JP2004114615A - インクジェット被記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク受容層を多層化することなく、広汎な種類のフィラーを対象とし、それらの集合体として構成されるインク受容層に対して単一層でありながらもインクの親和性を改質の程度に応じて変化させることで、形成されるドットの拡散性もしくはドット径を制御できるインクジェット被記録媒体を提供する。
【解決手段】フィラーが結着剤に分散されてなるインク受容層が基材上に形成されているインクジェット被記録媒体において、フィラーとして、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されているものを使用する。また、フィラーが、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾された後に、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されていてもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】フィラーが結着剤に分散されてなるインク受容層が基材上に形成されているインクジェット被記録媒体において、フィラーとして、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されているものを使用する。また、フィラーが、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾された後に、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されていてもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタによる画素形成動作に応じてインク受容層におけるインクドットの大きさや、インク浸透過程の拡散の程度をコントロール可能なインクジェット被記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にインクジェット記録における画像は、インク受容層に対するインク液滴の着弾とそれに続く浸透過程を経て形成されるドット状の画素の集合として再現される。従って、その画質は、ドットの形状や大きさの影響を受ける。例えば、ベタ画像を印刷する場合、単位面積当たりの画素数が充足しているにも拘わらず、ドットの大きさが小さいためにそれらの重畳が不足すると、インク液滴の着弾点の周囲(被印画部)の被覆が不完全となり、「白抜け」が発生し、また、濃度低下が認められるようになる。このため、インク吐出量を可変とできるインクジェットノズルの開発等のインクジェットプリンタ側での改良が試みられているが、装置的な改良には実用上の制約が発生し易いために、十分な改良が実現できたとは言えない。そこで、インクジェットプリンタの画素形成動作に応じてインク受容層におけるインクドットの大きさや、インク浸透過程の拡散の度合いをコントロールするというインクジェット被記録媒体側での改良も以下に説明するように種々試みられている。
【0003】
例えば、インク受容層に形成されるインクドットを適度に拡散もしくは滲ませることを目的として、インク中の色剤である染料や顔料に対する結合力が比較的に小さいために滲みを生じ易い作用を示す塩基性乳酸アルミニウムを、これとは逆の作用(即ち、色剤との結合力が強いために滲みを抑制する作用)を有するアルミナゾルと組み合わせてフィラーとして用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。また、フィラーである無定形シリカの表面をシランカップリング剤あるいはフッ素で表面処理してフィラー表面の改質を行うことにより、インクのフィラー表面への親和性を低下させ、そのようなフィラーの含有量によって滲みを調節する方法も提案されている(特許文献2、3参照)。また、インク受容層へアニオン性フッ素系界面活性剤を添加することにより、水系顔料インクの浸透性、インク受容層表面の濡れ性等をコントロールしてインクドットの大きさを調整することも提案されている(特許文献4参照)。
【0004】
また、非晶質シリカフィラーと2種類のポリビニルアルコール樹脂を共存させ、樹脂の混合比を調節することで滲み(ドットの広がり)を制御する方法が提案されている(特許文献5参照)。更に、インク受容層を上下の2層構造とし、インクに対する親和性について、下層(基材側)が上層に比べて小さくなるようにすることで下層へのインク浸透速度を遅くし、結果的に上層での横方向の広がりを促進することが提案されている(特許文献6、7参照)。また、樹脂主体ではあるが、同様な2層積層タイプのインク受容層を用いることも記載されている(特許文献8参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−157278号公報
【特許文献2】特公平3−24905号公報
【特許文献3】特公平7−67852号公報
【特許文献4】特開平10−329405号公報
【特許文献5】特開平9−277696号公報
【特許文献6】特公平3−63518号公報
【特許文献7】特公平7−80347号公報
【特許文献8】特開平8−112965号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1〜8に記載のインクジェット被記録媒体の内、インクの吸収に与る空隙形成をインク受容層中のフィラーが担う、いわゆる空隙型インク受容層を有する被記録媒体の場合、フィラーとしてアルミナゾルを用いる例が記載されているが、大半は無定形(非晶質)シリカに限定されており、また、アルミナゾルへの適用においては他のアルミニウム化合物と併用する方法しか提案されておらず、シリカへの適用においてはその表面電荷が水中で負と推定されるタイプに限られており、しかもインクに対する親和性の制御手法がフィラー表面へシランカップリング剤やフッ素系化合物を適用する場合に限られており、必ずしも汎用性があるとは言い難い。また、インク受容層を多層化することは製造上の工程の合理化と言う観点からは好ましくない。
【0007】
また、特許文献1〜8に記載のインクジェット被記録媒体の内、インクの吸収を樹脂の膨潤と吸着により行う、いわゆる膨潤型インク受容層を有するインクジェット被記録媒体の場合には、近年の比較的多量にインクを吐出させる高速高品位印刷時には、インクの素早い吸収が困難であり、乾燥性が劣る。
【0008】
本発明は、以上の従来の課題を解決しようとするものであり、インク受容層を多層化することなく、広汎な種類のフィラーを対象とし、それらの集合体として構成されるインク受容層に対して単一層でありながらもインクの親和性を改質の程度に応じて変化させることで、形成されるドットの拡散性もしくはドット径を制御する手段の提供を可能にする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、インク吸収に好適な多孔質表面を有するフィラーの多くが、水中で電荷を有することに着目し、そのようなフィラーの表面に、その表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子を結合又は吸着させること(表面修飾すること)ができ、その表面修飾の程度に応じて、フィラーのインクに対する親和性を変化させ、それによりインク受容層において形成されるインクドットの拡散性やドット径を制御することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、フィラーが結着剤に分散されてなるインク受容層が基材上に形成されているインクジェット被記録媒体において、該フィラーが、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されていることを特徴とするインクジェット被記録媒体を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明のインクジェット被記録媒体の基本的構造は、図1に示すように、基材1上にインク受容層2が形成されている構造を有する。このインク受容層2は、単一層であることが、製造上のメリットがあるが、2層以上の複層構造であってもよい。
【0013】
本発明において、インク受容層2は、フィラーが結着剤に分散されてなるものである。ここで、フィラーは、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されている。従って、その表面修飾の程度に応じて、フィラーのインクに対する親和性を変化させ、それによりインク受容層において形成されるインクドットの拡散性やドット径を制御することができる。表面修飾の程度を変化させる手法としては、水溶性樹脂のイオン性基の量(モル/g)を変化させること、イオン性基の種類を変えること、核となるフィラーに対する水溶性樹脂量を変えること、イオン性基以外でフィラーに対する吸着性を左右する酸(塩基)性度もしくは電子吸引(供与)性を発現する水溶性樹脂中の構造単位を変化させること、又は逆極性に帯電する固体粒子の種類や添加量を変化させること等が挙げられる。
【0014】
本発明においてはフィラーとしては、水(純水)中に投入した際に表面電荷が生ずるものを使用する。例えば、水中で正に帯電する微粒子状のハイドロタルサイト類化合物又はその焼成体(酸化物固溶体)が好ましく挙げられる。特に、ハイドロタルサイト類化合物としては、式(1)及び(2)
【0015】
【化3】
[MII 1−xMIII x(OH)2]+x[Ax/n・mH2O]−x (1)
[LiAl2(OH)6]+1[A1/n・mH2O]−1 (2)
{式(1)及び(2)中、MIIはMg、Zn、Ni又はCaの2価金属イオンを表し、MIIIはAlの3価金属イオンを表し、Aはn価のアニオンを表し、xは0.1<x<0.4を満たす正数であり、mは0<m<2を満たす正数である。}
で示されるものが好ましく挙げられる。これらはAlO6等からなる八面体シートが層状に積み重なった構造を有し、金属イオンの同型置換によって層自身がカチオン性を帯びており、水中で正に帯電する。この電荷の補償のために天然のハイドロタルサイトはその層間には炭酸イオンが存在するが、ハイドロタルサイト類化合物は、その層間に硝酸イオン等の無機アニオン、カルボキシレートイオンのようなアニオン性の有機分子を取り込むこともでき、アニオン交換性層間化合物と呼ばれている。この作用はインターカレーションと言われ、インクジェット記録に広く用いられるアニオン性の染料の吸着に有益であり、吸着により生じた複合体は層間化合物と称される。また、ハイドロタルサイトの焼成体も水中で元の層構造をとることが知られており、ハイドロタルサイトと同様に水中で正の電荷を帯びる。
【0016】
ハイドロタルサイト類化合物以外にも、アニオン交換性層間化合物として、チタンやジルコニウム、ランタン、ビスマスなどの含水酸化物あるいは水酸化リン酸塩などがあるが、これらは光学的隠蔽性もしくは固有の色を有するので、受容層に透明性、光沢性、白色度が同時に要求されない場合に使用することができる。ここで、アニオン交換性の層間化合物の層間に存在させる交換性陰イオンとしては水やアルコールなどの高誘電率媒体に溶媒和し易い無機陰イオン、例えばNO3 −、SO4 2−、ClO4 −、Fe(CN)6 4−、ヘテロポリリン酸イオンや、親水性有機アニオン、例えば、低級カルボキシレートイオンなどを使用することができる。なお、高級カルボキシレートイオンは、上述の陰イオンに比べ溶媒和し難い層間を与える傾向がある。なお、結着剤に対するアニオン交換性層間化合物の分散性を改善し、更に、アルコール等の非水溶媒に対する膨潤性を改善するために、アニオン交換性層間化合物の交換性陰イオンの一部を、層間距離を拡げる効果(ピラー効果)や層間を部分的に疎水化するという効果とを実現する有機アニオンで置換してもよい。そのような有機アニオンとしては、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、有機エステルアニオン、有機リン酸エステルアニオンなどを例示することができる。
【0017】
また、本発明においては、交換性カチオンを有し、水中で負に帯電する微粒子状のカチオン交換性層間化合物も、フィラーとして使用できる。
【0018】
カチオン交換性層状化合物としては、天然もしくは合成層状珪酸塩化合物又はそれらの焼成体を例示することができ、代表的には3−八面体型スメクタイト構造を有する以下の式(3)
【0019】
【化4】
(X,Y)2 〜 3Z4O10(OH)2・mH2O・(W1/3) (3)
(式(3)中、XはAl、Fe(III)、Mn(III)またはCo(III)であり、YはMg、Fe(II)、Ni、Zn又はLiであり、ZはSi又はAlであり、WはK、Na又はCaであり、H2Oは層間水であり、そしてmは整数を表す。)
で表される粘土鉱物の一種であるモンモリロナイト群鉱物を好ましく使用することができる。具体的には、XとYの組み合わせと置換数に応じて、モンモリロナイト、マグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロナイト、アルミニアンノントロライト、サポナイト、アルミニアンサポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等の天然物や合成物を例示することができる。なお、上記式(3)中のOH基がフッ素で置換されたものも使用することができる。本発明においては、式(3)のモンモリロナイト群鉱物の他にも、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト等の雲母群鉱物をカチオン交換性層間化合物として使用できる。
【0020】
なお、合成粘土鉱物と同様に、層状鉱物を有し且つ交換性カチオンを有するカチオン交換性層間化合物として、燐酸ジルコニウム等の酸性塩、層状含水酸化チタン等がある。これらは光学的隠蔽性もしくは固有の色を有するので、透明性、光沢性、白色度が同時に要求されない場合に使用することができる。
【0021】
また、上述したようなカチオン交換性層間化合物として、夾雑物を含まない合成珪素塩などの純白色を呈する微粉末を使用した場合、その微粉末結晶そのものは光学的に透明であるので、銀塩写真に比較しうるような高い彩度を実現する染料定着層を形成することが可能となる。
【0022】
本発明に用いるカチオン交換性層間化合物の層間に存在させる交換性カチオンとしては、水やアルコールなどの高誘電率媒体に溶媒和し易い無機陽イオン、例えばLi+、Na+、K+等のアルカリ金属イオン、Mg2+等のアルカリ土類金属イオン、H+(この場合にはいわゆる粘土酸となる)などを使用することができる。なお、アルカリ土類金属イオンのうちCa2+、Ba2+は上述した他の無機イオンに比べ溶媒和し難い層間を与える傾向がある。
【0023】
なお、結着剤に対するカチオン交換性層間化合物の分散性を改善し、更にアルコールなどの非水溶媒に対する膨潤性を改善するために、カチオン交換性層間化合物の交換性無機陽イオンの一部を、層間距離を拡げる効果(ピラー効果)や層間を部分的に疎水化するという効果とを実現する有機陽イオンで置換してもよい。そのような有機イオンとしては、有機第4級アンモニウムイオンや有機ホスホニウムイオン、例えば有機アルキルホスホニウムイオン、有機アリールホスホニウムイオン等を好ましく使用することができる。
【0024】
更に、本発明に有効なフィラーとして、一般のインクジェット用印画紙に好ましく用いられる合成無定形シリカ、シリカゲル、合成珪素化合物等の微粒子状の非層状珪酸塩化合物も使用できる。この化合物の表面は水中では先の層状珪酸塩化合物と同様に一般に陰イオン性を呈するが、中には化学組成に因っては陽イオン性を呈するものも存在し、その場合には前述のハイドロタルサイト類化合物の表面修飾を適用すればよい。
【0025】
本発明においては、フィラーの水中における表面電荷が正である場合には、フィラー表面を負のイオン性基(アニオン性基)を有する水溶性樹脂又は負に帯電する固体粒子で表面修飾する。一方、フィラーの水中における表面電荷が負である場合には、フィラー表面を正のイオン性基(カチオン性基)を有する水溶性樹脂又は負に帯電する固体粒子で表面修飾する。
【0026】
アニオン性基を有する水溶性樹脂としては、カルボキシル基を繰り返し構造単位として有する例えばポリカルボン酸及びその塩、同アクリル酸(塩)、同メタクリル酸(塩)、あるいはそれらの共重合体等が挙げられる。同様に、一般にアニオン性親水基として知られるスルホン酸、燐酸あるいはそれらの類縁体を繰り返し構造単位として有する高分子や水溶性ポバール等の中性構造末端にこれらの親水性基を導入した高分子等があげられ、カチオン性基を有する水溶性樹脂としては、アンモニウム基、イミダゾリル基等の4級アンモニウム構造を分子中に有する高分子等が挙げられる。
【0027】
また、フィラーを表面修飾するための、水中で正に帯電する固体粒子としては、ハイドロタルサイト類もしくはそれらの焼成体、チタンやジルコニウム、ランタン、ビスマスなどの含水酸化物あるいは水酸化リン酸塩、カチオン変性シリカ、アルミナゾル等が挙げられ、負に帯電する固体粒子としては、スメクタイト等の粘土鉱物類、同様に、層状鉱物を有し且つ交換性カチオンを有するカチオン交換性層間化合物として、燐酸ジルコニウム等の酸性塩、層状含水酸化チタン等珪酸塩、または、成無定形シリカ、シリカゲル、合成珪素化合物等の微粒子状の非層状珪酸塩化合物等が挙げられる。ここで、フィラーと固体粒子との粒径比は、後者が大きすぎると表面修飾し難く、小さすぎるとインク受容に有益な空隙の確保が困難となるので、1:0.01〜1:1である。
【0028】
フィラーと固体粒子との好ましい組み合わせとしては、フィラーが式(1)又は(2)の微粒子状のハイドロタルサイト類化合物又はその焼成体であり、固体粒子が微粒子状の層状又は非層状珪酸塩化合物あるいはアルミナ水和物である組み合わせが挙げられる。
【0029】
本発明において、フィラーを上述したような水溶性樹脂又は固体粒子の表面修飾レベルは、使用するフィラー、水溶性樹脂や固体粒子の種類やインクの種類、インクに対する要求親和性レベルなどに応じて、それらの重量比率などを適宜調整すればよい。
【0030】
また、本発明においては、フィラーを、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾する前に、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾した後に、そのような水溶性樹脂又は固体粒子で表面修飾することが好ましい。半極性有機ホウ素化合物は、受容層を構成するフィラー類と結着剤の結びつきを強める作用を有することから水性インクに対して強い親和性を有しながらもインク受容層に水に難溶の性能を付与し、さらに分子内に半極性結合を繰り返し有する化合物であり、その半極性構造により水性染料を化学的に安定化させる作用を有する。このため、インク受容層2は、水性インクに対して素早い浸透に基づく乾燥性を発現しながらも良好な画像耐水性を実現できる。
【0031】
半極性有機ホウ素化合物としては、式(4)
【0032】
【化5】
{式(4)中、AはXl−Ym−Zn(但し、X及びZは末端エーテル残基を持つ炭素数合計100以下の含酸素炭化水素基、Yは−OCO−R−CO−基(但し、Rは炭素数1〜34の炭化水素基である。)であり、l、m及びnは0または1である。)であり、Pは10〜1000の整数を表わす。qは1以上の整数である。}で表わされるジグリセリンボラート又はその誘導体が好ましい。具体的には、特公平3−53331号公報の実施例1〜29に示された化合物を挙げることができる。
【0033】
本発明において、フィラーに対する半極性有機ホウ素化合物の表面修飾量範囲は、インク受容層の耐水性が不十分とならない量(下限)から、フィラーに吸着する最大量(上限)の範囲であるが、好ましくはフィラー1重量部に対し0.02〜1重量部である。
【0034】
インク受容層2を構成する結着剤としては、前述した水溶性樹脂の他に、従来のインクジェット被記録媒体に用いられている熱可塑性の水溶性樹脂もしくは親水性樹脂又は疎水性樹脂の水性エマルジョンが挙げられる。例えば、ポリビニルブチラール樹脂などのビニルアルコールのアセタール化物、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ゼラチン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンエマルジョン、SBRエマルジョン、アクリルエマルジョン等が挙げられる。
【0035】
また、インク受容層2における、フィラーの結着剤に対する配合量は、結着剤が多すぎると耐水効果が得られにくく、少なすぎると結着性が劣り造膜性が低下するので、フィラー1重量部に対し結着剤を好ましくは0.005〜0.5重量部とする。
【0036】
インク受容層2には、必要に応じて、従来のインク受容層において用いられている各種添加剤(例えば、架橋剤、可塑剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、他の親水性樹脂等)を配合することができる。また、インクジェット記録時の走行性を確保(重送防止)するために、公知の顔料を配合できる。この場合、顔料としては、クレー、カオリン、焼成クレー、無定型シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等を配合することができる。
【0037】
なお、インク受容層2の層厚としては、通常2〜60μm、好ましくは5〜40μmである。
【0038】
本発明において基材1としては、パルプを主体とするいわゆる紙、あるいはそれに何らかのコーティングを施したもの、熱可塑性樹脂フィルム等のシート状材料が挙げられる。例えば、熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルエステル等が好ましい。中でも、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが機械的特性などの点から好ましい。また、紙の場合はサイズ剤無添加あるいは適度なサイジングを施した紙で、填料は含まれても、含まれなくてもよい。
【0039】
基材1の厚みとしては、通常、50〜250μmである。
【0040】
以上説明した、本発明のインクジェット被記録媒体は、そのインク受容層の純水に対する静的接触角が大きすぎるとべた印刷時の白抜けが発生する傾向があり、小さすぎると過度のにじみによる解像性の劣化が生ずる傾向があるので、その静的接触角を好ましくは15度〜35度とする。この角度の調整は、インク受容層2を構成するフィラーの表面修飾の程度や結着剤の種類や配合量等を変更することにより行うことができる。
【0041】
また、本発明のインクジェット被記録媒体において、インク受容層の厚み(μm)をインク受容層の純水に対する静的接触角で除した値が小さすぎると所望のドット拡幅(拡散)効果を得るのが困難となり、大きすぎると不用意にドットが大きくなり過ぎて現行のインクジェット印刷において求められる解像度を得るのが困難となるので、好ましくは0.5〜5.0(μm/度)とする。
【0042】
本発明のインクジェット被記録媒体は、基材上にインク受容層用塗料を公知の手法で塗布し、製膜することにより製造できる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0044】
なお、以下の実施例、比較例で作製したインクジェット被記録媒体のインク受容層に形成されるドットの拡散性を評価するために行ったインクジェット記録方法は、液滴の重畳によってドット径を変調させることで階調表現を行うPNM(Pulse Number Modulation)法を採用し、単一液滴だけでなく液滴の重なりを伴う場合に形成される画素の拡散性を調べることで評価の精度を高めた。記録ヘッド(インク)はヒューレット・パッカード社の950Cを用い、100μsecの間隔にてパルス電圧を印加して液滴を吐出させ、記録ヘッドを固定したままで最大8パルスまで重畳した。この時の単一液滴の液量は約3plであった。
【0045】
比較例1
フィラーとして上述したハイドロタルサイトの焼成体(キョーワード2200、協和化学工業(株)社製)10gを100gの水中に投入し、分散媒体としての直径3mmの酸化ジルコニウム50gを加えて10時間ボールミル混合を行い、平均粒子径が0.3μmの安定な微粒子分散液No.1を得た。
【0046】
この分散液No.1にバインダーとしてのポリウレタン水分散体(スーパーフレックスE2000、第1工業製薬(株))を固形分が1.5gになるように添加してインク受容層用塗料を調製し、この塗料を、乾燥時の膜厚が20μmとなるように125μm厚の白色ポリエステルフィルム(ルミラーE−20,東レ(株)製)上にワイヤーバーにて塗布後、100℃2分の条件で熱風乾燥することにより光沢に富んだインク受容層を有するインクジェット被記録媒体を作製した。
【0047】
実施例1
撹拌機、温度計、窒素流入管及びコンデンサーを連結する検量管を備えた4口フラスコに、ジ(グリセリン)ボラート192.1g(1モル)と無水マレイン酸98.1g(1モル)とを仕込み、窒素ガス気流下に、90〜100℃で1時間反応させた。更に、210〜220℃で6時間反応させ、9gの水を系外に留出させ、式(1)におけるYがマレイン酸連結基(−OCOCH=CHCO−)である淡黄色粘凋性のポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}を得た。なお、得られたポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}をIRスペクトルにて分析したところ、式(5)の半極性構造のOHの変角振動の吸収を確認できた。
【0048】
【化6】
【0049】
得られたポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}50gを重量比でエタノール/水=50/50の混合溶媒500gに溶解し、フィラーとして比較例1で使用したものと同じハイドロタルサイトの焼成体20gを加えて80〜85℃で撹拌しながら1時間加熱した後に冷却し、沈殿物を濾別した。濾取した固体を大過剰のエタノール/水=50/50の混合溶媒中に投じて攪拌しながら洗浄した後に濾別し、未反応のポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}を除去した。回収した固形物を減圧下乾燥して粉砕したところ、やや淡黄色を呈する粉末を約24g回収した。
【0050】
この粉末10gを100gの水中に投入し、分散媒体としての直径3mmの酸化ジルコニウム50gを加えて10時間ボールミル混合を行い、平均粒子径が0.2μmの安定な微粒子分散液No.2を得た。
【0051】
得られた分散液No.2を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0052】
実施例2
微粒子分散液No.2に、水溶性ポリアクリル酸(AC103、日本純薬(株)社製)を固形分が2gとなるように加えて1時間、ボールミル分散したところ平均粒子径が0.09μmの安定な微粒子分散液No.3を得た。
【0053】
得られた分散液No.3を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0054】
比較例1、実施例1及び実施例2で作製した3種類のインクジェット被記録媒体に対してPNM法によるインクジェット記録を行った。その際の印加したパルス数と得られたドットの径の関係を図2に示した。図2から表面に樹脂を吸着させていないカチオン性フィラーに半極性有機ホウ素化合物(実施例1)、更にはアニオン性水溶性樹脂(実施例2)を重畳して吸着させるとドット径が拡大することが明白となった。
【0055】
実施例3
フィラーとしてハイドロタルサイト(キョーワード500、協和化学工業(株)社製)10gを100gの水中に投入し、さらにアニオン性水溶性樹脂としてアクリル系ポリカルボン酸塩(セラゾールLS、明成化学工業(株)社製)を固形分が1g、2g、4gになるように添加し、各々に分散媒体としての直径3mmの酸化ジルコニウム50gを加えて15時間ボールミル分散を行い、平均粒子径が0.1μm以下の安定な半透明分散液No.4、5及び6を得た。
【0056】
得られた半透明分散液No.4、5及び6を使用し、比較例1と同様にそれぞれインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体(3種類)を作製した。
【0057】
これらの3種のインクジェット被記録媒体に対してPNM法によるインクジェット記録を行った。その際の印加パルス数が1の時、つまりはドットの重畳を伴わずに単一液滴が浸透した時のドット径と、各インク受容層の純水に対する接触角の測定値との関係を図3に示した。また、この接触角とフィラーに対する水溶性樹脂の重量%との関係を図4に示した。図3及び図4から、水溶性樹脂の添加量が大きくなるとインク受容層の純水に対する接触角が減少し、インク溶媒の大半を占める水に対する濡れ性(親水性)が大きくなり、ドットが拡大することが分かる。これらの図と実用的な印刷手法の両方から鑑みて、ドットの拡散性を支配すると考えられるインク受容層の純水に対する静的接触角の好ましい範囲は、上限を過度のにじみによる解像性の劣化および下限をべた印刷時の白抜け発生点とすると15度〜35度の範囲であることが分かる。
【0058】
実施例4
フィラーとしてアルミナ(キョーワード500、住友化学(株)社製)10gを100gの水中に投入し、さらにアニオン性水溶性樹脂としてポリアクリル酸アンモニウム(シャロールAN130P、第1工業製薬(株)製)を固形分が0.8gになるように添加して実施例1と同様にして20時間ボールミル分散を行い、平均粒子径が0.1μm程度の安定な分散液No.7を得た。
【0059】
得られた分散液No.7にバインダーとしての10wt%ポリビニルアルコール水溶液(PVA−205、クラレ(株))を2g添加してインク受容層塗料を調製し、市販のインクジェット印画フィルム(HG201、キャノン(株)上に湿潤時塗布厚を変えて成膜し、最上層の厚みが10から60μmのインクジェット記録フィルムを得た。
【0060】
得られたインクジェット記録フィルムに対してPNM法によるインクジェット記録を行った。その際の印加パルス数が8の時、つまりは8回の液滴の重畳を伴う時のドット径と最上層のインクジェット受容層厚(乾燥時)との関係とを図5に示した。図5から、インク受容層の厚みがある値以上に達すると画素の拡散が顕著となり、厚みに応じても拡散効果が異なることが明らかとなった。厚みに閾値が存在するのは以下の事情が反映されたものと推定される。インク受容層に着弾したインクは横方向(インク受容層に対して水平)の浸透を伴いながら下層へ浸透していくことになるが、直下にインク吸収がより優れたインク受容層がある場合には、縦方向(受容層に対して垂直)の浸透つまりは下層へのインク伝播が優先される結果、下層のインク浸透挙動が画素全体の拡散性を支配する。しかしながら、厚みが増してインクの縦方向の移動距離が長くなると下層のインク浸透への影響が及ばなくなり、上層内での拡散が優先して生じる結果、上層のインク浸透挙動が画素全体の拡散性を支配すると考えられる。
【0061】
また、このインク受容層の純水に対する静的接触角は18度であり、図5の厚みの閾値が約10μmと推定されることから厚みを接触角で除した値は0.56であった。この値が大なるほど所望の拡散効果を得るための厚みが大であることが要求されるので経済的合理性の観点からは1.0以下が好ましい。逆に、この値が0.1を下回ると、微少厚みの制御という製造上の困難が生じたり、過度の拡散効果が生じて画像の劣化を招くので好ましくない。
【0062】
実施例5
実施例1の微粒子分散液No.2の全量110gにコロイダルシリカの分散液(ルドックスTMA、グレース社)を、分散液中のハイドロタルサイトに対する固形分重量比が3/1および1/3、10/1になるように加え、さらにバインダーとして10wt%のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−M、日本曹達社)水溶液を10g添加して再びボールミル分散を2時間行うことにより3種類のインク受容層塗料を調製した。
【0063】
得られた3種類のインク受容層塗料を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0064】
得られたインクジェット記録フィルムに対してPNM法によるインクジェット記録を行った。その際の印加したパルス数とドット径との関係を図6に示した。図6からハイドロタルサイトに対するコロイダルシリカの添加量が増大するにつれて画素を形成する1〜8のすべてのパルス領域でドット径が拡大することが判明した。ここでコロイダルシリカ量を更に増やし1/30の重量比にするとドット径は増大する傾向を示すが、インクの浸透性が悪化して有意な乾燥性を示さなくなり、実用に供することが困難となる。逆に、添加量が30/1より少ないと画素の拡散の程度が小さく、有意な拡大効果を齎さないので、30/1〜1/30の範囲での添加が好ましいこと分かった。
【0065】
また、重量比1/3で配合したインク受容層用塗料の粒子径を測定すると0.2μmであった。ここで塗料中の大部分を占めるコロイダルシリカの粒子径が一桁小さい0.03μmであることから、異種粒子の混合にてハイドロタルサイトを核として周囲を微細なシリカ粒子で覆った複合粒子が生じていることがわかった。
【0066】
実施例6
ポリ{ジ(グリセリン)ビボラート}1gを水2kgに溶解し、次にフィラーとして合成サポナイト(クニミネ鉱業)10gを高速攪拌しながら少しづつ添加し、固形分2gのカチオン性アクリル樹脂(シャロールC、 第1工業製薬(株))を加え、更に2gのポリビニルピロリドン(K−90,BASF社製)を加えてボールミル分散を10時間施したところ、平均粒子径が0.06μmの半透明な微粒子分散液No.8を得た。
【0067】
得られた分散液No.8を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0068】
比較のために、カチオン性アクリル樹脂を加えない以外は実施例6と全く同様の組成と操作にてインクジェット被記録媒体を作製した。
【0069】
得られたインクジェット被記録媒体のインク受容層の純水に対する静的接触角を測定した後に、PNM法でインクジェット記録を行った。得られた最大のドット径を調べたところ接触角18度で110μm径と同28度で80μm径の値が得られた。この種(陰イオン)のフィラーにても逆極性(陽イオン)の水溶性樹脂の添加により受容層全体のインクに対する濡れ性が改善されて画素の拡散が誘発されることが明らかになった。
【0070】
実施例7
ポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}1gを水100gに溶解し、フィラーとしての気相法シリカ(A−300、アエロジル社)10gを添加して1時間高速攪拌した。次に固形分2gのカチオン性アクリル樹脂(シャロールC、第1工業製薬(株))を加え、更に1gのポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ(株))を加えて高速攪拌を1時間続けたところ、平均粒子径が0.08μmの半透明でやや粘稠な微粒子分散液No.9を得た。
【0071】
得られた分散液No.9を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0072】
比較のために、カチオン性アクリル樹脂を加えない以外は実施例7と全く同様の組成と操作にてインクジェット被記録媒体(対照)を作製した。
【0073】
得られたインクジェット被記録媒体に対してPNM法でインクジェット記録(ベタ印画)を行った。得られた画像の光学濃度(O.D;反射濃度)と入力パルス数との関係を図7に比較して示した。図7は入力パルス数の応じた画像濃度(即ち、画像の階調表現性)を表わす図であるが、1〜4パルスの領域の光学濃度において、実施例7のインクジェット被記録媒体が、対照のインクジェット被記録媒体に比べて10%〜30%程度上回っていることを示しており、画素の拡大によりドットの重畳がより促進されて、被印画部のインクによる被覆の度合いが増加したことが分かった。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、インク受容層を多層化することなく、広汎な種類のフィラーを対象とし、それらの集合体として構成されるインク受容層に対して単一層でありながらもインクの親和性を改質の程度に応じて変化させることで、形成されるドットの拡散性もしくはドット径を制御できるインクジェット被記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット被記録媒体の概略断面図である。
【図2】PNM法によるインクジェット記録におけるパルス数と得られたドット径の関係図である。
【図3】PNM法によるインクジェット記録における印加パルス数が1の時のドット径とインク受容層の純水に対する接触角の測定値との関係図である。
【図4】PNM法によるインクジェット記録における印加パルス数が1の時のインク受容層の純水に対する接触角とフィラーに対する水溶性樹脂の重量%との関係図である。
【図5】PNM法によるインクジェット記録における印加パルス数が8の時のドット径と最上層のインクジェット受容層厚(乾燥時)との関係図である。
【図6】ハイドロタルサイトとコロイダルシリカとの配合量とを相違させた場合の、PNM法によるインクジェット記録における印加したパルス数とドット径との関係図である。
【図7】PNM法によるインクジェット記録(ベタ印画)における画像光学濃度(O.D;反射濃度)と入力パルス数との関係図である。
【符号の説明】
1 基材、 2 インク受容層
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタによる画素形成動作に応じてインク受容層におけるインクドットの大きさや、インク浸透過程の拡散の程度をコントロール可能なインクジェット被記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にインクジェット記録における画像は、インク受容層に対するインク液滴の着弾とそれに続く浸透過程を経て形成されるドット状の画素の集合として再現される。従って、その画質は、ドットの形状や大きさの影響を受ける。例えば、ベタ画像を印刷する場合、単位面積当たりの画素数が充足しているにも拘わらず、ドットの大きさが小さいためにそれらの重畳が不足すると、インク液滴の着弾点の周囲(被印画部)の被覆が不完全となり、「白抜け」が発生し、また、濃度低下が認められるようになる。このため、インク吐出量を可変とできるインクジェットノズルの開発等のインクジェットプリンタ側での改良が試みられているが、装置的な改良には実用上の制約が発生し易いために、十分な改良が実現できたとは言えない。そこで、インクジェットプリンタの画素形成動作に応じてインク受容層におけるインクドットの大きさや、インク浸透過程の拡散の度合いをコントロールするというインクジェット被記録媒体側での改良も以下に説明するように種々試みられている。
【0003】
例えば、インク受容層に形成されるインクドットを適度に拡散もしくは滲ませることを目的として、インク中の色剤である染料や顔料に対する結合力が比較的に小さいために滲みを生じ易い作用を示す塩基性乳酸アルミニウムを、これとは逆の作用(即ち、色剤との結合力が強いために滲みを抑制する作用)を有するアルミナゾルと組み合わせてフィラーとして用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。また、フィラーである無定形シリカの表面をシランカップリング剤あるいはフッ素で表面処理してフィラー表面の改質を行うことにより、インクのフィラー表面への親和性を低下させ、そのようなフィラーの含有量によって滲みを調節する方法も提案されている(特許文献2、3参照)。また、インク受容層へアニオン性フッ素系界面活性剤を添加することにより、水系顔料インクの浸透性、インク受容層表面の濡れ性等をコントロールしてインクドットの大きさを調整することも提案されている(特許文献4参照)。
【0004】
また、非晶質シリカフィラーと2種類のポリビニルアルコール樹脂を共存させ、樹脂の混合比を調節することで滲み(ドットの広がり)を制御する方法が提案されている(特許文献5参照)。更に、インク受容層を上下の2層構造とし、インクに対する親和性について、下層(基材側)が上層に比べて小さくなるようにすることで下層へのインク浸透速度を遅くし、結果的に上層での横方向の広がりを促進することが提案されている(特許文献6、7参照)。また、樹脂主体ではあるが、同様な2層積層タイプのインク受容層を用いることも記載されている(特許文献8参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−157278号公報
【特許文献2】特公平3−24905号公報
【特許文献3】特公平7−67852号公報
【特許文献4】特開平10−329405号公報
【特許文献5】特開平9−277696号公報
【特許文献6】特公平3−63518号公報
【特許文献7】特公平7−80347号公報
【特許文献8】特開平8−112965号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1〜8に記載のインクジェット被記録媒体の内、インクの吸収に与る空隙形成をインク受容層中のフィラーが担う、いわゆる空隙型インク受容層を有する被記録媒体の場合、フィラーとしてアルミナゾルを用いる例が記載されているが、大半は無定形(非晶質)シリカに限定されており、また、アルミナゾルへの適用においては他のアルミニウム化合物と併用する方法しか提案されておらず、シリカへの適用においてはその表面電荷が水中で負と推定されるタイプに限られており、しかもインクに対する親和性の制御手法がフィラー表面へシランカップリング剤やフッ素系化合物を適用する場合に限られており、必ずしも汎用性があるとは言い難い。また、インク受容層を多層化することは製造上の工程の合理化と言う観点からは好ましくない。
【0007】
また、特許文献1〜8に記載のインクジェット被記録媒体の内、インクの吸収を樹脂の膨潤と吸着により行う、いわゆる膨潤型インク受容層を有するインクジェット被記録媒体の場合には、近年の比較的多量にインクを吐出させる高速高品位印刷時には、インクの素早い吸収が困難であり、乾燥性が劣る。
【0008】
本発明は、以上の従来の課題を解決しようとするものであり、インク受容層を多層化することなく、広汎な種類のフィラーを対象とし、それらの集合体として構成されるインク受容層に対して単一層でありながらもインクの親和性を改質の程度に応じて変化させることで、形成されるドットの拡散性もしくはドット径を制御する手段の提供を可能にする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、インク吸収に好適な多孔質表面を有するフィラーの多くが、水中で電荷を有することに着目し、そのようなフィラーの表面に、その表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子を結合又は吸着させること(表面修飾すること)ができ、その表面修飾の程度に応じて、フィラーのインクに対する親和性を変化させ、それによりインク受容層において形成されるインクドットの拡散性やドット径を制御することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、フィラーが結着剤に分散されてなるインク受容層が基材上に形成されているインクジェット被記録媒体において、該フィラーが、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されていることを特徴とするインクジェット被記録媒体を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明のインクジェット被記録媒体の基本的構造は、図1に示すように、基材1上にインク受容層2が形成されている構造を有する。このインク受容層2は、単一層であることが、製造上のメリットがあるが、2層以上の複層構造であってもよい。
【0013】
本発明において、インク受容層2は、フィラーが結着剤に分散されてなるものである。ここで、フィラーは、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されている。従って、その表面修飾の程度に応じて、フィラーのインクに対する親和性を変化させ、それによりインク受容層において形成されるインクドットの拡散性やドット径を制御することができる。表面修飾の程度を変化させる手法としては、水溶性樹脂のイオン性基の量(モル/g)を変化させること、イオン性基の種類を変えること、核となるフィラーに対する水溶性樹脂量を変えること、イオン性基以外でフィラーに対する吸着性を左右する酸(塩基)性度もしくは電子吸引(供与)性を発現する水溶性樹脂中の構造単位を変化させること、又は逆極性に帯電する固体粒子の種類や添加量を変化させること等が挙げられる。
【0014】
本発明においてはフィラーとしては、水(純水)中に投入した際に表面電荷が生ずるものを使用する。例えば、水中で正に帯電する微粒子状のハイドロタルサイト類化合物又はその焼成体(酸化物固溶体)が好ましく挙げられる。特に、ハイドロタルサイト類化合物としては、式(1)及び(2)
【0015】
【化3】
[MII 1−xMIII x(OH)2]+x[Ax/n・mH2O]−x (1)
[LiAl2(OH)6]+1[A1/n・mH2O]−1 (2)
{式(1)及び(2)中、MIIはMg、Zn、Ni又はCaの2価金属イオンを表し、MIIIはAlの3価金属イオンを表し、Aはn価のアニオンを表し、xは0.1<x<0.4を満たす正数であり、mは0<m<2を満たす正数である。}
で示されるものが好ましく挙げられる。これらはAlO6等からなる八面体シートが層状に積み重なった構造を有し、金属イオンの同型置換によって層自身がカチオン性を帯びており、水中で正に帯電する。この電荷の補償のために天然のハイドロタルサイトはその層間には炭酸イオンが存在するが、ハイドロタルサイト類化合物は、その層間に硝酸イオン等の無機アニオン、カルボキシレートイオンのようなアニオン性の有機分子を取り込むこともでき、アニオン交換性層間化合物と呼ばれている。この作用はインターカレーションと言われ、インクジェット記録に広く用いられるアニオン性の染料の吸着に有益であり、吸着により生じた複合体は層間化合物と称される。また、ハイドロタルサイトの焼成体も水中で元の層構造をとることが知られており、ハイドロタルサイトと同様に水中で正の電荷を帯びる。
【0016】
ハイドロタルサイト類化合物以外にも、アニオン交換性層間化合物として、チタンやジルコニウム、ランタン、ビスマスなどの含水酸化物あるいは水酸化リン酸塩などがあるが、これらは光学的隠蔽性もしくは固有の色を有するので、受容層に透明性、光沢性、白色度が同時に要求されない場合に使用することができる。ここで、アニオン交換性の層間化合物の層間に存在させる交換性陰イオンとしては水やアルコールなどの高誘電率媒体に溶媒和し易い無機陰イオン、例えばNO3 −、SO4 2−、ClO4 −、Fe(CN)6 4−、ヘテロポリリン酸イオンや、親水性有機アニオン、例えば、低級カルボキシレートイオンなどを使用することができる。なお、高級カルボキシレートイオンは、上述の陰イオンに比べ溶媒和し難い層間を与える傾向がある。なお、結着剤に対するアニオン交換性層間化合物の分散性を改善し、更に、アルコール等の非水溶媒に対する膨潤性を改善するために、アニオン交換性層間化合物の交換性陰イオンの一部を、層間距離を拡げる効果(ピラー効果)や層間を部分的に疎水化するという効果とを実現する有機アニオンで置換してもよい。そのような有機アニオンとしては、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、有機エステルアニオン、有機リン酸エステルアニオンなどを例示することができる。
【0017】
また、本発明においては、交換性カチオンを有し、水中で負に帯電する微粒子状のカチオン交換性層間化合物も、フィラーとして使用できる。
【0018】
カチオン交換性層状化合物としては、天然もしくは合成層状珪酸塩化合物又はそれらの焼成体を例示することができ、代表的には3−八面体型スメクタイト構造を有する以下の式(3)
【0019】
【化4】
(X,Y)2 〜 3Z4O10(OH)2・mH2O・(W1/3) (3)
(式(3)中、XはAl、Fe(III)、Mn(III)またはCo(III)であり、YはMg、Fe(II)、Ni、Zn又はLiであり、ZはSi又はAlであり、WはK、Na又はCaであり、H2Oは層間水であり、そしてmは整数を表す。)
で表される粘土鉱物の一種であるモンモリロナイト群鉱物を好ましく使用することができる。具体的には、XとYの組み合わせと置換数に応じて、モンモリロナイト、マグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロナイト、アルミニアンノントロライト、サポナイト、アルミニアンサポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等の天然物や合成物を例示することができる。なお、上記式(3)中のOH基がフッ素で置換されたものも使用することができる。本発明においては、式(3)のモンモリロナイト群鉱物の他にも、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト等の雲母群鉱物をカチオン交換性層間化合物として使用できる。
【0020】
なお、合成粘土鉱物と同様に、層状鉱物を有し且つ交換性カチオンを有するカチオン交換性層間化合物として、燐酸ジルコニウム等の酸性塩、層状含水酸化チタン等がある。これらは光学的隠蔽性もしくは固有の色を有するので、透明性、光沢性、白色度が同時に要求されない場合に使用することができる。
【0021】
また、上述したようなカチオン交換性層間化合物として、夾雑物を含まない合成珪素塩などの純白色を呈する微粉末を使用した場合、その微粉末結晶そのものは光学的に透明であるので、銀塩写真に比較しうるような高い彩度を実現する染料定着層を形成することが可能となる。
【0022】
本発明に用いるカチオン交換性層間化合物の層間に存在させる交換性カチオンとしては、水やアルコールなどの高誘電率媒体に溶媒和し易い無機陽イオン、例えばLi+、Na+、K+等のアルカリ金属イオン、Mg2+等のアルカリ土類金属イオン、H+(この場合にはいわゆる粘土酸となる)などを使用することができる。なお、アルカリ土類金属イオンのうちCa2+、Ba2+は上述した他の無機イオンに比べ溶媒和し難い層間を与える傾向がある。
【0023】
なお、結着剤に対するカチオン交換性層間化合物の分散性を改善し、更にアルコールなどの非水溶媒に対する膨潤性を改善するために、カチオン交換性層間化合物の交換性無機陽イオンの一部を、層間距離を拡げる効果(ピラー効果)や層間を部分的に疎水化するという効果とを実現する有機陽イオンで置換してもよい。そのような有機イオンとしては、有機第4級アンモニウムイオンや有機ホスホニウムイオン、例えば有機アルキルホスホニウムイオン、有機アリールホスホニウムイオン等を好ましく使用することができる。
【0024】
更に、本発明に有効なフィラーとして、一般のインクジェット用印画紙に好ましく用いられる合成無定形シリカ、シリカゲル、合成珪素化合物等の微粒子状の非層状珪酸塩化合物も使用できる。この化合物の表面は水中では先の層状珪酸塩化合物と同様に一般に陰イオン性を呈するが、中には化学組成に因っては陽イオン性を呈するものも存在し、その場合には前述のハイドロタルサイト類化合物の表面修飾を適用すればよい。
【0025】
本発明においては、フィラーの水中における表面電荷が正である場合には、フィラー表面を負のイオン性基(アニオン性基)を有する水溶性樹脂又は負に帯電する固体粒子で表面修飾する。一方、フィラーの水中における表面電荷が負である場合には、フィラー表面を正のイオン性基(カチオン性基)を有する水溶性樹脂又は負に帯電する固体粒子で表面修飾する。
【0026】
アニオン性基を有する水溶性樹脂としては、カルボキシル基を繰り返し構造単位として有する例えばポリカルボン酸及びその塩、同アクリル酸(塩)、同メタクリル酸(塩)、あるいはそれらの共重合体等が挙げられる。同様に、一般にアニオン性親水基として知られるスルホン酸、燐酸あるいはそれらの類縁体を繰り返し構造単位として有する高分子や水溶性ポバール等の中性構造末端にこれらの親水性基を導入した高分子等があげられ、カチオン性基を有する水溶性樹脂としては、アンモニウム基、イミダゾリル基等の4級アンモニウム構造を分子中に有する高分子等が挙げられる。
【0027】
また、フィラーを表面修飾するための、水中で正に帯電する固体粒子としては、ハイドロタルサイト類もしくはそれらの焼成体、チタンやジルコニウム、ランタン、ビスマスなどの含水酸化物あるいは水酸化リン酸塩、カチオン変性シリカ、アルミナゾル等が挙げられ、負に帯電する固体粒子としては、スメクタイト等の粘土鉱物類、同様に、層状鉱物を有し且つ交換性カチオンを有するカチオン交換性層間化合物として、燐酸ジルコニウム等の酸性塩、層状含水酸化チタン等珪酸塩、または、成無定形シリカ、シリカゲル、合成珪素化合物等の微粒子状の非層状珪酸塩化合物等が挙げられる。ここで、フィラーと固体粒子との粒径比は、後者が大きすぎると表面修飾し難く、小さすぎるとインク受容に有益な空隙の確保が困難となるので、1:0.01〜1:1である。
【0028】
フィラーと固体粒子との好ましい組み合わせとしては、フィラーが式(1)又は(2)の微粒子状のハイドロタルサイト類化合物又はその焼成体であり、固体粒子が微粒子状の層状又は非層状珪酸塩化合物あるいはアルミナ水和物である組み合わせが挙げられる。
【0029】
本発明において、フィラーを上述したような水溶性樹脂又は固体粒子の表面修飾レベルは、使用するフィラー、水溶性樹脂や固体粒子の種類やインクの種類、インクに対する要求親和性レベルなどに応じて、それらの重量比率などを適宜調整すればよい。
【0030】
また、本発明においては、フィラーを、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾する前に、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾した後に、そのような水溶性樹脂又は固体粒子で表面修飾することが好ましい。半極性有機ホウ素化合物は、受容層を構成するフィラー類と結着剤の結びつきを強める作用を有することから水性インクに対して強い親和性を有しながらもインク受容層に水に難溶の性能を付与し、さらに分子内に半極性結合を繰り返し有する化合物であり、その半極性構造により水性染料を化学的に安定化させる作用を有する。このため、インク受容層2は、水性インクに対して素早い浸透に基づく乾燥性を発現しながらも良好な画像耐水性を実現できる。
【0031】
半極性有機ホウ素化合物としては、式(4)
【0032】
【化5】
{式(4)中、AはXl−Ym−Zn(但し、X及びZは末端エーテル残基を持つ炭素数合計100以下の含酸素炭化水素基、Yは−OCO−R−CO−基(但し、Rは炭素数1〜34の炭化水素基である。)であり、l、m及びnは0または1である。)であり、Pは10〜1000の整数を表わす。qは1以上の整数である。}で表わされるジグリセリンボラート又はその誘導体が好ましい。具体的には、特公平3−53331号公報の実施例1〜29に示された化合物を挙げることができる。
【0033】
本発明において、フィラーに対する半極性有機ホウ素化合物の表面修飾量範囲は、インク受容層の耐水性が不十分とならない量(下限)から、フィラーに吸着する最大量(上限)の範囲であるが、好ましくはフィラー1重量部に対し0.02〜1重量部である。
【0034】
インク受容層2を構成する結着剤としては、前述した水溶性樹脂の他に、従来のインクジェット被記録媒体に用いられている熱可塑性の水溶性樹脂もしくは親水性樹脂又は疎水性樹脂の水性エマルジョンが挙げられる。例えば、ポリビニルブチラール樹脂などのビニルアルコールのアセタール化物、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ゼラチン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンエマルジョン、SBRエマルジョン、アクリルエマルジョン等が挙げられる。
【0035】
また、インク受容層2における、フィラーの結着剤に対する配合量は、結着剤が多すぎると耐水効果が得られにくく、少なすぎると結着性が劣り造膜性が低下するので、フィラー1重量部に対し結着剤を好ましくは0.005〜0.5重量部とする。
【0036】
インク受容層2には、必要に応じて、従来のインク受容層において用いられている各種添加剤(例えば、架橋剤、可塑剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、他の親水性樹脂等)を配合することができる。また、インクジェット記録時の走行性を確保(重送防止)するために、公知の顔料を配合できる。この場合、顔料としては、クレー、カオリン、焼成クレー、無定型シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等を配合することができる。
【0037】
なお、インク受容層2の層厚としては、通常2〜60μm、好ましくは5〜40μmである。
【0038】
本発明において基材1としては、パルプを主体とするいわゆる紙、あるいはそれに何らかのコーティングを施したもの、熱可塑性樹脂フィルム等のシート状材料が挙げられる。例えば、熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルエステル等が好ましい。中でも、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが機械的特性などの点から好ましい。また、紙の場合はサイズ剤無添加あるいは適度なサイジングを施した紙で、填料は含まれても、含まれなくてもよい。
【0039】
基材1の厚みとしては、通常、50〜250μmである。
【0040】
以上説明した、本発明のインクジェット被記録媒体は、そのインク受容層の純水に対する静的接触角が大きすぎるとべた印刷時の白抜けが発生する傾向があり、小さすぎると過度のにじみによる解像性の劣化が生ずる傾向があるので、その静的接触角を好ましくは15度〜35度とする。この角度の調整は、インク受容層2を構成するフィラーの表面修飾の程度や結着剤の種類や配合量等を変更することにより行うことができる。
【0041】
また、本発明のインクジェット被記録媒体において、インク受容層の厚み(μm)をインク受容層の純水に対する静的接触角で除した値が小さすぎると所望のドット拡幅(拡散)効果を得るのが困難となり、大きすぎると不用意にドットが大きくなり過ぎて現行のインクジェット印刷において求められる解像度を得るのが困難となるので、好ましくは0.5〜5.0(μm/度)とする。
【0042】
本発明のインクジェット被記録媒体は、基材上にインク受容層用塗料を公知の手法で塗布し、製膜することにより製造できる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0044】
なお、以下の実施例、比較例で作製したインクジェット被記録媒体のインク受容層に形成されるドットの拡散性を評価するために行ったインクジェット記録方法は、液滴の重畳によってドット径を変調させることで階調表現を行うPNM(Pulse Number Modulation)法を採用し、単一液滴だけでなく液滴の重なりを伴う場合に形成される画素の拡散性を調べることで評価の精度を高めた。記録ヘッド(インク)はヒューレット・パッカード社の950Cを用い、100μsecの間隔にてパルス電圧を印加して液滴を吐出させ、記録ヘッドを固定したままで最大8パルスまで重畳した。この時の単一液滴の液量は約3plであった。
【0045】
比較例1
フィラーとして上述したハイドロタルサイトの焼成体(キョーワード2200、協和化学工業(株)社製)10gを100gの水中に投入し、分散媒体としての直径3mmの酸化ジルコニウム50gを加えて10時間ボールミル混合を行い、平均粒子径が0.3μmの安定な微粒子分散液No.1を得た。
【0046】
この分散液No.1にバインダーとしてのポリウレタン水分散体(スーパーフレックスE2000、第1工業製薬(株))を固形分が1.5gになるように添加してインク受容層用塗料を調製し、この塗料を、乾燥時の膜厚が20μmとなるように125μm厚の白色ポリエステルフィルム(ルミラーE−20,東レ(株)製)上にワイヤーバーにて塗布後、100℃2分の条件で熱風乾燥することにより光沢に富んだインク受容層を有するインクジェット被記録媒体を作製した。
【0047】
実施例1
撹拌機、温度計、窒素流入管及びコンデンサーを連結する検量管を備えた4口フラスコに、ジ(グリセリン)ボラート192.1g(1モル)と無水マレイン酸98.1g(1モル)とを仕込み、窒素ガス気流下に、90〜100℃で1時間反応させた。更に、210〜220℃で6時間反応させ、9gの水を系外に留出させ、式(1)におけるYがマレイン酸連結基(−OCOCH=CHCO−)である淡黄色粘凋性のポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}を得た。なお、得られたポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}をIRスペクトルにて分析したところ、式(5)の半極性構造のOHの変角振動の吸収を確認できた。
【0048】
【化6】
【0049】
得られたポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}50gを重量比でエタノール/水=50/50の混合溶媒500gに溶解し、フィラーとして比較例1で使用したものと同じハイドロタルサイトの焼成体20gを加えて80〜85℃で撹拌しながら1時間加熱した後に冷却し、沈殿物を濾別した。濾取した固体を大過剰のエタノール/水=50/50の混合溶媒中に投じて攪拌しながら洗浄した後に濾別し、未反応のポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}を除去した。回収した固形物を減圧下乾燥して粉砕したところ、やや淡黄色を呈する粉末を約24g回収した。
【0050】
この粉末10gを100gの水中に投入し、分散媒体としての直径3mmの酸化ジルコニウム50gを加えて10時間ボールミル混合を行い、平均粒子径が0.2μmの安定な微粒子分散液No.2を得た。
【0051】
得られた分散液No.2を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0052】
実施例2
微粒子分散液No.2に、水溶性ポリアクリル酸(AC103、日本純薬(株)社製)を固形分が2gとなるように加えて1時間、ボールミル分散したところ平均粒子径が0.09μmの安定な微粒子分散液No.3を得た。
【0053】
得られた分散液No.3を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0054】
比較例1、実施例1及び実施例2で作製した3種類のインクジェット被記録媒体に対してPNM法によるインクジェット記録を行った。その際の印加したパルス数と得られたドットの径の関係を図2に示した。図2から表面に樹脂を吸着させていないカチオン性フィラーに半極性有機ホウ素化合物(実施例1)、更にはアニオン性水溶性樹脂(実施例2)を重畳して吸着させるとドット径が拡大することが明白となった。
【0055】
実施例3
フィラーとしてハイドロタルサイト(キョーワード500、協和化学工業(株)社製)10gを100gの水中に投入し、さらにアニオン性水溶性樹脂としてアクリル系ポリカルボン酸塩(セラゾールLS、明成化学工業(株)社製)を固形分が1g、2g、4gになるように添加し、各々に分散媒体としての直径3mmの酸化ジルコニウム50gを加えて15時間ボールミル分散を行い、平均粒子径が0.1μm以下の安定な半透明分散液No.4、5及び6を得た。
【0056】
得られた半透明分散液No.4、5及び6を使用し、比較例1と同様にそれぞれインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体(3種類)を作製した。
【0057】
これらの3種のインクジェット被記録媒体に対してPNM法によるインクジェット記録を行った。その際の印加パルス数が1の時、つまりはドットの重畳を伴わずに単一液滴が浸透した時のドット径と、各インク受容層の純水に対する接触角の測定値との関係を図3に示した。また、この接触角とフィラーに対する水溶性樹脂の重量%との関係を図4に示した。図3及び図4から、水溶性樹脂の添加量が大きくなるとインク受容層の純水に対する接触角が減少し、インク溶媒の大半を占める水に対する濡れ性(親水性)が大きくなり、ドットが拡大することが分かる。これらの図と実用的な印刷手法の両方から鑑みて、ドットの拡散性を支配すると考えられるインク受容層の純水に対する静的接触角の好ましい範囲は、上限を過度のにじみによる解像性の劣化および下限をべた印刷時の白抜け発生点とすると15度〜35度の範囲であることが分かる。
【0058】
実施例4
フィラーとしてアルミナ(キョーワード500、住友化学(株)社製)10gを100gの水中に投入し、さらにアニオン性水溶性樹脂としてポリアクリル酸アンモニウム(シャロールAN130P、第1工業製薬(株)製)を固形分が0.8gになるように添加して実施例1と同様にして20時間ボールミル分散を行い、平均粒子径が0.1μm程度の安定な分散液No.7を得た。
【0059】
得られた分散液No.7にバインダーとしての10wt%ポリビニルアルコール水溶液(PVA−205、クラレ(株))を2g添加してインク受容層塗料を調製し、市販のインクジェット印画フィルム(HG201、キャノン(株)上に湿潤時塗布厚を変えて成膜し、最上層の厚みが10から60μmのインクジェット記録フィルムを得た。
【0060】
得られたインクジェット記録フィルムに対してPNM法によるインクジェット記録を行った。その際の印加パルス数が8の時、つまりは8回の液滴の重畳を伴う時のドット径と最上層のインクジェット受容層厚(乾燥時)との関係とを図5に示した。図5から、インク受容層の厚みがある値以上に達すると画素の拡散が顕著となり、厚みに応じても拡散効果が異なることが明らかとなった。厚みに閾値が存在するのは以下の事情が反映されたものと推定される。インク受容層に着弾したインクは横方向(インク受容層に対して水平)の浸透を伴いながら下層へ浸透していくことになるが、直下にインク吸収がより優れたインク受容層がある場合には、縦方向(受容層に対して垂直)の浸透つまりは下層へのインク伝播が優先される結果、下層のインク浸透挙動が画素全体の拡散性を支配する。しかしながら、厚みが増してインクの縦方向の移動距離が長くなると下層のインク浸透への影響が及ばなくなり、上層内での拡散が優先して生じる結果、上層のインク浸透挙動が画素全体の拡散性を支配すると考えられる。
【0061】
また、このインク受容層の純水に対する静的接触角は18度であり、図5の厚みの閾値が約10μmと推定されることから厚みを接触角で除した値は0.56であった。この値が大なるほど所望の拡散効果を得るための厚みが大であることが要求されるので経済的合理性の観点からは1.0以下が好ましい。逆に、この値が0.1を下回ると、微少厚みの制御という製造上の困難が生じたり、過度の拡散効果が生じて画像の劣化を招くので好ましくない。
【0062】
実施例5
実施例1の微粒子分散液No.2の全量110gにコロイダルシリカの分散液(ルドックスTMA、グレース社)を、分散液中のハイドロタルサイトに対する固形分重量比が3/1および1/3、10/1になるように加え、さらにバインダーとして10wt%のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−M、日本曹達社)水溶液を10g添加して再びボールミル分散を2時間行うことにより3種類のインク受容層塗料を調製した。
【0063】
得られた3種類のインク受容層塗料を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0064】
得られたインクジェット記録フィルムに対してPNM法によるインクジェット記録を行った。その際の印加したパルス数とドット径との関係を図6に示した。図6からハイドロタルサイトに対するコロイダルシリカの添加量が増大するにつれて画素を形成する1〜8のすべてのパルス領域でドット径が拡大することが判明した。ここでコロイダルシリカ量を更に増やし1/30の重量比にするとドット径は増大する傾向を示すが、インクの浸透性が悪化して有意な乾燥性を示さなくなり、実用に供することが困難となる。逆に、添加量が30/1より少ないと画素の拡散の程度が小さく、有意な拡大効果を齎さないので、30/1〜1/30の範囲での添加が好ましいこと分かった。
【0065】
また、重量比1/3で配合したインク受容層用塗料の粒子径を測定すると0.2μmであった。ここで塗料中の大部分を占めるコロイダルシリカの粒子径が一桁小さい0.03μmであることから、異種粒子の混合にてハイドロタルサイトを核として周囲を微細なシリカ粒子で覆った複合粒子が生じていることがわかった。
【0066】
実施例6
ポリ{ジ(グリセリン)ビボラート}1gを水2kgに溶解し、次にフィラーとして合成サポナイト(クニミネ鉱業)10gを高速攪拌しながら少しづつ添加し、固形分2gのカチオン性アクリル樹脂(シャロールC、 第1工業製薬(株))を加え、更に2gのポリビニルピロリドン(K−90,BASF社製)を加えてボールミル分散を10時間施したところ、平均粒子径が0.06μmの半透明な微粒子分散液No.8を得た。
【0067】
得られた分散液No.8を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0068】
比較のために、カチオン性アクリル樹脂を加えない以外は実施例6と全く同様の組成と操作にてインクジェット被記録媒体を作製した。
【0069】
得られたインクジェット被記録媒体のインク受容層の純水に対する静的接触角を測定した後に、PNM法でインクジェット記録を行った。得られた最大のドット径を調べたところ接触角18度で110μm径と同28度で80μm径の値が得られた。この種(陰イオン)のフィラーにても逆極性(陽イオン)の水溶性樹脂の添加により受容層全体のインクに対する濡れ性が改善されて画素の拡散が誘発されることが明らかになった。
【0070】
実施例7
ポリ{ジ(グリセリン)ボラート・マレアート}1gを水100gに溶解し、フィラーとしての気相法シリカ(A−300、アエロジル社)10gを添加して1時間高速攪拌した。次に固形分2gのカチオン性アクリル樹脂(シャロールC、第1工業製薬(株))を加え、更に1gのポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ(株))を加えて高速攪拌を1時間続けたところ、平均粒子径が0.08μmの半透明でやや粘稠な微粒子分散液No.9を得た。
【0071】
得られた分散液No.9を使用し、比較例1と同様にインク受容層用塗料を調製し、更にインクジェット被記録媒体を作製した。
【0072】
比較のために、カチオン性アクリル樹脂を加えない以外は実施例7と全く同様の組成と操作にてインクジェット被記録媒体(対照)を作製した。
【0073】
得られたインクジェット被記録媒体に対してPNM法でインクジェット記録(ベタ印画)を行った。得られた画像の光学濃度(O.D;反射濃度)と入力パルス数との関係を図7に比較して示した。図7は入力パルス数の応じた画像濃度(即ち、画像の階調表現性)を表わす図であるが、1〜4パルスの領域の光学濃度において、実施例7のインクジェット被記録媒体が、対照のインクジェット被記録媒体に比べて10%〜30%程度上回っていることを示しており、画素の拡大によりドットの重畳がより促進されて、被印画部のインクによる被覆の度合いが増加したことが分かった。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、インク受容層を多層化することなく、広汎な種類のフィラーを対象とし、それらの集合体として構成されるインク受容層に対して単一層でありながらもインクの親和性を改質の程度に応じて変化させることで、形成されるドットの拡散性もしくはドット径を制御できるインクジェット被記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット被記録媒体の概略断面図である。
【図2】PNM法によるインクジェット記録におけるパルス数と得られたドット径の関係図である。
【図3】PNM法によるインクジェット記録における印加パルス数が1の時のドット径とインク受容層の純水に対する接触角の測定値との関係図である。
【図4】PNM法によるインクジェット記録における印加パルス数が1の時のインク受容層の純水に対する接触角とフィラーに対する水溶性樹脂の重量%との関係図である。
【図5】PNM法によるインクジェット記録における印加パルス数が8の時のドット径と最上層のインクジェット受容層厚(乾燥時)との関係図である。
【図6】ハイドロタルサイトとコロイダルシリカとの配合量とを相違させた場合の、PNM法によるインクジェット記録における印加したパルス数とドット径との関係図である。
【図7】PNM法によるインクジェット記録(ベタ印画)における画像光学濃度(O.D;反射濃度)と入力パルス数との関係図である。
【符号の説明】
1 基材、 2 インク受容層
Claims (8)
- フィラーが結着剤に分散されてなるインク受容層が基材上に形成されているインクジェット被記録媒体において、該フィラーが、その水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されていることを特徴とするインクジェット被記録媒体。
- 該フィラーが、半極性有機ホウ素化合物で表面修飾された後に、該フィラーの水中における表面電荷とは逆極性のイオン性基を有する水溶性樹脂又は逆極性に帯電する固体粒子で表面修飾されている請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
- 該フィラーが、微粒子状の層状もしくは非層状珪酸塩化合物あるいはアルミナ水和物である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット被記録媒体。
- 該フィラーの水中における表面電荷とは逆極性に帯電する固体粒子が、微粒子状の層状もしくは非層状珪酸塩化合物あるいはアルミナ水和物である請求項3記載のインクジェット被記録媒体。
- インク受容層の純水に対する静的接触角が15度〜35度である請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット被記録媒体。
- インク受容層の厚み(μm)を、インク受容層の純水に対する静的接触角で除した値が、0.5〜5.0(μm/度)である請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット被記録媒体。
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JP2006326983A (ja) * | 2005-05-25 | 2006-12-07 | Fujifilm Holdings Corp | インクジェット記録装置及び方法 |
-
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- 2002-09-27 JP JP2002284134A patent/JP2004114615A/ja active Pending
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