さらに、上記滑車を樹脂により成形してもよく、この場合、金属部材を使用した場合と比較して、さらに製造コストを低減することができ、ワイヤハーネスの引き出し/巻き戻し時に可動部材の移動による異音の発生を抑制することができる。
【0009】
上記環状ゴムバネは上記滑車より突出する上記主軸の上下と上記バネ係止ピンとの間にそれぞれ張架して、上下に2本設け、かつ、上記滑車ガイド溝の両側に滑車安定リブを上記底壁から突出させ、上記滑車の下面を滑車安定リブの上面に沿って摺動させる構成としている。
【0010】
上記構成とすると、滑車の上下共に環状ゴムバネを引掛け、かつ、滑車ガイド溝の両側に設けた滑車安定リブを滑車に当接させているので、滑車を安定した状態で本体ケース内を移動させることができる。
【0011】
上記本体ケースに外嵌して組みつける蓋を備え、該蓋に上記本体ケースの滑車ガイド溝と対向する位置に蓋側滑車ガイド溝を設け、該蓋側滑車ガイド溝に上記滑車の主軸の上部を摺動自在に挿通させ、かつ、上記本体ケースの滑車安定リブと対向する位置に蓋側滑車安定リブを突設し、上記滑車の上面を蓋側滑車安定リブに摺動自在に当接させている。
【0012】
上記構成とすると、滑車から上下に突出する主軸の下端部を本体ケースの滑車ガイド溝に、上端部を蓋の蓋側滑車ガイド溝に摺動自在に嵌合すると共に、滑車の下面を本体ケースの滑車安定リブに当接させ、上面を蓋の蓋側滑車安定リブに当接しているので、滑車をより安定した状態で本体ケース内を移動させることができる。
【0013】
上記滑車は、その上下面を突出させると共に、その間の外周面を窪ませてワイヤハーネス巻付部とし、かつ、上下面の中心位置から上記主軸を突出させ、これら上下突出部は大径部の先端に小径部を設けた段状とし、大径部に上記環状ゴムバネを巻き付けると共に、先端の小径部を上記本体ケース側と蓋側の滑車ガイド溝に摺動自在に貫通させている。
【0014】
滑車を上記構成とすることにより、上記滑車には外周面を窪ませたワイヤハーネス巻付部を設けているので、ワイヤハーネスの円弧面が滑車の外周面に当接した状態で巻き付くと共に、滑車の中央位置にワイヤハーネスの引っ張り力がかかり、安定した状態で滑車を移動させることができる。また、滑車の上下面から突出する主軸を大径部の先端に小径部を設けた段状としているので、小径部のみを滑車ガイド溝に嵌合することで、大径部をバネ係止部とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。 図1乃至図6は本発明の実施形態を示す。
図1は本発明のスプールプロテクタ10の取付位置を示すもので、車体1側にスプールプロテクタ10を固定し、該スプールプロテクタ10より引き出されたワイヤハーネスW/Hをトランクルームのバックドア2に架け渡している。
【0016】
スプールプロテクタ10は、図2に示す合成樹脂で成形された本体ケース11と蓋19とからなる。
本体ケース11は五角形状の底壁部15と周壁部14とを備え、底壁部15の対角位置に電線引込部16と電線引出部17を設けている。電線引込部16から対向する周壁部14の近傍まで仕切り壁15cを突設して樋形状の電線挿通路18を設け、上記仕切り壁15cの本体ケース11の内部側端部に円筒形状の電線巻付用円筒部15bを連続して設けている。また、仕切り壁15cよりも電線引出部17側の電線引込部16近傍には、底壁部15からバネ係止ピン15aを突設しており、該バネ係止ピン15aの近傍から電線引出部17の近傍に亙って略L字形状の滑車ガイド溝13を設けると共に、該滑車ガイド溝13の両側に滑車ガイド溝13に沿わせて滑車安定リブ12を2本突設している。また、滑車ガイド溝13の電線引出部17側の端部近傍には、周壁部14から円弧面を有する滑車受け部14aを突設している。
【0017】
蓋19は本体ケース11の底壁部15と略同形状の上壁部19aと周壁部19bとからなり、本体ケース11の底壁部15に設けた滑車安定リブ12と滑車ガイド溝13に対向する位置に蓋側滑車安定リブ19cと蓋側滑車ガイド溝19dを設けている。
この蓋19は、本体ケース11にワイヤハーネスW/Hを収容した後に本体ケース11に被せてロック結合させるようにしている。
【0018】
図3に示す滑車20は、上記本体ケース11内に収容し、電線の引き出し/巻き戻しに応じて本体ケース11内を移動するものである。
この滑車20は、2枚の円盤部21の間に幅方向に凹設した円弧面からなるワイヤハーネス巻付部22を設けており、中心位置に主軸23を摺動自在に貫通させると共に、該主軸23の上下端を円盤部21の上下面から突出させている。該主軸23は基部側を大径部23aとして環状ゴムバネ30を巻き付け、先端側を小径部23bとして本体ケース11の滑車ガイド溝13及び蓋19の蓋側滑車ガイド溝19dに摺動自在に嵌合している。
【0019】
図4は、スプールプロテクタ10の内部にワイヤハーネスW/Hを収容した内部状態を示す図面であり、電線引込部16からワイヤハーネスW/Hを引き込んで、電線挿通路18を通してワイヤハーネスW/Hを本体ケース11内に引き込み、電線巻付用円筒部15bに巻き付けて折り返し、さらに、滑車20のワイヤハーネス巻付部22に巻き付けて折り返して、電線引出部17を通してバックドア2側へと引き出している。
図5に示すように、滑車20から突出する主軸23の小径部23bを本体ケース11の滑車ガイド溝13及び蓋19の蓋側滑車ガイド溝19dに摺動自在に嵌合すると共に、本体ケース11の滑車安定リブ12を滑車20の底面に当接させる一方、蓋19の蓋側滑車安定リブ19cを滑車20の上面に当接させている。また、本体ケース11に突設したバネ係止ピン15aに巻き付けた2本の環状ゴムバネ30を滑車20の主軸23の大径部23aに巻き付けて、滑車20をバネ係止ピン15a側に付勢している。
【0020】
スプールプロテクタ10内に収容されたワイヤハーネスW/Hは、バックドア2が開けられた際、バックドア2側と接続されたワイヤハーネスW/Hが、図6に示すように、電線引出部17より引き出され、スプールプロテクタ10内で迂回しているワイヤハーネスW/Hの迂回距離が短くなり、該ワイヤハーネスW/Hの引っ張りによって滑車20が電線引出部17近傍に設けた滑車受け部14aまで移動して、ワイヤハーネスW/Hをバックドア2の開作動に追従させる。
【0021】
逆に、バックドア2が閉じられると、バックドア2側へのワイヤハーネスW/Hへの引張り力が無くなり、環状ゴムバネ30の復元力で滑車20が原状位置に引き戻され、その力によりワイヤハーネスW/Hの迂回距離が大きくなり図4に示す状態に戻され、ワイヤハーネスW/Hの引き出された余分な部分は電線引出部17から内部に巻き戻されて吸収される。
【0022】
即ち、本発明のスプールプロテクタ10を用いれば、ワイヤハーネスW/Hがトランクルーム内で垂れ下がることもなく、自動的に引き出し/巻き戻しされるので、ワイヤハーネスW/Hが積載物などに引っ掛ったり、断線したりして損傷するのを防止できると共に、外観も良好となる。
【0023】
なお、上記実施形態は車体とトランクルームの蓋からなるバックドアとの間に配索するワイヤハーネスに適用しているが、車体の後部全面を開閉するバックドア、さらには車体とサイドドアとの間に配索するワイヤハーネスにも適用できる。
また、複数の芯線からなる電線に代えて、フラットケーブルを上記スプールプロテクタに用いてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、車体とドアとの間に配索され、ドアの開閉作動に応じて伸縮させて追従させる必要があるワイヤハーネスをのスプールプロテクタに収容し、該スプールプロテクタ内に、摺動自在に滑車を取り付けているため、ワイヤハーネスを迂回させて上記滑車に巻き付けて収容すると、ドアの開作動時に滑車が電線引出部側に移動し、ワイヤハーネスの迂回距離が小さくなってスムーズに引き出される一方、ドアの閉作動時は、環状ゴムバネの復元力により滑車が原状位置に戻り、ワイヤハーネスの迂回距離を大きくしているため、プロテクタ内部にワイヤハーネスをスムーズに巻き戻して収容できる。
【0025】
また、ワイヤハーネスがトランクルーム内等で垂れ下がることもなく、常に、スプールプロテクタ内に収容されているため、ワイヤハーネスW/Hが外部干渉材に干渉して損傷を受けることはない。
また、上記環状ゴムバネをバネではなくゴムにより形成しているため製造コストを低減することができる。さらに、上記滑車を樹脂により成形してもよく、この場合、金属部材を使用した場合と比較して、さらに製造コストを低減することができ、ワイヤハーネスの引き出し/巻き戻し時に可動部材の移動による異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワイヤハーネス用スプールプロテクタの適用例を示す概略図である。
【図2】(A)はスプール用プロテクタの本体ケースを示す斜視図、(B)は蓋を示す斜視図である。
【図3】(A)は滑車の斜視図、(B)は滑車の正面図である。
【図4】上記本体ケース内にワイヤハーネスを収容した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明のスプールプロテクタに滑車を収容した状態を示す断面図である。
【図6】ドアの開作動時にワイヤハーネスが引き出される状態を示す斜視図である。
【図7】従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
10 スプールプロテクタ
11 本体ケース
12 滑車安定リブ
13 滑車ガイド溝
14 周壁部
15 底壁部
15a バネ係止ピン
16 電線引込部
17 電線引出部
18 電線挿通路
19 蓋
19c 蓋側滑車安定リブ
19d 蓋側滑車ガイド溝
20 滑車
22 ワイヤハーネス巻付部
23 主軸
23a 大径部
23b 小径部
30 環状ゴムバネ
W/H ワイヤハーネス
Claims (4)
- 車体とドアとの間に配索されるワイヤハーネスを収容し、ドアの開閉作動に応じて伸縮させるワイヤハーネス用スプールプロテクタであって、
底壁部と周壁部とからなる浅底の本体ケースを備え、 該本体ケースの一隅に電線引出部を設けると共に、 該電線引出部の近傍から対角線の隅部に向けて略L形状に屈曲する滑車ガイド溝を設け、該滑車ガイド溝に主軸を摺動自在に貫通させた滑車を本体ケース内部に取り付けると共に、上記対角線の隅部にバネ係止ピンを突設し、該バネ係止ピンと滑車の主軸との間に環状ゴムバネを張架して滑車を上記対角線の隅部側へと付勢し、かつ、
上記電線引出部の隅部と同一辺側の他隅近傍に上記底壁より電線巻付用円筒部を立設すると共に、該電線巻付円筒部の外面側から上記バネ係止ピンの近傍の外側に設ける電線引出部までの間に樋形状の電線挿通路を設け、
上記車体側よりワイヤハーネスを上記電線引込部から本体ケース内に引き込んで、上記電線挿通路を通して、上記電線巻付円筒部に巻き付けた後に上記滑車に巻き付けて、電線引出部よりドア側へと引き出し、
ドアの開作動時にワイヤハーネスが引き出される力により上記滑車を環状ゴムバネの付勢力に抗して移動してワイヤハーネスを引き出す一方、ドアの閉作動時は上記環状ゴムバネにより移動復元してワイヤハーネスを本体ケース内部に巻き戻して収容できる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用スプールプロテクタ。 - 上記環状ゴムバネは上記滑車より突出する上記主軸の上下と上記バネ係止ピンとの間にそれぞれ張架して、上下に2本設け、かつ、上記滑車ガイド溝の両側に滑車安定リブを上記底壁から突出させ、上記滑車の下面を滑車安定リブの上面に沿って摺動させる構成としている請求項1に記載のワイヤハーネス用スプールプロテクタ。
- 上記本体ケースに外嵌して組みつける蓋を備え、該蓋に上記本体ケースの滑車ガイド溝と対向する位置に蓋側滑車ガイド溝を設け、該蓋側滑車ガイド溝に上記滑車の主軸の上部を摺動自在に挿通させ、かつ、上記本体ケースの滑車安定リブと対向する位置に蓋側滑車安定リブを突設し、上記滑車の上面を蓋側滑車安定リブに摺動自在に当接させている請求項2に記載のワイヤハーネス用スプールプロテクタ。
- 上記滑車は、その上下面を突出させると共に、その間の外周面を窪ませてワイヤハーネス巻付部とし、かつ、上下面の中心位置から上記主軸を突出させ、これら上下突出部は大径部の先端に小径部を設けた段状とし、大径部に上記環状ゴムバネを巻き付けると共に、先端の小径部を上記本体ケース側と蓋側の滑車ガイド溝に摺動自在に貫通させている請求項3に記載のワイヤハーネス用スプールプロテクタ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2002
- 2002-09-26 JP JP2002280751A patent/JP2004114822A/ja not_active Withdrawn
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