JP2004114458A - インクジェット記録材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料において、塗層のひび割れがなく、表面の平滑性・光沢感に優れ、インク吸収性が良好で、画像濃度の高いインクジェット記録材料およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】光沢発現層に繊維状顔料を含有させる。該繊維状顔料は長径5μm以上50μm以下、短径0.3μm以上3μm以下であると好ましい。該繊維状顔料が構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有するとより好ましい。少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されると特に好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】光沢発現層に繊維状顔料を含有させる。該繊維状顔料は長径5μm以上50μm以下、短径0.3μm以上3μm以下であると好ましい。該繊維状顔料が構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有するとより好ましい。少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されると特に好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式を利用したプリンターやプロッターに使用されるインクジェット記録材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として、種々の用途において急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜色のない記録を得ることが可能であり、作成部数が少なくて済む用途では、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
最近では、銀塩写真の画像に匹敵する高精細な画像を出力できるインクジェットプリンター等が安価で市販されている。インクジェット記録材料は、銀塩写真方式と比べ同品質の画像が得られながら非常に安価であることから、大面積の画像が必要な広告や商品見本等で表示画像を頻繁に取り替える利用者にとって経済的に大きなメリットがある。また、最近一般的になってきたパーソナルコンピューター上で画像を作成し、このプリントアウトを見ながら配色やレイアウトを修正することは従来の銀塩写真方式では全く無理であったが、インクジェット記録ではこのような操作が気軽にできるという長所もある。
【0004】
インクジェット方式を利用したプリンターは、市場からのさらなる画像の品質向上に対する要求のために、高解像度化、色再現範囲の拡大が図られている。これに伴い、記録媒体であるインクジェット記録材料には、優れた画像品質を発現するための高いインク受理容量の確保や発色性の良好な塗層の塗設が不可欠となっている。加えて近年では、銀塩写真や商業印刷等の代替として出力が行われるようになってきており、光沢、剛直、色相等の外観、質感も銀塩写真あるいは商業印刷等に類似することが要望されてきている。
【0005】
これらインクジェット記録材料は、良好なインク吸収性を得るため、支持体上に無機微粒子を含有するインクジェット記録層を設けたインクジェット記録材料が提案されている(例えば、特許文献1)。また、より良好なインクジェット記録性能を得る等の目的で、2層以上のインク受理層を設けたインクジェット記録材料も提案されている(例えば、特許文献2)。
【0006】
また、光沢付与を目的に、一次粒子径が3nm〜30nmである、より小粒径の無機超微粒子を含有するインクジェット記録材料が提案されている(例えば、特許文献3、4)。また、特に良好なインクの定着性、インクの吸収性、表面光沢を得る等の目的で、無機超微粒子としてカチオン性無機超微粒子を含有するインクジェット記録材料が提案されている(例えば、特許文献5〜8)。
【0007】
こうした無機超微粒子を含有するインク受理層は、塗布後の乾燥時に非常に収縮する特性を有している。このため該インク受理層は乾燥後ひび割れ易い。このひび割れは、該インク受理層のインク受理性能に、インクのにじみ、インクの落ち込みによる画像濃度低下といった悪影響を与え、さらには表面光沢の低下を招く。良好なインク受理性能および表面光沢を得るには、塗層表面のひび割れを抑制することが必要となる。
【0008】
これらインクジェット記録材料のうち、2層以上のインク受理層を設けたインクジェット記録材料は、通常、インク受理層の塗液を支持体上に複数回に分けて塗布して製造される。しかし、インク受理層は多量の液体を吸収するように設計されているため、2回目以降に塗布される層は既に塗布されている下層にしみ込み、層分離が不完全になる。そのため、各層が完全に分離して形成されている場合に比べて、発色濃度やインクの吸収性などの性能が十分に発揮できない問題がある。
【0009】
2層以上のインク受理層を支持体に設けるその他の方法としては、複数層の塗液を積層して成る多層塗液膜を形成してカーテン塗布する多層同時塗布が挙げられる。この方法によれば、インク受理層の塗液を支持体に複数回塗布した場合に比べて大幅に生産性を向上できると共に、複数のインク受理層が湿潤状態で同時に形成されるため、隣接するインク受理層間のしみ込みは起こりにくく、良好な発色濃度やインク吸収性を得やすい。
【0010】
最上層に無機超微粒子を含有するインクジェット記録材料を各層の塗液を複数回に分けて逐次塗布した場合、各層間の層分離が悪く、表面光沢やインク吸収性等の要求品質を得るために、各層の塗工量を増やす必要がある。塗工量増に付随し最上層はひび割れやすくなり、面質が悪化する問題が生じていた。上記インクジェット記録材料を、複数のインク受理層の塗液を積層して成る多層塗液膜をカーテン塗布して製造すると、隣接するインク受理層間のしみ込みが低減され、より少ない塗工量で表面光沢やインク吸収性等の要求品質が得られるメリットがある。一方で、同時多層塗布は、各層の塗液を逐次塗布した場合に比べ、塗層がひび割れやすいという問題があり、最上層の塗工量が少なくなっても乾燥時に最上層のひび割れが発生しやすく、面質が悪化する問題が生じていた。
【0011】
一方、従来より塗工紙の塗層中に繊維状顔料を添加することが知られている。印刷用キャスト紙において、高光沢の付与、光沢ムラ、ピンホール、インキグロスの向上を目的に、塗被層中に繊維状炭酸カルシウムを配合することが提案されている(例えば、特許文献9、10)。また、インクジェット記録シートにおいて、記録シートの塗層強度向上、粉落ち防止を目的に、インク受理層にウィスカー状炭酸カルシウムを配合することが提案されている(例えば、特許文献11)。しかしながら、前者のシートは印刷用キャスト紙であり、後者のシートはインクジェット記録シートであるが光沢発現層の概念はない。
【0012】
【特許文献1】
特開昭55−51583号公報(第1−3頁)
【特許文献2】
特開昭55−11829号公報(第1−4頁)
【特許文献3】
特開平10−203006号公報(第3−9頁)
【特許文献4】
特開平8−174992号公報(第3−6頁)
【特許文献5】
特開平5−50739号公報(第2−4頁)
【特許文献6】
特開平6−55829号公報(第2−3頁)
【特許文献7】
特開平8−324100号公報(第2−5頁)
【特許文献8】
特開平8−207431号公報(第2−5頁)
【特許文献9】
特開平4−174796号公報(第1−4頁)
【特許文献10】
特開平4−272295号公報(第2−4頁)
【特許文献11】
特開平11−5360号公報(第2−4頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、複数層のインク受理層を持つインクジェット記録材料において、最上層のインク受理層中に光沢付与を目的に無機超微粒子が配合されてなり、塗層のひび割れがなく、表面の光沢感に優れ、インク吸収性が良好で、画像濃度の高いインクジェット記録材料およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。
【0015】
支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料において、光沢発現層が繊維状顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録材料の発明である。
【0016】
該繊維状顔料が長径5μm以上50μm以下、短径0.3μm以上3μm以下であると好ましい。
【0017】
該繊維状顔料の配合比率が、光沢発現層中の全乾燥固形分比率で5質量%以上50質量%以下であると好ましい。
【0018】
該繊維状顔料が構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有するとより好ましい。
【0019】
少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されるとさらに好ましい。
【0020】
支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料の製造方法において、光沢発現層が繊維状顔料を含有してなり、かつ少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法の発明である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のインクジェット記録材料およびその製造方法について説明する。
【0022】
本発明のインクジェット記録材料は、支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなり、光沢発現層が繊維状顔料を含有することを特徴とする。本発明において、光沢発現層は光沢付与を目的とした層であり、光沢・透明性があること、インクを速やかに通過あるいは吸収できることが要求され、この要求を満たすため、主として無機超微粒子から構成される層を指す。こうした構成の光沢発現層は、塗布後の乾燥時に非常に収縮する特性を有しており、乾燥後塗層がひび割れるという問題がある。このひび割れは、均一なインク吸収を妨げ、インクのにじみ、インクの落ち込みによる画像濃度低下といった悪影響を与え、さらには表面光沢の低下を招いていた。さらに酷い場合には、塗布面は粗く不均一な面となり、あるいは塗層が大きく裂け、インクジェット記録材料として用をなさない状態に陥っていた。本発明者らは、鋭意検討した結果、光沢発現層に繊維状顔料を含有させることで、こうした塗層のひび割れを抑制でき、良好なインク受理性能および表面光沢を得ることが可能となることを見出したのである。繊維状顔料が塗層のひび割れ抑制に有効に働く理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察している。繊維状顔料は光沢発現層中で、長径方向を塗層表面と平行あるいはそれに近い向きにして存在している比率が高く、光沢発現層の塗層表面に平行方向で、繊維状顔料が光沢発現層中に主に配合される無機超微粒子同士を橋渡しするような構造となり、塗布・乾燥時、無機超微粒子同士が収縮するのを抑制しているのではないかと考えられる。
【0023】
本発明における繊維状顔料の形状は特に規定されないが、長径が短すぎるとひび割れ抑制効果が小さくなりやすく、長すぎると、取り扱いが煩雑になりやすく、表面平滑性が得にくくなり、表面光沢や画像の発色が低下しやすい。長径の長さの好ましい範囲は、5μm以上50μm以下、より好ましくは7μm以上40μm以下、特に好ましくは長径10μm以上30μm以下である。また、繊維状顔料は長径方向を塗層表面と平行あるいはそれに近い向きにして存在している比率が高く、短径の長さは表面の面質に影響を与える。短径の長さは光沢発現層の塗層の厚みの1/2以下であることが好ましく、より好ましくは1/3以下、特に好ましくは1/4以下である。短径が長すぎると、表面平滑性が得にくくなり、表面光沢や画像の発色が低下しやすい。短すぎると、無機超微粒子同士を橋渡しする力が弱くなるせいか、ひび割れ抑制効果が小さくなりやすい。短径の長さの好ましい範囲は0.3μm以上3μm以下、より好ましくは0.5μm以上2μm以下、特に好ましくは0.7μm以上1.5μm以下である。また、繊維状顔料のアスペクト比(長径の長さ/短径の長さ)は、小さすぎるとひび割れ抑制効果が小さくなりやすく、大きすぎると取り扱いが煩雑になりやすい。アスペクト比の好ましい範囲は5以上100以下、より好ましくは8以上50以下である。なお、繊維状顔料の粒子径は電子顕微鏡観察による測定値を指す。
【0024】
光沢発現層中における該繊維状顔料の配合比率は、全乾燥固形分比率で5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上30質量%以下、特に好ましくは15質量%以上25質量%以下である。配合比率が5質量%よりも小さいと、塗層のひび割れ抑制効果が小さくなりやすく、50質量%を超えると、ひび割れ抑制効果が飽和するばかりか、無機超微粒子による光沢発現が小さくなり表面光沢を得にくくなる。
【0025】
本発明における繊維状顔料を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ケイ素、酸化ナトリウム、酸化インジウム、ITO、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、カオリン、タルク、硫化亜鉛、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ガラス繊維等の無機材料、ポリアクリロニトリル系等のアクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ナイロン系繊維、アラミド系繊維等の有機材料、およびこれらの複合材料等が挙げられる。上記繊維状顔料は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。繊維状顔料はカップリング剤等で表面処理されていてもよい。これらのうち構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有する繊維状顔料は、塗層のひび割れをよりいっそう抑制することができ、画像の発色も良好となるため好ましく使用される。構成元素としてAlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有した繊維状顔料は、光沢発現層に主に配合される無機超微粒子との相互作用が強く、無機超微粒子間の橋渡しが強固になるため、ひび割れの状態が良化するものと考えられる。また、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有した繊維状顔料の屈折率は、無機超微粒子の屈折率と値が近く、光沢発現層の透明性が高まるため、画像の発色が良好となるものと考えられる。
【0026】
本発明に係わる光沢発現層は、繊維状顔料以外の成分として無機超微粒子を含有する。本発明において無機超微粒子とは、一次粒子径が100nm以下で、かつ二次粒子径が400nm以下の無機微粒子を言う、例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されている、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0027】
無機超微粒子のうちカチオン性無機超微粒子は、特に良好なインクの定着性、インクの吸収性が得られて好ましい。カチオン性無機超微粒子としては公知のものを用いることができるが、特にアルミナ、アルミナ水和物、カチオン変性コロイダルシリカをいずれか単独または2種類以上組み合わせて用いるのが好ましい。
【0028】
本発明に係わるインク受理層は、光沢発現層を透過してきたインクを文字通り吸収・受理するための層であり、光沢付与に関する要求が光沢発現層ほど重要でないことより、通常光沢発現層よりも粒子径が大きくインク吸収性の高い白色顔料から構成される。白色顔料としては、以下の顔料或いは粒子を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。これらのうち、インク吸収性の点で、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
【0029】
本発明に係わる光沢発現層およびインク受理層はバインダーを配合することができる。バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、或はこれら各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性接着剤、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等が挙げられ、1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
光沢発現層中に含まれるバインダーの配合比率は、乾燥固形分比率で2質量%以上45質量%以下、好ましくは5質量%以上30質量%以下である。また、インク受理層中に含まれるバインダーの配合比率は、乾燥固形分比率で5質量%以上75質量%以下、好ましくは10質量%以上50質量%以下である。バインダーの配合比率が上記比率より少ないと、各層の塗層強度が不足しやすく、上記比率を超えるとインク吸収性が低下しやすい。
【0031】
本発明に係わる光沢発現層およびインク受理層には、インクの定着性や耐水性を高めるため、1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマー等のカチオン性樹脂を配合することができる。カチオン性樹脂としては例えば、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン縮合物、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ポリビニルアミジン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物等のジシアン系カチオン樹脂、ジメチル−ジアリルアンモニウムクロライド、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン共重合物等が挙げられる。
【0032】
本発明に係わる光沢発現層塗布液およびインク受理層塗布液の表面張力を調整するために、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型などのノニオン系界面活性剤、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などの両性系界面活性剤を塗布液に任意の量を混合することができる。
【0033】
本発明に係わる光沢発現層およびインク受理層は、添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することができる。
【0034】
本発明に係わる支持体は透明、半透明、及び不透明のいずれであっても良く、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙、ガラス板など、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
支持体として用いる紙としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。この様な原紙及び塗工紙に、そのまま本発明における塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
【0036】
本発明に係わる支持体に、インク受理層および光沢発現層を設けるための塗工方法としては、従来公知の紙塗工用の汎用塗工装置を用いることができる。例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター等が挙げられる。また、インク受理層および/または光沢発現層の隣接する一連の複数の塗布層を、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成する同時多層塗布を行ってもよい。こうした同時多層塗布は、支持体上にインク受理層、光沢発現層を順次塗布した場合に比べ、大幅に生産性を向上できるとともに、複数の塗布層が湿潤状態で同時に形成されるため、隣接する塗層間のしみ込みは起こりにくい。この結果、各塗層間の層分離が良好となり、良好なインク吸収性・表面光沢・画像の発色が得られるため好ましい。本発明において、インク受理層および光沢発現層は、いずれの層とも、配合が全く同一あるいは異なる2層以上の層から構成されていてもよい。
【0037】
特に、少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成される場合は、各塗層間の層分離向上により、インク吸収性ばかりでなく表面光沢および画像の発色も向上するため、好ましい実施形態となる。光沢発現層が2層以上の層から構成される場合は、上記記述の光沢発現層は、該光沢発現層の最上層を指す。しかしながら、同時多層塗布により光沢発現層を設けた場合には、支持体上にインク受理層、光沢発現層を順次塗布した場合に比べ、先述したような光沢発現層のひび割れが顕著に現れるという問題が生じていた。おそらく、光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層を同時多層塗布により設けた場合、光沢発現層と支持体の間には未乾燥で流動性のある塗布層が存在するため、光沢発現層は比較的自由に移動・収縮できるため、乾燥時に光沢発現層は細かくはひび割れず、より大きなひび割れが生じるものと考えられる。こうした同時多層塗布によりインクジェット記録材料を作製した場合でも、光沢発現層に繊維状顔料を配合することは、光沢発現層のひび割れ抑制に有効であることが判明した。すなわち、本発明のように、光沢発現層に繊維状顔料を配合し、かつ少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されることにより、塗層のひび割れがなく、インク吸収性、表面光沢、画像の発色に優れたインクジェット記録材料を作製することが可能となるのである。
【0038】
隣接する一連の複数の塗布層を、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成する塗工方法としては、エクストルージョンホッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテン塗布装置等のカーテン塗布装置、スライドビード塗布装置、スロット塗布装置等が挙げられるが、写真感光材料などに使用されている特公昭49−24133号公報に開示されたスライドホッパー型カーテン塗布装置を特に好ましく用いることができる。このスライドホッパー型カーテン塗布装置を用いると複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を容易に塗布することができる。
【0039】
多層塗液膜を構成する塗液は、塗布時の層間混合を少なくしたり均一な塗布膜を形成したりするため、各塗液の粘度、表面張力が調節されて使用される。各層の塗液の粘度差は少ないほうが層間の混合が少なく、各層の塗液の粘度差は100mPa・s以下が好ましい。また、各層の塗液の表面張力は、下層となる塗液の表面張力が上層より小さいと、上層の塗液膜が下層の塗液膜上ではじく現象が発生し、均一な多層塗液膜ができず塗布品質が悪化する場合があり好ましくない。各層の塗液の表面張力が同一であるとはじく現象が発生しにくく好ましく、下層となる層より上層となる層のほうが小さくなる様に設定するとより良好な塗布品質が得られて特に好ましい。3層以上の層を同時に塗布する場合には、最下層すなわち最も支持体に近い層から順に支持体から最も遠い最上層にかけて表面張力が順々に小さくなる様に調節するのが好ましい。また、各塗層間の層分離をいっそう向上させるため、各塗液膜間に、界面活性剤等で表面張力を調整された水溶液あるいは希薄水溶性高分子塗液等からなる塗液膜を形成し、多層塗液膜とすることも何ら問題なく行うことができる。
【0040】
インク受理層および光沢発現層の乾燥塗工量は、適用する顔料やバインダーの種類及び量、適用する塗工方式、インクジェット記録装置の種類により異なるが、好ましくは各々2g/m2以上30g/m2、より好ましくは4g/m2以上20g/m2以下の範囲である。通常、同時多層塗布方式により塗層を設けた場合は、支持体上にインク受理層、光沢発現層を順次塗布した場合に比べ、塗層の層分離が良好であるため、より少ない乾燥塗工量で同一のインク吸収性、表面光沢、画像の発色等の性能を出すことができる。
【0041】
本発明において、インク受理層または光沢発現層を塗工、乾燥後、平坦化をコントロールしたり表面光沢をさらに高めたりする目的で、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。また、表面光沢向上のため、一般に印刷用キャストコート紙の製造方法で使用されているような、直接法、凝固法、再湿潤法(リウェット法)等のキャスト処理を行っても良い。本発明のインクジェット記録材料を提供する形態としては、カットシートのみならずロールでも構わず、インクジェット記録材料中の任意の層に、電気的、磁気的、または光学的に情報が記録可能な材料を含有させても良い。また、支持体上のインク受理層が設けられている面とは反対側の面に、カール防止や帯電防止などを目的としてバックコート層を設けたり、粘着剤、剥離紙を順次積層してシール、ラベルやタックの用途に使用したり、インク受理層等を設け両面インクジェット記録可能としたりする等、公知の技術を使用することは何ら問題はなく行うことができる。
【0042】
本発明におけるインクジェット記録材料は、インクジェット記録材料としての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記録材料として用いてもかまわない。例えば、熱溶融性物質、染顔料などを主成分とする熱溶融性インクを樹脂フィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布したインク用紙を、その裏面より加熱し、インクを溶融させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマー及び無色または有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シートなどが挙げられる。
【0043】
これらの記録シートの共通点は、記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインク受理層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録材料を上述した各種の記録シートとして利用しても何ら構わない。更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明におけるインクジェット記録材料を使用しても構わない。
【0044】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例に於いて示す「部」及び「%」は特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
【0045】
インク受理層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、インク受理層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は17.0%である。
合成非晶質シリカ(平均粒径8μm) 100部
10%ポリビニルアルコール水溶液 300部
30%ポリアミン系樹脂水溶液 67部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 0.4部
水 417部
【0046】
実施例1
(A)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は15.5%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径5〜10μm、短径0.1〜0.2μm) 24部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 507部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 50部
【0047】
(B)インクジェット記録材料の作製
インク受理層塗液、(A)で作製した光沢発現層塗液を用い、スライドホッパー型カーテン塗布装置により、下層側からインク受理層塗液、光沢発現層塗液の順で、塗布速度80m/分、乾燥塗工量がそれぞれ8g/m2の塗工をすべく、カーテン流量を設定した多層塗液膜を形成し、この多層塗液膜を100g/m2の上質紙の上に塗布、乾燥させた後、マシンカレンダー処理を行い、本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0048】
実施例2
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径5〜10μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0049】
実施例3
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径1〜3μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0050】
実施例4
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径30〜50μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0051】
実施例5
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径10〜20μm、短径0.5〜1μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0052】
実施例6
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径30〜50μm、短径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0053】
実施例7
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径70〜100μm、短径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0054】
実施例8
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径30〜50μm、短径5〜8μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0055】
実施例9
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(アルミナ、長径30〜50μm、短径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0056】
実施例10
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ケイ酸カルシウム、長径15〜30μm、短径1〜2μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0057】
実施例11
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(窒化ケイ素、長径10〜20μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0058】
実施例12
(C)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は15.5%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径30〜50μm、短径2〜3μm) 12部
繊維状顔料(窒化ケイ素、長径5〜10μm、短径0.3〜0.5μm) 12部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 507部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 50部
【0059】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0060】
実施例13
(D)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は17.2%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 24部
コロイダルシリカ(平均二次粒子径100nm、固形分20%) 380部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 100部
【0061】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0062】
実施例14
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(窒化ケイ素、長径10〜20μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0063】
実施例15
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(チタン酸カリウム、長径10〜20μm、短径0.5〜1μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0064】
実施例16
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(酸化亜鉛、長径10〜20μm、短径0.5〜1μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0065】
実施例17
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(炭酸カルシウム、長径10〜20μm、短径0.5〜1μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0066】
実施例18
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(アクリル系繊維、長径20〜40μm、短径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0067】
実施例19
(E)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は14.3%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 4部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 640部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
【0068】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で3.3質量%である。
【0069】
実施例20
(F)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は14.7%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 8部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 614部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
【0070】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で6.6質量%である。
【0071】
実施例21
(G)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は16.6%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 60部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 266部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 200部
【0072】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で49.6質量%である。
【0073】
実施例22
インク受理層塗液を用い、カーテン塗布装置により、塗布速度160m/分、乾燥塗工量が8g/m2の塗工をすべく、カーテン流量を設定した単層塗液膜を形成し、この単層塗液膜を100g/m2の上質紙の上に塗布、乾燥した。さらに、実施例5で使用したのと同一の光沢発現層塗液を用い、カーテン塗布装置により、塗布速度160m/分、乾燥塗工量が8g/m2の塗工をすべく、カーテン流量を設定した単層塗液膜を形成し、この単層塗液膜を前記支持体のインク受理層塗工面上に塗布、乾燥させた後、マシンカレンダー処理を行い、本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0074】
比較例1
(H)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は13.9%である。
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 666部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
【0075】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0076】
比較例2
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、不定形顔料(合成非晶質シリカ、粒子径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0077】
比較例3
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、不定形顔料(炭酸カルシウム、粒子径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0078】
比較例4
実施例22において、光沢発現層塗液として(H)で作製した光沢発現層塗液を用いた以外は、実施例22と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0079】
比較例5
(I)第2のインク受理層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、第2のインク受理層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は17.0%である。
合成非晶質シリカ(平均粒径1μm) 100部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 410部
【0080】
実施例1において、光沢発現層塗液の代わりに(I)で作製した第2のインク受理層塗液を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0081】
比較例6
(J)第2のインク受理層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、第2のインク受理層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は17.0%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 24部
合成非晶質シリカ(平均粒径1μm) 76部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 410部
【0082】
実施例1において、光沢発現層塗液の代わりに(J)で作製した第2のインク受理層塗液を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。第2のインク受理層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0083】
<光沢発現層の表面観察>
実施例1〜22、比較例1〜6で作製したインクジェット記録材料の光沢発現層表面を目視により観察し、塗層表面のひび割れの状態を調べた。ひび割れは1〜10の数値で表した。1はひび割れが最も悪いことを表し、数値が大きくなるほど良好となり、10はひび割れが最良なことを示す。6以上であれば実用上問題ないレベルである。結果を表1に示した。
【0084】
<光沢発現層の光沢>
実施例1〜22、比較例1〜6で作製したインクジェット記録材料について、光沢発現層面のJIS P8142で規定される75度鏡面光沢度を測定した。結果を表1に示した。
【0085】
<印字特性>
実施例1〜22、比較例1〜6で作製したインクジェット記録材料に、セイコーエプソン製カラーインクジェットプリンター(PM750C)を用いてブラックインクで幅5cm、長さ5cmの印字を行い、印字部の濃度を濃度計(マクベスRD918)を用いて測定した。また、印字部のインク吸収性を目視により観察した。インク吸収性は1〜5の数値で表した。1はインクの吸収性が最も悪いことを表し、数値が大きくなるほど良好となり、5はインクの吸収性が最良なことを示す。3以上であれば実用上問題ないレベルである。結果を表1に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
表1より明らかなように、光沢発現層に繊維状顔料を配合した本発明のインクジェット記録材料は、塗層表面のひび割れの発生が少なく、表面の光沢感に優れ、印字濃度が高く、インク吸収性に優れている。実施例1〜8の比較より、繊維状顔料の長径が5μm以上50μm以下、短径が0.3μm以上3μm以下である実施例2、4〜6は、塗層表面のひび割れが良好で、かつ、光沢感、印字特性が特に優れたインクジェット記録材料とすることができる。実施例5、19〜21の比較からわかるように、光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率を、乾燥固形分比率で5質量%以上50質量%以下とすると、塗層のひび割れが良好となり好ましい。また、実施例13〜18の比較からわかるように、繊維状顔料が構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有していると、塗層のひび割れが良好であり、印字濃度も高くなり好ましい。また、実施例5と22の比較より、支持体上にインク受理層、光沢発現層を各々独立に塗布・乾燥を行った実施例22に比べ、前記2層から成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥した実施例5の方が、表面光沢が高く、かつ印字濃度、インク吸収性に優れている。
【0088】
一方、光沢発現層に繊維状顔料を配合していない比較例1〜4では、塗層のひび割れを抑制することができず、表面の光沢感、および印字品質も劣ったものとなる。また、光沢発現層の代わりに、第2のインク受理層を設けた比較例5、6では、表面光沢が得られない。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料において、塗層のひび割れがなく、表面の光沢感に優れ、インク吸収性が良好で、画像濃度の高いインクジェット記録材料を得ることができる。さらに、少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層の塗液を積層し、多層塗液膜としたものを支持体上に塗布・乾燥して製造することにより、上記特性が特に良好なインクジェット記録材料を生産性良く製造することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式を利用したプリンターやプロッターに使用されるインクジェット記録材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として、種々の用途において急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜色のない記録を得ることが可能であり、作成部数が少なくて済む用途では、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
最近では、銀塩写真の画像に匹敵する高精細な画像を出力できるインクジェットプリンター等が安価で市販されている。インクジェット記録材料は、銀塩写真方式と比べ同品質の画像が得られながら非常に安価であることから、大面積の画像が必要な広告や商品見本等で表示画像を頻繁に取り替える利用者にとって経済的に大きなメリットがある。また、最近一般的になってきたパーソナルコンピューター上で画像を作成し、このプリントアウトを見ながら配色やレイアウトを修正することは従来の銀塩写真方式では全く無理であったが、インクジェット記録ではこのような操作が気軽にできるという長所もある。
【0004】
インクジェット方式を利用したプリンターは、市場からのさらなる画像の品質向上に対する要求のために、高解像度化、色再現範囲の拡大が図られている。これに伴い、記録媒体であるインクジェット記録材料には、優れた画像品質を発現するための高いインク受理容量の確保や発色性の良好な塗層の塗設が不可欠となっている。加えて近年では、銀塩写真や商業印刷等の代替として出力が行われるようになってきており、光沢、剛直、色相等の外観、質感も銀塩写真あるいは商業印刷等に類似することが要望されてきている。
【0005】
これらインクジェット記録材料は、良好なインク吸収性を得るため、支持体上に無機微粒子を含有するインクジェット記録層を設けたインクジェット記録材料が提案されている(例えば、特許文献1)。また、より良好なインクジェット記録性能を得る等の目的で、2層以上のインク受理層を設けたインクジェット記録材料も提案されている(例えば、特許文献2)。
【0006】
また、光沢付与を目的に、一次粒子径が3nm〜30nmである、より小粒径の無機超微粒子を含有するインクジェット記録材料が提案されている(例えば、特許文献3、4)。また、特に良好なインクの定着性、インクの吸収性、表面光沢を得る等の目的で、無機超微粒子としてカチオン性無機超微粒子を含有するインクジェット記録材料が提案されている(例えば、特許文献5〜8)。
【0007】
こうした無機超微粒子を含有するインク受理層は、塗布後の乾燥時に非常に収縮する特性を有している。このため該インク受理層は乾燥後ひび割れ易い。このひび割れは、該インク受理層のインク受理性能に、インクのにじみ、インクの落ち込みによる画像濃度低下といった悪影響を与え、さらには表面光沢の低下を招く。良好なインク受理性能および表面光沢を得るには、塗層表面のひび割れを抑制することが必要となる。
【0008】
これらインクジェット記録材料のうち、2層以上のインク受理層を設けたインクジェット記録材料は、通常、インク受理層の塗液を支持体上に複数回に分けて塗布して製造される。しかし、インク受理層は多量の液体を吸収するように設計されているため、2回目以降に塗布される層は既に塗布されている下層にしみ込み、層分離が不完全になる。そのため、各層が完全に分離して形成されている場合に比べて、発色濃度やインクの吸収性などの性能が十分に発揮できない問題がある。
【0009】
2層以上のインク受理層を支持体に設けるその他の方法としては、複数層の塗液を積層して成る多層塗液膜を形成してカーテン塗布する多層同時塗布が挙げられる。この方法によれば、インク受理層の塗液を支持体に複数回塗布した場合に比べて大幅に生産性を向上できると共に、複数のインク受理層が湿潤状態で同時に形成されるため、隣接するインク受理層間のしみ込みは起こりにくく、良好な発色濃度やインク吸収性を得やすい。
【0010】
最上層に無機超微粒子を含有するインクジェット記録材料を各層の塗液を複数回に分けて逐次塗布した場合、各層間の層分離が悪く、表面光沢やインク吸収性等の要求品質を得るために、各層の塗工量を増やす必要がある。塗工量増に付随し最上層はひび割れやすくなり、面質が悪化する問題が生じていた。上記インクジェット記録材料を、複数のインク受理層の塗液を積層して成る多層塗液膜をカーテン塗布して製造すると、隣接するインク受理層間のしみ込みが低減され、より少ない塗工量で表面光沢やインク吸収性等の要求品質が得られるメリットがある。一方で、同時多層塗布は、各層の塗液を逐次塗布した場合に比べ、塗層がひび割れやすいという問題があり、最上層の塗工量が少なくなっても乾燥時に最上層のひび割れが発生しやすく、面質が悪化する問題が生じていた。
【0011】
一方、従来より塗工紙の塗層中に繊維状顔料を添加することが知られている。印刷用キャスト紙において、高光沢の付与、光沢ムラ、ピンホール、インキグロスの向上を目的に、塗被層中に繊維状炭酸カルシウムを配合することが提案されている(例えば、特許文献9、10)。また、インクジェット記録シートにおいて、記録シートの塗層強度向上、粉落ち防止を目的に、インク受理層にウィスカー状炭酸カルシウムを配合することが提案されている(例えば、特許文献11)。しかしながら、前者のシートは印刷用キャスト紙であり、後者のシートはインクジェット記録シートであるが光沢発現層の概念はない。
【0012】
【特許文献1】
特開昭55−51583号公報(第1−3頁)
【特許文献2】
特開昭55−11829号公報(第1−4頁)
【特許文献3】
特開平10−203006号公報(第3−9頁)
【特許文献4】
特開平8−174992号公報(第3−6頁)
【特許文献5】
特開平5−50739号公報(第2−4頁)
【特許文献6】
特開平6−55829号公報(第2−3頁)
【特許文献7】
特開平8−324100号公報(第2−5頁)
【特許文献8】
特開平8−207431号公報(第2−5頁)
【特許文献9】
特開平4−174796号公報(第1−4頁)
【特許文献10】
特開平4−272295号公報(第2−4頁)
【特許文献11】
特開平11−5360号公報(第2−4頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、複数層のインク受理層を持つインクジェット記録材料において、最上層のインク受理層中に光沢付与を目的に無機超微粒子が配合されてなり、塗層のひび割れがなく、表面の光沢感に優れ、インク吸収性が良好で、画像濃度の高いインクジェット記録材料およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。
【0015】
支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料において、光沢発現層が繊維状顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録材料の発明である。
【0016】
該繊維状顔料が長径5μm以上50μm以下、短径0.3μm以上3μm以下であると好ましい。
【0017】
該繊維状顔料の配合比率が、光沢発現層中の全乾燥固形分比率で5質量%以上50質量%以下であると好ましい。
【0018】
該繊維状顔料が構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有するとより好ましい。
【0019】
少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されるとさらに好ましい。
【0020】
支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料の製造方法において、光沢発現層が繊維状顔料を含有してなり、かつ少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法の発明である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のインクジェット記録材料およびその製造方法について説明する。
【0022】
本発明のインクジェット記録材料は、支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなり、光沢発現層が繊維状顔料を含有することを特徴とする。本発明において、光沢発現層は光沢付与を目的とした層であり、光沢・透明性があること、インクを速やかに通過あるいは吸収できることが要求され、この要求を満たすため、主として無機超微粒子から構成される層を指す。こうした構成の光沢発現層は、塗布後の乾燥時に非常に収縮する特性を有しており、乾燥後塗層がひび割れるという問題がある。このひび割れは、均一なインク吸収を妨げ、インクのにじみ、インクの落ち込みによる画像濃度低下といった悪影響を与え、さらには表面光沢の低下を招いていた。さらに酷い場合には、塗布面は粗く不均一な面となり、あるいは塗層が大きく裂け、インクジェット記録材料として用をなさない状態に陥っていた。本発明者らは、鋭意検討した結果、光沢発現層に繊維状顔料を含有させることで、こうした塗層のひび割れを抑制でき、良好なインク受理性能および表面光沢を得ることが可能となることを見出したのである。繊維状顔料が塗層のひび割れ抑制に有効に働く理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察している。繊維状顔料は光沢発現層中で、長径方向を塗層表面と平行あるいはそれに近い向きにして存在している比率が高く、光沢発現層の塗層表面に平行方向で、繊維状顔料が光沢発現層中に主に配合される無機超微粒子同士を橋渡しするような構造となり、塗布・乾燥時、無機超微粒子同士が収縮するのを抑制しているのではないかと考えられる。
【0023】
本発明における繊維状顔料の形状は特に規定されないが、長径が短すぎるとひび割れ抑制効果が小さくなりやすく、長すぎると、取り扱いが煩雑になりやすく、表面平滑性が得にくくなり、表面光沢や画像の発色が低下しやすい。長径の長さの好ましい範囲は、5μm以上50μm以下、より好ましくは7μm以上40μm以下、特に好ましくは長径10μm以上30μm以下である。また、繊維状顔料は長径方向を塗層表面と平行あるいはそれに近い向きにして存在している比率が高く、短径の長さは表面の面質に影響を与える。短径の長さは光沢発現層の塗層の厚みの1/2以下であることが好ましく、より好ましくは1/3以下、特に好ましくは1/4以下である。短径が長すぎると、表面平滑性が得にくくなり、表面光沢や画像の発色が低下しやすい。短すぎると、無機超微粒子同士を橋渡しする力が弱くなるせいか、ひび割れ抑制効果が小さくなりやすい。短径の長さの好ましい範囲は0.3μm以上3μm以下、より好ましくは0.5μm以上2μm以下、特に好ましくは0.7μm以上1.5μm以下である。また、繊維状顔料のアスペクト比(長径の長さ/短径の長さ)は、小さすぎるとひび割れ抑制効果が小さくなりやすく、大きすぎると取り扱いが煩雑になりやすい。アスペクト比の好ましい範囲は5以上100以下、より好ましくは8以上50以下である。なお、繊維状顔料の粒子径は電子顕微鏡観察による測定値を指す。
【0024】
光沢発現層中における該繊維状顔料の配合比率は、全乾燥固形分比率で5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上30質量%以下、特に好ましくは15質量%以上25質量%以下である。配合比率が5質量%よりも小さいと、塗層のひび割れ抑制効果が小さくなりやすく、50質量%を超えると、ひび割れ抑制効果が飽和するばかりか、無機超微粒子による光沢発現が小さくなり表面光沢を得にくくなる。
【0025】
本発明における繊維状顔料を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ケイ素、酸化ナトリウム、酸化インジウム、ITO、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、カオリン、タルク、硫化亜鉛、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ガラス繊維等の無機材料、ポリアクリロニトリル系等のアクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ナイロン系繊維、アラミド系繊維等の有機材料、およびこれらの複合材料等が挙げられる。上記繊維状顔料は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。繊維状顔料はカップリング剤等で表面処理されていてもよい。これらのうち構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有する繊維状顔料は、塗層のひび割れをよりいっそう抑制することができ、画像の発色も良好となるため好ましく使用される。構成元素としてAlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有した繊維状顔料は、光沢発現層に主に配合される無機超微粒子との相互作用が強く、無機超微粒子間の橋渡しが強固になるため、ひび割れの状態が良化するものと考えられる。また、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有した繊維状顔料の屈折率は、無機超微粒子の屈折率と値が近く、光沢発現層の透明性が高まるため、画像の発色が良好となるものと考えられる。
【0026】
本発明に係わる光沢発現層は、繊維状顔料以外の成分として無機超微粒子を含有する。本発明において無機超微粒子とは、一次粒子径が100nm以下で、かつ二次粒子径が400nm以下の無機微粒子を言う、例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されている、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0027】
無機超微粒子のうちカチオン性無機超微粒子は、特に良好なインクの定着性、インクの吸収性が得られて好ましい。カチオン性無機超微粒子としては公知のものを用いることができるが、特にアルミナ、アルミナ水和物、カチオン変性コロイダルシリカをいずれか単独または2種類以上組み合わせて用いるのが好ましい。
【0028】
本発明に係わるインク受理層は、光沢発現層を透過してきたインクを文字通り吸収・受理するための層であり、光沢付与に関する要求が光沢発現層ほど重要でないことより、通常光沢発現層よりも粒子径が大きくインク吸収性の高い白色顔料から構成される。白色顔料としては、以下の顔料或いは粒子を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。これらのうち、インク吸収性の点で、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
【0029】
本発明に係わる光沢発現層およびインク受理層はバインダーを配合することができる。バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、或はこれら各種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性接着剤、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤等が挙げられ、1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
光沢発現層中に含まれるバインダーの配合比率は、乾燥固形分比率で2質量%以上45質量%以下、好ましくは5質量%以上30質量%以下である。また、インク受理層中に含まれるバインダーの配合比率は、乾燥固形分比率で5質量%以上75質量%以下、好ましくは10質量%以上50質量%以下である。バインダーの配合比率が上記比率より少ないと、各層の塗層強度が不足しやすく、上記比率を超えるとインク吸収性が低下しやすい。
【0031】
本発明に係わる光沢発現層およびインク受理層には、インクの定着性や耐水性を高めるため、1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマー等のカチオン性樹脂を配合することができる。カチオン性樹脂としては例えば、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン縮合物、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ポリビニルアミジン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物等のジシアン系カチオン樹脂、ジメチル−ジアリルアンモニウムクロライド、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン共重合物等が挙げられる。
【0032】
本発明に係わる光沢発現層塗布液およびインク受理層塗布液の表面張力を調整するために、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型などのノニオン系界面活性剤、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などの両性系界面活性剤を塗布液に任意の量を混合することができる。
【0033】
本発明に係わる光沢発現層およびインク受理層は、添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することができる。
【0034】
本発明に係わる支持体は透明、半透明、及び不透明のいずれであっても良く、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙、ガラス板など、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
支持体として用いる紙としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。この様な原紙及び塗工紙に、そのまま本発明における塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
【0036】
本発明に係わる支持体に、インク受理層および光沢発現層を設けるための塗工方法としては、従来公知の紙塗工用の汎用塗工装置を用いることができる。例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター等が挙げられる。また、インク受理層および/または光沢発現層の隣接する一連の複数の塗布層を、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成する同時多層塗布を行ってもよい。こうした同時多層塗布は、支持体上にインク受理層、光沢発現層を順次塗布した場合に比べ、大幅に生産性を向上できるとともに、複数の塗布層が湿潤状態で同時に形成されるため、隣接する塗層間のしみ込みは起こりにくい。この結果、各塗層間の層分離が良好となり、良好なインク吸収性・表面光沢・画像の発色が得られるため好ましい。本発明において、インク受理層および光沢発現層は、いずれの層とも、配合が全く同一あるいは異なる2層以上の層から構成されていてもよい。
【0037】
特に、少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成される場合は、各塗層間の層分離向上により、インク吸収性ばかりでなく表面光沢および画像の発色も向上するため、好ましい実施形態となる。光沢発現層が2層以上の層から構成される場合は、上記記述の光沢発現層は、該光沢発現層の最上層を指す。しかしながら、同時多層塗布により光沢発現層を設けた場合には、支持体上にインク受理層、光沢発現層を順次塗布した場合に比べ、先述したような光沢発現層のひび割れが顕著に現れるという問題が生じていた。おそらく、光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層を同時多層塗布により設けた場合、光沢発現層と支持体の間には未乾燥で流動性のある塗布層が存在するため、光沢発現層は比較的自由に移動・収縮できるため、乾燥時に光沢発現層は細かくはひび割れず、より大きなひび割れが生じるものと考えられる。こうした同時多層塗布によりインクジェット記録材料を作製した場合でも、光沢発現層に繊維状顔料を配合することは、光沢発現層のひび割れ抑制に有効であることが判明した。すなわち、本発明のように、光沢発現層に繊維状顔料を配合し、かつ少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されることにより、塗層のひび割れがなく、インク吸収性、表面光沢、画像の発色に優れたインクジェット記録材料を作製することが可能となるのである。
【0038】
隣接する一連の複数の塗布層を、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成する塗工方法としては、エクストルージョンホッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテン塗布装置等のカーテン塗布装置、スライドビード塗布装置、スロット塗布装置等が挙げられるが、写真感光材料などに使用されている特公昭49−24133号公報に開示されたスライドホッパー型カーテン塗布装置を特に好ましく用いることができる。このスライドホッパー型カーテン塗布装置を用いると複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を容易に塗布することができる。
【0039】
多層塗液膜を構成する塗液は、塗布時の層間混合を少なくしたり均一な塗布膜を形成したりするため、各塗液の粘度、表面張力が調節されて使用される。各層の塗液の粘度差は少ないほうが層間の混合が少なく、各層の塗液の粘度差は100mPa・s以下が好ましい。また、各層の塗液の表面張力は、下層となる塗液の表面張力が上層より小さいと、上層の塗液膜が下層の塗液膜上ではじく現象が発生し、均一な多層塗液膜ができず塗布品質が悪化する場合があり好ましくない。各層の塗液の表面張力が同一であるとはじく現象が発生しにくく好ましく、下層となる層より上層となる層のほうが小さくなる様に設定するとより良好な塗布品質が得られて特に好ましい。3層以上の層を同時に塗布する場合には、最下層すなわち最も支持体に近い層から順に支持体から最も遠い最上層にかけて表面張力が順々に小さくなる様に調節するのが好ましい。また、各塗層間の層分離をいっそう向上させるため、各塗液膜間に、界面活性剤等で表面張力を調整された水溶液あるいは希薄水溶性高分子塗液等からなる塗液膜を形成し、多層塗液膜とすることも何ら問題なく行うことができる。
【0040】
インク受理層および光沢発現層の乾燥塗工量は、適用する顔料やバインダーの種類及び量、適用する塗工方式、インクジェット記録装置の種類により異なるが、好ましくは各々2g/m2以上30g/m2、より好ましくは4g/m2以上20g/m2以下の範囲である。通常、同時多層塗布方式により塗層を設けた場合は、支持体上にインク受理層、光沢発現層を順次塗布した場合に比べ、塗層の層分離が良好であるため、より少ない乾燥塗工量で同一のインク吸収性、表面光沢、画像の発色等の性能を出すことができる。
【0041】
本発明において、インク受理層または光沢発現層を塗工、乾燥後、平坦化をコントロールしたり表面光沢をさらに高めたりする目的で、スーパーカレンダー、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。また、表面光沢向上のため、一般に印刷用キャストコート紙の製造方法で使用されているような、直接法、凝固法、再湿潤法(リウェット法)等のキャスト処理を行っても良い。本発明のインクジェット記録材料を提供する形態としては、カットシートのみならずロールでも構わず、インクジェット記録材料中の任意の層に、電気的、磁気的、または光学的に情報が記録可能な材料を含有させても良い。また、支持体上のインク受理層が設けられている面とは反対側の面に、カール防止や帯電防止などを目的としてバックコート層を設けたり、粘着剤、剥離紙を順次積層してシール、ラベルやタックの用途に使用したり、インク受理層等を設け両面インクジェット記録可能としたりする等、公知の技術を使用することは何ら問題はなく行うことができる。
【0042】
本発明におけるインクジェット記録材料は、インクジェット記録材料としての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記録材料として用いてもかまわない。例えば、熱溶融性物質、染顔料などを主成分とする熱溶融性インクを樹脂フィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布したインク用紙を、その裏面より加熱し、インクを溶融させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマー及び無色または有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シートなどが挙げられる。
【0043】
これらの記録シートの共通点は、記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインク受理層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録材料を上述した各種の記録シートとして利用しても何ら構わない。更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明におけるインクジェット記録材料を使用しても構わない。
【0044】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例に於いて示す「部」及び「%」は特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
【0045】
インク受理層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、インク受理層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は17.0%である。
合成非晶質シリカ(平均粒径8μm) 100部
10%ポリビニルアルコール水溶液 300部
30%ポリアミン系樹脂水溶液 67部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 0.4部
水 417部
【0046】
実施例1
(A)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は15.5%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径5〜10μm、短径0.1〜0.2μm) 24部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 507部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 50部
【0047】
(B)インクジェット記録材料の作製
インク受理層塗液、(A)で作製した光沢発現層塗液を用い、スライドホッパー型カーテン塗布装置により、下層側からインク受理層塗液、光沢発現層塗液の順で、塗布速度80m/分、乾燥塗工量がそれぞれ8g/m2の塗工をすべく、カーテン流量を設定した多層塗液膜を形成し、この多層塗液膜を100g/m2の上質紙の上に塗布、乾燥させた後、マシンカレンダー処理を行い、本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0048】
実施例2
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径5〜10μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0049】
実施例3
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径1〜3μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0050】
実施例4
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径30〜50μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0051】
実施例5
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径10〜20μm、短径0.5〜1μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0052】
実施例6
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径30〜50μm、短径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0053】
実施例7
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径70〜100μm、短径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0054】
実施例8
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径30〜50μm、短径5〜8μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0055】
実施例9
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(アルミナ、長径30〜50μm、短径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0056】
実施例10
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(ケイ酸カルシウム、長径15〜30μm、短径1〜2μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0057】
実施例11
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(窒化ケイ素、長径10〜20μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0058】
実施例12
(C)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は15.5%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、長径30〜50μm、短径2〜3μm) 12部
繊維状顔料(窒化ケイ素、長径5〜10μm、短径0.3〜0.5μm) 12部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 507部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 50部
【0059】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0060】
実施例13
(D)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は17.2%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 24部
コロイダルシリカ(平均二次粒子径100nm、固形分20%) 380部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 100部
【0061】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0062】
実施例14
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(窒化ケイ素、長径10〜20μm、短径0.3〜0.5μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0063】
実施例15
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(チタン酸カリウム、長径10〜20μm、短径0.5〜1μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0064】
実施例16
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(酸化亜鉛、長径10〜20μm、短径0.5〜1μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0065】
実施例17
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(炭酸カルシウム、長径10〜20μm、短径0.5〜1μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0066】
実施例18
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、繊維状顔料(アクリル系繊維、長径20〜40μm、短径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
【0067】
実施例19
(E)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は14.3%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 4部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 640部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
【0068】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で3.3質量%である。
【0069】
実施例20
(F)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は14.7%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 8部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 614部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
【0070】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で6.6質量%である。
【0071】
実施例21
(G)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は16.6%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 60部
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 266部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 200部
【0072】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で49.6質量%である。
【0073】
実施例22
インク受理層塗液を用い、カーテン塗布装置により、塗布速度160m/分、乾燥塗工量が8g/m2の塗工をすべく、カーテン流量を設定した単層塗液膜を形成し、この単層塗液膜を100g/m2の上質紙の上に塗布、乾燥した。さらに、実施例5で使用したのと同一の光沢発現層塗液を用い、カーテン塗布装置により、塗布速度160m/分、乾燥塗工量が8g/m2の塗工をすべく、カーテン流量を設定した単層塗液膜を形成し、この単層塗液膜を前記支持体のインク受理層塗工面上に塗布、乾燥させた後、マシンカレンダー処理を行い、本発明のインクジェット記録材料を作製した。光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0074】
比較例1
(H)光沢発現層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、光沢発現層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は13.9%である。
アルミナゾル(平均二次粒子径150nm、固形分15%) 666部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
【0075】
こうして得た光沢発現層塗液を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0076】
比較例2
実施例1で用いた繊維状顔料の代わりに、不定形顔料(合成非晶質シリカ、粒子径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0077】
比較例3
実施例13で用いた繊維状顔料の代わりに、不定形顔料(炭酸カルシウム、粒子径2〜3μm)を用いて光沢発現層塗液を作製した以外は実施例13と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0078】
比較例4
実施例22において、光沢発現層塗液として(H)で作製した光沢発現層塗液を用いた以外は、実施例22と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0079】
比較例5
(I)第2のインク受理層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、第2のインク受理層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は17.0%である。
合成非晶質シリカ(平均粒径1μm) 100部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 410部
【0080】
実施例1において、光沢発現層塗液の代わりに(I)で作製した第2のインク受理層塗液を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
【0081】
比較例6
(J)第2のインク受理層塗液の作製
下記の組成の混合液をホモミキサーで撹拌し、第2のインク受理層塗液を作製した。この塗液の固形分濃度は17.0%である。
繊維状顔料(ホウ酸アルミニウム、
長径10〜20μm、短径0.5〜1μm) 24部
合成非晶質シリカ(平均粒径1μm) 76部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤 1部
水 410部
【0082】
実施例1において、光沢発現層塗液の代わりに(J)で作製した第2のインク受理層塗液を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。第2のインク受理層中の繊維状顔料の配合比率は、乾燥固形分比率で19.8質量%である。
【0083】
<光沢発現層の表面観察>
実施例1〜22、比較例1〜6で作製したインクジェット記録材料の光沢発現層表面を目視により観察し、塗層表面のひび割れの状態を調べた。ひび割れは1〜10の数値で表した。1はひび割れが最も悪いことを表し、数値が大きくなるほど良好となり、10はひび割れが最良なことを示す。6以上であれば実用上問題ないレベルである。結果を表1に示した。
【0084】
<光沢発現層の光沢>
実施例1〜22、比較例1〜6で作製したインクジェット記録材料について、光沢発現層面のJIS P8142で規定される75度鏡面光沢度を測定した。結果を表1に示した。
【0085】
<印字特性>
実施例1〜22、比較例1〜6で作製したインクジェット記録材料に、セイコーエプソン製カラーインクジェットプリンター(PM750C)を用いてブラックインクで幅5cm、長さ5cmの印字を行い、印字部の濃度を濃度計(マクベスRD918)を用いて測定した。また、印字部のインク吸収性を目視により観察した。インク吸収性は1〜5の数値で表した。1はインクの吸収性が最も悪いことを表し、数値が大きくなるほど良好となり、5はインクの吸収性が最良なことを示す。3以上であれば実用上問題ないレベルである。結果を表1に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
表1より明らかなように、光沢発現層に繊維状顔料を配合した本発明のインクジェット記録材料は、塗層表面のひび割れの発生が少なく、表面の光沢感に優れ、印字濃度が高く、インク吸収性に優れている。実施例1〜8の比較より、繊維状顔料の長径が5μm以上50μm以下、短径が0.3μm以上3μm以下である実施例2、4〜6は、塗層表面のひび割れが良好で、かつ、光沢感、印字特性が特に優れたインクジェット記録材料とすることができる。実施例5、19〜21の比較からわかるように、光沢発現層中の繊維状顔料の配合比率を、乾燥固形分比率で5質量%以上50質量%以下とすると、塗層のひび割れが良好となり好ましい。また、実施例13〜18の比較からわかるように、繊維状顔料が構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有していると、塗層のひび割れが良好であり、印字濃度も高くなり好ましい。また、実施例5と22の比較より、支持体上にインク受理層、光沢発現層を各々独立に塗布・乾燥を行った実施例22に比べ、前記2層から成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥した実施例5の方が、表面光沢が高く、かつ印字濃度、インク吸収性に優れている。
【0088】
一方、光沢発現層に繊維状顔料を配合していない比較例1〜4では、塗層のひび割れを抑制することができず、表面の光沢感、および印字品質も劣ったものとなる。また、光沢発現層の代わりに、第2のインク受理層を設けた比較例5、6では、表面光沢が得られない。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料において、塗層のひび割れがなく、表面の光沢感に優れ、インク吸収性が良好で、画像濃度の高いインクジェット記録材料を得ることができる。さらに、少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層の塗液を積層し、多層塗液膜としたものを支持体上に塗布・乾燥して製造することにより、上記特性が特に良好なインクジェット記録材料を生産性良く製造することが出来る。
Claims (6)
- 支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料において、光沢発現層が繊維状顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
- 該繊維状顔料が長径5μm以上50μm以下、短径0.3μm以上3μm以下である請求項1記載のインクジェット記録材料。
- 該繊維状顔料の配合比率が、光沢発現層中の全乾燥固形分比率で5質量%以上50質量%以下である請求項1または2記載のインクジェット記録材料。
- 該繊維状顔料が構成元素として、AlまたはSiから選ばれる少なくとも1種以上を含有する請求項1、2または3記載のインクジェット記録材料。
- 少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されてなることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録材料。
- 支持体上に少なくともインク受理層、光沢発現層を順次設けてなるインクジェット記録材料の製造方法において、光沢発現層が繊維状顔料を含有してなり、かつ少なくとも光沢発現層を含む隣接する一連の複数の塗布層が、複数の塗布層の塗液を積層して成る多層塗液膜を支持体上に塗布・乾燥して形成されることを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
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JP2002279899A JP2004114458A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | インクジェット記録材料およびその製造方法 |
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JP (1) | JP2004114458A (ja) |
Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2006315356A (ja) * | 2005-05-16 | 2006-11-24 | Hitachi Metals Ltd | 樹脂被覆鋼管の接続部の被覆装置 |
JP2008063832A (ja) * | 2006-09-07 | 2008-03-21 | Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd | 化粧建築板 |
-
2002
- 2002-09-25 JP JP2002279899A patent/JP2004114458A/ja active Pending
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