JP2004050816A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】データ処理装置23からの画像データが記憶手段24に入力されシフトレジスタ24aからの出力信号で発光素子(イエロー)ラインヘッド28の1ライン28aの発光素子を動作させて像担持体上の画素を露光する。像担持体を矢視X方向に移動させ、当該画素を1ライン28bの発光素子の位置に到達させるときのタイミングで、画像データをシフトレジスタ24bに転送し、1ライン28bに画像データを出力して当該画素を再度露光する。像担持体を移動させながらシフトレジスタで順次画像データを転送して、同一画素を順次多重露光する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、階調出力が可能な多重露光方式で像担持体上の画素を露光する際に、回路構成の簡素化と発光制御の高速化を図る画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、像担持体上に潜像を書き込む画像形成装置において、書き込み手段として、LEDアレイを用いたものが知られている。LEDのような発光素子を用いた場合には、各発光素子の輝度(光量)と寿命との関係に留意する必要がある。
【0003】
すなわち、発光素子の輝度を小さくすることにより寿命を延長させることができるが、この場合には画像を形成するための露光量が不足するという問題が生ずる。また、発光素子の輝度を大きくすると画像を形成するために必要な露光量が得られるが、寿命が短縮されるという問題が生じる。
【0004】
このため、輝度が大きく、しかも寿命が長い発光素子を得るために、材料開発が進められているが、現状ではコストが高く実用化が困難な状況にある。そこで、1画素を複数の発光素子で照射して露光する、多重露光方式のラインヘッド(光学ヘッド)が開発されている。
【0005】
このような多重露光方式のラインヘッドの例として、(1)特許文献1には、記録アレイヘッドに感光ドラムの回転方向に対して複数列の発光記録素子を配置し、感光ドラムを移動させると共に当該発光記録素子を列方向にシフトさせて、同一画素に重ねて画像データを形成することが記載されている。(1)の例では、発光出力が低い発光記録素子を用いた場合でも高速に画像形成が行えるという利点がある。
【0006】
また、(2)特許文献2には、縦20ドット×横640ドットのEL素子群でEL素子パネルを構成し、当該EL素子群は1ラインづつ感光体の移動速度と同じ速度で駆動される。このため、1画素には個々のEL素子が発光する光量の20倍の光量が照射されることが記載されている。この例でも1画素あたりの露光光量が増加して、画像形成の高速化に対応することができる。
【0007】
更に、(3)特許文献3には、プリントヘッドに複数列のLEDを配置し、プリントヘッドを主走査方向に移動させて1画素に多重露光を行うことが記載されている。この例では、多重露光を行うことにより、各LEDの光量バラツキが平均化され、画質が向上するという利点がある。
【0008】
なお、(4)特許文献4には、光プリンタヘッドに複数列のLEDアレイチップを配置し、各ラインのLEDアレイチップをオン、またはオフすることにより、1画素の階調出力を3段階に切り替えることが記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭61−182966号公報
【特許文献2】
特開昭64−26468号公報
【特許文献3】
特開平11−129541号公報
【特許文献4】
特開2000−260411号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記(1)、(2)に記載の技術はモノクロ画像形成に関するものであり、中間濃度の階調制御ができないという問題があった。また、(3)に記載の技術は、ラインヘッドを駆動するシリアル方式であるため、駆動機構が複雑になるという問題があった。更に、(4)に記載の技術は各ラインのLEDアレイチップをオン、またはオフする構成であるために、制御回路が複雑になるという問題があった。
【0011】
多重露光方式のラインヘッドにおいては、通常露光方式のラインヘッドと比較すると、発光素子数が多く、これらの発光素子を感光体の移動と同期させて制御しなければならないので、データ処理を行う制御回路が複雑になり、発光制御の高速化が困難であるという問題がある。
【0012】
特に、多重露光方式のラインヘッド(光学ヘッド)がカラー画像形成に適用される場合には、1画素に対する階調制御を行うことがあるために、処理が必要となるデータ量がオンオフ制御の場合の数倍になる。このため、発光制御の高速化が更に困難になるという問題があった。
【0013】
また、多重露光方式のラインヘッドの場合には、データ処理装置で形成された大量のデータをラインヘッドに送信する必要があり、ラインヘッドと画像形成装置本体間の配線数が増大し、高速化に対応したインターフェイスを使用しなければならないので、コストが高くなるという問題があった
【0014】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、階調出力が可能な多重露光方式で像担持体上の画素を露光する際に、回路構成の簡素化と発光制御の高速化を図る画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、発光素子が複数個配置されたラインを像担持体の副走査方向に複数列設けて発光素子を2次元的に配列し、像担持体上の画素に対して1ラインの発光素子で露光してから像担持体を移動させ、前記画素に対して次列の1ラインの発光素子で重ねて露光し、同様にして像担持体を移動し順次前記画素に対して各列の1ラインの発光素子で多重露光を行う画像形成装置であって、同一の画素を露光する各ラインの前記発光素子を同一光量で発光させる制御手段を設け、前記制御手段で形成された階調出力で画素を露光可能な構成としたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明は前記制御手段で形成された画像データを記憶して前記発光素子に出力する記憶手段を設け、当該記憶手段は、各列の発光素子と対応して各列に配置された、画像データの転送、保持、発光素子への出力を行う手段で構成されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は像担持体上には露光される画素列と露光されない画素列とが含まれ、各列の発光素子は露光される画素列に対応して配置され、前記露光される画素列と露光されない画素列のそれぞれの列に対応して記憶手段を設け、露光されない画素列に対応する列の記憶手段においては前記画像データの出力を行わないことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は前記発光素子が像担持体上に形成するスポット位置の副走査方向の間隔は、副走査方向の画素密度の整数倍としたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は前記発光素子の発光量制御をPWM制御により行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は前記発光素子の発光量制御を強度変調制御により行うことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は前記発光素子を、有機ELで構成したことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は前記画像形成装置が、像担持体の周囲に帯電手段、露光ヘッド、現像手段、転写手段を配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、カラー画像形成を行うタンデム方式の画像形成装置であることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の画像形成方法は、発光素子が複数個配置されたラインを像担持体の副走査方向に複数列設けるとともに、各列の発光素子と対応して各列に配置されて、制御手段で形成された画像データの転送、保持、発光素子への出力を行う記憶手段を設けてなり、先頭ラインの発光素子を動作させて記憶手段から出力された画像データで像担持体上の画素を露光する段階と、像担持体を画素ピッチで移動させる段階と、像担持体の移動のタイミングと合わせて画像データを次列の記憶手段に転送する段階と、次列の1ラインの発光素子で前列の発光素子と同一の光量で前記画素を重ねて露光する段階とを備え、以下像担持体を画素ピッチで移動しながら画像データを記憶手段で転送して、順次前記画素に対して各列の1ラインの発光素子で多重露光を行うことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の画像形成方法は、前記制御手段で形成された階調出力で発光素子を動作させ、画素を露光させる段階を含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、発光素子が複数個配置されたラインを像担持体の副走査方向に複数列設けて発光素子を2次元的に配列し、像担持体上の画素に対して1ラインの発光素子で露光してから像担持体を移動させ、前記画素に対して次列の1ラインの発光素子で重ねて露光し、同様にして像担持体を移動し順次前記画素に対して各列の1ラインの発光素子で多重露光を行う画像形成装置であって、
ラインヘッドの装置への取り付け位置の位置ずれ情報を記憶する記憶手段と、前記ラインヘッドの各ラインに予め設定される画像形成の位置調整用発光素子とを有し、前記記憶された位置ずれ情報に基づいて、画像データに、ラインヘッドの前記取り付け位置の位置ずれを補正して正規の位置に画像が形成されるように、前記位置ずれに対応する発光素子のすべてのラインに空白データを挿入する制御手段を設ける事を特徹とする。
【0026】
また、本発明は、重ね合わされる複数色の像を形成するように発光素子を2次元的に配列したラインヘッドと、前記ラインヘッドの装置への取り付け位置の位置ずれ情報を記憶する記憶手段とを有し、前記記憶された位置ずれ情報に基づいて、画像データに、ラインヘッドの前記取り付け位置の位置ずれを補正して正規の位置に画像が形成されるように、前記位置ずれに対応する発光素子のすべてのラインに空白データを挿入する制御手段を設ける事を特徹とする。
【0027】
また、本発明は、前記画像形成装置が、像担持体の周囲に帯電手段、露光ヘッド、現像手段、転写手段を配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、カラー画像形成を行うタンデム方式の画像形成装置であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、発光素子が複数個配置されたラインを像担持体の副走査方向に複数列設けるとともに、各列の発光素子と対応して各列に配置されて、制御手段で形成された画像データの転送、保持、発光素子への出力を行う記憶手段を設けてなり、ラインヘッドの各ラインに画像形成の位置調整用発光素子を予め設定する段階と、ラインヘッドの装置への取り付け位置の位置ずれ情報を記憶する段階と、前記記憶された位置ずれ情報に基づいて、画像データに、前記取り付け位置の位置ずれを補正して正規の位置に画像が形成されるように、前記位置ずれに対応する発光素子のすべてのラインに空白データを挿入する段階と、先頭ラインの発光素子を動作させて記憶手段から出力された画像データで像担持体上の画素を露光する段階と、像担持体を画素ピッチで移動させる段階と、像担持体の移動のタイミングと合わせて画像データを次列の記憶手段に転送する段階と、次列の1ラインの発光素子で前列の発光素子と同一の光量で前記画素を重ねて露光する段階と、からなることを特徹とする。
【0029】
また、本発明は、前記制御手段で形成された階調出力で発光素子を動作させ、画素を露光させる段階を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明の画像形成装置は、制御手段が先頭の1ライン分のデータを形成すれば、その後は先頭の1ラインの画像データを記憶手段(シフトレジスタ)に保持し、記憶手段の中で画像データを転送するだけでラインヘッドすべての発光素子の動作を制御することができる。このため、制御手段は、ラインヘッドすべての発光素子のデータを生成する必要がなく、回路構成を簡略にすることができる。また、高速でデータ処理を行うことができる。
【0031】
また、本発明は、各画素列の記憶手段と発光素子列とを一対一で対応させることができる。このため、記憶手段に記憶された画像データを次段の記憶手段に転送させるタイミングと、記憶手段に記憶された画素列の画像データに基づいて発光素子列を発光させるタイミングを合わせることができるので、回路構成の簡素化が可能である。また発光素子列の動作を高速化することができる。
【0032】
また、本発明は発光素子をアクテブマトリックス方式の駆動回路で制御している。このため、発光素子周辺に設けたコンデンサとトランジスタにより発光素子の発光状態を保持できる。したがって、記憶手段から次段の記憶手段へ画像データを転送中でも発光を維持するので画素を高輝度で露光できる。
【0033】
また、本発明はPWM制御で発光素子の発光光量を制御している。このため、発光素子のオン、オフ制御により露光量を変えることができるので、回路構成の簡素化が図れる。
【0034】
また、本発明は強度変調により発光素子の発光光量を制御している。このため、発光素子を高速でオン、オフ制御する必要がなくなり、発光素子の応答速度が遅い場合でも露光量を高速で変化させることができる。
【0035】
また、本発明は発光素子を有機ELで構成している。このため、発光素子はガラス基板上に容易に作製できるので、低価格化が図れる。
【0036】
また、本発明は、ラインヘッドの装置への位置ずれ情報を記憶する記憶手段と、前記ラインヘッドの各ラインに予め設定される画像形成の位置調整用発光素子とを有し、前記記憶された位置ずれ情報に基づいて、画像データに、ラインヘッドの前記取り付け位置の位置ずれを補正して正規の位置に画像が形成されるように、前記位置ずれに対応する発光素子のすべてのラインに空白データを挿入する制御手段を設けている。このため、像形成部の位置ずれを機械的に調整する必要がない。すなわち、各像形成部で形成する像の位置ずれを、画像データの書き込み位置を制御する事で補正している。このため、機械的な位置ずれ調整をすることなく、多重露光のラインヘッドにおいて簡単に画像のずれ補正をすることができる。
【0037】
また、本発明は、重ね合わされる複数色の像を形成するように発光素子を2次元的に配列したラインヘッドと、前記ラインヘッドの装置への取り付け位置の位置ずれ情報を記憶する記憶手段とを有し、前記記憶された位置ずれ情報に基づいて、画像データに、ラインヘッドの前記取り付け位置の位置ずれを補正して正規の位置に画像が形成されるように、前記位置ずれに対応する発光素子のすべてのラインに空白データを挿入する制御手段を設ける事を特徹とする。このため、カラー画像を形成する画像形成装置において、ラインヘッドの取り付け位置が正規の位置からずれている場合でも、ラインヘッドの位置を移動させることなく、簡単に画像のずれ補正をすることができる。
【0038】
また、本発明は、前記画像形成装置が、像担持体の周囲に帯電手段、露光ヘッド、現像手段、転写手段を配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、カラー画像形成を行うタンデム方式の画像形成装置であることを特徴とする。このため、タンデム方式の画像形成装置において、簡単に画像のずれ補正をすることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明を説明する。図2は、本発明の画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。図2において、ホストコンピュータ21は、印刷データを形成して画像形成装置の制御部22に送信する。画像形成装置の制御部22は、データ処理手段23、記憶手段24〜27、前記記憶手段24〜27と対応して配列された発光素子ラインヘッド(光学ヘッド)28〜31を有している。
【0040】
発光素子ラインヘッド28〜31は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応するものであり、感光体にカラー画像を形成する。記憶手段24〜27は、各色の発光素子ラインヘッド28〜31に対応した画像データを記憶する。
【0041】
データ処理手段23は、ホストコンピュータ21から送信された印刷データに基づいて、色分解、階調処理、画像データのビットマップへの展開、色ずれ調整などの処理を行う。データ処理手段23は、1ラインづつの画像データを各記憶手段24〜27に出力する。
【0042】
発光素子ラインヘッド28〜31には、それぞれ複数列の発光素子ラインが設けられており、各列の発光素子が同一の画素に重ねて露光を行う多重露光の構成とされている。このため、各記憶手段24〜27は、それぞれ発光素子ラインヘッド28〜31に対して複数列の画像データを出力している。
【0043】
図1は、図2の構成を部分的に示すブロック図である。図1においては、発光素子(イエロー)ラインヘッド28と、それに対応する記憶手段24の細部を示している。図1の例では、ラインヘッド28には、1ライン28aに複数個の発光素子32が設けられている。また、この例では、像担持体の副走査方向Xに対して28a〜28eの5列に同数の発光素子が配置されている。
【0044】
記憶手段24は、発光素子の各列のライン28a〜28eに対応して、シフトレジスタ24a〜24eを配列している。図1において、矢視X方向は感光体ドラム(像担持体)の移動方向(副走査方向)、矢視Y方向は主走査方向を示している。
【0045】
次に、図1のブロック図の動作について説明する。データ処理装置23からの画像データが記憶手段24に入力されると、シフトレジスタ24aからは、先頭の1ライン28aの発光素子に画像データが出力され、発光素子の動作により所定の光量で像担持体上の画素を露光する。
【0046】
像担持体を回転駆動して矢視X方向に移動させ、先頭の1ライン28aの発光素子で露光された画素を次の1ライン28bで配列された発光素子の位置に到達させる。このときのタイミングで、シフトレジスタ24aに入力された画像データをシフトレジスタ24bに転送する。
【0047】
シフトレジスタ24bは、1ライン28bの発光素子に画像データを出力して発光素子を動作させる。このため、前回に1ライン28aの発光素子で露光された画素は、同じ強さの光量で1ライン28bの発光素子により再度露光される。
【0048】
このようにして、像担持体を矢視X方向に移動させながら順次画像データを次段のシフトレジスタに転送して、異なる列の発光素子のラインで同一画素を順次露光する。
【0049】
このため、図1の例では各画素は単一の発光素子で露光される場合の5倍の光量で露光されることになり、各画素の露光に必要な光量を高速で取得することができる。発光素子が配置されたラインの副走査方向の列数、すなわち、画素を単一の発光素子で露光する場合に得られる光量の倍数は、必要に応じて適宜選定することができる。
【0050】
図1の構成で中間濃度の階調制御を行う場合には、例えば所定の輝度を1としたときに、輝度0.1の画像データをデータ処理装置23からシフトレジスタ24aに入力する。前記のように、像担持体を移動させながら画像データをシフトレジスタ24a〜24eに順次転送して、発光素子に出力する処理により、1画素の輝度は、0.1×5=0.5となり中間濃度が得られる。このようにして、画素を露光する際の階調出力が得られる。
【0051】
本発明においては、画像形成装置本体のデータ処理手段23は、先頭の1ライン分のデータを形成すれば、その後は先頭の1ラインの画像データを記憶手段(シフトレジスタ)に保持し、記憶手段の中で画像データを転送するだけでラインヘッドすべての発光素子の動作を制御することができる。
【0052】
このため、データ処理手段は、ラインヘッドすべての発光素子のデータを生成する必要がなく、回路構成を簡略にすることができる。また、高速でデータ処理を行うことができる。
【0053】
図3は、本発明の他の実施形態に係る構成を示しており、像担持体上に形成されるスポット位置33の説明図である。図3の斜線の部分がスポット位置を示しており、この部分では画素が露光される。また、2点鎖線の部分が露光されない画素位置を示している。Paは、主走査方向の画素ピッチ、Pbは副走査方向の画素ピッチである。Sは副走査方向のスポット位置のピッチであり、画素ピッチの整数倍、この例では2倍のピッチで設定されている。
【0054】
図3のスポット位置33において、33a、33c、33e、33g、33iの各ラインでは、像担持体上に発光素子の出力光によるスポットが形成され、画素が露光される。また、33b、33d、33f、33hの各ラインでは、像担持体上に発光素子の出力光によるスポットは形成されず画素は露光されない。
【0055】
図4は、図3に対応するブロック図である。図1と同様にイエロー発光素子ラインヘッド28Xの例で説明する。発光素子が配列された各ライン28f〜28nにより、図3のスポット位置33が形成される。また、図4のラインヘッド28Xに発光素子のラインが形成されていない位置は、図3の画素が露光されない位置に対応する。
【0056】
記憶手段24の構成は、発光素子が配列された各ライン28f〜28nと対応して、第1グループのシフトレジスタ24f〜24nが設けられている。また、前記シフトレジスタ24f〜24n間には、第2グループのシフトレジスタ24g〜24mが設けられている。この第2グループのシフトレジスタ24g〜24mは、次段のシフトレジスタに画像データの転送のみを行い、発光素子への画像データの出力は行わない。
【0057】
図3、図4の例において、像担持体上のラインのスポット位置33aで画素の露光を行う例について説明する。シフトレジスタ24aから画像データが発光素子の先頭ライン28fに出力され、像担持体上の画素を露光する。
【0058】
像担持体が副走査方向に画素ピッチPbだけ移動するタイミングで、画像データはシフトレジスタ24fからシフトレジスタ24gに転送される。このときには、発光素子には画像データは出力されず、画素の露光は行われない。
【0059】
更に、像担持体が副走査方向に画素ピッチ分だけ移動するタイミングで、画像データはシフトレジスタ24gからシフトレジスタ24hに転送される。シフトレジスタ24hは発光素子のライン28hに画像データを出力させる。この際に、発光素子のライン28hはスポット位置33aのラインで同一画素の露光を行う。
【0060】
以下、同様にして、像担持体の移動と画像データの各シフトレジスタへの転送、発光素子への画像データの出力を行い、同一画素に対して多重露光を行う。この場合にも、データ処理手段23で形成されるデータに基づいて中間濃度の階調制御を行うことができる。
【0061】
図3の例では、像担持体上に1ラインおきに露光する画素のラインと、露光しない画素のラインとを形成しているが、例えば、露光しない画素のラインを2ラインとすることもできる。すなわち、画素の露光を2ライン間隔で行うものである。
【0062】
この場合には、図4において、画像データの転送のみを行うシフトレジスタを2段縦続接続し、3段目のシフトレジスタが発光素子の制御を行う構成となる。このように、本発明は、像担持体上に多様な画像形成を行うことができる。
【0063】
本発明は、図3、図4に示されているように、発光素子が像担持体上に形成するスポット位置の副走査方向の間隔を、副走査方向の画素密度の整数倍としたときにおいても、各列のシフトレジスタを発光素子のラインおよび発光素子が配置されていないラインと対応させて配置することにより、1画素を多重露光することができる。
【0064】
この場合には、シフトレジスタに記憶された画像データを次段のシフトレジスタに転送するタイミングと、シフトレジスタに記憶された画素列の画像データに基づいて、発光素子ラインを発光させるタイミングとを合わせることにより、回路構成を簡素化し、動作の高速化を図ることができる。
【0065】
なお、図3の例では、副走査方向のスポット位置のピッチを画素ピッチの2倍としているが、本発明においては、スポット位置のピッチを画素ピッチの整数倍とするものである。したがって、スポット位置のピッチを画素ピッチと同じとすることも出来る。この場合には、前記倍数は、1倍となる。
【0066】
図5は、本発明の他の実施形態に係る画像形成装置を示したブロック図である。図5の例は、発光素子をアクティブマトリクス方式で駆動するものである。図5において、Zは発光素子と駆動回路をアクティブマトリクスで構成した単体の発光部である。
【0067】
ラインヘッド28Yには、1ラインの発光素子28p〜28tが5列で配置されている。各ラインの発光素子28p〜28tと対応して、シフトレジスタ24p〜24tが配置されている。また、データ処理装置23にはラインセレクタ34が接続されている。
【0068】
35aは、データ処理装置23からシフトレジスタに配線される画像データの供給線、35bはデータ処理装置23からラインセレクタ34に配線される制御線、36a〜36eはラインセレクタ34から各シフトレジスタ24p〜24tの動作を指令する指令線、37a〜37eはラインセレクタ34からの信号が各列の発光素子に供給される走査線、38a〜38kは、シフトレジスタ24p〜24tから各ライン、各列の個別の発光素子(有機EL)に動作信号を供給する信号線である。
【0069】
図5の動作について説明する。データ処理装置23から制御線35bを介して供給される制御信号で、ラインセレクタ34は走査線37aを選択し、1ラインの発光素子28pに信号を供給する。また、指令線36aの信号でシフトレジスタ24pを動作させる。シフトレジスタ24pは信号線38a〜38kを活性化して、画像データの出力信号を1ラインの発光素子28pのすべてに送出する。1ラインの発光素子28pは発光して画素を露光する。
【0070】
ラインセレクタ34からの信号で、走査線37と指令線36を切り替えることにより、以上の動作を発光素子28q、28r、28s、28tについても行い、全てのラインの発光素子を発光して画素を露光する。
【0071】
次に、シフトレジスタ24sの画像データをシフトレジスタ24tへ転送し、同様にして、シフトレジスタ24rからシフトレジスタ24sへ、シフトレジスタ24qからシフトレジスタ24rへ、シフトレジスタ24pからシフトレジスタ24qへ順次画像データを転送する。シフトレジスタ24pには、データ処理手段23から信号線35aを介して画像データが転送される。この間に像担持体は画素ピッチ分移動する。
【0072】
この際に、発光部Zの発光素子はアクティブマトリクスの作用により発光を維持しているので、画像データをシフトレジスタで転送中であっても発光素子が消灯することなく、画素を高輝度で露光することができる。このようにして、シフトレジスタ24から発光素子への画像データの送出、シフトレジスタ間での画像データの転送、像担持体の移動を繰り返すことにより、像担持体上に連続的に画像データを露光していくことができる。
【0073】
図6は、発光部Zをアクティブマトリクスで動作させるための回路図である。図6において、発光素子として有機ELを使用しており、Kはそのカソード端子、Aはそのアノード端子である。カソード端子Kは、図示を省略している電源に接続されている。37aは走査線でスイッチング用TFT(Tr1)のゲートGaに接続される。
【0074】
また、38aは信号線でスイッチング用TFTのドレインDaに接続される。39は電源線、Caはストレージキャパシタである。有機ELのドライビング用TFT(Tr2)のソースSbは電源線39に接続され、ドレインDbは有機ELのアノード端子Aに接続される。さらに、ドライビング用TFTのゲートGbは、スイッチング用のTFTのソースSaに接続されている。
【0075】
次に、図6の回路図の動作について説明する。スイッチング用TFTのソースに電源線39の電圧が印加されている状態で走査線37a、信号線38aに通電すると、スイッチング用TFTがオンになる。このため、ドライビング用TFTのゲート電圧が下がり、電源線39の電圧がドライビング用TFTのソースから供給されてドライビング用TFTが導通する。この結果、有機ELが動作して所定の光量で発光する。また、ストレージキャパシタCaは電源線39の電圧で充電される。
【0076】
スイッチング用TFTをオフにした場合にも、ストレージキャパシタCaに充電された電荷に基づいてドライビング用TFTは導通状態となっており、有機ELは発光状態を維持する。したがって、アクテブマトリックスを前記発光素子の駆動回路に適用した場合には、画像データをシフトレジスタで転送するためにスイッチング用TFTをオフにしたときでも、有機ELの動作が継続して発光を維持し、高輝度で画素の露光を行うことができる。
【0077】
本発明においては、発光素子をパルス幅変調(PWM)方式で制御することにより、発光光量の制御を行う。また、PWM方式の制御とすることにより発光素子の階調制御を実施する構成とすることができる。
【0078】
本発明では、8ビットの階調データメモリにより階調データを構成する。図7は、階調データメモリに格納されるビットデータと階調データとの例を示す説明図である。図7の例では、ビットデータNo1で階調データ0(非発光)、ビットデータNo8で最も濃度が濃いデータ、ビットデータNo2〜7でその中間階調の濃度データとしている。
【0079】
図8は、PWM制御を行う例を示すブロック図である。図8において、PWM制御部70には、シフトレジスタなどで構成される階調データメモリ71a、71b・・・、カウンター72、コンパレータ73a、73b・・・、発光部Za、Zb・・・、が設けられている。
【0080】
階調データメモリ71a、71b・・・には、例えば図5に示したデータ処理手段23から階調データ信号74が供給される。階調データメモリ71a、71b・・・のビット数は、図7に示したように8ビットとする。カウンター72は、基準クロック信号75をカウントする。カウンター72のビット数は、階調データメモリ71a、71b・・・と同じ8ビットであり、カウント値は0→最大値(255)→0→最大値を繰り返す。
【0081】
コンパレータ73a、73bは、カウンター72の信号と、階調データメモリ71a、71b・・・に格納されている階調データとを比較する。階調データ>カウンター値、のときに、図6で示したスイッチングTFTをオンにする。また、階調データ≦カウンター値、のときにスイッチングTFTをオフにする。
【0082】
図9は、図8のブロック図で示されたPWM制御の具体例を示す特性図である。図9(a)は、カウンター72の出力値Daを示すものであり、前記のように、0→最大値(255)→0→最大値→0・・・を繰り返す。
【0083】
図9(b)は、階調データがビットデータNo7(128階調)の場合に、コンパレータから出力される信号の波形Db、すなわちスイッチングTFTの動作特性を示すものである。この場合には、カウンターの出力が0〜127の範囲でスイッチングTFTがオンとなり、カウンターの出力が128〜255の範囲でスイッチングTFTがオフとなる。
【0084】
図9(c)は、階調データがビットデータNo6(64階調)の場合に、コンパレータから出力される信号の波形Dc、すなわちスイッチングTFTの動作特性を示すものである。この場合には、カウンターの出力が0〜63の範囲でスイッチングTFTがオンとなり、カウンターの出力が64〜255の範囲でスイッチングTFTがオフとなる。
【0085】
図9(b)の場合には、波形Dbのパルス幅はWaであり、図9(c)の場合には、波形Dcのパルス幅はWbである。すなわち、階調データの大きさに応じてスイッチングTFTがオンとなる時間の長さが変わり、発光素子の発光光量を変化させることができる。このように、スイッチングTFTのオン、オフ制御により発光素子をオン、オフして像担持体への露光量を変えることができるので、回路構成を簡単にすることができる。
【0086】
図10は、本発明の他の構成を示すブロック図である。図8と同じ部分には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。図10は、階調データの大きさに対応した電圧、または電流でスイッチングTFTを制御するものであり、本発明ではこのような制御を強度変調と称する。
【0087】
図10に示された強度変調制御部80は、D/Aコンバータ81a、81b・・・をそれぞれ階調データメモリ71a、71b・・・に接続している。D/Aコンバータ81a、81b・・・は、階調データメモリ71a、71b・・・に格納された階調データに対応した大きさで、アナログの電圧値、または電流値を形成し、スイッチングTFTに出力する。
【0088】
図10の例では、階調データに応じてスイッチングTFTのバイアスを変えて、発光素子の発光光量を変化させている。このため、高速で発光素子をオン、オフ制御する必要がなくなり、発光素子の応答速度が遅い場合でも像担持体への露光量を高速で変化させることができる。
【0089】
発光部Za、Zb・・・は、図6で示したアクテブマトリックス方式で駆動される。発光部Za、Zb・・・には、走査線37aからのセレクト信号と、発光制御データ線38a、38b・・・からの制御信号が供給される。
【0090】
本発明においては、有機EL(有機電界発光素子)アレイを多重露光用の発光素子ラインに用いている。図11は、本発明の画像形成装置に適用される有機ELアレイの一例を示す斜視図である。図11においては、ガラスなどの長尺基板1上に有機ELアレイ12が取り付けられている。
【0091】
各有機ELは、発光を制御する駆動回路11に接続されている。そして、長尺基板1の両端には、取り付け位置を決める位置決めピン13と、取り付け用のねじ挿入孔14とが設けられている。16は、駆動回路11と有機ELアレイ12とを覆う保護カバーである。
【0092】
有機ELアレイ12の像担持体方向前方には、等倍光学系の集光性ロッドレンズアレイ15が一体に固定されている。この集光性ロッドレンズアレイ15の結像作用により、有機ELアレイ12の発光点列が、対応する像担持体の感光面上に結像されるように構成されている。
【0093】
図12は、有機ELアレイヘッド10の一例を示す縦断正面図である。図12において、ガラスや樹脂フィルムを用いた基板1の上に、スパッタ法により誘電体多層膜からなる反射層2を形成する。この誘電体多層膜からなる反射層2は、例えば一対のSiO2とTiO2からなる層で形成される。本発明によるこのような誘電体多層膜で形成された反射層2は、反射率が0.99以上のものが得られる。
【0094】
次に、反射層2上に、陽極3をスパッタ法により形成する。陽極3には、光透過性、かつ導電性の材料が使用される。このような特性を有する材料として、例えばITO(インジウム錫酸化物)などの仕事関数の大きな材料を用いる。
【0095】
次に、陽極3の上に、正孔輸送層4をインクジェット法により形成する。また、穴11内に正孔輸送層4を形成した後、インク組成物を穴8内にインクジェットプリント装置のヘッドから吐き出し、各画素の発光層上にパターニング塗布を行う。塗布後、溶媒を除去し、熱処理して発光層5を形成する。
【0096】
正孔輸送層4と、発光層5との有機EL層は、上記のようにインクジェット方式でインク組成物を塗布することにより作成する代わりに、公知のスピンコート法、ディップ法などの他の液相法で作成することもできる。
【0097】
また、正孔輸送層4、発光層5に用いる材料については、例えば、特開平10−12377号、特開2000−323276等に記載されている公知の種々のEL材料が利用できる。その詳細な説明は省略する。次に、陰極6を蒸着法により形成する。陰極6の材料としては、例えばAlを使用する。
【0098】
有機ELアレイヘッド10は、各発光部10x〜10zに対応した断面形状が凹状とされている陰極6に、隔壁9の穴内における厚みを光が透過できるレベルとした薄膜部6a〜6cを形成している。
【0099】
各発光部10x〜10zにおいて、陰極6の凹所底部にはスパッタ法により複数層の誘電体多層膜からなる半透明反射層(誘電体ミラー)7を形成する。この誘電体多層膜からなる半透明反射層7a〜7cは、一対のSiO2とTiO2からなる層を例えば3層積層している。本発明によるこのような誘電体多層膜で形成した半透明反射層7は、反射率が0.9程度となる。
【0100】
このように、図12の実施形態においては、陰極6に薄膜部6a〜6cを形成し、この薄膜部6a〜6cにより光を透過させている。このため、正孔輸送層4、発光層5の有機EL層をインクジェット法などの液相法で形成した場合でも、EL層と陰極との接触部の平滑性に起因して反射率が低下するという問題は生じないという利点がある。
【0101】
本発明においては、上記のような構成の有機ELアレイヘッドを、例えば電子写真方式のカラー画像を形成する画像形成装置の露光ヘッドとして用いることができる。
【0102】
ところで、発光素子を多数配列したラインヘッドにおいては、製造工程上の問題に起因して、ヘッドの装置への取付位置がずれるという問題が発生する。図13は、このようにラインヘッドの取付位置がずれて装置に装着された例を示す説明図である。図13において、28はラインヘッド、61は定着ローラ対(定着器)、Pは用紙、Wは用紙Pの搬送方向である。
【0103】
Taは、ラインヘッド28の正規の取り付け位置である。図13の例においては、ラインヘッドの一方端部の位置が正規の取り付け位置Taからはみ出して装着されている。このため、取り付け誤差Tbが生じている。
【0104】
このように、ラインヘッドの取り付け位置が正規の位置からずれて本体に装着されると、画像露光位置にもずれが生ずる。このため、画像の一部が印字されなくなり印字品質が著しく低下してしまうという問題が発生する。図14は、このような画像が一部印字されない例を示す説明図である。
【0105】
図14において、(A)はラインヘッドが正規の位置に装着された場合の画像形成の例である。この場合には、画像は画像形成基準位置Vから画像の先頭列Eaが用紙Pに形成される。これに対して(B)は、図13に示したようにラインヘッド28が正規の位置からずれて装着された場合であり、画像の先頭列Eaは2列分ずれて用紙Pに印字される。このため、後列の2列分の画像Rxは用紙Pには印字できないことになる。
【0106】
ここで、4色分の露光ユニットを持つカラープリンタにおいては、各露光ユニットを独立して取り付けるので、各露光ユニットで形成される画像の位置合わせが困難である。各露光ユニットを他の露光ユニットに対して正確に並列な位置に設置されていないと、各色トナー像が正確に重なり合わず、画像品質を低下させてしまう。
【0107】
図13に示したような各露光ユニットの位置ずれを防止するには、プリンタ全体の組み立て精度を高くしなければならず、価格が高くなるという問題を生ずる。また、プリンタ組み立て後の調整時、テスト印字を行って各露光ユニットの位置合わせを行う必要が有り、調整に時間がかかり、作業が煩雑になるという問題がある。
【0108】
本発明の実施形態においては、ラインヘッドに前記したような取り付け位置が正規の位置からずれている場合にも、煩雑なラインヘッド取り付け位置の調整を行うことなく画像品質を維持することができる。図15は、本発明のラインヘッドの例を示す平面図である。図15において、ラインヘッド28には多数の発光素子32が複数列、複数行で配列されている。
【0109】
図15のラインヘッド28においては、一方の先端から長手方向にRaの列までは正規の露光用の発光素子とする。また、他方端部の2列分の発光素子Rbは、画像の位置合わせ用(レジスト用)として予め配列されるものである。レジスト用発光素子の列数は、図15の例では2列としているが、この列数は2列に限定されず適宜設定される。
【0110】
図16は、図15のラインヘッドにより画像形成する例を示す説明図である。図16において、(A)は正規の画像で、Rcは先端側の2列の発光素子、Rbは後列の2列のレジスト用の発光素子である。斜線部は印字される画素、白丸は印字されない画素である。また、Vは画像形成基準位置、Eaは画像が形成される先頭列の画像である。
【0111】
(B)は、補正後の画像を示している。この場合には、先端側の2列の発光素子Rcでは画像形成を行わず、後列の2列の発光素子(レジスト用の発光素子)Rbで画像形成を行う。このため、ラインヘッドが正規の位置からずれた位置で装置に装着された場合でも、印字の品質を保持することができる。図16においては、発光素子ラインは複数ライン配列されており、多重露光を行うことができる。
【0112】
次に、図16に示したような位置づれ補正の制御例について図5により説明する。図13のように、ラインヘッド28が正規の位置からずれた位置で装置に装着されると、図示を省略したセンサーで位置ずれ情報を取得する。その位置ずれ情報は、適宜の記憶手段、例えば図5のデータ処理手段23に設けたメモリに記憶される。データ処理手段23から、各発光素子を動作させるためにシフトレジスタ24p〜24tに信号を送信する際に、28p〜28tのすべての発光素子ラインに対して、先端側の2列の発光素子は画像形成を行わないように、信号線38a、38bからは空白データを出力させる。
【0113】
図17は、本発明によるカラー画像形成の例を示す説明図である。図17において、(K)はブラック、(C)はシアン、(M)はマゼンタ、(Y)はイエローの画像を示している。この例では、マゼンタのラインヘッドに位置ずれが生じている。マゼンタのラインヘッドに対しては、図16で説明したような補正を行う。このため、4色のカラー画像を重ね合わせた場合には、ラインヘッドの取り付け位置がずれたことによる影響を補正して適性な画像形成を行うことができる。
【0114】
図18は、図12で説明した有機ELアレイヘッドを用いた画像形成装置の一例を示す正面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド1K、1C、1M、1Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置として構成されている。
【0115】
図18に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架されて、図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像担持体としての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
【0116】
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。
【0117】
各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明の上記のような有機ELアレイ露光ヘッド1(K、C、M、Y)が設けられている。
【0118】
また、この有機ELアレイ露光ヘッド1(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
【0119】
ここで、各有機ELアレイ露光ヘッド1(K、C、M、Y)は、有機ELアレイ露光ヘッド1(K、C、M、Y)のアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置される。そして、各有機ELアレイ露光ヘッド1(K、C、M、Y)の発光エナルギーピーク波長と感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
【0120】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体41(K、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである。
【0121】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
【0122】
なお、図18中、63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0123】
このように、図13の画像形成装置は、書き込み手段として図6に示した有機ELアレイを用いているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。
【0124】
以上、本発明の画像形成装置と画像形成方法を実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置は、制御手段が先頭の1ライン分のデータを形成すれば、その後は先頭の1ラインの画像データを記憶手段(シフトレジスタ)に保持し、記憶手段の中で画像データを転送するだけでラインヘッドすべての発光素子の動作を制御することができる。このため、制御手段は、ラインヘッドすべての発光素子のデータを生成する必要がなく、回路構成を簡略にすることができる。また、高速でデータ処理を行うことができる。
【0126】
また、本発明の画像形成装置は、各画素列の記憶手段と発光素子列とを一対一で対応させることができる。このため、記憶手段に記憶された画像データを次段の記憶手段に転送させるタイミングと、記憶手段に記憶された画素列の画像データに基づいて発光素子列を発光させるタイミングを合わせることができ、回路構成を簡素化することができ、また発光素子列の動作を高速化することができる。
【0127】
また、本発明の画像形成装置は発光素子をアクテブマトリックス方式で制御している。このため、発光素子周辺に設けたコンデンサとトランジスタにより発光素子の発行状態を保持できる。したがって、記憶手段から次段の記憶手段へ画像データを転送中でも発光を維持するので画素を高輝度で露光できる。
【0128】
また、本発明の画像形成装置はPWM制御で発光素子の発光光量を制御している。このため、発光素子のオン、オフ制御により露光量を変えることができるので、回路構成の簡素化が図れる。
【0129】
また、本発明の画像形成装置は強度変調により発光素子の発光光量を制御している。このため、発光素子を高速でオン、オフ制御する必要がなくなり、発光素子の応答速度が遅い場合でも露光量を高速で変化させることができる。
【0130】
また、本発明の画像形成装置は発光素子をガラス基板上に容易に作製できるので、低価格化が図れる。
【0131】
また、本発明の画像形成装置は、画像形成部の位置ずれを機械的に調整する必要がない。すなわち、各画像形成部で形成する像の位置ずれを、画像データの書込み位置を制御する事で補正するため、機械的な調整は不要である。このため、多重露光のラインヘッドにおいて簡単に画像のずれを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく画像形成装置の一例を部分的に示すブロック図である。
【図2】図1の全体構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の他の実施形態に基づく画像形成装置の一例を示す説明図である。
【図4】図3に示した画像形成装置の制御部を示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施形態に基づく画像形成装置の制御部を示すブロック図である。
【図6】アクテブマトリックス方式で駆動される発光素子の制御回路を示す回路図である。
【図7】ビットデータと階調データの関係の一例を示す説明図である。
【図8】発光素子をPWM制御する例のブロック図である。
【図9】発光素子をPWM制御する例の説明図である。
【図10】発光素子を強度変調制御する例のブロック図である。
【図11】本発明の実施形態に基づく有機ELアレイの一例を示す斜視図である。
【図12】有機ELアレイの概略構成を示す断面図である。
【図13】従来例を示す説明図である。
【図14】図13の従来例による画像形成の例を示す説明図である。
【図15】本発明の他の実施形態に基づくラインヘッドを示す平面図である。
【図16】図15の実施形態に基づく画像形成の例を示す説明図である。
【図17】色ずれ補正後のカラー画像形成の例を示す説明図である。
【図18】本発明の有機ELアレイヘッドを配置したタンデム方式の画像形成装置の概略構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…誘電体多層膜、3…陽極、4…正孔輸送層、5…発光層、6…陰極、7…誘電体多層膜、8…像担持体、9…隔壁(バンク)、10…有機ELアレイヘッド、10x、10y、10z…発光部、11…駆動回路、12…有機ELアレイ、13…位置決めピン、14…ねじ挿入穴、15…集光性ロッドレンズアレイ、16…保護カバー、21…ホストコンピュータ、22…画像形成装置の制御部、23…データ処理手段、24〜27…記憶手段、24a〜24n…シフトレジスタ、28、28X、28Y…発光素子(イエロー)ラインヘッド、28a〜28n…1ラインの発光素子、29…発光素子(マゼンタ)ラインヘッド、30…発光素子(シアン)ラインヘッド、31…発光素子(ブラック)ラインヘッド、32…発光素子、33…像担持体のスポット位置、33a〜33i…スポット形成位置、33b〜33h…非露光の画素位置、34…ラインセレクタ、35a…画像データの供給線、35b…制御線、36a〜36e…指令線、37a〜37e…走査線、38a〜38k…信号線、1(K、C、M、Y)…有機ELアレイ露光ヘッド、41(K、C、M、Y)…感光体ドラム(像担持体)、42(K、C、M、Y)…帯電手段(コロナ帯電器)、44(K、C、M、Y)…現像装置、45(K、C、M、Y)…一次転写ローラ、46(K、C、M、Y)…クリーニング装置、50…中間転写ベルト、51…駆動ローラ、52…従動ローラ、53…テンションローラ、61…定着ローラ対、62…排紙ローラ対、63…給紙カセット、64…ピックアップローラ、65…ゲートローラ対、66…二次転写ローラ、67…クリーニングブレード、68…排紙トレイ、70…PWM制御部、71a、71b・・・…階調データメモリ、72…カウンター、73a、73b…コンパレータ、74…階調データ信号、75…基準クロック信号、76…セレクト信号、80…強度変調制御部、81a、81b…D/Aコンバータ、P…記録媒体、Z、Za、Zb…発光部
Claims (16)
- 発光素子が複数個配置されたラインを像担持体の副走査方向に複数列設けて発光素子を2次元的に配列し、像担持体上の画素に対して1ラインの発光素子で露光してから像担持体を移動させ、前記画素に対して次列の1ラインの発光素子で重ねて露光し、同様にして像担持体を移動し順次前記画素に対して各列の1ラインの発光素子で多重露光を行う画像形成装置であって、同一の画素を露光する各ラインの前記発光素子を同一光量で発光させる制御手段を設け、前記制御手段で形成された階調出力で画素を露光可能な構成としたことを特徴とする、画像形成装置。
- 前記制御手段で形成された画像データを記憶して前記発光素子に出力する記憶手段を設け、当該記憶手段は、各列の発光素子と対応して各列に配置された、画像データの転送、保持、発光素子への出力を行う手段で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体上には露光される画素列と露光されない画素列とが含まれ、各列の発光素子は露光される画素列に対応して配置され、前記露光される画素列と露光されない画素列のそれぞれの列に対応して記憶手段を設け、露光されない画素列に対応する列の記憶手段においては、前記画像データの出力を行わないことを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記発光素子が像担持体上に形成するスポット位置の副走査方向の間隔は、副走査方向の画素密度の整数倍としたことを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記発光素子は、アクテブマトリックス方式の駆動回路で制御することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記発光素子の発光量制御をPWM制御により行うことを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記発光素子の発光量制御を強度変調制御により行うことを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記発光素子を、有機ELで構成したことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置が、像担持体の周囲に帯電手段、露光ヘッド、現像手段、転写手段を配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、カラー画像形成を行うタンデム方式の画像形成装置であることを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
- 発光素子が複数個配置されたラインを像担持体の副走査方向に複数列設けるとともに、各列の発光素子と対応して各列に配置されて、制御手段で形成された画像データの転送、保持、発光素子への出力を行う記憶手段を設けてなり、先頭ラインの発光素子を動作させて記憶手段から出力された画像データで像担持体上の画素を露光する段階と、像担持体を画素ピッチで移動させる段階と、像担持体の移動のタイミングと合わせて画像データを次列の記憶手段に転送する段階と、次列の1ラインの発光素子で前列の発光素子と同一の光量で前記画素を重ねて露光する段階とを備え、以下像担持体を画素ピッチで移動しながら画像データを記憶手段で転送して、順次前記画素に対して各列の1ラインの発光素子で多重露光を行うことを特徴とする、画像形成方法。
- 前記制御手段で形成された階調出力で発光素子を動作させ、画素を露光させる段階を含むことを特徴とする、請求項10に記載の画像形成方法。
- 発光素子が複数個配置されたラインを像担持体の副走査方向に複数列設けて発光素子を2次元的に配列し、像担持体上の画素に対して1ラインの発光素子で露光してから像担持体を移動させ、前記画素に対して次列の1ラインの発光素子で重ねて露光し、同様にして像担持体を移動し順次前記画素に対して各列の1ラインの発光素子で多重露光を行う画像形成装置であって、
ラインヘッドの装置への取り付け位置の位置ずれ情報を記憶する記憶手段と、前記ラインヘッドの各ラインに予め設定される画像形成の位置調整用発光素子とを有し、前記記憶された位置ずれ情報に基づいて、画像データに、ラインヘッドの前記取り付け位置の位置ずれを補正して正規の位置に画像が形成されるように、前記位置ずれに対応する発光素子のすべてのラインに空白データを挿入する制御手段を設ける事を特徴とする、画像形成装置。 - 重ね合わされる複数色の像を形成するように発光素子を2次元的に配列したラインヘッドと、前記ラインヘッドの装置への取り付け位置の位置ずれ情報を記憶する記憶手段とを有し、前記記憶された位置ずれ情報に基づいて、画像データに、ラインヘッドの前記取り付け位置の位置ずれを補正して正規の位置に画像が形成されるように、前記位置ずれに対応する発光素子のすべてのラインに空白データを挿入する制御手段を設ける事を事を特徴とする、画像形成装置。
- 前記画像形成装置が、像担持体の周囲に帯電手段、露光ヘッド、現像手段、転写手段を配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、カラー画像形成を行うタンデム方式の画像形成装置であることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の画像形成装置。
- 発光素子が複数個配置されたラインを像担持体の副走査方向に複数列設けるとともに、各列の発光素子と対応して各列に配置されて、制御手段で形成された画像データの転送、保持、発光素子への出力を行う記憶手段を設けてなり、ラインヘッドの各ラインに画像形成の位置調整用発光素子を予め設定する段階と、ラインヘッドの装置への取り付け位置の位置ずれ情報を記憶する段階と、前記記憶された位置ずれ情報に基づいて、画像データに、前記取り付け位置の位置ずれを補正して正規の位置に画像が形成されるように、前記位置ずれに対応する発光素子のすべてのラインに空白データを挿入する段階と、先頭ラインの発光素子を動作させて記憶手段から出力された画像データで像担持体上の画素を露光する段階と、像担持体を画素ピッチで移動させる段階と、像担持体の移動のタイミングと合わせて画像データを次列の記憶手段に転送する段階と、次列の1ラインの発光素子で前列の発光素子と同一の光量で前記画素を重ねて露光する段階と、からなることを特徹とする、画像形成方法。
- 前記制御手段で形成された階調出力で発光素子を動作させ、画素を露光させる段階を含むことを特徴とする、請求項15に記載の画像形成方法。
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