図13は、本発明のラインヘッドが用いられる画像形成装置の縦断側面図である。本実施例は、発光素子として有機EL素子を用いている。この画像形成装置は、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置として構成されている。
図13に示された本実施例の画像形成装置1は、ハウジング本体2と、ハウジング本体2の前面に開閉自在に装着された第1の開閉部材3と、ハウジング本体2の上面に開閉自在に装着された第2の開閉部材(排紙トレイを兼用している)4とを有している。さらに、第1の開閉部材3には、ハウジング本体2の前面に開閉自在に装着された開閉蓋3’を備え、開閉蓋3’は第1の開閉部材3と連動して、または独立して開閉可能にされている。
ハウジング本体2内には、電源回路基板及び制御回路基板を内蔵する電装品ボックス5、画像形成ユニット6、送風ファン7、転写ベルトユニット9、給紙ユニット10が配設され、第1の開閉部材3内には、二次転写ユニット11、定着ユニット12、記録媒体搬送手段13が配設されている。画像形成ユニット6及び給紙ユニット10内の消耗品は、本体に対して着脱可能な構成であり、その場合には、転写ベルトユニット9を含めて取り外して修理又は交換を行うことが可能な構成になっている。
ハウジング本体2の前面下部の両側には、回動軸3bを介して第1の開閉部材3がハウジング本体2に開閉自在に装着されている。本実施例においては、装置の前面のみからのアクセスで各ユニットの着脱を可能としており、装置を室内にコンパクトに設置することができるようにしている。転写ベルトユニット9は、ハウジング本体2の下方に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラ14と、駆動ローラ14の斜め上方に配設される従動ローラ15と、この2本のローラ14、15間に張架されて図示矢印方向へ循環駆動される中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の表面に離当接されるクリーニング手段17とを備えている。上記駆動ローラ14及び従動ローラ15は、支持フレーム9aに回転自在に支持され、支持フレーム9aの下端には回動部9bが形成され、この回動部9bはハウジング本体2に設けられた回動軸(回動支点)2bに嵌合され、これにより、支持フレーム9aはハウジング本体2に対して回動自在に装着されている。
また、支持フレーム9aの上端にはロックレバー9cが回動自在に設けられ、ロックレバー9cはハウジング本体2に設けられた係止軸2cに係止可能にされている。駆動ローラ14は、二次転写ユニット11を構成する二次転写ローラ19のバックアップローラを兼ねている。また、従動ローラ15をクリーニング手段17のバックアップローラとして兼用させている。また、クリーニング手段17は、搬送方向下向きのベルト面16a側に設けられている。
また、中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16a裏面には、後述する各画像形成ステーションY、M、C、Kの像担持体20に対向して板バネ電極からなる一次転写部材21がその弾性力で当接され、一次転写部材21には転写バイアスが印加されている。転写ベルトユニット9の支持フレーム9aには、駆動ローラ14に近接してテストパターンセンサ18が設置されている。このテストパターンセンサ18は、中間転写ベルト16上の各色トナー像の位置決めを行うとともに、各色トナー像の濃度を検出し、各色画像の色ずれや画像濃度を補正するためのセンサである。
画像形成ユニット6は、複数(本実施例では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イェロー用)、M(マゼンタ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備え、各画像形成ステーションY、M、C、Kにはそれぞれ、感光ドラムからなる像担持体20と、像担持体20の周囲に配設された、帯電手段22、像書込手段(ラインヘッド)23及び現像手段24を有している。なお、帯電手段22、像書込手段23及び現像手段24は、画像形成ステーションYのみに図番を付けて、他の画像形成ステーションについては構成が同一のため、図番を省略する。また、各画像形成ステーションY、M、C、Kの配置順序は任意である。
そして、各画像形成ステーションY、M、C、Kの像担持体20が中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16aに当接されるようにされ、その結果、各画像形成ステーションY、M、C、Kも駆動ローラ14に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。像担持体20は、図示矢印に示すように、中間転写ベルト16の搬送方向に回転駆動される。帯電手段22は、高電圧発生源に接続された導電性ブラシローラで構成され、ブラシ外周が感光体である像担持体20に対して逆方向で、かつ、2〜3倍の周速度で当接回転して像担持体20の表面を一様に帯電させる。
像書込手段23は、後述するように、有機EL素子を像担持体20の軸方向に列状に配列した有機EL素子アレイを用いている。有機EL素子アレイを用いたラインヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトであり、像担持体20に対して近接配置が可能であり、装置全体を小型化できるという利点を有する。本実施例においては、各画像形成ステーションY、M、C、Kの像担持体20、帯電手段22及び像書込手段23を1つの像担持体ユニット25としてユニット化している。これらのユニットは、転写ベルトユニット9と共に支持フレーム9aに交換可能にしている。像担持体ユニット25の交換時には、ラインヘッドを含めて前記部材を交換する構成としている。
次に、現像手段24の詳細について、画像形成ステーションKを代表して説明する。本実施例においては、各画像ステーションY、M、C、Kが斜め方向に配設され、かつ、像担持体20が中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16aに当接される関係上、トナー貯留容器26を斜め下方に傾斜して配置している。そのため、現像手段24として特別の構成を採用している。すなわち、現像手段24は、トナー(図のハッチング部)を貯留するトナー貯留容器26と、このトナー貯留容器26内に形成されたトナー貯留部27と、トナー貯留部27内に配設されたトナー撹拌部材29と、トナー貯留部27の上部に区画形成された仕切部材30を有している。
また、仕切部材30の上方に配設されたトナー供給ローラ31と、仕切部材30に設けられトナー供給ローラ31に当接されるブレード32と、トナー供給ローラ31及び像担持体20に当接するように配設される現像ローラ33と、現像ローラ33に当接される規制ブレード34とが設けられている。像担持体20は中間転写ベルト16の搬送方向に回転され、現像ローラ33及び供給ローラ31は、図示矢印に示すように、像担持体20の回転方向とは逆方向に回転駆動され、一方、撹拌部材29は供給ローラ31の回転方向とは逆方向に回転駆動される。
また、給紙ユニット10は、記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ36とからなる給紙部を備えている。第1の開閉部材3内には、二次転写部への記録媒体Pの給紙タイミングを規定するレジストローラ対37と、駆動ローラ14及び中間転写ベルト16に圧接される二次転写手段としての二次転写ユニット11と、定着ユニット12と、記録媒体搬送手段13と、排紙ローラ対39と、両面プリント用搬送路40を備えている。
定着ユニット12は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ45と、この加熱ローラ45を押圧付勢する加圧ローラ46と、加圧ローラ46に揺動可能に配設されたベルト張架部材47と、加圧ローラ45とベルト張架部材47間に張架された耐熱ベルト49を有している。記録媒体に二次転写されたカラー画像は、加熱ローラ45と耐熱ベルト49で形成するニップ部で所定の温度で記録媒体に定着される。
図14は、像書込手段23を拡大して示す概略の斜視図である。図14において、有機EL素子アレイ61は、長尺のハウジング60中に保持されている。長尺のハウジング60の両端に設けた位置決めピン69をケースの対向する位置決め穴に嵌入させると共に、長尺のハウジング60の両端に設けたねじ挿入孔68を通して固定ねじをケースのねじ穴にねじ込んで固定することにより、各像書込手段23が所定位置に固定される。
像書込手段23は、ガラス基板62上に有機EL素子アレイ61の発光部63を載置し、同じガラス基板62上に形成されたTFT71により駆動される。TFT71は、後述するように発光素子をアクティブマトリクス方式で駆動するものである。屈折率分布型ロッドレンズアレイ65は結像光学系を構成し、発光部63の前面に配置される屈折率分布型ロッドレンズ65’を俵積みしている。60は、詳細を後述するハウジング、66はカバーである。ハウジング60は、ガラス基板62の周囲を覆い、像担持体20に面した側は開放する。このようにして、屈折率分布型ロッドレンズ65’から像担持体20に光線を射出する。ハウジング60のガラス基板62の端面と対向する面には、光吸収性の部材(塗料)が設けられている。
本発明のラインヘッドは、図14に記載されているように、基板上に形成された発光素子および当該発光素子をアクティブマトリクス方式で駆動するTFT回路を有している。前記発光素子は、パルス幅制御(PWM制御)により階調制御を行うことを基本的な構成としている。このような構成のラインヘッドが前記のように主走査線方向の基準位置に対して傾いて設置された場合に、その補正をパルス幅制御により行うものである。
図1は、本発明の実施形態を示す説明図であり、ラインヘッドの傾き補正を行う例を示している。図1において、横軸方向には、主走査方向のドット1、2、3・・・を表示している。また、縦軸方向には、1ラインをn階調分に分割した階調数を表示している。図1の黒地の部分が発光している個所の発光パターンを示している。図1の例では、1ラインの幅単位内で各ドットの発光タイミングを移動させて階調制御を行っている。図1の階調制御は、画像の中間調を制御するために形成される階調データに、ラインヘッドの傾きを補正するデータを付加して発光素子を制御するものである。
図2は、図1のような発光パターンでラインヘッドを発光させるための制御例を示すタイミングチャートである。図2において、t0が記録媒体である紙送りが図1の矢印方向(副走査方向)に開始された時点である。ドット1の画像形成は、時刻tc〜tdの間に行われる。この際のtc〜td間のパルス幅で形成されるデータが、本来の階調データに傾き補正データが加味された画像データとなる。
図2のドット2とドット3の画像形成は、時刻ta〜tcの間に行われ、ドット1のパルス幅の2倍のパルス幅となる。また、ドット4の画像形成は、時刻t0〜taの間に行われ、ドット1のパルス幅の3倍のパルス幅となる。このように、ドット2〜4の画像形成は、ドット1とは異なる書き出しタイミングで行われる。前記のように、ドット2〜4で発光素子に印加されるパルス幅は、ドット1のパルス幅とは相違している。図2に示したように、PWM制御で各ドットに印加される制御信号のパルス幅を変えることにより、ラインヘッドの傾きに合わせて適宜の階調で発光素子を制御することが可能となる。
図3は、本発明の異なる実施形態を示す説明図である。図3(a)は、発光素子単位で発光タイミングを移動させて階調制御を行う例である。この場合には、ドット単位で精細な階調制御を行うことができる。また、図3(b)は、1ラインに形成されている発光素子を複数個ずつまとめて複数のブロックに区分し、ブロック単位で発光タイミングを移動させて階調制御を行う例である。このように、ブロック単位で発光タイミングを移動させる場合には、自然画の画像形成に対応できる。図3(a)のように、個別発光素子を制御する具体的回路の例と、図3(b)のように、ブロック単位で発光素子を制御する具体的回路の例は後述する。
ところで、図1〜図3で説明したように、傾きに対応した補正値で発光素子を階調制御する場合には、画像に段差が生じて画像品質に劣化が生じる場合がある。そこで、前記傾きに対応した補正値に、更にスムージング処理を施して画像の品質劣化を防止している。図4は、図3(b)の補正値にスムージング処理を施した例を示す説明図である。
図3(b)では、1ブロックの階調値とブロック2の階調値の境(ドット5と6の間)に段差が生じている。このため、図4に示すようにブロック1、2の境にあるドット5と6の発光タイミングをずらしてスムージング処理を施している。したがって、ラインヘッドの傾きを階調データを用いて補正する際に発生する段差を解消し、精細な画像形成を行うことができる。
図5は、図4のスムージング処理を行う際の処理手順を示すフローチャートである。図5において、ラインヘッドの傾き補正データを制御部に入力する(ステップS1)。次に傾き補正データを作成する(ステップS2)。続いて、傾き補正データにスムージング処理を加味したデータを作成する(ステップS3)。前記傾き補正データにスムージング処理を加味したデータでラインヘッドの発光素子を制御する。
図6は、本発明の処理を行う制御部を示すブロック図である。本体コントローラ47は例えばコンピュータで構成され、画像データを形成する。また、画像形成装置に設けられている制御装置40には、傾き検出部42、メモリ43、CPUなどで構成される制御回路44、駆動回路45、1ラインの発光素子ラインが形成されているラインヘッド46が配置されている。傾き検出部42は、ラインヘッドの傾きを検出し、この傾き情報はメモリ43に記憶されている。
制御回路44は、メモリ43に記憶されている前記傾き情報に基づいて、図1で説明したような傾き補正の階調信号を形成する。また、図4で説明したような階調信号にスムージング処理を施した制御信号を形成する。次に、制御回路44は駆動回路45に前記傾き補正の階調信号、またはスムージング処理の制御信号を出力する。駆動回路45は、ラインヘッド10に配列されている各発光素子を駆動する。
本発明において、メモリ43に記憶される傾き情報は、製品完成時の検査で取得し、傾き補正を出荷時に行い、以後は補正しない形態とすることができる。また、ユーザが製品を使用中に発生した傾き情報をメモリ43に記憶させ、制御回路44により傾き補正の階調信号、または、階調信号にスムージング処理を施した制御信号を形成する形態とすることもできる。
図6では、傾き検出部42、メモリ43、駆動回路45の処理、制御をCPUなどを用いた制御回路44で行っているが、本発明はこのような形態には限定されない。他の実施形態においては、本体コントローラ47により直接傾き検出部42、メモリ43、駆動回路45の処理、制御を行うことも可能である。この場合には、画像形成装置の制御系の構成が簡略化される。
図7は、1ラインに配列された発光素子ラインの個別の発光素子を制御する例を示す回路図である。図7に記載されているように、ラインヘッド10には有機EL素子Eaが主走査方向に多数配列されて1ラインの発光素子ライン51が形成されている。52、53は薄膜配線で形成された第1、第2の電源線、56、57は給電点である。給電点56は電源(VDD)側、給電点57は接地(GND)側に設けられている。Aは有機EL素子Eaのアノード電極、Kはそのカソード電極である。Tr2はドライブトランジスタで、有機EL素子Eaと同じ基板上に形成されている。DはドライブトランジスタTr2のドレインで電源線2に接続される。Gはゲートで、ソースSは有機EL素子Eaのアノード電極Aと接続される。なお、ゲートGは図示を省略した制御トランジスタTr1のソースと配線Gaで接続される。
制御トランジスタTr1には、ゲートの信号線54とドレインの信号線55が配線されている。また、ドライブトランジスタTr2のドレインは前記のように第1の電源線52に接続されており、そのゲートには制御トランジスタTr1のソースが接続されている。発光素子ライン51に配列されている各有機EL素子Eaは、電源(VDD)側の給電点56に接続される第1の電源線2と、接地(GND)側の給電点57に接続される第2の電源線3との間に接続されている。
図7の構成では、各発光素子Eaに制御トランジスタTr1と、ドライブトランジスタTr2を接続している。このため、図6で説明したように、制御部40の制御回路44で形成される傾き補正の階調信号、または、図4で説明したような階調信号にスムージング処理を施した制御信号で各発光素子Eaを個別にPWM制御することができる。
図8は、図3(b)で説明したブロック制御の例を示す説明図である。図9において、ラインヘッド10aには、発光素子ライン51が設けられている。発光素子ライン51には、例えば有機EL素子やLEDを用いた発光素子D00〜D23が配列されている。54は正の電源線、55は負の電源線である。正の電源線54は、発光素子ライン51における各発光素子のアノードに共通して接続されている。また、負の電源線55は発光素子ライン51における各発光素子のカソードに接続されている。発光素子ライン51は、電源線54、55間に接続される。
図9の91、92、93は、発光素子D00〜D23をブロック単位で制御するためのシフトレジスタ回路で、シフトレジスタ回路91の出力信号C0は発光素子D00〜D03を含むブロックAを制御する。また、シフトレジスタ回路92の出力信号C1は発光素子D10〜D13を含むブロックBを制御し、シフトレジスタ回路93の出力信号C2は発光素子D20〜D23を含むブロックCを制御する。
SPは信号線97よりシフトレジスタ91のデータ端子Dに入力されるスタートパルス、CKは信号線98より各シフトレジスタ91〜93に入力されるクロック信号である。97は各発光素子にデータ信号Dat0〜Dat3を供給する信号線、Tr2は各発光素子のアノード側に接続されるドライバトランジスタ、Tr1はドライブトランジスタTr2のゲートにソースが接続される制御トランジスタである。制御トランジスタTr1、ドライブトランジスタTr2は、例えばFET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)により形成される。
シフトレジスタ回路91の出力端子Qから出力される出力信号C0は、信号線C0aを介して発光素子D00〜D03に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。C1はシフトレジスタ回路92の出力信号であり、信号線C1aを介して発光素子D10〜D13に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。C2はシフトレジスタ回路93の出力信号であり、信号線C2aを介して発光素子D20〜D23に接続される各制御トランジスタTr1のゲートに印加される。
このように、シフトレジスタ回路91は発光素子ライン51の発光素子の中からブロックAの発光素子D00〜D03を選択する。また、シフトレジスタ回路92はブロックBの発光素子D10〜D13を選択し、シフトレジスタ回路93はブロックCの発光素子D20〜D23を選択する。すなわち、シフトレジスタ回路91〜93は、発光素子のブロック選択手段として機能する。それぞれのシフトレジスタ回路出力信号C0〜C2がHレベルのときに、当該ブロックの発光素子を制御する各制御トランジスタTr1のゲートに信号を印加する。各発光素子は、正の電圧VDDが印加される電源線94と負の電源線95間に並列に接続されている。このようにシフトレジスタを用いているので、パルス駆動の簡単な構成でブロック選択を行うことができる。
次に、データ線7のデータ信号Dat0〜Dat3について説明する。このデータ信号は、各制御トランジスタTr1のドレインに供給される。したがって、前記ブロック選択信号で選択された発光素子の制御トランジスタTr1にデータ信号Dat0〜Dat3が供給されると、当該制御トランジスタTr1に接続されたドライブトランジスタTr2が導通して該当する発光素子が動作する。なお、前記ブロック選択信号を制御トランジスタTr1のドレインに、データ線を制御トランジスタTr1のゲートに繋ぎ変えた構成でも同様の動作が可能である。
例えばブロックAについては、データ信号Dat0〜Dat3はそれぞれ発光素子D00〜D03を制御する制御トランジスタTr1に供給される。すなわち、データ信号Dat0〜Dat3は、同一ブロック内の個別の発光素子を選択する選択信号として作用する。このように、本発明のラインヘッドにおいては、個別の発光素子を選択して点灯動作させることもできる。なお、データ信号Dat0〜Dat3は、前記のように濃淡データが時間データに変換されて各発光素子に供給される。
図8の構成では、発光素子ライン51に配列された発光素子を適宜の数で区分して、複数のブロックを形成した際のラインヘッドの傾き補正に対応することができる。この場合には、制御部40の制御回路44で形成される傾き補正の階調信号、または、図4で説明したような階調信号にスムージング処理を施した制御信号により、ブロック単位で各発光素子EaをPWM制御することができる。
本発明において、発光素子は、有機EL素子を用いることができる。また、前記有機EL素子以外に、例えばLED(Light Emitting Diod)を用いることもできる。有機EL素子は静的な制御が可能であるので、ラインヘッドの傾き補正を行うための制御系を簡略化できる。また、発光素子をLEDで構成した場合には、ラインヘッドの傾き補正を行う構成において、発光素子の製造が簡単になる。発光素子を有機EL素子で、制御トランジスタTr1と、ドライブトランジスタTr2をTFT(Thin Film Transistor)により同一基板上に形成する場合がある。この場合には、これらのトランジスタと発光素子とを同じ製造工程で作製できるので、製造コストを低減することができる。また、スペースも節約できる。
図9は、発光素子をアクティブマトリクスで動作させるための回路図である。図9において、発光素子Eaとして有機EL素子を使用しており、Kはそのカソード端子、Aはそのアノード端子である。カソード端子Kは、図示を省略している接地電源に接続されている。37aは走査線でスイッチング用TFT(Tr1)のゲートGaに接続される。また、38aは信号線でスイッチング用TFTのドレインDaに接続される。39は電源線、Caはストレージキャパシタである。有機EL素子のドライビング用TFT(Tr2)のドレインDbは電源線39に接続され、ソースSbは有機ELのアノード端子Aに接続される。さらに、ドライビング用TFTのゲートGbは、スイッチング用のTFTのソースSaに接続されている。
次に、図9の回路図の動作について説明する。スイッチング用TFTのソースに電源線39の電圧が印加されている状態で走査線37a、信号線38aに通電すると、スイッチング用TFTがオンになる。このため、ドライビング用TFTのゲート電圧が下がり、電源線39の電圧がドライビング用TFTのドレインから供給されてドライビング用TFTが導通する。この結果、有機EL素子が動作して所定の光量で発光する。また、ストレージキャパシタCaは電源線39の電圧で充電される。
スイッチング用TFTをオフにした場合にも、ストレージキャパシタCaに充電された電荷に基づいてドライビング用TFTは導通状態となっており、有機EL素子は発光状態を維持する。したがって、アクテブマトリックスを前記発光素子の駆動回路に適用した場合には、スイッチング用TFTをオフにしたときでも、有機EL素子の動作が継続して発光を維持し、高輝度で画素の露光を行うことができる。
このように、有機EL素子をアクテブマトリックス方式で駆動するTFT回路を設けることにより、各発光素子の発光タイミングを最小パルス幅による単位で簡単に設定することができる。このため、傾き補正を加味してパルス幅を適宜設定し、ラインヘッドの傾き補正を簡単に行うことができる。
図10〜図12は、本発明により発光素子を階調データで制御する例を説明する図である。図10は、階調データメモリに格納されるビットデータと階調データとの例を示す説明図である。この例では、8ビットの階調データメモリにより階調データを構成している。図10の例では、ビットデータNo1で階調データ0(非発光)、ビットデータNo8で最も濃度が濃いデータ、ビットデータNo2〜7でその中間階調の濃度データとしている。
図11は、本発明の構成を示すブロック図である。図11において、PWM制御部70には、シフトレジスタなどで構成される階調データメモリ71a、71b・・・、カウンター72、コンパレータ73a、73b・・・、発光部Za、Zb・・・、が設けられている。階調データメモリ71a、71b・・・には、例えば図6に示した制御回路44から階調データ信号74が供給される。階調データメモリ71a、71b・・・のビット数は、図10に示したように8ビットとする。カウンター72は、基準クロック信号75をカウントする。
カウンター72のビット数は、階調データメモリ71a、71b・・・と同じ8ビットであり、カウント値は0→最大値(255)→0→最大値を繰り返す。コンパレータ73a、73bは、カウンター72の信号と、階調データメモリ71a、71b・・・に格納されている階調データとを比較する。階調データ>カウンター値、のときに、スイッチングTFTをオンにする。また、階調データ≦カウンター値、のときにスイッチングTFTをオフにする。
図12は、図11のブロック図で示された制御の具体例を示す特性図である。図12(a)は、カウンターの出力値Eaを示すものであり、前記のように、0→最大値(255)→0→最大値→0・・・を繰り返す。図12(b)は、階調データがビットデータNo7(128階調)の場合に、から出力される信号の波形Eb、すなわちスイッチングTFTの動作特性を示すものである。この場合には、カウンターの出力が0〜127の範囲でスイッチングTFTがオンとなり、カウンターの出力が128〜255の範囲でスイッチングTFTがオフとなる。
図12(c)は、階調データがビットデータNo6(64階調)の場合に、コンパレータから出力される信号の波形Ec、すなわちスイッチングTFTの動作特性を示すものである。この場合には、カウンターの出力が0〜63の範囲でスイッチングTFTがオンとなり、カウンターの出力が64〜255の範囲でスイッチングTFTがオフとなる。
図12(b)の場合には、波形Ebのパルス幅はWaであり、図12(c)の場合には、波形Ecのパルス幅はWbである。すなわち、階調データの大きさに応じてスイッチングTFTがオンとなる時間の長さが変わり、発光素子の発光光量を変化させることができる。このように、スイッチングTFTのオン、オフ制御により発光素子をオン、オフして像担持体への露光量を変えることができるので、回路構成を簡単にすることができる。
本発明においては、図10〜図12で説明したように、階調データに基づく発光素子のPWM制御に行う際に、図1〜3で説明したラインヘッドの傾き補正データを付加した階調信号を形成して発光素子の制御を行う。また、このような階調信号から、図4、図5で説明したようなスムージング処理を施した制御信号を形成する。このように、本発明においては、本来階調制御に必要な回路構成を用いて、単に傾き補正のデータを付加するだけなので、簡単な構成でラインヘッドの傾き補正を行うことができる。また、スムージング処理を施して傾き補正データの段差を解消し、より精細な画像形成を行うことが可能となる。
このように、図13の画像形成装置は、書き込み手段として有機EL素子を設けたラインヘッドを用いているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。また、タンデム式の画像形成装置において、ラインヘッドの傾き補正を簡単に行うことができる。
本発明においては、モノクロプリンタの他に、前記タンデム方式のカラープリンタ、4サイクルカラープリンタにも当該ラインヘッドは当然適用されるものである。次に、本発明に係る画像形成装置として、4サイクルカラープリンタを用いる実施の形態について説明する。図15は、かかる画像形成装置の縦断側面図である。図15において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、有機EL素子が設けられているラインヘッド167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器、167は像書込手段で有機EL素子を用いたラインヘッドで構成されている。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動される。
中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆方向の矢視E方向に回動される。
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
図の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ62aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢視A方向に90度回転する。
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。
その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。この例では、ロータリ式の画像形成装置において、ラインヘッドの傾き補正を簡単に行うことができる。また、図13、図15に示されたように、中間転写部材を有する画像形成装置において、ラインヘッドの傾き補正を簡単に行うことができる。
以上、本発明のラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置について実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
1…画像形成装置、6…画像形成ユニット、9…転写ベルトユニット、10…給紙ユニット、11…二次転写ユニット、12…定着ユニット、13…記録媒体搬送手段、16…中間転写ベルト、17…クリーニング手段、20…像担持体、21…一次転写部材、22…帯電手段、23…像書込手段、24…現像手段、25…像担持体ユニット(像担持体カートリッジ)、33…現像ローラ、40…制御装置、42…傾き検出部、43…メモリ、44…制御回路、45…駆動回路、46…ラインヘッド、47…本体コントローラ、
60…ハウジング、61…有機EL素子アレイ、62…ガラス基板、63…発光部、64…カバーガラス、65…屈折率分布型ロッドレンズアレイ(SLA)、65’…屈折率分布型ロッドレンズ、161…現像装置、165…感光体ドラム、167…ラインヘッド、169…中間転写ベルト、171…二次転写ローラ