JP2004114507A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機EL素子を用いた像書込手段と、前記有機EL素子に直流電圧を供給する直流電源と、前記直流電源の制御部とを有し、
前記制御部は、非印字時において前記有機EL素子に0Vよりも大きく閾値電圧Vth以下の直流電圧を印加するように前記直流電源を制御する。このため、有機EL素子は温度が上昇して安定した光量が得られる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラインヘッドに発光素子として有機EL素子を用いた際に、安定した光量が得られるようにすると共に、素子の劣化を低減する構成とした、画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、像担持体上に潜像を書き込む画像形成装置において、書き込み手段として、LEDアレイを用いたものが知られている。そして、LEDのような発光素子を複数列配置したラインヘッドが開発されている。例えば、特許文献1には、このようなラインヘッドとして、EL素子でアレイを形成した例が記載されている。
【0003】
EL素子に対して駆動パルスの印加が終了すると残光が低下する。このため、長時間の無発光の後に駆動パルスが印加されると、所定の光強度に達するまでの時間が長くなり、また、1回の発光光量も少なくなる。そこで、従来例の特許文献1には、少なくとも一主走査中に一回補助パルスを印加し、EL素子を全点灯させることが記載されている。
【0004】
このように補助パルスを印加することにより、長時間無発光の後でも短時間で所定の光強度が得られるようにしている。この補助パルスは、感光体を露光しない程度で、かつ、残光が生じる大きさに設定している。すなわち、残光が存在する状態から発光動作を開始させるようにしている。
【0005】
また、特許文献2には、ラインヘッドに前記無機EL素子を用いた発光記録素子を複数列配置した例が記載されている。無機EL素子を用いたラインヘッドを駆動する際に、表裏両面の電極から駆動パルスを常時印加しておき、これらの駆動パルスの同期を制御することで合成パルスの電位を無機EL素子の閾値電圧以下以下として、発光を制御する方法が考えられる。
【0006】
しかしながら、このような制御方法では非印字時でも無機EL素子に直流バイアスが印加されることになる。無機EL素子は、その特性上電位が正負非対称のパルスが印加されると、発光しない場合でも薄膜内の劣化が進行して光出力が低下する。このため、前記非印字時に無機EL素子に直流バイアスが印加されると光出力が低下するので、特許文献2においては、非印字時に正負対称な電圧を印加して無機EL素子の劣化を防止している。
【0007】
更に、特許文献3には、有機EL素子の成分である有機化合物が水に弱いという特質があるので、その対応技術が記載されている。すなわち、有機EL素子の温度を検出し、有機EL素子の温度が所定値となるように、待機時の余熱制御を行っている。
【0008】
【特許文献1】
特許第2534364号公報
【特許文献2】
特公平8−32468号公報
【特許文献3】
特開2000−127488号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載の従来例においては、有機EL素子に対して残光が発生する程度の大きさの補助パルスを印加している。この例では、有機EL素子を実際に発光させるこのため、EL素子の劣化を促進してしまうという問題があった。また、発光素子として有機EL素子を用いる場合には、電圧が印加されて温度が上昇すると発光光量が増加し、有機EL素子の温度が変わると発光光量が変化するという問題があった。有機EL素子は、発光により劣化が促進されてしまい、素子毎の劣化度合いの相違により発光にバラツキが生じるという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載の従来例においては、直流電圧を印加すると劣化するような無機EL素子を対象としており、有機EL素子の発光バラツキを是正する技術については開示されていない。更に、特許文献3に記載の従来例は、温度制御を行うために有機EL素子に印加する電圧の大きさについては何ら記載されていない。発光電圧以上の電圧が印加されると、有機EL素子の寿命が短縮される。また、温度検出手段を設けるのでラインヘッドの構成が複雑になり、温度制御回路が付加されるので、制御回路も複雑になるという問題があった。
【0011】
本発明は、従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものである。その目的は、ラインヘッドに発光素子として有機EL素子を用いた際に、安定した光量が得られるようにすると共に、素子の劣化を低減する構成とした画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、有機EL素子を用いた像書込手段と、前記有機EL素子に直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、前記直流電圧印加手段の制御手段とを有し、
前記制御手段は、非印字時において前記有機EL素子に0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧(Va)を印加するように前記直流電圧印加手段を制御することを特徴とする。このため、有機EL素子は発光はしないがジュール熱により温度が上昇し、当該有機EL素子を印字状態としたときには電流量の変化が少なく温度を安定させることができる。したがって、有機EL素子から安定した光量が得られる。また、閾値電圧以下の電圧を印加しているので有機EL素子の劣化を少なくすることができる。更に、印字時に印加される電圧は、0Vから所定値まで変化するのではなく、0Vよりも大きな電圧からの変化であるので非印字時と印字時の電位差が少なくパルス応答性が良好になる。なお、有機EL素子の温度制御を行うための複雑な構成を必要とせず、制御回路が簡単になる。
【0013】
また、本発明は、前記像書込手段の始動時に、前記有機EL素子に対して前記直流電圧(Va)を印加した後に印字状態に移行させることを特徴とする。このため、周囲温度が低い場合であっても動像書込手段が始動して印字状態に移行する際に、有機EL素子は温度が上昇しているので、安定した光量が得られる。
【0014】
また、本発明は、前記像書込手段は、像担持体の主走査方向に複数の有機EL素子を配置した発光素子ラインを設けたラインヘッドで構成したことを特徴とする。このため、かかるラインヘッドに設けられた有機EL素子から安定した光量が得られ、有機EL素子の劣化を防止して寿命を延長することができる。
【0015】
また、本発明は、前記発光素子ラインを副走査方向に複数列設けて、前記ラインヘッドを構成したことを特徴とする。このため、有機EL素子を二次元的に配列したラインヘッドを用いる際に、安定した光量で像担持体の露光を行うことができる。
【0016】
また、本発明は、前記像書込手段により多重露光を行う際に、少なくとも1ラインの発光素子ラインに配置された全ての有機EL素子に、0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧を印加するように前記直流電源を制御することを特徴とする。このため、多重露光を行う際に、少なくとも1ラインの発光素子ラインは像書き込み手段としてではなく、有機EL素子の温度上昇手段として利用することができる。
【0017】
また、本発明は、前記1ラインの発光素子ラインに配置された少なくとも1つの有機EL素子に、0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧を印加するように前記直流電源を制御することを特徴とする。このため、重ね打ちを行う有機EL素子に対して非印字時に印加される電圧は、単体の有機EL素子に印加される低電圧の直流電圧よりりも更に低電圧で足りることになる。したがって、有機EL素子に対する電圧負担は更に軽減されることになり、有機EL素子の寿命を延長することができる。
【0018】
また、本発明は、前記有機EL素子は、強度変調制御で制御されることを特徴とする。このため、高速で発光素子をオン、オフ制御する必要がなくなるので、発光素子の応答速度が遅い場合でも適用することができる。
【0019】
また、本発明は、前記有機EL素子をアクテブマトリックス方式の駆動回路に接続したことを特徴とする。このため、スイッチングTFTが外乱などの影響でオフした際にも、有機EL素子は動作を維持するという利点がある。また、1画素を重ね打ちして多重記録する際に、記憶手段から次段の記憶手段へ画像データを転送中でも動作を維持することができる。
【0020】
また、本発明は、前記制御を行う有機EL素子を設けたラインヘッドを像担持体カートリッジに装着して、前記像担持体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段を配した状態で、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写媒体に転写させるようにしたことを特徴とする。このため、像書込手段の光量が安定し、画質にむらのない画像形成装置を構成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像形成装置の1実施例を図面を参照しつつ説明する。図9は、本発明が適用される画像形成装置の1実施例の全体構成を示す模式的断面図である。本実施例は、転写ベルトとして中間転写ベルトを用いる例である。
【0022】
図9において、画像形成装置1は、ハウジング本体2と、ハウジング本体2の前面に開閉自在に装着された第1の開閉部材3と、ハウジング本体2の上面に開閉自在に装着された第2の開閉部材(排紙トレイを兼用している)4とを有している。さらに、第1の開閉部材3には、ハウジング本体2の前面に開閉自在に装着された開閉蓋3’を備え、開閉蓋3’は第1の開閉部材3と連動して、または独立して開閉可能にされている。
【0023】
ハウジング本体2内には、電源回路基板及び制御回路基板を内蔵する電装品ボックス5、画像形成ユニット6、送風ファン7、転写ベルトユニット9、給紙ユニット10が配設され、第1の開閉部材3内には、二次転写ユニット11、定着ユニット12、記録媒体搬送手段13が配設されている。
【0024】
画像形成ユニット6及び給紙ユニット10内の消耗品は、本体に対して着脱可能な構成であり、その場合には、転写ベルトユニット9を含めて取り外して修理又は交換を行うことが可能な構成になっている。 ハウジング本体2の前面下部の両側には、回動軸3bを介して第1の開閉部材3がハウジング本体2に開閉自在に装着されている。
【0025】
転写ベルトユニット9は、ハウジング本体2の下方に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラ14と、駆動ローラ14の斜め上方に配設される従動ローラ15と、この2本のローラ14、15間に張架されて図示矢印方向へ循環駆動される中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の表面に離当接されるクリーニング手段17とを備えている。
【0026】
上記駆動ローラ14及び従動ローラ15は、支持フレーム9aに回転自在に支持され、支持フレーム9aの下端には回動部9bが形成される。この回動部9bはハウジング本体2に設けられた回動軸(回動支点)2bに嵌合され、これにより、支持フレーム9aはハウジング本体2に対して回動自在に装着されている。
【0027】
また、支持フレーム9aの上端にはロックレバー9cが回動自在に設けられ、ロックレバー9cはハウジング本体2に設けられた係止軸2cに係止可能にされている。駆動ローラ14は、二次転写ユニット11を構成する二次転写ローラ19のバックアップローラを兼ねている。また、従動ローラ15をクリーニング手段17のバックアップローラとして兼用させている。クリーニング手段17は、搬送方向下向きのベルト面16a側に設けられている。
【0028】
中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16a裏面には、各画像形成ステーションY、M、C、Kの像担持体20に対向して板バネ電極からなる一次転写部材21がその弾性力で当接され、一次転写部材21には転写バイアスが印加されている。転写ベルトユニット9の支持フレーム9aには、駆動ローラ14に近接してテストパターンセンサ18が設置されている。このテストパターンセンサ18は、中間転写ベルト16上の各色トナー像の位置決めを行うとともに、各色トナー像の濃度を検出し、各色画像の色ずれや画像濃度を補正するためのセンサである。
【0029】
画像形成ユニット6は、複数(本実施例では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イェロー用)、M(マゼンタ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備え、各画像形成ステーションY、M、C、Kにはそれぞれ、感光ドラムからなる像担持体20と、像担持体20の周囲に配設された、帯電手段22、像書込手段23及び現像手段24を有している。帯電手段22、像書込手段23及び現像手段24は、画像形成ステーションYのみに図番を付けて、他の画像形成ステーションについては構成が同一のため、図番を省略する。また、各画像形成ステーションY、M、C、Kの配置順序は任意である。
【0030】
像書込手段23は、有機EL発光素子を像担持体20の軸方向に列状に配列した有機ELアレイ露光ヘッドを用いている。有機ELアレイ露光ヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトであり、像担持体20に対して近接配置が可能であり、装置全体を小型化できるという利点を有する。各画像形成ステーションのY、M、C、Kの像担持体20、帯電手段22及び像書込手段23を1つの像担持体ユニット25としてユニット化している。そして、転写ベルトユニット9と共に支持フレーム9aに交換可能にすることにより、有機ELアレイ露光ヘッドの像担持体20に対する位置決めを保持する構成としている。また、像担持体ユニット25の交換時には有機ELアレイ露光ヘッドを含めて交換する構成としている。
【0031】
次に、現像手段24の詳細について、画像形成ステーションKを代表して説明する。現像手段24は、トナー(図のハッチング部)を貯留するトナー貯留容器26と、このトナー貯留容器26内に形成されたトナー貯留部27と、トナー貯留部27内に配設されたトナー撹拌部材29と、トナー貯留部27の上部に区画形成された仕切部材30を有している。
【0032】
また、仕切部材30の上方に配設されたトナー供給ローラ31と、仕切部材30に設けられトナー供給ローラ31に当接されるブレード32と、トナー供給ローラ31及び像担持体20に当接するように配設される現像ローラ33と、現像ローラ33に当接される規制ブレード34とが設けられている。像担持体20は中間転写ベルト16の搬送方向に回転され、現像ローラ33及び供給ローラ31は、図示矢印に示すように、像担持体20の回転方向とは逆方向に回転駆動され、一方、撹拌部材29は供給ローラ31の回転方向とは逆方向に回転駆動される。
【0033】
トナー貯留部27へ戻ったトナーは撹拌部材29によってトナー貯留部27内のトナーと撹拌され、撹拌部材29によって再度、供給ローラ31近傍のトナー導入部へ供給される。したがって、余剰トナーを供給ローラ31と現像ローラ33の摺擦部や現像ローラ33と規制ブレード34の当接部に渋滞させずに下部へ落下させてトナー貯留部27のトナーと撹拌を行うので、現像手段内のトナーの劣化が徐々に進行し、現像手段の交換直後に急激な画質変化が発生することを防ぐことができる。
【0034】
また、給紙ユニット10は、記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ36とからなる給紙部を備えている。第1の開閉部材3内には、二次転写部への記録媒体Pの給紙タイミングを規定するレジストローラ対37と、駆動ローラ14及び中間転写ベルト16に圧接される二次転写手段としての二次転写ユニット11と、定着ユニット12と、記録媒体搬送手段13と、排紙ローラ対39と、両面プリント用搬送路40を備えている。
【0035】
定着ユニット12は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ45と、この加熱ローラ45を押圧付勢する加圧ローラ46と、加圧ローラ46に揺動可能に配設されたベルト張架部材47と、加圧ローラ45とベルト張架部材47間に張架された耐熱ベルト49を有している。記録媒体に二次転写されたカラー画像は、加熱ローラ45と耐熱ベルト49で形成するニップ部で所定の温度で記録媒体に定着される。
【0036】
以上のような本実施例の画像形成装置全体の作動の概要は次の通りである。(1)図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が電装品ボックス5内の制御回路に入力されると、各画像形成ステーションY、M、C、Kの像担持体20、現像手段24の各ローラ、及び中間転写ベルト16が回転駆動される。(2)像担持体20の表面が帯電手段22によって一様に帯電される。
【0037】
(3)各画像形成ステーションY、M、C、Kにおいて一様に帯電した像担持体20の表面に、像書込手段23によって各色の画像情報に応じた選択的な露光がなされて、各色用の静電潜像が形成される。(4)それぞれの像担持体20に形成された静電潜像に対して、現像手段24によりトナー像が現像される。
【0038】
(5)中間転写ベルト16の一次転写部材21には、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、像担持体20上に形成されたトナー像が一次転写部において中間転写ベルト16の移動に伴って順次、中間転写ベルト16上に重ねて転写される。(6)この一次画像を一次転写した中間転写ベルト16の移動に同期して、給紙カセット35に収納された記録媒体Pが、レジストローラ対37を経て二次転写ローラ19に給送される。
【0039】
(7)一次転写画像は、二次転写部位で記録媒体と同期合流し、押圧機構によって中間転写ベルト16の駆動ローラ14に向かって押圧された二次転写ローラ19で、一次転写画像とは逆極性のバイアスが印加される。中間転写ベルト16上に形成された一次転写画像は、同期給送された記録媒体に二次転写される。
【0040】
(8)二次転写における転写残りのトナーは、従動ローラ15方向へと搬送されて、このローラ15に対向して配置したクリーニング手段17によって掻き取られ、そして、中間転写ベルト16はリフレッシュされて再び上記サイクルの繰り返しを可能にされる。(9)記録媒体が定着手段12を通過することによって記録媒体上のトナー像が定着し、その後、記録媒体が所定の位置に向け(両面印刷でない場合には排紙トレイ4に向け、両面印刷の場合には両面プリント用搬送路40に向け)搬送される。
【0041】
図10は、図9の像担持体20近傍の部分的な断面図である。像担持体ユニット25は、中間転写ベルト16に接する側が開口した不透明な金属板等からなるケース50中に、相互に離間して平行に画像形成ステーションY、M、C、Kの4本の像担持体(感光体ドラム)20が回転可能に支持されている。
【0042】
各像担持体20の所定位置で当接回転するように帯電手段22の導電性ブラシローラが支持されており、帯電手段22の下流側に各々有機ELアレイラインヘッドからなる像書込手段23が各像担持体20に位置決めしてそれに平行に支持されている。像書込手段23の下流側のケース50の壁面には、各像担持体20に対応して現像手段24の現像ローラ33を当接させる開口51が設けられている。各開口51と像書込手段23の間には、ケース50の遮蔽部分52が残されており、また、帯電手段22と像書込手段23の間にケース50の遮蔽部分53が残されている。
【0043】
この遮蔽部分52、53、特に、開口51と像書込手段23の間の遮蔽部分52が像書込手段23中の有機EL材料からなる発光部へ外から紫外線が達するのを防いでいる。54は、有機EL発光素子アレイ56を前面から覆う屈折率分布型ロッドレンズアレイ55が汚れた場合に、拭き取りを行うクリーニングパッドである。クリーニングパッド54は、図示を省略した把手により往復動される。
【0044】
次に、本発明に係る画像形成装置の他の実施の形態について説明する。図11は、本発明が適用される画像形成装置の構成図である。図11において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、有機ELアレイが設けられている像書込手段167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
【0045】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0046】
165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器、167は像書込手段で有機ELアレイが設けられている。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動される。
【0047】
中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆方向の矢視E方向に回動される。
【0048】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
【0049】
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレー、179は給紙トレー178の出口に設けられているピックアップローラである。
【0050】
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータは、低速のブラシレスモータが用いられる。また、中間転写ベルト169は色ずれ補正などが必要となるのでステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略している制御手段からの信号により制御される。図示の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ62aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢視A方向に90度回転する。
【0051】
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。
【0052】
給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
【0053】
図1は、有機EL素子の電圧―発光光量特性の例を示す特性図である。図1の横軸には駆動電圧(V)を設定している。また、縦軸には光量(W/m2)を設定している。有機EL素子は、図1に示されているようにダイオード特性を有しており、印加される駆動電圧が0Vよりも大きいある電圧(閾値電圧、Vth)以上で発光が始まる。図1の例では発光光量は、閾値電圧Vth以上の駆動電圧の大きさに対して双曲線関数状に増加する。
【0054】
本発明においては、非印字時において有機EL素子に対して図1の0Vよりも大きく閾値電圧Vth以下の直流電圧を印加する。すなわち、有機EL素子には発光には至らないが微小電流が流れる程度の低電圧の直流電圧を印加する。この際に、有機EL素子はジュール熱により温度が上昇する。このため、当該有機EL素子を印字状態としたときには電流量の変化が少ないので、温度を安定させることができるようにしている。したがって、本発明によれば、有機EL素子から安定した光量が得られる。また、閾値電圧以下の電圧を印加しているので有機EL素子の劣化を少なくすることができる。
【0055】
図2は、本発明の有機EL素子に印加される電圧パルスの例を示す波形図である。図2において、横軸には時間を設定し、縦軸には電圧を設定している。電圧値のVthは前記閾値電圧、Vaは0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧、Vbは閾値電圧よりも大きい有機EL素子の駆動電圧の波高値である。
【0056】
次に、本発明の有機EL素子の制御について説明する。非印字時に有機EL素子は時刻0から時刻taまでの時間、前記0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧Vaを印加する。時刻taから時刻tbまでの時間は、前記Vbの電圧を印加して印字状態とする。以下、時刻tb〜tc、td〜te間は電圧Vaを印加し、また、時刻tc〜td、te〜tf間は電圧Vbを印加する。
【0057】
このように、電圧VaとVbを交互に印加するが、駆動電圧は0VからVbに変化するのではなく、0Vよりも大きく閾値電圧Vth以下の直流電圧VaからVbに変化する。このため、非印字状態と印字状態の電位差が少ないのでパルス応答性が良好になる。また、有機EL素子に印加する電圧は、VaとVb間のオンオフ制御であり、温度制御のような複雑な制御を行わないので制御回路が簡単になる。なお、有機EL素子には、当初前記Vaを印加して温度上昇させてから印字状態に移行している。したがって、周囲温度が低い始動時においても安定した光量を得ることができる。
【0058】
図3は、本発明の有機EL素子を制御する制御機構の例を示すブロック図である。図3において、95は画像形成装置の本体コントローラ、90はラインヘッドの制御部である。制御部90には、制御回路91、駆動回路92、有機EL素子を用いた発光素子93、メモリー94が設けられている。
【0059】
本体コントローラ95は画像データを形成し、当該画像データを制御回路91に送信する。制御回路91は各発光素子93の発光量に応じた制御信号を形成し、TFT(Thin Film Transistor)などで構成される駆動回路92を付勢する。メモリー94には各発光素子の発光量を記憶する。駆動回路92は、有機EL素子に直流電圧を印加する直流電圧印加手段として機能する。また、制御回路90は、前記のように、非印字時において有機EL素子に0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧を駆動回路92が印加するように制御する制御手段として機能する。
【0060】
このように、各発光素子毎の発光量をメモリー94に記憶しているので、選択された発光素子毎に発光量を制御することができる。なお、前記メモリー94を画像形成装置本体側に設置することもできる。この場合には、ラインヘッドを小型化できるという利点がある。
【0061】
図4は、多重露光を行う例を示すブロック図である。図4においては、図3の制御回路にデータ処理手段123が設けられており、図3の駆動回路には記憶手段124が設けられている。図4には、有機EL素子を用いた発光素子(イエロー)ラインヘッド128と、それに対応する記憶手段124の細部を示している。ラインヘッド128には、1ライン128aに複数個の発光素子132が設けられている。また、この例では、像担持体の副走査方向Xに対して128a〜128eの5列に同数の発光素子が配置されている。すなわち、1ラインに複数個の有機EL素子を配置した発光素子ラインを副走査方向に複数列設けて二次元的に構成したラインヘッドが示されている。
【0062】
記憶手段124は、発光素子の各列のライン128a〜128eに対応して、シフトレジスタ124a〜124eを配列している。図2において、矢視X方向は感光体ドラム(像担持体)の移動方向(副走査方向)、矢視Y方向は主走査方向を示している。
【0063】
次に、図4のブロック図の動作について説明する。データ処理装置123からの画像データが記憶手段124に入力されると、シフトレジスタ124aからは、先頭の1ライン128aの発光素子に画像データが出力され、発光素子の動作により所定の光量で像担持体上の画素を露光する。像担持体を回転駆動して矢視X方向に移動させ、先頭の1ライン128aの発光素子で露光された画素を次の1ライン128bで配列された発光素子の位置に到達させる。このときのタイミングで、シフトレジスタ124aに入力された画像データをシフトレジスタ124bに転送する。
【0064】
シフトレジスタ124bは、1ライン128bの発光素子に画像データを出力して発光素子を動作させる。このため、前回に1ライン128aの発光素子で露光された画素は、同じ強さの光量で1ライン128bの発光素子により再度露光される。このようにして、像担持体を矢視X方向に移動させながら順次画像データを次段のシフトレジスタに転送して、異なる列の発光素子のラインで同一画素を順次露光する。
【0065】
このため、図1の例では各画素は単一の発光素子で露光される場合の5倍の光量で露光されることになり、各画素の露光に必要な光量を高速で取得することができる。発光素子が配置されたラインの副走査方向の列数、すなわち、画素を単一の発光素子で露光する場合に得られる光量の倍数は、必要に応じて適宜選定することができる。
【0066】
本発明においては、画像形成装置本体のデータ処理手段123は、先頭の1ライン分のデータを形成すれば、その後は先頭の1ラインの画像データを記憶手段(シフトレジスタ)に保持し、記憶手段の中で画像データを転送するだけでラインヘッドすべての発光素子の動作を制御することができる。このため、データ処理手段は、ラインヘッドすべての発光素子のデータを生成する必要がなく、回路構成を簡略にすることができる。また、高速でデータ処理を行うことができる。
【0067】
本発明の図4に示した構成を用いる実施形態においては、データ処理手段から出力される画像データを次のように形成することができる。すなわち、少なくとも1ラインの画像データについては、図2で説明したように0Vよりも大きく閾値電圧以下の大きさで、像担持体に像形成がなされない大きさのものとする。このような直流電圧で1ラインの発光素子ラインに配置された有機EL素子を動作させると、当該発光素子ラインは、温度上昇のためのヒータとして機能する。したがって、当該発光素子ラインは像形成を行わないダミーラインとして作用するものである。
【0068】
図4の例では、各ラインの発光素子ラインの中で、少なくとも1個の有機EL素子を選択して前記0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧を印加する構成とすることもできる。この場合には、像担持体の同一ドットの潜像を形成する有機EL素子は副走査方向に5個配置されており、5回の重ね打ちを行う構成である。このため、非印字時に有機EL素子に印加される電圧は、図2の電圧Vaの1/5で足りるので、有機EL素子に対する電圧負担は更に軽減されることになり、有機EL素子の寿命を延長することができる。なお、本発明に適用される有機EL素子を用いたラインヘッドは、図4の1ラインの発光素子ライン、例えば128aのみで構成することができる。この場合には、構成が簡単なラインヘッドが得られる。
【0069】
図5は、前記有機EL素子の印加電圧を強度変調制御で形成するためのデータ作成例を示す説明図である。図5の例では、印加電圧の大きさを階調データで形成し、階調データメモリに格納する。図5において、ビットデータNo、ビットデータ、階調データを対応させたテーブルが形成されている。ビットデータNo1で階調データ0(最低値)、ビットデータNo8で階調データ255で最も印加電圧が大きい印字時の電圧、ビットデータNo2〜7でその中間階調(中間の印加電圧)の電圧値としている。
【0070】
図6は、本発明の有機EL素子に非印字時に印加する電圧を強度変調で形成する例を示すブロック図である。図6は、階調データの大きさに対応した電圧、または電流でスイッチングTFTを制御するものであり、本発明ではこのような制御を強度変調制御と称する。図4の制御回路91は、階調データ信号74、セレクト信号76を形成する。
【0071】
図6に示された強度変調制御部70は、D/Aコンバータ78a、78b・・・をそれぞれ階調データメモリ71a、71b・・・に接続している。D/Aコンバータ78a、78b・・・は、階調データメモリ71a、71b・・・に格納された階調データに対応した大きさで、アナログの電圧値、または電流値の信号を形成する。この信号は、信号線79a、79b・・・を介して、セレクト信号76で選択された発光部Za、Zb・・・のスイッチングTFTに出力する。
【0072】
図6の例では、階調データに応じてスイッチングTFTのバイアスを変えて、発光素子の発光光量を変化させている。このため、高速で発光素子をオン、オフ制御する必要がなくなるので、発光素子の応答速度が遅い場合でも適用でき、像担持体への露光量を高速で変化させることができる。図6においては、図5のテーブルを利用して、例えば3ビットの階調データを閾値電圧に対応させる。そして、2ビットの階調データで形成した電圧を非印字時に有機EL素子に印加することができる。
【0073】
図7は、本発明の他の実施形態に係る画像形成装置を示したブロック図である。図7の例は、有機EL素子をアクティブマトリックス方式で駆動するものである。図7において、Zは、有機EL素子の発光素子とその駆動回路をアクティブマトリックスで構成した単体の発光部である。
【0074】
例えば、イエローのラインヘッド128Yには、発光素子ライン128p〜128tが5列で配置されている。各発光素子ライン128p〜128tと対応して、シフトレジスタ124p〜124tが配置されている。また、データ処理装置123にはラインセレクタ134が接続されている。
【0075】
135aは、データ処理装置123からシフトレジスタに配線される画像データの供給線、135bはデータ処理装置123からラインセレクタ134に配線される制御線、136a〜136eはラインセレクタ134から各シフトレジスタ124p〜124tの動作を指令する指令線、137a〜137eはラインセレクタ134からの信号が各ラインの発光素子に供給される走査線、138a〜138kは、シフトレジスタ124p〜124tから各ライン、各列の個別の発光素子(有機EL素子)に動作信号を供給する信号線である。
【0076】
図7の動作について説明する。データ処理装置123から制御線135bを介して供給される制御信号で、ラインセレクタ134は走査線137aを選択し、発光素子ライン128pに信号を供給する。また、指令線136aの信号でシフトレジスタ124pを動作させる。シフトレジスタ124pは信号線138a〜138kを活性化して、画像データの出力信号を発光素子ライン128pのすべての有機EL素子に送出すると、発光素子ライン128pの有機EL素子は発光して画素を露光する。
【0077】
ラインセレクタ134からの信号で、走査線137と指令線136を切り替えることにより、以上の動作を発光素子ライン128q、128r、128s、128tについても行い、全ての発光素子ラインの発光素子を発光して画素を露光する。次に、シフトレジスタ124sの画像データをシフトレジスタ124tへ転送し、同様にして、シフトレジスタ124rからシフトレジスタ124sへ、シフトレジスタ124qからシフトレジスタ124rへ、シフトレジスタ124pからシフトレジスタ124qへ順次画像データを転送する。シフトレジスタ124pには、データ処理手段123から信号線135aを介して画像データが転送される。この間に像担持体は画素ピッチ分移動する。
【0078】
この際に、発光部Zの発光素子はアクティブマトリクスの作用により動作を維持しているので、画像データをシフトレジスタで転送中であっても発光素子が消灯することなく、画素を高輝度で露光することができる。このようにして、シフトレジスタ124から発光素子への画像データの送出、シフトレジスタ間での画像データの転送、像担持体の移動を繰り返すことにより、像担持体上に連続的に画像データを露光していくことができる。
【0079】
このため、図7の例では各画素は単一の発光素子で露光される場合の5倍の光量で露光されることになり、各画素の露光に必要な光量を高速で取得することができる。発光素子が配置されたラインの副走査方向の列数、すなわち、画素を単一の発光素子で露光する場合に得られる光量の倍数は、必要に応じて適宜選定することができる。なお、このようなアクティブマトリクス方式の駆動回路に有機EL素子を接続することにより、スイッチングトランジスタがオフとなった場合や、シフトレジスタでデータ転送中でも低電圧の動作状態を維持して温度上昇させることができる。
【0080】
図8は、図7に示されたように発光部Zをアクティブマトリクスで動作させるための回路図である。図8において、発光素子として有機EL素子(EL)を使用しており、Kはそのカソード端子、Aはそのアノード端子である。カソード端子Kは、図示を省略している電源に接続されている。
【0081】
セレクト信号Taが入力される走査線は、例えば図7の走査線137aを用いることができる。また、個別の発光素子を選択する制御信号Uaは、例えば図7の信号線138aから供給することができる。セレクト信号Taはスイッチング用TFT(Tr1)のゲートGaに供給される。
【0082】
また、前記制御信号Uaはスイッチング用TFTのドレインDaに供給される。Vxは電源線、Caはストレージキャパシタである。有機EL素子のドライビング用TFT(Tr2)のソースSbは電源線Vxに接続され、ドレインDbは有機EL素子のアノード端子Aに接続される。さらに、ドライビング用TFT(Tr2)のゲートGbは、スイッチング用TFT(Tr1)のソースSaに接続されている。
【0083】
次に、図8の回路図の動作について説明する。スイッチング用TFTのソースに電源線Vxの電圧が印加されている状態で、走査線、信号線に通電すると、スイッチング用TFT(Tr1)がオンになる。このため、ドライビング用TFT(Tr2)のゲート電圧が下がり、電源線Vxの電圧がドライビング用TFT(Tr2)のソースから供給されてドライビング用TFT(Tr2)が導通する。この結果、有機EL素子が動作して所定の光量で発光する。また、ストレージキャパシタCaは電源線Vaの電圧で充電される。
【0084】
スイッチング用TFT(Tr1)をオフにした場合にも、ストレージキャパシタCaに充電された電荷に基づいてドライビング用TFT(Tr2)は導通状態となっており、有機EL素子は発光状態を維持する。したがって、アクテブマトリックスを前記発光素子の駆動回路に適用した場合には、画像データをシフトレジスタで転送するためにスイッチング用TFTをオフにしたときでも、有機EL素子の動作が継続して発光を維持し、高輝度で画素の露光を行うことができる。
【0085】
このように、アクテブマトリックス方式の駆動回路では、有機EL素子周辺に設けたコンデンサとトランジスタにより有機EL素子の発光状態を保持できる。したがって、1画素を重ね打ちして多重記録する際に、記憶手段から次段の記憶手段へ画像データを転送中でも発光を維持するので画素を高輝度で露光できる。
【0086】
また、セレクト信号Taが供給される走査線と、制御信号Uaが供給される信号線を適宜選択することにより、1ラインの発光素子ラインの中の1個の有機EL素子を取り出して、当該有機EL素子に非印字時の電圧制御を行うことができる。このように、図9に示したアクテブマトリックス方式の駆動回路は、1ラインすべての有機EL素子を制御する以外に、個別の有機EL素子を制御することもできる。
【0087】
このため、複数の有機EL素子を主走査方向および副走査方向に二次元的に配列して像担持体を副走査方向に移動させながら重ね打ちを行う際に、単一の有機EL素子に対して電圧制御を行うことができる。すなわち、同一ドットの潜像を形成する有機EL素子に対して、非印字時に順次0Vよりも大きく閾値電圧よりも小さな電圧を印加して有機EL素子の温度を上昇させる構成とすることもできる。
【0088】
以上、本発明の画像形成装置をいくつかの実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の電圧波形を示す特性図である。
【図3】制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】シフトレジスタを用いた例を示すブロック図である。
【図5】強度変調制御の説明図である。
【図6】強度変調制御のブロック図である。
【図7】他の実施形態を示すブロック図である。
【図8】有機EL素子の駆動回路を示す回路図である。
【図9】画像形成装置の全体構成例を示す模式的断面図である。
【図10】図9の一部を拡大して示す断面図である。
【図11】画像形成装置の他の例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1…画像形成装置、2…ハウジング本体、5…電装品ボックス、6…画像形成ユニット、9…転写ベルトユニット、10…給紙ユニット、11…二次転写ユニット、12…定着ユニット、13…記録媒体搬送手段、16…中間転写ベルト、19…二次転写ローラ、20…像担持体、21…一次転写部材、22…帯電手段、23…像書込手段、24…現像手段、25…像担持体ユニット(像担持体カートリッジ)、71…TFT、90…ラインヘッドの制御部、91…制御回路、91a…データ処理手段、91b…補助パルス制御手段、91p〜91s…AND回路、92…駆動回路、92a〜92d…ラインヘッド、93…有機EL素子、94…メモリー、95…本体コントローラ、123…データ処理手段、124a〜124e…シフトレジスタ、128…ラインヘッド、128a〜128e…発光素子ライン、134…ラインセレクタ、160…画像形成装置、161…現像装置、165…感光体ドラム、167…像書き込み手段、168…帯電器、169…中間転写ベルト、171…二次転写ローラ、172…加熱ローラ、174…搬送路、177…電装品ボックス、Z…発光部、
Claims (9)
- 有機EL素子を用いた像書込手段と、前記有機EL素子に直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、前記直流電圧印加手段の制御手段とを有し、
前記制御手段は、非印字時において前記有機EL素子に0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧(Va)を印加するように前記直流電圧印加手段を制御することを特徴とする、画像形成装置。 - 前記像書込手段の始動時に、前記有機EL素子に対して前記直流電圧(Va)を印加した後に印字状態に移行させることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記像書込手段は、像担持体の主走査方向に複数の有機EL素子を配置した発光素子ラインを設けたラインヘッドで構成したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記発光素子ラインを副走査方向に複数列設けて、前記ラインヘッドを構成したことを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記像書込手段により多重露光を行う際に、少なくとも1ラインの発光素子ラインに配置された全ての有機EL素子に、0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧を印加するように前記直流電源を制御することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記1ラインの発光素子ラインに配置された少なくとも1つの有機EL素子に、0Vよりも大きく閾値電圧以下の直流電圧を印加するように前記直流電源を制御することを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記有機EL素子は、強度変調制御で制御されることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記有機EL素子をアクテブマトリックス方式の駆動回路に接続したことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 請求項3から請求項8のいずれか1項記載の制御を行う有機EL素子を設けたラインヘッドを像担持体カートリッジに装着して、前記像担持体の周囲に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段を配した状態で、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写媒体に転写させるようにしたことを特徴とする、画像形成装置。
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