JP2000185459A - インクジェット用被記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性染料をインターカレーション反応によ
り受容保持する層間化合物と結着剤とからなる染料定着
層が形成されてなるインクジェット用被記録媒体に対
し、良好なインク吸収性、インク定着性、耐水性及び耐
にじみ性を付与し、更に鮮明な画像を保持可能とする。 【解決手段】 基材２上に、水溶性染料をインターカレ
ーション反応により受容保持する層間化合物と結着剤と
からなる染料定着層１が形成されてなるインクジェット
用被記録媒体において、染料定着層１にポリグリセリン
脂肪酸エステルを含有させる。染料定着層１上に更にイ
ンク吸収性樹脂からなるインク吸収層３が形成されてい
る場合には、インク吸収層３にポリグリセリン脂肪酸エ
ステルを含有させる。このとき、染料定着層１にポリグ
リセリン脂肪酸エステルを含有させなくてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インターカレーシ
ョン反応によりインクジェット用水性インク中の水溶性
染料を受容保持する層間化合物を含有する染料定着層を
有するインクジェット用被記録媒体に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】パーソナルコンピュータやワードプロセ
ッサなどにより作製した画像情報や文字コード情報を紙
やＯＨＰフィルム等の被記録媒体に出力させる方法の一
つとして、水溶性染料を含有するインクを電界、熱、圧
力等を駆動源とする記録ノズルから被記録媒体に吐出さ
せて画像形成を行うインクジェット記録方式が挙げられ
る。

【０００３】このインクジェット記録方式は、記録時の
騒音が小さく、ランニングコストが低く、普通紙に画像
形成が可能であり、しかもインクリボン等の廃棄物が伴
わないという利点を有するために、オフィス内や家庭内
において、近年その利用が拡大している。

【０００４】このようなインクジェット記録方式に用い
られるインクジェット用被記録媒体は、被記録媒体の染
料定着層にインターカレーション反応により水溶性染料
を保持することができる層間化合物を、ポリビニルピロ
リドン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ヒドロキシプ
ロピルセルロース樹脂あるいはポリビニルアルコール樹
脂等の結着剤とともに配合することが提案されている
（特開平７−６８９２５号公報）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような結着剤を使用した場合、インクジェット用被記
録媒体におけるインクの定着性、保存時の退色や変色、
印画濃度の低下等に関し改善は見られるものの、インク
吸収性及び耐水性に関して不十分であり、特にインクの
液滴が高密度で付着した部分では、インクの液滴がイン
クジェット用被記録媒体（印画紙）のインク受容層（染
料定着層）に吸収される前に互いに混じり合って解像度
が低下するという問題を生じていた。

【０００６】本発明は、以上の従来技術の課題を解決し
ようとするものであり、水溶性染料をインターカレーシ
ョン反応により受容保持する層間化合物と結着剤とから
なる染料定着層が形成されてなるインクジェット用被記
録媒体に対し、良好なインク吸収性、インク定着性、耐
水性及び耐にじみ性を付与し、更に鮮明な画像を保持可
能とすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、インクジェ
ット用被記録媒体の表面に位置するインク吸収層又は染
料定着層に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する
ことにより、上述の目的を達成できることを見出し、本
発明を完成させるに至った。

【０００８】即ち、本発明は、基材上に、水溶性染料を
インターカレーション反応により受容保持する層間化合
物と結着剤とからなる染料定着層が形成されてなるイン
クジェット用被記録媒体において、該染料定着層がポリ
グリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする
インクジェット用被記録媒体を提供する。

【０００９】また、本発明は、基材上に、水溶性染料を
インターカレーション反応により受容保持する層間化合
物と結着剤とからなる染料定着層が形成されてなるイン
クジェット用被記録媒体において、染料定着層上にイン
ク吸収性樹脂からなるインク吸収層が少なくとも一層形
成され、そのインク吸収層がポリグリセリン脂肪酸エス
テルを含有することを特徴とするインクジェット用被記
録媒体を提供する。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。

【００１１】図１及び図２は、本発明の好ましい態様の
インクジェット用被記録媒体の断面図である。

【００１２】図１のインクジェット用被記録媒体は、水
溶性染料をインターカレーション反応により受容保持す
る層間化合物が結着剤に分散してなる染料定着層１が基
材２上に形成された構造となっている。

【００１３】また、図２のインクジェット用被記録媒体
は、図１の態様の場合と同様に、水溶性染料をインター
カレーション反応により受容保持する層間化合物が結着
剤に分散してなる染料定着層１が基材２上に形成され、
更にその上にインク吸収性樹脂からなるインク吸収層３
が形成された構造となっている。

【００１４】本発明において、図１の態様の場合にはイ
ンクジェット用被記録媒体の染料定着層１に、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルが含有されている。また、図２の
態様の場合にはインクジェット用被記録媒体のインク吸
収層３に、ポリグリセリン脂肪酸エステルが含有されて
いる。この図２の態様の場合、染料定着層１にポリグリ
セリン脂肪酸エステルが含有されていてもよい。

【００１５】本発明において使用するポリグリセリン脂
肪酸エステルの例としては、モノステアリン酸ジグリセ
リル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグ
リセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノス
テアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグ
リセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタ
ステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テト
ラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノ
ミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキ
サグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、トリ
ステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘ
キサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、
ポリリシノール酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸デ
カグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル等が挙
げられる。

【００１６】ポリグリセリン脂肪酸エステルの染料定着
層１又はインク吸収層３中の含有量は、それぞれ結着剤
又はインク吸収性樹脂１００重量部に対し、少なすぎる
と染料定着層１に形成されたインクドットの径が所望の
大きさよりも小さくなり、多すぎるとインクジェット記
録物ににじみが生じ易くなるので、好ましくは０．０５
〜５０重量部、より好ましくは０．５〜２０重量部であ
る。

【００１７】染料定着層１に用いる結着剤としては、水
系ポリウレタンエマルジョン樹脂、ポリビニルピロリド
ン樹脂、ヒドロキシプロピルアルコール樹脂、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース樹脂、ポリビニルアルコー
ル樹脂、エチルセルロース樹脂、ゼラチン等の有機樹脂
が好ましく挙げられる。これらの有機樹脂の結着剤中の
含有量は、多すぎると本発明の十分な効果が得られない
ので、好ましくは９０重量％以下、より好ましくは６０
重量％以下である。

【００１８】本発明において、染料定着層１には、必要
に応じて従来の染料定着層において用いられている各種
添加剤（例えば、架橋剤、可塑剤、紫外線吸収剤、蛍光
増白剤、他の親水性樹脂等）を配合することができる。

【００１９】本発明において、染料定着層１中の層間化
合物と結着剤との重量比率は、層間化合物が少なすぎる
と、インターカレーション反応により保持される水溶性
染料の量が低下して画像のボケが生じ、多すぎると相対
的に結着剤の量が減少して染料定着層１の接着性や分散
性が低下するので、好ましくは１：０．１〜１：２、よ
り好ましくは１：０．２〜１：１．５である。

【００２０】本発明において、染料定着層１に含有させ
る層間化合物としては、層状構造を有し、その親水性の
層間に水溶性染料とイオン交換しうる交換性イオンを有
する層状無機高分子を好ましく例示することができる。

【００２１】ここで、層状無機高分子の交換性イオンと
しては、水溶性染料が水溶性カチオン染料である場合に
はナトリウムイオン等の交換性陽イオンであり、水溶性
染料が水溶性アニオン染料である場合にはカルボキシル
アニオン等の交換性陰イオンとなる。

【００２２】交換性陽イオンを有する層状無機高分子
（以下、カチオン交換性層間化合物と称する）として
は、天然もしくは合成層状珪酸塩又はそれらの焼成体を
例示することができ、代表的には３−八面体型スメクタ
イト構造を有する以下の式（１）

【００２３】

【化４】 (Ｘ，Ｙ)_2〜3Ｚ₄Ｏ₁₀(ＯＨ)₂・ｍＨ₂Ｏ・(Ｗ_1/3) （１） （式中、ＸはＡｌ、Ｆｅ（III）、Ｍｎ（III）又はＣｏ
（III）であり、ＹはＭｇ、Ｆｅ（II）、Ｎｉ、Ｚｎ又
はＬｉであり、ＺはＳｉ又はＡｌであり、ＷはＫ、Ｎａ
又はＣａであり、Ｈ₂Ｏは層間水であり、そしてｍは正
数を表す。）で表される粘土鉱物の一種であるモンモリ
ロナイト群鉱物を好ましく使用することができる。

【００２４】具体的には、ＸとＹの組み合わせと置換数
に応じて、モンモリロナイト、マグネシアンモンモリロ
ナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリ
ロナイト、バイデライト、アルミニアンバイデライト、
ノントロナイト、アルミニアンノントロライト、サポナ
イト、アルミニアンサポナイト、ヘクトライト、ソーコ
ナイト等の天然物や合成物を例示することができる。

【００２５】なお、上記式（１）中のＯＨ基がフッ素で
置換されたものも使用することができる。

【００２６】本発明においては、式（１）のモンモリロ
ナイト群鉱物の他にも、ナトリウムシリシックマイカ、
ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト等の雲
母群鉱物をカチオン交換性層間化合物として使用でき
る。

【００２７】また、合成粘土鉱物と同様に、層状構造を
有し且つ交換性陽イオンを有するカチオン交換性層間化
合物として、燐酸ジルコニウム等の酸性塩、層状含水酸
化チタン等がある。これらは光学的隠蔽性もしくは固有
の色を有するので、透明性、光沢性、白色度が同時に染
料定着層１に要求されない場合に使用することができ
る。

【００２８】また、上述したようなカチオン交換性層間
化合物として、夾雑物を含まない合成珪素塩等の純白色
を呈する微粉末を使用した場合、その微粉末結晶そのも
のは光学的に透明であるので、銀塩写真に比較しうるよ
うな高い彩度を実現する染料定着層１を形成することが
可能となる。

【００２９】本発明に用いるカチオン交換性層間化合物
の層間に存在させる交換性陽イオンとしては、水やアル
コールなどの高誘電率媒体に溶媒和し易い無機陽イオ
ン、例えばＬｉ⁺、Ｎa⁺、Ｋ⁺等のアルカリ金属イオン、
Ｍｇ²⁺等のアルカリ土類金属イオン、Ｈ⁺（この場合に
はいわゆる粘土酸となる）等を使用することができる。
なお、アルカリ土類金属イオンのうち、Ｃａ²⁺及びＢａ
²⁺は上述した他の陽イオンに比べ溶媒和し難い層間を与
える傾向がある。

【００３０】なお、結着剤に対するカチオン交換性層間
化合物の分散性を改善し、更にアルコールなどの非水溶
媒に対する膨潤性を改善するために、カチオン交換性層
間化合物の交換性無機陽イオンの一部を、層間距離を拡
げる効果（ピラー効果）や層間を部分的に疎水化すると
いう効果を実現する有機陽イオンで置換しても良い。そ
のような有機陽イオンとしては、第４級アンモニウムイ
オンやホスホニウムイオン、例えば、アルキルホスホニ
ウムイオン、アリールホスホニウムイオン等を好ましく
使用することができる。ここで、第４級アンモニウムイ
オンの場合、４つのアルキル基のうちの少なくとも３つ
は各々炭素数４以上、好ましくは８以上であることが好
ましい。長鎖アルキルの数が少ない場合にはピラー効果
が十分ではなく、定着座席（＝交換性無機陽イオン）と
しての層間を確保することが困難となる。例えば、ｎ−
オクチルトリメチルアンモニウムイオンを用いると定着
座席を殆ど占めても層間隔は４オングストローム程度以
上には増大せず、しかも過度に疎水化された層間を与え
るので、本発明には好ましくない。

【００３１】本発明において使用する交換性陰イオンを
有する層状無機高分子（以下、アニオン交換性層間化合
物と称する）としては、０：１型粘土鉱物の一種であ
り、ＡｌＯ₆八面体シートからなる層状のハイドロタル
サイト群鉱物を好ましく例示することができる。好まし
いハイドロタルサイト群鉱物としては、式（２）又は
（３）

【００３２】

【化５】 ［Ｍ^II _1-xＭ^III _x(ＯＨ)₂]^+x[Ａ_x/n・ｍＨ₂Ｏ]^-x （２） （式中、Ｍ^IIはＭｇ、Ｚｎ、Ｎｉ、Ｃａの２価金属イオ
ン、Ｍ^IIIはＡｌの３価金属イオンを表し、Ａはｎ価の
アニオンを表し、ｘ及びｍは０．１＜ｘ＜０．４、０＜
ｍ＜２を満たす正数である。）

【００３３】

【化６】 [ＬｉＡｌ₂(ＯＨ)₆]⁺¹[Ａ_1/n・ｍＨ₂Ｏ]^-1 （３） （式中、Ａはｎ価のアニオンを表し、ｍは０＜ｍ＜２を
満たす正数である。）で表されるものを挙げることがで
きる。具体的なハドロタルサイト群鉱物の代表的なもの
としては式（４）

【００３４】

【化７】 Ｍｇ₆Ａｌ₂（ＯＨ）₁₆・ＣＯ₃・４Ｈ₂Ｏ （４） で表される天然のハイドロタルサイトを例示することが
できる。

【００３５】なお、式（４）の天然のハイドロタルサイ
トの組成と若干異なるが、合成ハイドロタルサイトも商
業的に入手可能である。この合成ハイドロタルサイトの
微粉末は夾雑物を含まず純白色を呈するが、結晶自体は
光学的に透明であるので、その微粉末を使用した場合、
銀塩写真に比較しうるような高い彩度を実現する染料定
着層１を形成することが可能となる。

【００３６】なお、上述のハイドロタルサイト群鉱物以
外にも、アニオン交換性層間化合物として、チタンやジ
ルコニウム、ランタン、ビスマスなどの含水酸化物ある
いは水酸化リン酸塩などがあるが、これらは光学的隠蔽
性もしくは固有の色を有するので、透明性、光沢性、白
色度が同時に染料定着層１に要求されない場合に使用す
ることができる。

【００３７】本発明に用いるアニオン交換性層間化合物
の層間に存在させる交換性陰イオンとしては、水やアル
コールなどの高誘電率媒体に溶媒和し易い無機陰イオ
ン、例えばＮＯ₃ ^-、ＳＯ₄ ^2-、ＣｌＯ₄ ^-、Ｆｅ（ＣＮ）₆
^4-、ヘテロポリリン酸イオンや親水性有機アニオン、例
えば低級カルボキシレートイオン等を使用することがで
きる。なお、高級カルボキシレートイオンは、上述の陰
イオンに比べ溶媒和し難い層間を与える傾向がある。

【００３８】なお、結着剤に対するアニオン交換性層間
化合物の分散性を改善し、更にアルコール等の非水溶媒
に対する膨潤性を改善するために、アニオン交換性層間
化合物の交換性無機陰イオンの一部を、層間距離を拡げ
る効果（ピラー効果）や層間を部分的に疎水化するとい
う効果を実現する有機陰イオンで置換しても良い。その
ような有機陰イオンとしては、カルボン酸アニオン、ス
ルホン酸アニオン、エステルアニオン、リン酸エステル
アニオン等を例示することができる。

【００３９】このようなアニオンは、アルキル基もしく
はアルケニル基を通常有するが、それらの炭素数が少な
い場合にはピラー効果が十分ではなく、定着座席（＝交
換性無機陰イオン）としての層間を確保することが困難
となる。また、多すぎると置換しにくくなるので、５〜
２０とすることが好ましい。

【００４０】なお、染料定着層１の層厚としては、通常
２〜４０μｍ、好ましくは４〜１５μｍである。

【００４１】本発明のインクジェット用被記録媒体にお
いて、基材２としては、紙、合成紙、プラスチックペー
パー、金属板、金属箔、アルミニウム等を蒸着したプラ
スチックフィルム等から任意に選択でき、有機樹脂など
による易接着処理を施した基材も用いることができる。
なお、ＯＨＰ等の用途には光透過性であることが必要で
ある。

【００４２】図２の本発明のインクジェット用被記録媒
体のインク吸収層３は、付着したインクを一時的に受容
し、染料定着層１に伝達するものである。

【００４３】インク吸収層３を構成するインク吸収性樹
脂としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、ゼラチン、水和性ポリ
ビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が
挙げられる。

【００４４】なお、インク吸収層３の層厚としては、厚
すぎると染料定着層１に定着する染料の割合が低下し染
料定着性が悪化するので、通常５μｍ以下、好ましくは
３μｍ以下である。

【００４５】本発明のインクジェット用被記録媒体は常
法により作製することができる。例えば、層間化合物と
結着剤とを溶媒中で分散させ、その分散液を基材２上に
塗布し、乾燥することにより作製することができる。シ
リコーンオイルを染料定着層１に含有させる場合は分散
液にシリコーンオイルを添加し塗布する。更に、インク
吸収層３が必要な場合には、インク吸収性樹脂にシリコ
ーンオイルを添加後、染料定着層１上に塗布し、乾燥す
ることにより作製することができる。

【００４６】本発明のインクジェット用被記録媒体は、
従来のインクジェット用被記録媒体と同様に使用するこ
とができる。

【００４７】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。

【００４８】実施例１〜１８ イソプロピルアルコール８ｇと水７２ｇとの混合溶媒中
に、結着剤としてポリウレタンエマルジョン（第一工業
製薬社製：スーパーフレックスＥ−２０００）を添加
し、更に表１のポリグリセリン脂肪酸エステルと層間化
合物として有機酸処理ハイドロタルサイト（ハイドロタ
ルサイト１０ｇにリンゴ酸１０ｍｇ当量吸着処理したも
の）とを添加して、ビーズミルで８時間処理して分散液
を得た。得られた分散液を乾燥厚８μｍとなるように１
００μｍ厚の易接着処理透明ポリエステルフィルム（Ｉ
ＣＩ社製：Ｄ−５３５）にワイヤーバーにて塗布し、９
０℃２分という条件で乾燥して染料定着層を形成するこ
とによりインクジェット用被記録媒体を得た。

【００４９】比較例１ ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しない以外は、実
施例１と同様にしてインクジェット用被記録媒体を得
た。

【００５０】実施例１９〜２９ ポリグリセリン脂肪酸エステルが染料定着層に含有され
ていない比較例１のインクジェット用被記録媒体の染料
定着層上に、ゼラチン樹脂（宮城化学工業社製：Ｅ−２
９０）と表２のポリグリセリン脂肪酸エステルとの混合
物を乾燥厚０．８μｍとなるように塗布し、９０℃１分
という条件で乾燥してインク吸収層を形成することによ
りインクジェット用被記録媒体を得た。

【００５１】比較例２ ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しない以外は、実
施例１９と同様にしてインクジェット用被記録媒体を得
た。

【００５２】（評価）得られたインクジェット用被記録
媒体に対し、インクジェット記録方式のプリンター（ヒ
ューレットパッカード社製：ＨＰ８５０Ｃ）にてテスト
パターン画像を形成し、「ドット形状」、「インク定着
性」及び「耐にじみ性」について以下に説明するように
試験し評価した。得られた結果を表１及び表２に示す。

【００５３】ドット形状 インクジェットプリンタで印画された部分を、光学顕微
鏡の７０倍で観察し、ドット形状を目視にて、以下の基
準に従って評価した。

【００５４】 ランク 基準 ◎： 非常に鮮明であり、真円である場合 ○： 鮮明である場合 △： ややにじみがある場合 ×： にじんでいる場合

【００５５】インク定着性 テストパターン画像がプリントされたインクジェット用
被記録媒を水中に１０分間浸し、テストパターン画像の
にじみを目視観察し、以下の基準に従って評価した。

【００５６】 ランク 基準 ◎： 画像が全くにじんでいない場合 ○： 画像がほとんどにじんでいない場合 △： 画像がわずかににじんでいるが、実用上問題のな
い程度である場合 ×： 画像がにじんでいる場合

【００５７】耐にじみ性 テストパターン画像が形成されたインクジェット用被記
録媒を、６０℃の温度、湿度８５％の条件下に２４時間
放置し、テストパターン画像のにじみを目視観察し、以
下の基準に従って評価した。

【００５８】 ランク 基準 ◎： 画像が全くにじんでいない場合 ○： 画像がほとんどにじんでいない場合 △： 画像がわずかににじんでいるが、実用上問題のな
い程度である場合 ×： 画像がにじんでいる場合

【００５９】以下の表１及び表２において使用したポリ
グリセリン脂肪酸エステル（ホ゜リク゛リセンエステル）は以下の通
りである。

【００６０】 ＊１： モノオレイン酸ジグリセリル ＊２： モノラウリン酸ヘキサグリセリル ＊３： モノオレイン酸ヘキサグリセリル ＊４： モノオレイン酸デカグリセリル ＊５： ペンタオレイン酸デカグリセリル

【００６１】

【表１】 インク 染料定着層 ドット インク 耐にじ 実施例 吸収層 ホ゜リク゛リセンエステル（％） 形状 定着性 み性 １ なし ＊１(0.03％) △ ○ ○ ２ なし ＊１(0.05％) ○ ◎ ◎ ３ なし ＊１(0.1％) ○ ◎ ◎ ４ なし ＊１(0.5％) ◎ ◎ ○ ５ なし ＊１(5％) ◎ ○ ○ ６ なし ＊１(10％) ◎ ○ ○ ７ なし ＊１(20％) ◎ ○ ○ ８ なし ＊１(30％) ◎ ○ ○ ９ なし ＊１(50％) ○ ○ ○ １０ なし ＊１(60％) ○ ○ △ １１ なし ＊２(0.05％) ○ ◎ ◎ １２ なし ＊２(20％) ◎ ○ ○ １３ なし ＊３(20％) ◎ ○ ○ １４ なし ＊３(40％) ◎ ○ ○ １５ なし ＊３(60％) ○ ○ △ １６ なし ＊４(20％) ◎ ○ ○ １７ なし ＊４(40％) ◎ ○ ○ １８ なし ＊５(20％) ○ ○ ○ 比較例 １ なし 含まず × × ×

【００６２】

【表２】 ホ゜リク゛リセンエステル（％） ドット インク 耐にじ 実施例 インク吸収層 染料定着層 形状 定着性 み性 １９ ＊１(0.05%) 含まず ○ ○ ○ ２０ ＊１(10％) 含まず ○ ○ ○ ２１ ＊１(20％) 含まず ○ ○ ○ ２２ ＊１(40％) 含まず ○ ○ ○ ２３ ＊２(0.1％) 含まず ○ ○ ○ ２４ ＊２(20％) 含まず ○ ○ ○ ２５ ＊２(40％) 含まず ○ ○ ○ ２６ ＊２(60％) 含まず ○ ○ △ ２７ ＊３(20％) 含まず ○ ○ ○ ２８ ＊４(20％) 含まず ○ ○ ○ ２９ ＊５(20％) 含まず ○ ○ ○ 比較例 ２ 含まず 含まず × △ ×

【００６３】表１及び表２から、インクジェット用被記
録媒体の最外層（実施例１〜１８の場合には染料定着
層、実施例１９〜２９の場合にはインク吸収層）にポリ
グリセンリン脂肪酸エステルが含有されている場合に
は、ドット形状、インク定着性、耐にじみ性についてい
ずれも実用上問題のないレベルであった。しかし、ポリ
グリセンリン脂肪酸エステルを用いていていない比較例
１及び比較例２の場合には、評価結果に問題があること
がわかる。

【００６４】

【発明の効果】本発明のインクジェット用被記録媒体
は、インクの吸収性、定着性、耐水性、耐にじみ性に優
れているので、鮮明な画像を保持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェット用被記録媒体の断面図
である。

【図２】本発明のインクジェット用被記録媒体の断面図
である。

【符号の説明】

１…染料定着層、 ２…基材、 ３…インク吸収層

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材上に、水溶性染料をインターカレー
   ション反応により受容保持する層間化合物と結着剤とか
   らなる染料定着層が形成されてなるインクジェット用被
   記録媒体において、該染料定着層がポリグリセリン脂肪
   酸エステルを含有することを特徴とするインクジェット
   用被記録媒体。
2. 【請求項２】 基材上に、水溶性染料をインターカレー
   ション反応により受容保持する層間化合物と結着剤とか
   らなる染料定着層が形成されてなるインクジェット用被
   記録媒体において、染料定着層上にインク吸収性樹脂か
   らなるインク吸収層が少なくとも一層形成され、インク
   吸収層がポリグリセリン脂肪酸エステルを含有すること
   を特徴とするインクジェット用被記録媒体。
3. 【請求項３】 層間化合物が、交換性陽イオンを有する
   層状無機高分子である請求項１又は２記載のインクジェ
   ット用被記録媒体。
4. 【請求項４】 交換性陽イオンを有する層状無機高分子
   が、モンモリロナイト群鉱物である請求項３記載のイン
   クジェット用被記録媒体。
5. 【請求項５】 モンモリロナイト群鉱物が式（１） 【化１】 (Ｘ，Ｙ)_2〜3Ｚ₄Ｏ₁₀(ＯＨ)₂・ｍＨ₂Ｏ・(Ｗ_1/3) （１） （式中、ＸはＡｌ、Ｆｅ（III）、Ｍｎ（III）又はＣｏ
   （III）であり、ＹはＭｇ、Ｆｅ（II）、Ｎｉ、Ｚｎ又
   はＬｉであり、ＺはＳｉ又はＡｌであり、ＷはＫ、Ｎａ
   又はＣａであり、Ｈ₂Ｏは層間水であり、そしてｍは正
   数を表す。）で表される請求項４記載のインクジェット
   用被記録媒体。
6. 【請求項６】 層間化合物が交換性陰イオンを有する層
   状無機高分子である請求項１又は２記載のインクジェッ
   ト用被記録媒体。
7. 【請求項７】 交換性陰イオンを有する層状無機高分子
   がハイドロタルサイト群鉱物である請求項６記載のイン
   クジェット用被記録媒体。
8. 【請求項８】 ハイドロタルサイト群鉱物が式（２）又
   は（３） 【化２】 ［Ｍ^II _1-xＭ^III _x(ＯＨ)₂]^+x[Ａ_x/n・ｍＨ₂Ｏ]^-x （２） （式中、Ｍ^IIはＭｇ、Ｚｎ、Ｎｉ、Ｃａの２価金属イオ
   ン、Ｍ^IIIはＡｌの３価金属イオンを表し、Ａはｎ価の
   アニオンを表し、ｘ及びｍは０．１＜ｘ＜０．４、０＜
   ｍ＜２を満たす正数である。） 【化３】 [ＬｉＡｌ₂(ＯＨ)₆]⁺¹[Ａ_1/n・ｍＨ₂Ｏ]^-1 （３） （式中、Ａはｎ価のアニオンを表し、ｍは０＜ｍ＜２を
   満たす正数である。）で表される請求項７記載のインク
   ジェット用被記録媒体。